打たせ湯装置及び打たせ湯用ノズル
【課題】給湯水の使用量を抑えつつ、人に当たる瞬間の湯の液摘を丸い球状にすることができる打たせ湯装置を提供すること
【解決手段】給湯水供給源(3)から供給された給湯水を打たせ湯用ノズル(5)から吐出する打たせ湯装置(1)において、前記打たせ湯用ノズル(5)は、前記給湯水を吐出する給湯水出力口(22)が、前記給湯水を入力する給湯水入力口(21)より面積が小さく、前記給湯水出力口(22)の中心を通って直交する二辺(ab,b2)のうち一辺(a2)を他辺(b2)より短くした横長形状である。
【解決手段】給湯水供給源(3)から供給された給湯水を打たせ湯用ノズル(5)から吐出する打たせ湯装置(1)において、前記打たせ湯用ノズル(5)は、前記給湯水を吐出する給湯水出力口(22)が、前記給湯水を入力する給湯水入力口(21)より面積が小さく、前記給湯水出力口(22)の中心を通って直交する二辺(ab,b2)のうち一辺(a2)を他辺(b2)より短くした横長形状である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、打たせ湯装置及び打たせ湯用ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
人間の生活にとって、入浴は、食事や睡眠等と同じように大切である。入浴は、単に体を清潔にするだけでなく、心身の疲労や緊張を除いたり、リンパ液の流れや血行を良くして新陳代謝を高めるなど、健康や美容、リラックス効果を得る上で非常に有益である。このため、人々は、昔から入浴に対して高い関心を持っている。人々の関心をひくために、温泉施設等では、滝のように流れる湯を体の特定箇所に当ててマッサージ効果やリラックス効果を得る打たせ湯など、入浴を快適にする各種装備を浴室に設けている。また、入浴は、人々の生活に最も身近なものの一つである。そのため、これまで温泉施設等で楽しむものとされてきた打たせ湯などを家庭内の浴室に設け、家庭内の浴室をリラックス空間やヘルス・エステ空間と位置づける家庭が増えつつある。
【0003】
例えば、特許文献1では、打たせ湯用ノズルから流下させる給湯水の流出量と流出パターンを制御回路に記憶させ、打たせ湯用ノズルから流下させる給湯水の湯量と流出パターンを周期的に変化させることによって、打たせ湯の人体を打つ力を周期的に変化させてマッサージ効果を増加させると共に、打たせ湯に使用する給湯水を節約する打たせ湯装置が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特許2766394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の打たせ湯装置は、給湯水の流出量と流出パターンを周期的に変化させることにより、マッサージ効果を得ており、給湯水が人に当たる瞬間の液摘の形状について何ら考慮していなかった。
【0006】
人の筋肉や臓器には、固有の振動があり、この振動が乱れると病気になると考えられている。打たせ湯では、振動に異常が生じた部位に打たせ湯の湯を当てて、筋肉や臓器に正常な振動や周波数を与えて共鳴させることによって、より健康な体を作ったり、リラックス効果が得られると考えられる。リラックス効果を得るには、打たせ湯用ノズルから落下する液摘を歯切れ良く、一定のリズムで人に当てることが望ましい。液摘の運動量や周波数は、丸い球状の液摘の方か管理しやすい。その一方で、打たせ湯で使用した給湯水は、衛生上捨てられるため、打たせ湯で使用する給湯水はできるだけ少ない方が良い。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、給湯水の使用量を抑えつつ、人に当たる瞬間の湯の液摘を丸い球状にすることができる打たせ湯装置及び打たせ湯用ノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る打たせ湯装置及び打たせ湯用ノズルは、次のような構成を有する。
(1)給湯水供給源から供給された給湯水を打たせ湯用ノズルから吐出する打たせ湯装置において、前記打たせ湯用ノズルは、前記給湯水を吐出する給湯水出力口が、前記給湯水を入力する給湯水入力口より面積が小さく、前記給湯水出力口の中心を通って直交する二辺のうち一辺を他辺より短くした横長形状である。
給湯水出力口は、横長形状であれば、楕円形状でも、長方形状でも、多角形状でも良い。
【0009】
(2)(1)に記載の発明において、前記給湯水出力口の形状を変更する可変装置を有する。
【0010】
(3)(1)又は(2)に記載の発明において、前記打たせ湯の動作状態を報知する報知手段を有する。
【0011】
(4)給湯水供給源に接続され、前記給湯水供給源から供給された給湯水を給湯水入力口から入力し、給湯水出力口から吐出する打たせ湯用ノズルにおいて、前記給湯水出力口が、前記給湯水入力口より面積が小さく、前記給湯水出力口の中心を通って直交する二辺のうち一辺を他辺より短くした横長形状である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の打たせ湯装置及び打たせ湯用ノズルは、給湯水出力口が給湯水入力口より小さいため、少ない流量の給湯水を勢いよく吐出する。横長形状の給湯水出力口から吐出された給湯水は、水が空気に触れる表面を小さくするために中心に集まろうとする特性により、螺旋状にねじれながら流下し、その後、空中で分断されて丸い球状の液摘を形成する。よって、本発明の打たせ湯装置及び打たせ湯用ノズルは、給湯水の使用量を抑えつつ、人に当たる瞬間の湯の液摘を丸い球状にすることができる。
【0013】
丸い球状の液摘は、ユーザに当たる瞬間のエネルギー効率が良く、歯切れ良くユーザに当たるため、マッサージ効果やリラックス効果をユーザに与えやすい。
【0014】
また、本発明の打たせ湯装置は、可変装置によって給湯水出力口の形状を変更すれば、打たせ湯用ノズルに供給される給湯水の流量や、ユーザが希望する打たせ湯の強さ(換言すれば、液摘の大きさ)、ユーザが希望する液摘の落下周波数などに応じて、丸い球状の液摘を形成することができる。
【0015】
特に、人の筋肉や臓器が持つ固有の振動に、液摘が人に当たる振動を共鳴させることにより、リラックス効果が得られやすい。また、マッサージ効果やリラックス効果は、人によって感じ方が異なる。上記のように、給湯水出力口の形状を変更して液摘の落下周波数や液摘の大きさを変更できれば、ユーザが好む落下周波数や打たせ湯の強さ(液摘の大きさ)に合わせることができ、個々のユーザに合う打たせ湯を実現することができる。
【0016】
また、本発明の打たせ湯装置は、例えば、打たせ湯開始指示を入力した後から打たせ湯用ノズルから給湯水を吐出するまでの間、「給湯水の加熱終了後に打たせ湯を開始します。」とメッセージを流し、打たせ湯を開始する旨をアラームやメッセージなどで報知してから打たせ湯用ノズルから給湯水を吐出する。このため、ユーザは、打たせ湯装置の動作状態を報知手段により適宜認識することができ、使い勝手が良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明に係る打たせ湯装置の実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
(第1実施形態)
<打たせ湯装置の全体構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る打たせ湯装置1の概略構造を示す図である。
打たせ湯装置1は、例えば、家庭内の浴室2に取り付けられる。打たせ湯装置1は、浴室2に予め取り付けていてもよいし、後付けしても良い。打たせ湯装置1は、打たせ湯用ノズル5が浴室2の天井2aに固定されている。打たせ湯装置1は、給湯器3から給湯管4を介して供給された給湯水を打たせ湯用ノズル5から吐出し、打たせ湯用ノズル5の下に居るユーザに当てるように構成されている。
【0019】
打たせ湯装置1は、開閉弁6が、第1給湯管4を介して給湯水供給装置3に接続されている。開閉弁6は、第2給湯管14に接続し、打たせ湯装置1に使用する給湯水の供給と遮断を制御する。第2給湯管14には、上流側から、温度計7と、流量制御弁8と、流路切換弁9とを備える。温度計7は、給湯水供給装置3から供給される給湯水の温度を測定する。流量制御弁8は、打たせ湯用ノズル5に供給する給湯水の流量を制御する。流路切替弁9は、第1ポート9aと第2ポート9bと第3ポート9cとを備える三方弁である。流路切換弁9は、第1ポート9aに第2給湯管14が接続し、第2ポート9bに第3給湯管15を介して打たせ湯用ノズル5が接続し、第3ポート9cに排水管10が接続している。流路切換弁9は、第1ポート9aに第2ポート9b又は第3ポート9cを切り替えて接続し、給湯水の打たせ湯用ノズル5への供給と排水とを制御している。
【0020】
開閉弁6と温度計7と流量制御弁8と流路切替弁9は、制御装置11に接続されている。制御装置11は、打たせ湯装置1専用のものであっても良いし、システムバス全体を制御するものであっても良い。
【0021】
制御装置11は、打たせ湯の温度や強さ、液摘の落下周波数、実行時間などを設定するための操作部12に接続されている。操作部12は、打たせ湯装置1専用のものであっても良いし、システムバス全体の設定を行うための操作パネルで構成しても良い。
また、制御装置11には、打たせ湯装置1の動作状態を報知する報知部13が接続されている。
【0022】
制御装置11は、周知のマイクロコンピュータであって、打たせ湯を実行するためのプログラムや各種データを記憶している。制御装置11は、温度計7から温度測定データを入力する。また、制御装置11は、打たせ湯を実行するためのプログラムを実行することにより、開閉弁6、流量制御弁8、流路切換弁9、操作部12、報知部13に制御信号を適宜送信し、打たせ湯の動作を制御する。
【0023】
<打たせ湯用ノズルの構成>
図2は、図1に示す打たせ湯用ノズル5を示す図である。
打たせ湯用ノズル5は、アルミや樹脂、硬いゴムなど、錆びにくい材料を材質とする。また、打たせ湯用ノズル5は、給湯水の熱や流体圧によって変形しない材質で設けられている。本実施形態では、打たせ湯用ノズル5は、アルミを材質とする。打たせ湯用ノズル5は、給湯水入力口21と、給湯水出力口22とが連通する筒状をなす。給湯水出力口22の面積S2は、給湯水入力口21の面積S1より小さくされている。
【0024】
図3は、図2に示す打たせ湯用ノズル5の給湯水入力口21の形状を示す図である。
給湯水入力口21は、給湯水入力口21の中心(打たせ湯用ノズル5の軸線)を通って直交する二辺(直径)a1,b1が等しい円形をなす。
【0025】
図4は、図2に示す打たせ湯用ノズル5の給湯水出力口22の形状を示す図である。
給湯水出力口22は、給湯水出力口22の中心(打たせ湯用ノズル5の軸線)を通って直交する二辺a2,b2のうち、一辺a2を他辺b2より短くした横長形状をなす。給湯水出力口22は、横長形状であれば、長方形状でも、楕円形状でも、多角形状でも良い。給湯水出力口22は、長辺b2が給湯水入力口21の辺b1より長く、短辺a2が給湯水入力口21の辺a1より短くされている。
【0026】
従って、打たせ湯用ノズル5は、給湯水出力口22の面積S2が給水入力口21の面積S1より小さいながらも、給湯水出力口22が給湯水入力口21より幅広な略円錐形状に形成されている。
【0027】
本実施形態では、給湯水出力口22から給湯水入力口22までの高さhが70mm、給湯水入力口21の面積S1が227mm2、給湯水出力口22の面積S2が132mm2の打たせ湯用ノズル5を使用している。この打たせ湯用ノズル5は、給湯水入力口21が辺a1,b1を1.7mmとする円形状をなし、給湯水出力口22が短辺a2を7.5mm、長辺b2を22.5mm、とする楕円形状をなす。
【0028】
<打たせ湯用ノズルの開発過程>
ここで、発明者らは、多数の試作品を作って試行錯誤し、第1実施形態の打たせ湯用ノズル5の形状を開発した。以下、打たせ湯用ノズル5の開発過程を説明することにより、打たせ湯用ノズル5が持つ特有の効果を明らかにする。
【0029】
発明者らは、打たせ湯用ノズル5の開発に当たり、少ない流量で大きな液摘を作り、ユーザに液摘を強く当てるためには、給湯水入力口から入力した給湯水の流速を給湯水出力口から給湯水を吐出する際に加速させるのが良いと考えた。よって、発明者らは、打たせ湯用ノズル5の給湯水出力口の面積S2を給湯水入力口の面積S1より小さくすることにした。
【0030】
そして、発明者らは、多数の試作ノズルを作って実験を重ね、給湯水出力口から吐出する給湯水が、ユーザに当たる時点で丸い球状の液摘となる打たせ湯用ノズルの形状を特定した。
【0031】
試作ノズルは、給湯水入力口の形状が同じで、給湯水出力口の形状が異なるものを多種類準備した。そして、実験は、各種類の試作ノズルを打たせ湯装置1に取り付け、各試作ノズルが吐出する給湯水の液摘形状をカメラで撮像し、確認することにより行った。この結果、給湯水出力口を横長形状にすると、安定した丸い球状の液摘を形成できることが判明した。以下、この実験について説明する。尚、実験では、多数の試作品について実験を行ったが、以下の説明では、ポイントを押さえて実験結果を説明するために、本実施形態の打たせ湯用ノズル5と、図5に示す第1試作ノズルMと、図6に示す第2試作ノズルNとを用いた場合を例に挙げて実験内容及び実験結果を説明する。
【0032】
図5は、実験で使用した第1試作ノズルMを示す図であって(a)は第1試作ノズルMの側面図、(b)は給湯水出力口22Mの形状を示す図である。
第1試作ノズルMは、高さhが70mm、給湯水入力口21が第1実施形態の打たせ湯用ノズル5と同一形状(直径17.0mmの円形状)であって、給湯水出力口22Mが中心を通って直交する2辺(直径)am,bmを6mmとした円形状をなす。この第1試作ノズルMは、給湯水出力口22Mの面積は、約28mm2であり、給湯水入力口21の面積S1(227mm2)に対して約12%程度である。さらに、第1試作ノズルMの給湯水出力口22Mの面積は、打たせ湯用ノズル5の給湯水出力口22の面積S2(132mm2)に対して約20%程度である。
【0033】
図6は、実験で使用した第2試作ノズルNを示す図であって(a)は第2試作ノズルNの側面図、(b)は給湯水出力口22Nの形状を示す図である。
第2試作ノズルNは、全長hが70mm、給湯水入力口21が第1実施形態の打たせ湯用ノズル5と同一形状(直径17.0mmの円形状)であって、給湯水出力口22Nが中心を通って直交する二辺(直径)an,bnを12mmとした円形状をなすものである。この第2試作ノズルNは、給湯水出力口22Nの面積は、約113mm2であり、給湯水入力口21の面積S1(227mm2)に対して約50%程度である。更に、第2試作ノズルNの給湯水出力口22Nの面積は、打たせ湯用ノズル5の給湯水出力口22の面積S2(132mm2)に対して約86%程度である。
【0034】
実験は、給湯水出力口22,22M,22Nが浴室2の床から2mの高さYになるように、浴室2の天井2aに打たせ湯用ノズル5、第1試作ノズルM、第2試作ノズルNを順次取り付け、実施した。そして、各ノズル5,M,Nに給湯水を一定流量ずつ供給し、各ノズル5,M,Nから給湯水を吐出させた。実験では、床から1mの高さを人の肩の位置と仮定して、床から1m付近においてノズル5,M,Nから吐出された給湯水が落下する様子をハイスピードカメラによって1250コマ/秒(0.0008秒/コマ)の速さで撮影した。撮影された画像を図面化したものを図7〜図8に示す。
【0035】
図8は、図1に示す打たせ湯装置1に第1試作ノズルMを取り付けて打たせ湯を行った場合の液摘形状を示す図である。
図8に示すように、第1試作ノズルMを使用する場合、液摘が丸い球状にならなかった。また、液摘が最も大きくなる部分でも、大きさが18mm程度であった。そして、液摘が落下する落下周波数は、液摘形状が安定した球状でないため一概には言えないが、71.0Hz程度であった。
【0036】
図9は、図1に示す打たせ湯装置1に第2試作ノズルNを取り付けて打たせ湯を行った場合の液摘形状を示す図である。
図9に示すように、第2試作ノズルNを使用する場合、液摘が丸い球状にならなかった。また、液摘が最も大きくなる部分では、大きさが22.9mm程度であった。そして、液摘が落下する落下周波数は、液摘形状が安定した球状でないため一概には言えないが、32.7Hz程度であった。
【0037】
図7は、図1に示す打たせ湯装置1に第1実施形態の打たせ湯用ノズル5を取り付けて打たせ湯を行った場合の液摘形状を示す図である。
図7に示すように、打たせ湯用ノズル5を使用する場合、液摘が安定して丸い球状になった。また、液摘の直径は、23.1mmであった。そして、液摘が落下する落下周波数は、32.3Hzで安定していた。
【0038】
<実験結果の考察>
図7及び図9の実験結果を図8の実験結果と比較すると、給湯水出力口22,22M,22Nの面積を給湯水入力口21の面積に対して小さくし過ぎると、液摘が小さくなることが判明した。また、給湯水出力口22,22M,22Nの面積を給湯水入力口21の面積に対して小さくし過ぎると、落下周波数が多くなることが判明した。これは、給湯水出力口の面積が小さいほど、給湯水出力口から出力される給湯水の流量が少なく、液摘が分断されやすいためと考えられる。
【0039】
そして、図7の実験結果を図9に示す実験結果と比較すると、給湯水出力口の面積が同程度であっても、給湯水出力口を横長形状にすると、安定した丸い球状の液摘を形成できることが判明した。この理由は、以下のように考える。
【0040】
図10は、図1に示す打たせ湯用ノズル5から吐出される給湯水の流れを概念的に示す図である。
打たせ湯用ノズル5から吐出される給湯水は、吐出直後、給湯水出力口22の横長形状を保って流下する。給湯水は、横長形状で吐出され、空気に触れる表面が大きいため、打たせ湯用ノズル5から吐出された後の早い段階で、表面を小さくするために、給湯水出力口22の両端から出力された給湯水が中心部に向かって集まろうとする。このとき、給湯水には、重力も作用している。よって、給湯水は、水の集まろうとする力と重力とのバランスが吐出直後から崩れ始め、やがて螺旋状にねじれ始める。螺旋状に流下する給湯水は、表面を小さくするために、空中で分断される。分断された給湯水は、さらに空気に触れる表面を小さくするように出っ張った部分が中にもぐり込み、安定した丸い球状の液摘を形成する。
【0041】
図11は、第2試作ノズルNから吐出される給湯水の流れを概念的に示す図である。
一方、第2試作ノズルNから吐出される給湯水は、吐出直後、給湯水出力口22Nの丸形状を保って流下する。丸形状は、横長形状より空気に接触する面積が小さい。そのため、丸形状の給湯水出力口22Nから吐出された給湯水は、吐出直後における水の集まろうとする力と重力とのバランスが、横長形状の給湯水出力口22から吐出される給湯水より崩れにくい。よって、丸形状の給湯水出力口22Nから吐出された給湯水は、横長形状の給湯水出力口22から吐出された給湯水より低い位置で、螺旋状にねじれ始める。この結果、螺旋状に流下する給湯水は、横長形状の給湯水出力口22から吐出された給湯水より低い位置で空中分断され、表面を小さくするように丸くなろうとし始める。従って、給湯水は、丸い球状の液摘になる前に、床から1mの高さ付近に到達してしまい、床から1mの高さ付近で安定した丸い球状の液摘を形成することができない。
【0042】
以上説明した実験により、安定した丸い球状の液摘を作るためには、打たせ湯用ノズル5のように、給湯水出力口22を横長形状にすると良いことが、検証できた。また、給湯水出力口22の面積S2を給湯水入力口21の面積S1より小さくし過ぎると、液摘が小さく、落下周波数が多くなることが、検証できた。
【0043】
<液摘の効能>
第1試作ノズルMを使用した場合のように液摘が小さいと、液摘がユーザに当たる際のエネルギーが小さく、マッサージ効果が小さくなる。また、第1試作ノズルMを使用した場合のように周波数が多いと、液摘がユーザに当たる振動が、正常な筋肉や臓器の振動より短い間隔で生じるため、液摘の振動が筋肉や臓器の振動に共鳴せず、リラックス効果を得られない。
【0044】
また、第2試作ノズルNを使用した場合のように、液摘が安定した丸い球状にならないと、液摘がユーザに当たる瞬間に液摘が持つ全エネルギーを発生させることができないため、液摘がユーザに与える振動が弱くなり、少ない流量でマッサージ効果を得ることができない。また、第2試作ノズルNを使用した場合のように、液摘がユーザに当たる周波数が不安定であると、液摘がユーザに当たるリズムが不安定で、リラックス効果を得にくい。
【0045】
この点、打たせ湯用ノズル5は、安定した丸い形状の液摘をユーザに当てることができるので、少ない流量でも液摘がユーザに当たる瞬間に発生するエネルギーを大きくして、マッサージ効果を効率良く得ることができる。また、打たせ湯用ノズル5は、一般的な筋肉や臓器の振動に合わせた適切な周波数で、液摘をユーザにリズム良く当てるので、液摘の振動が筋肉や臓器の振動に共鳴し、優れたリラックス効果を得ることが可能である。
【0046】
<動作説明>
続いて、本実施形態の打たせ湯装置1及び打たせ湯用ノズル5の動作について説明する。
打たせ湯装置1は、通常、開閉弁6が給湯管4を閉じ、打たせ湯用ノズル5から給湯水を吐出しない。
【0047】
ユーザが、操作部12に打たせ湯の給湯水温度、強さ、実行時間などの設定条件を設定して打たせ湯開始指示を入力すると、打たせ湯装置1の制御装置11は、開閉弁6に給湯管4を開く制御信号を送信する。
【0048】
尚、制御装置11は、設定条件の初期値や、過去に設定された設定条件をパターン化して記憶しておき、ユーザが操作部12でパターンを選択したときに選択されたパターンに従って打たせ湯を開始するようにしても良い。これによれば、設定条件を入力する手間を省くことができ、利便性が良くなる。
【0049】
制御装置11は、打たせ湯用ノズル5が設定された強さで湯を吐出するように、流量制御弁8で給湯水の流量を調整する。そして、制御装置11は、温度計7から温度測定データを入力し、開閉弁6から供給される給湯水の温度が設定温度以上であるか否かを判断する。例えば、打たせ湯開始直後は、給湯管4等が冷えていて給湯水から熱を奪うため、給湯水の温度が設定温度未満となる。この場合には、制御装置11は、第1ポート9aと第3ポート9cを連通させる制御信号を流路切換弁9へ送信し、流路切換弁9に流量制御弁8と排水管10とを連通させる。これにより、流量制御弁8から出力される設定温度未満の給湯水は、排水管10へ排水される。排水は、給湯水の温度が設定温度になるまで行われる。換言すれば、打たせ湯用ノズル5は、給湯水が設定温度に到達するまで給湯水を吐出しない。
【0050】
尚、制御装置11は、給湯水を排水する場合、直ちに打たせ湯を開始しない旨をユーザに知らせる音声情報を生成し、報知部13へ送信する。報知部13は、音声情報に基づいて、例えば、「給湯水の加熱終了後に打たせ湯を開始します。しばらくお待ち下さい。」などのメッセージを流す。メッセージを聞いたユーザは、打たせ湯開始指示を操作部12に入力しても打たせ湯が始まらない理由を知り、打たせ湯の開始を不安無く待つことができる。
【0051】
制御装置11は、給湯水が設定温度以上になったことを確認すると、打たせ湯開始を知らせる音声情報を報知部13に送信する。報知部13は、音声情報に基づいて、例えば、「まもなく打たせ湯を開始します。打たせ湯用ノズルの下方でお待ち下さい。」などのメッセージを流し、打たせ湯が開始することをユーザに知らせる。そのため、ユーザは、打たせ湯が開始する報知を確認するまでの間、浴槽につかるなどして時間を有益に使うことができる。
【0052】
制御装置11は、ユーザが打たせ湯用ノズル5の下に移動するまでの時間を確保するために、打たせ湯開始を報知してから所定時間(例えば5秒)待機する。制御装置11は、所定時間が経過すると、第1ポート9aを第2ポート9bに連通させる制御信号を流路切換弁9へ送信し、流路切換弁9に流量制御弁8と打たせ湯用ノズル5を連通させる。これにより、流量制御弁8に流量調整された給湯水は、打たせ湯用ノズル5から吐出される。給湯水は、吐出開始直後からユーザの体に当てられるため、床にたたきつけられる騒音を発生せず、また、給湯水を無駄遣いしない。
【0053】
尚、ユーザには、高齢者や子供など様々な人がおり、行動パターンがまちまちである。また、ユーザの中には、体などを洗った後、待ち時間なしで打たせ湯に当たりたい人もいる。そこで、打たせ湯用ノズル5の下方にユーザがいるか否かを検出する人検出センサを打たせ湯装置1に設け、人検出センサでユーザを検出してから打たせ湯用ノズル5から給湯水を吐出するようにしても良い。これによれば、給湯水の吐出開始直後から確実に給湯水を人に当て、騒音や給湯水の無駄遣いをより確実に防止できる。
【0054】
制御装置11は、打たせ湯用ノズル5から給湯水を吐出すると同時にタイマを起動する。そして、制御装置11は、操作部12で設定された実行時間が経過したか否かを判断する。制御装置11は、実行時間が経過するまで、開閉弁6を開き、打たせ湯用ノズル5から給湯水を吐出し続ける。この間、ユーザは、給湯水が自分の好みの位置に当たるように体をずらしながら、打たせ湯を楽しむ。
【0055】
給湯水出力口22から吐出された給湯水は、ユーザに当たる前に安定した丸い形状の液摘を形成し、一定の周波数で丸い液摘をユーザに当てる。液摘は、丸い球状であるため、ユーザに当たった瞬間に持っているエネルギーの全てを一気に放出する。そのため、ユーザは、歯切れ良く、同じリズムで液摘を所望の箇所に強く当てることができ、マッサージ効果やリラックス効果を得ることができる。
【0056】
制御装置11は、実行時間が経過すると、開閉弁6を閉じると共に、流路切換弁9の第1ポート3aを第3ポート3cに連通させて流量制御弁8を排水管10に連通させる。これにより、給湯水は、打たせ湯用ノズル5から吐出されなくなり、打たせ湯が終了する。
【0057】
<第1実施形態に係る打たせ湯装置及び打たせ湯用ノズルの作用効果>
以上説明したように、第1実施形態の打たせ湯装置1及び打たせ湯用ノズル5は、給湯水出力口22が給湯水入力口21より小さいため、少ない流量の給湯水を給湯水出力口22から勢いよく吐出する。横長形状の給湯水出力口22から吐出された給湯水は、水が空気に触れる表面を小さくするために中心に集まろうとする特性により、螺旋状にねじれながら流下し、その後、空中で分断されて丸い球状の液摘を形成する。よって、第1実施形態の打たせ湯装置1及び打たせ湯用ノズル5は、給湯水の使用量を抑えつつ、人に当たる瞬間の湯の液摘を丸い球状にすることができる。
【0058】
丸い球状の液摘は、ユーザに当たる瞬間のエネルギー効率が良く、歯切れ良くユーザに当たるため、マッサージ効果やリラックス効果をユーザに与えやすい。
【0059】
また、第1実施形態の打たせ湯装置1及び打たせ湯用ノズル5は、給湯水出力口22から出力した液摘が、一定の落下周波数で落下するため、液摘が一定のリズムでユーザに当たる。そのため、ユーザは、筋肉や臓器に異常な振動が生じている部位に、打たせ湯用ノズル5からの液摘を一定の周期で当て、患部に正常な振動や周波数を与えて共鳴させることにより、より優れたリラックス効果を得ることができる。
【0060】
また、第1実施形態の打たせ湯装置1は、例えば、操作部12に打たせ湯開始指示を入力した後から打たせ湯用ノズル5から給湯水を吐出するまでの間、「給湯水の加熱終了後に打たせ湯を開始します。」とメッセージを報知部13から流し、打たせ湯を開始する旨をアラームやメッセージなどで報知してから打たせ湯用ノズル5から給湯水を吐出する。このため、ユーザは、打たせ湯装置の動作状態を報知部13により適宜認識することができ、使い勝手が良い。
【0061】
(第2実施形態)
次に、本発明の打たせ湯装置の第2実施形態について図面を参照して説明する。図12は、本発明の第2実施形態に係る打たせ湯装置で使用する可変装置31の概略構成を示す図であって、(a)は初期状態を示し、(b)は変形状態を示す。
第2実施形態は、可変装置31を備える点を除き、第1実施形態と構成が同じである。ここでは、第1実施形態と相違する点を中心に説明し、第1実施形態と同じ構成については説明や図面に第1実施形態と同一符号を用い、説明を適宜省略する。
【0062】
<可変装置の構成>
図12に示す打たせ湯用ノズル30は、第1実施形態の打たせ湯用ノズル5と同一形状に形成したものである。打たせ湯用ノズル30は、形状を変えられるように、薄い金属で設けられている。
【0063】
可変装置31は、固定板32と可動部材33との間に打たせ湯用ノズル30を配置している。固定板32は、打たせ湯用ノズル30に当接するように配置されている。可動部材33は、空気圧シリンダ34の出力ロッド35に連結され、固定板32側(図中矢印A方向)に突出又は固定板32と反対側(図中矢印B方向)に退避するように直線往復運動可能に設けられている。固定板32と可動部材33との間には、形状変更手段36が配置されている。形状変更手段36は、打たせ湯用ノズル30の一部に連結されている。形状変更手段36は、任意の方向に移動可能にされており、打たせ湯用ノズル30の一端を引っ張って給湯水出力口22の形状を変更するものである。空気圧シリンダ34と形状変更手段36は、制御装置11に接続されている。
【0064】
<動作説明>
第2実施形態の打たせ湯装置は、制御装置11が、操作部12から打たせ湯に関する設定条件を入力すると、設定条件に含まれる打たせ湯の強さに応じた打たせ湯用ノズル30の給湯水出力口22の扁平率を求める。そして、制御装置11は、求めた扁平率から形状変更手段36の移動方向及び移動量を特定した制御信号を生成し、形状変更手段36に送信する。形状変更手段36は、受信した制御信号に従って移動し、給湯水出力口22の形状を変更する。
【0065】
制御装置11は、空気圧シリンダ34に圧縮空気を供給し、シリンダロッド35を固定板32側へ突出させる。可動部材33は、シリンダロッド35によって固定板32側へ押し出され、変形した打たせ湯用ノズル30に当接する。これにより、変形した打たせ湯用ノズル30は、固定板32と可動部材33との間で保持される。
【0066】
その後、制御装置11は、開閉弁6、流量調整手段8、流路切換弁9を用いて設定温度に調整した給湯水を打たせ湯用ノズル30から吐出する。このとき、打たせ湯用ノズル30は、固定板32と可動部材33とに挟まれて変形を阻止されているため、給湯水の流体圧によって給湯水出力口22の扁平率を変えない。
【0067】
打たせ湯の実行時間が経過すると、制御装置11は、打たせ湯用ノズル30からの給湯水の吐出を停止する。それから、制御装置11は、空気圧シリンダ34から圧縮空気を排出し、シリンダロッド35を後退させる。これによって、可動部材33は、打たせ湯用ノズル30から離れる。それから、制御装置11は、形状変更手段36によって打たせ湯用ノズル30を内向きに押圧し、打たせ湯用ノズル30を初期形状に復帰させる。
【0068】
<第2実施形態>
従って、第2実施形態の打たせ湯装置は、可変装置31によって給湯水出力口22の形状を変更すれば、打たせ湯用ノズル30に供給される給湯水の流量や、ユーザが希望する打たせ湯の強さ(換言すれば、液摘の大きさ)、ユーザが希望する液摘の落下周波数などに応じて、丸い球状の液摘を形成することができる。
【0069】
具体的には、例えば、給湯水出力口22の扁平率を小さくして、給湯水出力口22の面積S2を大きくすると、給湯水出力口22から吐出される給湯水の流量が増え、液摘を小さく(弱く)して、液摘の落下周波数を多くできる。一方、例えば、給湯水出力口22の扁平率を大きくして、給湯水出力口22の面積S2を小さくすると、給湯水吐出口から吐出される給湯水の流量が減り、液摘を大きく(強く)して、液摘の落下周波数を少なくできる。よって、第2実施形態の打たせ湯装置は、打たせ湯用ノズル30に供給する給湯水の流量などを調整しなくても、可変装置31によって打たせ湯用ノズル30の給湯水出力口22の形状を変えるだけで、打たせ湯の強さや周波数を設定値に簡単且つ迅速に調整することができる。
【0070】
特に、人の筋肉や臓器などの周波数は、人によって異なる。また、心地よくを感じる周振動の強さも、人によって異なる。よって、第2実施形態の打たせ湯装置のように液摘の周波数や液摘の大きさ(強さ)を変えられることは、マッサージ効果やリラックス効果の向上に大いに役立つ。
【0071】
また、例えば、ユーザが節水のための打たせ湯に使用する給湯水の流量を減少させた場合には、給湯水出力口22の形状が流量に対応せず、丸い球状の液摘を形成できなくなる恐れがある。この場合には、流量と給湯水出力口22との対応関係をマップデータなどとして制御装置11に記憶しておき、流量変更されたときに給湯水出力口22の形状を変更するようにすれば、第2実施形態の打たせ湯装置は、常に、丸い球状の液摘を形成することができる。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。
(1)例えば、上記実施形態では、打たせ湯装置1及び打たせ湯用ノズル5を家庭内の浴室2に設けたが、温泉施設などに打たせ湯装置1や打たせ湯用ノズル5を適用しても良い。
【0073】
(2)例えば、上記実施形態では、給湯水が設定温度になったか否かに基づいて流路切換弁9に流路を切り替えさせたが、前回打たせ湯を実行してから今回打たせ湯を実行するまでの経過時間を測定し、経過時間によって流路切換弁9に流路を切り替えさせるようにしても良い。これによれば、前回打たせ湯を実行した直後に今回打たせ湯を実行する場合には、給湯管4などが冷えておらず、直ちに設定温度以上の給湯水を打たせ湯用ノズル5から吐出することが可能なので、給湯水が設定温度以上か否かを判断するまでもなく、流路切換弁9の第1ポート9aを第2ポート9bに連通させるようにすると良い。これによれば、打たせ湯を再開する指示を与えた後、打たせ湯用ノズル5から給湯水を吐出し始めるまでの待ち時間を短縮することができる。
【0074】
(3)例えば、上記実施形態において、給湯水が設定温度になった後、流量調整弁8が調整する流量を緩やかに増加させてもよい。これによれば、打たせ湯用ノズル5から吐出される給湯水の強さを緩やかに上昇させ、ユーザに与える振動を徐々に強くするので、突然ユーザに強い振動を与えてユーザを驚かせることがない。
【0075】
(4)例えば、上記実施形態において、打たせ湯用ノズル5,30の吐出角度を変更するようにしても良い。これによれば、打たせ湯の実施場所が固定されず、洗い場や浴槽等の場所を選択して打たせ湯を行うことができる。この場合、吐出角度をパターン化して制御装置11に記憶させ、操作部12から吐出角度を設定できるようにしておけば、打たせ湯を行う際に打たせ湯用ノズル5,30の角度を調整する手間を省き、給湯水の無駄遣いを防止できる。
【0076】
(5)例えば、上記実施形態において、所定時間経過しても給湯水が設定温度以上にならない場合には、制御装置11が自動的に開閉弁6を閉じるようにしても良い。これによれば、例えば、給湯水供給装置4に異常がある場合に、打たせ湯を強制終了し、給湯水を排水し続けることを防止できる。この場合に、過去に最も冷たい水(例えば0℃)を加熱して打たせ湯を開始したときに、打たせ湯開始指示を入力してから打たせ湯用ノズル5,30から給湯水を吐出するまでに要した時間を記憶しておき、この記憶した時間を上記所定時間としても良い。これによれば、最も条件が厳しいときに打たせ湯を実行したときを基準に打たせ湯を強制終了させるので、打たせ湯を誤って停止させることがない。また、上記所定時間を操作部12から設定できるようにしても良い。これによれば、無駄な排水を減らし、節水することができる。
【0077】
(6)例えば、上記実施形態において、制御装置11と給湯水供給装置3とを通信線で接続し、給湯水供給装置3が打たせ湯用ノズル5,30に供給する給湯水の温度を変更するようにしても良い。これによれば、打たせ湯の温度をユーザの好みに合わせて変更することができる。
【0078】
(7)例えば、上記実施形態において、打たせ湯の利用履歴を制御装置11に蓄積して記憶し、利用履歴のデータベースを構築しておき、打たせ湯の実行日に対応する過去のデータをデータベースから読み出して、打たせ湯の設定条件を自動的に設定するようにしても良い。これによれば、例えば、夏場には給湯温度を低くして打たせ湯の実行時間を長くし、冬場には給湯温度を高くして打たせ湯の実行時間を短くするなど、設定条件の入力の手間を軽減できる。
【0079】
(8)例えば、上記実施形態では、打たせ湯用ノズル5,30を浴室2の天井2aに1個だけ設けたが、天井2aが壁に複数の打たせ湯用ノズル5,30を設けてもよい。そして、操作部12から複数の打たせ湯用ノズル5,30から1又は2以上のノズルを選択するようにしても良い。これによれば、例えば、大浴場などで複数人が同時に打たせ湯を行うことができる。
(9)上記実施形態では、開閉弁6、流量調整弁8、流路切替弁9を弁で構成したが、流路を開閉、流量調整、流路切替できるものであれば、必ずしも弁でなくても良い。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1実施形態に係る打たせ湯装置の概略構造を示す図である。
【図2】図1に示す打たせ湯用ノズルを示す図である。
【図3】図2に示す打たせ湯用ノズルの給湯水入力口の形状を示す図である。
【図4】図2に示す打たせ湯用ノズルの給湯水出力口の形状を示す図である。
【図5】実験で使用した第1試作ノズルを示す図であって(a)は第1試作ノズルの側面図、(b)給湯水出力口の形状を示す図である。
【図6】実験で使用した第2試作ノズルを示す図であって(a)は第2試作ノズルの側面図、(b)は給湯水出力口の形状を示す図である。
【図7】図1に示す打たせ湯装置に第1実施形態の打たせ湯用ノズルを取り付けて打たせ湯を行った場合の液摘形状を示す図である。
【図8】図1に示す打たせ湯装置に図5に示す第1試作ノズルを取り付けて打たせ湯を行った場合の液摘形状を示す図である。
【図9】図1に示す打たせ湯装置に図6に示す第2試作ノズルを取り付けて打たせ湯を行った場合の液摘形状を示す図である。
【図10】図1に示す打たせ湯用ノズルから吐出される給湯水の流れを概念的に示す図である。
【図11】第1又は第2試作ノズルから吐出される給湯水の流れを概念的に示す図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る打たせ湯装置で使用する可変装置の概略構成を示す図であって、(a)は初期状態を示し、(b)は変形状態を示す。
【符号の説明】
【0081】
1 打たせ湯装置
5,30 打たせ湯用ノズル
13 報知部(報知手段)
21 給湯水入力口
22 給湯水出力口
31 可変装置
S1,S2 面積
【技術分野】
【0001】
本発明は、打たせ湯装置及び打たせ湯用ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
人間の生活にとって、入浴は、食事や睡眠等と同じように大切である。入浴は、単に体を清潔にするだけでなく、心身の疲労や緊張を除いたり、リンパ液の流れや血行を良くして新陳代謝を高めるなど、健康や美容、リラックス効果を得る上で非常に有益である。このため、人々は、昔から入浴に対して高い関心を持っている。人々の関心をひくために、温泉施設等では、滝のように流れる湯を体の特定箇所に当ててマッサージ効果やリラックス効果を得る打たせ湯など、入浴を快適にする各種装備を浴室に設けている。また、入浴は、人々の生活に最も身近なものの一つである。そのため、これまで温泉施設等で楽しむものとされてきた打たせ湯などを家庭内の浴室に設け、家庭内の浴室をリラックス空間やヘルス・エステ空間と位置づける家庭が増えつつある。
【0003】
例えば、特許文献1では、打たせ湯用ノズルから流下させる給湯水の流出量と流出パターンを制御回路に記憶させ、打たせ湯用ノズルから流下させる給湯水の湯量と流出パターンを周期的に変化させることによって、打たせ湯の人体を打つ力を周期的に変化させてマッサージ効果を増加させると共に、打たせ湯に使用する給湯水を節約する打たせ湯装置が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特許2766394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の打たせ湯装置は、給湯水の流出量と流出パターンを周期的に変化させることにより、マッサージ効果を得ており、給湯水が人に当たる瞬間の液摘の形状について何ら考慮していなかった。
【0006】
人の筋肉や臓器には、固有の振動があり、この振動が乱れると病気になると考えられている。打たせ湯では、振動に異常が生じた部位に打たせ湯の湯を当てて、筋肉や臓器に正常な振動や周波数を与えて共鳴させることによって、より健康な体を作ったり、リラックス効果が得られると考えられる。リラックス効果を得るには、打たせ湯用ノズルから落下する液摘を歯切れ良く、一定のリズムで人に当てることが望ましい。液摘の運動量や周波数は、丸い球状の液摘の方か管理しやすい。その一方で、打たせ湯で使用した給湯水は、衛生上捨てられるため、打たせ湯で使用する給湯水はできるだけ少ない方が良い。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、給湯水の使用量を抑えつつ、人に当たる瞬間の湯の液摘を丸い球状にすることができる打たせ湯装置及び打たせ湯用ノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る打たせ湯装置及び打たせ湯用ノズルは、次のような構成を有する。
(1)給湯水供給源から供給された給湯水を打たせ湯用ノズルから吐出する打たせ湯装置において、前記打たせ湯用ノズルは、前記給湯水を吐出する給湯水出力口が、前記給湯水を入力する給湯水入力口より面積が小さく、前記給湯水出力口の中心を通って直交する二辺のうち一辺を他辺より短くした横長形状である。
給湯水出力口は、横長形状であれば、楕円形状でも、長方形状でも、多角形状でも良い。
【0009】
(2)(1)に記載の発明において、前記給湯水出力口の形状を変更する可変装置を有する。
【0010】
(3)(1)又は(2)に記載の発明において、前記打たせ湯の動作状態を報知する報知手段を有する。
【0011】
(4)給湯水供給源に接続され、前記給湯水供給源から供給された給湯水を給湯水入力口から入力し、給湯水出力口から吐出する打たせ湯用ノズルにおいて、前記給湯水出力口が、前記給湯水入力口より面積が小さく、前記給湯水出力口の中心を通って直交する二辺のうち一辺を他辺より短くした横長形状である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の打たせ湯装置及び打たせ湯用ノズルは、給湯水出力口が給湯水入力口より小さいため、少ない流量の給湯水を勢いよく吐出する。横長形状の給湯水出力口から吐出された給湯水は、水が空気に触れる表面を小さくするために中心に集まろうとする特性により、螺旋状にねじれながら流下し、その後、空中で分断されて丸い球状の液摘を形成する。よって、本発明の打たせ湯装置及び打たせ湯用ノズルは、給湯水の使用量を抑えつつ、人に当たる瞬間の湯の液摘を丸い球状にすることができる。
【0013】
丸い球状の液摘は、ユーザに当たる瞬間のエネルギー効率が良く、歯切れ良くユーザに当たるため、マッサージ効果やリラックス効果をユーザに与えやすい。
【0014】
また、本発明の打たせ湯装置は、可変装置によって給湯水出力口の形状を変更すれば、打たせ湯用ノズルに供給される給湯水の流量や、ユーザが希望する打たせ湯の強さ(換言すれば、液摘の大きさ)、ユーザが希望する液摘の落下周波数などに応じて、丸い球状の液摘を形成することができる。
【0015】
特に、人の筋肉や臓器が持つ固有の振動に、液摘が人に当たる振動を共鳴させることにより、リラックス効果が得られやすい。また、マッサージ効果やリラックス効果は、人によって感じ方が異なる。上記のように、給湯水出力口の形状を変更して液摘の落下周波数や液摘の大きさを変更できれば、ユーザが好む落下周波数や打たせ湯の強さ(液摘の大きさ)に合わせることができ、個々のユーザに合う打たせ湯を実現することができる。
【0016】
また、本発明の打たせ湯装置は、例えば、打たせ湯開始指示を入力した後から打たせ湯用ノズルから給湯水を吐出するまでの間、「給湯水の加熱終了後に打たせ湯を開始します。」とメッセージを流し、打たせ湯を開始する旨をアラームやメッセージなどで報知してから打たせ湯用ノズルから給湯水を吐出する。このため、ユーザは、打たせ湯装置の動作状態を報知手段により適宜認識することができ、使い勝手が良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明に係る打たせ湯装置の実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
(第1実施形態)
<打たせ湯装置の全体構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る打たせ湯装置1の概略構造を示す図である。
打たせ湯装置1は、例えば、家庭内の浴室2に取り付けられる。打たせ湯装置1は、浴室2に予め取り付けていてもよいし、後付けしても良い。打たせ湯装置1は、打たせ湯用ノズル5が浴室2の天井2aに固定されている。打たせ湯装置1は、給湯器3から給湯管4を介して供給された給湯水を打たせ湯用ノズル5から吐出し、打たせ湯用ノズル5の下に居るユーザに当てるように構成されている。
【0019】
打たせ湯装置1は、開閉弁6が、第1給湯管4を介して給湯水供給装置3に接続されている。開閉弁6は、第2給湯管14に接続し、打たせ湯装置1に使用する給湯水の供給と遮断を制御する。第2給湯管14には、上流側から、温度計7と、流量制御弁8と、流路切換弁9とを備える。温度計7は、給湯水供給装置3から供給される給湯水の温度を測定する。流量制御弁8は、打たせ湯用ノズル5に供給する給湯水の流量を制御する。流路切替弁9は、第1ポート9aと第2ポート9bと第3ポート9cとを備える三方弁である。流路切換弁9は、第1ポート9aに第2給湯管14が接続し、第2ポート9bに第3給湯管15を介して打たせ湯用ノズル5が接続し、第3ポート9cに排水管10が接続している。流路切換弁9は、第1ポート9aに第2ポート9b又は第3ポート9cを切り替えて接続し、給湯水の打たせ湯用ノズル5への供給と排水とを制御している。
【0020】
開閉弁6と温度計7と流量制御弁8と流路切替弁9は、制御装置11に接続されている。制御装置11は、打たせ湯装置1専用のものであっても良いし、システムバス全体を制御するものであっても良い。
【0021】
制御装置11は、打たせ湯の温度や強さ、液摘の落下周波数、実行時間などを設定するための操作部12に接続されている。操作部12は、打たせ湯装置1専用のものであっても良いし、システムバス全体の設定を行うための操作パネルで構成しても良い。
また、制御装置11には、打たせ湯装置1の動作状態を報知する報知部13が接続されている。
【0022】
制御装置11は、周知のマイクロコンピュータであって、打たせ湯を実行するためのプログラムや各種データを記憶している。制御装置11は、温度計7から温度測定データを入力する。また、制御装置11は、打たせ湯を実行するためのプログラムを実行することにより、開閉弁6、流量制御弁8、流路切換弁9、操作部12、報知部13に制御信号を適宜送信し、打たせ湯の動作を制御する。
【0023】
<打たせ湯用ノズルの構成>
図2は、図1に示す打たせ湯用ノズル5を示す図である。
打たせ湯用ノズル5は、アルミや樹脂、硬いゴムなど、錆びにくい材料を材質とする。また、打たせ湯用ノズル5は、給湯水の熱や流体圧によって変形しない材質で設けられている。本実施形態では、打たせ湯用ノズル5は、アルミを材質とする。打たせ湯用ノズル5は、給湯水入力口21と、給湯水出力口22とが連通する筒状をなす。給湯水出力口22の面積S2は、給湯水入力口21の面積S1より小さくされている。
【0024】
図3は、図2に示す打たせ湯用ノズル5の給湯水入力口21の形状を示す図である。
給湯水入力口21は、給湯水入力口21の中心(打たせ湯用ノズル5の軸線)を通って直交する二辺(直径)a1,b1が等しい円形をなす。
【0025】
図4は、図2に示す打たせ湯用ノズル5の給湯水出力口22の形状を示す図である。
給湯水出力口22は、給湯水出力口22の中心(打たせ湯用ノズル5の軸線)を通って直交する二辺a2,b2のうち、一辺a2を他辺b2より短くした横長形状をなす。給湯水出力口22は、横長形状であれば、長方形状でも、楕円形状でも、多角形状でも良い。給湯水出力口22は、長辺b2が給湯水入力口21の辺b1より長く、短辺a2が給湯水入力口21の辺a1より短くされている。
【0026】
従って、打たせ湯用ノズル5は、給湯水出力口22の面積S2が給水入力口21の面積S1より小さいながらも、給湯水出力口22が給湯水入力口21より幅広な略円錐形状に形成されている。
【0027】
本実施形態では、給湯水出力口22から給湯水入力口22までの高さhが70mm、給湯水入力口21の面積S1が227mm2、給湯水出力口22の面積S2が132mm2の打たせ湯用ノズル5を使用している。この打たせ湯用ノズル5は、給湯水入力口21が辺a1,b1を1.7mmとする円形状をなし、給湯水出力口22が短辺a2を7.5mm、長辺b2を22.5mm、とする楕円形状をなす。
【0028】
<打たせ湯用ノズルの開発過程>
ここで、発明者らは、多数の試作品を作って試行錯誤し、第1実施形態の打たせ湯用ノズル5の形状を開発した。以下、打たせ湯用ノズル5の開発過程を説明することにより、打たせ湯用ノズル5が持つ特有の効果を明らかにする。
【0029】
発明者らは、打たせ湯用ノズル5の開発に当たり、少ない流量で大きな液摘を作り、ユーザに液摘を強く当てるためには、給湯水入力口から入力した給湯水の流速を給湯水出力口から給湯水を吐出する際に加速させるのが良いと考えた。よって、発明者らは、打たせ湯用ノズル5の給湯水出力口の面積S2を給湯水入力口の面積S1より小さくすることにした。
【0030】
そして、発明者らは、多数の試作ノズルを作って実験を重ね、給湯水出力口から吐出する給湯水が、ユーザに当たる時点で丸い球状の液摘となる打たせ湯用ノズルの形状を特定した。
【0031】
試作ノズルは、給湯水入力口の形状が同じで、給湯水出力口の形状が異なるものを多種類準備した。そして、実験は、各種類の試作ノズルを打たせ湯装置1に取り付け、各試作ノズルが吐出する給湯水の液摘形状をカメラで撮像し、確認することにより行った。この結果、給湯水出力口を横長形状にすると、安定した丸い球状の液摘を形成できることが判明した。以下、この実験について説明する。尚、実験では、多数の試作品について実験を行ったが、以下の説明では、ポイントを押さえて実験結果を説明するために、本実施形態の打たせ湯用ノズル5と、図5に示す第1試作ノズルMと、図6に示す第2試作ノズルNとを用いた場合を例に挙げて実験内容及び実験結果を説明する。
【0032】
図5は、実験で使用した第1試作ノズルMを示す図であって(a)は第1試作ノズルMの側面図、(b)は給湯水出力口22Mの形状を示す図である。
第1試作ノズルMは、高さhが70mm、給湯水入力口21が第1実施形態の打たせ湯用ノズル5と同一形状(直径17.0mmの円形状)であって、給湯水出力口22Mが中心を通って直交する2辺(直径)am,bmを6mmとした円形状をなす。この第1試作ノズルMは、給湯水出力口22Mの面積は、約28mm2であり、給湯水入力口21の面積S1(227mm2)に対して約12%程度である。さらに、第1試作ノズルMの給湯水出力口22Mの面積は、打たせ湯用ノズル5の給湯水出力口22の面積S2(132mm2)に対して約20%程度である。
【0033】
図6は、実験で使用した第2試作ノズルNを示す図であって(a)は第2試作ノズルNの側面図、(b)は給湯水出力口22Nの形状を示す図である。
第2試作ノズルNは、全長hが70mm、給湯水入力口21が第1実施形態の打たせ湯用ノズル5と同一形状(直径17.0mmの円形状)であって、給湯水出力口22Nが中心を通って直交する二辺(直径)an,bnを12mmとした円形状をなすものである。この第2試作ノズルNは、給湯水出力口22Nの面積は、約113mm2であり、給湯水入力口21の面積S1(227mm2)に対して約50%程度である。更に、第2試作ノズルNの給湯水出力口22Nの面積は、打たせ湯用ノズル5の給湯水出力口22の面積S2(132mm2)に対して約86%程度である。
【0034】
実験は、給湯水出力口22,22M,22Nが浴室2の床から2mの高さYになるように、浴室2の天井2aに打たせ湯用ノズル5、第1試作ノズルM、第2試作ノズルNを順次取り付け、実施した。そして、各ノズル5,M,Nに給湯水を一定流量ずつ供給し、各ノズル5,M,Nから給湯水を吐出させた。実験では、床から1mの高さを人の肩の位置と仮定して、床から1m付近においてノズル5,M,Nから吐出された給湯水が落下する様子をハイスピードカメラによって1250コマ/秒(0.0008秒/コマ)の速さで撮影した。撮影された画像を図面化したものを図7〜図8に示す。
【0035】
図8は、図1に示す打たせ湯装置1に第1試作ノズルMを取り付けて打たせ湯を行った場合の液摘形状を示す図である。
図8に示すように、第1試作ノズルMを使用する場合、液摘が丸い球状にならなかった。また、液摘が最も大きくなる部分でも、大きさが18mm程度であった。そして、液摘が落下する落下周波数は、液摘形状が安定した球状でないため一概には言えないが、71.0Hz程度であった。
【0036】
図9は、図1に示す打たせ湯装置1に第2試作ノズルNを取り付けて打たせ湯を行った場合の液摘形状を示す図である。
図9に示すように、第2試作ノズルNを使用する場合、液摘が丸い球状にならなかった。また、液摘が最も大きくなる部分では、大きさが22.9mm程度であった。そして、液摘が落下する落下周波数は、液摘形状が安定した球状でないため一概には言えないが、32.7Hz程度であった。
【0037】
図7は、図1に示す打たせ湯装置1に第1実施形態の打たせ湯用ノズル5を取り付けて打たせ湯を行った場合の液摘形状を示す図である。
図7に示すように、打たせ湯用ノズル5を使用する場合、液摘が安定して丸い球状になった。また、液摘の直径は、23.1mmであった。そして、液摘が落下する落下周波数は、32.3Hzで安定していた。
【0038】
<実験結果の考察>
図7及び図9の実験結果を図8の実験結果と比較すると、給湯水出力口22,22M,22Nの面積を給湯水入力口21の面積に対して小さくし過ぎると、液摘が小さくなることが判明した。また、給湯水出力口22,22M,22Nの面積を給湯水入力口21の面積に対して小さくし過ぎると、落下周波数が多くなることが判明した。これは、給湯水出力口の面積が小さいほど、給湯水出力口から出力される給湯水の流量が少なく、液摘が分断されやすいためと考えられる。
【0039】
そして、図7の実験結果を図9に示す実験結果と比較すると、給湯水出力口の面積が同程度であっても、給湯水出力口を横長形状にすると、安定した丸い球状の液摘を形成できることが判明した。この理由は、以下のように考える。
【0040】
図10は、図1に示す打たせ湯用ノズル5から吐出される給湯水の流れを概念的に示す図である。
打たせ湯用ノズル5から吐出される給湯水は、吐出直後、給湯水出力口22の横長形状を保って流下する。給湯水は、横長形状で吐出され、空気に触れる表面が大きいため、打たせ湯用ノズル5から吐出された後の早い段階で、表面を小さくするために、給湯水出力口22の両端から出力された給湯水が中心部に向かって集まろうとする。このとき、給湯水には、重力も作用している。よって、給湯水は、水の集まろうとする力と重力とのバランスが吐出直後から崩れ始め、やがて螺旋状にねじれ始める。螺旋状に流下する給湯水は、表面を小さくするために、空中で分断される。分断された給湯水は、さらに空気に触れる表面を小さくするように出っ張った部分が中にもぐり込み、安定した丸い球状の液摘を形成する。
【0041】
図11は、第2試作ノズルNから吐出される給湯水の流れを概念的に示す図である。
一方、第2試作ノズルNから吐出される給湯水は、吐出直後、給湯水出力口22Nの丸形状を保って流下する。丸形状は、横長形状より空気に接触する面積が小さい。そのため、丸形状の給湯水出力口22Nから吐出された給湯水は、吐出直後における水の集まろうとする力と重力とのバランスが、横長形状の給湯水出力口22から吐出される給湯水より崩れにくい。よって、丸形状の給湯水出力口22Nから吐出された給湯水は、横長形状の給湯水出力口22から吐出された給湯水より低い位置で、螺旋状にねじれ始める。この結果、螺旋状に流下する給湯水は、横長形状の給湯水出力口22から吐出された給湯水より低い位置で空中分断され、表面を小さくするように丸くなろうとし始める。従って、給湯水は、丸い球状の液摘になる前に、床から1mの高さ付近に到達してしまい、床から1mの高さ付近で安定した丸い球状の液摘を形成することができない。
【0042】
以上説明した実験により、安定した丸い球状の液摘を作るためには、打たせ湯用ノズル5のように、給湯水出力口22を横長形状にすると良いことが、検証できた。また、給湯水出力口22の面積S2を給湯水入力口21の面積S1より小さくし過ぎると、液摘が小さく、落下周波数が多くなることが、検証できた。
【0043】
<液摘の効能>
第1試作ノズルMを使用した場合のように液摘が小さいと、液摘がユーザに当たる際のエネルギーが小さく、マッサージ効果が小さくなる。また、第1試作ノズルMを使用した場合のように周波数が多いと、液摘がユーザに当たる振動が、正常な筋肉や臓器の振動より短い間隔で生じるため、液摘の振動が筋肉や臓器の振動に共鳴せず、リラックス効果を得られない。
【0044】
また、第2試作ノズルNを使用した場合のように、液摘が安定した丸い球状にならないと、液摘がユーザに当たる瞬間に液摘が持つ全エネルギーを発生させることができないため、液摘がユーザに与える振動が弱くなり、少ない流量でマッサージ効果を得ることができない。また、第2試作ノズルNを使用した場合のように、液摘がユーザに当たる周波数が不安定であると、液摘がユーザに当たるリズムが不安定で、リラックス効果を得にくい。
【0045】
この点、打たせ湯用ノズル5は、安定した丸い形状の液摘をユーザに当てることができるので、少ない流量でも液摘がユーザに当たる瞬間に発生するエネルギーを大きくして、マッサージ効果を効率良く得ることができる。また、打たせ湯用ノズル5は、一般的な筋肉や臓器の振動に合わせた適切な周波数で、液摘をユーザにリズム良く当てるので、液摘の振動が筋肉や臓器の振動に共鳴し、優れたリラックス効果を得ることが可能である。
【0046】
<動作説明>
続いて、本実施形態の打たせ湯装置1及び打たせ湯用ノズル5の動作について説明する。
打たせ湯装置1は、通常、開閉弁6が給湯管4を閉じ、打たせ湯用ノズル5から給湯水を吐出しない。
【0047】
ユーザが、操作部12に打たせ湯の給湯水温度、強さ、実行時間などの設定条件を設定して打たせ湯開始指示を入力すると、打たせ湯装置1の制御装置11は、開閉弁6に給湯管4を開く制御信号を送信する。
【0048】
尚、制御装置11は、設定条件の初期値や、過去に設定された設定条件をパターン化して記憶しておき、ユーザが操作部12でパターンを選択したときに選択されたパターンに従って打たせ湯を開始するようにしても良い。これによれば、設定条件を入力する手間を省くことができ、利便性が良くなる。
【0049】
制御装置11は、打たせ湯用ノズル5が設定された強さで湯を吐出するように、流量制御弁8で給湯水の流量を調整する。そして、制御装置11は、温度計7から温度測定データを入力し、開閉弁6から供給される給湯水の温度が設定温度以上であるか否かを判断する。例えば、打たせ湯開始直後は、給湯管4等が冷えていて給湯水から熱を奪うため、給湯水の温度が設定温度未満となる。この場合には、制御装置11は、第1ポート9aと第3ポート9cを連通させる制御信号を流路切換弁9へ送信し、流路切換弁9に流量制御弁8と排水管10とを連通させる。これにより、流量制御弁8から出力される設定温度未満の給湯水は、排水管10へ排水される。排水は、給湯水の温度が設定温度になるまで行われる。換言すれば、打たせ湯用ノズル5は、給湯水が設定温度に到達するまで給湯水を吐出しない。
【0050】
尚、制御装置11は、給湯水を排水する場合、直ちに打たせ湯を開始しない旨をユーザに知らせる音声情報を生成し、報知部13へ送信する。報知部13は、音声情報に基づいて、例えば、「給湯水の加熱終了後に打たせ湯を開始します。しばらくお待ち下さい。」などのメッセージを流す。メッセージを聞いたユーザは、打たせ湯開始指示を操作部12に入力しても打たせ湯が始まらない理由を知り、打たせ湯の開始を不安無く待つことができる。
【0051】
制御装置11は、給湯水が設定温度以上になったことを確認すると、打たせ湯開始を知らせる音声情報を報知部13に送信する。報知部13は、音声情報に基づいて、例えば、「まもなく打たせ湯を開始します。打たせ湯用ノズルの下方でお待ち下さい。」などのメッセージを流し、打たせ湯が開始することをユーザに知らせる。そのため、ユーザは、打たせ湯が開始する報知を確認するまでの間、浴槽につかるなどして時間を有益に使うことができる。
【0052】
制御装置11は、ユーザが打たせ湯用ノズル5の下に移動するまでの時間を確保するために、打たせ湯開始を報知してから所定時間(例えば5秒)待機する。制御装置11は、所定時間が経過すると、第1ポート9aを第2ポート9bに連通させる制御信号を流路切換弁9へ送信し、流路切換弁9に流量制御弁8と打たせ湯用ノズル5を連通させる。これにより、流量制御弁8に流量調整された給湯水は、打たせ湯用ノズル5から吐出される。給湯水は、吐出開始直後からユーザの体に当てられるため、床にたたきつけられる騒音を発生せず、また、給湯水を無駄遣いしない。
【0053】
尚、ユーザには、高齢者や子供など様々な人がおり、行動パターンがまちまちである。また、ユーザの中には、体などを洗った後、待ち時間なしで打たせ湯に当たりたい人もいる。そこで、打たせ湯用ノズル5の下方にユーザがいるか否かを検出する人検出センサを打たせ湯装置1に設け、人検出センサでユーザを検出してから打たせ湯用ノズル5から給湯水を吐出するようにしても良い。これによれば、給湯水の吐出開始直後から確実に給湯水を人に当て、騒音や給湯水の無駄遣いをより確実に防止できる。
【0054】
制御装置11は、打たせ湯用ノズル5から給湯水を吐出すると同時にタイマを起動する。そして、制御装置11は、操作部12で設定された実行時間が経過したか否かを判断する。制御装置11は、実行時間が経過するまで、開閉弁6を開き、打たせ湯用ノズル5から給湯水を吐出し続ける。この間、ユーザは、給湯水が自分の好みの位置に当たるように体をずらしながら、打たせ湯を楽しむ。
【0055】
給湯水出力口22から吐出された給湯水は、ユーザに当たる前に安定した丸い形状の液摘を形成し、一定の周波数で丸い液摘をユーザに当てる。液摘は、丸い球状であるため、ユーザに当たった瞬間に持っているエネルギーの全てを一気に放出する。そのため、ユーザは、歯切れ良く、同じリズムで液摘を所望の箇所に強く当てることができ、マッサージ効果やリラックス効果を得ることができる。
【0056】
制御装置11は、実行時間が経過すると、開閉弁6を閉じると共に、流路切換弁9の第1ポート3aを第3ポート3cに連通させて流量制御弁8を排水管10に連通させる。これにより、給湯水は、打たせ湯用ノズル5から吐出されなくなり、打たせ湯が終了する。
【0057】
<第1実施形態に係る打たせ湯装置及び打たせ湯用ノズルの作用効果>
以上説明したように、第1実施形態の打たせ湯装置1及び打たせ湯用ノズル5は、給湯水出力口22が給湯水入力口21より小さいため、少ない流量の給湯水を給湯水出力口22から勢いよく吐出する。横長形状の給湯水出力口22から吐出された給湯水は、水が空気に触れる表面を小さくするために中心に集まろうとする特性により、螺旋状にねじれながら流下し、その後、空中で分断されて丸い球状の液摘を形成する。よって、第1実施形態の打たせ湯装置1及び打たせ湯用ノズル5は、給湯水の使用量を抑えつつ、人に当たる瞬間の湯の液摘を丸い球状にすることができる。
【0058】
丸い球状の液摘は、ユーザに当たる瞬間のエネルギー効率が良く、歯切れ良くユーザに当たるため、マッサージ効果やリラックス効果をユーザに与えやすい。
【0059】
また、第1実施形態の打たせ湯装置1及び打たせ湯用ノズル5は、給湯水出力口22から出力した液摘が、一定の落下周波数で落下するため、液摘が一定のリズムでユーザに当たる。そのため、ユーザは、筋肉や臓器に異常な振動が生じている部位に、打たせ湯用ノズル5からの液摘を一定の周期で当て、患部に正常な振動や周波数を与えて共鳴させることにより、より優れたリラックス効果を得ることができる。
【0060】
また、第1実施形態の打たせ湯装置1は、例えば、操作部12に打たせ湯開始指示を入力した後から打たせ湯用ノズル5から給湯水を吐出するまでの間、「給湯水の加熱終了後に打たせ湯を開始します。」とメッセージを報知部13から流し、打たせ湯を開始する旨をアラームやメッセージなどで報知してから打たせ湯用ノズル5から給湯水を吐出する。このため、ユーザは、打たせ湯装置の動作状態を報知部13により適宜認識することができ、使い勝手が良い。
【0061】
(第2実施形態)
次に、本発明の打たせ湯装置の第2実施形態について図面を参照して説明する。図12は、本発明の第2実施形態に係る打たせ湯装置で使用する可変装置31の概略構成を示す図であって、(a)は初期状態を示し、(b)は変形状態を示す。
第2実施形態は、可変装置31を備える点を除き、第1実施形態と構成が同じである。ここでは、第1実施形態と相違する点を中心に説明し、第1実施形態と同じ構成については説明や図面に第1実施形態と同一符号を用い、説明を適宜省略する。
【0062】
<可変装置の構成>
図12に示す打たせ湯用ノズル30は、第1実施形態の打たせ湯用ノズル5と同一形状に形成したものである。打たせ湯用ノズル30は、形状を変えられるように、薄い金属で設けられている。
【0063】
可変装置31は、固定板32と可動部材33との間に打たせ湯用ノズル30を配置している。固定板32は、打たせ湯用ノズル30に当接するように配置されている。可動部材33は、空気圧シリンダ34の出力ロッド35に連結され、固定板32側(図中矢印A方向)に突出又は固定板32と反対側(図中矢印B方向)に退避するように直線往復運動可能に設けられている。固定板32と可動部材33との間には、形状変更手段36が配置されている。形状変更手段36は、打たせ湯用ノズル30の一部に連結されている。形状変更手段36は、任意の方向に移動可能にされており、打たせ湯用ノズル30の一端を引っ張って給湯水出力口22の形状を変更するものである。空気圧シリンダ34と形状変更手段36は、制御装置11に接続されている。
【0064】
<動作説明>
第2実施形態の打たせ湯装置は、制御装置11が、操作部12から打たせ湯に関する設定条件を入力すると、設定条件に含まれる打たせ湯の強さに応じた打たせ湯用ノズル30の給湯水出力口22の扁平率を求める。そして、制御装置11は、求めた扁平率から形状変更手段36の移動方向及び移動量を特定した制御信号を生成し、形状変更手段36に送信する。形状変更手段36は、受信した制御信号に従って移動し、給湯水出力口22の形状を変更する。
【0065】
制御装置11は、空気圧シリンダ34に圧縮空気を供給し、シリンダロッド35を固定板32側へ突出させる。可動部材33は、シリンダロッド35によって固定板32側へ押し出され、変形した打たせ湯用ノズル30に当接する。これにより、変形した打たせ湯用ノズル30は、固定板32と可動部材33との間で保持される。
【0066】
その後、制御装置11は、開閉弁6、流量調整手段8、流路切換弁9を用いて設定温度に調整した給湯水を打たせ湯用ノズル30から吐出する。このとき、打たせ湯用ノズル30は、固定板32と可動部材33とに挟まれて変形を阻止されているため、給湯水の流体圧によって給湯水出力口22の扁平率を変えない。
【0067】
打たせ湯の実行時間が経過すると、制御装置11は、打たせ湯用ノズル30からの給湯水の吐出を停止する。それから、制御装置11は、空気圧シリンダ34から圧縮空気を排出し、シリンダロッド35を後退させる。これによって、可動部材33は、打たせ湯用ノズル30から離れる。それから、制御装置11は、形状変更手段36によって打たせ湯用ノズル30を内向きに押圧し、打たせ湯用ノズル30を初期形状に復帰させる。
【0068】
<第2実施形態>
従って、第2実施形態の打たせ湯装置は、可変装置31によって給湯水出力口22の形状を変更すれば、打たせ湯用ノズル30に供給される給湯水の流量や、ユーザが希望する打たせ湯の強さ(換言すれば、液摘の大きさ)、ユーザが希望する液摘の落下周波数などに応じて、丸い球状の液摘を形成することができる。
【0069】
具体的には、例えば、給湯水出力口22の扁平率を小さくして、給湯水出力口22の面積S2を大きくすると、給湯水出力口22から吐出される給湯水の流量が増え、液摘を小さく(弱く)して、液摘の落下周波数を多くできる。一方、例えば、給湯水出力口22の扁平率を大きくして、給湯水出力口22の面積S2を小さくすると、給湯水吐出口から吐出される給湯水の流量が減り、液摘を大きく(強く)して、液摘の落下周波数を少なくできる。よって、第2実施形態の打たせ湯装置は、打たせ湯用ノズル30に供給する給湯水の流量などを調整しなくても、可変装置31によって打たせ湯用ノズル30の給湯水出力口22の形状を変えるだけで、打たせ湯の強さや周波数を設定値に簡単且つ迅速に調整することができる。
【0070】
特に、人の筋肉や臓器などの周波数は、人によって異なる。また、心地よくを感じる周振動の強さも、人によって異なる。よって、第2実施形態の打たせ湯装置のように液摘の周波数や液摘の大きさ(強さ)を変えられることは、マッサージ効果やリラックス効果の向上に大いに役立つ。
【0071】
また、例えば、ユーザが節水のための打たせ湯に使用する給湯水の流量を減少させた場合には、給湯水出力口22の形状が流量に対応せず、丸い球状の液摘を形成できなくなる恐れがある。この場合には、流量と給湯水出力口22との対応関係をマップデータなどとして制御装置11に記憶しておき、流量変更されたときに給湯水出力口22の形状を変更するようにすれば、第2実施形態の打たせ湯装置は、常に、丸い球状の液摘を形成することができる。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。
(1)例えば、上記実施形態では、打たせ湯装置1及び打たせ湯用ノズル5を家庭内の浴室2に設けたが、温泉施設などに打たせ湯装置1や打たせ湯用ノズル5を適用しても良い。
【0073】
(2)例えば、上記実施形態では、給湯水が設定温度になったか否かに基づいて流路切換弁9に流路を切り替えさせたが、前回打たせ湯を実行してから今回打たせ湯を実行するまでの経過時間を測定し、経過時間によって流路切換弁9に流路を切り替えさせるようにしても良い。これによれば、前回打たせ湯を実行した直後に今回打たせ湯を実行する場合には、給湯管4などが冷えておらず、直ちに設定温度以上の給湯水を打たせ湯用ノズル5から吐出することが可能なので、給湯水が設定温度以上か否かを判断するまでもなく、流路切換弁9の第1ポート9aを第2ポート9bに連通させるようにすると良い。これによれば、打たせ湯を再開する指示を与えた後、打たせ湯用ノズル5から給湯水を吐出し始めるまでの待ち時間を短縮することができる。
【0074】
(3)例えば、上記実施形態において、給湯水が設定温度になった後、流量調整弁8が調整する流量を緩やかに増加させてもよい。これによれば、打たせ湯用ノズル5から吐出される給湯水の強さを緩やかに上昇させ、ユーザに与える振動を徐々に強くするので、突然ユーザに強い振動を与えてユーザを驚かせることがない。
【0075】
(4)例えば、上記実施形態において、打たせ湯用ノズル5,30の吐出角度を変更するようにしても良い。これによれば、打たせ湯の実施場所が固定されず、洗い場や浴槽等の場所を選択して打たせ湯を行うことができる。この場合、吐出角度をパターン化して制御装置11に記憶させ、操作部12から吐出角度を設定できるようにしておけば、打たせ湯を行う際に打たせ湯用ノズル5,30の角度を調整する手間を省き、給湯水の無駄遣いを防止できる。
【0076】
(5)例えば、上記実施形態において、所定時間経過しても給湯水が設定温度以上にならない場合には、制御装置11が自動的に開閉弁6を閉じるようにしても良い。これによれば、例えば、給湯水供給装置4に異常がある場合に、打たせ湯を強制終了し、給湯水を排水し続けることを防止できる。この場合に、過去に最も冷たい水(例えば0℃)を加熱して打たせ湯を開始したときに、打たせ湯開始指示を入力してから打たせ湯用ノズル5,30から給湯水を吐出するまでに要した時間を記憶しておき、この記憶した時間を上記所定時間としても良い。これによれば、最も条件が厳しいときに打たせ湯を実行したときを基準に打たせ湯を強制終了させるので、打たせ湯を誤って停止させることがない。また、上記所定時間を操作部12から設定できるようにしても良い。これによれば、無駄な排水を減らし、節水することができる。
【0077】
(6)例えば、上記実施形態において、制御装置11と給湯水供給装置3とを通信線で接続し、給湯水供給装置3が打たせ湯用ノズル5,30に供給する給湯水の温度を変更するようにしても良い。これによれば、打たせ湯の温度をユーザの好みに合わせて変更することができる。
【0078】
(7)例えば、上記実施形態において、打たせ湯の利用履歴を制御装置11に蓄積して記憶し、利用履歴のデータベースを構築しておき、打たせ湯の実行日に対応する過去のデータをデータベースから読み出して、打たせ湯の設定条件を自動的に設定するようにしても良い。これによれば、例えば、夏場には給湯温度を低くして打たせ湯の実行時間を長くし、冬場には給湯温度を高くして打たせ湯の実行時間を短くするなど、設定条件の入力の手間を軽減できる。
【0079】
(8)例えば、上記実施形態では、打たせ湯用ノズル5,30を浴室2の天井2aに1個だけ設けたが、天井2aが壁に複数の打たせ湯用ノズル5,30を設けてもよい。そして、操作部12から複数の打たせ湯用ノズル5,30から1又は2以上のノズルを選択するようにしても良い。これによれば、例えば、大浴場などで複数人が同時に打たせ湯を行うことができる。
(9)上記実施形態では、開閉弁6、流量調整弁8、流路切替弁9を弁で構成したが、流路を開閉、流量調整、流路切替できるものであれば、必ずしも弁でなくても良い。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1実施形態に係る打たせ湯装置の概略構造を示す図である。
【図2】図1に示す打たせ湯用ノズルを示す図である。
【図3】図2に示す打たせ湯用ノズルの給湯水入力口の形状を示す図である。
【図4】図2に示す打たせ湯用ノズルの給湯水出力口の形状を示す図である。
【図5】実験で使用した第1試作ノズルを示す図であって(a)は第1試作ノズルの側面図、(b)給湯水出力口の形状を示す図である。
【図6】実験で使用した第2試作ノズルを示す図であって(a)は第2試作ノズルの側面図、(b)は給湯水出力口の形状を示す図である。
【図7】図1に示す打たせ湯装置に第1実施形態の打たせ湯用ノズルを取り付けて打たせ湯を行った場合の液摘形状を示す図である。
【図8】図1に示す打たせ湯装置に図5に示す第1試作ノズルを取り付けて打たせ湯を行った場合の液摘形状を示す図である。
【図9】図1に示す打たせ湯装置に図6に示す第2試作ノズルを取り付けて打たせ湯を行った場合の液摘形状を示す図である。
【図10】図1に示す打たせ湯用ノズルから吐出される給湯水の流れを概念的に示す図である。
【図11】第1又は第2試作ノズルから吐出される給湯水の流れを概念的に示す図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る打たせ湯装置で使用する可変装置の概略構成を示す図であって、(a)は初期状態を示し、(b)は変形状態を示す。
【符号の説明】
【0081】
1 打たせ湯装置
5,30 打たせ湯用ノズル
13 報知部(報知手段)
21 給湯水入力口
22 給湯水出力口
31 可変装置
S1,S2 面積
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯水供給源から供給された給湯水を打たせ湯用ノズルから吐出する打たせ湯装置において、
前記打たせ湯用ノズルは、前記給湯水を吐出する給湯水出力口が、前記給湯水を入力する給湯水入力口より面積が小さく、前記給湯水出力口の中心を通って直交する二辺のうち一辺を他辺より短くした横長形状である
ことを特徴とする打たせ湯装置。
【請求項2】
請求項1に記載する打たせ湯装置において、
前記給湯水出力口の形状を変更する可変装置を有する
ことを特徴とする打たせ湯装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載する打たせ湯装置において、
前記打たせ湯の動作状態を報知する報知手段を有する
ことを特徴とする打たせ湯装置。
【請求項4】
給湯水供給源に接続され、前記給湯水供給源から供給された給湯水を給湯水入力口から入力し、給湯水出力口から吐出する打たせ湯用ノズルにおいて、
前記給湯水出力口が、前記給湯水入力口より面積が小さく、前記給湯水出力口の中心を通って直交する二辺のうち一辺を他辺より短くした横長形状である
ことを特徴とする打たせ湯用ノズル。
【請求項1】
給湯水供給源から供給された給湯水を打たせ湯用ノズルから吐出する打たせ湯装置において、
前記打たせ湯用ノズルは、前記給湯水を吐出する給湯水出力口が、前記給湯水を入力する給湯水入力口より面積が小さく、前記給湯水出力口の中心を通って直交する二辺のうち一辺を他辺より短くした横長形状である
ことを特徴とする打たせ湯装置。
【請求項2】
請求項1に記載する打たせ湯装置において、
前記給湯水出力口の形状を変更する可変装置を有する
ことを特徴とする打たせ湯装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載する打たせ湯装置において、
前記打たせ湯の動作状態を報知する報知手段を有する
ことを特徴とする打たせ湯装置。
【請求項4】
給湯水供給源に接続され、前記給湯水供給源から供給された給湯水を給湯水入力口から入力し、給湯水出力口から吐出する打たせ湯用ノズルにおいて、
前記給湯水出力口が、前記給湯水入力口より面積が小さく、前記給湯水出力口の中心を通って直交する二辺のうち一辺を他辺より短くした横長形状である
ことを特徴とする打たせ湯用ノズル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−148378(P2009−148378A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−327885(P2007−327885)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【Fターム(参考)】
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