説明

投射型表示装置

【課題】光の利用効率、表示画像の色再現性を向上できる投射型表示装置を提供する。
【解決手段】光源1と、複数の異なる色成分の照明光に対応し、各色成分の照明光を表示画像に応じて空間変調して、変調光を入射光方向とは異なる方向に反射させる複数の空間光変調素子4R,4G,4Bと、光源からの照明光を複数の異なる色成分の照明光に分離して、各色成分の照明光を対応する空間光変調素子に導き、空間光変調素子からの変調光を合成して投影光として出射する色分離合成手段3と、を有する投射型表示装置において、色分離合成手段3は、同一光学平面に形成された光学特性の異なる第1,第2ダイクロイック膜領域21,22を有し、第1または第2ダイクロイック膜領域21または22の一方で、光源1からの照明光から第1色成分の照明光を分離し、他方で、第1色成分の変調光を含む少なくとも2つの異なる色成分の変調光を合成して投影光として出射することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射型の空間光変調素子を用いる投射型表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、反射型の空間光変調素子として、例えば、反射型液晶表示素子(LCOS:Liquid Crystal On Silicon)や、デジタル・マイクロミラー・デバイス(Digital Micromirror Device)が知られている。また、このような反射型の空間光変調素子を用いる投射型表示装置として、例えば、図8に示すように、空間光変調素子により、変調光を照明光の入射方向と異なる方向に反射させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図8に示す投射型表示装置においては、光源ランプ111から放射される照明光Liを、楕円鏡112で集光もしくは平行光にして、コンデンサレンズ113を経てTIRプリズム114に入射させ、ここで全反射させて色分離合成手段115に入射させている。
【0004】
色分離合成手段115は、第1プリズム116、第2プリズム117および第3プリズム118を有し、第1プリズム116は、第2プリズム117と空気層119を介して離間して配置され、第2プリズム117および第3プリズム118は、接合して配置されている。また、第1プリズム116には、空気層119側の面に、赤色(R)成分の光は反射させ、他の色成分の光は透過させる第1ダイクロイック膜121が形成されており、第2プリズム117と第3プリズム118との接合面には、緑色(G)成分の光は透過させ、青色(B)成分の光は反射させる第2ダイクロイック膜122が形成されている。
【0005】
TIRプリズム114を経て色分離合成手段115に入射する照明光Liは、先ず、第1プリズム116のプリズム面116aに入射し、該プリズム面116aを透過した後、第1ダイクロイック膜121でR成分の照明光LRiが反射されて分離され、残りの色成分の照明光Liは、第1ダイクロイック膜121および空気層119を経て、第2プリズム117のプリズム面117aに入射する。
【0006】
第2プリズム117のプリズム面117aに入射した照明光Liは、該プリズム面117aを透過した後、第2ダイクロイック膜122でB成分の照明光LBiが反射されるとともに、G成分の照明光LGiが透過されてそれぞれ分離される。
【0007】
一方、第1ダイクロイック膜121で反射されて分離されたR成分の照明光LRiは、第1プリズム116のプリズム面116aで内部全反射された後、第1プリズム116の光学面116bから出射されてR用の反射型の空間光変調素子131Rに入射する。これにより、R成分の照明光LRiは、空間光変調素子131Rで表示画像に応じて空間変調され、そのR変調光LRmが入射光方向とは異なる方向に反射される。
【0008】
この空間光変調素子131Rで空間変調されたR変調光LRmは、光学面116bから第1プリズム116内に再び入射し、プリズム面116aで内部全反射された後、第1ダイクロイック膜121で反射されて、プリズム面116aを透過してTIRプリズム114に入射する。
【0009】
また、第2ダイクロイック膜122で分離されたG成分の照明光LGiは、第3プリズム118を透過して、光学面118aから出射されてG用の反射型の空間光変調素子131Gに入射する。これにより、G成分の照明光LGiは、空間光変調素子131Gで表示画像に応じて空間変調され、そのG変調光LGmが入射光方向とは異なる方向に反射される。
【0010】
この空間光変調素子131Gで空間変調されたG変調光LGmは、光学面118aから第3プリズム118内に再び入射し、その後、第2ダイクロイック膜122を透過して第2プリズム117内に入射し、さらに、第2プリズム117のプリズム面117aおよび空気層119を順次透過した後、第1ダイクロイック膜121を透過して第1プリズム116内に入射し、ここでR変調光LRmと合成されて、プリズム面116aを透過してTIRプリズム114に入射する。
【0011】
また、第2ダイクロイック膜121で分離されたB成分の照明光LBiは、第2プリズム117のプリズム面117aで内部全反射された後、第2プリズム117の光学面117bから出射されてB用の反射型の空間光変調素子131Bに入射する。これにより、B成分の照明光LBiは、空間光変調素子131Bで表示画像に応じて空間変調され、そのB変調光LBmが入射光方向とは異なる方向に反射される。
【0012】
この空間光変調素子131Bで空間変調されたB変調光LBmは、光学面117bから第2プリズム117内に再び入射し、プリズム面117aで内部全反射された後、第2ダイクロイック膜122で反射されてG変調光LGmと合成され、さらに、プリズム面117aおよび空気層119を順次透過した後、第1ダイクロイック膜121を透過して第1プリズム116内に入射し、ここでR変調光LRmと合成されて、プリズム面116aを透過してTIRプリズム114に入射する。
【0013】
以上のように、色分離合成手段115は、TIRプリズム114を経て入射する光源ランプ111からの照明光Liを、R,G,Bの色成分の照明光LRi,LGi,LBiに分離して対応する反射型の空間光変調素子131R,131G,131Bに導き、これら空間光変調素子131R,131G,131Bでそれぞれ空間変調されて入射光とは異なる方向に反射されたR,G,Bの変調光LRm,LGm,LBmを合成して、投影光LpとしてTIRプリズム114に入射させる。
【0014】
色分離合成手段115で合成されてTIRプリズム114に入射するR,G,Bの変調光LRm,LGm,LBmからなる投影光Lpは、該TIRプリズム114を透過することで、照明光Liと分離され、投影レンズ135によりスクリーン136上に投影表示される。
【0015】
【特許文献1】米国特許第4969730号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
図8に示した投射型表示装置においては、色分離合成手段115で分離されたR,G,Bの各色成分の照明光LRi,LGi,LBiを、対応する反射型の空間光変調素子131R,131G,131Bでそれぞれ空間変調して、変調光LRm,LGm,LBmを入射照明光方向とは異なる方向に反射させ、これら各色成分の変調光LRm,LGm,LBmを再び色分離合成手段115に入射させて合成するようにしている。
【0017】
このため、色分離合成手段115において、R成分の照明光LRiおよびR成分の変調光LRmを反射させる第1ダイクロイック膜121に対する、照明光Liの入射角と、R成分の変調光LRmの入射角とは異なることになる。同様に、B成分の照明光LBiおよびB成分の変調光LBmを反射させる第2ダイクロイック膜122に対する、照明光Liの入射角と、B成分の変調光LBmの入射角とは異なることになる。
【0018】
その結果、第1ダイクロイック膜121においては、例えば、図9に示すように、照明光Liの入射角に対して、分離するR成分の照明光LRiの反射率が最大となるように光学特性を最適化すると、合成するR成分の変調光LRmは、その入射角が照明光Liの入射角と異なるため、入射角依存性によって、反射率が最大となる波長がシフトすることになる。このため、図9において、R成分の照明光LRiのうち、波長域Aの変調光は、投影光Lpとして出射されなくなって、光の利用効率が低下するとともに、表示画像に偽色が発生して色再現性が低下することになる。また、逆に、第1ダイクロイック膜121の光学特性を、R成分の変調光LRmの入射角に対して、反射率が最大となるように最適化すると、照明光LiからR成分を分離する際に、その一部が分離されなくなるため、同様の問題が生じることになる。
【0019】
このような問題は、B成分の照明光LBiおよびB成分の変調光LBmを反射させる第2ダイクロイック膜122についても、同様に生じるものである。
【0020】
したがって、かかる点に鑑みてなされた本発明の目的は、光の利用効率および表示画像の色再現性を向上できる投射型表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成する請求項1に係る投射型表示装置の発明は、
照明光を出射する光源と、
複数の異なる色成分の照明光に対応して設けられ、各色成分の照明光を表示画像に応じて空間変調して、変調光を入射光方向とは異なる方向に反射させる複数の反射型の空間光変調素子と、
前記光源からの照明光を、前記複数の空間光変調素子に対応する複数の異なる色成分の照明光に分離して、各色成分の照明光を対応する前記空間光変調素子に導き、前記複数の空間光変調素子からの変調光を合成して投影光として出射する色分離合成手段と、を有する投射型表示装置において、
前記色分離合成手段は、同一平面に形成された光学特性の異なる第1ダイクロイック膜領域および第2ダイクロイック膜領域を有し、前記第1ダイクロイック膜領域または前記第2ダイクロイック膜領域で、前記光源からの照明光から第1色成分の照明光を分離し、前記第2ダイクロイック膜領域または前記第1ダイクロイック膜領域で、前記第1色成分の変調光を含む少なくとも2つの異なる色成分の変調光を合成して投影光として出射する、
ことを特徴とするものである。
【0022】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の投射型表示装置において、
前記複数の空間光変調素子は、前記色分離合成手段を経て入射する、それぞれ対応する色成分の照明光が、当該空間光変調素子の基板に対して斜入射して、変調光を垂直反射させるように配置されている、
ことを特徴とするものである。
【0023】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の投射型表示装置において、
前記複数の空間光変調素子は、前記色分離合成手段を経て入射する、それぞれ対応する色成分の照明光が、当該空間光変調素子の基板に対して斜入射して、変調光を斜反射させるように配置されている、
ことを特徴とするものである。
【0024】
請求項4に係る発明は、請求項1,2または3に記載の投射型表示装置において、
前記色分離合成手段は、第1接合面で接合された第1プリズムおよび第2プリズムを有し、
前記第1接合面に前記第1ダイクロイック膜領域および前記第2ダイクロイック膜領域が形成されている、
ことを特徴とするものである。
【0025】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の投射型表示装置において、
前記第1ダイクロイック膜領域は、前記第1色成分の照明光は透過させ、他の色成分の照明光は反射させる光学特性を有し、前記第2ダイクロイック膜領域は、前記第1色成分の変調光は反射させ、他の色成分の変調光は透過させる光学特性を有し、
前記光源からの照明光を、前記第2プリズムを経て前記第1ダイクロイック膜領域に入射させ、前記第2ダイクロイック膜領域で反射される前記第1色成分の変調光を含む合成された変調光を、前記投影光として前記第1プリズムを経て出射させる、
ことを特徴とするものである。
【0026】
請求項6に係る発明は、請求項4に記載の投射型表示装置において、
前記第1ダイクロイック膜領域は、前記第1色成分の変調光は透過させ、他の色成分の変調光は反射させる光学特性を有し、前記第2ダイクロイック膜領域は、前記第1色成分の照明光は反射させ、他の色成分の照明光は透過させる光学特性を有し、
前記光源からの照明光を、前記第1プリズムを経て前記第2ダイクロイック膜領域に入射させ、前記第1ダイクロイック膜領域を透過する前記第1色成分の変調光を含む合成された変調光を、前記投影光として前記第2プリズムを経て出射させる、
ことを特徴とするものである。
【0027】
請求項7に係る発明は、請求項4に記載の投射型表示装置において、
前記第1ダイクロイック膜領域は、前記光源からの照明光に対して、前記第1色成分の照明光は反射させ、他の色成分の照明光は透過させるように最適化された光学特性を有し、前記第2ダイクロイック膜領域は、前記第1色成分の変調光は反射させ、他の色成分の変調光は透過させるように最適化された光学特性を有し、
前記光源からの照明光を、前記第1プリズムを経て前記第1ダイクロイック膜領域に入射させ、前記第2ダイクロイック膜領域で反射される前記第1色成分の変調光を含む合成された変調光を、前記投影光として前記第1プリズムを経て出射させる、
ことを特徴とするものである。
【0028】
請求項8に係る発明は、請求項4に記載の投射型表示装置において、
前記第1ダイクロイック膜領域は、前記第1色成分の変調光は反射させ、他の色成分の変調光は透過させるように最適化された光学特性を有し、
前記第2ダイクロイック膜領域は、前記光源からの照明光に対して、前記第1色成分の照明光は反射させ、他の色成分の照明光は透過させるように最適化された光学特性を有し、
前記光源からの照明光を、前記第1プリズムを経て前記第2ダイクロイック膜領域に入射させ、前記第1ダイクロイック膜領域で反射される前記第1色成分の変調光を含む合成された変調光を、前記投影光として前記第1プリズムを経て出射させる、
ことを特徴とするものである。
【0029】
請求項9に係る発明は、請求項4に記載の投射型表示装置において、
前記第1ダイクロイック膜領域は、前記光源からの照明光に対して、前記第1色成分の照明光は透過させ、他の色成分の照明光は反射させるように最適化された光学特性を有し、
前記第2ダイクロイック膜領域は、前記第1色成分の変調光は透過させ、他の色成分の変調光は反射させる光学特性を有し、
前記光源からの照明光を、前記第2プリズムを経て前記第1ダイクロイック膜領域に入射させ、前記第2ダイクロイック膜領域を透過する前記第1色成分の変調光を含む合成された変調光を、前記投影光として前記第2プリズムを経て出射させる、
ことを特徴とするものである。
【0030】
請求項10に係る発明は、請求項4に記載の投射型表示装置において、
前記第1ダイクロイック膜領域は、前記第1色成分の変調光は透過させ、他の色成分の変調光は反射させる光学特性を有し、
前記第2ダイクロイック膜領域は、前記光源からの照明光に対して、前記第1色成分の照明光は透過させ、他の色成分の照明光は反射させるように最適化された光学特性を有し、
前記光源からの照明光を、前記第2プリズムを経て前記第2ダイクロイック膜領域に入射させ、前記第1ダイクロイック膜領域を透過する前記第1色成分の変調光を含む合成された変調光を、前記投影光として前記第2プリズムを経て出射させる、
ことを特徴とするものである。
【0031】
請求項11に係る発明は、請求項1〜10のいずれか一項に記載の投射型表示装置において、
前記色分離合成手段は、前記第1ダイクロイック膜領域および前記第2ダイクロイック膜領域が形成された面と異なる面に形成された第3ダイクロイック膜を有し、
前記第3ダイクロイック膜は、前記第1色成分を除く照明光から、第2色成分および第3色成分の照明光を分離するとともに、前記第2色成分および前記第3色成分のそれぞれの変調光を合成する、
することを特徴とするものである。
【0032】
請求項12に係る発明は、請求項5,7または9に記載の投射型表示装置において、
前記色分離合成手段は、前記第2プリズムの前記第1接合面とは異なる第2接合面に接合された第3プリズムと、前記第2接合面に形成された第3ダイクロイック膜とを有し、
前記第3ダイクロイック膜は、前記第1ダイクロイック膜領域で分離された前記第1色成分を除く照明光から、第2色成分および第3色成分の照明光を分離するとともに、前記第2色成分および前記第3色成分のそれぞれの変調光を合成し、
前記第2ダイクロイック膜領域は、前記第3ダイクロイック膜で合成された変調光と、前記第1色成分の変調光とを合成する、
ことを特徴とするものである。
【0033】
請求項13に係る発明は、請求項6,8または10に記載の投射型表示装置において、
前記色分離合成手段は、前記第2プリズムの前記第1接合面とは異なる第2接合面に接合された第3プリズムと、前記第2接合面に形成された第3ダイクロイック膜とを有し、
前記第3ダイクロイック膜は、前記第2ダイクロイック膜領域で分離された前記第1色成分を除く照明光から、第2色成分および第3色成分の照明光を分離するとともに、前記第2色成分および前記第3色成分のそれぞれの変調光を合成し、
前記第1ダイクロイック膜領域は、前記第3ダイクロイック膜で合成された変調光と、前記第1色成分の変調光とを合成する、
ことを特徴とするものである。
【0034】
請求項14に係る発明は、請求項5,7または9に記載の投射型表示装置において、
前記色分離合成手段は、前記第2プリズムの前記第1接合面とは異なる第2接合面に接合された第3プリズムと、前記第2接合面に形成された光学特性の異なる第4ダイクロイック膜領域および第5ダイクロイック膜領域とを有し、
前記第4ダイクロイック膜領域は、前記第1ダイクロイック膜領域で分離された前記第1色成分を除く照明光に対して、第2色成分の照明光は反射させ、第3色成分の照明光は透過させて分離するように最適化された光学特性を有し、
前記第5ダイクロイック膜領域は、前記第2色成分の変調光は反射させ、前記第3色成分の変調光は透過させて合成するように最適化された光学特性を有し、
前記第2ダイクロイック膜領域は、前記第5ダイクロイック膜で合成された変調光と、前記第1色成分の変調光とを合成する、
ことを特徴とするものである。
【0035】
請求項15に係る発明は、請求項6,8または10に記載の投射型表示装置において、
前記色分離合成手段は、前記第2プリズムの前記第1接合面とは異なる第2接合面に接合された第3プリズムと、前記第2接合面に形成された光学特性の異なる第4ダイクロイック膜領域および第5ダイクロイック膜領域とを有し、
前記第5ダイクロイック膜領域は、前記第2ダイクロイック膜領域で分離された前記第1色成分を除く照明光に対して第2色成分の照明光は反射させ、第3色成分の照明光は透過させて分離するように最適化された光学特性を有し、
前記第4ダイクロイック膜領域は、前記第2色成分の変調光は反射させ、前記第3色成分の変調光は透過させて合成するように最適化された光学特性を有し、
前記第1ダイクロイック膜領域は、前記第4ダイクロイック膜で合成された変調光と、前記第1色成分の変調光とを合成する、
ことを特徴とするものである。
【0036】
請求項16に係る発明は、請求項11〜15のいずれか一項に記載の投射型表示装置において、
前記第1色成分、前記第2色成分および前記第3色成分は、光の3原色成分である、
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、光源からの照明光を複数の異なる色成分の照明光に分離して対応する反射型の空間光変調素子に導き、各空間光変調素子において入射照明光の方向とは異なる方向に反射された変調光を合成して出射する色分離合成手段の同一平面に、光学特性の異なる第1ダイクロイック膜領域および第2ダイクロイック膜領域を形成し、第1ダイクロイック膜領域または前記第2ダイクロイック膜領域の一方で、光源からの照明光から第1色成分の照明光を分離し、他方で、第1色成分の変調光を含む少なくとも2つの異なる色成分の変調光を合成するようにしたので、第1ダイクロイック膜領域および第2ダイクロイック膜領域のそれぞれの光学特性を、独立して最適化することができる。したがって、照明光と投影光との間での入射角依存性による波長シフトを低減できるので、光の利用効率を向上できるとともに、偽色の発生を低減して表示画像の色再現性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。
【0039】
(第1実施の形態)
図1は、本発明の第1実施の形態に係る投射型表示装置の要部の構成を示す図である。この投射型表示装置は、3つの空間光変調素子を用いる3板式のもので、光源1から白色光の照明光Liを出射させ、この照明光Liを、光学系2を経て色分離合成手段3に入射させて、光の3原色であるR,G,Bの各色成分の照明光LRi,LGi,LBiに分離し、これら分離された各色成分の照明光LRi,LGi,LBiを対応する反射型の空間光変調素子4R,4G,4Bに入射させる。
【0040】
空間光変調素子4R,4G,4Bに入射した各色成分の照明光LRi,LGi,LBiは、対応する空間光変調素子4R,4G,4Bにより表示画像に応じてそれぞれ空間変調して、変調光LRm,LGm,LBmを入射照明光LRi,LGi,LBiの方向とは異なる方向に反射させ、これら各色成分の変調光LRm,LGm,LBmを色分離合成手段3に入射させる。色分離合成手段3に入射した各色成分の変調光LRm,LGm,LBmは、該色分離合成手段3で合成して投影光Lpとして出射させ、この投影光Lpを投影レンズ系5により、装置外部に設置されるスクリーン6に投影して画像を表示する。なお、図1では、各空間光変調素子4R,4G,4Bの中心に入射する照明光LRi,LGi,LBiと、中心から反射される変調光LRm,LGm,LBmを図示している。
【0041】
次に、各部の構成について、さらに詳細に説明する。
【0042】
光源1は、高圧水銀ランプやキセノンランプ等の白色光を出射する公知のランプを用いて構成するか、あるいは、R,G,Bの3色LEDや3色レーザを用いて白色光を出射するように構成する。また、光学系2は、公知のコンデンサレンズで構成したり、必要に応じて、インテグレータロッドやフライアイレンズ等を組み合わせて構成したりすることができる。
【0043】
色分離合成手段3は、本実施の形態では、第1プリズム11、第2プリズム12および第3プリズム13を有して構成する。第1プリズム11および第2プリズム12は、光学平面同士を接合する。本明細書では、これら第1プリズム11および第2プリズム12の接合面を第1接合面と称し、符号15で示す。この第1接合面15には、光学特性の異なる第1ダイクロイック膜領域21および第2ダイクロイック膜領域22を形成する。
【0044】
本実施の形態では、第1ダイクロイック膜領域21は、B成分(第1色成分)の照明光LBiは透過し、他の色成分の照明光Liは反射させる光学特性を有し、第2ダイクロイック膜領域22は、第1ダイクロイック膜領域21とは逆に、B成分の変調光LBmは反射させ、他の色成分の変調光は透過させる光学特性を有して構成する。
【0045】
また、第2プリズム12には、第1接合面15と異なる光学平面(本実施の形態では、第1接合面15と平行な光学平面)を形成し、この光学平面に第3プリズム13の光学平面を接合する。本明細書では、これら第2プリズム12および第3プリズム13の接合面を第2接合面と称し、符号16で示す。この第2接合面16には、G成分(第2色成分)の光は反射させ、R成分(第3色成分)の光は透過する第3ダイクロイック膜23を形成する。
【0046】
本実施の形態では、第2プリズム12の第1光学平面12aを、光源1から光学系2を経て出射される照明光Liの入射面とし、第1プリズム11の第1光学平面11aを投影光Lpの出射面とする。このため、光源1から出射される照明光Liを、照明光学系2を経て第2プリズム12の第1光学平面12aに入射させる。この第1光学平面12aに入射する照明光Liは、該第1光学平面12aを透過させて第1ダイクロイック膜領域21に入射させ、ここでB成分の照明光LBiは透過、他の色成分の照明光Liは反射させて、B成分の照明光LBiを分離する。
【0047】
第1ダイクロイック膜領域21で分離されたB成分の照明光LBiは、第1プリズム11内を経て、該第1プリズム11の第2光学平面11bから出射させ、該第2光学平面11bから出射したB成分の照明光LBiを、対応する空間光変調素子4Bに入射させて、表示画像に応じて空間変調する。
【0048】
また、空間光変調素子4Bで空間変調されたB成分の変調光LBmは、第1プリズム11の第2光学平面11bを透過させて第2ダイクロイック膜領域22に入射させ、ここで反射させて第1プリズム11の第1光学平面11aから出射させる。
【0049】
一方、第1ダイクロイック膜領域21で反射された照明光Liは、第2プリズム12内を経て第3ダイクロイック膜23に入射させ、ここでG成分の照明光LGiは反射、R成分の照明光LRiは透過させてそれぞれ分離する。
【0050】
第3ダイクロイック膜23で分離されたG成分の照明光LGiは、第2プリズム12内を経て、該第2プリズム12の第2光学平面12bから出射させ、該第2光学平面12bから出射したG成分の照明光LGiを、対応する空間光変調素子4Gに入射させて、表示画像に応じて空間変調する。
【0051】
また、空間光変調素子4Gで空間変調されたG成分の変調光LGmは、第2プリズム12の第2光学平面12bを透過させて第3ダイクロイック膜23に入射させ、ここで反射させて第2プリズム12内を経て第2ダイクロイック膜領域22に入射させ、該第2ダイクロイック膜領域22を透過させることにより、B成分の変調光LBmに合成して、第1プリズム11の第1光学平面11aから出射させる。
【0052】
さらに、第3ダイクロイック膜23で分離されたR成分の照明光LRiは、第3プリズム13内を経て、該第3プリズム11の第1光学平面13aから出射させ、該第1光学平面13aから出射したR成分の照明光LRiを、対応する空間光変調素子4Rに入射させて、表示画像に応じて空間変調する。
【0053】
また、空間光変調素子4Rで空間変調されたR成分の変調光LRmは、第3プリズム13の第1光学平面13aを透過させて第3ダイクロイック膜23に入射させ、該第3ダイクロイック膜23を透過させることにより、G成分の変調光LGmと合成する。これらR,G成分が合成された変調光は、第2プリズム12内を経て第2ダイクロイック膜領域22に入射させて、該第2ダイクロイック膜領域22を透過させることにより、B成分の変調光LBmと合成し、これらR,G,B成分が合成された変調光を、投影光Lpとして第1プリズム11の第1光学平面11aから出射させて、投影レンズ系5により、装置外部に設置されるスクリーン6に投影して画像を表示する。
【0054】
なお、本実施の形態では、第1プリズム11から出射される投影光Lpのうち、B成分の変調光LBmは第2ダイクロイック膜領域22で1回反射され、同様に、G成分の変調光LGmは第3ダイクロイック膜23で1回反射されるが、R成分の変調光LRmは反射されることなく出射される。このため、B用およびG用の空間光変調素子4B,4Gで空間変調する画像と、R用の空間光変調素子4Rで空間変調する画像とは、信号処理により相対的に反転したものとする。
【0055】
このように、本実施の形態では、第1プリズム11と第2プリズム12との第1接合面15に形成した第1ダイクロイック膜領域21には、照明光Liを入射させ、第2ダイクロイック膜領域22には、変調光(投影光)を入射させるので、第1ダイクロイック膜領域21の光学特性は、B成分の照明光LBiは透過させ、他の色成分の照明光Liは反射させるように最適化して形成し、第2ダイクロイック膜領域22は、B成分の変調光LBmは反射させ、他の色成分の変調光LGm、LRmは透過させるように最適化して形成する。なお、これら第1ダイクロイック膜領域21および第2ダイクロイック膜領域22は、第1接合面15に完全に分離して形成するのが好ましいが、生産のバラツキや仕様によっては、一部重なって形成しても、この部分は各変調光LRm,LGm,LBmの最外側の光であるので、実用上問題はない。
【0056】
空間光変調素子4R,4G,4Bは、それぞれの変調光LRm,LGm,LBmを、対応する入射照明光LRi,LGi,LBiとは異なる方向に反射させるもので、例えば、LCOSやデジタル・マイクロミラー・デバイスを用いて構成する。ここで、空間光変調素子4R,4G,4Bの各々を、デジタル・マイクロミラー・デバイスを用いて構成する場合には、これら空間光変調素子4R,4G,4Bの各々は、例えば、色分離合成手段3からの対応する色成分の照明光LRi,LGi,LBiが、当該空間光変調素子の基板に対して斜入射して、変調光LRm,LGm,LBmを垂直反射させるように配置するか、あるいは、色分離合成手段3からの対応する色成分の照明光LRi,LGi,LBiが、当該空間光変調素子の基板に対して、より大きな入射角で斜入射するように配置して、変調光LRm,LGm,LBmを斜反射させる。
【0057】
すなわち、デジタル・マイクロミラー・デバイスは、周知のように、各画素を構成するマイクロミラーを、画素信号の論理値「1」(オン)、論理値「0」(オフ)に応じて、フラット状態から±10°程度、回動変位させることにより、入射する照明光を空間変調し、オン時の反射光を変調光として出射させるようにしている。
【0058】
したがって、前者のように、各空間光変調素子4R,4G,4Bにおいて、照明光LRi,LGi,LBiを基板に対して斜入射させて、変調光LRm,LGm,LBmを基板に対して垂直反射させる場合には、図2(a)に代表して空間光変調素子4Rの部分概略図を示すように、空間光変調素子4Rの基板31に対して照明光LRiを入射角20°で斜入射させ、各画素を構成するマイクロミラー32が、オン状態(+10°)で、変調光LRmを基板31に対して垂直方向に反射させるように、空間光変調素子4Rを配置する。他の空間光変調素子4G,4Bについても、同様である。
【0059】
また、後者のように、各空間光変調素子4R,4G,4Bにおいて、照明光LRi,LGi,LBiを基板に対して斜入射させて、変調光LRm,LGm,LBmを基板に対して斜反射させる場合には、図2(b)に代表して空間光変調素子4Rの部分概略図を示すように、空間光変調素子4Rの基板31に対して照明光LRiを、例えば入射角30°で斜入射させ、各画素を構成するマイクロミラー32が、オン状態で、変調光LRmを基板31に対して10°の斜方向に反射させるように、空間光変調素子4Rを配置する。他の空間光変調素子4G,4Bについても、同様である。
【0060】
以上のように、本実施の形態では、第1プリズム11と第2プリズム12との第1接合面15に、照明光LiからB成分の照明光LBiを透過させて分離する第1ダイクロイック膜領域21と、B成分の変調光LBmは反射させ、他の変調光LRm,LGmは透過させて合成する第2ダイクロイック膜領域22とを形成したので、第1ダイクロイック膜領域21および第2ダイクロイック膜領域22のそれぞれの光学特性を、独立して最適化することができる。したがって、照明光Liと投影光Lpとの間での入射角依存性による波長シフトを低減できるので、光の利用効率を向上できるとともに、偽色の発生を低減して表示画像の色再現性を向上することができる。
【0061】
また、色分離合成手段3は、第1プリズム11、第2プリズム12および第3プリズム13を有し、第1プリズム11および第2プリズム12は第1接合面15で接合し、第2プリズム12および第3プリズム13は第2接合面16で接合して、第1プリズム11、第2プリズム12および第3プリズム13を一体化したので、図8に示した色分離合成手段115と比較して、空気層119による光量ロスを生じることがないとともに、空気層119の精度を確保する必要もない。したがって、光の利用効率をより向上できるとともに、簡単かつ安価にでき、しかも、色分離合成手段3自体および装置全体の組み立て性も向上できる。
【0062】
特に、各空間光変調素子4R,4G,4Bを、図2(b)に示したように、対応する照明光LRi,LGi,LBiが基板31に対して斜入射し、変調光LRm,LGm,LBmが基板31に対して斜反射させるように配置した場合には、図2(a)に示した場合と比較して、入射照明光と反射変調光との分離角を大きくでき、これにより短い光路長で、各変調光LRm,LGm,LBmを第2ダイクロイック膜領域22に入射することができる。したがって、色分離合成手段3を小型にできる。
【0063】
さらに、本実施の形態では、照明光Liを第2プリズム12の第1光学平面12aから入射させ、投影光Lpは第1プリズム11の第1光学平面11aから出射させるようにしたので、図8に示した投射型表示装置と比較して、TIRプリズム114を不要にできる。したがって、全体を簡単かつ安価に、しかも小型にできるとともに、TIRプリズム114の空気層による光量ロスもないので、光の利用効率をさらに向上することができる。
【0064】
(第2実施の形態)
図3は、本発明の第2実施の形態に係る投射型表示装置の要部の構成を示す図である。この投射型表示装置は、図1に示した投射型表示装置において、第1プリズム11の第1光学平面11aを照明光Liの入射面とし、第2プリズム12の第1光学平面12aを投影光Lpの出射面としたものである。その他の構成は、図1と同様であるので、同一構成要素には、同一参照符号を付して説明を省略する。
【0065】
すなわち、本実施の形態では、光源1から出射される照明光Liを、照明光学系2を経て、色分離合成手段3を構成する第1プリズム11の第1光学平面11aに入射させる。この第1光学平面11aに入射する照明光Liは、該第1光学平面11aを透過させて第2ダイクロイック膜領域22に入射させ、ここでB成分の照明光LBiは反射、他の色成分の照明光Liは透過させて、B成分の照明光LBiを分離する。
【0066】
第2ダイクロイック膜領域22で分離されたB成分の照明光LBiは、第1プリズム11内を経て、該第1プリズム11の第2光学平面11bから出射させて、第1実施の形態と同様に、対応する空間光変調素子4Bにより表示画像に応じて空間変調する。空間光変調素子4Bで空間変調されたB成分の変調光LBmは、第1プリズム11の第2光学平面11bを透過させて第1ダイクロイック膜領域21に入射させ、該第1ダイクロイック膜領域21を透過させて、第2プリズム12の第1光学平面12aから出射させる。
【0067】
一方、第2ダイクロイック膜領域22を透過した照明光Liは、第2プリズム12内を経て第3ダイクロイック膜23に入射させ、ここで第1実施の形態と同様に、G成分の照明光LGiは反射、R成分の照明光LRiは透過させてそれぞれ分離する。
【0068】
第3ダイクロイック膜23で分離されたG成分の照明光LGiは、第2プリズム12内を経て、該第2プリズム12の第2光学平面12bから出射させ、該第2光学平面12bから出射したG成分の照明光LGiを、対応する空間光変調素子4Gに入射させて、第1実施の形態と同様に、表示画像に応じて空間変調する。
【0069】
空間光変調素子4Gで空間変調されたG成分の変調光LGmは、第2プリズム12の第2光学平面12bを透過させて第3ダイクロイック膜23に入射させ、ここで反射させて第2プリズム12内を経て第1ダイクロイック膜領域21に入射させ、該第1ダイクロイック膜領域21で反射させることにより、B成分の変調光LBmに合成して、第2プリズム12の第1光学平面12aから出射させる。
【0070】
さらに、第3ダイクロイック膜23で分離されたR成分の照明光LRiは、第3プリズム13内を経て、該第3プリズム13の第1光学平面13aから出射させ、該第1光学平面13aから出射したR成分の照明光LRiを、対応する空間光変調素子4Rに入射させて、第1実施の形態と同様に、表示画像に応じて空間変調する。
【0071】
空間光変調素子4Rで空間変調されたR成分の変調光LRmは、第3プリズム13の第1光学平面13aを透過させて第3ダイクロイック膜23に入射させ、該第3ダイクロイック膜23を透過させることにより、G成分の変調光LGmと合成する。これらR,G成分が合成された変調光は、第2プリズム12内を経て第1ダイクロイック膜領域21に入射させて、該第1ダイクロイック膜領域21で反射させることにより、B成分の変調光LBmと合成し、これらR,G,B成分が合成された変調光を、投影光Lpとして第2プリズム12の第1光学平面12aから出射させて、投影レンズ系5により、装置外部に設置されるスクリーン6に投影して画像を表示する。
【0072】
したがって、本実施の形態においても、第1実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0073】
なお、本実施の形態では、第2プリズム12から出射される投影光Lpのうち、B成分の変調光LBmは反射されることなく出射され、G成分の変調光LGmは、第3ダイクロイック膜23および第1ダイクロイック膜領域21で合計2回反射され、R成分の変調光LRmは第1ダイクロイック膜領域21で1回反射されて出射される。このため、本実施の形態においても、第1実施の形態と同様に、B用およびG用の空間光変調素子4B,4Gで空間変調する画像と、R用の空間光変調素子4Rで空間変調する画像とは、信号処理により相対的に反転したものとする。
【0074】
上述した第1実施の形態および第2実施の形態から明らかなように、色分離合成手段3の第1接合面15に形成する第1ダイクロイック膜領域21と第2ダイクロイック膜領域22との光学特性を逆の関係、すなわち、第1ダイクロイック膜領域21は、B成分の光は透過し、他の色成分の光は反射させる光学特性を有し、第2ダイクロイック膜領域22は、B成分の光は反射させ、他の色成分の光は透過させる光学特性を有するように構成することにより、光源1および光学系2を有する照明系と、投影レンズ系5を有する投影系とを逆に配置することが可能となり、装置設計の自由度を向上することができる。
【0075】
(第3実施の形態)
図4は、本発明の第3実施の形態に係る投射型表示装置の要部の概略構成を示す図である。この投射型表示装置は、図1に示した投射型表示装置において、色分離合成手段3の第1プリズム11の第1光学平面11aを、照明光Liの入射面および投影光Lpの出射面とする。また、色分離合成手段3の第1接合面15に形成する第1ダイクロイック膜領域21および第2ダイクロイック膜領域22は、それぞれB成分の光を反射し、他の成分の光は透過させる光学特性を有するが、第1ダイクロイック膜領域21は、照明光Liに対して最適化し、第2ダイクロイック膜領域22は、変調光(投影光Lp)に対して最適化する。なお、光源1および照明光学系2を有する照明系および投影レンズ系5を有する投影系は、図示を省略してある。
【0076】
本実施の形態では、照明光Liを、第1プリズム11の第1光学平面11aから第1ダイクロイック膜領域21に入射させ、ここでB成分の照明光LBiは反射、他の色成分の照明光Liは透過させて、B成分の照明光LBiを分離する。
【0077】
第1ダイクロイック膜領域21で分離されたB成分の照明光LBiは、第1プリズム11の第2光学平面11bから出射させて、対応する空間光変調素子4Bにより表示画像に応じて空間変調し、その変調光LBmは、第2光学平面11bから第1プリズム11内に入射させて第2ダイクロイック膜領域22で反射させた後、第1プリズム11の第1光学平面11aから出射させる。
【0078】
一方、第1ダイクロイック膜領域21を透過した照明光Liは、第1実施の形態の場合と同様に、第2プリズム12内を経て第3ダイクロイック膜23に入射させ、G成分の照明光LGiは反射、R成分の照明光LRiは透過させてそれぞれ分離する。
【0079】
第3ダイクロイック膜23で分離されたG成分の照明光LGiは、第2プリズム12の第2光学平面12bから出射させて、対応する空間光変調素子4Gにより表示画像に応じて空間変調し、その変調光LGmは、第2光学平面12bから第2プリズム12内に入射させて、第3ダイクロイック膜23で反射させた後、第2ダイクロイック膜領域22を透過させることにより、B成分の変調光LBmと合成して、第1プリズム11の第1光学平面11aから出射させる。
【0080】
また、第3ダイクロイック膜23で分離されたR成分の照明光LRiは、第3プリズム11の第1光学平面13aから出射させて、対応する空間光変調素子4Rにより表示画像に応じて空間変調し、その変調光LRmは、第1光学平面13aから第3プリズム13内に入射させて、第3ダイクロイック膜23を透過させることにより、G成分の変調光LGmと合成し、さらに、第2ダイクロイック膜領域22を透過させることにより、B成分の変調光LBmと合成して、投影光Lpとして第1プリズム11の第1光学平面11aから出射させる。
【0081】
本実施の形態によれば、色分離合成手段3の第1ダイクロイック膜領域21は、照明光Liに対して最適化し、第2ダイクロイック膜領域22は、変調光(投影光Lp)に対して最適化するので、色分離合成手段3に関して、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。したがって、例えば、図8に示した投射型表示装置と同様に、TIRプリズムを用いて、照明光Liと投影光Lpとを分離するようにしても、図8に示した投射型表示装置におけるよりも、光の利用効率をより向上できるとともに、簡単かつ安価にできる。なお、各空間光変調素子4R,4G,4Bを、例えば図2(b)に示したように、照明光を斜入射、変調光を斜反射となるように配置して、照明光Liと投影光Lpとの分離角を大きくすれば、TIRプリズムを用いることなく、あるいは、簡単な反射ミラーを用いるのみで、上記実施の形態に示した光源1および照明光学系2を有する照明系と、投影レンズ系5を有する投影系とを簡単に分離して配置することが可能である。
【0082】
(第4実施の形態)
図5は、本発明の第4実施の形態に係る投射型表示装置の要部の概略構成を示す図である。この投射型表示装置は、図4に示した投射型表示装置において、第1ダイクロイック膜領域21は、変調光(投影光Lp)に対して最適化し、第2ダイクロイック膜領域22は、照明光Liに対して最適化して、照明光Liを、第1プリズム11の第1光学平面11aから第2ダイクロイック膜領域22に入射させ、ここでB成分の照明光LBiは反射、他の色成分の照明光Liは透過させて、B成分の照明光LBiを分離する。
【0083】
第2ダイクロイック膜領域22で分離されたB成分の照明光LBiは、第1プリズム11の第2光学平面11bから出射させて、対応する空間光変調素子4Bにより表示画像に応じて空間変調し、その変調光LBmは、第2光学平面11bから第1プリズム11内に入射させて第1ダイクロイック膜領域21で反射させた後、第1プリズム11の第1光学平面11aから出射させる。
【0084】
一方、第2ダイクロイック膜領域22を透過した照明光Liは、第2プリズム12内を経て第3ダイクロイック膜23に入射させて、G成分の照明光LGiは反射、R成分の照明光LRiは透過させてそれぞれ分離する。
【0085】
第3ダイクロイック膜23で分離されたG成分の照明光LGiは、第2プリズム12の第2光学平面12bから出射させて、対応する空間光変調素子4Gにより表示画像に応じて空間変調し、その変調光LGmは、第2光学平面12bから第2プリズム12内に入射させて、第3ダイクロイック膜23で反射させた後、第1ダイクロイック膜領域21を透過させることにより、B成分の変調光LBmと合成して、第1プリズム11の第1光学平面11aから出射させる。
【0086】
また、第3ダイクロイック膜23で分離されたR成分の照明光LRiは、第3プリズム11の第1光学平面13aから出射させて、対応する空間光変調素子4Rにより表示画像に応じて空間変調し、その変調光LRmは、第1光学平面13aから第3プリズム13内に入射させて、第3ダイクロイック膜23を透過させることにより、G成分の変調光LGmと合成し、さらに、第1ダイクロイック膜領域21を透過させることにより、B成分の変調光LBmと合成して、投影光Lpとして第1プリズム11の第1光学平面11aから出射させる。その他の構成は、第3実施の形態の場合と同様である。
【0087】
したがって、本実施の形態においても、第3実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0088】
(第5実施の形態)
図6は、本発明の第5実施の形態に係る投射型表示装置の要部の概略構成を示す図である。この投射型表示装置は、図1に示した投射型表示装置において、色分離合成手段3の第2プリズム12の第1光学平面12aを、照明光Liの入射面および投影光Lpの出射面とする。また、色分離合成手段3の第1接合面15に形成する第1ダイクロイック膜領域21および第2ダイクロイック膜領域22は、それぞれB成分の光を透過し、他の成分の光は反射させる光学特性を有するが、第1ダイクロイック膜領域21は、照明光Liに対して最適化し、第2ダイクロイック膜領域22は、変調光(投影光Lp)に対して最適化する。なお、光源1および照明光学系2を有する照明系および投影レンズ系5を有する投影系は、図示を省略してある。
【0089】
本実施の形態では、照明光Liを、第2プリズム12の第1光学平面12aから第1ダイクロイック膜領域21に入射させ、ここでB成分の照明光LBiは透過、他の色成分の照明光Liは反射させて、B成分の照明光LBiを分離する。
【0090】
第1ダイクロイック膜領域21で分離されたB成分の照明光LBiは、第1プリズム11の第2光学平面11bから出射させて、対応する空間光変調素子4Bにより表示画像に応じて空間変調し、その変調光LBmは、第2光学平面11bから第1プリズム11内に入射させて第2ダイクロイック膜領域22を透過させた後、第2プリズム12の第1光学平面12aから出射させる。
【0091】
一方、第1ダイクロイック膜領域21で反射された照明光Liは、第2プリズム12内を経て第3ダイクロイック膜23に入射させて、G成分の照明光LGiは反射、R成分の照明光LRiは透過させてそれぞれ分離する。
【0092】
第3ダイクロイック膜23で分離されたG成分の照明光LGiは、第2プリズム12の第2光学平面12bから出射させて、対応する空間光変調素子4Gにより表示画像に応じて空間変調し、その変調光LGmは、第2光学平面12bから第2プリズム12内に入射させて、第3ダイクロイック膜23で反射させた後、第2ダイクロイック膜領域22で反射させることにより、B成分の変調光LBmと合成して、第2プリズム12の第1光学平面12aから出射させる。
【0093】
また、第3ダイクロイック膜23で分離されたR成分の照明光LRiは、第3プリズム11の第1光学平面13aから出射させて、対応する空間光変調素子4Rにより表示画像に応じて空間変調し、その変調光LRmは、第1光学平面13aから第3プリズム13内に入射させて、第3ダイクロイック膜23を透過させることにより、G成分の変調光LGmと合成し、さらに、第2ダイクロイック膜領域22で反射させることにより、B成分の変調光LBmと合成して、投影光Lpとして第2プリズム12の第1光学平面12aから出射させる。その他の構成は、第3実施の形態の場合と同様である。
【0094】
したがって、本実施の形態においても、第3実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0095】
(第6実施の形態)
図7は、本発明の第6実施の形態に係る投射型表示装置の要部の概略構成を示す図である。この投射型表示装置は、図6に示した投射型表示装置において、第1ダイクロイック膜領域21は、変調光(投影光Lp)に対して最適化し、第2ダイクロイック膜領域22は、照明光Liに対して最適化して、照明光Liを、第2プリズム12の第1光学平面12aから第2ダイクロイック膜領域22に入射させ、ここでB成分の照明光LBiは透過、他の色成分の照明光Liは反射させて、B成分の照明光LBiを分離する。
【0096】
第2ダイクロイック膜領域22で分離されたB成分の照明光LBiは、第1プリズム11の第2光学平面11bから出射させて、対応する空間光変調素子4Bにより表示画像に応じて空間変調し、その変調光LBmは、第2光学平面11bから第1プリズム11内に入射させて第1ダイクロイック膜領域21を透過させた後、第2プリズム12の第1光学平面12aから出射させる。
【0097】
一方、第2ダイクロイック膜領域22で反射された照明光Liは、第2プリズム12内を経て第3ダイクロイック膜23に入射させて、G成分の照明光LGiは反射、R成分の照明光LRiは透過させてそれぞれ分離する。
【0098】
第3ダイクロイック膜23で分離されたG成分の照明光LGiは、第2プリズム12の第2光学平面12bから出射させて、対応する空間光変調素子4Gにより表示画像に応じて空間変調し、その変調光LGmは、第2光学平面12bから第2プリズム12内に入射させて、第3ダイクロイック膜23で反射させた後、第1ダイクロイック膜領域21で反射させることにより、B成分の変調光LBmと合成して、第2プリズム12の第1光学平面12aから出射させる。
【0099】
また、第3ダイクロイック膜23で分離されたR成分の照明光LRiは、第3プリズム11の第1光学平面13aから出射させて、対応する空間光変調素子4Rにより表示画像に応じて空間変調し、その変調光LRmは、第1光学平面13aから第3プリズム13内に入射させて、第3ダイクロイック膜23を透過させることにより、G成分の変調光LGmと合成し、さらに、第1ダイクロイック膜領域21で反射させることにより、B成分の変調光LBmと合成して、投影光Lpとして第2プリズム12の第1光学平面12aから出射させる。その他の構成は、第3実施の形態の場合と同様である。
【0100】
したがって、本実施の形態においても、第3実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0101】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、色分離合成手段3の第2接合面16に、G成分の光は反射、R成分の光は透過させる光学特性を有する第3ダイクロイック膜23を一様に形成したが、この第2接合面16に、第1接合面15における第1ダイクロイック膜領域21および第2ダイクロイック膜領域22と同様に、照明光の分離または変調光の合成に最適化した光学特性を有する第4ダイクロイック膜領域と、変調光の合成または照明光の分離に最適化した光学特性を有する第5ダイクロイック膜領域を形成して、G成分およびR成分の照明光の分離および変調光の合成を行うように構成することもできる。このようにすれば、光の利用効率および表示画像の色再現性をより向上することができる。また、第1ダイクロイック膜21、第2ダイクロイック膜22、第3ダイクロイック膜23(または第4、第5ダイクロイック膜領域)で分離・合成する色成分は、上記の例に限らず、R,G,Bから適宜設定することができる。
【0102】
また、色分離合成手段3を構成する第1〜3プリズム11〜13は、照明系、投影系、および空間光変調素子4R,4G,4Bのレイアウトに応じて、適宜の形状にすることができるとともに、第1接合面15および第2接合面16も、平行に限らず、レイアウトに基づく光線軌跡に応じて、適宜の角度で形成することができる。さらに、色分離合成手段3は、プリズムを用いることなく、第1,第2ダイクロイック膜領域21,22を平板状の第1光学部材に形成し、第3ダイクロイック膜23(または第4、第5ダイクロイック膜領域)も平板状の第2光学部材に形成して、第1、第2光学部材を離間配置して構成することもできる。また、図1に示した色分離合成手段3において、第3ダイクロイック膜23(または第4、第5ダイクロイック膜領域)を第2プリズム12側に形成して、第3プリズム13を省略したり、あるいは、第1,第2ダイクロイック膜領域21,22を第2プリズム12側に形成して、第1プリズム11を省略したり、することもできる。
【0103】
さらに、本発明は、3板式に限らず、第3ダイクロイック膜23(または第4、第5ダイクロイック膜領域)を省略して2板式の投射型表示装置を構成したり、ダイクロイック膜をさらに追加して4板式以上の投射型表示装置を構成したり、することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る投射型表示装置の要部の構成を示す図である。
【図2】図1に示す空間光変調素子の配置を説明するための図である。
【図3】本発明の第2実施の形態に係る投射型表示装置の要部の構成を示す図である。
【図4】本発明の第3実施の形態に係る投射型表示装置の要部の概略構成を示す図である。
【図5】本発明の第4実施の形態に係る投射型表示装置の要部の概略構成を示す図である。
【図6】本発明の第5実施の形態に係る投射型表示装置の要部の概略構成を示す図である。
【図7】本発明の第6実施の形態に係る投射型表示装置の要部の概略構成を示す図である。
【図8】従来の投射型表示装置の要部の構成を示す図である。
【図9】ダイクロイック膜の入射角依存性を説明するための図である。
【符号の説明】
【0105】
1 光源
2 照明光学系
3 色分離合成手段
4R,4G,4B 空間光変調素子
5 投影レンズ系
6 スクリーン
11 第1プリズム
12 第2プリズム
13 第3プリズム
15 第1接合面
16 第2接合面
21 第1ダイクロイック膜領域
22 第2ダイクロイック膜領域
23 第3ダイクロイック膜
31 基板
32 マイクロミラー
Li 照明光
Lp 投影光
LRi,LGi,LBi 照明光
LRm,LGm,LBm 変調光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光を出射する光源と、
複数の異なる色成分の照明光に対応して設けられ、各色成分の照明光を表示画像に応じて空間変調して、変調光を入射光方向とは異なる方向に反射させる複数の反射型の空間光変調素子と、
前記光源からの照明光を、前記複数の空間光変調素子に対応する複数の異なる色成分の照明光に分離して、各色成分の照明光を対応する前記空間光変調素子に導き、前記複数の空間光変調素子からの変調光を合成して投影光として出射する色分離合成手段と、を有する投射型表示装置において、
前記色分離合成手段は、同一平面に形成された光学特性の異なる第1ダイクロイック膜領域および第2ダイクロイック膜領域を有し、前記第1ダイクロイック膜領域または前記第2ダイクロイック膜領域で、前記光源からの照明光から第1色成分の照明光を分離し、前記第2ダイクロイック膜領域または前記第1ダイクロイック膜領域で、前記第1色成分の変調光を含む少なくとも2つの異なる色成分の変調光を合成して投影光として出射する、
ことを特徴とする投射型表示装置。
【請求項2】
前記複数の空間光変調素子は、前記色分離合成手段を経て入射する、それぞれ対応する色成分の照明光が、当該空間光変調素子の基板に対して斜入射して、変調光を垂直反射させるように配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の投射型表示装置。
【請求項3】
前記複数の空間光変調素子は、前記色分離合成手段を経て入射する、それぞれ対応する色成分の照明光が、当該空間光変調素子の基板に対して斜入射して、変調光を斜反射させるように配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の投射型表示装置。
【請求項4】
前記色分離合成手段は、第1接合面で接合された第1プリズムおよび第2プリズムを有し、
前記第1接合面に前記第1ダイクロイック膜領域および前記第2ダイクロイック膜領域が形成されている、
ことを特徴とする請求項1,2または3に記載の投射型表示装置。
【請求項5】
前記第1ダイクロイック膜領域は、前記第1色成分の照明光は透過させ、他の色成分の照明光は反射させる光学特性を有し、前記第2ダイクロイック膜領域は、前記第1色成分の変調光は反射させ、他の色成分の変調光は透過させる光学特性を有し、
前記光源からの照明光を、前記第2プリズムを経て前記第1ダイクロイック膜領域に入射させ、前記第2ダイクロイック膜領域で反射される前記第1色成分の変調光を含む合成された変調光を、前記投影光として前記第1プリズムを経て出射させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の投射型表示装置。
【請求項6】
前記第1ダイクロイック膜領域は、前記第1色成分の変調光は透過させ、他の色成分の変調光は反射させる光学特性を有し、前記第2ダイクロイック膜領域は、前記第1色成分の照明光は反射させ、他の色成分の照明光は透過させる光学特性を有し、
前記光源からの照明光を、前記第1プリズムを経て前記第2ダイクロイック膜領域に入射させ、前記第1ダイクロイック膜領域を透過する前記第1色成分の変調光を含む合成された変調光を、前記投影光として前記第2プリズムを経て出射させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の投射型表示装置。
【請求項7】
前記第1ダイクロイック膜領域は、前記光源からの照明光に対して、前記第1色成分の照明光は反射させ、他の色成分の照明光は透過させるように最適化された光学特性を有し、前記第2ダイクロイック膜領域は、前記第1色成分の変調光は反射させ、他の色成分の変調光は透過させるように最適化された光学特性を有し、
前記光源からの照明光を、前記第1プリズムを経て前記第1ダイクロイック膜領域に入射させ、前記第2ダイクロイック膜領域で反射される前記第1色成分の変調光を含む合成された変調光を、前記投影光として前記第1プリズムを経て出射させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の投射型表示装置。
【請求項8】
前記第1ダイクロイック膜領域は、前記第1色成分の変調光は反射させ、他の色成分の変調光は透過させるように最適化された光学特性を有し、
前記第2ダイクロイック膜領域は、前記光源からの照明光に対して、前記第1色成分の照明光は反射させ、他の色成分の照明光は透過させるように最適化された光学特性を有し、
前記光源からの照明光を、前記第1プリズムを経て前記第2ダイクロイック膜領域に入射させ、前記第1ダイクロイック膜領域で反射される前記第1色成分の変調光を含む合成された変調光を、前記投影光として前記第1プリズムを経て出射させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の投射型表示装置。
【請求項9】
前記第1ダイクロイック膜領域は、前記光源からの照明光に対して、前記第1色成分の照明光は透過させ、他の色成分の照明光は反射させるように最適化された光学特性を有し、
前記第2ダイクロイック膜領域は、前記第1色成分の変調光は透過させ、他の色成分の変調光は反射させる光学特性を有し、
前記光源からの照明光を、前記第2プリズムを経て前記第1ダイクロイック膜領域に入射させ、前記第2ダイクロイック膜領域を透過する前記第1色成分の変調光を含む合成された変調光を、前記投影光として前記第2プリズムを経て出射させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の投射型表示装置。
【請求項10】
前記第1ダイクロイック膜領域は、前記第1色成分の変調光は透過させ、他の色成分の変調光は反射させる光学特性を有し、
前記第2ダイクロイック膜領域は、前記光源からの照明光に対して、前記第1色成分の照明光は透過させ、他の色成分の照明光は反射させるように最適化された光学特性を有し、
前記光源からの照明光を、前記第2プリズムを経て前記第2ダイクロイック膜領域に入射させ、前記第1ダイクロイック膜領域を透過する前記第1色成分の変調光を含む合成された変調光を、前記投影光として前記第2プリズムを経て出射させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の投射型表示装置。
【請求項11】
前記色分離合成手段は、前記第1ダイクロイック膜領域および前記第2ダイクロイック膜領域が形成された面と異なる面に形成された第3ダイクロイック膜を有し、
前記第3ダイクロイック膜は、前記第1色成分を除く照明光から、第2色成分および第3色成分の照明光を分離するとともに、前記第2色成分および前記第3色成分のそれぞれの変調光を合成する、
することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の投射型表示装置。
【請求項12】
前記色分離合成手段は、前記第2プリズムの前記第1接合面とは異なる第2接合面に接合された第3プリズムと、前記第2接合面に形成された第3ダイクロイック膜とを有し、
前記第3ダイクロイック膜は、前記第1ダイクロイック膜領域で分離された前記第1色成分を除く照明光から、第2色成分および第3色成分の照明光を分離するとともに、前記第2色成分および前記第3色成分のそれぞれの変調光を合成し、
前記第2ダイクロイック膜領域は、前記第3ダイクロイック膜で合成された変調光と、前記第1色成分の変調光とを合成する、
ことを特徴とする請求項5,7または9に記載の投射型表示装置。
【請求項13】
前記色分離合成手段は、前記第2プリズムの前記第1接合面とは異なる第2接合面に接合された第3プリズムと、前記第2接合面に形成された第3ダイクロイック膜とを有し、
前記第3ダイクロイック膜は、前記第2ダイクロイック膜領域で分離された前記第1色成分を除く照明光から、第2色成分および第3色成分の照明光を分離するとともに、前記第2色成分および前記第3色成分のそれぞれの変調光を合成し、
前記第1ダイクロイック膜領域は、前記第3ダイクロイック膜で合成された変調光と、前記第1色成分の変調光とを合成する、
ことを特徴とする請求項6,8または10に記載の投射型表示装置。
【請求項14】
前記色分離合成手段は、前記第2プリズムの前記第1接合面とは異なる第2接合面に接合された第3プリズムと、前記第2接合面に形成された光学特性の異なる第4ダイクロイック膜領域および第5ダイクロイック膜領域とを有し、
前記第4ダイクロイック膜領域は、前記第1ダイクロイック膜領域で分離された前記第1色成分を除く照明光に対して、第2色成分の照明光は反射させ、第3色成分の照明光は透過させて分離するように最適化された光学特性を有し、
前記第5ダイクロイック膜領域は、前記第2色成分の変調光は反射させ、前記第3色成分の変調光は透過させて合成するように最適化された光学特性を有し、
前記第2ダイクロイック膜領域は、前記第5ダイクロイック膜で合成された変調光と、前記第1色成分の変調光とを合成する、
ことを特徴とする請求項5,7または9に記載の投射型表示装置。
【請求項15】
前記色分離合成手段は、前記第2プリズムの前記第1接合面とは異なる第2接合面に接合された第3プリズムと、前記第2接合面に形成された光学特性の異なる第4ダイクロイック膜領域および第5ダイクロイック膜領域とを有し、
前記第5ダイクロイック膜領域は、前記第2ダイクロイック膜領域で分離された前記第1色成分を除く照明光に対して第2色成分の照明光は反射させ、第3色成分の照明光は透過させて分離するように最適化された光学特性を有し、
前記第4ダイクロイック膜領域は、前記第2色成分の変調光は反射させ、前記第3色成分の変調光は透過させて合成するように最適化された光学特性を有し、
前記第1ダイクロイック膜領域は、前記第4ダイクロイック膜で合成された変調光と、前記第1色成分の変調光とを合成する、
ことを特徴とする請求項6,8または10に記載の投射型表示装置。
【請求項16】
前記第1色成分、前記第2色成分および前記第3色成分は、光の3原色成分である、
ことを特徴とする請求項11〜15のいずれか一項に記載の投射型表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−180906(P2009−180906A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−19394(P2008−19394)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】