手袋
【課題】 洗濯が容易に行えて清潔なものとできる手袋であって指先が肌に対して立ってしまうことをさらに抑制して掻き毟りの軽減による炎症の悪化防止を確実に行える手袋を提供する。
【解決手段】 手の指先により皮膚が掻き毟られることを抑制する手袋1は、親指部分5aが四本指部分5bとは分離されて手が差し込まれる内側グローブ5と、内側グローブ5の手の平に対応する部分の外面と内側グローブ5の手首側の所定位置にその先端5cが固着されている四本指部分5bの手の平に向き合う外面とにより包まれて装着される着脱可能なボール7と、装着されたボール7が内側グローブ5から外に外れてしまう方向に対して装着されたボール7を覆う位置に親指部分5aを位置決めして装着されたボール7を装着位置に固定する固定バンド9とを備える。
【解決手段】 手の指先により皮膚が掻き毟られることを抑制する手袋1は、親指部分5aが四本指部分5bとは分離されて手が差し込まれる内側グローブ5と、内側グローブ5の手の平に対応する部分の外面と内側グローブ5の手首側の所定位置にその先端5cが固着されている四本指部分5bの手の平に向き合う外面とにより包まれて装着される着脱可能なボール7と、装着されたボール7が内側グローブ5から外に外れてしまう方向に対して装着されたボール7を覆う位置に親指部分5aを位置決めして装着されたボール7を装着位置に固定する固定バンド9とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手袋に関し、特に手の指先により皮膚が掻き毟られることを抑制する手袋に関する。
【背景技術】
【0002】
掻き毟り防止用手袋としては、特許文献1に記載のものがある。この手袋は、アトピー性皮膚炎などの皮膚が痒くなるアレルギー性疾患にかかった乳幼児や子供などが入眠中に体、とくに顔や首周りの痒みに我慢できずに或いは無意識に掻きむしることによる炎症の悪化を防止することを目的にしている。そして、この手袋は、外袋とこの外袋内に収容されている内袋とからなる独立した少なくとも2枚の袋材によって手を覆う複数構造の手袋状に形成されており、内袋における少なくとも先端部分が遊離するように外袋と内袋が縫合又は接合されていることを特徴としている。
【0003】
また、他の手袋として、特許文献2に記載のものもある。この手袋は、寝たきりのお年寄りが体の痒い所を掻き毟って皮膚病を悪化させるのを和らげ、また介護する人にとってもその労力が軽減されるように、手の指を本人が抵抗を感じない程度に緩やかに拘束できることを目的にしている。そして、この手袋は、通気性の富んだネット地を用い、親指と残りの四本の指とに分かれるように二股に縫製しており、四本の指の裏側に当接する位置に握りバーを内装し、該握りバーの両端を手袋本体に固定していることを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−59809号公報
【特許文献2】特開2001−73209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の手袋では、一つの内袋に手が全体として入っており、内部では各指を動かす自由度が大きいものの、袋を外す際などには指、特に親指が分離されていない場合には却って操作性を低下させていた。これは外袋も1つの袋であることから、2重などの複数になることでその影響が大きくなるが、特に内袋は手のサイズに合わせた小さなものであり、ゆったりとした外袋に比べて小さいことで外のものを扱うための指の操作性を低下させていた。また、2重などの複数の袋にすることで立った指先であってもその摩擦を軽減する面があるものの、指先が立ってしまう点では手袋をつけない状態と変わらない面があり、掻き毟りの軽減による炎症の悪化防止という本来の目的からすると、不十分なものであった。
【0006】
一方、特許文献2の手袋では、握りバーが手袋本体に固定して内装されており、それが堅いものであるため、洗濯機で洗濯すると、洗濯機を傷つける恐れがあった。洗濯機を傷つけなくても、ゴロゴロとした大きな音を騒音のように発生させる恐れがあった。さらに、洗濯機では他の衣類も同時に洗濯されることが通常なため他の衣類を傷める恐れもあった。さらに、握りバーが堅いものであり、洗濯機内では遠心力が働くことから握りバーが手袋本体から分離してしまう恐れがあり、分離すると再度固定する必要性が生じていた。さらに、手袋は対となっており、対の2つが洗濯機に投入されると、上記の問題はより顕著になる恐れがあった。そのため個別の手洗いを強いられることもあり得え、洗濯を行う頻度が低下することも想定されて、その結果、衛生的ではなくなってしまうという恐れがあった。これは、衛生面からすれば、新たな炎症を生じさせてしまう問題にも発展する可能性もある状況であった。さらに、握りバーを握れる構造にはしているが、左右の区別を必要としない構造にしていることから、親指以外の四本の指先が肌に対して立ってしまう恐れがあるばかりか、少なくとも親指が自由に動くことからその指先は肌に立ってしまうため、掻き毟りの軽減による炎症の悪化防止という目的からすれば、不十分なものであった。
【0007】
また、特許文献2に記載の手袋では、手袋の内部に棒状の握りバーがその両端が固着されて取り付けられており、手の指先は自由に動く反面、挿入した手の指(特に手の平・甲側)や手の平・甲の状態は、全体として平板状に圧迫される傾向があり、自然な状態ではなく、装着者にとっては睡眠中に違和感を感じてしまう状況であった。そのため、装着者にとっては違和感を感じる結果、寝心地等に支障が出てきて、安眠を阻害する原因になる恐れがあった。
【0008】
ゆえに、本発明は、洗濯が容易に行えて清潔なものとできる手袋であって安眠を向上させつつ指先が肌に対して立ってしまうことをさらに抑制して掻き毟りの軽減による炎症の悪化防止を確実に行える手袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、手の指先により皮膚が掻き毟られることを抑制する手袋において、少なくとも親指が差し込まれる部分が他の指が差し込まれる部分とは分離されて手が差し込まれるグローブ体と、前記グローブ体の手の平に対応する部分の外面と前記グローブ体の手首側の所定位置にその先端が固着されている前記他の指が差し込まれる部分の手の平に向き合う外面とにより包まれて装着される着脱可能な弾性体又は中空の弾性体で構成される球体と、前記装着された球体が前記グローブ体から外に外れてしまう方向に対して前記装着された球体を覆う位置に前記親指が差し込まれる部分を位置決めして前記装着された球体を装着位置に固定する固定手段とを備え、前記固定手段による固定が解除されることにより前記球体の取り外しが可能になるものである。
【0010】
したがって、他の指が差し込まれる部分の先端がグローブ体の手首側の所定位置に固着されていて球体が装着されるスペースが作られるとともに、球体が装着されて手が差し込まれると自然に球体を掴んだ形に維持されることになるが、この際の指の角度が最も自然な関節の角度である良肢位(どのような力の入れ方をしても人間にとって最も望ましい角度の状態)にできる。また、弾性体であることから堅い物でなく若干の手・指の動きの自然度(自由度)を確保でき、握る力の分散も行え、拳の形になったグローブ体が肌に圧力を加えて擦れてしまうような力が働こうとする状態であっても弾性体の弾力でその力を吸収・分散できる。さらに、球体が中空であれば軽量化できる。そして、拳を握るような形での良肢位が保たれることから、指先が立ちにくくなり、加えて、球体を掴んだ良肢位の形で手の状態が続くことから就寝中に無意識で手袋を外してしまうことも防止できる。また、固定手段による固定の解除により球体の取り外しが可能であることから、球体を取り外した手袋を洗濯することを容易に行える。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記固定手段が、前記親指が差し込まれる部分の自由自在な動きを阻止し、その動きを制限する拘束を行え、前記固定手段による拘束が解除されることにより前記親指が差し込まれる部分の動きの拘束が完全に解除されて、前記親指が差し込まれる部分が自由自在な動きを行えるものである。
【0012】
したがって、親指が差し込まれる部分の動きの自由度が固定手段により制限されることから、就寝中に無意識に手袋を外してしまうことがより防止される一方で、意識して手袋を外そうとすれば制限された自由度の中でも親指部分を動かして反対側の手の手袋の固定手段による拘束の完全な解除を行えて両方の手袋の取り外しも簡単に行える。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2において、前記グローブ体とは遊離しているとともに前記装着された球体と前記グローブ体とを内部に包含できる袋体をさらに備えたものである。
【0014】
したがって、グローブ体と袋体が遊離していることから、拳の形になったグローブ体が袋体の内部で滑ることになる。
【0015】
請求項4に係る発明は、請求項3において、前記袋体若しくは前記グローブ体又は両者を手首に対して固定するための取付手段をさらに備え、前記取付手段によって両手に対して前記袋体若しくは前記グローブ体又は両者をそれぞれ手首に固定すると、自身では前記袋体若しくは前記グローブ体又は両者を両手のいずれからも外すことができないことを特徴とするものである。
【0016】
請求項5に係る発明は、請求項4において、前記取付手段が前記袋体の開口に沿って形成された挿通孔を挿通して取付けられる取付バンドであり、前記取付バンドが、バンド本体と、前記バンド本体の手首への固定度合いを調節できる調節手段と、前記バンド本体をリング状にするために前記バンド本体の両端部に取り付けられてその両端部の着脱を可能とする着脱手段とを有するものである。
【0017】
請求項6に係る発明は、請求項5において、両手に対して前記袋体をそれぞれ手首に固定するために、前記調節手段によって前記バンド本体の固定度合いが調節され、且つ、前記バンド本体が前記袋体の開口に沿って取り付けられると共に前記着脱手段によって装着されてリング状されると、前記取付バンドのリング状を自身では解除を不可としたことを特徴とするものである。
【0018】
なお、袋体とグローブ体のそれぞれを手首に固定しなくても、袋体とグローブ体とは繋がっていれば例えば袋体を手首に固定すればグローブ体も手首に固定できることになり、袋体とグローブ体とのいずれか一方を手首に固定すれば袋体とグローブ体との両者を手首に固定することができる。
【0019】
また、袋体の開口に沿って形成された挿通孔は、少なくとも1個は形成されるとよいが、その形成位置は開口の内縁が好ましい。内縁側に形成されれば、取付バンドが取り付けられると外し難い上に、取付バンドの外側に袋体が位置して取付バンドが直接肌に触れることを防ぐことができるからである。
【0020】
請求項4から6のいずれにおいても、両手に対して取付手段による取付によって手袋の装着が行われれば、例えば睡眠中に無意識下で想定している力以上の力で無理やり手袋を外そうとしても、外すことができないものとできる。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に係る発明によれば、他の指が差し込まれる部分の先端がグローブ体の手首側の所定位置に固着されていて球体が装着されるスペースが作られるとともに、球体が装着されて手が差し込まれると自然に球体を掴んだ形に維持されることになるが、この際の指の角度が最も自然な関節の角度である良肢位(どのような力の入れ方をしても人間にとって最も望ましい角度の状態)になる。その結果、装着者は違和感を感じることが少なく、安眠化を図ることができる。また、弾性体であることから堅い物でなく若干の手・指の動きの自然度(自由度)を確保できるので、握る力を分散するので良肢位が維持されるときの違和感をできるだけ小さいものにできること加えて、拳の形になったグローブ体が肌に圧力を加えて擦れてしまうような力が働こうとする状態であっても弾性体の弾力でその力を吸収・分散して掻き毟りによる炎症悪化を軽減できる。さらに、球体が中空であれば軽量化でき、重量感を軽減して睡眠中の違和感を軽減でき、この点でも安眠化を図ることができる。そして、拳を握るような形での良肢位が保たれることから、指先が立ちにくくなり、加えて、球体を掴んだ形で手の状態が続くことから就寝中に無意識で手袋を外してしまうことも防止でき、掻き毟りの軽減による炎症の悪化防止を確実に行える。また、球体を取り外した手袋を洗濯することを容易に行えるので、清潔なものとできる。さらに、請求項2に係る発明によれば、親指が差し込まれる部分の動きの自由度が変化することから、無意識の手袋の取り外しによる掻き毟りを生じさせることもなく炎症の悪化防止を確実なものとできる一方で、さらに意識した手袋の取り外しは容易であることから火事などの発生で緊急な手袋の取り外しが必要な場合であってもすぐに対処できて安全性の確保も考慮したものとできる。さらに、請求項3に係る発明によれば、拳の形になったグローブ体が袋体の内部で滑ることになり、拳状のグローブ体による皮膚への摩擦が加わる力を抑えるので、より炎症の悪化防止を確実に行える。さらに、請求項4から6いずれかに係る発明によれば、例えば睡眠中に無意識下で想定している力以上の力で無理やり手袋を外そうとしても外すことができないものとでき、これにより掻き毟りを生じさせることもなく炎症の悪化防止をより確実なものとできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態にかかる手袋の変化の状態を説明するための図である。
【図2】手が差し込まれた状態での図1(D)の内部の状態を説明するための図であってII−IIラインでの断面を模式的に示した図である。
【図3】内側グローブが拳状となって、外袋の内側で滑る状態を説明するための図である。
【図4】外袋が外されて固定バンドも外されてボールも外された状態での試作品を映した写真を示した図である。
【図5】外袋が外されて固定バンドも外された状態での試作品を映した写真を示した図である。
【図6】外袋が外されて固定バンドが取り付けられた状態での試作品を映した写真を示した図である。
【図7】外袋が取り付けられた状態での試作品を映した写真を示した図である。
【図8】外袋が外された状態での試作品の左右両手袋を手の甲側から見た写真による図である。
【図9】外袋が外された状態での試作品の左右両手袋を手の親指側から見た写真による図である。
【図10】外袋が外された状態での試作品の左右両手袋を手の平側から見た写真による図である。
【図11】外袋が外された状態での試作品の左右両手袋を手の親指とは反対側から見た写真による図である。
【図12】外袋が外された状態での試作品の左右両手袋を手の先端側から見た写真による図である。
【図13】外袋が外されて固定バンドも外された状態での試作品の左右両手袋を手の甲側から見た写真による図である。
【図14】外袋が外されて固定バンドも外された状態での試作品の左右両手袋を手の親指側から見た写真による図である。
【図15】外袋が外されて固定バンドも外された状態での試作品の左右両手袋を手の平側から見た写真による図である。
【図16】外袋が外されて固定バンドも外された状態での試作品の左右両手袋を手の親指とは反対側から見た写真による図である。
【図17】外袋が外されて固定バンドも外された状態での試作品の左右両手袋を手の先端側から見た写真による図である。
【図18】外袋が外されて固定バンドも外されてボールも外された状態での試作品の左右両手袋を手の親指側から見た写真による図である。
【図19】外袋が外されて固定バンドも外されてボールも外された状態での試作品の左右両手袋を手の親指とは反対側から見た写真による図である。
【図20】外袋を手首へ確実に固定するとともに外袋に繋がっている内側グローブのリストバンド部を締めるように長さが調節されて手袋が手首から抜けないようにする取付バンドを示した写真による図である。
【図21】図21の取付バンドを挿通させて取り付けるために外袋の開口の内縁に沿って5箇所に形成された及び外袋と内側グローブとの繋がり部分に1箇所に形成された(実質的には外袋の開口の内縁に沿って形成された)挿通孔を示した写真による図である。
【図22】図21の状態に対して図20の取付バンドを上記5箇所の挿通孔に挿通させた状態を示した写真による図である。
【図23】外袋が内側グローブを収納して図20の取付バンドが図21の挿通孔に相通した状態を示した写真による図であって取付けバンドがリング状になった状態を示した図である。
【図24】図23の取付バンドの両端部の着脱部分を拡大した写真による図であって装着状態を示した図である。
【図25】図23の取付バンドの両端部の着脱部分を拡大した写真による図であって外した状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1(A)は、外袋が外されて内側グローブの掌内にボールが収まっている状態を示す図である。図1(B)は図1(A)に対応する図であって外袋で内側グローブが包含された状態を示す図である。図1(C)は図1(A)状態をCの方向から見た図である。図1(D)は図1(C)に対応する図であって外袋で内側グローブが包含された(B)状態をDの方向から見た図である。図2は手が差し込まれた状態での図1(D)の内部の状態を説明するための図であってII−IIラインでの断面を模式的に示した図である。
【0024】
図1及び図2を参照して、手袋1は、手の指先により皮膚が掻き毟られることを抑制する手袋である。手袋1は、外袋3と、内側グローブ5と、ボール7と、固定バンド9と、リストバンド部11とを備える。内側グローブ5は、少なくとも親指が差し込まれる部分が他の指が差し込まれる部分とは分離されて手が差し込まれるグローブ体の一例であり、親指部分5aと、その他の四本指が全て差し込まれる四本指部分5bとを含む。内側グローブ5は、指先に力を入れても肌へのダメージを最小限に抑えることと通気性とを考慮して、クッション性の高いメッシュ素材で覆っている。また、内側グローブ5は、手の甲などによる掻き毟りの力にも耐える素材でできている。四本指部分5bの先端部5は、手首側の所定位置にまで延びて固着されている。ボール7は、中空で弾性体で構成される球体の一例であり、内側グローブ5の手の平に対応する部分の外面と四本指部分5bの外面とにより包まれて装着されるが、着脱可能である。固定バンド9は、固定手段の一例であり、強度も十分な伸縮するゴムバンドでできている。装着状態において、固定バンド9により、装着されたボール7は、内側グローブ5の掌から外に外れてしまう方向(図1(A)では紙面に対して垂直方向)に対して装着されたボール7を覆う位置に親指部分5aに位置決めされる。また、固定バンド9は、親指とは反対側ではボール7の外への飛び出しを防ぐ位置をまわっている。ここで、そのまわっている位置は、内側グローブ5の手の平に対応する部分の外面と四本指部分5bの手の平に向き合う側の外面とにより形成された空間の開口であって親指と反対側の開口を覆う位置である。その結果、装着されたボール7はその作られたスペースを利用して内側グローブ5が握り拳のような形になることと相まって装着位置に固定される。
【0025】
固定バンド9の役割をさらに説明する。固定バンド9は、親指部分5aの根元側にかかり、親指部分5aの自由自在な動きを阻止して、その動きを所定範囲内に制限する拘束を行えている。なお、固定バンドの幅との関係にもよるが、親指の根元側ではなく、親指の指先側若しくは真ん中、又はその両方を覆う位置に固定バンドを移動することで、親指の動きの自由度の制限は変更できる。その一方で、固定バンド9による拘束が解除されることにより親指部分5aの動きの拘束が完全に解除されるので、親指部分5aは自由自在な動きを行える。また、固定バンド9による上記固定が解除されることにより、ボール7の取り外しが可能になる。つまり、この固定バンド9を用いることにより、固定バンド9に手を通すだけでしっかりした固定ができるとともに、手を抜けば簡単に固定を解除できることが実現できている。さらに、固定バンド9は、手の甲を覆うようにも位置しており、装着者がどの方向に力を入れようとしても、その力は固定バンド9を引っ張る力に変換される。その結果、固定バンド9の締め付け力が増すことにより、より手袋1が手に固定されることになる。
【0026】
次に、四本指部分5bの意義をボール7の意義とともに説明する。上記したように四本指部分5bの先端が内側グローブ5の手首側の所定位置に固着されていてボール7が装着されるスペースが作られており、ボール7が装着されて手が差し込まれると自然にボール7を掴んだ形に維持されることになる。この際の指の角度が最も自然な関節の角度である良肢位(どのような力の入れ方をしても人間にとって最も望ましい角度の状態)になる。この良肢位は機能的肢位であり、関節が動かなくなった場合に日常生活において支障の少ない肢位とされ、手関節では背屈位10〜20°、手指はテニスボールを握るような肢位とされる。また、ボール7が弾性体であることから堅い物でなく若干の手・指の動きの自然度(自由度)を確保できるので、握る力を分散するので良肢位が維持されるときの違和感をできるだけ小さいものにできること加えて、拳の形になった内側グローブ5が肌に圧力を加えて擦れてしまうような力が働こうとする状態であっても弾性体の弾力でその力を吸収・分散して掻き毟りによる炎症悪化を軽減できるという利点が得られている。さらに、ボール7は中空で軽量化とされており、重量感を軽減して睡眠中の違和感を軽減できるという利点が得られている。なお、球体は必ずしも中空である必要はない。中空であればより軽量化を図ることができて重量感を軽減して睡眠中の違和感を軽減でき、この点でも安眠化を図ることができという利点があるが、材料の選択により軽量化を図ることは可能である。そして、弾性体の球体という点からすれば、ゴムボールのほか、ゴムボールと同等の反発力を示すような、シリコーンゴムやスポンジ体などによる弾性体のものであってもよい。
【0027】
リストバンド部11は、畝のある織物・編み物により構成され、伸縮性があり、手首等にフィットするとともに無意識状態での抜け防止の確実化を図るものである。すなわち、リストバンド部11は、内側グローブ5の手首側に接続していて、差し込まれた手の手首から肘側にのびて、内側グローブ5から手13が無意識状態で抜けることを防止する役割を果たしている。
【0028】
袋体の一例の外袋3は、肌触りが柔らかな素材で、さらに内側グローブ5が滑り易い素材でできており、袋部3aとバンド部3bとを含む。袋部3aは内側グローブ5を覆う部分であり、肌に接するので、擦れる際に引っかかりが生じないように、縫い目が表面に出てこないように工夫されている。図1(A)及び図2に示すように、外袋3は、内側グローブ5とは遊離している。袋部3aにより、外袋3は、装着されたボール7と内側グローブ5とを内部に包含できる。伸縮性があるバンド部3bにより、外袋3がリストバンド部11の上側から手首にフィットするものになっている。このバンド部3bにより、外袋が簡単に図1(B)及び(D)の状態から図1(A)及び(C)の状態になってしまうことを防止できている。
【0029】
以上のような手袋1では、上記したように、安眠化を図ることが可能、さらには手袋1の手への固定をしっかりと行うことが可能、内側グローブ5による拳状の手からの肌への力が加わる際の軽減化を可能という利点に加えて、内側グローブ5の形状、固定バンド9、及びボール7という構成により、内側グローブ5にボール7が装着されて手が差し込まれるとボール7を掴んだ形という指の角度が最も自然な関節の角度である良肢位になった上に指先が立ちにくくなる。加えて、ボール7を掴んだ形で手の状態が続くことから就寝中に無意識で手袋を外してしまうことも防止できる。その結果、指先を立てての内側グローブ5の上からの掻き毟りの軽減による炎症の悪化防止を確実に行えとともに、内側グローブ5の内面へも指先の力が加わらないことになって内側グローブ5の破損等を防止できる(このようなボール7を握るような状態は図4及び図5も参照)。また、ボール7を取り外した手袋1は容易に洗濯を行えるので、清潔なものとできる。さらに、内側グローブ5の親指部分5aの動きの自由度が固定バンド9により変化することから、無意識の手袋の取り外しによる掻き毟りを生じさせることもなく炎症の悪化防止を確実なものとできる。その一方で、さらに意識した手袋1の取り外しは自分一人でも容易であることから火事などの発生で緊急な手袋の取り外しが必要な場合であってもすぐに対処できて安全性の確保も考慮したものとできる。なお、親指を動かせる余地があることは、取り外しを容易に行えるだけでなく図1に示す装着状態にも容易に行えることでもあり、自分一人で容易に着脱できるとも言える(このような固定バンド9の利点についての参考として図5及び図6も参照)。さらに、図3に示すように、図3(A)の状態から図3(B)の状態になる際に、拳の形になった内側グローブ5が矢印IIIで表されるように外袋3の内部で滑ることになり(他の図示した矢印でも同様)、拳状の内側グローブによる皮膚への摩擦が加わる力を抑えるので、より炎症の悪化防止を確実に行える(図7も参照)。
【0030】
以下、外観が変化するため、図8等を用いて示しておく。図8から図13には、外袋が外された状態での試作品の左右両手袋が示されている。また、図14から図17には、外袋が外されて固定バンドも外された状態での試作品の左右両手袋が示されている。図18及び図19には、外袋が外されて固定バンドも外されてボールも外された状態での試作品の左右両手袋が示されている。外袋が外されて固定バンドも外されてボールも外された状態での試作品の左右両手袋を示す写真において、図18及び図19以外については、図14から図17のうち対応する図が同じであることから省略する。また、外袋をつけた状態は、図7から特定できるためここでは省略する。
【0031】
なお、内側グローブ5にボール7を着脱するには、親指側とその反対側とのいずれも必ずしも開口とするか必要がなく、いずれかに開口が生じているようにすればよく、例えば、親指の反対側は生地で覆われたものであってもよい。
【0032】
また、図20に示す取付バンドを用いて、より確実に、手袋が抜けないようにしてもよい。すなわち、図20に示す取付バンドが図21に示す挿通孔に挿通されて、図22に示す状態になり、しかも取付バンドの長さも調整されることで(図20参照)、図23に示す状態のように取付バンドが手首(内側グローブのリストバンド部)にしっかりと固定されることが可能になる。この際、外袋と内側グローブとの繋がり部分に1箇所に形成された挿通孔は長いものにしている。これは、取付けバンドの先端部同士が装着された状態で収納されることにより、この先端部が皮膚への直接当たってしまうことを防ぐことができるように工夫したためである。この取付バンドの両端部の着脱は、図20並びに図24及び図25に示すように、両方の手に手袋が装着されると自身では外すことが実質的に不可な状態とできる。これにより、例えば睡眠中に無意識下で想定している力以上の力で無理やり手袋を外そうとしても外すことができないものとでき、これにより掻き毟りを生じさせることもなく炎症の悪化防止をより確実なものとできる。ここで、図20〜図25に示した例では、拳状の内側グローブについては、皮膚への圧力を考慮して、親指の指先部分と拳の先端に対応する部分の表面側についてクッション性を高くするために2重生地にしている。
【0033】
なお、図20〜図25に示した取付バンドを取付手段の一例として示したが、両手に対して外袋をそれぞれ手首に固定すると、ユーザ自身では外袋を両手のいずれからも外すことができないものであれば、他の手段を用いてもよい。
【0034】
また、図20〜図25では、両手に装着されると内側グローブと繋がった外袋を手首に取り付けて内側グローブ及び外袋の両方が外せない例を示したが、外袋又は内側グローブの一方を手首に対して固定するようにしてもよい。
【0035】
さらに、図20〜図25では、取付バンドの手首への固定度合いを調節できるために長さを調節できるようにしたが、必ずしも長さを積極的に調節できる機能を有する必要はない。例えば、ゴムのように一定の弾力と伸縮がある素材でバンドを構成することで、手首への固定度は調節できる。
【0036】
さらに、バンド本体をリング状にするためにバンド本体の両端部に取り付けられてその両端部の着脱を可能とする着脱機構は、図20〜図25に示した手段に限定されず、例えばフック形式であってもよい。
【0037】
さらに、図20〜図25に示した例では、図21及び図22に示したように、取付バンドを挿通させて取り付けるために外袋の開口の内縁に沿って5箇所に形成された及び外袋と内側グローブとの繋がり部分に1箇所に形成された(実質的には外袋の開口の内縁に沿って形成された)挿通孔としたが、挿通孔の数は、1個でもよく、上記の6個に限定されるものではない。
【0038】
さらに、上記実施の形態での外袋と内側グローブの材質は、種々のものを適用でき、その結果、図20〜図25のように親指の指先部分と拳の先端に対応する部分の表面側についてクッション性を高くするために2重生地にする必要は必ずしもない。
【符号の説明】
【0039】
1・・・手袋、3・・・外袋、5・・・内側グローブ、7・・・ボール、9・・・固定バンド
【技術分野】
【0001】
本発明は、手袋に関し、特に手の指先により皮膚が掻き毟られることを抑制する手袋に関する。
【背景技術】
【0002】
掻き毟り防止用手袋としては、特許文献1に記載のものがある。この手袋は、アトピー性皮膚炎などの皮膚が痒くなるアレルギー性疾患にかかった乳幼児や子供などが入眠中に体、とくに顔や首周りの痒みに我慢できずに或いは無意識に掻きむしることによる炎症の悪化を防止することを目的にしている。そして、この手袋は、外袋とこの外袋内に収容されている内袋とからなる独立した少なくとも2枚の袋材によって手を覆う複数構造の手袋状に形成されており、内袋における少なくとも先端部分が遊離するように外袋と内袋が縫合又は接合されていることを特徴としている。
【0003】
また、他の手袋として、特許文献2に記載のものもある。この手袋は、寝たきりのお年寄りが体の痒い所を掻き毟って皮膚病を悪化させるのを和らげ、また介護する人にとってもその労力が軽減されるように、手の指を本人が抵抗を感じない程度に緩やかに拘束できることを目的にしている。そして、この手袋は、通気性の富んだネット地を用い、親指と残りの四本の指とに分かれるように二股に縫製しており、四本の指の裏側に当接する位置に握りバーを内装し、該握りバーの両端を手袋本体に固定していることを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−59809号公報
【特許文献2】特開2001−73209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の手袋では、一つの内袋に手が全体として入っており、内部では各指を動かす自由度が大きいものの、袋を外す際などには指、特に親指が分離されていない場合には却って操作性を低下させていた。これは外袋も1つの袋であることから、2重などの複数になることでその影響が大きくなるが、特に内袋は手のサイズに合わせた小さなものであり、ゆったりとした外袋に比べて小さいことで外のものを扱うための指の操作性を低下させていた。また、2重などの複数の袋にすることで立った指先であってもその摩擦を軽減する面があるものの、指先が立ってしまう点では手袋をつけない状態と変わらない面があり、掻き毟りの軽減による炎症の悪化防止という本来の目的からすると、不十分なものであった。
【0006】
一方、特許文献2の手袋では、握りバーが手袋本体に固定して内装されており、それが堅いものであるため、洗濯機で洗濯すると、洗濯機を傷つける恐れがあった。洗濯機を傷つけなくても、ゴロゴロとした大きな音を騒音のように発生させる恐れがあった。さらに、洗濯機では他の衣類も同時に洗濯されることが通常なため他の衣類を傷める恐れもあった。さらに、握りバーが堅いものであり、洗濯機内では遠心力が働くことから握りバーが手袋本体から分離してしまう恐れがあり、分離すると再度固定する必要性が生じていた。さらに、手袋は対となっており、対の2つが洗濯機に投入されると、上記の問題はより顕著になる恐れがあった。そのため個別の手洗いを強いられることもあり得え、洗濯を行う頻度が低下することも想定されて、その結果、衛生的ではなくなってしまうという恐れがあった。これは、衛生面からすれば、新たな炎症を生じさせてしまう問題にも発展する可能性もある状況であった。さらに、握りバーを握れる構造にはしているが、左右の区別を必要としない構造にしていることから、親指以外の四本の指先が肌に対して立ってしまう恐れがあるばかりか、少なくとも親指が自由に動くことからその指先は肌に立ってしまうため、掻き毟りの軽減による炎症の悪化防止という目的からすれば、不十分なものであった。
【0007】
また、特許文献2に記載の手袋では、手袋の内部に棒状の握りバーがその両端が固着されて取り付けられており、手の指先は自由に動く反面、挿入した手の指(特に手の平・甲側)や手の平・甲の状態は、全体として平板状に圧迫される傾向があり、自然な状態ではなく、装着者にとっては睡眠中に違和感を感じてしまう状況であった。そのため、装着者にとっては違和感を感じる結果、寝心地等に支障が出てきて、安眠を阻害する原因になる恐れがあった。
【0008】
ゆえに、本発明は、洗濯が容易に行えて清潔なものとできる手袋であって安眠を向上させつつ指先が肌に対して立ってしまうことをさらに抑制して掻き毟りの軽減による炎症の悪化防止を確実に行える手袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、手の指先により皮膚が掻き毟られることを抑制する手袋において、少なくとも親指が差し込まれる部分が他の指が差し込まれる部分とは分離されて手が差し込まれるグローブ体と、前記グローブ体の手の平に対応する部分の外面と前記グローブ体の手首側の所定位置にその先端が固着されている前記他の指が差し込まれる部分の手の平に向き合う外面とにより包まれて装着される着脱可能な弾性体又は中空の弾性体で構成される球体と、前記装着された球体が前記グローブ体から外に外れてしまう方向に対して前記装着された球体を覆う位置に前記親指が差し込まれる部分を位置決めして前記装着された球体を装着位置に固定する固定手段とを備え、前記固定手段による固定が解除されることにより前記球体の取り外しが可能になるものである。
【0010】
したがって、他の指が差し込まれる部分の先端がグローブ体の手首側の所定位置に固着されていて球体が装着されるスペースが作られるとともに、球体が装着されて手が差し込まれると自然に球体を掴んだ形に維持されることになるが、この際の指の角度が最も自然な関節の角度である良肢位(どのような力の入れ方をしても人間にとって最も望ましい角度の状態)にできる。また、弾性体であることから堅い物でなく若干の手・指の動きの自然度(自由度)を確保でき、握る力の分散も行え、拳の形になったグローブ体が肌に圧力を加えて擦れてしまうような力が働こうとする状態であっても弾性体の弾力でその力を吸収・分散できる。さらに、球体が中空であれば軽量化できる。そして、拳を握るような形での良肢位が保たれることから、指先が立ちにくくなり、加えて、球体を掴んだ良肢位の形で手の状態が続くことから就寝中に無意識で手袋を外してしまうことも防止できる。また、固定手段による固定の解除により球体の取り外しが可能であることから、球体を取り外した手袋を洗濯することを容易に行える。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記固定手段が、前記親指が差し込まれる部分の自由自在な動きを阻止し、その動きを制限する拘束を行え、前記固定手段による拘束が解除されることにより前記親指が差し込まれる部分の動きの拘束が完全に解除されて、前記親指が差し込まれる部分が自由自在な動きを行えるものである。
【0012】
したがって、親指が差し込まれる部分の動きの自由度が固定手段により制限されることから、就寝中に無意識に手袋を外してしまうことがより防止される一方で、意識して手袋を外そうとすれば制限された自由度の中でも親指部分を動かして反対側の手の手袋の固定手段による拘束の完全な解除を行えて両方の手袋の取り外しも簡単に行える。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2において、前記グローブ体とは遊離しているとともに前記装着された球体と前記グローブ体とを内部に包含できる袋体をさらに備えたものである。
【0014】
したがって、グローブ体と袋体が遊離していることから、拳の形になったグローブ体が袋体の内部で滑ることになる。
【0015】
請求項4に係る発明は、請求項3において、前記袋体若しくは前記グローブ体又は両者を手首に対して固定するための取付手段をさらに備え、前記取付手段によって両手に対して前記袋体若しくは前記グローブ体又は両者をそれぞれ手首に固定すると、自身では前記袋体若しくは前記グローブ体又は両者を両手のいずれからも外すことができないことを特徴とするものである。
【0016】
請求項5に係る発明は、請求項4において、前記取付手段が前記袋体の開口に沿って形成された挿通孔を挿通して取付けられる取付バンドであり、前記取付バンドが、バンド本体と、前記バンド本体の手首への固定度合いを調節できる調節手段と、前記バンド本体をリング状にするために前記バンド本体の両端部に取り付けられてその両端部の着脱を可能とする着脱手段とを有するものである。
【0017】
請求項6に係る発明は、請求項5において、両手に対して前記袋体をそれぞれ手首に固定するために、前記調節手段によって前記バンド本体の固定度合いが調節され、且つ、前記バンド本体が前記袋体の開口に沿って取り付けられると共に前記着脱手段によって装着されてリング状されると、前記取付バンドのリング状を自身では解除を不可としたことを特徴とするものである。
【0018】
なお、袋体とグローブ体のそれぞれを手首に固定しなくても、袋体とグローブ体とは繋がっていれば例えば袋体を手首に固定すればグローブ体も手首に固定できることになり、袋体とグローブ体とのいずれか一方を手首に固定すれば袋体とグローブ体との両者を手首に固定することができる。
【0019】
また、袋体の開口に沿って形成された挿通孔は、少なくとも1個は形成されるとよいが、その形成位置は開口の内縁が好ましい。内縁側に形成されれば、取付バンドが取り付けられると外し難い上に、取付バンドの外側に袋体が位置して取付バンドが直接肌に触れることを防ぐことができるからである。
【0020】
請求項4から6のいずれにおいても、両手に対して取付手段による取付によって手袋の装着が行われれば、例えば睡眠中に無意識下で想定している力以上の力で無理やり手袋を外そうとしても、外すことができないものとできる。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に係る発明によれば、他の指が差し込まれる部分の先端がグローブ体の手首側の所定位置に固着されていて球体が装着されるスペースが作られるとともに、球体が装着されて手が差し込まれると自然に球体を掴んだ形に維持されることになるが、この際の指の角度が最も自然な関節の角度である良肢位(どのような力の入れ方をしても人間にとって最も望ましい角度の状態)になる。その結果、装着者は違和感を感じることが少なく、安眠化を図ることができる。また、弾性体であることから堅い物でなく若干の手・指の動きの自然度(自由度)を確保できるので、握る力を分散するので良肢位が維持されるときの違和感をできるだけ小さいものにできること加えて、拳の形になったグローブ体が肌に圧力を加えて擦れてしまうような力が働こうとする状態であっても弾性体の弾力でその力を吸収・分散して掻き毟りによる炎症悪化を軽減できる。さらに、球体が中空であれば軽量化でき、重量感を軽減して睡眠中の違和感を軽減でき、この点でも安眠化を図ることができる。そして、拳を握るような形での良肢位が保たれることから、指先が立ちにくくなり、加えて、球体を掴んだ形で手の状態が続くことから就寝中に無意識で手袋を外してしまうことも防止でき、掻き毟りの軽減による炎症の悪化防止を確実に行える。また、球体を取り外した手袋を洗濯することを容易に行えるので、清潔なものとできる。さらに、請求項2に係る発明によれば、親指が差し込まれる部分の動きの自由度が変化することから、無意識の手袋の取り外しによる掻き毟りを生じさせることもなく炎症の悪化防止を確実なものとできる一方で、さらに意識した手袋の取り外しは容易であることから火事などの発生で緊急な手袋の取り外しが必要な場合であってもすぐに対処できて安全性の確保も考慮したものとできる。さらに、請求項3に係る発明によれば、拳の形になったグローブ体が袋体の内部で滑ることになり、拳状のグローブ体による皮膚への摩擦が加わる力を抑えるので、より炎症の悪化防止を確実に行える。さらに、請求項4から6いずれかに係る発明によれば、例えば睡眠中に無意識下で想定している力以上の力で無理やり手袋を外そうとしても外すことができないものとでき、これにより掻き毟りを生じさせることもなく炎症の悪化防止をより確実なものとできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態にかかる手袋の変化の状態を説明するための図である。
【図2】手が差し込まれた状態での図1(D)の内部の状態を説明するための図であってII−IIラインでの断面を模式的に示した図である。
【図3】内側グローブが拳状となって、外袋の内側で滑る状態を説明するための図である。
【図4】外袋が外されて固定バンドも外されてボールも外された状態での試作品を映した写真を示した図である。
【図5】外袋が外されて固定バンドも外された状態での試作品を映した写真を示した図である。
【図6】外袋が外されて固定バンドが取り付けられた状態での試作品を映した写真を示した図である。
【図7】外袋が取り付けられた状態での試作品を映した写真を示した図である。
【図8】外袋が外された状態での試作品の左右両手袋を手の甲側から見た写真による図である。
【図9】外袋が外された状態での試作品の左右両手袋を手の親指側から見た写真による図である。
【図10】外袋が外された状態での試作品の左右両手袋を手の平側から見た写真による図である。
【図11】外袋が外された状態での試作品の左右両手袋を手の親指とは反対側から見た写真による図である。
【図12】外袋が外された状態での試作品の左右両手袋を手の先端側から見た写真による図である。
【図13】外袋が外されて固定バンドも外された状態での試作品の左右両手袋を手の甲側から見た写真による図である。
【図14】外袋が外されて固定バンドも外された状態での試作品の左右両手袋を手の親指側から見た写真による図である。
【図15】外袋が外されて固定バンドも外された状態での試作品の左右両手袋を手の平側から見た写真による図である。
【図16】外袋が外されて固定バンドも外された状態での試作品の左右両手袋を手の親指とは反対側から見た写真による図である。
【図17】外袋が外されて固定バンドも外された状態での試作品の左右両手袋を手の先端側から見た写真による図である。
【図18】外袋が外されて固定バンドも外されてボールも外された状態での試作品の左右両手袋を手の親指側から見た写真による図である。
【図19】外袋が外されて固定バンドも外されてボールも外された状態での試作品の左右両手袋を手の親指とは反対側から見た写真による図である。
【図20】外袋を手首へ確実に固定するとともに外袋に繋がっている内側グローブのリストバンド部を締めるように長さが調節されて手袋が手首から抜けないようにする取付バンドを示した写真による図である。
【図21】図21の取付バンドを挿通させて取り付けるために外袋の開口の内縁に沿って5箇所に形成された及び外袋と内側グローブとの繋がり部分に1箇所に形成された(実質的には外袋の開口の内縁に沿って形成された)挿通孔を示した写真による図である。
【図22】図21の状態に対して図20の取付バンドを上記5箇所の挿通孔に挿通させた状態を示した写真による図である。
【図23】外袋が内側グローブを収納して図20の取付バンドが図21の挿通孔に相通した状態を示した写真による図であって取付けバンドがリング状になった状態を示した図である。
【図24】図23の取付バンドの両端部の着脱部分を拡大した写真による図であって装着状態を示した図である。
【図25】図23の取付バンドの両端部の着脱部分を拡大した写真による図であって外した状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1(A)は、外袋が外されて内側グローブの掌内にボールが収まっている状態を示す図である。図1(B)は図1(A)に対応する図であって外袋で内側グローブが包含された状態を示す図である。図1(C)は図1(A)状態をCの方向から見た図である。図1(D)は図1(C)に対応する図であって外袋で内側グローブが包含された(B)状態をDの方向から見た図である。図2は手が差し込まれた状態での図1(D)の内部の状態を説明するための図であってII−IIラインでの断面を模式的に示した図である。
【0024】
図1及び図2を参照して、手袋1は、手の指先により皮膚が掻き毟られることを抑制する手袋である。手袋1は、外袋3と、内側グローブ5と、ボール7と、固定バンド9と、リストバンド部11とを備える。内側グローブ5は、少なくとも親指が差し込まれる部分が他の指が差し込まれる部分とは分離されて手が差し込まれるグローブ体の一例であり、親指部分5aと、その他の四本指が全て差し込まれる四本指部分5bとを含む。内側グローブ5は、指先に力を入れても肌へのダメージを最小限に抑えることと通気性とを考慮して、クッション性の高いメッシュ素材で覆っている。また、内側グローブ5は、手の甲などによる掻き毟りの力にも耐える素材でできている。四本指部分5bの先端部5は、手首側の所定位置にまで延びて固着されている。ボール7は、中空で弾性体で構成される球体の一例であり、内側グローブ5の手の平に対応する部分の外面と四本指部分5bの外面とにより包まれて装着されるが、着脱可能である。固定バンド9は、固定手段の一例であり、強度も十分な伸縮するゴムバンドでできている。装着状態において、固定バンド9により、装着されたボール7は、内側グローブ5の掌から外に外れてしまう方向(図1(A)では紙面に対して垂直方向)に対して装着されたボール7を覆う位置に親指部分5aに位置決めされる。また、固定バンド9は、親指とは反対側ではボール7の外への飛び出しを防ぐ位置をまわっている。ここで、そのまわっている位置は、内側グローブ5の手の平に対応する部分の外面と四本指部分5bの手の平に向き合う側の外面とにより形成された空間の開口であって親指と反対側の開口を覆う位置である。その結果、装着されたボール7はその作られたスペースを利用して内側グローブ5が握り拳のような形になることと相まって装着位置に固定される。
【0025】
固定バンド9の役割をさらに説明する。固定バンド9は、親指部分5aの根元側にかかり、親指部分5aの自由自在な動きを阻止して、その動きを所定範囲内に制限する拘束を行えている。なお、固定バンドの幅との関係にもよるが、親指の根元側ではなく、親指の指先側若しくは真ん中、又はその両方を覆う位置に固定バンドを移動することで、親指の動きの自由度の制限は変更できる。その一方で、固定バンド9による拘束が解除されることにより親指部分5aの動きの拘束が完全に解除されるので、親指部分5aは自由自在な動きを行える。また、固定バンド9による上記固定が解除されることにより、ボール7の取り外しが可能になる。つまり、この固定バンド9を用いることにより、固定バンド9に手を通すだけでしっかりした固定ができるとともに、手を抜けば簡単に固定を解除できることが実現できている。さらに、固定バンド9は、手の甲を覆うようにも位置しており、装着者がどの方向に力を入れようとしても、その力は固定バンド9を引っ張る力に変換される。その結果、固定バンド9の締め付け力が増すことにより、より手袋1が手に固定されることになる。
【0026】
次に、四本指部分5bの意義をボール7の意義とともに説明する。上記したように四本指部分5bの先端が内側グローブ5の手首側の所定位置に固着されていてボール7が装着されるスペースが作られており、ボール7が装着されて手が差し込まれると自然にボール7を掴んだ形に維持されることになる。この際の指の角度が最も自然な関節の角度である良肢位(どのような力の入れ方をしても人間にとって最も望ましい角度の状態)になる。この良肢位は機能的肢位であり、関節が動かなくなった場合に日常生活において支障の少ない肢位とされ、手関節では背屈位10〜20°、手指はテニスボールを握るような肢位とされる。また、ボール7が弾性体であることから堅い物でなく若干の手・指の動きの自然度(自由度)を確保できるので、握る力を分散するので良肢位が維持されるときの違和感をできるだけ小さいものにできること加えて、拳の形になった内側グローブ5が肌に圧力を加えて擦れてしまうような力が働こうとする状態であっても弾性体の弾力でその力を吸収・分散して掻き毟りによる炎症悪化を軽減できるという利点が得られている。さらに、ボール7は中空で軽量化とされており、重量感を軽減して睡眠中の違和感を軽減できるという利点が得られている。なお、球体は必ずしも中空である必要はない。中空であればより軽量化を図ることができて重量感を軽減して睡眠中の違和感を軽減でき、この点でも安眠化を図ることができという利点があるが、材料の選択により軽量化を図ることは可能である。そして、弾性体の球体という点からすれば、ゴムボールのほか、ゴムボールと同等の反発力を示すような、シリコーンゴムやスポンジ体などによる弾性体のものであってもよい。
【0027】
リストバンド部11は、畝のある織物・編み物により構成され、伸縮性があり、手首等にフィットするとともに無意識状態での抜け防止の確実化を図るものである。すなわち、リストバンド部11は、内側グローブ5の手首側に接続していて、差し込まれた手の手首から肘側にのびて、内側グローブ5から手13が無意識状態で抜けることを防止する役割を果たしている。
【0028】
袋体の一例の外袋3は、肌触りが柔らかな素材で、さらに内側グローブ5が滑り易い素材でできており、袋部3aとバンド部3bとを含む。袋部3aは内側グローブ5を覆う部分であり、肌に接するので、擦れる際に引っかかりが生じないように、縫い目が表面に出てこないように工夫されている。図1(A)及び図2に示すように、外袋3は、内側グローブ5とは遊離している。袋部3aにより、外袋3は、装着されたボール7と内側グローブ5とを内部に包含できる。伸縮性があるバンド部3bにより、外袋3がリストバンド部11の上側から手首にフィットするものになっている。このバンド部3bにより、外袋が簡単に図1(B)及び(D)の状態から図1(A)及び(C)の状態になってしまうことを防止できている。
【0029】
以上のような手袋1では、上記したように、安眠化を図ることが可能、さらには手袋1の手への固定をしっかりと行うことが可能、内側グローブ5による拳状の手からの肌への力が加わる際の軽減化を可能という利点に加えて、内側グローブ5の形状、固定バンド9、及びボール7という構成により、内側グローブ5にボール7が装着されて手が差し込まれるとボール7を掴んだ形という指の角度が最も自然な関節の角度である良肢位になった上に指先が立ちにくくなる。加えて、ボール7を掴んだ形で手の状態が続くことから就寝中に無意識で手袋を外してしまうことも防止できる。その結果、指先を立てての内側グローブ5の上からの掻き毟りの軽減による炎症の悪化防止を確実に行えとともに、内側グローブ5の内面へも指先の力が加わらないことになって内側グローブ5の破損等を防止できる(このようなボール7を握るような状態は図4及び図5も参照)。また、ボール7を取り外した手袋1は容易に洗濯を行えるので、清潔なものとできる。さらに、内側グローブ5の親指部分5aの動きの自由度が固定バンド9により変化することから、無意識の手袋の取り外しによる掻き毟りを生じさせることもなく炎症の悪化防止を確実なものとできる。その一方で、さらに意識した手袋1の取り外しは自分一人でも容易であることから火事などの発生で緊急な手袋の取り外しが必要な場合であってもすぐに対処できて安全性の確保も考慮したものとできる。なお、親指を動かせる余地があることは、取り外しを容易に行えるだけでなく図1に示す装着状態にも容易に行えることでもあり、自分一人で容易に着脱できるとも言える(このような固定バンド9の利点についての参考として図5及び図6も参照)。さらに、図3に示すように、図3(A)の状態から図3(B)の状態になる際に、拳の形になった内側グローブ5が矢印IIIで表されるように外袋3の内部で滑ることになり(他の図示した矢印でも同様)、拳状の内側グローブによる皮膚への摩擦が加わる力を抑えるので、より炎症の悪化防止を確実に行える(図7も参照)。
【0030】
以下、外観が変化するため、図8等を用いて示しておく。図8から図13には、外袋が外された状態での試作品の左右両手袋が示されている。また、図14から図17には、外袋が外されて固定バンドも外された状態での試作品の左右両手袋が示されている。図18及び図19には、外袋が外されて固定バンドも外されてボールも外された状態での試作品の左右両手袋が示されている。外袋が外されて固定バンドも外されてボールも外された状態での試作品の左右両手袋を示す写真において、図18及び図19以外については、図14から図17のうち対応する図が同じであることから省略する。また、外袋をつけた状態は、図7から特定できるためここでは省略する。
【0031】
なお、内側グローブ5にボール7を着脱するには、親指側とその反対側とのいずれも必ずしも開口とするか必要がなく、いずれかに開口が生じているようにすればよく、例えば、親指の反対側は生地で覆われたものであってもよい。
【0032】
また、図20に示す取付バンドを用いて、より確実に、手袋が抜けないようにしてもよい。すなわち、図20に示す取付バンドが図21に示す挿通孔に挿通されて、図22に示す状態になり、しかも取付バンドの長さも調整されることで(図20参照)、図23に示す状態のように取付バンドが手首(内側グローブのリストバンド部)にしっかりと固定されることが可能になる。この際、外袋と内側グローブとの繋がり部分に1箇所に形成された挿通孔は長いものにしている。これは、取付けバンドの先端部同士が装着された状態で収納されることにより、この先端部が皮膚への直接当たってしまうことを防ぐことができるように工夫したためである。この取付バンドの両端部の着脱は、図20並びに図24及び図25に示すように、両方の手に手袋が装着されると自身では外すことが実質的に不可な状態とできる。これにより、例えば睡眠中に無意識下で想定している力以上の力で無理やり手袋を外そうとしても外すことができないものとでき、これにより掻き毟りを生じさせることもなく炎症の悪化防止をより確実なものとできる。ここで、図20〜図25に示した例では、拳状の内側グローブについては、皮膚への圧力を考慮して、親指の指先部分と拳の先端に対応する部分の表面側についてクッション性を高くするために2重生地にしている。
【0033】
なお、図20〜図25に示した取付バンドを取付手段の一例として示したが、両手に対して外袋をそれぞれ手首に固定すると、ユーザ自身では外袋を両手のいずれからも外すことができないものであれば、他の手段を用いてもよい。
【0034】
また、図20〜図25では、両手に装着されると内側グローブと繋がった外袋を手首に取り付けて内側グローブ及び外袋の両方が外せない例を示したが、外袋又は内側グローブの一方を手首に対して固定するようにしてもよい。
【0035】
さらに、図20〜図25では、取付バンドの手首への固定度合いを調節できるために長さを調節できるようにしたが、必ずしも長さを積極的に調節できる機能を有する必要はない。例えば、ゴムのように一定の弾力と伸縮がある素材でバンドを構成することで、手首への固定度は調節できる。
【0036】
さらに、バンド本体をリング状にするためにバンド本体の両端部に取り付けられてその両端部の着脱を可能とする着脱機構は、図20〜図25に示した手段に限定されず、例えばフック形式であってもよい。
【0037】
さらに、図20〜図25に示した例では、図21及び図22に示したように、取付バンドを挿通させて取り付けるために外袋の開口の内縁に沿って5箇所に形成された及び外袋と内側グローブとの繋がり部分に1箇所に形成された(実質的には外袋の開口の内縁に沿って形成された)挿通孔としたが、挿通孔の数は、1個でもよく、上記の6個に限定されるものではない。
【0038】
さらに、上記実施の形態での外袋と内側グローブの材質は、種々のものを適用でき、その結果、図20〜図25のように親指の指先部分と拳の先端に対応する部分の表面側についてクッション性を高くするために2重生地にする必要は必ずしもない。
【符号の説明】
【0039】
1・・・手袋、3・・・外袋、5・・・内側グローブ、7・・・ボール、9・・・固定バンド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手の指先により皮膚が掻き毟られることを抑制する手袋において、
少なくとも親指が差し込まれる部分が他の指が差し込まれる部分とは分離されて手が差し込まれるグローブ体と、
前記グローブ体の手の平に対応する部分の外面と前記グローブ体の手首側の所定位置にその先端が固着されている前記他の指が差し込まれる部分の手の平に向き合う外面とにより包まれて装着される着脱可能な弾性体又は中空の弾性体で構成される球体と、
前記装着された球体が前記グローブ体から外に外れてしまう方向に対して前記装着された球体を覆う位置に前記親指が差し込まれる部分を位置決めして前記装着された球体を装着位置に固定する固定手段とを備え、
前記固定手段による固定が解除されることにより前記球体の取り外しが可能になる、手袋。
【請求項2】
前記固定手段は、前記親指が差し込まれる部分の自由自在な動きを阻止し、その動きを制限する拘束を行え、
前記固定手段による拘束が解除されることにより前記親指が差し込まれる部分の動きの拘束が完全に解除されて、前記親指が差し込まれる部分が自由自在な動きを行える、請求項1記載の手袋。
【請求項3】
前記グローブ体とは遊離しているとともに前記装着された球体と前記グローブ体とを内部に包含できる袋体をさらに備えた、請求項1又は2記載の手袋。
【請求項4】
前記袋体若しくは前記グローブ体又は両者を手首に対して固定するための取付手段をさらに備え、
前記取付手段によって両手に対して前記袋体若しくは前記グローブ体又は両者をそれぞれ手首に固定すると、自身では前記袋体若しくは前記グローブ体又は両者を両手のいずれからも外すことができないことを特徴とする、請求項3記載の手袋。
【請求項5】
前記取付手段は前記袋体の開口に沿って形成された挿通孔を挿通して取付けられる取付バンドであり、
前記取付バンドは、
バンド本体と、
前記バンド本体の手首への固定度合いを調節できる調節手段と、
前記バンド本体をリング状にするために前記バンド本体の両端部に取り付けられてその両端部の着脱を可能とする着脱手段とを有する、請求項4記載の手袋。
【請求項6】
両手に対して前記袋体をそれぞれ手首に固定するために、前記調節手段によって前記バンド本体の固定度合いが調節され、且つ、前記バンド本体が前記袋体の開口に沿って取り付けられると共に前記着脱手段によって装着されてリング状されると、前記取付バンドのリング状を自身では解除を不可としたことを特徴とする、請求項5記載の手袋。
【請求項1】
手の指先により皮膚が掻き毟られることを抑制する手袋において、
少なくとも親指が差し込まれる部分が他の指が差し込まれる部分とは分離されて手が差し込まれるグローブ体と、
前記グローブ体の手の平に対応する部分の外面と前記グローブ体の手首側の所定位置にその先端が固着されている前記他の指が差し込まれる部分の手の平に向き合う外面とにより包まれて装着される着脱可能な弾性体又は中空の弾性体で構成される球体と、
前記装着された球体が前記グローブ体から外に外れてしまう方向に対して前記装着された球体を覆う位置に前記親指が差し込まれる部分を位置決めして前記装着された球体を装着位置に固定する固定手段とを備え、
前記固定手段による固定が解除されることにより前記球体の取り外しが可能になる、手袋。
【請求項2】
前記固定手段は、前記親指が差し込まれる部分の自由自在な動きを阻止し、その動きを制限する拘束を行え、
前記固定手段による拘束が解除されることにより前記親指が差し込まれる部分の動きの拘束が完全に解除されて、前記親指が差し込まれる部分が自由自在な動きを行える、請求項1記載の手袋。
【請求項3】
前記グローブ体とは遊離しているとともに前記装着された球体と前記グローブ体とを内部に包含できる袋体をさらに備えた、請求項1又は2記載の手袋。
【請求項4】
前記袋体若しくは前記グローブ体又は両者を手首に対して固定するための取付手段をさらに備え、
前記取付手段によって両手に対して前記袋体若しくは前記グローブ体又は両者をそれぞれ手首に固定すると、自身では前記袋体若しくは前記グローブ体又は両者を両手のいずれからも外すことができないことを特徴とする、請求項3記載の手袋。
【請求項5】
前記取付手段は前記袋体の開口に沿って形成された挿通孔を挿通して取付けられる取付バンドであり、
前記取付バンドは、
バンド本体と、
前記バンド本体の手首への固定度合いを調節できる調節手段と、
前記バンド本体をリング状にするために前記バンド本体の両端部に取り付けられてその両端部の着脱を可能とする着脱手段とを有する、請求項4記載の手袋。
【請求項6】
両手に対して前記袋体をそれぞれ手首に固定するために、前記調節手段によって前記バンド本体の固定度合いが調節され、且つ、前記バンド本体が前記袋体の開口に沿って取り付けられると共に前記着脱手段によって装着されてリング状されると、前記取付バンドのリング状を自身では解除を不可としたことを特徴とする、請求項5記載の手袋。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
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【図12】
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【図19】
【図20】
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【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2012−180628(P2012−180628A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−8020(P2012−8020)
【出願日】平成24年1月18日(2012.1.18)
【出願人】(599045903)学校法人 久留米大学 (72)
【出願人】(306005929)株式会社 サラ (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年1月18日(2012.1.18)
【出願人】(599045903)学校法人 久留米大学 (72)
【出願人】(306005929)株式会社 サラ (1)
【Fターム(参考)】
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