把持装置及びワーク搬送装置
【課題】線状部材がワークの下敷きにされてしまうことを防止して組み込み作業の自動化を容易にし得る把持装置及びワーク搬送装置の提供。
【解決手段】組付面100a及び可撓性を有して該組付面100a側に下垂可能な電源ケーブル101を備えるファン100を、把持可能な把持部11と、下垂した電源ケーブル101を、ファン100の組付面100aと異なる側部領域100cに掬い上げ可能な掬い上げ部20と、を有する第1把持装置10を採用する。
【解決手段】組付面100a及び可撓性を有して該組付面100a側に下垂可能な電源ケーブル101を備えるファン100を、把持可能な把持部11と、下垂した電源ケーブル101を、ファン100の組付面100aと異なる側部領域100cに掬い上げ可能な掬い上げ部20と、を有する第1把持装置10を採用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把持装置及びワーク搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ワークを把持して、作業台まで運び、何らかの装置に組み込む作業などの自動化が進められている。かかるワークの把持には、例えば、一対の爪部を有する把持装置が多用されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−86841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ワークが電子機器等で、線状部材(例えば電源ケーブル)を備える場合、当該組み込み作業の自動化は困難となる。すなわち、固定されずある程度自由にされた電源ケーブルは、その可撓性によりワークの組付面側に下垂する場合がある。そうすると、ワークの組付面側を装置本体のベース等に載置する際に、電源ケーブルがワークの下敷きにされてしまう虞がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、線状部材がワークの下敷きにされてしまうことを防止して組み込み作業の自動化を容易にし得る把持装置及びワーク搬送装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、組付面及び可撓性を有して該組付面側に下垂可能な線状部材を備えるワークを、把持可能な把持部と、上記下垂した上記線状部材を、上記ワークの上記組付面と異なる所定領域に掬い上げ可能な掬い上げ部と、を有する把持装置を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、ワークを搬送してその組付面側を載置する際に、掬い上げ部を用いて、ワークの組付面側に下垂した線状部材をワークの当該組付面と異なる領域に掬い上げることで、線状部材がワークの下敷きにならないよう前処理することができる。これにより、線状部材がワークの組み込み作業を邪魔することはなくなり、その自動化を容易にし得る。
【0007】
また、本発明においては、上記把持装置を有するワーク搬送装置を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、把持装置によって線状部材を前処理したワークを作業台等に搬送することで、ワークの組み込み作業を円滑化し得る。
【発明の効果】
【0008】
本発明の把持装置及びワーク搬送装置によれば、線状部材がワークの下敷きにされてしまうことを防止して組み込み作業の自動化を容易にし得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態におけるワーク搬送装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の実施形態における第1把持装置の構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態における第1把持装置の構成を示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態における第2把持装置の構成を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施形態における第2把持装置の構成を示す正面図である。
【図6】本発明の実施形態における第2把持装置の構成を示す断面図である。
【図7】本発明の実施形態における電源ケーブルの配線処理のためのリムーバの移動順を説明するための平面図である。
【図8】本発明の実施形態における電源ケーブルの第1処理を説明するための斜視図である。
【図9】本発明の実施形態における電源ケーブルの第2処理を説明するための斜視図である。
【図10】本発明の実施形態における電源ケーブルの第3処理を説明するための斜視図である。
【図11】本発明の実施形態における電源ケーブルの押さえ込み処理を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
[ワーク搬送装置]
図1は、本発明の実施形態におけるワーク搬送装置1の構成を示す概略図である。
ワーク搬送装置1は、ファンユニットの組み立てのために、ケース2に収容されているファン(ワーク)100を、作業台3,4に順次搬送するものである。作業台4には、ファンユニットのベース(不図示)が配置されている。ファン100は、当該ベースに載置される組付面100aと、可撓性を有して組付面100a側に下垂可能な電源ケーブル(線状部材)101と、を備える。
【0012】
ファン100は、略箱型の直方体形状を有する(後述する図7及び図8参照)。電源ケーブル101は、ファン100の組付面100aと反対側の背面100bの中央部(モータ収容部)から、組付面100aと背面100bとの間の側部領域(所定領域)100cまで、溝102によって導かれている。なお、電源ケーブル101の先端には、コネクタ103が設けられている。
【0013】
溝102は、側部領域100cの縁のうち背面100b側(組付面100aと反対側)の縁100c1まで形成されており、この縁100c1において、電源ケーブル101が固定される。電源ケーブル101は、可撓性を有しており、当該固定位置を起点として、側部領域100cを跨いで組付面100a側に下垂可能となっており、また、背面100b側にも下垂可能となっている(図7において二点鎖線で示す)。
【0014】
図1に示すように、ワーク搬送装置1は、上記構成のファン100を把持可能な、第1把持装置(把持装置)10及び第2把持装置30と、第1把持装置10及び第2把持装置30の全体の動作を制御する制御部5と、を有する。制御部5は、第1把持装置10を有するロボットアーム6と、第2把持装置30を有するロボットアーム7と、それぞれ電気的に接続されている。ロボットアーム6,7は、多関節ロボットアームであり、任意の方向に任意の姿勢でアーム先端部を移動可能な構成となっている。
【0015】
[第1把持装置]
図2は、本発明の実施形態における第1把持装置10の構成を示す斜視図である。図3は、本発明の実施形態における第1把持装置10の構成を示す断面図である。
第1把持装置10は、ファン100を把持可能な把持部11と、電源ケーブル101をファン100の組付面100aと異なる側部領域100cに掬い上げ可能な掬い上げ部20と、を有する。
【0016】
把持部11は、基体部12に設けられている。また、掬い上げ部20も、基体部12に設けられている。基体部12には、ロボットアーム6(図1参照)のアーム先端部に対して装着可能な装着部13が設けられている。また、基体部12には、把持部11によるファン100の把持の際に、側部領域100cに接触する当て材となるウレタンブロック14が設けられている。
【0017】
把持部11は、一対の爪部15を有する。図3に示すように、一対の爪部15は、それぞれ回転軸16を中心に回転自在に支持されている。また、一対の爪部15は、それぞれスライドアクチュエータ17のリンクシャフト18に係合している。本実施形態の一対の爪部15は、スライドアクチュエータ17によって、同期して開閉駆動可能な構成となっている。
【0018】
スライドアクチュエータ17は、基体部12に設けられている。本実施形態のスライドアクチュエータ17は、一対の爪部15を駆動させる駆動源としてエアシリンダを有する。エアシリンダは、例えばソレノイドバルブの開閉駆動により伸縮可能に構成されている。なお、エアシリンダへの空気の供給や、ソレノイドバルブへの駆動信号の入出力は、装着部13を介してロボットアーム6側から行われる。
【0019】
掬い上げ部20は、ファン100の電源ケーブル101を掬い上げ可能なリムーバ(板状部材)21を有する。リムーバ21は、図2に示すように、スライドガイド22によって、その長さ方向に移動可能な構成となっている。スライドガイド22は、リムーバ21に設けられたガイドピン23をガイドするガイド溝24を有する。
【0020】
また、リムーバ21は、圧縮バネ25を支持するスプリングブラケット26を有する。スプリングブラケット26及び圧縮バネ25は、基体部12に設けられたシャフト27とスライド自在に係合している。シャフト27は、リムーバ21と平行に配設されている。リムーバ21は、スライドガイド22によって長さ方向に移動可能で、且つ、過度に押し込まれた際には圧縮バネ25が基体部12との間の緩衝材として機能するよう構成されている。
【0021】
リムーバ21は、側面21aの一部が幅方向外方に突出した突出部28を備える略板形状を呈する。突出部28は、リムーバ21の長さ方向先端部に設けられている。突出部28は、図3に示すように、長さ方向一方側(先端部側)に向かうに従って側面21aに沿う基準平面Xに対する傾きが漸次小さくなる曲面28aを有する。
具体的には、曲面28aは、始めは、基準平面Xに対して交差する傾き(略60°程度)を有するが、長さ方向一方側に向かうに従って漸次傾きが小さくなり、終いは、基準平面Xに対して平行な傾き(略0°程度)となるように、長さ方向一方側に向かうに従って滑らかに傾斜が変化している。
【0022】
[第2把持装置]
図4は、本発明の実施形態における第2把持装置30の構成を示す斜視図である。図5は、本発明の実施形態における第2把持装置30の構成を示す正面図である。図6は、本発明の実施形態における第2把持装置30の構成を示す断面図である。
【0023】
第2把持装置30は、ファン100の側部領域100cに位置する電源ケーブル101を押さえ込み可能な押さえ込み部31と、電源ケーブル101を押さえ込んだ状態でファン100を把持可能な第2把持部32と、有する。押さえ込み部31は、基体部33に設けられている。また、第2把持部32も、基体部33に設けられている。基体部33には、ロボットアーム7(図1参照)のアーム先端部に対して装着可能な装着部34が設けられている。
【0024】
第2把持部32は、所定方向に近接離間可能な一対の爪部35を有する。一対の爪部35には、それぞれファン100の背面100bと当接可能なストッパ36が設けられている。この一対の爪部35は、スライドアクチュエータ37によって、当該所定方向にスライド駆動可能な構成となっている。
【0025】
スライドアクチュエータ37は、基体部33に設けられている。本実施形態のスライドアクチュエータ37は、一対の爪部35を駆動させる駆動源としてエアシリンダを有する。エアシリンダは、例えばソレノイドバルブの開閉駆動により伸縮可能に構成されている。なお、エアシリンダへの空気の供給や、ソレノイドバルブへの駆動信号の入出力は、装着部34を介してロボットアーム7側から行われる。
【0026】
押さえ込み部31は、アーム41を有する。図6に示すように、アーム41は、回転軸42を中心に回転自在に支持されている。アーム41の回転軸42を挟んだ一方側は、略L字状に屈曲しており、ファン100の側部領域100cに当接可能な構成となっている。アーム41の回転軸42を挟んだ他方側は、引張バネ43の一端部と接続されている。引張バネ43の他端部は、基体部33に設けられたバネポスト44と接続されている。
【0027】
押さえ込み部31は、一対の爪部35の間に設けられたシャフト45を有する(図5参照)。シャフト45は、基体部33に形成された貫通孔33aに沿ってスライド自在な構成となっている(図6参照)。シャフト45の一端部には、ファン100の背面100bと当接可能なカラー46が設けられており、シャフト45の他端部には、回転軸42と引張バネ43との間においてアーム41と当接可能なキャップ46が設けられている。
【0028】
[ワーク搬送動作]
続いて、上記構成の第1把持装置10及び第2把持装置30を有するワーク搬送装置1によるワーク搬送動作について説明する。なお、特に断りが無い限り、制御部5が、主体者として以下の動作を制御する。
なお、制御部5は、第1把持装置10及び第2把持装置30と、それぞれ電気的に接続されており、エアシリンダへの空気の供給や、不図示のソレノイドバルブへの駆動信号の入出力によりスライドアクチュエータ17,37の駆動を制御する構成となっている。
【0029】
先ず、図1に示すように、ケース2に収容された複数のファン100のうちの一つを作業台3の上に載置する。
より詳しくは、先ず、ロボットアーム6によって、ファンの100の上方に第1把持装置10を移動させる。その後、第1把持装置10を降下させた後、スライドアクチュエータ17を駆動させ、一対の爪部15でファン100の側部領域100cの両側を把持する。なお、このとき、リムーバ21が、ケース2や他のファン100に接触しても、スライドガイド22によってその長さ方向に自在にスライドするため、当該把持を阻害することはない。
【0030】
把持部11でファン100を把持したら、第1把持装置10を上昇させ、作業台3の上方に移動させる。その後、第1把持装置10を降下させ、一対の爪部15を開き、作業台3の上に、ファン100をその側部領域100cが上方を向くようにして載置する。
なお、ファン100や作業台3の位置の認識には、制御部5に予め記憶されている座標データに基づいて導出する手段や、搬送エリア上方に設けた不図示の撮像カメラからの画像データを画像処理して導出する手段等を用いることができる。
【0031】
作業台3の上に、ファン100をその側部領域100cが上方を向くようにして載置したら、次に、第1把持装置10の掬い上げ部20による電源ケーブル101の配線処理(ファンユニットへの組み付けの前処理)を行う。
図7は、本発明の実施形態における電源ケーブル101の配線処理のためのリムーバ21の移動順を説明するための平面図である。
【0032】
図7に示すように、電源ケーブル101の配線処理は、側部領域100cの縁のうち組付面100aと反対側の縁100c1に沿ってリムーバ21を移動させる第1処理(ラインL1で示す)と、組付面100aに沿ってリムーバ21を移動させる第2処理(ラインL2で示す)と、側部領域100cの縁のうち組付面100a側の縁100c2に沿ってリムーバ21を移動させる第3処理(ラインL3で示す)と、を含む。
【0033】
図8は、本発明の実施形態における電源ケーブル101の第1処理を説明するための斜視図である。
図8に示すように、第1処理では、リムーバ21の先端を側部領域100cの縁100c1の上面に当接させつつ、リムーバ21を縁100c1に沿って移動させる。電源ケーブル101が背面100b側に下垂している場合(図7において二点鎖線で示す)、その一部は縁100c1の上面に跨ることとなるため、ラインL1でリムーバ21を移動させれば、その一部と接触でき、背面100b側から側部領域100c側に電源ケーブル101を寄せることができる。
【0034】
図9は、本発明の実施形態における電源ケーブル101の第2処理を説明するための斜視図である。
電源ケーブル101が組付面100a側に下垂している場合(図7において二点鎖線で示す)、固定位置(溝102)との関係で背面100b側よりも下垂の程度が大きくなる。このため、第1処理と同様に、組付面100a側の縁100c2の上面をリムーバ21の先端でなぞるだけでは、組付面100a側に下垂した電源ケーブル101を側部領域100cに寄せることができない。
【0035】
そこで、第2処理では、図9に示すように、リムーバ21を組付面100aに沿って移動させる。リムーバ21は、板状部材であるので、組付面100aに沿って移動させる過程で、下垂した電源ケーブル101と組付面100aとの狭い隙間に入り込み、その突出部28で電源ケーブル101を持ち上げて側部領域100cに掬い上げることができる。したがって、この第2処理によれば、ファン100の組付面100a側に下垂した電源ケーブル101を、ファン100の当該組付面100aと異なる側部領域100cに掬い上げることで、確実に電源ケーブル101がファン100の下敷きにならないようにすることができる。
【0036】
また、第2処理では、リムーバ21を組付面100aに沿って移動させる過程において、リムーバ21の突出部28を縁100c2よりも低い位置から縁100c2よりも高い位置へと上昇させる。ここで、突出部28は、曲面28aを有するため、電源ケーブル101の掬い上げを可能としつつ、その先端に設けられたコネクタ103の引っ掛かりに起因するファン100自体の吊り上げの発生を防止することができる。すなわち、電源ケーブル101は、ある程度持ち上げられると、曲面28aによって引っ掛かりが抑制されて、側部領域100cへと自然に落下することとなる。
【0037】
図10は、本発明の実施形態における電源ケーブル101の第3処理を説明するための斜視図である。
図10に示すように、第3処理では、リムーバ21の先端を側部領域100cの縁100c2の内側面に沿って移動させる。この第3処理によれば、第2処理において掬い上げられた電源ケーブル101を、側部領域100cの中央に向けて確実に寄せることができる。また、側部領域100cへと掬い上げた電源ケーブル101の姿勢の暴れ(乱れ)を抑えることができる。
【0038】
以上により電源ケーブル101の配線処理が終了する。上記配線処理は、第1把持装置10にリムーバ21等を追加すれば可能であるため、構成の単純化、軽量化を図ることができる。したがって、ロボットアーム6の可搬質量が小さい場合であっても、適用することができる。
第1把持装置10による配線処理が終了したら、次に、第2把持装置30による電源ケーブル101の押さえ込み処理を行う。
【0039】
図11は、本発明の実施形態における電源ケーブル101の押さえ込み処理を説明するための斜視図である。
図11に示すように、背面100b側からファン100を第2把持装置30の第2把持部32で把持しようとすると、先行してファン100の背面100bの中央部にカラー46が当接する(図6参照)。カラー46が、押し込まれると、シャフト45に設けられたキャップ46が、アーム41の他端部を引張バネ43の付勢に抗して押し返す。
【0040】
押し返されたアーム41は、回転軸42周りに回動する。これにより、アーム41の一端部が、側部領域100cに向かって倒れ込み、側部領域100cに位置する電源ケーブル101を押さえ込むことができる。なお、このとき、図11に示すように、第1把持装置10のリムーバ21を、第3処理のラインL3の終点近傍で停止させておけば、押さえ込み部31(アーム41)による電源ケーブル101の押さえ込み処理を確実に行える。
【0041】
次に、電源ケーブル101を押さえ込んだ状態で、スライドアクチュエータ37を駆動させ、一対の爪部35でファン100の側部領域100cの両側を把持する。これにより、電源ケーブル101を動かないように側部領域100cにおいて押さえ込んだ状態でファン100を把持して、ロボットアーム7によって、作業台4へ搬送することができる。
【0042】
作業台4では、図1に示すように、ロボットアーム7によって、組付面100aが下向きになるようにして、ファン100を不図示のファンユニットのベース上に載置する。このとき、電源ケーブル101はファン100の下敷きにならないよう配線処理(前処理)されているため、電源ケーブル101がファン100の組み込み作業を邪魔することはなく、ファンユニットの組み立て作業を円滑かつ容易にし得る。
【0043】
したがって、上述の本実施形態によれば、組付面100a及び可撓性を有して該組付面100a側に下垂可能な電源ケーブル101を備えるファン100を、把持可能な把持部11と、下垂した電源ケーブル101を、ファン100の組付面100aと異なる側部領域100cに掬い上げ可能な掬い上げ部20と、を有する第1把持装置10を採用することによって、ファン100を搬送してその組付面100a側を載置する際に、掬い上げ部20を用いて、ファン100の組付面100a側に下垂した電源ケーブル101をファン100の当該組付面100aと異なる側部領域100cに掬い上げることで、電源ケーブル101がファン100の下敷きにならないよう前処理することができる。
また、本実施形態によれば、側部領域100cに位置する電源ケーブル101を押さえ込み可能な押さえ込み部31と、電源ケーブル101を押さえ込んだ状態でファン100を把持可能な第2把持部32と、を有する第2把持装置30を採用することによって、側部領域100cに掬い上げた電源ケーブル101を動かないように押さえ込んで、ファン100を搬送することができる。
したがって、本実施形態の第1把持装置10及び第2把持装置30を有するワーク搬送装置1によれば、電源ケーブル101がワークの下敷きにされてしまうことを防止して組み込み作業の自動化を容易にし得る。
【0044】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0045】
例えば、本発明は、ファン100だけでなく、可撓性を有する線状部材を備える他のワークにも、もちろん適用可能である。
【符号の説明】
【0046】
1…ワーク搬送装置、5…制御部、10…第1把持装置(把持装置)、11…把持部、20…掬い上げ部、21…リムーバ(板状部材)、21a…側面、28…突出部、28a…曲面、30…第2把持装置、31…押さえ込み部、32…第2把持部、100…ファン(ワーク)、100a…組付面、100c…側部領域(所定領域)、100c1…縁、100c2…縁、101…電源ケーブル(線状部材)
【技術分野】
【0001】
本発明は、把持装置及びワーク搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ワークを把持して、作業台まで運び、何らかの装置に組み込む作業などの自動化が進められている。かかるワークの把持には、例えば、一対の爪部を有する把持装置が多用されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−86841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ワークが電子機器等で、線状部材(例えば電源ケーブル)を備える場合、当該組み込み作業の自動化は困難となる。すなわち、固定されずある程度自由にされた電源ケーブルは、その可撓性によりワークの組付面側に下垂する場合がある。そうすると、ワークの組付面側を装置本体のベース等に載置する際に、電源ケーブルがワークの下敷きにされてしまう虞がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、線状部材がワークの下敷きにされてしまうことを防止して組み込み作業の自動化を容易にし得る把持装置及びワーク搬送装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、組付面及び可撓性を有して該組付面側に下垂可能な線状部材を備えるワークを、把持可能な把持部と、上記下垂した上記線状部材を、上記ワークの上記組付面と異なる所定領域に掬い上げ可能な掬い上げ部と、を有する把持装置を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、ワークを搬送してその組付面側を載置する際に、掬い上げ部を用いて、ワークの組付面側に下垂した線状部材をワークの当該組付面と異なる領域に掬い上げることで、線状部材がワークの下敷きにならないよう前処理することができる。これにより、線状部材がワークの組み込み作業を邪魔することはなくなり、その自動化を容易にし得る。
【0007】
また、本発明においては、上記把持装置を有するワーク搬送装置を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、把持装置によって線状部材を前処理したワークを作業台等に搬送することで、ワークの組み込み作業を円滑化し得る。
【発明の効果】
【0008】
本発明の把持装置及びワーク搬送装置によれば、線状部材がワークの下敷きにされてしまうことを防止して組み込み作業の自動化を容易にし得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態におけるワーク搬送装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の実施形態における第1把持装置の構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態における第1把持装置の構成を示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態における第2把持装置の構成を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施形態における第2把持装置の構成を示す正面図である。
【図6】本発明の実施形態における第2把持装置の構成を示す断面図である。
【図7】本発明の実施形態における電源ケーブルの配線処理のためのリムーバの移動順を説明するための平面図である。
【図8】本発明の実施形態における電源ケーブルの第1処理を説明するための斜視図である。
【図9】本発明の実施形態における電源ケーブルの第2処理を説明するための斜視図である。
【図10】本発明の実施形態における電源ケーブルの第3処理を説明するための斜視図である。
【図11】本発明の実施形態における電源ケーブルの押さえ込み処理を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
[ワーク搬送装置]
図1は、本発明の実施形態におけるワーク搬送装置1の構成を示す概略図である。
ワーク搬送装置1は、ファンユニットの組み立てのために、ケース2に収容されているファン(ワーク)100を、作業台3,4に順次搬送するものである。作業台4には、ファンユニットのベース(不図示)が配置されている。ファン100は、当該ベースに載置される組付面100aと、可撓性を有して組付面100a側に下垂可能な電源ケーブル(線状部材)101と、を備える。
【0012】
ファン100は、略箱型の直方体形状を有する(後述する図7及び図8参照)。電源ケーブル101は、ファン100の組付面100aと反対側の背面100bの中央部(モータ収容部)から、組付面100aと背面100bとの間の側部領域(所定領域)100cまで、溝102によって導かれている。なお、電源ケーブル101の先端には、コネクタ103が設けられている。
【0013】
溝102は、側部領域100cの縁のうち背面100b側(組付面100aと反対側)の縁100c1まで形成されており、この縁100c1において、電源ケーブル101が固定される。電源ケーブル101は、可撓性を有しており、当該固定位置を起点として、側部領域100cを跨いで組付面100a側に下垂可能となっており、また、背面100b側にも下垂可能となっている(図7において二点鎖線で示す)。
【0014】
図1に示すように、ワーク搬送装置1は、上記構成のファン100を把持可能な、第1把持装置(把持装置)10及び第2把持装置30と、第1把持装置10及び第2把持装置30の全体の動作を制御する制御部5と、を有する。制御部5は、第1把持装置10を有するロボットアーム6と、第2把持装置30を有するロボットアーム7と、それぞれ電気的に接続されている。ロボットアーム6,7は、多関節ロボットアームであり、任意の方向に任意の姿勢でアーム先端部を移動可能な構成となっている。
【0015】
[第1把持装置]
図2は、本発明の実施形態における第1把持装置10の構成を示す斜視図である。図3は、本発明の実施形態における第1把持装置10の構成を示す断面図である。
第1把持装置10は、ファン100を把持可能な把持部11と、電源ケーブル101をファン100の組付面100aと異なる側部領域100cに掬い上げ可能な掬い上げ部20と、を有する。
【0016】
把持部11は、基体部12に設けられている。また、掬い上げ部20も、基体部12に設けられている。基体部12には、ロボットアーム6(図1参照)のアーム先端部に対して装着可能な装着部13が設けられている。また、基体部12には、把持部11によるファン100の把持の際に、側部領域100cに接触する当て材となるウレタンブロック14が設けられている。
【0017】
把持部11は、一対の爪部15を有する。図3に示すように、一対の爪部15は、それぞれ回転軸16を中心に回転自在に支持されている。また、一対の爪部15は、それぞれスライドアクチュエータ17のリンクシャフト18に係合している。本実施形態の一対の爪部15は、スライドアクチュエータ17によって、同期して開閉駆動可能な構成となっている。
【0018】
スライドアクチュエータ17は、基体部12に設けられている。本実施形態のスライドアクチュエータ17は、一対の爪部15を駆動させる駆動源としてエアシリンダを有する。エアシリンダは、例えばソレノイドバルブの開閉駆動により伸縮可能に構成されている。なお、エアシリンダへの空気の供給や、ソレノイドバルブへの駆動信号の入出力は、装着部13を介してロボットアーム6側から行われる。
【0019】
掬い上げ部20は、ファン100の電源ケーブル101を掬い上げ可能なリムーバ(板状部材)21を有する。リムーバ21は、図2に示すように、スライドガイド22によって、その長さ方向に移動可能な構成となっている。スライドガイド22は、リムーバ21に設けられたガイドピン23をガイドするガイド溝24を有する。
【0020】
また、リムーバ21は、圧縮バネ25を支持するスプリングブラケット26を有する。スプリングブラケット26及び圧縮バネ25は、基体部12に設けられたシャフト27とスライド自在に係合している。シャフト27は、リムーバ21と平行に配設されている。リムーバ21は、スライドガイド22によって長さ方向に移動可能で、且つ、過度に押し込まれた際には圧縮バネ25が基体部12との間の緩衝材として機能するよう構成されている。
【0021】
リムーバ21は、側面21aの一部が幅方向外方に突出した突出部28を備える略板形状を呈する。突出部28は、リムーバ21の長さ方向先端部に設けられている。突出部28は、図3に示すように、長さ方向一方側(先端部側)に向かうに従って側面21aに沿う基準平面Xに対する傾きが漸次小さくなる曲面28aを有する。
具体的には、曲面28aは、始めは、基準平面Xに対して交差する傾き(略60°程度)を有するが、長さ方向一方側に向かうに従って漸次傾きが小さくなり、終いは、基準平面Xに対して平行な傾き(略0°程度)となるように、長さ方向一方側に向かうに従って滑らかに傾斜が変化している。
【0022】
[第2把持装置]
図4は、本発明の実施形態における第2把持装置30の構成を示す斜視図である。図5は、本発明の実施形態における第2把持装置30の構成を示す正面図である。図6は、本発明の実施形態における第2把持装置30の構成を示す断面図である。
【0023】
第2把持装置30は、ファン100の側部領域100cに位置する電源ケーブル101を押さえ込み可能な押さえ込み部31と、電源ケーブル101を押さえ込んだ状態でファン100を把持可能な第2把持部32と、有する。押さえ込み部31は、基体部33に設けられている。また、第2把持部32も、基体部33に設けられている。基体部33には、ロボットアーム7(図1参照)のアーム先端部に対して装着可能な装着部34が設けられている。
【0024】
第2把持部32は、所定方向に近接離間可能な一対の爪部35を有する。一対の爪部35には、それぞれファン100の背面100bと当接可能なストッパ36が設けられている。この一対の爪部35は、スライドアクチュエータ37によって、当該所定方向にスライド駆動可能な構成となっている。
【0025】
スライドアクチュエータ37は、基体部33に設けられている。本実施形態のスライドアクチュエータ37は、一対の爪部35を駆動させる駆動源としてエアシリンダを有する。エアシリンダは、例えばソレノイドバルブの開閉駆動により伸縮可能に構成されている。なお、エアシリンダへの空気の供給や、ソレノイドバルブへの駆動信号の入出力は、装着部34を介してロボットアーム7側から行われる。
【0026】
押さえ込み部31は、アーム41を有する。図6に示すように、アーム41は、回転軸42を中心に回転自在に支持されている。アーム41の回転軸42を挟んだ一方側は、略L字状に屈曲しており、ファン100の側部領域100cに当接可能な構成となっている。アーム41の回転軸42を挟んだ他方側は、引張バネ43の一端部と接続されている。引張バネ43の他端部は、基体部33に設けられたバネポスト44と接続されている。
【0027】
押さえ込み部31は、一対の爪部35の間に設けられたシャフト45を有する(図5参照)。シャフト45は、基体部33に形成された貫通孔33aに沿ってスライド自在な構成となっている(図6参照)。シャフト45の一端部には、ファン100の背面100bと当接可能なカラー46が設けられており、シャフト45の他端部には、回転軸42と引張バネ43との間においてアーム41と当接可能なキャップ46が設けられている。
【0028】
[ワーク搬送動作]
続いて、上記構成の第1把持装置10及び第2把持装置30を有するワーク搬送装置1によるワーク搬送動作について説明する。なお、特に断りが無い限り、制御部5が、主体者として以下の動作を制御する。
なお、制御部5は、第1把持装置10及び第2把持装置30と、それぞれ電気的に接続されており、エアシリンダへの空気の供給や、不図示のソレノイドバルブへの駆動信号の入出力によりスライドアクチュエータ17,37の駆動を制御する構成となっている。
【0029】
先ず、図1に示すように、ケース2に収容された複数のファン100のうちの一つを作業台3の上に載置する。
より詳しくは、先ず、ロボットアーム6によって、ファンの100の上方に第1把持装置10を移動させる。その後、第1把持装置10を降下させた後、スライドアクチュエータ17を駆動させ、一対の爪部15でファン100の側部領域100cの両側を把持する。なお、このとき、リムーバ21が、ケース2や他のファン100に接触しても、スライドガイド22によってその長さ方向に自在にスライドするため、当該把持を阻害することはない。
【0030】
把持部11でファン100を把持したら、第1把持装置10を上昇させ、作業台3の上方に移動させる。その後、第1把持装置10を降下させ、一対の爪部15を開き、作業台3の上に、ファン100をその側部領域100cが上方を向くようにして載置する。
なお、ファン100や作業台3の位置の認識には、制御部5に予め記憶されている座標データに基づいて導出する手段や、搬送エリア上方に設けた不図示の撮像カメラからの画像データを画像処理して導出する手段等を用いることができる。
【0031】
作業台3の上に、ファン100をその側部領域100cが上方を向くようにして載置したら、次に、第1把持装置10の掬い上げ部20による電源ケーブル101の配線処理(ファンユニットへの組み付けの前処理)を行う。
図7は、本発明の実施形態における電源ケーブル101の配線処理のためのリムーバ21の移動順を説明するための平面図である。
【0032】
図7に示すように、電源ケーブル101の配線処理は、側部領域100cの縁のうち組付面100aと反対側の縁100c1に沿ってリムーバ21を移動させる第1処理(ラインL1で示す)と、組付面100aに沿ってリムーバ21を移動させる第2処理(ラインL2で示す)と、側部領域100cの縁のうち組付面100a側の縁100c2に沿ってリムーバ21を移動させる第3処理(ラインL3で示す)と、を含む。
【0033】
図8は、本発明の実施形態における電源ケーブル101の第1処理を説明するための斜視図である。
図8に示すように、第1処理では、リムーバ21の先端を側部領域100cの縁100c1の上面に当接させつつ、リムーバ21を縁100c1に沿って移動させる。電源ケーブル101が背面100b側に下垂している場合(図7において二点鎖線で示す)、その一部は縁100c1の上面に跨ることとなるため、ラインL1でリムーバ21を移動させれば、その一部と接触でき、背面100b側から側部領域100c側に電源ケーブル101を寄せることができる。
【0034】
図9は、本発明の実施形態における電源ケーブル101の第2処理を説明するための斜視図である。
電源ケーブル101が組付面100a側に下垂している場合(図7において二点鎖線で示す)、固定位置(溝102)との関係で背面100b側よりも下垂の程度が大きくなる。このため、第1処理と同様に、組付面100a側の縁100c2の上面をリムーバ21の先端でなぞるだけでは、組付面100a側に下垂した電源ケーブル101を側部領域100cに寄せることができない。
【0035】
そこで、第2処理では、図9に示すように、リムーバ21を組付面100aに沿って移動させる。リムーバ21は、板状部材であるので、組付面100aに沿って移動させる過程で、下垂した電源ケーブル101と組付面100aとの狭い隙間に入り込み、その突出部28で電源ケーブル101を持ち上げて側部領域100cに掬い上げることができる。したがって、この第2処理によれば、ファン100の組付面100a側に下垂した電源ケーブル101を、ファン100の当該組付面100aと異なる側部領域100cに掬い上げることで、確実に電源ケーブル101がファン100の下敷きにならないようにすることができる。
【0036】
また、第2処理では、リムーバ21を組付面100aに沿って移動させる過程において、リムーバ21の突出部28を縁100c2よりも低い位置から縁100c2よりも高い位置へと上昇させる。ここで、突出部28は、曲面28aを有するため、電源ケーブル101の掬い上げを可能としつつ、その先端に設けられたコネクタ103の引っ掛かりに起因するファン100自体の吊り上げの発生を防止することができる。すなわち、電源ケーブル101は、ある程度持ち上げられると、曲面28aによって引っ掛かりが抑制されて、側部領域100cへと自然に落下することとなる。
【0037】
図10は、本発明の実施形態における電源ケーブル101の第3処理を説明するための斜視図である。
図10に示すように、第3処理では、リムーバ21の先端を側部領域100cの縁100c2の内側面に沿って移動させる。この第3処理によれば、第2処理において掬い上げられた電源ケーブル101を、側部領域100cの中央に向けて確実に寄せることができる。また、側部領域100cへと掬い上げた電源ケーブル101の姿勢の暴れ(乱れ)を抑えることができる。
【0038】
以上により電源ケーブル101の配線処理が終了する。上記配線処理は、第1把持装置10にリムーバ21等を追加すれば可能であるため、構成の単純化、軽量化を図ることができる。したがって、ロボットアーム6の可搬質量が小さい場合であっても、適用することができる。
第1把持装置10による配線処理が終了したら、次に、第2把持装置30による電源ケーブル101の押さえ込み処理を行う。
【0039】
図11は、本発明の実施形態における電源ケーブル101の押さえ込み処理を説明するための斜視図である。
図11に示すように、背面100b側からファン100を第2把持装置30の第2把持部32で把持しようとすると、先行してファン100の背面100bの中央部にカラー46が当接する(図6参照)。カラー46が、押し込まれると、シャフト45に設けられたキャップ46が、アーム41の他端部を引張バネ43の付勢に抗して押し返す。
【0040】
押し返されたアーム41は、回転軸42周りに回動する。これにより、アーム41の一端部が、側部領域100cに向かって倒れ込み、側部領域100cに位置する電源ケーブル101を押さえ込むことができる。なお、このとき、図11に示すように、第1把持装置10のリムーバ21を、第3処理のラインL3の終点近傍で停止させておけば、押さえ込み部31(アーム41)による電源ケーブル101の押さえ込み処理を確実に行える。
【0041】
次に、電源ケーブル101を押さえ込んだ状態で、スライドアクチュエータ37を駆動させ、一対の爪部35でファン100の側部領域100cの両側を把持する。これにより、電源ケーブル101を動かないように側部領域100cにおいて押さえ込んだ状態でファン100を把持して、ロボットアーム7によって、作業台4へ搬送することができる。
【0042】
作業台4では、図1に示すように、ロボットアーム7によって、組付面100aが下向きになるようにして、ファン100を不図示のファンユニットのベース上に載置する。このとき、電源ケーブル101はファン100の下敷きにならないよう配線処理(前処理)されているため、電源ケーブル101がファン100の組み込み作業を邪魔することはなく、ファンユニットの組み立て作業を円滑かつ容易にし得る。
【0043】
したがって、上述の本実施形態によれば、組付面100a及び可撓性を有して該組付面100a側に下垂可能な電源ケーブル101を備えるファン100を、把持可能な把持部11と、下垂した電源ケーブル101を、ファン100の組付面100aと異なる側部領域100cに掬い上げ可能な掬い上げ部20と、を有する第1把持装置10を採用することによって、ファン100を搬送してその組付面100a側を載置する際に、掬い上げ部20を用いて、ファン100の組付面100a側に下垂した電源ケーブル101をファン100の当該組付面100aと異なる側部領域100cに掬い上げることで、電源ケーブル101がファン100の下敷きにならないよう前処理することができる。
また、本実施形態によれば、側部領域100cに位置する電源ケーブル101を押さえ込み可能な押さえ込み部31と、電源ケーブル101を押さえ込んだ状態でファン100を把持可能な第2把持部32と、を有する第2把持装置30を採用することによって、側部領域100cに掬い上げた電源ケーブル101を動かないように押さえ込んで、ファン100を搬送することができる。
したがって、本実施形態の第1把持装置10及び第2把持装置30を有するワーク搬送装置1によれば、電源ケーブル101がワークの下敷きにされてしまうことを防止して組み込み作業の自動化を容易にし得る。
【0044】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0045】
例えば、本発明は、ファン100だけでなく、可撓性を有する線状部材を備える他のワークにも、もちろん適用可能である。
【符号の説明】
【0046】
1…ワーク搬送装置、5…制御部、10…第1把持装置(把持装置)、11…把持部、20…掬い上げ部、21…リムーバ(板状部材)、21a…側面、28…突出部、28a…曲面、30…第2把持装置、31…押さえ込み部、32…第2把持部、100…ファン(ワーク)、100a…組付面、100c…側部領域(所定領域)、100c1…縁、100c2…縁、101…電源ケーブル(線状部材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組付面及び可撓性を有して該組付面側に下垂可能な線状部材を備えるワークを、把持可能な把持部と、
前記下垂した前記線状部材を、前記ワークの前記組付面と異なる所定領域に掬い上げ可能な掬い上げ部と、を有することを特徴とする把持装置。
【請求項2】
前記掬い上げ部は、側面の一部が幅方向に突出した突出部を備える板状部材を有することを特徴とする請求項1に記載の把持装置。
【請求項3】
前記突出部は、前記側面の長さ方向一方側に向かうに従って該側面に沿う基準平面に対する傾きが漸次小さくなる曲面を有することを特徴とする請求項2に記載の把持装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の把持装置を有することを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項5】
前記掬い上げ部の移動を制御する制御部を有し、
前記制御部は、前記組付面に沿って前記掬い上げ部を移動させることを特徴とする請求項4に記載のワーク搬送装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記組付面に沿う移動の前に予め、前記所定領域の縁のうち前記組付面と反対側の縁に沿って前記掬い上げ部を移動させることを特徴とする請求項5に記載のワーク搬送装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記組付面に沿う移動の後に、前記所定領域の縁のうち前記組付面側の縁に沿って前記掬い上げ部を移動させることを特徴とする請求項5または6に記載のワーク搬送装置。
【請求項8】
前記把持装置と異なる第2把持装置を有することを特徴とする請求項4〜7に記載のワーク搬送装置。
【請求項9】
前記第2把持装置は、
前記所定領域に位置する前記線状部材を押さえ込み可能な押さえ込み部と、
前記線状部材を押さえ込んだ状態で前記ワークを把持可能な第2把持部と、を有することを特徴とする請求項8に記載のワーク搬送装置。
【請求項1】
組付面及び可撓性を有して該組付面側に下垂可能な線状部材を備えるワークを、把持可能な把持部と、
前記下垂した前記線状部材を、前記ワークの前記組付面と異なる所定領域に掬い上げ可能な掬い上げ部と、を有することを特徴とする把持装置。
【請求項2】
前記掬い上げ部は、側面の一部が幅方向に突出した突出部を備える板状部材を有することを特徴とする請求項1に記載の把持装置。
【請求項3】
前記突出部は、前記側面の長さ方向一方側に向かうに従って該側面に沿う基準平面に対する傾きが漸次小さくなる曲面を有することを特徴とする請求項2に記載の把持装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の把持装置を有することを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項5】
前記掬い上げ部の移動を制御する制御部を有し、
前記制御部は、前記組付面に沿って前記掬い上げ部を移動させることを特徴とする請求項4に記載のワーク搬送装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記組付面に沿う移動の前に予め、前記所定領域の縁のうち前記組付面と反対側の縁に沿って前記掬い上げ部を移動させることを特徴とする請求項5に記載のワーク搬送装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記組付面に沿う移動の後に、前記所定領域の縁のうち前記組付面側の縁に沿って前記掬い上げ部を移動させることを特徴とする請求項5または6に記載のワーク搬送装置。
【請求項8】
前記把持装置と異なる第2把持装置を有することを特徴とする請求項4〜7に記載のワーク搬送装置。
【請求項9】
前記第2把持装置は、
前記所定領域に位置する前記線状部材を押さえ込み可能な押さえ込み部と、
前記線状部材を押さえ込んだ状態で前記ワークを把持可能な第2把持部と、を有することを特徴とする請求項8に記載のワーク搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−27945(P2013−27945A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164338(P2011−164338)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(390029805)THK株式会社 (420)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(390029805)THK株式会社 (420)
【Fターム(参考)】
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