説明

手袋に対するテクスチャード加工表面被覆および製造方法

【課題】通常の手袋製造において、テクスチャード加工表面被覆を伴う手袋を簡単に製造する方法及び手袋を提供する。
【解決手段】前もって形成した液体層に塩のような離散粒子の層を包埋し、層をゲル化または硬化し、そしてテクスチャード加工またはテクスチャード加工発泡表面を残すように離散粒子を溶解することにより製造したテクスチャード加工表面またはテクスチャード発泡被覆を有する手袋が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、テクスチャード加工表面を伴う手袋および該手袋を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
無保護(Unsupported)手袋は、手のような形状の手袋の型を液体ラテックスおよび混合化学薬品のタンクの中に浸漬することにより製造される。ラテックスはゴムを硬化するのに用いられる硫化剤を含んでいてもよく、そして乾燥ゴムフィルムが製造される。型は、最初に、ラテックスをゲル化し次に手袋を型から取り除くのを容易にする凝固剤で予め被覆される。予め被覆された型は、その後手袋を製造するのに必要な化学薬品のタンクに浸漬される。まだ型上にある間に、ラテックス手袋はまたタンパク質および残余化学薬品を浸出させるために1またはそれ以上の洗浄処理をうける。湿ったゲルは、加熱した炉内で乾燥および硬化され、ラテックス手袋は、型から裏返しに剥ぎ取られ、パッケージ化され、および/または滅菌される前に型上で硬化する。剥ぎ取られた手袋の内側表面は滑らかであると同時に手袋の外側表面は手袋の型由来のテクスチャーの痕(impression)を採る。
【0003】
保護(Supported)手袋は、手袋の型に装着した保護(supporting)裏地を浸漬被覆することにより製造される。手袋の内側は、メリヤス材料、不織布または他の適当な材料で作られ得る。加熱した炉で乾燥および硬化した後、手袋は型から取り除かれるが裏返しにはされず、ゆえに手袋の滑らかな外側表面がラテックス浸漬被覆プロセスから生じる。あるいは、保護(Supported)手袋は、保護(supporting)裏地を発泡ラテックス材料の層で浸漬被覆することにより製造することができる。先行技術の手袋には、テクスチャーを提供するために不均一に塗布される発泡ラテックス材料の浸漬被覆が含まれるが、この表面は加熱および硬化プロセスにおいてならされ、滑らかな表面層の閉細胞型の表面構造が残る。
【0004】
ラテックスの滑らかな層は、特に湿っている場合、着用者の物体グリップ能力に問題をもたらす。先行技術には、着用者のグリップを改良するようにデザインされた型押し模様を有する型を用いて製造された無保護(unsupported)手袋が含まれている。これらの模様は完成した手袋製品上にデザインをもたらすが、しかし、それらはグリップを改良するのに役立たず、主として美観に関する。さらに、先行技術は、洗浄によるラテックスからの残余界面活性剤を除去するための手袋の後加工は、湿潤グリップを少しばかり改良し得ることを示している。あるいは、塩素のようなハロゲンによる表面処理は、界面活性剤を除去するだけでなく、ラテックス表面を化学的に修飾するであろう。表面処理は、化学薬品の吸収率およびおそらく材料の劣化を遅らせるより化学的に耐性な表面を提供し、それは湿潤グリップにおけるほんの少しの改良をもたらす。保護(supported)手袋において、任意でゴムまたは無機充填剤を含んでいるポリマーラテックスの被膜は、グリップをわずかに改良するであろう。これらのプロセスはまた、手袋製造コストを増大させ、さらなる機械を必要とするであろう。
【0005】
滑らかなラテックスが手袋の内側にある先行技術の手袋において、滑らかな表面は皮膚と密接に接触し、汗を吸収しない。このことは着用者の手にべとべとした感触をもたらす。先行技術は、吸汗性に役立てるために無保護(unsupported)手袋の内側に綿くずを含んでいるが、綿くずは少量の汗しか吸収しない。
【0006】
閉細胞型の表面層の発泡材料は、手袋の内部の空気の循環には役立たないが、汗を吸収することができる。また、保護(unsupported)または保護(supported)どちらの手袋の外側の発泡材料も、湿潤または滑りやすい物体のグリップ能力をほとんど高めない閉細胞型の表面層を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それゆえ、通常の手袋製造において簡単に製造されるテクスチャード加工表面被覆を伴う手袋を得ることが望まれている。手袋の外側に取り入れられた場合、このタイプの手袋は、湿潤/油グリップのようなグリップを改良するであろう。手袋の内側に含まれた場合、テクスチャード加工表面は吸汗性を向上し、直接皮膚接触の程度を減少し、ゆえに皮膚に対するべとべとした感触を減少するであろう。それゆえテクスチャード加工表面の開細胞型の構造の発泡材料層を得ることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の概要)
本発明の原理に基づいて、一般的な塩のような離散粒子の層を被覆したラテックスフィルムの液体表面に包埋し、浸漬したラテックス層をゲル化または乾燥し、テクスチャード加工表面を残すように離散粒子を溶解し、それから浸出、乾燥および硬化しそして最後に型から手袋を取り除くことにより製造したテクスチャード加工表面被覆を有する手袋が提供される。一実施態様において、本発明は、湿潤グリップを改良するために手袋外側の、快適性を改良するために手袋内側の、または両方のテクスチャード加工表面被覆を提供し得る。他の実施態様において、本発明はまた、発泡材料を織布、メリヤス生地または他の下地層に塗布し、液体発泡材料層の中に離散粒子の層を包埋し、発泡層を加工しそして包埋した離散粒子を溶解することにより製造されたテクスチャード加工表面を提供し得る。別の実施態様において、本発明はさらにそれによりテクスチャード加工表面被覆または開細胞型発泡表面被覆を伴う手袋を製造することができる方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の一実施態様により製造された手袋のテクスチャード加工表面被覆の平面図写真である。
【図2】図2は、SOLVEX 37-676ニトリル手袋の表面の平面図写真である。
【図3】図3は、テクスチャード加工表面層を第二層として有する本発明の一実施態様により製造された二層手袋の断面図を図解している。
【図4】図4は、単層SOLVEX 37-676ニトリル手袋の断面図を図解している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(発明の詳細な説明)
本発明は、非ゲル化ラテックスの層に離散粒子を包埋することにより製造した無発泡ラテックスまたは発泡ラテックスのいずれかにより製造されたテクスチャード加工表面被覆を伴う手袋に関する。ラテックス層は、理想的には離散粒子に接触することでゲル化している。プロセスは手袋を乾燥および硬化することにより完了する。離散粒子は、粒子を適当な溶媒中に溶解させることにより、ゲル化または硬化後のいずれかに層から除去され得る。このプロセスは、離散粒子が包埋していた箇所に痕(impression)を残し、グリップ、より少ない直の皮膚の接触を伴う手袋内の空気循環および吸汗性の程度を改良し得るテクスチャード加工表面被覆となる。例えば、湿潤/油グリップは、本発明のテクスチャード加工手袋において改良される。発泡材料は、テクスチャード加工表面層を製造するために無発泡ラテックスの代わりに使用されてもよく、優れたグリップ、より高い吸汗性および絶縁体(insulation)の柔軟な層を提供する。
【0011】
用いられる離散粒子には、限定されないが、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硝酸カルシウム、硝酸亜鉛を含む様々な塩、または糖(スクロース)のような他の可溶性化合物が挙げられる。水のような溶媒に十分可溶性のある塩が好ましい。好ましい塩は、塩化ナトリウムである。塩化ナトリウムは、安価で、簡単に入手可能で、簡単に処理および再利用でき、または再生できる、という点でいくつかの利点がある。純度99%の、有用な塩化ナトリウムの市販製剤の一つは、BSS International Ltd., Peterborough, Englandから入手可能である。有用な平均粒子サイズは、約50ミクロンから約6000ミクロンの範囲に及び得る。好ましい平均粒子サイズは、約50ミクロンから約2000ミクロンの範囲に及ぶ。これらの塩のすべては同様の物理的なテクスチャード加工の様相を提供するのに用いることができるので、塩化物は、本発明のテクスチャード加工表面の湿潤/油グリップおよび化学薬品耐性における明確な改良を提供する。
【0012】
例えば、塩化ナトリウムのような塩は、本発明において用いられる液体ラテックスと接触すると、湿潤ゲルを形成するようにラテックスを即座に不安定化し、それゆえにゴムの表面に塩粒子の形を「固定する」。塩が取り除かれる時に表面テクスチャーがもたらされる。この表面テクスチャーは、塩粒子の逆像(reverse image)である。
【0013】
所望のテクスチャーは、離散粒子の選択により調節されるであろう。例えば、樹状塩(dendritic salt)は、多数の棘のある結晶なので多面的な痕(impression)を製造するであろう。異なる痕サイズは、同様に選択した粒子に由来するであろう。破砕した塩(crushed salt)は、様々なサイズの痕を製造するであろうし、一方食卓塩の微細粒子は、緻密な、より一様な分布の小さな痕を製造するであろう。粒子サイズの混合または併用が用いられ得る。離散粒子を溶解するのに用いられる溶媒は、粒子の溶解度に依存し得、そして水、酸性またはアルカリ性化合物であり得る。
【0014】
本発明の実施態様によれば、手袋は、様々な異なる手法を用いて製造されてもよい。好ましい実施態様によれば、手袋は、非常に多数の手袋が連続して、速やかにそして常に製造される大量製造ラインにおいて製造される。このような方法は、多数の手袋の型を、手袋を製造するための一連の化学薬品溶液およびプロセスステップを経て運搬および操作する。該型は、陶材、スチールまたはプラスチックで作られる。標準の製造プロセスによれば、手袋は、1つの場所から次に運搬される型上で直接製造されてもよい。例えば、所望の特性の層を得るために、型を界面活性剤、ワックス、凝固剤および天然または合成エラストマーに浸漬する。該方法は、手袋の層を製造する成分の組成、添加の順序、および添加方法を変化させてもよい。
【0015】
手袋は、様々な物質中への多重浸漬により作り上げてもよい。例えば、型は最初にパウダーフリー剥離剤および凝固剤の組成物中に浸漬してもよい。この剥離剤および凝固剤浸漬は、その後に続く型からの完成した手袋の除去のための剥離材料を放出する。さらに、凝固剤材料はラテックス型エラストマーのようなその後に続く液体層を不安定化するであろう。
【0016】
剥離剤/凝固剤浸漬がなされた後、型は好ましくは、ラミネート層が型に塗布される製造ラインにおける次の場所に運搬される。ラミネート層は、天然またはポリウレタン、ニトリルまたはポリクロロプレンのような合成ゴムラテックスのようなラテックスエラストマー浸漬から成ってもよい。例えば、ラテックスの様々な組合せおよび調合が用いられ得る。本発明のラテックスは、任意で発泡させてもよい。有用なニトリルラテックスの一つは、REVENEX 99G43 (Synthomer Ltd., United Kingdom)である。ラテックス材料の選択および組成を変化させることにより、ラミネート層は異なる程度の強度、快適性、柔軟性および化学薬品耐性を提供するように変化し得る。いずれにしても、型に塗布されるラテックスの内容は、好ましくは切断および磨耗からの保護、液体撥水性および化学薬品耐性を提供するように調節されるであろう。
【0017】
ラミネート層の塗布の後、他のラミネート層が塗布されるのであれば、第二の凝固剤浸漬がなされてもよい。さらなる凝固剤浸漬およびラミネート層が、所望の厚さおよび柔軟性の程度に達するように加えられてもよい。1またはそれ以上のラミネート層の塗布の後、型は、好ましくは乾燥および硬化ならびに最終製品の提供のために、上昇した温度の炉を通過する。手袋はその後、手でまたは自動化手法により取り除かれる。
【0018】
上述の実質的に自動化した量産技術によれば、本発明に従って、さらなるまたは異なる所望の特性のラミネートを提供するために、多数の変形が取り入れられ得る。
【0019】
本発明の一実施態様において、ラテックスの第一層を形成するために型を浸漬する。このラテックスの第一層はその後ゲル化し、非ゲル化ラテックスの第二層を形成するために型を再び浸漬する。第二層の発泡または無発泡ラテックスラテックスの粘度は、約100cpsから約2000cpsの範囲に及び得る(ブルックフィールド)。型を離散粒子の流動床に浸漬することによりまたは離散粒子を包埋する他の機械的手段、例えば、噴霧することにより、離散粒子をその後非ゲル化ラテックスの第二層に塗布する。流動床プロセスは、粒子が液体と同様の方法でふるまうように、気流中の塩粒子(NaCl)浮遊物を活用する。離散粒子は、実質的に手袋の表面を覆うテクスチャード加工表面被覆を残すように、離散粒子を塗布した後または手袋のゲル化または硬化の後に、適切な溶媒に溶解することで除去する。例えば、塩粒子は、水による洗浄または噴霧により、ゲル化した表面から除去され得る。ラテックスの粘度は、所望のテクスチャード加工効果を得るために変化させ得る1つのパラメーターである。テクスチャード加工無発泡層は、最適な耐久性および湿潤/油グリップの組合せを提供する。
【0020】
本発明の別の実施態様において、所望の数の層が得られるまで、型を1以上のラテックス層に浸漬し、各層の後にゲル化する。型をその後もう一度ラテックス中に浸漬し、型を離散粒子の流動床に浸漬することによりまたは離散粒子を包埋する他の機械的手段、例えば、噴霧することにより、離散粒子をこの最も外側のラテックスの非ゲル化層に塗布する。離散粒子は、テクスチャード加工表面被覆を残すように、手袋のゲル化または硬化の後に、適切な溶媒に溶解する。テクスチャード加工無発泡層は、最適な耐久性および湿潤/油グリップの組合せを提供する。
【0021】
さらに本発明の別の実施態様において、ラテックスの第一層を形成するために型を浸漬する。このラテックスの第一層はその後ゲル化し、そして第二層を形成するために型を発泡材料に再び浸漬する。型を離散粒子の流動床に浸漬することによりまたは他の機械的手段、例えば、噴霧することにより、離散粒子をその後発泡材料の非ゲル化層に塗布する。離散粒子は、テクスチャード加工表面被覆を残すように、手袋の加工の後に、適切な溶媒に溶解する。このプロセスは、離散粒子が発泡体をゲル化しそしてゆえに細胞型の構造をとらえるので、開細胞型の構造を保持するテクスチャード加工表面発泡層被覆をもたらす。さらに離散粒子の逆像(reverse image)は、適切な溶媒によるそれらの除去を受けテクスチャード加工表面層が残るので表面層にとらえられる。
【0022】
別の実施態様において、単テクスチャード加工層が本発明の原理に基づいて調製され得る。つまり、第二のテクスチャード加工層の調製の前に、第一またはラミネート層を調製しない。この実施態様において、無発泡または発泡層を型に塗布する。型を離散粒子の流動床に浸漬することによりまたは他の機械的手段、例えば、噴霧することにより、離散粒子をその後無発泡または発泡材料の非ゲル化層に塗布する。離散粒子は、テクスチャード加工表面層を残すように、手袋の加工の後に、適切な溶媒に溶解する。
【0023】
本発明の別の実施態様には、ラテックス被浸(overdip)の外側の層に離散粒子を包埋することにより製造されたテクスチャード加工表面被覆を伴う非ラテックス材料の断片が含まれる。この実施態様のために、型は、土台として適用された非ラテックス材料の層、例えば織布または綿くずを有し、発泡または無発泡ラテックスの層に浸漬され得る。有用な織布の例は、メリヤス裏地である。型を離散粒子の流動床に浸漬することによりまたは離散粒子を包埋する他の機械的手段、例えば、噴霧することにより、離散粒子をその後発泡材料の層に塗布する。材料の一部はその後、ゲル化または硬化し、離散粒子は、テクスチャード加工表面被覆を残すように、適切な溶媒に溶解する。この材料はその後切り離され、断片は、改良したグリップまたは汗吸収性を提供するために、様々な手袋の部分に縫い付けられ得る。ラテックス被覆がメリヤス裏地の上になされる保護(supported)手袋の実施態様において、第一または次のラテックス層に、テクスチャー化(texturing)がなされ得る。
【0024】
非保護(unsupported)手袋の内側の裏地として、テクスチャード加工表面を皮膚に接して使用することにより、在来の綿くず粉末の代替物とすることができる。この場合、発泡ラテックスにテクスチャーを適用することにより、柔らかいテクスチャード加工表面が提供され得る。柔らかい感触は、無発泡ラテックスのテクスチャー化(texturing)により得ることができるが、無発泡ラテックスとして軟化低アクリロニトリル(softer low acrylonitrile)(「AN」)ポリマーが好ましい。発泡ラテックスのテクスチャード加工表面は、皮膚に対する低い表面接触面積を提供するのと同時に、発泡構造により吸汗性を提供する。空気循環が増し、滑らかなゴムのものと比べ皮膚に対するべとべとした感触が減少する。
【0025】
増粘剤、促進剤、硬化剤(curatives)または硬化剤(curing agents)のような添加剤は、本発明のテクスチャード加工表面被覆の様々な実施態様において使用することができる。有用な増粘剤には、限定されないが、ポリアクリル酸アンモニウム、メチルセルロース、およびポリビニルアルコールが挙げられる。有用な促進剤には、限定されないが、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(「ZDEC」)、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(「ZDBC」)、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(「ZDMC」)、ブチルエチルジチオカルバミン酸亜鉛(「ZBED」)、メルカプトベンゾチアゾール亜鉛(「ZMBT」)、メルカプトベンゾチアゾール(「MBT」)、およびジフェニルグアニジン(「DPG」)が挙げられる。他の有用な硬化剤(curatives)および添加剤には、例えば、硫黄および酸化亜鉛が挙げられる。発泡および起泡剤は、本発明のテクスチャード加工表面被覆の様々な実施態様において有用である。ゲル形成およびウェビングをコントロールするのを助ける助けとなる在来の加工が、用いられ得る。他の有用な市販の添加剤には、アンモニア水、湿潤剤、界面活性剤、および抗ウェビング剤が挙げられる。有用な湿潤剤の一つはTRITON X-100であり、Union Carbide Ltd., U.S.A.から入手可能である。抗ウェビング剤の一つはDEFOAMER 1512Mであり、Hercules Ltd., Wilmington, Delawareから入手可能である。
【0026】
ラテックス技術分野において、成分の分量は、ゴム重量の100重量部に対する重量部(「phr」)において表される。本発明の実施態様において、促進剤は約0.5phrから約1.5phrの間の範囲で、個々に、または組み合わせて(ここで部分の合計は、好ましくは該範囲を超えてはいけない)用いられ得る。好ましい実施態様は、今さらに以下の実施例において詳述されるであろう。
【実施例】
【0027】
実施例1:ステップ1.以下の凝固剤溶液を調合する:
硝酸カルシウム、 水溶液濃度35容量%
TRITON X 100 約0.1容量%
DEFOAMER 1512M 約0.5容量%
凝固剤溶液を30から40℃に加熱する。清浄な陶材の手袋の型は、凝固剤溶液中に浸漬することによりその表面を均一に被覆する。浸漬速度はおよそ1.5cm/秒、滞留時間は5から10秒、そして抽出速度はおよそ0.75cm/秒である。
【0028】
ステップ2.凝固剤を被覆した型は、指を立てた状態に反転しそして暖かく穏やかな気流中(30から40℃)で2から2.5分間乾燥する。
【0029】
ステップ3.乾燥した凝固剤被覆型は、指を下に向けた状態に再反転しそしてニトリルラテックス化合物に浸漬する:
REVENEX 99G43 100phr
硫黄 0.5phr
酸化亜鉛 3.0phr
ZMBT 0.7phr
pHを9.0に調節する(アンモニアまたは水酸化カリウムを用いて)。ラテックスの粘度は通常20から40cps(ブルックフィールド粘度計モデルDV1+、スピンドル# 2 @ 30 rpm)である。ラテックスは20から25℃に保持する。浸漬速度はおよそ1.5cm/秒、ラテックス中の滞留時間は所望の壁厚に依存し30から90秒、そして抽出速度はおよそ1.2cm/秒である。
【0030】
ステップ4.ゲル化ニトリルラテックス被覆型は、指先の滴の分散を助けるために指を立てた状態に反転する(滞留時間周囲温度で最低30秒)。
【0031】
ステップ5.ゲル化ニトリルラテックス被覆型(ここでは、ニトリル手袋殻(shell))は、指を下に向けた状態に再反転し、残余の表面シネレシス生成物を除去するために40から60℃に加熱した水中に浸漬する(滞留時間60から80秒)。
【0032】
ステップ6.ニトリル手袋殻(shell)は、指の滴の分散を助けるために指を立てた状態に反転し、その後ゲルの表面および指先の残余の水を除去するために部分的に乾燥する。
【0033】
ステップ7.ニトリル手袋殻(shell)は、指を下に向けた状態に反転し、以下のニトリルラテックスの第二層で手首まで(またはあるいは腕周りまで完全に)過浸漬する:
REVENEX 99G43 100phr
硫黄 0.5phr
酸化亜鉛 3.0phr
ZMBT 0.7phr
このラテックスのpHは9.0に調節されており(アンモニアまたは水酸化カリウムを用いて)、ラテックスの粘度はポリアクリル酸アンモニウムを用いて500cps(ブルックフィールド粘度計モデル DV1+、スピンドル# 2 @ 30 rpm)に調節されている。ラテックスは20から25℃に保持する。浸漬速度はおよそ1から3cm/秒、ラテックス中の滞留時間はおよそ10から30秒、そして抽出速度はおよそ2cm/秒である。
【0034】
ステップ8.今やニトリルラテックス過浸漬の液体第二層を有するニトリル手袋殻(shell)は、指の滴を分散するために指を立てた状態に反転し、その後即座に再反転して指を下に向けた状態に戻す。塩化ナトリウムの粒子(純度99%、平均粒子サイズ400ミクロン)を、Campbell Coutts Ltd., Southampton, Englandから入手した流動床装置中でラテックスの第二層に塗布する。手袋殻(shell)は常温に保持する。流動床への浸漬速度はおよそ2cm/秒、流動床中の滞留時間は5から10秒、そして抽出速度はおよそ2cm/秒である。ステップ8の別形において、滞留時間の間流動床は、ラテックス層の中によりはっきりとした/より深い痕を得るために止めてもよい。型の抽出の間、流動床を再び作動する。
【0035】
ステップ9.塩被覆殻(shell)は、ここで、ゲル化表面に残っている塩化ナトリウムを除去するために常温にて水で洗浄する。
【0036】
ステップ10.ゲル化手袋製品は、その後およそ40℃の温水中でおよそ15分間溶脱する。
【0037】
ステップ11.ゲル化手袋製品は、130℃の従来の循環熱風炉内でおよそ60分間乾燥および硬化処理する。
【0038】
ステップ12.硬化した手袋を冷却し、その後裏返しに型を剥ぎ取る。ステップ12の別形において、内側の裏地(例えば綿くず粉)を付着してもよい。
【0039】
ステップ13.完成した、硬化した手袋はその後、テクスチャード加工表面が手袋の外側になるように、裏返しにする。
【0040】
磨き上げた表面を有し油圧オイルおよび潤滑油の混合物で覆われたスチールの重量を持ち上げるのに必要なグリップ力を測定するために、つまみ力試験が開発された。実施例1により調製した手袋(「テクスチャード加工手袋」)、および同様の構成の既知のニトリル手袋、しかしテクスチャード加工表面被覆を有していないもの、すなわちAnsell SOLVEX 37-676およびAnsell SOLKNIT 39-122、を含む様々な手袋が試験された。
【0041】
試験装置は、Applied Instruments Ltd., United Kingdomより入手したモデルPPS-6 Kg質量秤を、直接秤の平らなステンレススチール負荷皿の反対側に、ステンレススチールの細長い一片をその下側に取り付けて改変したものを使用した。装置全体は、床の方を向いている間重力の力に逆らって手袋をした手でグリップできるように、試験のための側面を向ける。ステンレススチール表面は、以下の試験のために油圧オイルおよび潤滑油の混合物で覆った。つまみ力試験は以下のように実行した。
1.ボランティアの試験者が試験手袋を着用する。
2.試験者は、親指および第一指(または第二指)のみを用いて、各向かい合った表面上の1本の指は床に向かって表面に沿っておよそ4cmの点で、接触点として指および親指の指腹の先のみを用いて、表面に対して直角に装置をグリップする。
3.試験者は、装置を強く握り持ち上げようと試み、それから滑らずに静止して保持するのに十分な力で装置を保持する。
4.即時グリップ力が、質量秤を読み取った質量単位で記録される。
5.最初のグリップおよび持ち上げの後、定常グリップ力がおよそ5から10秒後に記録される。
6.グリップは、装置がグリップからすべるように徐々に緩められる。
7.最小グリップ力がすべりの時点で記録される。
8.さらなる重量が続いて装置に加えられ、そしてステップ1−7が繰り返される。
【0042】
表1に示される我々の試験データは、テクスチャード加工表面は、実施例1で調製されたようなニトリル手袋(または任意のラテックス手袋)の表面として用いられ、それから湿潤または油の付いた物体を扱うのに用いる場合、非常に優れた使用者のグリップおよびコントロール結果を提供するということを示す。
【0043】
【表1】

【0044】
表1に示すように、実施例1により製造したテクスチャード加工手袋は、改良されたグリップコントロールおよびすべりが起った場合の信頼を示す。従来のニトリル手袋と比較した場合、テクスチャード加工手袋は、装置によって確定した3つの重量を持ち上げるために最も低いグリップ力を要する。テクスチャード加工手袋は、SOLVEX 37-676手袋と比較して1番目の重量および2番目の重量を持ち上げるために、それぞれ、29%および31%低い即時グリップ力を要し;そしてSOLVEX 37-676手袋と比較して2番目の重量を保持するのに20%低い定常グリップ力を要した。テクスチャード加工手袋は、SOLKNIT 39-122手袋と比較して1番目の重量および2番目の重量を持ち上げるために、それぞれ、24%および44%低い即時グリップ力を要し;そしてSOLKNIT 39-122手袋と比較して1番目の重量および2番目の重量を保持するために、それぞれ、19%および49%低い定常グリップ力を要した。特筆すべきは、従来の手袋を用いると、突然の、強烈な滑りが起り得るということである。対照的に、テクスチャード加工手袋は、滑りが起った場合でさえ滑りのコントロールを提供する。
【0045】
本明細書に他に記述がないかまたは文脈に明らかに矛盾していない限り、本発明を表す文脈における用語「a」、「an」、「the」および類似表現の使用は(特に以下の特許請求の範囲中の文脈において)、単数および複数の両方を包含していると解釈されるものとする。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書に他に記述がない限り、範囲内に含まれるそれぞれ個々の値を個別に言及する簡略な方法として働くことを単に意図されたもので、それぞれ個々の値は個別に本明細書中に記述されたものの如く本明細書中に包含される。本明細書中他に記述がないか、または文脈に明らかに矛盾していない限り、本明細書中に記載した全ての方法はどんな適当な順序でも行われうる。本明細書中に出されたいずれのそして全ての実施例、または例示的な言葉(例えば「〜のような(such as)」)の使用は、単に発明をより明解にするよう意図したものであり、他に主張がない限り、本発明の範囲に制限をもたらすようなものではない。明細書中のどの言葉も、未請求の任意の要素を本発明の実施に必須であると示唆していると解釈されるべきではない。
【0046】
本発明は、その具体的な実施態様とともに記載されているが、代替、改変および変形は、前述の説明に照らして当業者に明らかになるであろうことは明白である。図で示された実施態様は単なる例であり、本発明の範囲を制限するものとすべきでないことは理解されるべきである。したがって、このような代替、改変および変形のすべては、添付の特許請求の範囲の精神と広い範囲の中に包含されることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テクスチャード加工表面被覆手袋を製造する方法であって、ステップ:
(i)型を凝固剤で処理する;
(ii)型を浸漬被覆することによりラテックスの第一層を形成する;
(iii)ラテックスの第一層をゲル化する;
(iv)型を浸漬被覆することによりラテックスの第一層の上にラテックスの第二層を形成する;
(v)ラテックスの第二層に離散粒子を塗布する;
(vi)ラテックスの第二層をゲル化する;
(vii)離散粒子を溶解する;
(viii)形成した層を熱硬化する;および
(ix)型から硬化したテクスチャード加工手袋を外す
を含む、方法。
【請求項2】
第二ラテックス層が発泡体である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
離散粒子が塩である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
塩が塩化ナトリウムである、請求項3記載の方法。
【請求項5】
テクスチャード加工表面被覆手袋を製造する方法であって、ステップ:
(i)型に第一織布層を塗布する;
(ii)型を浸漬被覆することにより第一織布層の上にラテックスの第二層を形成する;(iii)ラテックスの第二層に離散粒子を塗布する;
(iv)ラテックスの第二層をゲル化する;
(vii)離散粒子を溶解する;
(viii)第二層を熱硬化する;および
(ix)型から硬化したテクスチャード加工手袋を外す
を含む、方法。
【請求項6】
第二ラテックス層が発泡体である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
離散粒子が塩である、請求項5記載の方法。
【請求項8】
塩が塩化ナトリウムである、請求項7記載の方法。
【請求項9】
テクスチャード加工手袋であって:
(i)型を凝固剤で処理する;
(ii)型を浸漬被覆することによりラテックスの第一層を形成する;
(iii)ラテックスの第一層をゲル化する;
(iv)型を浸漬被覆することによりラテックスの第一層の上にラテックスの第二層を形成する;
(v)ラテックスの第二層に離散粒子を塗布する;
(vi)ラテックスの第二層をゲル化する;
(vii)離散粒子を溶解する;
(viii)形成した層を熱硬化する;および
(ix)型から硬化したテクスチャード加工手袋を外す
ことを含む方法により製造されたテクスチャード加工手袋。
【請求項10】
第二ラテックス層が発泡体である、請求項9記載の手袋。
【請求項11】
テクスチャード加工手袋であって:
(i)型に第一織布層を塗布する;
(ii)型を浸漬被覆することにより第一織布層の上にラテックスの第二層を形成する;(iii)ラテックスの第二層に離散粒子を塗布する;
(iv)ラテックスの第二層をゲル化する;
(vii)離散粒子を溶解する;
(viii)第二層を熱硬化する;および
(ix)型から硬化したテクスチャード加工手袋を外す
ことを含む方法により製造されたテクスチャード加工手袋。
【請求項12】
第二ラテックス層が発泡体である、請求項11記載の手袋。
【請求項13】
テクスチャー加工表面手袋であって:
第一ラテックス層、および
第一ラテックス層に接着した第二ラテックス層を有し、
該第二ラテックス層は離散粒子の除去の後平均粒子サイズを有する離散粒子の形の複数の痕を含み、該痕は実質的に第二ラテックス層の表面を覆う緻密および一様な分布を有し、そこで該痕の分布は平均粒子サイズに依存する、
テクスチャー加工表面手袋。
【請求項14】
平均粒子サイズが約50ミクロンから約2000ミクロンである、請求項13記載の手袋。
【請求項15】
平均粒子サイズが約400ミクロンである、請求項14記載の手袋。
【請求項16】
第二ラテックス層がニトリルである、請求項13記載の手袋。
【請求項17】
第二ラテックス層が発泡体である、請求項13記載の手袋。
【請求項18】
テクスチャー加工表面手袋であって:
第一織布層、および
第一織布層に接着した第二ラテックス層を有し、
該第二ラテックス層は離散粒子の除去の後平均粒子サイズを有する離散粒子の形の複数の痕を含み、該痕は実質的に第二ラテックス層の表面を覆う緻密および一様な分布を有し、そこで該痕の分布は平均粒子サイズに依存する、
テクスチャー加工表面手袋。
【請求項19】
平均粒子サイズが約50ミクロンから約2000ミクロンである、請求項18記載の手袋。
【請求項20】
平均粒子サイズが約400ミクロンである、請求項19記載の手袋。
【請求項21】
第二ラテックス層がニトリルである、請求項18記載の手袋。
【請求項22】
第二ラテックス層が発泡体である、請求項18記載の手袋。
【請求項23】
平均粒子サイズが約50ミクロンから約2000ミクロンである、請求項22記載の手袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−137283(P2011−137283A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−43970(P2011−43970)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【分割の表示】特願2006−517837(P2006−517837)の分割
【原出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(505224776)アンセル ヘルスケア プロダクツ エルエルシー (3)
【Fターム(参考)】