投球・打撃用ボール
【課題】投球練習では、リリースポイントを把握し、指先の感覚を鋭くすることでコントロールの安定を図り、なお且つフォロースルーを大きくすることで球威のあるボールを投球することができる練習用具を提供する。また、打撃練習では、回転数の少ない高度なボールを打撃する練習ができる練習用具を提供する。
【解決手段】球状体1と、前記球状体の中心線に沿って形成される1つ以上の孔2、2′と、から成る。球状体1に形成する1つ以上の前記孔2は、人の指が容易に挿入できるような形状とし孔道は弧状に形成する。
【解決手段】球状体1と、前記球状体の中心線に沿って形成される1つ以上の孔2、2′と、から成る。球状体1に形成する1つ以上の前記孔2は、人の指が容易に挿入できるような形状とし孔道は弧状に形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野球、ハンドボール、テニス、ゴルフ、柔道、相撲、バドミントン、バレーなど指先を使うスポーツにおいて、指先を鍛えながら、同時に下半身も鍛えることができる投球・打撃用ボールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ダンベルを使って指先を鍛えスポーツ時の怪我等を予防する器具が考えられていた(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2008−55138号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載の器具は、グリップの両端におもりが取り付けられたダンベル状のものであり、グリップに貫通した孔に各指を挿入し、器具を持ち上げる、回旋するなどのトレーニングによって、手指及び指の付け根部分、及びその周辺の筋肉や腱を鍛えることができた。だが、手指及び指の付け根部分、及びその周辺の筋肉や腱を鍛えることはできたが、例えば野球のピッチャーでいえばボールを指で握って、ボールのように投球しようとすると器具が体にぶつかるなどの不具合が生じた。
【0005】
また、打撃練習ができるようなボール様の形状ではなかった。
【0006】
本発明は、前述した特許文献の器具の問題点を考慮し、指先を使うスポーツにおいて、指先を鍛えることで運動能力を高め、なお且つ低回転のボールを投げることができるボールであるために、投げた低回転のボールを打撃することが可能な投球・打撃用ボールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の本発明は、球状体と、前記球状体の中心線に沿って形成される1つ以上の孔と、から成ることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の本発明は、球状体の表層面から前記球状体の深部にかけて最終点のある前記孔を1つ以上形成し、前記最終点となる部分は前記中心線上に位置しないことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の本発明は、前記球状体に形成する前記1つ以上の孔は、前記球状体の表面から前記球状体表面の裏側の表面に貫通させ、前記球状体の表面に形成する前記孔の径と前記裏側の表面に形成する前記孔の径の大きさは異なることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の本発明は、前記球状体に形成する前記1つ以上の孔は前記球体の中心線に平行にならないように形成することを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の本発明は、前記球状体に形成する1つ以上の前記孔は、人の指が容易に挿入できるような形状とし孔道は弧状に形成することを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の本発明は、前記球状体は、左右対称の形状を有し、球状、楕円状、円状、円柱状、多角形状、多角柱状などで形成することができることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の投球・打撃用ボールは、例えば球状体を鉄、鋳物などで成形した場合、球状体に形成した孔に第2指と第3指を入れ、球状体を持ちながら指を反らす、手首を回転するなどの運動をすることにより、集中的に第2指、第3指、手首、腕などの筋力が鍛えられるという優れた効果を発揮する。
【0014】
また、手のひらで投球・打撃用ボールを握り足元などのような近くへ投げることで、おのずと下半身を使った投球フォームができ、威力のあるボールを投げるために必要な下半身に体重を乗せる練習ができるという優れた効果を発揮する。
【0015】
また、投球・打撃用ボールに指を入れることでボールを握るということがなく、ボールを握らないことで指先、手首、肘、腕、肩などに力が入らず、上体から力を抜いた下半身主導の投球ができるという優れた効果を発揮する。
【0016】
また、例えばボールを木、プラスチック、ゴム、樹脂、コルクなどの軽量の材質で球状体を成型した場合、球状体の孔に第2指と第3指を入れ球状体の中心を支えるように持ち、テークバック、ボールリリース、フォロースルー、フィニッシュまでの一連の投球モーションにおいて腕がまっすぐ前へ伸びた時点をボールが指から離れるリリースポイントとする。球状体の孔に入れた第2指と第3指から球状体を前方へ抜くような感覚で前へ投げることでリリースポイントを遅くすることができ、腕をより前へスイングすることができる。ボールが軽量であることに加え、リリースポイントが遅くなることで腕をより前へスイングすることができる。腕が前へスイングされることで、必然的にフォロースルーが大きくなり腕の振りを速くすることができるという優れた効果を発揮する。
【0017】
また、スナップをきかせ指先でボールに回転数を加える通常の投球とは違い、球状体の孔に入れた第2指と第3指から球状体を前方へ抜くような感覚で前へ投げることで、球状体が飛んで行く時の回転数を抑えることができる。通常のボールを握って投球をする際には、ボールの表面に指先の力を加えて引っ掛けるようにボールを離すので、おのずとボールに回転がかかり球速が増すしかけになっている。本発明は、球状体に形成された孔に指を入れることで、球状体の表面には指先の力が加わらず、そのまま球状体が押されるような格好で指から離れていくので球状体は回転が抑えられ、球速が遅くなるようになっている。一般的にボールの回転が少ないということは球速が遅いボールということであり、その球速の遅いボールを投げられることで、打撃においては難易度の高い低速の回転数の少ない例えばナックルボールのような球種を打つ練習ができるという優れた効果を発揮する。
【0018】
請求項2に記載の投球・打撃用ボールは、最終点を球状体の中心線上に位置させないことで、指を入れる孔の最終点は孔の起点から真っ直ぐの位置ではない位置に形成され、孔に角度が形成される。この角度が形成された部分に指の第1関節より先が引っ掛かるようになり、投球練習をした際に指が引っ掛かることで、指先に負荷をかけることができ投球の際の指先の感覚を養うことができるという優れた効果を発揮する。
【0019】
また、角度が形成されることにより、投球練習をした場合に投球・打撃用ボールが指からすっぽ抜けるということを防止しすることができるという優れた効果を発揮する。
【0020】
また、指先が引っ掛かることで、指先に意識を集中させることができるとともに、投球の際に指先に球状体の重さが荷重され投球に必要な指先の筋力及び握力を強化することができる。指先の筋力強化により握力、指の圧力が増し指先で操作するボールへの回転力を高めることができ、速球、変化球など俗にいうキレのあるボールを投げることができるという優れた効果を発揮する。
【0021】
請求項3に記載の投球・打撃用ボールは、孔を球状体に貫通させ、指を入れる側と球状体の裏側の指先が見える側の孔の大きさを変えることで指が入る部分と、指先が引っ掛かる部分を一つの金型で成形することができ、製品を作るうえにおいてコストを削減できるという優れた効果を発揮する。
【0022】
請求項4に記載の投球・打撃用ボールは、指を垂直に立てて自然に開いた状態で第2指を入れる孔を上側、第3指を入れる側を下側に形成することで、投球の際に第2指を入れる孔と第3指を入れる孔が水平になったところが腕が真っ直ぐになった時点であることが分かるような構造になっている。また、腕が真っ直ぐになった場所が本発明のリリースポイントである。リリースポイントを把握することで、通常の投球の際にコントロールが安定するという優れた効果を発揮する。
【0023】
請求項5に記載の投球・打撃用ボールは、球状体に形成する孔の道を孤状に形成することで、通常のボールの表面のように孤を描くことができ、実際にボールを握った感覚を得ることができ、さらに投球・打撃用ボールが指から抜けにくいという優れた効果を発揮する。
【0024】
請求項6に記載の投球・打撃用ボールは、ラグビーボールのような楕円状の球状体に第1指を除く第2指から第5指までの指が入る孔を4つ形成することで全ての指を開いて投球するということができる。指を開いて投球することで腕、肩などの上体に力が入らず、上体から力を抜くことで、上半身から抜けた力の分だけ下半身に体重が乗り、下半身主導の力強いボールを投げる練習ができるという優れた効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】 一般の球体の横の中心線と縦の中心線を表した図である。
【図2】 本発明の正面図である。
【図3】 本発明の平面図である。
【図4】 本発明の右側面図である。
【図5】 本発明の第2の実施例の右側面図である。
【図6】 本発明の第3の実施例の平面図である。
【図7】 本発明の第3の実施例の右側面図である。
【図8】 本発明の第4の実施例の正面図である。
【図9】 本発明の第4の実施例の右側面図である。
【図10】 本発明の第4の実施例の底面図である。
【図11】 本発明の使用状態を示す参考図である。
【図12】 本発明の第2の実施例の使用状態を示す参考図である。
【図13】 本発明の第3の実施例の使用状態を示す参考図である。
【図14】 通常のボールを使った投球の際のリリースポイントである。
【図15】 本発明のリリースポイントの位置を表した図である。
【図16】 本発明の第3の実施例のテークバックからフォロースルーまでを表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を図面に示す実施形態図1〜図16に基づき説明をする。ただし、以下の実施するための形態は、本発明を投球・打撃用ボールについての一例として説明するものであり、この説明の図の項に限定されるものではない。
【0027】
図1は、一般的な球体の横の中心線A、縦の中心線Bを表した図である。球状体に孔を形成するための目安となる中心線である。
【0028】
図2は、本発明の投球・打撃用ボールの正面図である。球状体1、孔2、2′、横の中心線Aから構成される。球状体1の横の中心線A上に孔2、2′を形成する。中心線Aに沿って孔2、2′を形成することで、孔2、2′に指を入れて球状体を持った場合に重心の偏りがなく安定して球状体を握ることができる。また、球状体1は、木、鉄、鋳物、ゴム、樹脂、ステンレス、アルミニューム、コルク、発泡スチロールなどの素材により形成することができる。
【0029】
図3は、本発明の投球・打撃用ボールの平面図である。球状体1、孔2、2′、縦の中心線Bから構成される。孔2、2′は中心線Bから等距離に形成し、孔2、2′の起点からそれぞれ伸びる孔2と孔2′の角度は手のひらを自然に開いたときの第2指、第3指の一般的な角度で形成することができる。また、孔2、2′の奥行きは、指の第1関節程度の長さ、指先から第2関節までの長さ、指が全部入る長さなど自由に形成することができる。なお球状体のサイズ、孔の形状、奥行き、孔の径等は誰でも孔に指を挿入して使用できるような大きさに設定することができ、また、重量及び仕様に関しては自由に設定することができる。
【0030】
球状体1に形成された2、2′の孔の壁面を第2指、第3指で挟み、高めのボール、低めのボール等高さのイメージをしながら第2指と第3指を緩めることで、指から球状体が離れ捕球側へ飛んでいくが、球状体が指から離れる瞬間に指先が球状体1の孔2、2′の壁面に擦れることで、指先でリリースポイントの位置が分かるようになっている。
【0031】
図4は、本発明の投球・打撃用ボールの右側面図である。球状体1、孔2′から構成さ、れる。孔2′は球状体1の表面に対して直角に形成、奥行きは指の第1関節から第2関節あたりまで入る程度の長さに設定している。球状体1が野球のボール程度の大きさであれば指の孔2′の奥行きは前記より短く、野球のボール以上の大きさであれば孔2′の奥行きは前記よりもっと長く形成することができる。2′の孔には右利きであれば右手の第2指を入れ、左利きであれば左手の第2指を入れて球状体を握ることができる。
【0032】
図5は、本発明の投球・打撃用ボールの第2の実施例の右側面図である。球状体3、孔4、4′、横の中心線Aから構成される。孔4、4′はそれぞれ球状体1の横の中心線Aに平行にならないように形成する。中心線Aより先端部が上側を向いている孔4に第2指を入れ、中心線Aより下側を向いた孔4′に第3指を入れて使用する。
【0033】
図6は、本発明の投球・打撃用ボールの第3の実施例の平面図である。球状体に形成する孔5、5′、縦の中心線Bから構成される。第3の実施例は、縦の中心線Bに等間隔で2つの孔5、5′を配置し、また、孔5より孔5′の奥行きを長く形成する。これは、通常の人の手の指の長さが第2指より第3指のほうが長くなっているためである。5の孔には第2指を入れ、5′の孔には第3指を入れることで円滑に投球動作、指先のトレーニングができるようになる。
【0034】
図7は、本発明の投球・打撃用ボールの第3の実施例の右側面図である。球状体に形成する孔5′、孔の起点6、孔の最終点6′、孔に形成する段部6″から構成される。孔は縦の中心線B上に沿って奥行きを形成していくが最終点6′となる部分は中心線B上に位置させないように形成する。縦の中心線B上に最終点6′を位置させないことにより、孔の起点6から最終点6′までの孔には角度が作られ段部6″が形成されるようになる。図7では、孔の起点6より最終点6′となる部分の径が大きくなるように形成されているが、起点6となる孔の径と最終点6′の径は同じ大きさに形成することもできる。
【0035】
段部6″と最終点6′が形成されることにより、指の第1関節から先の指先が段部6″と最終点6′に引っ掛かり、投球の際に指先にかかる球状体の負荷により指先を鍛えることができる。指先が鍛えられることで、ボールを投球した際にボールに回転数を加えたり、変化球の変化を大きくしたりなど俗にいうキレのあるボールを投げられるようになる。また、段部6″に傾斜がついていることで球場体に指が引っ掛かり球場体を落とすという危険も軽減される。
【0036】
図8は、本発明の投球・打撃用ボールの第4の実施例の平面図である。球状体に形成する孔7、7′から構成される。図6の孔5、5′は球状体を貫通していないが、図8は球状体を孔7、7′が貫通している。これは、製品化する際に金型の工程を省略できるものであり、機能的には第3の実施例と同等である。
【0037】
図9は、本発明の投球・打撃用ボールの第4の実施例の右側面図である。球状体に形成する孔7′、孔の起点8、孔の最終点8′、段部8″、孔の終点9から構成される。図6と同様に孔は縦の中心線B上に沿って奥行きを形成していくが最終点8′となる部分は中心線B上に位置させないように形成する。縦の中心線B上に最終点8′を位置させないことにより、孔の起点8から最終点8′までの孔には角度が作られ段部8″が形成されるようになる。第4の実施例では孔の起点8より終点9となる部分の径が大きくなるように形成する。
【0038】
図10は、本発明の投球・打撃用ボールの第4の実施例の底面図である。球状体に形成する孔の起点8、終点9、縦の中心線Bから構成される。球状体に貫通させる孔の形状は起点8が円状になっているが、終点9の径の形状は楕円になっている。球状体に貫通させる孔は起点8と終点9の形状を変える、又は終点9の径を起点8より大きくすることで図9の最終点8′と段部8″が形成されるようになる。
【0039】
最終点8′と段部8″が形成されることで、最終点8′と段部8″に指先が引っ掛かり、投球の際に指先に力を入れる度合いを体で覚え、指先の感覚を養うことができるようになる。
【0040】
図11は、本発明の投球・打撃用ボールの使用状態を示した参考図である。球状体に形成した孔に指を図11のように入れ投球動作を行う。指の腹で孔の壁を押さえこの状態で投球動作に入る。腕が真っ直ぐ前を向いたときに球状体が指から外れ、リリースポイントとなる。指から球状体が外れることでリリースポイントの位置を把握でき、常に同じ場所でリリースできるようになる。また、球状体を鉄や鋳物などの重量のあるもので成形した場合には、球状体に形成された孔に指を入れて持つ、指の屈伸運動をする、手首を回旋させるなどの運動をするだけで指先に負荷がかかり、指先、手首、肘、腕などを鍛えることができる。
【0041】
図12は、本発明の投球・打撃用ボールの第2の実施例の使用状態を示した参考図である。第2指を上側に、第3指を下側に入れられるように形成した孔に指を入れ、腕をスイングすると、リリースポイントとなる場所で孔が水平になるようになっている。ちなみにテークバックの時は孔の位置は第2指が上側、第3指が下側を向いている。人間の腕についた筋肉は真っ直ぐではなく、らせん状についているためテークバックの際には肩、肘、手首、指がねじられるような状態となり、また、リリースからフォロースルーにかけて肩、肘、手首、指先の順に徐々に腕が真っ直ぐ前に伸びてくるようになっている。よって投球の際に第3指より第2指のほうが、早く捕球側を向くために第2指が入る孔を上側に向け、第3指が入る孔を下側に向けて形成している。
【0042】
図13は、本発明の投球・打撃用ボールの第4の実施例の使用状態を示した参考図である。指の第1関節を図7の段部6″から最終点6′に掛かるように孔に指を入れ、指だけを使用して球状体を回す、反らせるなどの他に、手首を使って球状体を回す、腕を使って球状体をスイングするなどのトレーニングができる。図7の段部6″、最終点6′が指先の滑り止めの役割を果たし、球状体から指が外れないようになっている。指が外れないことにより球状体を持ってスイングする、回旋するなどのトレーニングができる。また、球状体をリリースする場合にはリリースポイントで指先を伸ばすことで段部6″、最終点6′から指先が外れ球状体が捕球側へ飛んでいくことができる。
【0043】
図14は、通常のボールを握って投球する際の状態の図を表したものである。ボールが指から離れる直前の位置a、ボールが指から離れる位置bから構成される。通常はaの手前からリリースの準備に入り、a〜bの位置でボールが指から離れる。
【0044】
図15は、本発明の投球・打撃用ボールを投球した際のリリースポイントの図を表わしたものである。球状体1、通常の投球の際の指からボールが離れる直前の位置a、通常の投球の際にボールが指から離れる位置b、本発明の球状体1が指から離れる始めるリリースポイントの位置c、dから構成される。
【0045】
また、図14−aは通常のボールを握って投球をする際の指からボールが離れる直前の位置であるが、本発明はaの位置ではまだ指から球状体が離れずにいる状態である。また、本発明のリリースポイントは腕が真っ直ぐ体の前に位置する直前が指からボールが離れ始める位置cとなる。リリースポイントが遅くなればなるほど、打者はボールの出所が見えにくくなるためにタイミングが計りにくく凡打になる可能性が高くなる。逆に図14−bはリリースポイントが早いために、打者にとってはボールの出所が早く見えボールにタイミングを合わせやすい。このように球状体から指を離す位置を体で覚えることで、実際にボールを握って投球をした際にリリースポイントを確実に把握できることと、ボールを遅く離すことで、上体を支えようと下半身が踏ん張ることができ、おのずと下半身に体重が乗った球威のあるボールを投げられるようになる。
【0046】
図16は、本発明の投球・打撃用ボールの第4の実施例のスイング練習の図を表したものである。球状体1、腕を上から下へ投げおろすスイング時の腕の軌道e、f、g、h、iから構成される。eの時点で指先を広げ、手首、腕、肩から力を抜いた状態でスイングを始める。fは、通常のボールを投球する際のリリースポイントであり、本発明の投球・打撃用ボールはfの時点から指の第1関節を曲げてボールの段部6″、最終点6′に指先を引っ掛けてスイング練習をすることができる。また、好きな場所でリリースしたい場合は、例えばgの時点で指先を真っ直ぐにすることで、球状体1は指先から離れていくことができる。また、球状体1を指先から離さずにフォロースルーまでスイングをしたい場合は、指先を曲げたままf〜iまで球状体を1を持ち続け、最後まで腕を振りぬくことができる。
【0047】
最後まで球状体1を持ちフォロースルーまでの動作を行うことで、指先に球状体1の重量、遠心力の負荷がかかり投球に必要な指先、手首、肘、腕、肩などが鍛えられる。指先を中心に鍛えることは、ボールを押さえる指の圧力が増し投球の際に握力が低下して球威が落ちることを軽減することができる。また、eの時点で指を開いて孔に指を入れることで、投球の初めには上体から力を抜くことができ、上体から力を抜くことで下半身に体重が乗り、俗にいうボールにウエートが乗った球威のあるボールを投げる練習ができるようになる。
【符号の説明】
【0048】
1 球状体
2、2′ 球状体に形成する孔
3 球状体
4、4′ 球状体に形成する孔
5、5′ 球状体に形成する孔
6 球状体に形成する孔の起点
6′ 球状体の最終点
6″ 球状体に形成された段部
7、7′ 球状体に形成する孔
8 球状体に形成する孔の起点
8′ 球状体の最終点
8″ 球状体に形成される段部
9、9′ 球状体に形成される孔の終点
A 横の中心線
B 縦の中心線
a 通常の投球でリリースが始まる位置
b 通常の投球で指からボールが離れる位置
c 本発明の投球・打撃用ボールの指からボールが離れ始める位置
d 本発明の投球・打撃用ボールの指からボールが離れる位置
e〜f 本発明の投球・打撃用ボールの使用状態の腕を上から下へ投げおろすスイング時の腕の軌道
【技術分野】
【0001】
本発明は、野球、ハンドボール、テニス、ゴルフ、柔道、相撲、バドミントン、バレーなど指先を使うスポーツにおいて、指先を鍛えながら、同時に下半身も鍛えることができる投球・打撃用ボールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ダンベルを使って指先を鍛えスポーツ時の怪我等を予防する器具が考えられていた(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2008−55138号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載の器具は、グリップの両端におもりが取り付けられたダンベル状のものであり、グリップに貫通した孔に各指を挿入し、器具を持ち上げる、回旋するなどのトレーニングによって、手指及び指の付け根部分、及びその周辺の筋肉や腱を鍛えることができた。だが、手指及び指の付け根部分、及びその周辺の筋肉や腱を鍛えることはできたが、例えば野球のピッチャーでいえばボールを指で握って、ボールのように投球しようとすると器具が体にぶつかるなどの不具合が生じた。
【0005】
また、打撃練習ができるようなボール様の形状ではなかった。
【0006】
本発明は、前述した特許文献の器具の問題点を考慮し、指先を使うスポーツにおいて、指先を鍛えることで運動能力を高め、なお且つ低回転のボールを投げることができるボールであるために、投げた低回転のボールを打撃することが可能な投球・打撃用ボールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の本発明は、球状体と、前記球状体の中心線に沿って形成される1つ以上の孔と、から成ることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の本発明は、球状体の表層面から前記球状体の深部にかけて最終点のある前記孔を1つ以上形成し、前記最終点となる部分は前記中心線上に位置しないことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の本発明は、前記球状体に形成する前記1つ以上の孔は、前記球状体の表面から前記球状体表面の裏側の表面に貫通させ、前記球状体の表面に形成する前記孔の径と前記裏側の表面に形成する前記孔の径の大きさは異なることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の本発明は、前記球状体に形成する前記1つ以上の孔は前記球体の中心線に平行にならないように形成することを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の本発明は、前記球状体に形成する1つ以上の前記孔は、人の指が容易に挿入できるような形状とし孔道は弧状に形成することを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の本発明は、前記球状体は、左右対称の形状を有し、球状、楕円状、円状、円柱状、多角形状、多角柱状などで形成することができることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の投球・打撃用ボールは、例えば球状体を鉄、鋳物などで成形した場合、球状体に形成した孔に第2指と第3指を入れ、球状体を持ちながら指を反らす、手首を回転するなどの運動をすることにより、集中的に第2指、第3指、手首、腕などの筋力が鍛えられるという優れた効果を発揮する。
【0014】
また、手のひらで投球・打撃用ボールを握り足元などのような近くへ投げることで、おのずと下半身を使った投球フォームができ、威力のあるボールを投げるために必要な下半身に体重を乗せる練習ができるという優れた効果を発揮する。
【0015】
また、投球・打撃用ボールに指を入れることでボールを握るということがなく、ボールを握らないことで指先、手首、肘、腕、肩などに力が入らず、上体から力を抜いた下半身主導の投球ができるという優れた効果を発揮する。
【0016】
また、例えばボールを木、プラスチック、ゴム、樹脂、コルクなどの軽量の材質で球状体を成型した場合、球状体の孔に第2指と第3指を入れ球状体の中心を支えるように持ち、テークバック、ボールリリース、フォロースルー、フィニッシュまでの一連の投球モーションにおいて腕がまっすぐ前へ伸びた時点をボールが指から離れるリリースポイントとする。球状体の孔に入れた第2指と第3指から球状体を前方へ抜くような感覚で前へ投げることでリリースポイントを遅くすることができ、腕をより前へスイングすることができる。ボールが軽量であることに加え、リリースポイントが遅くなることで腕をより前へスイングすることができる。腕が前へスイングされることで、必然的にフォロースルーが大きくなり腕の振りを速くすることができるという優れた効果を発揮する。
【0017】
また、スナップをきかせ指先でボールに回転数を加える通常の投球とは違い、球状体の孔に入れた第2指と第3指から球状体を前方へ抜くような感覚で前へ投げることで、球状体が飛んで行く時の回転数を抑えることができる。通常のボールを握って投球をする際には、ボールの表面に指先の力を加えて引っ掛けるようにボールを離すので、おのずとボールに回転がかかり球速が増すしかけになっている。本発明は、球状体に形成された孔に指を入れることで、球状体の表面には指先の力が加わらず、そのまま球状体が押されるような格好で指から離れていくので球状体は回転が抑えられ、球速が遅くなるようになっている。一般的にボールの回転が少ないということは球速が遅いボールということであり、その球速の遅いボールを投げられることで、打撃においては難易度の高い低速の回転数の少ない例えばナックルボールのような球種を打つ練習ができるという優れた効果を発揮する。
【0018】
請求項2に記載の投球・打撃用ボールは、最終点を球状体の中心線上に位置させないことで、指を入れる孔の最終点は孔の起点から真っ直ぐの位置ではない位置に形成され、孔に角度が形成される。この角度が形成された部分に指の第1関節より先が引っ掛かるようになり、投球練習をした際に指が引っ掛かることで、指先に負荷をかけることができ投球の際の指先の感覚を養うことができるという優れた効果を発揮する。
【0019】
また、角度が形成されることにより、投球練習をした場合に投球・打撃用ボールが指からすっぽ抜けるということを防止しすることができるという優れた効果を発揮する。
【0020】
また、指先が引っ掛かることで、指先に意識を集中させることができるとともに、投球の際に指先に球状体の重さが荷重され投球に必要な指先の筋力及び握力を強化することができる。指先の筋力強化により握力、指の圧力が増し指先で操作するボールへの回転力を高めることができ、速球、変化球など俗にいうキレのあるボールを投げることができるという優れた効果を発揮する。
【0021】
請求項3に記載の投球・打撃用ボールは、孔を球状体に貫通させ、指を入れる側と球状体の裏側の指先が見える側の孔の大きさを変えることで指が入る部分と、指先が引っ掛かる部分を一つの金型で成形することができ、製品を作るうえにおいてコストを削減できるという優れた効果を発揮する。
【0022】
請求項4に記載の投球・打撃用ボールは、指を垂直に立てて自然に開いた状態で第2指を入れる孔を上側、第3指を入れる側を下側に形成することで、投球の際に第2指を入れる孔と第3指を入れる孔が水平になったところが腕が真っ直ぐになった時点であることが分かるような構造になっている。また、腕が真っ直ぐになった場所が本発明のリリースポイントである。リリースポイントを把握することで、通常の投球の際にコントロールが安定するという優れた効果を発揮する。
【0023】
請求項5に記載の投球・打撃用ボールは、球状体に形成する孔の道を孤状に形成することで、通常のボールの表面のように孤を描くことができ、実際にボールを握った感覚を得ることができ、さらに投球・打撃用ボールが指から抜けにくいという優れた効果を発揮する。
【0024】
請求項6に記載の投球・打撃用ボールは、ラグビーボールのような楕円状の球状体に第1指を除く第2指から第5指までの指が入る孔を4つ形成することで全ての指を開いて投球するということができる。指を開いて投球することで腕、肩などの上体に力が入らず、上体から力を抜くことで、上半身から抜けた力の分だけ下半身に体重が乗り、下半身主導の力強いボールを投げる練習ができるという優れた効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】 一般の球体の横の中心線と縦の中心線を表した図である。
【図2】 本発明の正面図である。
【図3】 本発明の平面図である。
【図4】 本発明の右側面図である。
【図5】 本発明の第2の実施例の右側面図である。
【図6】 本発明の第3の実施例の平面図である。
【図7】 本発明の第3の実施例の右側面図である。
【図8】 本発明の第4の実施例の正面図である。
【図9】 本発明の第4の実施例の右側面図である。
【図10】 本発明の第4の実施例の底面図である。
【図11】 本発明の使用状態を示す参考図である。
【図12】 本発明の第2の実施例の使用状態を示す参考図である。
【図13】 本発明の第3の実施例の使用状態を示す参考図である。
【図14】 通常のボールを使った投球の際のリリースポイントである。
【図15】 本発明のリリースポイントの位置を表した図である。
【図16】 本発明の第3の実施例のテークバックからフォロースルーまでを表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を図面に示す実施形態図1〜図16に基づき説明をする。ただし、以下の実施するための形態は、本発明を投球・打撃用ボールについての一例として説明するものであり、この説明の図の項に限定されるものではない。
【0027】
図1は、一般的な球体の横の中心線A、縦の中心線Bを表した図である。球状体に孔を形成するための目安となる中心線である。
【0028】
図2は、本発明の投球・打撃用ボールの正面図である。球状体1、孔2、2′、横の中心線Aから構成される。球状体1の横の中心線A上に孔2、2′を形成する。中心線Aに沿って孔2、2′を形成することで、孔2、2′に指を入れて球状体を持った場合に重心の偏りがなく安定して球状体を握ることができる。また、球状体1は、木、鉄、鋳物、ゴム、樹脂、ステンレス、アルミニューム、コルク、発泡スチロールなどの素材により形成することができる。
【0029】
図3は、本発明の投球・打撃用ボールの平面図である。球状体1、孔2、2′、縦の中心線Bから構成される。孔2、2′は中心線Bから等距離に形成し、孔2、2′の起点からそれぞれ伸びる孔2と孔2′の角度は手のひらを自然に開いたときの第2指、第3指の一般的な角度で形成することができる。また、孔2、2′の奥行きは、指の第1関節程度の長さ、指先から第2関節までの長さ、指が全部入る長さなど自由に形成することができる。なお球状体のサイズ、孔の形状、奥行き、孔の径等は誰でも孔に指を挿入して使用できるような大きさに設定することができ、また、重量及び仕様に関しては自由に設定することができる。
【0030】
球状体1に形成された2、2′の孔の壁面を第2指、第3指で挟み、高めのボール、低めのボール等高さのイメージをしながら第2指と第3指を緩めることで、指から球状体が離れ捕球側へ飛んでいくが、球状体が指から離れる瞬間に指先が球状体1の孔2、2′の壁面に擦れることで、指先でリリースポイントの位置が分かるようになっている。
【0031】
図4は、本発明の投球・打撃用ボールの右側面図である。球状体1、孔2′から構成さ、れる。孔2′は球状体1の表面に対して直角に形成、奥行きは指の第1関節から第2関節あたりまで入る程度の長さに設定している。球状体1が野球のボール程度の大きさであれば指の孔2′の奥行きは前記より短く、野球のボール以上の大きさであれば孔2′の奥行きは前記よりもっと長く形成することができる。2′の孔には右利きであれば右手の第2指を入れ、左利きであれば左手の第2指を入れて球状体を握ることができる。
【0032】
図5は、本発明の投球・打撃用ボールの第2の実施例の右側面図である。球状体3、孔4、4′、横の中心線Aから構成される。孔4、4′はそれぞれ球状体1の横の中心線Aに平行にならないように形成する。中心線Aより先端部が上側を向いている孔4に第2指を入れ、中心線Aより下側を向いた孔4′に第3指を入れて使用する。
【0033】
図6は、本発明の投球・打撃用ボールの第3の実施例の平面図である。球状体に形成する孔5、5′、縦の中心線Bから構成される。第3の実施例は、縦の中心線Bに等間隔で2つの孔5、5′を配置し、また、孔5より孔5′の奥行きを長く形成する。これは、通常の人の手の指の長さが第2指より第3指のほうが長くなっているためである。5の孔には第2指を入れ、5′の孔には第3指を入れることで円滑に投球動作、指先のトレーニングができるようになる。
【0034】
図7は、本発明の投球・打撃用ボールの第3の実施例の右側面図である。球状体に形成する孔5′、孔の起点6、孔の最終点6′、孔に形成する段部6″から構成される。孔は縦の中心線B上に沿って奥行きを形成していくが最終点6′となる部分は中心線B上に位置させないように形成する。縦の中心線B上に最終点6′を位置させないことにより、孔の起点6から最終点6′までの孔には角度が作られ段部6″が形成されるようになる。図7では、孔の起点6より最終点6′となる部分の径が大きくなるように形成されているが、起点6となる孔の径と最終点6′の径は同じ大きさに形成することもできる。
【0035】
段部6″と最終点6′が形成されることにより、指の第1関節から先の指先が段部6″と最終点6′に引っ掛かり、投球の際に指先にかかる球状体の負荷により指先を鍛えることができる。指先が鍛えられることで、ボールを投球した際にボールに回転数を加えたり、変化球の変化を大きくしたりなど俗にいうキレのあるボールを投げられるようになる。また、段部6″に傾斜がついていることで球場体に指が引っ掛かり球場体を落とすという危険も軽減される。
【0036】
図8は、本発明の投球・打撃用ボールの第4の実施例の平面図である。球状体に形成する孔7、7′から構成される。図6の孔5、5′は球状体を貫通していないが、図8は球状体を孔7、7′が貫通している。これは、製品化する際に金型の工程を省略できるものであり、機能的には第3の実施例と同等である。
【0037】
図9は、本発明の投球・打撃用ボールの第4の実施例の右側面図である。球状体に形成する孔7′、孔の起点8、孔の最終点8′、段部8″、孔の終点9から構成される。図6と同様に孔は縦の中心線B上に沿って奥行きを形成していくが最終点8′となる部分は中心線B上に位置させないように形成する。縦の中心線B上に最終点8′を位置させないことにより、孔の起点8から最終点8′までの孔には角度が作られ段部8″が形成されるようになる。第4の実施例では孔の起点8より終点9となる部分の径が大きくなるように形成する。
【0038】
図10は、本発明の投球・打撃用ボールの第4の実施例の底面図である。球状体に形成する孔の起点8、終点9、縦の中心線Bから構成される。球状体に貫通させる孔の形状は起点8が円状になっているが、終点9の径の形状は楕円になっている。球状体に貫通させる孔は起点8と終点9の形状を変える、又は終点9の径を起点8より大きくすることで図9の最終点8′と段部8″が形成されるようになる。
【0039】
最終点8′と段部8″が形成されることで、最終点8′と段部8″に指先が引っ掛かり、投球の際に指先に力を入れる度合いを体で覚え、指先の感覚を養うことができるようになる。
【0040】
図11は、本発明の投球・打撃用ボールの使用状態を示した参考図である。球状体に形成した孔に指を図11のように入れ投球動作を行う。指の腹で孔の壁を押さえこの状態で投球動作に入る。腕が真っ直ぐ前を向いたときに球状体が指から外れ、リリースポイントとなる。指から球状体が外れることでリリースポイントの位置を把握でき、常に同じ場所でリリースできるようになる。また、球状体を鉄や鋳物などの重量のあるもので成形した場合には、球状体に形成された孔に指を入れて持つ、指の屈伸運動をする、手首を回旋させるなどの運動をするだけで指先に負荷がかかり、指先、手首、肘、腕などを鍛えることができる。
【0041】
図12は、本発明の投球・打撃用ボールの第2の実施例の使用状態を示した参考図である。第2指を上側に、第3指を下側に入れられるように形成した孔に指を入れ、腕をスイングすると、リリースポイントとなる場所で孔が水平になるようになっている。ちなみにテークバックの時は孔の位置は第2指が上側、第3指が下側を向いている。人間の腕についた筋肉は真っ直ぐではなく、らせん状についているためテークバックの際には肩、肘、手首、指がねじられるような状態となり、また、リリースからフォロースルーにかけて肩、肘、手首、指先の順に徐々に腕が真っ直ぐ前に伸びてくるようになっている。よって投球の際に第3指より第2指のほうが、早く捕球側を向くために第2指が入る孔を上側に向け、第3指が入る孔を下側に向けて形成している。
【0042】
図13は、本発明の投球・打撃用ボールの第4の実施例の使用状態を示した参考図である。指の第1関節を図7の段部6″から最終点6′に掛かるように孔に指を入れ、指だけを使用して球状体を回す、反らせるなどの他に、手首を使って球状体を回す、腕を使って球状体をスイングするなどのトレーニングができる。図7の段部6″、最終点6′が指先の滑り止めの役割を果たし、球状体から指が外れないようになっている。指が外れないことにより球状体を持ってスイングする、回旋するなどのトレーニングができる。また、球状体をリリースする場合にはリリースポイントで指先を伸ばすことで段部6″、最終点6′から指先が外れ球状体が捕球側へ飛んでいくことができる。
【0043】
図14は、通常のボールを握って投球する際の状態の図を表したものである。ボールが指から離れる直前の位置a、ボールが指から離れる位置bから構成される。通常はaの手前からリリースの準備に入り、a〜bの位置でボールが指から離れる。
【0044】
図15は、本発明の投球・打撃用ボールを投球した際のリリースポイントの図を表わしたものである。球状体1、通常の投球の際の指からボールが離れる直前の位置a、通常の投球の際にボールが指から離れる位置b、本発明の球状体1が指から離れる始めるリリースポイントの位置c、dから構成される。
【0045】
また、図14−aは通常のボールを握って投球をする際の指からボールが離れる直前の位置であるが、本発明はaの位置ではまだ指から球状体が離れずにいる状態である。また、本発明のリリースポイントは腕が真っ直ぐ体の前に位置する直前が指からボールが離れ始める位置cとなる。リリースポイントが遅くなればなるほど、打者はボールの出所が見えにくくなるためにタイミングが計りにくく凡打になる可能性が高くなる。逆に図14−bはリリースポイントが早いために、打者にとってはボールの出所が早く見えボールにタイミングを合わせやすい。このように球状体から指を離す位置を体で覚えることで、実際にボールを握って投球をした際にリリースポイントを確実に把握できることと、ボールを遅く離すことで、上体を支えようと下半身が踏ん張ることができ、おのずと下半身に体重が乗った球威のあるボールを投げられるようになる。
【0046】
図16は、本発明の投球・打撃用ボールの第4の実施例のスイング練習の図を表したものである。球状体1、腕を上から下へ投げおろすスイング時の腕の軌道e、f、g、h、iから構成される。eの時点で指先を広げ、手首、腕、肩から力を抜いた状態でスイングを始める。fは、通常のボールを投球する際のリリースポイントであり、本発明の投球・打撃用ボールはfの時点から指の第1関節を曲げてボールの段部6″、最終点6′に指先を引っ掛けてスイング練習をすることができる。また、好きな場所でリリースしたい場合は、例えばgの時点で指先を真っ直ぐにすることで、球状体1は指先から離れていくことができる。また、球状体1を指先から離さずにフォロースルーまでスイングをしたい場合は、指先を曲げたままf〜iまで球状体を1を持ち続け、最後まで腕を振りぬくことができる。
【0047】
最後まで球状体1を持ちフォロースルーまでの動作を行うことで、指先に球状体1の重量、遠心力の負荷がかかり投球に必要な指先、手首、肘、腕、肩などが鍛えられる。指先を中心に鍛えることは、ボールを押さえる指の圧力が増し投球の際に握力が低下して球威が落ちることを軽減することができる。また、eの時点で指を開いて孔に指を入れることで、投球の初めには上体から力を抜くことができ、上体から力を抜くことで下半身に体重が乗り、俗にいうボールにウエートが乗った球威のあるボールを投げる練習ができるようになる。
【符号の説明】
【0048】
1 球状体
2、2′ 球状体に形成する孔
3 球状体
4、4′ 球状体に形成する孔
5、5′ 球状体に形成する孔
6 球状体に形成する孔の起点
6′ 球状体の最終点
6″ 球状体に形成された段部
7、7′ 球状体に形成する孔
8 球状体に形成する孔の起点
8′ 球状体の最終点
8″ 球状体に形成される段部
9、9′ 球状体に形成される孔の終点
A 横の中心線
B 縦の中心線
a 通常の投球でリリースが始まる位置
b 通常の投球で指からボールが離れる位置
c 本発明の投球・打撃用ボールの指からボールが離れ始める位置
d 本発明の投球・打撃用ボールの指からボールが離れる位置
e〜f 本発明の投球・打撃用ボールの使用状態の腕を上から下へ投げおろすスイング時の腕の軌道
【特許請求の範囲】
【請求項1】
球状体と、前記球状体の中心線に沿って形成される1つ以上の孔と、から成ることを特徴とする投球・打撃用ボール。
【請求項2】
球状体の表層面から前記球状体の深部にかけて最終点のある前記孔を1つ以上形成し、前記最終点となる部分は前記中心線上に位置しないことを特徴とする請求項1に記載の投球・打撃用ボール。
【請求項3】
前記球状体に形成する前記1つ以上の孔は、前記球状体の表面から前記球状体表面の裏側の表面に貫通させ、前記球状体の表面に形成する前記孔の径と前記裏側の表面に形成する前記孔の径の大きさは異なることを特徴とする請求項1乃至請求項2に記載の投球・打撃用ボール。
【請求項4】
前記球状体に形成する前記1つ以上の孔は前記球体の中心線に平行にならないように形成することを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の投球・打撃用ボール。
【請求項5】
前記球状体に形成する1つ以上の前記孔は、人の指が容易に挿入できるような形状とし孔道は弧状に形成することを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の投球・打撃用ボール。
【請求項6】
前記球状体は、左右対称の形状を有し、球状、楕円状、円状、円柱状、多角形状、多角柱状などで形成することができることを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載の投球・打撃用ボール。
【請求項1】
球状体と、前記球状体の中心線に沿って形成される1つ以上の孔と、から成ることを特徴とする投球・打撃用ボール。
【請求項2】
球状体の表層面から前記球状体の深部にかけて最終点のある前記孔を1つ以上形成し、前記最終点となる部分は前記中心線上に位置しないことを特徴とする請求項1に記載の投球・打撃用ボール。
【請求項3】
前記球状体に形成する前記1つ以上の孔は、前記球状体の表面から前記球状体表面の裏側の表面に貫通させ、前記球状体の表面に形成する前記孔の径と前記裏側の表面に形成する前記孔の径の大きさは異なることを特徴とする請求項1乃至請求項2に記載の投球・打撃用ボール。
【請求項4】
前記球状体に形成する前記1つ以上の孔は前記球体の中心線に平行にならないように形成することを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の投球・打撃用ボール。
【請求項5】
前記球状体に形成する1つ以上の前記孔は、人の指が容易に挿入できるような形状とし孔道は弧状に形成することを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の投球・打撃用ボール。
【請求項6】
前記球状体は、左右対称の形状を有し、球状、楕円状、円状、円柱状、多角形状、多角柱状などで形成することができることを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載の投球・打撃用ボール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−279672(P2010−279672A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−167249(P2009−167249)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(399043417)有限会社内田販売システム (24)
【出願人】(592047663)
【出願人】(597030637)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(399043417)有限会社内田販売システム (24)
【出願人】(592047663)
【出願人】(597030637)
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