説明

投写型表示装置

【課題】液晶パネルの駆動負荷の増加を抑えつつ、装置本体のコンパクト化を図ることができる投写型表示装置を提供する。
【解決手段】プロジェクタ1は、白色光を出射するランプ210と、ランプ210からの白色光が入射され、当該白色光に含まれる異なる波長の光が時分割で透過するカラーホイールユニット220と、カラーホイールユニット220を透過した光が周社され、赤色波長帯の光、緑色波長帯の光および青色波長帯の光うち、第1の光と、第2の光および第3の光とを分離するダイクロイックミラー235と、第1の光を変調する第1液晶パネル241と、第2の光および第3の光を順次、変調する第2液晶パネル242と、第1液晶パネル241から出射された光の光路と第2液晶パネル242から出射された光の光路とを統合するダイクロイックミラー243と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源からの光を変調して被投写面に投写する投写型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、投写型表示装置(以下、「プロジェクタ」という)において、いわゆる、3板式の液晶プロジェクタおよび単板式の液晶プロジェクタが知られている。
【0003】
3板式の液晶プロジェクタでは、光源から出射された白色光がダイクロイックミラー等の分光素子に通されてRGBの3原色の光に分離される。分離された光は、各光に対応する液晶パネルにより変調される。変調された各光は、ダイクロイックプリズム等の光合成素子により合成された後、スクリーンに投写される(特許文献1参照)。
【0004】
単板式の液晶プロジェクタでは、光源から出射された白色光が、カラーホイールに入射する。カラーホイールからは、RGBの3原色の光が時分割されて出射され、液晶パネルによって順次、変調される。変調された各光は、順次、スクリーンに投写される。スクリーン上では、各光による画像が重畳されて、1つのカラー画像が形成される(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−169385号公報
【特許文献2】特開2009−237024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、3板式の液晶プロジェクタでは、分光素子により分離された3つの光を、それぞれに対応する液晶パネルへ導くため、分光素子の後段に3つの光路が必要となる。このため、装置本体が大きくなり易い。
【0007】
一方、単板式の液晶プロジェクタでは、カラーホイールから出射された各光を液晶プロジェクタに導くための光路は1つでよく、装置本体をコンパクトに構成できる。しかしながら、単板式の液晶プロジェクタでは、3つの光を重畳させて1つのカラー画像を形成するために、1つの液晶パネルでRGBの3つの色の光を順次変調する必要がある。このため、1つの液晶パネルで1つの色の光を変調する構成に比べて、3倍の駆動速度が必要となり、液晶パネルの駆動負荷が大きくなる。
【0008】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、液晶パネルの駆動負荷の増加を抑えつつ、装置本体のコンパクト化を図ることができる投写型表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の投写型表示装置は、白色光を出射する光源と、前記光源からの白色光が入射され、当該白色光に含まれる異なる波長帯の光が時分割で透過するフィルタ部と、前記フィルタ部を透過した光が入射され、赤色波長帯の光、緑色波長帯の光および青色波長帯の光うち、第1の光と、第2の光および第3の光とを分離する分光素子と、前記分光素子により分離された前記第1の光を変調する第1液晶パネルと、前記分光素子により分離された前記第2の光および前記第3の光を順次、変調する第2液晶パネルと、前記第1液晶パネ
ルから出射された光の光路と前記第2液晶パネルから出射された光の光路とを統合する統合素子とを備える。
【0010】
本発明の投写型表示装置によれば、分光素子の後段には、第1液晶パネルに向かう第1の光のための光路と、第2液晶パネルに向かう第2の光および第3の光のための光路の2つの光路が設けられればよい。さらに、赤色波長帯の光、緑色波長帯の光および青色波長帯の光のうち、第1液晶パネルが第1の光を変調し、第2液晶パネルが第2の光および第3の光を変調することにより、1つのカラー画像が形成される。このとき、第2液晶パネルは、第1液晶パネルに対し2倍の速度で駆動されればよい。よって、液晶パネルの駆動負荷の増加を抑えつつ、装置本体のコンパクト化を図ることができる
本発明の投写型表示装置において、前記フィルタ部は、回転可能なカラーホイールを含むような構成とされ得る。この場合、前記カラーホイールには、前記第1の光と前記第2の光とを含む波長帯の光を透過させる第1セグメントと、前記第1の光と前記第3の光とを含む波長帯の光を透過させる第2セグメントとが回転方向に配される。
【0011】
このような構成とすれば、第1セグメントを透過した第1の光および第2の光が、それぞれ、第1液晶パネルおよび第2液晶パネルにより変調され、同時に被投写面に投写される。さらに、第2セグメントを透過した第1の光および第3の光が、それぞれ、第1液晶パネルおよび第2液晶パネルにより変調され、同時に被投写面に投写される。即ち、同時に2つの光による画像を被投写面上に形成できるので、被投写面に投写された画像を明るくすることができる。
【0012】
上記構成とした場合、前記第1セグメントは、前記緑色波長帯の光と前記赤色波長帯の光とを含む波長帯の光を透過させ、前記第2セグメントは、前記緑色波長帯の光と前記青色波長帯の光とを含む波長帯の光を透過させるような構成とされ得る。
【0013】
このような構成とすれば、赤色波長帯の光、緑色波長帯の光および青色波長帯の光のうち、最も人の目に明るく感じられる緑色波長帯の光が多く用いられるので、被投写面に投写された画像をより明るくすることができる。
【0014】
上記のように、フィルタ部がカラーホイールにより構成される場合、投写型表示装置は、さらに、前記第1セグメントの一端と当該一端に隣り合う前記第2セグメントの一端との間、および前記第1セグメントの他端と当該他端に隣り合う前記第2セグメントの他端との間に、それぞれ、前記第1の光を含み且つ前記第2の光および前記第3の光を含まない波長帯の光を透過させる第3セグメントが配されるような構成とされ得る。
【0015】
第1セグメントと第2セグメントとが連続する場合、その境界に光源から白色光が照射されるタイミングでは、第1セグメントと透過した第2の光と第2セグメントを透過した第3の光とが混在した光が第2液晶パネルにより変調されることとなる。この場合、第2液晶パネルにより適正な変調が行われず、被投写面に投写される画像に画質劣化が生じる虞がある。
【0016】
上記構成では、第1セグメントと第2セグメントの間に第3セグメントが介在される。この場合、第1セグメントと第3セグメントの境界に光源からの白色光が照射されるタイミングでは、第3セグメントを透過した第1の光は第1液晶パネルへ向かうため、第2液晶パネルには、第2の光が照射される。同様に、第2セグメントと第3セグメントの境界に光源からの白色光が照射されるタイミングでは、第2液晶パネルには、第3の光が照射される。
【0017】
このように、上記構成とすれば、第1セグメントと透過した第2の光と第2セグメント
を透過した第3の光とが混在した光が第2液晶パネルにより変調されることがない。よって、第2液晶パネルにより適正な変調を行うことができるので、被投写面に投写される画像の画質劣化を防止できる。
【0018】
本発明の投写型表示装置において、前記フィルタ部は、回転可能なカラーホイールを含むような構成とされ得る。この場合、前記カラーホイールには、前記第2の光を含む波長帯の光を透過させる第1セグメントと、前記第3の光を含む波長帯の光を透過させる第2セグメントと、前記第1の光を含み且つ前記第2の光および前記第3の光を含まない波長帯の光を透過させる第3セグメントが回転方向に配される。ここで、前記第3セグメントは、前記第1セグメントの一端と当該一端に隣り合う前記第2セグメントの一端との間、および前記第1セグメントの他端と当該他端に隣り合う前記第2セグメントの他端との間に配される。
【0019】
このような構成とすれば、第1セグメントを透過した第2の光および第2セグメントを透過した第3の光が第2液晶パネルにより変調され、変調された光が被投写面に投写される。第3セグメントを透過した第1の光が第1液晶パネルにより変調され、変調された光が被投写面に投写される。ここで、第1セグメントと第2セグメントの間に第3セグメントが介在される。このため、第1セグメントと第3セグメントの境界に光源からの白色光が照射されるタイミングにおいて、第1セグメントと透過した第2の光と第2セグメントを透過した第3の光とが混在した光が第2液晶パネルにより変調されることがない。よって、第2液晶パネルにより適正な変調を行うことができるので、被投写面に投写される画像の画質劣化を防止できる。
【0020】
本発明の投写型表示装置において、さらに、前記分光素子から前記第1液晶パネルまでの光路長と、前記分光素子から前記第2液晶パネルまでの光路長とが等しくなるよう、前記第1液晶パネルおよび前記第2液晶パネルに対する前記分光素子の配置位置、および、前記分光素子から前記第1液晶パネルおよび前記第2液晶パネルへ各光を導くための導光部材の配置位置が設定され得る。
【0021】
このような構成とすれば、分光素子と何れかの液晶パネルとの間の光路中にリレーレンズ等のリレー光学系を配する必要がない。よって、構成の簡素化を図ることができる。
【0022】
なお、請求項6における「等しくなる」の文言には、分光素子から第1液晶パネルまでの光路長と、分光素子から第2液晶パネルまでの光路長とが、リレー光学系を配する必要がない程度に多少の異なることが包含される。
【発明の効果】
【0023】
以上のとおり、本発明によれば、液晶パネルの駆動負荷の増加を抑えつつ、装置本体のコンパクト化を図ることができる。
【0024】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施の形態に係る、プロジェクタの構成を示す図である。
【図2】実施の形態に係る、光学エンジンの構成を示す図である。
【図3】実施の形態に係る、カラーホイールユニットの構成を示す図である。
【図4】実施の形態に係る、プロジェクタの構成を示すブロック図である。
【図5】実施の形態に係る、カラーホイールを透過する光と、第1液晶パネルおよび第2液晶パネルに照射される光と、制御回路から出力されるRGB信号との関係を示すタイムチャートである。
【図6】実施の形態の効果について説明するための図である。
【図7】変更例に係る、プロジェクタの構成を説明するための図である。
【図8】変更例に係る、プロジェクタの構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、実施の形態に係るプロジェクタについて説明する。
【0027】
図1は、プロジェクタ1の構成を示す図である。同図を参照して、プロジェクタ1は、横長の略直方体形状を有するキャビネット10を備えている。キャビネット10には、前面左側に投写窓101が形成されており、前面右側および右側面にキャビネット10内部から排気を行うための排気口102、103がそれぞれ形成されている。また、キャビネット10の上面には、操作部104が設けられている。操作部104には、複数の操作キーが配されている。
【0028】
キャビネット10の内部には、光学エンジン20および投写レンズ30が配されている。光学エンジン20は、映像信号に基づいて変調された映像光を生成する。光学エンジン20には、投写レンズ30が装着されており、投写レンズ30の前端部が、投写窓101から前方に露出している。投写レンズ30は、光学エンジン20で生成された映像光を、プロジェクタ1の前方に配されたスクリーン面に拡大投写する。
【0029】
図2は、光学エンジン20の構成を示す図である。
【0030】
光学エンジン20は、ランプ210と、カラーホイールユニット220と、導光光学系230と、変調光学系240とを備えている。
【0031】
ランプ210は、発光管211と、リフレクタ212とを備えている。発光管211には、メタルハライドランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ等が用いられる。リフレクタ212は、発光管211から発せられた白色光を反射しつつ収束させて前方へ向かわせる。
【0032】
カラーホイールユニット220は、カラーホイール221がランプ210から出射された白色光の集光点付近に位置するように配されている。
【0033】
図3は、カラーホイールユニット220の構成を示す図である。図3(a)は、カラーホイールユニット220の正面図であり、図3(b)は、カラーホイールユニット220の縦断面図である。
【0034】
カラーホイールユニット220は、カラーホイール221と、モータ222と、位置センサ223とを備えている。
【0035】
カラーホイール221は、リング形状を有し、黄セグメント221Yと、シアンセグメント221Cと2つの緑セグメント221Gとに区画されている。黄セグメント221Yの一端と当該一端に隣り合うシアンセグメント221Cの一端との間に1つの緑セグメント221Gが介在されている。さらに、黄セグメント221Yの他端と当該他端に隣り合うシアンセグメント221Cの他端との間に1つの緑セグメント221Gが介在されている。
【0036】
黄セグメント221Yは、白色光を構成する各波長帯の光のうち、黄色の光を形成する
波長帯の光(以下「Y光」という)を透過する。当該波長帯の光は、緑色波長帯の光および赤色波長帯の光を含む。シアンセグメント221Cは、白色光を構成する各波長帯の光のうち、シアン色の光を形成する波長帯の光(以下「C光」という)、を透過する。当該波長帯の光は、緑色波長帯の光および青色波長帯の光を含む。緑セグメント221Gは、白色光を構成する各波長帯の光のうち、緑色波長帯の光を透過する。以下、赤色波長帯の光を「R光」、緑色波長帯の光を「G光」、青色波長帯の光をB光という。
【0037】
モータ222は、アウターロータ型のモータであり、コイル224aを有するステータ224と、磁石225aを有するロータ225とを備えている。ロータ225は、ステータ224の外周に回転可能に取り付けられている。ロータ225の前端部にカラーホイール221が固定されている。ロータ225の外周面には、黄セグメント221Yと緑セグメント221Gとの境界位置に、マーカー226が配されている。マーカー226は、カラーホイール221の回転基準位置を決めるためのものである。
【0038】
位置センサ223は、カラーホイール221が1回転する度に、マーカー226が回転基準値に到来したタイミングで、インデックス信号を出力する。
【0039】
図2に戻り、導光光学系230は、凹レンズ231と、フライアイインテグレータ232と、PBSアレイ233と、コンデンサレンズ234と、ダイクロイックミラー235と、2つのミラー236、237と、2つのレンズ238、239とを備えている。
【0040】
凹レンズ231は、カラーホイール221から出射された光であって、集光点を過ぎて再び拡がった光を平行光に変換する。
【0041】
フライアイインテグレータ232は一対のレンズ232a、232bからなる。各レンズ232a、232bは蠅の目状に配列された多数の小レンズから構成されており、これら小レンズによって、凹レンズ231を通過した光が分割される。
【0042】
PBSアレイ233は、フライアイインテグレータ232により分割された各光の偏光方向を一方向に揃える。
【0043】
コンデンサレンズ234は、レンズ238と共同して、フライアイインテグレータ232により分割された各光を、第1液晶パネル241に重畳させる。さらに、コンデンサレンズ234は、レンズ239と共同して、フライアイインテグレータ232により分割された各光を、第2液晶パネル242に重畳させる。
【0044】
ダイクロイックミラー235は、コンデンサレンズ234からの光の出射方向に対して、ほぼ45度の傾くように配されている。ダイクロイックミラー235は、G光を透過し、R光およびB光を反射する特性を有する。R光およびB光は、ダイクロイックミラー235により、コンデンサレンズ234からの光の出射方向とほぼ垂直方向に反射される。
【0045】
ミラー236は、ダイクロイックミラー235を透過した光(G光)の進行方向に対してほぼ45度の傾くように配されている。ミラー236は、入射した光を、入射方向とほぼ垂直な方向であって、ダイクロイックミラー235による光の反射方向とほぼ平行な方向に反射する。ミラー237は、ダイクロイックミラー235で反射した光(R光、B光)の進行方向に対してほぼ45度の傾くように配されている。ミラー237は、入射した光を、入射方向とほぼ垂直な方向であって、ダイクロイックミラー235による光の透過方向とほぼ平行な方向に反射する。
【0046】
変調光学系240は、第1液晶パネル241と、第2液晶パネル242と、ダイクロイ
ックミラー243とを備えている。第1液晶パネル241には、ミラー236により反射され、レンズ238を通過した光が照射される。第2液晶パネル242には、ミラー237により反射され、レンズ239を通過した光が照射される。第1液晶パネル241は、照射された光を変調する。第1液晶パネル241および第2液晶パネル242は、照射された光を変調する。
【0047】
なお、図2には図示されていないが、第1液晶パネル241および第2液晶パネル242の前後には、入射側偏光板と出射側偏光板が配されている。
【0048】
ダイクロイックミラー243は、G光を透過し、R光およびB光を反射する特性を有する。これにより、ダイクロイックミラー243は、第1液晶パネル241により変調されたG光の光路と、第2液晶パネル242により変調されたR光およびB光の光路とを統合する。
【0049】
ダイクロイックミラー235とミラー236との距離と、ダイクロイックミラー235とミラー237との距離は、ほぼ等しくされている。さらに、ミラー236と第1液晶パネル241との距離と、ミラー237と第2液晶パネル242との距離は、ほぼ等しくされている。よって、ダイクロイックミラー235から第1液晶パネル241までの光路長と、ダイクロイックミラー235から第2液晶パネル242までの光路長とがほぼ等しくなっている。
【0050】
図4は、プロジェクタ1の構成を示すブロック図である。プロジェクタ1は、制御回路40を備えている。第1液晶パネル241が組み込まれた第1液晶モジュールM1および第2液晶パネル242が組み込まれた第2液晶モジュールM2には、それぞれ、第1ドライバ244および第2ドライバ245が組み込まれている。制御回路40には、第1ドライバ244、第2ドライバ245、ランプ210、モータ222、位置センサ223等が接続されている。
【0051】
制御回路40は、CPU、メモリ、映像信号処理回路等により構成される。制御回路40は、外部から入力された映像信号に各種の補正処理を施し、さらに、映像信号がRGB信号でない場合には、補正処理後の映像信号をRGB信号に変換する。制御回路40は、RGB信号のうち、G信号を第1ドライバ244に出力し、R信号およびB信号を第2ドライバ245に出力する。制御回路40は、位置センサ223から出力されたインデックス信号に基づいて、RGB信号の出力タイミングを調整している。
【0052】
第1ドライバ244は、G信号に従って第1液晶パネル241を駆動する。第2ドライバ245は、R信号およびB信号に従って第2液晶パネル242を駆動する。
【0053】
制御回路40は、ランプ210に駆動信号を出力し、ランプ210を駆動する。さらに、制御回路40は、モータ222に駆動信号を出力し、モータ222を駆動する。
【0054】
図5は、カラーホイール221を透過する光と、第1液晶パネル241および第2液晶パネル242に照射される光と、制御回路40から出力されるRGB信号の関係を示すタイムチャートである。
【0055】
図2および図5を参照して、カラーホイール221が回転すると、ランプ210からの白色光が、緑セグメント221G、黄セグメント221Y、緑セグメント221G、シアンセグメント221Cに順次照射される。これにより、G光、Y光、G光、C光が順次カラーホイール221を透過する。各光は、凹レンズ231、フライアイインテグレータ232、PBSアレイ233、コンデンサレンズ234を通過して、ダイクロイックミラー
235に入射する。
【0056】
G光は、ダイクロイックミラー235を透過し、ミラー236およびレンズ238を経由して、第1液晶パネル241に照射される。
【0057】
Y光は、ダイクロイックミラー235により、G光(実際には、少し黄色みを帯びたG光)とR光に分離される。G光は、ミラー236およびレンズ238を経由して、第1液晶パネル241に照射され、R光は、ミラー237およびレンズ239を経由して、第2液晶パネル242に照射される。
【0058】
C光は、ダイクロイックミラー235により、G光(実際には、少し青みを帯びたG光)とB光に分離される。G光は、ミラー236およびレンズ238を経由して、第1液晶パネル241に照射され、B光は、ミラー237およびレンズ239を経由して、第2液晶パネル242に照射される。
【0059】
こうして、図5に示すように、カラーホイール221が1回転する間、第1液晶パネル241には、G光が常に照射される。一方、第2液晶パネル242には、黄セグメント221Yに白色光が照射されている間、R光が照射され、シアンセグメント221Cに白色光が照射されている間、B光が照射される。
【0060】
第1液晶パネル241にG光が照射されている間、即ち、カラーホイール221が1回転する間、常に、制御回路40からG信号が出力される。第1液晶パネル241は、G信号に基づいてG光を変調する。
【0061】
一方、第2液晶パネル242にR光およびB光が照射されている間、制御回路40からは、それぞれ、R信号およびB信号が出力される。第2液晶パネル242は、R信号に基づいてR光を変調するとともに、B信号に基づいてB光を変調する。第2液晶パネル242は、第1液晶パネル241に対して2倍の速度で駆動される。図5に示すように、R信号とB信号との切替は、緑セグメント221Gに白色光が照射されている期間に行われる。
【0062】
第1液晶パネル241により変調されたG光は、ダイクロイックミラー243を透過し、投写レンズ30によって、スクリーンに投写される。第2液晶パネル242により変調されたR光およびB光は、ダイクロイックミラー243により反射され、投写レンズ30によって、スクリーンに投写される。R光は、G光と同時にスクリーンに投写され、B光は、G光と同時にスクリーンに投写される。
【0063】
カラーホイール221が1回転する間に、スクリーン上では、G光による画像、R光よる画像およびB光による画像が重畳される。これにより、スクリーン上に1つのからカラー画像が映し出される。
【0064】
以上、本実施の形態によれば、ダイクロイックミラー235の後段には、第1液晶パネル241に向かうG光のための光路と、第2液晶パネル242に向かうR光およびB光のための光路の2つの光路が設けられる。即ち、3板式の液晶プロジェクタのように、ダイクロイックミラー235の後段に3つの光路が設けられない。よって、装置本体をコンパクト化できる。
【0065】
さらに、本実施の形態によれば、第1液晶パネル241がG光を変調し、第2液晶パネル242がR光およびB光を変調することにより、1つのカラー画像が形成される。第2液晶パネル242は、第1液晶パネル241に対して2倍の速度で駆動されれば良く、第
2液晶パネル242の駆動負荷の増加を抑えることができる。
【0066】
さらに、本実施の形態によれば、黄セグメント221YがG光およびR光を透過し、シアンセグメント221CがG光とB光を透過する。黄セグメント221Yを透過したG光およびR光は、それぞれ第1液晶パネル241および第2液晶パネル242により変調され、同時にスクリーンに投写される。シアンセグメント221Cを透過したG光およびB光は、それぞれ第1液晶パネル241および第2液晶パネル242により変調され、同時にスクリーンに投写される。即ち、本実施の形態によれば、同時に2つの光による画像をスクリーン上に形成できるので、スクリーンに投写された画像を明るくすることができる。
【0067】
特に、本実施の形態によれば、R光、G光およびB光のうち、最も人の目に明るく感じられるB光が多く用いられるので、スクリーンに投写された画像をより明るくすることができる。
【0068】
さらに、本実施の形態によれば、カラーホイール221は、黄セグメント221Yの一端と当該一端に隣り合うシアンセグメント221Cの一端との間、および黄セグメント221Yの他端と当該他端に隣り合うシアンセグメント221Cの他端との間に、それぞれ、緑セグメント221Gが介在される構成とされている。
【0069】
図6(b)に示す比較例ように、黄セグメント221Yとシアンセグメント221Cが連続する場合、その境界にランプ210から白色光が照射されるタイミングでは、R光とB光とが混在した光が第2液晶パネル242に照射される。このような混在した光がR信号またはB信号に基づいて変調された場合、第2液晶パネル242により適正な変調が行われず、スクリーンに投写される画像に画質劣化が生じる虞がある。
【0070】
上記のような構成とすれば、図6(a)に示すように、黄セグメント221Yと緑セグメント221Gの境界にランプ210からの白色光が照射されるタイミングでは、G光は第1液晶パネル241へ照射されるため、R光のみが第2液晶パネル242に照射される。同様に、シアンセグメント221Cと緑セグメント221Gの境界にランプ210からの白色光が照射されるタイミングでは、B光のみが第2液晶パネル242に照射される。このため、R光とB光とが混在した光が第2液晶パネル242により変調されることがない。よって、第2液晶パネル242により適正な変調を行うことができるので、スクリーンに投写される画像の画質劣化を防止できる。
【0071】
さらに、本実施の形態によれば、ダイクロイックミラー235から第1液晶パネル241までの光路長と、ダイクロイックミラー235から第2液晶パネル242までの光路長とがほぼ等しくなるよう、第1液晶パネル241および第2液晶パネル242に対するダイクロイックミラー235の配置位置、および、ミラー236、237の配置位置が設定されている。このため、ダイクロイックミラー235と何れかの液晶パネル241、242との間の光路中にリレーレンズ等のリレー光学系を配する必要がない。よって、構成の簡素化を図ることができる。
【0072】
<変更例>
図7および図8は、変更例に係る、プロジェクタ1の構成を説明するための図である。カラーホイール221は、上記実施の形態に示された構成に限らず、各種の構成が採られ得る。
【0073】
たとえば、図7(a)に示すように、カラーホイール221は、緑セグメント221Gに替えて赤セグメント221Rが配され、シアンセグメント221Cに替えてマゼンダセ
グメント221Mが配される構成とされても良い。この場合、赤セグメント221Rは、白色光を構成する各波長帯の光のうち、R光を透過する。マゼンダセグメント221Mは、白色光を構成する各波長帯の光のうち、マゼンダ色の光を形成する波長帯の光(以下「M光」という)を透過する。当該波長帯の光は、R光およびB光を含む。さらに、カラーホイール221が、このように構成された場合、ダイクロイックミラー235は、R光を透過し、G光およびB光を反射する特性を備える。ダイクロイックミラー235により、Y光は、R光とG光に分離され、M光は、R光とB光に分離される。第1液晶パネル241は、ダイクロイックミラー235を透過したR光を変調し、第2液晶パネル242は、ダイクロイックミラー235により反射されたG光およびB光を変調する。
【0074】
図7(b)に示すように、カラーホイール221は、緑セグメント221Gに替えて青セグメント221Bが配され、黄セグメント221Yに替えてマゼンダセグメント221Mが配される構成とされても良い。この場合、青セグメント221Bは、白色光を構成する各波長帯の光のうち、B光を透過する。さらに、カラーホイール221が、このように構成された場合、ダイクロイックミラー235は、B光を透過し、R光およびG光を反射する特性を備える。ダイクロイックミラー235により、M光は、B光とR光に分離され、C光は、B光とG光に分離される。第1液晶パネル241は、ダイクロイックミラー235を透過したB光を変調し、第2液晶パネル242は、ダイクロイックミラー235により反射されたR光およびG光を変調する。
【0075】
図7(c)に示すように、カラーホイール221は、黄セグメント221Yに替えて赤セグメント221Rが配され、シアンセグメント221Cに替えて青セグメント221Bが配される構成とされても良い。この場合、緑セグメント221Gに白色光が照射している間のみ、第1液晶パネル241にG光が照射されるので、その間のみ第1液晶パネル241が駆動される。
【0076】
ただし、図7(a)、(b)の構成とした場合、R光およびB光は、G光に比べて、人の目には明るく見えないため、上記実施の形態に比べて、スクリーンに投写される画像が暗くなる。図7(c)の構成とした場合、G光による画像と、R光あるいはB光による画像とが同時にスクリーンに投写されることがないため、図7(a)、(b)の構成に比べて、スクリーンに投写される画像が暗くなる。
【0077】
さらに、図8(a)に示すように、カラーホイール221は、黄セグメント221Yとシアンセグメント221Cのみにより構成されても良い。また、図示しないが、カラーホイール221は、黄セグメント221Yとマゼンダセグメント221Mのみ、あるいはシアンセグメント221Cとマゼンダセグメント221Mのみにより構成されても良い。
【0078】
さらに、図8(b)に示すように、緑セグメント221Gが1つの領域に集約され、赤セグメント221Rと青セグメント221Bとが隣り合う構成とされても良い。
【0079】
ただし、図8(a)、(b)の構成とした場合、R光とB光とが混在した光が第2液晶パネル242に照射され、第2液晶パネル242により適正な変調が行われず、スクリーンに投写される画像に画質劣化が生じることが懸念される。よって、この場合は、白色光が2つのセグメントに跨って照射される期間、R信号およびB信号を停止し、第2液晶パネル242により変調を行わないようにすることが望ましい。
【0080】
<その他>
以上のとおり、本実施の形態および変更例について説明したが、本発明は上記実施の形態および変更例に何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施形態も、上記実施の形態および変更例以外に、種々の変更が可能である。
【0081】
たとえば、カラーホイール221の駆動とランプ210の駆動とを同期させ、セグメント毎にランプ210の出力を調整するような構成とすることにより、投写される画像の明るさや色のバランスを調整するようにしても良い。さらに、部屋の明るさや映像の種類に応じて個々に画質が設定された、複数のモードが用意され、ユーザにより選択されたモードに従って、ランプ210の出力が調整されるような構成が採られても良い。
【0082】
さらに、上記実施の形態では、ランプ光源が用いられたが、LED光源、レーザ光源等の固体光源が用いられても良い。
【0083】
さらに、上記実施の形態では、分光のためにダイクロイックミラー235が用いられたが、これに替えて、ダイクロイックプリズムが用いられても良い。あるいは、変調された光の光路を統合するためにダイクロイックミラー243が用いられたが、これに替えて、ダイクロイックプリズムが用いられても良い。
【0084】
さらに、上記実施の形態および変更例のカラーホイール221における各セグメントの比率は、図3、図7および図8に示されたものでなくともよく、プロジェクタ1に求められる明るさ(輝度)、色再現性等に応じて、適宜、設定されるとよい。
【0085】
この他、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0086】
20 光学エンジン
210 ランプ(光源)
220 カラーホイールユニット(フィルタ部)
221 カラーホイール
221Y 黄セグメント(第1セグメント)
221C シアンセグメント(第2セグメント)
221G 緑セグメント(第3セグメント)
235 ダイクロイックミラー(分光素子)
236、237 ミラー(導光部材)
241 第1液晶パネル
242 第2液晶パネル
243 ダイクロイックミラー(統合素子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色光を出射する光源と、
前記光源からの白色光が入射され、当該白色光に含まれる異なる波長帯の光が時分割で透過するフィルタ部と、
前記フィルタ部を透過した光が入射され、赤色波長帯の光、緑色波長帯の光および青色波長帯の光うち、第1の光と、第2の光および第3の光とを分離する分光素子と、
前記分光素子により分離された前記第1の光を変調する第1液晶パネルと、
前記分光素子により分離された前記第2の光および前記第3の光を順次、変調する第2液晶パネルと、
前記第1液晶パネルから出射された光の光路と前記第2液晶パネルから出射された光の光路とを統合する統合素子と、
を備える、
ことを特徴とする投写型表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の投写型表示装置において、
前記フィルタ部は、回転可能なカラーホイールを含み
前記カラーホイールには、前記第1の光と前記第2の光とを含む波長帯の光を透過させる第1セグメントと、前記第1の光と前記第3の光とを含む波長帯の光を透過させる第2セグメントとが回転方向に配される、
ことを特徴とする投写型表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の投写型表示装置において、
前記第1セグメントは、前記緑色波長帯の光と前記赤色波長帯の光とを含む波長帯の光を透過させ、
前記第2セグメントは、前記緑色波長帯の光と前記青色波長帯の光とを含む波長帯の光を透過させる、
ことを特徴とする投写型表示装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の投写型表示装置において、
前記第1セグメントの一端と当該一端に隣り合う前記第2セグメントの一端との間、および前記第1セグメントの他端と当該他端に隣り合う前記第2セグメントの他端との間に、それぞれ、前記第1の光を含み且つ前記第2の光および前記第3の光を含まない波長帯の光を透過させる第3セグメントが配される、
ことを特徴とする投写型表示装置。
【請求項5】
請求項1に記載の投写型表示装置において、
前記フィルタ部は、回転可能なカラーホイールを含み
前記カラーホイールには、前記第2の光を含む波長帯の光を透過させる第1セグメントと、前記第3の光を含む波長帯の光を透過させる第2セグメントと、前記第1の光を含み且つ前記第2の光および前記第3の光を含まない波長帯の光を透過させる第3セグメントが回転方向に配され、
前記第3セグメントは、前記第1セグメントの一端と当該一端に隣り合う前記第2セグメントの一端との間、および前記第1セグメントの他端と当該他端に隣り合う前記第2セグメントの他端との間に配される、
ことを特徴とする投写型表示装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか一項に記載の投写型表示装置において、
前記分光素子から前記第1液晶パネルまでの光路長と、前記分光素子から前記第2液晶パネルまでの光路長とが等しくなるよう、前記第1液晶パネルおよび前記第2液晶パネル
に対する前記分光素子の配置位置、および、前記分光素子から前記第1液晶パネルおよび前記第2液晶パネルへ各光を導くための導光部材の配置位置が設定される、
ことを特徴とする投写型表示装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−109227(P2013−109227A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255307(P2011−255307)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】