説明

抄紙装置

【課題】紙受部の積載量が最大積載容量に達したことを原因として運転が全面停止する事態を回避し、品質が劣化した紙の発生を抑制できる抄紙装置を提供する。
【解決手段】制御部700は、エンコーダ644により再生紙62の積載量が上位設定積載量に達したことを検出すると運転制御が運転停止モードに遷移し、運転停止モードではヘッドボックス44への新たな紙料の供給を停止し、ヘッドボックス44に残留する紙料の全量を抄紙して単葉紙の再生紙62に仕上げ、仕上げた再生紙62の全てを紙受部63に排出し、紙受部63の再生紙62の積載量が最大積載容量以下となる状態で運転停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、古紙再生処理装置等の抄紙装置に関し、特に運転を停止させる技術に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の古紙再生処理装置では、パルプ工程において古紙を原料とする古紙パルプからパルプ懸濁液である紙料を調製し、抄紙工程において紙料から湿紙を帯状に抄紙し、その後に湿紙を乾燥させて帯状紙を形成し、仕上げ工程において帯状紙を所定サイズの単葉紙に裁断して再生紙を製作し、製作した再生紙は紙受部に積載している。
【0003】
また、先行技術文献としては、特許文献1があり、ここでは、断水発生時に必要最低限の再生運転を行なった後に運転を停止し、さらにはメンテナンス動作を自動的に実行させるために、以下の運転制御を行っている。
【0004】
すなわち、制御部は、補給水供給系から白水タンクへ給水する際に水量センサが通水を検知しないときに断水が発生したと判断し、断水発生時に非常運転動作を実行する断水時運転制御機能部を有し、断水時運転制御機能部は、非常運転動作において、再生パルプ部のパルパーが離解動作途中または離解動作終了であるときに、再生パルプ部の少なくとも1回の離解動作に相応する再生運転を実行して後に運転停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−137251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、紙受部における再生紙の積載量が最大積載容量に達すると、後続の再生紙を排出することができなくなるので、古紙処理装置の運転を停止する必要がある。特に抄紙工程を担う抄紙装置では、脱墨されたパルプ懸濁液からなる紙料をヘッドボックスから抄紙ワイヤーに供給して湿紙を連続的に抄紙し、抄紙した湿紙を脱水部のフェルトからなる吸水ベルトに湿紙を転移させ、吸水ベルトで湿紙の吸収脱水を行なっている。
【0007】
このため、運転が突然停止して抄紙ワイヤーや吸水ベルトに湿紙が残留する状態で時間が経過すると、湿紙から離脱する水分量が変化し、湿紙の含水率が予め想定しているものと異なるものとなる。
【0008】
この抄紙ワイヤーや吸水ベルトに残留した湿紙は、運転を再開して仕上げ工程において再生紙に仕上げても、その品質は通常の品質よりも劣ったものとなる。
また、運転停止後の放置時間が長時間に及ぶと、抄紙ワイヤーや吸水ベルトに湿紙の繊維がこびりついてメンテナンスが必要となる。
【0009】
本発明は上記した課題を解決するものであり、紙受部の積載量が最大積載容量に達したことを原因として運転が全面停止する事態を回避し、品質が劣化した紙の発生を抑制できる抄紙装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の抄紙装置は、ヘッドボックスに貯留した紙料から湿紙を抄紙する抄紙網部と、湿紙を受け取って乾紙となす乾燥部と、乾紙を受け取って設定仕様の単葉紙に整形する仕上部と、仕上げた単葉紙を積載して保持する紙受部と、前記各部を制御する制御部を備え、
紙受部は、単葉紙の積載量が上位設定積載量に達したことを検出する検出部を有し、
制御部は、検出部により単葉紙の積載量が上位設定積載量に達したことを検出すると運転制御が運転停止モードに遷移し、運転停止モードではヘッドボックスへの新たな紙料の供給を停止し、ヘッドボックスに残留する紙料の全量を抄紙して単葉紙に仕上げ、仕上げた単葉紙の全てを紙受部に排出し、紙受部の単葉紙の積載量が最大積載容量以下となる状態で運転停止する運転停止モード制御機能部を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の抄紙装置において、制御部は、通常運転モードの運転制御を担う自動運転制御機能部を有し、自動運転制御機能部は、通常運転モードの開始時に、検出部により上位設定積載量と現在積載量との差である積載可能残容量を検出し、積載可能残容量が最少設定残容量以上であるとき運転を開始することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上のように本発明によれば、上位設定積載量は、最大積載容量に達するまでの積載可能残容量が十分に確保できる容量、つまりヘッドボックスが満杯となる量の紙料を抄紙して得られる単葉紙を紙受部に積載しても最大積載容量以下となる容量に設定する。
【0013】
そして、制御部は、積載量が上位設定積載量に達した後に行なう運転停止モードにおいて、ヘッドボックスに残留する紙料の全量を抄紙して単葉紙に仕上げ、仕上げた単葉紙の全てを紙受部に排出する。
【0014】
この結果、紙受部の積載量が最大積載容量に達したことを原因として運転が全面停止する事態を回避でき、品質が劣化した紙の発生を抑制できる。
また、最少設定残容量として、例えば1時間程度の運転によって製作される単葉紙が紙受部に積載しても最大積載容量以下となる容量に設定する。
【0015】
そして、制御部は、通常運転モードの開始時に、積載可能残容量が最少設定残容量以上であるとき運転を開始する。
この結果、通常運転モードの開始時に積載可能残容量を確認できるので、運転開始後、短時間のうちに紙受部の積載量が上位設定積載量に達して運転停止モードとなることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態における古紙再生処理装置を示すブロック図
【図2】同実施の形態における古紙再生処理装置の制御部を示すブロック図
【図3】同実施の形態における古紙再生処理装置のパルパー部を示す模式図
【図4】同実施の形態における古紙再生処理装置の抄紙網部、乾燥部および仕上部を示す模式図
【図5】同実施の形態における古紙再生処理装置の紙受部を示す正面図
【図6】同紙受部の側面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1〜図6において、古紙再生処理装置は、古紙再生処理系を構成する複数の処理部を有しており、処理部には給紙部1、パルパー部9、貯蔵タンク部10、脱墨部11、抄紙網部13、乾燥部14、仕上部15、白水タンク部100、排水処理タンク部101がある。また、古紙再生処理装置は各処理部の運転を制御する制御部700を備えている。
【0018】
給紙部1は、再生原料の古紙4を供給するものであり、古紙4を細断した紙片2を貯留する貯留部3と、貯留部3に古紙4を供給する給紙装置5と、貯留部3に貯留されている紙片2を計量部6に排出する排出用サイクロン7と、貯留部3の紙片2を排出用サイクロン7へ搬送する紙片搬送ダクト16と、紙片搬送ダクト16に搬送用空気を供給して貯留部3から排出用サイクロン7へ向って流れる送気流17を発生させる送風装置18からなる。
【0019】
パルパー部9は、紙片2を離解して再生パルプを調製するものであり、パルパー槽37と、パルパー槽37内に設けた攪拌装置38を有し、計量部6において計量された紙片2を離解して再生パルプを含む紙料であるパルプ懸濁液8を製造する。
【0020】
貯蔵タンク部10は、パルパー部9で得られた紙料のパルプ懸濁液8を貯留するものであり、内部に攪拌装置39を有している。
脱墨部11は、貯蔵タンク部10において貯留されたパルプ懸濁液8を脱墨して脱墨パルプを調製するものであり、蛇行した流路を形成した脱墨槽40と、脱墨槽40の下部から多数の気泡を放出する散気装置(図示省略)とを有している。
【0021】
抄紙網部13は、脱墨されたパルプ懸濁液8から湿紙12を抄紙するものであり、抄紙ワイヤー部とヘッドボックス部を備えている。抄紙ワイヤー部は、複数のローラ42に巻回されたメッシュ状のベルトからなる抄紙ワイヤー43と、ローラ42の少なくとも一つを回転させて抄紙ワイヤー43を紙搬送方向へ駆動するモータ等の抄紙ワイヤー駆動装置(図示省略)を有している。
【0022】
ヘッドボックス部は、脱墨されたパルプ懸濁液8を抄紙ワイヤー43上に注ぐヘッドボックス44と、ヘッドボックス44にパルプ懸濁液8を脱墨槽40から供給するポンプ等のパルプ懸濁液供給装置110を有している。
【0023】
脱水部20は、湿紙12を脱水するものであり、複数のローラ46に巻回されたフェルトの吸水ベルト47からなり、湿紙12が抄紙ワイヤー43から吸水ベルト47に転移し、吸水ベルト47が湿紙12を吸収脱水する。
【0024】
乾燥部14は、脱水された湿紙12を乾燥するものであり、加熱装置48を内蔵した乾燥ローラ49と複数のローラ50とに金属製の第1搬送ベルト51を巻回し、複数のローラ52に網状で樹脂製の第2搬送ベルト53を巻回しており、第1搬送ベルト51と第2搬送ベルト53とは湿紙12を挟んで乾燥ローラ49の外周面上で重なり、乾燥ローラ49で湿紙12を乾燥させる。
【0025】
プレス用の一対のローラ46a、50aは、吸水ベルト47と第1搬送ベルト51を介して湿紙12を圧搾脱水するとともに、湿紙12を吸水ベルト47から第1搬送ベルト51に転移させる。
【0026】
乾燥した乾紙61は、第1搬送ベルト51の往路終端位置でスクレーパ111により第1搬送ベルト51から剥離させて仕上部15に案内する。
仕上部15は、湿紙12を乾燥して得られる乾紙61に対して仕上工程を行い、得られた再生紙62を紙受部63に排出するものであり、帯状の乾紙61を所定のサイズ等の設定仕様の単葉紙に切断により整形する金属製のカッター装置60およびスリッター装置112が設けられている。
【0027】
紙受部63は、仕上部15の排出口64に臨んで配置してあり、仕上部15の搬送方向最下流位置にある搬送ローラの上ローラ65および下ローラ66によって送り出す再生紙62を受け止めるものである。紙受部63は、図5および図6に示すように、上下方向に延びる左右一対のガイドフレーム631、双方のガイドフレーム631の間に位置し、各ガイドフレーム631に形成したガイド溝631aに沿って昇降可能な紙受け台632と、紙受け台632を昇降駆動する紙受け台駆動機構633を備えている。
【0028】
紙受け台駆動機構633は、固定スプロケット634と、可動スプロケット635と、駆動部636の駆動スプロケット(図示省略)、および各スプロケットに掛け渡して配置したチェーン637を有しており、チェーン637はその一端をガイドフレーム631に接続し、他端を紙受け台632に接続してある。
【0029】
可動スプロケット635はスプリング638を介してガイドフレーム631に懸架してあり、スプリング638はその弾性力でチェーン637に張力を与えてチェーン637を弛みのない常に緊張した状態に維持している。
【0030】
駆動部636は、モータ639により駆動する駆動ギヤ640と、駆動ギヤ640に噛合する従動ギヤ641を有しており、従動ギヤ641が駆動スプロケット(図示省略)と一体に回転してチェーン637の繰り出し、繰り入れを行うことで、紙受け台632を昇降駆動する。
【0031】
紙受部63には反射型のセンサからなる複数の上位センサ642が排出口64の近傍位置で、かつ再生紙62の排出位置より所定距離だけ下方に離れた位置に設けてある。上位センサ642は、紙受け台632に積載した再生紙62のうちの最上位の再生紙62を検出するもので、再生紙62の紙幅方向の両側に対応する両側位置および紙幅方向の中央に対応する中央位置の3箇所に設けている。
【0032】
ガイドフレーム631の下側部にはリミットスイッチ等からなる下限センサ643が設けてあり、下限センサ643は紙受け台632が降下可能な下限位置で紙受け台632を検出するものである。紙受部63は紙受け台632が下限位置にあるときに最大積載容量、つまり紙受け台63の積載面から上位センサ642に対応する位置までに相当する積載容量となる。よって、下限センサ643は紙受け台632の最大積載容量に対応する位置を検出する。
【0033】
固定スプロケット634にはエンコーダ644が係合しており、エンコーダ644は固定スプロケットの回転により送り出されるチェーン637の距離を検出し、その距離から現在の紙受け台632の位置を検知する。紙受け台632から上位センサ642までの距離は、再生紙62の積載高さに相当し、再生紙62の積載量に応じて増減する。したがって、制御部700は、エンコーダ644によって検出する紙受け台632の位置から再生紙62の積載量を検知することができ、エンコーダ644は紙受け台632の現在積載量を検出し、上位設定積載量と現在積載量との差である積載可能残容量を検出し、さらに単葉紙の積載量が上位設定積載量に達したことを検出する検出部を制御部700とともに構成する。
【0034】
排水処理タンク部101は、脱墨排水系102を通して脱墨部11から流入する脱墨廃液を処理するもので、フィルターで繊維、インク、トナーを除去し、薬剤の添加により中性化して公共下水の下水配管103へ排水可能な水質にまで処理する。
【0035】
白水タンク部100は、抄紙排水系104を通して抄紙網部13から流入する再生パルプを含む排水である白水を貯留するものであり、白水を白水返送系105、106を通して古紙再生処理系の各所へ返送する。
【0036】
給水源、ここでは上水配管107から用水を供給する給水配管108がパルパー部9に接続しており、給水配管108に電磁弁からなる緊急停止用の元弁装置109を設けている。
【0037】
図2に示すように、制御部700は、CPU710に設定する機能回路として、以下の機能部を有している。つまり、パルパー部9の運転を制御するパルパー部制御機能部711と、脱墨部11の運転を制御する脱墨部制御機能部712と、抄紙網部13の運転を制御する抄紙網部制御機能部713と、仕上部15の運転を制御する仕上部制御機能部714と、排水処理タンク部101の運転を制御する排水処理タンク部制御機能部715と、稼動開始から稼動停止までの運転プロセスを逐次実行する自動運転制御機能部716と、運転停止モード制御機能部717を有する。
【0038】
以下、上記した構成の作用を説明する。古紙再生処理を行なう通常運転モードの運転では、制御部700の自動運転制御機能716がパルパー部制御機能部711、脱墨部制御機能部712、抄紙網部制御機能部713、仕上制御機能部714、排水処理タンク部制御機能部715を起動し、それぞれパルパー部9と脱墨部11と抄紙網部13と仕上部15と排水処理タンク部101を制御して上述した各処理部において古紙再生処理系の運転を行う。
【0039】
すなわち、パルパー部9は、パルパー槽37で紙片2を離解して再生パルプを調製し、再生パルプを含む紙料であるパルプ懸濁液8を製造する。脱墨部11は、貯蔵タンク部10に貯留されたパルプ懸濁液8を脱墨して脱墨パルプを調製する。
【0040】
抄紙網部13は、脱墨されたパルプ懸濁液8から湿紙12を抄紙する。このため、パルプ懸濁液供給装置110によりパルプ懸濁液8を脱墨槽40からヘッドボックス44に供給し、ヘッドボックス44から抄紙ワイヤー43上にパルプ懸濁液8を注ぐ。
【0041】
脱水部20は、湿紙12を抄紙ワイヤー43から吸水ベルト47に転移させ、吸水ベルト47で湿紙12を吸収脱水する。乾燥部14は、脱水された湿紙12を吸水ベルト47から第1搬送ベルト51に転移させて乾燥ローラ49で乾燥させる。乾燥した乾紙61は、第1搬送ベルト51の往路終端位置で第1搬送ベルト51から剥離させて仕上部15に送る。
【0042】
仕上部15では、金属製のカッター装置60およびスリッター装置112により帯状の乾紙61を所定のサイズ等の設定仕様の単葉紙の切断により整形して再生紙62となし、得られた再生紙62を紙受部63に排出する。再生紙62は仕上部15の搬送方向最下流位置にある搬送ローラの上ローラ65および下ローラ66によって送り出され、紙受部63の紙受け台632へ向けて下向きに排出される。
【0043】
紙受部63は、紙受け台駆動機構633によって紙受け台632を昇降駆動し、上位センサ642が紙受け台632に積載した再生紙62のうちの最上位の再生紙62を検出する位置に紙受け台632を随時に降下移動させる。
【0044】
エンコーダ644によって紙受け台632の現在位置を検出するとともに、現在位置から再生紙62の積載量を検知する。
制御部700は、エンコーダ644で検出する再生紙62の積載量が予め設定した上位設定積載量に達すると、運転停止モード制御機能部717が運転制御を行う運転停止モードに遷移する。
【0045】
運転停止モードでは、ヘッドボックス44への新たな紙料の供給を停止し、ヘッドボックス44に残留する紙料の全量を抄紙して単葉紙の再生紙62に仕上げ、仕上げた再生紙62の全てを紙受部63に排出するまで運転を継続し、その後に運転停止する。この運転停止した時点において、紙受部63の再生紙62の積載量は紙受部63の最大積載容量以下となる。すなわち、紙受け台632は下限センサ643によって検出されない位置、つまり下限位置より上方に位置するか、積載量が最大積載容量を満たすときに下限位置に位置する。
【0046】
このため、上位設定積載量は、最大積載容量に達するまでの積載予備容量が十分に確保できる容量、つまりヘッドボックス44が満杯となる量の紙料を抄紙して得られる再生紙62を紙受部63に積載しても最大積載容量以下となる容量に設定する。
【0047】
この運転停止モードの運転制御を行なうことで、紙受部63の積載量が最大積載容量に達したことを原因として運転が全面停止する事態を回避でき、品質が劣化した紙の発生を抑制できる。
【0048】
制御部700は、通常の運転を行なう通常運転モードの開始時に、一旦、紙受け台632を下限センサ643で検出する下限位置にまで降下させ、その後、上位センサ642で最上位の再生紙62を検出する位置まで紙受け台632を上昇させる。紙受け台632に再生紙62が無い場合には上位センサ642が紙受け台632を検出するまで紙受け台632を上昇させる。この間に紙受け台632が移動した距離をエンコーダ644で検出して紙受け台632の現在位置および現在積載量を検出し、上位設定積載量と現在積載量との差である積載可能残容量を検知し、積載可能残容量が最少設定残容量以上であるとき運転を開始する。
【0049】
この最少設定残容量は、例えば1時間程度の比較的短時間に設定する所定運転時間の運転によって製作される再生紙62の全量を積載可能な容量とする。積載可能残容量が最少設定残容量以上である状態で通常運転モードの運転を開始すると、運転開始時においてすでに紙受け台632に積載されている再生紙の上に新たに再生紙を積載しても、再生紙の積載量が上位設定積載量に達するまでに、少なくとも所定運転時間の間は通常運転モードで運転することができる。
【0050】
この結果、通常運転モードの開始時に積載可能残容量を確認できるので、運転開始後、短時間のうちに紙受部63の積載量が上位設定積載量に達して運転停止モードとなることを防止できる。
【0051】
本実施の形態では、エンコーダ644で検出部を構成したが、検出部は下限センサ643で構成することも可能である。この場合に上位設定積載量は、紙受け台63の積載面から上位センサ642に対応する位置までの積載量に相当し、最大積載容量は上位設定積載量に達した後に運転停止モードで抄紙される最大量の再生紙62を加えた量に設定する。すなわち、最大積載容量は上位設定積載量に、ヘッドボックス44が満杯となる量の紙料を抄紙して得られる再生紙62の全量を加えたものである。
【符号の説明】
【0052】
1 給紙部
2 紙片
3 貯留部
4 古紙
5 給紙装置
6 計量部
7 排出用サイクロン
8 パルプ懸濁液
9 パルパー部
10 貯蔵タンク部
11 脱墨部
12 湿紙
13 抄紙網部
14 乾燥部
15 仕上部
16 紙片搬送ダクト
17 送気流
18 送風装置
37 パルパー槽
38 攪拌装置
39 攪拌装置
40 脱墨槽
42 ローラ
43 抄紙ワイヤー
44 ヘッドボックス
46 ローラ
46a、50a ローラ
47 吸水ベルト
48 加熱装置
49 乾燥ローラ
50 ローラ
51 第1搬送ベルト
52 ローラ
53 第2搬送ベルト
60 カッター
61 乾紙
62 再生紙
63 紙受部
64 排出口
65 上ローラ
66 下ローラ
100 白水タンク部
101 排水処理タンク部
102 脱墨排水系
103 下水配管
104 抄紙排水系
105、106 白水返送系
107 上水配管
108 給水配管
109 元弁装置
111 スクレーパ
112 スリッター装置
631 ガイドフレーム
631a ガイド溝
632 紙受け台
633 紙受け台駆動機構
634 固定スプロケット
635 可動スプロケット
636 駆動部
637 チェーン
638 スプリング
639 モータ
640 駆動ギヤ
641 従動ギヤ
642 上位センサ
643 下限センサ
644 エンコーダ
700 制御部
710 CPU
711 パルパー部制御機能部
712 脱墨部制御機能部
713 抄紙網部制御機能部
714 仕上部制御機能部
715 排水処理タンク部制御機能部
716 自動運転制御機能部
717 運転停止モード制御機能部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドボックスに貯留した紙料から湿紙を抄紙する抄紙網部と、湿紙を受け取って乾紙となす乾燥部と、乾紙を受け取って設定仕様の単葉紙に整形する仕上部と、仕上げた単葉紙を積載して保持する紙受部と、前記各部を制御する制御部を備え、
紙受部は、単葉紙の積載量が上位設定積載量に達したことを検出する検出部を有し、
制御部は、検出部により単葉紙の積載量が上位設定積載量に達したことを検出すると運転制御が運転停止モードに遷移し、運転停止モードではヘッドボックスへの新たな紙料の供給を停止し、ヘッドボックスに残留する紙料の全量を抄紙して単葉紙に仕上げ、仕上げた単葉紙の全てを紙受部に排出し、紙受部の単葉紙の積載量が最大積載容量以下となる状態で運転停止する運転停止モード制御機能部を有することを特徴とする抄紙装置。
【請求項2】
制御部は、通常運転モードの運転制御を担う自動運転制御機能部を有し、自動運転制御機能部は、通常運転モードの開始時に、検出部により上位設定積載量と現在積載量との差である積載可能残容量を検出し、積載可能残容量が最少設定残容量以上であるとき運転を開始することを特徴とする請求項1に記載の抄紙装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−87368(P2013−87368A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226305(P2011−226305)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(390002129)デュプロ精工株式会社 (351)
【Fターム(参考)】