説明

投てき型玩具

【課題】 球遊びをしながら子供の活発な動作を誘発し、かつ安全な投てき型玩具を提供する。
【解決手段】 球体13を先端に収容して長手形状のアーム部材14に保持し、アーム部材14の他端を回転軸15に軸支し、長手方向に伸縮可能な伸縮部材13aを球体13に一端で接続しかつ回転軸15に他端で接続し、回転軸15の回転を弾性体で付勢しておき、弾性体である輪ゴム16による回転軸15の回転をロック機構部17により阻止しておき、ロック機構部17による回転軸15の回転の阻止をレバー部材19により解除することで、弾性体である輪ゴム16に蓄積された弾性エネルギにより回転軸15を回転させ、回転軸15の回転によりアーム部材14と球体13とを回転させ、球体13に運動エネルギを与えて球体13を飛翔させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投てき型玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、子供の活発な動作を誘発する玩具としては、球遊びを伴う玩具が知られている(特許文献1参照)。特許文献1には、投入口やバスケットゴールに球を投入したり、スロープで球を落下させる球遊びなどによって遊べる知育玩具について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−160063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の玩具にあっては、投入口やバスケットゴールに球を投入したり、スロープで球を落下させる遊びでは、子供が球そのものに興味を持ち、ついには飲み込んでしまうといったことが考えられる。
【0005】
そこで、球遊びをしながら子供の活発な動作を誘発し、かつ安全な玩具の提供が望まれている。本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、球遊びをしながら子供の活発な動作を誘発し、かつ安全な投てき型玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の投てき型玩具は、球体に一端が接続され、長手方向に伸縮可能な伸縮部材と、伸縮部材の回転を付勢する弾性体と、弾性体による伸縮部材の回転を阻止するロック機構部と、ロック機構部による伸縮部材の回転の阻止を解除する解除手段と、を備える。
【0007】
また、本発明の投てき型玩具において、球体を先端に収容して保持する長手形状のアーム部材を有し、アーム部材は、伸縮部材と連動して回転することが好ましい。また、解除手段により伸縮部材の回転の阻止が解除された場合に、アーム部材の動作範囲を規制するストッパ部材が設けられていることが好ましい。また、解除手段により伸縮部材の回転の阻止が解除された場合に、弾性体が収縮することに連動して伸縮部材が回転され、伸縮部材の回転に連動して球体が所定位置まで回転され、伸縮部材が伸張することが好ましい。また、解除手段により伸縮部材の回転の阻止が解除された場合に、弾性体が収縮することに連動して伸縮部材が回転され、伸縮部材の回転に連動してアーム部材の先端と球体とが所定位置まで回転され、伸縮部材が伸張するものでもよい。
【0008】
また、本発明の投てき型玩具において、ロック機構部は、伸縮部材と連動するつめ車と、つめ車の位置を固定する止めづめを有するレバー部材と、を備えることが好ましい。また、伸縮部材は、アーム部材の先端と球体との間に接続されるひも体であることが好ましい。また、伸縮部材は、外径が異なる複数の円筒体を収容してなり、球体からの引き出し力に連動して収容されている円筒体が順次に引き出されるものでもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る投てき型玩具によれば、楽しみを喚起することができ、球遊びをしながら子供の活発な動作を誘発し、かつ安全な投てき型玩具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態による投てき型玩具の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態による投てき型玩具の一例を側面から見た状態の側面図である。
【図3】本発明の実施形態による投てき型玩具の一例であり、投てき前の待機状態の側面図である。
【図4】本発明の実施形態による投てき型玩具の一例であり、投てき直後の結果状態の側面図である。
【図5】本発明の実施形態による投てき型玩具の一例であり、投てき直後の結果状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態の説明の全体を通じて同じ要素には同じ符号を付して説明する。各図に示す3次元の座標系において、z軸は例えば地球の重力と逆方向を示し、x軸は投てき型玩具の正面に対して右方向を示し、y軸は投てき型玩具の正面に対して奥行き方向とは逆方向を示している。
【0012】
図1は、本発明の実施形態による投てき型玩具の一例を示す斜視図である。図1に示す投てき型玩具11は、4つの車輪を軸支するフレーム12を備えている。フレーム12の略中央には、ストッパ12bと、伸縮部材13aと、アーム部材14と、回転軸15と、輪ゴム16とを備えている。
【0013】
アーム部材14は、球体13を先端のホルダ14aに収容して保持する長手形状をしている。回転軸15は、アーム部材14の他端を軸支している。伸縮部材13aは、球体13に一端が接続され、回転軸15に他端が接続され、長手方向に伸縮可能な所定の伸張可能長を有しており、伸縮部材13aの内部には、外径が異なる複数の円筒体13b、13cを収容している。輪ゴム16は、回転軸15の周りに沿って一部が突起部15aに引っかけて取り付けられ、回転軸15の回転を付勢する弾性体であり、他端を凹部12aに導き、フレーム12に設けられた突起部(図示しない)に引っかけて取り付けられており、十分な弾性エネルギが蓄積されていることとする。
【0014】
また、フレーム12には、アーム部材14の稼働範囲を角度θに制限するためのストッパ12bが設けられている。さらに、フレーム12の略中央には、輪ゴム16の収縮力による回転軸15の回転を阻止するロック機構部17を備えている。このロック機構部17は、回転軸15の側面に設けられたつめ車18と、つめ車18にかけて位置を固定する止めづめ19aを有するレバー部材19とを有している。なお、投てき型玩具11の各部は、例えば樹脂から作られる構成である。
【0015】
図2〜図5を参照して、上述したように構成された投てき型玩具11の動作について説明する。まず、図2は、本発明の実施形態による投てき型玩具の一例を側面から見た状態の側面図である。詳しくは、図2において、アーム部材14のホルダ14aの頂点は位置Aにあり、アーム部材14はフレーム12に対して直角をなしており、輪ゴム16の両端がそれぞれ回転軸15の突起部15aとフレーム12に設けられた突起部(図示しない)に引っかけてある程度の収縮力を持たせながら取り付けられる。図2に示す状態では、アーム部材14が軸支されている回転軸15に輪ゴム16の収縮力が加わっている。
【0016】
図2に示す姿勢状態において、球体13とホルダ14aとを例えば指で摘み、F方向に力を加えると、回転軸15を中心に球体13とホルダ14aとが−x方向に回転し、図3に示す位置まで回転する。次いで、レバー部材19を指で摘み、R方向に力を加えると、レバー部材19に設けられた止めづめ19aがつめ車18に係合して位置が固定される。この結果、投てき型玩具11は、図3に示すような投てき前の待機状態になる。
【0017】
図3は、本発明の実施形態による投てき型玩具の一例であり、投てき前の待機状態の側面図である。アーム部材14のホルダ14aの頂点は位置Bにあり、位置A−B間のなす角度、すなわち、ホルダ14a(球体13)の稼働範囲角度がθであることが解る。投てき型玩具11が投てき前の待機状態になると、回転軸15が角度θだけ回転し、輪ゴム16は角度θに相当する長さ分だけ弾性エネルギが増加することになる。
【0018】
次に、レバー部材19を指で摘み、L方向に力を加えると、レバー部材19に設けられた止めづめ19aがつめ車18から解放される。止めづめ19aがつめ車18から解放されると、輪ゴム16に蓄積されている弾性エネルギが解放されて回転軸15を回転させ、アーム部材14のホルダ14aの頂点の位置が位置Bから位置Aに移動する。すなわち、アーム部材14のホルダ14aに収納されている球体13の位置が位置Bから位置Aに移動し、角度θに相当する長さ分だけの弾性エネルギの一部が球体13の回転運動のエネルギに転化する。
【0019】
次に、アーム部材14のホルダ14aと球体13とが位置Aまで移動すると、アーム部材14の稼働範囲角度がθであり、アーム部材14がフレーム12に設けられたストッパ12bに衝突してその動きが停止する。アーム部材14が位置Aで動きを停止すると、ホルダ14aに収容されている球体13が解放されx軸方向への運動を開始する。アーム部材14の動作範囲を規制するストッパ12bを設けることで、アーム部材14が必要以上に稼動することを阻止し、球体13の飛翔を妨げることがなく、より自然な形で球体を飛翔させることができる。
【0020】
図4は、本発明の実施形態による投てき型玩具の一例であり、投てき直後の結果状態の側面図である。図4に示す位置Aにおいて、球体13が解放されx軸方向への運動を開始し、同時に、球体13のx軸方向への運動により伸縮部材13aが長手方向に伸ばされ、徐々に伸縮部材13aが長く伸び、同時に、球体13は−z軸方向に自由落下を開始する。
【0021】
次に、伸縮部材13aはフレーム12の先端部12cに衝突してその動きを停止する。この結果、図4に示すように、球体13は伸縮部材13aの伸張可能長となる位置Cまで伸張して到達する。詳しくは、図4に示すように、伸縮部材13aは、外径が異なる複数の円筒体13b、13cを収容してなり、球体13からの引き出し力に連動して収容されている円筒体13b、13cが順次に引き出されるので、複数の円筒体13b、13cが伸張可能長まで伸張して球体13を飛翔させることができる。
【0022】
図5は、本発明の実施形態による投てき型玩具の一例であり、投てき直後の結果状態を示す斜視図である。球体13は位置Cにあり、位置A−C間のなす角度、すなわち、球体13の運動範囲角度がθであることが解る。
【0023】
図2〜図3に示すように、球体13を先端に収容して長手形状のアーム部材14に保持し、アーム部材14の他端を回転軸15に軸支し、長手方向に伸縮可能な伸縮部材13aを球体13に一端で接続しかつ回転軸15に他端で接続し、回転軸15の回転を弾性体で付勢しておき、弾性体である輪ゴム16による回転軸15の回転をロック機構部17により阻止しておき、図4に示すように、ロック機構部17による回転軸15の回転の阻止をレバー部材19により解除することで、弾性体である輪ゴム16に蓄積された弾性エネルギにより回転軸15を回転させ、回転軸15の回転によりアーム部材14と球体13とを回転させ、球体13に運動エネルギを与えて球体13を飛翔させることができ、このことにより楽しみを喚起することができ、球遊びをしながら子供の活発な動作を誘発し、かつ安全な投てき型玩具を提供することができる。なお、本実施の形態では、球体13を先端に収容するアーム部材14を設けたが、必ずしもこれに限られることはない。例えば、アーム部材14を設けず、回転軸15の回転により球体13を回転させ、球体13に運動エネルギを与えて球体13を飛翔させる構成としてもよい。
【0024】
また、レバー部材19により回転軸15の回転の阻止が解除された場合に、弾性体である輪ゴム16が収縮することに連動して回転軸15が回転され、回転軸15の回転に連動してアーム部材14の先端と球体13とが所定位置まで回転され、球体13が所定位置まで回転された後に、球体13が飛翔するとともに、図4に示すように、伸縮部材13aの伸張可能長まで伸張する。このことにより楽しみを喚起することができ、球遊びをしながら子供の活発な動作を誘発し、かつ安全な投てき型玩具を提供することができる。
【0025】
さらに、ロック機構部17は、回転軸15の側面につめ車18を設け、つめ車18にかけて位置を固定する止めづめ19aをレバー部材19に有するので、回転軸15の回転の阻止を解除することができ、投てき型玩具の利用者に興味性が増し、投てき型玩具により楽しみを喚起することができる。
【0026】
伸縮部材13aは、外径が異なる複数の円筒体13b、13cを収容してなり、球体13からの引き出し力に連動して収容されている円筒体13b、13cが順次に引き出されるので、複数の円筒体13b、13cが伸張可能長まで伸張して球体13を飛翔させることができ、このことにより楽しみを喚起することができ、球遊びをしながら子供の活発な動作を誘発し、かつ安全な投てき型玩具を提供することができる。
【0027】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明に係る投てき型玩具は上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変化が可能である。例えば、本実施例では、球体に一端が接続され、回転軸に他端が接続され、長手方向に伸縮可能な伸縮部材13aを設けているので、球体に運動エネルギを与えて球体を伸縮部材13aの伸張可能長まで伸張させることができるという構造を示したが、逆に、アーム部材の先端と球体との間に接続されるひも体を設けることで、球体に運動エネルギを与えて球体をひも体の有効長まで飛翔させることができるという構造としてもよい。また、本実施例では、伸縮部材13aと弾性体である輪ゴム16との間に回転軸15を設ける構成としたが、弾性体によって伸縮部材13aが回転するものであれば必ずしもこれに限られるものではない。例えば、伸縮部材13a自体に輪ゴム16を留める突起部等を設け、伸縮部材13aを回転可能としてもよい。また、本実施例では、回転軸15の側面につめ車18を設ける構成としたが、伸縮部材13aとつめ車18が連動するものであれば必ずしもこれに限られるものではない。例えば、伸縮部材13aとつめ車18の間に回転軸15を設けず、伸縮部材13a自体につめ車18を設けてもよい。
【0028】
また、本発明にかかる投てき型玩具は、樹脂から作られる構成としたが、本発明はこれに限定されず、金属や木材などから作られても良い。
【符号の説明】
【0029】
11 投てき型玩具
12 フレーム
13 球体
13a 伸縮部材
14 アーム部材
15 回転軸
16 輪ゴム
17 ロック機構部
18 つめ車
19 レバー部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
球体に一端が接続され、長手方向に伸縮可能な伸縮部材と、
前記伸縮部材の回転を付勢する弾性体と、
前記弾性体による前記伸縮部材の回転を阻止するロック機構部と、
前記ロック機構部による前記伸縮部材の回転の阻止を解除する解除手段と、を備えることを特徴とする投てき型玩具。
【請求項2】
球体を先端に収容して保持する長手形状のアーム部材と、
前記球体に一端が接続され、前記アーム部材と連動して回転し、長手方向に伸縮可能な伸縮部材と、
前記伸縮部材の回転を付勢する弾性体と、
前記弾性体による前記伸縮部材の回転を阻止するロック機構部と、
前記ロック機構部による前記伸縮部材の回転の阻止を解除する解除手段と、を備えることを特徴とする投てき型玩具。
【請求項3】
請求項1において、
前記解除手段により前記伸縮部材の回転の阻止が解除された場合に、前記弾性体が収縮することに連動して前記伸縮部材が回転され、前記伸縮部材の回転に連動して前記球体が所定位置まで回転され、前記伸縮部材が伸張する投てき型玩具。
【請求項4】
請求項2において、
前記解除手段により前記伸縮部材の回転の阻止が解除された場合に、前記アーム部材の動作範囲を規制するストッパ部材が設けられている投てき型玩具。
【請求項5】
請求項2において、
前記解除手段により前記伸縮部材の回転の阻止が解除された場合に、前記弾性体が収縮することに連動して前記伸縮部材が回転され、前記伸縮部材の回転に連動して前記アーム部材の先端と前記球体とが所定位置まで回転され、前記伸縮部材が伸張する投てき型玩具。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項において、
前記ロック機構部は、
前記伸縮部材と連動するつめ車と、
前記つめ車の位置を固定する止めづめを有するレバー部材と、を備える投てき型玩具。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、
前記伸縮部材は、前記アーム部材の先端と前記球体との間に接続されるひも体である投てき型玩具。
【請求項8】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、
前記伸縮部材は、外径が異なる複数の円筒体を収容してなり、前記球体からの引き出し力に連動して収容されている円筒体が順次に引き出される投てき型玩具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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