説明

抗アレルギー剤

【課題】副作用の心配がない抗アレルギー剤を提供すること。
【解決手段】本発明によれば抗アレルギー剤が提供され、この抗アレルギー剤は、ガラクトース、グルコース、およびラムノースを構成成分に含む多糖、または、ビフィドバクテリウム属に属しかつ該多糖を菌体外に産生する微生物を含む。本発明の抗アレルギー剤は、経口用組成物および外用剤組成物のいずれにも用いられ、食品、医薬品、化粧品などに好適に利用され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗アレルギー剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属に属する微生物(以下、「ビフィズス菌」ともいう)は、腸内優勢菌のひとつであり、その整腸作用および免疫調節作用が数多く報告されている。
【0003】
一部のビフィズス菌は、菌体外に多糖類を産生することが報告されているが、その多くは、多糖の特徴的な構成成分および構造についての報告であった。ビフィズス菌が産生する多糖の機能については、免疫賦活剤に関する報告がある(特許文献1および2)。
【0004】
ビフィズス菌とは異なる微生物が産生する多糖については、抗アレルギー作用に関するいくつかの報告がある。特許文献3には、ラクトバチルス属微生物の培養液から得られる多糖を有効成分とする抗炎症剤が記載され、特許文献4には、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)が産生する多糖を有効成分とする抗炎症作用、抗アレルギー作用、および腫瘍増殖抑制作用を含む免疫調節剤が記載されている。特許文献5には、納豆菌が産生する多糖類レバンを有効成分とするアレルギー抑制組成物が記載されている。
【0005】
納豆菌は、腸内常在菌として存在する微生物ではなく、また、健全な腸内においては、乳酸菌よりもビフィズス菌が圧倒的に優勢である。腸内優勢菌であるビフィズス菌のうち、菌体外に多糖を産生するビフィズス菌については、抗アレルギー作用に関する報告はこれまでない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第07/007562号
【特許文献2】特開昭58−203913号公報
【特許文献3】特開平7−70209号公報
【特許文献4】特開2008−245576号公報
【特許文献5】特開2006−1922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、副作用の心配がない抗アレルギー剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ガラクトース、グルコース、およびラムノースを構成成分に含む多糖を含む、抗アレルギー剤を提供する。
【0009】
1つの実施態様では、上記多糖は、ガラクトース、グルコース、およびラムノースを3〜5:1〜3:1のモル比で含む。
【0010】
1つの実施態様では、上記多糖は、以下の構造を含む:
【0011】
【化1】

【0012】
1つの実施態様では、上記多糖は、ビフィドバクテリウム属に属する微生物から得られる多糖である。
【0013】
さらなる実施態様では、上記ビフィドバクテリウム属に属する微生物は、ビフィドバクテリウム・ロンガムである。
【0014】
なおさらなる実施態様では、上記ビフィドバクテリウム・ロンガムは、ビフィドバクテリウム・ロンガムJBL05株(NITE BP−82)である。
【0015】
本発明はまた、ビフィドバクテリウム属に属しかつ上記多糖を菌体外に産生する微生物を含む、抗アレルギー剤を提供する。
【0016】
1つの実施態様では、上記菌体外多糖産生ビフィズス菌は、ビフィドバクテリウム・ロンガムJBL05株(NITE BP−82)である。
【0017】
本発明はまた、上記抗アレルギー剤を含有する経口用組成物を提供する。この抗アレルギー剤は、上記ビフィズス菌産生多糖を含む抗アレルギー剤または上記菌体外多糖産生ビフィズス菌を含む抗アレルギー剤である。
【0018】
本発明はまた、上記抗アレルギー剤を含有する外用剤組成物を提供する。この抗アレルギー剤は、上記ビフィズス菌産生多糖を含む抗アレルギー剤である。
【0019】
1つの実施態様では、上記経口用組成物または外用剤組成物は、アトピー性皮膚炎あるいは接触性皮膚炎を抑制するためのものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、副作用の心配がない、優れたアレルギー抑制効果を示す抗アレルギー剤が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】脾臓細胞に対するビフィズス菌産生多糖のインビトロ刺激によるインターフェロン-γ(IFN-γ)の産生(A)、インターロイキン−4(IL-4)の産生(B)、およびIFN-γとIL-4との産生比(C)を示すグラフである。
【図2】ビフィズス菌産生多糖を経口投与したマウスの耳介皮膚厚平均値の感作開始後の経時変化を示すグラフである。
【図3】ビフィズス菌産生多糖を経口投与したマウスの感作開始後20日目のヘマトキシリン・エオシン(H&E)染色耳介切片の顕微鏡写真を示す。
【図4】菌体外多糖産生ビフィズス菌を経口投与したマウスの耳介皮膚厚平均値の感作開始後の経時変化を示すグラフである。
【図5】菌体外多糖産生ビフィズス菌を経口投与したマウスの感作開始後20日目のヘマトキシリン・エオシン(H&E)染色耳介切片の顕微鏡写真を示す。
【図6】ビフィズス菌産生多糖を塗布したマウスの耳介皮膚厚平均値の感作開始後の経時変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(ビフィズス菌産生多糖および菌体外多糖産生ビフィズス菌)
本発明においては、ガラクトース、グルコース、およびラムノースを構成成分に含む多糖が用いられる。この多糖は、構成糖のモル比が、ガラクトース:グルコース:ラムノース=3〜5:1〜3:1であり得る。この多糖は、例えば、ガラクトース:グルコース:ラムノース=4:2:1の場合、以下の式(I):
【0023】
【化2】

【0024】
で表される反復構造を含み得る。式(I)中のGalpはガラクトピラノース、Glcpはグルコピラノース、Rhapはラムノピラノースを表し、これらは、ガラクトース、グルコース、およびラムノースがピラノース構造をとることを意味する。上記多糖には、ピルビン酸がさらに含まれてもよく、多糖中のピルビン酸の含有率は、10質量%以下であり得る。多糖の構成成分の同定、多糖中の構成成分の含有量もしくは含有率の測定、および多糖の構造分析は、以下に詳述する。このような構造を有する多糖は、ビフィドバクテリウム属に属する微生物、特に、ビフィドバクテリウム・ロンガム、例えば、ヒトの腸内から単離されたビフィドバクテリウム・ロンガムJBL05株(NITE BP−82)によって産生され得る。したがって、本明細書中では、便宜上、この多糖を「ビフィズス菌産生多糖」ともいうが、この表現によって多糖を産生する微生物を限定するものではない。
【0025】
本発明においては、ビフィドバクテリウム属に属しかつ上記多糖を菌体外に産生する微生物もまた用いられる。「多糖を菌体外に産生する」とは、微生物が周囲に夾膜状の多糖を産生することをいう。この微生物を、本明細書中では、便宜上、「菌体外多糖産生ビフィズス菌」ともいう。
【0026】
本発明においては、ビフィズス菌産生多糖の調製のために用いられる微生物として、または菌体外多糖産生ビフィズス菌として、ビフィドバクテリウム・ロンガムJBL05株(NITE BP−82)が例示される。ビフィドバクテリウム・ロンガムJBL05株(NITE BP−82)の菌学的性質は以下の表1の通りである。
【0027】
【表1】

【0028】
これらの表現形質による分類学的性質に基づき、JBL05株は、バージーズ・マニュアル・オブ・システマチック・バクテリオロジー(Bergey’s Manual of Systematic Bacteriology)Vol.2(1984)に従ってビフィドバクテリウム・ロンガムであると同定された。そして、2005年3月3日(原寄託日)に、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(NPMD)(住所:〒292−0818 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)にNITE BP−82として寄託された。
【0029】
多糖の調製のために、ビフィドバクテリウム・ロンガムJBL05株(NITE BP−82)を適切な培地で培養し得る。培養の手順を、以下の例示によって説明するが、この例示に限定されない。
【0030】
培地としては、ビフィドバクテリウム属に属する微生物が利用できる炭素源および窒素源、ならびに、必要に応じて、システイン塩酸塩、アスコルビン酸ナトリウム、微量の無機塩などを含む培地が挙げられる。特に、多糖を多量に調製するためには、脱脂乳または乳成分を含む培地が好ましい。この場合、脱脂乳をプロテアーゼなどの酵素で分解した酵素分解脱脂乳に、魚肉エキスであるカルチベータ(焼津水産化学工業株式会社)、ラクトース、アスコルビン酸ナトリウムなどを加えた培地が好ましく用いられ得る。
【0031】
上記培地を用い、ビフィドバクテリウム・ロンガムJBL05株(NITE BP−82)を、培養温度20〜45℃にて、嫌気条件下、撹拌あるいは静置して、pHを4〜7、好ましくは5〜6に制御しながら12〜60時間、好ましくは15〜50時間培養を行うことにより、培養液中に粘性物質(多糖)が産生され得る。
【0032】
得られた培養液からの多糖の回収には、加熱、酵素処理、遠心、濾過、膜処理、濾別などの、当業者が通常、培養液から目的物質を回収する方法が用いられる。例えば、粘性物質(多糖)および微生物菌体を含む培養液を遠心し、菌体を除去する。培養液の粘度が高い場合は、例えば、水で希釈した後、遠心することにより、菌体を除去することができる。次いで、得られた上清に適切な有機溶媒を加えてタンパク質を析出させ、例えば遠心分離によって沈殿を除去し、さらに得られた上清に有機溶媒を添加して多糖を沈殿させ、例えば遠心分離によって、多糖を回収する。詳細には、菌体を除去した上清に、終濃度が20容量%となるようにエタノールを添加し、遠心分離を行ってタンパク質を含む沈殿物を除去し、さらに得られた上清に終濃度が50容量%となるようにエタノールを添加し、遠心分離を行って沈殿物を回収することにより、粗精製多糖が得られる。
【0033】
あるいは、有機溶剤とカチオンとを組み合わせて多糖を回収する方法を用いてもよい。例えば、1価のカチオンと有機溶剤とを用いる回収方法、2価のカチオンと有機溶剤とを用いる回収方法(特開昭58−5301号公報)、3価のカチオンと有機溶剤とを用いる回収方法(特開昭59−196099号公報)などと同様の方法を用いることもできる。カチオンは、多糖の回収率を高める点から、好ましく用いられる。1価カチオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどが挙げられる。2価カチオンとしては、マグネシウムイオン、カルシウムイオンなどが挙げられる。3価カチオンとしては、アルミニウムイオンなどが挙げられる。これらのカチオンをエタノールなどの有機溶剤とともに、多糖が含まれる粘性溶液に添加することにより、より多くの多糖を回収することができる。2価あるいは3価のカチオンを用いる方が、1価のカチオンを用いる場合よりも多糖の回収率を高めることが可能である。
【0034】
得られた粗精製多糖からの多糖の精製は、当業者が通常行う方法、例えば、イオン交換樹脂を用いる分画、ゲル濾過による分画などを単独あるいは組み合わせて行われる。イオン交換樹脂を用いる方法は特に制限されず、例えば、陰イオン交換樹脂(例えば、商品名DEAE Sephadex A−50(ファルマシア社)など)に多糖を吸着させ、塩化ナトリウムのグラディエントをかけて多糖を溶出させる方法が挙げられる。ゲル濾過による方法としては、商品名TOYOPEARL HW65S(東ソー株式会社)などを用いる方法などが挙げられる。
【0035】
多糖の構造は以下のような方法で決定される。まず、精製した多糖を、例えば、蟻酸、希塩酸、トリフルオロ酢酸などで酸加水分解し、この加水分解物をHPLCで分析することにより、多糖を構成する糖(単糖)が決定される。次いで、この酸加水分解物を、常法によりアセチル化し、ガスクロマトグラフィーで分析(GC分析)することにより、構成糖の組成(構成糖の比率)が求められる。さらに、精製した多糖を常法によりメチル化した後に酸加水分解し、この加水分解物を還元後アセチル化して得られる生成物をGC−MS(ガスクロマトグラフィー/質量分析)などで分析することにより、多糖の結合様式が決定される。また、NMR分析により、各単糖どうしの結合状態が明らかにされる。多糖に結合しているピルビン酸は、NADH存在下、乳酸デヒドロゲナーゼによるピルビン酸の乳酸への還元を測定することにより、定性的かつ定量的に測定できる。
【0036】
ビフィドバクテリウム・ロンガムJBL05株(NITE BP−82)は、以下の特徴を有する多糖を産生し得る:
(1)多糖の構成成分として、ガラクトース、グルコース、およびラムノースを含む。
(2)ガラクトースとグルコースとラムノースとのモル比は3〜5:1〜3:1である。
(3)多糖中にはピルビン酸が含まれてもよく、その場合の含有率は、10質量%以下であり得る。
(4)分子量は、約5万〜1000万、好ましくは約20万〜250万である(ゲル浸透クロマトグラフィー/多角度レーザー光散乱検出(GPC−MALLS)法)。
(5)多糖は、例えば、ガラクトースとグルコースとラムノースとのモル比が4:2:1である場合、以下の式(I)で示される反復構造を含み得る。
【0037】
【化3】

【0038】
上記の特徴を有する多糖は、以下の実施例1に記載の手順に従って得られる精製多糖画分に含まれ得る。
【0039】
なお、多糖の分子量は、培養条件および回収・精製条件により変化する。培養条件などにより分子量を調整することも可能である。
【0040】
このような構造を有する多糖は、ヒトの腸内から単離されたビフィドバクテリウム・ロンガムJBL05株(NITE BP−82)より産生され得るが、このような多糖の調製のためにこの微生物以外の微生物を利用してもよい。そのような微生物は、例えば、腸内細菌を分離し、菌の周囲に夾膜状の多糖を産生することが判明した株の多糖を分析することにより決定され得、多糖の回収および精製は、上記に準じて行われ得る。
【0041】
菌体外多糖産生ビフィズス菌として、ビフィドバクテリウム・ロンガムJBL05株(NITE BP−82)が例示されるが、ビフィズス菌産生多糖を菌体外に産生する他のビフィズス菌もまた本発明に用いられ得る。
【0042】
本発明において用いられる菌体外多糖産生ビフィズス菌は、多糖を調製するための培養終了後に、培養液から得られる菌体を含むものであればよい。菌体外多糖産生ビフィズス菌として、培養終了後のビフィズス菌培養液をそのまま、または、遠心分離、膜処理、濾別などにより得られた菌体を含む培養液が用いられ得る。培養液の濃縮物、乾燥物、破砕物などもまた用いられ得る。乾燥方法としては、例えば真空乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥、ドラム乾燥などが挙げられる。菌体と共に分散剤、倍散剤などを含んでいてもよい。通常用いられる手法で生菌として調製し得る。また、得られた菌体を含む培養液、濃縮物、乾燥物などを加熱殺菌、放射線殺菌などの殺菌処理に供し、必要に応じて破砕して得られる死菌もまた用いられ得る。このような菌体の調製に用いられる手法は、当業者が通常用いる手法に従う。
【0043】
(抗アレルギー剤)
ビフィズス菌産生多糖および菌体外多糖産生ビフィズス菌は、抗アレルギー作用を示す。抗アレルギー作用としては、Th1/Th2バランス改善、Th17調節作用、炎症抑制作用、IgE産生抑制作用、ヒスタミンなどのケミカルメディエーター遊離抑制作用、リンパ球活性化作用などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。したがって、本発明によれば、ビフィズス菌産生多糖または菌体外多糖産生ビフィズス菌を抗アレルギー剤として使用し得、そしてビフィズス菌産生多糖または菌体外多糖産生ビフィズス菌を含む抗アレルギー剤が提供される。
【0044】
ビフィズス菌産生多糖または菌体外多糖産生ビフィズス菌は、抗アレルギー剤として、任意の組成物に含有させることができる。抗アレルギー剤による効果としては、I型アレルギー、IV型アレルギー、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、花粉症、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、気管支喘息などの抑制が挙げられるが、これらに限定されるものではない。このような組成物は、アレルギー症状の予防または治療に有用である。好ましくは、アトピー性皮膚炎あるいは接触性皮膚炎を抑制し得る。
【0045】
このような組成物は、食品、医薬品および化粧品の用途に使用することができる。組成物は、具体的には、これらに限定されるものではないが、例えば、粉末、顆粒、錠剤、カプセル剤、ペースト状、クリーム状、ゼリー状、液体状として調製し、使用することができる。必要に応じて、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤などの無機物、有機物と混合して使用できる。組成物の製造は、食品、医薬品および化粧品の製造について当業者が周知の方法が用いられ得る。
【0046】
ビフィズス菌産生多糖の配合量は、その目的、用途、形態、剤型、症状、体重などに応じて任意に定めることができるが、経口摂取もしくは投与の場合、一日当たり1mg〜10g、より好ましくは、10mg〜2gを摂取できるように調製されることが好ましい。また、皮膚または粘膜への塗布により投与する場合、製品の全質量に対して0.001〜10質量%含有したもの、より好ましくは0.01〜1質量%含有したものが好ましい。
【0047】
菌体外多糖産生ビフィズス菌の配合量もまた、その目的、用途、形態、剤型、症状、体重などに応じて任意に定めることができるが、ビフィズス菌数として、一日当たり10〜1012個、より好ましくは、10〜1011個摂取できるように定められることが好ましい。
【0048】
ビフィズス菌産生多糖または菌体外多糖産生ビフィズス菌を含有する組成物は、経口用組成物として用いられ得る。例えば、経口用組成物は、経口摂取による抗アレルギー作用のために、食品組成物または医薬品組成物として用いられ得、そして経口投与用の医薬品、流動食、病者用食品、乳幼児食品、栄養機能食品、特定保健用食品などに添加することができる。ビフィズス菌産生多糖または菌体外多糖産生ビフィズス菌を含む組成物は、通常の飲食品に配合することもでき、例えば、牛乳、清涼飲料水、ゼリー飲料などの各種飲料、キャンディー、グミ、チョコレート、ビスケット、クラッカーなどの各種菓子類、ごはん、パン、うどん、ドレッシングなどの各種食品などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。菌体外多糖産生ビフィズス菌の生菌を含む組成物を用いて牛乳などを発酵させ、ヨーグルトや発酵乳として摂取することもできる。
【0049】
ビフィズス菌産生多糖を含有する組成物は、外用剤組成物として用いられ得る。例えば、外用剤組成物は、皮膚または粘膜への塗布もしくは投与による抗アレルギー作用のために、化粧品組成物または医薬品組成物として用いられ得る。このような組成物が配合され得る化粧品としては、例えば、洗顔料、化粧水、美容液、乳液、スプレー剤、パックシート、クリーム、軟膏剤、入浴剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。化粧品組成物は、医薬部外品として製造販売されるものも含み得る。このような組成物が配合され得る医薬品としては、鼻内粘膜への投与用の組成物(例えば、点鼻剤、噴霧剤など)、眼粘膜への投与用の組成物(例えば、点眼剤、洗眼剤など)、咽喉粘膜への投与用の組成物(例えば、うがい薬、洗口剤、スプレー、トローチなど)など挙げられるが、これらに限定されるものではない。このような医薬品にはまた、貼布剤、傷保護剤、救急絆創膏などの衛生材料も含まれる。
【0050】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【実施例】
【0051】
(実施例1:菌体外多糖産生ビフィズス菌の培養およびビフィズス菌産生多糖の調製)
ビフィドバクテリウム・ロンガムJBL05株(NITE BP−82)の培養および該微生物が産生する多糖の精製は、特許文献1の記載に従った。より詳細には以下の通りである。
【0052】
9質量%の脱脂乳溶液に、パンクレアチン(天野エンザイム株式会社)およびシリコンをそれぞれ終濃度が0.36質量%および0.01質量%となるように加えた。次いで、10N NaOHで溶液のpHを8に調整し、55℃にて4時間酵素を反応させて、酵素分解脱脂乳を得た。これに、カルチベータ(焼津水産化学工業株式会社)、ラクトース、およびアスコルビン酸ナトリウムを、それぞれ終濃度で、3.0質量%、2.5質量%、および0.2質量%となるように加え、これを121℃にて15分間オートクレーブで滅菌し、液体培地として使用した。
【0053】
上記で調製した液体培地を用いて前培養したビフィドバクテリウム ロンガム JBL05株(NITE BP−82)を、1%(v/v)となるように、5Lの同じ液体培地に接種し、37℃にて40時間静置嫌気培養を行い、粘性物質を産生させた。培養液を遠心分離し、菌体を除去した後、上清に終濃度20%となるようエタノールを加え、これを4℃に静置保存した。一晩静置後、遠心分離によりタンパク質を含む沈澱物を除去し、上清に終濃度50%となるようエタノールを加え、これを4℃にて静置保存した。一晩静置後、遠心分離により沈澱物を回収し、得られた粗精製多糖画分を凍結乾燥して保存した。
【0054】
粗精製多糖画分を、DEAE Sephadex A−50充填カラムを用いてさらに分画し、0.07M〜0.5MのNaClで溶出された画分を凍結乾燥し、精製多糖画分とした。
【0055】
(実施例2:ビフィズス菌産生多糖の構造解析)
実施例1で調製した精製多糖画分をTOYOPEARL HW65S充填カラムを用いてゲル濾過し、GPC−MALLS法により分子量を調べたところ、約54万であった。
【0056】
次に、ゲル濾過画分(多糖)に蟻酸を加え、加水分解した。この加水分解液を減圧乾固後、さらにトリフルオロ酢酸を加えて加水分解し、加水分解生成物を得た。ION−300カラム(東京化成工業株式会社)を用いたHPLC分析により、この多糖が、ガラクトース、グルコース、およびラムノースから構成されることがわかった。
【0057】
この加水分解生成物を常法により水素化ホウ素ナトリウムで還元し、無水酢酸とピリジンを加えてアセチル化したものを、R−225カラム(J&W Scientific)を用いてGC分析した。その結果、この多糖を構成するガラクトースと、グルコースと、ラムノースとのモル比は4:2:1であると判定した。
【0058】
上記加水分解生成物に、NADHの存在下、乳酸デヒドロゲナーゼを作用させたところ、乳酸が生じた。従って、この多糖画分にピルビン酸が存在することが確認された。また、多糖中のピルビン酸含有率は、5質量%であると確認された。
【0059】
多糖の結合様式を明らかにするため、メチル化して分析を行った。ゲル濾過画分(多糖)を常法によりメチル化した後に蟻酸を加えて加水分解し、この加水分解物を還元後アセチル化して得られた生成物をGC−MS測定にかけ、分析した。その結果、1,5−ジ−O−アセチル−2,3,4,6−テトラ−O−メチル−グルシトール、1,5−ジ−O−アセチル−2,3,4,6−テトラ−O−メチル−ガラクチトール、1,3,4,5−テトラ−O−アセチル−2,6−ジ−O−メチル−ラムニトール、1,3,5−トリ−O−アセチル−2,4,6−トリ−O−メチル−ガラクチトール、1,4,5−トリ−O−アセチル−2,3,6−トリ−O−メチル−グルシトール、1,4,5−トリ−O−アセチル−2,3,6−トリ−O−メチル−ガラクチトール、および1,4,5,6−テトラ−O−アセチル−2,3−ジ−O−メチル−ガラクチトールのメチル化された糖が得られた。
【0060】
また、NMR分析により、結合状態を検討した。これらのデータから、多糖は、以下の構造I(反復構造)を有することがわかった。
【0061】
【化4】

【0062】
(実施例3:ビフィズス菌産生多糖のTh1/Th2バランス改善作用)
実施例1で調製した精製多糖画分を水に溶解し、終濃度20μg/mlまたは200μg/mlとなるように添加した、ウシ胎児血清および抗生物質(抗生物質−抗真菌剤混合溶液、ナカライテスク)を含むRPMI-1640培地中で、C3H/HeJマウス(8週齢、雄、日本クレア)より調製した脾臓細胞を、5%CO2下で37℃にて72時間培養した。培養上清を回収し、Th1型サイトカインであるインターフェロン−γ(IFN-γ)濃度およびTh2型サイトカインであるインターロイキン−4(IL-4)濃度をELISA法(BIOSOURCE、Invitrogen)で測定した。コントロールとして、同量の水を添加して培養し、同様に上記手順を行った。
【0063】
結果を図1(A)〜(C)に示す。図1(A)は、脾臓細胞に対するビフィズス菌産生多糖のインビトロ刺激によるIFN-γの産生を示すグラフである。縦軸はIFN-γ産生量(pg/ml)を表し、横軸は試験区を表す。図1(B)は、脾臓細胞に対するビフィズス菌産生多糖のインビトロ刺激によるIL-4の産生を示すグラフである。縦軸はIL-4産生量(pg/ml)を表し、横軸は試験区を表す。図1(C)は、脾臓細胞に対するビフィズス菌産生多糖のインビトロ刺激によるIFN-γとIL-4との産生比を示すグラフである。縦軸はIL-4に対するIFN-γの割合(IFN-γ/IL-4)を表し、横軸は試験区を表す。
【0064】
この結果、精製多糖画分(ビフィズス菌産生多糖)の添加では、同量の水を添加したコントロールと比べて濃度依存的に、IFN-γ産生量の増加とIL-4産生量の減少とが認められた。
【0065】
したがって、ビフィズス菌産生多糖の添加により、Th1型サイトカインの増加が認められ、Th1/Th2バランスがTh1優位となることが示された。すなわち、抗アレルギー作用が示された。
【0066】
(実施例4:ビフィズス菌産生多糖の抗アレルギー作用)
実施例1で調製した精製多糖画分をリン酸緩衝液(PBS)に溶解し、これをゾンデを用いて、BALB/cマウス(8週齢、雄、株式会社紀和実験動物研究所)5匹に毎日経口投与した(20mg/kg体重/日)。コントロールとして、PBSのみを5匹に毎日経口投与した。ポジティブコントロールとして、プレドニゾロン(Sigma)を5匹に毎日経口投与した(3mg/kg体重/日)。投与開始後4日目に、右耳介に、アセトン(ナカライテスク)に溶解した0.3%の2,4,6-トリニトロ-1-クロロベンゼン(TNCB)(東京化成工業株式会社)を10μl塗布し(感作)、そして左耳介に、アセトンのみを同量塗布した。さらにTNCB塗布(感作)開始後4日目から1日おきに19日目まで本処置を繰り返した。感作開始後も、上記の経口投与は続けた。感作開始日から、TNCBの塗布ごとに耳介の厚さをノギスで測定した。測定は、毎回同じ条件で、同一試験者が行い、平均値を求めた(各群5匹)。感作開始後20日目に耳介の組織学的観察を行った。組織学的観察については、解剖後、10%中性緩衝ホルマリン(和光純薬工業株式会社)で固定した耳介より切片を作製し、ヘマトキシリン・エオシン(H&E)で染色した(株式会社アプライドメディカルリサーチ委託)後、顕微鏡観察した。
【0067】
図2は、ビフィズス菌産生多糖を経口投与したマウスの耳介皮膚厚平均値の感作開始後の経時変化(各群5匹)を示すグラフである。縦軸は耳介皮膚厚(mm)を表し、横軸は感作後経過日数(日)を表す。黒丸はコントロール(PBSのみ)投与群、白丸はポジティブコントロール(プレドニゾロン)投与群、黒三角はビフィズス菌産生多糖投与群を表す。
【0068】
図3は、ビフィズス菌産生多糖を経口投与したマウスの感作開始後20日目のH&E染色耳介切片の顕微鏡写真を示す。上段から順に、コントロール(PBSのみ)投与群、ポジティブコントロール(プレドニゾロン)投与群、およびビフィズス菌産生多糖投与群を示す。
【0069】
精製多糖画分(ビフィズス菌産生多糖)の経口投与により、ポジティブコントロールのプレドニゾロンを経口投与したときと同様に、コントロールのPBSを経口投与したときと比べて、耳介厚の増加を有意に抑制した(図2)。耳介の組織学的観察の結果もまた、精製多糖画分(ビフィズス菌産生多糖)の経口投与が、ポジティブコントロールのプレドニゾロンの経口投与と同様に、耳介に誘導される炎症を抑制し、耳介厚の増加を抑制することを示した(図3)。すなわち、抗アレルギー作用を示した。
【0070】
(実施例5:菌体外多糖産生ビフィズス菌の抗アレルギー作用)
実施例4と同様の方法を用い、ビフィドバクテリウム・ロンガムJBL05株(生菌体)の効果を検討した。
【0071】
PBSに懸濁した菌体外多糖産生ビフィズス菌ビフィドバクテリウム・ロンガムJBL05を、ゾンデを用いて、BALB/cマウス(8週齢、雄、株式会社紀和実験動物研究所)5匹に毎日経口投与した(生菌体108個/匹/日)。コントロールとしてPBSのみを5匹に毎日経口投与した。ポジティブコントロールとして、プレドニゾロン(Sigma)を5匹に毎日経口投与した(3mg/kg体重/日)。投与開始後4日目に、右耳介に、アセトン(ナカライテスク株式会社)に溶解した0.3%の2,4,6-トリニトロ-1-クロロベンゼン(TNCB)(東京化成工業株式会社)を10μl塗布し(感作)、そして左耳介に、アセトンのみを同量塗布した。さらにTNCB塗布(感作)開始後4日目から1日おきに19日目まで本処置を繰り返した。感作開始後も、上記の経口投与は続けた。感作開始日から、TNCBの塗布ごとに耳介の厚さをノギスで測定した。測定は、毎回同じ条件で、同一試験者が行い、平均値を求めた(各群5匹)。感作開始後20日目に耳介の組織学的観察を行った。組織学的観察については、解剖後、10%中性緩衝ホルマリン(和光純薬工業株式会社)で固定した耳介より切片を作製し、ヘマトキシリン・エオシン(H&E)で染色した(株式会社アプライドメディカルリサーチ委託)後、顕微鏡観察した。
【0072】
図4は、菌体外多糖産生ビフィズス菌を経口投与したマウスの耳介皮膚厚平均値の感作開始後の経時変化(各群5匹)を示すグラフである。縦軸は耳介皮膚厚(mm)を表し、横軸は感作後経過日数(日)を表す。黒丸はコントロール(PBSのみ)投与群、白丸はポジティブコントロール(プレドニゾロン)投与群、黒四角は菌体外多糖産生ビフィズス菌投与群を表す。
【0073】
図5は、菌体外多糖産生ビフィズス菌を経口投与したマウスの感作開始後20日目のH&E染色耳介切片の顕微鏡写真を示す。上段から順に、コントロール(PBSのみ)投与群、ポジティブコントロール(プレドニゾロン)投与群、および菌体外多糖産生ビフィズス菌投与群を示す。
【0074】
ビフィドバクテリウム・ロンガムJBL05株の生菌(菌体外多糖産生ビフィズス菌)の経口投与は、コントロールのPBSのみ経口投与と比べて、耳介厚の増加を有意に抑制した(図4)。耳介の組織学的観察の結果もまた、ビフィドバクテリウム・ロンガムJBL05株の生菌体(菌体外多糖産生ビフィズス菌)の経口投与が、耳介に誘導される炎症を抑制し、耳介厚の増加を抑制することを示した(図5)。すなわち、抗アレルギー作用を示した。
【0075】
(実施例6:ビフィズス菌産生多糖の塗布による抗アレルギー作用)
NC/Ngaマウス(7週齢、雄、日本エスエルシー)9匹の右耳介に、アセトン(ナカライテスク)に溶解した0.5%の2,4,6-トリニトロ-1-クロロベンゼン(TNCB)(東京化成工業株式会社)を10μl塗布し(感作)、そして左耳介に、アセトンのみを同量塗布した。さらにTNCB塗布(感作)開始後4日目から1日おきに本処置を2回繰り返した。耳介皮膚厚が均等になるように群分けした(各群3匹)。感作開始後9日目から、3匹に、実施例1で調製した精製多糖画分を水に溶解(1mg/ml)し、耳介表裏に各20μlずつ、毎日塗布した。別の3匹にコントロールとして水を、さらに別の3匹にポジティブコントロールとして水に溶解したプレドニゾロン(25mg/ml)を同様に塗布した。ビフィズス菌産生多糖、水、またはプレドニゾロンを塗布する30分以上前に、2日に1回TNCBを塗布した。感作開始日から、TNCBの塗布ごとに耳介の厚さをノギスで測定した。測定は、毎回同じ条件で、同一試験者が行い、平均値を求めた(各群3匹)。
【0076】
図6は、ビフィズス菌産生多糖を塗布したマウスの耳介皮膚厚平均値の感作開始後の経時変化(各群3匹)を示すグラフである。縦軸は耳介皮膚厚(mm)を表し、横軸は感作後経過日数(日)を表す。黒丸はコントロール(水のみ)塗布群、白丸はポジティブコントロール(プレドニゾロン)塗布群、黒三角はビフィズス菌産生多糖塗布群を表す。
【0077】
精製多糖画分(ビフィズス菌産生多糖)の塗布は、ポジティブコントロールのプレドニゾロンと同様に、コントロールの水のみ塗布と比べて、耳介厚の増加を抑制した(図6)。すなわち、塗布によっても抗アレルギー作用を示した。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明によれば、ヒトの腸内に優勢に生息し得る菌であるビフィズス菌を利用して、抗アレルギー効果を奏し得る。ビフィズス菌産生多糖または菌体外多糖産生ビフィズス菌を食品、化粧品、医薬品などに用いることで、その抗アレルギー作用を好適に利用し得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラクトース、グルコース、およびラムノースを構成成分に含む多糖を含む、抗アレルギー剤。
【請求項2】
前記多糖が、ガラクトース、グルコース、およびラムノースを3〜5:1〜3:1のモル比で含む、請求項1に記載の抗アレルギー剤。
【請求項3】
前記多糖が、以下の構造を含む、請求項2に記載の抗アレルギー剤。
【化1】

【請求項4】
前記多糖が、ビフィドバクテリウム属に属する微生物から得られる多糖である、請求項1から3のいずれかに記載の抗アレルギー剤。
【請求項5】
前記ビフィドバクテリウム属に属する微生物が、ビフィドバクテリウム・ロンガムである、請求項4に記載の抗アレルギー剤。
【請求項6】
前記ビフィドバクテリウム・ロンガムが、ビフィドバクテリウム・ロンガムJBL05株(NITE BP−82)である、請求項5に記載の抗アレルギー剤。
【請求項7】
微生物を含む抗アレルギー剤であって、
該微生物が、
ビフィドバクテリウム属に属し、かつ、
ガラクトース、グルコース、およびラムノースを構成成分に含む多糖を菌体外に産生する、
抗アレルギー剤。
【請求項8】
前記多糖が、ガラクトース、グルコース、およびラムノースを3〜5:1〜3:1のモル比で含む、請求項7に記載の抗アレルギー剤。
【請求項9】
前記多糖が、以下の構造を含む、請求項8に記載の抗アレルギー剤。
【化2】

【請求項10】
前記微生物が、ビフィドバクテリウム・ロンガムJBL05株(NITE BP−82)である、請求項7から9のいずれかに記載の抗アレルギー剤。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の抗アレルギー剤を含有する経口用組成物。
【請求項12】
アトピー性皮膚炎あるいは接触性皮膚炎を抑制するための、請求項11に記載の経口用組成物。
【請求項13】
請求項1から6のいずれかに記載の抗アレルギー剤を含有する外用剤組成物。
【請求項14】
アトピー性皮膚炎あるいは接触性皮膚炎を抑制するための、請求項13に記載の外用剤組成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−201781(P2011−201781A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67639(P2010−67639)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000191755)森下仁丹株式会社 (30)
【出願人】(505127721)公立大学法人大阪府立大学 (688)
【出願人】(504173600)有限会社 IPE (12)
【Fターム(参考)】