説明

投与部材を容器の開口部に固定するための固定部材、およびこうした固定部材を有するディスペンサ

投与部材(3)を容器(2)の開口部(20)に固定するための固定部材(100)であって、投与部材を収容するよう設計された手段(132)と、容器の開口部に係合し、その中で耐漏洩様態の接触状態を確立するよう設計されたほぼ筒状のスカート(110)とを有し、特徴となるのは、スカートには、少なくとも1つの通気口(115)がスカートの厚み分を貫通する形で設けられていることである、という前記固定部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投与部材を容器の開口部に固定するための固定部材、さらにこうした投与部材を用いたディスペンサに関する。一般的に、固定部材は、投与部材を収容するよう設計された手段(たとえばスナップ留め手段)を有する。さらに、固定部材は、容器の開口部に力を加えてはめ込まれ、その中で耐漏洩様態の接触状態を確立するよう設計されたほぼ筒状のスカートを有することにしてもよい。こうした型の固定部材は、香水、化粧品、さらには薬剤の分野の流体ディスペンサにしばしば用いられている。
【背景技術】
【0002】
特許文書EP―0 823 288号では、こうした型の投与部材が説明されている。そうした固定部材のスカートは、容器に形成された開口部の内側または外側に係合することが可能である。スカートが容器の内側に力を加えてはめ込まれる型の場合、前記スカートは、切れ目のない筒状の上側部分と縦方向に溝付けされた筒状の下側部分とを有する。縦方向の溝付け部分は、下方向に延び、スカートの下側端部まで達している。したがって、スカートが容器の開口部にはめ入れられている間に、容器の内部に存在する空気は、縦方向の溝を介してそこから抜けることができる。このようにスカートが開口部に押し込まれるにつれて、空気はそこから抜け、最終的には切れ目のない筒状の上側部分が容器の開口部に耐漏洩様態でぴったりと係合する。すると、容器の内部は耐漏洩様態で外部から隔てられる。最終的な組み立て物は、スカートに形成された径方向のカラーが容器の開口部の上側端部に受け接触した時点でできあがる。特許文書EP―0 628 355号では、類似の通気システムについて説明されている。この類似の通気システムでは、ポンプを支持する固定部材がスカートを有しており、当該スカートは、切れ目のない筒状の上側部分を備え、そしてその下には一続きとなった縦方向の溝が形成されており、これらの溝は固定部材が最終的に装着される前に容器の通気を行う働きをしている。
【0003】
特許文書EP―0 823 288号における固定部材は、さらに具体的に言えば、小さな容量のガラス製容器に装着するよう設計されている。一般的に、そうした容器はサンプル用のディスペンサである。こうした型の小さなガラスボトルに生じる問題とは、ボトルの内径の許容誤差が比較的大きいことである。結果として、スカートの下側部分に形成された縦方向の溝は、ボトルの開口部の内径が小さい場合には潰されて完全に平らになる可能性がある。こうした問題を軽減するためには、溝をより深くする、という方法も可能だが、そうすると、より厚い壁を備えたスカートを形成することが必要となり、これは、サイズの理由から、サンプルに用いることはできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、通気を実施する固定部材として別の種類のものを形作ることで、従来技術に関する上記の問題点を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するため、本発明は、スカートには、少なくとも1つの通気口がスカートの厚み分を貫通する形で設けられている、という構成を設ける。したがって、容器の内側の位置にくるスカートの内側は、通気口の上で密封状態が形成される状態にならない限り、外部に通じることが可能である。上記の従来技術の特許文書の場合とは異なり、容器から出る空気の通路は、もはやスカートの外壁に沿って延びてはおらず、それどころか、スカートの内側に、通り抜け通気口を介して延びている。
【発明の効果】
【0006】
実施の形態において、通気口は、開口部内で耐漏洩様態で接触するよう設計された径のより大きな上側部分の下に形成されていることとする。固定部材を容器の開口部に装着する操作の最終段階において通気口と外部との間の連絡を絶つのは、まさにこの径のより大きな上側部分である。その時点で密封状態が通気口の下の位置で実現されているかどうかは問題ではない。その密封状態は、通気口を通って空気が容器から出るのを妨げるわけではないからである。
【0007】
本発明の別の特徴によれば、通気口は、開口部内で耐漏洩様態で接触するよう設計された径のより大きな中間部分の位置に形成されていることとする。こうすることで、密封状態は、通気口がスカートの外壁において開いた位置で、当該通気口の周囲に直接形成することができる。中間部分の径は上側部分の径と同じにしてもよいが、上側部分の径より小さいか、または少なくとも上側部分の一部分の径よりも小さい、という径を有した中間部分を設けることも可能である。
【0008】
本発明の別の側面において、通気口は、開口部内で耐漏洩様態で接触するよう設計された径のより大きな一部を有する下側部分の上に形成されていることとする。密封状態は、耐漏洩様態の接触によって、通気口が形成された部分の下で実現できる。下側部分については、径を一定として、筒形を形成することにしてもよいが、径が場所によって変化し、少なくとも一部分では開口部に耐漏洩様態でぴったりと接触する、という形にしてもよい。下側部分の位置に耐漏洩様態の接触が確立されても、そのために容器と外部との間に通気口を介する形で存在する通路が塞がれることはない。
【0009】
変形例において、上側部分または下側部分、あるいは上側部分と下側部分とのそれぞれは、容器の開口部の中で平らになるよう設計された外向き突出ビードを形成していることとする。ビードが開口部の内壁に押し当てられ平らにされると、上側部分および/または下側部分のうち他の部分も、開口部の内壁と耐漏洩様態でぴったりと接触する、という形にすることができる。しかし、このぴったりとした接触は、平らにされたビードの位置における接触より強固である。
【0010】
本発明の別の側面において、スカートは、開口部と受け接触するよう設計された受け台フランジを形成していることとする。開口部の上側端部と受け接触するフランジは、固定部材の最終装着位置の目印となり、当該最終装着位置では、効果的な構成として、通気口が径のより大きな上側部分によって外部から隔たれている。
本発明の別の特徴によれば、上側部分には、少なくとも1つの縦方向の溝が設けられており、当該縦方向の溝の一方の端は、上側部分が容器の開口部内で耐漏洩様態で接触している場合には、通気口に通じるよう設計されていることとする。したがって、径のより大きな上側部分が貯蔵器の開口部の内壁と接触している状態であっても、通気口は、溝の上端が閉ざされてしまうまでは、なお通気機能を果たし続けることができる。さらに、溝の上端が径のより大きな上側部分の一番上、すなわち、受け台フランジのすぐ下まで伸びる、という構成を設けることも可能である。この場合には、密封状態は受け台フランジへの接触によって確立することができる。
【0011】
先述した特徴と組み合わせて実施することができる別の特徴によれば、通気口は、容器の開口部と接触しない状態を保つよう設計された径のより小さな中間部分の位置に形成されていることとする。したがって、中間部分が容器の開口部の内部にはめ入れられると、環状の隙間が形成され、この隙間は、効果的な構成として上側部分の位置に形成された溝に通じることが可能である。これによって、通気口を角度位置決め条件なしで形成することが可能となる。通気口と縦方向の溝との間の通路を確立するのは環状の隙間だからである
本発明の別の特徴によれば、内部フェルールを形成しており、投与部材の少なくとも1つの部品が静止位置において弾性的に当該フェルールに対して押し付けられることとする。
【0012】
また、本発明は、容器、投与部材、そして本発明の固定部材を有する流体ディスペンサを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を非限定的な例として示す添付図面を参照しながら、本発明に関して説明をする。
まず、図1および2を参照し、本発明の第1の実施の形態における投与部材100の構造について説明する。後で説明する図5乃至8に示すものと同じように、投与部材100は成形プラスチック素材で作ればよい。投与部材は、図2の軸A―Aを中心にほぼ円状に対称になっている。投与部材100にはほぼ筒状のスカート110が設けられている。スカート110の上向きに延びた先は、スカートとほぼ一直線上に延びるスリーブ130となっている。スリーブ130がスカート110とつながる位置に、投与部材は、内向きに延びる径方向のフランジ120を備えている。径方向フランジ120はその周縁部上で下向きに延び、ほぼ筒状のリング140を形成している。リング140自体も下向きに延び、第1に内向きに延びるショルダー150を、そして次に、受け用の下側端部170を終端とするほぼ筒状のフェルール160を形成している。スカート110、フランジ120、そしてリング140は内部リセス132を形作っているが、当該内部リセスの機能については後述する。
【0014】
スリーブ130、フランジ120、リング140、ショルダー150、フェルール160、そしてスカート110の上側部分は、図5乃至8の全ての実施の形態にも共通としてよい。本発明の要旨は、特にスカート110、さらに具体的に言えばスカートの下側部分に置かれている。
スカート110の底部から始まって、第1に下側端部分111が形成されており、当該下側端部分の外径は、効果的な構成として、固定部材100が装着されるよう設計されている貯蔵器の開口部の内径よりも小さくなっている。下側端部111の上に、スカートは移行部分112を形成しており、この例において、当該移行部分はほぼ円錐台状の外壁を有する。移行部分112の上に、スカートは下側部分113を形成しており、この例において、当該下側部分は実質的または完全に筒状である。この部分113の上に、スカートは中間部分114を形成しており、当該中間部分の位置において、図2から見てとれるように、通気口115がスカートを厚み方向に貫通する形で形成されている。この例において、中間部分114は、実質的または完全に筒状であって、切れ目のない形で下側部分113に接続されている。さらに、部分113、114の外径が同じである、という構成を設けることも可能である。部分114の上に、スカートは上側部分116を形成しており、この例において、当該上側部分には径方向外向きに突出ビード1161が設けられている。ビード1161は、上側部分116の外壁の一部分を形成しているが、上側部分116の外壁のうち他の部分は、実質的または完全に筒状にしてもよく、効果的な構成として、その外径は、中間部分114および下側部分113の径と同じにしてもよい。このことは、図1にはっきりと示されている。したがって、円錐台状の部分112の上に、スカートは筒状の部分を形成しており、当該筒状の部分の上側端部の近傍には突出ビード1161が設けられている、と言うことができる。
【0015】
上側部分116の上に、スカートは受け台フランジ117を形成しており、当該受け台フランジも同様に、径方向外向きに突き出している。前記フランジ117のさらに先の位置に、スカートはリセス部分118を形成しており、当該リセス部分は、連結フランジ120およびリング140と共に、リセス132の一部分を形成している
スカート110の内壁は、実質的または完全に筒状とすることもできる。
【0016】
以下、図3および4を参照し、図1および2の固定部材100が、投与部材を容器に固定するために貯蔵器または容器の開口部に装着されている間に、どのように相互作用するかを説明する。貯蔵器または容器2は開口部20を形作っており、当該開口部はたとえば実質的または完全に筒状の内壁21によって形作られている。開口部20は、上側端部22によって形作られている。容器は、底部によって閉ざされた筒状のドラムを有する小さなボトルとすることができる。
【0017】
投与部材3に関しては、本発明の説明に用いる例におけるように、弁またはポンプとすることができる。ポンプ3の内部構造については、本発明にとって重要ではないため、詳細には説明しない。たとえば、ポンプ3は、ポンプ本体30を有し、当該ポンプ本体の内部には入り口31が設けられたポンプ室が形作られている、という形にすればよい。このようにすれば、駆動ロッド35に設置され、ノズル37を備えたプッシャ36で覆われたピストン33は、ポンプ本体30の中をスライド移動することで、ポンプ室の容積を変化させ、室に格納された流体に圧力を加えることができる。そうすると、流体は駆動ロッド35を通って運ばれ、ノズル37で投与されることになる。たとえば、ポンプ本体30の上側端部の位置には、スナップ留めの強化部分34を設けることもできる。このスナップ留めの強化部分34は、固定部材100に形成されたリセス132にスナップ留めの形で係合するよう設計されている。ただし、これは非限定的な実施の形態にすぎない。したがって、当然のことながら、投与部材3を収容するために固定部材に設けられる手段については、他の実施の形態を考えることも可能である。しかし、この実施の形態は全体的に従来どおりのものである。
【0018】
図3は、容器2の開口部20に部分的にはめられた状態の固定部材100を示す。さらに厳密に言えば、固定部材のスカート110は、すでに部分的に開口部20にはめられており、すでにその下側部分113で内壁21と耐漏洩様態でぴったりと接触している。このようになるには、下側部分113の外径は、内壁21の内径と等しいか、またはそれより少し大きくなるようにしておかなければならない。当然のことながら、下側端部分111および移行部分112の径は両方とも、壁21の径よりも非常に小さくなっており、そのため、図3から見てとれるように中間空間が存在する。このように、下側部分113によって、固定部材と容器との間には耐漏洩様態の環状の接触状態がすでに形成されている。しかし、容器の内部は、下側部分113の上の位置にある通気口115を介して、なお外部に通じることができる。当然のことながら、ポンプ3の本体30が通気口115と接触して、これを開かないよう密封状態で閉ざしてしまう形にしてはいけない。そのために、図3に示すように、ポンプの本体30とスカート110との間には環状の自由空間が存在する。
【0019】
下側部分113の外径は、中間部分114のうち通気口115が形成された位置での外径と同じであるため、通気口115は、中間部分114が開口部20に貫入するや否や、密封状態で閉ざされる。穴115が閉ざされるや否や、容器の内部はもはや外部と通じなくなる。確立される密封状態は、下側部分113と中間部分114とを覆う筒状の部分にわたって延びる。スカート110が続けて容器に押し込まれていくにつれ、上側部分116も容器の開口部に貫入する。その結果、突出ビード1161は、容器の内側に押し付けられ、それによって極めてぴったりとした接触状態を形成する。効果的な構成として、固定部材100は大きく変形可能なプラスチック素材で作られており、そのためビード161は、開口部20の内壁21に押し付けられると、部分的または全体的に平らになる。その結果、スカート110は、図4に示されるように、内壁において変形させられ、環状に突き出した部分1163ができる。この時、上側部分116は、容器の内部で実質的または全体的に筒状となる。最終装着位置に達するのは、受け台フランジ117が容器の上側エッジ22と受け接触する時点である。この状態は図4に示されている。見てとれるように、スカート110は部分113、114、116に相当する位置では外側が完全な筒状になっている。密封状態は、これら部材全体の高さにわたって確立され、平らにされたビード1161の位置ではよりぴったりとした接触状態が生じる。
【0020】
通気口115は受け台フランジ117の近傍に置かれているため、通気口が閉ざされている状態でスカート110が開口部内部を移動する行程は短い。そのため、容器の内部で発生する余分な圧力は極めて限られている。
本発明の範囲を超えない形で、部分113、114、116の中から1つまたは2つの部分が耐漏洩様態の接触を形成する、という構成を設けることができ、その場合は、部分116が接触を形成するのが効果的である。なぜなら、当該部分116は最後に通気口を閉じるからである。
【0021】
以下、本発明の固定部材の第2の実施の形態を示す図5を参照する。第1の実施の形態の参照番号は100から始まる。第2の実施の形態に関しては、参照番号は200から始まり、他の3つの実施の形態に関しても同様である。
固定部材200には下側端部分211と移行部分212とを形作っているスカート210が設けられており、当該下側端部分211と移行部分212とは第1の実施の形態と完全に同じものである。同じことは受け台フランジ217およびリセス部分218にも当てはまる。また、この例において、下側部分213および中間部分214は、第1の実施の形態のそれら(すなわち、実質的または完全に筒状の形をしており、スカートがはめ込まれるネックの内壁21の径と等しいか、またはそれより大きい外径を有する、という下側部分および中間部分)と同じである。しかし、この例においては、上側部分216も実質的または完全に筒状となっており、中間部分214と一直線上に延びている。したがって、部分213、214、216は、実質的または完全に筒状の部分を形成しており、当該筒状の部分の径は、実質的には一定で、ネックの開口部の内径と等しいか、またはそれより少し大きくなっている。このように、ネックの内部の密封状態は、筒状の部分同士の接触、そしてそれによる通気口215の閉鎖によって確立される。
【0022】
図6は、固定部材300のスカート310を示し、当該スカート310は、図5の部分211、212、217、218にそれぞれ相当する部分311、312、317、318において、先述した実施の形態と同一である。逆に、異なる点としては、移行部分312の上で、下側部分313はほぼ筒状の第1の部分3132、それから突出ビード3131を形成しており、当該突出ビードが延びた先は、別のほぼ筒状の部分3132となっている。効果的な構成として、これら2つのほぼ筒状の部分3132の外径は等しく、当該外径は、貯蔵器の開口部の内径と同じか、またはそれより少し大きくしてもよい。突出ビード3131は、貯蔵器の内壁21に押し付けられ平らになり、たとえば図4の中では参照番号1163を付けられた突起部に相当する内部突起部を生じさせるように作られている。結果として、ビード3131は、内壁21に押し付けられ平らにされると、隣接部分3132によって形作られた筒形状の中に実質的に戻る、という形にしてもよい。第2のほぼ筒状の部分3132の上で、下側部分は第3の部分3133を形成しており、当該第3の部分の外径は、部分3132の外径よりも小さい。好ましい構成として、部分3133の径は、容器2の内壁21の径よりも小さい。したがって、部分313が貯蔵器の開口部にはめ入れられると、部分3133の外壁と内壁21との間に形作られる形で環状の隙間が開く。通気口315が形成された中間部分314は、部分3133と一直線上に延びており、その径についても、この部分3133の径と同じにさえできる。通気口315は、スカートが貯蔵器の開口部にはめ入れられた状態にある時でさえ、部分3133、314の位置に形成された環状の隙間に通じることができる。中間部分34の上にある上側部分316は、図5で参照番号216を付けられた相当部分と同じものにすることができる。言い換えれば、上側部分316は、実質的または完全に筒状であって、外径は、壁21の内径と等しいか、またはそれより少し大きい、とすることができる。効果的な構成として、部分3132、316の外径は同じである。スカートをネックにはめ入れると、環状の隙間によって隔てられた2つの筒状の密封ゾーンが出来る。先述した実施の形態と同様に、通気口315は、上側部分316が容器の開口部の内部に耐漏洩様態でぴったりと係合するまで、容器の内部と外部との間の連絡を確立している。
【0023】
図7に示す実施の形態において、スカート410は部分411、412、417、418を形成しており、これらの部分は先述した実施の形態において相当する部分と同一とすればよい。下側部分413にも、容器の内壁21に押し付けられ平らになる形で働く突出ビード4131が設けられている。ビード4131のすぐ上に、スカートは通気口415が置かれた中間部分414を形成している。この部分414の上に上側部分416があって、先述した実施の形態の場合よりも長く高さ方向に延び、実質的または完全に筒状の部分を中間部分414と一直線上の位置に形成する形になっている。そして突出ビード4161がフランジ417の近傍またはすぐ下の位置にある。溝4162は、上側部分416の一部分、または高さ方向全体にわたって延びることにしてもよい。溝は縦方向に延び、その下側端部を介して通気口415につながっている。効果的な構成として、筒状の部分における中間部分414および上側部分416の外径は、内壁21の位置における容器の内径と同じか、またはそれより少し大きい。ビード4131、4161は、前記内壁21に押し付けられ平らになるよう設計されている。このように、筒状の密封状態が実現されるが、この状態は溝4162の位置において中断されている。しかし、ビード4131の位置では、周縁部全体にわたって密封状態が実現される。同様に、密封状態は、端部エッジ22が耐漏洩様態で受け接触するフランジ417の位置において実現することにしてもよい。この実施の形態を用いれば、溝4162は、内壁21がすでに上側部分416の位置で係合している時点でさえ通気口415を外部と通じさせるため、最終装着位置に達するまで通気を行うことが可能である。溝4162は、上側部分416の位置において密封状態を中断するため、前記上側部分の主な機能は固定機能および保持機能となる。密封機能と、さらに固定機能とは、下側部分413によって行われる。しかし、溝はヘッド4161の下で終端とすることにしてもよく、そうすれば前記ビードは完全に環状の密封を行う。
【0024】
最後の実施の形態は、部分510、512、517、518を有するスカート510を実装しており、それら部分は、先述した実施の形態の相当部分と同一である。まず、下側部分513は、実質的または完全に筒状であって径が壁21の内径と等しいか、またはそれより少し大きい一部を有する。下側部分513のこの底部の外径を内壁21の内径より小さくなるよう形成し、前記底部において密封状態とならないようにすることも可能である。部分513のうち、この底部より上の位置には、径が壁21よりも小さいもう1つの上部を形成していてもよい。また、中間部分514の径も内壁21の径より小さくすることができる。上側部分516はまず、径の同じ部分514と一直線上になる形で延び、それから部分513の底部の径と等しくなる形に戻る。しかし、部分516の一部には、1つまたは複数個の縦方向の溝5162が設けられており、当該溝は、径のより小さな部分から上向きに延びているが、フランジ517までは達していない。したがって、スカート510が容器にはめられると、周縁部全体にわたって完全な耐漏洩様態のぴったりした接触が、下側部分513と部分516のうち溝5162よりも上にある上側端部とにおいて実現される。これら2つの完全な耐漏洩様態の周縁接触部に挟まれた中間部分514と中間部分516の底部とにおいては、スカートが壁21と接触していないため、通気口515は、スカートを一周する形で延びている環状の隙間に通じることができる。結果として、この実施の形態によれば、内壁21が部分516のうち溝5162の設けられていない上側端部分に達する状態になるまで、通気口515と溝5162とを介して容器の通気を行うことが可能である。こうして、容器の全体的な通気と優れた耐漏洩性とが同時に得られる。
【0025】
当然のことながら、これらの5つの実施の形態によって提供される教示内容を組み合わせ、本発明の範囲から逸脱しない形で他の実施の形態を形成することも可能である。たとえば、図7のスカート410には突出ビードを1つ、さらには2つ設けることもできる。さらに、図1の実施の形態については、部分116の位置を延びる連絡溝を設けることもできる。また、下側部分、中間部分、上側部分から選ばれた1つまたは2つの部分を、外径が開口部の内壁21の内径よりも小さい、という形で形成し、前記部分において耐漏洩様態の接触をしないようにすることもできる。さらに、下側部分、中間部分、上側部分の位置において、周縁部が全体的には耐漏洩様態の接触をしないような構成を設けることさえ可能である。たとえば、十分に長い、および/あるいは、十分に狭い1つまたは複数個の溝を選ぶことで、装着中の通気を実現することと、さらに毛管現象による流体の漏出を防ぐこととの両方が実現できる。
【0026】
本発明によって、容器が容易かつ確実に通気されることを可能にする固定部材を作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の投与部材の第1の実施の形態の正面図である。
【図2】図1の固定部材の右側部分を示す縦断面図である。
【図3】図1の固定部材の縦断面図であり、固定部材が投与部材と結合された状態で容器の開口部の中に装着されている際の図である。
【図4】図3と同様の図であり、固定部材が容器の開口部の中の最終装着位置にある図である。
【図5】本発明の他の実施の形態における投与部材のスカートの縦断面図である。
【図6】本発明の他の実施の形態における投与部材のスカートの縦断面図である。
【図7】本発明の他の実施の形態における投与部材のスカートの縦断面図である。
【図8】本発明の他の実施の形態における投与部材のスカートの縦断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投与部材(3)を容器(2)の開口部(20)に固定するための固定部材(100;200;300;400;500)であって、
投与部材を収容するよう設計された手段(132;232;332;432;532)と、容器の開口部に係合し、その中で耐漏洩様態の接触状態を確立するよう設計されたほぼ筒状のスカート(110;210;310;410;510)とを有し、
特徴となるのは、
スカートには、少なくとも1つの通気口(115;215;315;415;515)がスカートの厚み分を貫通する形で設けられていることである、
という前記固定部材。
【請求項2】
通気口は、開口部内で耐漏洩様態で接触するよう設計された径のより大きな上側部分(116;216;316;416;516)の下に形成されていること、
を特徴とする請求項1に記載の固定部材。
【請求項3】
通気口は、開口部内で耐漏洩様態で接触するよう設計された径のより大きな中間部分(114;214;314;414;514)の位置に形成されていること、
を特徴とする請求項1または2に記載の固定部材。
【請求項4】
通気口は、開口部内で耐漏洩様態で接触するよう設計された径のより大きな一部を有する下側部分(113;213;313;413;513)の上に形成されていること、
を特徴とする請求項1、2、または3に記載の固定部材。
【請求項5】
上側部分(116;416)は、開口部の中で平らになるよう設計された外向き突出ビード(1161;4161)を形成していること、
を特徴とする請求項2に記載の固定部材。
【請求項6】
下側部分(313;413)は、開口部の中で平らになるよう設計された外向き突出ビード(3131;4131)を形成していること、
を特徴とする請求項4に記載の固定部材。
【請求項7】
スカートは、開口部と受け接触するよう設計された受け台フランジ(117;217;317;417;517)を形成していること、
を特徴とする請求項1または2に記載の固定部材。
【請求項8】
上側部分(416;516)には、少なくとも1つの縦方向の溝(4162;5162)が設けられており、当該縦方向の溝の一方の端は、上側部分が容器の開口部内で耐漏洩様態で接触している場合には、通気口(415;516)に通じるよう設計されていること、
を特徴とする請求項2に記載の固定部材。
【請求項9】
通気口(315、515)は、容器の開口部と接触しない状態を保つよう設計された径のより小さな中間部分(314;514)の位置に形成されていること、
を特徴とする請求項1、2、4、または8に記載の固定部材。
【請求項10】
内部フェルール(160;260;360;460;560)を形成しており、投与部材(3)の少なくとも1つの部品(33)が静止位置において弾性的に当該フェルールに対して押し付けられること、
を特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の固定部材。
【請求項11】
流体ディスペンサであって、
容器(2)、投与部材(3)、そして請求項1乃至10に記載の固定部材(100;200;300;400;500)を有すること、
を特徴とするディスペンサ。
【請求項12】
スカートは、投与部材との間で通気口の高さの位置に環状の自由空間を有する形で、前記投与部材を取り囲んでいること、
を特徴とする請求項11に記載のディスペンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−502055(P2006−502055A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−542549(P2004−542549)
【出願日】平成15年10月6日(2003.10.6)
【国際出願番号】PCT/FR2003/002925
【国際公開番号】WO2004/033347
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(502343252)バルワー エス.アー.エス. (144)
【Fターム(参考)】