投射型画像表示装置及び偏光変換素子
【課題】高輝度化に対応しながらも光学特性を劣化させる事のない投射型画像表示装置を安価に提供する。
【解決手段】照明光学系中の偏光変換素子7の1/2波長板42として、視野角特性に偏りのあるものを用い、角度的な広がりを持って分布する入射光のうち、強度が強い方向の光について変換効率が良くなる方向に1/2波長板42を配置する。
【解決手段】照明光学系中の偏光変換素子7の1/2波長板42として、視野角特性に偏りのあるものを用い、角度的な広がりを持って分布する入射光のうち、強度が強い方向の光について変換効率が良くなる方向に1/2波長板42を配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明光学系に位相差板を含んだ投射型画像表示装置、及び、偏光変換素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、会議や講義のプレゼンテーション資料を拡大投影する手段として、投射型画像表示装置(プロジェクタ)が使用されている。こうした用途の投射型画像表示装置は、家庭用途とは異なり明るい室内環境で使用される事が多い為、高輝度化が進んでいる。
【0003】
また、低コスト化の為には小型化の傾向にあり、光学系における光密度は高まる一方である。光密度が上がれば冷却する為に冷却風量を多くする必要があるが、より静な装置が望まれている。このような投射型画像表示装置には、従来より、光の偏光状態を揃える為に照明光学系にPS変換素子(偏光変換素子)が使用されている。
【0004】
PS変換素子の構造は、PBS(偏光ビームスプリッタ)膜でP偏光とS偏光を分離し、どちらか一方の偏光について1/2波長板を通過させ90度回転させる事により、偏光状態を一方向に揃えるものである。この1/2波長板には一般的にポリカーボネートフィルムが使用されているが、光密度が上がるにつれて黄変や焼けによる光学特性の劣化が深刻な問題となってきた。
【0005】
耐久性・耐熱性向上の為、ポリカーボネートフィルムに代わり水晶の波長板を使用したPS変換素子も提案されている(特許文献1)。こうした波長板は、通常はある波長について位相差がλ/2となるように設計される為、有効波長帯域が狭くなる。
【0006】
広帯域化の為に、波長板を複数枚方位を適当に変えて重ね合わせる方法が文献に示されており従来より知られている(結晶光学;応用物理学会光学懇話会編 森北出版株式会社初版1975年)。こうした技術を使用した水晶波長板も提案されている(特許文献2)。
【0007】
【特許文献1】特開2003−302523号公報
【特許文献2】特開2004−170853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の様に水晶の光学軸を面内に含む構成で1/2波長板を作成した場合、0次の波長板とするには2枚の水晶板が必要である。この2枚構成の波長板を使用したPS変換素子を実機に搭載すると、例えば緑色の波長について位相差λ/2となる様に設計されている為、赤色と青色については効率が落ち装置の色度が悪化する。広帯域化するにはさらに2枚構成の波長板が必要で、合計で4枚以上の水晶板を使用しなければならない。この場合、厚みが厚くなると共に高価となる。また、水晶が厚くなる事で装置に対する明るさへの影響が大きく高輝度化の為には不利である。
【0009】
これに対し、水晶の光学軸を面内に含まず、光学軸に対して斜めに切断したウェーハ1枚で0次の波長板を作成する方法も従来から知られている。この場合広帯域化する為には、最低2枚のウェーハがあれば良く厚みやコストの面では有利である。しかし、軸を斜めに切断している為、光線の入射方向や角度により位相差が大きく変化してしまうという問題があった。入射光線角度や方向によって位相差が異なると、実機に搭載した際、全白画面で輝度ムラが発生してしまう。フィルム同等の光学特性を出すには特許文献2の様に複雑な設計となり、尚且つ厚みを極力薄くしなければならないという問題があった。厚みが薄くなればなるほど加工上の難易度は増し、歩留まりやコストへの影響が大きかった。
【0010】
この様に、PS変換素子の1/2波長板に水晶波長板を用いた従来技術では、輝度・色度・ユニフォミティ・コストを同時に改善するには問題があった。
【0011】
また、ここではPS変換素子を例に挙げたが、投射型画像表示装置の照明光学系では、PS変換素子以外の場所でも位相差板を使用している。例えば、R,G,Bの液晶パネルの出射光を合成する色合成プリズムの手前では、Bチャンネル及びRチャンネルの射出側偏光板からのP偏光を1/2波長板によってS偏光に変換している(Bチャンネル及びRチャンネルの出射光がS偏光である場合は、Gチャンネルの射出側偏光板からのS偏光のみを1/2波長板によってP偏光に変換する事もある)。
【0012】
また、投射型画像表示装置の照明光学系は偏光光学系であるため、1/2波長板に限らず色々な位相差板を使うケースがある(1/4波長板やλ板を使用するケースもあり得る)。
【0013】
それらの位相差板に水晶波長板を用いた場合にも、投射型画像表示装置の輝度・色度・ユニフォミティ・コストを同時に改善する上では同様の問題がある。
【0014】
本発明では、これらの課題を解決し、高輝度化に対応しながらも光学特性を劣化させる事のない投射型画像表示装置を安価に提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この課題を解決するため、本発明は、光源と、前記からの光を液晶パネルに結像させる照明光学系とを有し、前記照明光学系に位相差板を含んだ投射型画像表示装置において、
前記位相差板として、視野角特性に偏りがある位相差板が、角度的な広がりを持って分布する入射光のうち、強度が強い方向の光について所望の位相差が発生する方向に配置されている
ことを特徴とする。
【0016】
投射型画像表示装置の照明光学系の様々な場所での光の強度分布を解析すれば、角度的な広がりを持って分布する入射光には、その場所に応じて必ず何らかの偏りが発生している。
【0017】
本発明に係る投射型画像表示装置は、照明光学系中の位相差板として、視野角特性に偏りがある位相差板を用い、その位相差板の配置方向を、その場所における光の強度分布の偏りに応じて最適化する(強度が強い方向の光について所望の位相差が発生する方向に配置する)ことにより、投射型画像表示装置の輝度・色度・ユニフォミティ・コストを同時に改善するものである。
【0018】
なお、この位相差板が例えば偏光変換素子の1/2波長板である場合には、その1/2波長板を、角度的な広がりを持って分布する入射光のうち、強度が強い方向の光について変換効率が良くなる方向に配置することが好適である。
【0019】
次に、本発明は、入射光からP偏光とS偏光を分離し、前記P偏光と前記S偏光のいずれか一方について1/2波長板を通過させる事によって出射光の偏光方向を揃える偏光変換素子において、
前記1/2波長板は、視野角特性に偏りがあり、角度的な広がりを持って分布する入射光のうち、強度が強い方向の光について変換効率が良くなる方向に配置されていることを特徴とする。
【0020】
この偏光変換素子は、1/2波長板に前述の本発明に係る投射型画像表示装置の位相差板の構成を採用したものであり、この偏光変換素子を照明光学系に用いた投射型画像表示装置の輝度・色度・ユニフォミティ・コストを同時に改善することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、投射型画像表示装置の輝度・色度・ユニフォミティ・コストを同時に改善し、高輝度化に対応しながらも光学特性を劣化させる事のない投射型画像表示装置を安価に提供する事ができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて具体的に説明する。図1は、本発明を適用した投射型画像表示装置(プロジェクタ)の光学系の基本構成を示す模式図である。
【0023】
超高圧水銀ランプ等を用いた光源1からの白色の自然光が、リフレクタ2で反射され、リフレクタ2の光射出面を覆う防爆ガラス3を通って、4のUVカットフィルタへ入射する。UVカットフィルタ4では、紫外線が反射によってカットされる。UVカットフィルタ4を射出した光は、インテグレータを構成する第一及び第二のフライアイレンズ5及び6のうちの第一フライアイレンズ5に入射し、さらに第二フライアイレンズ6で集光されて、PS変換素子7に入射する。
【0024】
PS変換素子7を射出した光は、コンデンサーレンズ8で集光されて、GR反射ダイクロイックミラー9に入射する。
【0025】
GR反射ダイクロイックミラー9は、青色光を透過させ、緑色光及び赤色光を反射する。GR反射ダイクロイックミラー9を透過した青色光は、UV吸収フィルタ13で紫外線を吸収によりカットされ、青色光用の反射ミラー14で反射され、青色光用のコンデンサーレンズ18で集光された後、入射側偏光板21を透過し、青色表示用の液晶パネル24に入射する。
【0026】
GR反射ダイクロイックミラー9で反射された緑色光及び赤色光は、G反射ダイクロイックミラー10に入射する。G反射ダイクロイックミラー10は、緑色光を反射し、赤色光を透過させる。G反射ダイクロイックミラー10で反射された緑色光は、緑色光用のコンデンサーレンズ19で集光された後、入射側偏光板22を透過し、緑色表示用の液晶パネル25に入射する。
【0027】
G反射ダイクロイックミラー10を透過した赤色光は、第一リレーレンズ11を通過し、赤色光用の反射ミラー12で反射され、R透過フィルタ15で赤色光以外の成分を除かれ、第二リレーレンズ16を透過して赤反射ミラー17で反射され、赤色光用のコンデンサーレンズ20で集光された後、入射側偏光板23を透過し、赤色表示用の液晶パネル26に入射する。
【0028】
液晶パネル24、25、26に入射した青色光、緑色光、赤色光は、それぞれR、G、Bの映像信号のレベルに応じて変調される。液晶パネル24、25、26を射出した青色光、緑色光、赤色光は、それぞれ射出側偏光板27、28、29に入射する。射出側偏光板27、28、29は、P偏光のみを透過させる。
【0029】
射出側偏光板27、29を透過した青色光、赤色光は、それぞれ1/2波長フィルム30、31でP偏光からS偏光に変換されて、色合成プリズム32に入射する。射出側偏光板28を透過した緑色光は、そのまま色合成プリズム32に入射する。色合成プリズム32では、P偏光が透過し、S偏光がP偏光と同じ方向に反射されることにより、緑色光と青色光と赤色光とが合成される。色合成プリズム32を射出した光は、投射レンズ33からスクリーン(図示略)へ拡大投影される。
【0030】
図13は、図1のPS変換素子7の基本構成を示す図である。PS変換素子7は、多数の小さなプリズム41を第二フライアイレンズ6の各レンズ6aに対応させて貼り合わせたものであり、その貼り合わせ面には、レンズ6aの中央部からの出射光のうちP偏光を通過させてS偏光を反射するPBS(偏光ビームスプリッタ)面41aと、PBS面41aで反射されたS偏光を図1のコンデンサーレンズ8に向けて反射する反射面41bとが交互に形成されている。プリズム41のうち、透過したP偏光が出射する面には、1/2波長板42が貼られている。また、プリズム41のうち、レンズ6aの周辺部からの出射光が入射する面には、遮光板43が貼られている。
【0031】
各レンズ6aの中央部からの出射光のうち、P偏光はPBS面41aを透過した後1/2波長板42でS偏光に変換されてコンデンサーレンズ8に向けて射出され、S偏光はPBS面41a,反射面41bで反射された後コンデンサーレンズ8に向けて射出される。したがって、PS変換素子7への入射光(自然光)が、S偏光に偏光方向を揃えてPS変換素子7から射出される。
【0032】
なお、このPS変換素子7は、1/2波長板42に水晶を用いたものであるが、その配置に特徴を有している。以下では、この1/2波長板42の配置を説明する前に、そうした配置を採用した理由をまず説明する。
【0033】
図2は、図1の照明光学系における光線の状態を概念図で示したものである。(この図は、基本的な概念を示す為のものであり、設計の詳細を表したものではない。)
【0034】
光源1から発せられた光は、リフレクタ2で反射し、第一フライアイレンズ5に入射して多数の光束に分割された後、対応する第二フライアイレンズ6に入射し、各液晶パネル24〜26上に重ね合わされて結像される。それぞれの角度を持った光は液晶パネル24〜26上では図の様に結像する為、液晶パネル24〜26上での光の強度分布はPS変換素子7に入射する光の角度分布を反映しているといえる。
【0035】
PS変換素子7の出射面の1/2波長板(図13の1/2波長板42)に入射する光に着目すると、光線の角度は数度の広がりを持って分布している。また、強度も一定ではなく、ある偏りを持って分布している。この偏りは光源1からの光の強度分布とフライアイレンズ5,6の設計に依存している。一般的な設計の場合、中心から外側へ向かう方向の光が強いが、偏芯を持たせている場合は、逆に外側から内側へ向かう方向の光が強い場合もある。今回は、後者の場合について、PS変換素子71/2波長板の軸方向を最適化した例を中心に説明する。
【0036】
図3(a)は、PS変換素子7の1/2水晶波長板42を光の入射側から見た模式図である。単板0次水晶波長板を、波長520nmで位相差がλ/2となる厚みで設計し、同じものをA・B2枚用意する。それを45度ずらして貼り合せ、図の様に基準面に対しAウェーハが22.5度の角度になる様に配置して、1/2水晶波長板42を構成した。
【0037】
図3(b)は、図3(a)の構成の1/2水晶波長板42の視野角特性を、アイソルミナンスコンター(等輝度曲線)で表示した図である。1/2水晶波長板42は視野角特性に偏りがあるのが分かる。
【0038】
図3(c)は、図3(b)の視野角特性を方位角135度−315度の断面図で切った透過率を示している。波長450nm(青色光)、550nm(緑色光)、650nm(赤色光)の3種類の波長について透過率を示した。極角度±6度付近に着目すると、方位角315度方向の光に対しては極角度が大きくなると3波長とも透過率が落ちていくのに対し、方位角135度方向では、青の光のみ透過率が低下している。
【0039】
これをプロジェクタに対する現象で考えた場合、方位角315度方向では明るさが低下し、方位角135度方向については青の効率が緑と赤に対して悪くなる為、色度が悪化する事を意味している。明るさに関しては緑が支配的である為、青のみ効率が下がっても明るさへの影響は少ない。
【0040】
この様に視野角特性に偏りがある波長板を装置に搭載すると、入射する光線の方向や角度、強度によって輝度ムラが発生したり、色度ユニフォミティが悪化する。
【0041】
図4(a)は、仮に、PS変換素子7の出射面に、図3(a)の構成の1/2波長板42を軸方向を揃えて一様に配置したとした場合の模式図であり、光学系を上面より眺めている。図4(b)は、図4(a)の各1/2波長板42を光の入射側から見た模式図である。
【0042】
この図4の状態で、スクリーン上に全白画面を投影すると、画面対角に濃いムラが発生してしまう。色度ユニフォミティを測定すると図5の様になり、リファレンスとして用いている通常のフィルムタイプのPS変換素子と比べると、悪化しているのが分かる。
【0043】
この原因を調べる為にPS変換素子7の入射側から見て左半分を遮光して右半分から光を透過させた場合と、右半分を遮光して左半分から光を透過させた場合とについて明るさを測定し比較を行った。結果は、右半分からの透過光が、左半分からの透過光に対して3%暗い事が判明した。
【0044】
逆に、図14(a)のように光の入射側から見て右半分を遮光したPS変換素子7を、図14(b)のように上下逆さにして光学系に入れると、明るさは回復した。この状態では、PS変換素子7は面内に180度回転した事になるので、光線が点対称に分布していると考えると、光線と水晶波長板の光学軸との関係は回転の前後で変わっていない。この時、光は光学系の右半分からの透過光になるので、右半分がもとから暗いのではなく、波長板の影響によって差が出ている事を意味している。
【0045】
図4(a)の模式図において、光の振舞いを考える。評価に使用した光学系については、入射側から見て外側から中心方向に向かう角度の光が強い。したがって、図4(a)において丸で囲んだαの部分では、右方向に向かう光L1が強く、左方向に向かう光L2が弱い。図4(a)において丸で囲んだβの部分では、逆に、左方向に向かう光L2が強く、右方向に向かう光L1が弱い。
【0046】
前記のPS変換素子の片側半分を遮光して明るさを比較する実験は、図4での上半分と下半分の効率を調べた事になり、丸で囲んだα,βの部分の光線と水晶光学軸の関係について、どちらが変換効率が良いのか調べている事になる。αの部分は、左方向に向かう光L2よりも右方向に向かう光L1が強いので、右方向に向かう光L1に対する波長板の効率である。βの部分は、左方向に向かう光L2が強いので、左方向に向かう光L2に対する波長板の効率である。結果からは、αの部分の光線と水晶光学軸の関係のほうが、βの部分の光線と水晶光学軸の関係よりも有利である。
【0047】
波長板の視野角特性は図3(b)に示した通りなので、入射側から考えると、左半分の透過率が、右半分の透過率よりも良い。この波長板を図4に当てはめて考えると、αのケースでは、強い光である光L1が左半分から入射している事になり、強い光の透過率を上げる方向で配置されている事になる。βのケースでは、強い光である光L2が右半分から入射する事になるので、透過率が落ち暗くなる事で、シミュレーション結果と実測での辻褄が合っている。
【0048】
この事から考えると、図4(a)のβの部分の水晶波長板の配置を、光線と水晶光学軸の関係がαの部分と同じパターンになるように変更(面内に180度回転)すれば、左右とも光線に対する効率が良くなるはずである。
【0049】
次に、以上のような検討の結果採用した図1のPS変換素子7の1/2波長板42の配置の具体例を説明する。
【0050】
図6(a)は、PS変換素子7における1/2波長板42の配置例を示す模式図であり、光学系を上面より眺めている。波長板の軸方向を、入射光線の角度・強度分布に対して有利になる様に配置している。有利な方向とは即ち、1/2波長板として光の回転効率が良くなり、クロスニコル状態で透過率が良くなる方向である。
【0051】
図6(b)は、図6(a)のαの部分の1/2波長板42を光の入射側から見た模式図である(「前」という文字を付した光学軸が、入射側から見て手前の水晶波長板の光学軸である)。αの部分の1/2波長板42の配置は、図4に示したのと同じ視野角特性を示す波長板を使用している。
【0052】
図6(c)は、図6(a)のβの部分の1/2波長板42を光の入射側から見た模式図である。βの部分の1/2波長板42は、αの部分の1/2波長板42を面内に180度回転させた状態で点対称になるように配置している。
【0053】
この図6の状態でスクリーン上に全白画面を投影し、色度ユニフォミティを測定すると、図7の様になる。図5と比較して、ムラが改善されたのが分かる。この結果から、光線の角度分布に対して有利になるように水晶の軸方向を配置してやれば、輝度ムラや色度ユニフォミティが改善されることが分かった。
【0054】
以上の図3及び図6の1/2波長板42の構成及び配置の組合せから、光線の方向に対して水晶光学軸の方向が有利に働く別の構成及び配置の組合せを考えてみる。図8は、図3(b)と同様の視野角特性が得られる1/2波長板42の構成のパターン(単板0次水晶波長板A・Bの貼り合せのパターン)を、光の入射側から見た模式図である。図3(a)のパターンの他に、図8(a),(b),(c)の3パターンが存在する。この合計4パターンについて、PS変換素子7の右半分と左半分とで点対称になるように面内に180度回転させた配置の組合せが、図9(a)のようにそれぞれ1通りずつ(合計4通り)存在する。
【0055】
また、光線の角度分布は基本的には同心円上に広がっていると考えると、図9(a)の各配置をそれぞれ面内に90度回転させても視野角特性は同じなので、図9(b)のような4通りの配置の組合せも存在する。
【0056】
また、図9(b)の配置の組合せを図9(c)のように入れ替えても視野角特性は同じなので、さらに4通りの配置の組合せが存在する。
【0057】
また、図9(c)の各配置の組合せをそれぞれ面内に90度回転させても視野角特性は同じなので、図9(d)のような4通りの配置の組合せも存在する。
【0058】
したがって、光線の方向に対して水晶光学軸の方向が有利に働く配置の組合せは、全部で16通り存在する。
【0059】
図10は、図6の場合のPS変換素子7への1/2波長板42の貼り付けの様子を、光の入射側から見た図である。PS変換素子7の右半分と左半分とで、1/2波長板42を向きを変えて(左半分の1/2波長板42を基準として見た場合、右半分の1/2波長板42を面内に180度回転させて)貼り付けている。
【0060】
また、PS変換素子7の右半分、左半分ではなく、1/2波長板42の短冊1つ1つを光の入射側から見て左右に分割し、分割した左側の部分と右側の部分とで図9のような配置の組合せを行う事も有効である。図11は、そうした配置の組合せの例を図6と同様に模式的に示す図である。このようにすることにより、さらに16通りの配置の組合せが増えることになる。
【0061】
また、水晶は単結晶である為、育成する大きさに限界がある。また、ウェーハが大きくなればなるほど、薄く研磨する技術も難しくなる。この事から、大きなPS変換素子については、1/2波長板を上下に分割して組合わせる方法も有効である。
【0062】
1/2波長板を分割する場合、光が同心円状に広がっている事を考慮し、点対称に軸方向を最適化すると良い。偏芯により、点対称でない場合は、1/2波長板に入射する光線の角度と強度に合わせて配置を最適化すると良い。図12は、外側から内側へ向かう方向の光が強い照明光学系を前提とし、1つ1つの1/2波長板42を上下に分割して点対称に配置した場合の、PS変換素子7への1/2波長板42の貼り付けの様子を、光の入射側から見た図である。
【0063】
光の角度分布・強度分布が点対称であると考えた場合、PS変換素子7の或る1/4面での1/2波長板42の配置を最適化した後、この図12のように、そこから90度ずつ回転させて残りの各1/4面での1/2波長板42の配置を決めていけばよい。また、PS変換素子7の手前のインテグレータを構成するフライアイレンズの偏芯等によって光の強度分布が点対称になっていない場合は、その強度に合わせて残りの各1/4面の1/2波長板42の配置を最適化すればよい。
【0064】
図12では1つ1つの1/2波長板42を上下に2等分に分割しているが、上下に3つ以上に分割して、それぞれの大きさを異ならせてもよい。また、フライアイレンズの設計によっては、2分割する場合でも、等分に分割せずにそれぞれの大きさを異ならせてもよい。
【0065】
以上の実施の形態では、外側から内側へ向かう方向の光が強い照明光学系を前提としたので図9、図11、図12の配置となったが、逆に内側から外側へ向かう方向の光が強い照明光学系の場合には、配置も逆になる。波長板単体の視野角特性と照し合わせて、強い光の透過率が良くなる方向に配置すれば良い。照明光学系の設計思想により、光線角度分布も幅がある。今回の発明は、光線の角度が大きい程、効果を発揮する。また、強度の偏りが大きい程、効果がある。
【0066】
上記の様にPS変換素子出射面の光線角度・強度分布に着目して、有利になるように水晶の軸角度を配置すれば、波長板単体での光学特性があらゆる光線角度に対して均一でなくても、輝度ムラを発生させないで使用する事ができる。以上の実施の形態では1/2波長板42を構成する1枚1枚の水晶波長板を波長520nmで位相差がλ/2となる厚みで設計したが、例えば水晶波長板を波長480nmで位相差がλ/2となるようにし、2枚の合計厚みは0.3mm程度とすれば、さらにユニフォミティを改善でき、使用上フィルム同等の特性が出せる。また、光線角度依存もさらに軽減でき、明るさも確保できる。
【0067】
水晶波長板単体に着目すると、特許文献2の様に複雑な設計ではなく、同じウェーハを2枚作成し、組合わせればよい為コストメリットがある。又、厚みも厚くできる為加工上の難易度が軽減し、より実用化にはメリットがある。このPS変換素子7を利用することにより、冷却風を減らす・又は無くす事ができファンノイズ低減・静音化にも効果がある。
【0068】
以上の実施の形態では透過型プロジェクタに本発明を適用しているが、照明光学系の設計は透過型プロジェクタでも反射型プロジェクタでも基本的には同じである為、本発明は反射型プロジェクタにも適用することができる。
【0069】
また、以上の実施の形態では、正の一軸結晶である水晶を1/2水晶波長板42に用いているが、光軸を斜めにカットして位相差を発生させる事ができる一軸結晶であれば、水晶でなくても(例えば方解石でも)同様の効果が得られる。
【0070】
あるいはまた、PS変換素子7の1/2波長板42に、一軸結晶以外の無機材料またはその他の材料であって視野角特性に偏りのあるものを用い、角度的な広がりを持って分布する入射光のうち、強度が強い方向の光について変換効率が良くなる方向に1/2波長板42を配置するようにしてもよい。
【0071】
また、以上の実施の形態では、PS変換素子の1/2波長板に、本発明に係る投射型画像表示装置の位相差板の構成を採用している。しかし、プロジェクタの照明光学系では、PS変換素子以外の場所でも位相差板を使用している。例えば、図1に示したように、色合成プリズム32の手前では、射出側偏光板27、29からの青色光、赤色光をそれぞれ1/2波長フィルム30、31でP偏光からS偏光に変換している。
【0072】
また、投射型画像表示装置の照明光学系は偏光光学系であるため、1/2波長板に限らず色々な位相差板を使うケースがある(1/4波長板やλ板を使用するケースもあり得る)。
【0073】
そして、プロジェクタの照明光学系の様々な場所での光の強度分布を解析すれば、角度的な広がりを持って分布する入射光には、その場所に応じて必ず何らかの偏りが発生している。
【0074】
そこで、照明光学系中のPS変換素子以外の場所で用いられる位相差板として、視野角特性に偏りがある位相差板を用い、その位相差板の配置方向を、その場所における光の強度分布の偏りに応じて最適化する(強度が強い方向の光について所望の位相差が発生する方向に配置する)ようにしてもよい。そうすることにより、以上に説明したのと全く同様にして、プロジェクタの輝度・色度・ユニフォミティ・コストを同時に改善することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明を適用した投射型画像表示装置の光学系の基本構成を示す模式図である。
【図2】図1の照明光学系における光線の状態を示す概念図である。
【図3】図1のPS変換素子に用いる1/2波長板の構成及び視野角特性を示す図である。
【図4】図1のPS変換素子の出射面に、図3の構成の1/2波長板を軸方向を揃えて一様に並べた場合の模式図である。
【図5】図4の状態での色度ユニフォミティの測定結果を示す図である。
【図6】図1のPS変換素子の1/2波長板の配置例を示す模式図である。
【図7】図6の状態での色度ユニフォミティの測定結果を示す図である。
【図8】図1のPS変換素子の1/2水晶波長板の構成のパターンを示す図である。
【図9】図8の各パターンについての1/2水晶波長板の配置の組合せを示す図である。
【図10】図6の場合のPS変換素子への1/2波長板の貼り付けの様子を示す図である。
【図11】1つ1つの1/2波長板を左右に分割して配置の組合せを行った例を示す模式図である。
【図12】1つ1つの1/2波長板を上下に分割して対称に配置した場合の、PS変換素子への1/2波長板の貼り付けの様子を示す図である。
【図13】図1のPS変換素子の基本構成を示す図である。
【図14】右半分を遮光したPS変換素子を上下逆さにした状態を示す図である。
【符号の説明】
【0076】
1 光源、 2 リフレクタ、 5 第一フライアイレンズ、 6 第ニ一フライアイレンズ、 7 PS変換素子、 42 1/2水晶波長板
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明光学系に位相差板を含んだ投射型画像表示装置、及び、偏光変換素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、会議や講義のプレゼンテーション資料を拡大投影する手段として、投射型画像表示装置(プロジェクタ)が使用されている。こうした用途の投射型画像表示装置は、家庭用途とは異なり明るい室内環境で使用される事が多い為、高輝度化が進んでいる。
【0003】
また、低コスト化の為には小型化の傾向にあり、光学系における光密度は高まる一方である。光密度が上がれば冷却する為に冷却風量を多くする必要があるが、より静な装置が望まれている。このような投射型画像表示装置には、従来より、光の偏光状態を揃える為に照明光学系にPS変換素子(偏光変換素子)が使用されている。
【0004】
PS変換素子の構造は、PBS(偏光ビームスプリッタ)膜でP偏光とS偏光を分離し、どちらか一方の偏光について1/2波長板を通過させ90度回転させる事により、偏光状態を一方向に揃えるものである。この1/2波長板には一般的にポリカーボネートフィルムが使用されているが、光密度が上がるにつれて黄変や焼けによる光学特性の劣化が深刻な問題となってきた。
【0005】
耐久性・耐熱性向上の為、ポリカーボネートフィルムに代わり水晶の波長板を使用したPS変換素子も提案されている(特許文献1)。こうした波長板は、通常はある波長について位相差がλ/2となるように設計される為、有効波長帯域が狭くなる。
【0006】
広帯域化の為に、波長板を複数枚方位を適当に変えて重ね合わせる方法が文献に示されており従来より知られている(結晶光学;応用物理学会光学懇話会編 森北出版株式会社初版1975年)。こうした技術を使用した水晶波長板も提案されている(特許文献2)。
【0007】
【特許文献1】特開2003−302523号公報
【特許文献2】特開2004−170853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の様に水晶の光学軸を面内に含む構成で1/2波長板を作成した場合、0次の波長板とするには2枚の水晶板が必要である。この2枚構成の波長板を使用したPS変換素子を実機に搭載すると、例えば緑色の波長について位相差λ/2となる様に設計されている為、赤色と青色については効率が落ち装置の色度が悪化する。広帯域化するにはさらに2枚構成の波長板が必要で、合計で4枚以上の水晶板を使用しなければならない。この場合、厚みが厚くなると共に高価となる。また、水晶が厚くなる事で装置に対する明るさへの影響が大きく高輝度化の為には不利である。
【0009】
これに対し、水晶の光学軸を面内に含まず、光学軸に対して斜めに切断したウェーハ1枚で0次の波長板を作成する方法も従来から知られている。この場合広帯域化する為には、最低2枚のウェーハがあれば良く厚みやコストの面では有利である。しかし、軸を斜めに切断している為、光線の入射方向や角度により位相差が大きく変化してしまうという問題があった。入射光線角度や方向によって位相差が異なると、実機に搭載した際、全白画面で輝度ムラが発生してしまう。フィルム同等の光学特性を出すには特許文献2の様に複雑な設計となり、尚且つ厚みを極力薄くしなければならないという問題があった。厚みが薄くなればなるほど加工上の難易度は増し、歩留まりやコストへの影響が大きかった。
【0010】
この様に、PS変換素子の1/2波長板に水晶波長板を用いた従来技術では、輝度・色度・ユニフォミティ・コストを同時に改善するには問題があった。
【0011】
また、ここではPS変換素子を例に挙げたが、投射型画像表示装置の照明光学系では、PS変換素子以外の場所でも位相差板を使用している。例えば、R,G,Bの液晶パネルの出射光を合成する色合成プリズムの手前では、Bチャンネル及びRチャンネルの射出側偏光板からのP偏光を1/2波長板によってS偏光に変換している(Bチャンネル及びRチャンネルの出射光がS偏光である場合は、Gチャンネルの射出側偏光板からのS偏光のみを1/2波長板によってP偏光に変換する事もある)。
【0012】
また、投射型画像表示装置の照明光学系は偏光光学系であるため、1/2波長板に限らず色々な位相差板を使うケースがある(1/4波長板やλ板を使用するケースもあり得る)。
【0013】
それらの位相差板に水晶波長板を用いた場合にも、投射型画像表示装置の輝度・色度・ユニフォミティ・コストを同時に改善する上では同様の問題がある。
【0014】
本発明では、これらの課題を解決し、高輝度化に対応しながらも光学特性を劣化させる事のない投射型画像表示装置を安価に提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この課題を解決するため、本発明は、光源と、前記からの光を液晶パネルに結像させる照明光学系とを有し、前記照明光学系に位相差板を含んだ投射型画像表示装置において、
前記位相差板として、視野角特性に偏りがある位相差板が、角度的な広がりを持って分布する入射光のうち、強度が強い方向の光について所望の位相差が発生する方向に配置されている
ことを特徴とする。
【0016】
投射型画像表示装置の照明光学系の様々な場所での光の強度分布を解析すれば、角度的な広がりを持って分布する入射光には、その場所に応じて必ず何らかの偏りが発生している。
【0017】
本発明に係る投射型画像表示装置は、照明光学系中の位相差板として、視野角特性に偏りがある位相差板を用い、その位相差板の配置方向を、その場所における光の強度分布の偏りに応じて最適化する(強度が強い方向の光について所望の位相差が発生する方向に配置する)ことにより、投射型画像表示装置の輝度・色度・ユニフォミティ・コストを同時に改善するものである。
【0018】
なお、この位相差板が例えば偏光変換素子の1/2波長板である場合には、その1/2波長板を、角度的な広がりを持って分布する入射光のうち、強度が強い方向の光について変換効率が良くなる方向に配置することが好適である。
【0019】
次に、本発明は、入射光からP偏光とS偏光を分離し、前記P偏光と前記S偏光のいずれか一方について1/2波長板を通過させる事によって出射光の偏光方向を揃える偏光変換素子において、
前記1/2波長板は、視野角特性に偏りがあり、角度的な広がりを持って分布する入射光のうち、強度が強い方向の光について変換効率が良くなる方向に配置されていることを特徴とする。
【0020】
この偏光変換素子は、1/2波長板に前述の本発明に係る投射型画像表示装置の位相差板の構成を採用したものであり、この偏光変換素子を照明光学系に用いた投射型画像表示装置の輝度・色度・ユニフォミティ・コストを同時に改善することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、投射型画像表示装置の輝度・色度・ユニフォミティ・コストを同時に改善し、高輝度化に対応しながらも光学特性を劣化させる事のない投射型画像表示装置を安価に提供する事ができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて具体的に説明する。図1は、本発明を適用した投射型画像表示装置(プロジェクタ)の光学系の基本構成を示す模式図である。
【0023】
超高圧水銀ランプ等を用いた光源1からの白色の自然光が、リフレクタ2で反射され、リフレクタ2の光射出面を覆う防爆ガラス3を通って、4のUVカットフィルタへ入射する。UVカットフィルタ4では、紫外線が反射によってカットされる。UVカットフィルタ4を射出した光は、インテグレータを構成する第一及び第二のフライアイレンズ5及び6のうちの第一フライアイレンズ5に入射し、さらに第二フライアイレンズ6で集光されて、PS変換素子7に入射する。
【0024】
PS変換素子7を射出した光は、コンデンサーレンズ8で集光されて、GR反射ダイクロイックミラー9に入射する。
【0025】
GR反射ダイクロイックミラー9は、青色光を透過させ、緑色光及び赤色光を反射する。GR反射ダイクロイックミラー9を透過した青色光は、UV吸収フィルタ13で紫外線を吸収によりカットされ、青色光用の反射ミラー14で反射され、青色光用のコンデンサーレンズ18で集光された後、入射側偏光板21を透過し、青色表示用の液晶パネル24に入射する。
【0026】
GR反射ダイクロイックミラー9で反射された緑色光及び赤色光は、G反射ダイクロイックミラー10に入射する。G反射ダイクロイックミラー10は、緑色光を反射し、赤色光を透過させる。G反射ダイクロイックミラー10で反射された緑色光は、緑色光用のコンデンサーレンズ19で集光された後、入射側偏光板22を透過し、緑色表示用の液晶パネル25に入射する。
【0027】
G反射ダイクロイックミラー10を透過した赤色光は、第一リレーレンズ11を通過し、赤色光用の反射ミラー12で反射され、R透過フィルタ15で赤色光以外の成分を除かれ、第二リレーレンズ16を透過して赤反射ミラー17で反射され、赤色光用のコンデンサーレンズ20で集光された後、入射側偏光板23を透過し、赤色表示用の液晶パネル26に入射する。
【0028】
液晶パネル24、25、26に入射した青色光、緑色光、赤色光は、それぞれR、G、Bの映像信号のレベルに応じて変調される。液晶パネル24、25、26を射出した青色光、緑色光、赤色光は、それぞれ射出側偏光板27、28、29に入射する。射出側偏光板27、28、29は、P偏光のみを透過させる。
【0029】
射出側偏光板27、29を透過した青色光、赤色光は、それぞれ1/2波長フィルム30、31でP偏光からS偏光に変換されて、色合成プリズム32に入射する。射出側偏光板28を透過した緑色光は、そのまま色合成プリズム32に入射する。色合成プリズム32では、P偏光が透過し、S偏光がP偏光と同じ方向に反射されることにより、緑色光と青色光と赤色光とが合成される。色合成プリズム32を射出した光は、投射レンズ33からスクリーン(図示略)へ拡大投影される。
【0030】
図13は、図1のPS変換素子7の基本構成を示す図である。PS変換素子7は、多数の小さなプリズム41を第二フライアイレンズ6の各レンズ6aに対応させて貼り合わせたものであり、その貼り合わせ面には、レンズ6aの中央部からの出射光のうちP偏光を通過させてS偏光を反射するPBS(偏光ビームスプリッタ)面41aと、PBS面41aで反射されたS偏光を図1のコンデンサーレンズ8に向けて反射する反射面41bとが交互に形成されている。プリズム41のうち、透過したP偏光が出射する面には、1/2波長板42が貼られている。また、プリズム41のうち、レンズ6aの周辺部からの出射光が入射する面には、遮光板43が貼られている。
【0031】
各レンズ6aの中央部からの出射光のうち、P偏光はPBS面41aを透過した後1/2波長板42でS偏光に変換されてコンデンサーレンズ8に向けて射出され、S偏光はPBS面41a,反射面41bで反射された後コンデンサーレンズ8に向けて射出される。したがって、PS変換素子7への入射光(自然光)が、S偏光に偏光方向を揃えてPS変換素子7から射出される。
【0032】
なお、このPS変換素子7は、1/2波長板42に水晶を用いたものであるが、その配置に特徴を有している。以下では、この1/2波長板42の配置を説明する前に、そうした配置を採用した理由をまず説明する。
【0033】
図2は、図1の照明光学系における光線の状態を概念図で示したものである。(この図は、基本的な概念を示す為のものであり、設計の詳細を表したものではない。)
【0034】
光源1から発せられた光は、リフレクタ2で反射し、第一フライアイレンズ5に入射して多数の光束に分割された後、対応する第二フライアイレンズ6に入射し、各液晶パネル24〜26上に重ね合わされて結像される。それぞれの角度を持った光は液晶パネル24〜26上では図の様に結像する為、液晶パネル24〜26上での光の強度分布はPS変換素子7に入射する光の角度分布を反映しているといえる。
【0035】
PS変換素子7の出射面の1/2波長板(図13の1/2波長板42)に入射する光に着目すると、光線の角度は数度の広がりを持って分布している。また、強度も一定ではなく、ある偏りを持って分布している。この偏りは光源1からの光の強度分布とフライアイレンズ5,6の設計に依存している。一般的な設計の場合、中心から外側へ向かう方向の光が強いが、偏芯を持たせている場合は、逆に外側から内側へ向かう方向の光が強い場合もある。今回は、後者の場合について、PS変換素子71/2波長板の軸方向を最適化した例を中心に説明する。
【0036】
図3(a)は、PS変換素子7の1/2水晶波長板42を光の入射側から見た模式図である。単板0次水晶波長板を、波長520nmで位相差がλ/2となる厚みで設計し、同じものをA・B2枚用意する。それを45度ずらして貼り合せ、図の様に基準面に対しAウェーハが22.5度の角度になる様に配置して、1/2水晶波長板42を構成した。
【0037】
図3(b)は、図3(a)の構成の1/2水晶波長板42の視野角特性を、アイソルミナンスコンター(等輝度曲線)で表示した図である。1/2水晶波長板42は視野角特性に偏りがあるのが分かる。
【0038】
図3(c)は、図3(b)の視野角特性を方位角135度−315度の断面図で切った透過率を示している。波長450nm(青色光)、550nm(緑色光)、650nm(赤色光)の3種類の波長について透過率を示した。極角度±6度付近に着目すると、方位角315度方向の光に対しては極角度が大きくなると3波長とも透過率が落ちていくのに対し、方位角135度方向では、青の光のみ透過率が低下している。
【0039】
これをプロジェクタに対する現象で考えた場合、方位角315度方向では明るさが低下し、方位角135度方向については青の効率が緑と赤に対して悪くなる為、色度が悪化する事を意味している。明るさに関しては緑が支配的である為、青のみ効率が下がっても明るさへの影響は少ない。
【0040】
この様に視野角特性に偏りがある波長板を装置に搭載すると、入射する光線の方向や角度、強度によって輝度ムラが発生したり、色度ユニフォミティが悪化する。
【0041】
図4(a)は、仮に、PS変換素子7の出射面に、図3(a)の構成の1/2波長板42を軸方向を揃えて一様に配置したとした場合の模式図であり、光学系を上面より眺めている。図4(b)は、図4(a)の各1/2波長板42を光の入射側から見た模式図である。
【0042】
この図4の状態で、スクリーン上に全白画面を投影すると、画面対角に濃いムラが発生してしまう。色度ユニフォミティを測定すると図5の様になり、リファレンスとして用いている通常のフィルムタイプのPS変換素子と比べると、悪化しているのが分かる。
【0043】
この原因を調べる為にPS変換素子7の入射側から見て左半分を遮光して右半分から光を透過させた場合と、右半分を遮光して左半分から光を透過させた場合とについて明るさを測定し比較を行った。結果は、右半分からの透過光が、左半分からの透過光に対して3%暗い事が判明した。
【0044】
逆に、図14(a)のように光の入射側から見て右半分を遮光したPS変換素子7を、図14(b)のように上下逆さにして光学系に入れると、明るさは回復した。この状態では、PS変換素子7は面内に180度回転した事になるので、光線が点対称に分布していると考えると、光線と水晶波長板の光学軸との関係は回転の前後で変わっていない。この時、光は光学系の右半分からの透過光になるので、右半分がもとから暗いのではなく、波長板の影響によって差が出ている事を意味している。
【0045】
図4(a)の模式図において、光の振舞いを考える。評価に使用した光学系については、入射側から見て外側から中心方向に向かう角度の光が強い。したがって、図4(a)において丸で囲んだαの部分では、右方向に向かう光L1が強く、左方向に向かう光L2が弱い。図4(a)において丸で囲んだβの部分では、逆に、左方向に向かう光L2が強く、右方向に向かう光L1が弱い。
【0046】
前記のPS変換素子の片側半分を遮光して明るさを比較する実験は、図4での上半分と下半分の効率を調べた事になり、丸で囲んだα,βの部分の光線と水晶光学軸の関係について、どちらが変換効率が良いのか調べている事になる。αの部分は、左方向に向かう光L2よりも右方向に向かう光L1が強いので、右方向に向かう光L1に対する波長板の効率である。βの部分は、左方向に向かう光L2が強いので、左方向に向かう光L2に対する波長板の効率である。結果からは、αの部分の光線と水晶光学軸の関係のほうが、βの部分の光線と水晶光学軸の関係よりも有利である。
【0047】
波長板の視野角特性は図3(b)に示した通りなので、入射側から考えると、左半分の透過率が、右半分の透過率よりも良い。この波長板を図4に当てはめて考えると、αのケースでは、強い光である光L1が左半分から入射している事になり、強い光の透過率を上げる方向で配置されている事になる。βのケースでは、強い光である光L2が右半分から入射する事になるので、透過率が落ち暗くなる事で、シミュレーション結果と実測での辻褄が合っている。
【0048】
この事から考えると、図4(a)のβの部分の水晶波長板の配置を、光線と水晶光学軸の関係がαの部分と同じパターンになるように変更(面内に180度回転)すれば、左右とも光線に対する効率が良くなるはずである。
【0049】
次に、以上のような検討の結果採用した図1のPS変換素子7の1/2波長板42の配置の具体例を説明する。
【0050】
図6(a)は、PS変換素子7における1/2波長板42の配置例を示す模式図であり、光学系を上面より眺めている。波長板の軸方向を、入射光線の角度・強度分布に対して有利になる様に配置している。有利な方向とは即ち、1/2波長板として光の回転効率が良くなり、クロスニコル状態で透過率が良くなる方向である。
【0051】
図6(b)は、図6(a)のαの部分の1/2波長板42を光の入射側から見た模式図である(「前」という文字を付した光学軸が、入射側から見て手前の水晶波長板の光学軸である)。αの部分の1/2波長板42の配置は、図4に示したのと同じ視野角特性を示す波長板を使用している。
【0052】
図6(c)は、図6(a)のβの部分の1/2波長板42を光の入射側から見た模式図である。βの部分の1/2波長板42は、αの部分の1/2波長板42を面内に180度回転させた状態で点対称になるように配置している。
【0053】
この図6の状態でスクリーン上に全白画面を投影し、色度ユニフォミティを測定すると、図7の様になる。図5と比較して、ムラが改善されたのが分かる。この結果から、光線の角度分布に対して有利になるように水晶の軸方向を配置してやれば、輝度ムラや色度ユニフォミティが改善されることが分かった。
【0054】
以上の図3及び図6の1/2波長板42の構成及び配置の組合せから、光線の方向に対して水晶光学軸の方向が有利に働く別の構成及び配置の組合せを考えてみる。図8は、図3(b)と同様の視野角特性が得られる1/2波長板42の構成のパターン(単板0次水晶波長板A・Bの貼り合せのパターン)を、光の入射側から見た模式図である。図3(a)のパターンの他に、図8(a),(b),(c)の3パターンが存在する。この合計4パターンについて、PS変換素子7の右半分と左半分とで点対称になるように面内に180度回転させた配置の組合せが、図9(a)のようにそれぞれ1通りずつ(合計4通り)存在する。
【0055】
また、光線の角度分布は基本的には同心円上に広がっていると考えると、図9(a)の各配置をそれぞれ面内に90度回転させても視野角特性は同じなので、図9(b)のような4通りの配置の組合せも存在する。
【0056】
また、図9(b)の配置の組合せを図9(c)のように入れ替えても視野角特性は同じなので、さらに4通りの配置の組合せが存在する。
【0057】
また、図9(c)の各配置の組合せをそれぞれ面内に90度回転させても視野角特性は同じなので、図9(d)のような4通りの配置の組合せも存在する。
【0058】
したがって、光線の方向に対して水晶光学軸の方向が有利に働く配置の組合せは、全部で16通り存在する。
【0059】
図10は、図6の場合のPS変換素子7への1/2波長板42の貼り付けの様子を、光の入射側から見た図である。PS変換素子7の右半分と左半分とで、1/2波長板42を向きを変えて(左半分の1/2波長板42を基準として見た場合、右半分の1/2波長板42を面内に180度回転させて)貼り付けている。
【0060】
また、PS変換素子7の右半分、左半分ではなく、1/2波長板42の短冊1つ1つを光の入射側から見て左右に分割し、分割した左側の部分と右側の部分とで図9のような配置の組合せを行う事も有効である。図11は、そうした配置の組合せの例を図6と同様に模式的に示す図である。このようにすることにより、さらに16通りの配置の組合せが増えることになる。
【0061】
また、水晶は単結晶である為、育成する大きさに限界がある。また、ウェーハが大きくなればなるほど、薄く研磨する技術も難しくなる。この事から、大きなPS変換素子については、1/2波長板を上下に分割して組合わせる方法も有効である。
【0062】
1/2波長板を分割する場合、光が同心円状に広がっている事を考慮し、点対称に軸方向を最適化すると良い。偏芯により、点対称でない場合は、1/2波長板に入射する光線の角度と強度に合わせて配置を最適化すると良い。図12は、外側から内側へ向かう方向の光が強い照明光学系を前提とし、1つ1つの1/2波長板42を上下に分割して点対称に配置した場合の、PS変換素子7への1/2波長板42の貼り付けの様子を、光の入射側から見た図である。
【0063】
光の角度分布・強度分布が点対称であると考えた場合、PS変換素子7の或る1/4面での1/2波長板42の配置を最適化した後、この図12のように、そこから90度ずつ回転させて残りの各1/4面での1/2波長板42の配置を決めていけばよい。また、PS変換素子7の手前のインテグレータを構成するフライアイレンズの偏芯等によって光の強度分布が点対称になっていない場合は、その強度に合わせて残りの各1/4面の1/2波長板42の配置を最適化すればよい。
【0064】
図12では1つ1つの1/2波長板42を上下に2等分に分割しているが、上下に3つ以上に分割して、それぞれの大きさを異ならせてもよい。また、フライアイレンズの設計によっては、2分割する場合でも、等分に分割せずにそれぞれの大きさを異ならせてもよい。
【0065】
以上の実施の形態では、外側から内側へ向かう方向の光が強い照明光学系を前提としたので図9、図11、図12の配置となったが、逆に内側から外側へ向かう方向の光が強い照明光学系の場合には、配置も逆になる。波長板単体の視野角特性と照し合わせて、強い光の透過率が良くなる方向に配置すれば良い。照明光学系の設計思想により、光線角度分布も幅がある。今回の発明は、光線の角度が大きい程、効果を発揮する。また、強度の偏りが大きい程、効果がある。
【0066】
上記の様にPS変換素子出射面の光線角度・強度分布に着目して、有利になるように水晶の軸角度を配置すれば、波長板単体での光学特性があらゆる光線角度に対して均一でなくても、輝度ムラを発生させないで使用する事ができる。以上の実施の形態では1/2波長板42を構成する1枚1枚の水晶波長板を波長520nmで位相差がλ/2となる厚みで設計したが、例えば水晶波長板を波長480nmで位相差がλ/2となるようにし、2枚の合計厚みは0.3mm程度とすれば、さらにユニフォミティを改善でき、使用上フィルム同等の特性が出せる。また、光線角度依存もさらに軽減でき、明るさも確保できる。
【0067】
水晶波長板単体に着目すると、特許文献2の様に複雑な設計ではなく、同じウェーハを2枚作成し、組合わせればよい為コストメリットがある。又、厚みも厚くできる為加工上の難易度が軽減し、より実用化にはメリットがある。このPS変換素子7を利用することにより、冷却風を減らす・又は無くす事ができファンノイズ低減・静音化にも効果がある。
【0068】
以上の実施の形態では透過型プロジェクタに本発明を適用しているが、照明光学系の設計は透過型プロジェクタでも反射型プロジェクタでも基本的には同じである為、本発明は反射型プロジェクタにも適用することができる。
【0069】
また、以上の実施の形態では、正の一軸結晶である水晶を1/2水晶波長板42に用いているが、光軸を斜めにカットして位相差を発生させる事ができる一軸結晶であれば、水晶でなくても(例えば方解石でも)同様の効果が得られる。
【0070】
あるいはまた、PS変換素子7の1/2波長板42に、一軸結晶以外の無機材料またはその他の材料であって視野角特性に偏りのあるものを用い、角度的な広がりを持って分布する入射光のうち、強度が強い方向の光について変換効率が良くなる方向に1/2波長板42を配置するようにしてもよい。
【0071】
また、以上の実施の形態では、PS変換素子の1/2波長板に、本発明に係る投射型画像表示装置の位相差板の構成を採用している。しかし、プロジェクタの照明光学系では、PS変換素子以外の場所でも位相差板を使用している。例えば、図1に示したように、色合成プリズム32の手前では、射出側偏光板27、29からの青色光、赤色光をそれぞれ1/2波長フィルム30、31でP偏光からS偏光に変換している。
【0072】
また、投射型画像表示装置の照明光学系は偏光光学系であるため、1/2波長板に限らず色々な位相差板を使うケースがある(1/4波長板やλ板を使用するケースもあり得る)。
【0073】
そして、プロジェクタの照明光学系の様々な場所での光の強度分布を解析すれば、角度的な広がりを持って分布する入射光には、その場所に応じて必ず何らかの偏りが発生している。
【0074】
そこで、照明光学系中のPS変換素子以外の場所で用いられる位相差板として、視野角特性に偏りがある位相差板を用い、その位相差板の配置方向を、その場所における光の強度分布の偏りに応じて最適化する(強度が強い方向の光について所望の位相差が発生する方向に配置する)ようにしてもよい。そうすることにより、以上に説明したのと全く同様にして、プロジェクタの輝度・色度・ユニフォミティ・コストを同時に改善することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明を適用した投射型画像表示装置の光学系の基本構成を示す模式図である。
【図2】図1の照明光学系における光線の状態を示す概念図である。
【図3】図1のPS変換素子に用いる1/2波長板の構成及び視野角特性を示す図である。
【図4】図1のPS変換素子の出射面に、図3の構成の1/2波長板を軸方向を揃えて一様に並べた場合の模式図である。
【図5】図4の状態での色度ユニフォミティの測定結果を示す図である。
【図6】図1のPS変換素子の1/2波長板の配置例を示す模式図である。
【図7】図6の状態での色度ユニフォミティの測定結果を示す図である。
【図8】図1のPS変換素子の1/2水晶波長板の構成のパターンを示す図である。
【図9】図8の各パターンについての1/2水晶波長板の配置の組合せを示す図である。
【図10】図6の場合のPS変換素子への1/2波長板の貼り付けの様子を示す図である。
【図11】1つ1つの1/2波長板を左右に分割して配置の組合せを行った例を示す模式図である。
【図12】1つ1つの1/2波長板を上下に分割して対称に配置した場合の、PS変換素子への1/2波長板の貼り付けの様子を示す図である。
【図13】図1のPS変換素子の基本構成を示す図である。
【図14】右半分を遮光したPS変換素子を上下逆さにした状態を示す図である。
【符号の説明】
【0076】
1 光源、 2 リフレクタ、 5 第一フライアイレンズ、 6 第ニ一フライアイレンズ、 7 PS変換素子、 42 1/2水晶波長板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、前記からの光を液晶パネルに結像させる照明光学系とを有し、
前記照明光学系に位相差板を含んだ投射型画像表示装置において、
前記位相差板として、視野角特性に偏りがある位相差板が、角度的な広がりを持って分布する入射光のうち、強度が強い方向の光について所望の位相差が発生する方向に配置されている
ことを特徴とする投射型画像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の投射型画像表示装置において、
前記位相差板は、入射光からP偏光とS偏光を分離し、前記P偏光と前記S偏光のいずれか一方について1/2波長板を通過させる事によって出射光の偏光方向を揃える偏光変換素子における前記1/2波長板であり、
前記1/2波長板は、視野角特性に偏りがあり、角度的な広がりを持って分布する入射光のうち、強度が強い方向の光について変換効率が良くなる方向に配置されている
ことを特徴とする投射型画像表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の投射型画像表示装置において、
前記1/2波長板は、無機材料から成る
ことを特徴とする投射型画像表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の投射型画像表示装置において、
前記無機材料は、一軸結晶を光軸を斜めに切断して位相差を発生させたものである
ことを特徴とする投射型画像表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の投射型画像表示装置において、
前記偏光変換素子の左半分と右半分とで、前記1/2波長板を面内に180度回転させて点対称となるように配置した
ことを特徴とする投射型画像表示装置。
【請求項6】
請求項2に記載の投射型画像表示装置において、
前記偏光変換素子に使用される個々の1/2波長板を、左右または上下に分割し、入射する光の強度分布に合わせて配置した
ことを特徴とする投射型画像表示装置。
【請求項7】
入射光からP偏光とS偏光を分離し、前記P偏光と前記S偏光のいずれか一方について1/2波長板を通過させる事によって出射光の偏光方向を揃える偏光変換素子において、
前記1/2波長板は、視野角特性に偏りがあり、角度的な広がりを持って分布する入射光のうち、強度が強い方向の光について変換効率が良くなる方向に配置されている
ことを特徴とする偏光変換素子。
【請求項8】
請求項7に記載の偏光変換素子において、
前記1/2波長板は、無機材料から成る
ことを特徴とする偏光変換素子。
【請求項9】
請求項8に記載の偏光変換素子において、
前記無機材料は、一軸結晶を光軸を斜めに切断して位相差を発生させたものである
ことを特徴とする偏光変換素子。
【請求項10】
請求項9に記載の偏光変換素子において、
偏光変換素子の左半分と右半分とで、前記1/2波長板を面内に180度回転させて点対称となるように配置した
ことを特徴とする偏光変換素子。
【請求項11】
請求項7に記載の偏光変換素子において、
個々の1/2波長板を、左右または上下に分割し、入射する光の強度分布に合わせて配置した
ことを特徴とする偏光変換素子。
【請求項1】
光源と、前記からの光を液晶パネルに結像させる照明光学系とを有し、
前記照明光学系に位相差板を含んだ投射型画像表示装置において、
前記位相差板として、視野角特性に偏りがある位相差板が、角度的な広がりを持って分布する入射光のうち、強度が強い方向の光について所望の位相差が発生する方向に配置されている
ことを特徴とする投射型画像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の投射型画像表示装置において、
前記位相差板は、入射光からP偏光とS偏光を分離し、前記P偏光と前記S偏光のいずれか一方について1/2波長板を通過させる事によって出射光の偏光方向を揃える偏光変換素子における前記1/2波長板であり、
前記1/2波長板は、視野角特性に偏りがあり、角度的な広がりを持って分布する入射光のうち、強度が強い方向の光について変換効率が良くなる方向に配置されている
ことを特徴とする投射型画像表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の投射型画像表示装置において、
前記1/2波長板は、無機材料から成る
ことを特徴とする投射型画像表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の投射型画像表示装置において、
前記無機材料は、一軸結晶を光軸を斜めに切断して位相差を発生させたものである
ことを特徴とする投射型画像表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の投射型画像表示装置において、
前記偏光変換素子の左半分と右半分とで、前記1/2波長板を面内に180度回転させて点対称となるように配置した
ことを特徴とする投射型画像表示装置。
【請求項6】
請求項2に記載の投射型画像表示装置において、
前記偏光変換素子に使用される個々の1/2波長板を、左右または上下に分割し、入射する光の強度分布に合わせて配置した
ことを特徴とする投射型画像表示装置。
【請求項7】
入射光からP偏光とS偏光を分離し、前記P偏光と前記S偏光のいずれか一方について1/2波長板を通過させる事によって出射光の偏光方向を揃える偏光変換素子において、
前記1/2波長板は、視野角特性に偏りがあり、角度的な広がりを持って分布する入射光のうち、強度が強い方向の光について変換効率が良くなる方向に配置されている
ことを特徴とする偏光変換素子。
【請求項8】
請求項7に記載の偏光変換素子において、
前記1/2波長板は、無機材料から成る
ことを特徴とする偏光変換素子。
【請求項9】
請求項8に記載の偏光変換素子において、
前記無機材料は、一軸結晶を光軸を斜めに切断して位相差を発生させたものである
ことを特徴とする偏光変換素子。
【請求項10】
請求項9に記載の偏光変換素子において、
偏光変換素子の左半分と右半分とで、前記1/2波長板を面内に180度回転させて点対称となるように配置した
ことを特徴とする偏光変換素子。
【請求項11】
請求項7に記載の偏光変換素子において、
個々の1/2波長板を、左右または上下に分割し、入射する光の強度分布に合わせて配置した
ことを特徴とする偏光変換素子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−133917(P2009−133917A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−307880(P2007−307880)
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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