説明

投票用紙の読取分類装置

【課題】本発明は、投票用紙の表裏を予め揃える工程を不要にでき、利便性を向上できる投票用紙の読取分類装置を提供することを目的とするものである。
【解決手段】本発明による投票用紙の読取分類装置では、撮像ユニット17は、搬送路111を搬送される投票用紙4の両側の端面を撮像することで投票用紙4の画像情報を得る。情報処理手段は、撮像ユニット17からの画像情報に基づいて、投票用紙4の表裏方向及び天地方向の向きを識別するとともに、投票用紙4の記入枠内に書き込まれた記載内容を読み取り、天地反転部20の動作を制御することにより投票用紙4の天地方向の向きを揃えた上で、同じ記載内容の投票用紙4を表裏方向の向き毎に2つのスタッカ31〜38に搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投票用紙の読取分類装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来用いられていたこの種の投票用紙の読取分類装置としては、例えば下記の特許文献1等に示されている構成が用いられている。すなわち、従来の読取分類装置では、投票用紙が搬送される搬送路に対向して撮像手段が配置されている。撮像手段には光源部及び撮像部が含まれており、撮像手段は、光源部から投票用紙に対して撮像光を照射するとともに、投票用紙の片側の端面で反射された撮像光を撮像部で受光することで、投票用紙の片面の画像情報を生成する。撮像手段には情報処理手段が接続されており、情報処理手段は、撮像手段からの画像情報に基づいて、投票用紙に付されている記入枠を検出するとともに、記入枠内に記載された例えば候補者や政党等の記載内容を読み取り、記載内容毎に投票用紙を異なるスタッカに搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−5022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の投票用紙の読取分類装置では、投票用紙の片面の画像情報のみを取得する構成であるので、投票用紙の片面でしか記載内容の読み取りを行うことができない。このため、従来装置では、投票用紙を読取装置に投入する前に投票用紙の表裏を人手により揃える必要があり、利便性が低下している。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、投票用紙の表裏を予め揃える工程を不要にでき、利便性を向上できる投票用紙の読取分類装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る投票用紙の読取分類装置は、投票用紙が搬送される搬送路と、搬送路に設けられ、搬送路を搬送される投票用紙の両側の端面を撮像して投票用紙の画像情報を得る撮像ユニットと、投票用紙の搬送方向に沿う撮像ユニットの下流側に設けられ、搬送路を搬送される投票用紙の天地方向の向きを反転させる天地反転部と、投票用紙の搬送方向に沿う天地反転部の下流側に配置された複数のスタッカと、撮像ユニット及び天地反転部に接続された情報処理手段とを備え、情報処理手段は、撮像ユニットからの画像情報に基づいて、投票用紙の表裏方向及び天地方向の向きを識別するとともに、投票用紙の記入枠内に書き込まれた記載内容を読み取り、天地反転部の動作を制御することにより投票用紙の天地方向の向きを揃えた上で、同じ記載内容の投票用紙を表裏方向の向き毎に2つのスタッカに搬送する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の投票用紙の読取分類装置によれば、撮像ユニットは、搬送路を搬送される投票用紙の両側の端面を撮像することで投票用紙の画像情報を得て、情報処理手段は、撮像ユニットからの画像情報に基づいて、投票用紙の記入枠内に書き込まれた記載内容を読み取るので、表裏方向の向きが揃えられていない状態で投票用紙が読取装置に投入されたとしても、記入枠が付された端面の向きに拘わらず記入枠を検出できる。これにより、投票用紙の表裏を予め揃える工程を不要にでき、利便性を向上できる。
【0008】
特に、天地反転部を備え、情報処理手段は、撮像ユニットからの画像情報に基づいて、投票用紙の表裏方向及び天地方向の向きを識別するとともに、投票用紙の記入枠内に書き込まれた記載内容を読み取り、天地反転部の動作を制御することにより投票用紙の天地方向の向きを揃えた上で、表裏方向の向き毎及び記載内容毎に投票用紙を各スタッカに搬送するので、1つの記載内容の投票用紙を表裏方向の向き毎に2つのスタッカに貯めることができ、1つの記載内容の投票用紙を天地方向及び表裏方向の向き毎に4つのスタッカに貯める場合に比べてスタッカの必要数を半減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1による投票用紙の読取分類装置を示す構成図である。
【図2】図1の撮像ユニットを示す構成図である。
【図3】図2の投票用紙を示す正面図である。
【図4】図3の投票用紙を示す背面図である。
【図5】図4の投票用紙の向きの違いを示す説明図である。
【図6】図1の天地反転部を示す構成図である。
【図7】図6の第1及び第2中央部搬送ベルト間の関係を説明するための説明図である。
【図8】図1の表裏反転部を示す構成図である。
【図9】図8の表裏反転路での搬送動作を示す説明図である。
【図10】図8の表裏非反転路での搬送動作を示す説明図である。
【図11】本発明の実施の形態2による投票用紙の読取分類装置を示す構成図である。
【図12】本発明の実施の形態3による投票用紙の読取分類装置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による投票用紙の読取分類装置を示す構成図である。図において、投票用紙の読取分類装置には、読取装置本体1、拡張反転ユニット2、及び拡張スタッカユニット3が設けられている。
【0011】
読取装置本体1には、ホッパ10、本体搬送手段11、第1〜第5スタッカ12〜16、撮像ユニット17、及び表示手段18が設けられている。
【0012】
ホッパ10は、外部から投入された複数枚の投票用紙4が貯められるケースである。本体搬送手段11は、複数の搬送ローラ11aから構成されており、ホッパ10から第1〜第5スタッカ12〜16まで搬送方向110に沿って投票用紙4を搬送する第1本体内搬送路111を形成している。また、本体搬送手段11は、第1本体内搬送路111の中途位置111aから分離された第2本体内搬送路112を形成している。撮像ユニット17は、後述のように投票用紙4の端面を示す画像情報を生成するものであり、搬送方向110に沿うホッパ10の下流かつ中途位置111aの上流に配置されている。表示手段18は、利用者に対する情報を表示するものである。
【0013】
拡張反転ユニット2及び拡張スタッカユニット3は、読取装置本体1から分離可能な拡張ユニットである。拡張反転ユニット2は読取装置本体1に直接的に接続され、拡張スタッカユニット3は、拡張反転ユニット2を介して読取装置本体1に接続されている。第2本体内搬送路112に搬送された投票用紙4は、拡張反転ユニット2を通って拡張スタッカユニット3に搬送される。
【0014】
拡張反転ユニット2には、天地反転部20と表裏反転部21とが設けられている。すなわち、天地反転部20と表裏反転部21とは、投票用紙4の搬送方向110に沿う撮像ユニット17の下流側に設けられている。これら天地反転部20と表裏反転部21とは、複数の搬送ローラ22を含んでおり、第2本体内搬送路112からの投票用紙4を拡張スタッカユニット3に搬送するための反転ユニット搬送路200を構成している。天地反転部20は、投票用紙4の天地方向の向きを反転させるものであり、表裏反転部21は、投票用紙4の表裏方向の向きを反転させるものである。
【0015】
拡張スタッカユニット3には、スタッカユニット搬送手段30、及び第6〜第13スタッカ31〜38が設けられている。すなわち、第6〜第13スタッカ31〜38は、投票用紙4の搬送方向110に沿う天地反転部20及び表裏反転部21の下流側に配置されている。スタッカユニット搬送手段30は、拡張スタッカユニット3に搬送された投票用紙4を第6〜第13スタッカ31〜38まで搬送するためのスタッカユニット搬送路300を形成している。第1〜第13スタッカ12〜16,31〜38は、後述のように分類された投票用紙4が貯められるケースである。
【0016】
なお、この実施の形態では、1つの拡張スタッカユニット3が読取装置本体1に接続されている例を示しているが、必要とされるスタッカの数に応じて、複数の拡張スタッカユニット3が読取装置本体1に接続されてもよい。また、拡張反転ユニット2及び拡張スタッカユニット3を読取装置本体1から分離可能なものとして説明しているが、読取装置本体1、拡張反転ユニット2、及び拡張スタッカユニット3は、互いに一体に設けられていてもよい。
【0017】
次に、図2は、図1の撮像ユニット17を示す構成図である。撮像ユニット17には、第1及び第2案内板170,171と、第1〜第3ローラ部172〜174と、第1及び第2撮像手段175,176と、第1及び第2対向ローラ177,178とが設けられている。
【0018】
第1及び第2案内板170,171は、搬送方向110に沿って延在された板部材であり、第1本体内搬送路111を挟むように互いに対向して配置されている。これら第1及び第2案内板170,171は、投票用紙4が撮像ユニット17を通過する際に投票用紙4を案内するものである。なお、詳細には図示しないが、第1及び第2案内板170,171には、前述の第1〜第3ローラ部172〜174等が配置される各位置に開口部がそれぞれ設けられている。
【0019】
第1ローラ部172は、第1及び第2案内板170,171の開口部を通して互いの外周面が接触するように第1本体内搬送路111を挟んで配置された一対のローラ172aから構成されている。第2及び第3ローラ部173,174も、第1ローラ部172と同様に一対のローラ173a,174aから構成されている。これら第1〜第3ローラ部172〜174は、搬送方向110に沿って互いに離間して配置されており、各ローラ172a〜174a間に進入された投票用紙4を搬送方向110に沿って送り出す(搬送する)ものである。すなわち、第1〜第3ローラ部172〜174は、本体搬送手段11の一部を構成している。
【0020】
ここで、第1案内板170が配置されている側の第1本体内搬送路111の一方の端面を搬送路表面113と呼び、第2案内板171が配置されている側の他方の端面を搬送路裏面114と呼ぶ。
【0021】
第1撮像手段175は、第1案内板170の開口部を通して搬送路表面113に対向するように第1ローラ部172と第2ローラ部173との間に配置されている。第1撮像手段175は、光源部175aと撮像部175bとを有しており、投票用紙4が撮像ユニット17を通過する際に投票用紙4の第1端面4aを示す第1画像情報175cを生成するものである。具体的には、投票用紙4が撮像ユニット17を通過する際に、投票用紙4の第1端面4aに対して光源部175aから撮像光が照射され、第1端面4aで反射された撮像光が撮像部175bで受光されることで、第1画像情報175cが生成される。
【0022】
第1対向ローラ177は、第2案内板171の開口部を通して第1撮像手段175の撮像側端面に対向するように第1ローラ部172と第2ローラ部173との間に配置されている。この第1対向ローラ177は、その外周面と第1撮像手段175の撮像側端面との間に投票用紙4が進入された際に投票用紙4を搬送方向110に沿って送り出すように、第1撮像手段175の撮像側端面に近接して配置されている。
【0023】
第2撮像手段176は、第2案内板171の開口部を通して搬送路裏面114に対向するように第2ローラ部173と第3ローラ部174との間に配置されている。すなわち、第2撮像手段176は、搬送方向110に沿う第1撮像手段175の下流に配置されており、第1撮像手段175に対して非対向とされている。第2撮像手段176は、前述の第1撮像手段175と同様に光源部176aと撮像部176bとを有しており、第1端面4aとは逆側の投票用紙4の第2端面4bを示す第2画像情報176cを生成するものである。
【0024】
第2対向ローラ178は、第1案内板170の開口部を通して第2撮像手段176に対向するように第2ローラ部173と第3ローラ部174との間に配置されている。この第2対向ローラ178は、第1対向ローラ177と同様に、第2撮像手段176の撮像側端面に近接して配置されている。
【0025】
第1及び第2撮像手段175,176には、情報処理手段5が接続されている。この情報処理手段5は、プログラム等の情報を記憶する記憶部と、この記憶部の情報に基づいて処理動作を行う演算部とを含むコンピュータから構成されている。詳細には、情報処理手段5は、読取装置本体1に内蔵されたコンピュータ、又は読取装置本体1とは別体に設けられたコンピュータと読取装置本体1に内蔵されたコンピュータとの組み合わせから構成されている。この情報処理手段5は、後述のように、第1及び第2撮像手段175,176からの第1及び第2画像情報175c,176cを処理するものである。
【0026】
次に、図3は図2の投票用紙4を示す正面図であり、図4は図3の投票用紙4を示す背面図である。図3及び図4に示すように、投票用紙4は、長辺40及び短辺41を有する長方形に形成されている。この実施の形態の読取装置では、投票用紙4は、短辺41が搬送方向110に沿う向きで搬送される。図3に示すように、投票用紙4の表面400には、投票者が例えば候補者名や政党名等の記載内容401を記載すべき領域を区画する記入枠402が付されている。一方で、投票用紙4の裏面410には、記入枠402は付されていない。
【0027】
次に、図5は、図4の投票用紙4の向きの違いを示す説明図である。複数の投票用紙4がホッパ10(図1参照)に投入される際に各投票用紙4の表裏方向及び天地方向の向きが揃えられていない場合、第1撮像手段175の前を通過するときの投票用紙4の向きは、図5に示すように4通り想定される。ここで、図5に示す各向きを、表天向き420、表地向き421、裏天向き422、及び裏地向き423と呼ぶ。
【0028】
表天向き420は、第1撮像手段175から見たときに、投票用紙4の表面400が正面を向いているとともに、記入枠402の上端402aが左側に位置している向きである。表地向き421とは、第1撮像手段175から見たときに、投票用紙4の表面400が正面を向いているとともに、記入枠402の上端402aが右側に位置している向きである。すなわち、表天向き420と表地向き421とは、記載内容401の文字列の方向、すなわち天地方向が反転している向きである。
【0029】
裏天向き422は、第1撮像手段175から見たときに、投票用紙4の裏面410が正面を向いているとともに、記入枠402の上端402aが左側に位置している向きである。裏地向き423とは、第1撮像手段175から見たときに、投票用紙4の裏面410が正面を向いているとともに、記入枠402の上端402aが右側に位置している向きである。すなわち、これら裏天向き422及び裏地向き423は、前述の表天向き420及び表地向き421と比べて表裏方向が反転している向きである。
【0030】
情報処理手段5は、第1及び第2画像情報175c,176cに基づいて記入枠402を検出するとともに記載内容401を読み取る。また、情報処理手段5は、第1画像情報175cが示す第1端面4aと第2画像情報176cが示す第2端面4bとのどちらから記入枠402が検出されるかを判定されることで、投票用紙4の表裏方向の向きを識別する。さらに、情報処理手段5は、検出された記入枠402内からの記載内容401の読み取る際に、記載内容401の文字列の向きから投票用紙4の天地方向の向きを識別する。
【0031】
また、情報処理手段5は、識別した投票用紙4の向きに応じて拡張反転ユニット2の天地反転部20及び表裏反転部21の動作を制御することで、投票用紙4の天地方向及び表裏方向の向きを揃える。また、情報処理手段5は、読み取った記載内容401に応じて拡張スタッカユニット3のスタッカユニット搬送手段30の動作を制御することで、記載内容401毎に投票用紙4を異なる第6〜第13スタッカ31〜38に搬送する。すなわち、この実施の形態では、天地方向及び表裏方向の向きが揃えられた状態で、1つの記載内容401の投票用紙4が1つのスタッカ31〜38に貯められる。
【0032】
次に、図6は図1の天地反転部20を示す構成図であり、図7は図6の第1及び第2中央部搬送ベルト205a,205b間の関係を説明するための説明図である。図6に示すように、天地反転部20には、天地反転路201、天地非反転路202、及び仕分ゲート203が設けられている。天地反転路201は、天地方向の向きを反転させる必要がある投票用紙4が送られる搬送路であり、天地非反転路202は、天地方向の向きを反転させることが不必要な投票用紙4が送られる搬送路である。仕分ゲート203は、天地反転路201と天地非反転路202との分岐点に配置された仕切部材であり、情報処理手段5の制御に応じて回動されることで、天地反転路201及び天地非反転路202のいずれか一方への搬送路を開き他方への搬送路を閉じる。すなわち、投票用紙4は、情報処理手段5の制御に応じて、天地反転路201及び天地非反転路202のいずれか一方に送られる。
【0033】
天地反転路201には、第1〜第4端部ローラ204a〜204d、第1及び第2中央部搬送ベルト205a,205b、一対の中間押圧ローラ206、及び一対の端部搬送ガイド207が設けられている。
【0034】
ここで、図7に模式的に示すように、第1中央部搬送ベルト205aは、第1端部ローラ204aと第4端部ローラ204dとに巻き付けられた無端状のベルトであり、第2中央部搬送ベルト205bは、第2端部ローラ204bと第3端部ローラ204cとに巻き付けられた無端状のベルトである。これら第1及び第2中央部搬送ベルト205a,205bは、天地反転路201に送られた投票用紙4の中央部を間に挟んだ状態で、投票用紙4を搬送するものである。
【0035】
但し、実際の第1及び第2中央部搬送ベルト205a,205bは、図7のように各ローラ204a〜204dに巻き付けられた状態で第3及び第4ローラ204c,204dの位置を置換するように、捩られて(ねじられて)配置されている(図6参照)。すなわち、これら第1及び第2中央部搬送ベルト205a,205bは、第1及び第2中央部搬送ベルト205a,205b間の接触面が投票用紙4の搬送方向110を軸として捩られて延在するように設けられたベルトであり、投票用紙4の搬送方向110を軸にして投票用紙4を捻りながら(ひねりながら)搬送するものである。この第1及び第2中央部搬送ベルト205a,205bの搬送により、投票用紙4の天地方向の向きが反転される。なお、この第1及び第2中央部搬送ベルト205a,205bの搬送では、天地方向の向きだけではなく、表裏方向の向きも必然的に反転される。
【0036】
中間押圧ローラ206は、投票用紙4の搬送方向110に沿う第1及び第2中央部搬送ベルト205a,205bの中間位置に配置されており、第1及び第2中央部搬送ベルト205a,205bの端面を押圧している。なお、図6では、第1中央部搬送ベルト205aの端面を押圧する中間押圧ローラ206のみを図示している。この中間押圧ローラ206は、各ベルト205a,205bの端面を押圧することで、各ベルト205a,205bの捻れた状態を保持するためのものである。各端部搬送ガイド207は、板部材207a,207cからそれぞれ構成されており、板部材207a,207cは、投票用紙4の搬送方向110を軸として捩られるように延在されたガイド空隙207bを形成している。ガイド空隙207bには、第1及び第2中央部搬送ベルト205a,205bによって搬送される投票用紙4の端部が進入される。すなわち、各端部搬送ガイド207は、投票用紙4が捻られながら搬送される際に投票用紙4の端部を案内するものである。
【0037】
次に、図8は図1の表裏反転部21を示す構成図であり、図9は図8の表裏反転路210での搬送動作を示す説明図であり、図10は図8の表裏非反転路211での搬送動作を示す説明図である。図8に示すように、表裏反転部21には、表裏反転路210、表裏非反転路211、仕分ゲート213、搬送路導入ローラ214、及び送出搬送路215が設けられている。
【0038】
表裏反転路210は、表裏方向の向きを反転させる必要がある投票用紙4が送られる搬送路であり、表裏非反転路211は、表裏方向の向きを反転させることが不必要な投票用紙4が送られる搬送路である。
【0039】
仕分ゲート213は、表裏反転路210と表裏非反転路211との分岐点に配置された仕切部材であり、情報処理手段5の制御に応じて回動されることで、表裏反転路210及び表裏非反転路211のいずれか一方への搬送路を開き他方への搬送路を閉じる。搬送路導入ローラ214は、表裏反転路210と表裏非反転路211との分岐点に設けられた搬送ローラであり、該分岐点で投票用紙4に搬送力を付加する。すなわち、投票用紙4は、情報処理手段5の制御に応じて、表裏反転路210及び表裏非反転路211のいずれか一方に送られる。送出搬送路215は、表裏反転路210及び表裏非反転路211のいずれか一方を通過した投票用紙4を表裏反転部21から送り出すための搬送路である。
【0040】
表裏反転路210には、ブラシローラ216、スイッチバック部217、及びスイッチバック送出ローラ218が設けられている。ブラシローラ216は、外周面から放射状に突出された複数の舌片部材216aを有するローラである。スイッチバック部217は、ブラシローラ216の回転方向に沿う搬送路導入ローラ214の下流側に配置されている。このスイッチバック部217は、一対の板部材から構成されており、投票用紙4がスイッチバックされる空間を形成している。スイッチバック送出ローラ218は、ブラシローラ216の回転方向に沿うスイッチバック部217の開口部217aの下流側に配置された搬送ローラである。
【0041】
仕分ゲート213及び搬送路導入ローラ214により投票用紙4が表裏反転路210に導入されると、投票用紙4は、仕分ゲート213の端面に沿って進み、図9の(a)に示すように開口部217aからスイッチバック部217内に進入される。このとき、投票用紙4は、ブラシローラ216の回転により舌片部材216aが投票用紙4の端面上を摺動されることで、スイッチバック部217の先端側まで押し込まれる。
【0042】
また、投票用紙4がスイッチバック部217の先端側まで押し込まれると、スイッチバック送出ローラ218と接触するように、投票用紙4の後端4cが舌片部材216aによって案内される。
【0043】
投票用紙4の後端4cがスイッチバック送出ローラ218と接触されると、図9の(b)に示すように、スイッチバック送出ローラ218とブラシローラ216とによって投票用紙4の後端4cが挟まれて、この後端4cを先頭として投票用紙4が送出搬送路215に送られる。この表裏反転路210の搬送により、投票用紙4が裏返されて、投票用紙4の表裏方向の向きが反転される。なお、ブラシローラ216は、外周面がゴムで形成されたゴムローラに置換することも可能である。
【0044】
図8に戻り、表裏非反転路211には、ガイド板部材220と非反転送出ローラ221とが設けられている。
【0045】
仕分ゲート213及び搬送路導入ローラ214により投票用紙4が表裏非反転路211に導入されると、図10の(a)に示すように、投票用紙4の先端部4dが非反転送出ローラ221の外周面に接触するように、ガイド板部材220の端面に沿って投票用紙4が案内される。投票用紙4の先端部4dが非反転送出ローラ221の外周面に接触されると、図10の(b)に示すように、非反転送出ローラ221の搬送力により、表裏非反転路211から送出搬送路215に投票用紙4が送り出される。
【0046】
このような投票用紙の読取分類装置では、撮像ユニット17は、搬送路111を搬送される投票用紙4の両側の端面4a,4bを撮像することで投票用紙4の画像情報175c,176cを得て、情報処理手段5は、撮像ユニット17からの画像情報175c,176cに基づいて、投票用紙4の記入枠402内に書き込まれた記載内容401を読み取るので、表裏方向の向きが揃えられていない状態で投票用紙4が読取装置に投入されたとしても、記入枠402が付された端面の向きに拘わらず記入枠402を検出できる。これにより、投票用紙4の表裏を予め揃える工程を不要にでき、利便性を向上できる。
【0047】
特に、天地反転部20と表裏反転部21との両方を備えて、情報処理手段5は、撮像ユニット17からの画像情報175c,176cに基づいて、投票用紙4の表裏方向及び天地方向の向きを識別するとともに、投票用紙4の記入枠402内に書き込まれた記載内容401を読み取り、天地反転部20及び表裏反転部21の動作を制御することにより投票用紙4の天地方向及び表裏方向の向きを揃えた上で、記載内容401毎に投票用紙4を各スタッカ31〜38に搬送するので、天地方向及び表裏方向の向きを揃えた状態で1つの記載内容401の投票用紙4を1つのスタッカに貯めることができ、1つの記載内容401の投票用紙4を天地方向及び表裏方向の向き毎に4つのスタッカに貯める場合に比べてスタッカの必要数を1/4にすることができる。これにより、装置全体としての小型化が可能となる。また、スタッカの必要数を少なくできるので、記載内容401の種類が多い場合でも、スタッカ不足となる可能性を低くできる。すなわち、記載内容401の種類が多い場合でも、複数回に分けて投票用紙4を分類しなければならない可能性を低くでき、分類作業に要する時間を大幅に短縮できる。
【0048】
実施の形態2.
図11は、本発明の実施の形態2による投票用紙の読取分類装置を示す構成図である。なお、実施の形態1の構成と同一又は同等部分については同一の符号を用いて説明する。実施の形態1では、拡張反転ユニット2に天地反転部20と表裏反転部21との両方が設けられている構成を説明したが、図11に示すように、天地反転部20が省略されて、拡張反転ユニット2に表裏反転部21のみが設けられていてもよい。
【0049】
情報処理手段5は、撮像ユニット17からの画像情報175c,176cに基づいて、投票用紙4の表裏方向及び天地方向の向きを識別するとともに、投票用紙4の記入枠402内に書き込まれた記載内容401を読み取り、表裏反転部21の動作を制御することにより投票用紙4の表裏方向の向きを揃えた上で、天地方向の向き毎及び記載内容401毎に投票用紙4を各スタッカに搬送する。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0050】
このような投票用紙の読取分類装置では、表裏反転部21を備えて、情報処理手段5は、撮像ユニット17からの画像情報175c,176cに基づいて、投票用紙4の表裏方向及び天地方向の向きを識別するとともに、投票用紙4の記入枠402内に書き込まれた記載内容401を読み取り、表裏反転部21の動作を制御することにより投票用紙4の表裏方向の向きを揃えた上で、天地方向の向き毎及び記載内容401毎に投票用紙4を各スタッカに搬送するので、1つの記載内容401の投票用紙4を天地方向の向き毎に2つのスタッカに貯めることができ、1つの記載内容401の投票用紙4を天地方向及び表裏方向の向き毎に4つのスタッカに貯める場合に比べてスタッカの必要数を半減できる。また、実施の形態1の構成と比べて、天地反転部20を省略することにより、拡張反転ユニット2の製造コストを低減できるとともに、拡張反転ユニット2を小型化できる。
【0051】
実施の形態3.
図12は、本発明の実施の形態3による投票用紙の読取分類装置を示す構成図である。なお、実施の形態1,2の構成と同一又は同等部分については同一の符号を用いて説明する。実施の形態2では、天地反転部20を省略する構成を説明したが、図12に示すように、表裏反転部21が省略されて、拡張反転ユニット2に天地反転部20のみが設けられていてもよい。
【0052】
情報処理手段5は、撮像ユニット17からの画像情報175c,176cに基づいて、投票用紙4の表裏方向及び天地方向の向きを識別するとともに、投票用紙4の記入枠402内に書き込まれた記載内容401を読み取り、天地反転部20の動作を制御することにより投票用紙4の天地方向の向きを揃えた上で、表裏方向の向き毎及び記載内容401毎に投票用紙4を各スタッカに搬送する。その他の構成は、実施の形態1,2と同様である。
【0053】
このような投票用紙の読取分類装置では、天地反転部20を備え、情報処理手段5は、撮像ユニット17からの画像情報175c,176cに基づいて、投票用紙4の表裏方向及び天地方向の向きを識別するとともに、投票用紙4の記入枠402内に書き込まれた記載内容401を読み取り、天地反転部20の動作を制御することにより投票用紙4の天地方向の向きを揃えた上で、表裏方向の向き毎及び記載内容401毎に投票用紙4を各スタッカに搬送するので、1つの記載内容401の投票用紙4を表裏方向の向き毎に2つのスタッカに貯めることができ、1つの記載内容401の投票用紙4を天地方向及び表裏方向の向き毎に4つのスタッカに貯める場合に比べてスタッカの必要数を半減できる。また、表裏反転部21を省略することで、拡張反転ユニット2の製造コストを低減できるとともに、拡張反転ユニット2を小型化できる。
【符号の説明】
【0054】
4 投票用紙
5 情報処理手段
17 撮像ユニット
20 天地反転部
21 表裏反転部
31〜38 スタッカ
110 搬送方向
111 搬送路
175c,176c 画像情報
401 記載内容
402 記入枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投票用紙が搬送される搬送路と、
前記搬送路に設けられ、前記搬送路を搬送される投票用紙の両側の端面を撮像して前記投票用紙の画像情報を得る撮像ユニットと、
前記投票用紙の搬送方向に沿う前記撮像ユニットの下流側に設けられ、前記搬送路を搬送される投票用紙の天地方向の向きを反転させる天地反転部と、
前記投票用紙の搬送方向に沿う前記天地反転部の下流側に配置された複数のスタッカと、
前記撮像ユニット及び前記天地反転部に接続された情報処理手段と
を備え、
前記情報処理手段は、前記撮像ユニットからの画像情報に基づいて、前記投票用紙の表裏方向及び天地方向の向きを識別するとともに、前記投票用紙の記入枠内に書き込まれた記載内容を読み取り、前記天地反転部の動作を制御することにより前記投票用紙の前記天地方向の向きを揃えた上で、同じ記載内容の前記投票用紙を前記表裏方向の向き毎に2つの前記スタッカに搬送することを特徴とする投票用紙の読取分類装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−74055(P2012−74055A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245664(P2011−245664)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【分割の表示】特願2010−14054(P2010−14054)の分割
【原出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(592221908)武蔵エンジニアリング株式会社 (30)
【Fターム(参考)】