説明

抗うつ剤

【課題】 副作用の危険が少ない安全な抗うつ剤及びそれを含む飲食品、医薬品、香料組成物を提供することである。
【解決手段】 トゥルーラベンダー(Lavandula angustifolia)、スパイクラベンダー(Lavandula latifolia)、ラバンジン(Lavandula ×intermedia)及びオレガノ(Origanum
vulgare)からなる植物群より選ばれる少なくとも1種の抽出物、又は該植物抽出物を分画して得られる分画物を有効成分として含有する抗うつ剤及びそれを含む飲食品、医薬品、香料組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗うつ剤及びそれを含有する飲食品、医薬品、香料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
うつ病は、抑うつ気分や不安・焦燥、精神活動の低下、食欲低下、不眠症などを特徴とする比較的罹患率の高い精神疾患であり、国内の調査では12ヶ月有病率は2.2%、生涯有病率は6.5%に達している。
【0003】
うつ病による社会的な損失は極めて大きく、職場の長期休職者の大半はうつによるものであり、仕事ができなくなる病の筆頭となっている。また、うつ病から自殺に至ることも多く、毎年3万人を越える自殺者数の少なくとも半数はその直前にうつ状態にあるといわれており、大きな社会問題となっている。
【0004】
現在、うつ病の治療薬としては、合成医薬品である三環系抗うつ薬や選択的セロトニン再取り込み阻害薬などが使用されている。しかし、これらの合成抗うつ薬を服用している患者には、しばしばせん妄や妄想等の精神病症状、ショック症状、躁転等の副作用があらわれることが問題視されている。
【0005】
また、上記合成抗うつ薬の他に、ハーブの一種であるセントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ;Hypericum perforatum)の抽出物が軽症又は中等症のうつ病の治療に利用されている。セントジョーンズワートは合成薬に比べると副作用の危険は少ないが、それでも不眠、落ち着きのなさ、不安、動揺、いらつき、胃腸の不快感、疲労感、口渇、めまい、頭痛、皮膚のかゆみなどの副作用が報告されている。
【0006】
さらに、セントジョーンズワート抽出物以外にも植物抽出物又はその成分を利用した抗うつ剤が提案されている。
例えば、フラボノイド化合物を4%以上含む羅布麻(ラフマ)抽出物を含有する抗うつ剤(特許文献1)、シソ等のロズマリン酸含有植物に含まれるロズマリン酸を有効性分として含有する抗うつ剤(特許文献2)、ラズベリー、マジョラム、アムラの少なくとも1種類の植物体もしくはそのエキスを有効成分として含有する抗うつ剤(特許文献3)、イチョウ葉抽出物を含有する抗うつ剤(特許文献4)などが提案されている。しかし、これら植物抽出物又はその成分を利用した抗うつ剤は、効果の点では必ずしも十分とは言えなかった。
【0007】
また、上記に加えて、既存の合成抗うつ薬やセントジョーンズワートなどの植物抽出物は、臨床において、短期投与(急性投与)では効果がなく、二週間以上の長期投与(慢性投与)の後でなければ効果が見られないという欠点があった。
【0008】
臨床における既存の合成抗うつ薬の効果が短期投与では見られない原因については、海馬における脳由来神経栄養因子(Brain-derived neurotrophic factor、BDNF)の発現が関係すると考えられている。
【0009】
BDNFは、119個のアミノ酸で構成され3個のジスルフィド結合を持つタンパク質であり、脳内の神経細胞の分化、生存維持、シナプス可塑性などに重要な役割を果たしている。また、ヒト、マウス、ブタなどの哺乳動物間でBDNFのアミノ酸一次構造は完全に同一である。近年、うつ病の発症誘因であるストレスによりラット海馬のBDNF発現が減少すること(非特許文献1、2)、また、うつ病の治療法として用いられる抗うつ薬の長
期投与や電気痙攣刺激によって、ストレスにより減少したラット海馬のBDNF発現が改善すること(非特許文献2)など、うつ病の発症と抗うつ薬の作用機序におけるBDNFの関与を示唆する知見が蓄積され、BDNFは抗うつ薬の標的物質と考えられるようになった。
【0010】
しかし、既存の抗うつ薬は、短期投与ではBDNFの発現を亢進しないことが動物実験で確かめられており(非特許文献2)、このことが、臨床における抗うつ薬の効果が長期投与後でなければ見られない原因と考えられている。ここのような背景から、短期投与においてもBDNFの発現を亢進する抗うつ剤の開発が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2002−201139号公報
【特許文献2】特開2002−275061号公報
【特許文献3】特表2006−213608号公報
【特許文献4】特開2007−99660号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Smith et al.,J.Neurosci.,15,1766-1777(1995)
【非特許文献2】Nibuya et al.,J.Neurosci.,15,7539-7547(1995)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明が解決しようとしている課題は、うつ病の予防又は改善に有効であって、副作用の心配がなく、安心して摂り続けることのできる抗うつ剤及びそれを含む飲食品、医薬品、香料組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、トゥルーラベンダー(Lavandula angustifolia)、スパイクラベンダー(Lavandula latifolia)、ラバンジン(Lavandula ×intermedia)及びオレガノ(Origanum vulgare)の抽出物並びに該植物抽出物を分画して得られる分画物に抗うつ作用があること、また、上記植物抽出物及び分画物は、短期投与において海馬における脳由来神経栄養因子(BDNF)を増加させる作用があることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明は、
(1)トゥルーラベンダー(Lavandula angustifolia)、スパイクラベンダー(Lavandula latifolia)、ラバンジン(Lavandula ×intermedia)及びオレガノ(Origanum vulgare)からなる植物群より選ばれる少なくとも1種を有効成分として含有する抗うつ剤、
(2)トゥルーラベンダー(Lavandula angustifolia)、スパイクラベンダー(Lavandula latifolia)、ラバンジン(Lavandula ×intermedia)及びオレガノ(Origanum vulgare)からなる植物群より選ばれる少なくとも1種の抽出物を有効成分として含有する抗うつ剤、
(3)トゥルーラベンダー(Lavandula angustifolia)、スパイクラベンダー(Lavandula latifolia)、ラバンジン(Lavandula ×intermedia)及びオレガノ(Origanum vulgare)からなる植物群より選ばれる少なくとも1種の抽出物を分画して得られる分画物を有効成分として含有する抗うつ剤、
(4)哺乳動物の海馬における脳由来神経栄養因子の増加作用を有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかの項に記載の抗うつ剤、に関する。
【0016】
さらに、本発明は、
(5)前記(1)〜(4)のいずれかの項に記載の抗うつ剤を含有することを特徴とする抗うつ用飲食品、
(6)前記(1)〜(4)のいずれかの項に記載の抗うつ剤を含有することを特徴とする抗うつ用医薬品、及び
(7)前記(1)〜(4)のいずれかの項に記載の抗うつ剤を含有することを特徴とする抗うつ用香料組成物、に関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の抗うつ剤は、合成抗うつ薬と比べ副作用の心配がなく安全であり、従来の植物抽出物又はその成分を利用した抗うつ剤よりも優れた抗うつ作用を有している。また、本発明の抗うつ剤は、従来の合成抗うつ薬や植物抽出物又はその成分を利用した抗つう剤と異なり、短期投与において海馬の脳由来神経栄養因子(BDNF)を増加する作用があり、短期投与による抗うつ作用が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】製造例1の抗うつ剤の紫外線吸収スペクトル
【図2】製造例2の抗うつ剤の紫外線吸収スペクトル
【図3】製造例3の抗うつ剤の紫外線吸収スペクトル
【図4】製造例1及び3の抗うつ剤並びにイミプラミン(比較例1)及びロズマリン酸(比較例2)の経口投与が、ラット強制水泳試験における無動時間に及ぼす影響を示したグラフ
【図5】製造例1及び3の抗うつ剤並びにイミプラミン(比較例1)及びロズマリン酸(比較例2)の経口投与が、ラットの自発運動量に及ぼす影響を示したグラフ
【図6】製造例1及び3の抗うつ剤並びにイミプラミン(比較例1)及びロズマリン酸(比較例2)の経口投与が、強制水泳試験後のラット海馬における脳由来神経栄養因子(BDNF)の濃度に及ぼす影響を示したグラフ
【発明を実施するための形態】
【0019】
(1)抗うつ剤
本発明の抗うつ剤は、シソ科植物であるトゥルーラベンダー(Lavandula angustifolia)、スパイクラベンダー(Lavandula latifolia)、ラバンジン(Lavandula ×intermedia)及びオレガノ(Origanum vulgare)からなる群より選ばれる少なくとも1種を原料として使用する。
【0020】
上記各原料の地上部(花、葉、茎など)をそのまま用いても良く、これらを乾燥した乾燥体、もしくは乾燥後粉砕した粉末を用いることもできる。また、これらを溶媒抽出、圧搾、酵素分解、超臨界抽出、濃縮、希釈、固液分離、精製等の公知の技術を単独あるいは組み合わせて得られるエキスあるいは粉末であってもよい。
【0021】
このとき、好ましい方法としては溶媒抽出が挙げられる。用いられる溶媒としては、例えば水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、酢酸、酢酸エチル、エーテル、へキサン等及びこれらの混合溶媒が挙げられ、これらのうち水、エタノール及びエタノール水溶液(エタノール濃度が10〜90質量%、好ましくは30〜70質量%)が特に好ましい。
【0022】
用いる溶媒の量は特に限定されるものではないが、通常は植物の乾燥体1質量部に対して0.5〜50質量部、好ましくは1.0〜30質量部、特に好ましくは5.0〜20質量部で用いられる。溶媒量が植物の乾燥体1質量部に対して0.5質量部未満の場合は、溶
媒の種類によっては抽出が十分でない場合があり、一方、溶媒量が50質量部を超える場合は経済的に有利でない場合がある。
【0023】
抽出方法としては、植物をそのまま又は粉砕物を適当な抽出溶媒に浸漬する方法、加温下(常温〜溶媒の沸点の範囲)攪拌する方法等によって得ることが出来る。例えば、植物の粉砕物を室温下の50質量%エタノール中で10〜60分間攪拌して抽出物を得る方法や、植物の粉砕物を100℃加熱還流下の水中で30〜60分間攪拌して抽出物を得る方法などが挙げられる。
【0024】
上記抽出操作で得られた抽出物は、香気成分を除去してもよい。抽出物から香気成分を除去する方法としては、溶媒抽出を行う方法(例えば米国特許第3950266号明細書)、超臨界二酸化炭素を用いる方法(例えば特開平3−9985号公報)、合成吸着樹脂を用いる方法(例えば特開2003−105337号公報3)、などを単独あるいは適宜組み合わせて用いることができる。
【0025】
また、上記の抽出方法で得られた抽出物をさらに分画して得られる分画物であっても良い。
分画方法は、特に、合成吸着剤による分画が好ましい。合成吸着剤による分画は、通常行われている方法で行えば良く、例えば、カラムに充填された合成吸着剤に前記抽出物を含む溶液を一定流量で接触させる方法や、釜に仕込んだ該抽出物含有液に合成吸着剤を投入し、一定時間撹拌後に合成吸着剤を分離する方法がある。その方法に格別の制約はなく、目的により選択することができる。
【0026】
合成吸着剤に吸着した成分は、種々の有機溶媒、例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトン等の有機溶媒、又は必要に応じてこれらの水溶液で溶出させることが出来る。溶出に用いる溶媒は人体への安全性と取扱性の観点からエタノール又はその10〜90質量%水溶液が最も望ましい。
【0027】
使用する合成吸着剤は、一般に不溶性の三次元架橋構造ポリマーであってイオン交換基のような官能基を実質的に持たないものであり、例えば、その母体がスチレン系である「アンバーライト(登録商標)XAD−16」(オルガノ株式会社製)、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体系である「セパビーズSP70(商品名)」(三菱化学株式会社製)あるいは「ダイヤイオンHP20(商品名)」(三菱化学株式会社製)等が使用できるが、これらに限るものではない。
【0028】
(2)抗うつ剤含有組成物
本発明の抗うつ剤においては、飲食品用又は医薬用として通常用いられている他の任意成分を含有させて、抗うつ剤含有組成物とすることができる。
用いられる任意成分としては、例えば甘味料、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、苦味料、酸味料、乳化剤、強化剤、製造用剤、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、可塑剤及び香料などであり、これらを添加して各種製剤・剤型として用いることもできる。
【0029】
本発明で更に用いることのできる香料としては、例えばアセト酢酸エチル、アセトフェノン、アニスアルデヒド、α−アミルシンナムサルデヒド、アントラニル酸メチル、イオノン、イソオイゲノール、イソ吉草酸イソアミル、イソ吉草酸エチル、イソチオシアン酸アリル、イソチオシアン酸3−ブテニル、
【0030】
イソチオシアン酸4−ペンテニル、イソチオシアン酸ベンジル、イソチオシアン酸3−メチルチオプロピル、イソチオシアネート類、インドール及びその誘導体、γ−ウンデカラクトン、エステル類、エチルバニリン、エーテル類、オイゲノール、オクタノール、オクタナール、オクタン酸エチル、ギ酸イソアミル、ギ酸ゲラニル、ギ酸シトロネリル、ケイ皮酸、ケイ皮酸エチル、ケイ皮酸メチル、ケトン類、ゲラニオール、酢酸イソアミル、酢酸エチル、酢酸ゲラニル、酢酸シクロヘキシル、酢酸シトロネリル、酢酸シンナミル、酢酸テルピニル、酢酸フェネチル、酢酸ブチル、酢酸ベンジル、酢酸l−メンチル、
【0031】
酢酸リナリル、サリチル酸メチル、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、シトラール、シトロネラール、シトロネロール、1,8−シネオール、脂肪酸類、脂肪族高級アルコール類、脂肪族高級アルデヒド類、脂肪族高級炭化水素類、シンナミルアルコール、シンナムアルデヒド、チオエーテル類、チオール類、デカナール、デカノール、デカン酸エチル、テルピネオール、リモネン、ピネン、ミルセン、タピノーレン、テルペン系炭化水素類、γ−ノナラクトン、バニリン、パラメチルアセトフェノン、ヒドロキシシトロネラール、ヒドロキシシトロネラールジメチルアセタール、ピペロナール、フェニル酢酸イソアミル、フェニル酢酸イソブチル、フェニル酢酸エチル、フェノールエーテル類、
【0032】
フェノール類、フルフラール及びその誘導体、プロピオン酸、プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ベンジル、ヘキサン酸、ヘキサン酸アリル、ヘキサン酸エチル、ヘプタン酸エチル、l−ペリラアルデヒド、ベンジルアルコール、ベンズアルデヒド、芳香族アルコール類、芳香族アルデヒド類、d−ボルネオール、マルトール、N−メチルアントラニル酸メチル、メチルβ−ナフチルケトン、dl−メントール、酪酸、酪酸イソアミル、酪酸エチル、酪酸シクロヘキシル、酪酸ブチル、ラクトン類、リナロオール等の合成或いは天然由来の香料の他、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツなどシトラス系精油類、アップル、バナナ、グレープ、メロン、ピーチ、パイナップル、ストロベリーなどフルーツ系の精油或いは回収フレーバー、
【0033】
ミルク、クリーム、バター、チーズ、ヨーグルトなど乳系の抽出香料、緑茶、ウーロン茶、紅茶、コーヒー、ココアなど嗜好品系の回収フレーバー、アサノミ、アサフェチダ、アジョワン、アニス、アンゼリカ、ウイキョウ、ウコン、オレガノ、オールスパイス、オレンジノピール、カショウ、カッシア、カモミール、カラシナ、カルダモン、カレーリーフ、カンゾウ、キャラウェー、クチナシ、クミン、クレソン、クローブ、ケシノミ、ケーパー、コショウ、ゴマ、コリアンダー、サッサフラス、サフラン、サボリー、サルビア、サンショウ、
【0034】
シナモン、シャロット、ジュニパーベリー、ショウガ、スターアニス、セイヨウワサビ、セロリー、ソーレル、タイム、タマネギ、タマリンド、タラゴン、チャイブ、ディル、トウガラシ、ナツメグ、ニガヨモギ、ニジェラ、ニンジン、ニンニク、バジル、パセリ、バニラ、パプリカ、ヒソップ、フェネグリーク、ホースラディッシュ、マジョラム、ミョウガ、ラベンダー、リンデン、レモングラス、レモンバーム、ローズ、ローズマリー、ローレル、ワサビなどから得られる香辛料抽出物、アイスランドモス、アカヤジオウ、アケビ、アサ、
【0035】
アサフェチダ、アジアンタム、アジョワン、アズキ、アスパラサスリネアリス、アップルミント、アーティチョーク、アニス、アボカド、アマチャ、アマチャズル、アミガサユリ、アミリス、アーモンド、アリタソウ、アルカンナ、アルテミシア、アルニカ、アルファルファ、アロエ、アンゴスツラ、アンゴラウィード、アンズ、アンズタケ、アンゼリカ、アンバー、アンバーグリス、アンブレット、イカ、イカリソウ、イグサ、イースト、イタドリ、イチゴ、イチジク、イチョウ、イノコヅチ、イランイラン、イワオウギ、インペラトリア、インモルテル、ウィンターグリーン、ウォータークレス、ウコギ、ウコン、ウスバサイシン、ウッドラフ、ウニ、ウメ、ウーロンチャ、エゴマ、エノキダケ、エビ、エビスグサ、エリゲロン、エルダー、エレウテロコック、エレカンペン、エレミ、エンゴサク
、エンジュ、エンダイブ、欧州アザミ、オウレン、
【0036】
オオバコ、オカゼリ、オキアミ、オーク、オークモス、オケラ、オスマンサス、オポポナックス、オミナエシ、オモダカ、オランダセンニチ、オリガナム、オリス、オリバナム、オリーブ、オールスパイス、オレンジ、オレンジフラワー、カイ、カイニンソウ、カカオ、カキ、カサイ、カシューナッツ、カスカラ、カスカリラ、カストリウム、カタクリ、カツオブシ、カッシー、カッシャフィスチュラ、カテキュ、カニ、カーネーション、カノコソウ、カモミル、
【0037】
カヤプテ、カラシ、カラスウリ、カラスビシャク、ガラナ、カラムス、ガランガ、カーラント、カリッサ、カリン、カルダモン、ガルバナム、カレー、カワミドリ、カンゾウ、ガンビア、カンラン、キウィーフルーツ、キカイガラタケ、キキョウ、キク、キクラゲ、キササゲ、ギシギシ、キダチアロエ、キナ、キハダ、ギボウシ、ギムネマシルベスタ、キャットニップ、キャラウェイ、キャロップ、キュウリ、キラヤ、キンミズヒキ、グァバ、グァヤク、クコ、クサスギカズラ、クサボケ、クズ、クスノキ、クスノハガシワ、グーズベリー、
【0038】
クチナシ、クベバ、クマコケモモ、グミ、クミン、グラウンドアイビー、クララ、クラリセージ、クランベリー、クリ、クルミ、クリーム、グレインオブパラダイス、クレタディタニー、グレープフルーツ、クローバー、クローブ、クロモジ、クロレラ、クワ、クワッシャ、ケイパー、ゲットウ、ケード、ケブラコ、ゲルマンダー、ケンチュール、ケンポナシ、ゲンノショウコ、コウジ、コウダケ、コウチャ、コウホネ、コカ、コガネバナ、コクトウ、コクルイ、ココナッツ、ゴシュユ、コショウ、コスタス、コストマリー、コパイパ、コーヒー、コブシ、ゴボウ、ゴマ、コーラ、コリアンダー、コルツフート、ゴールデンロッド、コロンボ、コンサイ、コンズランゴ、コンフリー、サイプレス、
【0039】
魚、サクラ、サクランボ、ザクロ、サケカス、ササ、ササクサ、サーチ、サッサフラス、サフラン、サポジラ、サボテン、サラシナショウマ、サルサパリラ、サルシファイ、サルノコシカケ、サンザシ、サンシュユ、サンショウ、サンタハーブ、サンダラック、サンダルウッド、サンダルレッド、シイタケ、ジェネ、シダー、シトラス、シトロネラ、シヌス、シベット、シマルーバ、シメジ、シャクヤク、ジャスミン、ジャノヒゲ、ジャボランジ、シャロット、シュクシャ、ジュニパーベリー、ショウガ、ショウユ、ショウユカス、ジョウリュウシュ、ショウロ、シロタモギタケ、ジンセン、シンナモン、酢、スイカ、スイセン、スギ、スターアニス、スターフルーツ、スチラックス、スッポン、スッポンタケ、ズドラベッツ、スネークルート、スパイクナード、スプルース、
【0040】
スベリヒユ、スローベリー、セイボリー、セキショウ、セージ、ゼドアリー、セネガ、ゼラニウム、セロリー、センキュウ、センタウリア、センゲン、セントジョーンズウォルト、センナ、ソース、ダイオウ、ダイズ、タイム、タケノコ、タコ、タデ、ダバナ、タマゴ、タマゴタケ、タマネギ、タマリンド、ダミアナ、タモギタケ、タラゴン、タラノキ、タンジー、タンジェリン、タンポポ、チェリモラ、チェリーローレル、チェリーワイルド、チガヤ、チコリ、チーズ、チチタケ、チャイブ、チャービル、チャンパカ、チュベローズ、チョウセンゴミシ、チラータ、ツクシ、ツケモノ、ツタ、ツバキ、ツユクサ、ツリガネニンジン、ツルドクダミ、ディアタング、ティスル、ディタニー、ディル、
【0041】
デーツ、テンダイウヤク、テンマ、トウガラシ、トウキ、ドウショクブツタンパクシツ、ドウショクブツユ、トウミツ、トウモロコシ、ドクダミ、トチュウ、ドッググラス、トマト、ドラゴンブラッド、ドリアン、トリュフ、トルーバルサム、トンカ、ナギナタコウジュ、ナシ、ナスターシャム、ナッツ、ナットウ、ナツメ、ナツメグ、ナデシコ、ナメコ、ナラタケ、ニアウリ、ニュウサンキンバイヨウエキ、ニンジン、シンニク、ネズミモチ、
ネットル、ネムノキ、ノットグラス、バイオレット、パイナップル、ハイビスカス、麦芽、ハコベ、バジル、ハス、ハスカップ、パースカップ、パセリ、バター、バターオイル、バターミルク、バーチ、ハチミツ、パチュリー、バックビーン、ハッコウシュ、ハッコウニュウ、ハッコウミエキ、パッションフルーツ、ハツタケ、バッファローベリー、ハトムギ、ハナスゲ、バナナ、バニラ、ハネーサックル、
【0042】
パパイヤ、バーベリー、ハマゴウ、ハマスゲ、ハマナス、ハマボウフウ、ハマメリス、バラ、パルマローザ、パンダナ、バンレイシ、ヒキオコシ、ヒシ、ピスタチオ、ヒソップ、ヒッコリー、ピーナッツ、ヒノキ、ヒバ、ピプシシワ、ヒメハギ、ヒヤシンス、ヒラタケ、ビワ、ビンロウ、フェイジョア、フェネグリーク、フェンネル、フジバカマ、フジモドキ、フスマ、フーゼルユ、プチグレイン、ブチュ、ブドウ、ブドウサケカス、フトモモ、ブナ、ブナハリタケ、ブラックキャラウェイ、ブラックベリー、プラム、ブリオニア、プリックリーアッシュ、プリムローズ、プルネラ、ブルーベリー、ブレッドフルーツ、
【0043】
ヘイ、ベイ、ヘーゼルナッツ、ベチバー、ベーテル、ベニバナ、ペニーロイヤル、ヘビ、ペピーノ、ペプトン、ベルガモット、ベルガモットミント、ペルーバルサム、ベルベナ、ベロニカ、ベンゾイン、ボアドローズ、ホアハウンド、ホウ、ホウキタケ、ホウショウ、ボウフウ、ホエイ、ホオノキ、ホースラディッシュ、ボタン、ホップ、ポピー、ポプラ、ポポー、ホホバ、ホヤ、ボルドー、ボロニア、マイタケ、マグウォルト、マシュマロー、マジョラム、マスティック、マソイ、マタタビ、マチコ、マツ、マツオウジ、マッシュルーム、マツタケ、マツブサ、マツホド、マテチャ、マメ、マリーゴールド、マルバダイオウ、マルメロ、マレイン、マロー、マンゴー、マンゴスチン、ミカン、ミシマサイコ、ミソ、ミツマタ、ミツロウ、ミート、ミモザ、ミョウガ、ミルク、ミルテ、ミルフォイル、ミルラ、ミロバラン、ムギチャ、ムスク、ムラサキ、メスキート、メドウスィート、メハジキ、メープル、メリッサ、メリロット、
【0044】
メロン、モウセンゴケ、モニリアバイヨウエキ、モミノキ、モモ、モロヘイヤ、ヤクチ、ヤマモモ、ユーカリ、ユキノシタ、ユズ、ユッカ、ユリ、ヨウサイ、ヨロイグサ、ライオンズフート、ライチ、ライフエバーラスティングフラワー、ライム、ライラック、ラカンカ、ラカンショウ、ラズベリー、ラタニア、ラディッシュ、ラブダナム、ラベンダー、ラングウォルト、ラングモス、
【0045】
ランブータン、リキュール、リーク、リツェア、リナロエ、リュウガン、リョウフンソウ、リョクチャ、リンゴ、リンデン、リンドウ、ルー、ルリジサ、レセダ、レモン、レモングラス、レンギョウ、レンゲ、レンブ、ローズマリー、ロベージ、ローレル、ロンゴザ、ワサビ、ワタフジウツギ、ワームウッド、ワームシード、ワラビ、ワレモコウなどから得られる天然香料が例示され、適宜選択して使用される。
【0046】
香料の添加量は特に限定されるものではないが、一般的には本発明の抗うつ剤を含む組成物中、0.0001〜50質量%、好ましくは0.001〜30質量%、最も好ましくは0.01〜10質量%の添加量となるように配合される。
本発明の抗うつ剤の使用形態は、そのまま或いは希釈した状態、乳化状態、更には粉末化した様々な製剤の形で用いることができる。
【0047】
(3)抗うつ剤を含有する飲食品
本発明に関わる抗うつ剤を含有する飲食品を製造するには、上記の方法で製造した成分またはその製剤を用いることができ、慣用の手段を用いて、食用に適した状態、例えば、顆粒状、粒状、錠剤、カプセル剤、ソフトカプセル剤、ペースト状等に形成したものを用いることができる。
【0048】
この飲食品は、そのまま食用に供してもよく、また種々の食品(例えばハム、ソーセージ、かまぼこ、ちくわ、パン、バター、粉乳、菓子など)に添加して使用、あるいは水、酒類、果汁、牛乳、清涼飲料水等の飲物に添加して使用してもよい。
【0049】
(4)抗うつ剤を含有する医薬品
本発明の抗うつ剤を医薬品として使用する場合には、そのままでも種々の投与形態で使用できるが、好ましくは錠剤、丸剤、粉剤、シロップ剤、乳剤、液剤、カプセル剤、注射剤のような製剤化した内服薬として使用する。
【0050】
本発明の抗うつ剤の摂取量は、年齢、体重、症状、疾患の程度、医薬品や飲食品の形態等により適宜選択・決定されるが、例えば、抽出、乾燥した粉末として一日当たり1mg〜10g程度、好ましくは10mg〜1gとされ、一日数回に分けて摂取してもよい。
【実施例】
【0051】
以下、実施例等を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0052】
〔製造例1〕
トゥルーラベンダーの乾燥花の粉砕品1kgに、20kgの50質量%エタノール水溶液を加えて浸漬し、室温で10分間、攪拌抽出した。
残渣を濾過除去して得られた抽出液に蒸留水を加えてエタノール濃度を30質量%に調整し、三菱化学株式会社製の合成吸着剤「セパビーズSP70(商品名)」を充填したカラム(直径135mm×長さ120cm)に導入した。
さらに30質量%エタノール水溶液をカラムに導入し、得られた溶出液を合わせて濃縮乾固し、226gの分画物を得た。
なお、分画物に香気成分は残っていない。
【0053】
得られた分画物の物性は以下の通りであった。
a)紫外線吸収スペクトル:図1に示す通りである(測定濃度200ppm、希釈溶剤:蒸留水);λmax:206nm、275nm;測定機器は、株式会社島津製作所製「分光光度計UV−2450」を使用した。
b)溶解性:水に易溶、50質量%エタノール水溶液に易溶、99.5質量%エタノールに微溶。
【0054】
〔製造例2〕
トゥルーラベンダーの乾燥花1kgを90℃の熱水20kgに浸漬し、90℃で1時間、攪拌抽出した。冷却後、残渣を濾過除去して得られた抽出液を濃縮乾固することにより292gの抽出物を得た。
なお、得られた抽出物に香気成分は残っていない。
【0055】
得られた抽出物の物性は以下の通りであった。
a)紫外線吸収スペクトル:図2に示す通りである(測定濃度200ppm、希釈溶剤:蒸留水);λmax:206nm、275nm;測定機器は、株式会社島津製作所製「分光光度計UV−2450」を使用した。
b)溶解性:水に易溶、50質量%エタノール水溶液に可溶、99.5質量%エタノールに難溶。
【0056】
〔製造例3〕
オレガノの乾燥葉の粉砕品1kgを用いて、製造例1と同様の方法で処理を行い、236gの分画物を得た。
なお、分画物に香気成分は残っていない。
【0057】
得られた抽出物の物性は以下の通りであった。
a)紫外線吸収スペクトル:図3に示す通りである(測定濃度200ppm、希釈溶剤:蒸留水);λmax:210nm、284nm、321nm;測定機器は、株式会社島津製作所製「分光光度計UV−2450」を使用した。
b)溶解性:水に易溶、50質量%エタノール水溶液に易溶、99.5質量%エタノールに微溶。
【0058】
〔製造例4〕
オレガノの乾燥葉1kgを用いて、製造例2と同様の方法で処理を行い、283gの抽出物を得た。
なお、得られた抽出物に香気成分は残っていない。
【0059】
〔製造例5〕
ラバンジンの乾燥花の粉砕品1kgを用いて、製造例1と同様の方法で処理を行い、223gの分画物を得た。
なお、分画物に香気成分は残っていない。
【0060】
〔製造例6〕
スパイクラベンダーの乾燥花1kgを用いて、製造例2と同様の方法で処理を行い、251gの抽出物を得た。
なお、得られた抽出物に香気成分は残っていない。
【0061】
〔比較例1〕
三環系の抗うつ薬であるイミプラミン塩酸塩(ナカライテスク株式会社製)を用いた。
【0062】
〔比較例2〕
特許文献2においてシソ科植物由来の抗うつ作用の有効成分として報告されているポリフェノールの一種のロズマリン酸(シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社製)を用いた。
【0063】
〔試験例1〕強制水泳試験
本発明の抗うつ剤の効果を、抗うつ薬の評価方法として一般的に使用されている強制水泳試験〔Porsolt et al.,Nature,266,730-732(1977)〕により評価した。
【0064】
ラットを逃避不可能な水槽に入れると、最初、激しい水泳行動を示すが、次第に泳ぐことを諦めて、水に浮いているだけの状態になる。この状態は、ラットが水からの逃避を放棄した一種の「絶望状態」であり、ヒトにおけるうつ状態に近いと考えられている。
本試験では、ラットが水に浮いているだけの時間(無動時間)を指標として、検体の抗うつ作用を評価する。イミプラミンなど既存の合成抗うつ薬は本試験における無動時間を短縮する。
【0065】
水槽にはアクリル樹脂製シリンダー(内径18cm×高さ40cm)を使用し、25±1℃の水を15cmの高さまで入れて試験を行った。動物はWistar系ラット(日本エスエルシー製、7週齢、雄性)を使用し、平均体重が均等になるように8匹ずつに群分けした。強制水泳試験の24時間前に、訓練試行としてラットを15分間泳がせ、水槽から逃げることができないことを予め学習させた。
【0066】
その後、強制水泳試験の1時間前に、蒸留水に溶解した製造例1及び3の抗うつ剤並び
にイミプラミン(比較例1)及びロズマリン酸(比較例2)を、それぞれラットの体重1kg当たり2000mg、1000mg、30mg及び35.7mgの用量で強制経口投与した。なお、対照群には蒸留水のみを投与した。
【0067】
投与1時間後、ラットを水槽に入れ、15秒後からの5分間における無動時間を集計した。各群の無動時間の平均値と標準誤差を算出し、対照群と各試験群の平均値の差をFisher's PLSD法による多重比較検定で解析した。
【0068】
製造例1及び3の抗うつ剤並びにイミプラミン(比較例1)及びロズマリン酸(比較例2)の経口投与が、ラット強制水泳試験における無動時間に及ぼす影響を図4に示す。
【0069】
製造例1及び3の抗うつ剤並びにイミプラミン投与群では、対照群に対して無動時間の有意な短縮が認められた。この結果から製造例1及び3の抗うつ剤は、既存の合成抗うつ薬であるイミプラミンと同程度の抗うつ作用を有する可能性が示唆された。
一方、シソの抗うつ作用の有効成分であるロズマリン酸は、報告されている最適用量(特許文献2)において無動時間の有意な変化が見られなかった。
【0070】
〔試験例2〕オープンフィールド試験
カフェインなど中枢神経興奮作用のある薬剤は、抗うつ作用は持たないが自発運動量を増加させることにより強制水泳試験における無動時間を短縮することが報告されている〔Porsolt et al.,Eur. J. Pharmacol.,47,379-91(1978)〕。そこで、本発明の抗うつ剤が、ラットの自発運動量に及ぼす影響をオープンフィールド法で調べた。
【0071】
試験例1の強制水泳試験から一週間後、各群のラットに試験例1と同じ検体を投与した。すなわち、蒸留水に溶解した製造例1及び3の抗うつ剤並びにイミプラミン(比較例1)及びロズマリン酸(比較例2)を、それぞれラットの体重1kg当たり2000mg、1000mg、30mg及び35.7mgの用量で強制経口投与した。対照群には蒸留水のみを投与した。
【0072】
投与1時間後、プラスチックの箱(70×70×40cm)の中央にラットを静かに入れ、15分間の自由行動をビデオで撮影し、画像解析により移動距離を測定した。各群の移動距離の平均値と標準誤差を算出し、対照群と各試験群の平均値の差をFisher's PLSD法による多重比較検定で解析した。
【0073】
製造例1及び3の抗うつ剤並びにイミプラミン(比較例1)及びロズマリン酸(比較例2)の経口投与が、ラットの自発運動量に及ぼす影響を図5に示す。
【0074】
製造例1の抗うつ剤及びイミプラミン投与群では、ラットの移動距離が対照群と比べて有意に減少したが、いずれの検体においてもラットの移動距離が増加することはなかった。従って、強制水泳試験(試験例1)で観測された製造例1及び3の抗うつ剤投与による無動時間の短縮は、自発運動量の増加によるものではなく、抗うつ作用によるものと考えられた。
【0075】
〔試験例3〕脳由来神経栄養因子(BDNF)の測定
試験例2のオープンフィールド試験から一週間後、試験例1と同様の方法で二回目の強制水泳試験を実施した。各群のラットには強制水泳試験の一時間前に試験例1と同じ検体を投与した。すなわち、蒸留水に溶解した製造例1及び3の抗うつ剤並びにイミプラミン(比較例1)及びロズマリン酸(比較例2)を、それぞれラットの体重1kg当たり2000mg、1000mg、30mg及び35.7mgの用量で強制経口投与した。対照群には蒸留水のみを投与した。
【0076】
強制水泳試験終了後、ラットを断頭により屠殺して海馬を素早く摘出し、海馬におけるBDNF濃度を、Millipore社製のELISA用キット 「ChemiKineTM BDNF Sandwich ELISA Kit」を用いて、添付プロトコールに従い測定した。
各群のBDNF濃度の平均値と標準誤差を算出し、対照群と各試験群の平均値の差をFisher's PLSD法による多重比較検定で解析した。
【0077】
製造例1及び3の抗うつ剤並びにイミプラミン(比較例1)及びロズマリン酸(比較例2)の経口投与が、強制水泳試験後のラット海馬におけるBDNF濃度に及ぼす影響を図6に示す。
【0078】
製造例1及び3の抗うつ剤の経口投与により、ラット海馬のBDNF濃度が対照群と比較して有意に上昇することが明らかとなった。一方、イミプラミン及びロズマリン酸は、対照群と比較してBDNF濃度に有意な差は見られなかった。
【0079】
上記の結果から本発明の抗うつ剤は、既存の合成抗うつ薬であるイミプラミンとは異なり、短期投与によりラット海馬のBDNFを増加させる作用があり、臨床において短期投与による抗うつ作用を示す可能性が示唆された。
【0080】
〔実施例1〕(混合茶飲料)
90℃の湯500mlに対して、緑茶葉1g、はとむぎ8g、大麦1g、玄米0.2g、プーアル茶0.2g、どくだみ茶0.1g、はぶ茶0.1g、チコリー0.1gを添加し、8分間抽出を行った。抽出後固液分離を行い、ビタミンC 0.1gと水を加えて10000mlとし炭酸水素ナトリウムにてpHを5.5に調整後、製造例1の抗うつ剤を0.1質量%となるように添加して、混合茶飲料を得た。
【0081】
〔実施例2〕(清涼飲料水)
バレンシアオレンジ果汁30ml、レモン果汁3ml、果糖1.5g、クエン酸0.5g、ビタミンC100mg、に製造例3の抗うつ剤100mg加え、水を加えて100mlとし、よく攪拌した後に炭酸ガスを封入し、清涼飲料水を得た。
【0082】
〔実施例3〕(チューインガム)
ガムベース50gに砂糖100g、香料0.5g、製造例2の抗うつ剤の1質量%水溶液を30g添加し、ニーダーを使用して練り、成型後完成した。
【0083】
〔実施例4〕(ビスケット)
強力粉100g、ショートニング100g、上白糖40g、薄力粉30g、水 20g、製造例4の抗うつ剤10g、全脂粉乳4g、重曹0.6gを混合し、成型したのち焼成してビスケットを得た。
【0084】
〔実施例5〕(キャンデー)
水飴280g、グラニュー糖360g、製造例5の抗うつ剤120gを混合した後、155℃まで加熱した。その後、120℃まで冷却し、クエン酸12g、香料1.2g、グリセリン50gを添加し、成型、冷却後完成した。
【0085】
〔実施例6〕(顆粒剤)
製造例6の抗うつ剤5.0gに、乳糖5.0g、トウモロコシデンプン5.0gを加えて練合し、造粒した後、乾燥して整粒した。
【0086】
〔実施例7〕(カプセル剤)
製造例1の抗うつ剤5.0g、トウモロコシデンプン5.0g、乳糖5.0g、結晶セルロース1.0gを充分に混合した後、カプセルに充填し、カプセル40個とした。
【0087】
〔実施例8〕(錠剤)
製造例3の抗うつ剤50gにトウモロコシデンプン2.0g、乳糖50g、ステアリン酸カルシウム0.2g、タルク1.8gを充分に混合した後、打錠機により打錠し、重量0.52gの錠剤を200錠製造した。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明により、副作用の心配がなく、安心して長期摂取することができる安全な抗うつ剤及びそれを含む飲食品、医薬品、香料組成物を提供することができる。従って、本発明は産業上、極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トゥルーラベンダー(Lavandula angustifolia)、スパイクラベンダー(Lavandula latifolia)、ラバンジン(Lavandula ×intermedia)及びオレガノ(Origanum vulgare)からなる植物群より選ばれる少なくとも1種を有効成分として含有する抗うつ剤。
【請求項2】
トゥルーラベンダー(Lavandula angustifolia)、スパイクラベンダー(Lavandula latifolia)、ラバンジン(Lavandula ×intermedia)及びオレガノ(Origanum vulgare)からなる植物群より選ばれる少なくとも1種の抽出物を有効成分として含有する抗うつ剤。
【請求項3】
トゥルーラベンダー(Lavandula angustifolia)、スパイクラベンダー(Lavandula latifolia)、ラバンジン(Lavandula ×intermedia)及びオレガノ(Origanum vulgare)からなる植物群より選ばれる少なくとも1種の抽出物を分画して得られる分画物を有効成分として含有する抗うつ剤。
【請求項4】
哺乳動物の海馬における脳由来神経栄養因子の増加作用を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の抗うつ剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかの項に記載の抗うつ剤を含有することを特徴とする抗うつ用飲食品。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかの項に記載の抗うつ剤を含有することを特徴とする抗うつ用医薬品。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかの項に記載の抗うつ剤を含有することを特徴とする抗うつ用香料組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−102059(P2012−102059A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253365(P2010−253365)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(591011410)小川香料株式会社 (173)
【Fターム(参考)】