説明

投影装置

【課題】本発明は、投映原板を回転させる回転機構を有することなく、所望の画像をスクリーンに投映することが可能な投映装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る投映装置は、中空の球の下部を平面で切断した形状の投映部12および投映部12の切断部に接続した電極形成部13から成る投映原板11と、投映部12の内側に設けられ、光を放射する光源17と、を有して成り、投映部12の外表面側には、マトリクス状に形成されたm本のデータ線19およびn本の走査線20(m、nは自然数)と、データ線19と走査線20との交わる位置毎に形成された画素部18と、が形成されており、画素部18は、スイッチング素子としての有機トランジスタ181と、有機トランジスタ181のスイッチング状態に応じて光源17からの光を装置外部へ透過させるシャッター部182と、を有して成る構成とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーンに所望の画像を投映する投影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、スクリーンに所望の画像を投映する投映装置は、例えば、プラネタリウム用の投映装置の場合、光源を覆い、恒星をドーム型スクリーンに投映するためのピンホールが開口された球状の投映原板(すなわち、遮光板)が回転機構により回転されるものがある。
【特許文献1】特開2005−128411号公報
【特許文献2】特開2004−279867号公報
【特許文献2】特開2005−183616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
確かに、従来の投映装置であれば、所望の画像をスクリーンに投映するためのピンホールが開口された球状の投映原板が、回転機構によって回転されるため、所望の画像をスクリーンに投映することが可能である。
【0004】
しかしながら、従来の投映装置においては、投映原板を回転させるための回転機構を有する必要があるため、その回転機構によって装置の小型化が妨げられている。
【0005】
なお、可撓性のある表示装置が開示・提案されているが(例えば、特許文献1〜特許文献3を参照)、これらに開示された表示装置は、特にドーム型スクリーンに画像を投映することに対して考慮されたものではなかった。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑み、投映原板を回転させる回転機構を有することなく、所望の画像をスクリーンに投映することが可能な投映装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る投映装置は、中空の球の下部を平面で切断した形状の投映部および該投映部の切断部に接続した円筒状の電極形成部から成る投映原板と、前記投映部の内側の中心位置に設けられ、光を放射する光源と、を有して成り、前記投映原板の基材が、透明アクリル樹脂から成り、前記投映部の外表面側には、マトリクス状に形成されたm本のデータ線およびn本の走査線(m、nは自然数)と、該データ線と該走査線との交わる位置毎に形成された画素部と、が形成されており、前記電極形成部の外表面側には、前記n本の走査線のそれぞれと電気的に接続された走査電極が、形成されて成り、前記画素部が、スイッチング素子としての有機トランジスタと、該有機トランジスタのスイッチング状態に応じて所定の画素電圧が印加される画素電極、該画素電極と対向する共通電極、および該画素電極と該共通電極との間に挟まれた液晶層を有するシャッター部と、を有して成り、また、前記投映部の外表面側には、前記m本のデータ線のそれぞれが絶縁状態を保って、その表面上に引き出される絶縁性のデータ線引出部と、前記投映部を間に挟んで該データ線引出部と対向する位置に、前記共通電極に電気的に接続された共通線が、その表面上に引き出される絶縁性の共通線引出部と、が形成されて成り、前記液晶層が、前記有機トランジスタがオン状態で、前記画素電極に前記所定の画素電圧が印加されることで、前記光源からの光を装置外部へ透過させる構成とされている。このような構成とすることにより、投映装置は、投映原板を回転させる回転機構を有することなく、有機トランジスタがオン状態で液晶層を透過する光がスクリーンに投映されるため、有機トランジスタの駆動を制御することで、所望の画像を静止画でスクリーンに投映したり、所望の画像を動画で投映したりすることが可能となる。また、投映装置は、投映原板を回転させる回転機構を備える必要がないため、安価で小型に製造することが可能となる。
【0008】
また、本発明に係る投映装置は、中空の球の下部を平面で切断した形状の投映部および該投映部の切断部に接続した電極形成部から成る投映原板と、前記投映部の内側に設けられ、光を放射する光源と、を有して成り、前記投映部の外表面側には、マトリクス状に形成されたm本のデータ線およびn本の走査線(m、nは自然数)と、該データ線と該走査線との交わる位置毎に形成された画素部と、が形成されており、該画素部は、スイッチング素子としての有機トランジスタと、該有機トランジスタのスイッチング状態に応じて前記光源からの光を装置外部へ透過させるシャッター部と、を有して成る構成とされている。このような構成とすることにより、投映装置は、投映原板を回転させる回転機構を有することなく、有機トランジスタのスイッチング状態に応じてシャッター部を透過した光がスクリーンに投映されるため、有機トランジスタの駆動を制御することで、所望の画像を静止画でスクリーンに投映したり、所望の画像を動画で投映したりすることが可能となる。また、投映装置は、投映原板を回転させる回転機構を備える必要がないため、安価で小型に製造することが可能となる。
【0009】
また、上記構成から成る投映装置の前記投映原板の基材が、透光性素材からなる構成とされている。透光性素材は、透明アクリル樹脂、熱硬化樹脂やガラス等の光を透過する素材から成る。投映原板の基材に透過性素材を用いることで、投映原板の基材は、光源からの光を遮断することなく、透過する。
【0010】
なお、前記透光性素材は、透明アクリル樹脂である構成とされている。透明アクリル樹脂は安価で加工性に優れているため、投映基板の基材を安価で簡単に形成することができる。
【0011】
また、上記構成から成る投映装置は、前記シャッター部が、前記有機トランジスタのスイッチング状態に応じて所定の画素電圧が印加される画素電極、該画素電極と対向する共通電極、および該画素電極と該共通電極との間に挟まれた液晶層を有し、前記液晶層が、前記有機トランジスタのスイッチング状態に応じて前記画素電極に前記所定の画素電圧が印加されることで、前記光源からの光を装置外部へ透過させる構成とされている。このような構成とすることにより、投映装置は、有機トランジスタのスイッチング状態に応じて液晶層を透過した光がスクリーンに投映されるため、有機トランジスタの駆動を制御することで、所望の画像を静止画でスクリーンに投映したり、所望の画像を動画で投映したりすることが可能となる。
【0012】
また、上記構成から成る投映装置は、前記投映部の外表面側には、前記m本のデータ線あるいは前記n本の走査線のそれぞれが絶縁状態を保って、その表面上に引き出される絶縁性の第1引出部と、前記投映部を間に挟んで該第1引出部と対向する位置に、前記共通電極に電気的に接続された共通線が、その表面上に引き出される絶縁性の第2引出部と、が形成されて成り、前記電極形成部の外表面側には、前記n本の走査線あるいは前記m本のデータ線のそれぞれと電気的に接続された引出電極が形成されて成る構成とされている。このような構成にすることにより、走査線、データ線および共通線を短絡させることなく、装置外に引き出すことが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
上記したように、本発明に係る投映装置であれば、投映原板を回転させる回転機構を有することなく、所望の画像を静止画でスクリーンに投映したり、所望の画像を動画で投映したりすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明を行う。
【0015】
図1は、本実施形態の投映装置の一例を模式的に示す斜視図である。なお、図1に示す複数の画素部18は、説明を解りやすくするため、便宜上、低集積度で記載されており、実際には、図1に示すものより高集積度で形成されるものである。また、図1において、共通線の記載を省略している。
【0016】
本実施形態の投映装置1は、図1に示すように、中空の球の下部を平面で切断した形状の投映部12、および投映部12の切断部に接続した円筒状の電極形成部13なら成る投映原板11と、投映原板11の投映部12の外表面側に設けられた第1引出部のデータ線引出部14と、投映部12を間に挟んでデータ線引出部14と対向する位置で、投映部12の外表面側に設けられた第2引出部の共通線引出部15と、投映部12の内表面側の2箇所に接続され、後述の光源17を支える光源ホルダー16と、投映部12が成す球の中心位置に光源ホルダー16によって支えられ、電力が供給された際に光を放射する光源17と、を備えている。なお、本実施形態の投映装置1において、図1に示す投映部12は、中空の半球よりも中空の球に近い形状にされている。
【0017】
投映原板11の基材は、透明アクリル樹脂から成る。透明アクリル樹脂は、安価で加工性に優れているため、投映基板11の基材を安価で簡単に形成することができる。なお、投映原板11の基材は、透明アクリル樹脂のほか、熱硬化樹脂やガラスなどの透明あるいは半透明の素材でもよい。また、投映原板11の基材は、光を透過する透光性素材から形成されていればよい。投映原板11の基材は、透光性素材から形成されているため、光源17からの光を遮断することなく、透過することができる。
【0018】
データ線引出部14および共通線引出部15は、絶縁性の棒状の樹脂からなる。なお、データ線引出部14および共通線引出部15は、電導性部材に絶縁性の樹脂がコーティングされたものでもよい。
【0019】
光源17は、配線171に電気的に接続されており、配線171を介して光源17に電力が供給される。また、配線171は、投映部12および電極形成部13の内側から装置外部に引き出されている。なお、光源17には、電球や発光ダイオードなどが用いられてもよい。また、光源17から放射される光の色は、白色、赤色、青色、緑色等のいずれの色であってもよい。
【0020】
光源ホルダー16は、2つの棒状部材から成り、データ線引出部14および共通線引出部15のそれぞれに対向する投映部12の内表面側に棒状部材の一端が接続され、更にそれらの他端が、投映部12が成す球の中心位置の近傍に位置し、光源17を支えている。なお、光源ホルダー16は、光源17を投映球12の成す球の中心位置に保持できる構成であればよい。
【0021】
また、電極形成部13の外表面には、後述するn本の走査線20のそれぞれと電気的に接続された導電性の素材から成る引出電極の走査電極131が形成されている。
【0022】
また、図2は、本実施形態の投映装置1における投映原板11の外表面側に形成された複数の画素部18の等価回路の一例を示す図である。なお、図2では、説明の便宜上、各画素部18の形状を同じ形状に記載している。
【0023】
投映部12の外表面側には、図1および図2に示すように、マトリクス状に形成されたm本のデータ線19およびn本の走査線20が形成され、データ線19と走査線20との交わる位置毎に画素部18が形成されている。なお、mおよびnは、自然数である。また、投映部12の外表面には、図2に示すように、走査線20と交差して、共通線21が形成されている。
【0024】
各データ線19、各走査線20および各共通線21は、導電性の有機物や金などの導電性の素材から形成されている。
【0025】
また、各画素部18の形状は、投映部12が中空の球の下部を平面で切断した形状であるため、投映部12の形状が考慮された形状とされている。すなわち、データ線引出部14側および共通線引出部15側に最も近い画素部18の形状は、辺が非直線の三角状であり、その他の画素部18は、辺が非直線の矩形状とされている。
【0026】
また、各画素部18は、図1および図2に示すように、所定レベルの走査電圧が印加された際に、オン状態となり、後述するシャッター部182に所定レベルの画素電圧を印加して、投映原板11の基材等を透過した光源17からの光をシャッター部182に透過させる画素スイッチング素子としての有機トランジスタ181と、有機トランジスタ181がオン状態で、有機トランジスタ181から所定レベルの画素電圧が印加された際に、投映原板11の基材等を透過した光源17からの光を投映装置1の外部に透過させるシャッター部182と、を有して成る。
【0027】
また、各シャッター部182は、有機トランジスタ181がオン状態で所定レベルの画素電圧が印加される画素電極183と、画素電極183と対向する共通電極184と、画素電極183と共通電極184との間に挟まれた液晶層185と、を有して成る。なお、液晶層185は、マトリクス状に形成された有機トランジスタ181および画素電極183よりも上層に形成されている。
【0028】
また、画素電極183および共通電極184は、導電性で光を透過する透光性素材から成る。また、液晶層185は、液晶が透光性の樹脂で封止されたものである。また、液晶層185は、有機トランジスタ181がオン状態で、画素電極183に所定レベルの画素電圧が印加されることで、樹脂に封止された液晶が相変化し、画素電極183まで透過した光源17からの光を投映装置1の外部に透過させる。すなわち、液晶層185の液晶は、有機トランジスタ181がオフ状態で光を透過させない、ノーマリブラックの液晶が樹脂で封止されたものである。
【0029】
また、図2に示すように、各画素部18において、有機トランジスタ181のゲートG、ソースSおよびドレインDのそれぞれは、走査線20、データ線19および画素電極183に電気的に接続されている。また、各画素部18において、液晶層185を挟んで画素電極183と対向する共通電極184は、共通線21に電気的に接続されている。なお、画素電極184は、各シャッター部182のほぼ全域に形成されている。
【0030】
また、各走査線20は、対応する図1に示す走査電極131と電気的に接続されている。各データ線19は、図3に示すように、所定の間隔を隔てることで絶縁状態を保ちつつ、データ線引出部14の表面上に引き出されている。各共通線21は、共通線引出部15の表面上に引き出されている。なお、各共通線21は、各データ線19と同様に所定の間隔を隔てることで絶縁状態を保ちつつ共通線引出部15の表面上に引き出されてもよい。このような構成にすることで、走査線、データ線および共通線を短絡させることなく、装置外に引き出すことが可能となる。
【0031】
なお、有機トランジスタ181、画素電極183、走査線20、データ線19、共通線21、走査電極131、液晶を封止する樹脂、および共通電極184等は、投映原板11、データ線引出部14および共通線引出部15の外周から所定間隔を隔てて包みこむヘッドに設けられた複数のノズルから各部に対応する素材が、順次、投映原板11、データ線引出部14および共通線引出部15に向けて出射されることで形成される。これらは、所謂、印刷法にて形成される。また、液晶層185の液晶は、液晶を封止するための樹脂が形成された後に封入される。
【0032】
次に、本実施形態の投映装置1における所望の画像をスクリーンに投映する際の動作について図を参照して以下に説明する。図4は、ドーム型スクリーンに画像を投映する投映装置1を示す図である。
【0033】
なお、投映装置1の動作に際して、投映装置1は、コントローラ(不図示)と電気的に接続されて、コントローラにより制御される。また、データ引出部14には、データ引出部14の表面上に形成されている各データ線19とデータ引出部コネクタ(不図示)が接続され、データ引出部コネクタを介して各データ線19とコントローラが電気的に接続される。電極形成部13には、電極形成部13に形成されている各走査電極131と走査電極部コネクタ(不図示)が接続され、走査電極部コネクタを介して各走査電極131とコントローラが電気的に接続される。共通線引出部15には、共通線引出部15の表面上に形成されている各共通線21と共通線引出部コネクタ(不図示)に接続され、共通線引出部コネクタを介して各共通線21とコントローラが電気的に接続される。また、共通電極15は、共通線引出部コネクタおよびコントローラを介して接地される。また、光源17は、配線171を介してコントローラと電気的に接続され、コントローラから電力が供給される。また、コントローラは、図示はしていないが、各データ線19、各走査線20および光源17に電力を供給するための電源と、投映装置1を制御する制御部、所望の画像を投映するための各種制御プログラム等が格納された記憶部等を当然有して成る。
【0034】
また、投映装置1の動作に際して、投映装置1は、図4に示すように、投映装置台31上に配置されるなどして、投映部12の成す球の中心位置が、中空の球の下部を平面で切断した形状のドーム型スクリーン30が成す球の中心位置に一致するように配置される。
【0035】
本実施形態の投映装置1では、図1、図2および図4に示すように、制御プログラムに従って、コントローラからデータ引出部コネクタを介して、データ引出部14の表面上に形成されたデータ線19に所定レベルのデータ電圧が印加される。更に、コントローラから走査電極部コネクタおよび走査電極131を介して、走査線20に所定レベルの走査電圧が印加されると、有機トランジスタ181のゲートGがオン状態となり、データ線19から共通線21に電流が流れ、所定レベルの画素電圧が画素電極183に印加される。そして、画素電極183に画素電圧が印加されることで、液晶層185に電圧がかかり、液晶層185の液晶が相変化する。このとき、画素電極183まで透過した光源17からの光が、液晶層185を透過してドーム型スクリーン30に投映される。
【0036】
このように、本実施形態の投映装置1は、制御プログラムに従ってコントローラにより、m×nのマトリクス状に形成されている各画素部18の有機トランジスタ181が順次、駆動されることで、有機トランジスタ181がオン状態で液晶層185を透過した光源17からの光がドーム型スクリーン30に投映されるため、例えば、図4に示すように、ドーム型スクリーン30に星を示す画像32を静止画として投映したり、例えば、矢印A方向に移動する動画として投映したりすることができる。
【0037】
なお、ドーム型スクリーン30の代わりに、平面型あるいは非平面型のスクリーンが用いられてもよい。この場合、平面型あるいは非平面型のスクリーンに所望の画像が投映されるように、各画素部18の形状および投映装置1の制御プログラムの変更がされるとよい。
【0038】
上記で説明したように、本実施形態の投映装置は、中空の球の下部を平面で切断した形状の投映部12および投映部12の切断部に接続した円筒状の電極形成部13から成る投映原板11と、前記投映部12の内側の中心位置に設けられ、光を放射する光源17と、を有し、投映原板11の基材は、透明アクリル樹脂から成り、投映部12の外表面側には、マトリクス状に形成されたm本のデータ線19およびn本の走査線20と、データ線19と走査線20との交わる位置毎に形成された画素部18と、が形成されて成り、電極形成部13の外表面側には、前記n本の走査線20のそれぞれと電気的に接続された走査電極131が、形成されて成り、画素部18が、スイッチング素子としての有機トランジスタ181と、有機トランジスタ181のスイッチング状態に応じて所定の画素電圧が印加される画素電極183、画素電極183と対向する共通電極184、および画素電極183と共通電極184との間に挟まれた液晶層185を有するシャッター部182と、を有して成り、また、投映部12の外表面側には、m本のデータ線19のそれぞれが絶縁状態を保って、その表面上に引き出される絶縁性のデータ線引出部14と、投映部12を間に挟んでデータ線引出部14と対向する位置に、共通電極184に電気的に接続された共通線21が、その表面上に引き出される絶縁性の共通線引出部15と、が形成されて成り、液晶層185が、有機トランジスタ181がオン状態で、画素電極183に所定の画素電圧が印加されることで、光源17からの光を装置外部へ透過させる構成とされている。
【0039】
よって、本実施形態の投映装置1であれば、投映原板1を回転させる回転機構を有することなく、有機トランジスタ181のスイッチング状態に応じて、液晶層185を透過した光がスクリーンに投映されるため、コントローラの制御により有機トランジスタ181のスイッチング状態が制御されることで、所望の画像を静止画でスクリーンに投映したり、所望の画像を動画で投映したりすることが可能となる。また、本実施形態の投映装置1は、投映原板1を回転させる回転機構を備える必要がないため、安価で小型に製造することが可能となる。
【0040】
また、本実施形態の投映装置1において、投映原板11の基材に透光性基材の透明アクリル樹脂が用いられているため、光源17からの光が透過されやすい。
【0041】
また、本実施形態の投映装置1は、液晶層185の液晶には、ノーマリブラックの液晶が用いられる構成であったが、有機トランジスタ181が、オフ状態で、光源17からの光を透過させる液晶、すなわち、ノーマリホワイトの液晶が用いられてもよい。この場合、有機トランジスタ181が、オン状態になると、画素電極183に画素電圧が印加されることで、液晶層185のノーマリホワイトの液晶が相変化し、光源17からの光がシャッター部182を透過しなくなる。このような構成においても、上記と同様な効果を得ることが可能となる。
【0042】
また、本実施形態の投映装置1は、液晶が樹脂に封止された液晶層185を有する構成であったが、液晶に限定される必要はなく、画素電極183に画素電圧が印加されることで、相変化して光源17からの光を透過させる誘電体であればよい。
【0043】
また、本実施形態の投映装置1は、各データ線19および各共通線21のそれぞれが、第1引出部のデータ線引出部14および第2引出部の共通線引出部15の表面上に形成され、また、各走査線20が引出電極の走査電極131と電気的に接続されることで、各データ線19、各共通線21および各走査線20の引き出しが成されているが、このような構成に限定される必要はなく、各走査線、各データ線および各共通線のそれぞれが、第1引出部、引出電極および第2引出部を介して引き出されるように構成されてもよい。このような構成においても、上記と同様な効果を得ることが可能となる。
【0044】
また、投映装置1は、コントローラによって光源17に供給される電力が制御されて、光源17から出射される光量が調節されてもよい。これにより、投映装置1は、スクリーンに諧調が制御された画像を投映することが可能となる。
【0045】
また、投映装置1は、光源17にそれぞれ赤、青および緑を放射する光源が備えられてもよい。この場合、シャッター部182を透過する各光源からの光がスクリーンにカラー画像として表示されるように、各光源に供給する電力および有機トランジスタ181のスイッチングのタイミングが調整されるとよい。これにより、スクリーンに投映される画像をカラー化することが可能となる。
【0046】
また、投映部12にカラーフィルターが設けられるなどしてスクリーンに投映される画像がカラー化されてもよい。
【0047】
また、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、プラネタリウム用の投映装置や画像表示用の投映装置等に幅広く適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】は、本実施形態の投映装置の一例を模式的に示す斜視図である。
【図2】は、本実施形態の投映装置における投映原板の外表面側に形成された複数の画素部の等価回路の一例を示す図である。
【図3】は、データ線引出部近傍の拡大図である。
【図4】は、ドーム型スクリーンに画像を投映する投映装置を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1 投映装置
11 投映原板
12 投映部
13 電極形成部
131 走査電極
14 データ線引出部
15 共通線引出部
16 光源ホルダー
17 光源
171 配線
18 画素部
181 有機トランジスタ
182 シャッター部
183 画素電極
184 共通電極
185 液晶層
19 データ線
20 走査線
21 共通線
30 ドーム型スクリーン
31 投映装置台
32 画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空の球の下部を平面で切断した形状の投映部および該投映部の切断部に接続した円筒状の電極形成部から成る投映原板と、前記投映部の内側の中心位置に設けられ、光を放射する光源と、を有して成る投映装置であって、
前記投映原板の基材は、透明アクリル樹脂から成り、
前記投映部の外表面側には、マトリクス状に形成されたm本のデータ線およびn本の走査線(m、nは自然数)と、該データ線と該走査線との交わる位置毎に形成された画素部と、が形成されており、
前記電極形成部の外表面側には、前記n本の走査線のそれぞれと電気的に接続された走査電極が、形成されて成り、
前記画素部は、スイッチング素子としての有機トランジスタと、該有機トランジスタのスイッチング状態に応じて所定の画素電圧が印加される画素電極、該画素電極と対向する共通電極、および該画素電極と該共通電極との間に挟まれた液晶層を有するシャッター部と、を有して成り、
また、前記投映部の外表面側には、前記m本のデータ線のそれぞれが絶縁状態を保って、その表面上に引き出される絶縁性のデータ線引出部と、前記投映部を間に挟んで該データ線引出部と対向する位置に、前記共通電極に電気的に接続された共通線が、その表面上に引き出される絶縁性の共通線引出部と、が形成されて成り、
前記液晶層は、前記有機トランジスタがオン状態で、前記画素電極に前記所定の画素電圧が印加されることで、前記光源からの光を装置外部へ透過させることを特徴とする投映装置。
【請求項2】
中空の球の下部を平面で切断した形状の投映部および該投映部の切断部に接続した電極形成部から成る投映原板と、前記投映部の内側に設けられ、光を放射する光源と、を有して成る投映装置であって、
前記投映部の外表面側には、マトリクス状に形成されたm本のデータ線およびn本の走査線(m、nは自然数)と、該データ線と該走査線との交わる位置毎に形成された画素部と、が形成されており、
該画素部は、スイッチング素子としての有機トランジスタと、該有機トランジスタのスイッチング状態に応じて前記光源からの光を装置外部へ透過させるシャッター部と、を有して成ることを特徴とする投映装置。
【請求項3】
前記投映原板の基材は、透光性素材からなることを特徴とする請求項2に記載の投映装置。
【請求項4】
前記透光性素材は、透明アクリル樹脂であることを特徴とする請求項3に記載の投映装置。
【請求項5】
前記シャッター部は、前記有機トランジスタのスイッチング状態に応じて所定の画素電圧が印加される画素電極、該画素電極と対向する共通電極、および該画素電極と該共通電極との間に挟まれた液晶層を有し、
前記液晶層は、前記有機トランジスタのスイッチング状態に応じて前記画素電極に前記所定の画素電圧が印加されることで、前記光源からの光を装置外部へ透過させることを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれかに記載の投映装置。
【請求項6】
前記投映部の外表面側には、前記m本のデータ線あるいは前記n本の走査線のそれぞれが絶縁状態を保って、その表面上に引き出される絶縁性の第1引出部と、前記投映部を間に挟んで該第1引出部と対向する位置に、前記共通電極に電気的に接続された共通線が、その表面上に引き出される絶縁性の第2引出部と、が形成されて成り、
前記電極形成部の外表面側には、前記n本の走査線あるいは前記m本のデータ線のそれぞれと電気的に接続された引出電極が形成されて成ることを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれかに記載の投映装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−187688(P2007−187688A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−3117(P2006−3117)
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】