説明

投票券の印刷濃度を自動調整する発券機及びその自動調整方法

【課題】投票券の印刷濃度を自動調整する発券機及びその自動調整方法を提供する。
【解決手段】投票券発券機1の運用中に投票券に印刷されたQRコード29の3つの角部に同一パターンで印刷される「切り出しシンボル」を一定印刷部分41として読出し、そのマッチング率と黒レベルを算出し、2段階に分けたマッチング率と3段階に分けた黒レベルとの対応関係から、サーマルヘッド31への印加エネルギーを10%下げるか2%下げるか、10%上げるか2%上げるか、印刷をリトライするかそのままOKか、を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投票券の印刷濃度を自動調整する発券機及びその自動調整方法に係わり、更に詳しくは、トータリゼータの運用中に投票券への印字エネルギーを適正に補正し且つ機構的不具合を検出する、投票券の印刷濃度を自動調整する発券機及びその自動調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、競馬、競輪、競艇、オートレース等の投票券を発売し払い戻しするシステムであるトータリゼータ(totalizator)の発券機には、サーマルヘッドプリンタが内蔵され、このサーマルヘッドプリンタにより無地の印字媒体に投票券の書式の画像データを印字して、これを投票券として発券する。
【0003】
プリンタのサーマルヘッドの発熱量が不足であると印字された画像にかすれが生じ、発熱量が過大であると画像に滲みが生じる。いずれの場合も、投票券を買った顧客側では画像が見ずらく誤読する虞や、払い戻す側では発券機による画像の読み取りに誤作動を起こす虞があって問題となる。
【0004】
このようなサーマルヘッドプリンタにおける適切な濃度を決定する方法としては、一つには、試刷券を印刷し、この印刷された試刷券の画像をスキャナで読み込み、読み込んだ画像のドット数を計測し、その計測結果に基づいてサーマルヘッドの電流値を調整する方法が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【0005】
また、他の方法としては、サーマルヘッドの印加パルス時間を異ならせた複数のテストパターンの画像を印字し、このテストパターンの画像をイメージセンサで読み取って各テストパターンの濃度をグレースケールで判定し、この判定結果に基づいてサーマルヘッドに印加する電圧パルスを調整する方法が提案されている。(例えば、特許文献2参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−098499号公報
【特許文献2】特開平08−336997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1又は2のいずれの技術も、発券機が本稼動に移る(運用される)前に、試刷券又はテストパターンの画像を印字し、センサで読み取った画像のドット数又は濃度を判定して、その判定結果でサーマルヘッドへの印加エネルギーを調整している。
【0008】
このように運用前にサーマルヘッドへの印加エネルギーを調整して決定し、運用を開始した後では、機構的な要因や印字媒体の紙面の荒さなどにより、運用中に印字品質の低下が発生した場合、運用前に行ったと同様のサーマルヘッドへの印加エネルギーの調整をし直すために、一旦発券機の運用を中止しなければならないという問題がある。
【0009】
また、試刷券やテストパターンの印字では、いずれの画像データも、発券機の納入会社によって、それぞれ異なることが考えられ、その場合、濃度を判定するための制御プログラムも、それぞれ、その都度設計しなければならないから面倒で時間を要するという問題がある。
【0010】
また、機構的な要因で印字部における印字媒体の搬送速度に滑りなどが生じると、印字ドット数を計数するだけでは、画像濃度の不具合が機構的な要因によるものか印加エネルギーの過剰によるものかの区別がつかないため、適切な印字濃度が設定されないという問題がある。
【0011】
また、試刷券やテストパターンの印字画像データの態様や印字位置にもよるが、サーマルヘッドにバラつきがあると、試刷券やテストパターンで運用前に印字濃度を決めても、券面全体では運用直後から期待通りの均一な濃度の画像が印字できないという問題も発生する。
【0012】
また、テストパターンを全ての印加パルスごとに印刷し、グレースケールで所定の濃度を超えた印加パルスを記憶して濃度調整する方法は、その調整中に印字した券面の粗さや発色の悪い箇所があった場合、調整した印加パルスでも濃度が変わってしまうという問題がある。
【0013】
また、全ての印加パルスを印刷しなければならないというのは、多くの印字媒体を運用前に消費することになって無駄が多いという問題もある。
【0014】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであって、試刷券やテストパターンを印字することなく、通常の運用時に必ず印字するQRコードやバーコードを用いてトータリゼータの運用中に投票券への印字エネルギーを適正に補正し且つ機構的不具合を検出する、投票券の印刷濃度を自動調整する発券機及びその自動調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の投票券の印刷濃度を自動調整する発券機は、トータリゼータシステムの投票券を発券する発券機において、上記発券機に内蔵されたサーマルヘッドで投票券を印刷する印刷手段と、上記印字手段により印刷された投票券の所定印刷部分を読み取る画像読取手段と、該画像読取手段により読み取られた上記所定印刷部分と予め登録された上記所定部分の印刷データとの一致率を判定する一致率判定手段と、上記画像読取手段により読み取られた上記所定印刷部分の黒レベルを判定する黒レベル判定手段と、上記一致率判定手段により一致率が所定値以上と判定した場合であって、上記黒レベル判定手段により黒レベルが所定値超と判定したとき、上記サーマルヘッドへの印加エネルギーを所定の第1の下げ率で下げて後続の印刷を続行し、上記黒レベル判定手段により黒レベルが所定値未満のとき、上記サーマルヘッドへの印加エネルギーを所定の第1の上げ率で上げて後続の印刷を続行する第一の制御手段と、上記一致率判定手段により一致率が所定値未満と判定した場合であって、上記黒レベル判定手段により黒レベルが所定値超と判定したとき、上記サーマルヘッドへの印加エネルギーを所定の第2の下げ率で下げて後続の印刷を続行し、上記黒レベル判定手段により黒レベルが所定値未満のとき、上記サーマルヘッドへの印加エネルギーを所定の第2の上げ率で上げて後続の印刷を続行する第二の制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の投票券の印刷濃度自動調整方法は、トータリゼータシステムの投票券を発券する発券機における投票券の印刷濃度自動調整方法であって、上記発券機に内蔵されたサーマルヘッドで投票券を印刷する印刷処理と、上記印字処理により印刷された投票券の所定印刷部分を読み取る画像読取処理と、該画像読取処理により読み取られた上記所定印刷部分と予め登録された上記所定部分の印刷データとの一致率を判定する一致率判定処理と、上記画像読取処理により読み取られた上記所定印刷部分の黒レベルを判定する黒レベル判定処理と、上記一致率判定処理により一致率が所定値以上と判定した場合であって、上記黒レベル判定処理により黒レベルが所定値超と判定したとき、上記サーマルヘッドへの印加エネルギーを所定の第1の下げ率で下げて後続の印刷を続行し、上記黒レベル判定処理により黒レベルが所定値未満のとき、上記サーマルヘッドへの印加エネルギーを所定の第1の上げ率で上げて後続の印刷を続行する第一の制御処理と、上記一致率判定処理により一致率が所定値未満と判定した場合であって、上記黒レベル判定処理により黒レベルが所定値超と判定したとき、上記サーマルヘッドへの印加エネルギーを所定の第2の下げ率で下げて後続の印刷を続行し、上記黒レベル判定処理により黒レベルが所定値未満のとき、上記サーマルヘッドへの印加エネルギーを所定の第2の上げ率で上げて後続の印刷を続行する第二の制御処理と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、試刷券やテストパターンを印字することなく、通常の運用時に必ず印字するQRコードやバーコードを用いてサーマルヘッドの印字品質の判定と、機構部分の不具合の有無の判定を行うので、投票券発券機を運用しながらサーマルヘッドへの印加エネルギーを補正して適正に設定し、常に印字品質を一定に保つことができると共に機構部分の不具合を検出することができるので、機構部分に不具合がある場合には直ちに且つ自動的に運用を停止することができ、時間的な無駄と印字媒体の無駄を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例1に係る投票券発券機の外観を示す顧客側から見た正面図である。
【図2】実施例1に係る投票券発券機の印字媒体に印字する投票券の印刷濃度を適正に制御する印字制御部のシステムブロック図である。
【図3】実施例1に係る投票券発券機の印字制御部により制御される印刷・発券部の機構的構成を模式的に示す平面図である。
【図4】実施例1に係る投票券発券機において投票券としての印字媒体に印字されるQRコードの一例を拡大して示す図である。
【図5】QRコードの一定印刷部分の黒レベルの判定方法を説明する図である。
【図6A】実施例1に係る投票券発券機の印字制御部の演算処理部によって処理される投票券の印刷濃度を自動調整する処理の動作を示すフローチャート(その1)である。
【図6B】実施例1に係る投票券発券機の印字制御部の演算処理部によって処理される投票券の印刷濃度を自動調整する処理の動作を示すフローチャート(その2)である。
【図7】図6A、図6Bの処理においてサーマルヘッドに印加する印加エネルギーを決定するために用いられるテーブルを示す図である。
【図8】投票券発券機の運用中においてマッチング率と黒レベルとに基づきサーマルヘッドに対する印加エネルギーを補正する補正方法の一例を説明する図表である。
【図9】実施例2に係る投票券発券機が発券する投票券に印刷されるバーコードの一例を拡大して示す図である。
【図10】実施例2に係る投票券発券機が発券する投票券に印刷されるバーコードの一定印刷部分の黒レベルの判定方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、実施例1に係る投票券発券機の外観を示す顧客側から見た正面図である。図1に示す投票券発券機1は、競馬、競輪、競艇、オートレース等において、顧客によりマークシート方式で所定情報を記入された手書き投票カードを挿入されて、その手書き投票カードを読み取り、その読取結果と顧客により投入された現金とに基づいて、所定の投票券を自動的に発行・発売する。
【0021】
そして、顧客により投票券が挿入された場合には、その投票券を読み取り、投票券の内容が的中していた場合には、顧客に所定の金額を払い戻しする。
【0022】
図1に示す投票券発券機1において、フリッカランプ2は、ランプの点滅により顧客に対して投票カードの挿入や抜取りを促す。二面表示器3は、「発売中」、「停止」、「払戻中」のいずれかの状態を表示する。
【0023】
投票カード挿入口/排出口4は、投票カードが挿入されたとき、正常に読み取れた券は内部に取り込み、正常に読み取れなかった券を排出する。係員呼出ボタン5は、顧客が係員を呼び出すときに顧客によって使用される。
【0024】
スピーカ6は、音声によって現在処理中の案内を行うスピーカである。フリッカランプ7は、点滅により顧客に対し紙幣の抜取りを促すランプである。
【0025】
紙幣出口8は、顧客が紙幣(釣銭)を受け取る受取口である。操作表示画面9は、タッチパネルを備えた表示画面であり、顧客に次の操作を案内したり、顧客がタッチパネルによって投票カードの内容修正を行ったりする操作表示部である。
【0026】
前扉キー差込口11は、職員が前扉を開閉するときのキーの差込口である。投票券確認窓12は、顧客等が発券された投票券の確認を行うための窓である。フリッカランプ13は、点滅により顧客に投票券の抜取りを促すランプである。
【0027】
投票券出口14は、顧客が投票券を受け取る受取口であり、ここから20枚毎にまとめて受け取ることができる。フリッカランプ15は、点滅により顧客に対し投票券の挿入や抜取りを促すランプである。
【0028】
精算ボタン16は、精算時に顧客が釣銭を受け出したり、投票券の発券を取り止めるときに使用するボタンである。的中投票券挿入口/排出口17は、顧客が的中したと思っている投票券の挿入口であり、正常な読取を行なえなかった投票券および不的中の投票券は排出される。
【0029】
フリッカランプ18は、顧客に対し点灯により紙幣の挿入を促し、滅灯により紙幣返却時の紙幣の抜取りを促すように機能する。不良硬貨返却ボタン19は、硬貨づまりや顧客が誤って硬貨以外のものを投入したとき使用するボタンである。
【0030】
紙幣挿入口/取出口21は、顧客が紙幣を挿入する挿入口であり、挿入された紙幣が使用できない場合は返却される返却口でもある。硬貨入口22は、顧客が硬貨を投入する投入口である。硬貨出口23は、顧客が硬貨を受け取る受取口である。
【0031】
図2は、上記構成の投票券発券機1において投票券を発券するに際し、印字媒体に印字(以下、印刷ともいう)する投票券の印刷濃度を適正に制御する制御部のシステムブロック図である。
【0032】
図2に示すように制御部25は、MPU(micro processing unit)等から成る演算処理部26に、バスを介してROM(read only memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュROM等で構成されたメモリ部27が接続されている。
【0033】
更に演算処理部26には、バスを介して印字制御部28とイメージセンサ制御部29が接続されている。また、印字制御部28にはサーマルヘッド31が接続され、イメージセンサ制御部29にはイメージセンサ32が接続されている。
【0034】
また、この制御部25には、サーミスタ33から初期時における環境温度の測定値データが入力される。更に、制御部25には、不図示の電源から電圧34が入力される。
【0035】
演算処理部26は、メモリ部27のROMに格納されている制御プログラムを読み出して、その読み出した制御プログラムに従い、同じくメモリ部27のRAMに一時的に格納される演算途中のデータや演算結果のデータを参照しながら各部を制御する。
【0036】
また、メモリ部27のフラッシュROMには、投票券の書式や、その書式の投票データに対応するデータを表すQRコードやバーコードの印刷用イメージデータが格納されている。
【0037】
印字制御部28は、演算処理部26からの制御の下に、演算処理部26により決定されたサーマルヘッド31に対する印加エネルギーを制御する。この印加エネルギーは、現在の電圧と印加パルス幅によって決まる値であり、サーマルヘッド31から生成される熱量を決定する。
【0038】
イメージセンサ制御部29は、演算処理部26からの制御の下に、イメージセンサ32を駆動制御して、サーマルヘッド31により印字出力された投票券の印字面の中の所望の位置の画像を読み取らせ、その画像のイメージデータを演算処理部26に送信する。
【0039】
図3は、上記印字制御部28により制御される印刷・発券部の機構的構成を模式的に示す平面図である。図3に示すように、印刷・発券部35は、券搬送路36を備え、この券搬送路36に沿って印字媒体37が、搬送路上流側から下流側へ、矢印a、b、c及びdで示すように搬送される。
【0040】
この印字媒体37の搬送方向に沿い、券搬送路36の幅方向に差し渡されるようにして前述したサーマルヘッド31が配置され、その下流側に同じく券搬送路36の幅方向に差し渡されるようにしてCIS(Contact Image Sensor:密着型撮像素子)から成るこれも前述した長尺のイメージセンサ32が配置されている。
【0041】
印字媒体37は、矢印a及びbで示すように搬送されながら、サーマルヘッド31により、投票番号記入欄38とQRコード39を印刷されて、投票券40となり、矢印c及びdで示すように搬送されながら、紙面に印刷された画像をイメージセンサ32によって読み取られたのち、図1に示す投票券出口14から発券される。
【0042】
尚、図3には、サーマルヘッド31の下を通過直後の投票券40の印刷態様が分かるように、サーマルヘッド31とイメージセンサ32との間を長く空けて示しているが、両者は隣接して配置するようにしてもよい。
【0043】
図4は、上記のQRコード39の一例を拡大して示す図である。QRコード39には、その3つの角部に、同一パターンで印刷される「切り出しシンボル」又は「位置検出パターン」又は「ファインダパターン」と呼ばれる一定印刷部分41(41−1、41−2、41−3)がある。
【0044】
この他にも一定箇所に、上記の一定印刷部分41のパターンを約1/4程度に縮尺した形状の位置合わせパターンが印刷されている。これらの固定パターン以外には、一定印刷部分41に隣接するバージョン情報と書式情報、一定印刷部分41間に配置された1ドット間隔のタイミングパターンがあり、それら以外は全てデータ領域となっている。
【0045】
演算処理部26は、イメージセンサ制御部29を介してイメージセンサ32から受け取ったQRコード39のイメージデータを、メモリ部27のRAM等の所定のイメージ展開領域に展開する。
【0046】
そして、演算処理部26は、RAM等のイメージ展開領域に展開したQRコード39のイメージデータと、予めメモリ部27のフラッシュROMに記憶されているQRコードの印刷用イメージデータとを比較して、上記の一定印刷部分41のパターンと位置合わせパターンとから、投票券40の印刷に位置ずれや傾きがあるか否かのマッチング率を知ることが出来る。
【0047】
また、演算処理部26は、QRコード39のイメージデータの3つの角部の一定印刷部分41(41−1、41−2、41−3)から、投票券40の印刷の黒レベル(グレースケール)を知ることができる。QRコード39のデータの内容がどのように変化しても、一定印刷部分41は位置合わせパターンと同様に形状も位置も一定で変化しない印刷部分であるから、これによって、印刷の黒レベルを正しく判別することができる。
【0048】
図5は、QRコード39の一定印刷部分41の黒レベルの判定方法を説明する図である。図の左にQRコード39のイメージデータを例として1つだけ示し、図の右に黒レベルの尺度を示している。黒レベルの尺度は、下が最小値(白=0)で上が最大値(黒=***)である。
【0049】
尚、最大値の黒を数値で示していないのは、4ビットの階調表現では0〜15の16階調、8ビットの階調表現では0〜255の256階調、16ビットの階調表現では黒の最大値は更に大きくなるからである。また、図5では、黒レベルのバラツキ範囲を例として矢印e及びfで示しているが、これに限るものではない。
【0050】
図6Aは、上記構成の投票券発券機1の印字制御部25において、演算処理部26によって処理される投票券40の印刷濃度(つまり、印字媒体37の発色濃度)を自動調整する処理の動作を示すフローチャート(その1)である。
【0051】
図6Bは、上記構成の投票券発券機1の印字制御部25において、演算処理部26によって処理される投票券40の印刷濃度(つまり、印字媒体37の発色濃度)を自動調整する処理の動作を示すフローチャート(その2)である。
【0052】
図7は、上記の処理において、サーマルヘッド31に印加する印加エネルギーを決定するために用いられるテーブルである。同テーブルは、印字媒体37の発色特性を示すもので、周囲温度と印字媒体37の発色に必要なエネルギー(以下、発色必要エネルギー、又は単に、発色エネルギーという)との関係を示すグラフである。
【0053】
同図は横軸に周囲温度Tを示し、縦軸に印字媒体37の発色必要エネルギーEを示している。周囲温度Tが高いときは発色必要エネルギーEは低くても印字媒体37は良く発色し、周囲温度Tが低いときは発色必要エネルギーEを高くしないと印字媒体37は良く発色しないから、発色必要エネルギーEを高く設定する必要がある。
【0054】
したがって、対応グラフは、図のように、発色必要エネルギーEの高さが、周囲温度Tの高さに反比例する右肩下がりのグラフになる。周囲温度Tが判明すると、このグラフを用いて、印字媒体37の発色必要エネルギーEが分かる。
【0055】
本来は、印字媒体の発色エネルギーEは、そのままサーマルヘッド31に印加する印加エネルギーであるので、投票券発券機1の運用初期時において周囲温度Tに対応して印字媒体37の発色エネルギーEが判明すれば、サーマルヘッド31に印加する印加エネルギーは容易に決定される。
【0056】
しかし、本例では、運用中においても印字画像の濃度調整が容易に出来るように、サーマルヘッド31に印加する印加エネルギーを「(印加エネルギー)=(印字媒体37の発色エネルギー)×(印加レベル)」で決定するように設定している。
【0057】
上記の印加レベルは、初期値は「1」であり、運用中の濃度によって所定の割合で変化する係数である。尚、サーマルヘッド31に印加する印加エネルギーの実行値は、現在電圧とこの電圧による印加パルス幅によって決定される。
【0058】
図8は、投票券発券機1の運用中においてマッチング率と黒レベルとに基づきサーマルヘッド31に対する印加エネルギーを補正する補正方法の一例を説明する図表である。同図表は、左側縦方向に、黒レベルを4ビットで表現される0〜15の16階調で示し、この階調を「15」、「14〜13」、「12〜(12以下)」の3段階に区分して示している。
【0059】
黒レベル「15」は黒が濃く出過ぎて枠組や数字に滲みが出るおそれがある場合、「14〜13」は黒の色調がちょうど良い場合、「12〜(12以下)」は黒が薄すぎて枠組や文字にかすれが出るおそれがある場合である。
【0060】
尚、黒レベルは4ビットで表現される16階調と限ることなく、8ビットの256階調で表現してもよい。また、それ以上で表現しても良いことは言うまでもない。
【0061】
また、図8の右側横方向には、マッチング率を「89%以下」の場合と「90〜100%(90%以上)」の場合の2段階で示している。尚、マッチング率は、2段階と限ることなく、例えば、80%未満、80〜89%、90%以上というように、3段階又はそれ以上に段階を細分しても良いことは勿論である。
【0062】
本例においては、図8に示すように、マッチング率を「89%以下」の場合と「90〜100%(90%以上)」の場合の2段階に区分し、黒レベルを「15」、「14〜13」、「12〜(12以下)」の3段階に区分して、マッチング率と黒レベルとによるサーマルヘッド31に対する印加エネルギーの補正量を決定するようにする。
【0063】
すなわち、図8に示すように、マッチング率が、図の右側に示すように、90〜100%(90%以上)の場合は、黒レベルが「15」のように濃度が高いときでも画像の滲みはそれほど大きくはならないと考えられるが、濃度が高いことは高いので、サーマルヘッド31への印加エネルギーをやや小幅の2%だけ下げるようにする。
【0064】
また、マッチング率が90%以上で、黒レベルが「14〜13」のように濃度が適正値である場合は、サーマルヘッド31への印加エネルギーはいまの状態で「OK」(変更は不必要)であるとする。
【0065】
また、マッチング率が90%以上で、黒レベルが「12以下」のように濃度が低い場合は、マッチング率が90%以上と良い方なので濃度が薄くても投票券の印刷画像は明確に見えると考えられるが、濃度が低いことは低いので、サーマルヘッド31への印加エネルギーをやや小幅の2%だけ上げるようにする。
【0066】
また、マッチング率が、図の左側に示すように、89%以下の場合は、黒レベルが「15」のように濃度が高いときは画像に滲みが出ていると考えられるので、濃度をより大幅に下げるためサーマルヘッド31への印加エネルギーを大幅に10%下げるようにする。
【0067】
また、マッチング率が89%以下で、黒レベルが「14〜13」のように濃度が適正値である場合は、見方を変えて、黒レベルが適正であるのにマッチング率が悪いのは、搬送機構等に不具合があって印字媒体が斜行している、又はそのたの機械的動作部の不具合が要因で画像にカスレが出ていると考えて、その確認のために所定回数再試行することにする。
【0068】
また、マッチング率が89%以下で、黒レベルが「12以下」のように濃度が低い場合は、マッチング率が悪い上に濃度が薄いのでは、投票券の印刷画像が明確に見えない可能性があると考えられるので、濃度をより高くする必要があり、サーマルヘッド31への印加エネルギーを大幅に10%上げるようにする。
【0069】
以上が、図8に示すマッチング率と黒レベルを用いたサーマルヘッド31に対する印加エネルギーの補正量を決定するための論理である。この論理に基づいて、図6に示す処理が実行される。
【0070】
図6に示す処理において、投票券発券機1の運用が開始されると、印字制御部25の演算処理部26は、先ず、サーミスタ33を駆動して周囲温度Tを測定し、更に、印加レベルを確認する(ステップS1)。
【0071】
この処理において、周囲温度Tはサーミスタ33から入力される温度検知信号であり、印加レベルの値はメモリ部27のフラッシュROMの印加レベル格納領域に格納されている。演算処理部26は、このフラッシュROMの印加レベル格納領域に格納されている印加レベルの値を確認する。運用初期時においては印加レベルの値は上述したように「1」である。
【0072】
次に、演算処理部26は、上記測定した周囲温度Tと、確認した印加レベルを用い、式「(印加エネルギー)=(印字媒体37の発色エネルギーE)×(印加レベル)」に基づいて、サーマルヘッド31に対する印加エネルギーを決定する(ステップS2)。
【0073】
続いて、演算処理部26は、いま決定した印加エネルギーはサーマルヘッド31の最大定格以下であるか否かを判別する(ステップS3)。そして、印加エネルギーがサーマルヘッド31の最大定格以下であるなら(S3の判別がYes)、異状な無いので、続いて、外部電源から入力されている電圧34の現電圧を測定する(ステップS4)。
【0074】
そして、いま測定した電圧に基づいて、ステップS2で決定した印加エネルギーに対応する印加パルス幅を決定し(ステップS5)、その決定した印加パルス幅による印加エネルギーを、サーマルヘッド31の画像データに対応する発熱素子に印加しながら印字を開始する(ステップS6)。
【0075】
これにより、図3の矢印a、bで示すように搬送経路を搬送される印字媒体37の紙面に、投票番号記入欄38とQRコード39が印刷される。
【0076】
そして、演算処理部26は、上記の印字により印字媒体37の紙面(印字券面)に形成された画像の所定の箇所、つまりポイントをイメージセンサ32で読み取る(ステップS7)。
【0077】
この処理では、読み取るポイントとして、図4に示したQRコード39の一定印刷部分41(41−1、41−2、41−3)がイメージセンサ32によって読み取られる。この読み取りに続いて、演算処理部26は、上記読み取った一定印刷部分41のマッチング率と黒レベルの測定を行う(ステップS8)。
【0078】
この処理では、読み取ったQRコードの一定印刷部分41のイメージデータと、予めフラッシュROMに記憶されているQRコード印刷用イメージデータの一定印刷部分41とを比較して、投票券40の印刷に位置ずれや傾きがあるか否かのマッチング率を、例えば図8に示すように、90%以上と90%未満の2段階に分けて知ることが出来る。
【0079】
更に、この処理では、図5に示したように、読み取ったQRコードの一定印刷部分41の黒レベルを、予め設定しているグレースケールと比較して、画像全体の黒レベルを、例えば図8に示すように、「15」、「14〜13」、「12〜(12以下)」の3段階に分けて知ることができる。
【0080】
続いて、演算処理部26は、上記測定したマッチング率が90%以上であるか否か判別する(ステップS9)。そして、マッチング率が90%以上であれば(S9の判別がYes)、続いて、演算処理部26は、上記測定した黒レベルが高いか、つまり16階調の中のレベル「15」(図8参照)か否か判別する(ステップS10)。
【0081】
そして黒レベルが高ければ、つまり階調レベル「15」であれば(S10の判別がYes)、演算処理部26は、図8で説明した論理に従って、サーマルヘッド31への印加エネルギーを2%下げるように設定して(ステップS11)、次のステップS14の処理に進む。
【0082】
また、上記ステップS10の判別で、黒レベルが高くない、つまりレベル「15」でないときは(S10の判別がNo)、更に演算処理部26は、黒レベルが低いか、つまり16階調の中のレベル12以下(図8参照)か否か判別する(ステップS12)。
【0083】
そして黒レベルが低ければ、つまり階調レベル「12以下」であれば(S12の判別がYes)、演算処理部26は、図8で説明した論理に従って、サーマルヘッド31への印加エネルギーを2%上げるように設定して(ステップS13)、次のステップS14の処理に進む。
【0084】
また、上記ステップS12の判別で黒レベルが低くないときは(S12の判別がNo)、黒レベルが高くなく且つ低くもないとき、つまり黒レベルが「14〜13」のときであるので、図8で説明した論理に従って、サーマルヘッド31への印加エネルギーはいまの状態で「OK」であるとして、印加エネルギー変更の設定をせずに、直ちに次のステップS14の処理に進む。
【0085】
ステップS14では、演算処理部26は、メモリ部27のフラッシュROMのフラグ領域を参照し、後述するリトライフラグ「1」が格納されていれば「0」クリアし、「0」が格納されていれば、そのまま「0」とする。
【0086】
更に、ステップS14で演算処理部26は、フラッシュROMの印加レベル領域に格納されている印加レベルの値を、直前の処理で決定された割合で変化させ、その変化させた印加レベルをフラッシュROMの印加レベル領域に格納しなおす。また変化させる割合の設定がなければ、印加レベルの値をそのままとする。
【0087】
そして、演算処理部26はステップS1に戻って、ステップS1〜S14の処理を繰り返す。これにより、マッチング率が90%以上で良好なマッチングであるときは、黒レベルが高いときはやや低く補正され、黒レベルが低いときはやや高く補正されて、ステップS1〜S14の処理が繰り返される。
【0088】
これにより、やがてステップS10の判別とステップS12の判別がいずれもNoとなって黒レベル「14〜13」の適正値が維持される状態となり、この状態で、マッチング率が良く適正濃度の画像印刷が進行する。
【0089】
また、上記ステップS9の判別で、マッチング率が90%以上でない、つまり89%以下であるときは(S9の判別がNo)、続いて、演算処理部26は、ステップS8で測定した黒レベルが高いか(階調レベル「15」)か否か判別する(ステップS15)。
【0090】
そして黒レベルが高ければ(S15の判別がYes)、演算処理部26は、図8で説明した論理に従って、サーマルヘッド31への印加エネルギーを10%下げるように設定し(ステップS16)、次のステップS14の処理を経て、ステップS1に戻る。
【0091】
また、上記ステップS15の判別で、黒レベルが高くないときは(S15の判別がNo)、更に演算処理部26は、黒レベルが低いか否か判別する(ステップS17)。
【0092】
そして黒レベルが低ければ(S17の判別がYes)、演算処理部26は、図8で説明した論理に従って、サーマルヘッド31への印加エネルギーを10%上げるように設定し(ステップS18)、次のステップS14の処理を経て、ステップS1に戻る。
【0093】
そして、演算処理部26は、ステップS1〜S9、S15〜S18、S14の処理が繰り返す。これにより、マッチング率が89%以下で画像に位置ずれがあるように画像認識されるときは、黒レベルが高いときは大幅に低くなるよう補正され、黒レベルが低いときは大幅に高くなるよう補正されて、ステップS1〜S9、S15〜S18、S14の処理が繰り返される。
【0094】
これにより、やがてステップS9の判別で、マッチング率が90%以上となったときは、前述したステップS1〜S14の繰り返し処理に移行して、適正濃度の画像印刷が続行される。
【0095】
また、ステップS9の判別で、マッチング率が89%以下のままであるときは、ステップS15〜S18、S14、S1〜S9の処理が繰り返され、やがてステップS15の判別とステップS117の判別がいずれもNoとなって黒レベルがレベル14〜13の中間値が維持される状態となる。
【0096】
又は、ステップS9の判別で、マッチング率が89%以下でステップSS9の判別がNoのとき、直ちにステップS15の判別とステップS117の判別がいずれもNoとなって黒レベルが最初の段階からレベル14〜13の中間値になっている場合もある。
【0097】
この場合は、図8で説明した論理に従って、所定回数の再試行を行う。その場合は、演算処理部26は、先ず、メモリ部27のフラッシュROMのフラグ領域を参照し、リトライフラグが格納されているか否か判別する(ステップS19)。この処理は、現在実行中の印刷処理が既に再試行の印刷処理であるか否かを認識するための処理である。
【0098】
そして、フラッシュROMのフラグ領域にリトライフラグが無いとき(つまり「0」のとき)は(S19の判別がNo)、本例では再試行を行う所定回数を1回としているので、演算処理部26は、リトライフラグを「1」に設定して(ステップS20)、ステップS1に戻る。
【0099】
ここで、マッチング率が90%以上に回復して、ステップS1〜S14と処理が進行した場合は、マッチング率が89%以下と悪かったのは、搬送機構等の不具合や、機械的動作部の不具合が要因でではなく、何らかの一時的な要因であったと考えられる。
【0100】
そして、ステップS1〜S14と処理が進行した場合は、前述したように、マッチング率が良好で且つ適正濃度の画像が維持されるので、そのまま印刷を続行する。
【0101】
他方、ステップS19の判別で、フラグ領域にリトライフラグが在るとき(つまり「1」のとき)は(S19の判別がYes)、現在の印刷処理は本例で1回のみと決めている再試行中の印刷処理であるので、この場合は搬送機構等の不具合又は機械的動作部の不具合が有ると判断する。
【0102】
そして、演算処理部26は、駆動系を停止して投票券発券機1の運用を停止し、機械的異状が発生したことを操作表示画面9又は全フリッカランプを点滅する等により係員に警告報知し(ステップS21)、更に、係員に対し機構部の再調整をするよう操作表示画面9に指示報知する(ステップS22)。
【0103】
以上、本実施例1によれば、QRコードの特定した位置の画像部分を用いて、一方ではグレースケールへ変換し、グレースケールにより現在の濃さ(黒レベル)を算出する。他方ではパターンマッチングを行い、マッチング率を算出する。
【0104】
そしてマッチング率の良否の区分と、黒レベルの高、中、低の区分との対応関係に基づいて、サーマルヘッドの印字品質の判定と、機構部分の不具合の有無の判定を、投票券発券機を運用しながら行って、サーマルヘッドへの適正な印加エネルギーを設定しながら、機構部分の不具合が判定された場合は自動的に運用を停止する。
【0105】
図9は、実施例2に係る投票券発券機1が発券する投票券に印刷されるバーコードの一例を拡大して示す図である。同図に示すバーコード42は、始端部バー43と終端部バー44の間の幅方向両端部に、多数のタイミングドット部45を有し、それらの間に、位置決めマークやデータ部が配置されている。
【0106】
上記の始端部バー43、終端部バー44及びタイミングドット部45は、QRコード39の一定印刷部分41に相当する。実施例2では、この一定印刷部分をイメージセンサ32で読み取って、黒レベルとマッチング率を算出する。
【0107】
図10は、上記のバーコード42の一定印刷部分の黒レベルの判定方法を説明する図である。図の左にバーコード42の一定印刷部分のイメージデータを例として始端部バー43と1個のタイミングドット部45だけ示し、図の右に黒レベルの尺度を示している。本例の場合も、黒レベルの尺度は、下が最小値(白=0)で上が最大値(黒=***)である。その他については実施例1において図5〜図8で説明した設定や動作と同一である。
【0108】
尚、上記の実施例1、2では、サーマルヘッドによる印字の場合を例にとって説明したが、これに限ることなく、例えば、インクジェットプリンタ、又は電子写真式のプリンタによる印字の場合にも適用できる。
【0109】
インクジェットプリンタの場合は、ノズルからのインクの吐出は圧電素子方式でも発熱素子方式でもよく、いずれの場合も、フルカラーの投票番号記入欄38と、3原色又は3原色に黒も重ねた黒レベルのQRコード39又はバーコード42を印刷するようにする。
【0110】
そして、QRコード39の一定印刷部分41又はバーコード42の一定印刷部分を読み取って、読み取った画像データをグレースケールに変換して黒レベルの判定を行い、更に一定印刷部分の読み取った画像データから位置ずれの有無を色毎に読み取ってマッチング率と機構的な不具合の判定を行うようにする。この場合も、素子に印加する電圧とパスル幅の制御の方式においては上記の実施例と同様である。
【0111】
また、電子写真式のプリンタの場合は、LEDアレイのヘッド方式でもレーザ光源と回転鏡のヘッド方式でもよく、この場合も、いずれもフルカラーの投票番号記入欄38と、3原色又は3原色に黒も重ねた黒レベルのQRコード39又はバーコード42を印刷するようにする。
【0112】
そして、QRコード39の一定印刷部分41又はバーコード42の一定印刷部分を読み取って、グレースケールへの変換と黒レベルの判定を行い、更に一定印刷部分の読み取り画像データから位置ずれの有無を色毎に読み取ってマッチング率と機構的な不具合の判定を行うようにする。
【0113】
この場合、LEDアレイのヘッド方式の場合は、画像を現像する感光体に対して照射光を照射する画素毎に対応するLEDへの電圧とパルス幅の制御に、本発明の実施例の制御方式をそのまま適用できる。
【0114】
また、レーザ光源と回転鏡のヘッド方式の場合は、感光体の画素毎に対応する位置に照射するタイミングでレーザ光源への電圧とパルス幅を制御するに際して、本発明の実施例の制御方式を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明は、投票券の印刷濃度を自動調整する発券機及びその自動調整方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0116】
1 投票券発券機
2 フリッカランプ
3 二面表示器
4 投票券挿入口/排出口
5 係員呼出ボタン
6 スピーカ
7 フリッカランプ
8 紙幣出口
9 操作表示画面
11 前扉キー差込口
12 投票券確認窓
13 フリッカランプ
14 投票券出口
15 フリッカランプ
16 精算ボタン
17 的中投票券挿入口/排出口
18 フリッカランプ
19 不良硬貨返却ボタン
21 紙幣挿入口/取出口
22 硬貨入口
23 硬貨出口
25 制御部
26 演算処理部
27 メモリ部
28 印字制御部
29 イメージセンサ制御部
31 サーマルヘッド
32 イメージセンサ
33 サーミスタ
34 電圧
35 印刷・発券部
36 券搬送路
37 印字媒体
38 投票番号記入欄
39 QRコード
40 投票券
41(41−1、41−2、41−3) 一定印刷部分
42 バーコード
43 始端部バー
44 終端部バー
45 タイミングドット部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トータリゼータシステムの投票券を発券する発券機において、
前記発券機に内蔵されたサーマルヘッドで投票券を印刷する印刷手段と、
前記印字手段により印刷された投票券の所定印刷部分を読み取る画像読取手段と、
該画像読取手段により読み取られた前記所定印刷部分と予め登録された前記所定部分の印刷データとの一致率を判定する一致率判定手段と、
前記画像読取手段により読み取られた前記所定印刷部分の黒レベルを判定する黒レベル判定手段と、
前記一致率判定手段により一致率が所定値以上と判定した場合であって、
前記黒レベル判定手段により黒レベルが所定値超と判定したとき、前記サーマルヘッドへの印加エネルギーを所定の第1の下げ率で下げて後続の印刷を続行し、前記黒レベル判定手段により黒レベルが所定値未満のとき、前記サーマルヘッドへの印加エネルギーを所定の第1の上げ率で上げて後続の印刷を続行する第一の制御手段と、
前記一致率判定手段により一致率が所定値未満と判定した場合であって、
前記黒レベル判定手段により黒レベルが所定値超と判定したとき、前記サーマルヘッドへの印加エネルギーを所定の第2の下げ率で下げて後続の印刷を続行し、前記黒レベル判定手段により黒レベルが所定値未満のとき、前記サーマルヘッドへの印加エネルギーを所定の第2の上げ率で上げて後続の印刷を続行する第二の制御手段
を備えたことを特徴とする投票券の印刷濃度を自動調整する発券機。
【請求項2】
前記第二の制御手段は、黒レベルが所定値であると所定回数連続して判定した場合、前記サーマルヘッドの印字不良以外の異常と判断することを特徴とする請求項1に記載の投票券の印刷濃度を自動調整する発券機。
【請求項3】
前記所定印刷部分は、QRコードの位置検出パターンであることを特徴とする請求項1に記載の投票券の印刷濃度を自動調整する発券機。
【請求項4】
前記所定印刷部分は、バーコードの始端マーク、終端マーク、及びタイミングマークの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1記載の投票券の印刷濃度を自動調整する発券機。
【請求項5】
前記黒レベル判定手段は、前記所定印刷部分の黒レベルを所定の階調段階の高・中・低の3段階で判定する、ことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の投票券の印刷濃度を自動調整する発券機。
【請求項6】
前記所定の階調段階は、4ビットデータで表現される16階調である、ことを特徴とする請求項5記載の投票券の印刷濃度を自動調整する発券機。
【請求項7】
前記所定の階調段階は、8ビットデータで表現される256階調であることを特徴とする請求項5記載の投票券の印刷濃度を自動調整する発券機。
【請求項8】
前記一致率判定手段は、前記一定印刷部分の印刷データとの一致率を90%以上と90%未満の2段階で判定する、ことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の投票券の印刷濃度を自動調整する発券機。
【請求項9】
トータリゼータシステムの投票券を発券する発券機における投票券の印刷濃度自動調整方法であって、
前記発券機に内蔵されたサーマルヘッドで投票券を印刷する印刷処理と、
前記印字処理により印刷された投票券の所定印刷部分を読み取る画像読取処理と、
該画像読取処理により読み取られた前記所定印刷部分と予め登録された前記所定部分の印刷データとの一致率を判定する一致率判定処理と、
前記画像読取処理により読み取られた前記所定印刷部分の黒レベルを判定する黒レベル判定処理と、
前記一致率判定処理により一致率が所定値以上と判定した場合であって、
前記黒レベル判定処理により黒レベルが所定値超と判定したとき、前記サーマルヘッドへの印加エネルギーを所定の第1の下げ率で下げて後続の印刷を続行し、前記黒レベル判定処理により黒レベルが所定値未満のとき、前記サーマルヘッドへの印加エネルギーを所定の第1の上げ率で上げて後続の印刷を続行する第一の制御処理と、
前記一致率判定処理により一致率が所定値未満と判定した場合であって、
前記黒レベル判定処理により黒レベルが所定値超と判定したとき、前記サーマルヘッドへの印加エネルギーを所定の第2の下げ率で下げて後続の印刷を続行し、前記黒レベル判定処理により黒レベルが所定値未満のとき、前記サーマルヘッドへの印加エネルギーを所定の第2の上げ率で上げて後続の印刷を続行する第二の制御処理と、
を含むことを特徴とする投票券の印刷濃度自動調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図6B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−73793(P2012−73793A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217768(P2010−217768)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】