説明

手袋

【課題】この発明は、装着することによって、握力を向上させ、確実に対象物を握持することのできる手袋を提供することを目的とする。
【解決手段】ハンドグローブ1に、手指100の大部分を覆う手指部10及び手の甲の大部分を覆う手背部20とを少なくとも備え、手指部10及び手背部20の手の甲側に、導電性を有する導電性繊維70で構成した長さ方向の縫付ライン71と、手指部10の側方に、幅方向外側を連続する導電性繊維70で構成した縫合ライン51及び導電性繊維70で構成したほころび防止縫い72とを備え、手指部10の指先部14付近で、縫合ライン51又はほころび防止縫い72と、縫付ライン71とを交差させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、装着することによって確実に対象物を握持することのできる手袋に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフや野球の様に、クラブやバットの握りが重要となるスポーツや作業等において、確実に握持できる手袋が求められており、例えば、グラブを握持する際に小指、薬指及び中指に適度な締め付け力を付与する手袋が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
この手袋は、手の甲側に親指の根元と各指とに延在する帯が縫着してあり、対象物を握持した際に、この帯によって小指、薬指及び中指に適度な締め付け力を付与することができる。しかし、この帯によって付与される小指、薬指及び中指の締め付け力は、帯の伸縮性が小指、薬指及び中指の握力を補助しているにすぎず、握力自体を向上させるものではなかった。
【0004】
【特許文献1】特開2002−65928号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、装着することによって、握力を向上させ、確実に対象物を握持することのできる手袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、手指の大部分を覆う手指部及び手の甲の大部分を覆う手背部とを少なくとも備えた手袋であって、前記手指部及び前記手背部の少なくとも一方の手の甲側に、長さ方向の拘束手段を備えた手袋であることを特徴とする。
【0007】
上記構成により、本発明の手袋を装着し、こぶしを握り締めてクラブやバット等の対象物を握持することによって、長さ方向の拘束手段が手の甲側を拘束し、手の甲側の骨間筋や手のつぼを圧迫するため、握力を担う骨間筋や指の動作を担う腱を緩めることができ、握力を向上するとともに、その瞬発力を向上することができる。
このように、この手袋を装着することによって、その握力をはじめとする握持に関する運動機能を向上することができる。
【0008】
この発明の態様として、前記拘束手段を、導電性を有する導電性糸材を縫い付けて構成することができる。
前記導電性糸材とは、ナイロン繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル系繊維、ビニロン系繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ビニリデン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、またはポリウレタン繊維等の合成繊維の表面に銅金属等の金属製皮膜層を形成した糸材や、銅金属等の金属製粉末を練り込んで形成した糸材であることを含む。
【0009】
これにより、手の甲側を適度の拘束力で拘束するとともに、導電性糸材は可撓性を有するため、拘束手段が手の動きに支障することを防止できるとともに、導電性糸材がコロナ放電するため、該コロナ放電による遠赤外線及びマイナスイオン照射効果を手の甲側に作用させることができる。したがって、骨間筋や腱を活性化して、握力やその握りに対する瞬発力をより向上することができる。
また、導電性糸材に銅金属を含有する場合、銅金属による抗菌、消臭効果を得ることもでき、着用物を清潔に保つことができる。
【0010】
また、この発明の態様として、前記手指部の側方に、幅方向外側を連続する導電性糸材を配設し、該導電性糸材の指先付近で、前記拘束手段を構成する導電性糸材と交差させることができる。
【0011】
これにより、導電性糸材で構成した拘束手段と、前記手指部の側方の幅方向外側に配設した導電性糸材とが通電可能に接触するため、手指部の手の甲側の略全体を導電性糸材で覆うこととなり、上記導電性糸材からのコロナ放電による遠赤外線及びマイナスイオン照射効果をより向上させることができる。
【0012】
また、この発明の態様として、前記手指部の先端に、前記手指部の内外の通気を許容する通気手段を備えることができる。
指先の通気性が悪くなると指先の血流が悪くなり、筋肉や腱が緊張して不活性化し、握力やその握りに対する瞬発力が低下するが、上記により、指先の通気性を確保することができるため、手袋を装着したことによる指先の血流が悪くなり、筋肉や腱の不活性化による握力やその握りに対する瞬発力の低下を防止することができる。
【0013】
また、この発明の態様として、前記通気手段を、前記手指部の先端を貫通する指先開口で構成することができる。
これにより、指先の通気性を確保でき、導電性糸材の通電性が向上するとともに、空気中に放電されたマイナスイオン等の効果を指先から受けて、上記コロナ放電による遠赤外線及びマイナスイオンの照射効果をより得ることができる。
【0014】
また、この発明の態様として、前記指先開口の開口率を、約70乃至85%の範囲に設定することができる。
前記指先開口の開口率を、約70乃至85%の範囲に設定することによって、十分な通気性及び上記コロナ放電による遠赤外線及びマイナスイオン照射効果をより得ることができる。
【0015】
また、この発明の態様として、前記手指部及び前記手背部を、チタン成分、ラジウム成分またはブラックシリカ成分のうち少なくともひとつを有する布材で構成することができる。
前記チタン、ラジウム、或いはブラックシリカは、それぞれ粉末状、あるいは粒子状で形成され、素材自体に練り込まれて構成したもの又は表面に付着させて構成したもの等を含む。
【0016】
これにより、前記手指部及び前記手背部のチタン成分、ラジウム成分またはブラックシリカ成分のうち少なくともひとつによって遠赤外線及びマイナスイオンが放射されるため、手全体の血行促進や体液浄化等の効果を得ることができる。したがって、骨間筋や腱の緊張を解して柔軟にするとともに活性化し、筋力及びその瞬発力をより向上することができる。
【0017】
また、この発明の態様として、前記布材を、弾性を有する弾性シート層と、チタン成分を含有するチタンシート層と、ラジウム成分及びブラックシリカ成分を含有し、前記弾性シート層と前記チタンシート層とを貼合する接着剤と、該接着剤で貼合した前記弾性シート層及び前記チタンシート層の表面を被覆する表皮層とで構成することができる。
【0018】
上記弾性シート層は、天然ゴム等の天然樹脂、あるいはポリエチレン、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリカーボネート、ナイロン、ポリアセタール、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリプタジエン、塩酸ゴム等の少なくとも一種、またはそれらの複数からなる合成樹脂を主材とするシート状体であることを含む。
【0019】
これにより、一般的に用いられている弾性シート層を用いて、チタン成分、ラジウム成分及びブラックシリカ成分を有する布材を構成することができる。したがって、骨間筋肉や腱を柔軟にするとともに活性化し、握力及びその瞬発力を向上することのできる手袋を低コストで、容易に製造することができる。
【0020】
また、前チタン成分を含有するチタンシート層を、ラジウム成分及びブラックシリカ成分を含有する接着剤で弾性シート層に貼合せているため、耐久性のある上記機能を有する布材、すなわち上記機能を有する着用物を得ることができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、装着することによって、握力を向上させ、確実に対象物を握持することのできる手袋を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
ハンドグローブ1を着用した状態の斜視図を示す図1と、ハンドグローブ1の平面図を示す図2と、ハンドグローブ1の展開平面図を示す図3と、A−A断面図を示す図4とともに、ハンドグローブ1について説明する。
【0023】
ハンドグローブ1は5本の指から手首付近まで一体的に覆う合成皮革製の手袋であり、手指部10、手背部20及び掌部30(図3)とを一体構成している。
手指部10は、親指101の挿入を許容する親指部11と、その他の人差し指102、中指103、薬指104及び小指105を挿入を許容する各指部12とで構成されている。なお、親指部11及び各指部12の先端には指先開口13を備えている。なお、図2において指先開口13の理解を容易にするために、指先開口13を備えていない場合の親指部11及び各指部12の指先を点線で示している。
なお、指先開口13は手指部10の指先部14(図2)に対する開口率80%程度で開口している。
【0024】
手背部20は、薬指と小指の間ぐらいの手首側に長さ方向のスリット21を備えるとともに、スリット21の指側端部付近に面ファスナを内面側に備えたベルト22を備えている。また、ベルト22より指側と、手首側のそれぞれに幅方向に配設し、ゴムを内在させた絞り部23,24を備えている。
【0025】
このように構成するハンドグローブ1は、図3に示すように、各指部12、手背部20及び掌部30を一枚の弾性布帛60を適宜の形状に加工したメインシート41と、親指部11については別体の弾性布帛60を適宜の形状に加工した親指部シート42とで形成している。
メインシート41は、展開した各指部12、手背部20及び掌部30を一体的に構成し、折返しライン50の途中に親指部11を取付る取付開口43を備えている。
【0026】
親指部シート42は、略三角形状で形成され、幅方向中央付近の折返しライン50で折り返し、両端の縫合ライン51を重ねて導電性繊維70で縫合するとともに、底辺部分を取付開口43の周囲に縫合ライン51で縫合してメインシート41に取り付ける。なお、縫合ライン51をつき合わせて、導電性繊維70で縫合ライン51同士を掛け渡して縫合してもよい。
【0027】
詳しくは、折返しライン50でメインシート41を折り返し、縫合ライン51を導電性繊維70で縫合し、親指部シート42も折返しライン50で折り曲げて縫合ライン51を導電性繊維70で縫合し、親指部シート42の底辺と取付開口43の周縁とを導電性繊維70で縫合して手袋形状に形成する。
このとき、メインシート41の底辺部分及びスリット21、さらには、指先開口13の縁部には導電性繊維70によるほころび防止縫い72を施している。
【0028】
さらに、各指部12の手の甲側、手背部20の取付開口43付近、並びに親指部11の手の甲側の折返しライン50付近に、長さ方向に導電性繊維70を縫い付けて3本の略平行な縫付ライン71をそれぞれに構成している。
【0029】
なお、図3中a部拡大図に示すように、各指部12の縫付ライン71は、指先開口13のほころび防止縫い72と交差するように、指先開口13付近まで延在している。
【0030】
また、折返しライン50に沿って導電性繊維70を縫い付けて縫付ライン71を構成している。ここで用いられている導電性繊維70は、ナイロン繊維表面に銅金属製皮膜層を形成した繊維である。
【0031】
また、メインシート41及び親指部シート42を構成する弾性布帛60は、弾性布帛60の構成を説明する図5に示すように、両表面に配置したジャージ生地61と、チタン成分が含有されたチタンシート62と、適宜の厚みで構成されたクロロプレーンゴムシート63と、チタンシート62及びクロロプレーンゴムシート63を接着する接着層64とで構成している。
【0032】
ジャージ生地61は、例えば70デニールのような太いナイロン繊維を用いて構成し、チタンシート62は、チタン粉末が含有されたシート状体である。なお、チタンはアレルギー反応を起こしにくい体に優しい金属である。
【0033】
クロロプレーンゴムシート63は、内部に無数の独立した気泡を有するクロロプレーンゴムのシートであり、接着層64は、ブラックシリカ粉末とラジウム粉末を含有する接着剤による層である。
【0034】
ブラックシリカ粉末は天然鉱石であるブラックシリカ(学名:黒鉛珪石)を粉砕した粉末体であり、天然ミネラルをふんだんに含み、遠赤外線や微弱な放射線(α線、β線、γ線)を安定して放射することができる。したがって、ブラックシリカ粉末は消臭、防菌、防カビ、防湿効果を有するとともに、身体に対し、血流の促進、発汗作用、痛みの緩和作用、暖め作用及び安眠作用を与えることができる。
ラジウム粉末は、ラジウム鉱石を粉砕した粉末体であり、ラジウムがα線を放射しながら崩壊し、放射能を有するガス状のラドンを多く発生する。
【0035】
上記構成の弾性布帛60は、ハンドグローブ1を装着した手の温度を外部に逃がすことなく、また、外気をシャットアウトすることができる。したがって、ハンドグローブ1を装着した手の保温性を確保することができる。
【0036】
このような構成のハンドグローブ1を、親指部11及び各指部12に手指100(101〜105)を挿入することによって、手指部10の先端の指先開口13から各指100の指先が露出する態様で、手の甲部分と掌部分とを手首部分まで覆う態様で装着することができる。
【0037】
このとき、各指部12に備えた3本の縫付ライン71が各指102〜105の甲側で指内部の指節骨(図示省略)の上部を覆うような態様となるとともに、折返しライン50及び縫合ライン51の導電性繊維70が各指102〜105のそれぞれの両側方に位置することとなる。
【0038】
また、親指部11に備えた3本の縫付ライン71は親指101の甲側で指内部の指節骨(図示省略)の上部を覆うような態様となるとともに、折返しライン50及び縫合ライン51の導電性繊維70が親指101の両側方に位置することとなる。
【0039】
また、手背部20に備えた3本の縫付ライン71は、人差し指102付近の手の甲内部の中手骨(図示省略)の間の骨間筋の上部を覆うような態様となり、折返しライン50及び縫合ライン51の導電性繊維70が手の甲と掌との間の側方に位置することとなる。
【0040】
これにより、こぶしを握り締めることによって、手指100の手の甲側及び手の甲部分が縫付ライン71によって長さ方向に拘束されるとともに、骨間筋やつぼが圧迫されるため、握力を担う骨間筋及び手指100の動作を担う腱の緊張を解して、握力及びその瞬発力を向上することができる。
【0041】
また、ハンドグローブ1を弾性布帛60で構成しているため、ハンドグローブ1を装着した手の保温性を確保できるとともに、血行促進や体液浄化等の効果を得ることができ、それにより、骨間筋や腱が暖められて、その緊張もさらに解し、手全体の筋肉の筋力及びその瞬発力を向上することができる。
【0042】
したがって、筋肉の余計な緊張をほぐすことができ、精度を要することの必要なゴルフ等において、微妙に筋力をコントロールして、高精度なプレイや作業等を行うことができる。
【0043】
また、各指部12の先端に開口率およそ80%の指先開口13を備えたことにより、ハンドグローブ1を装着したことによって生じる筋肉や腱の緊張を防止することができる。詳しくは、手指100の指先の通気性が悪くなると、後述する生体電流の流れが悪くなり、生体電流の流れの悪化によって指先の血流が悪くなって筋肉や腱が緊張するが、各指部12の先端に指先開口13を備えたことにより、手指100の通気性を確保できるため、生体電流の流れの悪化を防止することができる。したがって、筋肉や腱の緊張による握力やその瞬発力が低下することを防止できる。
【0044】
上記生体電流は体内を流れる微弱な電流であり、たとえば、大脳からの生体情報を電気信号として神経回路を介して末梢神経領域まで伝達する等の人間の生命維持活動を担っている。そして、疲労やストレスによって、この生体電流の流れが乱れると体調不良等を引き起こすものである。
【0045】
なお、上述した弾性布帛60の血行促進や体液浄化等の機能について詳述すると、弾性布帛60の機能について説明する説明図である図6に示すように、弾性布帛60が手や手指100に接触することによって、弾性布帛60が有するチタン成分、ラジウム成分及びブラックシリカ成分が手や手指100に対して遠赤外線及びマイナスイオンを放射する。
【0046】
それにより、弾性布帛60で構成したハンドグローブ1を装着した手や手指100の体液中の水分がマイナスイオン化して、体液自体が弱アルカリとなって、体液が弱アルカリ化することにより、体に流れる生体電流が流れやすくなる。
【0047】
しかし、上述したように、弾性布帛60によって体液が弱アルカリ化することで生体電流の流れがスムーズになり、さらに、生体電流の流れがスムーズになることによって体液の浄化は促進される。これにより、生体情報の電気信号の伝達も活性化し、筋肉の動作を円滑にすることができる。
【0048】
さらにまた、弾性布帛60が有するチタン成分、ラジウム成分及びブラックシリカ成分の相乗効果によって、体液中の水粒子を細分化することができるため、水粒子のマイナスイオン化による体液自体の弱アルカリ化の効果をより向上することができる。
【0049】
なお、弾性布帛60による水粒子を細分化の確認試験について説明すると、2つのコップA,Bに水道水を入れ、一方のコップAに弾性布帛60を浸して10秒程度かき回し、両方のコップA,Bに墨汁を一適たらして(図7(a)参照)、その墨汁の広がり方を観察した。
【0050】
その結果、試験結果を示す試験結果説明図である図7に示すように、通常の水道水が入ったコップBは墨汁が表面と底部付近の2箇所に分離するのに対し、コップAの墨汁は全体に広がった。
【0051】
この結果から、コップBに入っている通常の水道水は水粒子が大きいため、墨汁は水粒子と混ざり難く、水表面に墨汁の膜を形成するとともに、底面付近にたまって分離しているが、水粒子と混ざって墨汁が全体に広がったことからコップAの水粒子は、弾性布帛60によって水粒子が細分化されていることがわかる。
【0052】
このようにして、弾性布帛60は体内の2/3を構成する水の粒子を細分化するため、水粒子のマイナスイオン化による体液自体の弱アルカリ化の効果をより向上することができる。
【0053】
なお、マイナスイオンは身体にもともと備わった生体防衛機能と自然治癒力とを活発にして免疫力及び内分泌ホルモンを向上させるとともに、プラスイオンによって酸化された身体を還元させることで新陳代謝を活発にすることができる。
【0054】
また、マイナスイオンは、体内のプラスイオンが血液中に侵入して起こるデコボコ状や団子状に連なった正常でない赤血球と結合し、該赤血球を正常な丸状に改善することができ、健康な血液に活性化するという血液浄化効果も得ることができる。
【0055】
また、マイナスイオンとともに照射される遠赤外線は目視できない長波長の光線であり、物質の中心の深部を温めることができる。したがって、遠赤外線を照射することによって、身体を芯から暖めて新陳代謝を活発にさせることができるとともに、体内の毒素を体外に排出させることもできる。
【0056】
また、弾性布帛60は、上述したように、ハンドグローブ1を装着した手や手指100の温度を外部に逃がすことなく、また、外気をシャットアウトすることができ、手や手指100の保温性を確保することができるため、骨間筋や腱の緊張を解すことができる。
【0057】
詳述すると、暖めによる筋肉等の緊張の解しについて説明する図8に示すように、筋肉が緊張したり、脂肪が増えることによって血管200は細くなり、赤血球201の移動すなわち血流が悪くなるが、その部位を暖めることにより、筋肉の緊張は解れ、血管200は広がり、赤血球201の移動がスムーズとなって体内のエネルギーの循環が活性化する。したがって、緊張が解れた筋肉も活性化される。
【0058】
また、折返しライン50や縫付ライン71を導電性繊維70で縫い付け、手指部10の先端に指先開口13を備えたことにより、導電性繊維70の通電性により弾性布帛60から放射されるマイナスイオンをより効果的に手や手指100に作用させることができる。
【0059】
さらには、導電性繊維70のコロナ放電により、弾性布帛60からのマイナスイオンの放射をより活性化することができ、体液自体の弱アルカリ化の効果をより向上することができる。
【0060】
また、折返しライン50や指先開口13のほころび防止縫い72の導電性繊維70と縫付ライン71とを交差させたことによって、折返しライン50,縫合ライン51,指先開口13のほころび防止縫い72及び縫付ライン71のそれぞれに縫い付けた導電性繊維70の全体が電気的に接続され、通電性を向上する。したがって、上記導電性繊維70のコロナ放電による、弾性布帛60からのマイナスイオンの放射の活性化、体液自体の弱アルカリ化の効果をさらに向上することができる。
また、銅金属製皮膜層を備えた導電性繊維70を用いたことにより、同金属による黄色ブドウ球菌等に対する抗菌作用や、消臭作用を得ることができる。
【0061】
次に、本実施例のハンドグローブ1の効果を確認するために実施した効果確認試験について説明する。
効果確認試験は、1分間のインターバルを開けて3回の握力測定を、一般的に利用されているゴルフ用グローブ150を装着した場合とハンドグローブ1を装着した場合のそれぞれ左手で実施し、その握力の向上を確認した。測定は、ゴルフ用グローブ150を装着した場合の測定状況の図9(a)及びハンドグローブ1を装着した場合の測定状況の図9(b)に示すように、立位状態で計測し、装着後の計測はハンドグローブ1を装着してから3分後に開始した。
【0062】
なお、本試験において、ゴルフの場合は一般的に左の手のみ手袋を装着する場合が多いため(およそ85%)、測定は左の手のみとした。この確認試験においては、握力計160は「TAKEI社製GRIP−D」を用いている。10名の測定結果を以下に示す。
【0063】
【表1】

上記表に示すように、10名全ての測定者において、握力が増加していることが確認できた。その増加率は最高15%弱から最低でも6%弱の増加率を確認でき、全体の平均増加率は10.7%であった。このことからも、性別、年齢を問わずリストバンド10を装着したことによる握力増加効果を確認することができた。
【0064】
上記効果確認試験において効果が確認できたように、弾性布帛60で構成したハンドグローブ1に導電性繊維70を所望箇所に縫い付けて縫合するとともに縫付ライン71を構成し、縫付ライン71を手の甲側に配置したことによって骨間筋や腱の緊張を解し、弾性布帛60からのマイナスイオンの放射による体液自体の弱アルカリ化によって生体電流の通電性が向上し、それに伴う筋肉及び伝達神経の活性化、さらには弾性布帛60による保温性による骨間筋や腱の緊張を解した結果、手や手指100の握り締めに関する瞬発力を向上するとともに、握力を向上することができる。
【0065】
さらに、手や手指100全体の筋肉の緊張が解け、筋肉及び伝達神経が活性化されるため、微妙な筋肉のバランスをコントロールでき、精度のよいプレイや作業を実現することができる。
なお、ハンドグローブ1を装着することによって、弾性布帛60の血行促進や体液浄化等の作用機能も得ることができ、装着者の健康促進を促すこともできる。
【0066】
また、指先開口13の上記本実施例において開口率をおよそ80%に設定したが、およそ70乃至85%の範囲で設定すればよい。開口率が70%以下に設定した場合、指先の通気性を十分に確保できず、生体電流の流れが悪化し、筋肉や腱が緊張して握力やその瞬発力が低下する。逆に、開口率が85%以上に設定した場合、指先部分に、弾性布帛60から放射されるマイナスイオンをより効果的に作用させることができず、筋肉や腱の緊張を解すことができない。
【0067】
なお、本実施例においては、指部12の先端の通気手段として、指部12の内外を貫通する指先開口13で構成したが、適宜の開口率で構成された網目状のメッシュで通気手段を構成してもよい。これにより、指先開口13と同様の効果をえることができる。
【0068】
また、上記実施例において、手背部20及び掌部30をジャージ生地61、チタン成分が含有されたチタンシート62、クロロプレーンゴムシート63及び接着層94からなる弾性布帛60で構成したが、手背部20及び掌部30を、複数の貫通孔を備えた弾性布帛90や、メッシュ状の弾性布帛90で構成してもよい。
【0069】
これにより、手背部20及び掌部30の通気性を確保することができ、筋肉や腱の緊張による握力やその瞬発力が低下することを防止できる。詳しくは、ハンドグローブ1を装着したことによって、上述したように手背部20及び掌部30の通気性が悪くなって生体電流の流れが悪くなるが、通気性を確保することにより、生体電流の流れの悪化を防止することができる。したがって、筋肉や腱の緊張による握力やその瞬発力が低下することを防止できる。
【0070】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の手指は、手指100,親指101,人差し指102,中指103,薬指104及び小指105に対応し、
以下同様に、
手袋は、ハンドグローブ1に対応し、
拘束手段は、縫付ライン71に対応し、
導電性糸材は、導電性繊維70に対応し、
手指部の側方に幅方向外側を連続する導電性糸材は、縫合ライン51で縫い付けた導電性繊維70に対応し、
通気手段及び指先開口は、指先開口13に対応し、
布材は、弾性布帛60に対応し、
弾性シート層は、ジャージ生地61に対応し、
チタンシート層は、チタンシート62に対応し、
接着剤は、クロロプレーンゴムシート63に対応し、
表皮層は、接着層64に対応するも
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】ハンドグローブを着用した状態の斜視図。
【図2】ハンドグローブの平面図。
【図3】ハンドグローブの展開平面図。
【図4】ハンドグローブのA−A断面図。
【図5】弾性布帛の構成を説明する説明図。
【図6】弾性布帛の機能について説明する説明図。
【図7】水粒子を細分化についての確認試験の試験結果を示す試験結果説明図。
【図8】装着部位の暖めによる筋肉の緊張の解しについて説明する説明図。
【図9】ハンドグローブの効果確認試験の測定状況を説明する説明図。
【符号の説明】
【0072】
1…ハンドグローブ
10…手指部
13…指先開口
14…指先部
20…手背部
60…弾性布帛
61…ジャージ生地
62…チタンシート
63…クロロプレーンゴムシート
64…接着層
70…導電性繊維
71…縫付ライン
100…手指
101…親指
102…人差し指
103…中指
104…薬指
105…小指

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手指の大部分を覆う手指部及び手の甲の大部分を覆う手背部とを少なくとも備えた手袋であって、
前記手指部及び前記手背部の少なくとも一方の手の甲側に、長さ方向の拘束手段を備えた
手袋。
【請求項2】
前記拘束手段を、
導電性を有する導電性糸材を縫い付けて構成した
請求項1に記載の手袋。
【請求項3】
前記手指部の側方に、
幅方向外側を連続する導電性糸材を配設し、
該導電性糸材の指先付近で、前記拘束手段を構成する導電性糸材と交差させた
請求項2に記載の手袋。
【請求項4】
前記手指部の先端に、
前記手指部の内外の通気を許容する通気手段を備えた
請求項1、2又は3に記載の手袋。
【請求項5】
前記通気手段を、
前記手指部の先端を貫通する指先開口で構成した
請求項1、2又は3に記載の手袋。
【請求項6】
前記指先開口の開口率を、
約70乃至85%の範囲に設定した
請求項5に記載の手袋。
【請求項7】
前記手指部及び前記手背部を、
チタン成分、ラジウム成分またはブラックシリカ成分のうち少なくともひとつを有する布材で構成した
請求項1から6のうちいずれかに記載の手袋。
【請求項8】
前記布材を
弾性を有する弾性シート層と、
チタン成分を含有するチタンシート層と、
ラジウム成分及びブラックシリカ成分を含有し、前記弾性シート層と前記チタンシート層とを貼合する接着剤と、
該接着剤で貼合した前記弾性シート層及び前記チタンシート層の表面を被覆する表皮層とで構成した
請求項7に記載の手袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図7】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−102779(P2009−102779A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−277530(P2007−277530)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(507353234)株式会社フェレンカ (2)
【Fターム(参考)】