説明

手法自動選択装置、手法自動選択方法及びプログラム。

【課題】数多くある需要予測手法と在庫シミュレーション手法から商品毎に最適な組み合わせを自動的に選択する。
【解決手段】手法自動選択装置は、商品の検証期間中の販売実績を記憶する商品販売実績記憶部15と、需要予測手法を用いて、前記商品の販売実績に基づき前記検証期間中の予測需要量を算出する予測需要量算出部11と、在庫シミュレーション手法を用いて、前記予測需要量に基づき前記検証期間中の理論在庫を算出する理論在庫算出部12と、前記理論在庫と前記商品の販売実績との差から需要予測手法と在庫シミュレーション手法の組毎に発注予測誤差を算出する発注予測誤差出力部13と、前記発注予測誤差に基づいて前記商品に対応する需要予測手法と在庫シミュレーション手法の組を選択する手法評価部14と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、需要予測や在庫シミュレーション等の手法を選択する手法自動選択装置、手法自動選択方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、小売店などでも、欠品や過剰在庫を発生させないために、需要予測や在庫シミュレーションが利用されている。しかし、需要予測手法や在庫シミュレーション手法は数多くあり、需要予測手法や在庫シミュレーション手法の選定には経験やノウハウ、商品毎の特性の把握が必要になる。
そこで、数ある需要予測手法及び在庫シミュレーション手法から最適な組み合わせを自動的に選定できることが有益であると考えられる。なぜならば、手法の組み合わせは膨大なため、商品毎の特性に合わせて人手により手法を選択すると時間が掛かるためである。
【0003】
特許文献1に記載された技術では、ライフサイクルパターンと直近の販売実績を基に複数の需要予測手法において予測需要結果を求め、出荷量ランク、平均絶対誤差率、累計誤差率及び季節安定度に基づいて予測需要結果を総合評価することで、最適な予測需要結果を販売計画案として選択している。
また、特許文献2に記載された技術では、計画立案サイクル、調達リードタイム及び計画リードタイムなどの設定値が更新されると、更新された設定値に基づいて安全在庫を再計算することにより、適切な在庫管理を行っている。安全在庫とは、予測に誤差が生じても品切れを起こさないようにするために確保する在庫である。
【特許文献1】特開2009−21020号公報
【特許文献2】特許3991811号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、在庫シミュレーションを用いていないため在庫推移について考慮されていない。このため、欠品状況や在庫の過不足が把握できず、現実に即した評価に至らない、という問題がある。
また、特許文献2に記載された技術では、リードタイムを考慮しているが、在庫シミュレーション手法を自動的に選択することはできない。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、数多くある需要予測手法と在庫シミュレーション手法から商品毎に最適な組み合わせを自動的に選択することができる手法自動選択装置、手法自動選択方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、商品の検証期間中の販売実績を記憶する商品販売実績記憶部と、需要予測手法を用いて、前記商品販売実績記憶部から読み出した前記商品の販売実績に基づき前記検証期間中の予測需要量を算出する予測需要量算出部と、在庫シミュレーション手法を用いて、前記予測需要量算出部が算出した予測需要量に基づき前記検証期間中の理論在庫を算出する理論在庫算出部と、前記理論在庫算出部が算出した前記理論在庫と前記商品の販売実績との差から需要予測手法と在庫シミュレーション手法の組毎に発注予測誤差を算出する発注予測誤差出力部と、前記発注予測誤差出力部が算出した発注予測誤差に基づいて前記商品に対応する需要予測手法と在庫シミュレーション手法の組を選択する手法評価部と、を備えることを特徴とする手法自動選択装置である。
【0006】
また、本発明の一態様は、上記の手法自動選択装置において、商品の発注から納品までのリードタイムを記憶するリードタイム記憶部を備え、前記理論在庫算出部は、前記商品に対応するリードタイムをリードタイム記憶部から読み出し、在庫シミュレーション手法を用いて当該リードタイムと前記予測需要量から前記検証期間中の発注量を算出し、当該発注量から前記検証期間中の納品量を算出し、算出した納品量に基づいて前記検証期間中の理論在庫を算出することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の一態様は、上記の手法自動選択装置において、前記発注予測誤差出力部は、前記検証期間中の欠品率と在庫水準を算出し、前記手法評価部は、前記検証期間中の前記欠品率が所定の上限を超えない需要予測手法と在庫シミュレーション手法の組のうち前記在庫水準の平均値が最小となるものを選択することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様は、商品の検証期間中の販売実績を記憶する商品販売実績記憶部を備える手法自動選択装置により行われる手法自動選択方法であって、予測需要量算出部が、需要予測手法を用いて、前記商品の販売実績に基づき前記検証期間中の予測需要量を算出するステップと、理論在庫算出部が、在庫シミュレーション手法を用いて、前記予測需要量に基づき前記検証期間中の理論在庫を算出するステップと、発注予測誤差出力部が、前記理論在庫と前記商品の販売実績との差から需要予測手法と在庫シミュレーション手法の組毎に発注予測誤差を算出するステップと、手法評価部が、前記発注予測誤差に基づいて前記商品に対応する需要予測手法と在庫シミュレーション手法の組を選択するステップと、を有することを特徴とする手法自動選択方法である。
【0009】
また、本発明の一態様は、コンピュータに、需要予測手法を用いて、予め記憶されている商品の検証期間中の販売実績に基づき前記検証期間中の予測需要量を算出するステップと、在庫シミュレーション手法を用いて、前記予測需要量に基づき前記検証期間中の理論在庫を算出するステップと、前記理論在庫と前記商品の販売実績との差から需要予測手法と在庫シミュレーション手法の組毎に発注予測誤差を算出するステップと、前記発注予測誤差に基づいて前記商品に対応する需要予測手法と在庫シミュレーション手法の組を選択するステップと、
を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、需要予測手法を用いて算出された予測需要量から在庫シミュレーションを用いて理論在庫を算出するので、需要予測手法と在庫シミュレーション手法の組毎に評価の指標である発注予測誤差を算出することができる。これにより、数多くある需要予測手法と在庫シミュレーション手法から商品毎に最適な組み合わせを自動的に選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
まず、以下で用いる語を次のように定義する。
検証期間とは、商品の販売数量の実績値(販売実績)がある期間であって、検証を行う期間である。
検証日とは、検証期間中の任意の一日である。
予測需要量とは、検証日以前の販売実績に基づいて求められる検証日翌日以降の需要量の予測値である。予測需要量は、需要予測手法を用いて算出される。
リードタイム日数とは、商品を発注してから納品されるまでの日数であり、「納品日−発注日」より求められる。
発注量とは、予測需要量とリードタイム日数に基づいて求められる予測値であって、小売店が商品を発注する一日毎の量の予測値である。発注量は、在庫シミュレーション手法を用いて算出される。
納品量とは、発注量に基づいて求められる予測値であって、小売店に商品が納品される一日毎の量の予測値である。
理論在庫とは、納品量と予測需要量に基づいて求められる在庫量の予測値である。検証日の理論在庫は、検証日前日の理論在庫に納品量を加算し、予測需要量を減算した値である。なお、検証期間初日の理論在庫は在庫量の実績値とする。
発注予測誤差とは、理論在庫と販売実績の差に基づいて求められる評価の指標であり、在庫水準と、在庫金額と、欠品量と、機会損失と、である。理論在庫から販売実績を減算した値が正の場合は、その値が在庫水準であり、0が欠品量である。また、理論在庫から販売実績を減算した値が負の場合は、その値の絶対値が欠品量であり、0が在庫水準である。理論在庫から販売実績を減算した値が0の場合は、在庫水準及び欠品量は0である。在庫金額は、在庫水準と商品の販売単価とを乗算した値である。また、機会損失は、欠品量と商品の販売単価と乗算した値である。本実施形態の手法自動選択装置は、発注予測誤差に基づいて需要予測手法及び在庫シミュレーション手法の組を選択する。
【0012】
図1は、本実施形態における手法自動選択装置1の機能構成を示すブロック図である。
手法自動選択装置1は、複数の需要予測手法と複数の在庫シミュレーション手法から商品毎に対応する組み合わせを選択する装置である。手法自動選択装置1には、予め複数の需要予測手法及び、複数の在庫シミュレーション手法に基づく処理を実行するプログラムをそれぞれの手法の名前と対応付けて記憶する手段がそなえられており、記憶されている需要予測手法及び在庫シミュレーション手法に基づく処理を実行する機能が設けられている。手法自動選択装置1は、記憶されている需要予測手法名と在庫シミュレーション手法名の組み合わせを選択する。
需要予測手法は、商品の販売実績から予測需要量を算出する手法である。需要予測手法には、例えば、時系列分析のAR(AutoRegressive model)、MA(MovingAverage model)、ARIMAモデル(AutoRegressiveIntegratedMovingAverage model)、単純移動平均、指数平滑法、重回帰モデル及びこれらの混合などがある。
また、在庫シミュレーション手法は、各商品の予測需要量から発注量を算出する手法である。在庫シミュレーション手法には、例えば、発注日から納品日までの予測需要量の累積から発注日の在庫量を引いて発注量を算出する手法や予測需要量を基に正規分布やポアソン分布を用いて適正在庫量を算出し、算出した適性在庫量から発注日の在庫量を減算して発注量を算出する手法などがある。
【0013】
例えば、正規分布による在庫シミュレーションの場合は、一日あたりの販売数が数十以上になる場合に有用である。日毎の販売数が多い場合には、実績が正規分布に基づくと仮定されるため、過去の実績から、平均値と分散を算出し、3σ(分散の平方根の三倍)の在庫量を確保すれば、欠品率を1%以下に押さえることができる。具体的には、過去2週間(商品特性に合わせて変化させる)の実績から、平均と分散をもとめ、分散の平方根の三倍の値を在庫量とする。
また、日毎の販売数が少ない僅少商品や、データが集っていない新商品などでは、ポアソン分布が有用である。実績値を平均としたポアソン分布の累積が99%になる点の在庫量を確保すれば、欠品率を1%以下に押さえることができる。
【0014】
手法自動選択装置1は、予測需要量算出部11と、理論在庫算出部12と、発注予測誤差出力部13と、手法評価部14と、商品の販売実績である商品販売実績テーブルを記憶する商品販売実績記憶部15と、検証期間を示す検証期間テーブルを記憶する検証期間記憶部16と、各商品の発注から納品までのリードタイムを示すリードタイムテーブルを記憶するリードタイム記憶部17と、を含んで構成される。
【0015】
予測需要量算出部11は、需要予測手法を用いて、商品販売実績テーブルから予測需要量を検証日毎に算出し、予測需要テーブルを生成する。検証日とは、検証期間テーブルに記憶されている検証期間内の日付である。予測需要テーブルには、算出した予測需要量が格納される。
理論在庫算出部12は、在庫シミュレーション手法を用いて、予測需要量算出部11が算出した予測需要量とリードタイムテーブルに記憶されているリードタイム日数から理論在庫を検証日毎に算出する。
需要予測手法記憶部18は、需要予測手法に基づく処理を実行するプログラムを手法の名前と対応付けて記憶している。
在庫シミュレーション手法記憶部19は、在庫シミュレーション手法に基づく処理を実行するプログラムを手法の名前と対応付けて記憶している。
【0016】
発注予測誤差出力部13は、理論在庫と販売実績から需要予測手法と在庫シミュレーションの組毎に発注予測誤差を算出し、発注予測誤差テーブルを生成する。発注予測誤差テーブルには算出した在庫水準と、欠品量と、機会損失と、在庫金額と、が格納される。
手法評価部14は、発注予測誤差出力部13が算出した発注予測誤差に基づいて各需要予測手法及び在庫シミュレーション手法の組の評価を行い、最適な組み合わせを選択する。また、手法評価部14は評価結果である評価ランクを格納する評価結果テーブルを生成する。
【0017】
図2は、本実施形態における商品販売実績記憶部15が記憶する商品販売実績テーブルのデータ構造を示す概略図である。
図示するように、商品販売実績テーブルは、行と列からなる2次元の表形式のデータであり、商品JAN(Japanese Article Number)コードと、日付と、販売数量と、単価と、在庫量の各項目の列を有している。このテーブルの各行は商品JANコードと日付の組毎に存在する。商品JANコードは、各商品を識別するためのコードである。販売数量(販売実績)は、その日の終了時点の販売数量である。単価は、商品の販売単価である。在庫量は、その日の終了時点の在庫量である。
【0018】
図3は、本実施形態における検証期間記憶部16が記憶する検証期間テーブルのデータ構造を示す概略図である。
図示するように、検証期間テーブルは、検証開始日と、検証終了日の各項目の列を有している。検証開始日には、日付が格納されている。検証終了日には、検証開始日以降の日付が格納されている。なお、検証期間は、検証開始日から検証終了日までの期間である。
【0019】
図4は、本実施形態におけるリードタイム記憶部17が記憶するリードタイムテーブルのデータ構造を示す概略図である。
図示するように、リードタイムテーブルは、行と列からなる2次元の表形式のデータであり、商品JANコードとリードタイム日数の各項目の列を有している。このテーブルの各行は商品JANコード毎に存在する。
【0020】
図5は、本実施形態における予測需要量算出部11が生成する予測需要テーブルのデータ構造を示す概略図である。予測需要テーブルは、行と列からなる2次元の表形式のデータであり、商品JANコードと、需要予測手法と、検証日と、予測日付と、予測需要量の各項目の列を有している。このテーブルの各行は、商品JANコードと需要予測手法と検証日と予測日付の組毎に存在する。検証日には、検証期間テーブルに設定された検証期間中のいずれかの日付が格納される。予測日付には、検証日の翌日から検証終了日までのいずれかの日付が格納される。予測需要量には、需要予測手法を用いて検証日に予測日付の検証を行った場合の予測需要量が格納される。つまり、予測需要量算出部11は、検証日以前の商品販売実績テーブルを用いて予測日付の予測需要量を算出する。
【0021】
図6は、本実施形態における発注予測誤差出力部13が生成する発注予測誤差テーブルのデータ構造を示す概略図である。発注予測誤差テーブルは、行と列からなる2次元の表形式のデータであり、商品JANコードと、需要予測手法と、検証日と、理論在庫と、予測需要量と、在庫シミュレーション手法と、欠品量と、在庫水準と、機会損失と、在庫金額の各項目の列を有している。このテーブルの各行は、商品JANコードと需要予測手法と検証日と在庫シミュレーション手法の組毎に存在する。
【0022】
図7は、本実施形態における手法評価部14が生成する評価結果テーブルのデータ構造を示す概略図である。評価結果テーブルは、行と列からなる2次元の表形式のデータであり、商品JANコードと、評価ランクと、需要予測手法と、在庫シミュレーション手法の各項目の列を有している。評価結果テーブルは、商品JANコードと需要予測手法と在庫シミュレーション手法の組毎に存在する。評価ランクには正の整数が格納される。評価ランクの数が小さいほど評価が高い。
【0023】
次に、図8を参照して、手法自動選択装置1による手法選択処理について説明する。図8は、手法選択処理の手順を示すフローチャートである。手法選択処理では、ある商品に最適な需要予測手法と在庫シミュレーション手法の組を選択する。手法自動選択装置1は、商品販売実績テーブルに記憶されている全ての商品に対して手法選択処理を行い、各商品に最適な需要予測手法と在庫シミュレーション手法の組を選択する。
【0024】
[ステップS1:予測需要量算出]
まず、ステップS1では、予測需要量算出部11が、各需要予測手法を用いて、商品販売実績テーブルから予測需要量を検証日毎に算出する。図9を参照して予測需要量算出処理の具体的な手順を説明する。図9は、予測需要量算出処理の手順を示すフローチャートである。
まず、ステップS101では、予測需要量算出部11は、手法自動選択装置1が実行可能な需要予測手法を1つ選択する。
次に、ステップS102では、予測需要量算出部11は、検証期間テーブルに設定されている検証開始日を検証日とする。
次に、ステップS103では、予測需要量算出部11は、検証日の翌日を予測日付とする。
次に、ステップS104では、予測需要量算出部11は、商品販売実績テーブルから商品に対応する販売数量であって検証日以前の日付のものを抽出し、選択した需要予測手法を用いて抽出した販売数量から予測日付の予測需要量を算出する。そして、予測需要量算出部11は、算出した予測需要量を予測需要テーブルに格納する。
次に、ステップS105では、予測需要量算出部11は、予測日付が検証日+最大リードタイム日数か否かを判定する。最大リードタイム日数とは、リードタイムテーブルに記憶されているリードタイム日数の最大値である。予測日付が検証日+最大リードタイム日数である場合には、ステップS107へ進む。一方、予測日付が検証日+最大リードタイム日数よりも前である場合は、ステップS106へ進む。
ステップS106では、予測需要量算出部11は、予測日付の翌日を予測日付とし、ステップS104へ戻る。
【0025】
一方、ステップS107では、予測需要量算出部11は、検証日の翌日を検証日とする。
次に、ステップS108では、予測需要量算出部11は、検証日が検証終了日であるか否かを判定する。検証日が検証終了日である場合には、ステップS109へ進む。一方、検証日が検証終了日よりも前である場合は、ステップS103へ戻る。
ステップS109では、予測需要量算出部11は、全ての需要予測手法についてステップS102からS108に示す処理を行ったか否かを判定する。全ての需要予測手法について行った場合には、処理を終了する。一方、行っていない場合には、ステップS110へ進む。
ステップS110では、次の需要予測手法を選択してステップS102へ戻る。
【0026】
[ステップS2:発注量算出]
次に、ステップS2では、理論在庫算出部12が、各在庫シミュレーション手法を用いて、予測需要テーブルとリードタイムテーブルから発注量を検証日毎に算出する。図10を参照して発注量算出処理の具体的な手順を説明する。図10は、発注量算出処理の手順を示すフローチャートである。
まず、ステップS201では、理論在庫算出部12は、手法自動選択装置1が実行可能な需要予測手法を1つ選択する。そして、選択した需要予測手法に対応する予測需要量をステップS1で生成した予測需要テーブルから抽出する。
次に、ステップS202では、理論在庫算出部12は、手法自動選択装置1が実行可能な在庫シミュレーション手法を1つ選択する。
次に、ステップS203では、理論在庫算出部12は、検証期間テーブルに設定されている検証開始日を検証日とする。
次に、ステップS204では、理論在庫算出部12は、ステップS201で抽出した予測需要量から検証日に対応するものを抽出する。そして、理論在庫算出部12は、商品に対応するリードタイム日数をリードタイムテーブルから読み出し、ステップS202で選択した在庫シミュレーション手法を用いて、読み出したリードタイム日数と抽出した予測需要量とから検証日の発注量を算出する。
【0027】
次に、ステップS205では、理論在庫算出部12は、検証日が検証期間テーブルに設定されている検証終了日であるか否かを判定する。検証日が検証終了日である場合にはステップS207へ進む。一方、検証日が検証終了日よりも前である場合には、ステップS206へ進む。
ステップS206では、理論在庫算出部12は、検証日の翌日を検証日としてステップS204に戻る。
一方、ステップS207では、理論在庫算出部12は、全ての在庫シミュレーション手法についてステップS203からS206に示す処理を行ったか否かを判定する。全ての在庫シミュレーション手法について行った場合には、ステップS209へ進む。一方、全ての在庫シミュレーション手法について行っていない場合には、ステップS208へ進む。
ステップS208では、理論在庫算出部12は、次の在庫シミュレーション手法を選択してステップS203へ戻る。
一方、ステップS209では、理論在庫算出部12は、全ての需要予測手法についてステップS202からS208に示す処理を行ったか否かを判定する。全ての需要予測手法について行った場合には、処理を終了する。一方、全ての予測需要手法について行っていない場合には、ステップS210へ進む。
ステップS210では、理論在庫算出部12は、次の予測需要手法を選択してステップS202へ戻る。
【0028】
[ステップS3:理論在庫算出]
次に、ステップS3では、理論在庫算出部12が、ステップS2で算出した発注量を基に各検証日の理論在庫を需要予測手法と在庫シミュレーション手法の組毎に算出する。図11を参照して理論在庫算出処理の具体的な手順を説明する。図11は、理論在庫算出処理の手順を示すフローチャートである。
まず、ステップS301では、理論在庫算出部12は、需要予測手法と在庫シミュレーションの組を選択する。
次に、ステップS302では、理論在庫算出部12は、検証期間テーブルに設定されている検証開始日を検証日とする。
次に、ステップS303では、理論在庫算出部12は、商品に対応するリードタイム日数をリードタイムテーブルから読み出し、(検証日−リードタイム日数)における発注量を検証日の納品量とする。
次に、ステップS304では、理論在庫算出部12は、算出した納品量に検証日前日の理論在庫を加算して、検証日の予測需要量を減算し、検証日の理論在庫とする。そして、理論在庫算出部12は、算出した理論在庫を発注予測誤差テーブルに格納する。
次に、ステップS305では、理論在庫算出部12は、検証日が検証期間テーブルの検証終了日か否かを判定する。検証日が検証終了日である場合には、ステップS307へ進む。一方、検証日が検証終了日よりも前である場合には、ステップS306へ進む。
ステップS306では、理論在庫算出部12は、検証日の翌日を検証日としてステップS303へ戻る。
一方、ステップS307では、理論在庫算出部12は、全ての需要予測手法と在庫シミュレーションの組についてステップS302からS306に示す処理を行ったか否かを判定する。全ての組について行った場合には、処理を終了する。一方、全ての組について行っていない場合には、ステップS308へ進む。
ステップS308では、理論在庫算出部12は、次の需要予測手法と在庫シミュレーションの組を選択して302へ戻る。
【0029】
[ステップS4:発注予測誤差算出]
次に、ステップS4では、発注予測誤差出力部13が、需要予測手法と在庫シミュレーション手法の組毎に各検証日の発注予測誤差を算出する。図12を参照して発注予測誤差算出処理の具体的な手順を説明する。図12は、発注予測誤差算出処理の手順を示すフローチャートである。
まず、ステップS401では、発注予測誤差出力部13は、需要予測手法と在庫シミュレーションの組を選択する。
次に、ステップS402では、発注予測誤差出力部13は、検証期間テーブルに設定されている検証開始日を検証日とする。
次に、ステップS403では、発注予測誤差出力部13は、商品と検証日に対応する販売数量及び単価を販売実績テーブルから読み出す。そして、発注予測誤差出力部13は、選択した需要予測手法と在庫シミュレーションの組及び検証日の前日に対応する理論在庫から販売数量を減算した値を算出する。ただし、納品がその日の営業開始前に実施される、もしくは、その日に納品された商品が販売可能な場合は、検証日の前日に対応する理論在庫に、検証日の納品量を加算し、販売数量を減算した値を算出する。算出した値が正の場合は、その値を在庫水準とする。一方、算出した値が負の場合は、その絶対値を欠品量とする。また、発注予測誤差出力部13は、欠品量と読み出した単価とを乗算した値を機会損失とする。また、発注予測誤差出力部13は、在庫水準と読み出した単価とを乗算した値を在庫金額とする。そして、発注予測誤差出力部13は、算出した在庫水準、欠品量、機会損失及び在庫金額を発注予測誤差テーブルに格納する。
【0030】
次に、ステップS404では、発注予測誤差出力部13は、検証日が検証期間テーブルの検証終了日か否かを判定する。検証日が検証終了日である場合には、ステップS406へ進む。一方、検証日が検証終了日よりも前である場合には、ステップS405へ進む。
ステップS405では、発注予測誤差出力部13は、検証日の翌日を検証日としてステップS403へ戻る。
一方、ステップS406では、発注予測誤差出力部13は、全ての需要予測手法と在庫シミュレーションの組についてステップS402からS405に示す処理を行った否かを判定する。全ての組について行った場合には、処理を終了する。一方、全ての組について行っていない場合には、ステップS407へ進む。
ステップS407では、発注予測誤差出力部13は、次の需要予測手法と在庫シミュレーションの組を選択してステップS402へ戻る。
また、注予測誤差出力部13は、検証期間全体に対する欠品量が1以上である日数の割合を検証期間中の欠品率とする。
【0031】
[ステップS5:手法選択]
次に、ステップS5では、手法評価部14が、発注予測誤差に基づいて商品に最適な需要予測手法と在庫シミュレーション手法の組を選択する。具体的には、手法評価部14は、検証期間中の欠品率が所定の閾値を超えない組のうち、在庫水準の平均値が小さいものから順に小さい評価ランクを付与する。そして、手法評価部14は、最も評価ランクが小さい需要予測手法と在庫シミュレーション手法の組を選択する。また、手法評価部14は、付与した評価ランクを評価結果テーブルに格納する。
なお、本実施形態では、欠品率と在庫水準から需要予測手法と在庫シミュレーション手法の組を選択しているが、例えば、機会損失の平均値が所定の基準値を超えない組のうち、在庫金額の平均値が最小となるものを選択してもよい。あるいは、商品毎に欠品量、欠品日、在庫水準、在庫金額、機会損失の基準を設け、基準を超えない組を選択してもよい。
【0032】
このように、本実施形態によれば、需要予測手法を用いて算出された予測需要量から在庫シミュレーションを用いて理論在庫を算出するので、需要予測手法と在庫シミュレーション手法の組毎に評価の指標である発注予測誤差を算出することができる。これにより、数多くある需要予測手法と在庫シミュレーション手法から商品毎に最適な組み合わせを自動的に選択することができる。
【0033】
なお、本実施例においては、販売実績情報のみに基づく需要予測手法を例として取り上げたが、それぞれの需要予測手法にあわせて、販売実績以外の情報を利用してもよい。具体的には、必要に応じて、商品のカテゴリ、大きさ、重さ、価格、発売日、メーカー、販売方法、販売促進の有無、広告やちらしの有無、当日の天気、温度、湿度などを入力として利用できる。その場合、別途、商品販売実績記憶部15には、商品のカテゴリや、大きさ、重さ、価格、発売日、メーカー、販売方法などの商品の情報を商品JANコードと対応付けて記録した商品情報テーブルや販売促進の有無、広告やチラシの有無、当日の天気、湿度、温度など販売日の情報を各販売日と対応付けて記録した販売日情報テーブルを備えてこれを利用してもよい。
【0034】
また、図8に示す各ステップを実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、手法選択処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0035】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0036】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本実施形態における手法自動選択装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態における商品販売実績記憶部が記憶する商品販売実績テーブルのデータ構造を示す概略図である。
【図3】本実施形態における検証期間記憶部が記憶する検証期間テーブルのデータ構造を示す概略図である。
【図4】本実施形態におけるリードタイム記憶部が記憶するリードタイムテーブルのデータ構造を示す概略図である。
【図5】本実施形態における予測需要量算出部が生成する予測需要テーブルのデータ構造を示す概略図である。
【図6】本実施形態における発注予測誤差出力部が生成する発注予測誤差テーブルのデータ構造を示す概略図である。
【図7】本実施形態における手法評価部が生成する評価結果テーブルのデータ構造を示す概略図である。
【図8】本実施形態における手法選択処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】本実施形態における予測需要量算出処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】本実施形態における発注量算出処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】本実施形態における理論在庫算出処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】本実施形態における発注予測誤差算出処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0038】
1…手法自動選択装置 11…予測需要量算出部 12…理論在庫算出部 13…発注予測誤差出力部 14…手法評価部 15…商品販売実績記憶部 16…検証期間記憶部 17…リードタイム記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品の検証期間中の販売実績を記憶する商品販売実績記憶部と、
需要予測手法を用いて、前記商品販売実績記憶部から読み出した前記商品の販売実績に基づき前記検証期間中の予測需要量を算出する予測需要量算出部と、
在庫シミュレーション手法を用いて、前記予測需要量算出部が算出した予測需要量に基づき前記検証期間中の理論在庫を算出する理論在庫算出部と、
前記理論在庫算出部が算出した前記理論在庫と前記商品の販売実績との差から需要予測手法と在庫シミュレーション手法の組毎に発注予測誤差を算出する発注予測誤差出力部と、
前記発注予測誤差出力部が算出した発注予測誤差に基づいて前記商品に対応する需要予測手法と在庫シミュレーション手法の組を選択する手法評価部と、
を備えることを特徴とする手法自動選択装置。
【請求項2】
商品の発注から納品までのリードタイムを記憶するリードタイム記憶部を備え、
前記理論在庫算出部は、前記商品に対応するリードタイムをリードタイム記憶部から読み出し、在庫シミュレーション手法を用いて当該リードタイムと前記予測需要量から前記検証期間中の発注量を算出し、当該発注量から前記検証期間中の納品量を算出し、算出した納品量に基づいて前記検証期間中の理論在庫を算出することを特徴とする請求項1に記載の手法自動選択装置。
【請求項3】
前記発注予測誤差出力部は、前記検証期間中の欠品率と在庫水準を算出し、
前記手法評価部は、前記検証期間中の前記欠品率が所定の上限を超えない需要予測手法と在庫シミュレーション手法の組のうち前記在庫水準の平均値が最小となるものを選択する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の手法自動選択装置。
【請求項4】
商品の検証期間中の販売実績を記憶する商品販売実績記憶部を備える手法自動選択装置により行われる手法自動選択方法であって、
予測需要量算出部が、需要予測手法を用いて、前記商品の販売実績に基づき前記検証期間中の予測需要量を算出するステップと、
理論在庫算出部が、在庫シミュレーション手法を用いて、前記予測需要量に基づき前記検証期間中の理論在庫を算出するステップと、
発注予測誤差出力部が、前記理論在庫と前記商品の販売実績との差から需要予測手法と在庫シミュレーション手法の組毎に発注予測誤差を算出するステップと、
手法評価部が、前記発注予測誤差に基づいて前記商品に対応する需要予測手法と在庫シミュレーション手法の組を選択するステップと、
を有することを特徴とする手法自動選択方法。
【請求項5】
コンピュータに、
需要予測手法を用いて、予め記憶されている商品の検証期間中の販売実績に基づき前記検証期間中の予測需要量を算出するステップと、
在庫シミュレーション手法を用いて、前記予測需要量に基づき前記検証期間中の理論在庫を算出するステップと、
前記理論在庫と前記商品の販売実績との差から需要予測手法と在庫シミュレーション手法の組毎に発注予測誤差を算出するステップと、
前記発注予測誤差に基づいて前記商品に対応する需要予測手法と在庫シミュレーション手法の組を選択するステップと、
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−86278(P2010−86278A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−254578(P2008−254578)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000102728)株式会社エヌ・ティ・ティ・データ (438)