説明

技芸コンテンツの提供システム及びその提供方法

【課題】熟練技芸者が習得した技芸コンテンツであっても対面方式を採用しないでネットワークを介して遠隔地にある顧客に対してその習熟レベルに対応した対応したレベルの技芸コンテンツを提供するシステムとその方法を提供する。
【解決手段】 ネットワーク4を介して接続され且つ少なくとも動画再生手段とウェブブラウザとを有するクライアント端末2と、前記クライアント端末2からの要求に応じて技芸コンテンツを前記ネットワーク4を介して前記クライアント端末2に提供するサーバ装置1と、技芸コンテンツの習熟度のレベルを判定する前記サーバ装置に設けられた習熟度レベル判定手段とを備え、前記クライアント端末2からの要求に応じて、記サーバ装置1が前記クライアント端末2へ配信する技芸コンテンツの提供システムとその提供方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陶芸、手芸、園芸、書道、ゴルフ、伝統芸能(日本舞踊、能、狂言など)などの技芸に関するコンテンツをインターネットなどのネットワークを介してクライアントに提供する技芸コンテンツを提供するためのシステムとその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
陶芸、伝統芸能(日本舞踊、能、狂言など)、手芸、園芸、書道、ゴルフなどの技芸は、熟練技芸者(熟練の経験者)が長年の間に蓄積したノウハウを活かして実際に技芸を実演(身振りや手振り)したりしながら、必要に応じて言葉で解説したり、適切な用具を選択して使用したりしながら習得希望者に教えるものであって、文書、絵、イラスト、写真などで教えることには限界がある。事実、文書、絵、イラスト、写真などで技芸を習得しようとすると自己流となってかえって変な癖が身についてしまったり、技芸を上手に習得するためのコツやノウハウを自分で再発見しなければならないため、高度な技芸を習得するためには長い期間を要したりするなどの問題があった。
したがって、このような技芸を自己流に陥らず短期間で習得しようとすると、熟練した技芸者が実演した技芸を実際に目で確認しながら、陥りやすい欠点を熟練技芸者から指摘してもらいながら習得することが結局のところ早道となる。しかしながら、陶芸、伝統芸能(日本舞踊、能、狂言など)、手芸、園芸、書道、ゴルフなどの技芸を習得しようと、師匠などと称される熟達した技芸者が解説する教室に通うことが必要であって、遠隔地にいる人が簡単に利用できるものではなかった。
【0003】
また、技芸の習得を希望する人のレベルには、大きなバラつきがあって、初心者からある程度の熟練者までその習熟度レベルは様々である。このため、ある程度熟練した顧客が自分のレベルよりも高度な技芸を習得しようと希望しても、そのレベルに応じた教室を探すのが難しいという問題がある。また、初心者にとっては、師匠などと称される熟達した先生が開設した教室に通うことには抵抗感もあった。さらに、適当な教室を見つけたとしても、その教室に通うための時間的な余裕がないか、利用できる時間帯が昼だけであるといった制約を受けることも多い。このため、仕事を持った人が夜間などの空き時間に何時でも何処からでも利用できるという点で問題があった。
【0004】
そこで、パーソナルコンピュータなどから簡単にインターネットなどのネットワークに接続できる環境を利用して、サービスの提供を希望するクライアント(本明細書においては、顧客と称する)に対して希望するコンテンツの提供をしようとすることが行われるようになってきた。しかしながら、技芸コンテンツは、前述のように、インターネットなどのネットワークを介して提供することが極めて困難なコンテンツである。このため、例えば、「陶芸」を例に採ると、「陶芸コンテンツ」に係わるサービスを提供しようとする試みは、特許文献1においてわずかに散見される程度である。しかしながら、この特許文献1の技術は、「陶芸交信システム」に関するものであって、「陶芸」を実際に行うためのコツやノウハウを含めた技芸を提供しようとするものではない。
【特許文献1】特開2004−13590号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上に述べた従来技術が有する問題を解決することを目的とするものであって、「技芸」を習得したいと希望する顧客に対して、希望する「技芸コンテンツ」を顧客の習熟度レベルに合わせてインターネットなどのネットワークを介して時間帯や居住地に関係なく、顧客が「技芸コンテンツ」を利用できる技芸コンテンツの提供システム及その方法を提供しようとするものである。すなわち、「技芸コンテンツ」は、技芸の熟達者とこれを習得したい伝承者(顧客)とが対面しながら伝授されるべき性質のものであって、インターネットなどのネットワークを介して伝授するのが最も困難とされてきたものである。しかしながら、本発明はこのような技芸コンテンツであっても対面方式を採用しないでネットワークを介して遠隔地にある顧客に対してその習熟レベルに対応した対応したレベルの技芸コンテンツを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに、前記課題を解決するための手段として、以下に述べる本発明の「技芸コンテンツの提供システム」が提供される。
先ず、請求項1の本発明は、ネットワークを介して接続され且つ少なくとも動画再生手段とウェブブラウザとを有するクライアント端末と、前記クライアント端末からの要求に応じて陶芸、手芸、園芸、書道、ゴルフ、伝統芸能(日本舞踊、能、狂言など)などの技芸に関する技芸コンテンツを前記ネットワークを介して前記クライアント端末に提供するサーバ装置とを備えている。また、前記技芸コンテンツに係わるサービスを提供するための必要情報を記憶するための前記サーバ装置側に設けられたデータベースと、前記サーバ装置が前記クライアント端末に対して要求した入力データから前記サーバ装置への接続権限を認証する前記サーバ装置に設けられた顧客識別手段と、前記顧客識別手段によって前記サーバ装置が識別した顧客に対して技芸コンテンツの習熟度のレベルを判定する前記サーバ装置に設けられた習熟度レベル判定手段とを備えている。このため、本発明の技芸コンテンツの提供システムは、前記顧客識別手段が認証した前記クライアント端末に対して、前記習熟度レベル判定手段が判定した習熟度レベルに対応して顧客が習得する必要のあるレベルの技芸コンテンツを、熟練技芸者の実演ビデオ映像からなる動画を少なくとも含む形で前記クライアント端末からの要求に応じて、記サーバ装置が前記クライアント端末へ配信することができる。
【0007】
また、請求項2の本発明は、請求項1の発明において、顧客が事業者に対してサービス提供を申し込んだ技芸コンテンツに対する顧客の従熟度レベルを判定して、顧客の習熟度レベルに合わせた技芸コンテンツを提供する。したがって、本発明は、少なくとも顧客の習熟度レベルと各習熟度レベル別に各技芸コンテンツを区分して電子情報化された問題コンテンツ群とを前記データベースに格納する。またこれと共に、前記サーバ装置の習熟度レベル判定手段は、前記顧客識別手段によって識別されたユーザIDに対応した前記データベース中の顧客の習熟度レベルを抽出する習熟度レベル抽出手段と、抽出した顧客の習熟度レベルに対応した問題コンテンツを前記データベース中から選定する問題コンテンツ選定手段と、前記クライアント端末からの要求に応じて顧客の習熟度レベルに合わせた問題コンテンツをクライアント端末へ配信する問題コンテンツ配信手段と、配信された問題コンテンツに対してクライアント端末側で解答された後に前記クライアント端末から配信された解答データを採点する採点手段と、前記採点手段によって採点された得点に対応して各顧客の習熟度レベルを更新する習熟度レベル更新手段とを備えている。
【0008】
また、請求項3の本発明は、請求項1の発明において、更に熟練技芸者の実演デオ映像を少なくとも含んだ前記動画が異なる複数の視点から撮影された動画群であって、前記サーバ装置から配信された動画閲覧画面に表示される視点変更ボタンに対応して、クライアント端末からの送信された視点変更の要求信号に基づいて、要求があった視点から撮影された動画を抽出してクライアント端末の動画再生手段へ配信するアプリケーションサーバ機能を前記サーバ装置が備えていることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項4の本発明は、請求項1の発明において、熟練技芸者の実演デオ映像を少なくとも含んだ前記動画が三次元コンピュータグラフィックスを含み、前記サーバ装置から配信された動画閲覧画面がクライアント端末のディスプレイに表示される際に表示される視点変更ボタンに対応して、前記三次元コンピュータグラフィックスを変更された視点からの表示に変えるアプリケーションサーバ機能を前記サーバ装置が備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項5の本発明は、請求項1の発明において、前記データベースが、前記動画を意味のある各技能シーンに分割した分割動画と、該分割動画群のそれぞれに関連付けられた代表静止画と、意味のある前記各技能シーンを解説する音声情報及び/又は文字情報を含む書誌的情報と、前記分割動画、前記代表静止画及び書誌的情報を関連付ける少なくとも一つのキーワードとを含むことを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項6の本発明は、請求項5の発明において、前記クライアント端末から入力されたキーワードに準拠して、前記サーバ装置が入力されたキーワードを含む分割画像を前記データベースから検索する高速検索手段を備えたことを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項7の本発明は、請求項6の発明において、前記サーバ装置が、前記クライアント端末から入力されたキーワードに準拠して前記高速検索手段によってキーワード検索された各技能シーンに関連付けされた前記分割動画、前記代表静止画及び書誌的情報をクライアント端末のディスプレイに配信するウェブサーバ機能を備えたことを特徴とするものである。
【0013】
そして、請求項8の本発明は、請求項1の発明において、前記クライアント端末からの技芸コンテンツの提供要求に対して、該技芸コンテンツのクライアント端末への提供開始前に、該技芸コンテンツの習得を開始するに当たって必要となる少なくとも用具、材料及び作業環境に関する準備作業情報を前記クライアント端末へ通知する準備情報通知手段を備えたことを特徴とするものである。
【0014】
次に、本発明の「技芸コンテンツの提供方法」として以下に述べる発明が提供される。
先ず、請求項9の本発明は、ネットワークを介して接続されたクライアント端末が技芸コンテンツのサービスの提供要求を技芸コンテンツに係わるサービスを提供するサーバ装置に送出し、提供要求信号を受けたサーバ装置は前記クライアント端末に対して正式会員であるか否かを確認するための認証情報の送出を要求し、クライアント端末から送出された顧客認証情報に基づいてサーバ装置は顧客を識別し、識別した顧客の技芸コンテンツに対する習熟度レベルをサーバ装置が判定し、判定した顧客の習熟度レベルに基づいて少なくとも熟練技芸者の実演ビデオ映像からなる習熟度レベル別の動画を顧客の習熟度レベルに合わせて前記クライアント端末に提供することを特徴とするものである。
【0015】
また、請求項10の本発明は、請求項9の発明において、前記顧客の習熟度レベルを判定するために各習熟度レベル別に各技芸コンテンツを区分して電子情報化された問題コンテンツ中から顧客の習熟度レベルに合わせた問題コンテンツを前記サーバ装置が選定してクライアント端末へ配信し、配信された問題コンテンツに対する解答データを前記サーバ装置が受信して受信した解答データを採点し、採点した得点が配信した問題コンテンツの習熟度レベルを一段階上に更新する得点であるか否かを判定し、顧客の習熟度レベルを更新することを特徴とするものである。
【0016】
また、請求項11の本発明は、請求項10の発明において、前記習熟度レベルの更新に当たって、専門家を審査員とする実技認定制度を併せて採用し、当該習熟度レベルの実技認定試験に合格した場合に習熟度レベルを更新することを特徴とする。
【0017】
また、請求項12の本発明は、請求項9の発明において、前記習熟度レベル別の動画が異なる複数の視点から撮影された動画であって、前記クライアント端末からの視点変更の要求に対して、前記サーバ装置はクライアント端末から要求があった視点から撮影された動画を抽出してクライアント端末へ配信することを特徴とする。
【0018】
また、請求項13の本発明は、請求項9の発明において、前記動画が三次元コンピュータグラフィックスを含み、前記クライアント端末からの視点変更の要求に対して、サーバ装置は三次元コンピュータグラフィックスを要求された視点からの表示に自由に変更することを特徴とするものである。
【0019】
また、請求項14の本発明は、請求項9の発明において、前記動画が意味のある各技能シーンに分割され、分割された動画群のそれぞれに代表静止画を設定し、設定した各代表静止画に対して各技能シーンを解説する音声情報及び/又は文字情報を含む書誌的情報関連付け、更に前記分割動画、前記代表静止画及び書誌的情報に対して、これらデータを互いに一群のデータとして関連付ける少なくとも一つのキーワードを設定し、クライアント端末からのキーワード入力に準拠して前記分割動画、前記代表静止画及び書誌的情報をクライアント端末へ配信することを特徴とするものである。
【0020】
また、請求項15の本発明は、請求項14の発明において、前記クライアント端末から入力された前記キーワードに準拠して各技能シーンに関連付けされた前記分割動画、前記代表静止画及び書誌的情報をクライアント端末のディスプレイに配信することを特徴とするものである。
【0021】
また、請求項16の本発明は、請求項9の発明において、前記クライアント端末への技芸コンテンツの提供開始前に、該技芸コンテンツの習得を開始するに当たって必要となる用具、材料及び作業環境を少なくとも含む準備作業情報を前記クライアント端末へ通知することを特徴とするものである。
【0022】
また、請求項17の本発明は、請求項16の発明において、前記用具、材料あるいは使用環境を少なくとも含む準備作業情報の中から顧客に販売可能な情報を電子情報カタログ化してデータベースに登録し、顧客が希望すればクライアント端末に表示された画像情報をもとにオンラインショッピングができるようにしたことを特徴とするものである。
【0023】
そして、請求項18の本発明は、請求項9の発明において、提供する技芸コンテンツが陶芸コンテンツ、手芸コンテンツ、園芸コンテンツ、書道コンテンツ、伝統芸能(日本舞踊、能、狂言など)コンテンツ又はゴルフコンテンツであることを特徴とするもみのである。
【発明の効果】
【0024】
以上に述べたように、請求項1と請求項9に係わる発明によれば、遠隔地に居住する多数の顧客に対して、実際に技芸を習得した熟練の技芸者が実演する技芸を映像(実際に撮影した映像からなる動画、アニメーション、静止画、音声など)として技芸コンテンツを収録して提供する。このため、顧客の要求に応じて、インターネットなどを介して必要な部分の映像を必要なだけ繰り返し提供することができる。このため、地理的環境や時間的制約を受けることなく、顧客は技芸コンテンツの提供サービスを受けられる。
【0025】
また、請求項2と請求項10に係わる発明によれば、各顧客は自分の習熟度レベルを判定することができる。このために、自分の習熟度レベルにあった技芸コンテンツの習得を行うことができる。したがって、自己流に陥ったり、偏った癖が付いたりすることなく顧客は自分の希望する技芸コンテンツの習得に励むことができる。このとき、判定された習熟度レベルの技芸コンテンツを顧客が十分に習得したと判定されると、顧客は次の習熟度レベルのコンテンツの習得に進むことができるため、顧客の向上心の動機付けともなり、顧客は技芸コンテンツに係わるサービスを長期間に渡って受けるようになる。
【0026】
更に、請求項11に係わる発明によれば、顧客の習熟度レベルの更新に際して、実技認定制度を併せて採用しているから、「技芸コンテンツ」という実技に係わるコンテンツの習熟度レベルをよりよく判定することができる。
【0027】
また、請求項3と請求項12に係わる発明によれば、熟練技芸者から口伝、身振り、手振りなどで伝授される技芸コンテンツを一つの視点から撮影されたビデオ映像から見るだけでなく、前後、左右、上下などの多方向からの視点から撮影されたビデオ映像を視聴することができる。このため、熟練した技芸者の動きをより正確に観察することが可能となり、より短期間且つ正確に顧客が技芸コンテンツを習得することができる。
【0028】
このとき、請求項4と請求項13に係わる発明のように、三次元コンピュータグラフィックスを併用すれば、熟練技芸者が実演したビデオ映像のように、撮影した視点に関係なく技芸コンテンツを習得する上でのコツやノウハウがより分かりやすくされた立体映像を自由な視点から見ることができる。
【0029】
さらに、請求項5、6、7、14及び15に係わる発明のようにしておけば、前記データベースが、前記動画を意味のある各技能シーンに分割した分割動画と、該分割動画群のそれぞれに関連付けられた代表静止画と、意味のある前記各技能シーンを解説する音声情報及び/又は文字情報を含む書誌的情報と、前記分割動画、前記代表静止画及び書誌的情報を関連付ける少なくとも一つのキーワードとを含むように構成しておけば、一つキーワードで動画を含む所望の技芸シーンを検索することができる。そして、動画を代表する代表静止画と意味のある前記各技能シーンを解説する音声情報及び/又は文字情報を含む書誌的情報とをデータベースから取り出すことができる。したがって、顧客がもう一度見たいと考えた場合に、直ちにその技芸シーンを代表する代表静止画とこの技芸シーンを解説した書誌的情報をクライアント端末のディスプレイに表示させることができる。そして、自分の目(必要に応じて音声ガイド付き)でその技芸シーンを確認することができる。
【0030】
また、請求項8と請求項16に係わる発明によれば、前記クライアント端末からの技芸コンテンツの提供要求に対して、該技芸コンテンツのクライアント端末への提供開始前に、該技芸コンテンツの習得を開始するに当たって必要となる少なくとも用具、材料及び作業環境に関する準備作業情報を前記クライアント端末へ通知することができる。したがって、顧客はこれから技芸コンテンツの習得に取り掛かろうとした場合に、当該技芸コンテンツの習得に必要な準備情報を前もって確認することができ、必要な用具、材料及び作業環境を前もって準備できる。
【0031】
このとき、請求項17に係わる発明のように、準備作業情報の中から顧客に販売可能な情報を電子情報カタログ化してデータベースに登録し、顧客が希望すればクライアント端末に表示された画像情報をもとにオンラインショッピングができるようにしておけば、顧客はその場で必要な用具、材料及び作業環境などを手に入れることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
先ず、本発明で言う技芸コンテンツとは、“陶芸、伝統芸能(日本舞踊、能、狂言など)、手芸、園芸、書道、ゴルフなどの技芸に関するコンテンツ”を総称するものである。中でも、本発明は、“陶芸”のように、熟練した技芸者から次の熟練技芸者へと受け継がれてきた技芸にかかわるコンテンツを提供するシステムとその方法をインターネットなど誰でも利用可能なネットワークを介して伝授することを目的とするものである。つまり、このような技芸コンテンツは、熟練技芸者とこれを習得したい人とが対面方式で習得されるべき性質のものであって、このような性質を持つ技芸コンテンツは、従来インターネットなどのネットワーク4を介して習得するのが最も困難とされてきたものである。しかしながら、本発明はこのような技芸コンテンツを対面方式を採用しないで遠隔地にある顧客にインターネットなどのネットワークを介して提供しようとするものである。
【0033】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一つの実施の形態の技芸コンテンツ配信システムの構成を示す図である。
この技芸コンテンツ配信システムは、図1に示すように、技芸コンテンツの管理・配信用のサーバコンピュータ1(以下、サーバ装置1と称す)を備え、このサーバ装置1にインターネットなどのネットワーク4を介してクライアント端末2が接続された構成を有している。また、サーバ装置1には、記憶装置が接続されており、この記憶装置には、顧客データベース3a、技芸データベース3b、習熟度レベル判定データベース3cなどからなるデータベース3が構築されている。このため、技芸コンテンツのサービスの提供を希望する要求が顧客からあると、このサーバ装置1を介して技芸コンテンツを提供するサービスプロバイダ(以下、事業者と称する)は、データベース3から必要な技芸コンテンツを抽出して、抽出した技芸コンテンツをネットワーク4を介してクライアント端末2に対して提供することができる。
【0034】
このように、本発明のサーバ装置1は、技芸コンテンツの配信サービスを行う上での玄関口となるウェブサイト(サービスポータル)を公開するウェブサーバ機能を備えている。このウェブサーバ機能は、例えばクライアント端末2からのHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)などによる要求に対して技芸コンテンツの配信サービスを提供するためのメニュー画面や技芸コンテンツを購入するためのリンク先を提供するための機能である。通常、前記ウェブサイト(サービスポータル)へのアクセスは、サーバ装置が備える顧客識別手段により利用者が閲覧する情報には閲覧権限が制限されており、また、サーバ認証/クライアント認証と暗号化通信とを行うことができるプロトコルであるSSL(Secure
Socket Layer)などによって閲覧権限のない他者からの不正閲覧が防止されている。更に、サーバ装置1は、顧客に対して配信する技芸コンテンツを顧客が利用する上で必要な様々なアプリケーションの実行制御をするためのアプリケーションサーバ機能を有している。
【0035】
ここで、事業者は、「技芸コンテンツ」に係わるサービスをできるだけ多くの顧客に対して提供できるように、ウェブ上での検索エンジンを提供するプロバイダのホームページに、ホームページアドレスを登録しておくことが好ましい。何故ならば、「技芸コンテンツ」に興味を有する人が前記検索エンジンを使用して、関連するホームページを探すような機会を利用して、「技芸コンテンツ」に興味を持った人に対して技芸コンテンツの提供サービスが行われていることを広く知ってもらうことができるからである。そうすると、技芸コンテンツに係わる詳細情報や広告情報を掲載したウェブサイトにアクセスした人の中から、技芸コンテンツの提供サービスを受けようと希望する多くの顧客を獲得する機会も増す。
【0036】
本発明のサーバ装置1は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、ハードディスク装置、通信インタフェース等を備えたコンピュータであり、前記ハードディスク装置には、データベース3に記憶された動画や静止画などに係わる映像コンテンツをクライアント端末2のディスプレイへ表示したり配信したりするなどの制御を行うための制御プログラムがインストールされている。そして、この制御プログラムによって、顧客識別手段によって認証されたクライアント端末2から受信したリクエスト信号に応じてデータベース3に記憶された映像コンテンツなどの所定の情報をクライアント端末2へインターネットを通じてストリーミング配信する。
したがって、このような制御を実現するために、クライアント端末2の側も、CPU、メモリ、ハードディスク装置、表示画面を有する表示装置などを備えたコンピュータ、あるいはインターネットアクセス機能を持つPDA(Personal Digital Assistance)などで構成されている必要がある。さらに、クライアント端末2の前記ハードディスク装置には、技芸コンテンツの配信サービスを受けるためのメニュー画面やこのメニュー画面にリンクされた他のホームページを閲覧するウェブブラウザと、サーバ装置1からストリーム配信された映像コンテンツ(動画コンテンツ)を再生するための再生ソフトウェアが動画再生手段としてインストールされていることは言うまでもない。
【0037】
本発明においては、サーバ装置1に専用線を介して利用者別の技芸コンテンツの課金情報を記憶して管理する課金情報データベースを有する課金サーバと、この課金サーバに専用線を介して決済システムとを接続するシステム構成とするような実施形態としてもよい。ただし、このようなシステム構成を採用する場合には、前述のように課金サーバ4と決済システム7は、秘匿性の高い情報を扱う関係でオープンなネットワーク4であるインターネットではなく専用線で接続することが好ましい。
【0038】
このような装置構成にすると、課金情報データベースに記憶されている利用者別の技芸コンテンツの課金情報を管理するための課金テーブルに顧客の識別情報(本明細書では、ユーザIDを例に採って説明する)に対応させて顧客の利用状況に係わる情報を記憶しておくことができる。そして、この課金テーブルを参照することによって、ユーザIDに対応して、顧客がサービスを利用した時間、回数などによって課金する料金を決めることができる。また、顧客が受ける事ができるサービスの有効期限(閲覧可能期間)、閲覧回数等の情報、事業者が提供するその他のコンテンツを購入したのか否か、どのような利用権利があるのかといった情報を管理することができる。
【0039】
その際、課金サーバでは、サーバ装置1より、課金状況の確認要求が受信されると、課金サーバで動作している課金制御プログラムによって、課金状況の確認要求に含まれていたユーザIDを基に課金テーブルの内容がチェックされて(課金確認処理が行われて)、課金確認の結果がサーバ装置1へ返信される。なお、この課金制御プログラムが行う課金確認処理は、該当するユーザIDのコンテンツ情報に該当技芸コンテンツの利用料金が支払済みか否か、あるいは利用権利がいつまであるか、といった判定処理を行っている。
【0040】
ただし、前記決済システムは、クレジットカード会社等に設けられ、課金サーバより専用線を通じて配信された課金情報を基にして顧客(利用者)の金融機関の口座から技芸コンテンツの利用料金を徴収するためのものである。ただし、本発明においては、この決済システムは必須の要件ではなく、事業者から直接顧客に対して技芸コンテンツを利用して発生した利用料金の請求書を発行して、顧客(利用者)から事業者の金融口座へ直接利用料金を振り込んでもらうような方式を採用しても良い。
【0041】
なお、顧客が提供される技芸コンテンツを利用する際の時間制限、アクセス回数制限などの制限を取外して、顧客が定額料金を支払えば、一定期間に限って技芸コンテンツを無制限に利用できるような定額会費制を採用するような場合には、このような課金サーバと決済システムを必ずしも採用しなくてもよいことは言うまでもない。
以上のように構成される本発明の技芸コンテンツの提供システムにおいて、利用者がクライアント端末2にインストールされたウェブブラウザを操作することにより、ウェブブラウザは、インターネットを通じてサーバ装置1のポータルサイトに接続し、サーバ装置1のデータベース3に格納された技芸コンテンツを利用するためのアクセス要求をサーバ装置1のポータルサイトに送信する
【0042】
このとき、サーバ装置1では、アプリケーションサーバ機能によって制御プログラムが実行されており、ウェブブラウザからのアクセス要求を受信すると、制御プログラムがログイン画面をインターネットを通じてウェブブラウザ(クライアント端末2)へダウンロードし、クライアント端末2の表示画面にログイン画面を表示する。ログイン画面には、ログイン情報を入力するための情報入力欄とログインボタンが設けられている。従って、利用者がこのログイン画面の情報入力欄に自身のユーザID、会員証番号、パスワードなどのログイン情報を入力し、ログインボタンをクリックすると、ログイン情報がサーバ装置1へ送信される。サーバ装置1では、ログイン情報を受信すると、顧客データベース3aに格納された顧客情報を参照してユーザIDあるいは会員証番号などにてログイン可能か否かの問い合せを行う。
この判定結果、NGの場合(顧客情報が不一致であった場合)、制御プログラムは、顧客認証結果としてログイン情報の再入力を促すメッセージとログイン画面をウェブブラウザへ送り、それがクライアント端末2の表示画面に表示される。また、判定の結果、OKの場合(顧客情報が一致していた場合)、制御プログラムは、該当顧客のログインを許可し、映像コンテンツを検索するための検索画面をウェブブラウザへダウンロードし、クライアント端末2の表示画面に検索画面が表示される。
【0043】
このようにして、技芸コンテンツのサービスを希望する利用者が正規の会員であると顧客識別手段によって認証されると、事業者が提供する技芸コンテンツのサービス内容を検索することができる検索画面をウェブブラウザによってクライアント端末2へダウンロードする。そして、例えば、この検索画面から利用者が希望する動画や静止画などの映像コンテンツを選び、選択操作後、確定操作を行うことで、必要に応じてサーバ装置1から課金サーバへの課金確認が行われた後にこの課金確認の結果に応じて、サーバ装置1からウェブブラウザに必要な情報がダウンロードされる。
【0044】
ここで、本発明は、顧客が技芸コンテンツを習得するために必要な情報をサーバ装置1からクライアント端末2に提供することを一大特徴とする。しかしながら、技芸コンテンツの習得は、従来、長年にわたって技芸を習得してきた熟練技芸者が対面方式で実演してみせることによって行われており、このような対面方式による習得が要求される技芸コンテンツを遠隔地にいる顧客に対して短時間で効率良く伝達することはきわめて難しい。しかも、伝統芸能(日本舞踊、能、狂言など)のような技芸コンテンツは、文書化することが困難なコツやノウハウが多く含まれるため、マニュアル化が難しく、このようなコツやノウハウを顧客に短期間にかつ効率よく、インターネットなどのネットワーク4を介して伝達することはきわめて困難である。
このような問題に対して、本発明は、実際に技芸を習得した熟練の技芸者が実演する技芸を映像(実際に撮影した映像からなる動画、アニメーション、静止画など)として収め、顧客の要求に応じて、インターネットなどを介して必要な部分の映像を必要なだけ繰り返し再生することを可能とする。なお、本発明においては、「実際に技芸を習得した熟練の技芸者が実演する技芸を映像(実際に撮影した映像からなる動画、アニメーション、静止画など)」を単に「動画」とも称する。
【0045】
つまり、遠隔地にいる顧客のリクエストに対応してサーバ装置1が保有するデータベース3から必要な「技芸コンテンツ」に係わる情報を高速で取り出し、取り出した情報をクライアント端末2へ提供する双方向通信によって、必要な技芸コンテンツを提供しようとするものである。つまり、熟練した技芸者の技芸を顧客に対して伝えるには、熟練した技芸者から技芸を伝え授けるコツやノウハウのかたまりである伝授技術と、顧客が熟練した技芸者から技芸を受け継ぐコツやノウハウのかたまりである伝承技術とが要求されるわけである。本発明は、このような伝授技術と伝承技術のコツやノウハウを対面方式と同様の臨場感で顧客に提供しようとするものである。
本発明のサーバ装置1は、このサーバ装置1の本体と、この本体に接続された記憶装置に蓄えられるデータベース3が設けられており、このデータベース3には、ユーザID、パスワード、あるいは会員証番号などと共に顧客を識別したり、顧客に会費や利用料金などを請求したり、顧客の住所や支払い口座などを管理したりするための情報を格納する顧客データベース3aと、技芸コンテンツを顧客に提供するのに必要とされる動画、静止画、アニメーション、文字情報などのデータが格納される技芸データベース3bとを備えている。なあ、この技芸データベース3bには、技芸ジャンル(例えば、陶芸、手芸、園芸等)のそれぞれに対応して、必要な情報をデータベース化して格納されている。
【0046】
したがって、サーバ装置1へアクセスすることが認証された顧客は、サーバ装置1のウェブサイト(サービスポータル)を公開するウェブサーバ機能によって、クライアント端末2からインターネットなどのネットワーク4を介してサーバ装置1に接続して、サーバ装置1による管理と制御の下で、前記データベースに記憶されている技芸データベース3bにアクセスすることができる。この技芸データベース3bは、1つの技芸ジャンル(例えば、「陶芸」)に対して、「陶芸」ジャンルの全ての技能例(例えば、土練り、形作り、仕上げ、乾燥、素焼き、釉がけ、本焼き等)が連結した状態でデータベース化して格納されている。
【0047】
なお、この技芸データベース3bには、1つの技芸ジャンル(例えば、「陶芸」)に対して、「陶芸」ジャンルにおける技能例(例えば、土練り、形作り、仕上げ、乾燥、素焼き、釉がけ、本焼き等)のそれぞれに対応した状態(例えば、陶芸―土練り、陶芸―形作り、陶芸―仕上げ等)などのように仕分けした形でデータベース化して格納してもよい。ここで、前記「土練り」、「形作り」、「仕上げ」、「乾燥」、「素焼き」、「釉がけ」、「本焼き」等に係わる各技能情報に関しては、全ての技能項目が互いに関連してリンクした状態で格納されており、各技能において必要となる全ての細かい技能を項目別に分類して技能項目毎にデータベース化されている。
【0048】
更に、この技能項目には、顧客が技芸の習得に当たって必要に応じて利用する参照項目がリンクした状態で格納されている。例えば、この参照項目には、顧客が技芸を習得する上で参考となる事項を項目別に記憶してあり、「動画閲覧」、「ワンポイント解説」、「注意事項」、「応用例」など技芸を確実に習得する上で必要な項目、あるいは、参考になる項目をリンクした状態で格納したものであって、他の技能項目についても同様である。なお、「動画」には音声情報や文字情報が付帯して記録されていても良い。
【0049】
また、それぞれの技能項目は、その一実施形態例として説明している「陶芸」においては、陶芸の全般を表示する「全体概要」、陶芸の準備に要するガイダンスを表示する「準備」、陶芸を実際に行うための技能に必要なガイダンスを表示する「技能内容」、各技能を実施した後のチェックに要するガイダンスを表示する「チェック」、そして、最後に行う「後作業」などが動画、静止画、アニメーション、文字、音声などで構成されるデータとしてデータベース化されて、前記データベース3に格納されている。
【0050】
このとき、アニメーション表示については、技芸者の動作の特徴を抽出した三次元のコンピュータグラフィック(Computer
Graphics)を使用することも好ましい。何故ならば、このような三次元のコンピュータグラフィックス(以下、3D−CDと称する)を使用することによって、顧客の操作により自由に視点を変化させて技芸コンテンツを閲覧することができるからである。このために、技芸コンテンツを習得する上で大きな効果が得られる。
【0051】
なお、ネットワーク4の通信速度が遅かったり、クライアント端末2の性能が十分でなかったりする場合には、膨大な3D−CG)データ等を配信することができない場合がある。このような問題に対処するためには、例えば、特開2001−306449号公報に提案されているように、3D−CGデータのフォーマットを変換することによるデータの軽量化や、3D−CGデータを2次元画像データに変換することによるデータの軽量化を行いクライアント端末2へ配信することもできる。なお、このような3D−CGの提供は、一般に開設されている「陶芸教室」では通常行うことができず、その故に本発明が有する特徴の一つともなっている。
【0052】
ここで、「動画閲覧」は、熟練技芸者が実演した技芸である技能内容をビデオ画像に記憶して、その技芸の内容を動画でクライアント端末2のディスプレイに表示するための動画データからなり、このような動画データは、必要に応じて前述のように互いに関連付けを行ってリンクさせてデータベース化したものである。したがって、「陶芸」を習得したいと希望する顧客は、クライアント端末2からサーバ装置1にアクセスすれば、「動画閲覧」によって熟練した技芸者の実演を自分の目で確認しながら、そのコツを習得することができる。なお、この「動画閲覧」においても、自由に視点を変えられる3D−CGに準拠して、異なる視点から撮影した複数の動画を同時に用意しておき、顧客の操作によって、動画を閲覧する視点(上下、左右、前後など)を顧客が望むように自由に変えることができるようにしておいても良い。
【0053】
ここで、サーバ装置1からクライアント端末2への動画データの配信は、例えばブロードバンド通信などの高速化されたインターネットを利用した動画配信サービスによって行われる。この動画配信サービスでは、インターネットを通じたテレビ放送などで実績があるMPEG2−TS(Moving Picture Experts Group 2 – Transport Stream)フォーマットの動画(TSパケット)を配信する方法が広く使用されるようになってきている。この場合、インターネットを利用した双方向通信により、VOD(Video On Demand)型の動画配信サービスも行われている。本発明においては、このような双方向通信により、動画を配信するサーバ装置1から顧客が保有するクライアント端末2への一方的な配信のみならず、クライアント端末2からサーバ装置1に、動画のストリーミング再生の一時停止、早送り、巻き戻しなどの操作を要求することができるようにしている。そして、これにより、顧客は、ネットワーク4を介しながらも、あたかも自宅に設置したVTR(Video Tape Recorder)と同じように、動画を配信するサーバ装置1の動画配信機能を便利に操作することができる。
【0054】
このとき、クライアント端末2は、パーソナルコンピータ、PDAあるいは場合によっては携帯電話などのように、圧縮画像ビットストリームを伸長(再生)する動画再生手段(ハードウエアとプログラム)を備えていることは言うまでもない。顧客は、このようなクライアント端末2からネットワーク4を介してサーバ装置1に対し、配信を要求する画像を指定する識別情報とともに、希望する画像圧縮フォーマット、画像サイズ、画像品質(例えば、解像度)の画像パラメータ情報を送信する。そうすると、サーバ装置1は、データベース3から指定された画像を読み出し、該当する画像をユーザから指定された画像圧縮フォーマットと画像サイズと画像品質に応じたビットストリーム(圧縮画像データ)に変換してクライアント端末2に配信する。そして、クライアント端末2には、受信したビットストリームを伸長した画像が表示される。
【0055】
このとき、技芸コンテンツのサービスの提供を受ける顧客については、希望する技芸の経験が今までになくこれから習得したいと考える初心者レベルから、ある程度の期間に渡って技芸を行ってきて、更に高度な技芸を身につけようとする熟練者レベルまで、様々な習熟度レベルが存在する。したがって、これらのレベルに合わせて「動画閲覧」を可能とするように、「動画閲覧」は習熟度レベル毎の階層分けが行われた上でデータベース化が行われている。なお、ここでは「動画閲覧」ということで説明したが、この「動画閲覧」には、「アニメーション閲覧」、「技芸モーションを静止画に分解した静止画閲覧」、「音声解説」あるいいは「文字閲覧」なども、必要に応じて「動画閲覧」と共に用いることができる。
【0056】
その際、技芸コンテンツのサービス提供を受けようとする顧客は、前述のように初心者レベルの顧客から熟練者レベルの顧客までその習熟度レベルが異なる幅広い分布で存在する。それにもかかわらず、ある程度の習熟度レベルに達した顧客に対して、初心者レベルのコンテンツを提供することは、顧客自身が望まない限り、高度な技芸コンテンツの提供を希望する顧客に対して失望感を与えることともなる。そこで、この問題に対処するために、顧客の習熟度レベルを先ず適切に評価することが必要である。
【0057】
そこで、このような問題に応えるために、本発明のシステムでは、サーバ装置1が顧客の習熟度レベルに応じた技芸コンテンツを顧客に習得してもらうためのアプリケーションサーバ機能として、顧客の習熟度レベルを判定する習熟度レベル判定手段を備えている。そこで、このアプリケーションサーバ機能により、サーバ装置1は、ネットワーク4を介して、顧客がサービスの提供を希望する技芸コンテンツについての顧客の習熟状況に基づき顧客の習熟度レベルを判定し、判定した習熟度に合わせたレベルの技芸コンテンツを技芸データベース3bより抽出することができる。そして、サーバ装置1のウェブサーバ機能によって、顧客の習熟度レベルに合わせた技芸コンテンツをクライアント端末2へ提供することができる。
【0058】
つまり、前記サーバ装置1は習熟度レベル判定手段を備えており、この習熟度レベル判定手段は、前記顧客識別手段によって識別された顧客ID(ユーザID)に基づいて前記データベース3を参照して、顧客が選択した技芸コンテンツに対して、その顧客の習熟度レベルを抽出する習熟度レベル抽出手段と、抽出した顧客の習熟度レベルに対応した問題コンテンツを前記データベース中から選定する問題コンテンツ選定手段と、前記クライアント端末からの要求に応じて顧客の習熟度レベルに合わせた問題コンテンツをクライアント端末2へ配信する問題コンテンツ配信手段と、配信された問題コンテンツに対してクライアント端末2側で解答された後に前記クライアント端末2から配信された解答データを採点する採点手段と、前記採点手段によって採点された得点に対応して各顧客の習熟度レベルを更新する習熟度レベル更新手段とを備えている。
【0059】
以上に述べた習熟度レベルの判定機能を実現するために、前記データベース3は、図2に示したような、各技芸コンテンツを各習熟度レベル毎に区分して格納する習熟度判定データベース3cを備えている。ここで、この習熟度判定データベース3cは、レベル別に電子情報として作成された問題コンテンツ群31cと、技芸コンテンツの習熟度レベル−問題コンテンツ対応テーブル32cと、顧客テーブル33cと、習熟度レベルテーブル34cと、正答テーブル35cと、得点テーブル36cと、得点−習熟度レベル対応テーブル37cを格納している。
【0060】
ただし、ここで、前記問題コンテンツ群31cは、各技芸コンテンツを習得するのに必要とされるテスト問題を電子情報としてデータ化したものであって、テキストデータ、静止画あるいはアニメーションなどの画像データ,音声データ(場合によっては、顧客に問題をよりよく理解させるための“動画”を含む)などから構成されている。また、前記技芸コンテンツの習熟度レベル−問題コンテンツ対応テーブル32cは、図3に例示したように、各技芸コンテンツを習熟度レベルごとにIDを付して識別するための技芸コンテンツIDと、この習熟度レベル別の技芸コンテンツIDに対応する問題コンテンツを一意に識別するための問題IDといった各データ項目を有している。
【0061】
また、前記顧客テーブル33cは、図4に例示したように、例えば、サーバ装置1へのログイン時にクライアント端末2に対して認証入力を要求するユーザIDあるいは会員証番号に対応する顧客IDと、この顧客IDに関連付けて格納される顧客名、住所、各顧客の性別、年齢、会員の種類(ブロンズ会員、シルバー会員、ゴールド会員、プラチナ会員)などの各データ項目からなる個人情報を顧客属性データとして有している。また、前記習熟度レベルテーブル34cは、図5に示すように、前記顧客IDと、この顧客IDに関連付けて顧客の習熟度レベルを一意に識別する習熟度レベルIDと、顧客の習熟度レベルIDに合わせて提供できる技芸コンテンツを一意に識別する技芸コンテンツ識別IDといった各データ項目を有している。
【0062】
さらに、前記正答テーブル35cは、図6に例示したように、問題コンテンツ群31cの中の各問題コンテンツを一意に識別する問題IDと、選択式の問題の正解を示す正答番号と、記述式の問題の正解を示す正答例と、各問題を正答した時の得点の「配点」といった各データ項目を有している。また、得点テーブル36cは、図6に例示したように、各顧客毎に各問題コンテンツの採点結果を格納するもので、前記顧客IDと、前記問題IDと、この問題IDに対しての解答を採点した結果としての「得点」といった各データ項目を有している。さらに、得点−習熟度レベル対応テーブル37cは前記「得点」に対して「習熟度レベル」を一段階上げることができるかどうかの判断基準である「基準点」を対応付けるテーブルである。
【0063】
以上のような構成を有する習熟度判定データベース3cと習熟度レベル判定手段によれば、以下に述べるようにして顧客が事業者からのサービス提供を希望する技芸コンテンツを顧客の習熟度に合わせて簡単に利用することができる。
【0064】
図8は、サーバ装置1により顧客の習熟度レベルの抽出と習熟度レベルの更新を実行する処理手順を示すフローチャートである。この図8において、まず、サーバ装置1の顧客識別手段は、サーバ装置1へのログイン時に顧客認証に用いられたユーザID、会員証番号などで識別される前記顧客IDに基づき、習熟度判定データベース3c中の顧客テーブル33cと習熟度レベルテーブル34cを検索して、顧客が要求した技芸コンテンツの習熟度レベルを抽出する(ステップS101)。
【0065】
そうすると、ここで抽出された顧客IDとこの顧客IDに対応付けされた習熟度レベルIDに基づいて、技芸データベース3bから顧客(顧客ID)の習熟度レベル(習熟度レベルID)に対応する技芸コンテンツ(技芸コンテンツID)を容易に検索することができる(ステップS102)。したがって、顧客が技芸コンテンツの習得に取り掛かろうとした場合に、サーバ装置1は、ログイン時に取得した顧客ID情報に基づいて、何時でも自動的にサーバ装置1が顧客の習熟度レベルに合わせた技芸コンテンツを選択し、適切な習熟度レベルからなる技芸コンテンツをクライアント端末2へ配信することができる(ステップS103)。このため、顧客は自分の習熟度レベルに応じた技芸コンテンツを時間を掛けずに、その詳細を後述する「動画閲覧」などで極めて短い待ち時間で選択することができ、これの習得に直ちに取り掛かることができる。このようにして、顧客は効率よく事業者が提供する技芸コンテンツのサービスを自分の習熟度レベルに応じて効率よく習得することができる(ステップS104)。
【0066】
次に、以上のようにして自分の習熟度レベルに合わせて提供された技芸コンテンツ習得を行い、その結果、この習熟度レベルをクリアしたと顧客が考えた場合に、前記習熟度レベル判定手段による判定結果に基づいて顧客は自分の習熟度レベルを1段階上の習熟度レベルに更新することができる。このとき、前記習熟度レベル判定手段は、顧客の要求に応じて、顧客が次の1段階上の習熟度レベルのコンテンツを習得するための次の習熟度レベルに移行することができるレベルに達しているか否かを確認する。
【0067】
なお、この習熟度レベルの判定は、図8に示した前記習熟度レベル判定手段によって行われる。そのためには、先ず、顧客はクライアント端末2のディスプレイに表示された技芸コンテンツの習得画面などから技芸コンテンツの習熟度レベルの判定要求ボタンをマウスなどによってクリックして、習熟度レベルの更新判定を行うようにサーバ装置に要求する(ステップS105)。そうすると、サーバ装置1は、顧客が1段階上のレベルの技芸コンテンツに移行できるか否かを判定するために、最初に習熟度レベル判定手段の一部を構成する既に述べた問題コンテンツ選定手段によって、習熟度判定データベース3cの習熟度レベル−問題コンテンツ対応テーブル32cを参照して、前記習熟度レベル抽出手段によって抽出された顧客の習熟度レベルに対応した問題コンテンツを選定する(ステップS106)。そして、サーバ装置1の問題コンテンツ配信手段は選定された問題コンテンツをクライアント端末2へと配信する(ステップS107)。
【0068】
次に、このようにしてサーバ装置1からクライアント端末2へ配信された問題コンテンツに対する解答は、クライアント端末2からサーバ装置1の前記習熟度レベル判定手段へ返送される(ステップS108)。そうすると、この習熟度レベル判定手段は、クライアント端末2からの解答送信の要求信号を受けて解答データを受け取った後に、採点手段によって受け取った解答データを正答テーブル35cと照合することにより採点を行う(ステップS109)。なお、このとき同時に、クライアント端末2から送信された全ての解答データをこの習熟度レベル判定手段が受信したこと確認すると、その採点結果(得点)を得点テーブル36cに格納し、クライアント端末2に対しては、採点結果(得点)及び問題の解説などを送信する(ステップS109)。
【0069】
次いで、得点−習熟度レベル対応テーブル37cを参照して、顧客の「習熟度レベル」を一段階上げることができる習熟度レベルに顧客が達しているか否かを判断する(ステップS110)。この判断は、採点手段によって採点された「得点」が「一定基準」に達しているか否かを総得点や正答率などによって行われる。この判断の結果、顧客の習熟度レベルが十分に基準点に達している(YES)と判定されると、更新手段によってデータベース3に格納されている顧客の習熟度レベルが1段階上の習熟度レベルに更新される(ステップS111)。すると、顧客はこの更新された習熟度レベルに対応した新しい技芸コンテンツの習得にとりかかることができる。
【0070】
なお、このとき顧客の習熟度レベルが基準に達していない(NO)と判定されたときには、顧客は、送られてきた採点結果(得点)及び問題の解説などに基づき、基準に達しなかった部分の技芸コンテンツの習得に再び取り掛かる(ステップS112)。そして、これを習得した後に再び習熟度レベルの更新判定を行うステップ105へ戻る。
【0071】
このようにして、顧客は段階を踏みながら技芸コンテンツを習得することができる。このため、顧客は、必要なレベルの技芸を十分に習得した上で上級レベルの技芸コンテンツを習得することとなり、急に技芸コンテンツの内容が難しくなって、学習意欲をなくしたり、必要な技芸が身についていないために偏った癖がついたりするといった問題を解消することができる。
その際、サーバ装置1からクライアント端末への前述の問題コンテンツの配信については、顧客の習熟度レベルに応じた技芸コンテンツを顧客が「動画閲覧」した後、この「動画閲覧」によって顧客が当該技芸コンテンツを習得したかどうかを確認しながら行うようにすることが効果的である。ただし、顧客の習熟度レベルの初期設定については、全て一律の初期の習熟度レベルを設定するようにするか、顧客自身が自分の習熟度レベルを仮に設定して、仮に設定した習熟度レベルの問題に顧客を挑戦させた後、その回答率などによってサーバ装置1が判定した顧客の習熟状況に応じ、習熟度レベルを適切なものに更新するようにすることもできる。なお、「動画閲覧」の詳細については後述する。
【0072】
次に、以上に述べたようにして、サーバ装置1の習熟度レベル判定手段によって顧客の習熟状況に応じたレベルの技芸コンテンツが判定されると、これに対応した教材を利用して選定された技芸コンテンツを習得するステップに入る。以下、このステップに関して、具体例として「陶芸コンテンツ」を例にとって詳細に説明するが、もちろん、本発明が提供する「技芸コンテンツ」としては、「陶芸コンテンツ」だけに限定されるものでなく、「手芸コンテンツ」、「園芸コンテンツ」、「書道コンテンツ」、「ゴルフコンテンツ」、「伝統芸能(日本舞踊、能、狂言など)コンテンツ」などの技芸コンテンツ一般についても適用できるものであることは言うまでもない。
【0073】
図9は、技芸ジャンル(技芸コンテンツ群)の中から「陶芸コンテンツ」を一例として選択し、この「陶芸コンテンツ」に関して、顧客の習熟度レベルに合った技芸コンテンツを顧客が習得するコンピュータプログラムの実施の形態に係わる概略のフローチャートを示したものである。
この図8において、顧客は所望の技芸コンテンツを習得するのに際して、先ず、ネットワーク4を介してクライアント端末2から「技芸コンテンツの習得プログラム」の開始要求をサーバ装置1に送信する(ステップS201)。そうすると、この要求信号を受信したサーバ装置1のアプリケーションサーバ機能によって、技芸コンテンツの習得プログラムが立ち上がり、技芸習得のためのシステムプログラムが起動する(ステップS202)。なお、この技芸コンテンツの習得プログラムは、顧客が事業者と技芸コンテンツの提供サービスの契約を結んだ際などに、クライアント端末2の記憶装置内にインストールされるようにしておいても良く、もちろん、サーバ装置1にインストールされていても良い。
【0074】
次に、サーバ装置1は、この表示画面から顧客が技芸コンテンツの習得を開始するか否かを確認する(ステップS203)。具体的には、マウスなどのポインティングディバイスによってクライアント端末2のディスプレイの画面に表示された「開始ボタン」を押す。すると、サーバ装置1は、クライアント端末2で「開始ボタン」が押されたことを受信して、技芸コンテンツの習得プログラムを実行する。逆に、「終了ボタン」が押されこと、すなわち「NO」が選択されたとサーバ装置1が判定すると、この習得プログラムは終了し、初期画面に戻る(ステップS204)。なお、この技芸習得のシステムプログラムついては、「開始ボタン」あるいは「終了ボタン」がクリックされると、クライアント端末2からサーバ装置1に送信された「開始ボタン」あるいは「終了ボタン」に関連させてHTML(Hyper Text Markup Language)、XML(eXtensible Markup Language)、あるいはWML(Wireless Markup Language)などの言語で記述された情報を読み取って、この情報に基づいてサーバ装置1がプログラムを制御することによって実行される。
【0075】
ここで、技芸コンテンツを習得するためのシステムプログラムの「開始ボタン」が押されたこと、すなわち「YES」が選択されたことをサーバ装置1が認識すると、サーバ装置1は、技芸習得のシステムプログラムを立ち上げる(ステップS205)。そして、サーバ装置1は、クライアント端末2のディスプレイに、HTML、XML、あるいはWMLのような言語で記述された「複数の技芸ジャンル」から所望の「技芸コンテンツ」を選択する選択ボタン」を含む「技芸コンテンツの選択をうながす選択画面」が表示される(ステップS206)。
【0076】
このようにして、技芸ジャンルの選択をうながす画面表示がされると、顧客は、マウスなどのポインティングディバイスを使用してサービス提供を希望する技芸コンテンツの選択ボタンをクリックして、所望の技芸コンテンツを選択する。そうすると、クライアント端末2からの選択信号に基づいて、サーバ装置1は顧客が選択した技芸コンテンツの種類を確認する(ステップS207)。なお、ここでは、「複数の技芸ジャンル」から「陶芸コンテンツ」が選択されたものと想定して以下の説明を行う。もちろん、複数の技芸ジャンルの中には、前述のように「手芸ジャンル」、「園芸ジャンル」、…などがある。
【0077】
このようにして、複数の技芸ジャンルの中から一つの技芸ジャンル(ここでは、「陶芸ジャンル」を想定)が選択されると、サーバ装置1は、「陶芸ジャンル」に係わる技能が全て選択され、例えば「陶芸ジャンル」では、「土練り」、「形作り」、「仕上げ」、「乾燥」、「素焼き」、「釉がけ」、「本焼き」などの「技能項目の一覧」をクライアント端末2のディスプレイに表示する(ステップS208)。
【0078】
ここで、顧客は、「技能項目の一覧」から習得したい技能項目を選択する(ステップS209)。そうすると、サーバ装置1は、顧客によって選択された技能に関し、顧客がこれからこの技能を修得するのに必要とされる準備作業の内容(用具、材料、作業環境)が「準備作業」画面(具体的には、必要な「用具」などを示す写真画像やイラスト画像)としてクライアント端末2のディスプレイに表示する(ステップS210)。
【0079】
なお、このような準備作業の内容(用具、材料、作業環境)をクライアント端末2のディスプレイに表示するために、サーバ装置1は、準備情報通知手段を備えている。したがって、顧客が習得したい技能をクリックして選択すると、サーバ装置1の準備情報通知手段は、これを検知して、クライアント端末2から受信した選択された技能に関連付けされた「準備作業」画面を前記データベース3から抽出し、クライアント端末2のディスプレイに表示する。
そうすると、クライアント端末2のディスプレイに表示された「準備作業」画面から、これから行う「技能」を実行する上で必要な用具、材料(学習に必要な教材を含む)、作業環境(作業条件も含む)などを顧客は直ちに確認することができる(ステップS211)。
【0080】
なお、このとき、このような用具、材料あるいは使用環境などを電子情報カタログ化してデータベース3に登録しておいて「準備作業」画面に表示するようにしておく。そうすると、顧客が希望すれば電子情報カタログ化して表示された画像情報をもとにオンラインショッピングが可能なようなサービスの提供環境を調えておくことができる。
【0081】
ここで、用具などと共に「準備作業」画面に表示される「作業環境」について簡単に補足しておくと、大半の陶芸教室や個人の陶芸家は設置スペースの制約などから所有する窯の種類や数が限られており、様々な素材を焼こうとしても、ふさわしい窯が見つからないか、適当な窯を保有することができないのが実状である。つまり、窯の選定に当たって考慮すべき大きな要素として、陶芸作品の大きさ、粘土質や釉薬の違いによるによる窯温度、ガスや灯油さらには電気などの使用するエネルギ−、材質の締り状態による焼成時間、結晶粒の大きさに影響する冷却時間などがあるが、作成しようとする陶芸作品に所望の風合いを発現させるのに適切な窯が容易に見つからないのが実情である。更に、目的の窯が見つかっても使用中であれば窯待ち状態となり、その間に作品が劣化したり、住居の中で大きなスペ−スを占有してしまったりという問題がある。
【0082】
そこで、このような顧客に対して、顧客が居住する近隣地域において、使用可能な窯情報を速やかに提供することが必要となり、このような情報を必要とする顧客に対して、どのような場所に行けば、顧客が望むような好適な窯を利用することができるか、といった情報を提供する。このような要求は顧客の技芸レベルが向上して高度な技能が要求されるようになるほど増大することは言うまでもない。
【0083】
このとき、「準備作業」画面のディスプレイへの表示に当たって、例えば、顧客が「陶芸ジャンル」から「形造り」技能を選択した場合を考えると、この「形作り」技能には、更に「轆轤造り」、「手捻り造り」、「紐造り」、「たたら造り」、「型起こし造り」、「くり抜き造り」などといった種類の異なる技能がある。そこで、このような場合には、顧客は前述のように「陶芸コンテンツ」を選択し、この「陶芸コンテンツ」の技能項目の一覧から「形造り」技能を選択すると、この形造り」表示された「形造り」技能には「轆轤造り」、「手捻り造り」、「紐造り」、「たたら造り」、「型起こし造り」、「くり抜き造り」などの更に下位のカテゴリに属する技能項目の一覧が表示されるようになっている。したがって、このようなケースでは、顧客が最下位のカテゴリに属する技能項目(例えば、「形造り」技能中から「轆轤造り」技能)が選択された段階で「準備作業」の画面表示が行われる。
【0084】
なお、このような「準備作業」は、顧客の習熟度レベルによっても異なる。このため、サーバ装置1は、このような表示を行う場合には、データベース3の顧客データベースに記憶された顧客の習熟度レベルのデータを読み出して、このデータを参照しながら顧客の習熟度レベルに対応する「準備作業」画面をクライアント端末2のディスプレイに表示する。このようにして、顧客に対して、自分が選択した技能の習得を開始するに際して、前もって「必要な用具、材料(教材を含む)、作業環境」を理解させる。
【0085】
以上に述べたようにして、「必要な用具、材料(教材を含む)、作業環境」を顧客に理解させると、次に、顧客が実際の「陶芸コンテンツ」にかかわる所望の各技能を修得するステップに入る。ここでは、顧客が「陶芸コンテンツ」の最下位のカテゴリに属する「轆轤造り」を選択したことを想定して、この「轆轤造り」技能に係わる技芸を習得するステップについて説明する。
顧客は、前述の「準備作業」画面から「轆轤造り」技能を修得する上で「必要な用具、材料(教材を含む)、作業環境」を理解したことを確認すると、このときにクライアント端末2のディスプレイに表示されている「動画閲覧」のボタンをクリックすることによって、クライアント端末2からサーバ装置へ「動画閲覧」の要求信号を送信する(ステップ212)。
【0086】
このようにして、「動画閲覧」ボタンがクリックされると、クライアント端末2からサーバ装置1に送信された「動画閲覧」ボタンに関連させてHTML、XML、あるいはWMLなどの言語で記述された情報に基づいて、サーバ装置1は、当該「動画閲覧」に関連付けられた動画を技芸データベース3bから顧客の習熟度レベルに対応して抽出する(ステップ213)。なお、このとき抽出された動画は、前述のように、熟練技芸者が実演したビデオ映像や技芸を習得するコツをイラスト化した画像やアニメーション映像(前述の3D−CGを含む)などからなっており、この動画が直ちにクライアント端末2の動画再生手段にストリーミング配信される(ステップ214)。
【0087】
ここで、前記「動画」は、熟練技芸者などが実演した技芸をビデオ映像として記憶され、必要に応じて音声ガイドや文字ガイドが付された動画で展開するものであって、既に述べたように、ビデオ画像でなくてもアニメーションで記録されたものであってもよく、またモーション分解された複数の静止画で構成されていても良い。
【0088】
このようにして、顧客は、自身の習熟度レベルに対応して表示された「動画閲覧」のボタンをクリックするだけで、「轆轤造り」コンテンツとして技芸データベース3bに記憶されている動画データから所定の動画データを「動画閲覧」することができる。このとき更に、例えば、「轆轤造り」技能の技能手順で熟練技芸者が最もコツを要する技芸の要所要所に、顧客が熟練技芸者からいち早く技芸ノウハウを習得できるように表示画面に工夫が施しておく。例えば、動画上の要所要所に音声ガイド付きで文字情報表示、矢印などの記号表示などによって、「動画閲覧」を行っている顧客が確実に技芸の習得ができるように適材適所に表示される。また、特に、「ワンポイントアドバイス」、「失敗事例」などのボタンを「動画閲覧」中の表示画面に挿入し、熟練技芸者が最もコツを要する「ポイント」の要所要所に、顧客が熟練技芸者からいち早く「陶芸」ノウハウを習得できるように表示画面に文字解説を挿入したり、図面解説を挿入したり、数値や記号表示を挿入したりするためのテロップ表示をするなどの工夫を施してもよい。なお、この表示は、顧客が「動画閲覧」を行っている間の全般に渡って、適材適所に表示される。
【0089】
ここで、簡単に、このような「動画閲覧」に係わる動画データの「轆轤造り」の例について説明しておく。この動画データでは、例えば熟練技芸者が両手の平で粘土を上まで引き上げたり、粘土全体を下げたりする動作によって、轆轤を挽き易くする本番前の土殺し処理を行って、粘土の練りむらを除去する技能が再現される。この後、轆轤挽きが実行され、例えば、円筒形の湯飲みを作成する場合には、土殺し処理後の粘土から1個分の粘土を両手の指で挟むようにして区分する技能が再現される。次に、区分した粘土を指との平で挟み、穴を広げる。その後、右手で円筒形の形を保ちながら、左手の指で粘土を締めて粘土を上に伸ばす処理を行って、形が整えられた円筒形の作品を作る技能が再現される。さらに、形が整えられ円筒形となった作品である粘土の底に切り糸をあてがい、右手を瞬間的に離す際の動作とこのときのコツを再現する。なお、このとき、人が扱う道具である切り糸と轆轤の相互作用下に、粘土の形状が、湯飲み形状と円錐台状形状とに分離される様子も再現する。このように粘土の形状は、人の手または人が扱う道具である切り糸および轆轤によって容易に形状が変化することを理解させる。そして、最後に、両手をV字型にして、作品である湯飲み形状となった粘土をそっと持ち上げて、基土から離す寸前の動作も表示して、轆轤造りが完了する技能を顧客に習得してもらう。
なお、この後の湯飲み形状となった粘土に対する仕上げ技能(加工・装飾技能)、乾燥技能、素焼き技能、釉がけ技能(下絵付け技能と施釉技能)、本焼き技能(上絵付け技能・焼成技能、窯だし技能)などについても、顧客は同様に顧客の習熟度レベルに応じて「動画閲覧」を行うことができ、これによって、顧客は「陶芸」を習得する上での熟練した技芸者の技芸を会得することができる。
【0090】
以上に述べたようにして、顧客は自身の習熟度レベルに応じて、習得したいと望む技芸コンテンツを習得することができるようになる(ステップS215)。
このとき、顧客の習熟レベルは、既に述べたように、サーバ装置1のアプリケーション機能を活かして、既に詳細に述べた習熟度レベル判定手段によって技芸レベルを好適に判定することができる。そして、「動画閲覧」によって習得した「技芸コンテンツ」の習熟度レベルがこのレベルに到達されたと判定されると、顧客は、再び1段階上の習熟度レベルのコンテンツの習得に取り掛かる。ただし、この習熟度レベルの更新に当たっては、顧客の実技を検定するための実技認定制度を導入することができる。なお、この場合、「技芸コンテンツ」を提供していると性格上、専門家を審査員とする実技認定制度を併せて採用することが好ましい。
【0091】
このようにして、顧客の習熟度レベルに対応させて、顧客を例えばブロンズ会員(一般会員)、シルバー会員(上級会員)、ゴールド会員(特別会員)、プラチナ会員(代理店特権会員)として認定する。そうすると、顧客は、技芸レベルがステップアップしていくという目標を持てると共に、自身の実力を再確認でき、更に向上心も芽生えて、「技芸コンテンツ」サービスの提供を更に長期間にわたって受けようとする動機付けともなる。
【0092】
ここで、プラチナ会員に対しては、ウェブサイト上で自分の教室ページが持てたり、自信が作陶した作品を展示できたりする特権などを与えて、陶芸作家(先生)としての資格を与えることもできる。また、「動画閲覧」に使用したようなビデオ映像を使用制限を設けた上で与えることもできる。さらには、プラチナ会員が事業者の販売する教材を他者に販売したときに、その利益の一部を還元できるようなシステムとしてもよい。
また、本発明は「技芸コンテンツ」の提供サービスをインターネットなどのネットワーク4を介して提供しようとするものであって、遠隔地に居住する顧客(例えば、日本国外に居住する外国人や日本人)であっても利用できる。したがって、英語などの日本語以外の外国語でも利用できるようにしておくことは、多くの顧客を獲得する上で有効である。
【0093】
また、本発明は、サーバ装置1が管理するデータベース3に、全ての動画ファイル、静止画ファイルなどに対して、キーワード検索できるキーワードテーブルを格納し、顧客がクライアント端末2の検索画面から必要なデータを高速検索して、顧客が欲する画像シーンを即座に表示できる高速検索手段を備えている。この高速検索手段は、図10に示したように、顧客がサーバ装置1のウェブサイト(サービスポータル)にネットワーク4を介して接続した際に、正式会員であると認証したクライアント端末2のディスプレイに表示されるウェブページから利用することができる。なお、図10の表示画面は、マイクロソフト社が提供するインターネットエクスプローラ(商標名)をウェブブラウザとして利用した例である。
【0094】
すなわち、この高速検索手段は、図11に示すように、顧客が「土」というキーワードを入力して検索すると、「土」という言葉を含む技能シーンが文字情報あるいは音声情報による説明付きでサムネイル画像によって表示するものであって、この高速検索手段によって、顧客が希望する技能シーンを迅速に検索することを可能とする。ここで、サムネイル(thumb nail)とは、ウェブページ上に表示される小サイズの見本画像をさし、マウスなどでクリックするとより大きな画像が現れるものである。
【0095】
以上に述べた各技能シーンは、技芸コンテンツに含まれる動画(例えば「動画閲覧」の再生)の場合には、「動画閲覧」を構成する動画を意味のある各技能シーン別に分割した分割動画群のそれぞれに対して、各分割動画を代表する静止画を選定することから始められる。次いで、選定された静止画とこの静止画像をサムネイル画像とした画像とを必要に応じて音声情報や文字情報などの書誌的情報も関連付けた上で各分割動画にリンクさせて前記技芸データベース3bに記憶しておく。また、各技芸シーン毎の代表静止画を動画の技能展開に沿って各小技能項目ごとに関連付けを行った上で少なくとも一つのキーワードを付して動画検索情報データベースとして前記データベース3に保存する。
【0096】
このような構成とすることで、顧客が時間の都合上、途中で急に技芸コンテンツの習得を中断したい場合にあっては、中断した場面から再び習得に取り掛かるために、習得中の段階や状況をサーバ装置1に送信して記憶させておく必要もなくなる。何故ならば、習得中の状態でそのまま終了してしまっても、自分が途中まで習得に努めていたシーンを思い出し、そのシーンをキーワード検索することができるからである。そして、このようにして行った高速検索によって、キーワードに該当する静止画像がクライアント端末2のディスプレイにサムネイル表示されると、習得を中断した場面に相当するサムネイル画像(画像シーン)あるいは対応するボタンをマウスなどによってクリックすることなどによって、習得を中断した場面へ迅速に到達することができ、中断した場面からの習得の再開が容易にできるという効果が得られる。
【0097】
ただし、このような場合において、サーバ装置1の高速検索手段が検索するのは、顧客の習熟度レベルあったカテゴリに限定せずに、前記データベースから全習熟度レベルの分割動画を顧客が入力したキーワードに準拠して検索し、クライアント端末2のディスプレイに表示するようにしても良い。ただし、顧客が受けられる技芸コンテンツは、顧客の習熟度レベルに相当するカテゴリの技芸コンテンツである。このようにすれば、顧客は自分の習熟度レベルより上位の習熟度レベルに属する技能が存在することを知ることができ、より高いレベルのコンテンツを習得しようとする動機付けともなる。
【0098】
すなわち、本発明のサーバ装置1は、このような高速検索手段を備えているので、クライアント端末2のディスプレイにHTML、XML、あるいはWMLのような言語で記載されたウェブページ情報を有する検索画面を表示する。そうすると、クライアント端末2からこの検索画面に入力されたキーワードに準拠して、サーバ装置1は、前記動画検索情報データベースから入力されたキーワードに当てはまる検索条件を備えた静止画を検索してサムネイル表示する。このとき、表示されたサムネイル画像には前述のHTML、XMLあるいはWMLなどの言語で記述された「動画閲覧の開始」ボタンも一緒に表示されるので、サーバ装置1は、この開始ボタンがクライアント端末2側でクリックされたことを検知することができ、これを検知したサーバ装置1は、クリックされたサムネイル画像にリンク付けされた動画コンテンツ(「動画閲覧」データ)をクライアント端末2にストリーミング配信することができるようになる。このとき、顧客は検索した動画コンテンツの内容を必要に応じて音声情報や文字情報と共に検索した静止画を見ながら選定できるので、ストリーミング配信する動画コンテンツは顧客が習得を再開したいコンテンツであることを容易に判断できる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の技芸コンテンツ配信システムの一つの実施形態例の構成を示す図である。
【図2】習熟度判定データベースの一例である。
【図3】技芸コンテンツの習熟度レベル−問題コンテンツ対応テーブルの一例である。
【図4】顧客テーブルの一例である。
【図5】習熟度レベルテーブルの一例である。
【図6】正答テーブルの一例である、
【図7】得点テーブルの一例である、
【図8】顧客の習熟度レベルの抽出と習熟度レベルの更新を実行する処理手順を示すフローチャートである。
【図9】顧客の習熟度レベルに合った技芸コンテンツを顧客が習得するコンピュータプログラムの実施の形態に係わる概略のフローチャートである。
【図10】キーワードを入力して高速検索する際の入力画面の一例である。
【図11】高速検索した結果の表示画面の一例である。
【符号の説明】
【0100】
1:サーバ装置
2:クライアント端末
3:データベース
3a:顧客データベース
3b:技芸データベース
3c:習熟度判定データベース
4:ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して接続され且つ少なくとも動画再生手段とウェブブラウザとを有するクライアント端末と、前記クライアント端末からの要求に応じて技芸コンテンツを前記ネットワークを介して前記クライアント端末に提供するサーバ装置と、前記技芸コンテンツに係わるサービスを提供するための必要情報を記憶するための前記サーバ装置側に設けられたデータベースと、前記サーバ装置が前記クライアント端末に対して要求した入力データから前記サーバ装置への接続権限を認証する前記サーバ装置に設けられた顧客識別手段と、前記顧客識別手段によって前記サーバ装置が識別した顧客に対して技芸コンテンツの習熟度のレベルを判定する前記サーバ装置に設けられた習熟度レベル判定手段とを備え、前記顧客識別手段が認証した前記クライアント端末に対して、前記習熟度レベル判定手段が判定した習熟度レベルに対応して顧客が習得する必要のあるレベルの技芸コンテンツを、熟練技芸者の実演ビデオ映像からなる動画を少なくとも含む形で前記クライアント端末からの要求に応じて、記サーバ装置が前記クライアント端末へ配信する技芸コンテンツの提供システム。
【請求項2】
前記データベースは、少なくとも顧客の習熟度レベルと各習熟度レベル別に各技芸コンテンツを区分して電子情報化された問題コンテンツとを格納すると共に、前記サーバ装置の習熟度レベル判定手段は、前記顧客識別手段によって識別されたユーザIDに対応した前記データベース中の顧客の習熟度レベルを抽出する習熟度レベル抽出手段と、抽出した顧客の習熟度レベルに対応した問題コンテンツを前記データベース中から選定する問題コンテンツ選定手段と、前記クライアント端末からの要求に応じて顧客の習熟度レベルに合わせた問題コンテンツをクライアント端末へ配信する問題コンテンツ配信手段と、配信された問題コンテンツに対してクライアント端末側で解答された後に前記クライアント端末から配信された解答データを採点する採点手段と、前記採点手段によって採点された得点に対応して各顧客の習熟度レベルを更新する習熟度レベル更新手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の技芸コンテンツの提供システム。
【請求項3】
熟練技芸者の実演デオ映像を少なくとも含んだ前記動画が異なる複数の視点から撮影された動画であって、前記サーバ装置から配信された動画閲覧画面に表示される視点変更ボタンに対応して、熟練技芸者の実演デオ映像を少なくとも含んだ前記動画が要求があった視点から撮影された動画を抽出してクライアント端末の動画再生手段へ配信するアプリケーションサーバ機能を前記サーバ装置が備えたことを特徴とする請求項1に記載の技芸コンテンツの提供システム。
【請求項4】
熟練技芸者の実演デオ映像を少なくとも含んだ前記動画が三次元コンピュータグラフィックスを含み、前記サーバ装置から配信された動画閲覧画面がクライアント端末のディスプレイに表示される際に表示される視点変更ボタンに対応して、前記三次元コンピュータグラフィックスを変更された視点からの表示に変えるアプリケーションサーバ機能を前記サーバ装置が備えることを特徴とする請求項1に記載の技芸コンテンツの提供システム。
【請求項5】
前記データベースが、前記動画を意味のある各技能シーンに分割した分割動画と、該分割動画群のそれぞれに関連付けられた代表静止画と、意味のある前記各技能シーンを解説する音声情報及び/又は文字情報を含む書誌的情報と、前記分割動画、前記代表静止画及び書誌的情報を関連付ける少なくとも一つのキーワードとを含む請求項1記載の技芸コンテンツの提供システム。
【請求項6】
前記クライアント端末から入力されたキーワードに準拠して、前記サーバ装置が入力されたキーワードを含む分割画像を前記データベースから検索する高速検索手段を備えたことを特徴とする請求項5に記載の技芸コンテンツの提供システム。
【請求項7】
前記サーバ装置が、前記クライアント端末から入力されたキーワードに準拠して前記高速検索手段によってキーワード検索された各技能シーンに関連付けされた前記分割動画、前記代表静止画及び書誌的情報をクライアント端末のディスプレイに配信するウェブサーバ機能を備えたことを特徴とする請求項6に記載の技芸コンテンツの提供システム。
【請求項8】
前記クライアント端末からの技芸コンテンツの提供要求に対して、該技芸コンテンツのクライアント端末への提供開始前に、該技芸コンテンツの習得を開始するに当たって必要となる少なくとも用具、材料及び作業環境に関する準備作業情報を前記クライアント端末へ通知する準備情報通知手段を備えた請求項1に記載の技芸コンテンツの提供システム。
【請求項9】
ネットワークを介して接続されたクライアント端末が技芸コンテンツのサービスの提供要求を技芸コンテンツに係わるサービスを提供するサーバ装置に送出し、提供要求信号を受けたサーバ装置は前記クライアント端末に対して正式会員であるか否かを確認するための認証情報の送出を要求し、クライアント端末から送出された顧客認証情報に基づいてサーバ装置は顧客を識別し、識別した顧客の技芸コンテンツに対する習熟度レベルをサーバ装置が判定し、判定した顧客の習熟度レベルに基づいて少なくとも熟練技芸者の実演ビデオ映像からなる習熟度レベル別の動画を顧客の習熟度レベルに合わせて前記クライアント端末に提供することを特徴とする技芸コンテンツの提供方法。
【請求項10】
前記顧客の習熟度レベルを判定するために各習熟度レベル別に各技芸コンテンツを区分して電子情報化された問題コンテンツ中から顧客の習熟度レベルに合わせた問題コンテンツを前記サーバ装置が選定してクライアント端末へ配信し、配信された問題コンテンツに対する解答データを前記サーバ装置が受信して受信した解答データを採点し、採点した得点が配信した問題コンテンツの習熟度レベルを一段階上に更新する得点であるか否かを判定し、顧客の習熟度レベルを更新する請求項9に記載の技芸コンテンツの提供方法。
【請求項11】
前記習熟度レベルの更新に当たって、専門家を審査員とする実技認定制度を併せて採用し、当該習熟度レベルの実技認定試験に合格した場合に習熟度レベルを更新することを特徴とする請求項10に記載の技芸コンテンツの提供方法。
【請求項12】
前記習熟度レベル別の動画が異なる複数の視点から撮影された動画であって、前記クライアント端末からの視点変更の要求に対して、前記サーバ装置はクライアント端末から要求があった視点から撮影された動画を抽出してクライアント端末へ配信することを特徴とする請求項9に記載の技芸コンテンツの提供方法。
【請求項13】
前記動画が三次元コンピュータグラフィックスを含み、前記クライアント端末からの視点変更の要求に対して、サーバ装置は三次元コンピュータグラフィックスを要求された視点からの表示に自由に変更することを特徴とする請求項9に記載の技芸コンテンツの提供方法。
【請求項14】
前記動画が意味のある各技能シーンに分割され、分割された動画群のそれぞれに代表静止画を設定し、設定した各代表静止画に対して各技能シーンを解説する音声情報及び/又は文字情報を含む書誌的情報関連付け、更に前記分割動画、前記代表静止画及び書誌的情報に対して、これらデータを互いに一群のデータとして関連付ける少なくとも一つのキーワードを設定し、クライアント端末からのキーワード入力に準拠して前記分割動画、前記代表静止画及び書誌的情報をクライアント端末へ配信することを特徴とする請求項9に記載の技芸コンテンツの提供方法。
【請求項15】
前記クライアント端末から入力された前記キーワードに準拠して各技能シーンに関連付けされた前記分割動画、前記代表静止画及び書誌的情報をクライアント端末のディスプレイに配信することを特徴とする請求項14に記載の技芸コンテンツの提供方法。
【請求項16】
前記クライアント端末への技芸コンテンツの提供開始前に、該技芸コンテンツの習得を開始するに当たって必要となる用具、材料及び作業環境を少なくとも含む準備作業情報を前記クライアント端末へ通知することを特徴とする請求項9に記載の技芸コンテンツの提供方法。
【請求項17】
前記用具、材料あるいは使用環境を少なくとも含む準備作業情報の中から顧客に販売可能な情報を電子情報カタログ化してデータベースに登録し、顧客が希望すればクライアント端末に表示された画像情報をもとにオンラインショッピングができるようにした請求項16に記載の技芸コンテンツの提供方法。
【請求項18】
提供する技芸コンテンツが陶芸コンテンツ、手芸コンテンツ、園芸コンテンツ、書道コンテンツ、伝統芸能(日本舞踊、能、狂言など)コンテンツ又はゴルフコンテンツであることを特徴とする請求項9に記載の技芸コンテンツの提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−163062(P2006−163062A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−355608(P2004−355608)
【出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【出願人】(501270287)エヌアイ帝人商事株式会社 (10)
【出願人】(500318195)ビザンコム株式会社 (1)
【Fターム(参考)】