説明

抄紙用シームフェルト

【課題】高い機械的強度を備え、優れた平滑性、耐脱毛・摩耗性、耐圧縮疲労性を発揮する抄紙用シームフェルトを提供する。
【解決手段】シーム部を有する基層30と、基層の湿紙側の表面に形成された湿紙側バット繊維層20と、プレス側の表面に形成されたプレス側バット繊維層21とを備え、前記湿紙接触繊維層20が絶対粘度が80mPa・s以上である高分子量ナイロンからなる芯成分と、該芯成分よりも低融点のナイロンからなる鞘成分とから構成される芯鞘複合繊維41を含むため、平滑性、耐脱毛・摩耗性、耐圧縮疲労性がバランスよく具備された特徴を有する抄紙用シームフェルト。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抄紙用シームフェルト(以下、単に「シームフェルト」という)に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、抄紙機械は、高速、及び高加圧であるタイプのものが主流であり、抄紙用フェルトは、高い通水性を有することが望まれている。そのため、抄紙用フェルトにおいては、基礎部分の織物構造が単糸で構成されることにより、通水性を高めたタイプのものが主流である。
【0003】
また、従来、機械上で継合わせ可能なシームフェルト(例えば、特許文献1参照。)には、バット繊維層、及び耐フロー性の材料からなるストリップを、抄紙機の布の継目部分の上方、又は近隣に設け、その結果、シームフェルトの継目部分の空気・水の透過性が、継目以外の箇所の空気・水の透過性と、実質的に同一となるようにしたものがある。
【0004】
図2は、従来のシームフェルト10’の機械方向断面図である。
シームフェルト10’は、モノフィラメントの織布である素地布14’を有し、継目(シーム)領域12’が連結されることにより、機械上でエンドレス形態となる。
なお、素地布14’は、機械方向糸16’と、機械横断方向糸22’からなる織布である。
【0005】
機械方向糸16’は、継合わせループ(シームループ)18’を形成する。
なお、シームループ18’は軸棒20’の通路となり、シームループ18’及び軸棒20’が組合わされ、素地布14’が連結される。
【0006】
ストリップ24’は、その上側が0.5〜2.0インチ(1.27〜5.08cm)の長さで広がるように、シーム領域12’に配置されている。なお、ストリップ24’は、織布、不織布、又はポリマーフィルムのいずれかを用いたリボンであり、素地布14’にニードリングによって打込まれる。また、ステープルファイバからなるバット繊維層26’は、素地布14’の少なくとも片面に、ニードルパンチング等の方法で設けられる。
【0007】
また、素地布14’の最下側のシームループ18’から、バット繊維層26’が取除かれることにより、ギャップ28’が設けられている。
そして、バット繊維層26’とストリップ24’が斜めにカットされ、スリット30’が設けられるが、ストリップ24’により、シーム領域12’の空気、及び水の透過性が損なわれないシームフェルト10’を提供することができるとされている。
【0008】
一方、従来、機械上で継合せる必要のない無端状(エンドレス)の抄紙用フェルトが多く使われてきた。エンドレスフェルトもシームフェルトも、抄紙用フェルトとして湿紙から水を搾る機能(搾水性)を維持するために、加圧により圧縮されたフェルトを除圧時に偏平化することなく回復させる機能(耐圧縮疲労性)や、フェルトが平滑になることにより湿紙平滑性を高める機能(平滑性)及び耐脱毛・摩耗性等も重要視されている。
このような機能を具えたフェルトとして、例えば、2成分材料よりなる芯鞘構造を有する繊維を含むプレスフェルトが特許文献2に開示されている。このプレスフェルトでは、バット層の繊維として、低融点の鞘材料と高融点の芯材料からなる2成分材料が用いられ、プレスフェルトの加熱硬化処理により低融点の鞘材料が軟化してバット層内にマトリックスが形成されることにより、プレスフェルトの脱排水性能を向上させ、しかも、圧縮抵抗力を増強させることができるとされている。
【0009】
【特許文献1】特表2004−512441号公報
【特許文献2】特開平8−302584号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述のシームフェルトにスリットを設けたものの場合、シーム領域に配置されるバット繊維層からの脱毛現象を抑制するには、シーム領域に配置されるバット繊維層の接合性を維持、又は高めるためシーム領域にストリップを配置したり、樹脂を塗布したりする必要があった。そのため、必然的に、シーム領域における空気・水の透過性、及びフェルト物性(圧縮性、通水性、汚れ成分の蓄積性)を、シームフェルトにおけるシーム領域以外の部分の空気・水の透過性、及びフェルト物性と一致させるのは困難であった。
【0011】
シーム領域とシーム領域以外の部分の空気・水の透過性、及びフェルト物性が異なるシームフェルトを使用した場合、抄紙工程において、シーム領域の湿紙の地合が変化するので、湿紙の品質を損なったり、湿紙を破断したりしてしまう危険性があった。さらに、シームフェルトの耐久性、及び品質を損なうという問題もあった。
【0012】
また、特許文献2の抄紙用フェルトは、プレス装置による繰返しの圧縮疲労を受け易いという問題がある。すなわち、特許文献2の抄紙用フェルトのように2成分材料をフェルトのバット繊維層に用いる場合、フェルト製造時の熱プレスの影響により、芯材料の機械的強度の低下や化学的劣化が起こり、その結果、フェルトの使用中に繊維が切断されたり、脱毛・摩耗が進み、早期に交換を必要とすることが多かった。
【0013】
そこで、本発明は、シーム領域でのフェルト物性を他の部分と異なることがないようにしながら、シーム領域のバット繊維層の耐圧縮疲労性を高めることができ、然も平滑性・耐脱毛・摩耗性、及び搾水性に優れたシームフェルトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、シーム部を有する基層と、該基層の湿紙側の表面に形成された湿紙側バット繊維層と、プレス側の表面に形成されたプレス側バット繊維層とを備え、
前記湿紙側バット繊維層が絶対粘度が80mPa・s以上である高分子量ナイロンからなる芯成分と、該芯成分よりも低融点のナイロンからなる鞘成分とから構成される芯鞘複合繊維を含み、前記芯鞘複合繊維の鞘成分が溶融して網目状繊維層が形成されている抄紙用シームフェルトにより、前記課題を解決した。
ここで、絶対粘度が80mPa・s以上とは、ナイロンを0.5g/95%硫酸100mlで溶解し、25℃の温度で測定した絶対粘度であって、振動式粘度計で測定することができる。
前記湿紙側バット繊維層における前記芯鞘複合繊維の含有率は、20%〜80%であることが好ましい。
また、前記湿紙側バット繊維層を多層構造にし、前記湿紙側バット繊維層のプレス側から湿紙側に向かって、前記芯鞘複合繊維の含有量を段階的に増加させてもよい。特に前記基層の湿紙側の表面には前記芯鞘複合繊維を含まない繊維層を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、シーム領域とシーム領域以外の部分のフェルト物性を均一にしながら、シーム領域のバット繊維の脱毛、脱落を効果的に抑制することができる。その結果、抄紙工程において、湿紙の品質を高め、且つ、湿紙を破断させることが少なく、耐久性にもすぐれたシームフェルトを提供することができる。
また本発明によれば、芯鞘複合繊維の鞘成分が溶融して網目状繊維層が形成されて、湿紙側バット繊維層が緻密になる。その結果、プレス側層の水分は、前記湿紙側バット繊維層がバリアとなって湿紙側に移動しにくくなるため、再湿現象を抑制することができる。
また、前記芯鞘複合繊維の芯成分を高粘度にすること、すなわち高分子量ナイロンを使用することで、フェルトの耐脱毛・摩耗性及び耐圧縮疲労性が向上し、その結果、フェルトの寿命(ライフ)が延びてフェルト交換回数が減る、脱毛・摩耗による抜け毛が湿紙に付着することが少なくなり製紙品質が改善する、湿紙接触面の平滑性が維持される等の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明のシームフェルトについて詳しく説明する。
図1は本発明によるシームフェルト10の機械方向(MD方向)の断面図である。
なお、「機械方向(MD)」は、抄紙機がシームフェルトを移動させる経方向であり、「機械横断方向(CMD)」は、抄紙機がシームフェルトを移動させる方向を横切る緯方向である。
図1に示すように、シームフェルト10は、シーム部を有する基層30と、該基層の湿紙側の表面に形成された湿紙側バット繊維層20と、プレス側の表面に形成されたプレス側バット繊維層21とからなる。
基層の湿紙側の表面に形成された湿紙側バット繊維層20と、プレス側の表面に形成されたプレス側バット繊維層21は、ステープルファイバーから構成され、ニードルパンチングによりそれぞれ基層30の湿紙側及びプレス側に絡合一体化されている。
【0017】
基層30は、経糸(機械方向糸)31、及び緯糸(機械横断方向糸)32が有端状に、織機上で製織されて製造される。
ここで基層30のシーム部について説明する。経糸31,31は有端状の基層30の端部に、いわゆる、シームループ33,33が設けられ、シームループ33,33は、機械横断方向上で並ぶように揃えられる。そして、そのシームループ33,33に、棒状の芯線(ピントルワイヤ)36が挿入されることにより、基層30は、無端状のエンドレス織物となる。このような有端状の基層30の端部にシームループが設けられ、芯線の挿入によりエンドレス織物となる部分をシーム部と言う。
【0018】
芯線36の上方において、シームフェルト10の機械横断方向に沿って、湿紙側バット繊維層20を基層30に到るまで斜めに切断し、切目11を設ける。
このように、湿紙側バット繊維層20を斜めに切断し、機械方向に傾斜するように切目11を設ける理由は、湿紙側バット繊維層20を機械横断方向において垂直に切断した場合よりも、シーム領域12のマークが湿紙に転写し難いためである。従って、プレス側バット繊維層の切目11’は、垂直方向でよい。
なお、図1に示すように、切目11を斜辺として基層30に対して、三角形をなす部分がフラップfである。この場合、シームフェルト10の抄紙機械における走行方向は、図1の右から左の方向である。
【0019】
本発明のシームフェルト10は、湿紙側バット繊維層20に芯鞘複合繊維41を含み、前記芯鞘複合繊維の鞘成分が熱及び/または熱プレスにより溶融して網目状繊維層が形成されて、湿紙側バット繊維層が緻密になるので、シーム領域12の耐久性が増大する。つまりシームフェルトが抄紙機械で使用される期間、損傷を受け易いシーム領域12のフラップf、切目11、11’からの脱毛.磨耗を著しく改善できる。
【0020】
更に、本発明のシームフェルトの他の機能について説明する。
シームフェルト10の前記芯鞘複合繊維41が溶融して網目状繊維層が形成され、それに伴って湿紙側バット繊維層20が緻密になり、シームフェルト10の表面平滑性が向上する。
湿紙側バット繊維層20が緻密になると、シームフェルト10がニップ加圧下を脱してゆく際に、基層と、プレス側の表面に形成されたプレス側バット繊維層21にある水分が、緻密層がバリアとなって移動しにくくなり、再湿現象が効果的に抑制され搾水性が向上する。
【0021】
本発明のシームフェルト10は、湿紙側バット繊維層20が、温度25℃での絶対粘度が80mPa・s以上である高分子量ナイロンからなる芯成分と、この芯成分よりも低融点のナイロンからなる鞘成分とから構成される芯鞘複合繊維41のステープルファイバーを含み、基層30のプレス側の表面に形成されたプレス側バット繊維層21は、芯鞘複合繊維41を含まない従来のナイロン繊維42のステープルファイバーで構成される。
ここで、温度25℃での絶対粘度が80mPa・s以上とは、ナイロンを0.5g/95%硫酸100mlで溶解し、25℃の温度で測定した絶対粘度であり、これは振動式粘度計で測定することができる。
なお、図1では、便宜上、芯鞘複合繊維41が誇張して示されている。
【0022】
従来、2成分材料よりなる芯鞘構造を有する繊維を抄紙用フェルトのバット繊維層に用いる場合、芯成分の粘度、すなわち、分子量については考慮されていなかった。本発明では、芯成分を従来よりも高粘度、すなわち、高分子量ナイロンを使用し、且つ、この芯鞘複合繊維からなる層を、シームフェルトの基層の湿紙側表面上に配置することにより、前記芯鞘複合繊維の溶融した網目状繊維層が形成され、平滑性、耐脱毛・摩耗性、耐圧縮疲労性がバランスよく改善される。
【0023】
芯鞘複合繊維41の芯成分に用いられるナイロンは、温度25℃での絶対粘度が80mPa・s以上の高分子量ナイロンであり、且つ、鞘成分よりも融点の高いものが用いられる。芯成分のナイロンを高粘度(80mPa・s以上)にすることにより、フェルトの耐脱毛・摩耗性及び耐圧縮疲労性が向上する。これは高分子量ナイロンでは分子鎖が長くなるから、分子鎖同士の絡み合い効果による機械的特性(強度や摩擦・摩耗などの耐久性)が向上するためであると考えられる。 絶対粘度が80mPa・s未満(中粘度)のナイロンを用いた場合、耐脱毛・摩耗性及び耐圧縮疲労性の効果が十分に得られない。
【0024】
芯成分に好ましく用いられるナイロンとしては、高分子量ナイロン6、高分子量ナイロン66、高分子量ナイロン46、高分子量ナイロン610、高分子量ナイロン612等であることが好ましい。詳しくはεカプロラクタムの重合(ナイロン6)や、ヘキサメチレンジアミン・アジピン酸塩の重縮合(ナイロン66)、1,4−ジアミノブタン・アジピン酸塩の重縮合(ナイロン46)、ヘキサメチレンジアミン・セバシン酸塩の重縮合(ナイロン610)、ヘキサメチレンジアミン・ドデカン二酸塩の重縮合(ナイロン612)等、ナイロン塩の重縮合により得られたナイロンが好ましく、しかもDSC(示差走査熱分析計)による融点が200℃以上である脂肪族ナイロンを挙げることができる。これらの高分子ナイロンの0.5g/95%硫酸100mlでの絶対粘度は、80mPa・s以上であることが好ましい。なお、これらの高分子量ナイロンは公知の重合方法、或いは一旦重合したナイロンフレークを、酸素を含まない120〜200℃の不活性ガス雰囲気内に置いて、固相重合する方法(例えば、特表2002−529604号)により製造されたものが用いられる。
【0025】
芯鞘複合繊維41の鞘成分に用いられるナイロンは、芯成分よりも低融点のナイロンが用いられる。鞘成分に好ましく用いられるナイロンとしては、ナイロン6/12、ナイロン6/610、ナイロン66/6、ナイロン66/12、ナイロン66/610等の二元共重合ナイロン、ナイロン6/66/12、ナイロン6/66/610等の三元共重合ナイロンを挙げることができる。なお、これらの共重合ナイロンは組成(共重合成分の重量%)により融点が変動することは良く知られる処であるが、本発明で使用できる共重合ナイロンは、その融点が180℃以下のものに限られる。
【0026】
湿紙側バット繊維層20は、芯鞘複合繊維41と通常のナイロン繊維42とが一定の割合で混綿された繊維で構成されるのが好ましく、これにより平滑性・耐摩耗性・耐圧縮疲労性をよりバランスよく具えることができる。この場合、混綿の割合は、芯鞘複合繊維41の含有率80%〜20%、ナイロン繊維42の含有率20%〜80%とするのが好ましい。
芯鞘複合繊維41の含有率が20%未満の場合、湿紙側バット繊維層20の緻密性が低くなるためフェルト表面の耐脱毛・摩耗性及び耐圧縮疲労性の効果や平滑性が悪くなり、再湿現象を抑制する効果が十分に得られない。
一方、芯鞘複合繊維41の含有率が80%を超えた場合は、フェルトの平滑性・耐摩耗性に優れ、再湿現象を効果的に抑制することができる反面、湿紙側バット繊維層20が圧縮疲労しやすく、偏平化しやすい傾向になる。
【0027】
また、湿紙側バット繊維層20を多層構造にし、該湿紙側バット繊維層20のプレス側から湿紙側に向かって、芯鞘複合繊維41の含有量を段階的に増加させてもよく、これにより、平滑性と耐脱毛・耐摩耗性を一層向上させることができる。
特に基層の湿紙側の表面には芯鞘複合繊維41を含まないバット繊維層を設けることが好ましい。つまりニードルパンチングにより基層30のシーム部に湿紙側バット繊維層20が絡合すると、溶融した網目状繊維がシームループ33,33を閉塞するため芯線(ピントルワイヤ)36の挿入が阻害される。しかし基層の湿紙側表面に芯鞘複合繊維41を含まないバット繊維層、好ましくは坪量50g/m2以上のバット繊維層を設けると、シーム部への芯鞘複合繊維41の絡合が回避される。
【0028】
なお、芯鞘複合繊維41の芯部と鞘部の容積比率は特に限定されないが、5:1〜1:5の範囲、好ましくは1:1である。
【0029】
また、湿紙側バット繊維層20、プレス側バット繊維層21を構成するナイロン繊維42、及び、芯鞘複合繊維41と混綿されるナイロン繊維42としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン610、ナイロン612等が好適である。
【0030】
芯鞘複合繊維41の繊度は、抄紙機のプレスパートの前段で使用するピックアップ用シームフェルトでは、15〜25デシテックス(dtex)程度、また、抄紙機のプレスパートの中段で使用する2番プレスや3番プレス用のシームフェルトでは、10〜20デシテックス(dtex)程度のものを用いるとよい。
また、抄紙機のプレスパートの後段で使用する4番プレスやシュープレス用のシームフェルトでは、5〜20デシテックス(dtex)程度のものを用いるとよい。
【0031】
また、ナイロン繊維42の繊度は、抄紙機のプレスパートの前段で使用するピックアップ用シームフェルトの湿紙側バット繊維層20には10〜25デシテックス(dtex)程度、プレス側バット繊維層21には15〜25デシテックス(dtex)程度のものを用いるとよい。
また、抄紙機のプレスパートの中段で使用する2番プレスや3番プレス用のシームフェルトの湿紙側バット繊維層20には10〜15デシテックス(dtex)程度、プレス側バット繊維層21には10〜20デシテックス(dtex)程度の繊度のものを用いるとよい。
また、抄紙機のプレスパートの後段で使用する4番プレスやシュープレス用のシームフェルトの湿紙側バット繊維層20には5〜15デシテックス(dtex)程度、プレス側バット繊維層21には5〜20デシテックス(dtex)程度の繊度のものを用いるとよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明のシームフェルトの実施形態の機械方向断面図。
【図2】従来のシームフェルトの機械方向断面図。
【符号の説明】
【0033】
10:抄紙用シームフェルト
11:湿紙側バット繊維層の切目
11’:プレス側バット繊維層の切目
12:シーム領域
20:湿紙側バット繊維層(芯鞘複合繊維層)
21:プレス側バット繊維層
30:基層
31:経糸(機械方向糸)
32:緯糸(機械横断方向糸)
33:シームループ
36:芯線
41:芯鞘複合繊維
42:ナイロン繊維
f:フラップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーム部を有する基層と、該基層の湿紙側の表面に形成された湿紙側バット繊維層と、プレス側の表面に形成されたプレス側バット繊維層とを備え、
前記湿紙側バット繊維層が絶対粘度が80mPa・s以上である高分子量ナイロンからなる芯成分と、該芯成分よりも低融点のナイロンからなる鞘成分とから構成される芯鞘複合繊維を含み、前記芯鞘複合繊維の鞘成分が溶融して網目状繊維層が形成されていることを特徴とする、抄紙用シームフェルト。
【請求項2】
前記湿紙側バット繊維層における前記芯鞘複合繊維の含有率が20%〜80%である、請求項1の抄紙用シームフェルト。
【請求項3】
前記湿紙側バット繊維層を多層構造とし、湿紙側バット繊維層のプレス側から湿紙側に向かって、前記芯鞘複合繊維の含有量を段階的に増加させた、請求項1又は2の抄紙用シームフェルト。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−277784(P2007−277784A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−131921(P2006−131921)
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【出願人】(000180597)イチカワ株式会社 (99)
【Fターム(参考)】