説明

抗−インテグリン活性を有するシクロペプチド誘導体

式 (I)の化合物が記載される:
c(R1-Arg-Gly-Asp-R2)
ここで、様々な基の意味は、明細書中に記載の通りであり、この化合物は、インテグリン阻害剤、特にαvβ3およびαvβ5 ファミリーのインテグリンの阻害剤であり、それゆえ、医薬、特に異常な血管新生が根底にある疾患、例えば、網膜症、急性腎不全、骨粗鬆症および転移の治療用医薬として有用である。本明細書に記載する化合物は、好適に標識された場合、特に小さい腫瘤および動脈閉塞の発症の検出のための診断薬として、および標的化薬物ベクターとして有用でもある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明の目的は、医薬として有用な化合物、その調製方法、それを含む医薬組成物および異常な血管新生に起因する疾患の治療に有用な医薬の調製のためのその使用である。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
腫瘍患者において、化学療法は、多くの場合、播種性の(disseminated)癌のための唯一の治療選択肢である。抗癌化学療法の効力を改良し、毒性を低減させるための一つのアプローチは、腫瘍血管新生に関与する受容体を標的とする薬物の投与である。
【0003】
インテグリンは、腫瘍血管新生のプロセスと転移プロセスの両方において、細胞間および細胞と細胞外マトリックスとの間の接着に関与している。特に、αvβ3およびαvβ5 インテグリン受容体は、ヒト腫瘍微小血管の内皮細胞および腫瘍細胞自体において強く発現している。
【0004】
腫瘍血管新生は現在、一般に抗癌療法の有望な標的であると認識されている[H. Jin and J. Varner、Br. J. Cancer、2004、90(3): 561-5]。
【0005】
近年、多数の研究により、Arg-Gly-Asp 配列を含むシクロペプチド誘導体が、インテグリン受容体に対して高い親和性を示すことが明らかになっている。
【0006】
環状RGD-ペプチドを用いる腫瘍進行および血管新生の阻害が研究されており、いくつかの研究では既に有望な結果が示されている。
【0007】
例えば、ラットにおいて化学的に誘発された大腸癌において、インテグリン-ブロッキングペプチドの処理により発症を遅らせた(late onset)結果、腫瘍増殖が阻害され、腫瘍の負荷(load)が軽減し、これはおそらく少なくとも部分的には血管新生の阻害により媒介されるようであることが最近示された(Haier J. et al、Clin Exp Metastasis. 2002;19(8):665-72)。それゆえ、αvβ3-インテグリン受容体阻害は癌の良好な治療方法であるようである。
【0008】
さらに、かかる環状 RGD ペプチドは、細胞インテグリンをそれらの標的細胞への侵入に利用している、心血管疾患、骨粗鬆症およびウイルス感染(例えば、HIV)における興味深い治療用途も有している可能性がある。かかる化合物は、化学療法薬、特に抗癌薬を、高レベルのインテグリン受容体を発現している細胞に標的化するのに有用である。このように、有効な治療応答が、化学療法薬により誘発される副作用を低減しつつ達成される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
発明の概要
本発明は、抗-インテグリン活性を有するシクロペプチド誘導体、特に本明細書に記載するすべての化合物において不変である3アミノ酸配列に加えて、天然および非天然アミノ酸であるその他の2残基を含む環状ペプチドであって、窒素またはCαにおいて、そのインテグリンαvβ3およびαvβ5への結合を驚くべく増強する官能基または官能基を有する末端鎖にある残基によって置換されていてもよいシクロペプチド誘導体に関する。本発明はまた、該化合物の調製方法、疾患、例えば、網膜症、急性腎不全、骨粗鬆症および転移の治療において有用な作用を有するその医薬としての使用、特にインテグリン受容体阻害剤としての使用、ならびにそれらを含む医薬組成物にも関する。かかる化合物は、好適に標識された場合、小さい腫瘤および動脈閉塞の発症の検出のための診断薬としても有用である。
【0010】
本発明によるシクロペプチドによって媒介される(vehicled)薬物は、例えば以下のような細胞障害薬のクラスに属する:アルキル化剤(シクロホスファミド、ニトロソ尿素)、代謝拮抗剤(メトトレキセート、5-フルオロウラシル、シトシンアラビノシド)、天然産物 (ドキソルビシン および構造的アナログ、アクチノマイシン D、ブレオマイシン、ビンカアルカロイド、エピポドフィロトキシンおよびマイトマイシン C)。
【0011】
αvβ3およびαvβインテグリン受容体化合物およびその用途に関する最先端の網羅的説明については、本出願人のWO 2004/011487を参照されたい。それに関する明確な参照もまた、科学的背景と関係して記載されている。
【0012】
驚くべきことに、本発明の結果である分子は、インテグリンに対する親和性を示し、それは、同じクラスに属し、文献[H. Kessler、et al.、J. Med. Chem.、1999、42、3033-40]に記載のシクロペプチドについて観察されたものよりかなり大きい場合がある。
【0013】
それゆえ、本発明は、αvβ3およびαvβ5 型のインテグリン阻害剤を提供し、それは公知の化合物よりも非常に強力である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
それゆえ、本発明の主な目的は、下記式 Iの化合物、そのラセミ混合物、その単一エナンチオマー、その単一ジアステレオアイソマーおよびその医薬上許容される塩である:
c(R1-Arg-Gly-Asp-R2)
(式 I)
[式中:
- cは環状を意味する;
- R1は一般式: -NX-CY(Z)-CO-のアミノ酸である;ここで、
- Xは以下からなる群から選択される: H、直鎖状または分枝状 C1-C6 アルキル、C6-C10 アリール、ベンジル、(CH2)n-COR、(CH2)n-NHR'、4-COR-ベンジル、4-(CH2-NHR')-ベンジル;ここで、nは1〜5の整数である;
- Yは以下からなる群から選択される: H、CHmFm';ここで m + m' = 3、ここで mおよび m' は0〜3の整数である;
- Zは以下からなる群から選択される: H、直鎖状または分枝状 C1-C6 アルキル、C6-C10 アリール、(CH2)n1-COR、(CH2)n1-NHR'、4-NHR'-(CH2)n1-ベンジル、4-COR-ベンジル、ここで、 n1 は0〜5の整数である;
- R は以下からなる群から選択される: W、OW、N[CH2-CO-NH-CH2-O-(CH2CH2O)n2-CH2-COOW]2、NH-CH2-O-(CH2CH2O)n2-CH2-COOW、NW-(CH2-CH2NH)n2-CH2-CH2NHW;ここで、n2は1〜22の整数である;そして、
- Wは以下からなる群から選択される: H、C1-C3 アルキル;
- R'は以下からなる群から選択される: H、CO-(CH2)n2-COOW、CO-CH2-O-(CH2CH2O)n2-CH2-NHWCO-CH2-O-(CH2CH2O)n2-CH2-COOW; ここで、n2は上記と同じ意味を有する;そして、
- R2 は以下からなる群から選択される: D-Phe、D-Tyr、D-Trp、D-2-ナフチル-Ala、D-4-tert-ブチル-Phe、D-4,41-ビフェニル-Ala、D-4-CF3-Phe、D-4-アセチルアミン-Phe;
]。
【0015】
式 (I)の化合物の好ましい例は以下の通りである:
c(Arg-Gly-Asp-D-Phe-Amp);
c[Arg-Gly-Asp-D-Phe-Aad);
c(Arg-Gly-Asp-D-Phe-N-Me-Amp);
c[Arg-Gly-Asp-D-Phe-Amp-CO(CH2)2COOH];
c(Arg-Gly-Asp-D-Phe-N-Amb-Gly);
c[Arg-Gly-Asp-D-Phe-Amp-(CO-CH2-(O-CH2-CH2)2-O-CH2-COOH];
c[Arg-Gly-Asp-D-Phe-Amp-(CO-CH2-(OCH2CH2)8-OCH2-COOH];
c[Arg-Gly-Asp-D-Phe-N(カルボキシペンチレン)-Val];
c[Arg-Gly-Asp-D-Phe-N(アリルオキシカルボニルペンチレン)-Val];および、
c[Arg-Gly-Asp-D-Phe-Amp(CO-CH2-(OCH2-CH2)3OCH3)]。
【0016】
医薬上許容される塩の意味するところは、毒性または副作用を起こさないあらゆる塩である。
【0017】
かかる塩は薬理学者および医薬技術における専門家に周知である。
【0018】
式 Iの化合物は、以下に説明し、本発明による好ましい化合物について例示されているプロセスにしたがって調製することが出来る。このプロセスは本発明のさらなる目的を構成する。
【0019】
式 Iの化合物は、実験部分における具体例に記載のようにペプチド合成の常套技術にしたがって、非天然アミノ酸残基を合成した後、調製することが出来る。ペプチド合成は、固相または溶液中のいずれにおいても行うことが出来る。好適に保護された直鎖状ペプチドを調製した後、それを閉環する。
【0020】
本発明に記載の化合物はインテグリン阻害剤であり、それゆえ癌の治療における医薬として、診断用造影剤として、そして標的化薬物ベクターとして(G.C. Tucker 2003 Curr. Opin. Investig. Drugs 4、722-31)、特にその細胞が天然に、および、例えば、放射療法の結果として誘発された様式でインテグリンを過剰発現する腫瘍の治療のために有用であり; 炎症性疾患(例えば、関節リウマチ)、異常な血管新生が根底にある疾患、例えば、腫瘍、網膜症、眼疾患、急性腎不全、骨粗鬆症および転移、心血管疾患(脳卒中および心臓障害)、および経皮的冠動脈形成術後の再狭窄(J.S. Kerr et al. Drug News Perspect 2001、14、143 50)においても有用である。本明細書に記載する化合物は、好適に標識された場合、診断薬、特に小さい腫瘤および動脈閉塞の発症の検出のための診断薬としても有用である。様々なアンタゴニストが腫瘍誘発性血管新生のモニターのために、(18)F、(111)In、(99)Tc、(90)Y および多くのヨウ素 同位体、により標識されている。というのは、インテグリンは、新しい血管の形成のための内皮細胞の遊走に関与しているからである(R.H. Haubner et al. 2003 Q. J. Nucl. Med. 47 189-99)。 高い親和性の放射標識化ペプチドは、αvβ3 インテグリンの標的として、そして、血管損傷の領域を画像化するために利用できる。というのは、血管損傷後の活性化内皮細胞および血管平滑筋細胞においてαvβ3 インテグリン発現が上昇するためである。このアプローチは、磁気共鳴およびCAT画像検査法の欠点、例えば、生物学的に関連あるリガンドおよび画像化のための血液造影剤が無いことといった欠点を克服する(F.G. Blankenberg et al. 2002 Am. J. Cardiov. Drugs 2、357-65)。
【0021】
医薬組成物は、例えば、有意な治療効果をもたらす量の少なくとも1つの 式 Iの化合物を活性成分として含む。本発明による組成物は完全に常套のものであり、医薬業界において慣行である方法を用いて得られる。選択した投与経路に応じて、組成物は経口、非経口または静脈内投与に好適な固体または液体形態であろう。本発明による組成物は、活性成分とともに、少なくとも1つの医薬上許容される媒体または賦形剤を含む。特に有用なものは、製剤補助剤、例えば、可溶化剤、分散剤、懸濁剤および乳化剤であり得る。
【0022】
式 Iの化合物は、その他の抗癌薬または抗寄生虫または抗ウイルス活性を有するその他の薬物と組み合わせて、別々の形態または単一用量形態で用いることが出来る。
【0023】
本発明の目的である医薬は、寄生虫およびアデノウイルス疾患の治療にも有用である。病原体の細胞への侵入は、原形質膜の直接侵入、クラスリン-媒介エンドサイトーシス、カベオラ(caveolar)エンドサイトーシス、ピノサイトーシスまたはマクロピノサイトーシスによって起こる。マクロピノサイトーシスにはインテグリンの関与が必要である (O. Meier et al.、2003、J. Gene Med. 5、451-62)。抗寄生虫活性は、インテグリン媒介接着の阻害により、および、例えば、クルーズトリパノソーマにより誘導される炎症の制御において、ケモカイン受容体により導かれる白血球の動員により、発揮される。偶発的に、シャーガス病の急性相において、炎症プロセスの誘導は宿主標的組織/寄生虫平衡におけるクルーズトリパノソーマの制御に必須である (J. Lannes-Vieira、2003、Mem. Inst. Oswaldo Cruz、98、299-304)。
【0024】
以下の実施例により本発明をさらに説明する。
【実施例】
【0025】
使用される略語は以下の通り:
Aad (アミノアジピン酸);
Amb (アミノメチルベンジル);
Amp (アミノメチルフェニルアラニン);
Boc (ter-ブトキシカルボニル);
CSA (カンファースルホン酸);
CTH (触媒的移動水素化);
DBU (1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス-7-エン);
DCC (ジシクロヘキシルカルボジイミド);
DCM (ジクロロメタン);
DEAD (ジエチルアセチレンジカルボキシラート)
DIEA (ジイソプロピルエチルアミン);
DMF (ジメチルホルムアミド);
EMEM (Earle's塩を含むイーグル基礎培地);
Fm (フルオレニルメチル);
Fmoc (9-フルオレニルメチル-オキシカルボニル);
HOBT (ヒドロキシベンゾトリアゾール);
NMP (N-メチル-ピロリドン);
oNBS (2-ニトロベンゼンスルホナート);
PBS (リン酸緩衝食塩水);
Pht (フタロイル);
Pmc (ペンタメチルクロマン-6-スルホニル);
SDS (ドデシル硫酸ナトリウム);
TBTU (テトラフルオロボラート-O-ベンゾトリアゾール-1-イル-テトラメチルウロニウム);
TEA (トリエチルアミン);
Teg (トリエチレングリコールモノメチルエーテル);および、
TFA (トリフルオロ酢酸)。
【0026】
実施例1
c(Arg-Gly-Asp-D-Phe-Amp) - ST2581の合成
1.587 mmolの Fmoc-Gly-Res (Res = Sasrin樹脂(登録商標)、Bachem) を30 分間撹拌しながら75 mlの DMF中に懸濁し、その後、18 mlのピペリジンを添加し、撹拌をさらに30 分間続けた。ろ過し、DMFで洗浄した樹脂を50 mlの NMP (N-メチル-ピロリドン)に15 分間懸濁し、その後 Fmoc-Arg(Pmc)-OH、HOBT、TBTUおよびDIEA を添加した(各3.174 mmol); 2 時間の撹拌後、懸濁液をろ過し、DMFで洗浄した。ピペリジンによる脱保護の後、縮合を連続して別のアミノ酸を用いて繰り返し、各々上記のように行った。即ち: Fmoc-Amp(Cbz)-OH、Fmoc-D-Phe-OH、およびFmoc-Asp(OtBu)-OH。Fmoc-N-末端の最後の脱保護の後、直鎖状ペンタペプチドをDCM中の45 mlの 1% TFAを用いて樹脂から解離させた。これをおよそ 1 lのCH3CNに溶解し、4.761 mmolの HOBTおよびTBTU、そして10 mlの DIEAを添加した;溶液を30 分間撹拌して放置し、溶媒を蒸発させて少量とし、生成物の沈降を水を用いて完了した。
【0027】
ろ過した粗生成物をチオアニソール (50 当量) およびTFA (270 当量)に溶解し、室温で一晩撹拌して放置した。
【0028】
反応混合物を乾燥させ、残基を最少量の TFAで処理し、過剰のエチルエーテルを用いて再沈降させた。最後に、粗生成物をRP-HPLC [カラム: Alltima C-18、Alltech; 移動相: 水中17% CH3CN + 0.1% TFA]により精製した。
【0029】
分析HPLC: カラム: Purosphere STAR、Merck; 移動相: 水中15% CH3CN + 0.1% TFA): Rt = 12.15 分
【0030】
分子量 = 652
【0031】
実施例 2
c[Arg-Gly-Asp-D-Phe-Aad) - ST2650の合成
0.69 mmolの Fmoc-Gly-Resを実施例1における記載と同じように処理し、ただし、この実施例では、第3および第4アミノ酸をジペプチド Fmoc-D-Phe-Aad(OBzl)-OHの形態にて添加した。CTHによるベンジルエステルの脱保護の後、分取 RP-HPLC (移動相: 水中CH3CN 55% + TFA 0.1%; Rt = 17.29 分)により粗生成物を精製し、187 mgの純粋な脱保護されたペプチドを得た。これをTFAに溶解し、室温で1時間後、溶液を乾燥させた。残基を最少量の TFAに再溶解し、過剰のエチルエーテルを用いて沈降させた。この操作を純粋な最終生成物が得られるまで繰り返した。
【0032】
分析 RP-HPLC (水中17% CH3CN +0.1% TFA)、Rt = 12.52 分
【0033】
分子量 = 619
【0034】
実施例3
c(Arg-Gly-Asp-D-Phe-N-Me-Amp) - ST2700の合成
還流させた無水トルエン中のFmoc-Phe(4-Pht-N-CH2)-COOHの懸濁液に、4部に分けた、2 当量の CSAおよび20 当量の パラホルムアルデヒドを15 分間隔で添加した。混合物を放置して冷却させ、120 mlの トルエンで希釈し、5% NaHCO3および水で洗浄した。溶媒を蒸発させた後、残渣を15 mlの CHCl3 + 15 mlの TFA + 700 μlのEt3SiHに溶解した; 混合物を暗所で放置して42 時間撹拌した。溶媒を蒸発させた後、残渣をシリカゲルでのろ過により精製した。 総収率: 90%
【0035】
直鎖状ペプチドを固相にて実施例1に記載のように合成したが、ただし、上記のように調製したFmoc-N-Me-Phe-(4-Pht-N-CH2)-COOH を第3アミノ酸として挿入した。この実施例では樹脂上のN-Fmoc-末端の脱保護はDMF 溶液中の30% ジイソプロピルアミン (300 当量)を用いて行った(フタルイミドの存在のため)。閉環後、500 mgのペプチドを10 mlの 無水 EtOH中に加熱によって溶解し、それに0.9 mlのエタノール中のNH2-NH2 H2O 1M溶液を添加した。還流しながら2 時間加熱した後、溶媒を蒸発させ、残渣を激しく撹拌しながら10 mlの DCM + 10 mlの Na2CO3 溶液で処理した。有機相の蒸発後、粗残渣を分取 RP-HPLC (移動相: 水中17% CH3CN + 0.1% TFA)により精製した。
【0036】
分析 RP-HPLC (水中16% CH3CN + 0.1% TFA)、Rt = 11.7 分
分子量 = 665
【0037】
実施例 4
c[Arg-Gly-Asp-D-Phe-Amp-(CH2)2COOH] - ST2649の合成
120 mgの シクロペプチド c[Arg(Pmc)-Gly-Asp(OtBu)-D-Phe-Amp]・TFA (実施例1に記載のように調製)を3.6 mlのDCM-DMF 2:1の混合物に、化学量論の TEAおよび無水コハク酸とともに溶解した。1時間後、反応混合物を30 mlの DCMで希釈し、水で洗浄した。有機相を、乾燥させて濃縮し、100 mgのヘミスクシナート(hemisuccinate)の残渣を得た。この生成物を完全にTFAを用いて脱保護し、次いで先の実施例に記載のように第一の精製に供した。それを次いでさらに分取 RP-HPLC により精製した(水中23% CH3CN + 0.1% TFA)。
【0038】
分析 RP-HPLC: (水中 20% CH3CN + 0.1% TFA)、Rt = 14.66 分
【0039】
分子量 = 751
【0040】
実施例 5
c(Arg-Gly-Asp-D-Phe-N-Amb-Gly) - ST2701の合成
6 mlの THF中の1.22 mmolの Boc-一保護 p-キシリレンジアミンの溶液に、1.83 mmolの TEAを添加し、そして、2 mlの THF中の1.22 mmolの ベンジルブロモアセテートの溶液を滴下した。混合物を一晩撹拌して放置し、その後溶媒を蒸発させ、残渣をフラッシュクロマトグラフィーカラム (CHCl3-EtOAc、9:1)で精製した。0.69 mmolの N-(4-Boc-NH-CH2-ベンジル)-グリシンベンジルエステルを得た。
【0041】
250 mgの Fmoc-D-Phe-OH を27 mlの DCMに溶解し、40μlのジホスゲンおよび230 μlの sym-コリジンを添加した; 15 分後、190 mgの先に調製したエステルを添加し、3 mlの DCMに溶解した。3 時間後、80 μlの N-Me-ピペラジンを反応混合物に添加し、10 分間撹拌し、その後混合物を10 mlの DCMで希釈し、水、HCl 0.5 N、水、5% NaHCO3および水で抽出した。溶媒を蒸発させた後、残渣をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー (DCM-EtOAc、9:1)により精製した。収率: 80%
【0042】
6 mlの MeOHに溶解したこうして得られた100 mgの生成物に、76 μlの AcOHおよび42 mgの HCOONH4を添加し混合物を0℃に冷却し、50 mgの 10% Pd/C を添加した。30 分後、反応混合物をセライトでろ過した。ろ液を乾燥させ、フラッシュクロマトグラフィー カラム (CHCl3-MeOH 9:1)で精製した。収率: 90%
【0043】
こうして得られた190 mgの生成物を1.2 mlの TFAに溶解し、乾燥させた(Bocの脱保護);残渣を9 mlの 10% Na2CO3 + 6 mlの ジオキサンに再溶解し、0℃に冷却し、3 mlの ジオキサンで希釈した120 μlの ベンジルオキシカルボニルクロリドの溶液を滴下した。室温で1時間の撹拌後、減圧下で蒸発を行って小体積にし、その後、混合物を水で希釈し、pHをHClにより1に低下させ、抽出をEtOAcにより行った。溶媒を蒸発させた後、残渣をCHCl3-MeOH 8:2により洗浄するシリカゲルでのろ過により精製した。純粋なジペプチド収率: 82%
【0044】
0.69 mmolの Fmoc-Gly-Resを実施例1に記載のように処理した。Argの後、先に調製したジペプチド Fmoc-D-Phe-N(4-Cbz-NH-CH2-ベンジル)-Glyを順に添加した。粗生成物をチオアニソールおよびTFAに溶解し、室温で4.5時間撹拌して放置した。最初の精製を他の実施例の記載と同様に行い、最後の精製は分取 HPLC (移動相: 水中16% CH3CN + 0.1% TFA)により行った。
【0045】
分析 RP-HPLC (水中15% CH3CN + 0.1% TFA)、Rt = 7.67 分
【0046】
分子量 = 652
【0047】
実施例 6
c[Arg-Gly-Asp-D-Phe-Amp-(CO-CH2-(O-CH2-CH2)2-O-CH2-COOH] - ST2661の合成
4 mlの3:1 DCM-DMF 混合物中の200 mgの c(Arg(Pmc)-Gly-Asp(OtBu)-D-Phe-Amp)・TFA (実施例1に記載のようにして得た)の溶液に、実質的に過剰のグリコール二塩基酸を添加した。DIEA (3 当量)およびDCC (2 当量) を同溶液に添加した。混合物を一晩撹拌して放置し、その後DCMで希釈し、水で洗浄した。
【0048】
粗生成物を有機相を蒸発させることにより回収し、フラッシュクロマトグラフィー (移動相: CHCl3-MeOH 7:3 + 1% AcOH)により精製した; 生成物を含むフラクションをプールし、水で洗浄し、脱水して乾燥させ、157 mgの純粋な生成物の残渣を得た。これをTFAで1.5 時間処理し、その他の実施例に記載のように清浄にし、その後、最後の精製を分取 HPLC (移動相: 水中22% CH3CN + 0.1% TFA)により行った。
【0049】
分析 RP-HPLC: (水中23% CH3CN + 0.1% TFA);
Rt = 10 分
【0050】
分子量 = 855
【0051】
実施例 7
c[Arg-Gly-Asp-D-Phe-Amp(CO-CH2-(OCH2CH2)8-OCH2-COOH] - ST2874の合成
150 mgの実施例 1に記載のペプチドおよび110 mgの PEG 600-COOFm (1 当量) + HOAT (1.5 当量) + DIEA (2 当量)を6 mlのDCM-DMF (2:1) の混合物に溶解し、溶液を0℃に冷却した; 1.5 当量の DCC を添加し、混合物を一晩撹拌して放置した。溶媒を蒸発させた後、残渣をフラッシュクロマトグラフィー カラム (工程 I: CHCl3-MeOH、96:4; 工程 II: CHCl3-MeOH、90:10)で精製した。フルオレニルメチルエステルの脱保護のために、36 mgのエステルを1.8 ml CHCl3に溶解し、41μl (20 当量)のピペリジンを添加し、一晩室温で放置した。溶媒を蒸発させた後、粗残渣を分取 HPLC (水中46% CH3CN + 0.1% TFA)により精製した。こうして得られた純粋な生成物をTFAに溶解し、2 時間室温で放置した。少量に減らした後、完全に脱保護された生成物を過剰のエチルエーテルを用いて沈降させた。
【0052】
分析 RP-HPLC (水中26% CH3CN + 0.1% TFA);
Rt = 7.89-15.83 分
【0053】
分子量: 1119
【0054】
実施例 8
c[Arg-Gly-Asp-D-Phe-N(カルボキシペンチレン)-Val)] ST2956 [およびアリル誘導体: ST2957] の合成
Arg(Pmc)-Gly 配列を先に記載したプロセスにしたがって固相合成により得、ビルディングブロック oNbs-N[CH2)5-COOAll]Val-OHを以下のプロセスにより導入した:
ビルディングブロック (3 当量) (合成は下記に記載 )および1-ブロモ-N,N-2-トリメチル-1-プロペニルアミン (4.5 当量)の混合物を不活性雰囲気下 (アルゴン) DCM中に溶解し、撹拌を10 分間室温で続けた。
【0055】
次いで混合物をコリジン (12 当量)を含むDCM中の樹脂に不活性雰囲気下で添加した。2 時間後(カイザー試験陰性)、樹脂をろ過し、DCM とDMFとで徹底的に洗浄し、減圧下で乾燥させた。
【0056】
2-ニトロベンゼンスルホニル (oNbs) 部分脱保護を行うために、DMF中の2-メルカプトエタノール (10 当量) + DBU (5 当量)を樹脂に添加した。30 分後、同じ試薬を再び添加し、2 時間後、切断が完了した(HPLCにより確認した)。 樹脂をろ過しDCM とDMFで洗浄した。
【0057】
次のカップリングの合成経路は同じであり、N3-D-Phe-Brを用いた。対応するαアジド酸を対応するアミノ酸から出発する「ジアゾトランスファー」反応により調製した[Alper et al 、Tetrahedron Lett. (1996)37、6029]。アジド部分をDMF中のSnCl4 (10 当量) + チオフェノール (40 当量)およびTEA (10 当量)の溶液を用いて還元した。かかる溶液を DMF中の樹脂に添加し、撹拌しながら1時間放置した。次いでその結果得られた懸濁液を2N NaOHで5 分間処理し、ろ過し、水、DMF、MeOH、DMFおよびDCMで洗浄した。
【0058】
次いでAsp 縮合、その後のFmoc 基の脱保護、樹脂の切断およびペプチドの閉環のための条件はペプチド化学合成に一般に用いられているものとした。
【0059】
原料をフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。
【0060】
得られたペプチドをまずPd (Ph3P)4 次いでTFAを用いて一つ一つ脱保護した。
【0061】
最終生成物をTFA/ジエチルエーテルでの沈降により精製した。
【0062】
実施例 8a
oNbs-[N(CH2)5-COOAll]-Val-OH ビルディングブロック合成
ヒドロキシ酸 HO-(CH2)5COOHおよび無水 エタノールの溶液に、Cs2CO3 (1 当量)を添加した。混合物を完全に塩が溶解するまで (約 40 分間)撹拌して放置した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を白色固体結晶が得られるまでベンゼンにより乾燥させた。DMFに溶解したその固体に、アリルブロミド (11 当量)を添加し、撹拌しながら2 時間放置した。さらに アリルブロミド(11 当量)を添加し、室温で一晩撹拌して放置した。原料をフラッシュクロマトグラフィー (ヘキサン/AcOEt、1:1)により精製した。収率70%
【0063】
THF中のoNbs-Val-OtBuの溶液に、10℃で、ヒドロキシエステル (1.05 当量)およびトリフェニルホスフィン (1.5 当量)を添加した。-20℃で、4.08 mlの DEAD (トルエン中40%)を添加した。室温で48 時間撹拌した後、溶媒を蒸発させ、原料を分取 RP-HPLC(CH3CN/H2O/TFA: 75 -25 - 0.1)により精製した。収率70%
【0064】
tert-ブチル(butilic)エステルのTFAでの最終的な脱保護の後、所望のビルディングブロックを得た。
【0065】
実施例 9
c[Arg-Gly-Asp-D-Phe-Amp(CO-CH2-(OCH2CH2)3-OCH3)] - ST2597の合成
このペプチドは実施例 1に記載のように、以下のように調製した第3アミノ酸としてFmoc-Amp(CO-CH2-Teg)-OHを挿入して固相合成した:
570 mgの CH3O(CH2CH2O)3-CH2-COOH、473 mgの 2,3,4,5-ペンタ-フルオロフェノール (Pfp)および207μlのピリジンを11.4 mlのDCMに溶解した。0℃に冷却したこの溶液に、637 mgのDCC を添加し、反応混合物を1.5時間撹拌しながら放置した。ろ過およびろ液の水、1 N HCl、水、5% NaHCO3 および水での洗浄後、有機溶液を乾燥させ、984 mgの粗エステルを得た。
【0066】
15 mlの DCM中の500 mgのFmoc-アミノメチルフェニルアラニン.TFA 塩の懸濁液に、260 μlのTEA、次いで800 mgの活性化エステルを添加し、混合物を3時間撹拌しながら放置した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、純粋なビルディングブロックを得た。
【0067】
最終的な環状ペプチドを常法により精製し、分取HPLC (水中27% CH3CN + 1% TFA)により単離した。Rt= 12.7 分
【0068】
分子量 = 855
【0069】
実施例 10
生物学的結果
インテグリン αvβ3 受容体への結合
精製した αvβ3 受容体 (Chemicon、カタログ番号CC1020)をバッファー (20 mM Tris、pH 7.4、150 mM NaCl、2 mM CaCl2、1 mM MgCl2、1 mM MnCl2)に希釈して濃度0.5μg/mlとした。100 μlのアリコットを96-ウェルプレートに添加し、一晩+4℃でインキュベートした。プレートを1回バッファー (50 mM Tris、pH 7,4、100 mM NaCl、2 mM CaCl2、1 mM MgCl2、1 mM MnCl2、1% ウシ血清アルブミン)で洗浄し、次いでさらに2 時間室温でインキュベートした。プレートを同じバッファーで2回洗浄し、3 時間 室温で放射性リガンド [125I]エキスタチン0.05 nM(Amersham Pharmacia Biotech)とともに競合リガンドの存在下でインキュベートした。インキュベーションの最後に、ウェルを洗浄し、放射能をガンマカウンター (Packard)を用いて測定した。リガンドの非特異的結合は過剰の非放射性エキスタチン(1 μM)の存在下で測定した。
【0070】
インテグリン αvβ5 受容体への結合
精製した αvβ5 受容体 (Chemicon、カタログ番号CC1020)をバッファー (20 mM Tris、pH 7.4、150 mM NaCl、2 mM CaCl2、1 mM MgCl2、1 mM MnCl2)に希釈して濃度1 μg/mlとした。100 μlのアリコットを96-ウェルプレートに添加し、一晩+4℃でインキュベートした。プレートを1回バッファー (50 mM Tris、pH 7.4、100 mM NaCl、2 mM CaCl2、1 mM MgCl2、1 mM MnCl2、1% ウシ血清アルブミン) で洗浄し、次いでさらに2 時間 室温でインキュベートした。プレートを同じバッファーで2回洗浄し、 3 時間室温で放射性リガンド [125I]エキスタチン0.15 nM (Amersham Pharmacia Biotech) とともに競合リガンドの存在下でインキュベートした。インキュベーションの最後に、ウェルを洗浄し、放射能をガンマカウンター (Packard) を用いて測定した。非特異的リガンド結合は過剰の非放射性エキスタチン(1 μM) の存在下で測定した。
【0071】
IC50 パラメーターの評価
ビトロネクチン受容体に対する生成物の親和性を、IC50 値 ±SD、即ち、特異的放射性リガンド-受容体結合の50%を阻害することが出来る濃度として表した。IC50 パラメーターは「ALLFIT」 ソフトウェアを用いて算出した。
【0072】
結果
調べたすべてのRGD ペプチドはαvβ3およびαvβ5 インテグリン受容体に対する有意な親和性を示し、そのIC50 値はナノモルのオーダーであった。特に、エキスタチンのαvβ3 インテグリンへの結合の阻害においてもっとも活性が高かったのはST2581 (IC50 = 1.7 nM)、次いで生成物ST2661およびST2700 (IC50 = 4および 7 nM)であり、αvβ5 インテグリン受容体に対してもっとも活性が高かったのは生成物 ST2650 (IC50 = 0.17 nM)、次いで分子ST2661 およびST2700(それぞれIC50 = 0.35および0.99 nM)であった。
【0073】
インテグリンの主な機能は、細胞間隙および基底膜におけるECM タンパク質への細胞の接着を媒介することであるが、インテグリンは細胞遊走および生存を促進する細胞内シグナルも伝達する。インテグリンは固有の酵素活性を有さないが、多価細胞外マトリックス (ECM)タンパク質と相互作用した後に局所接着複合体においてキナーゼおよびアダプタータンパク質と共にクラスター形成することによってシグナル伝達経路を活性化する。例えば、インテグリン連結は、アポトーシスの抑制因子の活性化およびインヒビチンカスパーゼ活性化によりアポトーシスを抑制する。インテグリンはまた、Rho およびRac GTPase (グアノシントリホスファターゼ)の活性化およびアクチンフィラメントの膜への固着によって、細胞遊走を刺激する。これら接着タンパク質はサイクリンの発現を刺激することによって、細胞周期へ突入することを促進する。インテグリン連結は、それゆえ、細胞増殖、生存および遊走を促進するシグナル伝達カスケードを支持する。対照的に、細胞インテグリン-リガンド相互作用の阻害は、細胞遊走および増殖を阻害し、アポトーシスを誘導する(Jin H. and Varner J. 2004 Br. J. Cancer 90、561-565)。
【0074】
表 1
ビトロネクチン αvβ3およびαvβ5 受容体に対するRGD ペプチドの親和性
【表1】

【0075】
ビトロネクチンに対する腫瘍細胞の接着アッセイ
A2780 ヒト卵巣癌およびPC3 前立腺癌細胞を、10% 胎児ウシ血清および50 μg/ml ゲンタマイシンスルファートを含むRPMI 1640中で培養した。A498 ヒト 腎臓癌を10% 胎児ウシ血清および50 μg/ml ゲンタマイシンスルファートを含むEMEM中で培養した。すべての細胞を飽和湿度および95% 空気および 5% CO2の雰囲気にて37℃インキュベーター中で維持した。
【0076】
A2780 細胞株は高レベルのαvβ5 インテグリンを、A498は高レベルの αvβ3 インテグリンを、そしてPC3は低レベルの両インテグリンを発現した。
【0077】
薬物の細胞接着に対する効果を試験するために、各腫瘍細胞株について適当な細胞密度 (40000-50000 細胞/ウェル)を、ビトロネクチン (5 μg/ml)で被覆した96-ウェル組織培養プレート中で様々な濃度の化合物とともにインキュベートし、3 時間接着させた。この時間の後、細胞を Ca2+ および Mg2+を含むPBSで1回洗浄した。腫瘍細胞を4% パラホルムアルデヒドで10 分室温で固定し、1% トルイジンブルーで10 分 室温で染色した。腫瘍細胞を二回蒸留水で洗浄し、乾燥させ、1% SDSで可溶化した。接着細胞の数をマイクロプレートリーダー (Victor2、EG&G Wallac)にて600 nmで測定した。
【0078】
分子の、腫瘍細胞のビトロネクチンへの接着の阻害効果を測定するためのパラメーターとしてのIC50 値を「ALLFIT」コンピュータプログラムを用いて評価した。本発明による被験化合物により得られた結果を表 2に報告する。
【0079】
表 2
接着アッセイ
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式Iを有する環状ペプチド、そのラセミ混合物、その単一エナンチオマー、その単一ジアステレオアイソマーおよびその医薬上許容される塩:
c(R1-Arg-Gly-Asp-R2)
(式I)
[式中:
- cは環状を意味する;
- R1は、一般式: -NX-CY(Z)-CO-を有するアミノ酸;ここで、
- X は以下からなる群から選択される: H、直鎖状または分枝状 C1-C6 アルキル、C6-C10 アリール、ベンジル、(CH2)n-COR、(CH2)n-NHR'、4-COR-ベンジル、4-(CH2-NHR')-ベンジル;ここで、nは1〜5の整数;
- Y は以下からなる群から選択される: H、CHmFm';ここで、m + m' = 3、ここで、mおよびm'は0〜3の整数;
- Z は以下からなる群から選択される: H、直鎖状または分枝状 C1-C6 アルキル、C6-C10 アリール、(CH2)n1-COR、(CH2)n1-NHR'、4-NHR'-(CH2)n1-ベンジル、4-COR-ベンジル、ここで、n1 は0〜5の整数;
- R は以下からなる群から選択される: W、OW、N[CH2-CO-NH-CH2-O-(CH2CH2O)n2-CH2-COOW]2、NH-CH2-O-(CH2CH2O)n2-CH2-COOW、NW-(CH2-CH2NH)n2-CH2-CH2NHW;ここで、n2は1〜22の整数;
そして、
- W は以下からなる群から選択される: H、C1-C3 アルキル;
- R' は以下からなる群から選択される: H、CO-(CH2)n2-COOW、CO-CH2-O-(CH2CH2O)n2-CH2-NHWCO-CH2-O-(CH2CH2O)n2-CH2-COOW; ここで、n2 は上記の意味を有する;そして、
- R2 は以下からなる群から選択される: D-Phe、D-Tyr、D-Trp、D-2-ナフチル-Ala、D-4-tert-ブチル-Phe、D-4,41-ビフェニル-Ala、D-4-CF3-Phe、D-4-アセチルアミン-Phe]。
【請求項2】
以下からなる群から選択される請求項1の化合物:
c(Arg-Gly-Asp-D-Phe-Amp);
c[Arg-Gly-Asp-D-Phe-Aad);
c(Arg-Gly-Asp-D-Phe-N-Me-Amp);
c[Arg-Gly-Asp-D.Phe-Amp-CO(CH2)2COOH];
c(Arg-Gly-Asp-D-Phe-N-Amb-Gly);
c[Arg-Gly-Asp-D-Phe-Amp-(CO-CH2-(O-CH2-CH2)2-O-CH2-COOH];
c[Arg-Gly-Asp-D-Phe-Amp-(CO-CH2-(OCH2CH2)8-OCH2-COOH];
c[Arg-Gly-Asp-D-Phe-N(カルボキシペンチレン)-Val)];
c[Arg-Gly-Asp-D-Phe-N(アリルオキシカルボニルペンチレン)-Val];および、
c[Arg-Gly-Asp-D-Phe-Amp(CO-CH2-(OCH2-CH2)3OCH3)]。
【請求項3】
直鎖状ペプチドの合成およびその後のその閉環を含む、請求項 1-2の化合物の調製方法。
【請求項4】
ペプチドの合成を固相または溶液において行う、請求項 3の方法。
【請求項5】
請求項 1-2の化合物の医薬の調製のための使用。
【請求項6】
請求項1または2の少なくとも1つの化合物を、少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤または媒体と混合して含む、医薬組成物。
【請求項7】
抗癌薬、抗寄生虫薬または抗ウイルス薬からなる群から選択される薬物を、別々の形態または単一用量形態にてさらに含む、請求項 6の組成物。
【請求項8】
インテグリン受容体阻害活性を有する医薬の調製のための請求項 1-2の化合物の使用。
【請求項9】
該医薬が、異常な血管新生に起因する疾患の治療に有用である、請求項 8の使用。
【請求項10】
該疾患が以下からなる群から選択される請求項 9の使用:天然および誘発的にインテグリンを過剰発現する腫瘍、炎症性形態(例えば、関節リウマチ)、眼疾患、網膜症、急性腎不全、骨粗鬆症および転移、心血管疾患(脳卒中および心臓障害)。
【請求項11】
インテグリン阻害により抗寄生虫活性を有する医薬の調製のための請求項 1-2の化合物の使用。
【請求項12】
請求項 1または2のいずれかの化合物の放射標識化誘導体を含む組成物。
【請求項13】
請求項 1または2のいずれかの化合物の放射標識化誘導体の診断薬の調製のための使用。
【請求項14】
該診断薬が小さい腫瘤または動脈閉塞の発症の検出に用いられる請求項13の使用。

【公表番号】特表2008−500971(P2008−500971A)
【公表日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−512736(P2007−512736)
【出願日】平成17年5月4日(2005.5.4)
【国際出願番号】PCT/IT2005/000262
【国際公開番号】WO2005/111064
【国際公開日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(591043248)シグマ−タウ・インドゥストリエ・ファルマチェウチケ・リウニテ・ソシエタ・ペル・アチオニ (92)
【氏名又は名称原語表記】SIGMA−TAU INDUSTRIE FARMACEUTICHE RIUNITE SOCIETA PER AZIONI
【Fターム(参考)】