Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
手洗い用食器洗浄剤組成物
説明

手洗い用食器洗浄剤組成物

【課題】スルホコハク酸ジエステル型界面活性剤とオキシプロピレン基を有するアルキルエーテル硫酸エステルを含有する洗浄剤に特有の基剤臭を効果的に抑制し、製品の香りの保存安定性が良好な手洗い用食器洗浄剤の提供。
【解決手段】次の成分(a)、(b)及び(c)を含有する手洗い用食器洗浄剤組成物。
(a) 各アルキル基の炭素数が5〜18であるスルホコハク酸ジアルキルエステル又はその塩
(b) オキシプロピレン基を有するアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩
(c) 次の成分(c-1)、(c-2)及び(c-3)から選ばれる1種又は2種以上
(c-1)炭素数6〜15のアルデヒド系香料
(c-2)炭素数5〜12のラクトン系香料
(c-3)炭素数6〜12のアルコール系香料

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泡切れの良い特定の界面活性剤の組合せを配合したことに起因する基剤臭が抑制された手洗い用食器洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
手洗い用食器洗浄剤には、洗浄時の豊かな泡立ちと泡の持続性が求められる。このため一般的には、起泡性、洗浄性に優れるポリオキシアルキレンアルキル硫酸塩等のアニオン界面活性剤や、増泡作用のあるアミンオキシド型界面活性剤などが使用されているが、より起泡性/泡持続性に優れる洗浄剤の開発が行われている。しかし、その一方で、近年では環境負荷軽減、水資源有効利用の観点から、食器洗浄剤による洗浄後のすすぎ水を、極力低減することが望まれている。このように、洗浄時には豊かな泡立ちと泡の持続性を有すると共に、すすぎ時には瞬時に泡が消え、少量の水ですすぎが完了することが望まれている。
【0003】
ところで、特許文献1には、ジアルキルスルホスクシネートを他の特定の界面活性剤との組合せで用いることにより、油及び/又はデンプン汚れに対する低温での洗浄力を向上させた液体洗浄剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-507611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし特許文献1に開示された技術では、洗浄時の泡立ちとすすぎ時の泡切れの両立の点において不十分であった。
【0006】
ここにおいて本出願人は、ジアルキルスルホスクシネート(スルホコハク酸ジエステル型界面活性剤)を、オキシプロピレン基を有するアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩と併用することにより、洗浄時には豊かに泡立ち、泡の持続性も良好でありながら、すすぎ時には泡切れが良く、少量の水ですすぎを完了させる手洗い用食器洗浄剤が実現されることを見出した。
【0007】
ところが、スルホコハク酸ジエステル型界面活性剤とオキシプロピレン基を有するアルキルエーテル硫酸エステルとを併用した場合には、特有の基剤臭が発生することを見出した。特に、近年ではゴミ問題に起因する容器の縮小化の要求に対応するため、少ない使用量で高い洗浄力を得るべく組成の濃縮化が進み、界面活性剤濃度が高くなってきていることも相俟って、特有の基剤臭が増幅し、製品を目的とする香調に調整することが困難となる場合もある。更に、この特有の基剤臭は経日で強くなり、製品の香りの安定性が不十分な場合があった。
【0008】
そこで、本発明は、スルホコハク酸ジエステル型界面活性剤とオキシプロピレン基を有するアルキルエーテル硫酸エステルとを併用した場合に特有の基剤臭を効果的に抑制し、製品の香りの保存安定性が良好な手洗い用食器洗浄剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、スルホコハク酸ジエステル型界面活性剤とオキシプロピレン基を有するアルキルエーテル硫酸エステルを併用した洗浄剤からの臭気成分を機器分析の手法を用いて解析したところ、この洗浄剤の基剤臭の第一の原因物質は、スルホコハク酸ジエステル型界面活性剤の製造工程に起因して残存する2-エチルヘキサノールであること、また経日で強くなる基剤臭に寄与する第二の原因物質は、オキシプロピレン基を有するアルキルエーテル硫酸エステルが分解して生成する2-メチル-2-ペンテナールであることを見出した。特に後者は、オキシプロピレン基を有するアルキルエーテル硫酸エステルを単独で使用した場合には生成しないが、スルホコハク酸ジエステル型界面活性剤と併用した場合には生成し、特有の基剤臭となることを見出した。
【0010】
本発明者は、上記知見に基づき、上記2種の基剤臭原因物質のマスキングに好適な素材を選択することによって、スルホコハク酸ジエステル型界面活性剤とオキシプロピレン基を有するアルキルエーテル硫酸エステルとを併用した手洗い用食器洗浄剤組成物の基剤臭を顕著に抑制することに成功した。
【0011】
本発明は、次の成分(a)、(b)及び(c)を含有する手洗い用食器洗浄剤組成物を提供するものである。
(a) 各アルキル基の炭素数が5〜18であるスルホコハク酸ジアルキルエステル又はその塩
(b) オキシプロピレン基を有するアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩
(c) 次の成分(c-1)、(c-2)及び(c-3)から選ばれる1種又は2種以上
(c-1)炭素数6〜15のアルデヒド系香料
(c-2)炭素数5〜12のラクトン系香料
(c-3)炭素数6〜12のアルコール系香料
【発明の効果】
【0012】
本発明の手洗い用食器洗浄剤組成物は、スルホコハク酸ジエステル型界面活性剤とオキシプロピレン基を有するアルキルエーテル硫酸エステルを含有する洗浄剤に特有の基剤臭が効果的に抑制され、経日による香りの安定性にも優れる。また、上記界面活性剤の併用により、洗浄時には豊かな泡立ちと洗浄時の泡の持続性を示すと共に、すすぎ時には瞬時に泡が消え、少量の水ですすぎを完了させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<成分(a)>
本発明の成分(a)は、各アルキル基の炭素数が5〜18であるスルホコハク酸ジアルキルエステル又はその塩であり、具体的には下記一般式(1)で表される化合物が好適である。
【0014】
【化1】

【0015】
〔式中、R1及びR2は、同一でも異なってもよく、それぞれ炭素数5〜18、好ましくは5〜15、より好ましくは5〜13のアルキル基を示し、Mは無機又は有機の陽イオンを示す。〕
【0016】
一般式(1)中、R1及びR2としては、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、2-エチルヘキシル基、n-オクチル基、sec-オクチル基、イソペンチル基、イソノニル基、イソデシル基、シクロヘキシル基が挙げられ、特にn-オクチル基、sec-オクチル基、デシル基、イソデシル基、及び2-エチルヘキシル基から選ばれる基が好適である。Mとしては、水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン等の無機陽イオン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン等の有機アミンから導かれる有機陽イオンが挙げられるが、好ましくはナトリウムイオン、カリウムイオン及びマグネシウムイオンから選ばれる無機陽イオンである。
【0017】
成分(a)のうち、R1とR2が同一である化合物の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば米国特許第2,028,091号明細書に記載の方法に準じて製造することができ、また、R1とR2が異なる非対称の化合物は、例えば特開昭58-24555号公報に記載の方法に準じて製造することができる。市販の化合物を用いる場合には、花王(株)製ペレックスOT-P(R1とR2が共に2-エチルヘキシル基である化合物)、同ペレックスTR(R1とR2が共にトリデシル基である化合物)、BASF社製Lutensit A-BO(R1とR2が共に2-エチルヘキシル基である化合物)、三井サイテック株式会社から入手可能であったエアロゾルAY-100(R1とR2が共にアミル基である化合物)、同エアロゾルA-196(R1とR2が共にシクロヘキシル基である化合物)などを用いることができる。
【0018】
本発明の組成物中の成分(a)の含有量は、優れた起泡力と泡切れ性の観点から、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは1〜20質量%、更に好ましくは2〜15質量%である。
【0019】
<成分(b)>
本発明の成分(b)は、オキシプロピレン基を含有するアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩であり、具体的には、洗浄時の起泡性や泡持続性、及びすすぎ時の泡切れ性の点から、下記一般式(2)で表される化合物が好適である。
【0020】
3-O-(EO)q/(PO)r-SO3M (2)
【0021】
〔式中、R3は、炭素数8〜18、好ましくは8〜15のアルキル基又はアルケニル基を示しEOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を示す。qは0〜1.5の数を示し、0.3〜1.5の数が好ましい。rは0.1〜1.5の数を示し、0.2〜1.0の数が好ましい。Mは無機又は有機の陽イオンである。〕
【0022】
一般式(2)中、Mとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン等の無機陽イオン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン等の有機アミンから導かれる有機陽イオンが挙げられるが、好ましくはナトリウムイオン、カリウムイオン及びマグネシウムイオンから選ばれる無機陽イオンである。
【0023】
成分(b)の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、R3−OHで示される脂肪アルコールに、プロピレンオキシド(又は更に他のアルキレンオキシド)を所定量付加させた後、三酸化硫黄(液体又は気体)、三酸化硫黄含有ガス、発煙硫酸、クロルスルホン酸等の硫酸化剤で硫酸エステル化し、所定のアルカリ剤で中和することにより製造することができる。プロピレンオキシド、エチレンオキシドの付加反応には、触媒が必要であり、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリや、特開平8-323200号公報に記載の酸化マグネシウムを主成分とする触媒を用いることができる。前者は付加モル数分布が比較的広いポリオキシエチレンアルキルエーテルを得ることができ、後者は比較的狭い付加モル数分布を有する化合物を得ることができる。また、特開平10-158384号公報に開示されているように、アルカリ触媒と金属酸化物触媒を併用することによって付加モル数分布を制御することも可能である。
【0024】
本発明の組成物中の成分(b)の含有量は、優れた起泡力と泡切れ性の観点から、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは4〜40質量%、更に好ましくは10〜30質量%である。
【0025】
また、優れた起泡力及び泡切れ性の観点から、本発明の組成物中の全界面活性剤の総質量に対する成分(a)と成分(b)の合計質量の比率は、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、更に好ましくは80〜100質量%である。
【0026】
更に、同様の観点から、本発明の組成物中の成分(a)/成分(b)の質量比は、好ましくは0.1〜10、より好ましくは0.3〜5、更に好ましくは0.5〜3である。
【0027】
<成分(c)>
本発明の成分(c)は、以下の(c-1)〜(c-3)の3種類の香料群から選ばれる1又は2以上の香料である。
(c-1)炭素数6〜15のアルデヒド系香料
(c-2)炭素数5〜12のラクトン系香料
(c-3)炭素数6〜12のアルコール系香料
【0028】
成分(c-1)の炭素数6〜15のアルデヒド系香料としては、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、オクチルアルデヒド、ノニアルデヒド、デシルアルデヒド、ウンデシルアルデヒド、ドデシルアルデヒド、トリメチルヘキシルアルデヒド、メチルオクチルアセトアルデヒド、メチルノニルアセトアルデヒド、トランス-2-ヘキセナール、シス-4-ヘプテナール、2,6-ナノジエナール、シス-4-デセナール、ウンデシレンアルデヒド、トランス-2-ドデセナール、トリメチルウンデセナール、2,6,10-トリメチル-5,9-ウンデカジエナール、α-ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヘリオナールが挙げられる。中でも脂肪族アルデヒドの、オクチルアルデヒド、ノニアルデヒド、デシルアルデヒド、ウンデシルアルデヒド、ドデシルアルデヒドが好ましく、オクチルアルデヒド、デシルアルデヒド、ドデシルアルデヒドが特に好ましい。
【0029】
成分(c-2)の炭素数5〜12のラクトン系香料としては、γ-オクタラクトン、γ-ノナラクトン、γ-デカラクトン、γ-ウンデカラクトン、クマリン、ジヒドロクマリン、ジャスモラクトン、ジャスミンラクトン等が挙げられる。中でも、γ-オクタラクトン、γ-ノナラクトン、γ-デカラクトン、γ-ウンデカラクトンが好ましく、γ-デカラクトン、γ-ウンデカラクトンが特に好ましい。
【0030】
成分(c-3)の炭素数6〜12のアルコール系香料としては芳香族アルコール、テルペン系アルコール、セスキテルペン系アルコールが好ましく、具体的には、トランス-2-ヘキセノール、シス-3-ヘキセノール、3-オクタノール、1-オクテン-3-オール、2,6-ジメチル-2-ヘプタノール、9-デセノール、4-メチル-3-デセン-5-オール、10-ウンデセノール、トランス-2-シス-6-ノナジエノール、リナロール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、ミルセノール、ラバンジェロール、テトラヒドロゲラニオール、テトラヒドロリナロール、ヒドロキシシトロネロール、ジヒドロミルセノール、アロオシメノール、ターピネオール、α-ターピネオール、ターピネン-4-オール、ボルネオール、イソプレゴール、ノポール、フェニルエチルアルコールが挙げられる。中でも、シス-3-ヘキセノール、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、フェニルエチルアルコールが好ましく、リナロール、ゲラニオール、フェニルエチルアルコールが特に好ましい。
【0031】
更に基剤臭の抑制、泡立て時の香り立ち(香りの拡散性)、香りの経日劣化防止の観点から、成分(c)として、(c-1)〜(c-3)のうちいずれか2又は3群の香料を、それぞれ1種又は2種以上組み合わせるのが好ましく、特に(c-1)〜(c-3)の3群全ての香料を、それぞれ1種又は2種以上組み合わせるのが好ましい。
【0032】
成分(c)の香料において、(c-1)〜(c-3)の2又は3群を組み合わせる場合、(c-1)/(c-2)の質量比は、好ましくは0.1〜5、より好ましくは0.5〜2であり、(c-1)/(c-3)の質量比は、好ましくは0.1〜5、より好ましくは0.5〜2であり、(c-2)/(c-3)の質量比は、好ましくは0.1〜5、より好ましくは0.5〜2である。
【0033】
本発明の組成物中の成分(c)の含有量は、基剤臭の抑制、香りの経日劣化防止の観点から、好ましくは0.001〜10質量%、より好ましくは0.001〜5質量%、特に好ましくは0.001〜0.5質量%である。
【0034】
本発明の組成物において、成分(c)と、成分(a)と成分(b)の合計量との質量比(c)/〔(a)+(b)〕は、基剤臭の抑制の観点から、好ましくは2×10-5〜0.5、より好ましくは2×10-5〜0.1、更に好ましくは2×10-5〜0.01である。
【0035】
<成分(d)>
本発明の手洗い用食器洗浄剤組成物は、すすぎ時には瞬時に泡を消す目的から、成分(d)として、炭素数10〜18の脂肪酸又はその塩を含有することが望ましい。具体的にはデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸及びこれらの塩を挙げることができる。また、椰子組成脂肪酸などの混合脂肪酸を用いることも可能である。脂肪酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩から選ばれる無機塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、モルホリン塩などの有機アミン塩が挙げられるが、好ましくはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、より好ましくはナトリウム塩、カリウム塩である。成分(d)としては、より好ましくはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸又はこれらの塩であり、更に好ましくはラウリン酸、ミリスチン酸又はこれらの塩であり、最も好ましくはミリスチン酸又はその塩である。従って、泡切れ性の観点からは、成分(d)としてパルミチン酸又はその塩を含むことが好ましく、成分(d)中、パルミチン酸又はその塩の割合は、30〜100質量%、更には50〜100質量%、更には80〜100質量%が好ましい。
【0036】
本発明の組成物中の成分(d)の含有量は、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは1〜6質量%である。
【0037】
<成分(e)>
本発明の手洗い用食器洗浄剤組成物は、油汚れに対する乳化力を高め、洗浄力を増強する目的から、成分(e)として、含マグネシウム無機化合物を含有することが好ましい。含マグネシウム無機化合物としては、塩化マグネシウム等のマグネシウム塩化物、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム等のマグネシウム塩、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム等が挙げられるが、塩化マグネシウム及び硫酸マグネシウムから選ばれる化合物がより好ましく、塩化マグネシウムが更に好ましい。
【0038】
本発明の組成物中の成分(e)の含有量は、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは1.5〜15質量%、更に好ましくは1.5〜10質量%である。なお、これら成分(e)は結晶水を含む場合があるが、ここで示す含有量は、結晶水を除いた質量である。
【0039】
本発明の手洗い用食器洗浄剤組成物は、成分(e)の補助として成分(e)以外の無機化合物を併用してもよい。無機化合物としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、ミョウバン等が挙げられる。
【0040】
<成分(f)>
本発明の手洗い用食器洗浄剤組成物は、すすぎ時には瞬時にぬるつきがなく、少量の水ですすぎを完了できるという観点から、成分(f)として、アルキルグリセリルエーテル(アルキル基の炭素数は6〜18、好ましくは8〜12)を含有することが好ましい。具体的には下記一般式(3)で表される化合物が好適である。
【0041】
4−OCH2CH(OH)CH2OH (3)
【0042】
〔式中、R4は炭素数6〜18のアルキル基を示す。〕
【0043】
一般式(3)において、R4は炭素数6〜18、好ましくは7〜12、より好ましくは8〜10のアルキル基であり、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などの直鎖アルキル基を用いることができるが、本発明ではすすぎ時のぬるつき低減の観点から、分岐構造を有する化合物が好適であり、R4の分岐構造を有する具体的なアルキル基として、2-エチルヘキシル基、sec-オクチル基、イソノニル基及びイソデシル基から選ばれる基がより好ましく、2-エチルヘキシル基又はイソデシル基が更に好ましく、2-エチルヘキシル基が特に好ましい。
【0044】
本発明の組成物中の成分(f)の含有量は、好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%、更に好ましくは2〜10質量%である。
【0045】
<成分(g)>
本発明においては洗浄時及びすすぎ時の泡の挙動が非常に重要である。手洗い用食器洗浄剤組成物の一般的な研究においては、洗浄時の起泡性/泡持続性を考慮して増泡効果のある界面活性剤を併用することが行われているが、本発明においてはこのような増泡効果のある界面活性剤はすすぎ時の泡切れ性に大きな影響を及ぼすため、使用する場合注意が必要である。本発明では、アミンオキシド型界面活性剤、カルボベタイン型界面活性剤及びアルカノールアミド型界面活性剤から選ばれる界面活性剤〔以下、成分(g)という〕の取り扱いに注意を要する。
【0046】
アミンオキシド型界面活性剤としてはN-アルカノイルアミノプロピル-N,N-ジメチルアミンオキシド(アルカノイルとしてはラウロイル又はミリスチロイル)、N-アルキル-N,N-ジメチルアミンオキシド(アルキル基としてはラウリル基又はミリスチル基)を挙げることができる。また、カルボベタイン型界面活性剤としてはN-アルカノイルアミノプロピル-N,N-ジメチル-N-カルボキシメチルアンモニウムベタイン、N-アルカノイルアミノプロピル-N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシスルホプロピル)アンモニウムベタイン、N-アルキル-N,N-ジメチル-N-カルボキシメチルアンモニウムベタイン、N-アルキル-N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシスルホプロピル)アンモニウムベタインを挙げることができる。さらに、アルカノールアミド型界面活性剤としてはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルモノエタノールアミンなどのアルカノールアミンとラウリン酸、ミリスチン酸などの脂肪酸とのアミド化物を挙げることができる。
【0047】
本発明においては泡の挙動が非常に重要であり、組成物に増泡効果を与える成分(g)の使用には注意を要し、組成物中の全界面活性剤の含有量に対する成分(g)の含有量は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下であり、更に好ましくは0.5質量%以下、最も好ましくは含有しないことである。
【0048】
<成分(h)>
本発明では増泡効果のある界面活性剤としてスルホベタイン型界面活性剤〔以下成分(h)という〕を使用してもよい。スルホベタイン型界面活性剤は、前記成分(g)と同様に洗浄時の起泡性/泡持続性を改善するが、成分(g)と異なり、すすぎ時の瞬時の泡切れ性を損なうことがない。スルホベタイン型界面活性剤としては、アルキル基の炭素数が10〜18のN-アルキル-N,N-ジメチル-N-スルホプロピルアンモニウムスルホベタイン、N-アルキル-N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシスルホプロピル)アンモニウムスルホベタイン、アルカノイル基の炭素数が10〜18のN-アルカノイルアミノプロピル-N,N-ジメチル-N-スルホプロピルアンモニウムスルホベタイン、N-アルカノイルアミノプロピル-N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシスルホプロピル)アンモニウムスルホベタインが好適である。
【0049】
本発明の組成物中の成分(h)の含有量は、好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%、特に好ましくは2〜10質量%である。また成分(h)/〔成分(a)+成分(b)〕の質量比は、洗浄時の起泡性/泡持続性の向上とすすぎ時の泡切れ性の向上の点から、好ましくは0.01〜0.2、より好ましくは0.02〜0.1である。
【0050】
<成分(i)>
本発明の手洗い用食器洗浄剤組成物は、貯蔵安定性を向上させる目的でハイドロトロープ剤〔以下、成分(i)という〕を含有することが好ましい。ハイドロトロープ剤としては、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸又はこれらのナトリウム、カリウムあるいはマグネシウム塩が良好であり、特にp-トルエンスルホン酸又はその塩が良好である。
【0051】
本発明の組成物中の成分(i)の含有量は、好ましくは0.5〜15質量%、より好ましくは1〜10質量%、更に好ましくは1.5〜5質量%である。
【0052】
<成分(j)>
本発明の手洗い用食器洗浄剤組成物は、貯蔵安定性の改善や粘度調節の目的で、溶剤〔以下、成分(j)という〕を含有することができる。溶剤の具体的例としては、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、イソプレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、3-メチル-3-メトキシブタノール、フェノキシエタノール、フェニルグリコール、フェノキシイソプロパノール、ブチルジグリコール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)、ジブチレンジグリコール、ベンジルアルコールから選ばれる水溶性有機溶媒が好ましい。なかでも、ブチルジグリコール、エタノール、及びプロピレングリコールから選ばれる1種以上の水溶性有機溶剤が好ましく、エタノール、及びプロピレングリコールから選ばれる1種以上の水溶性有機溶剤が更に好ましい。ここで、水溶性有機溶剤とは、オクタノール/水分配係数(LogPow)が3.5以下の溶剤を指すものとする。
【0053】
本発明の組成物中の成分(j)の含有量は、好ましくは3〜30質量%、より好ましくは5〜20質量%、更に好ましくは10〜15質量%である。
【0054】
<成分(k)>
本発明の手洗い用食器洗浄剤組成物には、ゲル化防止のための重合体〔以下、成分(k)という〕、例えば特表平11-513067号公報に記載されているゲル化防止重合体、とりわけポリアルキレングリコールを配合することが粘度調節及び貯蔵安定性の点から好ましい。ゲル化防止のための重合体としてのポリアルキレングリコールの具体例としては、ポリエチレングリコールを標準としたときのゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって求められた重量平均分子量が200〜3,000のポリプロピレングリコール、及び重量平均分子量が200〜3,000のポリエチレングリコールを挙げることができる。
【0055】
本発明の組成物中の成分(k)の含有量は、好ましくは0.05〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%、更に好ましくは0.5〜3質量%である。
【0056】
<成分(l)>
また、成分(c)のほかにも任意で香料成分(l)を追加することができる。成分(c)と成分(l)の両方を本発明の組成物に入れる場合、一般に成分(c)と成分(l)からなる香料組成物として本発明の組成物に配合する。
【0057】
成分(l)としては例えば「香料と調香の基礎知識」(中島基貴著、産業図書、1995年)に記載されているような香料を使用することができるが、香りの拡散性を付与する観点から、成分(l)は成分(l-1)として酢酸ブチル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、酪酸エチル、イソ酪酸エチル、ローズオキサイドなどの香料を含むことが好ましい。また、食器等についた汚れ由来の臭いを消臭する観点から、成分(l)は成分(l-2)として安息香酸ベンジル、サリチル酸シス-3-ヘキセニル、サリチル酸ヘキシル、ジヒドロジャスモン酸メチル、α-イオノン、β-イオノン、3α,6,6,9α-テトラメチルドデカハイドロナフト[2,1-b]フラン(花王社商品名:アンブロキサン)などの香料を含むことが好ましい。
【0058】
成分(c)と成分(l)からなる香料組成物を本発明の組成物に賦香する場合、香料組成物の賦香率は0.01〜10質量%が好ましい。
また、香料組成物に成分(l-1)を含む場合、成分(c)と成分(l-1)の質量比率は0.1〜10が好ましい。香料組成物に成分(l-2)を含む場合、成分(c)と成分(l-2)の質量比率は0.1〜10が好ましい。
【0059】
<媒体ほか>
本発明の手洗い用食器洗浄剤組成物は、上記成分を水に溶解/分散/乳化させた液体組成物の形態が好ましく、水溶液がより好ましい。用いる水は微量に溶解している金属成分を除去したイオン交換水や蒸留水、或いは次亜塩素酸を0.5〜10ppm程度溶解させた次亜塩素酸滅菌水などを使用することができる。
【0060】
<pH>
本発明の手洗い用食器洗浄剤組成物の25℃におけるpHは、好ましくは4〜9、より好ましくは5〜8であり、このようなpHへの調整は、硫酸、塩酸、リン酸から選ばれる無機酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸から選ばれる有機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの無機アルカリ剤を用いて行われる。本発明では、組成物に緩衝能を持たせることが起泡性/泡持続性の点から好ましく、上記有機酸、好ましくはクエン酸と、無機アルカリ剤とを併用することが好適である。有機酸はナトリウム塩やカリウム塩の形態で組成物に配合しても差し支えない。なお、pH調整のために用いた化合物のうち、水酸化マグネシウム等、成分(e)に該当するものは、成分(e)として取り扱うものとする。
【0061】
<その他成分>
本発明の手洗い用食器洗浄剤組成物は、更に染料、顔料などの成分を含有することができる。
【0062】
<粘度>
本発明の手洗い用食器洗浄剤組成物の20℃における粘度は、好ましくは5〜500mPa・s、より好ましくは10〜300mPa・sである。粘度は成分(i)、成分(j)、成分(k)などで調整することができる。
【実施例】
【0063】
試験例1〜3
表1に示す手洗い用食器洗浄剤組成物を調製し、下記の各評価を行った。結果を表1に示す。なお、表1中の配合成分の質量%は、全て有効分に基づく数値である。
【0064】
<泡立ち性の評価(官能評価)>
市販の新品スポンジ(可撓性吸収体)を水道水でもみ洗いし、水道水の含有量が10gになるまで絞った。表1の組成物の1質量%水溶液30gをスポンジに染み込ませ陶器皿上に置き、このスポンジを2〜3回手もみして泡立たせた。
専門パネラー2名の協議により、泡立ち性について、下記基準に基づき評価を行った。
【0065】
≪泡立ち性の評価基準≫
○:泡立ちが良好
△:泡立ちがやや不良
×:泡立ちが不良
【0066】
<泡切れ性の評価(官能評価)>
市販の新品スポンジ(可撓性吸収体)を水道水でもみ洗いし、水道水の含有量が10gになるまで絞った。表1の組成物の1質量%水溶液30gをスポンジに染み込ませ陶器皿上に置き、このスポンジを2〜3回手もみして泡立たせた。泡立たせたスポンジで上記の皿を、円を描くように5回擦った。泡が残存する上記の皿を水道水(流水:3L/分)ですすいだ。
専門パネラー2名の協議により、泡切れ性について、下記基準に基づき評価を行った。
【0067】
≪泡切れ性の評価基準≫
○:泡切れが良好
△:泡切れがやや不良
×:泡切れが不良
【0068】
<ニオイの評価>
試験例1〜3の組成物を50mL広口規格瓶PS-06(透明ガラス製)に10gずつ量り、50℃の保管庫に入れた。20日後にその洗浄剤の表面から生じる基剤臭の有無について、専門パネラー2名の協議により評価した。
【0069】
【表1】

【0070】
*1:商品名ペレックスOT-P〔花王(株)〕
*2:アルキル鎖が炭素数12の天然アルコール1モルに、プロピレンオキシドを0.6モル付加した後、三酸化イオウにより硫酸化し、水酸化ナトリウムで中和(水で10質量倍希釈したときのpHが11になるまで中和)したもの
【0071】
試験例1及び試験例2の組成物はいずれも洗浄時の泡立ち、すすぎ時の泡切れとも不良であったのに対し、試験例3の組成物は、洗浄時の泡立ち、すすぎ時の泡切れとも良好であった。
【0072】
また、試験例1は2-エチルヘキサノールの臭いは保管前後とも認められたが、2-メチル-2-ペンテナールの臭いは保管前後とも認められなかった。試験例2は2-エチルヘキサノールの臭い、2-メチル-2-ペンテナールの臭いとも認められなかった。一方、試験例3では保管後に2-エチルヘキサノール、2-メチル-2-ペンテナールの臭いが認められた。
【0073】
実施例1〜23、比較例1〜5
表2及び3に示す手洗い用食器洗浄剤組成物を調製し、下記の各評価を行った。結果を表2及び3に示す。なお、各表中の配合成分の質量%は、全て有効分に基づく数値である。
【0074】
<香気評価(官能評価)>
表2及び3の組成物を50mL広口規格瓶PS-06(透明ガラス製)に10gずつ量り、50℃の保管庫に入れた。20日後にその洗浄剤の表面から生じる香りを専門パネラー2名により以下の評価を行った。評価は2-エチルヘキサノールと2-メチル-2-ペンテナールの抑制効果と香料の経日劣化防止効果について行い、基剤臭の抑制効果は2名の平均値を、香りの経日劣化防止効果は2名の協議結果を示す。
【0075】
≪抑制効果の評価基準≫
1:未処理レベル
2:やや効果あり
3:充分効果あり
4:悪臭が全くしない
【0076】
≪香りの経日劣化防止効果の評価基準≫
◎:香りが全く劣化していない状態
○:香りが劣化していない状態
△:香りがやや劣化している状態
×:香りが劣化している状態
【0077】
<泡立ち性の評価(官能評価)>
市販の新品スポンジ(可撓性吸収体)を水道水でもみ洗いし、水道水の含有量が10gになるまで絞った。表2及び3の組成物の1質量%水溶液30gをスポンジに染み込ませ陶器皿上に置き、このスポンジを2〜3回手もみして泡立たせた。
専門パネラー2名の協議により、泡立ち性について、下記基準に基づき評価を行った。
【0078】
≪泡立ち性の評価基準≫
○:泡立ちが良好
△:泡立ちがやや不良
×:泡立ちが不良
【0079】
<泡切れ性の評価(官能評価)>
市販の新品スポンジ(可撓性吸収体)を水道水でもみ洗いし、水道水の含有量が10gになるまで絞った。表2及び3の組成物の1質量%水溶液30gをスポンジに染み込ませ陶器皿上に置き、このスポンジを2〜3回手もみして泡立たせた。泡立たせたスポンジで上記の皿を、円を描くように5回擦った。泡が残存する上記の皿を水道水(流水:3L/分)ですすいだ。
専門パネラー2名の協議により、泡切れ性について、下記基準に基づき評価を行った。
【0080】
≪泡切れ性の評価基準≫
○:泡切れが良好
△:泡切れがやや不良
×:泡切れが不良
【0081】
【表2】

【0082】
【表3】

【0083】
*1:商品名ペレックスOT-P〔花王(株)〕
*2:アルキル鎖が炭素数12の天然高級アルコールに、プロピレンオキシドをモル比で0.6モル付加した後、三酸化イオウにより硫酸化し、水酸化ナトリウムで中和(水で10質量倍希釈したときのpHが11になるまで中和)したもの
【0084】
実施例の組成物はいずれも、洗浄時の泡立ちの良さとすすぎ時の泡切れの良さが両立されていた。
実施例の香料は基剤臭の抑制効果が高く、保存後でも基剤臭が抑制されていた。また香気の経日劣化も防止されていた。更に実施例22及び23は実施例1〜21に比べ、香りの拡散性にも優れ、食器等についた汚れ由来の臭いも消臭された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(a)、(b)及び(c)を含有する手洗い用食器洗浄剤組成物。
(a) 各アルキル基の炭素数が5〜18であるスルホコハク酸ジアルキルエステル又はその塩
(b) オキシプロピレン基を有するアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩
(c) 次の成分(c-1)、(c-2)及び(c-3)から選ばれる1種又は2種以上
(c-1)炭素数6〜15のアルデヒド系香料
(c-2)炭素数5〜12のラクトン系香料
(c-3)炭素数6〜12のアルコール系香料
【請求項2】
更に成分(d)として、炭素数10〜18の脂肪酸又はその塩を含有する請求項1記載の手洗い用食器洗浄剤組成物。
【請求項3】
更に成分(e)として、含マグネシウム無機化合物を含有する請求項1又は2記載の手洗い用食器洗浄剤組成物。
【請求項4】
更に成分(f)として、アルキル基の炭素数が6〜18であるアルキルグリセリルエーテルを含有する請求項1〜3の何れか1項記載の手洗い用食器洗浄剤組成物。
【請求項5】
組成物中の全界面活性剤の含有量に対する成分(a)及び成分(b)の合計質量が、50〜100質量%である請求項1〜4の何れか1項記載の手洗い用食器洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2012−233042(P2012−233042A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101288(P2011−101288)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】