説明

投光モジュールの製造方法、及び投光器

【課題】投光レンズと投光素子との光軸及び離間距離を容易に調整しつつ位置決め固定すること。
【解決手段】投光レンズ32を固定したレンズ付部品B1、及びレーザダイオードを固定した投光素子部品B2を得る組付工程と、位置調整装置50の第1可動部51に投光素子部品B2のランナ部21を装着するとともに、第2可動部52にレンズ付部品B1を装着する装着工程と、レーザダイオードにレーザ光Lを投光させつつ位置調整装置50により投光素子部品B2のレーザダイオードとレンズ付部品B1の投光レンズ32との光軸及び離間距離を調整する調整工程と、レンズ付部品B1に投光素子部品B2を接着して固定する接着工程により、投光モジュールを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投光レンズと投光素子とが位置決め固定された投光モジュールの製造方法、及び投光モジュールを搭載した投光器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、非接触で物体を検出するための光電センサの投光器には、投光レンズと投光素子(レーザダイオードやLEDなど)とを予め一体に形成した投光モジュールが搭載されている。このような投光モジュールとして、投光レンズと投光素子との光軸及び投光レンズと投光素子との離間距離を調整するとともに、光軸及び離間距離を調整した状態において両者を固定した投光モジュールが提案されている(例えば、特許文献1,2)。特許文献1では、レンズ保持部に形成された突起部を掴んで動かすことで投光レンズと投光素子との光軸及び離間距離を調整し、接着剤で固定するようになっている。また、特許文献2では、投光レンズを射出成型する際に形成されるランナ部をそのまま残し、このランナ部を調整用冶具に固定して光軸及び離間距離の調整を行って位置決め固定するようになっている。光電センサの組立工程において、特許文献1,2のような光軸及び離間距離を調整済みの投光モジュールを組み込むことで、例えば、光電センサのケースに固定された投光レンズに対して投光素子を移動させ、光軸や離間距離の調整を行う場合と比較して、光電センサの投光器の組立工程を簡略化することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−273909号公報
【特許文献2】特開2006−54436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが近時では、光電センサの投光器が組み込まれる装置の複雑化・高度化に伴って、より小さなスペースに組み込み可能な光電センサの提供が望まれている。そして、投光器の小型化に対応するために投光モジュールを小型化する場合、必然的に投光モジュールを構成する投光レンズや投光素子を小型化する必要がある。しかしながら、特許文献1では、投光レンズの突起部を掴んで光軸の調整及び離間距離の調整を行うことから、小型化されたレンズ保持部の突起部を保持することが困難となり、ひいては光軸や離間距離を調整し難くなるという問題があった。なお、特許文献2では、光軸や離間距離を調整するための隙間を埋めつつ投光レンズをホルダ付投光素子部品に接着するため、投光レンズに悪影響を及ぼす可能性があり、特許文献2とは異なる投光モジュールの製造方法の提供が望まれていた。
【0005】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、投光レンズと投光素子との光軸及び離間距離を容易に調整しつつ位置決め固定できる投光モジュールの製造方法、及び投光モジュールを搭載した投光器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、投光素子と投光レンズとを位置決め固定する投光モジュールの製造方法であって、支持部を有する素子収容部材に設けられた素子収容部に前記投光素子を収容固定して投光素子部品を得るとともに、前記投光レンズをレンズ収容部材に設けられたレンズ収容部に収容固定してレンズ付部品を得る第1ステップと、相対移動を可能に構成された第1把持部及び第2把持部を有する位置合せ機構の第1把持部に前記投光素子部品の支持部を装着するとともに、前記位置合せ機構の第2把持部に前記レンズ付部品を装着する第2ステップと、前記投光素子を発光させてレンズ透過光を計測しつつ、前記位置合せ機構により前記投光素子部品の投光素子と前記レンズ付部品の投光レンズとの光軸及び離間距離の調整を行う第3ステップと、前記投光素子部品と前記レンズ付部品とを固着する第4ステップと、を有することを要旨とする。
【0007】
これによれば、投光素子が固定される素子収容部材に支持部を形成するとともに、当該支持部を位置合せ機構の第2可動部に装着するようにした。このため、投光素子部品を容易に位置合せ機構に装着できる。そして、位置合せ機構を動作させることにより、投光素子部品の投光素子とレンズ付部品の投光レンズとの光軸及び離間距離を容易に調整することができる。したがって、投光レンズや投光素子が小型化したとしても、投光レンズと投光素子との光軸及び離間距離を容易に調整しつつ位置決め固定できる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の投光モジュールの製造方法であって、前記第4ステップにおいて、前記投光素子部品と前記レンズ付部品とを固着した後に、前記投光素子部品の支持部を当該投光素子部品から除去することを要旨とした。
【0009】
これによれば、投光素子部品とレンズ付部品とを固着した後に支持部を除去するようにした。このため、投光素子部品の投光素子とレンズ付部品の投光レンズとの光軸及び離間距離を調整する際には、投光素子部品を位置合せ機構の第2可動部に装着し易いとともに、レンズ付部品と投光素子部品との固着後に支持部を切除することで、支持部に相当する大きさだけ投光モジュールを小型化できる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の投光モジュールの製造方法において、前記投光素子は、レーザダイオードであることを要旨とする。
これによれば、レーザダイオードを用いることで投光素子や投光レンズが小型化されても、投光素子部品に備えられた支持部により投光素子部品を位置合せ機構の第2可動部に装着し、投光素子部品の投光素子とレンズ付部品の投光レンズとの光軸及び離間距離を容易に調整することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の投光モジュールの製造方法において、前記レンズ収容部は、筒状に形成されており、前記第1ステップにおいて、前記投光レンズを前記レンズ収容部の一端側に固定し、前記第3ステップにおいて、前記レンズ収容部の他端側内部で前記投光素子部品を前記投光レンズの光軸方向及び前記光軸方向に直交する方向に移動させて前記投光素子部品の投光素子と前記レンズ付部品の投光レンズとの光軸及び離間距離の調整を行い、前記第4ステップにおいて、前記投光素子部品を前記レンズ収容部の他端側内部に固着することを要旨とする。
【0012】
これによれば、レンズ収容部26の一端側に投光レンズを固定するとともに、投光素子部品の投光素子とレンズ付部品の投光レンズとの光軸及び離間距離の調整をした後、レンズ収容部の他端側内部に投光素子部品を固着するようになっている。このため、投光レンズから離間した位置でレンズ付部材と投光素子部品とを固着するため、固着による悪影響を投光レンズに与える可能性を低減することができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の投光モジュールの製造方法において、前記支持部は、前記投光素子部品を前記第1把持部に装着した状態において、前記投光レンズの光軸方向と交差する方向に延びるように形成されており、前記レンズ収容部材において前記レンズ収容部の他端側には、当該他端から前記一端側に向けて切欠き形成した切欠部が設けられており、前記第3ステップにおいて、前記支持部を前記切欠部に挿入した状態において、前記投光素子部品の投光素子と前記レンズ付部品の投光レンズとの光軸及び離間距離の調整を行うことを要旨とする。
【0014】
これによれば、レンズ収容部材のレンズ収容部に形成された切欠部に支持部を挿入した状態において、投光素子部品の投光素子とレンズ付部品の投光レンズとの光軸及び離間距離の調整をすることができる。このため、投光素子部品を前記レンズ収容部の他端側内部に収容した状態としても、投光素子部品の支持部とレンズ収容部とが干渉することを抑制し、光軸及び離間距離の調整を容易に行うことができる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載の投光モジュールの製造方法において、前記投光素子部品の投光素子と前記レンズ付部品の投光レンズとの光軸及び離間距離の調整を行う際に、前記投光素子を発光させるための駆動手段と、前記投光素子部品を構成する投光素子に一端が電気的に接続されたフレキシブル基板の他端とを電気的に接続することを要旨とする。
【0016】
これによれば、フレキシブル基板は、投光素子への導電性を保ったまま変形可能であることから、投光素子と駆動手段とを電気的に接続する作業を容易に行うことができる。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のうち何れか一項に記載の投光モジュールの製造方法において、前記第2把持部は、レンズ透過光を計測するための計測手段に対して予め定められた位置に前記レンズ付部品を固定可能に構成されているとともに、前記第1把持部は、前記第2把持部に対して移動可能に構成されており、前記第3ステップにおいて、前記第1把持部を移動させることにより、前記投光素子部品の投光素子と前記レンズ付部品の投光レンズとの光軸及び離間距離の調整を行うことを要旨とする。
【0017】
これによれば、レンズ付部品を第2把持部に装着することで、計測手段に対して予め定められた位置にレンズ付部品を固定できる。レンズ付部品が装着される第2把持部を移動させて光軸及び離間距離を調整する場合には、計測手段に対するレンズ付部品の位置を一定に維持するため、第2把持部の移動と同時に計測手段も移動させる必要がある。これに対して、請求項7の発明によれば、計測手段に対して予め定められた位置にレンズ付部品が固定されるため、投光素子部品の投光素子とレンズ付部品の投光レンズとの光軸及び離間距離の調整を容易に行なうことができる。
【0018】
請求項8に記載の発明は、請求項5に記載の製造方法により製造した投光モジュールを搭載した投光器であって、前記レンズ収容部材は、本体のケースの少なくとも一部をなすことを要旨とする。これによれば、レンズ収容部材は、本体ケースの少なくとも一部をなしていることから、投光モジュールを本体ケースと一体に構成することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、投光レンズと投光素子との光軸及び離間距離を容易に調整しつつ位置決め固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】光電センサの投光器の斜視図。
【図2】光電センサの投光器の分解斜視図。
【図3】光電センサの投光器の断面図。
【図4】背面カバー及び投光素子部品を省略した投光器の背面図。
【図5】光電センサの投光器及び投光モジュールの組立工程を説明するための斜視図。
【図6】(a)〜(c)は、光電センサの投光器及び投光モジュールの組立工程を説明するための斜視図。
【図7】光電センサの投光器及び投光モジュールの組立工程を説明するための斜視図。
【図8】(a)及び(b)は、光電センサの投光器及び投光モジュールの組立工程を説明するための斜視図。
【図9】(a)及び(b)は、光電センサの投光器及び投光モジュールの組立工程を説明するための斜視図。
【図10】(a)及び(b)は、光電センサの投光器及び投光モジュールの組立工程を説明するための斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図10にしたがって説明する。なお、以下の説明において「前」「後」「上」「下」「左」「右」は、図1に示すように、光電センサの投光器11からレーザ光Lが投光される方向を基準とした「前」「後」「上」「下」「左」「右」とする。
【0022】
図1に示すように、本実施形態における光電センサの投光器11は、全体が縦長箱状に形成されたケース12で覆われているとともに、投光器11の上面には、投光器11が動作していることを発光により表示する表示灯13が設けられている。また、投光器11の前面には、レーザ光Lが投光される投光部14が設けられているとともに、投光器11の後側には、左右方向に貫通するように形成され、投光器11を図示しないビス等で固定対象に固定するための固定孔16が設けられている(本実施形態では、2つ)。また、投光器11の下面には、ケーブル37が接続されている。
【0023】
図2及び図3に示すように、本実施形態の投光器11には、投光素子としてのレーザダイオード17が備えられている。レーザダイオード17は、円盤状のフランジ17cと、円筒状のカバー17dとにより構成されるパッケージ内部にレーザ素子S(半導体チップ)が配置され、カバー17dの前面に設けられた窓部17aからレーザ光Lが前方に出射(投光)される。また、レーザダイオード17には、フランジ17cを貫通する3本の端子(ピン)17bが後面から突出している。なお、本実施形態のレーザダイオード17は、可視レーザ(赤色)を出射可能な小型レーザダイオードとされている。
【0024】
レーザダイオード17は、素子収容部材としてのLDホルダ19に固定されている。プラスチック材料からなるLDホルダ19は、その全体が略角筒状をなす本体部20を備えている。本体部20の内側には、レーザダイオード17の外形と対応する形状をなす素子収容部18が形成されている(本実施形態では、円形の凹部)。なお、本実施形態のレーザダイオード17は、素子収容部18に挿入されるとともに接着剤(例えば、シアノアクリレートなどのUV硬化型接着剤)を用いて固定されている。また、本体部20の前面には、レーザダイオード17から投光されたレーザ光Lが通過する開口部20aが形成されている。また、LDホルダ19は、金型を用いて射出成型する際、同時に形成される一対の支持部としてのランナ部21を備えている(図2において、二点鎖線で示す)。各ランナ部21は、本体部20の後面から左右の斜め後方に延びた後、左右側方へそれぞれ延びるように形成されている。また、各ランナ部21の先端には、下方に向かって延びる平板状の装着部21bがそれぞれ形成されている。各装着部21bには、前後方向に貫通する取付孔21aがそれぞれ形成されている。なお、各ランナ部21は、組立工程中において切除(除去)されるようになっており、完成品としての投光器11には備えられていない。本実施形態では、レーザダイオード17及びLDホルダ19により投光素子部品B2が構成されている。
【0025】
LDホルダ19は、略縦箱状に形成されたレンズ収容部材としてのベース部材25の後面側に固定されている。ベース部材25の前面側において上下方向略中央には、前方に向けて突出するように形成された筒状のレンズ収容部26が形成されている。図3及び図4に示すように、レンズ収容部26においてベース部材25の後面側は、前後方向に延びる角筒状をなしているとともに、その内側には、LDホルダ19の外形と対応する形状をなす位置調整部26aが形成されている。具体的に説明すると、位置調整部26aは、レーザダイオード17の光軸方向と直交する断面視形状が、LDホルダ19と対応する四角形に形成されている。そして、図2及び図4に示すように、位置調整部26aの上下方向に沿った長さL3は、LDホルダ19の本体部20において上下方向に沿った長さL2より僅かに大きく設定されている。一方、位置調整部26aの左右方向に沿った長さL4は、LDホルダ19の本体部20の左右方向に沿った長さL1より僅かに大きく設定されている。このため、投光素子部品B2と位置調整部26aとの間には、投光素子部品B2(LDホルダ19)が位置調整部26aに固定されていない状態において、レーザダイオード17の光軸方向(即ち、前後方向)、及びこの光軸方向に直交する方向(即ち、上下方向及び左右方向)に移動可能とする隙間(クリアランス)が形成されている。
【0026】
また、レンズ収容部26においてベース部材25の後面側(他端側)には、位置調整部26aをなす左右の両側壁を、ベース部材25の後面側から前面側(一端側)に向けて切欠き形成した切欠部27が設けられている。そして、LDホルダ19は、ベース部材25の後面側から位置調整部26aに挿入(収容)された状態で固着されるようになっている。なお、本実施形態では、LDホルダ19と位置調整部26aとは、接着剤(例えば、UV硬化型接着剤など)を用いて接着(固着)されている。
【0027】
図2及び図3に示すように、レンズ収容部26においてベース部材25の前面側は、略円筒状をなすとともに、その内側にレーザダイオード17から投光されたレーザ光Lが通過する投光路26cが形成されている。また、レンズ収容部26においてベース部材25の前面側先端部には、レンズ収容部26の先端部から前後方向に切り欠き形成した切欠部29からなるレンズ固定部26bが形成されている。また、レンズ固定部26bには、投光路26cの直径を拡大するように形成された段部が設けられている。そして、レンズ固定部26bには、後面が平面状に形成された円盤状のレンズ部30と、当該レンズ部30の左右側方から前方へ延びるように形成されたガイド部31とを備えた投光レンズ32が固定されている。具体的に説明すると、投光レンズ32は、ガイド部31をレンズ固定部26bの切欠部29に挿入するとともに、レンズ部30の後面周縁部とレンズ固定部26bの段部とを密着させた状態とし、所定の接着剤(例えば、UV硬化型接着剤など)で接着(固着)することによりレンズ固定部26bに固定されている。なお、レンズ固定部26bの段部の直径は、当該段部とレンズ部30との間で直径方向に僅かな間隙しか形成されない大きさに設定されている。このため、投光レンズ32は、レンズ部30をレンズ固定部26bの段部に密着させることで、投光レンズ32及びレーザダイオード17の光軸方向と直交する方向(即ち、上下方向及び左右方向)に移動しないように位置決めされる。また、本実施形態の投光レンズ32は、投光レンズ32とレンズ収容部26との間に僅かな隙間しか形成されないことから、少量の接着剤でレンズ収容部26に接着可能となっている。なお、本実施形態において、レンズ部30は、レーザダイオード17の大きさと対応するように小型投光レンズとされている。そして、本実施形態の投光素子部品B2(LDホルダ19)は、投光レンズ32を透過したレーザ光Lのスポット形状が予め定められた規定範囲内のスポット形状や投光部14に対する投光角度となるように、投光レンズ32とレーザダイオード17の光軸を整合一致させるとともに離間距離を調整した状態で、位置調整部26aに接着して固定されている。本実施形態では、ベース部材25及び投光レンズ32が、レンズ付部品B1を構成している。また、本実施形態では、投光素子部品B2、レンズ付部品B1が投光モジュールMを構成している。
【0028】
また、ベース部材25において位置調整部26aの上方(側方)には、ベース部材25の後面側と表面側とを連通する連通孔33が形成されている。連通孔33には、レーザダイオード17の端子17bに接続されたフレキシブル基板22の他端側が、ベース部材25の後面側から表面側に挿通される。そして、フレキシブル基板22の他端は、ベース部材25の表面側に配置されている(図3に示す)。
【0029】
フレキシブル基板22の他端は、回路基板35に接続され、この回路基板35には、レーザダイオード17を発光駆動させる駆動回路が形成されている。また、回路基板35には、発光により投光器11の駆動状態を表示するためのLED36が実装されている。また、回路基板35には、レーザダイオード17の発光強度(投光強度)を調整するための調整ボリューム38が設けられている。調整ボリューム38は、所定の工具(例えば、プラスドライバなど)により操作するようになっている。回路基板35の上下方向略中央には、回路基板35の前後方向を貫通するように形成された挿通孔35aが設けられている。そして、回路基板35は、挿通孔35aにレンズ収容部26を挿通させつつベース部材25の前面側に装着されている。また、回路基板35には、ケーブル37が電気的に接続されている。
【0030】
また、ベース部材25の前面側には、回路基板35を覆うように前面カバー40が装着されている。透明なプラスチック材料で形成された前面カバー40の中央部分は、前後方向の厚みを薄く形成されており、前述した投光部14をなしている。また、ベース部材25の後面側には、投光素子部品B2(レーザダイオード17)及びフレキシブル基板22を覆うように背面カバー41が装着されている。背面カバー41は、プラスチック材料により形成されている。そして、ベース部材25、前面カバー40、及び背面カバー41は、封止樹脂42により封止されている。本実施形態では、ベース部材25、前面カバー40、背面カバー41、及び封止樹脂42によりケース12が構成されている。
【0031】
次に、投光素子部品B2のレーザダイオード17とレンズ付部品B1の投光レンズ32との光軸及び離間距離を調整する際に用いられる、位置合せ機構としての位置調整装置50について図7にしたがって説明する。
【0032】
図7に示すように、位置調整装置50は、投光素子部品B2を装着可能な第1把持部としての第1可動部51と、レンズ付部品B1を装着可能な第2把持部としての第2可動部52とを備えている。第1可動部51は、投光素子部品B2(LDホルダ19)の各ランナ部21に形成された装着部21bと対応するように一対のアーム部51aを備えている。各アーム部51aの前面には、投光素子部品B2の各取付孔21aがそれぞれ嵌合されることで、投光素子部品B2が装着されるようになっている。また、位置調整装置50の第1可動部51は、移動できないように位置決め固定された固定式の第2可動部52に対して「前後方向」、「上下方向」、及び「左右方向」に相対移動可能に構成されている。そして、本実施形態の位置調整装置50は、レンズ付部品B1及び投光素子部品B2が装着された状態において、第1可動部51を前後方向(即ち、投光レンズ32及びレーザダイオード17の光軸方向)へ移動させることで、レンズ付部品B1の投光レンズ32と投光素子部品B2のレーザダイオード17との離間距離を調整できるようになっている。また、位置調整装置50は、レンズ付部品B1及び投光素子部品B2が装着された状態において、第1可動部51を上下方向及び左右方向(即ち、投光レンズ32及びレーザダイオード17の光軸方向に直交する方向)へ移動させることで、レンズ付部品B1の投光レンズ32と投光素子部品のレーザダイオード17の光軸が整合一致されるように調整できるようになっている。
【0033】
また、位置調整装置50には、フレキシブル基板22と電気的に接続可能に構成された駆動手段としての駆動装置53が配設されている。駆動装置53は、フレキシブル基板22を介してレーザダイオード17を駆動することで、レーザダイオード17にレーザ光Lを投光(発光)させるようになっている。また、位置調整装置50には、計測手段としての受光機器55を備えた検査装置56が設けられている。本実施形態において、受光機器55は、スクリーン55bの中央部分に十字型のターゲットマーク55aが表示されているとともに、第2可動部52に装着されたレンズ付部品B1(ベース部材25)に対して正対した位置(予め定められた位置)に固定されている。ここで、「正対した位置」とは、完成品としての投光器11を固定孔16に挿通したビス等で固定対象に固定した状態において、当該投光器11の正面に配設した受光器(図示しない)により投光器11から投光されたレーザ光Lを検出可能な位置である。より具体的に言えば、「正対した位置」とは、レンズ付部品B1に固定された投光レンズ32の光軸が、スクリーン55bの面に直交し、且つターゲットマーク55aの交差(中心)部分を通過する位置となる。このように、本実施形態では、レンズ付部品B1を第2可動部52に装着することで、レンズ付部品B1を受光機器55と正対した位置に位置決め固定されるようになっている。そして、本実施形態の検査装置56は、レーザダイオード17から投光されるとともに投光レンズ32を透過したレーザ光Lのスポット形状やスポット位置(透過レーザ光Lの特徴)が予め定めた適合範囲内であるか否かを判定可能に構成されている。具体的に説明すると、ターゲットマーク55aの交差部分にレーザ光Lのスポットが位置した状態になると、レーザ光Lのスポット形状,位置(透過レーザ光Lの特徴)が予め定めた適合範囲内にあると判定できる。そして、本実施形態では、ターゲットマーク55aの交差部分にレーザ光Lのスポットが位置した状態になると、レンズ付部品B1の投光レンズ32と投光素子部品B2のレーザダイオード17との離間距離が適切な離間距離に調整された状態であるとともに、レンズ付部品B1の投光レンズ32と投光素子部品B2のレーザダイオード17の光軸が整合一致された状態となるようになっている。
【0034】
次に、本実施形態の投光モジュールM及び投光器11の組立方法(製造方法)について図5〜図10にしたがって説明する。
先ず、レンズ付部品B1、及び投光素子部品B2を得る組付工程(第1ステップ)について説明する。図5に示すように、ベース部材25に対応する形状のキャビティを形成した金型を用意するとともに、射出成型によってベース部材25を形成する。また、投光レンズ32に対応する形状のキャビティを形成した金型を用意するとともに、射出成型によって投光レンズ32を形成する。この状態において、ベース部材25及び投光レンズ32は、射出成型時のランナ部が予め切除された状態となっている。そして、投光レンズ32のガイド部31をレンズ収容部26に形成された切欠部29に嵌め込むとともに、接着剤を用いてレンズ部30の後面と、レンズ固定部26bの段部とを接着して固定する。なお、投光レンズ32をレンズ収容部26に接着する際、切欠部29及びレンズ固定部26bの段部に沿って投光レンズ32をセットする以外、レンズ収容部26に対する投光レンズ32の位置調整を行わないようになっている。
【0035】
一方、図6(a)に示すように、LDホルダ19に対応する形状のキャビティを形成した金型を用意するとともに、射出成型によってLDホルダ19を形成する。LDホルダ19は、LDホルダ19の本体部20をなすキャビティ内に溶融したプラスチック材料を導入するための各ランナ部21が一体に形成された状態となっている。なお、以下の説明において、各ランナ部21が一体に形成された状態のLDホルダ19をランナ付LDホルダ19と示す。次に、図6(b)に示すように、ランナ付LDホルダ19の素子収容部18に対してレーザダイオード17を挿入するとともに、接着剤を用いてレーザダイオード17とLDホルダ19とを接着して固定する。続けて、図6(c)に示すように、レーザダイオード17の端子17bに対してフレキシブル基板22の一端をはんだ付けする。
【0036】
次に、位置調整装置50にレンズ付部品B1及び投光素子部品B2を装着する装着工程(第2ステップ)について説明する。図7に示すように、まず、投光素子部品B2(ランナ付LDホルダ19)のランナ部21に形成された取付孔21aを、位置調整装置50の第1可動部51(各アーム部51a)に嵌合させ、投光素子部品B2を第1可動部51に装着する。続けて、レーザダイオード17に一端(基端)を接続されたフレキシブル基板22の自由端(他端)を、レンズ付部品B1(ベース部材25)の連通孔33に挿通させるとともに、レンズ付部品B1の前面側に配置させる。このとき、投光素子部品B2の各ランナ部21をベース部材25の各切欠部27にそれぞれ挿入しつつ(収容させつつ)、投光素子部品B2を構成するLDホルダ19の本体部20をレンズ付部品B1の位置調整部26aに挿入する。次に、レンズ付部品B1を図示しないクランプ機構により第2可動部52に装着する。そして、フレキシブル基板22の他端と駆動装置53とを電気的に接続する。
【0037】
次に、レンズ付部品B1の投光レンズ32と投光素子部品B2のレーザダイオード17との光軸及び離間距離を調整する調整工程(第3ステップ)について説明する。まず、フレキシブル基板22を介して駆動装置53によりレーザダイオード17を駆動してレーザ光Lの投光を開始させる。次に、レーザダイオード17から投光レンズ32を透過するとともに、投光レンズ32から前方に投光されたレーザ光Lを受光機器55で連続的に受光するとともに、第1可動部51を前後方向(レーザダイオード17及び投光レンズ32の光軸方向)、上下方向及び左右方向(レーザダイオード17及び投光レンズ32の光軸方向と直交する方向)に移動させて、レーザ光Lのスポットが、受光機器55のターゲットマーク55aの交差部分に照射されるように投光素子部品B2の位置を調整する。このとき、投光素子部品B2を構成するLDホルダ19の本体部20は、位置調整部26aの内部を移動すると共に、各ランナ部21は、各切欠部27内を移動することになる。切欠部27は、投光素子部品B2を前方へ最大に移動させた状態、及び上下方向・左右方向へ最大に移動させた状態において、ランナ部21と干渉(接触)しない大きさに設定されている。したがって、調整工程において、ランナ部21とベース部材25(切欠部27)とが干渉することなく、光軸及び離間距離を容易に調整できるようになっている。
【0038】
次に、レンズ付部品B1に投光素子部品B2を接着(固着)する接着工程(第4ステップ)について説明する。図8(a)に示すように、位置調整装置50によりレンズ付部品B1の投光レンズ32と投光素子部品B2のレーザダイオード17との光軸及び離間距離を調整した後、投光素子部品B2(ランナ付LDホルダ19)の外面と、ベース部材25の位置調整部26aの内面との隙間に、接着剤(例えば、UV硬化型接着剤)を充填し、レンズ付部品B1と投光素子部品B2とを接着して固定する。続けて、所定の工具(例えば、ニッパなど)を用いて、ランナ付LDホルダ19の本体部20から、各ランナ部21を切除(除去)する。以上の工程によって、投光モジュールMが形成される。
【0039】
続けて、図8(b)に示すように、回路基板35の挿通孔35aにベース部材25のレンズ収容部26を挿通させつつ、回路基板35を投光モジュールM(ベース部材25)の前面側に対して圧入などで固定する。次に、図9(a)に示すように、回路基板35にフレキシブル基板22をはんだ付けする。次に、図9(b)に示すように、投光モジュールM(ベース部材25)の後面側に対して、投光素子部品B2及びフレキシブル基板22を覆うように背面カバー41を装着する。次に、図10(a)に示すように、回路基板35の下端部に対してケーブル37をはんだ付けする。次に、はんだ付けされたケーブル37を介して電源供給を行ってレーザダイオード17に投光させる。そして、レーザ光Lの投光強度(投光パワー)を図示しないパワーメータ(投光強度測定器)により測定しつつ、調整ボリューム38を操作して所定の投光強度(例えば、JISに規定されるレーザ光Lのクラス1)となるように調整する。次に、図10(b)に示すように、投光モジュールM(ベース部材25)の前面側に対して回路基板35及び投光レンズ32を覆うように前面カバー40を装着する。そして、図1に示すように、前面カバー40及び背面カバー41を装着した状態の投光モジュールMの全体を金型にセットするとともに射出成型(二次成型)を行い、前面カバー40、ベース部材25、及び背面カバー41を封止樹脂42により一体に固定して投光器11のケース12を形成する。以上の工程を経て、投光器11が完成される。
【0040】
したがって、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)LDホルダ19にランナ部21を形成した。このため、投光素子部品B2を位置調整装置50の第1可動部51に装着しやすくできる。また、投光レンズ32が小型化(微小化)したとしても、投光レンズ32は、ベース部材25におけるレンズ収容部26のレンズ固定部26bに接着するだけでよいので、レンズ付部品B1の組み立てが容易となる。そして、位置調整装置50の第1可動部51を移動させることにより、ベース部材25に接着された投光レンズ32を基準として、レンズ付部品B1の投光レンズ32と投光素子部品B2のレーザダイオード17の光軸を整合一致させるとともに、投光レンズ32とレーザダイオード17との離間距離を調整することができる。したがって、投光レンズ32やレーザダイオード17が小型化したとしても、投光レンズ32とレーザダイオード17との光軸及び離間距離を容易に調整することができる。
【0041】
(2)投光素子部品B2とレンズ付部品B1とを接着した後、投光素子部品B2を構成するランナ付LDホルダ19のランナ部21を切除するようにした。このため、ランナ部21により投光素子部品B2を位置調整装置50の第1可動部51に装着しやすく、且つランナ部21を切除することでランナ部21に対応する大きさ(体積)だけ、投光モジュールMを小型化することができる。また、ランナ部21を切除することで、ランナ部21が背面カバー41と干渉することがなく、背面カバー41の取付作業を行いやすくすることができる。
【0042】
(3)投光素子としてレーザダイオード17を用いることで、投光素子や投光レンズ32が小型化されても、投光素子部品B2(LDホルダ19)にランナ部21を備えることで、投光素子部品B2を位置調整装置50の第1可動部51に装着し、投光レンズ32とレーザダイオード17との光軸及び離間距離を容易に調整することができる。
【0043】
(4)位置調整装置50によりレーザダイオード17と投光レンズ32との光軸及び離間距離の調整をした後、レンズ付部品B1を構成するレンズ収容部26の位置調整部26aに、投光素子部品B2を構成するLDホルダ19を接着して固定するようにした。このため、レンズ収容部26とLDホルダ19との接着部分が投光レンズ32から離間されることから、位置調整部26aとLDホルダ19との間に設けられた位置調整用の隙間(クリアランス)を所定量の接着剤で埋めつつ接着しても、当該隙間を埋める接着剤によって投光レンズ32に悪影響を及ぼすことを抑制することができる。なお、レンズ収容部26に対して投光レンズ32を前後方向、上下方向、及び左右方向に移動可能に構成して、投光レンズ32とレーザダイオード17との光軸及び離間距離を調整する場合には、投光レンズ32とレンズ収容部26との間に形成された位置調整用の隙間(クリアランス)を接着剤で埋めつつ接着する必要がある。この場合、投光レンズ32とレンズ収容部26とを密着させた状態で接着する場合と比較して多量の接着剤を必要とするため、前記隙間に充填した固化前の接着剤が投光レンズ32に付着して投光レンズ32の透明性を損なうなどの悪影響(例えば、曇りや微細なクラック)を及ぼす可能性がある。しかしながら、上記実施形態によれば、投光レンズ32から離間した位置で、レンズ収容部26とLDホルダ19とを接着するようになっていることから、このような問題が生じないようになっている。
【0044】
(5)レーザダイオード17にフレキシブル基板を接続するようにした。フレキシブル基板22はレーザダイオード17への導電性を保ったまま自由に変形可能であることから、フレキシブル基板22をレンズ付部品B1(ベース部材25)の前面側に配置させるとともに、駆動装置53に接続しやすい。
【0045】
(6)レンズ固定部26bの段部の直径は、レンズ部30と段部との間に僅かな間隙(クリアランス)が形成される大きさに設定した。このため、投光レンズ32の位置決めが容易であるとともに、少量の接着剤で接着して固定可能となっている。したがって、投光レンズ32を接着するための接着剤によって投光レンズ32に悪影響を及ぼすことを抑制することができる。即ち、投光モジュールMにおいて投光レンズ32は、レーザダイオード17からのレーザ光Lが透過される部品であり、高い透明性を確保する必要がある。上記実施形態では、少量の接着剤で投光レンズ32を固定可能とすることで、固化前の接着剤が投光レンズ32の表面(レンズ部30)に付着することで曇りを生じさせるなど、投光レンズ32の透明性を損なうことを抑制できる。
【0046】
(7)レンズ収容部26(ベース部材25)に切欠部27を設けるとともに、投光素子部品B2を位置調整部26aに挿入する際、投光素子部品B2の各ランナ部21をベース部材25の各切欠部27にそれぞれ収容させるようにした。このため、調整工程において、ランナ部21とベース部材25(切欠部27)とが干渉することなく、光軸及び離間距離を容易に調整できる。
【0047】
(8)レンズ付部品B1を第2可動部52に装着することで、第2可動部52に装着されたレンズ付部品B1(ベース部材25)が受光機器55に対して正対した位置に固定されるようにした。このため、受光機器55とレンズ付部品B1とが正対した状態を保つことができ、光軸及び離間距離の調整を容易に行うことができる。なお、レンズ付部品B1を移動することで光軸及び離間距離の調整をすることも想定し得るが、レンズ付部品B1と受光機器55とが正対した状態を維持するために、レンズ付部品B1の移動と同時に受光機器55も移動させる必要があり、光軸及び離間距離の調整が困難となる。
【0048】
(9)投光モジュールMを構成するベース部材25は、投光器11のケース12の一部をなすようにした。投光器11は、ベース部材25に設けられた固定孔16を用いて固定対象に固定されることから、ベース部材25が投光器11の使用状態(設置状態)における基準部材として位置づけられる。そして本実施形態では、このベース部材25に対して投光レンズ32を固定するとともに、ベース部材25に固定された投光レンズ32を基準として投光レンズ32とレーザダイオード17との光軸及び離間距離を調整して接着するようになっている。即ち、本実施形態の投光器11では、投光レンズ32、レーザダイオード17が、ベース部材25を基準として位置決め固定されることになる。したがって、投光器11の使用状態を基準として各部材を精度良く組み付けることができる。また、レンズ収容部26をベース部材25から独立した部材として投光モジュールMを製作した後、この投光モジュールMを投光器11に別途組込む場合、投光モジュールMから投光されるレーザ光Lの投光方向をケース12に対して再調整して固定する必要がある。しかしながら、本実施形態では、ケース12の一部をなすベース部材25に対して投光レンズ32及びレーザダイオード17を組み付けるため、1回の調整工程で使用状態を基準として投光器11を完成させることができる。
【0049】
(10)ランナ部21を本体部20の後面から左右斜め後方に伸びるように形成した。このため、第1可動部51を動作させて、投光素子部品B2(LDホルダ19)をレンズ収容部26の位置調整部26aに挿入しやすくできる。
【0050】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 上記実施形態において、受光機器55としてCCDカメラを設置するとともに、検査装置56が、受光機器55で撮影したレーザ光Lのスポット形状と予め規定された規定スポット形状とを比較して合否判定するようにしてもよい。
【0051】
○ 上記実施形態において、レンズ付部品B1に投光素子部品B2を接着してから回路基板35を装着したが、調整工程においてフレキシブル基板22に回路基板35を接続するとともに当該回路基板35に駆動装置53を接続することで、レーザダイオード17に投光させるようにしてもよい。このように構成しても、調整工程においてレーザダイオード17にレーザ光Lを投光させて、投光レンズ32とレーザダイオード17の光軸及び離間距離を調整することができる。
【0052】
○ 上記実施形態において、第1可動部51の他、第2可動部52を第1可動部51に対して前後方向、上下方向、及び左右方向に移動させて、投光素子部品B2のレーザダイオード17とレンズ付部品B1の投光レンズ32との光軸及び離間距離を調整してもよい。
【0053】
○ 上記実施形態において、投光モジュールMを組み込んだ投光器11の一例を説明したが、投光器11にさらに受光素子を設け、投光器と受光器とを一体にした光電センサとして構成してもよい。
【0054】
○ 上記実施形態において、ランナ部21は2つ設けたが、1つでもよく、また3つ以上であってもよい。
○ 上記実施形態において、ランナ部21は異なる形状としてもよい。例えば、ランナ部21に取付孔21a及び装着部21bを設けなくてもよい。この場合、第1可動部51にクランプ機構を設け、当該クランプ機構によってランナ部21を保持するようにすればよい。また、ランナ部21は、本体部20の上下側面や左右側面に形成してもよい。
【0055】
○ 上記実施形態において、LDホルダ19を射出成形する際、各ランナ部21を介さないで、溶融したプラスチック材料を、本体部20を形成するキャビティ内に他のランナから直接導入するとともに、この本体部20をなすキャビティから各ランナ部21を形成する空間にプラスチック材料が導入されるように形成してもよい。この場合、ランナ部21は、射出成型上のランナではないが、このように形成しても第1可動部51に装着するための支持部を備えたLDホルダ19を形成することができる。
【0056】
○ 上記実施形態において、LDホルダ19における本体部20の外側形状、及びレンズ収容部26における位置調整部26aの内側形状は、投光レンズ32及びレーザダイオード17の光軸方向に直交する断面視形状を四角形に形成したが、三角形や五角形などの多角形や、円形や楕円形に形成してもよい。
【0057】
○ 上記実施形態において、投光レンズ32はレンズ収容部26のレンズ固定部26bに接着して固定したが、異なる手段で固定してもよい。例えば、投光レンズ32をレンズ収容部26に圧入して固定してもよい。
【0058】
○ 上記実施形態において、レーザダイオード17はLDホルダ19に接着して固定したが、異なる手段で固定してもよい。例えば、投光レンズ32をレンズ収容部26に圧入して固定してもよい。
【0059】
○ 上記実施形態において、回路基板35に挿通孔35aを設けなくてもよい。この場合、回路基板35をレンズ収容部26の側方に配設したり、レンズ付部品B1(ベース部材25)の後面側に装着するようにしたりしてもよい。
【0060】
○ 上記実施形態において、レーザダイオード17に代えて、LEDなどの投光素子を用いてもよい。
○ 上記実施形態において、投光レンズ32とレーザダイオード17の光軸及び離間距離の調整を行う際、フレキシブル基板22を駆動装置53に接続したが、レーザダイオード17の端子17bを駆動装置53に直接、接続するようにしてもよい。このように構成しても、レーザダイオード17を一時的に投光させて投光レンズ32とレーザダイオード17の光軸及び離間距離の調整をすることができる。
【0061】
○ 上記実施形態において、投光素子部品B2を第1可動部51に装着してからフレキシブル基板22をベース部材25の連通孔33に挿通させたが、投光素子部品B2を第1可動部51に装着する前に挿通させてもよい。また、レンズ付部品B1を第2可動部52に装着してから、フレキシブル基板22を連通孔33に挿通させてもよい。
【0062】
○ 上記実施形態において、ベース部材25は、ケース12の一部をなしていなくてもよい。例えば、レンズ収容部26のみを備えた構成としてもよい。このように構成しても、投光レンズ32、レンズ収容部26、LDホルダ19、及びレーザダイオード17とから投光モジュールMを構成することができる。
【0063】
○ 上記実施形態において、レンズ付部品B1に投光素子部品B2を接着して固定した後に、ランナ部21を切除したが、ランナ部21を切除しないでそのまま残しておいてもよい。ただし、投光モジュールMの小型化を図るために、ランナ部21を切除することが好ましい。
【0064】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記レンズ収容部材は、投光モジュールが搭載される投光器において当該投光器のケースの少なくとも一部をなすことを特徴とする請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載の投光モジュールの製造方法。
【0065】
(ロ)筒状に形成されたレンズ収容部を有し当該レンズ収容部の一端側に投光レンズが固着されたレンズ収容部品と、投光素子を有し前記投光レンズと前記投光素子との光軸及び離間距離を調整した状態で前記レンズ収容部品に固着される投光素子部品とを備えた投光モジュールであって、前記投光素子部品は、前記レンズ収容部の他端側内面と前記投光素子部品の外面との間に設けられ、前記投光レンズの光軸方向と直交する方向に前記投光素子部品を移動可能とするための調整空間の少なくとも一部を所定の接着剤で満たしつつ前記レンズ収容部の他端側内部に固着されていることを特徴とする投光モジュール。
【符号の説明】
【0066】
11…投光器、17…レーザダイオード(投光素子)、18…素子収容部、19…LDホルダ(素子収容部材)、21…ランナ部(支持部)、22…フレキシブル基板、25…ベース部材(レンズ収容部材)、26…レンズ収容部、26a…位置調整部、26b…レンズ固定部、27…切欠部、32…投光レンズ、50…位置調整装置(位置合せ機構)、51…第1可動部(第1把持部)、52…第2可動部(第2把持部)、53…電源供給装置(駆動手段)、55…受光機器、B1…レンズ付部品、B2…投光素子部品、M…投光モジュール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投光素子と投光レンズとを位置決め固定する投光モジュールの製造方法であって、
支持部を有する素子収容部材に設けられた素子収容部に前記投光素子を収容固定して投光素子部品を得るとともに、前記投光レンズをレンズ収容部材に設けられたレンズ収容部に収容固定してレンズ付部品を得る第1ステップと、
相対移動を可能に構成された第1把持部及び第2把持部を有する位置合せ機構の第1把持部に前記投光素子部品の支持部を装着するとともに、前記位置合せ機構の第2把持部に前記レンズ付部品を装着する第2ステップと、
前記投光素子を発光させてレンズ透過光を計測しつつ、前記位置合せ機構により前記投光素子部品の投光素子と前記レンズ付部品の投光レンズとの光軸及び離間距離の調整を行う第3ステップと、
前記投光素子部品と前記レンズ付部品とを固着する第4ステップと、
を有することを特徴とする投光モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記第4ステップにおいて、前記投光素子部品と前記レンズ付部品とを固着した後に、前記投光素子部品の支持部を当該投光素子部品から除去することを特徴とする請求項1に記載の投光モジュールの製造方法。
【請求項3】
前記投光素子は、レーザダイオードであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の投光モジュールの製造方法。
【請求項4】
前記レンズ収容部は、筒状に形成されており、
前記第1ステップにおいて、前記投光レンズを前記レンズ収容部の一端側に固定し、
前記第3ステップにおいて、前記レンズ収容部の他端側内部で前記投光素子部品を前記投光レンズの光軸方向及び前記光軸方向に直交する方向に移動させて前記投光素子部品の投光素子と前記レンズ付部品の投光レンズとの光軸及び離間距離の調整を行い、
前記第4ステップにおいて、前記投光素子部品を前記レンズ収容部の他端側内部に固着することを特徴とする請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の投光モジュールの製造方法。
【請求項5】
前記支持部は、前記投光素子部品を前記第1把持部に装着した状態において、前記投光レンズの光軸方向と交差する方向に延びるように形成されており、
前記レンズ収容部材において前記レンズ収容部の他端側には、当該他端から前記一端側に向けて切欠き形成した切欠部が設けられており、
前記第3ステップにおいて、前記支持部を前記切欠部に挿入した状態において、前記投光素子部品の投光素子と前記レンズ付部品の投光レンズとの光軸及び離間距離の調整を行うことを特徴とする請求項4に記載の投光モジュールの製造方法。
【請求項6】
前記第3ステップにおいて、前記投光素子部品の投光素子と前記レンズ付部品の投光レンズとの光軸及び離間距離の調整を行う際、前記投光素子部品を構成する投光素子に一端が電気的に接続されたフレキシブル基板の他端に、前記投光素子を発光させるための駆動手段を電気的に接続することを特徴とする請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載の投光モジュールの製造方法。
【請求項7】
前記第2把持部は、レンズ透過光を計測するための計測手段に対して予め定められた位置に前記レンズ付部品を固定可能に構成されているとともに、前記第1把持部は、前記第2把持部に対して移動可能に構成されており、
前記第3ステップにおいて、前記第1把持部を移動させることにより、前記投光素子部品の投光素子と前記レンズ付部品の投光レンズとの光軸及び離間距離の調整を行うことを特徴とする請求項1〜請求項6のうち何れか一項に記載の投光モジュールの製造方法。
【請求項8】
請求項5に記載の製造方法により製造した投光モジュールを搭載した投光器であって、
前記レンズ収容部材は、本体ケースの少なくとも一部をなすことを特徴とする投光器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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