説明

抑草地盤の施工方法

【課題】抑草地盤の施工現場において、搬入された抑草材が、包装袋から取り出された後に残存する使用済みの包装袋をゴミ化させることなく、これを抑草資材として施工現場で有効活用でき得るようになし、施工現場において発生する抑草材を取り出した後に残存する使用済みの包装袋の回収及び廃棄処理などの後始末の現場作業を消滅させて抑草地盤での施工上の作業能率を向上させる。
【解決手段】浄水処理ケーキを粉砕してなる粉粒状浄水処理ケーキに土壌固化材、天然有機素材を混合するなどの抑草性組成材からなる抑草材を、生分解性プラスチックなどの自然分解性材料を素材として製造された包装袋をもって袋詰め包装し、抑草地盤の施工現場において、搬入して包装袋から抑草材を取り出した後に残存する当該使用済みの包装袋を抑草地盤の最下層に並列状に敷設し、しかる後に前記包装袋から取り出してなる抑草材を積層状に敷設して舗装する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩道などにおける植え込み、公園や学校などにおけるグラウンド、未舗装道路、その他の特定地において、雑草の発生を抑制するために行う抑草地盤の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、雑草の発生を抑制するための施工は、施工現場に抑草性組成物を主材とする抑草材を必要量搬入して、該抑草材を特定地に敷設して抑草地盤を構築するのが通例である。
【0003】
その際、所要の抑草材は、例えば10〜20kgなどの所定量毎に適宜な包装袋に袋詰め包装された状態で施工現場に搬入されるものであることから、施工現場において抑草材を包装袋から取り出した後には、使用後の包装袋がゴミとなって多量に残存することとなる。それがために、施工現場においては抑草材を取り出した後に残存する使用済みの包装袋を回収し、その後廃棄処理するなどの後始末が不可避的に現場作業として付随することとなり、施工上煩わしく作業能率の向上を妨げる一因となっているという問題があった。
【特許文献1】特開平8−291014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、如上の問題を解消すべく案出したものであって、抑草地盤の施工現場において、搬入された抑草材が、包装袋から取り出された後に残存する使用済みの包装袋をゴミ化させることなく、これを抑草資材として施工現場で有効活用でき得るようになし、施工現場において発生する抑草材を取り出した後に残存する使用済みの包装袋の回収及び廃棄処理などの後始末の現場作業を消滅させて施工上の作業能率を向上させることのできる有益な抑草地盤の施工方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る抑草地盤の施工方法は、浄水処理ケーキを粉砕してなる粉粒状浄水処理ケーキに土壌固化材、天然有機素材を混合するなどの抑草性組成材からなる抑草材を、生分解性プラスチックなどの自然分解性材料を素材として製造された包装袋をもって袋詰め包装し、抑草地盤の施工現場において、搬入して包装袋から抑草材を取り出した後に残存する当該使用済みの包装袋を抑草地盤の最下層に並列状に敷設し、しかる後に前記包装袋から取り出してなる抑草材を積層状に敷設して舗装することを最も主要な特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る抑草地盤の施工方法によれば、抑草材を包装する包装袋を自然分解性材料をもって製造することにより、抑草地盤の施工現場において、搬入した包装袋に包装されてなる抑草材の当該抑草材を取り出した後の使用済みの包装袋を抑草地盤の最下層の抑草資材として自然環境を阻害するおそれなく有効活用することができることから、使用済みの包装袋のごみ化を消滅させて施工能率を向上することができ、また、所定期間内、宿根性雑草に対する出芽抑制の抑草効果を強化することができる一石二鳥の優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
本発明方法の実施に使用する抑草材を袋詰め包装する包装袋は、生分解性プラスチックなどの自然分解性材料を素材として製造されるものである。生分解性プラスチックなどの自然分解性材料は、自然界においてそのまま土壌中の微生物の作用によって分解され、肥料養分として土に還える特性を有するものである。その基本構成は、例えば、澱粉粉末、エチレン酢酸ビニル共重合体、増強ポリエチレン樹脂、天然油脂などからなる生分解性合成樹脂組成物である。澱粉粉末としては、一般にとうもろこし澱粉、小麦澱粉、米澱粉、じゃがいも澱粉、甘藷澱粉、タビオカ澱粉などの穀物類、野菜類から得られる各種の天然澱粉が挙げられる。本発明の実施にあっては、土壌中において微生物による分解に1〜2年の期間を要する分解速度の遅い自然分解性材料を用いることが好ましい。
【0009】
また、本発明方法の実施に使用する抑草材は、その種類、成分を限定するものではないが、例えば、浄水処理ケーキを粉砕して篩い分けし、それを加熱、乾燥した強い撥水性を有する粉粒状浄水処理ケーキを主原料にして、それに土壌固化材及び植物生長抑制作用(アレロパシー活性)を持つ天然有機素材を混合するなどして得られた抑草性組成材からなるものが優れた抑草効果を有し好適である。
【0010】
浄水処理ケーキは、浄水場において浄水を製造する際に、汚濁物質として浄水から分離されるものであり、該浄水処理ケーキを粒径10mm以下に粉砕し、篩い分けして粒径粒径4.5mm以上10mm以下の粗粒物と粒径4.5mm未満の粉末物とを混合したものが、粉粒状浄水処理ケーキである。本来、廃棄物である浄水処理ケーキの有効利用である。
【0011】
土壌固化材は、セメント系土壌固化材、石灰系土壌固化材、マグネシウム系土壌固化材、石膏系土壌固化材の一種または二種以上の混合物からなるものである。
【0012】
植物生長抑制作用(アレロパシー活性)を持つ天然有機素材は、例えば、コーヒー粕、モミガラ、針葉樹のオガクズなどが挙げられる。
【0013】
上記のような抑草性組成材からなる抑草材は、透水性を有すると共にシリカ、酸化アルミニウム、マグネシウムを多量に含有することから、土粒子間の水分枯渇化とリン酸吸収能によるリン酸欠乏土壌を形成することができ、これにより、飛散種子に対して発芽を抑制することができると共に宿根性雑草に対して固化力により物理的に出芽を抑制することができる。
【0014】
そして、上記のように構成された抑草材は、前記した自然分解性材料を素材として製造された生分解性プラスチック製の包装袋を用いてこれに袋詰め包装される。
【0015】
次に、上記に例示してなる抑草資材を用いて本発明に係る抑草地盤の施工方法を説明する。
【0016】
雑草の発生を抑制したい場所を抑草地盤とするため、その施工現場において、搬入した抑草材を該抑草材を袋詰め包装してなる包装袋から取り出し、しかる後に、抑草材を取り出した後に残存する使用済みの包装袋を、裸地或いは前もって自生雑草を刈り取るなどして取り除いた土壌表面に並列状に敷設して、該使用済みの包装袋をもって抑草地盤の最下層を形成する。
【0017】
ここにおいて、当該土壌表面は、必要に応じて掘り下げ窪地となした上で施工を行うことも可能である。このような施工を実施すると、抑草地盤の表面をその周囲の土壌表面と均等に設定することができる。
【0018】
また、使用済みの包装袋を土壌表面に敷設するに先立って前もって多数の針穴を設けるように加工し、透水性を付与するように構成することも必要に応じて適宜に実施することができる。
【0019】
その後に、前記したような抑草材を水と混練りした上で、該抑草材を上記の並列状に敷設してなる包装袋上に、例えば2〜6cmの適宜厚みを持って積層状に敷設し、そしてこれを鎮圧、固化させて抑草地盤を構築し舗装する。
【0020】
このような施工方法によって得られる抑草地盤は、その地盤表面からの雑草の発生及び飛来種子からの雑草の発生、定着を抑制することができる。のみならず、抑草地盤の最下層に敷設した自然分解性材料からなる包装袋が自然分解する迄の期間に亘って、宿根性雑草や雑草地下茎、更には埋没種子などから出芽する雑草の発生の抑制を強化することができ、優れた雑草の発生抑制効果を奏することができる。
【0021】
また、抑草地盤の施工に際して、抑草材を袋詰め包装してなる包装袋を、施工現場において抑草材を取り出した後に残存する使用済みとなった当該包装袋を抑草資材として有効活用してゴミ化することを消滅し得て、後始末を無くして施工能率を向上でき、きわめて有益な優れた抑草地盤の施工方法である。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
浄水処理ケーキを粉砕してなる粉粒状浄水処理ケーキに土壌固化材、天然有機素材を混合するなどした抑草性組成材からなる抑草材を、生分解性プラスチックなどの自然分解性材料を素材として製造された包装袋をもって袋詰め包装し、抑草地盤の施工現場において、搬入して包装袋から抑草材を取り出した後に残存する当該使用済みの包装袋を抑草地盤の最下層に並列状に敷設し、しかる後に前記包装袋から取り出してなる抑草材を積層状に敷設して舗装することを特徴とする抑草地盤の施工方法。