説明

手洗器

【課題】小型の手洗器を提供することを課題とする。
【解決手段】水受部25を有する手洗器本体26と、水受部25に給水を行う蛇口15を具備する。水受部25の後壁部29で手洗器本体26の後面が構成される。水受部25の後壁部29の後面に後方及び上下に開口する凹溝部36が形成される。蛇口15が凹溝部36に嵌め込まれた状態で手洗器本体26に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛇口を備えた手洗器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されている手洗器は、上面部中央に水受け部が形成された手洗器本体と、水受け部に給水を行う蛇口を具備しており、蛇口は水受け部の後壁部から前方に突出した部分の上面に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−212995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般的な水受け部の周壁部は手洗器本体の外面を構成するものではなく、手洗器本体の外周壁部から内側に離れた位置に形成される。このため、特許文献1のように水受け部の後壁部から前方に突出した部分の上面に蛇口を設けると、蛇口が前寄りに配置される。従って、前記蛇口から吐出された水や手に跳ね返った水等がこぼれないように水受け部で受けるには、水受け部を前方に大きくする必要があり、手洗器本体の大型化の要因になる。また、この場合、例えば手洗器を後方の壁に沿って設けた場合等に前方への突出量が大きくなって邪魔になることが懸念される。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、小型の手洗器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の手洗器は、水受部を有する手洗器本体と、前記水受部に給水を行う蛇口を具備し、前記水受部の後壁部で前記手洗器本体の後面が構成され、前記水受部の後壁部の後面に後方及び上下に開口する凹溝部が形成され、前記蛇口が前記凹溝部に嵌め込まれた状態で前記手洗器本体に取り付けられることを特徴とする。
【0007】
また、前記凹溝部の上部に前記凹溝部に嵌め込まれた蛇口が掛止される掛止部が形成され、前記凹溝部の下部に前記凹溝部に嵌め込まれた蛇口がねじ止めされるねじ止め部が形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明にあっては、手洗器本体のサイズを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態の手洗器の斜視図である。
【図2】手洗器を具備する便器装置の斜視図である。
【図3】手洗器の後側からの斜視図である。
【図4】図3の要部拡大図である。
【図5】手洗器本体の掛止部を示す斜視図である。
【図6】手洗器の分解斜視図である。
【図7】図4のA−A断面図である。
【図8】サイドカバーを取り外した便器ユニットの斜視図である。
【図9】手洗器ユニットを便器ユニットに取り付ける前の様子を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を添付図面に基づいて説明する。本実施形態の手洗器1は、図2のように手洗器ユニット2の一部を構成し、手洗器ユニット2は便器ユニット3とで便器装置4を構成する。なお、以下の説明では、便器装置4の便器本体7に着座した利用者から見て前側を前方、後側を後方として説明する。
【0011】
便器装置4はトイレ室の床5に設置され、図示しない後方の壁に沿って配置される。図8に示すように、便器ユニット3は、床5に設置される金属製の便器用フレーム6と、便器用フレーム6に取り付けられる合成樹脂製の便器本体7を備えている。
【0012】
便器用フレーム6には、給水装置8を有する装置ユニット9が取り付けられる。給水装置8は給水源である水道管に接続され、水道管から供給された水を便器本体7が有するボウル部10内に吐出してボウル部10の内面を洗浄する。すなわち、本実施形態の便器装置4は、ボウル部10内に供給する水を溜めるためのタンクを有していないタンクレス式の便器装置4である。
【0013】
便器ユニット3の外郭を構成する便器本体7は、便器用フレーム6及び装置ユニット9を覆う。ボウル部10の下部には電気駆動式の排水トラップ11が接続され、ボウル部10内の水は適宜排水トラップ11を介して排出される。
【0014】
図9に示すように便器本体7の後端部には上方に開口する開口部12が形成されている。便器用フレーム6の左右両側には、開口部12を介して上方に突出する連結フレーム材13が設けられている。
【0015】
図8に示すように、給水装置8には、水道管から供給された水を手洗器ユニット2の蛇口15に供給する給水管16が接続され、排水トラップ11には、手洗器ユニット2の排水口部17から排出された水を排水トラップ11に導く排水管18が接続される。これら給水管16及び排水管18も開口部12を介して便器本体7の外部に引き出される。
【0016】
排水トラップ11の下流側端部は床5に設けられた排出管(不図示)に接続され、便器用フレーム6はボルト19を用いて床5に固定される。
【0017】
手洗器ユニット2は、図9に示す金属製の手洗器用フレーム20、手洗器1、及び手洗器用フレーム20の後側を覆う後カバー21を備えている。手洗器用フレーム20は、左右の縦フレーム材23と、両縦フレーム材23を連結する複数の横フレーム材24を有している。また、図2に示すように、手洗器ユニット2は、手洗器用フレーム20の前側を覆う前カバー22を備えている。
【0018】
図1に示す手洗器1は、水受部25を有する合成樹脂製の手洗器本体26と、水受部25に手洗い用の水を供給する蛇口15とで構成されており、手洗器本体26は両縦フレーム材23の上端部に取り付けられる。
【0019】
手洗器本体26は平面視で左右に長い略矩形状に形成されている。手洗器本体26が有する水受部25は、平面視において手洗器本体26の略全体に亘って形成されており、上方に開口する略矩形容器状に形成されている。水受部25の周壁部及び底部27は中実の薄板状に形成されており、底部27には下方に突出する筒状の排水口部17が形成されている。
【0020】
水受部25の周壁部のうち、前壁部28、後壁部29、及び一方の側壁部30は、手洗器本体26の最も外側に位置している。前壁部28、後壁部29、及び側壁部30の夫々の下端部は底部27よりも下方に突出しており、これら前壁部28、後壁部29、及び側壁部30によって、手洗器本体26の前面、後面、及び一方の側面の夫々が構成されている。
【0021】
水受部25の他方の側壁部31の上縁には、外側方に向かって突出する上板部32が形成されている。上板部32の外側縁には側板部33(図3参照)が下方に向かって突出しており、側板部33は前壁部28及び後壁部29に連続している。この側板部33によって、手洗器本体26の他方の側面が構成されている。なお、上板部32には給水装置8を制御して蛇口15からの吐水の有無を切り換えるための操作部35が設けられている。
【0022】
図6のように、水受部25の後壁部29の後面には、上下方向に直線状に延びる角溝である凹溝部36が形成されており、凹溝部36は後方及び上下に開口している。凹溝部36は、後壁部29の一部を前方に突出した矩形溝状の突曲部37と、突曲部37の両側の後端部から後方にわずかに突出した突出部38を有している。
【0023】
蛇口15は、吐水体39と、吐水体39の下端後部に接続された被取付体40とで構成されている。吐水体39は上方程前方に位置するように湾曲した角筒状に形成されており、その先端部には下方に開口する吐水口41(図1参照)が設けられている。
【0024】
被取付体40は吐水体39の下端から下方に突出している。被取付体40の後面部は左右幅が凹溝部36の溝幅(両突出部38間の距離)と同一の寸法となった被嵌込部43により構成されている。被嵌込部43の後面は吐水体39の後面と面一になっている。
【0025】
図3に示すように、被嵌込部43は凹溝部36の両突出部38の間に嵌め込まれ、これにより蛇口15の左右方向の移動が規制される。このように嵌め込まれた被嵌込部43の後面は両突出部38の後端面と面一となる。
【0026】
図7に示すように、吐水体39の下端部には、手洗器本体26に掛止される被掛止部45が形成されている。被掛止部45は手洗器本体26の下端面の周縁部から下方に突出する水平断面矩形状のリブ46で構成されている。
【0027】
一方、図5に示すように、凹溝部36の上端部には、突曲部37の両側面部の夫々の後端部から互いに近づく方向に延び出た延出部47が形成されている。凹溝部36の突曲部37の上端面の内縁部と前記両延出部47によって構成される上開口の縁部には、上方に突出する突条48が形成されている。突条48は前記凹溝部36の上開口の縁部の全長に亘り、水平断面略C字状に形成され、この突条48によって掛止部49が構成されている。
【0028】
図4や図7に示すように、被掛止部45を構成するリブ46は、掛止部49を構成する突条48の外側に嵌め込まれ、これにより前後方向及び左右方向の移動が規制された状態で手洗器本体26に掛止される。なお、リブ46の下端面は、凹溝部36の上端面において突条48よりも外側の部分に当接する又は近傍に配置される。
【0029】
図6のように、被嵌込部43の下部両側には、前方に突出する被取付部50が形成されており、各被取付部50には下方に開口する雌ねじ孔(不図示)が形成されている。これに対して、凹溝部36の下部にはねじ止め部51が形成されている。ねじ止め部51は、突曲部37の奥面部(前面部)から後方に向かって突出する取付片部52で構成され、凹溝部36の左右両側に設けられている。各取付片部52には貫通孔(不図示)が形成されている。
【0030】
蛇口15を手洗器本体26に取り付けるには、前述のように被嵌込部43を凹溝部36に嵌め込むと共に被掛止部45を掛止部49に掛止した状態で、各被取付部50を対応する取付片部52上に配置する。そして、ねじ53を下方から前記貫通孔を通して前記雌ねじ孔に螺合することで、各被取付部50は対応するねじ止め部51に取り付けられる。
【0031】
手洗器本体26に取り付けられた蛇口15は、吐水体39の前面が突曲部37の前面と面一となり、また、吐水体39の両側面の夫々が突曲部37の対応する側面と面一となり、前側から見たとき、突曲部37が蛇口15の一部を構成するような外観となる。
【0032】
図9のように手洗器本体26の下端部には各縦フレーム材23の上端部が取り付けられ、各縦フレーム材23の下部は対応する連結フレーム材13にボルト55を用いて連結される。
【0033】
図3に示すように、蛇口15の被取付体40の下端部には、手洗器本体26よりも下方に突出する接続口部56が形成されており、この接続口部56には、前記一端が給水装置8に接続された給水管16(図8参照)の他端が接続される。これによって、給水装置8から蛇口15に水を供給できるようになる。このように蛇口15に供給された水は、被取付体40及び吐水体39の夫々の内部に形成された流路(不図示)を経て吐水口41から下方の水受部25に向けて吐出される。
【0034】
図1に示すように手洗器本体26の水受部25の底部に設けられた排水口部17には、前記一端が排水トラップ11に接続された排水管18(図8参照)の他端が接続される。これによって、水受部25の排水口部17から排出された水が排水管18及び排水トラップ11を経て排出管から排出される。
【0035】
図2に示す前カバー22は、手洗器本体26、後カバー21、及び便器ユニット3の便器本体7の夫々に係合することで、着脱自在に取り付けられる。前カバー22は、手洗器本体26と便器本体7の間に存在する、給水管16、排水管18、手洗器用フレーム20、及び各連結フレーム材13を覆う。
【0036】
便器ユニット3に取り付けられた手洗器ユニット2は、手洗器本体26、後カバー21、及び前カバー22で構成された外郭が便器ユニット3の外郭を構成する便器本体7と連続して一体的な外観となる。また、便器ユニット3の上面部には、回動自在な便座57及び便蓋58を有する便座ユニット59が取り付けられる。
【0037】
以上説明した本実施形態の手洗器1は、水受部25の後壁部29で手洗器本体26の後面が構成され、後壁部29の後面に後方及び上下に開口する凹溝部36が形成され、蛇口15が凹溝部36に嵌め込まれた状態で手洗器本体26に取り付けられる。このため、蛇口15を手洗器本体26の後面を構成する後壁部29を有した水受部25の後端部に配置することができ、これにより水受部25を前方に大きくすることなく蛇口15から吐出された水や手に跳ね返った水等がこぼれないように水受部25で受けることができる。従って、手洗器1を小型にできる。また、特に手洗器1を本実施形態のように狭いトイレ室の壁に沿って設置する場合には、手洗器1の壁からの突出量を抑えて手洗器1が邪魔になり難くなる。また、蛇口15は凹溝部36に嵌め込んで手洗器本体26に固定することができ、取付強度が増す。
【0038】
また、凹溝部36の上部には凹溝部36に嵌め込まれた蛇口15が掛止される掛止部49が形成され、凹溝部36の下部には凹溝部36に嵌め込まれた蛇口15がねじ止めされるねじ止め部51が形成されている。このため、蛇口15を掛止部49に掛止した状態で簡単にねじ止め部51にねじ止めできる。また、凹溝部36に嵌め込まれた蛇口15は、凹溝部36の上部に掛止されると共に凹溝部36の下部にねじ止めされるので、手洗器本体26に強固に固定することができる。
【0039】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しなければ、各種の設計変更を行っても構わない。
【符号の説明】
【0040】
1 手洗器
15 蛇口
25 水受部
26 手洗器本体
29 後壁部
36 凹溝部
49 掛止部
51 ねじ止め部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水受部を有する手洗器本体と、前記水受部に給水を行う蛇口を具備し、前記水受部の後壁部で前記手洗器本体の後面が構成され、前記水受部の後壁部の後面に後方及び上下に開口する凹溝部が形成され、前記蛇口が前記凹溝部に嵌め込まれた状態で前記手洗器本体に取り付けられることを特徴とする手洗器。
【請求項2】
前記凹溝部の上部に前記凹溝部に嵌め込まれた蛇口が掛止される掛止部が形成され、前記凹溝部の下部に前記凹溝部に嵌め込まれた蛇口がねじ止めされるねじ止め部が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の手洗器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−239717(P2012−239717A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113945(P2011−113945)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】