説明

投影露光系、ビーム伝送系及び光ビームの生成方法

【課題】ビーム伝送系のレーザから直接放出されたレーザ光よりもコヒーレンスが低減された光ビームを供給するビーム伝送系を提供する。
【解決手段】投影露光系のビーム伝送系は、キャビティ内の複数の縦レーザモードからレーザ光ビームを生成するレーザを含む。1つの縦レーザモードによって生成される光は平均線幅λlatを有し、ビームのレーザ光は、ビームの各横位置において、横レーザモードに対応する第2の線幅λlatを有し、ビームのレーザ光は、その断面全体にわたって平均化した場合、複数の横レーザモードに対応する線幅λbを有し、λm<λlat<λbである。ビーム上に配置される光遅延装置は、光路差ΔIを与える。但し、λ0は第1のレーザ光ビームの光の平均波長であり、λlatは第2の線幅を表している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ビームの生成方法、ビーム伝送系及び感光基板上にパターニング構造を結像するための投影露光系に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路、液晶素子、微細パターニング構造及びミクロ機械的部品などの小型化された構造の製造においては、一般に、リソグラフィ工程が用いられている。
【0003】
フォトリソグラフィに用いられる投影露光系は、一般に、ウエハと通常呼ばれる基板上に、レチクルと通常呼ばれるパターニング構造を撮像するための投影光学系を備えている。基板は、レジストと通常呼ばれる感光層で被覆され、撮像光を用いてパターニング構造の画像が露光される。撮像光はビーム伝送系によって生成され、ビーム伝送系は撮像光を用いてパターニング構造を照明する。
【0004】
ビーム伝送系は、撮像光を生成するためのエキシマレーザなどのレーザ光源を含む。
【0005】
レーザ光の空間的コヒーレンスにより、レーザ光の干渉は、パターニング構造が配置されている面の撮像光の強度の不均一をもたらすことが分かっている。スペックルノイズとしても知られている、このような光強度の不均一な分布により、投影露光系の撮像性能の低減が起こる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものである。
【0007】
本発明の実施形態は、投影露光系の投影画像におけるスペックルの視認性を低減する方法を提供する。
【0008】
本発明の他の実施形態は、ビーム伝送系のレーザから直接放出されたレーザ光よりもコヒーレンスが低減された光ビームを供給するビーム伝送系を提供する。
【0009】
本発明のさらなる実施形態は、撮像されるパターニング構造を照明するのに用いられる光の均一性を向上させることによって撮像性能が改善された投影露光系を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態によれば、光ビームの生成方法は、レーザのキャビティ内の複数の縦レーザモードを励起し、前記複数の縦レーザモードによって生成された光を合成して、第1のレーザ光ビームを形成する工程と、前記第1のレーザ光ビームを、少なくとも1つの第1の部分ビームと少なくとも1つの第2の部分ビームとに分離する工程と、前記少なくとも1つの第1の部分ビームと前記少なくとも1つの第2の部分ビームとを合成して、ビーム整形光学素子を通過し物体平面に入射する第2の合成レーザ光ビームを形成する工程とを含む光ビームの生成方法であって、前記分離する工程及び前記合成する工程が、前記縦レーザモードの光を少なくとも第1の光線部と第2の光線部とに分離する工程と、前記分離された第1及び第2の光線部を別々に処理する工程とを含むことを特徴とする。第1の光線部と第2の光線部とを別々に処理することにより、第1及び第2の光線部が投影光学系の物体平面又は像平面において同時に生成されないため、第1の光線部によって生じるスペックルパターンと第2の光線部によって生じるスペックルパターンとが物体平面において同時に生成されず、あるいは第1及び第2の光線部間の干渉によって低減が起こる。
【0011】
本発明の実施形態によれば、レーザは第1のレーザ光ビームを生成し、前記第1のレーザ光ビームは、第1の部分ビームと第2の部分ビームとに分離される。第2の部分ビームに対して、第1の部分ビームの光路差が与えられ、その後、第1及び第2の部分ビームが合成されて第2のレーザ光ビームが形成される。光路差Δlは、約0.8・λ02/(2Δλlat)よりも大きく、約1.8・λ02/(2Δλlat)よりも小さい。上記式中、λ0はレーザによって生成される光の平均波長であり、Δλlatはレーザの1つの横レーザモードから生成される光の線幅である。
【0012】
本明細書に記載のさらなる典型的な実施形態によれば、光路差Δlは、約0.85・λ02/(2Δλlat)よりも大きく、約1.5・λ02/(2Δλlat)よりも小さい。また、光路差Δlは、約0.9・λ02/(2Δλlat)よりも大きく、約1.2・λ02/(2Δλlat)よりも小さくてもよい。
【0013】
本発明の典型的な実施形態によれば、前記第1の部分ビームと前記第2の部分ビームとを合成する工程は、前記第1及び第2の部分ビームの断面が前記第2の合成ビームの断面内において互いに隣接して配置されるように行なわれる。
【0014】
さらなる典型的な実施形態によれば、複数の第1及び第2の部分ビームは、それらの断面が、前記合成されたビームの断面内において交互に配置されるように合成される。
【0015】
典型的な実施形態によれば、前記第1の部分ビームのビーム経路は、前記第2の部分ビームのビーム経路に対して横方向にずれる。このような第1の部分ビームと第2の部分ビームとのずれは、第1のレーザ光ビームの断面の横レーザモードの幅に対応する距離の10分の1よりも大きく、横レーザモードの幅に対応する距離よりも小さい距離であってよい。
【0016】
本発明の実施形態によれば、ビーム伝送系は、第1のレーザ光ビームを生成するためのレーザと、前記第1のレーザ光ビームのビーム経路に配置される光遅延装置とを含み、前記光遅延装置は、前記第1のレーザ光ビームの第2の部分ビームに対して、前記第1のレーザ光ビームの第1の部分ビームの光路差を生じさせるように構成され、光路差は約0.8・λ02/(2Δλlat)よりも大きく、約1.8・λ02/(2Δλlat)よりも小さい。
【0017】
典型的な実施形態によれば、光遅延装置は、透明材料からなる複数の第1のプレートで構成されるスタックを含み、前記スタックは、前記第1のレーザ光ビームの複数の第1の部分ビームが前記第1のプレートを通過し、複数の第2の部分ビームが隣接する第1のプレート間の空間を通過するように前記第1のレーザ光ビームの前記ビーム経路に配置される。
【0018】
本発明のさらなる実施形態によれば、ビーム伝送系は、レーザのキャビティ内の複数の縦レーザモードから第1のレーザ光ビームを生成するレーザと、前記第1のレーザ光ビームのビーム経路に配置され、前記第1のレーザ光ビームの少なくとも1つの第2の部分ビームに対して、前記第1のレーザ光ビームの少なくとも1つの第1の部分ビームの光路差を生じさせるように構成された光遅延装置とを含むビーム伝送系であって、前記光遅延装置が、所定の間隔で配置され透明材料からなる複数の第1のプレートで構成されるスタックを含み、前記第1のプレートを複数の第1の部分ビームのビーム経路が横切り、隣接する第1のプレート間の空間を複数の第2の部分ビームのビーム経路が横切ることを特徴とする。
【0019】
この実施形態において、前記光路差は1.8・λ2/(2Δλlat)よりも大きくてもよい。
【0020】
典型的な実施形態によれば、前記第1のプレートはそれぞれ、前記光遅延装置を通過する光の方向に対して実質的に平行に配置される。
【0021】
さらなる典型的な実施形態によれば、透明材料からなる第2のプレートが、隣接する第1のプレート間に挟持される。前記第1のプレートの長さ及び/又は前記第1のプレートの材料の屈折率はそれぞれ、前記第2のプレートの長さ及び前記第2のプレートの材料の屈折率と異なる。
【0022】
典型的な実施形態によれば、前記光遅延装置は、前記第1のレーザ光ビームの前記ビーム経路に配置され透明材料からなる第3のプレートを含み、前記第3のプレートの表面は、前記第3のプレートを通過する前記第1のレーザ光ビームの方向に対して横切るように配向される。前記第1の部分ビームは前記第3のプレートを直接通過し、前記第2の部分ビームは、前記第3のプレートの表面で2回以上内部反射し、前記第1の部分ビームと合成される。
【0023】
典型的な実施形態によれば、前記光遅延装置のすぐ上流にある前記第1のレーザ光ビームの断面と、前記光遅延装置のすぐ下流にある前記第2のレーザ光ビームの断面とは実質的に同じである。
【0024】
本発明のさらなる実施形態によれば、ビーム伝送系は、レーザのキャビティ内の複数の縦レーザモードからレーザ光ビームを生成するレーザと、前記レーザ光ビームのビーム経路に配置され、前記ビーム経路が閉ループを構成するように配置された複数の反射面を含む光遅延装置と、前記閉ループのビーム経路に配置され、100nmよりも大きい振幅を持つ複数の凸部及び凹部を有する構造化された位相変化表面を含む少なくとも1つの位相変化素子とを含むことを特徴とする。
【0025】
本明細書に記載の典型的な実施形態によれば、前記凸部及び凹部の横伸長は、前記位相変化表面と接触し前記キャビティ内の1つの縦レーザモードから発生するレーザ光のコヒーレント部の横伸長よりも小さい。つまり、前記凸部及び凹部の横伸長は、前記位相変化素子の位置の前記レーザ光ビームのコヒーレンスセルの横伸長よりも小さい。
【0026】
このため、1つの縦レーザモードによって生成される光は、閉ループを通過するたびに起こるレーザ光と位相変化表面との接触によってレーザモードの波面が変化するように、複数の異なる凸部及び/又は凹部と接触する。
【0027】
本発明のさらなる実施形態によれば、ビーム伝送系は、レーザのキャビティ内の複数の縦レーザモードからレーザ光ビームを生成するレーザと、前記レーザ光ビームのビーム経路に配置され、前記ビーム経路が閉ループを構成するように配置された複数の反射面を含む光遅延装置と、前記閉ループのビーム経路に配置された位相変化表面を含む少なくとも1つの位相変化素子と、前記光遅延装置を通過する前記レーザ光ビームに照射される前記位相変化表面の表面部を伝搬する表面弾性波を生成するための表面波生成器とを含むことを特徴とする。
【0028】
生成される表面弾性波は、位相変化表面を通過する際、1つの縦レーザモードによって生成されたレーザ光の異なる部分が、異なる位相変化を受けるような、構造化された位相変化表面を生成させるという効果を有する。
【0029】
上述した実施形態において、位相変化素子は、レーザパルス光の有効モード数又はレーザパルス光のコヒーレンスセルの有効数を人為的に増加させるという効果を有する。このため、より多くの独立した相関性のないスペックルパターンが形成され、像平面に重畳されるスペックルパターンの数が増えることにより、像平面の光強度の観察可能なばらつきを低減することができる。
【0030】
前記レーザは、KrFレーザ、ArFレーザ及びF2レーザなどのエキシマレーザを含んでいてもよい。
【0031】
さらなる典型的な実施形態によれば、前記レーザは、プリズム及び反射格子などの光学素子を有する線幅減少モジュールを含む。
【0032】
さらなる典型的な実施形態によれば、前記ビーム伝送系はさらに、分散プレート、回折光学素子、屈折光学素子などの光学素子を含む。
【0033】
本発明の実施形態によれば、投影露光系は、像平面に物体平面を結像するための投影光学系と、前記物体平面の領域にパターニング構造を搭載するための第1の台と、前記投影光学系の像平面の領域に基板を搭載するための第2の台とを含むことを特徴とする。投影露光系はさらに、上述したような、前記物体平面を照明する撮像光を生成するためのビーム伝送系を含む。
【0034】
本発明のさらなる実施形態によれば、投影露光系は、レーザのキャビティ内の複数の縦レーザモードからレーザ光ビームを生成するレーザと、前記レーザ光ビームのビーム経路に配置された光遅延装置とを含むビーム伝送系と、その物体平面に配置されたパターニング構造をその像平面に結像するための投影光学系とを含み、前記物体平面に配置されたパターニング構造を照明するために前記ビーム伝送系によって伝送されたレーザ光ビームが、前記物体平面において、2%よりも小さいスペックル強度変化を有することを特徴とする。
【0035】
このように、パターニング構造を照明する光のスペックルコントラストを低減することにより、投影光学系の物体平面において実質的に均一な光強度を実現できるという特別の利点が得られる。
【0036】
以下、添付図面を参照しながら本発明の典型的な実施形態を詳細に説明することにより、上記及び本発明の有利な特徴を明らかにするが、本発明のすべての実施形態が必ずしも本明細書に記載されている個々の利点を示すとは限らない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施形態における投影露光系の概略図である。
【図2】図1に示す投影露光系のビーム伝送系のレーザの概略図である。
【図3】図2に示すレーザによって生成されたレーザ光の線幅を示すグラフである。
【図4】図2に示すレーザの縦レーザモードと横レーザモードの概略図である。
【図5】図1に示す投影露光系のビーム伝送系の光遅延装置を示す斜視図である。
【図6】図5に示す光遅延装置によって生じた光路差を示すグラフである。
【図7】図1に示す投影光学系のビーム伝送系に使用できる光遅延装置のさらなる実施形態の断面図である。
【図8】図1に示す投影光学系のビーム伝送系に使用できる光遅延装置のさらなる実施形態の断面図である。
【図9】図1に示す投影光学系のビーム伝送系に使用できる光遅延装置のさらなる実施形態の断面図である。
【図10】図9に示す光遅延装置の位相変化素子の断面図である。
【図11】図9に示す光遅延装置に使用できる位相変化素子のさらなる例の断面図である。
【図12】図9に示す光遅延装置に使用できる位相変化素子のさらなる例の正面図である。
【図13】図1に示す投影光学系のビーム伝送系に使用できる光遅延装置のさらなる実施形態の斜視図である。
【図14】本発明のさらなる実施形態における投影露光系の概略図である。
【図15】図1又は図2に示す投影光学系のビーム伝送系に使用できる光遅延装置のさらなる実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下に示す典型的な実施形態において、機能及び構造が等しい構成要素は、可能な限り同じ参照符号で示す。従って、特定の実施形態の個々の構成要素の特徴を理解するために、他の実施形態の説明及び課題を解決するための手段を参照されたい。
【0039】
図1は、投影露光系1を模式的に示している。投影露光系1は投影光学系3を含み、この投影光学系3は、投影光学系3の像平面7上に投影光学系3の物体平面5を結像するための複数のレンズ又はミラーを含んでいる。レチクル9は、レチクル9が与えるパターニング構造が物体平面5に配置されるようにレチクルステージ11に搭載される。ウエハ13は、ウエハ13の表面に設けられた感光性レジストが像平面7に配置されるようにウエハステージ15に搭載される。レチクル9のパターニング構造は、ビーム伝送系21によって生成される撮像光のビーム17によって照明される。
【0040】
ビーム伝送系21は、レーザ光源23を含んでいる。本実施形態において、レーザ光源23は、KrFレーザ、ArFレーザ及びF2レーザなどのエキシマレーザである。後でより詳細に説明するが、レーザ光源23によって生成されるレーザ光ビーム25は、光遅延装置27を通過し、レーザ光のコヒーレンスを低減させる。ビーム25はその後、ビームエキスパンダー29を通過する。ビームエキスパンダー29は、屈折光学素子、レンズ系31、フライアイ素子などの屈折光学素子33、さらなるレンズ系35、回折板37、ガラスロッドなどのビーム均一化装置39、ミラー43で反射してレチクル9に入射するさらなるレンズ系41により構成することができる。光学素子29、31、33、35、37、39及び41は、照明ビーム17の光の光強度がレチクル9の照明領域において実質的に一定となり、物体平面5に対する角度分布が所望の角度分布となるように配置されている。
【0041】
ここまで説明した光学素子29〜41の配置は、照射ビーム17を整形するための従来の配置であってもよい。ビーム伝送系のさらなる従来の配置は、例えば、米国特許第6,285,443号明細書、同第5,926,257号明細書及び同第5,710,620号明細書により知られている。その内容をここに参照することにより援用する。
【0042】
図2は、エキシマレーザ光源23の概略図である。レーザ光源23は、紫外線を放出するエキシマ分子を生成するため、高電圧パルスによって励起されたガスを封入したガスチャンバー51を含んでいる。
【0043】
レーザ光源23はさらに、生成されたビーム25が通過するレーザの出射窓を形成する半透明ミラー53を含んでいる。レーザ23はさらに、線幅減少モジュール55を含んでいる。線幅減少モジュール55は、絞り(aperture)57と、2つのプリズム59と、反射格子61とにより構成されている。ガスチャンバー51と出射窓53との間には、さらなるビーム形成絞り(beam defining aperture)63が配置されている。
【0044】
レーザ23は、例えば、4,000Hz〜6,000Hzの繰り返し周波数で、約20ns〜約150nsの持続時間を有するレーザ光パルスを生成してもよい。例えば、各パターンをウエハに露光するのに40パルスが用いられる。レーザ23は、複数の横レーザモードと縦レーザモードをサポートするマルチモードレーザである。このレーザから放出される光25の平均波長はλ0である。線幅減少モジュール55により、平均波長λ0のまわりの波長分布は、図3に示すような比較的狭い線幅Δλbであり、図3には波長λに対する光強度Iの分布を表す線65が示されている。レーザ23から放出される光25は、ビーム25の光の線幅Δλbよりも小さい線幅を有する複数の縦レーザモードと横レーザモードから発生する。図3には、線幅Δλmを有する典型的なレーザモードのスペクトル強度分布を表す線67が示されている。
【0045】
図4は、レーザ23によって生成される光パルス71の概略図である。光パルス71は、チャンバー51内の複数の縦レーザモードと横レーザモードから生成される光で構成され、コヒーレント光の体積73は制限される。この略図において、コヒーレント光の体積73はそれぞれ、縦方向の伸長lc(long)及び両横方向の伸長lc(lat)を有する。図4の参照符号75は、異なる横モードによって同時に生成される複数のコヒーレンス体積(coherence volume)を示し、参照符号76は、同じ横位置で異なる縦モードによって生成されるコヒーレンス体積を示している。特定の横位置で放出される光を供給する一連の縦モード76も横モードと呼ばれる。
【0046】
尚、図4はあくまでも概略図であって、単に例示を目的としたものである。実際には、コヒーレンスセルは、図4に示されているような立方形ではない。また、コヒーレンス体積は、縦方向と横方向の両方において重複する。
【0047】
1つのコヒーレンス体積73内の光はコヒーレント光であるため、1つのコヒーレンスセル73から発生する光から干渉パターンが形成され得る。しかし、1つのコヒーレンスセルからの光に異なるコヒーレンスセルからの光が重畳しても、異なるセル間でコヒーレンス状態は実現されないため、干渉パターンは生成されない。
【0048】
図4に斜線で示した典型的なコヒーレンスセル73の光は、ピーク波長λlでは、図3の線67で示すようなスペクトル密度を有すると仮定される。その他のコヒーレンスセルからの光は異なるピーク波長を有し、線幅が僅かに異なる場合があるため、すべてのコヒーレンスセルの光を合わせると、図3の線65で示すようなスペクトル分布となる。
【0049】
レーザキャビティ51の形状及び線幅減少モジュール55の分散により、レーザによって放出される光の平均波長は、ビーム25の断面において異なる。ビームの方向に対して平行な1列に配置された複数の縦モードで形成された1つの横モードによって生成されるレーザ光のスペクトル分布は、ビーム全体のスペクトル分布よりも狭く、縦レーザモードのスペクトル分布よりも広い。図3の線66は、典型的な横レーザモードのスペクトル分布を示している。
【0050】
以下の表1に、典型的なKrFレーザ及び典型的なArFレーザのデータを示す。
【0051】
【表1】

【0052】
λ0はピーク波長を表し、Δλbはビームを形成する複数のレーザモードから生成されるレーザ光の線幅を表し、Nlongは縦モードの数を表し、Nlatは横モードの数を表し、Ntot=Nlong・Nlatで、これは1つのパルスを供給するレーザモードの合計数を表している。
【0053】
ビームの各横位置で、複数の縦モードからなる横モードから光が生成される。1つの縦モードの線幅はΔλmで表され、得られる特定の横位置での横モードの線幅はΔλlatで表される。
【0054】
mは、式lm=λ02/2・Δλmによって計算される1つのレーザモードからの光のコヒーレンス長を表している。
【0055】
表1にさらに、比較式(comparative expression)llat=λ02/2・Δλlat及びlb=λ02/2・Δλbを示す。
【0056】
1つのコヒーレンスセル73からの光は、ビーム伝送系21を通過し物体平面5に入射する。物体平面5のどの位置においても、入射光は、ビーム伝送系を異なる光路で通過しそれぞれ僅かに異なる光路長を経た光線からなる。従って、1つのコヒーレンスセル73からのコヒーレント光は、物体平面5において、スペックルパターンなどの干渉パターンを発生させる場合がある。その光強度は物体平面において変調され、そこでスペックルコントラストは100%もの高率になる場合がある。つまり、建設的干渉が一部で起こり、他の部分で完全破壊的干渉が起こる可能性がある。
【0057】
異なるコヒーレンスセルから発生する光は互いに干渉しないため、各コヒーレンスセルは物体平面において独立したスペックルパターンをもたらす。このように複数の独立したパターンによって物体平面の光強度が平均化され、
【0058】
【数1】

【0059】
で平均化することにより、強度変調は、1つのコヒーレンスセルの光によって起こる変調と比較して小さくなる。
【0060】
このような平均化を行なっても、光強度分布は物体平面5において十分に一定とはならない場合がある。このため、撮像光のビーム経路に光遅延装置が配置されている。
【0061】
また、ビーム伝送系の形状に応じて、異なる縦モードが物体平面において同じスペックルパターンを発生させることができる。この場合、平均化に係わるモードの数Nは、レーザによってサポートされるモードの合計数Ntotではなく、縦モードの少ない方の数Nlatによって決定される。
【0062】
光遅延装置27は、照明光のコヒーレンスを低減させる機能を有し、図5に示すような構成を有している。光遅延装置27は、d2の間隔で並べられ、厚さがd1の複数のガラスプレートにより構成されている。ガラスプレート81は、スタックとして搭載され、両側面85においてプレート81と噛み合った2つのフレーム83によって固定されている(図5においては、一方のフレームのみが示されている)。破線87は、プレート81の前面89に入射するビーム25の断面を示す。プレート81の平坦な主面91は、ビーム25に対して平行な方向に長さLにわたって延びている。
【0063】
プレート81のスタックに入射するビーム25は、ガラスプレート81を通過する第1の部分ビームと隣接するガラスプレート81間の空間を通過する第2の部分ビームとに分離される。プレート81を通過する第1の部分ビームは、隣接するプレート81間の空間を通過する第2の部分ビームに対して、Δl=(n−l)・L(但し、隣接するプレート間の媒質の屈折率は1とする)の光遅延又は光路長差を生じる。長さLは、Δl=λ02/2・Δλlatを満たすように選択される。また、スタックのピッチd1+d2は、入射ビーム25の横レーザモードの横伸長と同じかそれより小さくなるように選択される。ビーム断面が正方形の場合、横レーザモードの横伸長は、およそビームの直径を
【0064】
【数2】

【0065】
で割ったものとなる。ここで、
【0066】
【数3】

【0067】
は、ビームの横モードの数である。従って、1つの横レーザモードからのコヒーレント光は、光遅延される少なくとも1つの第1の部分ビームと、遅延されず光遅延装置27を通過する少なくとも1つの第2の部分ビームとに分離される。
【0068】
これについて図6でさらに説明する。図6において、第1の線95は、遅延されない第1の部分ビームの時間的な強度分布を表し、第2の線97は、遅延される第1の部分ビームの時間的な強度分布を表している。
【0069】
光パルス95及び97のそれぞれが、物体平面5においてスペックルパターンを形成する可能性があることは明らかであるため、光遅延装置27は、物体平面で干渉パターンを形成できる光モードの数を倍増するという第1の効果を有する。この光遅延装置27の第1の効果により、物体平面5の強度変調を
【0070】
【数4】

【0071】
だけ低減することができる。
【0072】
さらに、パルス95及び97の時間的な重なりにより、パルス95の光は、パルス97のコヒーレント光と干渉する可能性がある。しかし、プレート81を通過する光は、プレート81間の空間を通過する光よりもllatだけ遅延されるだけでなく、プレートを通過する光は、プレート81を通過しない光に対して位相がずれる。この位相のずれは0〜2πの範囲内であり、光の長さLと波長λに依存する。レーザモードの波長λは、ピーク波長λ0のまわりにおいてランダムな分布を有するため、光遅延装置27によって様々なレーザモードからの光が受けるこの位相のずれもランダムな分布を有する。従って、図6において斜線部分として示されたパルス95及び97の光強度の重複部分は、物体平面5において干渉パターンを生成する。干渉パターンは、ランダムな平均化が起こるように、コヒーレンスセルごとに異なる。従って、光遅延装置27の第2の効果は、第1及び第2の部分ビーム間にランダムな位相のずれを導入して、物体平面の強度変調をさらに低減させることである。
【0073】
上記で説明したような光遅延装置を用いれば、スペックルにより、レーザ光のコヒーレンスを、投影露光系の物体平面、つまり、像平面の強度変調が1%と低くなるまで低減することができる。
【0074】
さらなる実施形態によれば、図5に示すような光遅延装置がビーム25上に配置される。この場合、プレート81の長さLを大きくして、図6の線95と線97との実質的な重複が起こらないように、Δλ02/2・Δλlatよりも大きい実質的にさらに大きな光遅延差又は光路長差ΔLを生成する。このような重複がなくても、この実施形態によれば、互いに干渉しないレーザモードの数が増えるため、物体平面のスペックルコントラストの低減に寄与することができる。
【0075】
さらなる実施形態によれば、図5に示すタイプの複数の光遅延装置がビーム25のビーム経路に配置される。例えば、ビーム25において、第1の光遅延装置27を第2の光遅延装置27の上流に配置することができる。第1及び第2の光遅延装置のプレート81は、ビーム25に対して異なる向きを有していてもよい。例えば、第1の光遅延装置のプレート81を図5に示すように水平方向に向け、第2の光遅延装置のプレート81を垂直方向に向けることができる。
【0076】
さらなる実施例によれば、第1及び第2の光遅延装置の両方のプレートは同じ方向に向けられる。この場合、第2の光遅延装置のプレートは、第1の光遅延装置のプレートに対して水平方向に(laterally)ずらされる。これにより、第1の光遅延装置のプレートだけを通過するビームレーザ光、第2の光遅延装置のプレートだけを通過するビームレーザ光、第1及び第2の光遅延装置の両方のプレートを通過するビームレーザ光、第1及び第2の光遅延装置のいずれのプレートも通過しないビームレーザ光が生成する。
【0077】
さらにまた、第1及び第2の光遅延装置は、長さLが異なるプレートを有することができる。
【0078】
図7は、ビーム伝送系において用いることのできる光遅延装置27aのさらなる実施形態を示す。
【0079】
光遅延装置27aは、図5のものと同様の構造を有している。すなわち、厚さがd1の複数の平行なガラスプレート81aがd2の間隔で配置されている。プレート81aは、入射ビーム25a方向の長さL1を有している。また、d2の厚さを有するガラスプレート82が隣接するプレート81間に挟持されている。プレート82の前面は、プレート81aの前面89aと面一になっている。プレート82は、プレート81aの長さL1よりも小さいビーム25a方向の長さL2を有している。長さL1及び長さL2は、所望の光遅延lmが生じるよう、以下の関係式を満たすように設定されている。
【0080】
【数5】

【0081】
上記関係式中、
1はプレート81aの材料の屈折率であり、
2はプレート82の材料の屈折率である。但し、単純化のため、隣接するプレート81間の空隙内のガス又は真空の屈折率は1と仮定する。
【0082】
さらに、プレート82の材料は、レーザ光の吸収及び散乱などにより、プレート81aの材料の吸光度よりも高い吸光度を有していてもよい。さらに、プレート81aを通過する第1の部分ビームとプレート82を通過する第2の部分ビームが光遅延装置27aを通過する際に実質的に同じ吸光度を有するように、長さL1及び長さL2が決定される。
【0083】
図8は、さらなる実施形態である光遅延装置27bを示す。光遅延装置27bは、第1の主面103と第1の主面103に平行な第2の主面105とを有するガラスプレート101を含んでいる。第1の主面103は、入射するレーザ光ビーム25bを横切るように配向し、さらに、第1の主面103のノーマル表面は、入射ビーム25bの方向に対して角度aで配向している。第2の主面105は、半透明な面であり、入射ビーム25bを、プレート101を直接通過する第1のビーム26と、第2の主面105で反射しその後第1の主面103で反射して第2の主面105を通過しビーム26に重畳する第2の部分ビーム28とに分離する。プレート101の厚さdは、部分ビーム28が部分ビーム26に対して、Δl=λ02/(2Δλlat)の遅延を生じるように選択される。
【0084】
【数6】

【0085】
上記関係式中、nはプレート101の材料の屈折率である。
【0086】
角度aにより、部分ビーム28は、部分ビーム26に対して、水平方向に(laterally)量δDだけずれる。このようなずれはさらに、部分ビーム28の光が部分ビーム26の光と干渉することによって生成される干渉パターンの変調の低減に寄与する。
【0087】
ずれδDは、横モードの横伸長に基づいて決められるのが有利である。第1の実施例によれば、角度αは以下の関係式を満たす。
【0088】
【数7】

【0089】
さらなる実施例によれば、角度αは以下の関係式を満たす。
【0090】
【数8】

【0091】
又は
【0092】
【数9】

【0093】
入射ビーム25bの直径D1と比較すると、合成された部分ビーム26、28の直径D2は、δDという小さい値分だけ増加している。
【0094】
図9は、さらなる実施形態である光遅延装置27cを示す。光遅延装置27cは、5つの表面113、114、115、116及び117を有するプリズム111を含んでいる。
【0095】
表面113は、入射ビーム25cを、プリズム111の表面113で直接反射する第1の部分ビーム26cと、表面113で屈折しプリズム111のバルク材に入射する第2の部分ビーム30とに分離する半透明の表面である。ビーム30はその後、内部反射によってプリズム111の表面114、115、116及び117で反射して、再度プリズム111の内部から表面113に入射する。このビームの一部は、表面113を通過し、遅延ビーム28cとして、表面113で直接反射したビーム26cと結合する。ビーム30のビーム経路は、プリズム111内で閉ループを形成する。
【0096】
プリズム111は、(100)結晶面が表面113に対して45°の角度で配向されるような結晶方位を有するCaF2材料で構成することができる。このような結晶方位は、材料に本質的に備わっている複屈折が材料を通過するビーム30を減少させる効果を有する点において有利である。入射ビーム25cの光が、2分の1波長板121などの偏光子121によって偏光されると、遅延されたビーム28cは、直接反射したビーム26cと実質的に同じ偏光を有する。
【0097】
位相変化素子101cのようなさらなるプレートは、ビーム30がプレート101cの表面103cに実質的に直交して入射するように、プリズム111を通過するビーム30のビーム経路に配置される。
【0098】
図10は、プレート101cの拡大断面の一部を模式的に示す。プレート101cの構造化された表面103cは、凸部131と凹部133が形成された段差面であり、プレート101cの厚さは表面において様々である。最小厚さはbであり、最大厚さはb+aである。同じ厚さの窪み部(step portions)は横寸法sを有している。突起部(steps)の高さa及び窪み部の幅sはどちらも、プレート101cの表面において様々である。図示された実施例の場合、幅sは、プレート101cを通過するビーム30の横レーザモードの横伸長lc(lat)の0.1〜5.0倍の範囲内にある。突起部(stepped portions)の最大高さaは、レーザ光のある複数の波長と同じになってもよい。例えば、高さaの値は、200〜500nmの範囲内、又は数μmと高くてもよい。凸部131及び凹部133は、例えば、リソグラフィ法によって作製することができる。
【0099】
さらに、突起部のそれぞれの高さ及びその幅sの分布は、プレート101cの位相変化効果もビーム28cの断面においてランダムな効果を有するように、ランダムな分布を有する。
【0100】
構造化された表面103cは、表面103cを通過するレーザ光の波面を微量に変形させて表面103cを通過した光の伝搬方向を微量に変化させるという効果を有する。この光が表面113を通過して、表面113で直接反射したビーム26cと結合した場合、直接反射した光と完全には一致しない。このため、合成されたビーム26、28は、同じ縦レーザモードによって生成され僅かに異なる方向に伝搬する光を含む。これにより、光遅延装置の下流に配置された物体平面においてスペックルパターンが異なる。異なるスペックルパターンの数が増加することにより、物体平面の光分布の均一性が大幅に向上する。
【0101】
また、一度(a first time)構造化された表面103cを通過したビーム30の光の一部は、表面113で反射し、再び(a second time)構造化された表面103cを通過する。これにより、この光にさらなる位相変化効果が与えられる。この光の一部は半透明な表面113を通過してビーム26cと合成され、また一部は表面113cで反射し、構造化された表面103cなどを通過することによってさらなる位相変化効果を得る。
【0102】
図11は、さらなる実施例である、構造化された位相変化表面103dを有するプレート101dを模式的に示す。構造化された表面103dは、複数の凸部131dと凹部133dとを含んでいる。凸部131dと凹部133dは、プレート101d上で複数の小さなプリズムを形成し、これにより、表面103dを通過するレーザ光の波面のずれが起こる。表面上の横方向のプリズムの特性寸法又は伸長は、例えば、同じ縦レーザモードから発生するレーザ光の一部の横伸長Lc(lat)よりも小さく、例えば、5〜10分の1である。表面103dの主面方向に対するプリズムの表面部の傾斜角度εは、プリズムごとにランダムに異なっていてもよい。さらにまた、凸部131dと凹部133dとの間の振幅又は高さの差は、プリズムごとにランダムに異なっていてもよい。
【0103】
図9に示す実施形態においては、位相変化表面103cをビーム30が通過する。しかし、この構造化された位相変化表面と接触するビームがそこで反射するように、構造化された位相変化表面を反射面113、114、115、116及び117の一つとして用いることができる。
【0104】
図15は、さらなる実施形態である図9に示したのと同様の閉ループ型光ビーム経路を生成するプリズムを含む光遅延装置27dを模式的に示す斜視図である。この実施形態において、構造化された位相変化表面103dは、プリズムの反射面114dに設けられる。閉ループを通過する光ビームは、内部反射によって構造化された位相変化表面103dで反射する。表面103dは、大きさや面方位がランダムなプリズムを形成する複数の凸部131dと凹部133dとによって構造化されている。図15において凸部131dと凹部133dは大きく描かれているが、実際には凸部131dと凹部133dは小さく、その特徴的な横伸長は、構造化された表面に入射し反射するレーザ光のコヒーレンスセルの横伸長よりも小さい。
【0105】
図12は、反射性を有する位相変化表面の正面図であり、反射面の構造は表面弾性波によって生成される。このため、複数のインターディジタル電極143を含む表面波生成器141が表面103e上に設けられており、高周波生成器145に接続されている。表面103eを形成するプレート101eの基板材料は、高周波生成器145によって生成される高周波電圧が表面103eを方向147に伝搬する表面弾性波を生成するように、圧電性の材料からなる。図12の破線149は表面弾性波の波面を示し、図12の矩形151は表面103eの一部を示している。この部分で、ビーム30が表面103eに入射し、表面弾性波149と接触してもよい。
【0106】
図13は、図9に示したものと同様のさらなる光遅延装置の斜視図である。図13に示す光遅延装置27fは、反射面114f、115f及び116fが、プリズムに備えられた内部反射面ではなく、ミラー114f、115f、116fであるという点において、図9に示したものとは異なっている。半透明の表面113fは、ビーム25fが入射するビームスプリッタとして設けられており、このビームの一部26fはビームスプリッタ113fを通過し、もう一部30fはビームスプリッタ113fで反射する。その後、反射面114f、115f及び116fで反射することにより、ビーム30fの閉ループ型ビーム経路が形成され、ビーム30fは再度ビームスプリッタ113fに入射する。このビームの一部はビームスプリッタ113fで反射し、ビーム28fとしてビーム26fと結合するが、このビームのもう一部は、ビームスプリッタ113fを通過し、2回目以降閉ループを通過する。反射面114f、115f及び116fのいずれも、上述した図10、図11及び図12を参照して説明したタイプの構造化された表面として形成することができる。さらにまた、ビーム30fがこのプレートを通過する際に位相変化を生じさせることができるように、そのような構造化された表面を有するプレートをミラー114f、115f及び116fのいずれかの間に配置してもよい。
【0107】
図14は、さらなる実施例である、上述したような光遅延装置を搭載できる投影露光系1gの概略図である。投影露光系1gは、物体平面5gが像平面7g上に結像されるように、投影光学系3gの物体平面5gを照明するためのビーム伝送系21gを含んでいる。
【0108】
ビーム伝送系21gは、エキシマレーザなどのレーザ光源23gを含んでいる。レーザ23gは、光源23gから放出されるビーム25gが既に拡大ビームとなるように、ビーム拡大光学素子を含んでいてもよい。ビーム25gは、レーザ光のコヒーレンスを低減し、物体平面5gと像平面7gにおいてそれぞれ発生するスペックルコントラストを低減する上述したタイプの光遅延装置27gを通過する。
【0109】
光遅延装置27gを通過したレーザ光は、瞳整形(pupil shaping)ディフューザ32を通過する。瞳整形ディフューザ32は、集光レンズ164によって生成される瞳面171の形状及び光分布を決めるコンピュータ生成ホログラム(CGH)などの回折格子を備えていてもよい。
【0110】
瞳面171には、フライアイインテグレータ33gが配置されている。フライアイインテグレータ33gを通過した光は、レンズ又はレンズ系163を通過し、レンズ163の下流にフィールド面157を形成する。フィールド面157は、レチクルマスキングレンズ系167、169により、投影光学系3gの物体平面5g上に結像される。フィールド面157には、レーザ光で照明される物体平面5gの部分を形成するための視野絞り153が配置されている。上述したようなタイプの光遅延装置27gがレーザ光のビーム経路に配置されるため、物体平面5gにおいて生成されるスペックルコントラストは、2%又は1%よりも小さい量にまで効果的に低減される。
【0111】
さらなる実施形態によれば、図5、図7及び図8に示すどの光遅延装置でも、図9に示すタイプのビーム経路、すなわち、複数の反射面によって形成される閉ループ型経路に配置することができる。尚、図9のプリズム111と組み合わせて説明した5つの反射面の数は単に例示であり、反射面の数は、反射面の相対的角度を適切に調整することにより、3つや4つに減らしたり、又は5つ以上に増やしたりすることができる。さらにまた、図10に示した位相変化素子のようなプレートを、閉ループの外側のビーム伝送系のビーム経路に配置することもできる。例えば、図10に示す位相変化素子のようなプレートを、図1に示すビーム伝送系において光遅延装置27として配置してもよい。
【0112】
上記で説明した実施形態の1つを上記で説明した別の実施形態と組み合わせ、組み合わせた実施形態が、上記で説明した実施形態の1つ又はそれ以上の特徴及び上記で説明した別の実施形態の1つ又はそれ以上の特徴を備えることも想定される。
【0113】
以上、特定の典型的な実施形態について本発明を説明したが、様々な変更や変形が可能なことは当業者に明らかである。従って、本明細書に記載した本発明の典型的な実施形態は、本発明を説明するものであって、限定するものではない。添付した特許請求の範囲において定義されている本発明の要旨及び範囲を逸脱しない範囲内において種々な変更を行なうことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザのキャビティ内の複数の縦レーザモードを励起し、前記複数の縦レーザモードによって生成された光を合成して、第1のレーザ光ビームを形成する工程と、
前記第1のレーザ光ビームを、少なくとも1つの第1の部分ビームと少なくとも1つの第2の部分ビームとに分離する工程と、
前記少なくとも1つの第1の部分ビームと前記少なくとも1つの第2の部分ビームとを合成して、ビーム整形光学素子を通過し物体平面に入射する第2の合成レーザ光ビームを形成する工程とを含む光ビームの生成方法であって、
前記分離する工程及び前記合成する工程が、前記縦レーザモードの光を少なくとも第1の光線部と第2の光線部とに分離する工程と、前記分離された第1及び第2の光線部を別々に処理する工程とを含むことを特徴とする光ビームの生成方法。
【請求項2】
前記分離された第1及び第2の光線部を別々に処理する工程が、前記第2の光線部に対して、前記第1の光線部の光遅延を発生させる工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の部分ビーム及び前記第2の部分ビームの少なくとも1つが、前記第1の部分ビーム及び前記第2の部分ビームの少なくとも1つにおける1つの縦レーザモードから発生する光線部の横伸長(lateral extension)よりも小さい前記第1の部分ビーム及び前記第2の部分ビームの少なくとも1つに対して横切る特徴的な横伸長を有する複数の位相変化構造(phase changing structure)と接触する(interact)請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記光遅延が、前記第1及び第2の光線部が時間的な重なりを持つような時間の長さを有する請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記分離された第1及び第2の光線部を別々に処理する工程が、前記第2の光線部に対し、前記第1の光線部の伝搬方向において差を発生させる工程を含む請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
レーザのキャビティ内の複数の縦レーザモードから第1のレーザ光ビームを生成するレーザと、
前記第1のレーザ光ビームのビーム経路に配置される光遅延装置であって、前記第1のレーザ光ビームの少なくとも1つの第2の部分ビームに対して、前記第1のレーザ光ビームの少なくとも1つの第1の部分ビームの光路差を生じさせるように構成され、前記第1の部分ビーム及び前記第2の部分ビームの少なくとも1つにおける1つの縦レーザモードから発生する光線部の横伸長よりも小さい前記第1の部分ビーム及び前記第2の部分ビームの少なくとも1つに対して横切る特徴的な横伸長を有する複数の位相変化構造を含む光遅延装置とを含むことを特徴とするビーム伝送系。
【請求項7】
前記複数の位相変化構造が、複数のプレートを含む請求項6に記載のビーム伝送系。
【請求項8】
前記複数のプレートが、それぞれ、前記第1のレーザ光ビームのビーム方向に対して実質的に平行に配置された請求項7に記載のビーム伝送系。
【請求項9】
前記複数の位相変化構造が、表面上に設けられた複数の凸部及び凹部を含む請求項6に記載のビーム伝送系。
【請求項10】
前記光遅延装置が、前記第1の部分ビーム及び前記第2の部分ビームの1つに閉ループ型ビーム経路を形成するように構成された請求項6〜9のいずれかに記載のビーム伝送系。
【請求項11】
レーザのキャビティ内の複数の縦レーザモードを励起し、前記複数の縦レーザモードによって生成された光を合成して、第1のレーザ光ビームを形成する工程であって、前記複数の縦レーザモードのうちの1つの縦レーザモードによって生成される光は、平均的な第1の線幅を有し、前記合成された第1のビームのレーザ光は、前記第1のビームの各横位置において、横レーザモードに対応する第2の線幅を有し、前記合成された第1のビームのレーザ光は、その断面全体にわたって平均化した場合、複数の横レーザモードに対応する第3の線幅を有し、前記第2の線幅は前記第1の線幅よりも大きく、前記第3の線幅は前記第2の線幅よりも大きい工程と、
前記第1のレーザ光ビームを、少なくとも1つの第1の部分ビームと少なくとも1つの第2の部分ビームとに分離する工程と、
前記少なくとも1つの第2の部分ビームに対して、前記少なくとも1つの第1の部分ビームの光路差を生じさせる工程と、
前記少なくとも1つの第1の部分ビームと前記少なくとも1つの第2の部分ビームとを合成して、第2の合成レーザ光ビームを形成する工程とを含む光ビームの生成方法であって、
以下の関係式を満たすことを特徴とする光ビームの生成方法。
【数1】

上記関係式中、
Δlは前記光路差を表し、
λ0は前記第1のレーザ光ビームの光の平均波長であり、
Δλlは前記第2の線幅を表している。
【請求項12】
前記少なくとも1つの第1の部分ビームと前記少なくとも1つの第2の部分ビームとを合成する工程は、前記少なくとも1つの第1の部分ビームと前記少なくとも1つの第2の部分ビームの断面が前記合成された第2のビームの断面内において互いに隣接して配置されるように行なわれる請求項11に記載の方法。
【請求項13】
複数の第1の部分ビームと複数の第2の部分ビームとは、前記第1の部分ビームと前記第2の部分ビームの断面が前記合成された第2のビームの断面内において交互に隣接して配置されるように第2の合成ビームに合成される請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの第1の部分ビームと前記少なくとも1つの第2の部分ビームとを合成する工程は、前記少なくとも1つの第2の部分ビームのビーム経路に対して、前記少なくとも1つの第1の部分ビームのビーム経路が横方向にずれるように行なわれる請求項11〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの第1の部分ビームのビーム経路が、前記少なくとも1つの第2の部分ビームのビーム経路に対して、前記第1のレーザ光ビームの断面の横レーザモードの幅に対応する距離の10分の1よりも大きい距離だけ横方向にずれる請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの第1の部分ビームのビーム経路が、前記少なくとも1つの第2の部分ビームのビーム経路に対して、前記第1のレーザ光ビームの断面の横レーザモードの幅に対応する距離よりも小さい距離だけ横方向にずれる請求項14に記載の方法。
【請求項17】
レーザのキャビティ内の複数の縦レーザモードから第1のレーザ光ビームを生成するレーザであって、前記複数の縦レーザモードのうちの1つの縦レーザモードによって生成される光は、平均的な第1の線幅を有し、前記第1のビームのレーザ光は、前記第1のビームの各横位置において、横レーザモードに対応する第2の線幅を有し、前記第1のビームのレーザ光は、その断面全体にわたって平均化した場合、複数の横レーザモードに対応する第3の線幅を有し、前記第2の線幅は前記第1の線幅よりも大きく、前記第3の線幅は前記第2の線幅よりも大きいレーザと、
前記第1のレーザ光ビームのビーム経路に配置され、前記第1のレーザ光ビームの少なくとも1つの第2の部分ビームに対して、前記第1のレーザ光ビームの少なくとも1つの第2の部分ビームの光路差を生じさせるように構成された光遅延装置とを含むビーム伝送系であって、
以下の関係式を満たすことを特徴とするビーム伝送系。
【数2】

上記関係式中、
Δlは前記光路差を表し、
λ0は前記第1のレーザ光ビームの光の平均波長であり、
Δλlは前記第2の線幅を表している。
【請求項18】
前記光遅延装置が、所定の間隔で配置され透明材料からなる複数の第1のプレートで構成されるスタックを含み、前記第1のプレートを複数の第1の部分ビームのビーム経路が横切り、隣接する第1のプレート間の空間を複数の第2の部分ビームのビーム経路が横切る請求項17に記載のビーム伝送系。
【請求項19】
レーザのキャビティ内の複数の縦レーザモードから第1のレーザ光ビームを生成するレーザと、
前記第1のレーザ光ビームのビーム経路に配置され、前記第1のレーザ光ビームの少なくとも1つの第2の部分ビームに対して、前記第1のレーザ光ビームの少なくとも1つの第1の部分ビームの光路差を生じさせるように構成された光遅延装置とを含むビーム伝送系であって、
前記光遅延装置が、所定の間隔で配置され透明材料からなる複数の第1のプレートで構成されるスタックを含み、前記第1のプレートを複数の第1の部分ビームのビーム経路が横切り、隣接する第1のプレート間の空間を複数の第2の部分ビームのビーム経路が横切ることを特徴とするビーム伝送系。
【請求項20】
前記第1のプレートの表面が、前記光遅延装置に入射する前記第1のレーザ光ビームのビーム経路の向きに対して実質的に平行に配向された請求項18又は19に記載のビーム伝送系。
【請求項21】
前記第1のプレートが、以下の関係式を満たす前記第1のレーザ光ビームのビーム経路に沿った長さに延びている請求項11に記載のビーム伝送系。
【数3】

上記関係式中、
Δlは前記光路差を表し、
nは前記第1のプレートの透明材料の屈折率を表し、
dは前記第1のプレートの長さを表している。
【請求項22】
前記スタックが、透明材料からなる複数の第2のプレートを含み、前記第2のプレートが隣接する第1のプレートの間に挟持されている請求項18〜21のいずれかに記載のビーム伝送系。
【請求項23】
2つの隣接する第1のプレートのそれぞれの厚さが、前記2つの隣接する第1のプレート間の空隙よりも大きい請求項18〜22のいずれかに記載のビーム伝送系。
【請求項24】
前記光遅延装置が、前記第1のレーザ光ビームのビーム経路に配置され透明材料からなる第3のプレートを含み、前記第3のプレートが、前記第1のレーザ光ビームのビーム経路の向きに対して横切るように配置され、前記第3のプレートの厚さが以下の関係式を満たす請求項17〜22のいずれかに記載のビーム伝送系。
【数4】

上記関係式中
Δlは前記光路差を表し、
nは前記第3のプレートの透明材料の屈折率を表し、
dは前記第3のプレートの厚さを表している。
【請求項25】
前記第3のプレートのノーマル表面(a surface normal of the third plate)が、前記第1のレーザ光ビームのビーム経路の向きに対して所定の角度で配向しており、かつ、以下の関係式を満たす請求項24に記載のビーム伝送系。
【数5】

上記関係式中、
lは前記光遅延装置のすぐ上流の前記第1のレーザ光ビームの断面を表し、
latは前記第1のビームの横レーザモードの数を表し、
αは前記ビーム経路の向きに対する前記第3のプレートのノーマル表面の角度を表し、 dは前記第3のプレートの厚さを表している。
【請求項26】
以下の関係式を満たす請求項17〜25のいずれかに記載のビーム伝送系。
【数6】

上記関係式中、
lは前記光遅延装置のすぐ上流の前記第1のレーザ光ビームの断面を表し、
2は前記光遅延装置のすぐ下流の前記第2のレーザ光ビームの断面を表している。
【請求項27】
前記レーザ光の一部のビーム経路が閉ループを形成するように配置された複数の反射面をさらに含む請求項17〜26のいずれかに記載のビーム伝送系。
【請求項28】
前記閉ループを通過するレーザ光の一部のビーム経路が、前記閉ループを通過しないレーザ光の一部と結合する請求項27に記載のビーム伝送系。
【請求項29】
段差面を有するプレートが、前記閉ループを形成するビーム経路に配置される請求項27又は28に記載のビーム伝送系。
【請求項30】
光遅延装置が、前記閉ループを形成するビーム経路に配置された請求項27〜29のいずれかに記載のビーム伝送系。
【請求項31】
レーザのキャビティ内の複数の縦レーザモードからレーザ光ビームを生成するレーザと、
前記レーザ光ビームのビーム経路に配置され、前記ビーム経路が閉ループを構成するように配置された複数の反射面を含む光遅延装置と、
前記閉ループのビーム経路に配置され、100nmよりも大きい振幅を持つ複数の凸部及び凹部を有する構造化された位相変化表面を含む少なくとも1つの位相変化素子とを含むことを特徴とするビーム伝送系。
【請求項32】
前記凸部及び凹部の横伸長が、前記位相変化表面と接触し前記キャビティ内の1つの縦レーザモードから発生するレーザ光線部の横伸長よりも小さい請求項31に記載のビーム伝送系。
【請求項33】
前記凸部及び凹部の横伸長が、前記位相変化表面の位置のレーザ光のコヒーレンスセルの横伸長よりも小さい請求項31に記載のビーム伝送系。
【請求項34】
前記位相変化表面の凸部及び凹部が段差形状を有する請求項31〜33のいずれかに記載のビーム伝送系。
【請求項35】
前記位相変化表面の凸部及び凹部のそれぞれが、前記位相変化表面の主面方向に対して実質的に平行に配向する表面部を含む請求項34に記載のビーム伝送系。
【請求項36】
前記位相変化表面の凸部及び凹部が楔形状を有する請求項31〜33のいずれかに記載のビーム伝送系。
【請求項37】
前記位相変化表面の凸部及び凹部のそれぞれが、前記位相変化表面の主面方向に対して傾斜した表面部を含む請求項36に記載のビーム伝送系。
【請求項38】
前記凸部の傾斜角度が隣接する凸部間で異なる請求項37に記載のビーム伝送系。
【請求項39】
前記凸部及び凹部の傾斜角度がランダムに分布している請求項37又は38に記載のビーム伝送系。
【請求項40】
前記凸部及び凹部の振幅がランダムに分布している請求項31〜39のいずれかに記載のビーム伝送系。
【請求項41】
レーザのキャビティ内の複数の縦レーザモードからレーザ光ビームを生成するレーザと、
前記レーザ光ビームのビーム経路に配置され、前記ビーム経路が閉ループを構成するように配置された複数の反射面を含む光遅延装置と、
前記閉ループのビーム経路に配置された位相変化表面を含む少なくとも1つの位相変化素子と、
前記光遅延装置を通過する前記レーザ光ビームに照射される前記位相変化表面の表面部を伝搬する表面弾性波を生成するための表面波生成器とを含むことを特徴とするビーム伝送系。
【請求項42】
前記位相変化素子の位相変化表面を、前記光遅延装置を通過するレーザ光ビームが通過する請求項31〜41のいずれかに記載のビーム伝送系。
【請求項43】
前記位相変化素子の位相変化表面が、前記光遅延装置の複数の反射面の1つである請求項31〜31のいずれかに記載のビーム伝送系。
【請求項44】
前記光遅延装置が、前記光遅延装置を通過するレーザ光ビームが通過する半反射ミラーを含む請求項31〜32のいずれかに記載のビーム伝送系。
【請求項45】
前記光遅延装置を通過するレーザ光ビームの一部が、前記半反射ミラーを通過し、前記半反射ミラーで反射したレーザ光ビームと結合する請求項44に記載のビーム伝送系。
【請求項46】
前記レーザがエキシマレーザである請求項17〜45のいずれかに記載のビーム伝送系。
【請求項47】
前記エキシマレーザが、KrFレーザ、ArFレーザ及びF2レーザのうちの1つである請求項46に記載のビーム伝送系。
【請求項48】
前記レーザが、線幅減少モジュール(a line narrowing module)を含む請求項17〜47のいずれかに記載のビーム伝送系。
【請求項49】
前記線幅減少モジュールが、プリズムと反射格子の少なくとも一方を含む請求項48に記載のビーム伝送系。
【請求項50】
前記第2のレーザ光ビームのビーム経路に配置された回折光学素子をさらに含む請求項17〜49のいずれかに記載のビーム伝送系。
【請求項51】
前記第2のレーザ光ビームのビーム経路に配置された分散プレートをさらに含む請求項17〜50のいずれかに記載のビーム伝送系。
【請求項52】
前記第2のレーザ光ビームのビーム経路に配置された光混合器をさらに含む請求項17〜51のいずれかに記載のビーム伝送系。
【請求項53】
前記第2のレーザ光ビームのビーム経路に配置されたフライアイレンズをさらに含む請求項17〜52のいずれかに記載のビーム伝送系。
【請求項54】
基板にパターニング構造を結像するための投影露光系であって、
請求項1〜53のいずれかに記載のビーム伝送系と、
像平面に物体平面を結像するための投影光学系と、
前記ビーム伝送系によって生成された第2のレーザ光ビームのビーム経路内の前記物体平面の領域にパターニング構造を搭載するための第1の台と、
前記投影光学系の像平面の領域に前記基板を搭載するための第2の台とを含むことを特徴とする投影露光系。
【請求項55】
基板にパターニング構造を結像するための投影露光系であって、
レーザのキャビティ内の複数の縦レーザモードからレーザ光ビームを生成するレーザと、前記レーザ光ビームのビーム経路に配置された光遅延装置とを含むビーム伝送系と、
その物体平面に配置されたパターニング構造をその像平面に結像するための投影光学系とを含み、
前記物体平面に配置されたパターニング構造を照明するために前記ビーム伝送系によって伝送されたレーザ光ビームが、前記物体平面において、2%よりも小さいスペックル強度変化(a speckle−generated intensity variation )を有することを特徴とする投影露光系。
【請求項56】
前記スペックル強度変化が前記物体平面において1%よりも小さい請求項55に記載の投影露光系。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−147019(P2012−147019A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−84634(P2012−84634)
【出願日】平成24年4月3日(2012.4.3)
【分割の表示】特願2007−543781(P2007−543781)の分割
【原出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(503263355)カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー (435)
【Fターム(参考)】