説明

抗アレルギー剤

【課題】副作用などの点から合成化合物に比べて安全であると共に、メディエーターが遊離される前の段階の反応を抑制し、アレルギー性疾患の予防に好適な抗アレルギー剤の提供。
【解決手段】大豆を食塩5重量%以下又は無塩の状態で真菌(例えば、Aspergillus属)、酵母(例えば、Zygosaccharomyces属)及び乳酸菌のいずれか1以上により発酵させた大豆発酵物が含まれる抗アレルギー剤及び抗アレルギー組成物。
【効果】塩分の取り過ぎによる副作用がない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大豆発酵物が含まれたことを特徴とする抗アレルギー剤に関する。
【背景技術】
【0002】
アレルギーとは、体外から侵入した病原菌等の異物から体を守る免疫機能の過剰反応により体にとって有害な現象を引き起こすものの一つである。アレルギー反応にはCoombsとGellにより提唱されたI型からIV型の4つの分類があり、花粉アレルギー(花粉症)などの環境アレルギーは、アレルゲン特異的IgEの誘導に起因するI型アレルギーに分類される。食物アレルギーは、I型アレルギーに加えて、III型アレルギーが関与しているとされている。つまり、種々のアレルギーの発症予防、症状緩和にはI型アレルギー反応の抑制が効果的であると考えられる。I型アレルギーは、アレルゲン特異的IgEにより引き起こされ、即時型アレルギー反応とも呼ばれている。
【0003】
I型アレルギー反応について詳しく言えば、抗原の侵入に対してヘルパーT細胞より分泌されるサイトカインの影響により、B細胞がIgE抗体を産生する。産生されたIgE抗体がマスト細胞や好塩基球に結合する。この状態で、再びアレルゲンが侵入すると、数分以内にマスト細胞や好塩基球からヒスタミンなどのメディエーターが遊離され、これらの働きにより気管支の収縮や蕁麻疹など様々なアレルギー症状を引き起こす。
【0004】
近年、環境問題や高齢化に伴う生体機能の低下や食生活の偏りなど様々な原因によりアレルギー疾患に苦しむ人の数は増加しており、その予防方法および改善方法の開発に期待が高まっている。
【0005】
従来から、アレルギー疾患に対する化合物が各種報告されている。しかしながらそのほとんどが合成医薬品であり、長期間の使用による副作用が問題とされている。
【0006】
また副作用の少ない天然物由来の抗アレルギー物質の一つとして乳酸菌が注目されているが、乳酸菌の菌体そのものを服用する場合、必要菌体量が多くなるためにコスト高という問題が生じる。
【0007】
このような問題点から、副作用等の心配がなく、比較的安全であると共に、メディエーターが遊離される前の段階の反応を抑制し、アレルギー性疾患の予防に好適な抗アレルギー剤の開発が求められている。
【0008】
一方、日本では、古来より代表的な大豆発酵物として味噌が知られている。味噌は、基本的に蒸したり煮たりした大豆に、麹と塩を加えて容器に仕込み、熟成させた調味料である。古くは大宝令(701年)にその原型の記載があり、鎌倉時代には、味噌汁として食されていた。それ以降、米を主食とする日本人にとって米飯の対となる国民食となり、日本全国においては、地域ごと特色ある味噌文化が生まれている。味噌は、麹の種類により、米味噌、麦味噌、豆味噌及び調合味噌に分類される。近年、大豆に含まれる有用な栄養機能について注目され、味噌についても研究されており、味噌には、抗癌性、抗酸化性、コレステロール低下能など様々な効用があることが確認されている。また、大豆には、イソフラボンという物質が含まれており、エストロゲン作用、抗酸化作用、抗癌作用、骨粗鬆症予防作用などの様々な生理作用があることが知られている。このイソフラボンは、発酵過程により人体への吸収に優れるアグリコン型のイソフラボンに変換されることが知られており、味噌の方が大豆よりもその効果が期待される。
【0009】
このように味噌には様々な機能があるが、信州味噌や仙台味噌を代表とする辛口の米味噌、西日本に多い麦味噌、愛知・岐阜の豆味噌など、味噌には、塩分が11〜13重量%含まれており、塩含有量の多い食品である。五訂日本食品標準成分表においては、食塩摂取量を成人の場合10g/日以下にすることを目標としているが、味噌汁1杯を食することにより、2.4g前後の食塩を摂取する事になるので、味噌に有用な機能が含まれているにも拘らず、塩分が多いことから多くの味噌を摂取するのが好ましくないとされている。
【0010】
このように味噌に含まれている塩分が多いため、特に腎臓疾患、高血圧、又は心臓疾患などのナトリウム摂取制限を必要とする病者用に、ナトリウム量として通常の味噌の半分以下の減塩味噌が特別用途食品(病者用食品)として規格されている。また、病者用でない一般食品として、ナトリウム量が通常の味噌より15重量%以上カットされた減塩味噌や低塩味噌(みその表示に関する公正競争規約施行規則第2条(4)に記載されている。)などが市販されている。さらに、特許文献1には、無塩味噌や無塩味噌をカプセルやペーストにしたものも提案されている。
【0011】
【特許文献1】特開平13−346536号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、近年、抗アレルギー組成物としてマクロファージを活性化する豆乳由来の発酵物などの報告がなされているにも拘らず、同じ大豆由来の無塩味噌や減塩味噌についてはほとんど研究がなされておらず、効用の有無など解明されていないのが現状である。
【0013】
そこで、本発明は、副作用などの点から合成化合物に比べて安全であると共に、メディエーターが遊離される前の段階の反応を抑制し、アレルギー性疾患の予防に好適な抗アレルギー剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以上の目的を達成するため、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、大豆を食塩5重量%以下又は無塩の状態で真菌、酵母及び乳酸菌のいずれか1以上により発酵させた大豆発酵物が、メディエーターが遊離される前の段階の反応を抑制し、抗アレルギー作用を有することを見出した。ここでいう無塩とは、食塩無添加の状態をいう。すなわち、本発明は、大豆を食塩5重量%以下又は無塩の状態で真菌、酵母及び乳酸菌のいずれか1以上により発酵させた大豆発酵物が含まれたことを特徴とする抗アレルギー剤及び抗アレルギー組成物である。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、副作用などの点から合成化合物に比べて安全であると共に、メディエーターが遊離される前の段階の反応を抑制し、アレルギー性疾患の予防に好適な抗アレルギー剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
アレルギー発症にかかわる非常に重要な点は、抗原の侵入に対してヘルパーT細胞の一つであるTh2細胞より分泌されるサイトカイン(IL−4、IL−5、IL−6)の影響によりB細胞がIgE抗体を産生することにある。
【0017】
アレルギー抑制作用は、IgE抗体を産生するB細胞増殖の抑制にかかわるサイトカイン(IL−12、IFN−γ)産生の増加及びそれらサイトカインの産生細胞(Th1細胞、未分化T細胞)の増殖によるものである。IL−12は、未分化T細胞から産生され、ヘルパーT細胞の一つであるTh1細胞の増殖を促すサイトカインであり、IFN−γは、Th1細胞から産生され、Th2細胞増殖の抑制及びB細胞増殖の抑制の働きを担うサイトカインである。
本発明は、大豆発酵物が、アレルギー発症に深くかかわるB細胞の増殖を抑制することを特徴とする。詳しく言えば、大豆発酵物の摂取により、Th2細胞割合が低くなり、IL−12及びIFN−γの産生細胞であるTh1細胞割合が高くなることが見出され、アレルギー発症のメカニズムのメディエーターが遊離される前の段階の反応を抑制することが見出された。
【0018】
本発明に係る抗アレルギー剤及び抗アレルギー組成物において、大豆の発酵分解処理は、塩が含まれないか、その含有量が5重量%以下の状態で行なわれることが好ましく、3重量%以下の状態で行なわれることが特に好ましい。このように塩を含有させないか、あるいは塩の含有量を少なくすることによって、本発明に係る抗アレルギー剤及び抗アレルギー組成物を多量に摂取しても塩分の取り過ぎになることはなく、アレルギー性疾患の予防に好適である。
【0019】
本発明に係る抗アレルギー剤及び抗アレルギー組成物において、前記大豆発酵物は、アグリコン型イソフラボンの全イソフラボン中の割合が50%以上になるように調整されていることが好ましい。
【0020】
本発明に係る抗アレルギー剤及び抗アレルギー組成物に含まれる大豆発酵物は、大豆を水中に少なくても6時間、好ましくは10時間浸漬又は水を含浸させた後、柔らかくなるまでゆでる又は蒸すなどの加熱を行った後に発酵分解処理を行なうことが好ましく、その発酵分解処理の前にミンチ機やミキサーにより破砕又は粉砕し細片状またはペースト状にすることが好ましい。このように発酵分解処理の前に加熱処理を行なうことにより、雑菌であるグラム陰性菌や土壌菌などが増殖するのを抑制することができる。
【0021】
本発明に係る抗アレルギー剤及び抗アレルギー組成物においては、真菌として、Aspergillus属、Rhizopus属、Monascus属などを用いることができ、具体的には、Aspergillus oryzae、Aspergillus sojae、Aspergillus awamori、Aspergillus kawachil、Rhizopus delemer、Monascus ruberなどを用いることができる。これらの真菌の増殖を補助する目的で米、麦、そばなどの穀類にこれら真菌類を増殖させた状態で用いても良い。
【0022】
本発明に係る抗アレルギー剤及び抗アレルギー組成物においては、酵母類として、Zygosaccharomyces属、Saccharomyces属、Candida属、Terragenococcus属、Torulopsis属などを用いることができ、具体的には、Zygosaccharomyces ruxii、Saccharmonyces cerevisiae、Candida etchellsii、Terragenococcus halophilus、Torulopsis versatilisなどを用いることができ、また乳酸菌としてEnterococcus属、Pediococcus属、Streptococcus属、Lactobacillus属などを用いることができ、具体的には、Enterococcus faecalis、Pediococcus halophilus、Streptococcus faecalis、Lactobacillus plantarumなどを用いることができる。
【0023】
これらの発酵分解処理は、真菌、酵母及び乳酸菌の少なくとも1以上を加えた後、4〜80℃で行なわれ、15〜50℃で行なうことが好ましく、30〜45℃で行なうことがさらに好ましい。また、発酵時間は、12時間以上、好ましくは1日以上、さらに好ましくは14日以上であり、1年以内、好ましくは6ヶ月以内、さらに好ましくは30日以内である。この発酵された状態の大豆加工物はペースト状態であり、水分含量が多いことからアルコール(酒精)を添加したり、水分活性を低く、例えば、水分活性が0.8以下の固形物又は半固形物にすることにより、日持ちを向上させることができる。水分活性は、乾燥工程によって低くすることができ、乾燥工程としては、特に限定はされないが、ドラムドライ、連続真空ベルト、フリーズドライなどがある。このうち、味の変化がより少ない方法として、フリーズドライが好ましい。さらに、水分活性を低下させるため、カルシウム塩、カリウム塩などの塩類や、砂糖、デキストリン、澱粉などの糖類を加えることができる。
【実施例】
【0024】
先ず、本発明に係る抗アレルギー剤の実施例に添加される大豆発酵物1の製造方法について説明する。蒸した米28kgにAspergillus oryzae((株)ビオック製)を均一に付着させ、品温30〜35℃、湿度75〜95%RHで45時間作用させて米を基質に増殖されたAspergillus oryzaeを作製した。次に、大豆を30kg用意し3倍量の水に10時間浸漬させた後、水を切り、115℃の加圧蒸気で蒸し上げた。この蒸し上げた大豆60kgをミンチ機(直径4mmダイス)で処理した後、60%酒精液(NEDO96%を希釈して使用)9.2kgに混ぜ合われた米を基質に増殖されたAspergillus oryzae21kg及び酵母菌としてZygosaccharomyces ruxii(宮坂醸造(株)製)約1×10個を加えて45℃にて119時間発酵させた。その後さらに30℃にて30日間発酵させた後、真空凍結乾燥機で乾燥させ、大豆発酵物1を得た。
【0025】
次に、表1に示す配合の大豆発酵物1などを炭水化物61.5%、タンパク質24.8%、脂質8.4%、その他(ビタミン等)5.3%となるように混合することによって、実施例に係る抗アレルギー剤を作製した。また、同様に表1に示す配合で混合することによって、比較例に係る抗アレルギー剤を作製した。
【0026】
【表1】

【0027】
実験例1
実施例及び比較例に係る抗アレルギー剤について脾臓細胞中のIFN−γ産生CD4細胞(Th1細胞)の増殖活性について調べた。実施例及び比較例に係る抗アレルギー剤を自由摂取で35日間飼育したC3H/HeN系雄マウスから調製した脾臓細胞浮遊液について、パーソナルセルファンクションアナライザー(PCA)によりIFN−γ産生CD4細胞を測定した。すなわち、PE標識抗マウスCD4を添加し、4℃で30分間放置した。放置後細胞をPBSを用いて3回遠心洗浄後、PBSに浮遊させ、PCAシステムによりIFN−γ産生CD4細胞数を測定した。結果を図1に示す。図1に示すように実施例に係る抗アレルギー剤は、比較例に比し、IFN−γ産生CD4細胞の細胞割合が高くなった。
【0028】
実験例2
実施例及び比較例に係る抗アレルギー剤について脾臓細胞中のIL−4産生CD4細胞(Th2細胞)の増殖抑制活性について調べた。実施例及び比較例に係る抗アレルギー剤を自由摂取で35日間飼育したC3H/HeN系雄マウスから調製した脾臓細胞浮遊液について、パーソナルセルファンクションアナライザー(PCA)によりIL−4産生CD4細胞を測定した。すなわち、PE標識抗マウスCD4を添加し、4℃で30分間放置した。放置後細胞をPBSを用いて3回遠心洗浄後、PBSに浮遊させ、PCAシステムによりIL−4産生CD4細胞数を測定した。結果を図2に示す。図2に示すように実施例に係る抗アレルギー剤は、比較例に比し、IL−4産生CD4細胞の細胞割合が低くなった。
【0029】
実験例3
実施例及び比較例に係る抗アレルギー剤について脾臓細胞中のIL−12産生CD11b細胞の増殖活性について調べた。実施例及び比較例に係る抗アレルギー剤を自由摂取で35日間飼育したC3H/HeN系雄マウスから調製した脾臓細胞浮遊液について、パーソナルセルファンクションアナライザー(PCA)によりIL−12産生CD11b細胞を測定した。すなわち、PE標識抗マウスCD11bを添加し、4℃で30分間放置した。放置後細胞をPBSを用いて3回遠心洗浄後、PBSに浮遊させ、PCAシステムによりIL−12産生CD11b細胞数を測定した。結果を図3に示す。図3に示すように実施例に係る抗アレルギー剤は、比較例に比し、アレルギー体質を改善するIL−12産生CD11b細胞の細胞割合が高くなった。
【0030】
実験例4
実施例及び比較例に係る抗アレルギー剤について脾臓細胞中のCD49b細胞(NK細胞)の増殖活性について調べた。実施例及び比較例に係る抗アレルギー剤を自由摂取で35日間飼育したC3H/HeN系雄マウスから調製した脾臓細胞浮遊液について、パーソナルセルファンクションアナライザー(PCA)によりCD49b細胞を測定した。すなわち、PE標識抗マウスCD49bを添加し、4℃で30分間放置した。放置後細胞をPBSを用いて3回遠心洗浄後、PBSに浮遊させ、PCAシステムによりCD49b細胞数を測定した。結果を図4に示す。図4に示すように実施例に係る抗アレルギー剤は、比較例に比し、CD49b細胞の細胞割合が高くなった。
【0031】
実験例5
実施例及び比較例に係る抗アレルギー剤についてパイエル板細胞中のIFN−γ産生CD4細胞(Th1細胞)の増殖活性について調べた。実施例及び比較例に係る抗アレルギー剤を自由摂取で35日間飼育したC3H/HeN系雄マウスから調製したパイエル板細胞浮遊液について、パーソナルセルファンクションアナライザー(PCA)によりIFN−γ産生CD4細胞を測定した。すなわち、PE標識抗マウスCD4を添加し、4℃で30分間放置した。放置後細胞をPBSを用いて3回遠心洗浄後、PBSに浮遊させ、PCAシステムによりIFN−γ産生CD4細胞数を測定した。結果を図5に示す。図5に示すように実施例に係る抗アレルギー剤は、比較例に比し、IFN−γ産生CD4細胞の細胞割合が高くなった。
【0032】
実験例6
実施例及び比較例に係る抗アレルギー剤についてパイエル板細胞中のIL−4産生CD4細胞(Th2細胞)の増殖抑制活性について調べた。実施例及び比較例に係る抗アレルギー剤を自由摂取で35日間飼育したC3H/HeN系雄マウスから調製したパイエル板細胞浮遊液について、パーソナルセルファンクションアナライザー(PCA)によりIL−4産生CD4細胞を測定した。すなわち、PE標識抗マウスCD4を添加し、4℃で30分間放置した。放置後細胞をPBSを用いて3回遠心洗浄後、PBSに浮遊させ、PCAシステムによりIL−4産生CD4細胞数を測定した。結果を図6に示す。図6に示すように実施例に係る抗アレルギー剤は、比較例に比し、IL−4産生CD4細胞の細胞割合が低くなった。
【0033】
実験例7
実施例及び比較例に係る抗アレルギー剤についてパイエル板細胞中のIL−12産生CD11b細胞の増殖活性について調べた。実施例及び比較例に係る抗アレルギー剤を自由摂取で35日間飼育したC3H/HeN系雄マウスから調製したパイエル板細胞浮遊液について、パーソナルセルファンクションアナライザー(PCA)によりIL−12産生CD11b細胞を測定した。すなわち、PE標識抗マウスCD11bを添加し、4℃で30分間放置した。放置後細胞をPBSを用いて3回遠心洗浄後、PBSに浮遊させ、PCAシステムによりIL−12産生CD11b細胞数を測定した。結果を図7に示す。図7に示すように実施例に係る抗アレルギー剤は、比較例に比し、アレルギー体質を改善するIL−12産生CD11b細胞の細胞割合が高くなった。
【0034】
実験例8
実施例及び比較例に係る抗アレルギー剤についてパイエル板細胞中のCD49b細胞(NK細胞)の増殖活性について調べた。実施例及び比較例に係る抗アレルギー剤を自由摂取で35日間飼育したC3H/HeN系雄マウスから調製したパイエル板細胞浮遊液について、パーソナルセルファンクションアナライザー(PCA)によりCD49b細胞を測定した。すなわち、PE標識抗マウスCD49bを添加し、4℃で30分間放置した。放置後細胞をPBSを用いて3回遠心洗浄後、PBSに浮遊させ、PCAシステムによりCD49b細胞数を測定した。結果を図8に示す。図8に示すように実施例に係る抗アレルギー剤は、比較例に比し、CD49b細胞の細胞割合が高くなった。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】脾臓細胞中のIFN−γ産生CD4細胞数を示すグラフである。
【図2】脾臓細胞中のIL−4産生CD4細胞数を示すグラフである。
【図3】脾臓細胞中のIL−12産生CD11b細胞数を示すグラフである。
【図4】脾臓細胞中のCD49b細胞数を示すグラフである。
【図5】パイエル板細胞中のIFN−γ産生CD4細胞数を示すグラフである。
【図6】パイエル板細胞中のIL−4産生CD4細胞数を示すグラフである。
【図7】パイエル板細胞中のIL−12産生CD11b細胞数を示すグラフである。
【図8】パイエル板細胞中のCD49b細胞数を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大豆を食塩5重量%以下又は無塩の状態で真菌、酵母及び乳酸菌のいずれか1以上により発酵させた大豆発酵物が含まれたことを特徴とする抗アレルギー剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−197333(P2007−197333A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−14586(P2006−14586)
【出願日】平成18年1月24日(2006.1.24)
【出願人】(000118615)伊那食品工業株式会社 (95)
【出願人】(504180239)国立大学法人信州大学 (759)
【Fターム(参考)】