説明

投票券発払機

【課題】投票券を記念する記念投票券を投票券の発券装置を利用して迅速に発券する。
【解決手段】投票カード情報読み取り機構206と、読み取った情報をもとに投票券を発行するための投票券情報を作成する投票券情報作成手段207と、作成された投票券の情報にしたがって投票券を印刷する投票券発券機構210と、公営競技の終了後、投票券を読み取り、的中したか否かを判別する投票券的中判別手段204と、的中した投票券を記念する記念投票券を発券するための情報を作成する記念投票券情報作成手段208と、的中したと判別された投票券の情報を受け取り記憶する投票券情報記憶手段211とを備え、記念投票券情報作成手段208は、投票券情報記憶手段から的中した投票券の情報を受け取り、受け取った投票券の情報を切り換えて選択可能に所定の順序で順次表示するための情報表示選択手段を備え、選択された投票券を記念する記念投票券を発券する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投票券発売払い戻しを行う発払機にかかり、特に的中券のコピーを作成することのできる投票券発払機に関する。
【背景技術】
【0002】
競輪、競馬等の公営競技において、購入した投票券が的中し、払い戻しを受ける際、通常は、的中した投票券は回収されてしまう。しかし、利用者からは的中した記念に投票券を手許に残しておきたいという要求がある。このため、投票券を有料でコピーするサービスを実施しているところもある。
【0003】
しかし、コピーされた券は、実際の投票券とは異なる紙を使用しており、このためコピーされた投票券は美観は良くない。
【0004】
特許文献1には、このような問題点を解決することのできる記念投票券発行装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−310458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来技術によれば、的中投票券から記念投票券を作成して発券するためには、払い戻し処理の前に記念投票券の発券の処理を選択するか、投票券1枚毎に処理の選択を実施し、記念投票券の作成が選択された場合に記念投票券を発行するため、投票券1枚毎に処理をする必要がある。このため、1件毎に選択入力処理が必要となり、払戻処理の流れが滞ることになる。また、記念投票券を複数枚作成する方法について考慮されていない。
【0007】
記念投票券の発券処理を自動発払機または有人発払機で実施するに際して、複数の的中券の中から、記念投票券を作成する投票券を選択しながら発券することを可能とするために、まず、複数の投票券を前記発払機装置に投入して、各投票券を処理する毎に記念投票券の発券の要否を選択し、記念投票券が必要な場合に記念投票券を発券し、さらに次の投票券の処理を行うという方法をとると、投票券1枚毎に利用者の選択処理が必要になり、記念投票券を必要としない人が行う投票券の発券処理および記念投票券を必要としない人が行う払戻処理が遅延することになる。
【0008】
この払戻処理の遅延の問題は、記念投票券発行の専用機を設けることにより回避することはできる。しかし、専用機の開発にはコストがかかる。
【0009】
本発明はこれらの問題点に鑑みてなされたもので、的中した複数の投票券の情報の中から選択された、投票券を記念する記念投票券を投票券の発券装置を利用して迅速に発券することのできる投票券発払い機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記課題を解決するため、次のような手段を採用した。
【0011】
公営競技における勝者を予想した情報が記入された投票カードを読み取る投票カード情報読み取り機構と、前記投票カード情報読み取り機構により読み取った情報をもとに投票券を発行するための投票券情報を作成する投票券情報作成手段と、投票券情報作成手段により作成された投票券の情報にしたがって投票券を印刷する投票券発券機構と、公営競技の終了後、前記投票券を読み取り、投票券が的中したか否かを判別する投票券的中判別手段と、 的中した投票券を記念する記念投票券を発券するための情報を作成する記念投票券情報作成手段と、投票券的中判別手段により的中したと判別された投票券の情報を記憶する投票券情報記憶手段と、 前記投票券情報記憶手段から、的中した投票券の情報を受け取り、受け取った投票券の情報を切り換えて選択可能に、所定の順序で順次表示するための情報表示選択手段を備えた記念投票券情報作成手段とを備え、前記記念投票券情報作成手段は情報表示選択手段により選択された投票券を記念する記念投票券を発券するため情報を作成し、作成した情報をもとに前記投票券を発券する発券機構を用いて記念投票券を発券する。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、以上の構成を備えるため、的中した複数の投票券の情報の中から選択された投票券を記念する記念投票券を投票券の発券装置を利用して迅速に発券することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】投票券発払機を説明する図である。
【図2】記念投票券発券の選択画面を説明する図である。
【図3】投票券および記念投票券を示す図である。
【図4】端末側およびセンタ側の集計データを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、公営競技で使用される投票券の発行および払戻処理を実行する発払機を説明する図である。
【0015】
図1に示すように、発払機201は、払戻の処理のために投票券1を読取る投票券情報読取機構203、読取った投票券の中から的中した投票券を判別する投票券的中判別手段204、的中券の情報あるいは投票券の情報を集計装置202に送信する通信機構205を備える。
【0016】
また、投票券の発売に際して、公営競技における勝者を予想した情報が記入された投票カード3を読取る投票カード情報読取機構206、読取った情報を集計装置202に送信する前記通信機構205、投票券を発行するための情報を作成する投票券情報作成手段207、該作成手段で作成した情報をもとに投票券を発行する投票券発券機構210を備える。
【0017】
また、記念投票券情報作成手段208、情報表示選択手段209および投票券情報記憶手段211を備える。
【0018】
顧客が持参した投票券1の情報は、投票券情報読取機構203で読取り、投票券的中判別手段204で的中しているか否かが判別がされ、的中している場合は、的中金額を算出し、算出結果を通信機構205を介して集計装置202に送信する。なお、的中判定に際して、発払機201に的中情報がなく判別できない場合は、通信機構205を介して集計装置202より情報を取得してから処理を再開する。
【0019】
また、投票券的中判定手段204は、的中処理をした投票券情報を記念投票券情報作成手段208を介して投票券情報記憶手段211に渡す。なお、以上の処理は、顧客が持参した全ての投票券に対して実施する。
【0020】
ここで、発払機は精算釦104あるいは記念投票券発券釦102の押下を待ち、精算釦が押下された場合は従来と同様に精算処理を実施する。また、記念投票券発券釦102が押下された場合は、記念投票券発券の処理に移る。
【0021】
ここで、記念投票券情報作成手段208は、今回の取引で投入された投票券の情報を選択画面に表示する準備として、払戻金額が高い順に表示できるように準備をする。これは、記念投票券を希望する人は的中金額が高いものについて記念投票券を希望することが多いことから、効率良く記念投票券の発券を選択できるようにするためである。この準備を実施した後に、記念投票券情報作成手段208は、情報表示選択手段209に記念投票券発券選択画面を表示する。
【0022】
図2は、記念投票券発券選択画面を説明する図である。図2において、投票券情報欄101には、投票券情報記憶手段211から読み込んだデータを表示する。次釦106、前釦105はこれらを押下することにより、投票券情報記憶手段211に格納されている投票券データを切り替えて読み込んで表示する。次釦106および前釦105で表示を切り替えられる範囲は、今回の取引で持ち込まれた投票券の範囲とする。
【0023】
投票券情報欄101に記念投票券2を発券したい投票券情報を表示し、発券釦102を押下すると、記念投票券2が発券可能となる。記念投票券2を複数枚発券したい場合は、発券釦102を複数回押下することで、必要な枚数の記念投票券2を発券できる。また、この記念投票券2の発券枚数は、発券枚数表示欄103に表示されるので確認することができる。なお、この事例では、発券釦102を押下する回数で発券枚数を入力したが、表示画面に余裕があれば、発券枚数を入力する形式にしても良い。
【0024】
記念投票券2を発券する投票券情報の選択が終了したら、精算釦104を押下することで、記念投票券発券処理に移る。
【0025】
図3は、投票券および記念投票券を示す図である。
【0026】
記念投票券情報作成手段208は、記念投票券の券面データを作成する。記念投票券の券面データは、投票券情報記憶手段211から読込み作成するが、投票券情報と同じデータを用いて印字すると、本実施形態では投票券発券機構210を用いて本物の投票券の用紙に印字して発券するので、本物の投票券と見分けが付かなくなりトラブルの原因になる。
【0027】
このため、投票券の券面は本物の投票券と記念投票券とを区別できる印字とする必要がある。投票券には、投票券の購入者には必要ではないが機械で処理する都合上印字されているデータとして、バーコードデータ301と機械処理用番号302がある。
【0028】
一方、購入者が記念投票券2の発行を欲する要因の第一が高額の的中をしたことによるものが多く、関心は的中して払い戻される金額であり、次に何が的中したかにある。そこで、記念投票券2の券面には、投票券のバーコードデータ301の代わりに的中金額303の印字をし、機械処理用番号302の代わりに着順を印字する。
【0029】
これらの印字は、投票券1と記念投票券2を区別するためであり、バーコードデータ301の代わりに「記念投票券」と印字するだけでもよい。記念投票券情報作成手段208は、このように作成された券面データを投票券発券機構210に渡し、投票券発券機構210は記念投票券を印字して発行する。
【0030】
先に記念投票券発券データとして選択されたデータの全ての印字が完了した後に、精算処理に移る。精算処理において、自動機の場合は、装置が現金を計数し放出するとともに印刷した記念投票券2を放出する。有人機の場合は、オペレータが顧客に現金と記念投票券2を渡す。精算処理が終了すると、次の顧客を受け付けることができるようになる。なお、このときに、処理の終了した投票券情報記憶手段211の情報を消去する。このことにより、処理のミスにより別の顧客の情報で記念投票券の発券をしてしまうことを防止することができる。また、投票券情報記憶手段211が記憶する容量の増加を防止することができる。
【0031】
以上により記念投票券2を発券することはできるが、記念投票券2を発券するときに、無料で発券していてはコストが掛かることと多くの顧客が利用してしまうと払戻処理全体の時間がかかるため、手数料を徴収することとする。
【0032】
図4は端末側およびセンタ側の集計データを説明する図である。従来では、“発売金額―払戻金額=入金金額―出金金額”となることを前提に、集計装置202と発払機201の集計を合わせている。しかし、前述のように手数料を徴収すると、前記計算式が成り立たなくなる。
【0033】
この解決手段として、自動発払機の集計データを図4に示すように構成する。
【0034】
投票券を発券した金額を発売金額401、的中券により払戻をした金額を払戻金額402、顧客が投入した現金の金額を入金金額403、払戻または釣銭として現金を放出した金額を出金金額404、機械に装填した現金金額を装填金額405、機械から回収した現金金額を回収金額406とし、以上の端末集計データに、端末集計データとして記念投票券発券金額407を追加する。
【0035】
記念投票券発券金額407には、記念投票券2の発券の手数料として徴収した金額を入れる。これは、発売金額408、払戻金額409として、端末側集計データと同じものを集計装置202もセンター側集計データとして持っており、発売金額と払戻金額は発払機201と集計装置202で一致させておく必要があるためである。この発売金額と払戻金額を一致させておくことで、集計の確認として、投票券発売と払戻の処理の金額の端末のセンターとの一致チェックが容易になる。端末の集計では、“発売金額401―払戻金額402+入金金額403―出金金額404+装填金額405−回収金額406=記念投票券発券金額407”となることを確認する。また、全体の記念投票券発券金額は、端末毎の集計が正確であると、(発売金額401―払戻金額402+入金金額403―出金金額404+装填金額405−回収金額406)を集計することで、算出することができる。
【0036】
以上は、一連の取引の中で記念投票券2を発券する場合の例であるが、実際には、投票券の払戻を実施した後に、記念投票券2の発行を希望する顧客もいる。先にも述べたようにが、記念投票券2を欲する者の多くは高額の的中をした場合である。払戻金が高額となる場合は、有人窓口で実施される場合が多いので、有人対応の場合に、払戻を実施した後に記念投票券2を発券できることが望ましい。
【0037】
ところで、従来の発払い端末は、取引の履歴を紙ジャーナルに印字しているだけであったが、最近は、問合せおよび事故時の取引の検索が容易なことから、電子ジャーナルも取得していることが多く、電子ジャーナルには発売した投票券の内容、払戻をした投票券の内容が記録されている。
【0038】
そこで、記念投票券情報作成手段208は、投票券情報記憶手段211から情報を読み込んで記念投票券を作成する処理を実行するのに代えて、電子ジャーナルから情報を読み込んで記念投票券を作成する処理を実行することができる。但し、電子ジャーナルから情報を読みとる方法の場合には、他人の的中券情報から記念投票券2を作成できてしまうことから、自動機で利用することは好ましくない。
【0039】
また、取引終了後に、記念投票券を発行する方法として、自動発払機の場合は以下の方法が可能である。すなわち自動機に人検知センサーを取り付け、取引の開始画面に記念投票券発券選択釦を設ける。この方法では、人検知センサーにより操作者が交代したかどうかを判別できるので、この交代がない場合は、投票券情報記憶手段211で記憶している投票券データを消去せずにおき、この状態で、画面から記念投票券の発券の選択がされた場合に、記念投票券発券選択画面(図2)を表示し、記念投票券の発券選択を可能とする。但し、この場合は記念投票券の発券手数料を徴収する必要があるので、現金が投入されない場合は、発券釦を押下できないようにする。また、人検知センサーの故障および混雑により操作者の交代を検知できない場合の対応として、取引開始画面で記念投票券発券選択釦が押下されずに、現金の投入および投票券の投入がされた場合は、投票券情報記憶手段211で記憶している投票券データを消去する。
【0040】
以上説明したように、投票券の発券装置を使用して記念投票券を発券するので記念投票券の美観は高度に保持することができる。
【0041】
また、記念投票券を発行するか否かの選択を、各投票券毎に実施するのではなく、顧客が持参した投票券のうちの全ての的中券を纏めてから実施するので、処理時間を短縮することができる。また、記念投票券を発行する枚数を直接指定して複数枚の記念投票券を作成することができる。また、有人機においては電子ジャーナルから記念投票券を作成できる。このため、記念投票券の作成を忘れて的中券の精算処理を実施した顧客に対しても記念投票券を作成して交付することができる。
【0042】
このように、本実施形態によれば、投票券発払機に対して、ハードウェアを変更することなく既存の発払機を流用して実施することが可能である。このため、開発コストを低減することができる。また、記念投票券を、投票券を発券するのと同じ装置を用いて同じ用紙に印字して発券するので、投票券と同一の品質の記念投票券を必要な枚数得ることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 投票券
2 記念投票券
3 投票カード
201 発払機
202 集計装置
203 投票券情報読取機構
204 投票券的中判別手段
205 通信機構
206 投票カード情報読取機構
207 投票券情報作成手段
208 記念投票券情報作成手段
209 情報表示選択機構
210 投票券情報記憶手段
211 投票券発券機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
公営競技における勝者を予想した情報が記入された投票カードを読み取る投票カード情報読み取り機構と、
前記投票カード情報読み取り機構により読み取った情報をもとに投票券を発行するための投票券情報を作成する投票券情報作成手段と、
投票券情報作成手段により作成された投票券の情報にしたがって投票券を印刷する投票券発券機構と、
公営競技の終了後、前記投票券を読み取り、投票券が的中したか否かを判別する投票券的中判別手段と、
的中した投票券を記念する記念投票券を発券するための情報を作成する記念投票券情報作成手段と、
投票券的中判別手段により的中したと判別された投票券の情報を受け取り記憶する投票券情報記憶手段とを備え、
前記記念投票券情報作成手段は、前記投票券情報記憶手段から、的中した投票券の情報を受け取り、受け取った投票券の情報を切り換えて、選択可能に、所定の順序で順次表示するための情報表示選択手段を備え、
前記情報表示選択手段により選択された投票券を記念する記念投票券を発券するための情報を作成し、作成した情報をもとに前記投票券を発券する発券機構を用いて記念投票券を発券することを特徴とする投票券発払機。
【請求項2】
請求項1記載の投票券発払機において、
前記情報表示選択機構は、印刷する記念投票券の枚数を押圧する回数で入力するボタンを備えたことを特徴とする投票券発払機。
【請求項3】
請求項1記載の投票券発払機において、
記念投票券情報作成手段は、投票券情報記憶手段から情報を読み込んで記念投票券を作成する処理を実行するのに代えて、電子ジャーナルから情報を読み込んで記念投票券を作成することを特徴とする投票券発払機。
【請求項4】
請求項1記載の投票券発払機において、
次の払い戻し処理または発券処理を開始したとき、または投票券発払機の操作者の変更を検知したとき、投票券情報記憶手段の記憶内容を消去することを特徴とする投票券発払機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−286989(P2010−286989A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−139397(P2009−139397)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】