抄紙装置
【課題】吸水ベルトの厚さが薄くなっても、湿紙を十分に圧搾することが可能な抄紙装置を提供する。
【解決手段】一方のプレスローラ33は他方のプレスローラ32に対して接近離間自在であり、一方のプレスローラ33を他方のプレスローラ32に接近する方向へ付勢するばね40と、プレスローラ32,33のプレス圧を調節する調節装置41と、ばね40の長さLの変化量を検出する検出装置と、検出された変化量に基いて調節装置41を制御する制御部とが備えられている。
【解決手段】一方のプレスローラ33は他方のプレスローラ32に対して接近離間自在であり、一方のプレスローラ33を他方のプレスローラ32に接近する方向へ付勢するばね40と、プレスローラ32,33のプレス圧を調節する調節装置41と、ばね40の長さLの変化量を検出する検出装置と、検出された変化量に基いて調節装置41を制御する制御部とが備えられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルプ懸濁液から紙を抄造する抄紙装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、抄紙装置は、パルプ懸濁液から湿紙を形成するワイヤー部と、ワイヤー部において形成された湿紙を加圧脱水する脱水部を有するものがある。図12に示すように、脱水部120には、湿紙121を挟持する上下一対のベルト122,123と、両ベルト122,123を介して湿紙121を押圧する上下一対のプレスローラ124,125とが設けられている。一対のベルト122,123のうち、下側のベルト123はフェルト製の吸水ベルト123であり、上側のベルト122は金属製の平滑面ベルト122である。また、一対のプレスローラ124,125間の間隔は、所定のプレス圧が発生するように、一定の間隔に保たれている。
【0003】
これによると、ワイヤー部において形成された湿紙121は、脱水部120において吸水ベルト123と平滑面ベルト122との間に挟持され、これら両ベルト122,123を介して両プレスローラ124,125間で押圧される。これにより、湿紙121が圧搾され、湿紙121から搾り出された水分は吸水ベルト123に吸収される。
【0004】
尚、上記のように、脱水部120にフェルト製の吸水ベルト123と一対のプレスローラ124,125とを備えた抄紙装置については、例えば、下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−63695
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記の従来形式では、抄紙装置の稼動時間が長くなるにつれて、フェルト製の吸水ベルト123が押し潰されて、吸水ベルト123の厚さTが薄くなり、プレス圧が不足して、湿紙121が十分に圧搾されないという問題が生じる。このように湿紙121の圧搾が不十分であると、湿紙121の乾燥が不足し、抄造された紙が波打ったりごわつくといった不良品が発生し易くなる。
【0007】
本発明は、湿紙を十分に圧搾することが可能な抄紙装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本第1発明は、湿紙を挟持する一対の回動自在なベルトと、両ベルトを介して湿紙を押圧する一対のプレスローラとを有し、両ベルトのうちの少なくとも一方のベルトが吸水ベルトである抄紙装置であって、
一方のプレスローラは他方のプレスローラに対して接近離間自在であり、
一方のプレスローラを他方のプレスローラに接近する方向へ付勢する付勢部材と、プレスローラのプレス圧を調節する調節装置と、プレスローラのプレス圧の変化量を検出する検出装置と、検出された変化量に基いて調節装置を制御する制御部とが備えられているものである。
【0009】
これによると、湿紙は、回動する両ベルト間に挟持され、両ベルトを介して両プレスローラ間で押圧される。この際、一方のプレスローラは付勢部材により他方のプレスローラに接近する方向へ付勢されているため、湿紙が所定のプレス圧で圧搾され、湿紙から搾り出された水分は吸水ベルトに吸収される。
【0010】
抄紙装置の稼動時間が長くなり、吸水ベルトが押し潰されて吸水ベルトの厚さが薄くなり、プレスローラのプレス圧が不足すると、プレス圧の変化量(低下量)が検出装置で検出され、検出された変化量に基いて、制御部は、プレスローラのプレス圧が所定のプレス圧になるように、調節装置を制御してプレス圧を調節する。これにより、プレス圧の不足が解消され、湿紙が十分に圧搾されるため、湿紙が十分に乾燥し、抄造された紙が波打ったりごわつくといった不良品の発生を防止することができる。
【0011】
本第2発明における抄紙装置は、付勢部材は、吸水ベルトの厚さの減少に応じて長さが変化するばねであり、
プレスローラのプレス圧はばねの長さに応じて変化し、
検出装置はばねの長さの変化量を検出するものである。
【0012】
これによると、吸水ベルトの厚さが薄くなると、吸水ベルトの厚さの減少に応じてばねの長さが所定の長さから変化し、このときのばねの長さの変化量が検出装置で検出され、検出された変化量に基いて、制御部は、ばねの長さが所定の長さになるように、調節装置を制御してばねの長さを調節する。
【0013】
本第3発明における抄紙装置は、一対のプレスローラ間を通過した湿紙を乾燥する乾燥部と、乾燥部において乾燥された帯状の乾紙を搬送方向に交差する幅方向に裁断する裁断部とが備えられ、
制御部は、裁断部において裁断される乾紙の裁断箇所を一対のプレスローラ間よりも上流側で予め特定し、調節装置を制御してプレス圧を裁断箇所に合わせて調節するものである。
【0014】
これによると、吸水ベルトの厚さが薄くなってプレスローラのプレス圧が不足すると、プレス圧の変化量が検出装置で検出され、検出された変化量に基いて、制御部は、プレスローラのプレス圧が所定のプレス圧になるように、調節装置を制御してプレス圧を調節する。
【0015】
この際、プレスローラのプレス圧を調節することによって湿紙の厚さが変わっても、プレス圧は裁断箇所において調節されるため、プレス圧の調節に起因した湿紙の厚さの変化は裁断箇所で発生する。その後、乾紙が裁断箇所で裁断されるので、紙厚の変化が目立ち難い。
【発明の効果】
【0016】
以上のように本発明によると、吸水ベルトの厚さが薄くなっても、プレス圧の不足が解消され、湿紙が十分に圧搾されるため、湿紙が十分に乾燥し、抄造された紙が波打ったりごわつくといった不良品の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態における抄紙装置の構成を示す模式図である。
【図2】同、抄紙装置の調節装置の側面図である。
【図3】同、抄紙装置の調節装置の構成を示す断面図である。
【図4】図2におけるX−X矢視図である。
【図5】図2におけるY−Y矢視図である。
【図6】同、抄紙装置のプレス部の制御系のブロック図である。
【図7】同、抄紙装置の第1の検出装置の斜視図である。
【図8】同、抄紙装置の第2の検出装置の斜視図である。
【図9】同、抄紙装置の吸水ベルトが正規の厚さに保たれているときの第1の検出装置の挙動を示す図である。
【図10】同、抄紙装置の吸水ベルトが正規の厚さから所定の厚さ以下に減少したときの第1の検出装置の挙動を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態における抄紙装置の構成を示す模式図である。
【図12】従来の抄紙機のプレスローラの図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
先ず、第1の実施の形態を以下に説明する。図1に示すように、1は、使用済みの古紙から再生紙2を作る古紙処理装置である。古紙処理装置1は、古紙を離解し脱墨して得られるパルプ懸濁液3から再生紙2を抄造する抄紙装置4を備えている。抄紙装置4は、パルプ懸濁液3から湿紙5を形成するワイヤ部6(湿紙形成部)と、湿紙5の水分を吸収する吸水部7と、湿紙5の水分を圧搾するプレス部8と、プレス部8で圧搾された湿紙5を乾燥する乾燥部9と、乾燥部9において湿紙5を乾燥して得られる帯状の乾紙10を搬送方向Aに直交する幅方向に裁断して所定サイズの再生紙2とする裁断部11と、裁断されて外部に排出された再生紙2を受ける紙受台12とを備えている。
【0019】
ワイヤ部6は、第1群の複数のローラ15と、これら第1群のローラ15間に掛け渡された無端状の回動自在なワイヤーベルト16と、パルプ懸濁液3をワイヤーベルト16の搬送面上に供給するヘッドボックス17とを有している。尚、ワイヤーベルト16は、金属製又は樹脂製の網目状のベルトであり、通水性を有している。
【0020】
吸水部7は、第2群の複数のローラ19と、これら第2群のローラ19間に掛け渡された無端状の回動自在な吸水ベルト20とを有している。吸水ベルト20は、吸水性を有する素材の一例であるフェルトからなる。吸水ベルト20とワイヤーベルト16とは、両者の搬送軌道の途中において相互に当接して転移部22を形成している。ワイヤーベルト16の搬送面上に形成された湿紙5は、転移部22において吸水ベルト20に押圧され、ワイヤーベルト16から吸水ベルト20に転移する。
【0021】
乾燥部9は、第3群の複数のローラ24と、大型の乾燥用ローラ25と、これらローラ24,25間に掛け渡された無端状の回動自在な平滑面ベルト26と、第4群の複数のローラ27と、これら第4群のローラ27間に掛け渡された無端状の回動自在な搬送ベルト28とを有している。
【0022】
乾燥用ローラ25はヒータ等の加熱装置29を内蔵している。平滑面ベルト26は、非吸水性の素材の一例である金属(例えばステンレス等)でできている。搬送ベルト28は、網目状の通気性を有する樹脂製のベルトである。平滑面ベルト26と搬送ベルト28とは、各々の回動軌道の一部が重複するように、対向して配置されており、湿紙5を挟持する。
【0023】
裁断部11は上下一対のカッター30を有している。
図1,図2に示すように、吸水ベルト20と平滑面ベルト26とは湿紙5を挟持する上下一対のベルトの一例であり、プレス部8は、吸水ベルト20と平滑面ベルト26とを介して湿紙5を押圧する上下一対のプレスローラ32,33と、上部のプレスローラ32に回転力を付与する作動装置36とを有している。
【0024】
図2〜図5に示すように、プレスローラ32,33の軸心方向を左右方向Bと規定し、軸心方向に直交する方向を前後方向Cと規定して、以下の構成等を説明する。
プレスローラ32,33はそれぞれ、ローラ本体34と、ローラ本体34の両端部に設けられた軸体35とを有している。上部のプレスローラ32は左右一対の固定台座37間に回転自在に支持されている。また、下部のプレスローラ33は左右一対の昇降自在な可動台座38間に回転自在に支持されている。これにより、上部のプレスローラ32は所定の取付位置に固定され、下部のプレスローラ33(一方のプレスローラの一例)は、上部のプレスローラ32(他方のプレスローラの一例)に対して、斜め上下方向Dから接近離間自在である。尚、固定台座37は左右一対の固定板39に固定されている。
【0025】
上部のプレスローラ32の左右両軸体35には、固定台座37の外側方において上部のプレスローラ32と一体に回転自在な上部の歯車53が設けられている。また、下部のプレスローラ33の左右両軸体35には、可動台座38の外側方において下部のプレスローラ33と一体に回転自在な下部の歯車54が設けられている。これら上部の歯車53と下部の歯車54とは互いに歯合している。
【0026】
作動装置36は、電動機61と、電動機61の回転力を左右いずれか一方の上部の歯車53に伝達する複数の歯車からなる回転力伝達機構62とを有している。
また、プレス部8には、下部のプレスローラ33を斜め上方向E(上部のプレスローラ32に接近する方向の一例)へ付勢する複数のコイル状のばね40(付勢部材の一例)と、プレスローラ32,33のプレス圧を調節する左右一対の調節装置41と、ばね40の長さLの変化量を検出する第1の検出装置42と、プレスローラ32,33によるプレスが解除されたことを検出する第2の検出装置43と、下記に説明する調節用台座46の下限位置Hを検出する第3の検出装置44と、第1又は第2の検出装置42,43の検出に基いて調節装置41のモータ55を制御する制御部45とが備えられているものである。
【0027】
尚、ばね40の長さLの変化量はプレスローラ32,33によるプレス圧の変化量に対応しており、ばね40の長さLの変化量を検出することにより、プレス圧の変化量を求めることができる。
【0028】
各調節装置41はそれぞれ、昇降自在な調節用台座46と、調節用台座46を昇降させる昇降装置47とを有している。昇降装置47は、前後一対の回転軸48と、回転軸48を回転させる回転駆動装置49とを有している。各回転軸48は、固定台座37と可動台座38とにそれぞれ形成された貫通孔50およびばね40に回転自在に挿通されており、下部に、雄ねじ部51を有している。
【0029】
調節用台座46には、雌ねじ部を有するねじ孔52が形成され、これらねじ孔52に回転軸48の雄ねじ部51が螺合している。
ばね40は、可動台座38と調節用台座46との間に挟まれて圧縮された状態で備えられており、吸水ベルト20の厚さTの減少に応じて長さLが変化する。
【0030】
回転駆動装置49は、固定板39に支持されたモータ55と、モータ55により回転駆動する駆動歯車56と、回転軸48の上端部に設けられた従動歯車57と、駆動歯車56の回転を前後両従動歯車57に伝達する上下一対の中間歯車74,75とを有している。このうち、上位の中間歯車74は駆動歯車56に歯合し、下位の中間歯車75は両従動歯車57に歯合している。尚、上位および下位の中間歯車74,75は中間軸76に設けられている。
【0031】
モータ55の駆動により駆動歯車56が一方向に回転すると、中間歯車74,75を介して、前後両従動歯車57と共に回転軸48が一方向に回転し、調節用台座46のねじ孔52の雌ねじ部が回転軸48の雄ねじ部51に送られて、調節用台座46が上昇し、ばね40が可動台座38と調節用台座46との間で短縮され、プレスローラ32,33のプレス圧が増大する。
【0032】
反対に、駆動歯車56が他方向に回転すると、中間歯車74,75を介して、両従動歯車57と共に回転軸48が他方向に回転し、調節用台座46のねじ孔52の雌ねじ部が回転軸48の雄ねじ部51に送られて、調節用台座46が下降し、ばね40が可動台座38と調節用台座46との間で伸長され、プレスローラ32,33のプレス圧が減少する。このようにして、プレス圧が調節され、プレス圧はばね40の長さLに応じて変化する。
【0033】
図7,図9(b)に示すように、第1の検出装置42は、第1の投光器64および受光器65と、第1の投光器64と受光器65との間に形成される第1の光軸66を遮断する第1の遮光板67とを有している。第1の投光器64および受光器65は可動台座38に設けられ、第1の遮光板67は調節用台座46に設けられている。
【0034】
尚、第1の遮光板67には上下方向に長い第1の案内孔82が形成され、可動台座38には、第1の案内孔82に嵌め込まれた第1の案内ピン83が設けられている。
図8に示すように、第2の検出装置43は、第2の投光器70および受光器71と、第2の投光器70と受光器71との間に形成される第2の光軸(図示省略)を遮断する第2の遮光板73とを有している。第2の投光器70および受光器71は可動台座38に設けられ、第2の遮光板73は固定台座37に設けられている。
【0035】
尚、第2の遮光板73には上下方向に長い第2の案内孔84が形成され、可動台座38には、第2の案内孔84に嵌め込まれた第2の案内ピン85が設けられている。
図7に示すように、第3の検出装置44は、リミットスイッチからなり、調節用台座46の下方に設けられている。尚、第3の検出装置44は、制御部45が誤作動したときにモータ55を非常停止させるためのものであり、図6に示すようにモータ55と制御部45とに直結されている。
【0036】
以下、上記構成における作用を説明する。
図1に示すように、抄紙装置4を運転し、古紙を離解し脱墨して得られたパルプ懸濁液3をワイヤ部6のヘッドボックス17内に供給し、ワイヤーベルト16を一方向F1へ回動させながら、ヘッドボックス17内のパルプ懸濁液3をワイヤーベルト16の搬送面上に供給する。これにより、パルプ懸濁液3の水分が重力濾過され、ワイヤーベルト16上に湿紙5が形成される。その後、湿紙5は転移部22において一方向F1へ回動するワイヤーベルト16から一方向F2へ回動する吸水ベルト20に転移し、湿紙5の水分は吸水ベルト20により吸水される。
【0037】
この際、プレス部8において、図2に示すように作動装置36の電動機61が作動して、電動機61の回転力が一方の上部の歯車53に伝達し、図1,図3に示すように上部の歯車53と一体に上部のプレスローラ32が一方F3に回転すると共に、上部の歯車53に歯合する下部の歯車54と一体に下部のプレスローラ33が他方F4に回転する。
【0038】
図1に示すように、湿紙5は、一方向F2へ回動する吸水ベルト20と一方向F5へ回動する平滑面ベルト26との間に挟持された状態で、これら両ベルト20,26を介して回転する両プレスローラ32,33間で押圧される。この際、下部のプレスローラ33はばね40により斜め上方向Eへ付勢されているため、湿紙5が所定のプレス圧で圧搾され、湿紙5から搾り出された水分は吸水ベルト20に吸収され、湿紙5は吸水ベルト20から平滑面ベルト26に転移する。
【0039】
このとき、図9に示すように、吸水ベルト20の厚さTが正規の厚さに保たれていれば、可動台座38と調節用台座46との間隔Gが所定の間隔になり、ばね40の長さLが所定の長さに保たれ、第1の検出装置42の第1の光軸66が第1の遮光板67で遮られる。また、図8に示すように第2の検出装置43の第2の光軸(図示省略)が第2の遮光板73で遮られ、さらに、図7に示すように調節用台座46が第3の検出装置44の上方に離間している。
【0040】
図1に示すように、両プレスローラ32,33間を通過した湿紙5は、一方向F5へ回動する平滑面ベルト26と一方向F6へ回動する搬送ベルト28との間に挟持されて下流側へ搬送され、この際、乾燥用ローラ25からの加熱により乾燥されて帯状の乾紙10となる。
【0041】
このようにして湿紙5から得られた乾紙10は裁断部11においてカッター30により切断され、乾紙10から所定サイズの再生紙2が得られ、紙受台12に積載される。
抄紙装置4の稼動時間が長くなると、吸水ベルト20が押し潰されて吸水ベルト20の厚さTが正規の厚さから次第に薄くなることがあり、吸水ベルト20の厚さTの減少に応じて、可動台座38がばね40で押し上げられ、可動台座38と調節用台座46との間隔Gが所定の間隔から拡大し、その分、ばね40の長さLが伸長し、両プレスローラ32,33のプレス圧が減少する。
【0042】
図10に示すように、吸水ベルト20の厚さTが所定の厚さ以下に減少すると、可動台座38がさらに押し上げられ、可動台座38と調節用台座46との間隔Gがさらに拡大し、ばね40の長さLがさらに伸長し、両プレスローラ32,33のプレス圧が不足する。この際、可動台座38と一体に第1の検出装置42の第1の投光器64および受光器65が第1の遮光板67に対して上昇し、第1の投光器64と受光器65との間に第1の光軸66が形成される。
【0043】
これにより、ばね40の長さLの伸び量(変化量)が検出され、この検出に基いて、制御部45が調節装置41のモータ55を駆動させて駆動歯車56を一方向に回転させるため、各歯車57,74,75を介して回転軸48が一方向に回転し、調節用台座46が上昇し、可動台座38と調節用台座46との間隔Gが短縮され、ばね40の長さLが短縮される。
【0044】
上記のように可動台座38と調節用台座46との間隔Gが短縮されて所定の間隔に戻ると、ばね40の長さLが所定の長さに戻る。この際、調節用台座46と一体に第1の遮光板67が、第1の投光器64および受光器65に対して上昇し、図9(b)に示すように、第1の投光器64と受光器65との間で第1の光軸66を遮断する。
【0045】
これに基いて、制御部45が調節装置41のモータ55を停止させるので、回転軸48の回転が停止し、調節用台座46の上昇が停止し、可動台座38と調節用台座46との間隔Gが所定の間隔に保たれ、ばね40の長さLが所定の長さに保たれる。
【0046】
これにより、プレスローラ32,33のプレス圧が所定のプレス圧に保たれるため、プレス圧の不足が解消され、湿紙5が十分に圧搾され、抄造された再生紙2が波打ったりごわつくといった不良品の発生を防止することができる。
【0047】
また、両プレスローラ32,33間における湿紙5の厚さの変動量は吸水ベルト20の厚さTの変動量に比べて無視できるほど微小であるが、第1の光軸66が第1の遮光板67で遮断されている状態を保った範囲内で、湿紙5の厚さが僅かに変動することがある。例えば、湿紙5の厚さが僅かに増大した場合、可動台座38が僅かに下降してばね40が僅かに短縮され、反対に、湿紙5の厚さが僅かに減少した場合、可動台座38が僅かに上昇してばね40が僅かに伸長する。これにより、湿紙5の厚さの僅かな変動をばね40で吸収することができる。
【0048】
また、抄紙装置4の運転を終了した後、自動的に制御部45が調節装置41のモータ55を駆動させて駆動歯車56を他方向に回転させるため、各歯車57,74,75を介して回転軸48が他方向に回転し、調節用台座46が下降し、これに伴って図8に示すように可動台座38と一体に下部のプレスローラ33と第2の検出装置43の第2の投光器70および受光器71とが下降し、図3および図5の仮想線で示すように、下部のプレスローラ33が上部のプレスローラ32に対してプレス解除位置Kまで下降し、上部のプレスローラ32と下部のプレスローラ33との間隔が開放される。
【0049】
このように下部のプレスローラ33がプレス解除位置Kまで下降すると、第2の投光器70および受光器71が第2の遮光板73に対して下降し、第2の投光器70と受光器71との間に第2の光軸(図示省略)が形成され、これに基いて、制御部45が調節装置41のモータ55を停止させるので、回転軸48の回転が停止し、調節用台座46と可動台座38との下降が停止する。これにより、図3および図5の仮想線で示すように、下部のプレスローラ33がプレス解除位置Kに停止し、両プレスローラ32,33によるプレスが解除され、抄紙装置4の運転停止中は吸水ベルト20と平滑面ベルト26とにプレス圧がかからないようにしている。
【0050】
また、抄紙装置4の運転開始時には、自動的に制御部45が調節装置41のモータ55を駆動させて駆動歯車56を一方向に回転させるため、各歯車57,74,75を介して回転軸48が一方向に回転し、調節用台座46が上昇し、これに伴って可動台座38と一体に下部のプレスローラ33と第2の投光器70および受光器71とが上昇し、図3および図5の実線で示すように、上部のプレスローラ32と下部のプレスローラ33との間隔が縮小する。
【0051】
このように第2の投光器70および受光器71が第2の遮光板73に対して上昇すると、第2の光軸(図示省略)が第2の遮光板73により遮断され、これに基いて、制御部45が調節装置41のモータ55を停止させるので、回転軸48の回転が停止し、調節用台座46と可動台座38との上昇が停止する。これにより、自動的に吸水ベルト20と平滑面ベルト26とにプレス圧がかかり、両プレスローラ32,33によるプレスが再開可能となる。
【0052】
尚、調節用台座46が下降している際、万一、制御部45が誤作動した場合でも、調節用台座46が下限位置H(図4,図5,図7参照)まで下降した時点で、調節用台座46が第3の検出装置44に上方から当接して第3の検出装置44のオンオフを切換える。これにより、第3の検出装置44の検出信号が、制御部45に送信されると共に、制御部45を介さずに、直接調節装置41のモータ55にも送信される。このため、モータ55が直ちに非常停止して、調節用台座46が下限位置Hに非常停止し、調節用台座46が回転軸48の下端から下方へ脱落するのを防止することができる。このとき、上記のように制御部45は、第3の検出装置44からの検出信号を受けるため、モータ55が非常停止したことを認識できる。
【0053】
尚、上記実施の形態において、吸水ベルト20はフェルト等の吸水性素材でできているので、抄紙装置4の稼動時間が長くなると、吸水ベルト20の厚さTが薄くなるが、平滑面ベルト26はステンレス等の金属製であるため、平滑面ベルト26の厚さはほとんど変化しない。
【0054】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態を、図11を参照しながら、以下に説明する。
制御部45は、裁断部11においてカッター30で裁断される帯状の乾紙10の裁断箇所80をプレスローラ32,33間よりも上流側で予め特定し、調節装置41を制御してプレスローラ32,33のプレス圧を裁断箇所80に合わせて調節する。
【0055】
すなわち、規定サイズの再生紙2を製造する場合、再生紙2の長さは所定長さJに規定されている。例えば、A4サイズでは再生紙2の長さがJ=297mmであり、制御部45は、カッター30による切断位置から所定長さJ(例えば297mm)ずつ遡った位置を裁断箇所80として特定する。
【0056】
そして、上記第1の実施の形態において図10に基いて説明したように、吸水ベルト20の厚さTが所定の厚さ以下に減少し、第1の投光器64と受光器65との間に第1の光軸66が形成されると、制御部45は、第1の光軸66が遮断されるまでモータ55を駆動させて調節用台座46を上昇させ、プレスローラ32,33のプレス圧を調節する。この際、制御部45は、上記のようなプレス圧の調節を、いずれかの裁断箇所80が両プレスローラ32,33間を通過するタイミングで実行する。
【0057】
これによると、プレスローラ32,33のプレス圧を調節することによって湿紙5の厚さが変わっても、上記プレス圧は裁断箇所80において調節されるため、プレス圧の調節に起因した湿紙5の厚さの変化は裁断箇所80で発生する。その後、湿紙5が乾燥されて帯状の乾紙10となり、乾紙10が裁断箇所80でカッター30により切断されるため、紙厚の変化が目立ち難い。
【0058】
上記各実施の形態では、再生紙2の紙厚をほぼ一定の紙厚として説明したが、再生紙2の紙厚を変更して設定可能な抄紙装置4であってもよく、通常の紙厚よりも分厚い紙厚を設定した場合、吸水ベルト20に担持される湿紙5中の繊維量が多くなり、プレスローラ32,33により過剰なプレス圧が作用することがある。このようにプレス圧が強過ぎると、吸水ベルト20のフェルトの芯体が再生紙2の表面に地模様を形成する虞があり、このような場合、調節装置41を作動させてプレス圧を弱めてもよい。
【0059】
上記各実施の形態では、図2,図3に示すように、第1の検出装置42でばね40の長さLの変化量すなわち可動台座38と調節用台座46との上下間隔Gの変化量を検出し、この検出に基いて吸水ベルト20の厚さTの変化量を検知しているが、両プレスローラ32,33の軸心間の距離を検出し、検出された距離に基いて吸水ベルト20の厚さTの変化量を検知してもよい。
【0060】
上記各実施の形態では、フェルト製の吸水ベルト20を示したが、フェルト製に限定されるものではなく、例えば、布製であってもよい。
上記各実施の形態では、吸水ベルト20の厚さTが所定の厚さ以下に減少すると、調節装置41のモータ55を駆動させてプレスローラ32,33のプレス圧を迅速に調節しているが、この際、モータ55の回転速度を所定速度よりも低速にすることで、プレス圧をゆっくりと調節してもよい。この場合、プレス圧の調節に伴って発生する紙厚の変化が目立ち難くなる。
【0061】
上記各実施の形態では、湿紙5を挟持する一対のベルトのうち、下方のベルトを吸水ベルト20とし、上方のベルトを平滑面ベルト26としているが、両方とも吸水ベルト20にしてもよい。
【0062】
上記各実施の形態では、抄紙装置4を備えた古紙処理装置1を示したが、抄紙装置4の前段側に、古紙を離解してパルプ懸濁液3を生成するパルパー装置と、必要により、パルプ懸濁液3に含まれるトナー成分等の印刷成分を除去する脱墨装置とを備えた古紙処理装置1であってもよい。
【0063】
上記各実施の形態では、図3に示すように、下部のプレスローラ33の軸心の位置を、上部のプレスローラ32の軸心の真下から、湿紙5の搬送方向における後方へずらして設定しているが、上部のプレスローラ32の軸心の真下に設定してもよい。この場合、下部のプレスローラ33は上部のプレスローラ32に対して上下方向(鉛直方向)から接近離間する。
【0064】
上記各実施の形態では、付勢部材の一例としてばね40を用いたが、エアシリンダ等を用いてもよい。
上記各実施の形態では、抄紙装置4は古紙を離解し脱墨して得られたパルプ懸濁液3を抄紙するために用いられているが、パルプ懸濁液3は古紙を原料としないものであってもよい。また、脱墨処理を施していない古紙パルプを含んだパルプ懸濁液3を抄紙してもよい。
【0065】
上記各実施の形態では、湿紙5を挟持する一対のベルトの一例として、吸水ベルト20と平滑な表面を有する平滑面ベルト26とを用いているが、平滑面ベルト26の代わりに、表面が平滑ではないベルトを用いてもよい。
【符号の説明】
【0066】
4 抄紙装置
5 湿紙
9 乾燥部
10 乾紙
11 裁断部
20 吸水ベルト
26 平滑面ベルト
32,33 プレスローラ
40 ばね(付勢部材)
41 調節装置
42 第1の検出装置
45 制御部
80 裁断箇所
A 搬送方向
E 斜め上方向(一方のプレスローラが他方のプレスローラに接近する方向)
T 吸水ベルトの厚さ
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルプ懸濁液から紙を抄造する抄紙装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、抄紙装置は、パルプ懸濁液から湿紙を形成するワイヤー部と、ワイヤー部において形成された湿紙を加圧脱水する脱水部を有するものがある。図12に示すように、脱水部120には、湿紙121を挟持する上下一対のベルト122,123と、両ベルト122,123を介して湿紙121を押圧する上下一対のプレスローラ124,125とが設けられている。一対のベルト122,123のうち、下側のベルト123はフェルト製の吸水ベルト123であり、上側のベルト122は金属製の平滑面ベルト122である。また、一対のプレスローラ124,125間の間隔は、所定のプレス圧が発生するように、一定の間隔に保たれている。
【0003】
これによると、ワイヤー部において形成された湿紙121は、脱水部120において吸水ベルト123と平滑面ベルト122との間に挟持され、これら両ベルト122,123を介して両プレスローラ124,125間で押圧される。これにより、湿紙121が圧搾され、湿紙121から搾り出された水分は吸水ベルト123に吸収される。
【0004】
尚、上記のように、脱水部120にフェルト製の吸水ベルト123と一対のプレスローラ124,125とを備えた抄紙装置については、例えば、下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−63695
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記の従来形式では、抄紙装置の稼動時間が長くなるにつれて、フェルト製の吸水ベルト123が押し潰されて、吸水ベルト123の厚さTが薄くなり、プレス圧が不足して、湿紙121が十分に圧搾されないという問題が生じる。このように湿紙121の圧搾が不十分であると、湿紙121の乾燥が不足し、抄造された紙が波打ったりごわつくといった不良品が発生し易くなる。
【0007】
本発明は、湿紙を十分に圧搾することが可能な抄紙装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本第1発明は、湿紙を挟持する一対の回動自在なベルトと、両ベルトを介して湿紙を押圧する一対のプレスローラとを有し、両ベルトのうちの少なくとも一方のベルトが吸水ベルトである抄紙装置であって、
一方のプレスローラは他方のプレスローラに対して接近離間自在であり、
一方のプレスローラを他方のプレスローラに接近する方向へ付勢する付勢部材と、プレスローラのプレス圧を調節する調節装置と、プレスローラのプレス圧の変化量を検出する検出装置と、検出された変化量に基いて調節装置を制御する制御部とが備えられているものである。
【0009】
これによると、湿紙は、回動する両ベルト間に挟持され、両ベルトを介して両プレスローラ間で押圧される。この際、一方のプレスローラは付勢部材により他方のプレスローラに接近する方向へ付勢されているため、湿紙が所定のプレス圧で圧搾され、湿紙から搾り出された水分は吸水ベルトに吸収される。
【0010】
抄紙装置の稼動時間が長くなり、吸水ベルトが押し潰されて吸水ベルトの厚さが薄くなり、プレスローラのプレス圧が不足すると、プレス圧の変化量(低下量)が検出装置で検出され、検出された変化量に基いて、制御部は、プレスローラのプレス圧が所定のプレス圧になるように、調節装置を制御してプレス圧を調節する。これにより、プレス圧の不足が解消され、湿紙が十分に圧搾されるため、湿紙が十分に乾燥し、抄造された紙が波打ったりごわつくといった不良品の発生を防止することができる。
【0011】
本第2発明における抄紙装置は、付勢部材は、吸水ベルトの厚さの減少に応じて長さが変化するばねであり、
プレスローラのプレス圧はばねの長さに応じて変化し、
検出装置はばねの長さの変化量を検出するものである。
【0012】
これによると、吸水ベルトの厚さが薄くなると、吸水ベルトの厚さの減少に応じてばねの長さが所定の長さから変化し、このときのばねの長さの変化量が検出装置で検出され、検出された変化量に基いて、制御部は、ばねの長さが所定の長さになるように、調節装置を制御してばねの長さを調節する。
【0013】
本第3発明における抄紙装置は、一対のプレスローラ間を通過した湿紙を乾燥する乾燥部と、乾燥部において乾燥された帯状の乾紙を搬送方向に交差する幅方向に裁断する裁断部とが備えられ、
制御部は、裁断部において裁断される乾紙の裁断箇所を一対のプレスローラ間よりも上流側で予め特定し、調節装置を制御してプレス圧を裁断箇所に合わせて調節するものである。
【0014】
これによると、吸水ベルトの厚さが薄くなってプレスローラのプレス圧が不足すると、プレス圧の変化量が検出装置で検出され、検出された変化量に基いて、制御部は、プレスローラのプレス圧が所定のプレス圧になるように、調節装置を制御してプレス圧を調節する。
【0015】
この際、プレスローラのプレス圧を調節することによって湿紙の厚さが変わっても、プレス圧は裁断箇所において調節されるため、プレス圧の調節に起因した湿紙の厚さの変化は裁断箇所で発生する。その後、乾紙が裁断箇所で裁断されるので、紙厚の変化が目立ち難い。
【発明の効果】
【0016】
以上のように本発明によると、吸水ベルトの厚さが薄くなっても、プレス圧の不足が解消され、湿紙が十分に圧搾されるため、湿紙が十分に乾燥し、抄造された紙が波打ったりごわつくといった不良品の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態における抄紙装置の構成を示す模式図である。
【図2】同、抄紙装置の調節装置の側面図である。
【図3】同、抄紙装置の調節装置の構成を示す断面図である。
【図4】図2におけるX−X矢視図である。
【図5】図2におけるY−Y矢視図である。
【図6】同、抄紙装置のプレス部の制御系のブロック図である。
【図7】同、抄紙装置の第1の検出装置の斜視図である。
【図8】同、抄紙装置の第2の検出装置の斜視図である。
【図9】同、抄紙装置の吸水ベルトが正規の厚さに保たれているときの第1の検出装置の挙動を示す図である。
【図10】同、抄紙装置の吸水ベルトが正規の厚さから所定の厚さ以下に減少したときの第1の検出装置の挙動を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態における抄紙装置の構成を示す模式図である。
【図12】従来の抄紙機のプレスローラの図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
先ず、第1の実施の形態を以下に説明する。図1に示すように、1は、使用済みの古紙から再生紙2を作る古紙処理装置である。古紙処理装置1は、古紙を離解し脱墨して得られるパルプ懸濁液3から再生紙2を抄造する抄紙装置4を備えている。抄紙装置4は、パルプ懸濁液3から湿紙5を形成するワイヤ部6(湿紙形成部)と、湿紙5の水分を吸収する吸水部7と、湿紙5の水分を圧搾するプレス部8と、プレス部8で圧搾された湿紙5を乾燥する乾燥部9と、乾燥部9において湿紙5を乾燥して得られる帯状の乾紙10を搬送方向Aに直交する幅方向に裁断して所定サイズの再生紙2とする裁断部11と、裁断されて外部に排出された再生紙2を受ける紙受台12とを備えている。
【0019】
ワイヤ部6は、第1群の複数のローラ15と、これら第1群のローラ15間に掛け渡された無端状の回動自在なワイヤーベルト16と、パルプ懸濁液3をワイヤーベルト16の搬送面上に供給するヘッドボックス17とを有している。尚、ワイヤーベルト16は、金属製又は樹脂製の網目状のベルトであり、通水性を有している。
【0020】
吸水部7は、第2群の複数のローラ19と、これら第2群のローラ19間に掛け渡された無端状の回動自在な吸水ベルト20とを有している。吸水ベルト20は、吸水性を有する素材の一例であるフェルトからなる。吸水ベルト20とワイヤーベルト16とは、両者の搬送軌道の途中において相互に当接して転移部22を形成している。ワイヤーベルト16の搬送面上に形成された湿紙5は、転移部22において吸水ベルト20に押圧され、ワイヤーベルト16から吸水ベルト20に転移する。
【0021】
乾燥部9は、第3群の複数のローラ24と、大型の乾燥用ローラ25と、これらローラ24,25間に掛け渡された無端状の回動自在な平滑面ベルト26と、第4群の複数のローラ27と、これら第4群のローラ27間に掛け渡された無端状の回動自在な搬送ベルト28とを有している。
【0022】
乾燥用ローラ25はヒータ等の加熱装置29を内蔵している。平滑面ベルト26は、非吸水性の素材の一例である金属(例えばステンレス等)でできている。搬送ベルト28は、網目状の通気性を有する樹脂製のベルトである。平滑面ベルト26と搬送ベルト28とは、各々の回動軌道の一部が重複するように、対向して配置されており、湿紙5を挟持する。
【0023】
裁断部11は上下一対のカッター30を有している。
図1,図2に示すように、吸水ベルト20と平滑面ベルト26とは湿紙5を挟持する上下一対のベルトの一例であり、プレス部8は、吸水ベルト20と平滑面ベルト26とを介して湿紙5を押圧する上下一対のプレスローラ32,33と、上部のプレスローラ32に回転力を付与する作動装置36とを有している。
【0024】
図2〜図5に示すように、プレスローラ32,33の軸心方向を左右方向Bと規定し、軸心方向に直交する方向を前後方向Cと規定して、以下の構成等を説明する。
プレスローラ32,33はそれぞれ、ローラ本体34と、ローラ本体34の両端部に設けられた軸体35とを有している。上部のプレスローラ32は左右一対の固定台座37間に回転自在に支持されている。また、下部のプレスローラ33は左右一対の昇降自在な可動台座38間に回転自在に支持されている。これにより、上部のプレスローラ32は所定の取付位置に固定され、下部のプレスローラ33(一方のプレスローラの一例)は、上部のプレスローラ32(他方のプレスローラの一例)に対して、斜め上下方向Dから接近離間自在である。尚、固定台座37は左右一対の固定板39に固定されている。
【0025】
上部のプレスローラ32の左右両軸体35には、固定台座37の外側方において上部のプレスローラ32と一体に回転自在な上部の歯車53が設けられている。また、下部のプレスローラ33の左右両軸体35には、可動台座38の外側方において下部のプレスローラ33と一体に回転自在な下部の歯車54が設けられている。これら上部の歯車53と下部の歯車54とは互いに歯合している。
【0026】
作動装置36は、電動機61と、電動機61の回転力を左右いずれか一方の上部の歯車53に伝達する複数の歯車からなる回転力伝達機構62とを有している。
また、プレス部8には、下部のプレスローラ33を斜め上方向E(上部のプレスローラ32に接近する方向の一例)へ付勢する複数のコイル状のばね40(付勢部材の一例)と、プレスローラ32,33のプレス圧を調節する左右一対の調節装置41と、ばね40の長さLの変化量を検出する第1の検出装置42と、プレスローラ32,33によるプレスが解除されたことを検出する第2の検出装置43と、下記に説明する調節用台座46の下限位置Hを検出する第3の検出装置44と、第1又は第2の検出装置42,43の検出に基いて調節装置41のモータ55を制御する制御部45とが備えられているものである。
【0027】
尚、ばね40の長さLの変化量はプレスローラ32,33によるプレス圧の変化量に対応しており、ばね40の長さLの変化量を検出することにより、プレス圧の変化量を求めることができる。
【0028】
各調節装置41はそれぞれ、昇降自在な調節用台座46と、調節用台座46を昇降させる昇降装置47とを有している。昇降装置47は、前後一対の回転軸48と、回転軸48を回転させる回転駆動装置49とを有している。各回転軸48は、固定台座37と可動台座38とにそれぞれ形成された貫通孔50およびばね40に回転自在に挿通されており、下部に、雄ねじ部51を有している。
【0029】
調節用台座46には、雌ねじ部を有するねじ孔52が形成され、これらねじ孔52に回転軸48の雄ねじ部51が螺合している。
ばね40は、可動台座38と調節用台座46との間に挟まれて圧縮された状態で備えられており、吸水ベルト20の厚さTの減少に応じて長さLが変化する。
【0030】
回転駆動装置49は、固定板39に支持されたモータ55と、モータ55により回転駆動する駆動歯車56と、回転軸48の上端部に設けられた従動歯車57と、駆動歯車56の回転を前後両従動歯車57に伝達する上下一対の中間歯車74,75とを有している。このうち、上位の中間歯車74は駆動歯車56に歯合し、下位の中間歯車75は両従動歯車57に歯合している。尚、上位および下位の中間歯車74,75は中間軸76に設けられている。
【0031】
モータ55の駆動により駆動歯車56が一方向に回転すると、中間歯車74,75を介して、前後両従動歯車57と共に回転軸48が一方向に回転し、調節用台座46のねじ孔52の雌ねじ部が回転軸48の雄ねじ部51に送られて、調節用台座46が上昇し、ばね40が可動台座38と調節用台座46との間で短縮され、プレスローラ32,33のプレス圧が増大する。
【0032】
反対に、駆動歯車56が他方向に回転すると、中間歯車74,75を介して、両従動歯車57と共に回転軸48が他方向に回転し、調節用台座46のねじ孔52の雌ねじ部が回転軸48の雄ねじ部51に送られて、調節用台座46が下降し、ばね40が可動台座38と調節用台座46との間で伸長され、プレスローラ32,33のプレス圧が減少する。このようにして、プレス圧が調節され、プレス圧はばね40の長さLに応じて変化する。
【0033】
図7,図9(b)に示すように、第1の検出装置42は、第1の投光器64および受光器65と、第1の投光器64と受光器65との間に形成される第1の光軸66を遮断する第1の遮光板67とを有している。第1の投光器64および受光器65は可動台座38に設けられ、第1の遮光板67は調節用台座46に設けられている。
【0034】
尚、第1の遮光板67には上下方向に長い第1の案内孔82が形成され、可動台座38には、第1の案内孔82に嵌め込まれた第1の案内ピン83が設けられている。
図8に示すように、第2の検出装置43は、第2の投光器70および受光器71と、第2の投光器70と受光器71との間に形成される第2の光軸(図示省略)を遮断する第2の遮光板73とを有している。第2の投光器70および受光器71は可動台座38に設けられ、第2の遮光板73は固定台座37に設けられている。
【0035】
尚、第2の遮光板73には上下方向に長い第2の案内孔84が形成され、可動台座38には、第2の案内孔84に嵌め込まれた第2の案内ピン85が設けられている。
図7に示すように、第3の検出装置44は、リミットスイッチからなり、調節用台座46の下方に設けられている。尚、第3の検出装置44は、制御部45が誤作動したときにモータ55を非常停止させるためのものであり、図6に示すようにモータ55と制御部45とに直結されている。
【0036】
以下、上記構成における作用を説明する。
図1に示すように、抄紙装置4を運転し、古紙を離解し脱墨して得られたパルプ懸濁液3をワイヤ部6のヘッドボックス17内に供給し、ワイヤーベルト16を一方向F1へ回動させながら、ヘッドボックス17内のパルプ懸濁液3をワイヤーベルト16の搬送面上に供給する。これにより、パルプ懸濁液3の水分が重力濾過され、ワイヤーベルト16上に湿紙5が形成される。その後、湿紙5は転移部22において一方向F1へ回動するワイヤーベルト16から一方向F2へ回動する吸水ベルト20に転移し、湿紙5の水分は吸水ベルト20により吸水される。
【0037】
この際、プレス部8において、図2に示すように作動装置36の電動機61が作動して、電動機61の回転力が一方の上部の歯車53に伝達し、図1,図3に示すように上部の歯車53と一体に上部のプレスローラ32が一方F3に回転すると共に、上部の歯車53に歯合する下部の歯車54と一体に下部のプレスローラ33が他方F4に回転する。
【0038】
図1に示すように、湿紙5は、一方向F2へ回動する吸水ベルト20と一方向F5へ回動する平滑面ベルト26との間に挟持された状態で、これら両ベルト20,26を介して回転する両プレスローラ32,33間で押圧される。この際、下部のプレスローラ33はばね40により斜め上方向Eへ付勢されているため、湿紙5が所定のプレス圧で圧搾され、湿紙5から搾り出された水分は吸水ベルト20に吸収され、湿紙5は吸水ベルト20から平滑面ベルト26に転移する。
【0039】
このとき、図9に示すように、吸水ベルト20の厚さTが正規の厚さに保たれていれば、可動台座38と調節用台座46との間隔Gが所定の間隔になり、ばね40の長さLが所定の長さに保たれ、第1の検出装置42の第1の光軸66が第1の遮光板67で遮られる。また、図8に示すように第2の検出装置43の第2の光軸(図示省略)が第2の遮光板73で遮られ、さらに、図7に示すように調節用台座46が第3の検出装置44の上方に離間している。
【0040】
図1に示すように、両プレスローラ32,33間を通過した湿紙5は、一方向F5へ回動する平滑面ベルト26と一方向F6へ回動する搬送ベルト28との間に挟持されて下流側へ搬送され、この際、乾燥用ローラ25からの加熱により乾燥されて帯状の乾紙10となる。
【0041】
このようにして湿紙5から得られた乾紙10は裁断部11においてカッター30により切断され、乾紙10から所定サイズの再生紙2が得られ、紙受台12に積載される。
抄紙装置4の稼動時間が長くなると、吸水ベルト20が押し潰されて吸水ベルト20の厚さTが正規の厚さから次第に薄くなることがあり、吸水ベルト20の厚さTの減少に応じて、可動台座38がばね40で押し上げられ、可動台座38と調節用台座46との間隔Gが所定の間隔から拡大し、その分、ばね40の長さLが伸長し、両プレスローラ32,33のプレス圧が減少する。
【0042】
図10に示すように、吸水ベルト20の厚さTが所定の厚さ以下に減少すると、可動台座38がさらに押し上げられ、可動台座38と調節用台座46との間隔Gがさらに拡大し、ばね40の長さLがさらに伸長し、両プレスローラ32,33のプレス圧が不足する。この際、可動台座38と一体に第1の検出装置42の第1の投光器64および受光器65が第1の遮光板67に対して上昇し、第1の投光器64と受光器65との間に第1の光軸66が形成される。
【0043】
これにより、ばね40の長さLの伸び量(変化量)が検出され、この検出に基いて、制御部45が調節装置41のモータ55を駆動させて駆動歯車56を一方向に回転させるため、各歯車57,74,75を介して回転軸48が一方向に回転し、調節用台座46が上昇し、可動台座38と調節用台座46との間隔Gが短縮され、ばね40の長さLが短縮される。
【0044】
上記のように可動台座38と調節用台座46との間隔Gが短縮されて所定の間隔に戻ると、ばね40の長さLが所定の長さに戻る。この際、調節用台座46と一体に第1の遮光板67が、第1の投光器64および受光器65に対して上昇し、図9(b)に示すように、第1の投光器64と受光器65との間で第1の光軸66を遮断する。
【0045】
これに基いて、制御部45が調節装置41のモータ55を停止させるので、回転軸48の回転が停止し、調節用台座46の上昇が停止し、可動台座38と調節用台座46との間隔Gが所定の間隔に保たれ、ばね40の長さLが所定の長さに保たれる。
【0046】
これにより、プレスローラ32,33のプレス圧が所定のプレス圧に保たれるため、プレス圧の不足が解消され、湿紙5が十分に圧搾され、抄造された再生紙2が波打ったりごわつくといった不良品の発生を防止することができる。
【0047】
また、両プレスローラ32,33間における湿紙5の厚さの変動量は吸水ベルト20の厚さTの変動量に比べて無視できるほど微小であるが、第1の光軸66が第1の遮光板67で遮断されている状態を保った範囲内で、湿紙5の厚さが僅かに変動することがある。例えば、湿紙5の厚さが僅かに増大した場合、可動台座38が僅かに下降してばね40が僅かに短縮され、反対に、湿紙5の厚さが僅かに減少した場合、可動台座38が僅かに上昇してばね40が僅かに伸長する。これにより、湿紙5の厚さの僅かな変動をばね40で吸収することができる。
【0048】
また、抄紙装置4の運転を終了した後、自動的に制御部45が調節装置41のモータ55を駆動させて駆動歯車56を他方向に回転させるため、各歯車57,74,75を介して回転軸48が他方向に回転し、調節用台座46が下降し、これに伴って図8に示すように可動台座38と一体に下部のプレスローラ33と第2の検出装置43の第2の投光器70および受光器71とが下降し、図3および図5の仮想線で示すように、下部のプレスローラ33が上部のプレスローラ32に対してプレス解除位置Kまで下降し、上部のプレスローラ32と下部のプレスローラ33との間隔が開放される。
【0049】
このように下部のプレスローラ33がプレス解除位置Kまで下降すると、第2の投光器70および受光器71が第2の遮光板73に対して下降し、第2の投光器70と受光器71との間に第2の光軸(図示省略)が形成され、これに基いて、制御部45が調節装置41のモータ55を停止させるので、回転軸48の回転が停止し、調節用台座46と可動台座38との下降が停止する。これにより、図3および図5の仮想線で示すように、下部のプレスローラ33がプレス解除位置Kに停止し、両プレスローラ32,33によるプレスが解除され、抄紙装置4の運転停止中は吸水ベルト20と平滑面ベルト26とにプレス圧がかからないようにしている。
【0050】
また、抄紙装置4の運転開始時には、自動的に制御部45が調節装置41のモータ55を駆動させて駆動歯車56を一方向に回転させるため、各歯車57,74,75を介して回転軸48が一方向に回転し、調節用台座46が上昇し、これに伴って可動台座38と一体に下部のプレスローラ33と第2の投光器70および受光器71とが上昇し、図3および図5の実線で示すように、上部のプレスローラ32と下部のプレスローラ33との間隔が縮小する。
【0051】
このように第2の投光器70および受光器71が第2の遮光板73に対して上昇すると、第2の光軸(図示省略)が第2の遮光板73により遮断され、これに基いて、制御部45が調節装置41のモータ55を停止させるので、回転軸48の回転が停止し、調節用台座46と可動台座38との上昇が停止する。これにより、自動的に吸水ベルト20と平滑面ベルト26とにプレス圧がかかり、両プレスローラ32,33によるプレスが再開可能となる。
【0052】
尚、調節用台座46が下降している際、万一、制御部45が誤作動した場合でも、調節用台座46が下限位置H(図4,図5,図7参照)まで下降した時点で、調節用台座46が第3の検出装置44に上方から当接して第3の検出装置44のオンオフを切換える。これにより、第3の検出装置44の検出信号が、制御部45に送信されると共に、制御部45を介さずに、直接調節装置41のモータ55にも送信される。このため、モータ55が直ちに非常停止して、調節用台座46が下限位置Hに非常停止し、調節用台座46が回転軸48の下端から下方へ脱落するのを防止することができる。このとき、上記のように制御部45は、第3の検出装置44からの検出信号を受けるため、モータ55が非常停止したことを認識できる。
【0053】
尚、上記実施の形態において、吸水ベルト20はフェルト等の吸水性素材でできているので、抄紙装置4の稼動時間が長くなると、吸水ベルト20の厚さTが薄くなるが、平滑面ベルト26はステンレス等の金属製であるため、平滑面ベルト26の厚さはほとんど変化しない。
【0054】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態を、図11を参照しながら、以下に説明する。
制御部45は、裁断部11においてカッター30で裁断される帯状の乾紙10の裁断箇所80をプレスローラ32,33間よりも上流側で予め特定し、調節装置41を制御してプレスローラ32,33のプレス圧を裁断箇所80に合わせて調節する。
【0055】
すなわち、規定サイズの再生紙2を製造する場合、再生紙2の長さは所定長さJに規定されている。例えば、A4サイズでは再生紙2の長さがJ=297mmであり、制御部45は、カッター30による切断位置から所定長さJ(例えば297mm)ずつ遡った位置を裁断箇所80として特定する。
【0056】
そして、上記第1の実施の形態において図10に基いて説明したように、吸水ベルト20の厚さTが所定の厚さ以下に減少し、第1の投光器64と受光器65との間に第1の光軸66が形成されると、制御部45は、第1の光軸66が遮断されるまでモータ55を駆動させて調節用台座46を上昇させ、プレスローラ32,33のプレス圧を調節する。この際、制御部45は、上記のようなプレス圧の調節を、いずれかの裁断箇所80が両プレスローラ32,33間を通過するタイミングで実行する。
【0057】
これによると、プレスローラ32,33のプレス圧を調節することによって湿紙5の厚さが変わっても、上記プレス圧は裁断箇所80において調節されるため、プレス圧の調節に起因した湿紙5の厚さの変化は裁断箇所80で発生する。その後、湿紙5が乾燥されて帯状の乾紙10となり、乾紙10が裁断箇所80でカッター30により切断されるため、紙厚の変化が目立ち難い。
【0058】
上記各実施の形態では、再生紙2の紙厚をほぼ一定の紙厚として説明したが、再生紙2の紙厚を変更して設定可能な抄紙装置4であってもよく、通常の紙厚よりも分厚い紙厚を設定した場合、吸水ベルト20に担持される湿紙5中の繊維量が多くなり、プレスローラ32,33により過剰なプレス圧が作用することがある。このようにプレス圧が強過ぎると、吸水ベルト20のフェルトの芯体が再生紙2の表面に地模様を形成する虞があり、このような場合、調節装置41を作動させてプレス圧を弱めてもよい。
【0059】
上記各実施の形態では、図2,図3に示すように、第1の検出装置42でばね40の長さLの変化量すなわち可動台座38と調節用台座46との上下間隔Gの変化量を検出し、この検出に基いて吸水ベルト20の厚さTの変化量を検知しているが、両プレスローラ32,33の軸心間の距離を検出し、検出された距離に基いて吸水ベルト20の厚さTの変化量を検知してもよい。
【0060】
上記各実施の形態では、フェルト製の吸水ベルト20を示したが、フェルト製に限定されるものではなく、例えば、布製であってもよい。
上記各実施の形態では、吸水ベルト20の厚さTが所定の厚さ以下に減少すると、調節装置41のモータ55を駆動させてプレスローラ32,33のプレス圧を迅速に調節しているが、この際、モータ55の回転速度を所定速度よりも低速にすることで、プレス圧をゆっくりと調節してもよい。この場合、プレス圧の調節に伴って発生する紙厚の変化が目立ち難くなる。
【0061】
上記各実施の形態では、湿紙5を挟持する一対のベルトのうち、下方のベルトを吸水ベルト20とし、上方のベルトを平滑面ベルト26としているが、両方とも吸水ベルト20にしてもよい。
【0062】
上記各実施の形態では、抄紙装置4を備えた古紙処理装置1を示したが、抄紙装置4の前段側に、古紙を離解してパルプ懸濁液3を生成するパルパー装置と、必要により、パルプ懸濁液3に含まれるトナー成分等の印刷成分を除去する脱墨装置とを備えた古紙処理装置1であってもよい。
【0063】
上記各実施の形態では、図3に示すように、下部のプレスローラ33の軸心の位置を、上部のプレスローラ32の軸心の真下から、湿紙5の搬送方向における後方へずらして設定しているが、上部のプレスローラ32の軸心の真下に設定してもよい。この場合、下部のプレスローラ33は上部のプレスローラ32に対して上下方向(鉛直方向)から接近離間する。
【0064】
上記各実施の形態では、付勢部材の一例としてばね40を用いたが、エアシリンダ等を用いてもよい。
上記各実施の形態では、抄紙装置4は古紙を離解し脱墨して得られたパルプ懸濁液3を抄紙するために用いられているが、パルプ懸濁液3は古紙を原料としないものであってもよい。また、脱墨処理を施していない古紙パルプを含んだパルプ懸濁液3を抄紙してもよい。
【0065】
上記各実施の形態では、湿紙5を挟持する一対のベルトの一例として、吸水ベルト20と平滑な表面を有する平滑面ベルト26とを用いているが、平滑面ベルト26の代わりに、表面が平滑ではないベルトを用いてもよい。
【符号の説明】
【0066】
4 抄紙装置
5 湿紙
9 乾燥部
10 乾紙
11 裁断部
20 吸水ベルト
26 平滑面ベルト
32,33 プレスローラ
40 ばね(付勢部材)
41 調節装置
42 第1の検出装置
45 制御部
80 裁断箇所
A 搬送方向
E 斜め上方向(一方のプレスローラが他方のプレスローラに接近する方向)
T 吸水ベルトの厚さ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿紙を挟持する一対の回動自在なベルトと、両ベルトを介して湿紙を押圧する一対のプレスローラとを有し、両ベルトのうちの少なくとも一方のベルトが吸水ベルトである抄紙装置であって、
一方のプレスローラは他方のプレスローラに対して接近離間自在であり、
一方のプレスローラを他方のプレスローラに接近する方向へ付勢する付勢部材と、プレスローラのプレス圧を調節する調節装置と、プレスローラのプレス圧の変化量を検出する検出装置と、検出された変化量に基いて調節装置を制御する制御部とが備えられていることを特徴とする抄紙装置。
【請求項2】
付勢部材は、吸水ベルトの厚さの減少に応じて長さが変化するばねであり、
プレスローラのプレス圧はばねの長さに応じて変化し、
検出装置はばねの長さの変化量を検出することを特徴とする請求項1記載の抄紙装置。
【請求項3】
一対のプレスローラ間を通過した湿紙を乾燥する乾燥部と、乾燥部において乾燥された帯状の乾紙を搬送方向に交差する幅方向に裁断する裁断部とが備えられ、
制御部は、裁断部において裁断される乾紙の裁断箇所を一対のプレスローラ間よりも上流側で予め特定し、調節装置を制御してプレス圧を裁断箇所に合わせて調節することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の抄紙装置。
【請求項1】
湿紙を挟持する一対の回動自在なベルトと、両ベルトを介して湿紙を押圧する一対のプレスローラとを有し、両ベルトのうちの少なくとも一方のベルトが吸水ベルトである抄紙装置であって、
一方のプレスローラは他方のプレスローラに対して接近離間自在であり、
一方のプレスローラを他方のプレスローラに接近する方向へ付勢する付勢部材と、プレスローラのプレス圧を調節する調節装置と、プレスローラのプレス圧の変化量を検出する検出装置と、検出された変化量に基いて調節装置を制御する制御部とが備えられていることを特徴とする抄紙装置。
【請求項2】
付勢部材は、吸水ベルトの厚さの減少に応じて長さが変化するばねであり、
プレスローラのプレス圧はばねの長さに応じて変化し、
検出装置はばねの長さの変化量を検出することを特徴とする請求項1記載の抄紙装置。
【請求項3】
一対のプレスローラ間を通過した湿紙を乾燥する乾燥部と、乾燥部において乾燥された帯状の乾紙を搬送方向に交差する幅方向に裁断する裁断部とが備えられ、
制御部は、裁断部において裁断される乾紙の裁断箇所を一対のプレスローラ間よりも上流側で予め特定し、調節装置を制御してプレス圧を裁断箇所に合わせて調節することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の抄紙装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−72143(P2013−72143A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210029(P2011−210029)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(390002129)デュプロ精工株式会社 (351)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(390002129)デュプロ精工株式会社 (351)
【Fターム(参考)】
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