投影した影を利用するゲーム装置
【課題】プレイヤがスクリーンに影を映し、スクリーンの状況に応じて影を左右上下方向に移動させ、さらに影の大きさを調整するという入力方法により、ゲーム世界との一体感を高め、プレイヤが所持する持ち物などをゲームの入力に反映させることができる、従来にないゲーム機を提供する。
【解決手段】光源8からの光によりプレイヤ3の影4がスクリーン1に投影される。スクリーン1にはゲーム画面がプロジェクタ7により映し出され、ゲーム画面中の敵となるキャラクタ5と影4が接触することにより、プレイヤは攻撃されてダメージを受けたり、攻撃してキャラクタ5にダメージを与えたりすることができる。プレイヤ3は敵のキャラクタ5の出現に対し、ステージ9を動き回って敵キャラクタをダウンさせて勝敗を決めるものである。
【解決手段】光源8からの光によりプレイヤ3の影4がスクリーン1に投影される。スクリーン1にはゲーム画面がプロジェクタ7により映し出され、ゲーム画面中の敵となるキャラクタ5と影4が接触することにより、プレイヤは攻撃されてダメージを受けたり、攻撃してキャラクタ5にダメージを与えたりすることができる。プレイヤ3は敵のキャラクタ5の出現に対し、ステージ9を動き回って敵キャラクタをダウンさせて勝敗を決めるものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーンに映し出された映像の状況に応じてプレイヤが操作を行うもので、プレイヤの影の状態を操作情報として入力するゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
プレイヤが体全体を使ってゲーム機の操作情報を入力するゲーム機が従来より実用に供されている。
その一つとしてプレイヤの立つ位置およびその動作をスキャンするゲーム機が提案されている(特許文献1)。
【0003】
これはスクリーンなどの画像表示装置に表示された表示に基づいてプレイヤの立っている位置や姿勢をゲームに反映させプレイヤが全身を使って楽しむことができるダンス入力をすることを目的としている。このゲーム機は、プレイヤが立つ位置を検出するため、多数のフットスイッチを設置するとともに姿勢検出には側面の各高さ対応に多数の光センサを設け、プレイヤがダンスを行うことによって光遮蔽される光センサによって上下方向を検出するものである。
【特許文献1】特開2001−17738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような入力装置で実現できるゲームは、ダンスなど、プレイヤがゲーム機に対し、一方的にその位置,姿勢を入力するゲームであり、例えば、ゲームに敵キャラクタが出現し、敵キャラクタとバトルを行うようなものは、この入力方式では実現することができない。
また、プレイヤの状態を位置情報や動き検出によるトリガとして扱っているため、単にレバーやボタンの代替手段としてしか機能しない。
さらに出力画面に表示されるゲームの世界のプレイヤキャラクタは、ゲーム機が予め用意した既存のキャラクタで代替されており、プレイヤとの一体感に欠けるものである。
【0005】
本発明は、上記背景に鑑みなしたもので、その目的はプレイヤがスクリーンに影を映し、スクリーンの状況に応じて影を左右上下方向に移動させ、さらに影の大きさを調整するという入力方法により、ゲーム世界との一体感を高め、プレイヤが所持する持ち物などをゲームの入力に反映させることができる、従来にないゲーム機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために本発明の請求項1は、スクリーンと、前記スクリーンの前方に配置され、プレイヤまたは移動物体が前記スクリーンに対し遠近方向に動いたり、スクリーンに対面する位置を変化させたりするためのステージと、前記スクリーンにゲーム画面を投影する投影手段と、前記ステージのプレイヤまたは移動物体に光を当ててスクリーンに影を形成する投光手段と、前記スクリーン上の映像をスキャンして取り込むスキャナ手段と、前記投光手段で形成した影と前記投影手段で投影されたゲーム画面を前記スキャナ手段により取り込み、前記ゲーム画面に登場するキャラクタと影の重なる面積を検出するヒット検出手段とを備え、前記プレイヤまたは移動物体がステージ上で動き、投影される影の大きさおよび位置を変えることにより、ゲーム画面に登場するキャラクタと影の重なる面積の変化を入力情報とすることを特徴とする。
本発明の請求項2は請求項1記載の発明において前記スクリーンは半透過タイプのスクリーンであり、前記投影手段は前記スクリーンの背後から投影するリアタイプのプロジェクタであることを特徴とする。
本発明の請求項3は請求項1または2記載の発明において前記スキャナ手段は、CCDカメラであることを特徴とする。
本発明の請求項4は請求項1,2または3記載の発明において前記ヒット検出手段は、前記投影手段が前記スクリーンに投影する第1のゲーム画面を取り込み、該第1のゲーム画面のキャラクタの位置および大きさを抽出し、さらに影が投影されたスクリーンの第2のゲーム画面を取り込み、前記第2のゲーム画面から前記第1のゲーム画面の差を取ることにより影の位置および大きさを抽出するイメージ抽出手段と、前記抽出手段で抽出した影と前記ゲーム画面のキャラクタとの重なった場合、ヒットしたと判定するヒット判定手段とからなることを特徴とする。
本発明の請求項5は請求項4記載の発明において前記イメージ抽出手段は、前記ゲーム画面を映し出すスクリーンを複数のブロックに細分化し、細分化されたブロックに対し、キャラクタまたは影が占める割合が所定パーセント以上の場合に、そのブロックをキャラクタまたは影として抽出することを特徴とする。
本発明の請求項6は請求項1乃至5記載の発明において前記ゲーム画面上のキャラクタが後向きになっている場合はプレイヤのキャラクタに対する攻撃であり、この攻撃でヒット判定が出たときには、重なった面積対応のダメージを敵キャラクタに与え、与えられたダメージ対応の敵キャラクタの画像処理を行い、前記ゲーム画面上のキャラクタが前向きになっている場合はキャラクタのプレイヤに対する攻撃であり、この攻撃でヒット判定が出たときには、重なった面積対応のダメージをプレイヤに与え、与えられたダメージ対応の画像処理を行い、前記敵キャラクタまたはプレイヤの画像処理を前記プロジェクタのゲーム画面に表示させるダメージ処理表示手段を備えたことを特徴とする
本発明の請求項7は請求項1乃至6記載の発明において前記移動物体はラジコン操作のヘリコプタであり、プレイヤがリモートコントローラで前記ヘリコプタを操縦して、前記ステージ上のスクリーン前を移動させてスクリーン上に影を生じさせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記構成によれば、プレイヤや移動物体(以下、「プレイヤ等」という)がステージで動くことによりその影を入力し、影が相手キャラクタと接触する面積で入力情報に対する効果を得ることができるゲーム装置を実現できる。
ゲーム装置はゲーム画面の敵となるキャラクタと、プレイヤ等の影との接触度合いや敵となるキャラクタの向きによってプレイヤ等が攻撃を行ったり、攻撃を受けたりすることをバトル内容とするゲームを実現することができる。そして、プレイヤ等の影を入力すると同時に出力画面に表示されるので、プレイヤはゲーム世界との一体感が高まるという効果を得ることができる。
また、影を作るプレイヤ等の形は制限を受けるものではない(プレイヤは道具を持っていてもよい)ので、プレイヤ自体の体型や服装,持ち物の形状をゲームの処理に反映させることができる。
また、スクリーンと投光手段との距離や設置を調整すれば、プレイヤがステージの同じ位置に立っても影の大きさや影のできる位置を変えることができるので、同じゲーム内容でありながら、さらにゲーム装置毎の特徴を引き出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面等を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。
図1は、本発明による投影した影を利用するゲーム装置の外観を示す斜視図である。
半透明のスクリーン1が垂直に立てられている。スクリ−ン1はプレイヤの身長より高い寸法aであり、横寸法bも高さ寸法aに対し、16:9の比率になるような寸法に作られている。スクリーン1の前に横寸法b,縦寸法cのステージ9が設けられている。さらにステージ9に立つプレイヤ3の影を作るため、ステージ9から所定の距離離れた位置に投光手段である光源8が設けられている。ステージ9の縦寸法cは光源8の設置位置との関係で、プレイヤが最もスクリーン1から離れた場合でもスクリーン1からはみ出すことない影ができるような寸法になっている。また、上記の条件の設置距離内で、スクリーン1の距離を調整することができる(図示されていない。管理者が行う)。これにより同じ内容のゲーム装置であっても、光源8の設置距離を変えることによりゲームセンタなどの店毎にゲーム装置に個性を持たせることができる。
【0009】
プレイヤ3はステージ9の上をスクリーン1に近づいたり(影が小さくなる)、遠ざかったり(影が大きくなる)、さらに横寸法b一杯に移動することが可能である。また、すわったり、寝ころぶことも可能である。さらにジャンプして飛び上がることもできるが、ジャンプしてスクリーンの上部に形成される影を表示している時間は一瞬である。後述するように影が入力として効果を発生するためには少なくとも、所定の時間の間、その位置に止まる必要があるため、ジャップして上に影を作ったとしても、ゲーム処理には影響が生じることはない。
プレイヤがステージから外れた場合には影がスクリーンから外れるため、ゲームでは一定のダメージを受ける処理がなされる。
【0010】
スクリーン1の背後にはリアタイプのプロジェクタ7が設置され、ゲーム装置2からの指令に基づきゲーム画面をスクリーン1に投映する。さらに光源8位置の上方にはCCDカメラなどのスキャナ6が設置されている。スキャナ6はスクリーン1全体を所定時間間隔(例えば30フレーム)でスキャンを行ってスタリーン1に映し出されている画像を取り込むものである。スキャナ6は光源8とともにゲーム装置2に接続されている。ゲーム装置2はゲーム開始により光源8をオンし、さらにスキャナ6に対し画像取り込みタイミング指令を送出する。
スクリーン1にはゲーム画面の一例として敵キャラクタ(カエルの顔)5がスクリーン1の右上隅に表示され、スクリーン1の下部中央にプレイヤ3の影4が映し出されている。スクリーン1の左上にはプレイヤの体力を示すストック表示10がなされている。2個の丸が表示されており、敵キャラクタ5からの攻撃でダメージを受けると1個ずつ消えるようになっており、すべて丸が消え、さらに1回のダメージを受けたときプレイヤの負けとなってゲーム終了とする。
【0011】
図2は投光手段てある光源の詳細な例を示す図である。
光源8は複数のLED8aを設置し、レンズ8bによってLED8aからの光を所定の範囲に拡散して投光するものである。レンズ8bの位置を前後させることにより、スクリーン9に当てる光面の大きさを調整することが可能である。光面の大きさはスクリーン面に光ムラが生じないようにスクリーン1より大きめに調整される。スクリーン1に形成される影は、プレイヤが前後に移動を行うため、境界付近はプレイヤの位置によってぼけたり、また、ぼけない位置に立った場合でも、光源8が点光源でないため、半影(中間のグラデーション)となる。また、腕の部分のような細い部分や道具をもっている場合には、光の回り込みの影響が大となるため同様に中間のグラデーションとなる場合がある。このように形成された影を、影として判断するためには、後述するように一定の暗さ(例えば光源が遮られることなくスクリーンを照明したときの明るさの50パーセント)以下か否かを演算して判断することとなる。
【0012】
ここで、この実施の形態の基本ルールについて説明する。
ゲーム画面に敵キャラクタが現れて影のプレイヤキャラクタとバトルを繰り広げ、敵キャラクタは予め持っている体力がプレイヤキャラクタ攻撃によりなくなった場合、プレイヤキャラクタは敵キャラクタから3回ダメージを受けた場合にそれぞれ負けとなるゲームである。
図3Aに示すように敵キラクタが手前を向いている場合は、敵の攻撃であり、プレイヤは影が敵キャラクタと重ならないようにステージを移動することとなる。
敵キャラクタ5aはプレイヤ3aの影4aに向かってくる。プレイヤの影4aが敵キャラクタ5aと重なるとプレイヤキャラクタはダメージを受ける。ダメージを受けると1ダウンとなり、画面左上のプレイヤのストック表示10aが1つ消える。スクリーン1からプレイヤ3aがはみ出しても1ダウンとなり、プレイヤのストック表示10aが1つ消える。プレイヤのストック表示10aがすべて消えた状態で、さらにダメージを受けるとゲームオーバとなる。
【0013】
図3Bに示すように敵キラクタが奥(後ろ)を向いている場合は、プレイヤの攻撃であり、プレイヤは敵キャラクタと重るようにステージを移動することとなる。
敵キャラクタ5bはプレイヤ3bの影4bから逃れようとする。敵キャラクタ5bにプレイヤの影4bが重なると、敵キャラクタ5bにダメージを与える。例えば影の重なり具合(重なっている部分のパーセンテージ)と重なっている時間によりダメージの大きさが変わる。ダメージの大きさにより敵キャラクタ5bは突き飛ばされ、目の色が青>黄>赤と変化する。敵キャラクタ5bの目が赤い状態で、さらにダメージを与えると、敵キャラクタ5bは破壊する。
【0014】
プレイヤが影を拡大,縮小するアクションの効果については以下の通りである。
影を拡大した場合の例を図4A,図4Bに示す。
プレイヤ3cがスクリーンから遠ざかる(光源に近づく)と、影4cは大きくなるため敵キャラクタ5dへの攻撃には有利である。しかし、敵キャラクタ5dが一転して攻撃した場合にはプレイヤ3dの影4dは大きいため回避には不利となる。
影を縮小した場合の例を図5A,図5Bに示す。
プレイヤ3eがスクリーン1に近づく(光源から遠ざかる)と、影4eは小さくなるため敵キャラクタ5eの攻撃から回避するには有利である。しかし、敵キャラクタ5fが一転して逃げた場合にはプレイヤ3fは直ぐに影4fを大きくできないためプレイヤ3fの攻撃はヒットしづらくなる。
【0015】
このような基本ゲームルールに使用されるプレイヤキャラクタ(キャラクタの影)と敵キャラクタはそれぞれ定義付けされ、ID,名前,モデルファイル名,HP条件,攻撃状態条件および与えるダメージ条件が記述されている。さらにプレーヤキャラクタにはプレイヤ攻撃基礎値およびプレイヤ攻撃係数が記述されている。
表1にプレイヤキャラクタの定義付けされる項目の具体例が示されている。
IDは「0x1000」,名前は「プレイヤ」,モデルファイル名はなしである。
表1に示されるHP条件のA1は表2に示すように「初期1(攻撃の敵にヒットすると、即1ダウン)」である。
表1に示される攻撃状態条件のA1は表3に示すように「ヒットした敵キャラクタが回避状態」である。
表1で示される与えるダメージ条件は表4に示すように「プレイヤ攻撃基礎×プレイヤ攻撃係数で算出」(表5,表6の設定値)であり、この演算によりダメージが算出される。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0016】
表5に示されているプレイヤ攻撃基礎値は連続ヒットフレーム数(60fpsで動作している場合)「1」「2」「3」「4」「5」について、それぞれ攻撃基礎値が「20」「40」「60」「80」「100」と設定されいる。
さらに表6に示されているプレイヤ攻撃係数は最大重複面積「1−30」「31−60」「61−90」「91−99」「100」について、それぞれ攻撃係数が「0.2f」「0.3f」「0.4f」「0.5f」「1.0f」と設定されている。
【表5】
【表6】
【0017】
つぎに敵キャラクタの仕様例について説明する。
敵キャラクタは図3A,図3Bで説明したように「攻撃状態」と「回避状態」の2つの状態がある。
敵キャラクタの定義はID,名前,モデルファイル名,HP条件,攻撃条件および与えるダメージ条件が設定されているのはプレイヤキャラクタと同じである。
表7ではIDが「0x8000」〜「0x8003」まで記載されており、それぞれの名前は「かぶとむし」「ハムスター」「犬」「ロボ」、モデルファイルは「Beetle.mdo」「Hamster.mdo」「Dog.mdo」「Robot.mdo」、HP条件は「A2」「B2」「D2」「E2」、攻撃条件は,「A2」「B2」「C2」「E2」、与えるダメージ条件は「A2」「A2」「A2」「A2」である。
敵キャラクタHP条件の「A2」「B2」「D2」「E2」は表8で示すようにそれぞれ「初期値30」「初期値40」「初期値50」「初期値60」「初期値100」である。
HPは初期値から始まりダメージを受けると、減少していく。ゼロ以下になると、敵キャラクタはダウンし爆発表示がなされる(このダメージを受けていく過程において、残りHPに応じて目の色が図3Bで説明したように青>黄>赤の設定色に変化する)。
【表7】
【表8】
【0018】
敵キャラクタ攻撃状態条件の「A2」「B2」「C2」「D2」「E2」は表9に示すようにそれぞれ「真正面を向いた状態から左右に30度,上下に30度以内の方向を向くとき」「真正面を向いた状態から左右に30度以内の方向を向くとき」「真正面を向いた状態から左右に40度,上下に30度以内の方向を向くとき」「真正面を向いた状態から左右に45度,上下に30度以内の方向を向くとき」「真正面を向いた状態から左右に50度以内の方向を向くとき」である。
与えるダメージ条件のA2は表10に示すように常に「1」となる。
【表9】
【表10】
上記表1〜表10は、後述するゲームプログラムのデータ値としてROMに格納され、このデータ値をCPUが読み出して処理するものである。
【0019】
図6は本発明による投影した影を利用するゲーム装置の回路の実施の形態を示す回路図で、上記ゲームを実施する場合である。
プロジェクタ7,スキャナ(CCDカメラ)6および光源8は映像制御部21,撮影制御部22および光源制御部23にそれぞれ接続されている。
イメージ抽出部26bはプロジェクタ7がスクリーン1に投影する第1のゲーム画面をゲーム制御部26aから受け取って取り込み、この第1のゲーム画面の敵キャラクタの位置および大きさを抽出する。さらに影が投影されたスクリーン1の第2のゲーム画面をCCDカメラ6から取り込み、第2のゲーム画面から第1のゲーム画面の差を取り、差の部分を影の位置および大きさとして抽出する。
ヒット判定部26dはイメージ抽出部26bで抽出した影とゲーム画面のキャラクタがスクリーン上で重なったか否かを判定し、重なった場合にはヒットしたと判定する。
ヒット検出手段はイメージ抽出部26bおよびヒット判定部26dよりなる部分に対応するものである。イメージ抽出およびヒット判定の詳細については後述する。
【0020】
ダメージ処理部26eはゲーム画面上の敵キャラクタが後向きの場合、すなわち逃げている状態で、プレイヤの敵キャラクタに対する攻撃としてヒット判定が出たとき、重なった面積対応のダメージを敵キャラクタに与え、そのようなダメージ対応の敵キャラクタの画像処理を行う。また、ゲーム画面上の敵キャラクタが前向きの場合、すなわち攻撃体制の状態で敵キャラクタのプレイヤに対する攻撃としてヒット判定が出たとき、重なった面積対応のダメージをプレイヤに与え、そのようなダメージ対応の画像処理、すなわちスクリーン1左上のプレイヤの体力表示10の一つを削除する画像処理を行う。
映像制御部21はこのような画像処理に対する敵キャラタの表示,スクリーンの隅にプレイヤのストック体力表示10の1つを消した画面の表示制御をプロジェクタ7に対し行う。
ダメージ処理表示手段はダメージ処理部26eおよび映像制御部21より構成される部分である。
【0021】
ROM24は、このゲーム装置全体を制御する制御プログラムおよびバトルゲームのプログラムならびに必要なゲームデータが格納されている。RAM25はCPU26が演算を行う作業領域として使用されたり、データを一時的に保存したりする役割を果たすものである。CPU26は、ROM24より制御プログラムを読み出し、ゲーム制御部26aの機能を実現し、ゲーム待ち受け画面表示やサウンド処理を行って図示しないスピーカよりBGM等を出力する。また、バトルゲームのプログラムの読み出し実行により上記イメージ抽出部26b,ヒット判定部26dおよびダメージ処理部26eの機能を実現する。
入力装置27はこのゲーム装置を開始するときに操作するボタンなどの操作部であり、さらにゲームを行うためのコイン投入装置(図示していない)が設置されている。
【0022】
つぎに図7のフローチャート,図1および図6を用いてゲーム機全体の流れを説明する。
このフローチャートはプレイヤが所定のコインを投入し、ゲームが開始され(ステップ(以下、「S」という)001)、ステージ9にプレイヤ3が立ち、光源8でスクリーン1にプレイヤの影が投影されている状態からメインルーチンに入る場合を説明するものである。CPU26がROM24からゲームプログラムを読み込み、実行することによりメインルーチンを開始する(S002)と、ゲーム制御部26aは敵キャラクのみのレンダリングしたイメージ(敵キャラクタのヒット判定イメージである)を作成する(S003)。イメージ抽出部26bはこのイメージを取り込んでヒット判定に用いる敵キャラクタを抽出する(S003)。
図11に敵キャラクタのイメージを抽出する手順の詳細を示す。
イメージ抽出部26bは図11(a)に示すように敵キャラクタのイメージを取り込み、図11(b)に示すように所定の大きさのブロック単位で敵キャラクタのスクリーンを分割する。そして各ブロックについてピクセルの割合が設定値以上のブロックを有効なブロックとして抽出する。これにより図11(c)に示すように敵キャラクタ対応の有効なブロック31を抽出する。
図11(d)はそれぞれのブロック単位を有効,無効で「1」「0」で対応付けたものであり、イメージ抽出部26bは敵キャラクタについてこのようなデータを抽出する。
【0023】
つぎにゲーム制御部26aは背景およびストック表示10などを含むゲーム画面全体のレンダリングしたイメージを作成する(S004)。
ゲーム制御部26aは撮影制御部22に対し、CCDカメラ6からスクリーン1上の映像をスキャンして取り込むよう指令を送出する。ゲーム制御部26aはCCDカメラ6からプレイヤの影とゲーム画面が合成されたイメージを取り入れる(S005)。イメージ抽出部26bはS005で取得したイメージからゲーム画面全体のレンダリングしたイメージの減算を行い、プレイヤの影のイメージを抽出する(S006)。
図9Aにプレイヤキャラクタのイメージを抽出する手順の詳細を示す。
図9A(a)は敵キャラクタと背景画面やストック表示を合成したイメージの例であり、図9A(b)はプレイヤの影が投影されたスクリーンの映像をスキャンして取り込んだイメージの例である。それぞれのイメージについて図11で説明したように所定の大きさのブロック単位で図9A(a)および(b)のスクリーンを分割する(図9A(c),(d))。
【0024】
イメージ抽出部26bは図9A(c)および図9A(d)のイメージの単位ブロックについて全ピクセルの輝度情報(RGB)を参照し、ブロック内の平均の明るさを求める。
図9B(a)および図9B(b)はこのようにして求めた各単位ブロックについて明るさを表示したものである。
イメージ抽出部26bは図9B(b)の各ブロックから図9B(a)の同じアドレスの各ブロックの減算を行い、ブロックの明るさの差分を得る(図9B(c))。そして、設定した値以上の差があるブロックを有効なブロックとしてこれをプレイヤキャラクタとして抽出する。図9B(c)の数字35で示すブロックは設定した値未満のブロックであり、この部分は抽出されず、数字36で示したブロックは設定した値以上のブロックであるので抽出される。
図9Cはブロック単位を有効,無効で「1」「0」で対応付けた図を示しており、イメージ抽出部26bはプレイヤキャラクタについてこのようなデータを抽出する。
【0025】
イメージ抽出部26bによってこのように敵キャラクタとプレイヤキャラクタのイメージのデータが抽出されると、その情報はヒット判定部26dに送られ、ヒット判定部26dに制御が渡される。
ヒット判定部26dは敵キャラクタとプレイヤキャラクタがヒットしたか否かを判定する(S007)。ヒットしない場合にはルーチンを終了し、ヒットした場合にはヒット処理を行ってからルーチンを終了する(S008,S009)。
図12Aおよび図12Bはヒット判定の詳細を説明するための図である。
図12Aはヒットしない場合の例である。図12A(a)は単位ブロック毎に2値化されたプレイヤキャラクタのデータであり、図12A(b)は同じく単位ブロック毎に2値化された敵キャラクタのデータである。図12A(c)は、これらの同じ位置のブロックについて積をとったデータであり、プレイヤキャラクタと敵キャラクタの有効なブロック位置が異なるため、全ての単位ブロックは「0」となってヒットしない。
【0026】
図12Bはヒットする場合の例である。図12B(a)は単位ブロック毎に2値化されたプレイヤキャラクタのデータであり、図12B(b)は同じく単位ブロック毎に2値化された敵キャラクタのデータである。図12B(c)は、これらの同じ位置のブロックについて積をとったデータであり、有効な単位ブロック「1」が4個重なっているため、ヒットと判定される。
なお、プレイヤキャラクタがスクリーンから外れた場合には、プレイヤキャラクタのデータには有効なブロックが存在しなくなるため、敵キャラクタの有効なブロックと重なることはないが、この場合についてもヒット処理をさせるルーチンに移行させる。
【0027】
図8はHIT処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
ヒットが判定されると、ダメージ処理部26eはプレイヤキャラクタがスクリーンから外れているか否か(プレイヤキャラクタのイメージに有効なブロックがない)を判定する(S101)。プレイヤキャラクタがスクリーンから外れた場合には、プレイヤキャラクタにダメージを与える(S103)。敵キャラクタがプレイヤキャラクタに与えるダメージは、表10に示すように常に「1」である。すなわち、スクリーンのストック表示の1個分を消滅させる。ゲーム制御部26aはダメージ処理部26eからダメージデータを受け取ると、RAM25に読み出したストック表示データをストック表示が1個消滅するように更新する。
プレイヤキャラクタにダメージを与えた後はゲームオーバか否かを判定し(S104)、プレイヤキャラクタが全てのストックがなくなった後に、ダメージを受けた場合はゲームオーバとしてゲームを終了する。そうでない場合にはストック表示の1つを消滅させヒット処理を終了する。
【0028】
一方、リングアウトでない場合には、プレイヤが攻撃されている状態か否かを判定する。これは、ゲーム画面から敵キャラクタのイメージが前向きか後ろ向きかで判定される。敵キャラクタのイメージが前向きの時はプレイヤは攻撃され、ダメージを受ける(S103)。ゲーム制御部26aはダメージ処理部26eでダメージデータを受け取ると、RAM25に読み出したストック表示データをストック表示が1個消滅するように更新する。
また、敵キャラクタのイメージが後ろ向きの時は敵キャラクタに表4に示すようなダメージ条件に基づくダメージを与える。ゲーム制御部26aはダメージ処理部26eでダメージデータを受け取ると、敵キャラクタの体力が上記ダメージ分を減少させるように体力データを更新する。また敵キャラクタが映るゲーム画面に例えば図4Aに示すような衝撃波11の映像を加える画像処理を行い、さらに敵キャラクタの目の色もダメージに応じた色になるように画像処理する。映像制御部21にはこのような画像処理データが送信され,プロジェクタ7からはその映像が投映される。
【0029】
敵キャラクタが表4の演算に基づくダメージを受ける場合、例えば、連続ヒットフレーム数が「3」の場合、表5から攻撃基礎値は「60」となり、プレイヤの最大重複面積が「31−60」の場合、表6から攻撃係数は「0.3f」であるので、プレイヤ攻撃基礎値は60×0.3f=18fの攻撃基礎値を演算で得、敵キャラタはこの「18f」のダメージを受ける。なお、最大重複面積は敵キャラクタがプレイヤの影で重複した面積であり、敵キャラクタの抽出イメージ全体を100パーセントとすると、上記の例では31パーセント〜60パーセントが重複したこととなる。
【0030】
ついで、ゲーム制御部26aはS105におけるダメージによって敵キャラクタの体力が0になって爆破処理すべきか否かを判定する(S106)。敵キャラクタの体力が0以下になった場合には、敵キャラクタの爆破処理を行い、つぎの敵キャラクタを呼び出す(S107)。以上によりヒット処理が終了する。
図7におけるゲーム処理フローはゲームオーバになるまで、繰り返し実行される。
【0031】
以上の実施の形態は、プレイヤが与えるダメージとして敵キャラクタが重なる面積に対し攻撃係数を変化させる場合の例を示したが、さらに重複している時間に対し攻撃係数を変化させるパラメータを加えてもよい。例えば、重複している時間が大きくなるほど、攻撃係数を増加させるものであり、重複する時間が短ければ、それほど大きなダメージを与えることができないとするものである。
また、敵キャラクタの定義として表10で定められているダメージは常に「1」とし、3回ヒットしたときに、プレイヤの負けとなる例について説明したが、与えるダメージの大きさを敵キャラクタ毎に代え、プレイヤの負けとなる場合もヒット回数だけではなく、体力が0になった時とすることもできる。
この発明は入出力内容がプレイヤの体型に左右されるだけでなく、服装や持ち物によってプレイヤから突出する部分を影として作ることができるため、ゲームを行う毎に、持ち物を持ったり、服装を変えたりすることにより、攻守の内容を変えることができる。
【0032】
図10はプレイヤキャラクタとしてプレイヤではなく、プレイヤがリモコンで操縦するヘリコプタロボットを用いる場合を示す例である。
ヘリコプタロボット37をプレイヤキャラクタとすると、その影39をリモートコントローラ38でステージ面から離れたスクリーン1の上面に誘導することができ、スクリーン全体をゲームフィールドとし有効に用いることができる。
図1の例ではプレイヤが飛び上がることによりスクリーン1の上部に影を投影させることができるが、一瞬であり、攻撃係数として時間の概念(重なっている時間が長いほど大きなダメージを与えることかできる)を入れた場合には、飛び上がって敵キャラクタと重なったときには攻撃ダメージを実質的に与えることができない。
【産業上の利用可能性】
【0033】
アーケードセンタやイベント会場に設置される、投影した影を利用するゲーム装置である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明による投影した影を利用するゲーム装置の外観およびシステム構成を示す斜視図である。
【図2】光源の詳細を説明するための図である。
【図3A】スクリーンの映像の一例を示す図で、敵キャラクタが前を向いている状態を示している。
【図3B】スクリーンの映像の一例を示す図で、敵キャラクタが奥を向いている状態を示している。
【図4A】スクリーンの映像の一例を示す図で、プレイヤの影を拡大させて敵キャラクタに攻撃を加えている状態を示している。
【図4B】スクリーンの映像の一例を示す図で、拡大した影に対し敵キャラクタが攻撃をしている状態を示している。
【図5A】スクリーンの映像の一例を示す図で、縮小した影に敵キャラクタが攻撃をしている状態を示している。
【図5B】スクリーンの映像の一例を示す図で、縮小した影で敵キャラクタに攻撃を加えている状態を示している。
【図6】本発明による投影した影を利用するゲーム装置の回路の実施の形態を示す回路図である。
【図7】ゲーム機の全体の流れを説明するためのメインルーチンを示すフローチャートである。
【図8】HIT処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図9A】プレイヤキャラクタとそのヒット判定用配列の抽出手順を説明するための図で、敵キャラクタとプレイヤの影を合成したスクリーンをブロック単位に分割する過程を説明するための図である。
【図9B】プレイヤキャラクタとそのヒット判定用配列の抽出手順を説明するための図で、図9Aでブロック化したスクリーンに対し、ヒット判定のため有効なブロックを抽出する過程を説明するための図である。
【図9C】プレイヤキャラクタとそのヒット判定用配列の抽出手順を説明するための図で、有効なブロックを有するスクリーンを0,1で表現した図である。
【図10】プレイヤの代わりにラジコンヘリを使用する例を説明するための図である。
【図11】敵キャラクタのヒット判定用配列の抽出手順を説明するための図で、敵キャラクタのみのイメージ作成から有効なブロックを有するスクリーンを0,1で表現した図である。
【図12A】プレイヤキャラクタのヒット判定用配列例を説明するための図で、敵キャラクタにヒットしない場合の例である。
【図12B】プレイヤキャラクタのヒット判定用配列例を説明するための図で、敵キャラクタにヒットする場合の例である。
【符号の説明】
【0035】
1 スクリーン
2 ゲーム装置
3 プレイヤ
4 プレイヤの影
5 敵キャラクタ
6 スキャナ(カメラ)
7 プロジェクタ
8 光源
9 ステージ
21 映像制御部
22 撮影制御部
23 光源制御部
24 ROM
25 RAM
26 CPU
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーンに映し出された映像の状況に応じてプレイヤが操作を行うもので、プレイヤの影の状態を操作情報として入力するゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
プレイヤが体全体を使ってゲーム機の操作情報を入力するゲーム機が従来より実用に供されている。
その一つとしてプレイヤの立つ位置およびその動作をスキャンするゲーム機が提案されている(特許文献1)。
【0003】
これはスクリーンなどの画像表示装置に表示された表示に基づいてプレイヤの立っている位置や姿勢をゲームに反映させプレイヤが全身を使って楽しむことができるダンス入力をすることを目的としている。このゲーム機は、プレイヤが立つ位置を検出するため、多数のフットスイッチを設置するとともに姿勢検出には側面の各高さ対応に多数の光センサを設け、プレイヤがダンスを行うことによって光遮蔽される光センサによって上下方向を検出するものである。
【特許文献1】特開2001−17738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような入力装置で実現できるゲームは、ダンスなど、プレイヤがゲーム機に対し、一方的にその位置,姿勢を入力するゲームであり、例えば、ゲームに敵キャラクタが出現し、敵キャラクタとバトルを行うようなものは、この入力方式では実現することができない。
また、プレイヤの状態を位置情報や動き検出によるトリガとして扱っているため、単にレバーやボタンの代替手段としてしか機能しない。
さらに出力画面に表示されるゲームの世界のプレイヤキャラクタは、ゲーム機が予め用意した既存のキャラクタで代替されており、プレイヤとの一体感に欠けるものである。
【0005】
本発明は、上記背景に鑑みなしたもので、その目的はプレイヤがスクリーンに影を映し、スクリーンの状況に応じて影を左右上下方向に移動させ、さらに影の大きさを調整するという入力方法により、ゲーム世界との一体感を高め、プレイヤが所持する持ち物などをゲームの入力に反映させることができる、従来にないゲーム機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために本発明の請求項1は、スクリーンと、前記スクリーンの前方に配置され、プレイヤまたは移動物体が前記スクリーンに対し遠近方向に動いたり、スクリーンに対面する位置を変化させたりするためのステージと、前記スクリーンにゲーム画面を投影する投影手段と、前記ステージのプレイヤまたは移動物体に光を当ててスクリーンに影を形成する投光手段と、前記スクリーン上の映像をスキャンして取り込むスキャナ手段と、前記投光手段で形成した影と前記投影手段で投影されたゲーム画面を前記スキャナ手段により取り込み、前記ゲーム画面に登場するキャラクタと影の重なる面積を検出するヒット検出手段とを備え、前記プレイヤまたは移動物体がステージ上で動き、投影される影の大きさおよび位置を変えることにより、ゲーム画面に登場するキャラクタと影の重なる面積の変化を入力情報とすることを特徴とする。
本発明の請求項2は請求項1記載の発明において前記スクリーンは半透過タイプのスクリーンであり、前記投影手段は前記スクリーンの背後から投影するリアタイプのプロジェクタであることを特徴とする。
本発明の請求項3は請求項1または2記載の発明において前記スキャナ手段は、CCDカメラであることを特徴とする。
本発明の請求項4は請求項1,2または3記載の発明において前記ヒット検出手段は、前記投影手段が前記スクリーンに投影する第1のゲーム画面を取り込み、該第1のゲーム画面のキャラクタの位置および大きさを抽出し、さらに影が投影されたスクリーンの第2のゲーム画面を取り込み、前記第2のゲーム画面から前記第1のゲーム画面の差を取ることにより影の位置および大きさを抽出するイメージ抽出手段と、前記抽出手段で抽出した影と前記ゲーム画面のキャラクタとの重なった場合、ヒットしたと判定するヒット判定手段とからなることを特徴とする。
本発明の請求項5は請求項4記載の発明において前記イメージ抽出手段は、前記ゲーム画面を映し出すスクリーンを複数のブロックに細分化し、細分化されたブロックに対し、キャラクタまたは影が占める割合が所定パーセント以上の場合に、そのブロックをキャラクタまたは影として抽出することを特徴とする。
本発明の請求項6は請求項1乃至5記載の発明において前記ゲーム画面上のキャラクタが後向きになっている場合はプレイヤのキャラクタに対する攻撃であり、この攻撃でヒット判定が出たときには、重なった面積対応のダメージを敵キャラクタに与え、与えられたダメージ対応の敵キャラクタの画像処理を行い、前記ゲーム画面上のキャラクタが前向きになっている場合はキャラクタのプレイヤに対する攻撃であり、この攻撃でヒット判定が出たときには、重なった面積対応のダメージをプレイヤに与え、与えられたダメージ対応の画像処理を行い、前記敵キャラクタまたはプレイヤの画像処理を前記プロジェクタのゲーム画面に表示させるダメージ処理表示手段を備えたことを特徴とする
本発明の請求項7は請求項1乃至6記載の発明において前記移動物体はラジコン操作のヘリコプタであり、プレイヤがリモートコントローラで前記ヘリコプタを操縦して、前記ステージ上のスクリーン前を移動させてスクリーン上に影を生じさせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記構成によれば、プレイヤや移動物体(以下、「プレイヤ等」という)がステージで動くことによりその影を入力し、影が相手キャラクタと接触する面積で入力情報に対する効果を得ることができるゲーム装置を実現できる。
ゲーム装置はゲーム画面の敵となるキャラクタと、プレイヤ等の影との接触度合いや敵となるキャラクタの向きによってプレイヤ等が攻撃を行ったり、攻撃を受けたりすることをバトル内容とするゲームを実現することができる。そして、プレイヤ等の影を入力すると同時に出力画面に表示されるので、プレイヤはゲーム世界との一体感が高まるという効果を得ることができる。
また、影を作るプレイヤ等の形は制限を受けるものではない(プレイヤは道具を持っていてもよい)ので、プレイヤ自体の体型や服装,持ち物の形状をゲームの処理に反映させることができる。
また、スクリーンと投光手段との距離や設置を調整すれば、プレイヤがステージの同じ位置に立っても影の大きさや影のできる位置を変えることができるので、同じゲーム内容でありながら、さらにゲーム装置毎の特徴を引き出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面等を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。
図1は、本発明による投影した影を利用するゲーム装置の外観を示す斜視図である。
半透明のスクリーン1が垂直に立てられている。スクリ−ン1はプレイヤの身長より高い寸法aであり、横寸法bも高さ寸法aに対し、16:9の比率になるような寸法に作られている。スクリーン1の前に横寸法b,縦寸法cのステージ9が設けられている。さらにステージ9に立つプレイヤ3の影を作るため、ステージ9から所定の距離離れた位置に投光手段である光源8が設けられている。ステージ9の縦寸法cは光源8の設置位置との関係で、プレイヤが最もスクリーン1から離れた場合でもスクリーン1からはみ出すことない影ができるような寸法になっている。また、上記の条件の設置距離内で、スクリーン1の距離を調整することができる(図示されていない。管理者が行う)。これにより同じ内容のゲーム装置であっても、光源8の設置距離を変えることによりゲームセンタなどの店毎にゲーム装置に個性を持たせることができる。
【0009】
プレイヤ3はステージ9の上をスクリーン1に近づいたり(影が小さくなる)、遠ざかったり(影が大きくなる)、さらに横寸法b一杯に移動することが可能である。また、すわったり、寝ころぶことも可能である。さらにジャンプして飛び上がることもできるが、ジャンプしてスクリーンの上部に形成される影を表示している時間は一瞬である。後述するように影が入力として効果を発生するためには少なくとも、所定の時間の間、その位置に止まる必要があるため、ジャップして上に影を作ったとしても、ゲーム処理には影響が生じることはない。
プレイヤがステージから外れた場合には影がスクリーンから外れるため、ゲームでは一定のダメージを受ける処理がなされる。
【0010】
スクリーン1の背後にはリアタイプのプロジェクタ7が設置され、ゲーム装置2からの指令に基づきゲーム画面をスクリーン1に投映する。さらに光源8位置の上方にはCCDカメラなどのスキャナ6が設置されている。スキャナ6はスクリーン1全体を所定時間間隔(例えば30フレーム)でスキャンを行ってスタリーン1に映し出されている画像を取り込むものである。スキャナ6は光源8とともにゲーム装置2に接続されている。ゲーム装置2はゲーム開始により光源8をオンし、さらにスキャナ6に対し画像取り込みタイミング指令を送出する。
スクリーン1にはゲーム画面の一例として敵キャラクタ(カエルの顔)5がスクリーン1の右上隅に表示され、スクリーン1の下部中央にプレイヤ3の影4が映し出されている。スクリーン1の左上にはプレイヤの体力を示すストック表示10がなされている。2個の丸が表示されており、敵キャラクタ5からの攻撃でダメージを受けると1個ずつ消えるようになっており、すべて丸が消え、さらに1回のダメージを受けたときプレイヤの負けとなってゲーム終了とする。
【0011】
図2は投光手段てある光源の詳細な例を示す図である。
光源8は複数のLED8aを設置し、レンズ8bによってLED8aからの光を所定の範囲に拡散して投光するものである。レンズ8bの位置を前後させることにより、スクリーン9に当てる光面の大きさを調整することが可能である。光面の大きさはスクリーン面に光ムラが生じないようにスクリーン1より大きめに調整される。スクリーン1に形成される影は、プレイヤが前後に移動を行うため、境界付近はプレイヤの位置によってぼけたり、また、ぼけない位置に立った場合でも、光源8が点光源でないため、半影(中間のグラデーション)となる。また、腕の部分のような細い部分や道具をもっている場合には、光の回り込みの影響が大となるため同様に中間のグラデーションとなる場合がある。このように形成された影を、影として判断するためには、後述するように一定の暗さ(例えば光源が遮られることなくスクリーンを照明したときの明るさの50パーセント)以下か否かを演算して判断することとなる。
【0012】
ここで、この実施の形態の基本ルールについて説明する。
ゲーム画面に敵キャラクタが現れて影のプレイヤキャラクタとバトルを繰り広げ、敵キャラクタは予め持っている体力がプレイヤキャラクタ攻撃によりなくなった場合、プレイヤキャラクタは敵キャラクタから3回ダメージを受けた場合にそれぞれ負けとなるゲームである。
図3Aに示すように敵キラクタが手前を向いている場合は、敵の攻撃であり、プレイヤは影が敵キャラクタと重ならないようにステージを移動することとなる。
敵キャラクタ5aはプレイヤ3aの影4aに向かってくる。プレイヤの影4aが敵キャラクタ5aと重なるとプレイヤキャラクタはダメージを受ける。ダメージを受けると1ダウンとなり、画面左上のプレイヤのストック表示10aが1つ消える。スクリーン1からプレイヤ3aがはみ出しても1ダウンとなり、プレイヤのストック表示10aが1つ消える。プレイヤのストック表示10aがすべて消えた状態で、さらにダメージを受けるとゲームオーバとなる。
【0013】
図3Bに示すように敵キラクタが奥(後ろ)を向いている場合は、プレイヤの攻撃であり、プレイヤは敵キャラクタと重るようにステージを移動することとなる。
敵キャラクタ5bはプレイヤ3bの影4bから逃れようとする。敵キャラクタ5bにプレイヤの影4bが重なると、敵キャラクタ5bにダメージを与える。例えば影の重なり具合(重なっている部分のパーセンテージ)と重なっている時間によりダメージの大きさが変わる。ダメージの大きさにより敵キャラクタ5bは突き飛ばされ、目の色が青>黄>赤と変化する。敵キャラクタ5bの目が赤い状態で、さらにダメージを与えると、敵キャラクタ5bは破壊する。
【0014】
プレイヤが影を拡大,縮小するアクションの効果については以下の通りである。
影を拡大した場合の例を図4A,図4Bに示す。
プレイヤ3cがスクリーンから遠ざかる(光源に近づく)と、影4cは大きくなるため敵キャラクタ5dへの攻撃には有利である。しかし、敵キャラクタ5dが一転して攻撃した場合にはプレイヤ3dの影4dは大きいため回避には不利となる。
影を縮小した場合の例を図5A,図5Bに示す。
プレイヤ3eがスクリーン1に近づく(光源から遠ざかる)と、影4eは小さくなるため敵キャラクタ5eの攻撃から回避するには有利である。しかし、敵キャラクタ5fが一転して逃げた場合にはプレイヤ3fは直ぐに影4fを大きくできないためプレイヤ3fの攻撃はヒットしづらくなる。
【0015】
このような基本ゲームルールに使用されるプレイヤキャラクタ(キャラクタの影)と敵キャラクタはそれぞれ定義付けされ、ID,名前,モデルファイル名,HP条件,攻撃状態条件および与えるダメージ条件が記述されている。さらにプレーヤキャラクタにはプレイヤ攻撃基礎値およびプレイヤ攻撃係数が記述されている。
表1にプレイヤキャラクタの定義付けされる項目の具体例が示されている。
IDは「0x1000」,名前は「プレイヤ」,モデルファイル名はなしである。
表1に示されるHP条件のA1は表2に示すように「初期1(攻撃の敵にヒットすると、即1ダウン)」である。
表1に示される攻撃状態条件のA1は表3に示すように「ヒットした敵キャラクタが回避状態」である。
表1で示される与えるダメージ条件は表4に示すように「プレイヤ攻撃基礎×プレイヤ攻撃係数で算出」(表5,表6の設定値)であり、この演算によりダメージが算出される。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0016】
表5に示されているプレイヤ攻撃基礎値は連続ヒットフレーム数(60fpsで動作している場合)「1」「2」「3」「4」「5」について、それぞれ攻撃基礎値が「20」「40」「60」「80」「100」と設定されいる。
さらに表6に示されているプレイヤ攻撃係数は最大重複面積「1−30」「31−60」「61−90」「91−99」「100」について、それぞれ攻撃係数が「0.2f」「0.3f」「0.4f」「0.5f」「1.0f」と設定されている。
【表5】
【表6】
【0017】
つぎに敵キャラクタの仕様例について説明する。
敵キャラクタは図3A,図3Bで説明したように「攻撃状態」と「回避状態」の2つの状態がある。
敵キャラクタの定義はID,名前,モデルファイル名,HP条件,攻撃条件および与えるダメージ条件が設定されているのはプレイヤキャラクタと同じである。
表7ではIDが「0x8000」〜「0x8003」まで記載されており、それぞれの名前は「かぶとむし」「ハムスター」「犬」「ロボ」、モデルファイルは「Beetle.mdo」「Hamster.mdo」「Dog.mdo」「Robot.mdo」、HP条件は「A2」「B2」「D2」「E2」、攻撃条件は,「A2」「B2」「C2」「E2」、与えるダメージ条件は「A2」「A2」「A2」「A2」である。
敵キャラクタHP条件の「A2」「B2」「D2」「E2」は表8で示すようにそれぞれ「初期値30」「初期値40」「初期値50」「初期値60」「初期値100」である。
HPは初期値から始まりダメージを受けると、減少していく。ゼロ以下になると、敵キャラクタはダウンし爆発表示がなされる(このダメージを受けていく過程において、残りHPに応じて目の色が図3Bで説明したように青>黄>赤の設定色に変化する)。
【表7】
【表8】
【0018】
敵キャラクタ攻撃状態条件の「A2」「B2」「C2」「D2」「E2」は表9に示すようにそれぞれ「真正面を向いた状態から左右に30度,上下に30度以内の方向を向くとき」「真正面を向いた状態から左右に30度以内の方向を向くとき」「真正面を向いた状態から左右に40度,上下に30度以内の方向を向くとき」「真正面を向いた状態から左右に45度,上下に30度以内の方向を向くとき」「真正面を向いた状態から左右に50度以内の方向を向くとき」である。
与えるダメージ条件のA2は表10に示すように常に「1」となる。
【表9】
【表10】
上記表1〜表10は、後述するゲームプログラムのデータ値としてROMに格納され、このデータ値をCPUが読み出して処理するものである。
【0019】
図6は本発明による投影した影を利用するゲーム装置の回路の実施の形態を示す回路図で、上記ゲームを実施する場合である。
プロジェクタ7,スキャナ(CCDカメラ)6および光源8は映像制御部21,撮影制御部22および光源制御部23にそれぞれ接続されている。
イメージ抽出部26bはプロジェクタ7がスクリーン1に投影する第1のゲーム画面をゲーム制御部26aから受け取って取り込み、この第1のゲーム画面の敵キャラクタの位置および大きさを抽出する。さらに影が投影されたスクリーン1の第2のゲーム画面をCCDカメラ6から取り込み、第2のゲーム画面から第1のゲーム画面の差を取り、差の部分を影の位置および大きさとして抽出する。
ヒット判定部26dはイメージ抽出部26bで抽出した影とゲーム画面のキャラクタがスクリーン上で重なったか否かを判定し、重なった場合にはヒットしたと判定する。
ヒット検出手段はイメージ抽出部26bおよびヒット判定部26dよりなる部分に対応するものである。イメージ抽出およびヒット判定の詳細については後述する。
【0020】
ダメージ処理部26eはゲーム画面上の敵キャラクタが後向きの場合、すなわち逃げている状態で、プレイヤの敵キャラクタに対する攻撃としてヒット判定が出たとき、重なった面積対応のダメージを敵キャラクタに与え、そのようなダメージ対応の敵キャラクタの画像処理を行う。また、ゲーム画面上の敵キャラクタが前向きの場合、すなわち攻撃体制の状態で敵キャラクタのプレイヤに対する攻撃としてヒット判定が出たとき、重なった面積対応のダメージをプレイヤに与え、そのようなダメージ対応の画像処理、すなわちスクリーン1左上のプレイヤの体力表示10の一つを削除する画像処理を行う。
映像制御部21はこのような画像処理に対する敵キャラタの表示,スクリーンの隅にプレイヤのストック体力表示10の1つを消した画面の表示制御をプロジェクタ7に対し行う。
ダメージ処理表示手段はダメージ処理部26eおよび映像制御部21より構成される部分である。
【0021】
ROM24は、このゲーム装置全体を制御する制御プログラムおよびバトルゲームのプログラムならびに必要なゲームデータが格納されている。RAM25はCPU26が演算を行う作業領域として使用されたり、データを一時的に保存したりする役割を果たすものである。CPU26は、ROM24より制御プログラムを読み出し、ゲーム制御部26aの機能を実現し、ゲーム待ち受け画面表示やサウンド処理を行って図示しないスピーカよりBGM等を出力する。また、バトルゲームのプログラムの読み出し実行により上記イメージ抽出部26b,ヒット判定部26dおよびダメージ処理部26eの機能を実現する。
入力装置27はこのゲーム装置を開始するときに操作するボタンなどの操作部であり、さらにゲームを行うためのコイン投入装置(図示していない)が設置されている。
【0022】
つぎに図7のフローチャート,図1および図6を用いてゲーム機全体の流れを説明する。
このフローチャートはプレイヤが所定のコインを投入し、ゲームが開始され(ステップ(以下、「S」という)001)、ステージ9にプレイヤ3が立ち、光源8でスクリーン1にプレイヤの影が投影されている状態からメインルーチンに入る場合を説明するものである。CPU26がROM24からゲームプログラムを読み込み、実行することによりメインルーチンを開始する(S002)と、ゲーム制御部26aは敵キャラクのみのレンダリングしたイメージ(敵キャラクタのヒット判定イメージである)を作成する(S003)。イメージ抽出部26bはこのイメージを取り込んでヒット判定に用いる敵キャラクタを抽出する(S003)。
図11に敵キャラクタのイメージを抽出する手順の詳細を示す。
イメージ抽出部26bは図11(a)に示すように敵キャラクタのイメージを取り込み、図11(b)に示すように所定の大きさのブロック単位で敵キャラクタのスクリーンを分割する。そして各ブロックについてピクセルの割合が設定値以上のブロックを有効なブロックとして抽出する。これにより図11(c)に示すように敵キャラクタ対応の有効なブロック31を抽出する。
図11(d)はそれぞれのブロック単位を有効,無効で「1」「0」で対応付けたものであり、イメージ抽出部26bは敵キャラクタについてこのようなデータを抽出する。
【0023】
つぎにゲーム制御部26aは背景およびストック表示10などを含むゲーム画面全体のレンダリングしたイメージを作成する(S004)。
ゲーム制御部26aは撮影制御部22に対し、CCDカメラ6からスクリーン1上の映像をスキャンして取り込むよう指令を送出する。ゲーム制御部26aはCCDカメラ6からプレイヤの影とゲーム画面が合成されたイメージを取り入れる(S005)。イメージ抽出部26bはS005で取得したイメージからゲーム画面全体のレンダリングしたイメージの減算を行い、プレイヤの影のイメージを抽出する(S006)。
図9Aにプレイヤキャラクタのイメージを抽出する手順の詳細を示す。
図9A(a)は敵キャラクタと背景画面やストック表示を合成したイメージの例であり、図9A(b)はプレイヤの影が投影されたスクリーンの映像をスキャンして取り込んだイメージの例である。それぞれのイメージについて図11で説明したように所定の大きさのブロック単位で図9A(a)および(b)のスクリーンを分割する(図9A(c),(d))。
【0024】
イメージ抽出部26bは図9A(c)および図9A(d)のイメージの単位ブロックについて全ピクセルの輝度情報(RGB)を参照し、ブロック内の平均の明るさを求める。
図9B(a)および図9B(b)はこのようにして求めた各単位ブロックについて明るさを表示したものである。
イメージ抽出部26bは図9B(b)の各ブロックから図9B(a)の同じアドレスの各ブロックの減算を行い、ブロックの明るさの差分を得る(図9B(c))。そして、設定した値以上の差があるブロックを有効なブロックとしてこれをプレイヤキャラクタとして抽出する。図9B(c)の数字35で示すブロックは設定した値未満のブロックであり、この部分は抽出されず、数字36で示したブロックは設定した値以上のブロックであるので抽出される。
図9Cはブロック単位を有効,無効で「1」「0」で対応付けた図を示しており、イメージ抽出部26bはプレイヤキャラクタについてこのようなデータを抽出する。
【0025】
イメージ抽出部26bによってこのように敵キャラクタとプレイヤキャラクタのイメージのデータが抽出されると、その情報はヒット判定部26dに送られ、ヒット判定部26dに制御が渡される。
ヒット判定部26dは敵キャラクタとプレイヤキャラクタがヒットしたか否かを判定する(S007)。ヒットしない場合にはルーチンを終了し、ヒットした場合にはヒット処理を行ってからルーチンを終了する(S008,S009)。
図12Aおよび図12Bはヒット判定の詳細を説明するための図である。
図12Aはヒットしない場合の例である。図12A(a)は単位ブロック毎に2値化されたプレイヤキャラクタのデータであり、図12A(b)は同じく単位ブロック毎に2値化された敵キャラクタのデータである。図12A(c)は、これらの同じ位置のブロックについて積をとったデータであり、プレイヤキャラクタと敵キャラクタの有効なブロック位置が異なるため、全ての単位ブロックは「0」となってヒットしない。
【0026】
図12Bはヒットする場合の例である。図12B(a)は単位ブロック毎に2値化されたプレイヤキャラクタのデータであり、図12B(b)は同じく単位ブロック毎に2値化された敵キャラクタのデータである。図12B(c)は、これらの同じ位置のブロックについて積をとったデータであり、有効な単位ブロック「1」が4個重なっているため、ヒットと判定される。
なお、プレイヤキャラクタがスクリーンから外れた場合には、プレイヤキャラクタのデータには有効なブロックが存在しなくなるため、敵キャラクタの有効なブロックと重なることはないが、この場合についてもヒット処理をさせるルーチンに移行させる。
【0027】
図8はHIT処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
ヒットが判定されると、ダメージ処理部26eはプレイヤキャラクタがスクリーンから外れているか否か(プレイヤキャラクタのイメージに有効なブロックがない)を判定する(S101)。プレイヤキャラクタがスクリーンから外れた場合には、プレイヤキャラクタにダメージを与える(S103)。敵キャラクタがプレイヤキャラクタに与えるダメージは、表10に示すように常に「1」である。すなわち、スクリーンのストック表示の1個分を消滅させる。ゲーム制御部26aはダメージ処理部26eからダメージデータを受け取ると、RAM25に読み出したストック表示データをストック表示が1個消滅するように更新する。
プレイヤキャラクタにダメージを与えた後はゲームオーバか否かを判定し(S104)、プレイヤキャラクタが全てのストックがなくなった後に、ダメージを受けた場合はゲームオーバとしてゲームを終了する。そうでない場合にはストック表示の1つを消滅させヒット処理を終了する。
【0028】
一方、リングアウトでない場合には、プレイヤが攻撃されている状態か否かを判定する。これは、ゲーム画面から敵キャラクタのイメージが前向きか後ろ向きかで判定される。敵キャラクタのイメージが前向きの時はプレイヤは攻撃され、ダメージを受ける(S103)。ゲーム制御部26aはダメージ処理部26eでダメージデータを受け取ると、RAM25に読み出したストック表示データをストック表示が1個消滅するように更新する。
また、敵キャラクタのイメージが後ろ向きの時は敵キャラクタに表4に示すようなダメージ条件に基づくダメージを与える。ゲーム制御部26aはダメージ処理部26eでダメージデータを受け取ると、敵キャラクタの体力が上記ダメージ分を減少させるように体力データを更新する。また敵キャラクタが映るゲーム画面に例えば図4Aに示すような衝撃波11の映像を加える画像処理を行い、さらに敵キャラクタの目の色もダメージに応じた色になるように画像処理する。映像制御部21にはこのような画像処理データが送信され,プロジェクタ7からはその映像が投映される。
【0029】
敵キャラクタが表4の演算に基づくダメージを受ける場合、例えば、連続ヒットフレーム数が「3」の場合、表5から攻撃基礎値は「60」となり、プレイヤの最大重複面積が「31−60」の場合、表6から攻撃係数は「0.3f」であるので、プレイヤ攻撃基礎値は60×0.3f=18fの攻撃基礎値を演算で得、敵キャラタはこの「18f」のダメージを受ける。なお、最大重複面積は敵キャラクタがプレイヤの影で重複した面積であり、敵キャラクタの抽出イメージ全体を100パーセントとすると、上記の例では31パーセント〜60パーセントが重複したこととなる。
【0030】
ついで、ゲーム制御部26aはS105におけるダメージによって敵キャラクタの体力が0になって爆破処理すべきか否かを判定する(S106)。敵キャラクタの体力が0以下になった場合には、敵キャラクタの爆破処理を行い、つぎの敵キャラクタを呼び出す(S107)。以上によりヒット処理が終了する。
図7におけるゲーム処理フローはゲームオーバになるまで、繰り返し実行される。
【0031】
以上の実施の形態は、プレイヤが与えるダメージとして敵キャラクタが重なる面積に対し攻撃係数を変化させる場合の例を示したが、さらに重複している時間に対し攻撃係数を変化させるパラメータを加えてもよい。例えば、重複している時間が大きくなるほど、攻撃係数を増加させるものであり、重複する時間が短ければ、それほど大きなダメージを与えることができないとするものである。
また、敵キャラクタの定義として表10で定められているダメージは常に「1」とし、3回ヒットしたときに、プレイヤの負けとなる例について説明したが、与えるダメージの大きさを敵キャラクタ毎に代え、プレイヤの負けとなる場合もヒット回数だけではなく、体力が0になった時とすることもできる。
この発明は入出力内容がプレイヤの体型に左右されるだけでなく、服装や持ち物によってプレイヤから突出する部分を影として作ることができるため、ゲームを行う毎に、持ち物を持ったり、服装を変えたりすることにより、攻守の内容を変えることができる。
【0032】
図10はプレイヤキャラクタとしてプレイヤではなく、プレイヤがリモコンで操縦するヘリコプタロボットを用いる場合を示す例である。
ヘリコプタロボット37をプレイヤキャラクタとすると、その影39をリモートコントローラ38でステージ面から離れたスクリーン1の上面に誘導することができ、スクリーン全体をゲームフィールドとし有効に用いることができる。
図1の例ではプレイヤが飛び上がることによりスクリーン1の上部に影を投影させることができるが、一瞬であり、攻撃係数として時間の概念(重なっている時間が長いほど大きなダメージを与えることかできる)を入れた場合には、飛び上がって敵キャラクタと重なったときには攻撃ダメージを実質的に与えることができない。
【産業上の利用可能性】
【0033】
アーケードセンタやイベント会場に設置される、投影した影を利用するゲーム装置である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明による投影した影を利用するゲーム装置の外観およびシステム構成を示す斜視図である。
【図2】光源の詳細を説明するための図である。
【図3A】スクリーンの映像の一例を示す図で、敵キャラクタが前を向いている状態を示している。
【図3B】スクリーンの映像の一例を示す図で、敵キャラクタが奥を向いている状態を示している。
【図4A】スクリーンの映像の一例を示す図で、プレイヤの影を拡大させて敵キャラクタに攻撃を加えている状態を示している。
【図4B】スクリーンの映像の一例を示す図で、拡大した影に対し敵キャラクタが攻撃をしている状態を示している。
【図5A】スクリーンの映像の一例を示す図で、縮小した影に敵キャラクタが攻撃をしている状態を示している。
【図5B】スクリーンの映像の一例を示す図で、縮小した影で敵キャラクタに攻撃を加えている状態を示している。
【図6】本発明による投影した影を利用するゲーム装置の回路の実施の形態を示す回路図である。
【図7】ゲーム機の全体の流れを説明するためのメインルーチンを示すフローチャートである。
【図8】HIT処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図9A】プレイヤキャラクタとそのヒット判定用配列の抽出手順を説明するための図で、敵キャラクタとプレイヤの影を合成したスクリーンをブロック単位に分割する過程を説明するための図である。
【図9B】プレイヤキャラクタとそのヒット判定用配列の抽出手順を説明するための図で、図9Aでブロック化したスクリーンに対し、ヒット判定のため有効なブロックを抽出する過程を説明するための図である。
【図9C】プレイヤキャラクタとそのヒット判定用配列の抽出手順を説明するための図で、有効なブロックを有するスクリーンを0,1で表現した図である。
【図10】プレイヤの代わりにラジコンヘリを使用する例を説明するための図である。
【図11】敵キャラクタのヒット判定用配列の抽出手順を説明するための図で、敵キャラクタのみのイメージ作成から有効なブロックを有するスクリーンを0,1で表現した図である。
【図12A】プレイヤキャラクタのヒット判定用配列例を説明するための図で、敵キャラクタにヒットしない場合の例である。
【図12B】プレイヤキャラクタのヒット判定用配列例を説明するための図で、敵キャラクタにヒットする場合の例である。
【符号の説明】
【0035】
1 スクリーン
2 ゲーム装置
3 プレイヤ
4 プレイヤの影
5 敵キャラクタ
6 スキャナ(カメラ)
7 プロジェクタ
8 光源
9 ステージ
21 映像制御部
22 撮影制御部
23 光源制御部
24 ROM
25 RAM
26 CPU
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーンと、
前記スクリーンの前方に配置され、プレイヤまたは移動物体が前記スクリーンに対し遠近方向に動いたり、スクリーンに対面する位置を変化させたりするためのステージと、
前記スクリーンにゲーム画面を投影する投影手段と、
前記ステージのプレイヤまたは移動物体に光を当ててスクリーンに影を形成する投光手段と、
前記スクリーン上の映像をスキャンして取り込むスキャナ手段と、
前記投光手段で形成した影と前記投影手段で投影されたゲーム画面を前記スキャナ手段により取り込み、前記ゲーム画面に登場するキャラクタと影の重なる面積を検出するヒット検出手段とを備え、
前記プレイヤまたは移動物体がステージ上で動き、投影される影の大きさおよび位置を変えることにより、ゲーム画面に登場するキャラクタと影の重なる面積の変化を入力情報とすることを特徴とする投影した影を利用するゲーム装置。
【請求項2】
前記スクリーンは半透過タイプのスクリーンであり、
前記投影手段は前記スクリーンの背後から投影するリアタイプのプロジェクタであることを特徴とする請求項1記載の投影した影を利用するゲーム装置。
【請求項3】
前記スキャナ手段は、CCDカメラであることを特徴とする請求項1または2記載の投影した影を利用するゲーム装置。
【請求項4】
前記ヒット検出手段は、
前記投影手段が前記スクリーンに投影する第1のゲーム画面を取り込み、該第1のゲーム画面のキャラクタの位置および大きさを抽出し、
さらに影が投影されたスクリーンの第2のゲーム画面を取り込み、前記第2のゲーム画面から前記第1のゲーム画面の差を取ることにより影の位置および大きさを抽出するイメージ抽出手段と、
前記抽出手段で抽出した影と前記第1のゲーム画面のキャラクタとが重なった場合、ヒットしたと判定するヒット判定手段と、
からなることを特徴とする請求項1,2または3記載の投影した影を利用するゲーム装置。
【請求項5】
前記イメージ抽出手段は、
前記ゲーム画面を映し出すスクリーンを複数のブロックに細分化し、細分化されたブロックに対し、キャラクタまたは影が占める割合が所定パーセント以上の場合に、そのブロックをキャラクタまたは影として抽出することを特徴とする請求項4記載の投影した影を利用するゲーム装置。
【請求項6】
前記ゲーム画面上のキャラクタが後向きになっている場合はプレイヤのキャラクタに対する攻撃であり、この攻撃でヒット判定が出たときには、重なった面積対応のダメージを敵キャラクタに与え、与えられたダメージ対応の敵キャラクタの画像処理を行い、
前記ゲーム画面上のキャラクタが前向きになっている場合はキャラクタのプレイヤに対する攻撃であり、この攻撃でヒット判定が出たときには、重なった面積対応のダメージをプレイヤに与え、与えられたダメージ対応の画像処理を行い、前記敵キャラクタまたはプレイヤの画像処理を前記プロジェクタのゲーム画面に表示させるダメージ処理表示手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至5記載の投影した影を利用するゲーム装置。
【請求項7】
前記移動物体はラジコン操作のヘリコプタであり、
プレイヤがリモートコントローラで前記ヘリコプタを操縦して、前記ステージ上のスクリーン前を移動させてスクリーン上に影を生じさせることを特徴とする請求項1乃至6記載の投影した影を利用するゲーム装置。
【請求項1】
スクリーンと、
前記スクリーンの前方に配置され、プレイヤまたは移動物体が前記スクリーンに対し遠近方向に動いたり、スクリーンに対面する位置を変化させたりするためのステージと、
前記スクリーンにゲーム画面を投影する投影手段と、
前記ステージのプレイヤまたは移動物体に光を当ててスクリーンに影を形成する投光手段と、
前記スクリーン上の映像をスキャンして取り込むスキャナ手段と、
前記投光手段で形成した影と前記投影手段で投影されたゲーム画面を前記スキャナ手段により取り込み、前記ゲーム画面に登場するキャラクタと影の重なる面積を検出するヒット検出手段とを備え、
前記プレイヤまたは移動物体がステージ上で動き、投影される影の大きさおよび位置を変えることにより、ゲーム画面に登場するキャラクタと影の重なる面積の変化を入力情報とすることを特徴とする投影した影を利用するゲーム装置。
【請求項2】
前記スクリーンは半透過タイプのスクリーンであり、
前記投影手段は前記スクリーンの背後から投影するリアタイプのプロジェクタであることを特徴とする請求項1記載の投影した影を利用するゲーム装置。
【請求項3】
前記スキャナ手段は、CCDカメラであることを特徴とする請求項1または2記載の投影した影を利用するゲーム装置。
【請求項4】
前記ヒット検出手段は、
前記投影手段が前記スクリーンに投影する第1のゲーム画面を取り込み、該第1のゲーム画面のキャラクタの位置および大きさを抽出し、
さらに影が投影されたスクリーンの第2のゲーム画面を取り込み、前記第2のゲーム画面から前記第1のゲーム画面の差を取ることにより影の位置および大きさを抽出するイメージ抽出手段と、
前記抽出手段で抽出した影と前記第1のゲーム画面のキャラクタとが重なった場合、ヒットしたと判定するヒット判定手段と、
からなることを特徴とする請求項1,2または3記載の投影した影を利用するゲーム装置。
【請求項5】
前記イメージ抽出手段は、
前記ゲーム画面を映し出すスクリーンを複数のブロックに細分化し、細分化されたブロックに対し、キャラクタまたは影が占める割合が所定パーセント以上の場合に、そのブロックをキャラクタまたは影として抽出することを特徴とする請求項4記載の投影した影を利用するゲーム装置。
【請求項6】
前記ゲーム画面上のキャラクタが後向きになっている場合はプレイヤのキャラクタに対する攻撃であり、この攻撃でヒット判定が出たときには、重なった面積対応のダメージを敵キャラクタに与え、与えられたダメージ対応の敵キャラクタの画像処理を行い、
前記ゲーム画面上のキャラクタが前向きになっている場合はキャラクタのプレイヤに対する攻撃であり、この攻撃でヒット判定が出たときには、重なった面積対応のダメージをプレイヤに与え、与えられたダメージ対応の画像処理を行い、前記敵キャラクタまたはプレイヤの画像処理を前記プロジェクタのゲーム画面に表示させるダメージ処理表示手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至5記載の投影した影を利用するゲーム装置。
【請求項7】
前記移動物体はラジコン操作のヘリコプタであり、
プレイヤがリモートコントローラで前記ヘリコプタを操縦して、前記ステージ上のスクリーン前を移動させてスクリーン上に影を生じさせることを特徴とする請求項1乃至6記載の投影した影を利用するゲーム装置。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【公開番号】特開2008−302005(P2008−302005A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−151702(P2007−151702)
【出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(306019111)株式会社タイトー (475)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(306019111)株式会社タイトー (475)
【Fターム(参考)】
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