説明

投写光学系及びこれを備えるプロジェクター

【課題】光の利用効率をバランスよく高めた投写光学系及びこれを組み込んだプロジェクターを提供すること。
【解決手段】物体側レンズ群20bが液晶パネル18G(18R,18B)の縦方向と横方向とで異なるパワーを持つので、投写光学系20の全系としても、縦横方向に異なる焦点距離を持ち縦横方向の拡大倍率も異なるものとなり、液晶パネル18G(18R,18B)の画像の横縦比とスクリーンSC上に投写される画像の横縦比とを異なるものにできる。つまり、本投写光学系20により、幅と高さとの比であるアスペクト比の変換が可能になる。この際、絞り70と物体側レンズ群20bのスクリーンSC側の最端面20fとの距離pが所定の条件式を満たすので、縦方向と横方向との双方で一定以上のテレセントリック性を確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投写像のアスペクト比を切り替えることができる投写光学系及びこれを備えるプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクターの投写光学系に用いられるアスペクト比変換用のコンバーターとして、本来の投写光学系の前面位置すなわち像側正面に進退可能に配置されるフロント配置型のコンバーターが存在する。
【0003】
しかしながら、この種のコンバーターは、プロジェクター本体から独立した外付けの光学部として設けられており、プロジェクターを大型化させるとともに、コンバーターを含めた全投写光学系の調整を複雑にし、或いは画像を著しく劣化させる。
【0004】
なお、プロジェクターの投写光学系ではなく、カメラ等の撮像光学系に使用されるアスペクト比変換用のコンバーターとして、結像光学系の像側に着脱可能に配置されるリア配置型のリレー系が存在する(特許文献1、2参照)。このリレー系は、第1群と第2群と第3群とからなり、これらのうち中央の第2群は、アナモフィックコンバーターであり、第1群と第3群との間に挿脱可能になっている。
【0005】
しかしながら、特許文献1等に開示されたリレー系又はアナモフィックコンバーターは、撮像光学系に用いるものであり、これを投写光学系にそのまま用いると、種々の制約が生じる。
【0006】
例えば、上記のようなリア配置型のリレー系の場合、テレセントリック性について考慮されていない。かかるリレー系では、原理的に、横断面でのテレセントリック性と縦断面でのテレセントリック性とを両立することができない。そのため、X断面又はY断面のいずれか一方でテレセントリック性を厳密に確保すると他方でテレセントリック性が大きく崩れてしまい、光の利用効率が低下し或いは方向によって偏ったものとなる。
【0007】
また、特許文献1等に記載の撮像光学系では、レンズ交換できることが基本的前提となっており、リア配置型のリレー系を使用しない場合、結像光学系は、撮像部に直接固定されて単独で使用される。そのため、結像光学系の性能を維持しようとすると、リア配置型のリレー系が長くなってしまう。一方、投写光学系では、レンズ交換が一般的に行われないので、様々な交換レンズをマウント可能にする汎用リレー系又は汎用コンバーターとしての機能は不要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−221597号公報
【特許文献2】特開2005−300928号公報
【発明の概要】
【0009】
本発明は、光の利用効率をバランスよく高めた投写光学系及びこれを組み込んだプロジェクターを提供することを目的とする。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る投写光学系は、画像を被投写面上に拡大投写する際に、光変調素子の画像の横縦比と、被投写面に投写される画像の横縦比とを異なるものとする投写光学系であって、光束の通過を制限する絞りを有し、光変調素子から絞りまでの間に配置される物体側レンズ群が光変調素子の縦方向と横方向とで異なるパワーを持ち、絞りと物体側レンズ群の被投写面側の最端面との距離をpとして、物体側レンズ群の横断面において、被投写面側の焦点と被投写面側の最端面との距離をFFPxとし、物体側レンズ群の縦断面において、被投写面側の焦点と被投写面側の最端面との距離をFFPyとし、
FFPx<FFPyのとき、
FFPx<p<FFPy (1)
であり、
FFPy<FFPxのとき、
FFPy<p<FFPx (1)'
である。
【0011】
上記投写光学系によれば、物体側レンズ群が光変調素子の縦方向と横方向とで異なるパワーを持つので、投写光学系の全系としても、縦横方向に異なる焦点距離を持ち縦横方向の拡大倍率も異なるものとなり、光変調素子の画像の横縦比と被投写面上に投写される画像の横縦比とを異なるものにできる。つまり、本投写光学系により、幅と高さとの比であるアスペクト比の変換が可能になる。この際、絞りと物体側レンズ群の被投写面側の最端面との距離pが上記条件式(1)、(1)'を満たすので、縦方向と横方向との双方で一定以上のテレセントリック性を確保することができる。たとえば、FFPx<p<FFPyの場合、縦方向の主光線は被投写面に向けて内向きに傾き、横方向の主光線は被投写面に向けて外向きに傾くが、全体としてテレセントリック性は保たれる。逆に、FFPy<p<FFPxの場合、縦方向の主光線は被投写面に向けて外向きに傾き、横方向の主光線は被投写面に向けて内向きに傾くが、全体としてテレセントリック性は保たれる。
【0012】
本発明の具体的な側面によれば、上記投写光学系において、
FFPx<FFPyのとき、
FFPx<p≦(FFPy+FFPx)/2 (2)
であり、
FFPy<FFPxのとき、
FFPy<p≦(FFPy+FFPx)/2 (2)'
である。この場合、横方向と縦方向との中間方向におけるテレセントリック性を比較的高くすることができ、テレセントリック性の方向的な偏りを低減することができ、観察方向等に依存してムラの生じにくい明るい画像を投写することができる。
【0013】
本発明の別の側面によれば、被投写面側から順に、拡大用の第1群と、光変調素子の縦方向と横方向とで異なるパワーを持つ第2群と、正のパワーを持つ第3群とから実質的になる。この場合、正のパワーを持つ第3群によって、第2群へ入射する光の入射角度を抑えることができ、第2群で発生する収差を抑えることができ、結像性能の向上が可能となる。また、第3群によって光の広がりを抑えることができるため、第2群の口径が小さくなるため、高精度なレンズ加工が期待でき、性能向上につながるとともに、コストダウンも可能である。
【0014】
本発明のさらに別の側面によれば、被投写面側から順に、拡大用の第1群と、光変調素子の縦方向と横方向とで異なるパワーを持つ第2群とから実質的になる。一般的に、回転非対称な光学要素の製造は難しく、精度を出すためには小型化が必須条件である。上記投写光学系の場合、光変調素子に近い位置では、光線の広がりが少なくレンズが小型になるので、高精度なレンズ加工が期待でき、性能向上につながるとともに、コストダウンも可能である。
【0015】
本発明のさらに別の側面によれば、第2群が、光路上に進退可能であり、第2群が光路上から退避したときに、光変調素子の画像と被投写面に投写される画像との横縦比が一致している。この場合、第1群が一般的な投写光学系と同じ拡大光学系の機能を受け持ち、第1群のみで光変調素子の画像を被投写面上に明るい状態で拡大投写することができる。さらに、第2群を光路上に進退させる際、第1群を大きく動かす必要がないので、機械機構等の負担が少ない。なお、第2群が従来技術のようなリア配置型のリレー系である場合、リレー系を取り外した場合、第1群を凡そリレー系分だけ撮像素子に近づける必要が生じ、第1群を再マウントしたり大きく移動させるため大掛かりな機械機構等が必要になるとともに、リレー系の光学的な負担が大きくなり、リレー系の長さや構成レンズ数が第1群に匹敵する大掛かりなものにならざるを得ない。一方、本発明の投写光学系によれば、第2群をリレーレンズのように機能させる必要がなく、全長を短くし構成レンズ数を少なくすることが可能になる。また、本発明の投写光学系の場合、従来技術のようなリア配置型のリレー系とは異なり、第1群から独立して第2群の一部ではなく全体を進退させるので、第2群の進退又は着脱の際、第1群への偏芯等の影響が少なく、さらに機構的にも独立した配置が可能になる。これにより、投写光学系の組立の際に、第2群をユニットとして第1群のみとの組立精度を考慮すればよく、組立性向上が望める。また、光変調素子に近い位置で第2群が光線上に進退可能であるため、第2群が光線上に挿入された場合にも、各像高の光線は比較的像高に近い経路に沿って第2群を通過するため、光線のコントロールがしやすくなる。このため第2群の光路上への進退動作による収差の発生を押させることができ、第2群が光線上に挿入された場合の結像性能の劣化を防ぐことができる。つまり、進退可能な第2群を光変調素子に近い位置に置くことで、第2群をコンパクトにしつつ、収差の発生を抑えることができる。
【0016】
本発明のさらに別の側面によれば、第1群が、変倍光学系であり、絞りは、変倍光学系による倍率変化に伴って光軸方向に移動する。これにより、変倍光学系である第1群によって投写倍率を変化させた場合にも、テレセントリック性の偏りを抑えて光の利用効率をバランスよく高めることができる。
【0017】
本発明のさらに別の側面によれば、第2群の一部又は全部が、シリンドリカルレンズ、アナモフィックレンズ(トーリック又はトロイダルレンズ)、及び自由曲面レンズのいずれかである。ここで、シリンドリカルレンズやアナモフィックレンズは、非球面型の光学面を有する場合を含むものとする。
【0018】
本発明のさらに別の側面によれば、第2群が、1枚以上の回転対称レンズと1枚以上の回転非対称レンズとを含む。第1群の拡大光学系で抑え切れなかった諸収差、特に非点収差を光変調素子に近い第2群側で簡易に抑えこむことができる。
【0019】
本発明のさらに別の側面によれば、第2群が、光変調素子の縦方向の断面において、被投写面側から順に、正のパワーをもつ第1の光学要素群と、負のパワーをもつ第2の光学要素群とで構成されている。この場合、被投写面上に投写される画像を縦方向に圧縮又は短縮することができる。被投写面の横寸法が固定されている場合、投写距離を変えずに横縦比の変更が可能になる。
【0020】
本発明のさらに別の側面によれば、第2群が、光変調素子の横方向の断面において、被投写面側から順に、負のパワーをもつ第1の光学要素群と、正のパワーをもつ第2の光学要素群とで構成されている。この場合、被投写面上に投写される画像を横方向に伸張又は拡大することができる。被投写面の縦寸法が固定されている場合、投写距離を変えずに横縦比の変更が可能になる。
【0021】
本発明のさらに別の側面によれば、光変調素子の中心を通る法線と、投写光学系の光軸とが、平行に配置されるように構成されている。この場合、光変調素子の中心と投写光学系の光軸とを一致させる必要はなく、光変調素子の中心を投写光学系の光軸からずらして配置することにより、アオリを利用した斜め方向への比較的精密な投写が可能になる。
【0022】
本発明のさらに別の側面によれば、投写光学系が、光変調素子の中心を通る法線に対し、投写光学系の光軸を平行に保ったまま移動させるシフト機構を備えている。シフト量を調整しても斜め方向への比較的精密な投写が可能になる。さらに、拡大光学系が変倍機能を備える場合には、アオリを利用した斜め投写を行なっている状態で投写光学系の変倍を行なうと、シフト量の絶対量が増減するので、これをシフト機構で補正することで、被投写面に収まるように画像を投写することが容易になる。
【0023】
本発明のさらに別の側面によれば、物体側レンズ群の光変調素子側に、光合成用のプリズムが配置されている。この場合、複数の光変調素子に形成された複数色の画像を合成して投写することが可能になる。
【0024】
本発明のさらに別の側面によれば、物体側レンズ群の光変調素子側の最端面から光変調素子までにかけての光束のうち最大画角に対応する光束の主光線が光軸に対して平行でなく傾きを有する。この場合、横断面の最大画角及び縦断面の最大画角の主光線を光軸に対して少し傾けることで、縦方向あるいは横方向のどちらかのテレセントリック性が大きく崩れることがなくなり、縦方向および横方向のどちらにおいても良好なテレセントリック性を保つことができるため、全体として画質を高く保つことができる。
【0025】
本発明に係るプロジェクターは、上述の投写光学系と、光変調素子とを備える。本プロジェクターによれば、光変調素子の画像の横縦比と異なる横縦比の画像を被投写面上に投写することができる。この際、特別な投写光学系により、観察方向等に依存してムラの生じにくい明るい画像を投写することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態に係るプロジェクターの使用状態を説明する斜視図である。
【図2】図1のプロジェクターの概略構成を示す図である。
【図3】図1のプロジェクターのうち投写光学系の構造を説明する図である。
【図4】(A)は、投写光学系の横断面の構成を示し、(B)は、投写光学系の縦断面の構成を示す。
【図5】(A)は、投写光学系の第1動作状態を示し、(B)は、投写光学系の第2動作状態を示す。
【図6】(A)及び(B)は、縦断面及び横断面における絞りの位置を説明する図である。
【図7】(A)は、液晶パネルの表示領域上の位置を説明する図であり、(B)は、液晶パネルの斜め断面における主光線角度と絞りの位置との関係を示す図であり、(C)は、液晶パネルの縦横断面における主光線角度と絞りの位置との関係を示す図である。
【図8】(A)は、図3等に示す投写光学系の変形例の横断面の構成を示し、(B)は、投写光学系の縦断面の構成を示す。
【図9】第1実施形態の実施例1の光学系の横断面について説明する図である。
【図10】実施例1の光学系の縦断面について説明する図である。
【図11】図9の光学系をワイド端とした場合の横断面について説明する図である。
【図12】図10の光学系をワイド端とした場合の縦断面について説明する図である。
【図13】(A)〜(C)は、実施例1の光学系ズーミングの動作を説明する図である。
【図14】(A)〜(C)は、ズーミング動作中における斜め方向における主光線角度を示している。
【図15】(A)は、第2実施形態に係るプロジェクターの投写光学系の横断面の構成を示し、(B)は、投写光学系の縦断面の構成を示す。
【図16】(A)は、第3実施形態に係るプロジェクターの投写光学系の横断面の構成を示し、(B)は、投写光学系の縦断面の構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に図面を参照して、本発明の実施形態に係るプロジェクター及び投写光学系を詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係るプロジェクター2は、画像信号に応じて画像光PLを形成し、当該画像光PLをスクリーンSC等の被投写面へ向けて投写する。プロジェクター2の投写光学系20は、プロジェクター2内に内蔵された光変調素子である液晶パネル18G(18R,18B)の画像をスクリーン(被投写面)SC上に拡大投写する際に、液晶パネル18G(18R,18B)の画像の横縦比(アスペクト比)AR0に対して、スクリーンSC上に投写される画像の横縦比(アスペクト比)AR2を異なるものとすることができる。つまり、液晶パネル18Gの表示領域A0の横縦比AR0と、スクリーンSCの表示領域A2の横縦比AR2とは、異なるものとすることができるが、同一のものとすることもできる。具体的には、液晶パネル18Gの表示領域A0の横縦比AR0は、例えば1.78:1であり、スクリーンSCの表示領域A2の横縦比AR2は、例えば1.78:1、1.85:1、2.35:1、2.4:1等とされる。
【0028】
図2に示すように、プロジェクター2は、画像光を投写する光学系部分50と、光学系部分50の動作を制御する回路装置80とを備える。
【0029】
光学系部分50において、光源10は、例えば超高圧水銀ランプであって、R光、G光、及びB光を含む光を射出する。ここで、光源10は、超高圧水銀ランプ以外の放電光源であってもよいし、LEDやレーザーのような固体光源であってもよい。第1インテグレーターレンズ11及び第2インテグレーターレンズ12は、アレイ状に配列された複数のレンズ素子を有する。第1インテグレーターレンズ11は、光源10からの光束を複数に分割する。第1インテグレーターレンズ11の各レンズ素子は、光源10からの光束を第2インテグレーターレンズ12のレンズ素子近傍にて集光させる。第2インテグレーターレンズ12のレンズ素子は、重畳レンズ14と協働して、第1インテグレーターレンズ11のレンズ素子の像を液晶パネル18R、18G、18Bに形成する。このような構成により、光源10からの光が液晶パネル18R、18G、18Bの表示領域(図1の表示領域A0)全体を略均一な明るさで照明する。
【0030】
偏光変換素子13は、第2インテグレーターレンズ12からの光を所定の直線偏光に変換させる。重畳レンズ14は、第1インテグレーターレンズ11の各レンズ素子の像を、第2インテグレーターレンズ12を介して液晶パネル18R、18G、18Bの表示領域上で重畳させる。
【0031】
第1ダイクロイックミラー15は、重畳レンズ14から入射したR光を反射させ、G光及びB光を透過させる。第1ダイクロイックミラー15で反射されたR光は、反射ミラー16及びフィールドレンズ17Rを経て、光変調素子である液晶パネル18Rへ入射する。液晶パネル18Rは、R光を画像信号に応じて変調することにより、R色の画像を形成する。
【0032】
第2ダイクロイックミラー21は、第1ダイクロイックミラー15からのG光を反射させ、B光を透過させる。第2ダイクロイックミラー21で反射されたG光は、フィールドレンズ17Gを経て、光変調素子である液晶パネル18Gへ入射する。液晶パネル18Gは、G光を画像信号に応じて変調することにより、G色の画像を形成する。第2ダイクロイックミラー21を透過したB光は、リレーレンズ22、24、反射ミラー23、25、及びフィールドレンズ17Bを経て、光変調素子である液晶パネル18Bへ入射する。液晶パネル18Bは、B光を画像信号に応じて変調することにより、B色の画像を形成する。
【0033】
クロスダイクロイックプリズム19は、光合成用のプリズムであり、各液晶パネル18R、18G、18Bで変調された光を合成して画像光とし、投写光学系20へ進行させる。
【0034】
投写光学系20は、各液晶パネル18G,18R,18Bによって変調されクロスダイクロイックプリズム19で合成された画像光PLを図1のスクリーンSC上に拡大投写する。この際、投写光学系20は、スクリーンSC上に投写される画像の横縦比AR2を、液晶パネル18G,18R,18Bの画像の横縦比AR0と異なるものとしたり、この横縦比AR0と等しいものとすることができる。
【0035】
回路装置80は、ビデオ信号等の外部画像信号が入力される画像処理部81と、画像処理部81の出力に基づいて光学系部分50に設けた液晶パネル18G,18R,18Bを駆動する表示駆動部82と、投写光学系20に設けた駆動機構(不図示)を動作させて投写光学系20の状態を調整するレンズ駆動部83と、これらの回路部分81,82,83等の動作を統括的に制御する主制御部88とを備える。
【0036】
画像処理部81は、入力された外部画像信号を各色の諧調等を含む画像信号に変換する。画像処理部81は、投写光学系20が画像のアスペクト比(横縦比)を変換して投写する第1動作状態である場合、投写光学系20による横縦比の変換を逆にした画像のアスペクト比変換を予め行ってスクリーンSC上に表示される画像が縦横に伸縮しないようにする。具体的には、投写光学系20によって例えば1.78:1から例えば2.4:1となるように横方向に画像の伸張が行われる場合、予め、横方向に0.742=1.78/2.4倍の画像の圧縮が行われ、或いは、縦方向に1.35=2.4/1.78倍の画像の伸張が行われる。一方、投写光学系20が画像のアスペクト比を変換しないで投写する第2動作状態である場合、画像処理部81は、上記のような画像のアスペクト比変換を行わない。なお、画像処理部81は、外部画像信号に対して歪補正や色補正等の各種画像処理を行うこともできる。
【0037】
表示駆動部82は、画像処理部81から出力された画像信号に基づいて液晶パネル18G,18R,18Bを動作させることができ、当該画像信号に対応した画像又はこれに画像処理を施したものに対応する画像を液晶パネル18G,18R,18Bに形成させることができる。
【0038】
レンズ駆動部83は、主制御部88の制御下で動作し、例えば投写光学系20を構成する絞りを含む一部の光学要素を光軸OAに沿って適宜移動させることにより、投写光学系20による図1のスクリーンSC上への画像の投写倍率を変化させることができる。また、レンズ駆動部83は、投写光学系20を構成する別の一部の光学要素を光軸OA上すなわち光路上に進退させることにより、図1のスクリーンSC上に投写される画像の横縦比AR2を変化させることができる。レンズ駆動部83は、投写光学系20全体を光軸OAに垂直な上下方向に移動させるアオリの調整により、図1のスクリーンSC上に投写される画像の縦位置を変化させることができる。
【0039】
以下、図3を参照して、実施形態の投写光学系20について説明する。投写光学系20は、レンズ等の複数の光学要素を組み合わせてなる本体部分20aと、本体部分20aの一部又は全体を移動させることでその結像状態を調整する駆動機構61,62,63,64とを備える。
【0040】
本体部分20aは、スクリーンSC側から順に、第1群30と、第2群40と、第3群60と、絞り70とからなる。
【0041】
第1群30は、第1レンズ部31と、第2レンズ部32とを有する。たとえば、第1レンズ部31を構成する少なくとも1枚のレンズを光軸OAに沿って手動等により微動させることにより、本体部分20aのフォーカス状態を調整することができる。また、第2レンズ部32は、図4(A)に示すように第1、第2及び第3レンズ群32a,32b,32c等で構成され、各レンズ群32a,32b,32cは、1枚以上のレンズで構成されている。これらのレンズ群32a,32b,32c等又はこれらを構成する少なくとも1枚のレンズを、図3のズーム駆動機構61により光軸OAに沿って移動させることにより、本体部分20aによる投写倍率を変更することができる。
【0042】
第2群40は、横方向(X方向)と縦方向(Y方向)で異なる焦点距離を持っており、結果的に第1群30も含めた投写光学系20の全系としても、縦方向と横方向とで異なる焦点距離を持つことになる。すなわち、本体部分20aによる縦方向と横方向の拡大倍率も異なるものとなり、液晶パネル18G(18R,18B)に表示された画像の横縦比AR0とは異なる横縦比AR2の画像をスクリーンSC上に投写することができる。第2群40は、光軸OAに対して回転非対称な面を持つ1つ以上の調整光学要素を含み、具体的には、図4(B)に示す縦方向(Y方向)の断面に関して、スクリーンSC側から順に、正のパワーを持つ第1の光学要素群41と、負のパワーを持つ第2の光学要素群42とで構成されている。なお、第1の光学要素群41と第2の光学要素群42とは、図4(A)に示す横方向(X方向)の断面に関して、パワーを有していない。
【0043】
このように、アナモフィック光学系である第2群40を、横断面に関して、正の屈折力を持つ第1の光学要素群41と負の屈折力を持つ第2の光学要素群42との組合せとすることにより、簡易に変倍すなわちズーミングを行なうことができる。
【0044】
第2群40を図3に示す第1アナモフィック駆動機構62により一体として光路上に進退させることにより、スクリーンSC上に投写される画像の横縦比(アスペクト比)を所望のタイミングで切り替えることができる。具体的には、図5(A)に示すように、第2群40を光路上に配置した第1動作状態とすることにより、液晶パネル18G(18R,18B)に形成される画像を縦方向に圧縮した横縦比(例えば2.4:1)でスクリーンSC上に画像を投写することができる。あるいは、図5(B)に示すように、第2群40を光路上から退避させた第2動作状態とすることにより、液晶パネル18G(18R,18B)に形成される画像のままの横縦比(例えば1.78:1)でスクリーンSC上に画像を投写することができる。第2群40によってスクリーンSC上に投写される画像を縦方向に圧縮する構成は、横寸法が固定されたスクリーンSCを使用する際に有効である。つまり、このようなスクリーンSCに対して投写光学系20による投写距離等を変えずに横縦比だけの変更が可能になる。なお、第2群40を構成する第1の光学要素群41と第2の光学要素群42とを第2アナモフィック駆動機構63により光軸OA方向に移動させることもできる。これらの間隔を調整することにより、スクリーンSC上に投写される画像の横縦比(アスペクト比)を連続的に増減させることができる。
【0045】
さらに、図3に示すように、全系駆動機構64により本体部分20a全体を光軸OAに垂直な方向に移動させてシフト量を調整することにより、スクリーンSC上に投写される画像の光軸OAからのズレ量を増減させることができる。つまり、本体部分20aの光軸OAを液晶パネル18Gの中心軸AXに平行な状態を保ちつつ、本体部分20aの光軸OAを液晶パネル18Gの中心軸AXに対して適当なシフト量SFだけ移動させることで、光軸OAから例えば上方向(+Y方向)に外れた位置に画像を投写すること(アオリ投写すること)ができ、シフト量SFの調整によって画像の投写位置を縦方向に上下移動させることができる。なお、本体部分20aの光軸OAの液晶パネル18Gの中心軸AXを基準するズレ量であるシフト量SFは、必ずしも可変とする必要はなく、例えばゼロでない値で固定することもできる。また、全系駆動機構64により本体部分20a全体を光軸OAに沿った方向に適宜移動させることもできる。
【0046】
第3群60は、横方向及び縦方向にパワーを持つ回転対称なレンズを1枚以上含む。第3群60は、正のパワーを有するため光変調素子から射出した光の広がりを抑えることができる。そのため、第2群40へ入射する光の角度を抑えることができ、第2群40で発生する収差を抑えることができる。その結果として第3群60は全体の収差を抑えることができため、第3群60は補正光学要素として複数のレンズを有し、それらのレンズ中に正のパワーを有するものとし、必要であれば、非球面のものを含めるものとする。
【0047】
絞り70は、例えば第1群30の第2レンズ部32を構成するいずれかのレンズに隣接して配置される。図4(A)に示す例では、第2レンズ部32の第2及び第3レンズ群32b,32cの間に絞り70を配置している。絞り70は、第1群30を通過する光束すなわち画像光を部分的に遮光することで、画像光の状態を調整する機能を有する。具体的には、絞り70は、第1群30を通過する光束の断面を光軸OA上の対応位置で規定のサイズ及び形状とする。これにより、液晶パネル18G(18R,18B)から射出される画像光を規制することで、その主光線の射出角度や方向を調整することができる。絞り70は、第1群30の第2レンズ部32のズーム動作に連動して光軸OAに沿って移動する。このように、絞り70をズーム駆動機構61により光軸OAに沿って移動させることにより、液晶パネル18G(18R,18B)から射出される画像光の射出状態をズーミングすなわち投写倍率に応じて適切なものとできる。
【0048】
以上のズーム駆動機構61、第1アナモフィック駆動機構62、第2アナモフィック駆動機構63、及び全系駆動機構64は、モーター、機械的な伝達機構、センサー等を有しており、図2のレンズ駆動部83からの駆動信号に応じて動作する。これらの駆動機構61,62,63,64は、レンズ駆動部83からの駆動信号によって単独で動作するだけでなく、複合的に動作する。例えば、ズーム駆動機構61の動作に合わせて全系駆動機構64を動作させることで、ズーミング時に画像がシフトする現象等を抑制することができる。
【0049】
ここで、図3等に示す投写光学系20の機能についてより詳細に説明する。この投写光学系20の場合、液晶パネル18G(18R,18B)に比較的近い位置で第2群40が光線上に進退可能であるため、各像高の光線は比較的像高に近い経路に沿って第2群を通過するため、光線のコントロールがしやすくなる。このため第2群40の光路上への進退動作による収差の発生を押させることができ。一般的に回転非対称な光学要素の製造は難しく、精度を出すためには第2群40の小型化が必須条件である。その点で、第2群40が液晶パネル18G(18R,18B)に近いほど光線の広がりが少なく第2群40を構成する調整光学要素である第1の光学要素群41と第2の光学要素群42とを小型にできるので、これらの光学要素群41,42に対して高精度なレンズ加工が期待でき、投写光学系20の性能向上につながるとともに、コストダウンも可能である。さらに、投写光学系20は、液晶パネル18G(18R,18B)に最も近い第3群60を有することで、比較的簡単な光学系によって効率的で無理のない収差の補正を可能としている。このような第3群60の存在によって、さらに著しい性能向上を図ることができる。具体的には、この第3群60により、第2群40内での光束の広がりを抑えることができ、第2群40の径が大きくなるのを防ぐことができる。また、アナモフィック型の第2群を略アフォーカル系にすることにより、第2群40の構成レンズの位置精度の要求を低くしつつ精度を確保することができる。
【0050】
図6(A)及び6(B)は、投写光学系20における絞り70の配置を説明する図である。ここでは、投写光学系20のうち、物体側のテレセントリック性に影響する部分として、液晶パネル18G(18R,18B)から絞り70までの間に配置される物体側レンズ群20bについて考える。図示の場合、物体側レンズ群20bは、第1群30のうち第2レンズ部32の第3レンズ群32cと、第2群40と、第3群60とからなる。つまり、絞り70の物体側に、第1群30中の第3レンズ群32cと、第2群40と、第3群60とが配置されている。まず、絞り70と物体側レンズ群20bのスクリーンSC側の最端面20fとの距離をpとする。図6(A)に示す物体側レンズ群20bの縦断面すなわちYZ断面において、物体側レンズ群20bのスクリーンSC側の焦点FPyと、物体側レンズ群20bのスクリーンSC側の最端面20fとの距離をFFPyとする。さらに、図6(B)に示す物体側レンズ群20bの横断面すなわちXZ断面において、物体側レンズ群20bのスクリーンSC側の焦点FPxと、物体側レンズ群20bのスクリーンSC側の最端面20fとの距離をFFPxとする。この場合、最端面20fから絞り70までの距離pは、距離FFPxと距離FFPyとの間に設定されている。つまり、FFPx<FFPyであるとき、距離pは、下記条件(1)の範囲内で設定される。
FFPx<p<FFPy (1)
また、FFPy<FFPxであるとき、距離pは、下記条件(1)'の範囲内で設定される。
FFPy<p<FFPx (1)'
ここで、図6(A)及び6(B)に例示する投写光学系20は、横断面の焦点FPxの方が縦断面の焦点FPyよりも最端面20fに近くなってFFPx<FFPyとなっており、横方向に相対的に大きな拡大率を有し画像のアスペクト比を増大させるものとなっている。この場合、距離pは、条件(1)の範囲内に設定され、下限のFFPxよりも大きく、上限のFFPyよりも小さくなる。
【0051】
以上の条件(1)、(1)'は、画角の方向も考慮して投写光学系20のテレセントリック性を良好に保つための絞り70の配置範囲を規定している。条件(1)、(1)'の範囲内で絞り70を配置する場合、テレセントリック性を高めて光の利用効率を確保することができるので、プロジェクター2の性能を高めることができる。たとえば、縦に画像を圧縮するタイプの投写光学系20の場合、一般にFFPx<FFPyとなり、物体側レンズ群20bの液晶パネル18G(18R,18B)側の最端面20rまでにかけての光束のうち最大画角に対応する光束が光軸OAに対して平行でなく傾きを有することになる。具体的には、縦断面の周辺画像に対応する主光線PL1はスクリーンSCに向けて内向きに傾き、横断面の周辺画像に対応する主光線PL2はスクリーンSCに向けて外向きに傾く。結果的に、投写光学系20は、厳密な意味では縦横のいずれにもテレセントリックでなくなるが、縦方向と横方向とに関してバランスよくテレセントリック性を高めたものとなっている。なお、条件(1)の上限を超えてスクリーンSC側に絞り70を配置すると、横断面及び縦断面の周辺画像に対応する主光線はいずれもスクリーンSCに向かって光軸OAから離れる外向きに傾き、投写光学系20のテレセン性が大きく崩れることになる。逆に、条件(2)の上限を超えてスクリーンSC側に絞り70を配置すると、横断面及び縦断面の周辺画像に対応する主光線はいずれもスクリーンSCに向かって光軸OAに近づく内向きに傾き、投写光学系20のテレセン性が大きく崩れることになる。
【0052】
絞り70のより好ましい配置は、物体側レンズ群20bの横断面での焦点FPyと物体側レンズ群20bの縦断面での焦点FPxとの中間位置から、最端面20f側又は物体側の焦点位置までの範囲内とする。つまり、FFPx<FFPyであるとき、距離pは、下記条件(2)の範囲内で設定される。
FFPx<p≦(FFPy+FFPx)/2 (2)
また、FFPy<FFPxであるとき、距離pは、下記条件(2)'の範囲内で設定される。
FFPy<p≦(FFPy+FFPx)/2 (2)'
ここで、図6(A)及び6(B)に例示する投写光学系20は、FFPx<FFPyとなっており、横方向に相対的に大きな拡大率を有し画像のアスペクト比を増大させるものとなっている。この場合、距離pは、条件(2)の範囲内に設定され、下限のFFPxよりも大きく、上限の(FFPy+FFPx)/2よりも小さくなる。これにより、横方向と縦方向との中間方向におけるテレセントリック性を比較的高くすることができ、テレセントリック性の方向的な偏りを低減することができ、観察方向等に依存してムラの生じにくい明るい画像を投写することができる。
【0053】
図7(A)を参照して、液晶パネル18Gの表示領域A0の座標について考える。ここでは、光軸OAを基準として横のX方向に対応するx軸と縦のY方向に対応するy軸とを定めている。縦横で非対称なアナモフィック型レンズ系を備える投写光学系20において、液晶パネル18Gからの主光線の射出角度を考えるとき、x軸に沿った横軸位置やy軸に沿った縦軸位置だけを考えるだけでは足りず、斜め方向の位置を考える必要があることが分かった。つまり、図中に斜めベクトルVSで示す方向についても、主光線の射出角度(主光線角度)を考えるものとする。ここで、x軸に沿った横軸位置Exとこれの点からの主光線角度とは、近似的に略線形であるものとし、y軸に沿った縦軸位置Eyとこれの点からの主光線角度とは、近似的に略線形であるものとする。同様に、ベクトルVSに平行な斜め位置Esとこれの点からの主光線角度とも、略線形であるとして取り扱うことができる。
【0054】
図7(B)は、ベクトルVSの先端の斜め位置Esにおける主光線角度を、絞り70の位置を変化させつつ計算したシミュレーション結果を示している。
【0055】
チャートからも明らかなように、物体側レンズ群20bの縦断面の焦点FPyと横断面の焦点FPxとの間に主光線角度の極小値が存在する。つまり、絞り70の位置が縦断面の焦点FPyと横断面の焦点FPxとの間に設定された場合、主光線角度の増加を全体的に抑え得ることが分かる。換言すれば、物体側レンズ群20bの最端面20fから絞り70までの距離pは、距離FFPxと距離FFPyとの間に設定されることが望ましい。つまり、距離pは、上記条件(1)の範囲内で設定されることが望ましい。
【0056】
さらに、より細かく観察すると、縦断面の焦点FPyと横断面の焦点FPxとの中間位置と、横断面の焦点FPxとの間に主光線角度の極小値が存在する。つまり、絞り70の位置が一対の焦点FPy,FPxの中間位置と横断面の焦点FPxとの間に設定された場合、主光線角度の増加を全体的に抑え得るものと考えられる。換言すれば、物体側レンズ群20bの最端面20fから絞り70までの距離pは、距離FFPxと距離FFPyとの平均値以下であって距離FFPx以上であることが望ましいと考えられる。つまり、距離pは、上記条件(2)の範囲内で設定されることが望ましい。
【0057】
図7(C)は、横のx軸に沿った位置Exと縦のy軸に沿った位置Eyとにおける主光線角度を、絞り70の位置を変化させつつ計算したシミュレーション結果を示している。チャートからも明らかなように、横軸位置Exでは、絞り70が横断面の焦点FPxに配置される場合に主光線角度がゼロとなる。一方、縦軸位置Eyでも、絞り70が縦断面の焦点FPyに配置される場合に主光線角度がゼロとなる。
【0058】
以上のように、本実施形態の投写光学系20の場合、画角の方向も考慮して物体側で略テレセントリックになっている。すなわち、液晶パネル18G(18R,18B)からの光線が縦断面、横断面、及び斜め断面で光軸OAに平行に近い状態にされている。これにより、液晶パネル18G(18R,18B)と投写光学系20とを比較的簡易に高精度で組み合わせることができ、組立性が良好なものとなる。さらに、投写光学系20を光軸OAに垂直な方向に移動させてアオリを利用した投写を行う場合、液晶パネル18G(18R,18B)からの出射光が略テレセントリックな状態で投写光学系20に取り込まれるならば、周辺光量の確保が容易になり、画質の向上に寄与する。また、略テレセントリックな状態にすることで、色むらの低減ができるため画質の向上につながる。
【0059】
図5(B)に示すように投写光学系20の第2群40を光路外に退避させて第2動作状態とした場合、投写光学系20内の第2群40の位置には、何も配置されない。すなわち、第2群40を退避させているとき、投写光学系20は第1群30と第3群60とが協働して回転対称な光学要素のみで構成されることになるので、液晶パネル18G(18R,18B)の表示領域A0の横縦比(アスペクト比)とスクリーンSCの表示領域A2の横縦比(アスペクト比)とは一致することになる。第2群40を退避させた際には透過率が向上し、画像を明るくできる。本実施形態の投写光学系20の場合、第1群30と第3群60とを光路上に固定的に設置して第2群40を光路上に進退させる。この点が従来のリア配置型のリレー系(特開2004−027496号公報参照)を投写系に流用する場合と大きく異なる。すなわち、従来のリア配置型のリレー系では、リア配置型のリレー系を取り外した場合は、おおよそリア配置型のリレー系分だけ、投写光学系が撮像素子に近づくことになる。一方、本実施形態の投写光学系20の場合は、第2群40を取り外して光路外に退避させても、第1群30や第3群60の位置をほとんど変化させる必要がない。つまり、第2群40を光路上に進退させる縦横の倍率切換時に第1群30や第3群60を大きく動かす必要がなく、メカ機構の負担を小さくすることができる。なお、従来のリア配置型のリレー系を投写系に流用する場合、リア配置型のリレー系の一部である2群を光路上に進退させることで縦横の倍率変換を行なえるが、縦横の倍率変換用の2群を光路上に進退させても本体光学系の大きな移動がないようにしている。そして、従来のリア配置型のリレー系は、単独で使用可能な本体光学系に代えて本体光学系のマウントに固定される。このため、従来のリア配置型のリレー系の場合、その光学的な負担が大きくなり、光軸方向に長くなって構成レンズ数が増加するという問題があるが、本実施形態の投写光学系20によれば、第2群40をリレーレンズのように機能させる必要がなく、全長を短くし構成レンズ数を少なくすることが可能になる。また、本実施形態の投写光学系20の場合、従来のリア配置型のリレー系とは異なり、第1群30及び第3群60から独立して第2群40の一部ではなく全体を進退させるので、第2群40の進退又は着脱の際、第1群30及び第3群60への偏芯等の影響を少なくでき、さらに機構的にも比較的独立した配置が可能になり、投写光学系20の組立の際に、第2群40をユニットとして別体の第1群30及び第3群60間への組付精度を考慮すればよく、組立性向上が望める。
【0060】
投写光学系20において、本体部分20aの光軸OAを液晶パネル18Gの中心軸AXに平行な状態を保ちつつ適当なシフト量SFだけ移動させた状態とできるので、アオリを利用した投写が可能になり、視聴者と画像光PLとが干渉するのを防ぐのが容易になり、設置性が向上する。投写光学系20の本体部分20aが液晶パネル18Gに対して上記のようにシフトした状態の場合、ズーム駆動機構61により第2レンズ部32を動作させて投写倍率を変更するズーミングを行うと、画像光PLのシフト量の絶対量が増加する。よって、ズーミングによるシフト量が増加を全系駆動機構64の動作によって補正することで、プロジェクター2の操作性・設置性を向上させことができる。この際、主制御部88の制御下で、ズーム駆動機構61と全系駆動機構64とを連動させて動作を自動化することにより、より操作性が向上する。
【0061】
上記実施形態の投写光学系20の場合、第2群40を構成する調整光学要素である光学要素群41,42の片面又は両面がシリンドリカルレンズ面である。シリンドリカルレンズは、アナモフィックレンズや自由曲面レンズ等と比べると比較的加工が容易で高精度が期待でき、コストダウンが可能である。また、平面断面側の偏芯感度が低く、組立性が向上し、結果的に、高性能化が期待できる。つまり、第2群40をシリンドリカルレンズで構成することで、投写光学系20の精度を確保しつつコストダウンが可能になる。
【0062】
第2群40を構成する光学要素群41,42の片面又は両面は、シリンドリカルレンズ面に限らず、アナモフィックレンズ(例えばトーリック又はトロイダルレンズ)とすることができる。
【0063】
以上において、第2群40を構成するシリンドリカル型又はアナモフィックレンズ型の光学要素群41,42の片面又は両面は、縦のX断面又は横のY断面に関して非球面式、具体的には、以下の多項式hで表される形状を持つものとできる。

ここで、yは光軸OAからの像の高さ(像高)、cは基準とする球面の曲率、kは円錐定数、A2、A4、A6、A8、A10、・・・のそれぞれは所定の補正項とする。
【0064】
さらに、第2群40を構成する光学要素群41,42の片面又は両面は、自由曲面とすることができる。自由曲面レンズを用いることにより、Y方向及びX方向の両断面で曲率をコントロールできるので、非点収差の低減が可能で、高性能化が可能になる。また、非球面とすることにより、各種収差の低減が可能で、高性能化が可能になる。さらに、自由曲面とすることにより、スクリーンSC上又は液晶パネル18G(18R,18B)上のイメージサークル面において、液晶パネル18G(18R,18B)の縦横方向以外の中間の斜め方向の結像状態の最適化も容易になり、高性能化が可能になる。
【0065】
第2群40については、2枚の光学要素群41,42に限らず3枚以上の光学要素群で構成することができる。この際、第2群40によって色収差が発生しないことが望ましい。このため、以下の関係
Σ(φi×νi)≒0
ここで、
φi:第2群40を構成する各レンズの屈折率
νi:第2群40を構成する各レンズのアッベ数
が成り立つことが望ましい。
【0066】
図8(A)及び8(B)は、図4(A)及び4(B)に示す投写光学系20の変形例を説明する図である。第2群140は、縦方向(Y方向)と横方向(X方向)で異なる焦点距離を持っており、結果的に第1群30も含めた投写光学系20の全系としても、縦方向と横方向とで異なる焦点距離を持つことになる。この場合、第2群140は、縦方向(Y方向)の断面に関して、スクリーンSC側から順に、負のパワーを持つ第1の光学要素群141と、正のパワーを持つ第2の光学要素群142とで構成されている。この第2群140を光路上から退避させた場合、液晶パネル18G(18R,18B)に形成される画像のままの横縦比(例えば1.78:1)でスクリーンSC上に画像を投写することができる。また、図8(A)等に示すように、第2群40を光路上に配置して、液晶パネル18G(18R,18B)に形成される画像を横方向に拡大した横縦比(例えば2.4:1)でスクリーンSC上に画像を投写することができる。さらに、第2群140を構成する第1の光学要素群141と第2の光学要素群142とを図3の第2アナモフィック駆動機構63により光軸OA方向に移動させてこれらの間隔を調整することにより、スクリーンSC上に投写される画像の横縦比(アスペクト比)を連続的に増減させることもできる。なお、第2群40によってスクリーンSC上に投写される画像を横方向に拡大する構成は、縦寸法が固定されたスクリーンSCを使用する際に有効である。つまり、このようなスクリーンSCに対して投写光学系20による投写距離等を変えずに横縦比だけの変更が可能になる。
【0067】
以上のように本実施形態の投写光学系20によれば、物体側レンズ群20bが液晶パネル18G(18R,18B)の縦方向と横方向とで異なるパワーを持つので、投写光学系20の全系としても、縦横方向に異なる焦点距離を持ち縦横方向の拡大倍率も異なるものとなり、液晶パネル18G(18R,18B)の画像の横縦比とスクリーンSC上に投写される画像の横縦比とを異なるものにできる。つまり、本投写光学系20により、幅と高さとの比であるアスペクト比の変換が可能になる。この際、絞り70と物体側レンズ群20bのスクリーンSC側の最端面20fとの距離pが上記条件式(1)、(1)'を満たすので、縦方向と横方向との双方で一定以上のテレセントリック性を確保することができる。
【実施例1】
【0068】
図9及び10は、第1実施形態の投写光学系20の具体的な実施例1を説明する図である。図9は横断面を示し、図10は縦断面を示している。この場合、投写光学系20は、比較的拡大率の低い「テレ端」の状態となっている。また、投写光学系20は、第2群40を光路上に配置して横縦比を縦のY方向に関して圧縮する第1動作状態となっている。
【0069】
投写光学系20は、レンズL1〜L21からなり、このうちレンズL1〜L13によって第1群30が構成され、レンズL14〜L17によって第2群40が構成され、レンズL18〜L21によって第3群60が構成されている。第1群30に含まれるレンズL1〜L13は、光軸OAのまわりに回転対称な球面のレンズである。第2群40のうち、接合レンズL14,L16は、縦のY方向に関して正のパワーを有するレンズとなっており、横のX方向に関してパワーを有しないシリンドリカルレンズとなっている。また、接合レンズL16,L17は、縦のY方向に関して負のパワーを有するレンズとなっており、横のX方向に関してパワーを有しないシリンドリカルレンズとなっている。第3群60に含まれるL18〜L21は、光軸OAのまわりに回転対称な球面のレンズである。このうち、レンズL18,L19は、負及び正を組み合わせた接合レンズであり、レンズL20は、負のメニスカスレンズであり、レンズL20は、正のメニスカスレンズである。なお、第1群30のうち、レンズL5,L6,7で構成される第1レンズ群32aと、レンズL8,L9で構成される第2レンズ群32bと、レンズL10,L11で構成される第3レンズ群32cとは、投写倍率の変更時すなわちズーミング時に光軸OAに沿って変位する。
【0070】
以下の表1に、実施例1のレンズデータ等を示す。この表1の上欄において、「面番号」は、像面側から順に各レンズの面に付した番号である。また、「R1」、「R2」は、Y及びX曲率半径を示し、「D」は、次の面との間のレンズ厚み或いは空気空間を表している。さらに、「Nd」は、レンズ材料のd線における屈折率を示し、「νd」は、レンズ材料のd線におけるアッベ数を示す。なお、実施例1の場合、すべての面が球面又はシリンドリカル面となっている。
【表1】

図11及び12は、図9及び10に対応するが、「ワイド端」の状態を示している。図示のように、第2レンズ部32に含まれる各レンズ群32a,32b,32cが光軸OAの方向に沿って個別に動くことによって、ズーミングの動作がなされる。
【0071】
図13(A)〜13(C)は、ズーミングの動作を説明するものであり、図13(A)は、図12の状態を示し、拡大率の大きな「ワイド端」の場合を示している。また、図13(B)は、「中間」の状態の場合を示し、図13(C)は、図10の状態を示し、拡大率の小さな「テレ端」の場合を示している。図示のように、ズーミングの動作に伴って、絞り70の位置が変化している。ただし、絞り70は、縦断面の焦点FPyと横断面の焦点FPxとの間であって、縦断面の焦点FPyと横断面の焦点FPxとの中間位置よりも物体側すなわち焦点FPx側に配置されている。
【0072】
以下の表2の上欄に、図13(A)〜13(C)に示すズーミング動作時の第2レンズ部32の各レンズ群32a,32b,32c及び絞り7の位置を示している。具体的には、レンズ群32aのレンズL5の像側面が第8面になっており、レンズ群32bのレンズL8の像側面が第13面になっており、レンズ群32cのレンズL10の像側面が第18面になっている。
【表2】

なお、表2の中欄は、ズーミング動作時の投写光学系20のX方向及びY方向の焦点距離を示している。また、表2の下欄は、ズーミング動作時の投写光学系20のX方向及びY方向の明るさ(F値)を示している。
【0073】
図14(A)〜14(C)は、ズーミング動作中における斜め方向における主光線角度を、絞り70の位置を変化させつつ計算したシミュレーション結果を示している。図14(A)は、「ワイド端」の図13(A)に対応し、図14(B)は、「中間」の図13(B)に対応し、図14(C)は、「テレ端」の図13(C)に対応する。
【0074】
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態に係る投写光学系等について説明する。なお、本実施形態は、第1実施形態の投写光学系等の変形例であり、特に説明しない部分又は事項は、第1実施形態の場合と同様である。
【0075】
図15(A)及び15(B)は、第2実施形態に係る投写光学系20を説明する図である。投写光学系20の第2群240は、縦方向(Y方向)の断面に関して、スクリーンSC側から順に、負のパワーを持つ第1の光学要素群241と、正のパワーを持つ第2の光学要素群242とで構成されている。この場合、液晶パネル18G(18R,18B)に形成される画像を縦方向に拡大した横縦比でスクリーンSC上に映像を投写することができる。
【0076】
図15(A)等に示す投写光学系20の場合、一般に、縦断面の焦点FPyの方が横断面の焦点FPxよりも液晶パネル18G(18R,18B)に近くなってFFPy<FFPxとなる。この場合、距離pは、条件(1)'
FFPy<p<FFPx (1)'
の範囲内に設定され、下限のFFPyよりも大きく、上限のFFPxよりも小さくなる。これにより、横方向と縦方向との双方におけるテレセントリック性を高くすることができる。
【0077】
また、図15(A)等に示す投写光学系20の場合、距離pは、条件(2)'
FFPy<p≦(FFPy+FFPx)/2 (2)'
の範囲内に設定され、下限のFFPyよりも大きく、上限の(FFPy+FFPx)/2よりも小さくなる。これにより、横方向と縦方向との中間方向におけるテレセントリック性を比較的高くすることができる。
【0078】
〔第3実施形態〕
以下、第3実施形態に係る投写光学系等について説明する。なお、本実施形態は、第1実施形態の投写光学系等の変形例であり、特に説明しない部分又は事項は、第1実施形態の場合と同様である。
【0079】
図16(A)及び16(B)は、第3実施形態に係る投写光学系320を説明する図である。この投写光学系320は、第1群30と第2群40とからなり、第1実施形態の投写光学系20のような第3群60を有しない。この場合、絞り70の位置は、物体側レンズ群20bのスクリーンSC側の最端面を基準として、横断面の焦点と縦断面の焦点との間となっており、物体側レンズ群20bのスクリーンSC側の最端面から絞り70までの距離pは、距離FFPyと距離FFPxとの間となっている。さらに、この投写光学系320の場合、絞り70の位置は、物体側レンズ群20bの縦断面での焦点と横断面の焦点との中間位置から、液晶パネル18G(18R,18B)側の焦点位置までの範囲内とする。
【0080】
図16(A)等に示す第2群40は、図8(A)等に示す第2群140と同様の構成とすることができる。さらに、図16(A)等に示す第2群40は、図15(A)等に示す第2群240と同様の構成とすることができる。
【0081】
第3実施形態に係る投写光学系320において、第2群40に正のパワーを有するレンズ群を追加することもできる。
【0082】
この発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0083】
また、第2群40を回転非対称型の光学要素群41,42のみで構成する必要はなく、第2群40中に非対称型の光学要素群を追加することもできる。
【0084】
液晶パネル18G,18R,18B,418は、透過型に限らず、反射型とすることができる。ここで、「透過型」とは、液晶パネルが変調光を透過させるタイプであることを意味しており、「反射型」とは、液晶パネルが変調光を反射するタイプであることを意味している。
【0085】
以上のプロジェクター2では、複数の液晶パネル18G,18R,18Bで形成された各色の画像を合成しているが、単一の光変調素子であるカラー又はモノクロの液晶パネルで形成された画像を投写光学系20で拡大投写することもできる。この場合、クロスダイクロイックプリズム19が不要となるので、投写光学系20の光学設計上の自由度が高まる。
【0086】
プロジェクターとしては、被投写面を観察する方向から画像投写を行う前面投写型のプロジェクターと、被投写面を観察する方向とは反対側から画像投写を行う背面投写型のプロジェクターとがあるが、図2等に示すプロジェクターの構成は、いずれにも適用可能である。
【0087】
液晶パネル18G,18R,18B,418に代えて、マイクロミラーを画素とするデジタル・マイクロミラー・デバイス等を、光変調素子として用いることもできる。
【符号の説明】
【0088】
2…プロジェクター、 10…光源、 15,21…ダイクロイックミラー、 17B,17G,17R…フィールドレンズ、 18B,18G,18G,418…液晶パネル、 19…クロスダイクロイックプリズム、 20,320…投写光学系、 20a…本体部分、20b…物体側レンズ群、20f…スクリーン側の最端面、 30…第1群、 31…第1レンズ部、 32…第2レンズ部、 40,240,40…第2群、 41,42,141,142…光学要素群、 60…第3群、 50…光学系部分、 61…ズーム駆動機構、 62…第1アナモフィック駆動機構、 63…第2アナモフィック駆動機構、 64…全系駆動機構、 70…絞り、 80…回路装置、 81…画像処理部、 83…レンズ駆動部、 88…主制御部、 A0…表示領域、 A2…表示領域、 AR0…横縦比、 AR2…横縦比、 AX…中心軸、 L01-L23…レンズ、 OA…光軸、 PL…画像光、 SC…スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を被投写面上に拡大投写する際に、前記光変調素子の画像の横縦比と、前記被投写面に投写される画像の横縦比とを異なるものとする投写光学系であって、
光束の通過を制限する絞りを有し、
前記光変調素子から前記絞りまでの間に配置される物体側レンズ群が前記光変調素子の縦方向と横方向とで異なるパワーを持ち、
前記絞りと前記物体側レンズ群の前記被投写面側の最端面との距離をpとして、
前記物体側レンズ群の横断面において、前記被投写面側の焦点と前記被投写面側の最端面との距離をFFPxとし、
前記物体側レンズ群の縦断面において、前記被投写面側の焦点と前記被投写面側の最端面との距離をFFPyとし、
FFPx<FFPyのとき、FFPx<p<FFPyであり、
FFPy<FFPxのとき、FFPy<p<FFPxである、
投写光学系。
【請求項2】
FFPx<FFPyのとき、FFPx<p≦(FFPy+FFPx)/2であり、
FFPy<FFPxのとき、FFPy<p≦(FFPy+FFPx)/2である、請求項1に記載の投写光学系。
【請求項3】
前記被投写面側から順に、拡大用の第1群と、前記光変調素子の縦方向と横方向とで異なるパワーを持つ第2群と、正のパワーを持つ第3群とからなる、請求項1及び2のいずれか一項に記載の投写光学系。
【請求項4】
前記被投写面側から順に、拡大用の第1群と、前記光変調素子の縦方向と横方向とで異なるパワーを持つ第2群とからなる、請求項1及び2のいずれか一項に記載の投写光学系。
【請求項5】
前記第2群は、光路上に進退可能であり、
前記第2群が光路上から退避したときに、前記光変調素子の画像と前記被投写面に投写される画像との横縦比が一致している、請求項3及び4のいずれか一項に記載の投写光学系。
【請求項6】
前記第1群は、変倍光学系であり、
前記絞りは、前記変倍光学系による倍率変化に伴って光軸方向に移動する、請求項3から5までのいずれか一項に記載の投写光学系。
【請求項7】
前記第2群の一部又は全部は、シリンドリカルレンズ、アナモフィックレンズ、及び自由曲面レンズのいずれかである、請求項3から6までのいずれか一項に記載の投写光学系。
【請求項8】
前記第2群は、1枚以上の回転対称レンズと1枚以上の回転非対称レンズとを含む、請求項3から7までのいずれか一項に記載の投写光学系。
【請求項9】
前記第2群は、前記光変調素子の縦方向の断面において、前記被投写面側から順に、正のパワーをもつ第1の光学要素群と、負のパワーをもつ第2の光学要素群とで構成されている、請求項3から8までのいずれか一項に記載の投写光学系。
【請求項10】
前記第2群は、前記光変調素子の横方向の断面において、前記被投写面側から順に、負のパワーをもつ第1の光学要素群と、正のパワーをもつ第2の光学要素群とで構成されている、請求項3から8までのいずれか一項に記載の投写光学系。
【請求項11】
前記光変調素子の中心を通る法線と、前記投写光学系の光軸とが、平行に配置されるように構成されている、請求項1から10までのいずれか一項に記載の投写光学系。
【請求項12】
前記投写光学系は、前記光変調素子の中心を通る法線に対し、前記投写光学系の光軸を平行に保ったまま移動させるシフト機構を備えている、請求項11に記載の投写光学系。
【請求項13】
前記物体側レンズ群の前記光変調素子側に、光合成用のプリズムが配置されている、請求項1から12までのいずれか一項に記載の投写光学系。
【請求項14】
前記物体側レンズ群の前記光変調素子側の最端面から前記光変調素子までにかけての光束のうち最大画角に対応する光束の主光線が光軸に対して平行でなく傾きを有する、請求項1から13までのいずれか一項に記載の投写光学系。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか一項に記載の投写光学系と、
前記光変調素子とを備える、
プロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−3566(P2013−3566A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138234(P2011−138234)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】