説明

抗う蝕剤、防腐剤、口腔用組成物及び組成物

【課題】安全性が高く、かつ、う蝕関連細菌を十分に抑制できる抗う蝕剤を提供する。口腔用組成物や皮膚外用剤、医薬部外品などを包含する広範な日用品に配合することができ、安全で、かつ微生物の発育や増殖を防止して、製品の品質を良好に維持するのに有用な防腐剤を提供する。さらに、上記抗う蝕剤あるいは防腐剤を配合した組成物を提供する。
【解決手段】縮合リン酸塩とマスティック加工品をと有効成分として含有することを特徴とする抗う蝕剤;縮合リン酸塩とマスティック加工品とを有効成分として含有することを特徴とする防腐剤;上記抗う蝕剤を含有する口腔用組成物;上記防腐剤を含有する組成物;縮合リン酸塩とマスティック加工品をと有効成分として含有することを特徴とする静菌剤;上記静菌剤を含有する組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗う蝕剤及び防腐剤に関し、より具体的には、優れた抗う蝕効果を発揮するとともに安全性が高く、口腔用組成物に配合することができる抗う蝕剤、及び優れた防腐効果を発揮するとともに、安全性が高く、口腔用組成物や皮膚外用剤、医薬部外品を含む広範な日用品に配合することができる防腐剤に関する。本発明はさらに、上記抗う蝕剤を配合した口腔用組成物、及び上記防腐剤を配合した組成物に関する。上記防腐剤はまた、静菌剤として有用であり、本発明はそのような静菌剤を配合した組成物にも関する。
【背景技術】
【0002】
高齢化が進む我が国において、う蝕の予防及び治療は極めて重大な問題である。う蝕の原因菌(う蝕関連細菌)として知られている細菌には、次のようなものがある。
ストレプトコッカス・ミュータンス6751(Streptococcus mutans 6751)
ストレプトコッカス・サンギスE206(Streptococcus sanguis E206)
ストレプトコッカス・ミティスATCC9811(Streptococcus mitis ATCC9811)
アクチノミセス・ビスコススATCC15987(Actinomyces viscosus ATCC15987)
アクチノミセス・ネスルンディイATCC12104(Actinomyces naeslundii ATCC12104)
ラクトバシルス・カセイATCC393(Lactobacillus casei ATCC393)
う蝕に対する治療方法としては、殺菌剤による洗口液のほかに、従来の歯磨剤が用いられている。しかし、アルコール成分や殺菌剤配合の歯磨剤が多く、殺菌力が強いので生体にとって有益な常在菌までも殺菌してしまう。
【0003】
従来、例えばマスティック(ウルシ科のピスタチア・レンチクス(Pistacia lentiscus)の樹脂状浸出液を指す)の抽出エキスを含ませた、歯周病原因菌の抑制に効果を有する口腔用組成物が提案されている(特許文献1参照)。また、縮合リン酸塩の一種であるウルトラリン酸塩を配合した口腔用のステイン除去剤及び口腔用組成物が提案されている(特許文献2参照)。
抗菌効果を示す成分を配合した口腔用組成物が種々提案されている中、抗う蝕効果に優れた成分を配合した口腔用組成物が求められている。
【0004】
また、口腔用組成物や皮膚外用剤などの日用品において、保存中の微生物による汚染を防ぐことが重要である。口腔用組成物、化粧水やクリームといった基礎化粧品、メーキャップ化粧品、口腔ケア化粧品などのいわゆる化粧品や医薬部外品、及び洗剤や消臭剤などの雑貨において、一定期間内において微生物の侵入、発育、増殖を防止して、腐敗、発酵が起こらないようにし、安定した品質を保つために、防腐剤が用いられている。一般的に腐敗や発酵の起因となり、製品を不安定にさせる菌類には、一般細菌などのいわゆる雑菌として例えば、大腸菌、大腸菌群、カンジタ菌などの真菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌などがある。
現在用いられている防腐剤は、そのほとんどがパラオキシ安息香酸エステル類(略称パラベン)やフェノキシエタノールなどの石油を高度に精製した有機系の防腐剤である。このような防腐剤により、多種多様の細菌や真菌類の発育、増殖を抑え、製品の安定性を高めている。また、多種多様な菌類を静菌するために、複数種類の防腐剤を組み合わせて用いている。一方有機系防腐剤については安全性が懸念され、パラベンの代替品も提案されてきている。
近年、種々の防腐剤が提案されてきている中、いっそう安全性が高く、日用品に安全に使うことができ、かつ防腐効果に優れている防腐剤が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−29982号公報
【特許文献2】国際公開第2007/145287号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、安全性が高く、かつ、う蝕関連細菌を十分に抑制できる抗う蝕剤を提供することである。
本発明の目的はまた、口腔用組成物や皮膚外用剤、医薬部外品などを包含する広範な日用品に配合することができ、安全で、かつ微生物の発育や増殖を防止して、製品の品質を良好に維持するのに有用な防腐剤を提供することである。
本発明の目的はさらに、上記のような抗う蝕剤あるいは防腐剤を配合した組成物を提供することである。
防腐剤の有効成分はまた、静菌剤の有効成分としても有用であり、よって、本発明の目的はまた、このような静菌剤及び該静菌剤を配合した組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、縮合リン酸塩とマスティック(ウルシ科のピスタチア・レンチクス(Pistacia lentiscus)の樹脂状浸出液を指す)の加工品とを併用することによって、抗う蝕関連細菌に対して優れた抗菌性を示すことを見出し、本発明を完成させるに至った。マスティック加工品の中でも、とりわけマスティック精油と縮合リン酸塩とを併用することによって、抗う蝕関連細菌に対して優れた抗菌性を示すことを見出した。
本発明者らはまた、縮合リン酸塩とマスティックの加工品とを併用することによって、いわゆる日用品において汚染源となる複数の微生物に対して抗菌性を示すことを見出し、本発明を完成させるに至った。マスティック加工品の中でも、とりわけマスティック精油と縮合リン酸塩とを併用することによって、いわゆる日用品において汚染源となる複数の微生物に対して抗菌性を示すことを見出した。
本明細書中で、マスティック精油とは、マスティックを水蒸気蒸留法又は溶剤抽出法に供して得られた精油を意味する。
従って本発明は、縮合リン酸塩とマスティック加工品とを有効成分として含有することを特徴とする抗う蝕剤である。
本発明はまた、縮合リン酸塩とマスティック加工品とを有効成分として含有することを特徴とする防腐剤である。
本発明者らはより詳しくは、縮合リン酸塩とマスティック加工品との、抗う蝕関連細菌に対する抗菌性について鋭意研究を重ねた結果、う蝕関連細菌に対して高い抗菌性を示す配合割合を見出した。また、縮合リン酸塩とマスティック加工品との、防腐剤として種々の製品において静菌力、抗菌力を発揮し且つ維持することのできる、配合割合を見出した。
【0008】
本発明で使用するマスティック加工品として、例えばマスティックの固化物(例えば粉末状)、油性エキス(例えばヤシ油に溶かしたもの)、非イオン界面活性剤への溶解物、有機溶媒による精製物(マスティックを例えばエタノールに溶解した後、濾過などにより不純物を除いて、エタノールを蒸発させて得た固体(例えば粉末状))、及びマスティック精油などが挙げられる。中でも、好ましくはマスティック精油が挙げられる。
本発明で使用する縮合リン酸塩の例として、ポリリン酸塩、メタリン酸塩及びウルトラリン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。本発明の好ましい実施態様では、該縮合リン酸塩のリン酸残基の平均重合度が4〜30の範囲にある。
【0009】
上記抗う蝕剤は、う蝕の予防薬、う蝕の治療薬として使用することができる。本発明はさらに、上記抗う蝕剤を配合した口腔用組成物に向けられている。よって、本発明はまた、縮合リン酸塩とマスティック加工品とを含有する口腔用組成物である。
上記防腐剤は、口腔用組成物や皮膚外用剤、医薬部外品を含む広範な日用品に配合することができる。よって、本発明は、上記防腐剤を配合した組成物に向けられている。該組成物の具体例として、口腔用組成物、皮膚外用剤、医薬部外品、洗剤及び消臭剤などが挙げられる。本発明は、具体的に、縮合リン酸塩とマスティック加工品とを含有する口腔用組成物のほか、縮合リン酸塩とマスティック加工品とを含有する皮膚外用剤、医薬部外品などに向けられている。
本発明はまた、縮合リン酸塩とマスティック加工品とを有効成分とする静菌剤、及び該静菌剤を配合した組成物、例えば、洗剤や消臭剤に向けられている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の抗う蝕剤は、その有効成分である縮合リン酸塩とマスティック加工品との相乗的効果により、う蝕関連細菌に対して優れた抗菌作用を示すことができる。よって、本発明の抗う蝕剤は、口腔用組成物へ比較的低濃度で配合することによって、優れた抗う蝕効果を発揮できる口腔用組成物を提供できる。
本発明の防腐剤は、その有効成分である縮合リン酸塩とマスティック加工品とが相乗的効果を示し、大腸菌、カンジタ菌などの真菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌などの広範な一般菌に対して、優れた抗菌作用を発揮する。
本発明の抗う蝕剤又は防腐剤の有効成分は安全性が高いものである。本発明の防腐剤は、日用品組成物に広く配合することができる。本発明の防腐剤は、口腔用組成物、皮膚外用剤、医薬部外品などへ比較的低濃度で配合することにより、製品における微生物の発育、増殖を阻止し、製品の品質を良好に維持することができる。
本発明の静菌剤もまた、その有効成分は安全性が高いものである。本発明の静菌剤は、日用品組成物に広く配合することができ、例えば洗剤や消臭剤に配合して、該洗剤や消臭剤を適用した物品や箇所において、菌の繁殖を抑制し、優れた静菌作用を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】試験例4において、ウルトラリン酸ナトリウムとマスティック精油を組み合わせた場合の大腸菌に対する抗菌性を表すグラフである。
【図2】試験例4において、ポリリン酸ナトリウムとマスティック精油を組み合わせた場合の大腸菌に対する抗菌性を表すグラフである。
【図3】試験例4において、ウルトラリン酸ナトリウム又はポリリン酸ナトリウム、各々単独による、ミュータンス菌に対する抗菌性を表すグラフである。
【図4】試験例4において、各種縮合リン酸塩とマスティック精油を組み合わせた場合のミュータンス菌に対する抗菌性を表すグラフである。
【図5】試験例5において、マスティック精油とウルトラリン酸塩とを配合した洗口液による、大腸菌に対する防腐効果を表すグラフである。
【図6】試験例6において、マスティック精油とウルトラリン酸塩の緑膿菌に対する防腐効果を表すグラフである。
【図7】試験例7において、マスティック精油とウルトラリン酸塩とを配合した洗口液による、カンジダ菌に対する防腐効果を表すグラフである。
【図8】試験例8において、マスティック精油とウルトラリン酸塩とを配合した洗口液による、黄色ブドウ球菌に対する防腐効果を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の抗う蝕剤、防腐剤、及び静菌剤における有効成分の一つである縮合リン酸塩は、2個以上のPO4四面体が酸素原子を共有し重合して生成するリン酸塩をいう。縮合リン酸塩は、M2O/P25のモル比(Mは1価の金属)により、ポリリン酸塩、メタリン酸塩、ウルトラリン酸塩に分類される。
本発明では、縮合リン酸塩としてポリリン酸塩、メタリン酸塩及びウルトラリン酸塩から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
ポリリン酸塩は、M2O/P25のモル比(R)が2>R>1であり、一般式:
n+2n3n+1
(式中、nは2以上の整数を示す。)
で表され、直鎖状の構造を有している。
メタリン酸塩は、M2O/P25のモル比(R)がR=1であり、一般式:
(MPO3n
(式中、nは3以上の整数を示す。)
で表され、環状又は極めて長い直鎖状の構造を有している。上記ポリリン酸塩とメタリン酸塩とを合わせて、ポリリン酸塩と称されることがある。
【0013】
ウルトラリン酸塩は、M2O/P25のモル比(R)が、1>R>0であり、一般式:xM2O・yP25
(式中、x及びyは、0<x/y<1である。)
で表され、分子中に分枝PO4基を有する架橋構造を有しており、上記ポリリン酸塩やメタリン酸塩に比べ、特異な構造を有している。
これらの縮合リン酸塩の塩として例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられ、ナトリウム塩が好ましく用いられる。
【0014】
縮合リン酸塩は、公知の製造方法によって合成することができる。
縮合リン酸塩はまた、市販されており、本発明では市販品を用いることができる。市販品の例には、ポリリン酸塩として例えば太平化学工業株式会社製の商品名:メタリン酸ナトリウム(リン酸残基の平均重合度:30)などがあり、及びウルトラリン酸塩として例えばミテジマ化学株式会社製の商品名:ウルトラリン酸ナトリウム(リン酸残基の平均重合度:15)などがある。
本発明で使用する縮合リン酸塩の分子量範囲は特に限定されるものではないが、本発明が目的とする作用効果をよりよく発揮する観点から、分子量範囲として、リン酸残基の平均重合度が4〜60の範囲が適当であり、好ましくは4〜30の範囲である。
本発明では、上記縮合リン酸塩の中でも、ウルトラリン酸塩が好ましく使用できる。
特定の平均重合度を有する縮合リン酸塩を分画する手法について、特に限定されるものではないが、例えばウルトラリン酸塩について、国際公開第2007/145287号パンフレットに記載されているような方法を採用することができる。
【0015】
本発明の抗う蝕剤、防腐剤、及び静菌剤における他の有効成分は、マスティック加工品であり、その具体例としてマスティックの固化物(例えば粉末状)、油性エキス(例えばヤシ油に溶かしたもの)、非イオン界面活性剤を溶剤とした溶解物、有機溶媒による精製物(マスティックを例えばエタノールに溶解した後、濾過などにより不純物を除いて、エタノールを蒸発させて得た固体(例えば粉末状))、及びマスティック精油などが挙げられる。
本発明では、特にマスティック精油が好ましく使用できる。マスティック精油はマスティックを水蒸気蒸留法又は溶剤抽出法に供して得ることができる。
マスティック精油を得るための水蒸気蒸留法は特に限定されるものではない。水蒸気蒸留法として典型的には、水蒸気を連続的に蒸留容器に導入してマスティックを水蒸気にさらすと共に、蒸留容器は加熱状態にして容器内を加熱水蒸気で満たし、流出する加熱水蒸気を水冷管で冷却して精油を水と共に冷却捕集し、上部に浮いた精油を採取することが挙げられる。また、植物からの精油の採取法に採用される常法の水蒸気蒸留法を実施することができる。水蒸気蒸留法における種々の条件、例えば、装置、蒸気の圧力、温度、時間などを適宜選択することができる。
また、マスティック精油を得るための溶剤抽出法で使用する溶剤として、エタノール、ヘキサン、ベンゼン、アセトンなどが挙げられる。
マスティック精油はまた、例えば、商品名「100%pure Mastic Oil」(水蒸気蒸留法による精油、製造元:THE CHIOS GUM MASTIC GROWERS ASSOCIATION)として入手することができる。
マスティック精油は無色から淡黄色の粘稠性のある液体であって、α-ピネン、β-ミルセン、β-ピネン、リモネン及びカンフェンなどが含まれている。
【0016】
本発明の抗う蝕剤は、有効成分として縮合リン酸塩とマスティック加工品とを含有する。以下に、マスティック加工品の典型例としてマスティック精油を挙げて説明する。
該抗う蝕剤において、縮合リン酸塩とマスティック精油の配合割合は、縮合リン酸塩の1質量部に対して、マスティック精油が0.05〜20質量部が適当であり、好ましくはマスティック精油0.1〜15質量部であり、さらに好ましくはマスティック精油0.1〜10質量部である。
本発明の抗う蝕剤には、上記の有効成分に加えて、適当な添加剤を配合することができる。
本発明の抗う蝕剤はまた、口腔用組成物の成分とすることができる。ここで、本発明の口腔用組成物の具体的な形態の例として、粉歯磨剤、練歯磨剤、液状歯磨剤、潤製歯磨剤、液体歯磨剤などの歯磨剤、洗口液(マウスウォッシュ)、水ハミガキ、口中清涼剤、洗口含嗽剤、うがい用錠剤、軟膏状製剤、クリーム状製剤、貼付剤、口腔美容剤、チューインガムなどが挙げられる。口腔用組成物の剤形は、固形、ペースト状、ジェル状、ゼリー状、液状などのいずれでもよい。
【0017】
本発明の防腐剤は、有効成分として縮合リン酸塩とマスティック加工品とを含有する。以下に、マスティック加工品の典型例としてマスティック精油を挙げて説明する。該防腐剤において、縮合リン酸塩とマスティック精油の配合割合は、縮合リン酸塩の1質量部に対して、マスティック精油が0.05〜20質量部が適当であり、好ましくはマスティック精油0.1〜15質量部であり、さらに好ましくはマスティック精油0.1〜10質量部である。
本発明の防腐剤には、上記の有効成分に加えて、適当な添加剤を配合することができる。
本発明の防腐剤はまた、上記したような口腔用組成物、皮膚外用剤、医薬部外品、洗剤及び消臭剤など、広範な日用品組成物に配合することができ、該組成物おける微生物の発育や増殖を防止して、該組成物の腐敗を阻止し、製品の品質を良好に維持するのに役立つ。
【0018】
本発明の皮膚外用剤は、特に限定されず、具体的には、薬用外用剤、薬用化粧料(医薬部外品)、化粧品などの通常の化粧料、洗浄料、及びトイレタリー製品などを広く包含する。また、本発明の皮膚外用剤は種々の形態とすることができ、例えば、化粧水、クリーム、乳液(ミルクローション)、パック、美容液などの基礎化粧品;口紅やファンデーションなどのメーキャップ化粧品;化粧油;軟膏;ジェル;制汗消臭剤、防臭消臭剤;養毛トニック、ヘアクリーム、ヘアミスト、ヘアジェル、ヘアシャンプー、ヘアリンスなどの頭髪・頭皮用化粧料;ボディークリーム;洗顔料、ボディーローション、ボディーソープ、クレンジング、液体石けん、固形石けんなどの洗浄料などが挙げられる。本発明の防腐剤を配合し得る組成物の剤形は、固形、ペースト状、ジェル状、ゼリー状、液状などのいずれでもよい。
【0019】
本発明の抗う蝕剤又は防腐剤を含む口腔用組成物において、縮合リン酸塩とマスティック精油との配合量は、上述の抗う蝕剤又は防腐剤における両者の質量比を満足するものであってよい。具体的に、縮合リン酸塩の配合量は口腔用組成物の全質量において、一般的に0.001〜10質量%が適当であり、好ましくは0.005〜5.0質量%、さらに好ましくは0.01〜3.0質量%である。また、本発明の口腔用組成物において、マスティック精油の配合量は、口腔用組成物の全質量において一般的に0.001〜3質量%が適当であり、好ましくは0.01〜2質量%、さらに好ましくは0.03〜1.5質量%である。
【0020】
本発明の防腐剤を含む、例えば皮膚外用剤といった組成物において、縮合リン酸塩とマスティック精油との配合量は、上述の防腐剤における両者の質量比を満足するものであってよい。具体的に、縮合リン酸塩の配合量は組成物の全質量において、一般的に0.001〜10質量%が適当であり、好ましくは0.005〜5.0質量%、さらに好ましくは0.01〜3.0質量%である。また、本発明の防腐剤を含む、例えば皮膚外用剤といった組成物において、マスティック精油の配合量は、組成物の全質量において一般的に0.001〜3質量%が適当であり、好ましくは0.01〜2質量%、さらに好ましくは0.03〜1.5質量%である。
【0021】
本発明の口腔用組成物は各種形態に応じて、従来から用いられている基剤や添加剤を適宜選択して配合し、常法に従って調製することができる。練歯磨剤といった歯磨剤を例にすると、例えば以下の基剤や添加剤を配合することができる。
研磨剤:結晶質シリカ、非晶質シリカ、その他の無水ケイ酸、含水ケイ酸といったシリカ系研磨剤、アルミノシリケート、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、不溶性メタリン酸カリウム、酸化チタン、第2リン酸カルシウム・2水和物、第2リン酸カルシウム・無水和物、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム等。研磨剤は一般的に配合量3〜99質量%で使用される。
【0022】
粘結剤として、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース誘導体、アルギン酸ナトリウムなどのアルカリ金属アルギネート、アルギン酸プロピレングリコールエステル、キサンタンガム、トラガントガム、カラヤガム、アラビアガムなどのガム類、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドンなどの合成粘結剤、ゲル化性シリカ、ゲル化性アルミニウムシリカ、ビーガント、ラポナイト等の無機粘結剤等を用いることができる。粘結剤は一般的に配合量0.5〜10質量%で使用される。
【0023】
湿潤剤として、ソルビット、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、キシリット、マルチット、ラクチット、加水分解コラーゲン液、ヒアルロン酸ナトリウム、トレハロース、ネオトレハロース、イソトレハロース、α−マルトシルα,α−トレハロースなどのα,αトレハロースの糖質誘導体を含有する糖質等を用いることができる。湿潤剤は一般的に配合量1〜50質量%で使用される。
【0024】
界面活性剤として、ラウリル硫酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、N−ラウロイルザルコシン酸ナトリウム、N−アシルグルタミン酸塩、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体、アルキルグリコシド類、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキルジメチルアミンオキシド等を用いることができる。界面活性剤は一般的に配合量0〜5質量%で使用される。
【0025】
pH調整剤として、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸やそれらの塩類、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−プロパンジオール、アルギニン、リジン等、又はそれらの混合物等を用いることができる。pH調整剤は一般的に配合量0〜10質量%で使用される。
【0026】
更に任意成分として、サッカリンナトリウム、ステビオサイド、グリチルリチン、ペリラルチン、タウマチン、アスパラチルフェニルアラニンメチルエステル、p−メトキシシンアミックアルデヒド、ショ糖、果糖、サイクラミン酸ナトリウムなどの甘味料;スペアミント油、ペパーミント油、ウインターグリーン油、サッサフラス油、チョウジ油、ユーカリ油、セージ油、マヨナラ油、タイム油、レモン油、オレンジ油、l-メントール、カルボン、アネトール、オイゲノール、チモール、サリチル酸メチルなどの香料;安息香酸、安息香酸ナトリウム、p−ヒドロキシプロピルベンゾイックアシッド、p−ヒドロキシブチルベンゾイックアシッド、低級脂肪酸モノグリセライド、パラベンなどの防腐剤;第4級アンモニウム塩、トリクロサン、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、塩化セチルピリジニウム、塩化デカリニウム、塩化ベンゼトニウムなどの殺菌剤;ε−アミノカプロン酸、デキストラナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、ムタナーゼ、溶菌酵素、リゾチームなどの酵素類;モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸カリウム、フッ化ナトリウム、フッ化アンモニウム、フッ化第一スズなどのフッ化物;クロルヘキシジン塩類、ジヒドロコレステロール、グリチルレチン塩類、グリチルレチン酸、クロロフィル、カロペプタイド、酢酸トコフェロール、アズレン、塩化リゾチーム、ゼオライトやポリリン酸などの歯石防止剤、歯垢防止剤、硝酸カリウム、乳酸アルミニウムなどを添加することができる。
なお、これらの任意成分の添加量は、本発明の効果を防げない範囲で通常量とすることができる。
【0027】
本発明の皮膚外用剤の製剤化にあたっては、その剤形、形態に応じて適宜、基剤や添加剤を使用することができる。
本発明の皮膚外用剤に使用する基剤及び添加剤としては、例えば鉱物油、動植物油、ワックス、脂肪酸、脂肪アルコール、エステル油、界面活性剤、湿潤剤、高分子化合物、動植物抽出物、アミノ酸類、溶剤、防腐剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、pH調整剤、色素・顔料、香料などが挙げられ、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。以下にそれらの具体例を挙げる。
【0028】
<鉱物油>
流動パラフィン、流動イソパラフィン等。
<動植物油>
スクワラン、オリブ油、ツバキ油、コムギ胚芽油、ホホバ油、アボカド油、カロット油、シア脂、パーム油、硬化油、馬油、ラノリン類、卵黄油、チョウジ油、ローズヒップ油、ラベンダー油、ハッカ油、スペアミント油、ローズマリー油等。
<ワックス>
マイクロクリスタリンワックス、固形パラフィン、ミツロウ等。
【0029】
<脂肪酸>
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸等。
<脂肪アルコール>
ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ヘキシルデカノール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ラノリンアルコール等。
<エステル油>
トリカプリル酸グリセリル、2−エチルヘキサン酸セチル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、オクタン酸イソセチル、イソノナン酸イソノニル、ジオクタン酸エチレングリコール、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソセチル、パルミチン酸セチル、炭酸ジアルキル等。
【0030】
<界面活性剤>
ラウリル硫酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、テトラデセンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸塩、ラウロイルサルコシン塩、アルキルメチル−β−アラニン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、脂肪酸石けん、N−アシルグルタミン酸塩、ラウリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルメチルタウリン塩、アルキルアミノプロピオン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルグルコシド、ポリエーテル変性シリコン等。
塩化アルキルトリメチルアンモニウム、臭化アルキルトリメチルアンモニウム、アミドアミン、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム。
アルキルジメチル酢酸ベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン。
レシチン(大豆又は卵黄)誘導体、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸・リン酸塩。
【0031】
<湿潤剤>
プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、グリセリン、ジグリセリン、イソプレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビット、マルチトール、トレハロース、キシリット等。
<高分子化合物>
メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カチオン化セルロース、カチオン化グァガム、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、キサンタンガム、カラギーナン等。
【0032】
<動植物抽出物>
プラセンタエキス、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン、加水分解シルク、加水分解エラスチン、酵母エキス、アロエエキス、コンフリーエキス、シャクヤクエキス、シソエキス、センブリエキス、ハマメリス水、ヒキオコシエキス、ホップエキス、セージエキス、マロニエエキス、モモ葉エキス、ユキノシタエキス、メリッサエキス、ヨモギエキス、ローズマリーエキス、コメヌカ発酵エキス等。
<アミノ酸類>
L−アラニン、L−アルギニン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン、L−システイン、L−セリン、L−チロシン、L−プロリン、ピロリドンカルボン酸塩、グリシン等。
【0033】
<溶剤>
精製水、常水、エタノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール等。
<ビタミン類>
ビタミンA、酢酸レチノール、塩酸ピリドキシン、ジカプリル酸ピリドキシン、ビオチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル、リボフラビン、パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、リン酸L−アスコルビルマグネシウム、エルゴカルシフェロール、ビタミンE、酢酸トコフェロール、天然ビタミンE等。
<防腐剤>
メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン、フェノキシエタノール、ビサボロール、ヒノキチオール、安息香酸、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、ウンデシレン酸、ピオニン、lーメントール、d−カンフル等。
【0034】
<紫外線吸収剤>
パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、オキシベンゾン、ジヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、サリチル酸オクチル等。
<金属イオン封鎖剤>
エデト酸、エデト酸塩、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム、エチレンジアミンテトラキス(2−ヒドロキシイソプロピル)ジオレイン酸塩、ヒドロキシエタンジスルホン酸、ヒドロキシエタンジスルホン酸四ナトリウム、フィチン酸等。
<酸化防止剤>
ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エリソルビン酸、没食子酸プロピル、没食子酸オクチル、d−δ−トコフェロール等。
【0035】
また、本発明の静菌剤は、有効成分として縮合リン酸塩とマスティック加工品とを含有する。マスティック加工品の典型例としてマスティック精油を挙げて説明すると、該静菌剤において縮合リン酸塩とマスティック精油の配合割合は、上記の防腐剤と同様である。本発明の静菌剤は、洗剤や消臭剤の成分とすることができる。ここで、洗剤として具体的には台所洗剤及び衣料などの洗濯用洗剤などが挙げられる。また、消臭剤として具体的には、家庭用消臭剤、例えばゴミ用、部屋用、車用、トイレ用、布用、衣類用などの消臭剤が挙げられる。本発明の静菌剤は適用箇所において除菌効果を発揮することができる。
上記洗剤や消臭剤において、縮合リン酸塩の配合量は組成物の全質量において、一般的に0.001〜10質量%が適当であり、好ましくは0.005〜5.0質量%、さらに好ましくは0.01〜3.0質量%である。また、マスティック精油の配合量は、組成物の全質量において一般的に0.001〜3質量%が適当であり、好ましくは0.01〜2質量%、さらに好ましくは0.03〜1.5質量%である。
上記洗剤や消臭剤において、洗剤や消臭剤において通常用いられる成分を適宜配合することができ、例えば界面活性剤、pH調整剤、酵素、アルカリ剤、酸剤、研磨剤、蛍光増白剤、金属イオン封鎖剤、再汚染防止剤、溶剤などが挙げられる。
【0036】
本発明の口腔用組成物、皮膚外用剤、医薬部外品、洗剤及び消臭剤といった組成物は、その形態に応じて、常法に従って製造することができ、その製造過程の適宜の段階で、縮合リン酸塩とマスティック加工品、例えばマスティック精油を配合すればよい。
【実施例】
【0037】
試験例1:各種縮合リン酸塩のう蝕関連細菌に対する抗菌性試験
試験方法:う蝕関連細菌であるミュータンス菌Streptococcus mutans JC2株の一晩培養液をハートインフュージョン培地に1/100で希釈し、その菌液に最終濃度で0.0039%、0.0078%、0.0156%、0.0313%、0.0625%、0.125%になるように各種縮合リン酸塩を加えた。それぞれの縮合リン酸塩を含む菌液が0.2 mLになるように96穴プレートに分注し、縮合リン酸塩を加えなかった菌液も調製し、ともに37℃で18時間培養した。培養液の濁度を測定することにより培養18時間後の菌体増殖度を計測した。
なお、試験に用いた縮合リン酸塩は、ポリリン酸ナトリウムは、太平化学工業株式会社製の商品名:メタリン酸ナトリウム(リン酸残基の平均重合度:30)であり、及びウルトラリン酸ナトリウムは、ミテジマ化学株式会社製の商品名:ウルトラリン酸ナトリウム(リン酸残基の平均重合度:15)である。
各種縮合リン酸塩を含む培地でミュータンス菌を培養した場合の最小増殖阻止濃度(MIC)を、以下の表1に示す。
表1.各種縮合リン酸塩を含む培地でミュータンス菌を
培養した場合の最小増殖阻止濃度(MIC)

MICの値を比較したところ、ウルトラリン酸ナトリウムとポリリン酸ナトリウムとの間に大きな差はないことから、縮合リン酸塩を単独で使用した場合のミュータンス菌に対する抗菌性の強さはほぼ同程度であることがわかった。
【0038】
試験例2:各種縮合リン酸塩の大腸菌に対する抗菌性試験
試験方法:大腸菌Escherichia coli K12株の一晩培養液をLB培地に1/100希釈となるように加え、その菌液に最終濃度で0.0039%、0.0078%、0.0156%、0.0313%、0.0625%、0.125%になるように各種縮合リン酸塩を加えた。各種縮合リン酸塩を含む菌液が0.2 mLになるように96穴プレートに分注し、縮合リン酸塩を加えかった菌液も調製しともに37℃で18時間培養した。培養液の濁度を測定することにより培養18時間後の菌体増殖度を計測した。
なお、試験に用いた縮合リン酸塩は、上記試験例1で用いたのと同様のポリリン酸ナトリウム及びウルトラリン酸ナトリウムであった。
各種縮合リン酸塩を含む培地で大腸菌を培養した時の最小増殖阻止濃度(MIC)を、以下の表2に示す。
表2.各種縮合リン酸塩を含む培地で大腸菌を培養した場合の
最小増殖阻止濃度(MIC)

ミュータンス菌の場合と同様、大腸菌においてもウルトラリン酸ナトリウムとポリリン酸ナトリウムとでMICの値に大きな差はなく、縮合リン酸塩を単独で用いた場合の抗菌性の強さはほぼ同程度であることがわかった。
【0039】
試験例3:マスティック精油の大腸菌、う蝕関連細菌に対する抗菌性試験
試験方法:
大腸菌を用いた抗菌性試験を以下の方法で行った。マスティック精油を最終濃度で2.0%から0.0313%まで7段階に希釈しLB培地に添加した。大腸菌Escherichia coli K12株の一晩培養液を1/1000希釈(生菌数約1 x 105)となるようにそれぞれの培養液に加えて、37℃で24時間培養を行った後に培養液の濁度を測定することにより菌の増殖率を計測した。
また、う蝕関連細菌を用いた抗菌性試験は以下の方法で行った。マスティック精油を最終濃度で1.0%から0.0156%まで7段階に希釈しハートインフュージョン培地に添加した。ミュータンス菌の一晩培養液を1/1000希釈となるようにそれぞれの培養液に加え、37℃で24時間培養を行った後に培養液の濁度を測定することにより菌体の増殖率を計測した。
なお、試験に用いたマスティック精油は、商品名「100%pure Mastic Oil」(水蒸気蒸留法による、製造元:THE CHIOS GUM MASTIC GROWERS ASSOCIATION)である。
【0040】
試験結果を下記表3及び表4に示す。
表3.大腸菌に対するマスティック精油の抗菌性

表4.ミュータンス菌に対するマスティック精油の抗菌性

表3より、大腸菌ではマスティック精油1%から2%で菌体増殖が大きく阻害されることが判る。また表4から、ミュータンス菌ではマスティック精油0.5%から1%で菌体増殖が大きく阻害されることが示されたが、大腸菌、ミュータンス菌ともに、低濃度のマスティック精油ではほとんど菌体の増殖に影響はなかった。
【0041】
試験例4:各種縮合リン酸塩とマスティック精油による大腸菌、う蝕関連細菌の抗菌試験
試験方法:大腸菌を用いた抗菌性試験を以下の方法で行った。大腸菌Escherichia coli K12株の一晩培養液をLB培地に1/1000希釈となるように接種し、ここにマスティック精油を最終濃度が0%、0.2%及び0.4%になるように加えた。この菌液に最終濃度で0.0156%、0.0313%、0.0625%、0.125%、0.25%、0.5%、1%になるように各種縮合リン酸塩を加えた。それぞれの縮合リン酸塩を含む菌液が0.2 mLになるように96穴プレートに分注し、縮合リン酸塩を加えなかった菌液も調製し、ともに37℃で24時間培養した。培養液の濁度を測定することにより培養24時間後の菌体増殖度を計測した。
う蝕関連細菌を用いた抗菌性試験を以下の方法で行った。ミュータンス菌Streptococcus mutans JC2株の一晩培養液をハートインフュージョン培地に1/1000希釈となるように接種し、最終濃度で0.0039%、0.0078%、0.0156%、0.0313%、0.0625%、0.125%になるように各種縮合リン酸塩を加えた。それぞれの縮合リン酸塩を含む菌液が0.2 mlになるように96穴プレートに分注し、縮合リン酸塩を加えなかった菌液もあわせて37℃で24時間培養した後に菌の増殖率を計測した。次に、縮合リン酸塩とマスティック精油の組み合わせによる効果を確認するため、ミュータンス菌Streptococcus mutans JC2株の一晩培養液をハートインフュージョン培地に1/1000希釈となるように接種し、マスティック精油を最終濃度が0.25%になるように加えた。この菌液に最終濃度で0.0156%、0.0313%、0.0625%、0.125%になるように各種縮合リン酸塩を加えた。それぞれの縮合リン酸塩を含む菌液が0.2 mlになるように96穴プレートに分注し、縮合リン酸塩を加えなかった菌液もあわせて37℃で24時間培養した後に菌の増殖率を計測した。
なお、試験に用いた縮合リン酸塩は、上記試験例1で用いたのと同様のポリリン酸ナトリウム及びウルトラリン酸ナトリウムであった。また、試験に用いたマスティック精油は、上記試験例3で用いたのと同様である。
【0042】
試験結果を図1〜図4に示す。図1は、ウルトラリン酸ナトリウムとマスティック精油を組み合わせた場合の大腸菌に対する抗菌性の比較を表すグラフである。このグラフから、ウルトラリン酸ナトリウムの濃度0.0156〜0.0313%の付近から、マスティック精油との併用による相乗的な抗菌性が顕著に表れることがわかる。図2は、ポリリン酸ナトリウムとマスティック精油を組み合わせた場合の大腸菌に対する抗菌性の比較を表すグラフである。このグラフから、ポリリン酸ナトリウムの濃度0.0156〜0.0313%の付近から、マスティック精油との併用による相乗的な抗菌性が顕著に表れることがわかる。
図3は、ウルトラリン酸ナトリウム又はポリリン酸ナトリウム、各々単独による、ミュータンス菌に対する抗菌性を表すグラフである。ウルトラリン酸ナトリウム又はポリリン酸ナトリウム、各々単独で濃度0.0039〜0.0313%程度では、菌体増殖に顕著に影響を及ぼさないことが読み取れる。
図4は、各種縮合リン酸塩とマスティック精油を組み合わせた場合のミュータンス菌に対する抗菌性の比較を表すグラフである。図4の各種縮合リン酸塩の濃度0%のラインから読み取れるように、マスティック精油単独の濃度0.25%では、抗菌性がほとんど見られなかったのに対し、各種縮合リン酸塩の濃度0.0156〜0.0313%の併用で、ミュータンス菌に対して相乗的な抗菌性が見られる。
図1〜図4に示される結果から、縮合リン酸塩のみより、本発明に従って縮合リン酸塩とマスティック精油とを組み合わせて使用する場合に、相乗的な抗菌性が発揮され、う蝕関連細菌又は大腸菌に対して充分な抗菌性を有することが明らかである。
【0043】
試験例5:マスティック精油とウルトラリン酸塩の大腸菌に対する増殖抑制効果
大腸菌Escherichia coli K12株を用い、下記表5に示す基本処方の洗口液製剤にマスティック精油とウルトラリン酸塩とを添加した際の相乗効果を調べた。
表5 防腐剤を含まない洗口液の組成

上記表5の通り、防腐剤を含まない洗口液を調製し、濾過滅菌した後、各最終濃度のマスティック精油(0, 0.0125, 0.025, 0.05, 0.2%)及びウルトラリン酸ナトリウム(0, 0.005, 0.01, 0.02%)を適宜組み合わせて添加して、各検体を作成した。
ここで用いたウルトラリン酸ナトリウムは、上記試験例1で用いたのと同様であり、及びマスティック精油は上記試験例3で用いたのと同様である。
【0044】
各検体に、大腸菌の前培養液を洗口液に1/250希釈となるように加え、37℃で約一か月間静置培養を行った。一定期間ごとに製剤の一部をとり、生理食塩水を用いて適宜希釈したサンプルを10マイクロリットルずつLB寒天培地上に播種し、37℃で一晩培養したのち生育したコロニーの数を目視で計測した。
各濃度のウルトラリン酸ナトリウムおよびマスティック精油を含む製剤中で大腸菌を8日間培養した後の生菌数を図5に示した。マスティック精油を単独で添加した場合にはマスティック精油濃度0.2%で生菌数がほぼゼロとなったが、ウルトラリン酸塩と組み合わせた場合にはその濃度に依存して防腐効果が高まり、ウルトラリン酸ナトリウム濃度0.005%の場合ではマスティック精油濃度0.05%、ウルトラリン酸ナトリウム濃度0.01%の場合ではマスティック精油濃度0.0125%でそれぞれ菌体の増殖が完全に阻害され、大腸菌に対するマスティック精油とウルトラリン酸の相乗効果が確認できた。これらの処理群についてはその後、約一か月後においても菌体は増殖せず、防腐効果が維持されていた。
【0045】
試験例6:マスティック精油とウルトラリン酸塩の緑膿菌に対する増殖阻害効果
緑膿菌Pseudomonas aeruginosa PAO1-272株を用い、マスティック精油とウルトラリン酸塩の抗菌性に対する相乗効果を調べた。滅菌した生理食塩水に、各最終濃度のマスティック精油(0, 0.05, 0.1, 0.2%)とウルトラリン酸ナトリウム(0, 0.02, 0.04, 0.06%)を適宜組み合わせて添加し、各検体とした。
ここで用いたウルトラリン酸ナトリウムは、上記実施例1で用いたのと同様であり、及びマスティック精油は上記試験例3で用いたのと同様である。
各検体に緑膿菌を前培養し充分に発育したものを1/250希釈となるように加え37℃で約一か月間静置培養を行った。一定期間ごとに培養液の一部をとり、生理食塩水を用いて適宜希釈したサンプルを10マイクロリットルずつLB寒天培地上に播種し、37℃で一晩培養したのち生育したコロニーの数を目視で計測した。
各濃度のウルトラリン酸ナトリウムおよびマスティック精油を含む生理食塩水中で緑膿菌を6日間培養した後の生菌数を図6に示した。マスティック精油を単独で添加した場合にはマスティック精油濃度0.2%で生菌数がほぼゼロとなったが、ウルトラリン酸塩と組み合わせた場合には防腐効果が高まり、ウルトラリン酸ナトリウム濃度0.004%の場合にはマスティック精油0.1%で菌体の増殖が完全に阻害され、緑膿菌の増殖に対するマスティック精油とウルトラリン酸の相乗効果が確認できた。これらの処理群についてはその後、約一か月後においても菌体は増殖せず、防腐効果が維持されていた。
【0046】
試験例7:マスティック精油とウルトラリン酸塩のカンジダ菌に対する増殖阻害効果
カンジダ菌Candida albicans 0579株を用い、試験例5と同様に、マスティック精油とウルトラリン酸とを用いた場合の相乗効果を調べた。上記表5の通り、防腐剤を含まない洗口液を調製し、濾過滅菌した後、各最終濃度のマスティック精油(0, 0.125, 0.25, 0.5, 1%)及びウルトラリン酸ナトリウム(0, 0.3%)を適宜組み合わせて添加した。カンジダ菌を前培養し充分に生育したものを1/250希釈となるように加え、30℃で約一か月間静置培養を行った。一定期間ごとに製剤の一部をとり、生理食塩水を用いて適宜希釈したサンプルを10マイクロリットルずつポテトデキストロース寒天培地上に播種し、30℃で一晩培養したのち生育したコロニーの数を目視で計測した。
各濃度のウルトラリン酸ナトリウムおよびマスティック精油を含む製剤中で、カンジダ菌を8日間培養した後の生菌数を図7に示した。マスティック精油を単独で添加した場合にはマスティック精油濃度0.5%で生菌数がほぼゼロとなったが、ウルトラリン酸塩と組み合わせた場合にはその濃度に依存して防腐効果が高まり、ウルトラリン酸ナトリウムを0.3%添加した場合ではマスティック精油濃度0.25%で菌体の増殖が完全に阻害され、カンジダ菌の増殖阻害に対するマスティック精油とウルトラリン酸の相乗効果が確認できた。ウルトラリン酸ナトリウム1.5%を添加した場合、ウルトラリン酸ナトリウム単独で菌体の増殖が完全に阻害された。これらの処理群についてはその後、約一か月後においても菌体は増殖せず、防腐効果が維持されていた。
【0047】
試験例8:マスティック精油と縮合リン酸塩による黄色ブドウ球菌の増殖阻害効果
黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureus ATCC 6538株を用い、試験例5と同様にマスティック精油とウルトラリン酸塩を防腐剤として用いた場合の相乗効果を調べた。表5の通り、防腐剤を含まない洗口液を調製し、濾過滅菌した後、各最終濃度のマスティック精油(0ないし0.2%)とウルトラリン酸ナトリウム(0, 0.06, 0.3, 0.6%)をそれぞれ添加した。そこに黄色ブドウ球菌を前培養し充分に生育したものを1/250希釈となるように加え、約25℃の室温で約一か月間静置培養を行った。一定期間ごとに製剤の一部をとり、生理食塩水を用いて適宜希釈したサンプルを10マイクロリットルずつ以下のとおり調製した専用寒天培地上に播種し、約25℃の室温で一晩培養したのち生育したコロニーの数を目視で計測した。
【0048】
黄色ブドウ球菌専用寒天培地の組成
Tryptone 1g
Yeast extract 0.2g
MgSO4・7H2O 0.1g
蒸留水 100mL
寒天 1.5g
各濃度のウルトラリン酸ナトリウムおよびマスティック精油を含む製剤中で黄色ブドウ球菌を7日間培養した後の生菌数を図8に示した。ウルトラリン酸ナトリウム及び比較対照のポリリン酸ナトリウム単独では、それぞれ添加濃度0.6%においても菌の増殖が完全に阻害されることはなかったが、図8の通り、マスティック精油0.2%とウルトラリン酸ナトリウムを組み合わせた場合に、縮合リン酸塩濃度0.06%で菌の増殖が完全に抑制された。
これらの結果より、マスティック精油とウルトラリン酸塩との組み合わせで、黄色ブドウ球菌に対する十分な防腐効果をもつことが示された。この防腐効果は菌の接種後一カ月間維持された。
【0049】
以下、製造例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の製剤例において、マスティック精油として、商品名「100%pure Mastic Oil」(水蒸気蒸留法による精油、製造元:THE CHIOS GUM MASTIC GROWERS ASSOCIATION)を用いた。
[製剤例1]
以下の処方(単位:質量%)に従って、常法により練歯磨剤(ペースト状)を製造した。
縮合リン酸塩 0.5
(ミテジマ化学株式会社製の商品名:ウルトラリン酸ナトリウム(リン酸残基の平均重合度:15))
マスティック精油 0.05
グリチルレチン酸ジカリウム 0.06
炭酸カルシウム 25.0
シリカ 5.0
無水ケイ酸 5.0
ソルビット液 15.0
濃グリセリン 15.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.0
香料 0.5
精製水 残部
(合計100質量%とする)
【0050】
[製剤例2]
以下の処方(単位:質量%)に従って、常法によりジェル状歯磨剤を製造した。
縮合リン酸塩 0.5
(太平化学工業株式会社製の商品名:メタリン酸ナトリウム(リン酸残基の平均重合度:30))
マスティック精油 0.05
グリチルレチン酸ジカリウム 0.05
ソルビット液 20.0
濃グリセリン 5.0
無水ケイ酸 5.0
エタノール 15.0
キシリトール 0.5
カルボキシメチルセルロースナトリウム 3.0
ポリエチレングリコール400 0.3
l−メントール 0.05
精製水 残部
(合計100質量%とする)
【0051】
[製剤例3]
下の処方(単位:質量%)に従って、常法により洗口液(マウスウォッシュ)を製造した。
縮合リン酸塩 0.5
(太平化学工業株式会社製の商品名:メタリン酸ナトリウム(リン酸残基の平均重合度:30))
マスティック精油 0.05
安息香酸ナトリウム 0.2
キシリトール 0.1
l−メントール 0.02
グリチルリチン酸ジカリウム 0.2
エタノール 20.0
カラギーナン 0.1
クエン酸 0.1
クエン酸ナトリウム 0.05
精製水 残部
(合計100質量%とする)
【0052】
[製剤例4]
以下の処方(単位:質量%)に従って、常法により液体歯磨剤を製造した。
縮合リン酸塩 0.5
(太平化学工業株式会社製の商品名:メタリン酸ナトリウム(リン酸残基の平均重合度:30))
マスティック精油 0.05
グリチルリチン酸ジカリウム 0.2
濃グリセリン 20.0
エタノール 20.0
セルロースガム 4.0
カラギーナン 0.1
クエン酸 0.1
クエン酸ナトリウム 0.03
精製水 残部
(合計100質量%とする)
【0053】
[製剤例5]
以下の処方(単位:質量%)に従って、常法によりミルキーローションを製造した。
縮合リン酸塩 0.5
(ミテジマ化学株式会社製の商品名:ウルトラリン酸ナトリウム(リン酸残基の平均重合度:15))
マスティック精油 0.05
ヒアルロン酸ナトリウム 3.0
スクワラン 2.0
1,2-ヘキサンジオール 1.5
ポリアクリルアミド 0.3
水添ポリイソブテン 0.3
ミネラルオイル 0.3
ポリソルベード85 0.15
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
カプリリルグリコール 0.3
オレンジ油 0.2
パチョリ油 0.1
水 残部
(合計100質量%とする)
【0054】
[製剤例6]
以下の処方(単位:質量%)に従って、常法によりフェイスクリームを製造した。
縮合リン酸塩 0.5
(太平化学工業株式会社製の商品名:メタリン酸ナトリウム(リン酸残基の平均重合度:30))
マスティック精油 0.05
スクワラン 13.0
グリセリン 5.0
セテアリルアルコール 4.0
ヒアルロン酸ナトリウム 3.0
ラフィノース 2.0
1,2-ヘキサンジオール 1.5
セテアリルグルコシド 1.0
カプリリルグリコール 0.5
(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー
0.4
アラントイン 0.1
ポリソルベート60 0.6
イソステアリン酸ソルビタン 0.02
オレンジ油 0.2
パチュリ油 0.1
水 残部
(合計100質量%とする)
【0055】
[製剤例7]
以下の処方(単位:質量%)に従って、常法により消臭剤を製造した。
ラウリル硫酸ナトリウム 50.0
ココアミドDEA 2.0
ブチレングリコール 3.0
ミントタイプ香料 0.5
縮合リン酸塩 0.5
(ミテジマ化学株式会社製の商品名:ウルトラリン酸ナトリウム(リン酸残基の平均重合度:15))
マスティック精油 0.5
水 残部
(合計100質量%とする)
【0056】
[製剤例8]
以下の処方(単位:質量%)に従って、常法により洗濯用洗剤を製造した。
縮合リン酸塩 1.0
(太平化学工業株式会社製の商品名:メタリン酸ナトリウム(リン酸残基の平均重合度:30))
マスティック精油 0.3
ゼオライト 50.0
ポリアクリル酸ナトリウム 10.0
炭酸ナトリウム 20.0
硫酸ナトリウム 15.0
水 残部
(合計100質量%とする)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縮合リン酸塩とマスティック加工品とを有効成分として含有することを特徴とする抗う蝕剤。
【請求項2】
マスティック加工品がマスティック精油である請求項1記載の抗う蝕剤。
【請求項3】
縮合リン酸塩が、ポリリン酸塩、メタ燐酸塩及びウルトラリン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、そのリン酸平均重合度がリン酸残基数4〜30の範囲にある、請求項1又は2記載の抗う蝕剤。
【請求項4】
縮合リン酸塩とマスティック加工品とを有効成分として含有することを特徴とする防腐剤。
【請求項5】
マスティック加工品がマスティック精油である請求項4記載の防腐剤。
【請求項6】
縮合リン酸塩が、ポリリン酸塩、メタ燐酸塩及びウルトラリン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、そのリン酸平均重合度がリン酸残基数4〜30の範囲にある、請求項4又は5記載の防腐剤。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれか1項記載の抗う蝕剤を含有する口腔用組成物。
【請求項8】
請求項4〜6のいずれか1項記載の防腐剤を含有する組成物。
【請求項9】
口腔用組成物又は皮膚外用剤である、請求項8記載の組成物。
【請求項10】
縮合リン酸塩とマスティック加工品とを有効成分として含有することを特徴とする静菌剤。
【請求項11】
請求項10記載の静菌剤を含有する組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−97018(P2012−97018A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245065(P2010−245065)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(502124248)リジェンティス株式会社 (6)
【出願人】(503249119)株式会社 ソーシン (6)
【Fターム(参考)】