打楽器支持構造体
【課題】床面へ伝達される振動を抑制しつつ、演奏時の安定感を確保できる打楽器支持構造体を提供すること。
【解決手段】ペダル部2が踏み込まれた状態において、打楽器部材20全体およびペダル装置1の少なくとも一部が床面Fから浮かされた状態で第1防振部材30を介して支持部材10に弾性支持されるので、打楽器部材20及びペダル装置1から第1防振部材30に伝達された振動を第1防振部材30の防振作用により緩衝させることができ、支持部材10から床面Fへ伝達される振動を小さくできる。また、第1防振部材30を支持部材10と打楽器部材20との間に配設することで、床面Fへ伝達される振動を抑制しつつ、支持部材10を床面Fに安定的に設置することができるので、演奏時における打楽器支持構造体100の安定感を確保できる。
【解決手段】ペダル部2が踏み込まれた状態において、打楽器部材20全体およびペダル装置1の少なくとも一部が床面Fから浮かされた状態で第1防振部材30を介して支持部材10に弾性支持されるので、打楽器部材20及びペダル装置1から第1防振部材30に伝達された振動を第1防振部材30の防振作用により緩衝させることができ、支持部材10から床面Fへ伝達される振動を小さくできる。また、第1防振部材30を支持部材10と打楽器部材20との間に配設することで、床面Fへ伝達される振動を抑制しつつ、支持部材10を床面Fに安定的に設置することができるので、演奏時における打楽器支持構造体100の安定感を確保できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、打楽器支持構造体に関し、特に、床面へ伝達される振動を抑制しつつ、演奏時の安定感を確保できる打楽器支持構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、演奏者の踏み込み動作に連動して回動する打撃体(ビータ)を有するペダル装置を用いて演奏される打楽器が知られている。この打楽器を床面に対して支持する打楽器支持構造体について、ペダル装置を踏み込む際の衝撃や打楽器の振動が床面に伝達されることを抑制するための技術が開示されている。
【0003】
例えば、特開平11−212565号公報には、打面装置が左右の前脚81と左右の後脚82とを有する脚構造体8(支持部材)で支持され、左右の後脚82を連結する連結棹86にフットペダル装置6(ペダル装置)が先端側の底面を床面から浮かせた状態で取り付けられる打面装置の脚構造が開示されている(特許文献1)。この特許文献1によれば、フットペダル装置6のペダル踏み込み時の床面方向の力が複数本の脚(即ち、前脚81、後脚82)全部に分散されることで、床面の階下への騒音の発生が低減される。
【0004】
また、特開平11−24660号公報には、振動吸収材から構成される設置部材22を有する4つの脚部材12と、その脚部材12を介して床面に支持されると共にバスドラム30(打面装置)及びペダル32(ペダル装置)を搭載可能な台板11とを備える防振台(支持部材)が開示されている(特許文献2)。この特許文献2によれば、ペダル32を踏み込んだ際の衝撃が脚部材12の設置部材22を構成する振動吸収材により吸収されることで、床衝撃音が低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−212565号公報(段落[0027],[0028]など)
【特許文献2】特開平11−24660号公報(段落[0012],[0014]など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1の打面装置の脚構造では、打面装置を安定的に支持するために脚構造体8を金属等の剛体から構成する必要があるので、脚構造体8が特定の周波数で振動した場合には、脚構造体8から床面へ伝達される振動が大きくなるという問題点があった。また、この脚構造体8の床面と接地する部分にゴム等の弾性材料を装着した場合、床面へ伝達される騒音が抑制されるものの、カーペット等が敷設された床面に脚構造体8を接地させると、弾性材料が弾性変形することで脚構造体8が安定せず、演奏時の安定感が損なわれるという問題点があった。
【0007】
また、上述した特許文献2の防振台では、バスドラム30及びペダル32が搭載される台板11全体が振動吸収効果を奏する脚部材12に支持されるので、ペダル32を踏み込むと、台板11に搭載されたバスドラム30及びペダル32が脚部材12の設置部材22を構成する振動吸収材の作用により前後左右方向へ揺れ動き、バスドラム30を演奏する際の安定感が損なわれるという問題点があった。
【0008】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、床面へ伝達される振動を抑制しつつ、演奏時の安定感を確保できる打楽器支持構造体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0009】
請求項1記載の打楽器支持構造体によれば、打楽器部材全体が床面から浮かされた状態で第1防振部材を介して支持部材に弾性支持されるので、打面装置の打面がペダル装置の打撃体に打撃されたことによる打楽器部材の振動が第1防振部材に伝達される。第1防振部材は、弾性材料で構成されているので、打楽器部材から第1防振部材に伝達された振動を第1防振部材の防振作用により緩衝させることができる。よって、打楽器部材から支持部材に伝達される振動を低減させることができるので、支持部材の振動を小さくでき、その結果、支持部材から床面へ伝達される振動を小さくできるという効果がある。
【0010】
また、ペダル装置の少なくとも一部が床面から浮かされた状態で第1防振部材を介して支持部材に弾性支持されるので、踏み込み動作によるペダル装置からの衝撃が床面に伝達されることを低減できる。また、ペダル装置が打楽器部材のペダル固定部に固定されており、そのペダル固定部を有する連結部材およびその連結部材に連結される打面装置を備える打楽器部材が第1防振部材を介して支持部材に弾性支持されるので、ペダル装置から打楽器部材へ伝達される振動を第1防振部材の防振作用により緩衝させることができる。よって、ペダル装置から床面へ振動が伝達されることを抑制できるという効果がある。
【0011】
なお、第1防振部材を支持部材と床面との間に配設する場合では、支持部材の振動が第1防振部材に伝達されると、第1防振部材が弾性変形し、その第1防振部材の弾性変形により支持部材も揺れ動くので、演奏時における打楽器支持構造体の安定感が損なわれる。
【0012】
これに対し、第1防振部材を支持部材と打楽器部材との間に配設することで、第1防振部材の防振作用により支持部材の振動を低減させて床面へ伝達される振動を抑制しつつ、支持部材を直接、床面に接地させて支持部材を床面に安定的に設置することができる。よって、演奏時における打楽器支持構造体の安定感を確保できるという効果がある。
【0013】
請求項2記載の打楽器支持構造体によれば、請求項1記載の打楽器支持構造体の奏する効果に加え、第1防振部材がペダル固定部よりも打面装置に近接した位置に配設されるので、打撃体に打撃される打面と第1防振部材との高さ方向における離間寸法を小さくできる。よって、打面装置の打面がペダル装置の打撃体に打撃された際の衝撃で、第1防振部材を通る仮想直線周りの回転モーメントが打楽器部材に発生することを低減させることができる。よって、打面装置を打撃することによる打楽器部材の揺動を抑制できるという効果がある。
【0014】
さらに、防振部材と打面装置の打面との高さ方向における離間寸法を小さくできるので、ペダル装置の打撃体に打撃された打面装置を支持する際に第1防振部材に作用する応力を低減させることができる。よって、第1防振部材の長寿命化を図ることができるという効果がある。
【0015】
請求項3記載の打楽器支持構造体によれば、請求項1又は2に記載の打楽器支持構造体の奏する効果に加え、第1防振部材が打楽器の側面視においてペダル固定部の鉛直方向上側に配設されるので、ペダル装置が踏み込まれ、ペダル固定部が押し下げられる際に、第1防振部材を通る仮想直線周りの回転モーメントが支持部材に発生することを防止できる。
【0016】
即ち、第1防振部材がペダル固定部よりもペダル装置が配設される側、または、ペダル装置が配設される側の反対側に位置している場合では、ペダル装置が踏み込まれ、ペダル固定部が押し下げられると、第1防振部材を通る仮想直線周りの回転モーメントが支持部材に発生する。
【0017】
これに対し、第1防振部材が打楽器の側面視においてペダル固定部の鉛直方向上側に配設されることで、ペダル装置が踏み込まれ、ペダル固定部が押し下げられる際に、仮想直線周りの回転モーメントが支持部材に発生することを抑制できるので、支持部材の一部が床面から浮き上がることを抑制でき、演奏時における打楽器支持構造体の安定感を確保できるという効果がある。
【0018】
請求項4記載の打楽器支持構造体によれば、請求項1から3のいずれかに記載の打楽器支持構造体の奏する効果に加え、ペダル装置がペダル載置部に載置された状態において、ペダル載置部の全体が床面から浮かされた状態で支持部材に支持されるので、ペダル装置の踏み込み動作によるペダル装置からの衝撃が床面に伝達されることを防止できる。よって、ペダル装置から床面へ振動が伝達されることを回避できるという効果がある。
【0019】
さらに、ペダル載置部は、第2防振部材を介して支持部材に弾性支持されるので、ペダル装置の踏み込みによるペダル載置部の振動が第2防振部材に伝達される。第2防振部材が弾性材料で構成されているので、第2防振部材に伝達された振動を緩衝させることができる。よって、ペダル載置部から支持部材に伝達される振動を低減させることができるので、支持部材の振動を小さくでき、その結果、支持部材から床面へ伝達される振動を小さくできるという効果がある。
【0020】
請求項5記載の打楽器支持構造体によれば、請求項1から3のいずれかに記載の打楽器支持構造体の奏する効果に加え、支持部材が他の打楽器部材を保持可能なドラムスタンドに接続され、支持部材および打楽器部材の全体とペダル装置の一部とが、床面から浮かされた状態でドラムスタンドに支持されるので、支持部材を床面に接地させるためのスペースをドラムスタンドとは別に確保することを不要とすることができるという効果がある。また、支持部材を床面に接地させる場合と比べて、支持部材の構造を簡素化できるので、支持部材の製造コストを削減できるという効果がある。
【0021】
さらに、ドラムスタンドは、複数のパイプ状部材と、それら複数のパイプ状部材を連結するホルダとを備え、複数のパイプ状部材の一部が床面に接地するものであり、そのドラムスタンドに対して支持部材が接続されるので、支持部材からドラムスタンドに伝達された振動は、複数のパイプ状部材およびホルダを介して床面へ伝達される。よって、打楽器部材から床面までの振動伝達経路を長く確保できるので、打楽器部材から床面に伝達される振動をより低減させることができるという効果がある。
【0022】
請求項6記載の打楽器構造体によれば、請求項1から5のいずれかに記載の打楽器支持体の奏する効果に加え、床面から支持部材に伝達される振動が第1防振部材に伝達され、その第1防振部材に伝達された振動を第1防振部材の防振作用により緩衝させることができる。よって、床面から打楽器部材に伝達される振動を低減させることができるので、床面から伝達される振動をセンサが誤って検知することを抑制できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施の形態における打楽器支持構造体の斜視図である。
【図2】(a)は、打楽器支持構造体の正面図であり、(b)は、図2(a)のIIb方向視における打楽器支持構造体の側面図である。
【図3】(a)は、打楽器支持構造体の正面図であり、(b)は、図3(a)のIIIb方向視における打楽器支持構造体の側面図である。
【図4】打楽器支持構造体の側面図である。
【図5】(a)は、第2実施の形態における打楽器支持構造体の正面図であり、(b)は、図5(a)のVb方向視における打楽器支持構造体の側面図である。
【図6】(a)は、第3実施の形態における打楽器支持構造体の正面図であり、(b)は、図6(a)のVIb方向視における打楽器支持構造体の側面図である。
【図7】(a)は、第4実施の形態における打楽器支持構造体の正面図であり、(b)は、図7(a)のVIIb方向視における打楽器支持構造体の側面図である。
【図8】第5実施の形態における打楽器支持構造体及びドラムスタンドの概略図である。
【図9】打楽器支持構造体の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、図1から図3を参照して、本発明の第1実施の形態における打楽器支持構造体100の構成について説明する。図1は、本発明の第1実施の形態における打楽器支持構造体100の斜視図であり、打楽器支持構造体100にペダル装置1が固定された状態が図示されている。図2(a)は、打楽器支持構造体100の正面図であり、図2(b)は、図2(a)のIIb方向視における打楽器支持構造体100の側面図である。図3(a)は、打楽器支持構造体100の正面図であり、図3(b)は、図3(a)のIIIb方向視における打楽器支持構造体100の側面図であり、図3(a)及び図3(b)では、打楽器支持構造体100にペダル装置1が固定された状態が図示されている。なお、図1及び図3では、ペダル装置1が模式的に図示され、例えば、ペダル部2への踏み込みが解除された際にペダル部2を元の位置へ戻すためのスプリング等の図示が省略されており、以下においても同様に図示されている。また、図1から図3における矢印U−D、L−R、F−Bは、打楽器支持構造体100の上下方向、左右方向、前後方向をそれぞれ示しており、以下においても同様とする。
【0025】
図1に示すように、打楽器支持構造体100は、床面F(図2(a)参照)に接地される支持部材10と、その支持部材10に支持される打楽器部材20と、その打楽器部材20及び支持部材10の間に介設される第1防振部材30とを主に備えて構成されている。打楽器部材20には、演奏者により踏み込み操作されるペダル装置1が固定され、そのペダル装置1の踏み込み操作によって打楽器部材20による演奏がなされる。また、打楽器部材20は、床面Fから浮いた状態で支持部材10に支持され、打楽器部材20に固定されたペダル装置1は、一部分が床面Fに対して浮いた状態で打楽器部材20に支持されている。
【0026】
図2(a)及び図2(b)に示すように、支持部材10は、打楽器部材20を床面Fから浮かせた状態で床面Fに対して支持する金属製の部材であり、床面Fに接地される板状の下板11と、その下板11の上方に配設される板状の上板12と、その上板12及び下板11を連結する棒状の脚部13とを備えている。
【0027】
下板11は、打楽器部材20が配設される前側が開口するコ字板状の下基部11aと、その下基部11aの前後左右方向の角部から前後方向外側へ延設される4つの下連結部11bとを備え、下基部11aの下面側が床面Fに接地されると共に、下連結部11bが下基部11aに対して上方へ傾斜している。
【0028】
上板12は、第1防振部材30を介して打楽器部材20が支持される部位であり、前側が開口するコ字板状の上基部12aと、その上基部12aの前後左右方向の角部から前後方向外側へ延設される4つの上連結部12bとを備えている。上基部12aは、下基部11aに平行に配設され、左右方向における寸法が下基部11aと同等の寸法に設定される共に、前後方向における寸法が下基部11aよりも小さく設定されている。また、上連結部12bは、上基部12aに対して上方へ傾斜しており、その傾斜角度が下連結部11bの下基部11aに対する傾斜角度と同等に設定されている。
【0029】
脚部13は、上板12を床面Fから所定の高さ位置に配設するための部材である。脚部13は、下板11の下連結部11b及び上板11の上連結部12bに対応する位置に合計4本配設され、下端が下連結部11bに連結されると共に、上端が上連結部12bに連結されている。
【0030】
ここで、支持部材10は、脚部13の下端に下板11が連結され、その下板11の下基部11aが床面Fに接地されているので、脚部13の下端が床面Fに接地される場合と比べて、支持部材10の床面Fに対する接地面積をより広く確保できる。また、上板12の上基部12aは、前後方向における寸法が下板11の下基部11aよりも小さく形成されている。よって、下板11の床面Fに対する接地面積を大きくして打楽器支持構造体100の演奏時における安定感を確保しつつ、上板12を小型化してスタンド10の軽量化および部品コストの抑制を図ることができる。
【0031】
また、下板11は、床面Fに接地される下基部11aの下面をゴム状弾性体で覆設してもよい。これにより、下基部11aが接地される床面Fに傷が付くことを防止できる。なお、打楽器支持構造体100は、第1防振部材30により打楽器部材20の振動を低減させるものであり、下板11の下面を覆設するゴム状弾性体によって打楽器部材20の振動を低減させることは不要なので、下板11の下面を覆設するゴム状弾性体は、第1防振部材30よりも弾性が小さいものが好ましい。即ち、下板11の下面を覆設するゴム状弾性体の弾性を大きく設定した場合では、支持部材10が前後左右方向に揺れ動きやすくなるので、打楽器支持構造体100の安定感が損なわれる。よって、下板11の下面を覆設するゴム状弾性体の弾性を小さく設定することで、床面Fに傷が付くことを防止しつつ、打楽器支持構造体100の安定感を確保できる。
【0032】
打楽器部材20は、ペダル装置1(図1参照)を用いて打撃される打面21aを有する打面装置21と、その打面装置21に連結されると共に下方へ延設されるペダル連結部材22と、打面装置21に連結されると共に左右方向外側へ向けて水平方向に延設される一対の防振連結部材23とを備えている。
【0033】
打面装置21は、内部に打面21aの振動を検出するセンサ(図示せず)が配設された、いわゆる電子打楽器である。打面21aが打撃されると、その打面21aの振動をセンサが検出し、そのセンサにより検出された検出信号は、音源に送信され、音源は、打撃に応じた楽音を生成するように構成されており、その生成された楽音は、アンプを介してスピーカから放音される。
【0034】
ペダル連結部材22は、打面装置21とペダル装置1とを連結させるための部材であり、所定の剛性を有する金属で構成されている。ペダル連結部材22は、その下端部分を打面21aが指向する前側へ屈曲させて形成されるペダル固定部22aを備えている。ペダル固定部22aは、ペダル装置1が固定される部位であり、上面には左右方向に延設される突起部22a1が突出形成されている。これにより、ペダル固定部22aの曲げ剛性およびペダル装置1を固定する保持力を確保することができる。
【0035】
一対の防振連結部材23は、打面装置21と支持部材10とを連結させるための部材であり、所定の剛性を有する金属で構成されている。また、各防振連結部材23は、上基部12の左右方向における端部の下面と対向する位置まで延設され、その各防振連結部材23の延設方向における先端部分は、前後方向における配設位置がペダル固定部22aと同等に位置している。
【0036】
第1防振部材30は、打楽器部材20の振動を減衰するための部材であり、打楽器部材20のペダル固定部22aを挟んで斜め上方に左右一対に設けられると共に、その左右一対に設けられる各第1防振部材30がペダル固定部22aからの離間距離が等しい位置に配設されている。各第1防振部材30は、ゴム状弾性体から円柱状に形成され、上端面が支持部材10の上基部12aの下面側に取着されると共に、下端面が打楽器部材20の一対の防振連結部材23の左右方向外側の先端部分の上面側に取着される。これにより、各第1防振部材30は、前後方向における配設位置がペダル固定部22aと同等に位置し、左右方向における配設位置が支持部材10の下基部11及び上基部12の左右方向における端部と同等に位置し、高さ方向における配設位置が打面装置21と同等に位置している。
【0037】
ここで、一対の第1防振部材30が打面装置21に対して水平方向に近接して取着される場合では、打楽器部材20を弾性支持する際に一対の第1防振部材30に対して下方だけでなく、打楽器部材20の前後方向を軸とする軸周りに回転させようとする力が加わりやすくなる。この場合、ペダル装置1の踏み込み時において打楽器部材20を安定的に保持するためには、一対の第1防振部材30を比較的弾性の小さいゴム状弾性体から構成して、ペダル装置1の踏み込み時における一対の第1防振部材30の弾性変形量を小さくする必要があるので、一対の第1防振部材30の防振作用が低減される。
【0038】
これに対し、一対の第1防振部材30を打面装置21に連結される一対の防振連結部材23の左右方向外側の先端部分に取着することで、打面装置21と各第1防振部材30との水平方向における離間寸法を大きく確保できるので、打楽器部材20を弾性支持する際に打楽器部材20の前後方向を軸とする軸周りに回転させようとする力を抑制できる。即ち、一対の第1防振部材30は、下方へ作用する力による弾性変形によって打楽器部材20が床面Fに接地することを防止できる弾性に設定されていればよいので、一対の第1防振部材30を比較的弾性の大きいゴム状弾性体から構成した場合であっても、打楽器部材20を安定的に保持しつつ、第1防振部材30の防振作用を確保できる。
【0039】
なお、本実施の形態では、一対の第1防振部材30がゴム状弾性体で構成されているが、これに限られるものではなく、一対の第1防振部材30が、スプリング又はダンパー等の振動を制振または減衰するもので構成されていてもよい。
【0040】
図3(a)及び図3(b)に示すように、ペダル装置1は、演奏者の踏み込みに応じて打楽器部材20の打面21aを打撃する装置であり、演奏者に踏み込まれるペダル部2と、そのペダル部2を回動自在に軸支するペダル基部3と、そのペダル基部3に立設される立設部4と、その立設部4に回動自在に軸支される打撃体5とを備えている。
【0041】
ペダル部2は、長手方向一側(図3(b)右側)がペダル基部3に軸支されると共に長手方向他側(図3(b)左側)が帯状のベルト6を介して立設部4に連結されている。
【0042】
ペダル基部3は、長手方向一側(図3(b)右側)に配設されるペダル軸支部3aと、長手方向他側(図3(b)左側)に配設される上下一対のペダル挟持部3b1,3b2とを備えている。ペダル軸支部3aは、ペダル部2の長手方向一側を回動自在に軸支する部位である。一対のペダル挟持部3b1,3b2は、ペダル装置1を打楽器部材20のペダル固定部22aに着脱自在に挟持固定するための部位であり、上側のペダル挟持部3b1が下側のペダル挟持部3b2に対して上下移動可能に構成され、上下一対のペダル挟持部3b1,3b2によってペダル固定部22aを挟持固定することでペダル装置1が打楽器部材20に固定される。
【0043】
立設部4は、ペダル基部3の長手方向他側に立設される一対の柱部材4aと、それら一対の柱部材4aに回転可能に保持される回転軸4bと、その回転軸4bの外周面に固着されると共にベルト6が連結されるベルト連結部4cと、回転軸4bに固着されると共に打撃体5が着脱自在に取着される打撃体取着部4dとを備えている。
【0044】
打撃体5は、打面装置21の打面21aを打撃するための部材であり、打面21aを打撃する頭部材5aと、その頭部材5aが一端に連結されると共に立設部4の打撃体取着部4dに他端が取着される棒状の棒部材5bとを備えている。
【0045】
次に、図4を参照して、演奏時における打楽器部材20の支持構造について説明する。図4は、打楽器部材20の側面図であり、打楽器支持構造体100に固定されたペダル装置1のペダル部2が踏み込まれ、打撃体5が打面装置21の打面21aを打撃した状態が図示されている。
【0046】
図4に示すように、演奏者によりペダル装置1のペダル部2が踏み込まれると、ペダル部2の長手方向他側が押し下げられると共にベルト6(図3(a)参照)が下方へ引っ張られ、ベルト6が連結された立設部4のベルト連結部4cが一方向(図4反時計回り方向)へ回動する。ベルト連結部4cが一方向へ回動すると、ベルト連結部4cが固着される回転軸4b及びその回転軸4bに固着される打撃体取着部4dが一方向へ回動し、その打撃体取着部4dの回動に連動して打撃体5が一方向へ回動し、打撃体5の頭部5aが打面装置21の打面21aを打撃する。また、ペダル部2への踏み込みが解除されると、ペダル部2が上昇すると共に、回転軸4b、ベルト連結部4c、打撃体取着部4d及び打撃体5が他方向(図4時計回り方向)へ回動し、ペダル装置1はペダル部2が踏み込まれる前の状態に戻る。
【0047】
ペダル部2が踏み込まれた状態において、打楽器部材20全体が床面Fから浮かされた状態で一対の第1防振部材30を介して支持部材10に弾性支持されるので、打面装置21の打面21aがペダル装置1の打撃体5に打撃されたことによる打楽器部材20の振動が第1防振部材30に伝達される。第1防振部材30は、ゴム状弾性体で構成されているので、打楽器部材20から第1防振部材30に伝達された振動を第1防振部材30の防振作用により緩衝させることができる。よって、打楽器部材20から支持部材10に伝達される振動を低減させることができるので、支持部材10の振動を小さくでき、その結果、支持部材10から床面Fへ伝達される振動を小さくできる。
【0048】
また、ペダル装置1の一部が床面Fから浮かされた状態で第1防振部材30を介して支持部材10に弾性支持されるので、ペダル部2への踏み込み動作によるペダル装置1からの衝撃が床面Fに伝達されることを低減できる。また、ペダル装置1がペダル固定部22aに固定されており、そのペダル固定部22aを有するペダル連結部材22及びそのペダル連結部材22に連結される打面装置21が、第1防振部材30を介して支持部材10に弾性支持されるので、ペダル装置1から打楽器部材20へ伝達される振動を第1防振部材30の防振作用により緩衝させることができる。よって、ペダル装置1から床面Fへ振動が伝達されることを抑制できる。
【0049】
さらに、床面F及びペダル装置1から支持部材10に伝達される振動を第1防振部材30の防振作用により緩衝させることができるので、床面F及びペダル装置1の振動が打面装置21内のセンサに伝達されることを低減させることができる。よって、床面F及びペダル装置1から伝達される振動をセンサが誤って検知することを抑制できる。
【0050】
なお、第1防振部材30を支持部材10と床面Fとの間に配設する場合では、支持部材10の振動が第1防振部材30に伝達されると、第1防振部材30が弾性変形し、その第1防振部材30の弾性変形により支持部材10も揺れ動くので、演奏時における打楽器支持構造体100の安定感が損なわれる。
【0051】
これに対し、第1防振部材30を支持部材10と打楽器部材20との間に配設することで、第1防振部材30の防振作用により支持部材10の振動を低減させて床面Fへ伝達される振動を抑制しつつ、支持部材10を直接、床面Fに接地させて支持部材10を床面Fに安定的に設置することができる。よって、演奏時における打楽器支持構造体100の安定感を確保できる。
【0052】
また、第1防振部材30を打楽器部材20の打面装置21とペダル装置1との間に配設する場合、ペダル装置1のペダル部2の踏み込みを開始してから打撃体5が打面21aを打撃するまでの間に、打面装置21とペダル装置1との相対位置がペダル部2への踏み込みにより生じる第1防振部材30の弾性変形に伴って変動する。この場合、第1防振部材30の弾性変形量はペダル部2への踏み込み力や踏み込み速度によって異なるので、打面装置21とペダル装置1との相対位置の変動量がペダル部2への踏み込み力や踏み込み速度に応じて変動し、その変動量に応じて、打撃体5を回動させて打面21aを打撃するために必要なペダル装置1の踏み込み量も変動する。その結果、演奏者がペダル部2への踏み込みを開始してから打撃体5が打面21aを打撃するまでの時間が、ペダル部2への踏み込み力や踏み込み速度によって変動するため、演奏者は、適正なタイミングで安定的に打面21aを打撃することが困難になる。
【0053】
これに対し、第1防振部材30を支持部材10と打楽器部材20との間に配設し、打面装置21とペダル装置1とが所定の剛性を有する金属性のペダル連結部材22により連結されることで、ペダル部2への踏み込みを開始してから打撃体5が打面21aを打撃するまでの間、ペダル固定部22aに固定されるペダル装置1と打面装置21との相対位置が第1防振部材30の弾性変形により変動することを回避できる。よって、ペダル部2への踏み込み力や踏み込み速度にかかわらず、演奏者がペダル部2への踏み込みを開始してから打撃体5が打面21aを打撃するまでの時間の変動を抑制できるので、演奏者は、適正なタイミングで安定的に打面21aを打撃しやすくできる。
【0054】
さらに、一対の第1防振部材30がペダル固定部22aに対して左右に一対設けられると共に、各第1防振部材30がペダル固定部22aからの離間距離が等しい位置に配設されるので、ペダル部2の踏み込みによりペダル固定部22aが押し下げられた際に、各第1防振部材30に作用する荷重を均等にすることができる。よって、ペダル部2への踏み込みにより、一対の第1防振部材30のいずれか一方に作用する荷重が、他方よりも大きくなることを低減させて、打楽器部材20及びペダル装置1が左右いずれか一方に傾斜することを抑制できる。さらに、一対の第1防振部材30を介して支持部材10の左右いずれか一方に作用する荷重が他方よりも大きくなることを低減させることができるので、支持部材10の左右いずれか一方が床面Fから浮き上がることを抑制できる。従って、演奏時における打楽器支持構造体100の安定感を確保できる。さらに、打撃体5の頭部材5aが打面21aの中心からずれた位置を打撃した場合に、打面装置21が左右に揺動することを防止できる。
【0055】
また、一対の第1防振部材30の高さ位置が打面装置21の高さ位置と同等に位置しているので、打面21aが打撃体5に打撃された際の衝撃で、一対の第1防振部材30を結ぶ仮想直線L周りの回転モーメントが打楽器部材20に発生することを低減させることができる。よって、打面装置21を打撃することによる打楽器部材20の揺動を抑制できる。
【0056】
さらに、一対の第1防振部材30が打面装置21と同等の高さ位置に配設されるので、打撃体5に打撃された打面装置21を支持する際に、第1防振部材30に作用する応力を低減させることができる。よって、第1防振部材30の長寿命化を図ることができる。
【0057】
また、一対の第1防振部材30の前後方向における配設位置がペダル固定部22aの前後方向における配設位置と同等に位置している。即ち、打楽器部材20の側面視において一対の第1防振部材30がペダル固定部22aの鉛直方向上側に位置しているので、ペダル部2が踏み込まれ、ペダル固定部22aが押し下げられる際に、仮想直線L周りの回転モーメントが支持部材10に発生することを低減させることができる。
【0058】
即ち、一対の第1防振部材30がペダル固定部22aよりも前方または後方に位置している場合では、ペダル部2が踏み込まれ、ペダル固定部22aが押し下げられると、仮想直線L周りの回転モーメントが支持部材10に発生する。
【0059】
これに対し、一対の第1防振部材30がペダル固定部22aの鉛直方向上側に位置することで、ペダル部2が踏み込まれ、ペダル固定部22aが押し下げられる際に、仮想直線L周りの回転モーメントが支持部材10に発生することを抑制できるので、支持部材10の前後いずれか一方が床面Fから浮き上がることを抑制でき、演奏時における打楽器支持構造体100の安定感を確保できる。
【0060】
さらに、打楽器部材20は、支持部材10に対して一対の第1防振部材30を介して弾性支持されているので、第1防振部材30の弾性変形を利用して、打楽器部材20を支持部材10に対して前後方向へ若干量揺動させることができる。よって、ペダル装置1をペダル固定部22aに固定させるためにペダル装置1に配設される固定部位の形状の差異を吸収するように第1防振部材30を弾性変形させることによって、ペダル基部3の後端を床面Fに接地させつつ、ペダル基部3の前端を床面Fから浮かせることができる。即ち、ペダル装置1の固定部位の配設位置や固定角度が異なる様々なペダル装置1についても打楽器支持構造体100を使用できるので、汎用性を高めることができる。
【0061】
次に、図5を参照して、第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、第1防振部材30の上端面が支持部材10に取着されると共に第1防振部材30の下端面が打楽器部材20に取着される場合を説明したが、第2実施の形態では、第1防振部材230の上端面が打楽器部材20に取着されると共に第1防振部材230の下端面が支持部材210に取着される。なお、上記した第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。図5(a)は、第2実施の形態における打楽器支持構造体200の正面図であり、図5(b)は、図5(a)のVb方向視における打楽器支持構造体200の側面図である。
【0062】
図5(a)又は図5(b)に示すように、打楽器支持構造体200は、床面Fに接地される支持部材210と、その支持部材210に支持される打楽器部材20と、その打楽器部材20及び支持部材210の間に介設される第1防振部材230とを主に備えて構成されている。
【0063】
支持部材210は、床面Fに接地される下板211と、その下板211の上方に配設される上板212と、その上板212及び下板211を連結する棒状の脚部213とを備えている。
【0064】
下板211は、下基部11aと、その下基部11aの前後左右方向の角部において前後方向外側へ延設される下連結部211bとを備えている。また、上板212は、上基部12aと、その上基部12aの前後左右方向の角部において前後方向外側へ延設される上連結部212bとを備え、上基部12aは、左右方向における端部の上面が一対の防振連結部材23の延設方向先端部分の下面と対向する位置に配設されている。
【0065】
なお、下板211は、下連結部211bの下基部211aに対する傾斜角度を除き、第1実施の形態における下板11と同一の構成であり、上板212は、上連結部212bの上基部12aに対する傾斜角度を除き、第1実施の形態における上板12と同一の構成である。さらに、脚部213は、長手方向の寸法を除き、第1実施の形態における脚部13と同一の構成である。
【0066】
第1防振部材230は、打楽器部材20の振動を減衰するための部材であり、打楽器部材20のペダル固定部22aを挟んで斜め上方に左右一対に設けられると共に、その左右一対に設けられる各第1防振部材230がペダル固定部22aからの離間距離が等しい位置に配設されている。各第1防振部材230は、ゴム状弾性体から円柱状に形成され、上端面が打楽器部材20の防振連結部材23の延設方向先端部分の下面側に取着されると共に、下端面が支持部材210の上基部12aの上面側に取着される。また、一対の第1防振部材230は、前後方向における配設位置がペダル固定部22aの配設位置と同等に位置し、左右方向における配設位置が支持部材210の下基部11a及び上基部12bの左右方向における端部の配設位置と同等に位置し、高さ方向における配設位置が打面装置21の高さ位置と同等に位置している。
【0067】
打楽器部材20全体が床面Fから浮かされた状態で一対の第1防振部材230を介して支持部材10に弾性支持されるので、打面装置21の打面21aがペダル装置1の打撃体5に打撃されたことによる打楽器部材20の振動が一対の第1防振部材230に伝達される。よって、打楽器部材20から第1防振部材230に伝達された振動を第1防振部材230の防振作用により緩衝させることができる。従って、打楽器部材20から支持部材210に伝達される振動を低減させることができるので、支持部材210の振動を小さくでき、その結果、支持部材210から床面Fへ伝達される振動を小さくできる。
【0068】
次に、図6を参照して、第3実施の形態について説明する。第1実施の形態では、ペダル装置1の一部が床面Fから浮いているのに対し、第3実施の形態では、ペダル装置1の全体が床面Fから浮いている。なお、上記した各実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。図6(a)は、第3実施の形態における打楽器支持構造体300の正面図であり、図6(b)は、図6(a)のVIb方向視における打楽器支持構造体300の側面図である。
【0069】
図6(a)及び図6(b)に示すように、打楽器支持構造体300は、床面Fに接地される支持部材310と、その支持部材310に支持される打楽器部材20と、その打楽器部材20及び支持部材310の間に介設される第1防振部材30と、ペダル装置1が載置されるペダル載置部340と、そのペダル載置部340及び支持部材310の間に介設される第2防振部材330とを備えている。
【0070】
支持部材310は、打楽器部材20を床面Fから浮かせた状態で床面Fに対して支持する金属製の部材であり、床面Fに接地される板状の下板311と、その下板311の上方に配設される板状の上板312と、その上板312及び下板311を連結する棒状の脚部313とを備えている。
【0071】
下板311は、打楽器部材20が配設される前側が開口するコ字板状の下基部311aと、その下基部311aの後方向に位置する左右角部から後方向へ延設される2つの後下連結部311b1と、下基部311aの前方向に位置する左右角部から前方向へ延設される2つの前下連結部311b2とを備えている。下基部311aは、床面Fに接地されると共に、後下連結部311b1及び前下連結部311b2が下基部311aに対して上方へ傾斜しており、前下連結部311b2の傾斜角度が後下連結部311b1の傾斜角度よりも大きく設定されている。
【0072】
上板312は、第1防振部材30を介して打楽器部材20が支持される部位であり、前側が開口するコ字板状の上基部312aと、その上基部312aの後方向に位置する左右角部から後方向へ延設される2つの後上連結部312b1と、上基部312aの前方向に位置する左右角部から前方向へ延設される2つの前上連結部312b2とを備えている。上基部312aは、左右方向における端部の下面が一対の防振連結部材23の延設方向先端部分の上面と対向する位置に配設され、各第1防振部材30は、上端面が上基部312aの下面側に取着されると共に、下端面が打楽器部材20の一対の防振連結部材23の左右方向外側の先端部分の上面側に取着される。後上連結部312b1及び前上連結部312b2は、上基部312aに対して上方へ傾斜しており、後上連結部312b1及び前上連結部312b2の上基部312aに対する傾斜角度が、それぞれ後下連結部311b1及び前下連結部311b2の下基部11aに対する傾斜角度と同等に設定されている。
【0073】
脚部313は、上板12を床面Fから所定の高さ位置に配設するための部材である。脚部313は、打楽器部材20の前後左右方向に合計4本配設され、下端が下板311の後下連結部311b1に連結されると共に上端が上板312の後上連結部312b1に連結される後脚部313aと、下端が下板311の前下連結部311b2に連結されると共に上端が上板312の前上連結部312b2に連結される前脚部313bとを備えている。
【0074】
ペダル載置部340は、ペダル装置1全体を床面Fから浮かせた状態で保持するための部材である。ペダル載置部340は、床面Fから浮かされた状態で一対の第2防振部材330に架設されると共に、左右方向における中心部分が下方へ向けて凹設されており、その凹設された部分にペダル装置1が載置される。これにより、ペダル装置1がペダル載置部340上で左右方向へ摺動することを抑制できる。なお、ペダル載置部340にペダル装置1を固定させるためのロック機構を設けてもよい。このロック機構としては、例えば、2つの部材でペダル基部3を挟持固定するものなどが例示される。
【0075】
第2防振部材330は、ペダル載置部340の振動を減衰するための部材であり、下板311の下基部311aの左右方向における後端部近傍において左右一対に設けられている。各第2防振部材330は、ゴム状弾性体から円柱状に形成され、下端面が下基部311aの上面側に取着されると共に、上端面がペダル載置部340の下面側に取着され、ペダル載置部340が支持部材310に弾性支持される。なお、一対の第2防振部材330は、下基部311aの上面側であって、前後方向における配設位置が、打楽器部材20のペダル固定部22aと、下板311の前下連結部311b2との間に位置していればよく、ペダル固定部22aよりも前下連結部311b2に近接した位置に配設されることが好ましい。これにより、ペダル載置部340を支持部材310に対して安定的に支持することができる。
【0076】
ペダル載置部340は、床面Fから浮いた状態で一対の第2防振部材330を介して支持部材310に弾性支持されるので、ペダル部2への踏み込み動作によるペダル装置1からの衝撃が床面Fに伝達されることを回避できる。また、ペダル部2への踏み込みによって発生するペダル載置部340の振動は第2防振部材330に伝達されるので、ペダル載置部340から第2防振部材330に伝達された振動を第2防振部材330の防振作用により緩衝させることができる。よって、ペダル載置部340から支持部材310に伝達される振動を低減させることができるので、支持部材310の振動を小さくでき、その結果、支持部材310から床面Fへ伝達される振動を小さくできる。
【0077】
また、ペダル装置1と支持部材310の下基部311aとの間に第2防振部材330が介設され、下基部311aが床面Fに接地されるので、第2防振部材330を床面Fに接地させる場合と比べて、支持部材310を床面Fに安定的に設置することができる。よって、演奏時における打楽器支持構造体300の安定感を確保できる。
【0078】
さらに、ペダル装置1と支持部材310との間に第2防振部材330が介設されると共に、ペダル装置1と打面装置21とが金属性のペダル連結部材22に連結されているので、ペダル部2への踏み込みを開始してから打撃体5が打面21aを打撃するまでの間、ペダル固定部22aに固定されるペダル装置1と打面装置21との相対位置が第2防振部材330の弾性変形により変動することを回避できる。よって、ペダル部2への踏み込み力や踏み込み速度にかかわらず、演奏者がペダル部2への踏み込みを開始してから打撃体5が打面21aを打撃するまでの時間の変動を抑制できるので、演奏者は、適正なタイミングで安定的に打面21aを打撃しやすくできる。
【0079】
次に、図7を参照して、第4実施の形態について説明する。第1実施の形態では、ペダル装置1の一部が床面Fから浮いているのに対し、第4実施の形態では、ペダル装置1の全体が床面Fから浮いている。なお、上記した各実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。図7(a)は、第4実施の形態における打楽器支持構造体400の正面図であり、図7(b)は、図7(a)のVIIb方向視における打楽器支持構造体400の側面図である。
【0080】
図7(a)及び図7(b)に示すように、打楽器支持構造体400は、床面Fに接地される支持部材410と、その支持部材410に支持される打楽器部材20と、その打楽器部材20及び支持部材410の間に介設される第1防振部材30と、ペダル装置1が載置されるペダル載置部340と、そのペダル載置部340及び支持部材410の間に介設される第2防振部材430とを備えている。
【0081】
支持部材410は、下板311と、上板312と、脚部313と、その脚部313に取着される防振取着部414とを備えている。防振取着部414は、第2防振部材430が取着される部材であり、下板311の前下連結部311b2に連結される前脚部313bの下端部近傍に左右一対に設けられている。
【0082】
第2防振部材430は、ペダル装置1の振動を減衰するための部材であり、ペダル載置部340の左右方向端部において左右一対に設けられている。各第2防振部材430は、ゴム状弾性体から円柱状に形成され、上端面が各防振取着部414の下面側に取着されると共に、下端面がペダル載置部340の上面側に取着され、ペダル載置部340が支持部材410に弾性支持される。なお、一対の防振取着部414及び一対の第2防振部材430は、少なくとも前後方向における配設位置が打楽器部材20のペダル固定部22aと、前下連結部311b2との間であればよく、ペダル固定部22aよりも前下連結部311b2に近接した位置に配設されることが好ましい。これにより、ペダル載置部340を支持部材410に対して安定的に支持することができる。
【0083】
ペダル載置部340は、床面Fから浮いた状態で一対の第2防振部材430を介して支持部材410に弾性支持されるので、ペダル部2への踏み込み動作によるペダル装置1からの衝撃が床面Fに伝達されることを回避できる。また、ペダル部2への踏み込みによって発生するペダル載置部340の振動は第2防振部材430に伝達されるので、ペダル載置部340から第2防振部材430に伝達された振動を第2防振部材430の防振作用により緩衝させることができる。よって、ペダル載置部340から支持部材410に伝達される振動を低減させることができるので、支持部材410の振動を小さくでき、その結果、支持部材410から床面Fへ伝達される振動を小さくできる。
【0084】
また、ペダル装置1と支持部材410の前脚部313bとの間に第2防振部材430が介設され、下基部311aが床面Fに接地されるので、第2防振部材430を床面Fに接地させる場合と比べて、支持部材410を床面Fに安定的に設置することができる。よって、演奏時における打楽器支持構造体400の安定感を確保できる。
【0085】
さらに、ペダル装置1と支持部材410との間に第2防振部材430が介設されると共に、ペダル装置1と打面装置21とが金属性のペダル連結部材22に連結されているので、ペダル部2への踏み込みを開始してから打撃体5が打面21aを打撃するまでの間、ペダル固定部22aに固定されるペダル装置1と打面装置21との相対位置が第2防振部材430の弾性変形により変動することを回避できる。よって、ペダル部2への踏み込み力や踏み込み速度にかかわらず、演奏者がペダル部2への踏み込みを開始してから打撃体5が打面21aを打撃するまでの時間の変動を抑制できるので、演奏者は、適正なタイミングで安定的に打面21aを打撃しやすくできる。
【0086】
次に、図8及び図9を参照して、第5実施の形態について説明する。第1実施の形態では、打楽器部材20が、支持部材10に弾性支持されていたが、第5実施の形態では、打楽器部材20が他の打楽器を保持可能なドラムスタンド550に弾性支持される。なお、上記した各実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0087】
図8は、第5実施の形態における打楽器支持構造体500の概略図であり、ドラムスタンド550に接続された打楽器支持構造体500にペダル装置1が固定された状態が図示されている。図9は、打楽器支持構造体500の正面図である。なお、図8及び図9では、連結ホルダ553及び接続ホルダ554が模式的に図示されている。
【0088】
図8に示すように、ドラムスタンド550は、複数の楽器を床面F(図9参照)に対して支持する部材であり、床面Fに平行に配設される5本の平行パイプ部材551と、床面Fに立設される4本の立設パイプ部材552と、その立設パイプ部材552に平行パイプ部材551の端部を着脱自在に連結する連結ホルダ553と、平行パイプ部材551の外周面に着脱自在に取着される接続ホルダ554とを備えている。
【0089】
接続ホルダ554には、楽器が接続可能なアーム部材560が着脱自在に取着され、演奏者は、接続ホルダ554を平行パイプ部材551に沿って摺動させたり、平行パイプ部材551周りに回転させることで、アーム部材560に接続される複数の楽器を演奏しやすい所望の位置に配置することができる。
【0090】
打楽器支持構造体500は、ドラムスタンド550に接続される支持部材510と、その支持部材510に支持される打楽器部材20と、その打楽器部材20及び支持部材510の間に介設される第1防振部材530とを主に備えて構成されている。
【0091】
図9に示すように、支持部材510は、打楽器部材20をドラムスタンド550に支持させるための部材であり、パイプ状に形成されると共に一端側(図9上側)が接続ホルダ554に着脱自在に固定されると共に、他端側の端面が一対の防振連結部材23の延設方向先端部分の上面と対向する位置に配設されている。
【0092】
第1防振部材530は、打楽器部材20の振動を減衰するための部材であり、打楽器部材20のペダル固定部22aを挟んで斜め上方に左右一対に設けられると共に、その左右一対に設けられる各第1防振部材530がペダル固定部22aからの離間距離が等しい位置に配設されている。各第1防振部材530は、ゴム状弾性体から円柱状に形成され、上端面が支持部材510の下端面に取着されると共に、下端面が打楽器部材20の防振連結部材23の延設方向先端部分の上面側に取着される。また、一対の第1防振部材530は、前後方向における配設位置がペダル固定部22aの配設位置と同等に位置し、高さ方向における配設位置が打面装置21の高さ位置と同等に位置している。
【0093】
支持部材510がドラムスタンド550に支持された状態において、支持部材510及び打楽器部材20の全体およびペダル装置1の打楽器部材20に固定される側(図9紙面垂直方向奥側)が床面Fから浮いた状態でドラムスタンド550に支持されている。打楽器部材20全体が床面Fから浮かされた状態で第1防振部材530を介してドラムスタンド550に弾性支持されるので、打面21aがペダル装置1の打撃体2に打撃されたことによる打楽器部材20の振動が第1防振部材530に伝達される。第1防振部材530は、ゴム状弾性体で構成されているので、第1防振部材530に伝達された振動を、第1防振部材530の防振作用により緩衝させることができる。よって、打楽器部材20からドラムスタンド550に伝達される振動を低減させることができるので、ドラムスタンド550の振動を小さくでき、その結果、ドラムスタンド550から床面Fへ伝達される振動を小さくできる。
【0094】
さらに、ペダル装置1の打楽器部材20に固定される側が床面Fから浮かされた状態で第1防振部材530を介してドラムスタンド550に弾性支持されるので、踏み込み動作によるペダル装置1からの衝撃が床面Fに伝達されることを低減できる。また、ペダル装置1がペダル固定部22a(図4参照)に固定されており、そのペダル固定部22aを有するペダル連結部材22及びそのペダル連結部材22に連結される打面装置21を介してドラムスタンド550に弾性支持されるので、ペダル装置1から打楽器部材20へ伝達される振動を第1防振部材530の防振作用により緩衝させることができる。よって、ペダル装置1から床面Fへ振動が伝達されることを抑制できる。
【0095】
また、支持部材510は、床面Fから浮かされた状態で、他の打楽器が保持されるドラムスタンド550に接続されるので、ドラムスタンド550とは別に支持部材を床面に接地させるためのスペースを不要とすることができる。また、支持部材を床面に接地させる場合と比べて、支持部材510の構造を簡素化できるので、支持部材510の製造コストを削減できる。
【0096】
さらに、打楽器部材20から平行パイプ部材551に伝達される振動は、連結ホルダ553及び立設パイプ部材552を介して床面Fに伝達されるので、打楽器部材20から床面Fまでの振動伝達経路を長く確保できる。よって、打楽器部材20から床面Fに伝達される振動をより低減させることができる。
【0097】
なお、連結ホルダ553及び接続ホルダ554を合成樹脂から構成することで、金属から構成される場合と比べて、連結ホルダ553及び接続ホルダ554に伝達される振動を緩衝させやすくすることができる。よって、打楽器部材20から床面Fに伝達される振動をより低減させることができる。
【0098】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0099】
例えば、上記各実施の形態では、第1防振部材30,230,530が、打楽器部材20の一対の防振連結部材23の左右方向外側の先端部分に取着される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1防振部材30,230,530が、一対の防振連結部材23の左右方向外側の先端部分よりも打面装置21に近接した位置であって、ペダル固定部22aからの離間距離が等しい位置で左右一対に設けられてもよい。
【0100】
さらに、上記各実施の形態では、打楽器部材20が一対の防振連結部材23を備え、その一対の防振連結部材23に第1防振部材30,230,530が取着される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、打楽器部材20の打面装置21に第1防振部材30,230,530が取着されてもよい。これにより、一対の防振連結部材23が不要となるので、部品コストを抑制できる。また、この場合、第1防振部材30,230,530を打面装置21の左右方向における中心部分に1つの第1防振部材30,230,530を設けてもよい。これにより、第1防振部材30,230,530を一対設けることが不要となるので、部品コストを抑制できる。さらに、打面装置21の左右方向における中心部分に1つの第1防振部材30,230,530を設ける場合には、その第1防振部材30,230,530の左右方向における寸法を大きく確保することで、打楽器部材20を安定的に保持することができる。
【0101】
また、上記各実施の形態では、一対の第1防振部材30,230,530及び一対の第2防振部材330,430が、左右に各1個配設される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、一対の第1防振部材30,230,530又は一対の第2防振部材330,430を、左右に各2個以上配設してもよい。これにより、一対の第1防振部材30,230,530又は一対の第2防振部材330,430による防振作用をより向上させることができる。
【0102】
さらに、上記各実施の形態では、第1防振部材30,230,530をペダル固定部22aに対して左右に一対設け、その左右一対の各第1防振部材30,230,530をペダル固定部22aからの離間距離が等しい位置に配設する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、左右一対の各第1防振部材30,230,530を打楽器部材20の重心に対して回転モーメントが等しくなる位置に配設してあればよい。これにより、演奏時における打楽器支持構造体100,200,300,400,500の安定感を確保できる。
【0103】
また、上記各実施の形態では、打面装置21は、打面21aの振動を検出するセンサが配設された電子打楽器である場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、打面装置が、センサを備えていない練習用の打楽器等であってもよい。練習用の打楽器としては、例えば、上記各実施の形態における打面装置21からセンサを省略して構成したもの、打撃音を抑制するために打面をゴムやメッシュ等で構成したもの等が例示される。また、センサを備えていない打楽器支持構造体の他の使用例としては、センサを省略した打面装置を備える打楽器支持構造体と、打撃体の頭部に格納されたセンサを備えるペダル装置とが1組の電子打楽器として構成され、打撃体の頭部が打面装置の打面を打撃した際に発生する打撃体の頭部の振動をセンサが検出するものが例示される。
【符号の説明】
【0104】
100,200,300,400,500 打楽器支持構造体
1 ペダル装置
5 打撃体
10,210,310,410,510 支持部材
20 打楽器部材
21a 打面
21 打面装置
22 ペダル連結部材(連結部材)
22a ペダル固定部
30,230,530 第1防振部材
330,430 第2防振部材
340 ペダル載置部
550 ドラムスタンド
551 平行パイプ部材(パイプ状部材の一部)
552 立設パイプ部材(パイプ状部材の一部)
553 連結ホルダ(ホルダの一部)
F 床面
L 仮想直線
【技術分野】
【0001】
本発明は、打楽器支持構造体に関し、特に、床面へ伝達される振動を抑制しつつ、演奏時の安定感を確保できる打楽器支持構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、演奏者の踏み込み動作に連動して回動する打撃体(ビータ)を有するペダル装置を用いて演奏される打楽器が知られている。この打楽器を床面に対して支持する打楽器支持構造体について、ペダル装置を踏み込む際の衝撃や打楽器の振動が床面に伝達されることを抑制するための技術が開示されている。
【0003】
例えば、特開平11−212565号公報には、打面装置が左右の前脚81と左右の後脚82とを有する脚構造体8(支持部材)で支持され、左右の後脚82を連結する連結棹86にフットペダル装置6(ペダル装置)が先端側の底面を床面から浮かせた状態で取り付けられる打面装置の脚構造が開示されている(特許文献1)。この特許文献1によれば、フットペダル装置6のペダル踏み込み時の床面方向の力が複数本の脚(即ち、前脚81、後脚82)全部に分散されることで、床面の階下への騒音の発生が低減される。
【0004】
また、特開平11−24660号公報には、振動吸収材から構成される設置部材22を有する4つの脚部材12と、その脚部材12を介して床面に支持されると共にバスドラム30(打面装置)及びペダル32(ペダル装置)を搭載可能な台板11とを備える防振台(支持部材)が開示されている(特許文献2)。この特許文献2によれば、ペダル32を踏み込んだ際の衝撃が脚部材12の設置部材22を構成する振動吸収材により吸収されることで、床衝撃音が低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−212565号公報(段落[0027],[0028]など)
【特許文献2】特開平11−24660号公報(段落[0012],[0014]など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1の打面装置の脚構造では、打面装置を安定的に支持するために脚構造体8を金属等の剛体から構成する必要があるので、脚構造体8が特定の周波数で振動した場合には、脚構造体8から床面へ伝達される振動が大きくなるという問題点があった。また、この脚構造体8の床面と接地する部分にゴム等の弾性材料を装着した場合、床面へ伝達される騒音が抑制されるものの、カーペット等が敷設された床面に脚構造体8を接地させると、弾性材料が弾性変形することで脚構造体8が安定せず、演奏時の安定感が損なわれるという問題点があった。
【0007】
また、上述した特許文献2の防振台では、バスドラム30及びペダル32が搭載される台板11全体が振動吸収効果を奏する脚部材12に支持されるので、ペダル32を踏み込むと、台板11に搭載されたバスドラム30及びペダル32が脚部材12の設置部材22を構成する振動吸収材の作用により前後左右方向へ揺れ動き、バスドラム30を演奏する際の安定感が損なわれるという問題点があった。
【0008】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、床面へ伝達される振動を抑制しつつ、演奏時の安定感を確保できる打楽器支持構造体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0009】
請求項1記載の打楽器支持構造体によれば、打楽器部材全体が床面から浮かされた状態で第1防振部材を介して支持部材に弾性支持されるので、打面装置の打面がペダル装置の打撃体に打撃されたことによる打楽器部材の振動が第1防振部材に伝達される。第1防振部材は、弾性材料で構成されているので、打楽器部材から第1防振部材に伝達された振動を第1防振部材の防振作用により緩衝させることができる。よって、打楽器部材から支持部材に伝達される振動を低減させることができるので、支持部材の振動を小さくでき、その結果、支持部材から床面へ伝達される振動を小さくできるという効果がある。
【0010】
また、ペダル装置の少なくとも一部が床面から浮かされた状態で第1防振部材を介して支持部材に弾性支持されるので、踏み込み動作によるペダル装置からの衝撃が床面に伝達されることを低減できる。また、ペダル装置が打楽器部材のペダル固定部に固定されており、そのペダル固定部を有する連結部材およびその連結部材に連結される打面装置を備える打楽器部材が第1防振部材を介して支持部材に弾性支持されるので、ペダル装置から打楽器部材へ伝達される振動を第1防振部材の防振作用により緩衝させることができる。よって、ペダル装置から床面へ振動が伝達されることを抑制できるという効果がある。
【0011】
なお、第1防振部材を支持部材と床面との間に配設する場合では、支持部材の振動が第1防振部材に伝達されると、第1防振部材が弾性変形し、その第1防振部材の弾性変形により支持部材も揺れ動くので、演奏時における打楽器支持構造体の安定感が損なわれる。
【0012】
これに対し、第1防振部材を支持部材と打楽器部材との間に配設することで、第1防振部材の防振作用により支持部材の振動を低減させて床面へ伝達される振動を抑制しつつ、支持部材を直接、床面に接地させて支持部材を床面に安定的に設置することができる。よって、演奏時における打楽器支持構造体の安定感を確保できるという効果がある。
【0013】
請求項2記載の打楽器支持構造体によれば、請求項1記載の打楽器支持構造体の奏する効果に加え、第1防振部材がペダル固定部よりも打面装置に近接した位置に配設されるので、打撃体に打撃される打面と第1防振部材との高さ方向における離間寸法を小さくできる。よって、打面装置の打面がペダル装置の打撃体に打撃された際の衝撃で、第1防振部材を通る仮想直線周りの回転モーメントが打楽器部材に発生することを低減させることができる。よって、打面装置を打撃することによる打楽器部材の揺動を抑制できるという効果がある。
【0014】
さらに、防振部材と打面装置の打面との高さ方向における離間寸法を小さくできるので、ペダル装置の打撃体に打撃された打面装置を支持する際に第1防振部材に作用する応力を低減させることができる。よって、第1防振部材の長寿命化を図ることができるという効果がある。
【0015】
請求項3記載の打楽器支持構造体によれば、請求項1又は2に記載の打楽器支持構造体の奏する効果に加え、第1防振部材が打楽器の側面視においてペダル固定部の鉛直方向上側に配設されるので、ペダル装置が踏み込まれ、ペダル固定部が押し下げられる際に、第1防振部材を通る仮想直線周りの回転モーメントが支持部材に発生することを防止できる。
【0016】
即ち、第1防振部材がペダル固定部よりもペダル装置が配設される側、または、ペダル装置が配設される側の反対側に位置している場合では、ペダル装置が踏み込まれ、ペダル固定部が押し下げられると、第1防振部材を通る仮想直線周りの回転モーメントが支持部材に発生する。
【0017】
これに対し、第1防振部材が打楽器の側面視においてペダル固定部の鉛直方向上側に配設されることで、ペダル装置が踏み込まれ、ペダル固定部が押し下げられる際に、仮想直線周りの回転モーメントが支持部材に発生することを抑制できるので、支持部材の一部が床面から浮き上がることを抑制でき、演奏時における打楽器支持構造体の安定感を確保できるという効果がある。
【0018】
請求項4記載の打楽器支持構造体によれば、請求項1から3のいずれかに記載の打楽器支持構造体の奏する効果に加え、ペダル装置がペダル載置部に載置された状態において、ペダル載置部の全体が床面から浮かされた状態で支持部材に支持されるので、ペダル装置の踏み込み動作によるペダル装置からの衝撃が床面に伝達されることを防止できる。よって、ペダル装置から床面へ振動が伝達されることを回避できるという効果がある。
【0019】
さらに、ペダル載置部は、第2防振部材を介して支持部材に弾性支持されるので、ペダル装置の踏み込みによるペダル載置部の振動が第2防振部材に伝達される。第2防振部材が弾性材料で構成されているので、第2防振部材に伝達された振動を緩衝させることができる。よって、ペダル載置部から支持部材に伝達される振動を低減させることができるので、支持部材の振動を小さくでき、その結果、支持部材から床面へ伝達される振動を小さくできるという効果がある。
【0020】
請求項5記載の打楽器支持構造体によれば、請求項1から3のいずれかに記載の打楽器支持構造体の奏する効果に加え、支持部材が他の打楽器部材を保持可能なドラムスタンドに接続され、支持部材および打楽器部材の全体とペダル装置の一部とが、床面から浮かされた状態でドラムスタンドに支持されるので、支持部材を床面に接地させるためのスペースをドラムスタンドとは別に確保することを不要とすることができるという効果がある。また、支持部材を床面に接地させる場合と比べて、支持部材の構造を簡素化できるので、支持部材の製造コストを削減できるという効果がある。
【0021】
さらに、ドラムスタンドは、複数のパイプ状部材と、それら複数のパイプ状部材を連結するホルダとを備え、複数のパイプ状部材の一部が床面に接地するものであり、そのドラムスタンドに対して支持部材が接続されるので、支持部材からドラムスタンドに伝達された振動は、複数のパイプ状部材およびホルダを介して床面へ伝達される。よって、打楽器部材から床面までの振動伝達経路を長く確保できるので、打楽器部材から床面に伝達される振動をより低減させることができるという効果がある。
【0022】
請求項6記載の打楽器構造体によれば、請求項1から5のいずれかに記載の打楽器支持体の奏する効果に加え、床面から支持部材に伝達される振動が第1防振部材に伝達され、その第1防振部材に伝達された振動を第1防振部材の防振作用により緩衝させることができる。よって、床面から打楽器部材に伝達される振動を低減させることができるので、床面から伝達される振動をセンサが誤って検知することを抑制できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施の形態における打楽器支持構造体の斜視図である。
【図2】(a)は、打楽器支持構造体の正面図であり、(b)は、図2(a)のIIb方向視における打楽器支持構造体の側面図である。
【図3】(a)は、打楽器支持構造体の正面図であり、(b)は、図3(a)のIIIb方向視における打楽器支持構造体の側面図である。
【図4】打楽器支持構造体の側面図である。
【図5】(a)は、第2実施の形態における打楽器支持構造体の正面図であり、(b)は、図5(a)のVb方向視における打楽器支持構造体の側面図である。
【図6】(a)は、第3実施の形態における打楽器支持構造体の正面図であり、(b)は、図6(a)のVIb方向視における打楽器支持構造体の側面図である。
【図7】(a)は、第4実施の形態における打楽器支持構造体の正面図であり、(b)は、図7(a)のVIIb方向視における打楽器支持構造体の側面図である。
【図8】第5実施の形態における打楽器支持構造体及びドラムスタンドの概略図である。
【図9】打楽器支持構造体の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、図1から図3を参照して、本発明の第1実施の形態における打楽器支持構造体100の構成について説明する。図1は、本発明の第1実施の形態における打楽器支持構造体100の斜視図であり、打楽器支持構造体100にペダル装置1が固定された状態が図示されている。図2(a)は、打楽器支持構造体100の正面図であり、図2(b)は、図2(a)のIIb方向視における打楽器支持構造体100の側面図である。図3(a)は、打楽器支持構造体100の正面図であり、図3(b)は、図3(a)のIIIb方向視における打楽器支持構造体100の側面図であり、図3(a)及び図3(b)では、打楽器支持構造体100にペダル装置1が固定された状態が図示されている。なお、図1及び図3では、ペダル装置1が模式的に図示され、例えば、ペダル部2への踏み込みが解除された際にペダル部2を元の位置へ戻すためのスプリング等の図示が省略されており、以下においても同様に図示されている。また、図1から図3における矢印U−D、L−R、F−Bは、打楽器支持構造体100の上下方向、左右方向、前後方向をそれぞれ示しており、以下においても同様とする。
【0025】
図1に示すように、打楽器支持構造体100は、床面F(図2(a)参照)に接地される支持部材10と、その支持部材10に支持される打楽器部材20と、その打楽器部材20及び支持部材10の間に介設される第1防振部材30とを主に備えて構成されている。打楽器部材20には、演奏者により踏み込み操作されるペダル装置1が固定され、そのペダル装置1の踏み込み操作によって打楽器部材20による演奏がなされる。また、打楽器部材20は、床面Fから浮いた状態で支持部材10に支持され、打楽器部材20に固定されたペダル装置1は、一部分が床面Fに対して浮いた状態で打楽器部材20に支持されている。
【0026】
図2(a)及び図2(b)に示すように、支持部材10は、打楽器部材20を床面Fから浮かせた状態で床面Fに対して支持する金属製の部材であり、床面Fに接地される板状の下板11と、その下板11の上方に配設される板状の上板12と、その上板12及び下板11を連結する棒状の脚部13とを備えている。
【0027】
下板11は、打楽器部材20が配設される前側が開口するコ字板状の下基部11aと、その下基部11aの前後左右方向の角部から前後方向外側へ延設される4つの下連結部11bとを備え、下基部11aの下面側が床面Fに接地されると共に、下連結部11bが下基部11aに対して上方へ傾斜している。
【0028】
上板12は、第1防振部材30を介して打楽器部材20が支持される部位であり、前側が開口するコ字板状の上基部12aと、その上基部12aの前後左右方向の角部から前後方向外側へ延設される4つの上連結部12bとを備えている。上基部12aは、下基部11aに平行に配設され、左右方向における寸法が下基部11aと同等の寸法に設定される共に、前後方向における寸法が下基部11aよりも小さく設定されている。また、上連結部12bは、上基部12aに対して上方へ傾斜しており、その傾斜角度が下連結部11bの下基部11aに対する傾斜角度と同等に設定されている。
【0029】
脚部13は、上板12を床面Fから所定の高さ位置に配設するための部材である。脚部13は、下板11の下連結部11b及び上板11の上連結部12bに対応する位置に合計4本配設され、下端が下連結部11bに連結されると共に、上端が上連結部12bに連結されている。
【0030】
ここで、支持部材10は、脚部13の下端に下板11が連結され、その下板11の下基部11aが床面Fに接地されているので、脚部13の下端が床面Fに接地される場合と比べて、支持部材10の床面Fに対する接地面積をより広く確保できる。また、上板12の上基部12aは、前後方向における寸法が下板11の下基部11aよりも小さく形成されている。よって、下板11の床面Fに対する接地面積を大きくして打楽器支持構造体100の演奏時における安定感を確保しつつ、上板12を小型化してスタンド10の軽量化および部品コストの抑制を図ることができる。
【0031】
また、下板11は、床面Fに接地される下基部11aの下面をゴム状弾性体で覆設してもよい。これにより、下基部11aが接地される床面Fに傷が付くことを防止できる。なお、打楽器支持構造体100は、第1防振部材30により打楽器部材20の振動を低減させるものであり、下板11の下面を覆設するゴム状弾性体によって打楽器部材20の振動を低減させることは不要なので、下板11の下面を覆設するゴム状弾性体は、第1防振部材30よりも弾性が小さいものが好ましい。即ち、下板11の下面を覆設するゴム状弾性体の弾性を大きく設定した場合では、支持部材10が前後左右方向に揺れ動きやすくなるので、打楽器支持構造体100の安定感が損なわれる。よって、下板11の下面を覆設するゴム状弾性体の弾性を小さく設定することで、床面Fに傷が付くことを防止しつつ、打楽器支持構造体100の安定感を確保できる。
【0032】
打楽器部材20は、ペダル装置1(図1参照)を用いて打撃される打面21aを有する打面装置21と、その打面装置21に連結されると共に下方へ延設されるペダル連結部材22と、打面装置21に連結されると共に左右方向外側へ向けて水平方向に延設される一対の防振連結部材23とを備えている。
【0033】
打面装置21は、内部に打面21aの振動を検出するセンサ(図示せず)が配設された、いわゆる電子打楽器である。打面21aが打撃されると、その打面21aの振動をセンサが検出し、そのセンサにより検出された検出信号は、音源に送信され、音源は、打撃に応じた楽音を生成するように構成されており、その生成された楽音は、アンプを介してスピーカから放音される。
【0034】
ペダル連結部材22は、打面装置21とペダル装置1とを連結させるための部材であり、所定の剛性を有する金属で構成されている。ペダル連結部材22は、その下端部分を打面21aが指向する前側へ屈曲させて形成されるペダル固定部22aを備えている。ペダル固定部22aは、ペダル装置1が固定される部位であり、上面には左右方向に延設される突起部22a1が突出形成されている。これにより、ペダル固定部22aの曲げ剛性およびペダル装置1を固定する保持力を確保することができる。
【0035】
一対の防振連結部材23は、打面装置21と支持部材10とを連結させるための部材であり、所定の剛性を有する金属で構成されている。また、各防振連結部材23は、上基部12の左右方向における端部の下面と対向する位置まで延設され、その各防振連結部材23の延設方向における先端部分は、前後方向における配設位置がペダル固定部22aと同等に位置している。
【0036】
第1防振部材30は、打楽器部材20の振動を減衰するための部材であり、打楽器部材20のペダル固定部22aを挟んで斜め上方に左右一対に設けられると共に、その左右一対に設けられる各第1防振部材30がペダル固定部22aからの離間距離が等しい位置に配設されている。各第1防振部材30は、ゴム状弾性体から円柱状に形成され、上端面が支持部材10の上基部12aの下面側に取着されると共に、下端面が打楽器部材20の一対の防振連結部材23の左右方向外側の先端部分の上面側に取着される。これにより、各第1防振部材30は、前後方向における配設位置がペダル固定部22aと同等に位置し、左右方向における配設位置が支持部材10の下基部11及び上基部12の左右方向における端部と同等に位置し、高さ方向における配設位置が打面装置21と同等に位置している。
【0037】
ここで、一対の第1防振部材30が打面装置21に対して水平方向に近接して取着される場合では、打楽器部材20を弾性支持する際に一対の第1防振部材30に対して下方だけでなく、打楽器部材20の前後方向を軸とする軸周りに回転させようとする力が加わりやすくなる。この場合、ペダル装置1の踏み込み時において打楽器部材20を安定的に保持するためには、一対の第1防振部材30を比較的弾性の小さいゴム状弾性体から構成して、ペダル装置1の踏み込み時における一対の第1防振部材30の弾性変形量を小さくする必要があるので、一対の第1防振部材30の防振作用が低減される。
【0038】
これに対し、一対の第1防振部材30を打面装置21に連結される一対の防振連結部材23の左右方向外側の先端部分に取着することで、打面装置21と各第1防振部材30との水平方向における離間寸法を大きく確保できるので、打楽器部材20を弾性支持する際に打楽器部材20の前後方向を軸とする軸周りに回転させようとする力を抑制できる。即ち、一対の第1防振部材30は、下方へ作用する力による弾性変形によって打楽器部材20が床面Fに接地することを防止できる弾性に設定されていればよいので、一対の第1防振部材30を比較的弾性の大きいゴム状弾性体から構成した場合であっても、打楽器部材20を安定的に保持しつつ、第1防振部材30の防振作用を確保できる。
【0039】
なお、本実施の形態では、一対の第1防振部材30がゴム状弾性体で構成されているが、これに限られるものではなく、一対の第1防振部材30が、スプリング又はダンパー等の振動を制振または減衰するもので構成されていてもよい。
【0040】
図3(a)及び図3(b)に示すように、ペダル装置1は、演奏者の踏み込みに応じて打楽器部材20の打面21aを打撃する装置であり、演奏者に踏み込まれるペダル部2と、そのペダル部2を回動自在に軸支するペダル基部3と、そのペダル基部3に立設される立設部4と、その立設部4に回動自在に軸支される打撃体5とを備えている。
【0041】
ペダル部2は、長手方向一側(図3(b)右側)がペダル基部3に軸支されると共に長手方向他側(図3(b)左側)が帯状のベルト6を介して立設部4に連結されている。
【0042】
ペダル基部3は、長手方向一側(図3(b)右側)に配設されるペダル軸支部3aと、長手方向他側(図3(b)左側)に配設される上下一対のペダル挟持部3b1,3b2とを備えている。ペダル軸支部3aは、ペダル部2の長手方向一側を回動自在に軸支する部位である。一対のペダル挟持部3b1,3b2は、ペダル装置1を打楽器部材20のペダル固定部22aに着脱自在に挟持固定するための部位であり、上側のペダル挟持部3b1が下側のペダル挟持部3b2に対して上下移動可能に構成され、上下一対のペダル挟持部3b1,3b2によってペダル固定部22aを挟持固定することでペダル装置1が打楽器部材20に固定される。
【0043】
立設部4は、ペダル基部3の長手方向他側に立設される一対の柱部材4aと、それら一対の柱部材4aに回転可能に保持される回転軸4bと、その回転軸4bの外周面に固着されると共にベルト6が連結されるベルト連結部4cと、回転軸4bに固着されると共に打撃体5が着脱自在に取着される打撃体取着部4dとを備えている。
【0044】
打撃体5は、打面装置21の打面21aを打撃するための部材であり、打面21aを打撃する頭部材5aと、その頭部材5aが一端に連結されると共に立設部4の打撃体取着部4dに他端が取着される棒状の棒部材5bとを備えている。
【0045】
次に、図4を参照して、演奏時における打楽器部材20の支持構造について説明する。図4は、打楽器部材20の側面図であり、打楽器支持構造体100に固定されたペダル装置1のペダル部2が踏み込まれ、打撃体5が打面装置21の打面21aを打撃した状態が図示されている。
【0046】
図4に示すように、演奏者によりペダル装置1のペダル部2が踏み込まれると、ペダル部2の長手方向他側が押し下げられると共にベルト6(図3(a)参照)が下方へ引っ張られ、ベルト6が連結された立設部4のベルト連結部4cが一方向(図4反時計回り方向)へ回動する。ベルト連結部4cが一方向へ回動すると、ベルト連結部4cが固着される回転軸4b及びその回転軸4bに固着される打撃体取着部4dが一方向へ回動し、その打撃体取着部4dの回動に連動して打撃体5が一方向へ回動し、打撃体5の頭部5aが打面装置21の打面21aを打撃する。また、ペダル部2への踏み込みが解除されると、ペダル部2が上昇すると共に、回転軸4b、ベルト連結部4c、打撃体取着部4d及び打撃体5が他方向(図4時計回り方向)へ回動し、ペダル装置1はペダル部2が踏み込まれる前の状態に戻る。
【0047】
ペダル部2が踏み込まれた状態において、打楽器部材20全体が床面Fから浮かされた状態で一対の第1防振部材30を介して支持部材10に弾性支持されるので、打面装置21の打面21aがペダル装置1の打撃体5に打撃されたことによる打楽器部材20の振動が第1防振部材30に伝達される。第1防振部材30は、ゴム状弾性体で構成されているので、打楽器部材20から第1防振部材30に伝達された振動を第1防振部材30の防振作用により緩衝させることができる。よって、打楽器部材20から支持部材10に伝達される振動を低減させることができるので、支持部材10の振動を小さくでき、その結果、支持部材10から床面Fへ伝達される振動を小さくできる。
【0048】
また、ペダル装置1の一部が床面Fから浮かされた状態で第1防振部材30を介して支持部材10に弾性支持されるので、ペダル部2への踏み込み動作によるペダル装置1からの衝撃が床面Fに伝達されることを低減できる。また、ペダル装置1がペダル固定部22aに固定されており、そのペダル固定部22aを有するペダル連結部材22及びそのペダル連結部材22に連結される打面装置21が、第1防振部材30を介して支持部材10に弾性支持されるので、ペダル装置1から打楽器部材20へ伝達される振動を第1防振部材30の防振作用により緩衝させることができる。よって、ペダル装置1から床面Fへ振動が伝達されることを抑制できる。
【0049】
さらに、床面F及びペダル装置1から支持部材10に伝達される振動を第1防振部材30の防振作用により緩衝させることができるので、床面F及びペダル装置1の振動が打面装置21内のセンサに伝達されることを低減させることができる。よって、床面F及びペダル装置1から伝達される振動をセンサが誤って検知することを抑制できる。
【0050】
なお、第1防振部材30を支持部材10と床面Fとの間に配設する場合では、支持部材10の振動が第1防振部材30に伝達されると、第1防振部材30が弾性変形し、その第1防振部材30の弾性変形により支持部材10も揺れ動くので、演奏時における打楽器支持構造体100の安定感が損なわれる。
【0051】
これに対し、第1防振部材30を支持部材10と打楽器部材20との間に配設することで、第1防振部材30の防振作用により支持部材10の振動を低減させて床面Fへ伝達される振動を抑制しつつ、支持部材10を直接、床面Fに接地させて支持部材10を床面Fに安定的に設置することができる。よって、演奏時における打楽器支持構造体100の安定感を確保できる。
【0052】
また、第1防振部材30を打楽器部材20の打面装置21とペダル装置1との間に配設する場合、ペダル装置1のペダル部2の踏み込みを開始してから打撃体5が打面21aを打撃するまでの間に、打面装置21とペダル装置1との相対位置がペダル部2への踏み込みにより生じる第1防振部材30の弾性変形に伴って変動する。この場合、第1防振部材30の弾性変形量はペダル部2への踏み込み力や踏み込み速度によって異なるので、打面装置21とペダル装置1との相対位置の変動量がペダル部2への踏み込み力や踏み込み速度に応じて変動し、その変動量に応じて、打撃体5を回動させて打面21aを打撃するために必要なペダル装置1の踏み込み量も変動する。その結果、演奏者がペダル部2への踏み込みを開始してから打撃体5が打面21aを打撃するまでの時間が、ペダル部2への踏み込み力や踏み込み速度によって変動するため、演奏者は、適正なタイミングで安定的に打面21aを打撃することが困難になる。
【0053】
これに対し、第1防振部材30を支持部材10と打楽器部材20との間に配設し、打面装置21とペダル装置1とが所定の剛性を有する金属性のペダル連結部材22により連結されることで、ペダル部2への踏み込みを開始してから打撃体5が打面21aを打撃するまでの間、ペダル固定部22aに固定されるペダル装置1と打面装置21との相対位置が第1防振部材30の弾性変形により変動することを回避できる。よって、ペダル部2への踏み込み力や踏み込み速度にかかわらず、演奏者がペダル部2への踏み込みを開始してから打撃体5が打面21aを打撃するまでの時間の変動を抑制できるので、演奏者は、適正なタイミングで安定的に打面21aを打撃しやすくできる。
【0054】
さらに、一対の第1防振部材30がペダル固定部22aに対して左右に一対設けられると共に、各第1防振部材30がペダル固定部22aからの離間距離が等しい位置に配設されるので、ペダル部2の踏み込みによりペダル固定部22aが押し下げられた際に、各第1防振部材30に作用する荷重を均等にすることができる。よって、ペダル部2への踏み込みにより、一対の第1防振部材30のいずれか一方に作用する荷重が、他方よりも大きくなることを低減させて、打楽器部材20及びペダル装置1が左右いずれか一方に傾斜することを抑制できる。さらに、一対の第1防振部材30を介して支持部材10の左右いずれか一方に作用する荷重が他方よりも大きくなることを低減させることができるので、支持部材10の左右いずれか一方が床面Fから浮き上がることを抑制できる。従って、演奏時における打楽器支持構造体100の安定感を確保できる。さらに、打撃体5の頭部材5aが打面21aの中心からずれた位置を打撃した場合に、打面装置21が左右に揺動することを防止できる。
【0055】
また、一対の第1防振部材30の高さ位置が打面装置21の高さ位置と同等に位置しているので、打面21aが打撃体5に打撃された際の衝撃で、一対の第1防振部材30を結ぶ仮想直線L周りの回転モーメントが打楽器部材20に発生することを低減させることができる。よって、打面装置21を打撃することによる打楽器部材20の揺動を抑制できる。
【0056】
さらに、一対の第1防振部材30が打面装置21と同等の高さ位置に配設されるので、打撃体5に打撃された打面装置21を支持する際に、第1防振部材30に作用する応力を低減させることができる。よって、第1防振部材30の長寿命化を図ることができる。
【0057】
また、一対の第1防振部材30の前後方向における配設位置がペダル固定部22aの前後方向における配設位置と同等に位置している。即ち、打楽器部材20の側面視において一対の第1防振部材30がペダル固定部22aの鉛直方向上側に位置しているので、ペダル部2が踏み込まれ、ペダル固定部22aが押し下げられる際に、仮想直線L周りの回転モーメントが支持部材10に発生することを低減させることができる。
【0058】
即ち、一対の第1防振部材30がペダル固定部22aよりも前方または後方に位置している場合では、ペダル部2が踏み込まれ、ペダル固定部22aが押し下げられると、仮想直線L周りの回転モーメントが支持部材10に発生する。
【0059】
これに対し、一対の第1防振部材30がペダル固定部22aの鉛直方向上側に位置することで、ペダル部2が踏み込まれ、ペダル固定部22aが押し下げられる際に、仮想直線L周りの回転モーメントが支持部材10に発生することを抑制できるので、支持部材10の前後いずれか一方が床面Fから浮き上がることを抑制でき、演奏時における打楽器支持構造体100の安定感を確保できる。
【0060】
さらに、打楽器部材20は、支持部材10に対して一対の第1防振部材30を介して弾性支持されているので、第1防振部材30の弾性変形を利用して、打楽器部材20を支持部材10に対して前後方向へ若干量揺動させることができる。よって、ペダル装置1をペダル固定部22aに固定させるためにペダル装置1に配設される固定部位の形状の差異を吸収するように第1防振部材30を弾性変形させることによって、ペダル基部3の後端を床面Fに接地させつつ、ペダル基部3の前端を床面Fから浮かせることができる。即ち、ペダル装置1の固定部位の配設位置や固定角度が異なる様々なペダル装置1についても打楽器支持構造体100を使用できるので、汎用性を高めることができる。
【0061】
次に、図5を参照して、第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、第1防振部材30の上端面が支持部材10に取着されると共に第1防振部材30の下端面が打楽器部材20に取着される場合を説明したが、第2実施の形態では、第1防振部材230の上端面が打楽器部材20に取着されると共に第1防振部材230の下端面が支持部材210に取着される。なお、上記した第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。図5(a)は、第2実施の形態における打楽器支持構造体200の正面図であり、図5(b)は、図5(a)のVb方向視における打楽器支持構造体200の側面図である。
【0062】
図5(a)又は図5(b)に示すように、打楽器支持構造体200は、床面Fに接地される支持部材210と、その支持部材210に支持される打楽器部材20と、その打楽器部材20及び支持部材210の間に介設される第1防振部材230とを主に備えて構成されている。
【0063】
支持部材210は、床面Fに接地される下板211と、その下板211の上方に配設される上板212と、その上板212及び下板211を連結する棒状の脚部213とを備えている。
【0064】
下板211は、下基部11aと、その下基部11aの前後左右方向の角部において前後方向外側へ延設される下連結部211bとを備えている。また、上板212は、上基部12aと、その上基部12aの前後左右方向の角部において前後方向外側へ延設される上連結部212bとを備え、上基部12aは、左右方向における端部の上面が一対の防振連結部材23の延設方向先端部分の下面と対向する位置に配設されている。
【0065】
なお、下板211は、下連結部211bの下基部211aに対する傾斜角度を除き、第1実施の形態における下板11と同一の構成であり、上板212は、上連結部212bの上基部12aに対する傾斜角度を除き、第1実施の形態における上板12と同一の構成である。さらに、脚部213は、長手方向の寸法を除き、第1実施の形態における脚部13と同一の構成である。
【0066】
第1防振部材230は、打楽器部材20の振動を減衰するための部材であり、打楽器部材20のペダル固定部22aを挟んで斜め上方に左右一対に設けられると共に、その左右一対に設けられる各第1防振部材230がペダル固定部22aからの離間距離が等しい位置に配設されている。各第1防振部材230は、ゴム状弾性体から円柱状に形成され、上端面が打楽器部材20の防振連結部材23の延設方向先端部分の下面側に取着されると共に、下端面が支持部材210の上基部12aの上面側に取着される。また、一対の第1防振部材230は、前後方向における配設位置がペダル固定部22aの配設位置と同等に位置し、左右方向における配設位置が支持部材210の下基部11a及び上基部12bの左右方向における端部の配設位置と同等に位置し、高さ方向における配設位置が打面装置21の高さ位置と同等に位置している。
【0067】
打楽器部材20全体が床面Fから浮かされた状態で一対の第1防振部材230を介して支持部材10に弾性支持されるので、打面装置21の打面21aがペダル装置1の打撃体5に打撃されたことによる打楽器部材20の振動が一対の第1防振部材230に伝達される。よって、打楽器部材20から第1防振部材230に伝達された振動を第1防振部材230の防振作用により緩衝させることができる。従って、打楽器部材20から支持部材210に伝達される振動を低減させることができるので、支持部材210の振動を小さくでき、その結果、支持部材210から床面Fへ伝達される振動を小さくできる。
【0068】
次に、図6を参照して、第3実施の形態について説明する。第1実施の形態では、ペダル装置1の一部が床面Fから浮いているのに対し、第3実施の形態では、ペダル装置1の全体が床面Fから浮いている。なお、上記した各実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。図6(a)は、第3実施の形態における打楽器支持構造体300の正面図であり、図6(b)は、図6(a)のVIb方向視における打楽器支持構造体300の側面図である。
【0069】
図6(a)及び図6(b)に示すように、打楽器支持構造体300は、床面Fに接地される支持部材310と、その支持部材310に支持される打楽器部材20と、その打楽器部材20及び支持部材310の間に介設される第1防振部材30と、ペダル装置1が載置されるペダル載置部340と、そのペダル載置部340及び支持部材310の間に介設される第2防振部材330とを備えている。
【0070】
支持部材310は、打楽器部材20を床面Fから浮かせた状態で床面Fに対して支持する金属製の部材であり、床面Fに接地される板状の下板311と、その下板311の上方に配設される板状の上板312と、その上板312及び下板311を連結する棒状の脚部313とを備えている。
【0071】
下板311は、打楽器部材20が配設される前側が開口するコ字板状の下基部311aと、その下基部311aの後方向に位置する左右角部から後方向へ延設される2つの後下連結部311b1と、下基部311aの前方向に位置する左右角部から前方向へ延設される2つの前下連結部311b2とを備えている。下基部311aは、床面Fに接地されると共に、後下連結部311b1及び前下連結部311b2が下基部311aに対して上方へ傾斜しており、前下連結部311b2の傾斜角度が後下連結部311b1の傾斜角度よりも大きく設定されている。
【0072】
上板312は、第1防振部材30を介して打楽器部材20が支持される部位であり、前側が開口するコ字板状の上基部312aと、その上基部312aの後方向に位置する左右角部から後方向へ延設される2つの後上連結部312b1と、上基部312aの前方向に位置する左右角部から前方向へ延設される2つの前上連結部312b2とを備えている。上基部312aは、左右方向における端部の下面が一対の防振連結部材23の延設方向先端部分の上面と対向する位置に配設され、各第1防振部材30は、上端面が上基部312aの下面側に取着されると共に、下端面が打楽器部材20の一対の防振連結部材23の左右方向外側の先端部分の上面側に取着される。後上連結部312b1及び前上連結部312b2は、上基部312aに対して上方へ傾斜しており、後上連結部312b1及び前上連結部312b2の上基部312aに対する傾斜角度が、それぞれ後下連結部311b1及び前下連結部311b2の下基部11aに対する傾斜角度と同等に設定されている。
【0073】
脚部313は、上板12を床面Fから所定の高さ位置に配設するための部材である。脚部313は、打楽器部材20の前後左右方向に合計4本配設され、下端が下板311の後下連結部311b1に連結されると共に上端が上板312の後上連結部312b1に連結される後脚部313aと、下端が下板311の前下連結部311b2に連結されると共に上端が上板312の前上連結部312b2に連結される前脚部313bとを備えている。
【0074】
ペダル載置部340は、ペダル装置1全体を床面Fから浮かせた状態で保持するための部材である。ペダル載置部340は、床面Fから浮かされた状態で一対の第2防振部材330に架設されると共に、左右方向における中心部分が下方へ向けて凹設されており、その凹設された部分にペダル装置1が載置される。これにより、ペダル装置1がペダル載置部340上で左右方向へ摺動することを抑制できる。なお、ペダル載置部340にペダル装置1を固定させるためのロック機構を設けてもよい。このロック機構としては、例えば、2つの部材でペダル基部3を挟持固定するものなどが例示される。
【0075】
第2防振部材330は、ペダル載置部340の振動を減衰するための部材であり、下板311の下基部311aの左右方向における後端部近傍において左右一対に設けられている。各第2防振部材330は、ゴム状弾性体から円柱状に形成され、下端面が下基部311aの上面側に取着されると共に、上端面がペダル載置部340の下面側に取着され、ペダル載置部340が支持部材310に弾性支持される。なお、一対の第2防振部材330は、下基部311aの上面側であって、前後方向における配設位置が、打楽器部材20のペダル固定部22aと、下板311の前下連結部311b2との間に位置していればよく、ペダル固定部22aよりも前下連結部311b2に近接した位置に配設されることが好ましい。これにより、ペダル載置部340を支持部材310に対して安定的に支持することができる。
【0076】
ペダル載置部340は、床面Fから浮いた状態で一対の第2防振部材330を介して支持部材310に弾性支持されるので、ペダル部2への踏み込み動作によるペダル装置1からの衝撃が床面Fに伝達されることを回避できる。また、ペダル部2への踏み込みによって発生するペダル載置部340の振動は第2防振部材330に伝達されるので、ペダル載置部340から第2防振部材330に伝達された振動を第2防振部材330の防振作用により緩衝させることができる。よって、ペダル載置部340から支持部材310に伝達される振動を低減させることができるので、支持部材310の振動を小さくでき、その結果、支持部材310から床面Fへ伝達される振動を小さくできる。
【0077】
また、ペダル装置1と支持部材310の下基部311aとの間に第2防振部材330が介設され、下基部311aが床面Fに接地されるので、第2防振部材330を床面Fに接地させる場合と比べて、支持部材310を床面Fに安定的に設置することができる。よって、演奏時における打楽器支持構造体300の安定感を確保できる。
【0078】
さらに、ペダル装置1と支持部材310との間に第2防振部材330が介設されると共に、ペダル装置1と打面装置21とが金属性のペダル連結部材22に連結されているので、ペダル部2への踏み込みを開始してから打撃体5が打面21aを打撃するまでの間、ペダル固定部22aに固定されるペダル装置1と打面装置21との相対位置が第2防振部材330の弾性変形により変動することを回避できる。よって、ペダル部2への踏み込み力や踏み込み速度にかかわらず、演奏者がペダル部2への踏み込みを開始してから打撃体5が打面21aを打撃するまでの時間の変動を抑制できるので、演奏者は、適正なタイミングで安定的に打面21aを打撃しやすくできる。
【0079】
次に、図7を参照して、第4実施の形態について説明する。第1実施の形態では、ペダル装置1の一部が床面Fから浮いているのに対し、第4実施の形態では、ペダル装置1の全体が床面Fから浮いている。なお、上記した各実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。図7(a)は、第4実施の形態における打楽器支持構造体400の正面図であり、図7(b)は、図7(a)のVIIb方向視における打楽器支持構造体400の側面図である。
【0080】
図7(a)及び図7(b)に示すように、打楽器支持構造体400は、床面Fに接地される支持部材410と、その支持部材410に支持される打楽器部材20と、その打楽器部材20及び支持部材410の間に介設される第1防振部材30と、ペダル装置1が載置されるペダル載置部340と、そのペダル載置部340及び支持部材410の間に介設される第2防振部材430とを備えている。
【0081】
支持部材410は、下板311と、上板312と、脚部313と、その脚部313に取着される防振取着部414とを備えている。防振取着部414は、第2防振部材430が取着される部材であり、下板311の前下連結部311b2に連結される前脚部313bの下端部近傍に左右一対に設けられている。
【0082】
第2防振部材430は、ペダル装置1の振動を減衰するための部材であり、ペダル載置部340の左右方向端部において左右一対に設けられている。各第2防振部材430は、ゴム状弾性体から円柱状に形成され、上端面が各防振取着部414の下面側に取着されると共に、下端面がペダル載置部340の上面側に取着され、ペダル載置部340が支持部材410に弾性支持される。なお、一対の防振取着部414及び一対の第2防振部材430は、少なくとも前後方向における配設位置が打楽器部材20のペダル固定部22aと、前下連結部311b2との間であればよく、ペダル固定部22aよりも前下連結部311b2に近接した位置に配設されることが好ましい。これにより、ペダル載置部340を支持部材410に対して安定的に支持することができる。
【0083】
ペダル載置部340は、床面Fから浮いた状態で一対の第2防振部材430を介して支持部材410に弾性支持されるので、ペダル部2への踏み込み動作によるペダル装置1からの衝撃が床面Fに伝達されることを回避できる。また、ペダル部2への踏み込みによって発生するペダル載置部340の振動は第2防振部材430に伝達されるので、ペダル載置部340から第2防振部材430に伝達された振動を第2防振部材430の防振作用により緩衝させることができる。よって、ペダル載置部340から支持部材410に伝達される振動を低減させることができるので、支持部材410の振動を小さくでき、その結果、支持部材410から床面Fへ伝達される振動を小さくできる。
【0084】
また、ペダル装置1と支持部材410の前脚部313bとの間に第2防振部材430が介設され、下基部311aが床面Fに接地されるので、第2防振部材430を床面Fに接地させる場合と比べて、支持部材410を床面Fに安定的に設置することができる。よって、演奏時における打楽器支持構造体400の安定感を確保できる。
【0085】
さらに、ペダル装置1と支持部材410との間に第2防振部材430が介設されると共に、ペダル装置1と打面装置21とが金属性のペダル連結部材22に連結されているので、ペダル部2への踏み込みを開始してから打撃体5が打面21aを打撃するまでの間、ペダル固定部22aに固定されるペダル装置1と打面装置21との相対位置が第2防振部材430の弾性変形により変動することを回避できる。よって、ペダル部2への踏み込み力や踏み込み速度にかかわらず、演奏者がペダル部2への踏み込みを開始してから打撃体5が打面21aを打撃するまでの時間の変動を抑制できるので、演奏者は、適正なタイミングで安定的に打面21aを打撃しやすくできる。
【0086】
次に、図8及び図9を参照して、第5実施の形態について説明する。第1実施の形態では、打楽器部材20が、支持部材10に弾性支持されていたが、第5実施の形態では、打楽器部材20が他の打楽器を保持可能なドラムスタンド550に弾性支持される。なお、上記した各実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0087】
図8は、第5実施の形態における打楽器支持構造体500の概略図であり、ドラムスタンド550に接続された打楽器支持構造体500にペダル装置1が固定された状態が図示されている。図9は、打楽器支持構造体500の正面図である。なお、図8及び図9では、連結ホルダ553及び接続ホルダ554が模式的に図示されている。
【0088】
図8に示すように、ドラムスタンド550は、複数の楽器を床面F(図9参照)に対して支持する部材であり、床面Fに平行に配設される5本の平行パイプ部材551と、床面Fに立設される4本の立設パイプ部材552と、その立設パイプ部材552に平行パイプ部材551の端部を着脱自在に連結する連結ホルダ553と、平行パイプ部材551の外周面に着脱自在に取着される接続ホルダ554とを備えている。
【0089】
接続ホルダ554には、楽器が接続可能なアーム部材560が着脱自在に取着され、演奏者は、接続ホルダ554を平行パイプ部材551に沿って摺動させたり、平行パイプ部材551周りに回転させることで、アーム部材560に接続される複数の楽器を演奏しやすい所望の位置に配置することができる。
【0090】
打楽器支持構造体500は、ドラムスタンド550に接続される支持部材510と、その支持部材510に支持される打楽器部材20と、その打楽器部材20及び支持部材510の間に介設される第1防振部材530とを主に備えて構成されている。
【0091】
図9に示すように、支持部材510は、打楽器部材20をドラムスタンド550に支持させるための部材であり、パイプ状に形成されると共に一端側(図9上側)が接続ホルダ554に着脱自在に固定されると共に、他端側の端面が一対の防振連結部材23の延設方向先端部分の上面と対向する位置に配設されている。
【0092】
第1防振部材530は、打楽器部材20の振動を減衰するための部材であり、打楽器部材20のペダル固定部22aを挟んで斜め上方に左右一対に設けられると共に、その左右一対に設けられる各第1防振部材530がペダル固定部22aからの離間距離が等しい位置に配設されている。各第1防振部材530は、ゴム状弾性体から円柱状に形成され、上端面が支持部材510の下端面に取着されると共に、下端面が打楽器部材20の防振連結部材23の延設方向先端部分の上面側に取着される。また、一対の第1防振部材530は、前後方向における配設位置がペダル固定部22aの配設位置と同等に位置し、高さ方向における配設位置が打面装置21の高さ位置と同等に位置している。
【0093】
支持部材510がドラムスタンド550に支持された状態において、支持部材510及び打楽器部材20の全体およびペダル装置1の打楽器部材20に固定される側(図9紙面垂直方向奥側)が床面Fから浮いた状態でドラムスタンド550に支持されている。打楽器部材20全体が床面Fから浮かされた状態で第1防振部材530を介してドラムスタンド550に弾性支持されるので、打面21aがペダル装置1の打撃体2に打撃されたことによる打楽器部材20の振動が第1防振部材530に伝達される。第1防振部材530は、ゴム状弾性体で構成されているので、第1防振部材530に伝達された振動を、第1防振部材530の防振作用により緩衝させることができる。よって、打楽器部材20からドラムスタンド550に伝達される振動を低減させることができるので、ドラムスタンド550の振動を小さくでき、その結果、ドラムスタンド550から床面Fへ伝達される振動を小さくできる。
【0094】
さらに、ペダル装置1の打楽器部材20に固定される側が床面Fから浮かされた状態で第1防振部材530を介してドラムスタンド550に弾性支持されるので、踏み込み動作によるペダル装置1からの衝撃が床面Fに伝達されることを低減できる。また、ペダル装置1がペダル固定部22a(図4参照)に固定されており、そのペダル固定部22aを有するペダル連結部材22及びそのペダル連結部材22に連結される打面装置21を介してドラムスタンド550に弾性支持されるので、ペダル装置1から打楽器部材20へ伝達される振動を第1防振部材530の防振作用により緩衝させることができる。よって、ペダル装置1から床面Fへ振動が伝達されることを抑制できる。
【0095】
また、支持部材510は、床面Fから浮かされた状態で、他の打楽器が保持されるドラムスタンド550に接続されるので、ドラムスタンド550とは別に支持部材を床面に接地させるためのスペースを不要とすることができる。また、支持部材を床面に接地させる場合と比べて、支持部材510の構造を簡素化できるので、支持部材510の製造コストを削減できる。
【0096】
さらに、打楽器部材20から平行パイプ部材551に伝達される振動は、連結ホルダ553及び立設パイプ部材552を介して床面Fに伝達されるので、打楽器部材20から床面Fまでの振動伝達経路を長く確保できる。よって、打楽器部材20から床面Fに伝達される振動をより低減させることができる。
【0097】
なお、連結ホルダ553及び接続ホルダ554を合成樹脂から構成することで、金属から構成される場合と比べて、連結ホルダ553及び接続ホルダ554に伝達される振動を緩衝させやすくすることができる。よって、打楽器部材20から床面Fに伝達される振動をより低減させることができる。
【0098】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0099】
例えば、上記各実施の形態では、第1防振部材30,230,530が、打楽器部材20の一対の防振連結部材23の左右方向外側の先端部分に取着される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1防振部材30,230,530が、一対の防振連結部材23の左右方向外側の先端部分よりも打面装置21に近接した位置であって、ペダル固定部22aからの離間距離が等しい位置で左右一対に設けられてもよい。
【0100】
さらに、上記各実施の形態では、打楽器部材20が一対の防振連結部材23を備え、その一対の防振連結部材23に第1防振部材30,230,530が取着される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、打楽器部材20の打面装置21に第1防振部材30,230,530が取着されてもよい。これにより、一対の防振連結部材23が不要となるので、部品コストを抑制できる。また、この場合、第1防振部材30,230,530を打面装置21の左右方向における中心部分に1つの第1防振部材30,230,530を設けてもよい。これにより、第1防振部材30,230,530を一対設けることが不要となるので、部品コストを抑制できる。さらに、打面装置21の左右方向における中心部分に1つの第1防振部材30,230,530を設ける場合には、その第1防振部材30,230,530の左右方向における寸法を大きく確保することで、打楽器部材20を安定的に保持することができる。
【0101】
また、上記各実施の形態では、一対の第1防振部材30,230,530及び一対の第2防振部材330,430が、左右に各1個配設される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、一対の第1防振部材30,230,530又は一対の第2防振部材330,430を、左右に各2個以上配設してもよい。これにより、一対の第1防振部材30,230,530又は一対の第2防振部材330,430による防振作用をより向上させることができる。
【0102】
さらに、上記各実施の形態では、第1防振部材30,230,530をペダル固定部22aに対して左右に一対設け、その左右一対の各第1防振部材30,230,530をペダル固定部22aからの離間距離が等しい位置に配設する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、左右一対の各第1防振部材30,230,530を打楽器部材20の重心に対して回転モーメントが等しくなる位置に配設してあればよい。これにより、演奏時における打楽器支持構造体100,200,300,400,500の安定感を確保できる。
【0103】
また、上記各実施の形態では、打面装置21は、打面21aの振動を検出するセンサが配設された電子打楽器である場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、打面装置が、センサを備えていない練習用の打楽器等であってもよい。練習用の打楽器としては、例えば、上記各実施の形態における打面装置21からセンサを省略して構成したもの、打撃音を抑制するために打面をゴムやメッシュ等で構成したもの等が例示される。また、センサを備えていない打楽器支持構造体の他の使用例としては、センサを省略した打面装置を備える打楽器支持構造体と、打撃体の頭部に格納されたセンサを備えるペダル装置とが1組の電子打楽器として構成され、打撃体の頭部が打面装置の打面を打撃した際に発生する打撃体の頭部の振動をセンサが検出するものが例示される。
【符号の説明】
【0104】
100,200,300,400,500 打楽器支持構造体
1 ペダル装置
5 打撃体
10,210,310,410,510 支持部材
20 打楽器部材
21a 打面
21 打面装置
22 ペダル連結部材(連結部材)
22a ペダル固定部
30,230,530 第1防振部材
330,430 第2防振部材
340 ペダル載置部
550 ドラムスタンド
551 平行パイプ部材(パイプ状部材の一部)
552 立設パイプ部材(パイプ状部材の一部)
553 連結ホルダ(ホルダの一部)
F 床面
L 仮想直線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
演奏者の踏み込み動作に連動して打撃体が回動されるペダル装置を用いて演奏される打楽器部材と、その打楽器部材の全体および前記ペダル装置の少なくとも一部を床面から浮かせた状態で支持する支持部材とを備える打楽器支持構造体において、
前記打楽器部材と前記支持部材との間に介設されると共に弾性材料から構成される第1防振部材を備え、
前記打楽器部材は、前記ペダル装置の前記打撃体により打撃される打面を有する打面装置と、その打面装置から所定距離を隔てて配設されるペダル固定部を有し前記打面装置に連結される連結部材とを備え、
前記ペダル装置が前記ペダル固定部に固定された状態において、前記打楽器部材が前記支持部材に弾性支持されることを特徴とする打楽器支持構造体。
【請求項2】
前記第1防振部材は、前記ペダル固定部よりも前記打面に近接した位置に配設されることを特徴とする請求項1記載の打楽器支持構造体。
【請求項3】
前記第1防振部材は、前記打楽器の側面視において前記ペダル固定部の鉛直方向上側に配設されることを特徴とする請求項1又は2に記載の打楽器支持構造体。
【請求項4】
前記ペダル装置が載置されるペダル載置部と、そのペダル載置部および前記支持部材の間に介設されると共に弾性材料から構成される第2防振部材とを備え、
前記ペダル装置が前記ペダル載置部に載置された状態において、前記ペダル載置部の全体が、床面から浮かされつつ床面に対して前記支持部材に弾性支持されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の打楽器支持構造体。
【請求項5】
パイプ状に形成され一部が床面に接地されると共に複数の楽器が保持される複数のパイプ状部材と、それら複数のパイプ状部材を互いに連結するホルダとを備えるドラムスタンドに前記支持部材が接続され、
前記支持部材および前記打楽器部材の全体と前記ペダル装置の一部とが、床面から浮かされた状態で前記ドラムスタンドに支持されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の打楽器支持構造体。
【請求項6】
前記打楽器部材は、前記打面装置の前記打面が打撃されたことを検出するセンサを備える電子打楽器であることを特徴とする請求項1から5いずれかに記載の打楽器支持構造体。
【請求項1】
演奏者の踏み込み動作に連動して打撃体が回動されるペダル装置を用いて演奏される打楽器部材と、その打楽器部材の全体および前記ペダル装置の少なくとも一部を床面から浮かせた状態で支持する支持部材とを備える打楽器支持構造体において、
前記打楽器部材と前記支持部材との間に介設されると共に弾性材料から構成される第1防振部材を備え、
前記打楽器部材は、前記ペダル装置の前記打撃体により打撃される打面を有する打面装置と、その打面装置から所定距離を隔てて配設されるペダル固定部を有し前記打面装置に連結される連結部材とを備え、
前記ペダル装置が前記ペダル固定部に固定された状態において、前記打楽器部材が前記支持部材に弾性支持されることを特徴とする打楽器支持構造体。
【請求項2】
前記第1防振部材は、前記ペダル固定部よりも前記打面に近接した位置に配設されることを特徴とする請求項1記載の打楽器支持構造体。
【請求項3】
前記第1防振部材は、前記打楽器の側面視において前記ペダル固定部の鉛直方向上側に配設されることを特徴とする請求項1又は2に記載の打楽器支持構造体。
【請求項4】
前記ペダル装置が載置されるペダル載置部と、そのペダル載置部および前記支持部材の間に介設されると共に弾性材料から構成される第2防振部材とを備え、
前記ペダル装置が前記ペダル載置部に載置された状態において、前記ペダル載置部の全体が、床面から浮かされつつ床面に対して前記支持部材に弾性支持されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の打楽器支持構造体。
【請求項5】
パイプ状に形成され一部が床面に接地されると共に複数の楽器が保持される複数のパイプ状部材と、それら複数のパイプ状部材を互いに連結するホルダとを備えるドラムスタンドに前記支持部材が接続され、
前記支持部材および前記打楽器部材の全体と前記ペダル装置の一部とが、床面から浮かされた状態で前記ドラムスタンドに支持されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の打楽器支持構造体。
【請求項6】
前記打楽器部材は、前記打面装置の前記打面が打撃されたことを検出するセンサを備える電子打楽器であることを特徴とする請求項1から5いずれかに記載の打楽器支持構造体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2012−237967(P2012−237967A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255143(P2011−255143)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000116068)ローランド株式会社 (175)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000116068)ローランド株式会社 (175)
【Fターム(参考)】
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