説明

打鍵装置

【課題】様々なキー配列に対応可能でありながら、打鍵部の位置を動かす駆動機構が不要な打鍵装置を提供することを課題とする。
【解決手段】入力装置のキーを打鍵する打鍵装置であって、前記キーを打鍵する打鍵部を、前記打鍵部を支持するレールに複数並べた打鍵機構部と、前記各打鍵部に設けた被嵌合部に嵌めると、前記各打鍵部を、前記レールの軌道における所定の位置で固定する嵌合部を、前記各打鍵部に対応して複数設けた打鍵部位置決め部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、打鍵装置を開示する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータのキーボードや、各種装置類の制御盤といった入力装置は、多数のキーが用途や機能に応じたレイアウトで配列されている。例えば、入力装置を検査する場合や、入力装置に繋がっている装置類を検査する場合、入力装置を介して各種のデータを入力する場合、入力装置に繋がっている装置類を作動させる場合は、キーを手や打鍵装置で押す(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−257584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
入力装置のキーを打鍵装置で押す場合、打鍵を行う部分(以下、打鍵部という)の位置を、キーのレイアウトに合わせる必要がある。そこで、例えば、打鍵装置に打鍵部の位置を動かす駆動機構を設ければ、様々なキーのレイアウトに対応可能になる。しかし、打鍵部の位置を動かす駆動機構を設けると、打鍵装置が高価になる。また、打鍵速度や打鍵可能なキーの位置が、駆動機構の性能如何で左右される虞がある。
【0005】
そこで、本願は、様々なキー配列に対応可能でありながら、打鍵部の位置を動かす駆動機構が不要な打鍵装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、次のような装置を開示する。
入力装置のキーを打鍵する打鍵装置であって、
前記キーを打鍵する打鍵部を、前記打鍵部を支持するレールに複数並べた打鍵機構部と、
前記各打鍵部に設けた被嵌合部に嵌めると、前記各打鍵部を、前記レールの軌道における所定の位置で固定する嵌合部を、前記各打鍵部に対応して複数設けた打鍵部位置決め部と、を備える、
打鍵装置。
【発明の効果】
【0007】
上記打鍵装置であれば、様々なキー配列に対応可能でありながら、打鍵部の位置を動かす駆動機構が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】打鍵装置の構成図である。
【図2】各打鍵部の取り付け構造を示した図である。
【図3】ガイド孔に打鍵部の打鍵部位置決めピンを挿通した状態を示す図である。
【図4】打鍵装置の上面図である。
【図5】各打鍵部のピッチを互い違いにしたピッチ変更プレートを示した図である。
【図6】各打鍵部の位置を、ピッチ変更プレート毎に比較可能なように並べた図である。
【図7】変形例に係るピッチ変更プレートを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、打鍵装置の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、打鍵装置の一態様を例示するものであり、本願で開示する打鍵装置の技術的範囲を以下の態様に限定するものではない。
【0010】
実施形態に係る打鍵装置の構成を図1に示す。打鍵装置10は、図1に示すように、搬送コンベア(本願でいう搬送路の一態様である)1の上に設置されている。なお、本実施形態では、搬送コンベア1を流れるコンピュータ用のキーボード2の各キー3を打鍵する場合を例に挙げて説明するが、打鍵装置10は、コンピュータ用のキーボード2に限らず、押しボタンを備えた各種の入力装置に対して適用可能である。
【0011】
打鍵装置10は、キーボード2の各キー3を打鍵する7つの打鍵部21A〜Gと、打鍵部21A〜Gを支持する支持プレート31および2つのガイドレール(本願でいうレールの一態様である)36U,36Lとを有する打鍵機構部20と、各打鍵部21A〜Gを既定のピッチで固定するピッチ変更プレート(本願でいう打鍵部位置決め部の一態様である)33と、を備える。打鍵装置10は、搬送コンベア1の流れ方向と交差する方向に沿って、搬送コンベア1の上側を跨ぐように延在する支持部材37によって支持されている。すなわち、打鍵装置10は、ガイドレール36U,36Lを取り付けたベースプレート34Sが支持部材37の側面にネジ35Sで固定され、支持プレート31を取り付けたベースプレート34Uが支持部材37の上面にネジ35Uで固定されることにより、搬送コンベア1の上側の位置で支持されている。なお、打鍵装置10は、ネジ35S,35Uを緩めることにより、支持部材37の溝38S,38Uに沿ってスライドさせることも可能である。
【0012】
搬送コンベア1は、キー3が縦横にレイアウトされたキーボード2の横方向に並ぶ各列のキー3が搬送方向に沿うように、キーボード2を搬送する。すなわち、搬送コンベア1は、キーボード2を横方向に搬送する。これにより、キーボード2の横方向に並ぶ各列のキー3を、7つの打鍵部21A〜Gが各列毎に打鍵することになる。なお、打鍵を行なう打鍵部の数は、キーボード2の横方向に並ぶキー3の列の数に応じて適宜変更する。
【0013】
各打鍵部21A〜Gの取り付け構造の詳細を図2に示す。なお、図2では、取り付け構造が判りやすいようにするため、打鍵部21Aと打鍵部21Fのみを図示し、その他の打鍵部21B〜E,Gについては省略している。各打鍵部21A〜Gは、それぞれ、キーボード2の各キー3に接触する打鍵部突端22と、打鍵部突端22の衝撃を吸収するダンパ23と、打鍵部突端22を上下に動かすシリンダ24とを備えている。各打鍵部21A〜Gのシリンダ24は、図示しない制御装置に繋がっており、制御装置の信号に基づいて作動する。
【0014】
また、各打鍵部21A〜Gは、上述した打鍵部突端22、ダンパ23およびシリンダ24の他に、シリンダ24の上側に部材25Uを介して固定した打鍵部位置決めピン(本願でいう被嵌合部の一態様である)26と、シリンダ24の下側に部材25Lを介して固定した摺動部材27とを備えている。摺動部材27は、ガイドレール36Uまたはガイドレール36Lに対し、レールの軌道に沿ってスライド可能な状態で係合する。各打鍵部21A〜Gの打鍵部位置決めピン26は、ピッチ変更プレート33に設けられている切り欠き(本願でいう嵌合部の一態様である)39A〜Gにそれぞれ嵌る。なお、支持プレート31およびピッチ変更プレート33は、ベースプレート34Uに設けられている位置決めピン41によって位置が定まり、つまみネジ42で固定可能なようになっている。
【0015】
支持プレート31には、ガイドレール36U,36Lの軌道と平行に延在する細長いガイド孔32が設けられている。図3は、ガイド孔32に各打鍵部21A〜Gの打鍵部位置決めピン26を挿通した状態を示す図である。ガイド孔32には、各打鍵部21A〜Gの打鍵部位置決めピン26が挿通される。従って、各打鍵部21A〜Gは、ガイド孔32に挿通された打鍵部位置決めピン26と、ガイドレール36Uまたはガイドレール36Lに係合する摺動部材27とにより、ガイドレール36U,36Lの軌道に沿ってスライド可能な状態で支持されることになる。
【0016】
図4は、打鍵装置10の上面図である。各打鍵部21A〜Gの部材25Uおよび部材25Lは、打鍵部21A,21C,21E,21Gが打鍵部21B,21D,21Fよりもガイドレール36U,36L側に近い位置となるように寸法が定まっている。これにより、各打鍵部21A〜Gのダンパ23やシリンダ24が互いに接触しにくくなり、各打鍵部21A〜Gの部材25Uおよび部材25Lを一律にした場合に比べて、各打鍵部21A〜Gのピッチを狭くすることができる。
【0017】
なお、本実施形態では、打鍵部21A,21C,21E,21Gの摺動部材27がガイドレール36Lに係合し、打鍵部21B,21D,21Fの摺動部材27がガイドレール36Uに係合しているが、ガイドレールを一つにし、これに各打鍵部の摺動部材が全て係合するようにしてもよい。また、本実施形態では、7つの打鍵部21A〜Gが設けられているが、打鍵部は6つ以下であってもよいし、8つ以上であってもよい。
【0018】
打鍵装置10は、各打鍵部21A〜Gがガイドレール36U,36Lの軌道に沿って自在にスライド移動可能なように構成されているため、ピッチ変更プレート33を交換することにより、各打鍵部21A〜Gのピッチを容易に変更することが可能である。図5は、各打鍵部21A〜Gのピッチを互い違いにしたピッチ変更プレート33A,33B,33Cを示した図である。打鍵装置10は、打鍵部位置決めピン26が嵌る切り欠き39A〜Gを、各打鍵部21A〜Gの位置がキーボード2の各キー3の位置に合う所定の位置に設けたピッチ変更プレート33を支持プレート31に固定することにより、各打鍵部21A〜Gを所望の位置に容易に固定することができる。よって、打鍵装置10は、図5に示すように、打鍵するキーボード2の各キー3の位置に応じて各切り欠き39A〜G間のピッチA〜Fを適宜設定したピッチ変更プレート33(33A,33B,33C)を複数種類用意しておき、適切なピッチ変更プレート33(33A,33B,33C)を適宜選択して取り付けることにより、各打鍵部21A〜Gの位置を容易に調整することができる。
【0019】
図6は、各打鍵部21A〜Gの位置を、ピッチ変更プレート33A,33B,33C毎に比較可能なように並べた図である。例えば、ピッチAの長さが他よりも長いピッチ変更プレート33Cを取り付けた場合、打鍵部21Aと打鍵部21Bとの間隔は、ピッチ変更プレート33A,33Bを取り付けた場合に比較して広くなることが判る。
【0020】
上記打鍵装置10であれば、キーボード2の各キー3の位置に応じてピッチ変更プレート33を交換するだけで、各打鍵部21A〜Gを適切な位置にすることができる。よって、多種多様なキーボード2に容易に対応することが可能である。
【0021】
なお、ピッチ変更プレート33の誤選択を防ぐため、上記ピッチ変更プレート33は、例えば、以下のように変形してもよい。図7は、本変形例に係るピッチ変更プレート33’を示した図である。本変形例に係るピッチ変更プレート33’は、図7に示すように、識別用の穴40を3つ備えている。その他の構成(例えば、切り欠き39A〜G等)については、上述した実施形態に係るピッチ変更プレート33と同様である。本変形例に係るピッチ変更プレート33’は、切り欠き39A〜Gの位置に応じた穴40が設けられている。穴40の位置や個数は、切り欠き39A〜Gの位置に応じて任意に定められている。
ピッチ変更プレート33’に、切り欠き39A〜Gの位置に応じた穴40が設けられていれば、例えば、以下のような打鍵装置を実現できる。
【0022】
すなわち、例えば、打鍵装置に、ピッチ変更プレート33’の穴40の位置を読み取る光学センサを設けておく。そして、キーボード2の打鍵を行なう際、打鍵装置が、取り付けられているピッチ変更プレート33’の穴40の位置を光学センサで読み取ることにより、打鍵するキーボード2に応じたピッチ変更プレート33’が正しく取り付けられているか否かを判定する。
【0023】
打鍵装置がこのように構成されていれば、不適切な位置で打鍵を行なうことが無くなる。よって、例えば、打鍵装置をキーボード2の検査に適用する場合、検査精度を高めることができる。なお、ピッチ変更プレートを識別するための識別手段は、穴および光学センサを用いた態様に限定されるものでなく、例えば、ピッチ変更プレートに取り付けたICタグを読み取る方式や、ピッチ変更プレートに刻印された文字、記号、図形等を読み取る方式、穴の代わりに設けたスリットや溝を読み取る方式、その他の各種識別手段を適用することができる。
【符号の説明】
【0024】
1・・搬送コンベア;2・・キーボード;3・・キー;10・・打鍵装置;20・・打鍵機構部;21A〜G・・打鍵部;22・・打鍵部突端23・・ダンパ24・・シリンダ25U,25L・・部材26・・打鍵部位置決めピン27・・摺動部材;31・・支持プレート;32・・ガイド孔33,33A,33B,33C,33’・・ピッチ変更プレート;34S,34U・・ベースプレート;35S,35U・・ネジ;36U,36L・・ガイドレール;37・・支持部材;38S,38U・・溝;39A〜G・・切り欠き;40・・穴;41・・位置決めピン;42・・つまみネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力装置のキーを打鍵する打鍵装置であって、
前記キーを打鍵する打鍵部を、前記打鍵部を支持するレールに複数並べた打鍵機構部と、
前記各打鍵部に設けた被嵌合部に嵌めると、前記各打鍵部を、前記レールの軌道における所定の位置で固定する嵌合部を、前記各打鍵部に対応して複数設けた打鍵部位置決め部と、を備える、
打鍵装置。
【請求項2】
前記所定の位置とは、前記入力装置における前記キーのレイアウトに応じて決定される、前記各打鍵部が対応するキーに位置することとなる場合の前記レールの軌道における位置である、
請求項1に記載の打鍵装置。
【請求項3】
前記打鍵装置は、前記入力装置が流れる搬送路上に据え付けられる装置であり、
前記打鍵機構部は、前記搬送路を横断する方向に延在する前記レールに、前記打鍵部を複数並べたものであり、
前記打鍵部位置決め部は、前記搬送路を流れる前記入力装置のキーに前記各打鍵部の位置が合うように、前記レールの軌道における前記所定の位置で前記各打鍵部を固定する前記嵌合部を、前記各打鍵部に対応して複数設けたものである、
請求項1または2に記載の打鍵装置。
【請求項4】
前記打鍵装置は、多数のキーが縦横にレイアウトされた前記入力装置が流れる搬送路上に据え付けられる装置であり、
前記打鍵機構部は、前記搬送路を横断する方向に延在する前記レールに、前記搬送路上を流れる前記入力装置の搬送方向に沿って並列するキーの各列に対応するように、前記打鍵部を複数並べたものであり、
前記打鍵部位置決め部は、前記搬送路を流れる前記入力装置のキーの各列に前記各打鍵部の位置が合うように、前記レールの軌道における前記所定の位置で前記各打鍵部を固定する前記嵌合部を、前記各打鍵部に対応して複数設けたものである、
請求項1から3の何れか一項に記載の打鍵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−73462(P2013−73462A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212728(P2011−212728)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(592019877)富士通周辺機株式会社 (149)
【Fターム(参考)】