説明

投票処理のための表示システム、映像配信装置、および表示方法

【課題】公営競技のギャンブルとしての魅力を低減することなく、投票者が投票券の購入をより簡単に行うことができるような、公営競技の投票処理のための表示システムを提供する。
【解決手段】投票券の集計処理システム10は、ホストコンピュータ12、映像配信装置14、映像コントローラ16、およびモニタ18、投票管理装置20、競技結果収集装置22で構成され、ホストコンピュータ12は、投票情報に基づいて、賭式ごとに組番の各々に対するオッズを算出し、映像配信装置14は、ホストコンピュータ12からオッズ情報、競技結果情報、および投票情報を受け、全式別人気の高い順オッズ表と全式別的中情報表を作成し、作成した全式別人気の高い順オッズと的中状況を投票者に提供するための映像を作成して映像コントローラ16に送り、映像コントローラ16では、この映像をモニタ18のスペックに応じて再編集して各モニタ18に配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は公営競技の投票処理において、投票者に対してオッズ等の情報を表示する表示システム、映像配信装置、および表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
競馬、競輪、競艇、オートレースなどの公営競技は、近年は若い女性を含む幅広い層の人々によって楽しまれるようになってきた。一般に、投票券の購入に際して投票者は、毎回の競走によって異なる、式別(賭式別)に表示されるオッズ(予想配当率)を参考にして、掛け目(式別、組番)を決めて投票券を購入する。式別とは、たとえば競馬の場合は、単勝、複勝、枠番連勝、馬番連勝などの掛け方の区別を指す。つまり、投票券の購入者、即ち投票者は、一般には、まず式別を決めた上で、式別ごとに装置上に表示されるオッズを見て、投票券を購入する。その際に、投票券の購入者は、専門誌や予想紙、公営競技の主催者が発表する出走情報や当日より前の過去の成績なども参考にする場合がある。
【0003】
また、公営競技の投票券を集計処理するシステムの表示装置では、式別ごとにオッズを示す複数の画面が順番に表示される。つまり、ある式別のオッズが所定の時間の間、表示された後、次に別の式別のオッズが表示される。
【0004】
このように各競技が多様な投票券購入方式を提供し、また競技の主催者または第三者により投票券購入の際の参考となり得る多くの情報が提供されると、投票者は自分の嗜好や投票券購入のための予算に応じた、投票券の購入が可能である。その一方、投票券の購入が煩雑になり、特に競技に関する予備知識の少ない初心者は、投票券の購入に躊躇し、時間が掛かることがあった。
そのため、投票券の購入、特に競技の初心者の投票券の購入を支援する技術が知られている。
【0005】
その中の一つの技術は、投票者が、自分の嗜好に基づいて条件を入力し、その条件を満たすような投票対象の情報提供を行う装置が知られている(たとえば、特許文献1、2)。この装置では、たとえば、投票者は、オッズを指定する、投票対象(馬、選手、組番など)の人気を指定する、投票対象(馬、選手、組番など)をランダムにセットする、などの条件を入力する。そして、装置は、投票者の条件を満たす投票対象を抽出し、その投票対象を投票者に情報提供を行う。
【0006】
また、指定されたオッズを基に該当するオッズの競争体の組み合わせを抽出し、さらにその組み合わせからランダムに投票者が投票可能な組み合わせを選択し表示する装置が知られている(たとえば、特許文献3)。オッズの指定は、投票者によってなされる。この装置では、投票者がオッズに関する条件を指定すると、その条件に見合う組み合わせを自動的に表示する。
【0007】
また、賭け方、つまり式別の数が多様化し、それに伴って掛け目(式別、組番)の数が増えるにつれ、オッズ情報を表示することが難しくなった。そこで、オッズの表示に替わって、投票者の投票券購入に対して参考となる情報として、各レースにおいて、各競走体に対する投票者の支持率を表示する技術が知られている(たとえば、特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−248740号公報
【特許文献2】特開2002−207843号公報
【特許文献4】特開2007−323522号公報
【特許文献4】特開2006−79364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、投票者が、自分の嗜好に基づいて条件を入力する装置では、自分の嗜好を決めるほどに投票券の購入に慣れていない初心者である場合には、投票券の購入の煩雑さが解消するとは言えなかった。
【0010】
一般に、公営競技の魅力の一面は、ギャンブル、つまり賭け事であることにある。つまり、公営競技の投票券を購入することは、特に初心者にとっては、非日常的体験であり、その非日常性はギャンブルであることに由来する。そして、賭け事とは、自分で競技の勝者を予想し、賭けに勝ったときに、投資額に対してオッズで定義される払戻金を得ることである。日本の公営競技においては、オッズは払戻金の倍率を示すことがある。よって、オッズとは異なる指標を導入すると、もし賭けに勝ったときに得る払戻金を購入時にイメージできず、賭け事の本来的な楽しみを享受できない可能性がある。
【0011】
また、自動的に投票する組み合わせを表示するので、自分で競技の勝者を予想するという賭け事の楽しみの一面が失われている可能性がある。
【0012】
したがって、公営競技の魅力を低減することなく、投票者が投票券の購入をより簡単に行うことができるような、公営競技の投票処理のための表示システム、映像配信装置、および表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の問題を解決するために、本発明の一実施形態にしたがう表示システムは、所定のレースおよび前記所定のレースより前に行われたレースに対して投票者によって投票された掛式、投票対象の組番、および投票数に関する情報である投票情報を取得する投票情報取得手段と、前記投票情報に基づいて、前記賭式ごとに前記組番の各々に対するオッズを算出するオッズ算出手段と、前記賭式ごとに算出された前記組番の各々に対する前記オッズに基づいて、前記賭式の全ての中でオッズの値の小さい順に前記組番を並べ替え、オッズの値が小さい順に所定の順位までのオッズ、賭式および組番を人気の高い上位オッズ情報として抽出するソート手段と、前記所定のレースより前に行われた前記レースで的中した組番を競技結果情報として取得するレース結果取得手段と、前記所定のレースより前に行われた前記レースに対して、前記人気の高い上位オッズ情報と前記競技結果情報を比較して、前記人気の高い上位オッズ情報に含まれている組番が的中しているかどうかを判定する的中判定手段と、前記所定のレースにおいて人気の高い上位オッズ情報を、前記判定結果と共に投票者に示す表示手段と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
人気順位ごとにその日の的中状況を表示することによって、
競技の初心者が、投票券の購入をより簡単に行うことが可能にすることができる。また、主催者側は、初心者が簡単に投票権を購入できることにより、売上げの向上が見込める。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態の表示装置が適用されるシステムの図である。
【図2】本発明の一実施形態の表示装置の機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態の表示装置の構成図である。
【図4】本発明の一実施形態の表示方法を示すフローチャートである。
【図5】図4の全式別共通人気順判定処理を示すフローチャートである。
【図6】図4の人気順位単位的中回数管理処理を示すフローチャートである。
【図7】式別単位人気順オッズ表の例である。
【図8】全式別人気順オッズ表の例である。
【図9】式別単位的中情報表の例である。
【図10】全式別的中情報表の例である。
【図11】表示装置における表示出力画面の例である。
【図12】比較例の表示装置の機能ブロック図である。
【図13】比較例の表示方法を示すフローチャートである。
【図14】比較例の表示装置における表示出力画面の例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。尚、図中で類似の部分または類似の機能を果たす部分については、同一または類似の参照符号を付与して重複した説明を省略する。
【0017】
<賭式の説明>
まず、公営競技での投票における賭式について説明をする。公営競技の例としては、競馬、競輪、競艇、オートレース等が挙げられるが、本実施例では、競馬について説明を行う。
【0018】
「単勝式」とは、複数の出走対象の中から1着となる出走対象を1つ選択して投票する賭式である。
「複勝式」とは、複数の出走対象の中から1着から2着またはそれ以下の着順までに入る出走対象を1つ選択して投票する賭式である。たとえば、1着から2着に入る対象を予想するか、1着から3着に入る対象を予想するかは、出走する対象の数によって変わっても良い。
【0019】
「連勝複式」とは、複数の出走対象の中から1着からM着(Mは2以上出走対象の数未満)までに入る投票対象をN個選択して投票する賭式である。ここで、「投票対象」とは、出走馬や出走選手などの個々の出走対象であってもよいし、出走対象のグループ、たとえば競馬であれば、複数の出走馬に割り当てられる「枠」であっても良い。連勝複式では、1着からN着までに入る投票対象を選択し、N個の投票対象の中で順序は付けなくても良い。即ち、N個の投票対象の順位までは予想しなくて良い。たとえば、M=2、すなわち2着以内に入る2つの投票対象として、5番と8番を選択したとする。すると、1着が5番、2着が8番でも、1着が8番、2着が5番でも的中である。
【0020】
また、連勝複式には、競馬、競輪、オートレースなど競艇を除く競技では「ワイド」、競艇では「拡連複」と呼ばれる賭式が存在する。この賭式では、P着以内に入るQ個の投票対象を選択して投票する。Q個の投票対象は順不同で扱われる。通常、ワイドと言えば、P=3、Q=2の場合を指すことが多い。この場合には、3着以内に入る2個の投票対象を選択する。たとえば、投票対象として5番と8番を選択したとする。すると、5番が1着から3着までに入り、かつ8番が1着から3着までに入れば、的中である。別の例では、もしレースの結果が、1着が5番、2着が3番、3着が8番であったなら、3番と5番、3番と8番、5番と8番の3つの投票券が的中である。
【0021】
「連勝単式」とは、複数の出走対象の中から1着からN着(Nは2以上出走対象の数未満)の各順位について投票対象を投票する賭式である。たとえば、N=2の場合、1着および2着となる投票対象をそれぞれ選択する。連勝単式の場合、投票した全ての順位で予想が一致しないと的中したとは判断されない。
「重勝式」とは、複数のレースにおける単勝式、複勝式、連勝単式、連勝複式のいずれか1つの投票法をまとめて予想する投票法である。
【0022】
<システムの構成>
図1は本発明の一実施形態の表示装置が適用されるシステムの図である。本システムでは、あるレースにおける掛け目(式別、組番)に対するオッズを表示する際、各式別ではなく、全式別でのオッズを表示する。さらに、全式別でのオッズと共に、人気の高い順位(または人気順位と記載)ごとにその日の的中状況を表示する。このように投票者に対してオッズ等の情報を表示する表示装置を構成することによって、公営競技のギャンブルとしての魅力を低減することなく、特に競技の初心者である投票者が投票券の購入をより簡単に行うことができる。特に、人気の高い順位ごとにその日の的中状況を表示することによって、その日にその競技を一緒に楽しんでいる人々の傾向を知ることができる。たとえば、上位人気の掛け目(式別、組番)に対する的中率が高ければ、手堅く投票する人の割合が高いかも知れない。また、上位人気の掛け目(式別、組番)に対する的中率が低ければ、その日にその競技を一緒に楽しんでいる人々の投票対象は分散している可能性があり、手堅くリターンを得るよりも一攫千金を狙う人の割合が多いのかも知れない。いずれにせよ、人気の高い順位ごとにその日の的中状況を見ることによって、投票者の間で連帯感を味わえる可能性があり、公営競技の魅力に新しい面を与えることができる。
【0023】
競技の投票券の集計処理システム10は、ホストコンピュータ12、映像配信装置14、映像コントローラ16、およびモニタ18a〜18n(まとめてモニタ18)、投票管理装置20、競技結果収集装置22を含んでいる。モニタ18a〜18nはまとめてモニタ18として参照することがある。ホストコンピュータ12、投票管理装置20、競技結果収集装置22と映像配信装置はネットワーク24を介して接続される。ネットワーク24は有線であっても無線であっても、または有線と無線の組み合わせであっても良い。映像配信装置14、映像コントローラ16、およびモニタ18は有線、または無線によって電気的に接続される。
以下では、映像配信装置14、映像コントローラ16、およびモニタ18をまとめて「表示装置」と呼ぶことがある。
【0024】
モニタ18は、投票者が集うところに配置される。投票者が集う場所としては、たとえば、競技場内の投票券売り場や、競技場の外にある場外の投票券売り場等である。投票券を購入しようとする人は、このモニタ18に映し出される映像に含まれる情報を参考に、投票券を購入することができる。ホストコンピュータ12、映像配信装置14、映像コントローラ16、投票管理装置20、競技結果収集装置22は必ずしも競技場内または場外の投票券売り場に配置される必要はない。モニタ18は、投票者が持ち歩くことが可能な端末装置であっても良い。
【0025】
投票管理装置20は、図示されていない投票券の発行装置と接続されており、投票券発行装置から、どの種類の投票券がどれだけ売れたのか、誰が買ったのかなどの「投票情報」を得ることが出来るように構成されている。この投票管理装置20は、投票者によって投票された掛式、投票対象の組番、および投票数に関する情報である投票情報を取得する投票情報取得手段として機能する。
【0026】
モニタ18が携帯端末の場合には、投票者は携帯端末18を介して投票券を購入することが可能となるように、投票券の発行装置は、モニタ18と電気的に接続されても良い。
また、投票管理装置20は、投票情報を、ネットワーク24を介してホストコンピュータ12に送信することができる。
【0027】
競技結果収集装置22は、各レースの結果に関する情報を収集し、その収集結果を「競技結果情報」として、ホストコンピュータ12、映像配信装置14に送信することができる。「競技結果情報」は、各レースに対して発行され、式別ごとに的中した組み合わせを含む。また、競技結果情報には、着順の写真判定を行う際に必要な映像を含んでいても良い。この競技結果収集装置22は、競技結果情報として取得するレース結果取得手段として機能する。
【0028】
ホストコンピュータ12は、投票管理装置20から送られた「投票情報」に基づいて、各掛け目(式別、組番)に対するオッズを算出する。ホストコンピュータ20は、投票情報に基づいて、前記賭式ごとに前記組番の各々に対するオッズを算出するオッズ算出手段として機能する。
【0029】
オッズの計算は、一般に、賭式別に行われる。たとえば、日本で開催されている競馬であれば、競馬法に規定された方法に基づいて計算され、その計算式は賭式によって異なる。
【0030】
具体的には、単勝式および複勝式では、的中者に対して、「勝馬投票券の売得金の額を賭式ごとに区分した金額について「第1号算式によって算出した金額から第2号算式によつて算出した金額を控除した残額に第3号算式によって算出した金額を加えた金額を、当該勝馬に対する各勝馬投票券にあん分した金額を、払戻金として交付」(競馬法第7条)される。売得金とは、その賭式に対する投票券の発売金額の総額から、出走取り消しなど、何らかの理由で投票者に返金された金額を引いたものである。
【0031】
ここで第1号算式、第2号算式、および第3号算式とは以下のような式である。
第1号算式:(W+D/P)×(1−R)=T
ただし、Wは、当該勝馬に対する勝馬投票券の総券面金額、Dは、出走した馬であって勝馬以外のものに対する勝馬投票券の総券面金額、Pは、勝馬の数(勝馬投票の的中者がない場合にあっては、1)、そして、Rは、第8条(第22条において準用する場合を含む。)の規定により、農林水産大臣が定める率である。Rは日本で開催される競馬においては、おおよそ0.18〜0.25の大きさであるが、もちろん、この数字に限定されない。第1号算式では、勝ち馬の数Pが賭式によって異なる。
【0032】
第2号算式:(T−W)×r
ただし、Tは、第1号算式のT、Wは、第1号算式のWである。現在の競馬法では、rは、100分の10であるが、これは、オッズの算出に当たっては、額面100円の10分の1である10円単位で算出するからである。
【0033】
第3号算式A/P×a
ただし、Aは、出走したすべての馬に対する勝馬投票券の総券面金額、Pは、第1号算式のP、aは、100分の5以内で中央競馬及び地方競馬ごとに農林水産大臣が定める率である。
【0034】
また、連勝単式、連勝複式、重勝式では、的中者に対して、「第1号算式によって算出した金額から第2号算式によって算出した金額を控除した残額を、当該勝馬に対する各勝馬投票券にあん分した金額を、払戻金として交付」(競馬法第7条)される。
【0035】
このように式別に算出されたオッズに関する「オッズ情報」は、投票者に開示するために、ネットワーク24を介して映像配信装置14に送られる。
【0036】
オッズ情報には、投票券の種類ごとに投票券を購入した人に関する情報が含まれていてもよい。この場合には、ホストコンピュータ12は、投票管理装置20から送られてきた投票情報から各掛け目(式別、組番)に対して、オッズを計算する以外に、その掛け目(式別、組番)に投票した人に関する情報を取得して、両者を合わせてオッズ情報とする。したがって、オッズ情報には、レースの開催日、その日の何レース目であるのかに関する情報、賭式ごとのオッズ、払戻金に関する情報、賭式ごとの投票者(投票券を買った人に関する情報)が含まれている。
【0037】
また、ホストコンピュータ12は、競技結果収集装置22から各レースの結果に関する「競技結果情報」を受ける。そして、ホストコンピュータ12は、レースの結果を投票者に提示するために、映像配信装置14にその競技結果情報を転送しても良い。また的中者に対する払い戻しを、たとえば銀行振り込みなどのように電子的に行う場合にホストコンピュータ12は、投票情報から、的中者を特定し、的中者に対して払戻金を電子的に支払う手続きを行っても良い。
【0038】
また、「競技結果情報」は、ホストコンピュータ12の内部に記憶され、蓄積される。具体的には、その日のレース結果に関する情報はホストコンピュータ12内に記憶される。そして、必要に応じて、映像配信装置14に送られる。
【0039】
映像配信装置14は、ホストコンピュータ12からオッズ情報、競技結果情報、および投票情報を受けることができる。また、映像配信装置14は、競技結果収集装置22から直接的に競技結果情報を得ることも可能である。
【0040】
映像配信装置14は、以下で詳細に説明するが、外部から受け取ったオッズ情報および投票情報に基づいて、賭式別ではなく、投票券を全式別での人気の高い順に並べ替える。並び替えの結果は、全式別人気の高い順オッズ表に書き込まれ、記憶されても良い。この並べ替えの処理を、「全式別共通人基準判定処理」と呼ぶことがある。また、外部から受け取った競技結果情報にしたがって、その日に既に行われたレースにおける人気の高い順位の投票券の的中の回数を的中回数としてカウントする。さらに、この的中回数から的中率を計算する。この的中回数と的中率を求める処理は、「人気順位単位的中回数管理処理」と呼ぶことがある。的中回数は、その日のその公営競技を楽しんでいる人々の傾向を反映している。この的中回数および的中率は、的中情報表に書き込まれ、記憶されても良い。これら「全式別共通人基準判定処理」と「人気順位単位的中回数管理処理」は、投票の締め切り前、所定の周期で行われてもよい。たとえば、締め切り15分前、10分前、5分前と、5分ごとに処理が行われ、全式別人気の高い順オッズ表と的中情報表が更新されても良い。また、これらの処理は周期的ではなく、投票数の増加に応じて行われても良い。この場合、一般には投票券は締め切りの直前に買う人が多いので、締め切りの直前は頻繁にこれらの処理が行われる。
【0041】
このように、映像配信装置14ではまず、全式別人気の高い順オッズ表と全式別的中情報表が作成される。つまり、映像配信装置14は、賭式ごとに算出された組番の各々に対するオッズに基づいて、賭式の全ての中でオッズの値の小さい順に組番を並べ替え、オッズの値が小さい順に所定の順位までのオッズ、賭式および組番を「人気上位オッズ情報」として抽出するソート手段として機能する。
【0042】
さらに、映像配信装置14では、作成した全式別人気の高い順オッズと的中状況を投票者に提供するための映像を作成する。この映像は、「全式別共通人気順判定処理」と「人気順位単位的中回数管理処理」が行われるたびに作成されても良いし、「全式別共通人気順判定処理」と「人気順位単位的中回数管理処理」の開始とは別の基準で行われても良い。
【0043】
映像配信装置14で作成される、投票者向けの映像は、その日の何レース目か、と人気の高い順位ごとの全式別での掛け目(式別、組番)、オッズ、その日のその人気の高い順位の的中率、レースごとの的中状況が一度に表示されることが好ましい。たとえば、一つの画面で、人気の高い順位の1位から15位までの掛け目(式別、組番)、オッズ、その日のその人気の高い順位の的中率、レースごとの的中状況が表示されても良い。特に初心者の投票者は、賭式別について詳しく知らなくても、自分で投票券を選ぶという公営競技のギャンブルとしての魅力を低減することなく、投票券の購入をより簡単に行うことができる。しかも、投票券を選ぶ際に、的中状況から、その日に一緒に競技を楽しんでいる人の傾向を知ることができ、初心者でも他の投票者との連帯感を味わうことができる。
【0044】
映像配信装置14で作成された映像は、映像コントローラ16に送られる。映像コントローラ16には、モニタ18が接続されており、映像配信装置14で作成された映像は、必要によってはモニタ18のスペックに応じて再編集され、各モニタ18に配信される。
【0045】
図2は、映像配信装置14の機能ブロック図である。
映像配信装置14は、データ受信部1402、全式別共通人気順判定処理部1404、人気順位単位的中回数管理部1406、映像生成部1408、映像送出部1410を含んでいる。映像生成部1408は、所定のレースに対する人気の高い上位オッズ情報を示す映像を作成する映像作成手段を構成する。映像送出部1410は、映像作成手段によって作成された映像に関する情報を、場内映像設備16、場内モニタ18等の表示手段に向けて配信する配信手段を構成する。
【0046】
映像配信装置14はさらに、式別単位人気順オッズ表、全式別人気順オッズ表、式別単位的中情報表、全式別的中情報表をそれぞれ記憶する記憶装置1412、1414、1416、1418を含んでいる。そして、データ受信部1402、全式別共通人気順判定処理部1404、人気順位単位的中回数管理部1406は、式別単位人気順オッズ表、全式別人気順オッズ表、レース単位的中情報表、全式別的中情報表をそれぞれ記憶する記憶装置1412、1414、1416、1418に接続されている。以下では、これらの表とその表が記憶されている記憶装置の両方を同一の参照符号で参照することがある。
【0047】
データ受信部1402は、ホストコンピュータ12、投票管理装置20、競技結果収集装置22から、「オッズ情報」および「競技結果情報」を受信し、それぞれ、式別単位人気順オッズ表およびレース単位的中情報表として記憶装置1412および1416に送る。記憶装置1412は、オッズ情報を賭式別に記憶する。記憶装置1416は、的中情報をレース毎、式別単位に記憶する。
【0048】
図7は式別単位人気順オッズ表の例である。ここでは、公営競技として競馬を想定している。式別ごとに1位から15位までの組番とオッズが示されている。ここでは、式別として、単勝、複勝、枠連複、枠連単、馬連複、馬連単、ワイド、3連複、3連単を含んでいる。
【0049】
全式別共通人気順位判定処理部1404は、記憶装置1412に記憶されている式別ごとのオッズを用いて、式別に無関係な、全式別での人気順に並べ替え、人気の上位15位を求める。そして、全式別での上位15位までを全式別人気順オッズ表として、記憶装置1414に送る。記憶装置1414は、全式別人気順オッズ表を記憶する。
【0050】
図8は、全式別人気順オッズ表の例である。図7に示されている式別単位人気順オッズ表から、式別を無視して、オッズの値が小さい順に1位から15位まで並べたものである。
【0051】
人気順位単位的中回数管理部1406は、記憶装置1416にレース単位的中情報表として記憶されている「競技結果情報」に基づいて、人気順位ごとに的中回数と的中率を算出する。この結果は、全式別的中情報表として、記憶装置1418に記憶される。
【0052】
このように映像配信装置14は、人気の高い上位オッズ情報と競技結果情報を比較して、人気の高い上位オッズ情報に含まれている組番が的中しているかどうかを判定する的中判定手段を備えている。
【0053】
「競技結果情報」は、図9に示されているようなレース単位的中情報表を含んでいても良い。図9に示されているレース単位的中情報表は一例であり、あるレースに対して、単勝、複勝、枠連複、枠連単、馬連複、馬連単、ワイド、3連複、3連単の各式別に対して、的中した組番とその払戻金が一覧になっている。しかし、レース単位的中情報表に含まれる情報はこれらに限定されず、他の要素を含んでいても良い。たとえば、的中した投票券を購入した人を示す情報を含んでいても良い。レース単位的中情報表には、式別ごとに的中した組番と払戻金の額が表示されている。払戻金の額を算出するためには、上述のオッズの計算と基本的には同じ計算をする。
【0054】
図10は、全式別的中情報表の例である。レースごとに何位の人気の投票券が的中したのか、が示されている。“〇”印が的中した投票券を表す。たとえば、第1レースでは、人気が1位であった投票券が的中している。“×”印は、はずれた投票券を表している。この的中情報表を見ると、人気1位の投票券が、9レース中4レースで的中している。また人気2位の投票券も9レース中3レースで的中している。また。人気6位以下の投票券は一度も的中していない。これらの情報から、初心者である投票者は、たとえば、人気が6位以下の投票券を購入することによって、他の投票者の傾向に逆らって、ハイリスクハイリターンを狙ってみる、などの戦略を立てることができる。
【0055】
映像生成部1408では、全式別共通人気順判定処理部1404と人気順位単位的中回数管理部1406で作成された全式別人気順オッズ表1414と全式別的中情報表1418に関する情報から、その日の何レース目か、と1位から15位までの人気順位ごとの全式別での掛け目(式別、組番)、オッズ、その日のその人気の高い順位の的中率、レースごとの的中状況が一度に表示される映像に関する「映像情報」を作成する。
【0056】
映像生成部1408で生成された映像に関する「映像情報」は、映像送出部1410によって。映像コントローラ16に向けて送出される。
映像コントローラ16は、映像配信装置14から受けた映像情報をモニタ18に配信する。
【0057】
モニタ18は、映像コントローラ16から配信された「映像情報」に基づいて、その日の何レース目か、と1位から15位までの人気の高い順位ごとの全式別での掛け目(式別、組番)、オッズ、その日のその人気の高い順位の的中率、レースごとの的中状況に関する情報に、投票者がアクセス可能であるようにする。具体的には、映像として表示されても良い。また、音声によって映像情報が投票者に提供されるように構成されていても良い。
【0058】
モニタ18は、投票券を購入する人がいる場所に設置されている。その場所には、図示されていないが、投票券販売機が設置され、販売された投票券の種類、枚数や金額に関する情報が収集できるようになっていても良い。さらに、本システム10は、投票券を購入した人を特定することが可能な情報を投票券の販売と同時に行えるように構成されていても良い。さらに、前述のように、モニタ18は携帯端末であっても良い。そして、携帯端末はモニタ18としての機能のほかに、携帯端末からの指示により、投票券を購入できるようなものであっても良い。
【0059】
図11はモニタ8に映し出される映像の例である。
「9R」は、表示されているオッズ等の情報は、第9レースに対するものであることを意味する。「(公序良俗違反につき、不掲載)記念」とは、この第9レースに付けられた名称である。この画面では、人気の高い順位の1位から15位までの掛け目(式別、組番)、オッズ、その日のその人気高い順位の的中率、レースごとの的中状況が表示されている。
【0060】
図3は、本発明の一実施形態の映像配信装置14の構成図である。映像配信装置14は、CPU1450、メモリ1452、I/Oインターフェイス1454を含み、これらはバス1456を介して互いに接続されている。また、I/Oインターフェイス1454には、HDD等の外部記憶装置1458が接続されている。さらに、I/Oインターフェイス1454はバス24と接続しており、映像配信装置14と、ホストコンピュータ12、投票管理装置20、競技結果収集装置22と電気信号を介して情報の授受が可能であるように構成されている。
【0061】
メモリ1452には、上記の「全式別共通人気順判定処理」および「人気順位単位的中回数管理処理」を行うための命令を含むコンピュータプログラムが記憶されている。これらのコンピュータプログラムはCPUが処理可能なコードで書かれている。また、メモリ1452および/または外部記憶装置1458には、式別単位人気順オッズ表、全式別人気順オッズ表、レース単位的中情報表、全式別的中情報表が記憶されている。これらの表は、異なる4つのメモリに記憶されていても良いし、一つのメモリに記憶されていても良い。もちろん、式別単位人気順オッズ表と全式別人気順オッズ表は第1のメモリに記憶されているが、レース単位的中情報表と全式別的中情報表はそれぞれ、第2、第3のメモリに記憶されていても良い。
【0062】
このように、本実施形態では、映像配信装置14は汎用コンピュータの構成をしているが、映像配信装置14の構成はこのようなものに限定されない。たとえば、映像配信装置14は、「全式別共通人気順判定処理」および「人気順位単位的中回数管理処理」を行うための専用回路を含んでいても良い。さらに、映像配信装置14は、汎用コンピュータと専用回路の適当な組み合わせであっても良い。
【0063】
<システムの動作>
図4から6を参照して、本システム10の動作を説明する。
図4は、本発明の一実施形態の表示方法を示すフローチャートである。図4に示されている処理は映像配信装置14によって処理される。
【0064】
スタートすると、まず、ステップS102で投票情報および競技結果情報の取得をする。上述のように、「投票情報」は図1に示されている投票管理装置20を用いて収集される。また、「競技結果情報」は図1に示されている競技結果収集装置22を用いて収集される。これら収集された投票情報および競技結果情報はホストコンピュータ12に一時的に記憶された後に、映像配信装置14に取り込まれても良いし、投票管理装置20、競技結果収集装置22からバス24を介して直接的に映像配信装置14に取り込まれても良い。取得された投票情報および競技結果情報は、ステップS102の処理が終わると、プロセスはステップS104の全式別共通人気順判定処理に進む。
【0065】
ステップS104では、上述の「全式別共通人気順判定処理」を行う。
「全式別共通人気順判定処理」の詳細は、図5に示されている。全式別共通人気順判定処理では、賭式別ではなく、投票券を全式別での人気順に並べ替え、全式別人気順オッズ表に書き込まれる。
【0066】
全式別共通人気順判定処理は、図5のステップS202で開始される。ステップS202では、たとえば、単勝、複勝、枠連複、枠連単、馬連複、馬連単、ワイド、3連複、3連単の順に1から9の値を付与されている場合には、式別を示す変数を「1」にリセットする。そしてステップS204に進む。
【0067】
ステップS204では、「投票情報」を用いて、その賭式に属する組を人気の高い順にソートする。たとえば、「式別を示す変数=1」の場合、単勝で賭けられた投票券を集計処理し、オッズは値が小さければ小さいほど人気が高いので、オッズの値が小さい順に並べ替える。
【0068】
ステップS204の次のステップS206では、人気の高い順に並べ替えられたその賭式に属する組の上位N組を抽出する。たとえば、N=15ならば、上位15組が抽出される。しかしながら、Nの数は15には限定されない。
【0069】
次のステップS208では、ステップS206で抽出された人気の高い上位N組を式別単位人気順オッズ表に書き込む。たとえば、図7の賭式が「単勝」である、横の一列が書き込まれる。図7の例では、単勝で一番人気が高い組番は「1」で、そのオッズは「1.1」倍であり、第2位は組番が「2」でオッズは「1.2」倍である。そして、ステップS210に進む。
ステップS210では、賭式を示す変数の値を更新する。具体的には、現在の変数の値に1を加える。
【0070】
次のステップS212では、賭式を示す変数の値が、全式別の数を超えていないかどうかを判定する。たとえば、賭式として、単勝、複勝、枠連複、枠連単、馬連複、馬連単、ワイド、3連複、3連単を考えるなら、全式別の数=9である。もし、賭式を示す変数の値が9より大きくなければステップS204に戻り、次の賭式について、ステップS204からS210を繰り返す。このプロセスを、賭式を示す変数の値に1を加えた値が、全式別の数より大きくなるまで繰り返す。すると、図7の表が完成し、式別単位人気順オッズ表1412として記憶されている。
【0071】
ステップS212で賭式を示す変数の値が、全式別の数を超えている場合には、ステップS214に進む。
ステップS214では、全式別での人気順の組み合わせを得るために、図7に示されているような表に含まれているデータを人気の高い順、即ちオッズの値が小さい順にソートする。ソートされた結果は、ステップS214の次のステップS216で、全式別人気順オッズ表1414に書き込まれる。たとえば、図8に示されている全式別人気順オッズ表1414では、人気の高い順の第1位は式別名が「単勝」で、組番が「1」、オッズは「1.1」倍である。
【0072】
この処理が終了すると、処理は図4のステップS106に進む。
ステップS106では、上述の「人気順位単位的中回数管理処理」が行われる。
「人気順位単位的中回数管理処理」の詳細は、図6に示されている。人気順位単位的中回数管理処理では、その日に既に行われたレースにおける人気の高い順位の投票券の的中の回数を的中回数としてカウントし、この的中回数から的中率を計算する。
【0073】
ステップS302では、チェックする順位(チェック順位)とレース番号を示す変数をリセットする。つまり、順位を示す変数を「1」として、第1位から的中回数のカウントおよび的中率の計算を始めるようにする。また、各順位について第1レースから、直近のレース番号までの的中回数、的中率を計算するので、レース番号を示す変数を「1」とする。
【0074】
次のステップS304では、レース番号を示す変数で指定されるレースについて、図8に示されている全式別人気順オッズ表1414からチェック順位における式別を取得する。たとえば、図8に示されている全式別人気順オッズ表では、チェック順位が1位であれば、式別名は「単勝」である。
【0075】
次のステップS306では、レース番号を示す変数で指定されるレースについて、図8に示されている全式別人気順オッズ表1414から現在のチェック順位における組番を取得する。たとえば、図8に示されている全式別人気順オッズ表では、チェック順位が1位であれば、組番は「1」である。
【0076】
次のステップS308では、レース番号を示す変数で指定されるレースについて、チェック順位における式別と組番を、レース単位的中情報表の対応する情報と比較する。チェック順位が1位の第1レースでは、式別名は「単勝」で、組番は「1」という組み合わせが的中した組み合わせの中にあるかどうかを比較する。もし、図9に示されているレース単位的中情報表が、第1レースに対するものであれば、単勝なら組番は「1」の投票券が的中している。
【0077】
ステップS308の次のステップS310では、ステップS308の比較で、レース番号を示す変数で指定されるレースについて、チェック順位における式別と組番がレース単位的中情報表の対応する数字と一致しているかどうかを判定する。この判定の結果が「No」であればステップS312に、判定の結果が「Yes」であれば、ステップS314に進む。
【0078】
ステップS312では、全式別的中情報表の該当レース番号、人気の高い順位の枠に”×”印を記入する。つまり、現在のチェック順位の組み合わせは的中しなかったことを示す。ステップS312の処理が終わると、ステップS316に進む。
【0079】
ステップS314では、全式別的中情報表の該当レース番号、人気順位の枠に”〇”印を記入する。つまり、現在のチェック順位の組み合わせは的中したことを示す。ステップS314の処理が終わると、ステップS316に進む。
【0080】
ステップS316では、レース番号を示す変数を更新する。具体的には、現在の値に「1」を加える。
【0081】
次のステップS318では、更新後のレース番号を示す変数の値が、直近のレース番号より大きいか否かを判定する。レース単位的中情報は、直近のレースまでしかないからである。
【0082】
もし、ステップ318の判定が“Yes”、つまり、更新後のレース番号を示す変数の値が、直近のレース番号より大きい場合には、ステップS320に進み、チェック順位を示す変数を更新する。具体的には、現在の値に「1」を加える。
【0083】
もし、もし、ステップ318の判定が“No”、更新後のレース番号を示す変数の値が、直近のレース番号より大きくない場合には、ステップS304に戻り、更新されたレース番号に対して、ステップS304からS316の処理を繰り返す。
【0084】
ステップS320の次のステップS322では、ステップS320で更新されたチェック順位を示す変数の値が、図5のステップS206で式別単位人気順オッズ表に記入された組数Nより大きいか否かを判定する。
【0085】
もし、ステップ322の判定が“Yes”、つまり、更新されたチェック順位を示す変数の値が、式別単位人気順オッズ表に記入された組数Nより大きい場合には、ステップS324に進む。
【0086】
もし、もし、ステップ322の判定が“No”、更新されたチェック順位を示す変数の値が、式別単位人気順オッズ表に記入された組数Nより大きくない場合には、ステップS304に戻り、更新されたチェック順位に対して、ステップS304からS320の処理を繰り返す。
【0087】
この時点で、図10に示されている全式別的中情報表には、的中回数と的中率を除いて直近のレースまでの結果が入力されている。ステップS324では、順位ごとに的中回数をカウントし、全式別的中情報表の的中回数の欄に記入する。
【0088】
またステップS326では、順位ごとに得られた的中回数を、画定済レース数、つまり直近のレース番号で割って的中率を求める。次のステップS328で、順位ごとに的中率を、全式別的中情報表の的中率の欄に記入する。
【0089】
ステップS328の処理が終了すると、処理は図4のステップS108に進む。
図4のステップS108では、ステップS104およびS106で生成された全式別人気順オッズ表1414および全式別的中情報表1418を用いて、投票者に向けて表示される映像に関する「画像情報」を作成する。「画像情報」は、その日の何レース目か、と1位から15位までの人気順位ごとの全式別での掛け目(式別、組番)、オッズ、その日のその人気順位の的中率、レースごとの的中状況に関する情報が一つの画面に同時に映し出されるような画像に関する情報である。
ステップS108で生成された「画像情報」は、ステップS108でモニタ18に配信される。
【0090】
図11は表示装置における表示出力画面の例である。
上述のように表示装置を構成し、上述のような表示方法を採用することによって、公営競技のギャンブルとしての魅力を低減することなく、投票者が投票券の購入をより簡単に行うことができる。特に、人気順位ごとにその日の的中状況を表示することによって、その日にその競技を一緒に楽しんでいる人々の傾向を知ることができるので、投票者の間で連帯感を味わえる可能性があり、公営競技の魅力に新しい面を与えることができる。
【0091】
尚、ある日の第1レースに対しては、その日のレースの実績はない。そこで、的中状況としては当日より前のレースでの実績を用いても良い。この場合でも、投票者は、日は違えども、その競技をその競技場で楽しむ人々の傾向を知ることができる。
【0092】
<比較例>
図12から14を参照しながら、本発明の一実施形態にしたがう表示装置の比較例を説明する。本比較例では、式別ごとにオッズの値が小さい順、すなわち人気の高い順に組番を表示する装置である。
【0093】
図12は、比較例の表示システム20の機能ブロック図である。本比較例の表示システム20は、ホストコンピュータ12、投票管理装置20、映像配信装置30、場内映像設備16、およびモニタ18を含む。映像配信装置30、場内映像設備16、およびモニタ18をまとめて「表示装置」と呼んでも良い。ホストコンピュータ12、投票管理装置20と表示装置はネットワーク24を介して接続されている。
【0094】
ホストコンピュータ12、投票管理装置20、ネットワーク24、場内映像設備16、およびモニタ18に関する説明は、既に与えたので繰り返さない。投票管理装置20は、投票情報を、ネットワーク24を介してホストコンピュータ12に送信することができる。そして、ホストコンピュータ12は、投票管理装置20から送られた投票情報に基づいて、各掛け目(式別、組番)に対するオッズを算出する。
【0095】
映像配信装置30は、外部から受け取ったオッズ情報および投票情報に基づいて、賭式別に組番を人気順に並べ替える。並び替えの結果は、式別単位人気順オッズ表に書き込まれ、記憶されても良い。
【0096】
このような処理をおこなうために、映像配信装置30は、データ受信部3002、式別単位人気順位判定処理部3004、映像生成部3006、映像送出部3008、式別単位人気順オッズ表を記憶する記憶装置3010を含んでいる。
【0097】
データ受信部1402は、ホストコンピュータ12、投票管理装置20から、「オッズ情報」を受信する。このような処理は、本発明の一実施形態にしたがう映像配信装置20では、データ受信部1402は、ホストコンピュータ12、投票管理装置20、競技結果収集装置22から、「オッズ情報」および「競技結果情報」を受信し、それぞれ、式別単位人気順オッズ表およびレース単位的中情報表として記憶装置1412および1416に送ったこととは異なっている。
【0098】
データ受信部3002で受信された「オッズ情報」は、式別単位人気順位判定処理部3004に送られ、式別ごとにオッズの値が小さい順、つまり人気の高い順に並び替えられる。そして、その並べ替えの結果は、式別単位人気順オッズ表として、記憶装置3010に送られる。以下では、式別単位人気順オッズ表を符号3010で参照することもある。
【0099】
映像生成部3006では、式別単位人気順位判定処理部3004で作成された式別単位人気順オッズ表に関する情報から、賭式ごとに、人気順に組番とオッズが一度に表示される映像を作成する。一度に複数の賭式に対する組番とオッズが表示されることが好ましい。
【0100】
映像生成部1408で生成された映像に関する情報は、映像送出部1410によって。映像コントローラ16に向けて送出される。映像コントローラ16は、映像配信装置14から受けた映像情報をモニタ18に配信する。モニタ18は、映像コントローラから配信された映像情報を投票者に映像として表示することによって提供する。
【0101】
図14はモニタ18に映し出される映像の例である。この映像は、公営競技として競馬が想定されている。映像は大きく4つのカラムから構成されている。左から、馬連単、三連単、普馬複、三連複の賭式に対する組番とオッズが人気順に上位15位までが表示されている。ここで、「普馬複」とは、1着馬と2着馬を順不同で投票する方式である。
【0102】
上記のように構成される表示装置の処理について説明する。
図13は、比較例の表示方法を示すフローチャートである。
スタートすると、まず、ステップS402で投票情報の取得をする。「投票情報」は図1に示されている投票管理装置20を用いて収集される。ステップS402の処理が終わると、プロセスはステップS404に進む。
【0103】
ステップS404では、賭式を示す変数をリセットする。具体的には、たとえば、単勝、複勝、枠連複、枠連単、馬連複、馬連単、ワイド、3連複、3連単の順に1から9の値を付与されている場合には、式別を示す変数を「1」にリセットする。そしてステップS406に進む。
【0104】
ステップS406では、「投票情報」を用いて、その賭式に属する組を人気高い順にソートする。さらに、ステップS406では、ソートの結果の上位N組を抽出する。図14に示されている例では、N=15である。
【0105】
ステップS406の次のステップS408では、その賭式での人気の高い上位N組を式別単位人気順オッズ表3010に書き込む。そして、処理はステップS410に進む。
ステップS410では、賭式を示す変数の値を更新する。具体的には、現在の変数の値に1を加える。
【0106】
次のステップS412では、賭式を示す変数の値が、全式別の数を超えていないかどうかを判定する。もし、賭式を示す変数の値が、全式別の数を超えていればステップS414に進む。さもなければ、ステップS406に戻る。
【0107】
ステップS414では、ステップS408で生成された式別単位人気順オッズ表3010を用いて、投票者に向けて表示される映像に関する「映像情報」を作成する。そして、処理は、ステップS416に進む。
ステップS416では、ステップS414で生成された「映像情報」をモニタ18に向けて配信する。
【0108】
このような処理によって式別ごとにオッズの値が小さい順、すなわち人気の高い順に組番を表示することができる。
【符号の説明】
【0109】
10 表示システム
12 ホストコンピュータ
14 映像配信装置
16 映像コントローラ
18 モニタ
20 投票管理装置
22 競技結果収集装置
24 ネットワーク
1402 映像配信装置14のデータ受信部
1404 映像配信装置14の全式別共通人気順判定処理部
1406 映像配信装置14の人気順位単位的中回数管理部
1408 映像配信装置14の映像生成部
1410 映像配信装置14の映像配信部
1412 式別単位人気順オッズ表の記憶装置
1414 全式別人気順オッズ表の記憶装置
1416 レース単位的中情報表の記憶装置
1418 全式別的中情報表の記憶措置
1450 映像配信装置14のCPU
1452 映像配信装置14のメモリ
1454 映像配信装置14のI/Oインターフェイス
1456 映像配信装置14のバス
1458 外部記憶装置
30 映像配信装置
3002 映像配信装置30のデータ受信部
3004 映像配信装置30の式別単位人気順判定処理部
3006 映像配信装置30の映像生成部
3008 映像配信装置30の映像配信部
3010 式別単位人気順オッズ表の記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のレースおよび前記所定のレースより前に行われたレースに対して投票者によって投票された掛式、投票対象の組番、および投票数に関する情報である投票情報を取得する投票情報取得手段と、
前記投票情報に基づいて、前記賭式ごとに前記組番の各々に対するオッズを算出するオッズ算出手段と、
前記賭式ごとに算出された前記組番の各々に対する前記オッズに基づいて、前記賭式の全ての中でオッズの値の小さい順に前記組番を並べ替え、オッズの値が小さい順に所定の順位までのオッズ、賭式および組番を人気の高い上位オッズ情報として抽出するソート手段と、
前記所定のレースより前に行われた前記レースで的中した組番を競技結果情報として取得するレース結果取得手段と、
前記所定のレースより前に行われた前記レースに対して、前記人気の高い上位オッズ情報と前記競技結果情報を比較して、前記人気の高い上位オッズ情報に含まれている組番が的中しているかどうかを判定する的中判定手段と、
前記所定のレースにおいて前記人気の高い上位オッズ情報を、前記判定結果と共に投票者に示す表示手段と、
を含む表示システム。
【請求項2】
前記表示手段は、前記所定のレースより前に行われた前記レースに関して、各人気の高い順位の的中回数および的中率を表示する、請求項1の表示システム。
【請求項3】
前記オッズ算出手段で前記組番の各々に対するオッズを算出する際に用いる計算式は前記賭式に依存する、請求項1または2の表示システム。
【請求項4】
所定のレースおよび前記所定のレースより前に行われたレースに対して投票者によって投票された掛式、投票対象の組番、および投票数に関する情報である投票情報に基づいて、前記賭式ごとに前記組番の各々に対する前記オッズを算出するオッズ算出手段と、
前記賭式ごとに算出された前記組番の各々に対する前記オッズに基づいて、前記賭式の全ての中でオッズの値の小さい順に前記組番を並べ替え、オッズの値が小さい順に所定の順位までのオッズ、賭式および組番を人気の高い上位オッズ情報として抽出するソート手段と、
前記所定のレースより前に行われた前記レースで的中した組番を競技結果情報として取得するレース結果取得手段と、
前記所定のレースより前に行われた前記レースに対して、前記人気の高い上位オッズ情報と前記競技結果情報を比較して、前記人気の高い上位オッズ情報に含まれている組番が的中しているかどうかを判定する的中判定手段と、
前記所定のレースに対する前記人気の高い上位オッズ情報を、前記判定結果と共に示す映像に関する情報を作成する映像作成手段と、
前記映像作成手段によって作成された映像に関する情報を、前記映像を表示する表示手段に向けて配信する配信手段と、
を含む映像配信装置。
【請求項5】
前記表示手段は、前記所定のレースより前に行われた前記レースに関して、各人気の高い順位の的中回数および的中率を表示する、請求項4の映像配信装置。
【請求項6】
前記オッズ算出手段で前記組番の各々に対する前記オッズを算出する際に用いる計算式は前記賭式に依存する、請求項4または5の映像配信装置。
【請求項7】
所定のレースおよび前記所定のレースより前に行われたレースに対して投票者によって投票された掛式、投票対象の組番、および投票数に関する情報である投票情報に基づいて、前記賭式ごとに前記組番の各々に対するオッズを算出することと、
前記賭式ごとに算出された前記組番の各々に対する前記オッズに基づいて、前記賭式の全ての中で前記オッズの値の小さい順に前記組番を並べ替え、前記オッズの値が小さい順に所定の順位までのオッズ、賭式および組番を前記人気の高い上位オッズ情報として抽出することと、
前記所定のレースより前に行われた前記レースで的中した組番を競技結果情報として取得することと、
前記所定のレースより前に行われた前記レースに対して、前記人気の高い上位オッズ情報と前記競技結果情報を比較して、前記人気の高い上位オッズ情報に含まれている組番が的中しているかどうかを判定することと、
前記所定のレースに対する前記人気の高い上位オッズ情報を、前記判定結果と共に示す映像に関する情報を作成することと、
前記映像作成手段によって作成された映像に関する情報に基づいて、前記映像を表示することと、
を含む表示方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図1】
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【図9】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−114487(P2013−114487A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260570(P2011−260570)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【公序良俗違反の表示】
特許法第64条第2項第4号の規定により明細書の一部または全部を不掲載とする。
特許法第64条第2項第4号の規定により図面の一部または全部を不掲載とする。
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)