説明

打ち上げ回転体

【課題】火薬のような危険物を使用せず、人体に対しても安全で危険が無く、野外の比較的狭い場所でも遊べて、投げ方或いは打ち上げ方によって飛行状態に差が無く何度でも使用でき、夜間でも皆で楽しめるようなおもちゃを提供する。
【解決手段】打ち上げ回転体1おいては、打ち上げ回転体1の上昇時と下降時の姿勢変化により展開する回転翼4を設け、ゆっくり下降させることにより安全に遊ぶことができ、あわせて電池5と発光素子6を搭載して夜間においても花火に変わるような打ち上げおもちゃとして楽しめる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(以下、「LED」とも表記する。)を装備した打ち上げ式の回転体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空中に投げ上げ、或いは打ち上げて遊ぶおもちゃとして最も一般的なものは花火であり、そのほかにも紙飛行機やブーメランがある。紙飛行機は手で投げ上げて遊ぶものであるが改良が施されゴム等で飛ばすものもある。ブーメランはもともと狩猟用具であったが、素材を紙や樹脂で作成し危険がないようにしておもちゃとしても使われている。
【0003】
花火については言うまでも無く、1回しか使えない、火や火薬を使うため人体に対して危険があり、火災を引き起こす恐れがある等の欠点がある。
【0004】
特許文献1には、従来の手投げ式紙飛行機の欠点であった投げ方によって飛行距離や飛行経路、滞空時間が異なるという欠点を解消するため、ゴムひもの弾力性によって飛ばすことにより発射状態を一定にして飛行距離や長い滞空時間が得られるという技術が開示されている。しかし、この紙飛行機に発光素子を搭載させて夜間も遊ぶことができたり、手投げ後ほぼ発射地点に戻ってくるような技術は開示されていない。このためあらぬ方向に飛んでいってしまい飛行機を無くしてしまう恐れもあり、また、暗闇の夜間では遊ぶことができない。
【0005】
特許文献2には、フリスビー(登録商標)やブーメランのような飛行体に発光素子と電池を搭載して夜間でも遊ぶことができるようにする技術が開示されている。ブーメランはうまく投げればほぼ発射地点に戻ってくるがフリスビーは発射地点に戻ってくることはできない。また、フリスビーもブーメランも遊ぶには広く開けた場所が必要であり、飛行高度が低いため花火のように多人数で、見上げて楽しむことは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−126012号
【特許文献2】実用新案登録3074682号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述のように、火薬のような危険物を使用せず、人体に対しても安全で危険が無く、比較的狭い場所でも遊べて、投げ方或いは打ち上げ方によって飛行状態に差が無く何度でも使用でき、夜間でも皆で楽しめるようなおもちゃの実現が課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような各課題を解決するための本発明に係る打ち上げ回転体は、(請求項1)の如く、電池と発光素子を搭載した頭部に重心がある本体に回転翼を付し、該回転翼は本体上昇時には空気抵抗が少なくなるよう折り畳まれ、本体下降時には該回転翼を展開して本体を回転させてゆっくり下降させ、打ち上げ回転体本体はゴム索あるいはバネを使った打ち上げ具によってほぼ垂直に打ち上げることができるような構成を備える。
【0009】
また、(請求項2)の如く、本体下降時に回転翼の下側となる面に反射塗料あるいは蛍光塗料を塗布するようにしてもよい。
【0010】
更に、(請求項3)の如く、本体に沿って移動する移動体により、本体上昇時には下方に移動して回転翼を本体に沿って空気抵抗が少なくなるよう押さえ、本体が逆向きになって下降するときは移動体も逆向きになって移動して回転翼の押さえをはずし、回転翼を展開しゆっくり回転しながら下降するようにしてもよい。
【0011】
更に、(請求項4)の如く、先端部に錘を付した回転翼とし、上昇時には本体に沿って畳まれ、下降時には錘の乗量によって回転翼が開き展開するようにしてもよい。
【0012】
また、(請求項5)の如く本発明に係る打ち上げ回転体の打ち上げをスムースに行なうために長尺板あるいは長尺棒の先端にゴム索あるいはバネを取り付けた打ち上げ具を用いるようにしてもよい。
【0013】
また、(請求項6)の如く、発光素子を本体上昇時には下向きになるよう取り付けるようにしてもよい。
【0014】
さらに(請求項7)の如く、発光素子を発光ダイオードとするようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る打ち上げ回転体は、ゴム索を用いた打ち上げ具によってほぼ垂直に打ち上げると、上昇速度が0になる頂点で頭部に重心があるため本体は180度姿勢を変え回転翼を展開して竹とんぼのようにゆっくり下降してくるので、危険性は無い。このように、紙飛行機やフリスビーのように広い場所を必要とせず遊ぶことができる。
【0016】
一方、夜間においては本体搭載の発光素子を発光させ、ゴム索によって打ち上げると、上昇時には回転翼が折畳まれているため空気抵抗が少なく勢い良く高く上昇することができ、発光素子が下を向いているため、光点が勢い良く真っ直ぐ空に上っていく様が綺麗に見える。
【0017】
本体が頂点に達して、向きが180度変わると回転翼が展開し、回転しながらゆっくり下降してくる。この時、発光素子は上向きになるため回転翼の下側に発光素子の光があたり、下側に塗布された反射塗料が回転しながら反射して大変綺麗に見える。本発明に係る打ち上げ回転体のこのような上昇下降の光景は、打ち上げ花火のように多数の人によって観賞することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る打ち上げ回転体の一実施例の上昇時の正面図である。
【図2】本発明に係る打ち上げ回転体の一実施例の上昇時の側面図である。
【図3】本発明に係る打ち上げ回転体の一実施例の構造詳細図である。
【図4】本発明に係る打ち上げ回転体の一実施例の下降時の正面図である。
【図5】本発明に係る打ち上げ回転体の回転翼押さえの他の例を示す拡大図である。
【図6】本発明に係る打ち上げ回転体のゴム索による打ち上げ具の実施例である。
【図7】本発明に係る打ち上げ回転体の他の実施例の上昇時の正面図である。
【図8】本発明に係る打ち上げ回転体の他の実施例の上昇時の側面図である。
【図9】本発明に係る打ち上げ回転体の他の実施例の下降時の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下では本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を主略する箇所については公知技術によるものとする。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る打ち上げ回転体1の上昇時の正面図であり、図2は同じく上昇時の側面図であり、図3は電池に関連して、発光素子部2の内部構造及び中心体2の詳細図である。これらに示すように、打ち上げ回転体1は中心体2と電池・発光素子部3と回転翼4とから構成される。
【0021】
電池・発光素子部3には電池5(図1では点線図示)と発光ダイオードのような発光素子6及びスイッチ7が内蔵されている。また、電池・発光素子部3は中心体2に沿って微小距離Lだけ摺動して移動できるよう中心体2に取り付けられている。図の1では打ち上げ回転体が上昇時を表しており、電池・発光素子部3はその重力により中心体2のストッパ9の位置まで下がっており、電池・発光素子部3の下部に設けられた溝8によって回転翼4が上昇中開かないよう且つ空気抵抗が少なくなるよう押さえている。
【0022】
前記説明では電池・発光素子部3が中心体2に対して距離Lだけ摺動することにより回転翼3を押さえていたが、電池・発光素子部3と中心体2を固定とし、打ち上げ回転体1の上昇時と下降時の姿勢の違いにより図5の如く回転或いは摺動する部分を設けて、これにより回転翼3を上昇時には押さえ、下降時には押さえをはずす構造としても良い。
【0023】
図5のA1、A2は回転する部品50によって回転翼3を押さえる例である。図5のA1は上昇時の回転翼3の押さえ部分の拡大図であり、回転部品50によって回転翼3は中心体2に沿って押さえられている。図5のA2は下降時の拡大図であり、回転部品50は姿勢変化により回転し、回転翼3の押さえが外れ、回転翼3は展開していく。
【0024】
図5のB1、B2は摺動する部品51によって回転翼3を押さえる例である。図5のB1は上昇時の回転翼3の押さえ部分の拡大図であり、回転部品51によって回転翼3は中心体2に沿って押さえられている。図5のA2は下降時の拡大図であり、回転部品51は姿勢変化により摺動し、回転翼3の押さえが外れ、回転翼3は展開していく。
【0025】
回転翼4は重量軽減のため薄樹脂板や薄金属板等で構成し、下降時に下側になる面には反射塗料や蛍光塗料を塗布しておくと効果的であり、反射塗料の色分けをしたり、模様を付けると更に効果的である。また、回転翼4は中心体2とヒンジ10で接続されている。ヒンジ10は、通常の兆番或いはセロハンテープのような接着テープで止めたものでも良く、回転翼4が中心体2と接続されており、回転翼4が畳まれた状態と展開した状態になるような可撓構造になっていれば良い。さらに、例えば兆番構造にしてバネを入れ、電池、発光素子部3の溝8による押さえが外れた場合すぐに回転翼が展開できるようにしても良い。
【0026】
また、電池・発光素子部3に内蔵される発光素子6は本発明に係る打ち上げ回転体1が上昇中に発光部が下方を向くよう装備されている。このため、打ち上げ回転体が上昇中は下方から光点がまっすぐ空中を上昇していく様がはっきり観測できる。
【0027】
図4は本発明の一実施形態に係る打ち上げ回転体1の下降時の正面図である。下降時においては、電池・発光素子部3はその重力によって中心体2の頭部に移動するため、回転翼4の押さえがはずれ、回転翼4は風力或いはヒンジ9のバネによって展開し、回転しながら打ち上げ回転体1をゆっくり下降させる。この回転を更にスムースに行うため回転翼4に若干のひねりを与えておいても良く、本説明では回転翼を2枚としたが、3枚、4枚、・・・、と枚数を増やしても良い。
【0028】
打ち上げ回転体1が下降状態に移ると、発光素子6の発光部は上方を向き、回転翼4の下方を照射するため、その光が反射塗料に反射し、くるくる回転しながらゆっくり下降してくる様子が下方から観測でき、発射地点とほぼ同じ地点に戻ってくる。
【0029】
図6は、本発明の一実施形態に係る打ち上げ回転体1を打ち上げるためのゴム索を用いた打ち上げ具の1例を示す図である。Aは通常パチンコと呼ばれるような形態で、Y字型の持ち手20にゴム索21を取り付けたものである。Bは、1本棒の持ち手22に輪状にゴム索23を取り付けたものである。Cは細長の板あるいは棒24の先端にゴム索25を取り付けたものである。図6のAやBは大変小型で簡単なものであるが、ゴム索や持ち手に打ち上げ回転体が絡んだりぶつかったりしないように打ち上げるには若干のコツが必要である。図6のCは少々大型になるが打ち上げ回転体1は板に沿って発射されるため絡んだりぶつかったりする心配が無く、特別な打ち上げのコツは必要無く、初めてでもほぼ100%うまく打ち上げることができる。ここではゴム索を用いる場合について説明したが、ゴム索の代わりにコイルスプリングのようなバネを用いることもできる。
【0030】
次に、図1、2、3、4、6を例にとって本発明の一実施形態に係る打ち上げ回転体1の動作説明を行なう。先ず、本発明の一実施形態に係る打ち上げ回転体1の回転翼4をヒンジ10で折畳み、電池・発光素子部3の溝8に回転翼4の先端部をセットすると共にスイッチ7をONにして発光素子6を点灯させる。次に、例えば図6のAのゴム索21を打ち上げ回転体1の本体部2のゴム索引っ掛け部11に引っ掛け、打ち上げ回転体1の下部を持ってゴム索21を十分引いた後、手を離し、ほぼ垂直に、打ち上げ回転体を打ち上げる。前述のように、発光素子6は発光部が下を向いているので、夜間には流星のように光の点が空高く駆け上がっていくように見える。
【0031】
打ち上げ回転体1が頂点に達すると、重心のある頭部が下を向き、電池、発光素子部3が下方にずれて回転翼4の先端が溝8から外れて図4の如く回転翼4が展開し、この回転翼のために打ち上げ回転体1は回転しながらゆっくり下降してくる。このとき、発光素子6の発光部は上方を向いているので、回転翼の下面に塗布された反射塗料に光が反射し、それがくるくると回転しながら下降してくる様は大変綺麗である。
【0032】
図7は、本発明の他の実施形態に係る打ち上げ回転体1Aの上昇時の正面図、図8は同側面図、図9は下降時の正面図である。
【0033】
図7に示す本発明の他の実施形態に係る打ち上げ回転体1Aにおいては、中心体2と電池・発光素子部3は固定されている。一方、回転翼30は弾力性のある薄樹脂板等で構成され、先端部には錘31が装着されており、中心体2に自在に取り付けられている。なお、錘31の代わりに回転翼4の先端部を厚くしても同様な効果が得られる。
【0034】
打ち上げ回転体1Aが上昇時は、回転翼30は先端に取り付けられた錘31の重量によって図7及び図8のように中心体2に沿った形で畳まれている。
【0035】
打ち上げ回転体1Aが頂点に達して姿勢が180度変わると、回転翼30はその先端の錘の重量によって展開し、ゆっくり回転しながら降下してくる。
【0036】
以上、説明してきたように、本発明に係る打ち上げ回転体は、実施形態として例にあげた1や1Aの如く種々の応用形態が考えられる。特に、回転翼の形や材質、さらに回転翼の展開方法については図5のごとく、更にいろいろな方法が考えられるが、これら派生形は本発明の技術思想に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上、説明してきたように、本発明に係る打ち上げ回転体は火薬などを使わないために花火に変わるおもちゃとして安全に遊ぶことができる。また、花火と違って何度でも遊べることからエコロジーにも貢献できる。
【0038】
また、本発明に係る打ち上げ回転体は花火と違って何度でも使えて安全なため、野外イベントでの雰囲気を盛り上げるために使うのには最適である。野外イベントの多数の観客が本発明に係る打ち上げ回転体を一斉に打ち上げる様は壮観であろうと思われる。
【0039】
さらに、回転翼の形や打ち上げ具の工夫をして滞空時間を競ったり、回転翼の形や反射塗料の色や塗り方、模様等を工夫して以下に綺麗に見えるかを競う等、新しい遊び方に発展できるおもちゃとしての可能性がある。
【0040】
また、おもちゃとしてばかりでなく、何度でも使える打ち上げ信号具としても各種産業に対して大きな有益性をもたらすものである。
【符号の説明】
【0041】
1…本願打ち上げ回転体、2…中心体、3…電池・発光素子部、4…回転翼、5…電池、6…発光素子、7…スイッチ、8…溝、9…ストッパヒンジ、10…ヒンジ、11…ゴム索引っ掛け部、20…Y型取っ手、21…ゴム索、22…取っ手、23…ゴム索、24…ガイド板(棒)25…ゴム索、30…回転翼、31…錘、50…回転部品、51…摺動部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池と発光素子および発光素子を点灯させるためのスイッチを頭部に重心を置くよう搭載した打ち上げ回転体本体に回転翼を取り付け、該回転翼は本体上昇時には空気抵抗が少なくなるよう折り畳まれ、本体下降時には該回転翼を展開して本体を回転させてゆっくり下降させ、打ち上げ回転体本体はゴム索あるいはバネを用いた打ち上げ具によって打ち上げられることを特徴とする打ち上げ回転体。
【請求項2】
請求項1の打ち上げ回転体において、該打ち上げ回転体下降時に回転翼の下側に反射塗料或いは蛍光塗料を塗布することを特徴とした打ち上げ回転体。
【請求項3】
請求項1もしくは2の打ち上げ回転体において、該打ち上げ回転体が上昇から下降に移る姿勢変化により回転する部分或いは微小距離移動する移動部分を設け、該打ち上げ回転体が上昇時には該移動体によって回転翼を折畳み状態に押さえ、該打ち上げ回転体が下降状態になった時は該回転部分が回転あるいは該移動体が移動して回転翼の押さえをはずして回転翼が展開するようになされたことを特徴とする打ち上げ回転体。
【請求項4】
請求項1もしくは2の打ち上げ回転体において、回転翼の先端部分に錘を付する、或いは回転翼先端部分の材質を厚くすることを特徴とする打ち上げ回転体。
【請求項5】
請求項1および2の打ち上げ回転体において、長尺板或いは長尺棒の先端にゴム索あるいはバネを取り付けた打ち上げ具を用いることを特徴とする打ち上げ回転体。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれか1項記載の打ち上げ回転体において、該打ち上げ回転体上昇時に発光素子が下向きに取り付けられることを特徴とする打ち上げ回転体。
【請求項7】
請求項1乃至6いずれか1項記載の打ち上げ回転体において、発光素子として発光ダイオードを用いうることを特徴とする打ち上げ回転体。

【図1】
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【図2】
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【図7】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−135393(P2012−135393A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289032(P2010−289032)
【出願日】平成22年12月25日(2010.12.25)
【出願人】(510203809)株式会社エクスプロア (8)
【出願人】(503287030)
【Fターム(参考)】