説明

打音式木材ヤング率測定方法における打撃方法。

【課題】 木材の木口を打撃して木材の打撃音から木材のヤング率を求める打音式の木材ヤング率測定方法では、木材を静止させて木材を打撃する方法が一般的で、木材学会等の研究論文においても、すべて木材を静止させた状態で木材を打撃するように論文発表されている。しかしこれでは、製材工場等の木材加工ライン等で連続的に打音式で木材のヤング率測定を行おうとした際、搬送装置を一旦停止せねばならないので、時間当たりの処理能力が減少し、生産性を低下させてしまうことになる。
【解決手段】木材を静止させないで、木材を移動させている最中に木材の木口を打撃することを考案し実験を行った。その結果、静止状態の打撃によって発生した打撃音のスペクトラムから求めた縦振動周波数と、移動最中に木材の木口を打撃して発生した打撃音のスペクトラムから求めた縦振動周波数が一致した。これにより木材を停止させないで打撃して求めた縦振動周波数からヤング率を算出しても、なんら問題がないことが証明された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材の木口をハンマー等で打撃して木材のヤング率を測定する木材物性の非破壊測定分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、木材の木口をハンマー等で打撃して木材に引き起こした縦振動音から求めた木材の縦振動周波数と、木材の体積と、木材の重量とを演算してヤング率を算出する打音式の木材ヤング率測定方法に於いては、木材を静止させた状態で木材を打撃する方法が一般的に採用されている。
しかしながら、木材を静止させて打撃する方法は、ベルトコンベア等の搬送装置で木材を運搬している工程中に木材のヤング率を測定する場合、木材を打撃するために、一旦、コンベアを停止させ、木材を静止させてから木材を打撃しなければならないので、コンベアの停止時間が損失時間となって、時間当たりの搬送本数が減少し、結果的に生産性を低下させることに繋がる。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明の目的は、搬送装置を停止させることなく木材の縦振動周波数を求めることが可能な打撃方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、木材を動かしている最中に木材を打撃することを考案し、木材をコンベア等の搬送装置に積載し、木材を移動させている最中に木材の木口を打撃し、木材の打撃音を測定する実験研究を行った結果、木材のヤング率測定の計算に必要な木材の縦振動周波数を示す振動スペクトラムが、木材が静止状態の際のスペクトラムとほぼ同一であることを確認した。すなわち、木材を移動中に木材の木口を打撃して求めた木材のヤング率と、その木材を静止させて木材の木口を打撃して求めた木材のヤング率が変わらないこと示しているので、ベルトコンベア等の搬送装置で木材を運搬最中に、搬送装置を停止させずに木材を打撃して発生させた打撃音から木材のヤング率を求めることを可能にするものである。
【発明実施の形態】
【0005】
この発明では、図1に示すように、木材打撃用のコンベア装置2を用意し、木材搬送用コンベア装置1,3の間に設置し、コンベア装置1,3の運転速度とコンベア装置2の運転速度を同一速度で運転し、木材4をコンベア装置1からコンベア装置3へコンベア装置2を経由して搬送し、木材4がコンベア装置2を通過中に、ハンマー等で木材4の木口5を打撃し、周波数分析器7に接続されたマイクロフォン6で、木材4の打撃音の測定し、周波数分析器7で打撃音の周波数解析を行い木材4の振動周波数スペクトラムから木材4の縦振動周波数を求める。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば木材を静止させることなく木材の縦振動周波数を求めることが出来るので、時間当たりの測定本数を大幅に増加させることが可能になった。
【図1】


【特許請求の範囲】
木材の木口を打撃し木材に縦振動を起こし、その振動音の周波数を計算要素に使用して木材のヤング率を算出する打音式の木材のヤング率測定方法において、木口を打撃する時点を、木材が静止中ではなく、木材が移動最中に定めた打撃方法。

【図1】平面図

【公開番号】特開2006−292708(P2006−292708A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−137838(P2005−137838)
【出願日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(505171333)株式会社エーティーエー (2)
【Fターム(参考)】