説明

投写型表示装置

【課題】被投写面に投写される画像の歪み調整を容易に行うことができる投写型表示装置を提供する。
【解決手段】プロジェクタ1は、ランプ201と、ランプ201からの光を映像信号に応じて変調する液晶パネル203、204、205と、外部からの映像信号に対応する画像に所定の線図からなり画像の歪みを調整するための歪み調整用パターン画像が重畳された第1の調整用画像を形成するための映像信号を生成する信号処理回路507と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源からの光を変調して被投写面に投写する投写型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
投写型表示装置(以下、「プロジェクタ」という)は、光源からの光を光変調素子で変調し、変調された光をスクリーン等の被投写面に投写する。
【0003】
かかるプロジェクタでは、スクリーン前方の所定位置にプロジェクタが設置された後、スクリーンに投写される画像に生じる台形歪み等の歪みを解消するために、歪み調整を行う必要がある。このため、かかるプロジェクタにおいて、歪み調整用のテストパターン画像をスクリーンに投写する構成が採られ得る(たとえば、特許文献1参照)。画像の歪みを調整するためのテストパターン画像は、たとえば、格子、サークル等、所定の線図からなる。
【0004】
ユーザは、プロジェクタの位置や姿勢を変えることにより、あるいは、プロジェクタに備えられたキーストーン補正機能を用いることにより、テストパターン画像が適正な状態となるよう(たとえば、格子に歪みがなくなるよう、あるいは、サークルが真円となるよう)、調整を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平07−067125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように歪み調整を行っても、画像の歪みを完全に解消することは難しい。プロジェクタによって実際に画像を投写する場合には、投写される画像の内容によって歪みの目立ち具合が異なってくる。たとえば、直線的に描かれた画像においては、歪みが目立ちやすいと考えられるが、そうでない画像においては、歪みが比較的目立ちにくいと考えられる。このため、画像の歪みが完全に解消されなくとも、実際に投写される画像に歪みが目立たない程度に歪み調整が行われれば、実用上、問題が生じない。
【0007】
しかしながら、上記のようにテストパターン画像により歪み調整を行う構成では、歪み調整を終えた後に、実際に用いられる画像を投写して画像の状態を確認し、歪みが目立つ場合には、再び、テストパターン画像を投写して歪み調整を行うという作業が必要となる。よって、実際に投写される画像に合わせて、歪み調整を容易に行うことが難しい。
【0008】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、被投写面に投写される画像の歪み調整を容易に行うことができる投写型表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、被投写面に画像を投写する投写型表示装置に関する。本発明の投写型表示装置は、光源と、前記光源からの光を映像信号に応じて変調する光変調部と、外部からの映像信号に対応する画像に所定の線図からなり画像の歪みを調整するためのテストパターン画像が重畳された第1の調整用画像を形成するための映像信号を生成する信号生成部と、を備える。
【0010】
本発明の投写型表示装置によれば、外部からの映像信号に対応する画像にテストパターン画像が重畳された第1の調整用画像が、被投写面に投写される。よって、歪み調整を行うユーザは、投写される画像とテストパターン画像とを見て、投写される画像に合わせた歪み調整を行うことができる。
【0011】
本発明の投写型表示装置は、図柄が異なる複数の前記テストパターン画像のデータを記憶する記憶部と、複数の前記テストパターン画像の中から前記第1の調整用画像に適用される前記テストパターン画像を選択する操作を受け付ける受付部と、をさらに備えるような構成とされ得る。この場合、前記信号生成部は、前記受付部により受け付けられた前記テストパターン画像を含む前記第1の調整用画像の映像信号を生成する。
【0012】
このような構成とすれば、ユーザは、外部からの映像信号に対応する画像に応じて、その画像に重畳させるテストパターン画像を選択することができる。よって、投写される画像に応じた、より良好な歪み調整が可能となる。
【0013】
本発明の投写型表示装置は、複数の色の中から選択された色を前記テストパターン画像に適用される色に設定する色設定部をさらに備えるような構成とされ得る。この場合、前記信号生成部は、前記色設定部により設定された色の前記テストパターン画像を含む前記第1の調整用画像の映像信号を生成する。
【0014】
このような構成とすれば、第1の調整用画像において、テストパターン画像が重畳される画像と区別されやすい色により、テストパターン画像が表示され得る。よって、ユーザによる歪み調整の作業を、より良好に行うことが可能となる。
【0015】
本発明の投写型表示装置において、前記信号生成部は、さらに、前記テストパターン画像により構成され、前記外部からの映像信号に対応する画像を含まない第2の調整用画像を形成するための映像信号を生成するような構成とされ得る。この場合、投写型表示装置は、さらに、前記第1の調整用画像または前記第2の調整用画像の何れを投写するかの選択操作を行うための操作部を備えるような構成とされる。
【0016】
このような構成とすれば、ユーザは、外部からの映像信号に対応する画像を用いることができない場合にも、テストパターン画像を用いて歪み調整を行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のとおり、本発明によれば、被投写面に投写される画像の歪み調整を容易に行うことができる投写型表示装置を提供することができる。
【0018】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施の形態に係る、プロジェクタの構成を示す図である。
【図2】実施の形態に係る、光学エンジンの構成を示す図である。
【図3】実施の形態に係る、リモートコントローラの構成を示す図である。
【図4】実施の形態に係る、プロジェクタの回路系の構成を示す図である。
【図5】実施の形態に係る、歪み調整用パターン画像の例を示す図である。
【図6】実施の形態に係る、テストパターン画像の表示処理を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態に係る、テストパターン選択画面および投写モード選択画面がスクリーンに投写された状態を示す図である。
【図8】実施の形態に係る、第1の調整用画像および第2の調整用画像がスクリーンに投写された状態を示す図である。
【図9】変更例に係る、テストパターン画像の表示処理を示すフローチャートである。
【図10】変更例に係る、色選択画面がスクリーンに投写された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、実施の形態に係るプロジェクタ1について説明する。
【0021】
図1は、プロジェクタ1の構成を示す図である。同図を参照して、プロジェクタ1は、筺体となる、横長の略直方体形状のキャビネット10を備えている。キャビネット10には、前面左側に投写窓101が形成されており、前面右側および右側面にキャビネット10内部から排気を行うための排気口102、103がそれぞれ形成されている。また、キャビネット10の上面には、操作キー群104が設けられている。操作キー群104は、複数のキーにより構成されている。
【0022】
キャビネット10の内部には、光学エンジン20および投写レンズユニット30が配されている。光学エンジン20は、映像信号に基づいて変調された映像光を生成する。光学エンジン20には、投写レンズユニット30が装着されており、投写レンズユニット30の前端部が、投写窓101から前方に露出している。投写レンズユニット30は、光学エンジン20で生成された映像光を、プロジェクタ1の前方に配されたスクリーンに拡大投写する。
【0023】
図2は、光学エンジン20の構成を示す図である。
【0024】
図2に示すように、光学エンジン20は、ランプ201と、導光光学系202と、3つの透過型の液晶パネル203、204、205と、ダイクロイックプリズム206とを備えている。なお、液晶パネル203、204、205の入射側と出射側には図示しない偏光板が配されている。
【0025】
ランプ201は、たとえば、メタルハライドランプ、キセノンランプ等である。ランプ201から出射された白色光は、導光光学系202によって赤色波長帯の光(以下、「R光」という)と、緑色波長帯の光(以下、「G光」という)と、青色波長帯の光(以下、「B光」という)に分離され、液晶パネル203、204、205に照射される。これら液晶パネル203、204、205によって変調されたR光、G光、B光は、ダイクロイックプリズム206によって色合成され、映像光として出射される。
【0026】
なお、光学エンジン20を構成する光変調素子としては、上記透過型の液晶パネル203、204、205の他、反射型の液晶パネルや、MEMSデバイスを用いることもできる。また、光学エンジン20は、上記のように3つの光変調素子を備えた3板式の光学系ではなく、たとえば、1つの光変調素子とカラーホイールを用いた単板式の光学系により構成することもできる。
【0027】
プロジェクタ1には、プロジェクタ本体を遠隔操作するために、リモートコントローラ40(以下、「リモコン」と略する)が備えられている。
【0028】
図3は、リモコン40の構成を示す図である。リモコン40は、操作キー部401と、キー入力回路402と、送信回路403と含む。
【0029】
操作部401には、メニューキー401a、移動キー401b、決定キー401cを含む複数のキーが配置されている。メニューキー401aは、各種の機能項目が並べられたメニュー画面をスクリーンに表示させるためのキーである。メニュー画面の機能項目の一つにテストパターン画像を表示させる機能が含まれている。移動キー401bは、後述するテストパターン選択画面等、各種の選択画面に表示されるポインタを移動させるためのキーである。ポインタは、現在選択されている項目を指し示す。決定キー401cは、各種の選択画面において、選択された項目の決定に用いられるキーである。
【0030】
キー入力回路402は、操作キー部401の各キーが押されると、押されたキーに応じた操作信号を送信回路403に出力する。
【0031】
送信回路403は、キー入力回路402から送られてきた操作信号を、赤外線信号等の無線信号に変換し、プロジェクタ本体に送信する。
【0032】
図4は、プロジェクタ1の回路系の構成を示す図である。
【0033】
液晶パネル203、204、205、ランプ201等を制御するため、プロジェクタ1は、制御回路部50を備える。制御回路部50は、CPU501、メモリ502、キー入力回路503、受信回路504、入力切替回路505、A/Dコンバータ506、信号処理回路507、パネル駆動回路508、ランプ駆動回路509を含む。
【0034】
キー入力回路503は、操作キー群104の各キーの操作に応じた操作信号をCPU501へ出力する。
【0035】
受信回路504は、リモコン40の送信回路403から送信された無線信号を受信し、受信した無線信号を操作信号に変換してCPU501へ出力する。
【0036】
入力切替回路505は、複数の入力端子の中から接続する入力端子を切り替える。入力切替回路505によって接続された入力端子を通じて、外部からの映像信号が入力される。入力された映像信号がアナログ信号である場合には、A/Dコンバータ506によってデジタルの映像信号に変換されて信号処理回路507に入力される。なお、映像信号がデジタル信号である場合には、A/Dコンバータ506を介することなく信号処理回路507に入力される。
【0037】
信号処理回路507は、入力された映像信号に対して、スケーリング補正(画素数の補正)、ホワイトバランス補正、ガンマ補正等の各種補正を行う。また、信号処理回路507は、映像信号がRGB信号以外の信号である場合、かかる信号をRGB信号に変換する。
【0038】
信号処理回路507から出力されたRGB信号は、パネル駆動回路508に入力される。パネル駆動回路508は、入力されたRGB信号に従って液晶パネル203、204、205を駆動する。
【0039】
ランプ駆動回路509は、CPU501からの制御信号に従ってランプ201を駆動する。
【0040】
メモリ502は、RAM、ROMを含む。メモリ502には、CPU501に制御機能を付与するための制御プログラムが記憶されている。
【0041】
メモリ502には、後述するテストパターン画像の表示処理に用いられる複数のテストパターン画像の画像データが記憶されている。テストパターン画像は、スクリーンに投写される画像の色を調整するための色調整用パターン画像と、スクリーンに投写される画像の歪みを調整するための歪み調整用パターン画像とに分けられる。
【0042】
図5は、歪み調整用パターン画像の例を示す図である。本実施の形態のプロジェクタ1には、たとえば、「格子パターン」、「サークルパターン」、「複合パターン」の3つの歪み調整用パターン画像が用意されている。なお、歪み調整用パターン画像の線の色は予め所定の色(たとえば、白、黒等)に定められており、その色データが画像データに含まれている。
【0043】
図5(a)に示すように、「格子パターン」の歪み調整用パターン画像は、格子の線図で構成されている。図5(b)に示すように、「サークルパターン」の歪み調整用パターン画像は、複数のサークルの線図で構成されている。図5(c)に示すように、「複合パターン」の歪み調整用パターン画像は、格子とサークルの線図で構成されている。
【0044】
また、メモリ502には、歪み調整用パターン画像の背景となる単色の背景画像(たとえば、白一色の背景画像)の画像データが記憶されている。さらに、メモリ502には、テストパター画像の表示処理に用いられるテストパターン選択画面および投写モード選択画面の画像データが記憶されている。
【0045】
CPU501は、メモリ502に記憶された制御プログラムに従って、信号処理回路507およびパネル駆動回路508を制御する。また、CPU501は、制御プログラムに従って、ランプ駆動回路509に制御信号を出力することにより、ランプ201を制御する。
【0046】
テストパターン画像の表示処理において、信号処理回路507は、選択された歪み調整用パターン画像の画像データをメモリ502から取得する。そして、信号処理回路507は、取得した画像データと外部から入力された映像信号とに基づいて、外部からの画像、即ち、歪み調整の後に実際に投写される画像に歪み調整用パターン画像が重畳された第1の調整用画像を形成するための映像信号を生成する。また、信号処理回路507は、選択された歪み調整用パターン画像の画像データおよび単色の背景画像の画像データをメモリ502から取得し、単色の背景画像に歪み調整用パターン画像が重畳された第2の調整用画像を形成するための映像信号を生成する。さらに、信号処理回路507は、選択された色調整用パターン画像の画像データをメモリ502から取得し、色調整用パターン画像を形成するための映像信号を生成する。
【0047】
さて、プロジェクタ1による投写運転を行う際には、まず、スクリーン前方の所定位置にプロジェクタ1が設置される。その後、スクリーンに投写される画像に生じる台形歪み等の歪みを解消するための歪み調整が行われる。この際、ユーザの操作により、スクリーンには、調整用の画像(第1の調整用画像、第2の調整用画像、色調整用パターン画像)が投写される。
【0048】
図6は、テストパターン画像の表示処理を示すフローチャートである。図7(a)および(b)は、それぞれ、テストパターン選択画面および投写モード選択画面がスクリーンに投写された状態を示す図である。図8(a)および(b)は、それぞれ、第1の調整用画像および第2の調整用画像がスクリーンに投写された状態を示す図である。
【0049】
ユーザがリモコン40のメニューキー401aを操作して、メニュー画面をスクリーンに表示させ、さらに、メニュー画面からテストパターン画像を表示させる機能を選択する
と、図6に示された表示処理が実行される。
【0050】
CPU501は、まず、信号処理回路507にテストパターン選択画面を形成するための映像信号を生成させることにより、スクリーンにテストパターン選択画面を投写させる(S1)。図7(a)に示すように、テストパターン選択画面には、テストパターン画像のリストと、矢印の形状を有するポインタPが表示される。リストには、上述した3つの歪み調整用パターン画像の他、4つの色調整用パターン画像が含まれる。
【0051】
ユーザは、リモコン40の移動キー401bを操作して、ポインタPを所望のテストパターン画像の項目まで移動させる。そして、所望のテストパターン画像の項目がポインタPより指し示された状態で、ユーザは、リモコン40の決定キー401cを押す。これにより、リストの中から一つのテストパターン画像が選択される。
【0052】
なお、上記のようなテストパターン選択画面上をポインタPが移動する画像も、CPU501の制御信号に従った信号処理回路507による映像信号の生成により実現される。
【0053】
テストパターン画像が選択されると、CPU501は、選択されたテストパターン画像が歪み調整用パターン画像であるか否かを判定する(S2)。
【0054】
投写された画像の歪みが調整される場合、ユーザにより、3つの歪み調整用パターン画像の中から一つの歪み調整用パターン画像が選択される。
【0055】
CPU501は、選択されたテストパターン画像が歪み調整用パターン画像であると判定すると(S2:YES)、信号処理回路507に投写モード選択画面を形成するための映像信号を生成させることにより、スクリーンに投写モード選択画面を投写させる(S3)。図7(b)に示すように、投写モード選択画面には、「重畳モード」および「単独モード」の2つの項目と、ポインタPとが表示される。「重畳モード」は、歪み調整後に実際に投写される画像に歪み調整用パターン画像が重畳された第1の調整用画像をスクリーンに投写させるモードである。一方、「単独モード」は、単色の背景画像に歪み調整用パターン画像が重畳された第2の調整用画像を投写させるモードであり、歪み調整のために、実際に投写される画像が用いられずテストパターン画像が単独で用いられるモードである。
【0056】
CPU501は、投写モードとして「重畳モード」が選択されたか否かを判定する(S4)。
【0057】
ユーザは、実際に投写される画像に合わせた歪み調整を行いたい場合、その画像を形成する映像信号を、入力端子を介してプロジェクタ1に入力した上で、移動キー401bと決定キー401cとにより、「重畳モード」を選択する。
【0058】
CPU501は、「重畳モード」が選択されると(S4:YES)、信号処理回路507に第1の調整画像を形成するための映像信号を生成させることにより、第1の調整用画像をスクリーンに投写させる(S5)。図8(a)に示すように、スクリーンには、外部から入力された、歪み調整後に実際に投写される画像に、ユーザにより選択された歪み調整用パターンが重畳された画像が投写される。なお、図8(a)には、ビル群が写った画像に「格子パターン」の歪み調整用パターン画像が重畳された第1の調整用画像が例示されている。
【0059】
ユーザは、スクリーンに投写された第1の調整用画像を見て、歪み調整用パターンの歪みが低減され、且つ、実際に投写される画像に歪みが目立たない程度となるよう、歪み調
整を行う。たとえば、ユーザは、プロジェクタ1の位置や姿勢を変える。あるいは、ユーザは、プロジェクタ1に備えられたキーストーン補正機能を実行する。
【0060】
投写モード選択画面が表示された状態において、ユーザが、実際に投写される画像を用いず、テストパターン画像のみにより歪み調整を行いたい場合、ユーザは、移動キー401bと決定キー401cとにより、「単独モード」を選択する。
【0061】
CPU501は、「単独モード」が選択されると(S4:NO)、信号処理回路507に第2の調整画像を形成するための映像信号を生成させることにより、第2の調整用画像をスクリーンに投写させる(S6)。図8(b)に示すように、スクリーンには、単色の背景画像に、ユーザにより選択された歪み調整用パターンが重畳された画像が投写される。なお、図8(b)には、単色の背景画像に「格子パターン」の歪み調整用パターン画像が重畳された第2の調整用画像が例示されている。
【0062】
ユーザは、スクリーンに投写された第2の調整用画像を見て、歪み調整用パターンの歪みが適度に低減されるよう、歪み調整を行う。
【0063】
ところで、ユーザは、画像の歪みを調整するのではなく、画像の色を調整する場合、図7(a)に示すテストパターン選択画面において、所望の色調整用パターン画像を選択する。この場合、CPU501は、ステップS2において、選択されたテストパターン画像が歪み調整用パターン画像でないと判定する(S2:NO)。そして、CPU501は、信号処理回路507に、色調整用パターン画像を形成する映像信号を生成させることにより、ユーザにより選択された色調整用パターン画像をスクリーンに投写させる(S7)。
【0064】
以上、本実施の形態によれば、外部からの映像信号に対応する画像に歪み調整用パターン画像が重畳された第1の調整用画像が、スクリーンに投写される。よって、歪み調整を行うユーザは、実際に投写される画像と歪み調整用パターン画像とを見て、実際に投写される画像に合わせた歪み調整を行うことができる。
【0065】
また、本実施の形態によれば、ユーザは、外部からの映像信号に対応する画像に応じて、その画像に重畳させる歪み調整用パターン画像を選択することができる。よって、実際に投写される画像に応じた、より良好な歪み調整が可能となる。
【0066】
さらに、本実施の形態によれば、第1の調整用画像または第2の調整用画像の何れを投写するかを選択できる。よって、ユーザは、外部からの映像信号に対応する画像を用いることができない場合にも、歪み調整用パターン画像を用いて歪み調整を行うことができる。
【0067】
<変更例>
図9は、変更例に係る、テストパターン画像の表示処理を示すフローチャートである。図10は、変更例に係る、色選択画面がスクリーンに投写された状態を示す図である。
【0068】
本変更例のプロジェクタ1は、以下に説明する通り、歪み調整用パターン画像を構成する線の色を複数の色の中から選択できる点が、上記実施の形態のプロジェクタ1と異なる。
【0069】
本変更例では、歪み調整用パターン画像を構成する線の色として歪み調整用パターン画像に適用される複数の色の色データが、メモリ502に記憶されている。複数の色データは、メモリ502内において、歪み調整用パターン画像の画像データが記憶される記憶領域とは別の記憶領域に記憶される。この場合、歪み調整用パターン画像の画像データには
、色データが含まれない。
【0070】
信号処理回路507は、CPU501により設定された色の色データをメモリ502から取得し、歪み調整用パターン画像の線の色が設定された色となるように、第1の調整用画像を形成するための映像信号を生成する。
【0071】
図9に示す本変更例の表示処理では、図7に示す本実施の形態のステップS5の処理に替えて、ステップS8からステップS11の処理が実行される。
【0072】
図7(b)に示す投写モード選択画面において、ユーザにより、「重畳モード」が選択されると(S4:YES)、CPU501は、信号処理回路507に色選択画面を形成するための映像信号を生成させることにより、スクリーンに色選択画面を投写させる(S8)。図10に示すように、色選択画面には、歪み調整用パターン画像に適用される色のリストとポインタPとが表示される。
【0073】
ユーザは、歪み調整用パターン画像が重畳される画像の色の具合を勘案し、移動キー401bと決定キー401cとにより、リストの中から所望の色を選択する。
【0074】
色選択画面により色が選択されると(S9:YES)、CPU501は、選択された色を歪み調整用パターン画像に適用される色として設定する(S10)。そして、CPU501は、信号処理回路507に、設定した色が適用された第1の調整画像を形成するための映像信号を生成させることにより、設定した色が適用された第1の調整用画像をスクリーンに投写させる(S11)。これにより、スクリーンには、ユーザによって選択された色により、歪み調整用パターンが実際に投写される画像に重畳された画像が投写される。
【0075】
以上、本変更例の構成によれば、第1の調整用画像において、歪み調整用パターン画像が重畳される画像と区別されやすい色により、歪み調整用パターン画像が表示され得る。よって、ユーザによる歪み調整の作業を、より良好に行うことが可能となる。
【0076】
<その他>
以上のとおり、本実施の形態および変更例について説明したが、本発明は上記実施の形態および変更例に何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施形態も、上記実施の形態以外に、種々の変更が可能である。
【0077】
たとえば、上記第実施の形態では、歪み調整用パターン画像として、「格子パターン」、「サークルパターン」、「複合パターン」の3つの歪み調整用パターン画像がプロジェクタ1に用意されている。しかしながら、これらの歪み調整用パターン画像に限らず、所定の線図からなり、歪み調整用パターン画像して機能する画像であれば、何れの画像が用いられても良い。
【0078】
また、上記変更例では、ユーザにより選択された色が、歪み調整用パターン画像に適用される色として設定される構成とされている。しかしながら、これに限らず、実際に投写される画像の色の具合に応じて、自動的に色が設定される構成とされても良い。この場合、たとえば、実際に投写される画像の映像信号に基づいて、その画像の全体的な色の具合(黒に近い色の具合、白に近い色の具合等)が判定され、判定された色に対して目立つ色が、歪み調整用パターン画像に適用される色として設定される。
【0079】
さらに、上記実施の形態では、光源としてランプ201が用いられているが、ランプ光源に限らず、LED光源、レーザ光源等の固体光源が用いられても良い。
【0080】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0081】
20 光学エンジン
201 ランプ(光源)
203、204、205 液晶パネル(光変調部)
40 リモートコントローラ
401 操作キー部(受付部、操作部)
50 制御回路部
501 CPU(受付部、色設定部)
502 メモリ(記憶部)
507 信号処理回路(信号生成部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被投写面に画像を投写する投写型表示装置において、
光源と、
前記光源からの光を映像信号に応じて変調する光変調部と、
外部からの映像信号に対応する画像に所定の線図からなり画像の歪みを調整するためのテストパターン画像が重畳された第1の調整用画像を形成するための映像信号を生成する信号生成部と、
を備えることを特徴とする投写型表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の投写型表示装置において、
図柄が異なる複数の前記テストパターン画像のデータを記憶する記憶部と、
複数の前記テストパターン画像の中から前記第1の調整用画像に適用される前記テストパターン画像を選択する操作を受け付ける受付部と、をさらに備え、
前記信号生成部は、前記受付部により受け付けられた前記テストパターン画像を含む前記第1の調整用画像の映像信号を生成する、
ことを特徴とする投写型表示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の投写型表示装置において、
複数の色の中から選択された色を前記テストパターン画像に適用される色に設定する色設定部をさらに備え、
前記信号生成部は、前記色設定部により設定された色の前記テストパターン画像を含む前記第1の調整用画像の映像信号を生成する、
ことを特徴とする投写型表示装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載の投写型表示装置において、
前記信号生成部は、さらに、前記テストパターン画像により構成され、前記外部からの映像信号に対応する画像を含まない第2の調整用画像を形成するための映像信号を生成するとともに、
前記第1の調整用画像または前記第2の調整用画像の何れを投写するかの選択操作を行うための操作部を備える、
ことを特徴とする投写型表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−97006(P2013−97006A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236519(P2011−236519)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】