説明

抗アレルギ作用及び抗炎症作用を有する表皮剥離性組成

特別に選択された添加物と増量剤で、特定のpH値に処方したバニラ抽出液、塩化アンモニウム、塩化カリウム、及び第4級アンモニウム化合物などの活性剤及び活性成分を含むことを特徴とする“乾癬、湿疹、および同様の皮膚疾患の塗布剤”に特別な有用性がある増強された薬剤および化粧用組成の製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤及び/又は乾癬や皮膚疾患などの治療に効果的な薬剤組成、及び薬剤及び/又は化粧用製剤に関する。
【0002】
疫学検査によると、アレルギ性疾患が増加していることを示唆している。これらのアレルギ性疾患の増加は大きな社会問題や経済問題になってきており、人々と政府は時間と金を失いつつあり、さらに心理的影響を受けている。
【0003】
周囲の環境が変化することがこれらの疾患の主な原因と考えられている。新しい場所への移転、気象、西洋化した食事、公害、食品添加物、化粧品や薬品の過度の使用、過剰なストレスなどの環境の変化が、このようなアレルギ症状の増加の原因である。
【0004】
アレルゲンは、皮膚に炎症を起こす食品、植物、環境、又は動物に由来する物質で、免疫システムがこれらの物質に過剰反応する。炎症は、アレルギのある人が限られた期間に極少量の物質に晒されただけでも起こる。アレルゲンのいくつかの例は、花粉または鱗屑(動物の皮膚や毛からでるの小さな粒子)である。
【0005】
アレルギ反応は、原因となる免疫グロブリンや関連する細胞によってタイプIからタイプIVに分類できる。タイプIからIIIのアレルギは、ヒト抗体が関係する免疫グロブリン反応である。接触してからすぐにアレルギ反応が現れるので、即時型アレルギと呼ばれる。
【0006】
アレルギタイプIVは、抗体の代わりに抗原に敏感なリンパ球が関連する細胞を介した免疫反応である。このタイプのアレルギは、遅延型アレルギとも呼ばれる。タイプIV型のアレルギ反応は、遅延型反応であり、T細胞(免疫防御を組織、及び/又は、直接関与する小さな白血球であり、Tリンパ球としても知られている。)が、抗原発現細胞を介し抗原情報を受容し種々のサイトカインを放出し、これによって、遅延型免疫反応が発生する。
【0007】
アレルギ性接触皮膚炎は、タイプIVのアレルギ反応によって生じる典型的疾患である。ステロイド組成は、タイプIVのアレルギ性疾患の治療のために用いられ、このようなステロイド組成はT細胞中のサイトカインの産生を抑制し、湿疹の治療に劇的な効果を示す。しかし一方で、ステロイド組成は、皮膚を薄くする/敏感にする、不眠症、光感性、長期投与による副腎皮質機能などの低下などのきわめて有害な反応を起こす可能性がある。
【0008】
アレルギ性及び免疫性の投薬による疾患の一例は乾癬である。近年の調査では、乾癬はおそらく免疫システムの不調ではないかと示唆されている。このシステムは、感染や疾患から体を正常に防衛するように働くT細胞と呼ばれる白血球を含む。現在科学者達は、乾癬は異常な免疫システムが皮膚のT細胞による反応を起こすためと考えている。これらのT細胞は、炎症や乾癬患者に見られる過剰な皮膚細胞の再生を引き起こす。この疾患の多くの病理学的及び組織学的調査結果は、皮膚炎(湿疹)の病理学的及び組織学的調査結果と同じである。乾癬はしばしば外部の刺激で悪化して慢性化する。各場合において、皮膚の症状を管理して悪化を阻止することが基本的な治療である。
【0009】
通常の乾癬治療は、コルチコイドステロイド、カルシポトリエン(calcipotriene)、アンスラリン、外用レチノイド、コールタール、サリチル酸等である。これらの治療の全てに副作用があり、長期間使用した場合効果が無くなる。
【0010】
アレルギ性及び免疫性皮膚疾患用の薬剤組成は既に開発され、治療に使用されているが、有害反応を起こすので、長期間の投与が可能で、安全性が高く、有害反応が起こらない天然物から取り出した組成の開発が強く求められている。
【0011】
発明の概要
本発明は、有害反応を起こさないアレルギ性及び免疫性皮膚疾患用の治療及び予防の組成であって、長期間の投与によっても高い安全性を示し、薬剤及び/又は化粧用製剤及び日常用いる化粧用組成用に使用することが可能である組成を提供する。
【0012】
本発明は、有効成分としてのバニラ抽出液/オイル、又は、天然バニラ若しくは合成バニラ及びその誘導体から選択したバニラを含む、薬剤組成、及び、薬剤及び/又は化粧用製剤に関する。特に、表皮剥離を起こし、及び/又は、即時型および遅延型アレルギを抑制し、及び/又は、炎症を弱める作用を有する外用製剤で、アレルギを改善する製薬組成および同様の化粧用組成に関する。
【0013】
本発明は、有害反応を起こさず、長期間投与しても高い安全性を示し、日常の薬剤及び/又は化粧品等として使用できる、乾癬、薔薇色枇糠疹(pityriasis rosea)、 扁平苔蘚(lichen planus)、毛孔性紅色秕糠疹(pityriasis rubra pilaris)、皮膚炎(湿疹)、アクネ、ふけ症などのアレルギ性、及び/又は、自己免疫性皮膚疾患の阻害、軽減および除去する治療を提供する。特に、外用塗布剤は、抗アレルギ効果および抗炎症効果を伴う表皮剥離効果を提供し、有効成分及び/又は活性成分として、バニラ抽出液/オイル、又は、天然または合成バニラと誘導体から選択されたバニラを含むことを特徴とする;外用の抗炎症組成は、外用の抗アレルギ性組成又は、アレルギ性症状及び/又は炎症性症状を阻害、軽減又は緩和するのに有用であり、製薬及び/又は化粧用製剤の有効成分及び/又は活性成分としてバニラ抽出液/オイル、又は、天然若しくは合成バニラ及びこれらの誘導体から選択されたバニラを含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の実施例の詳細な説明
天然のバニラは、食物、飲料、薬剤風味をつけるために用いられる。バニラビーンズは、有害なものを口にしたときの解毒剤として用いられていた。呼吸したときの痛み、充血、ひどい咳、胃の病気などに用いられていた。現在は、バニラは、そのほとんどが香料成分として食品、化粧品、薬品に用いられ、その芳香性により気分の増強剤/刺激剤として香水やある種の医薬品に用いられている。
【0015】
1900年代当初は、バニラ(Vanilla Planifolia)の莢を扱う労働者が手や顔に皮膚炎を起こすことが観察された。同様の発見は、Hutchinson(1892)、Maiden(1912)、White(1934)、Downing(1939)など他にも多く報告されている。この皮膚炎は“バニラシム(Vanillasim)”と命名された。おそらくこれらの発見により、どのような皮膚疾患の治療にもバニラが用いられることはなかった。しかし上記発見のほとんどは、バニラポッド、ビーンズ、プラントを実際に扱っていることに基づくものである。
【0016】
本発明において、クレンジング液中にバニラ抽出液を用いた時、量が極少量(例えば2%より少ない)の場合、乾癬患者の皮膚に抗アレルギ効果および抗炎症効果を示すことがわかった。
【0017】
多くのクレンジング剤は、塩化ナトリウム及び/又は塩化アンモニウム及び/又は塩化カリウムを含有する。本発明では、塩化アンモニウムを、ラウレス硫酸ナトリウムやラウレス硫酸アンモニウムなどのその他の界面活性剤と共に用いた場合、乾癬患者のかさぶた(scale)が取り除かれることによる表皮剥離特性を示した。塩化アンモニウムの代わりに塩化ナトリウムを用いて同様の試験を繰り返したが、表皮剥離することは発見されていない。
【0018】
塩化アンモニウムは、現在クレンジング液などに使用されているが、アレルギ性及び/又は自己免疫性皮膚疾患のスケーリングの予防、軽減、除去する治療を提供する成分として使用されていない。塩化アンモニウムの他に、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セタルコニウム、セトリミド、臭化セトリモニウム、塩化セチルピリジニウム、グリシジルトリメチル、塩化ステアラルコニウムなどの第4級アンモニウム化合物を同様に使用できる。
【0019】
実際のメカニズムは理解されていないが、異なった気候条件で患者5人に試験し、塩化アンモニウム及び/又はアンモニウム界面活性剤及び/又は第4級アンモニウム化合物を含むクレンジング組成が、表皮剥離特性を示すことを観察した。組成中に天然バニラ抽出液を用いた場合、組成は抗アレルギ作用と抗炎症作用を示した。
【0020】
組成製剤中にカモミール、ヒマワリ、ココナッツなどの天然抽出液及び/又はオイルを用いて加湿した場合、より好ましい結果を示したことも観察されている。
【0021】
バニラ、塩化アンモニウム、及び/又は、アンモニウム界面活性剤、及び/又は、第4級アンモニウム化合物、その他カモミール、ヒマワリ、ココナッツなどの天然抽出液が、抗アレルギ効果および抗炎症効果と共に、表皮剥離効果を示し、皮膚に潤いを与えたことが観察された。
【0022】
本発明の詳細を例示するため、代表的な実施例を以下に記載するが、本発明を限定するものではない。
【実施例1】
【0023】
頭皮クレンジング組成:
ラウレス硫酸アンモニウム 28乃至30%
ラウレス硫酸ナトリウム 1乃至2%
コアミドプロピルベタイン 2乃至3%
塩化アンモニウム 0.50乃至1%
テトラナトリウムEDTA 0.25乃至1%
DMDヒダントイン 0.10乃至0.40%
クエン酸 0.10乃至0.40%
染料 0.20乃至0.40%
バニラ抽出液 0.10乃至0.30%
カモミール抽出液 0.10乃至0.30%
ヒマワリ抽出液 0.10乃至0.30%
脱イオン水 量を100%にする
【実施例2】
【0024】
頭皮クリーム用:
塩化アンモニウム 0.50乃至2%
塩化カリウム 0.50乃至2%
クエン酸 0.10乃至2%
バニラ抽出液 0.10乃至0.50%
カモミール抽出液 0.10乃至0.50%
ココナッツオイル 10乃至20%
澱粉 20乃至30%
ホワイトソフトパラフィン 30乃至40%
フェノキシエタノール 1乃至3%
脱イオン水 量を100%にする
【実施例3】
【0025】
ボディローション用:
塩化アンモニウム 0.50乃至2%
塩化カリウム 0.50乃至2%
クエン酸 0.10乃至2%
バニラ抽出液 0.10乃至0.50%
カモミール抽出液 0.10乃至0.50%
フェノール 0.10乃至0.50%
タルカム 15乃至20%
酸化亜鉛 5乃至10%
グリセリン 7.5乃至15%
アルコール 20乃至30%
脱イオン水 量を100%にする
【0026】
発明者彼自身は、去る8年間乾癬患者である。彼は、サリチル酸、コールタール、ステロイドを基としたものなどすべての外用塗布剤を試し、これら現在利用可能な治療に関連したあらゆる副作用を経験した。
【0027】
本発明は、他の製品の副作用を伴わない長期間使用することのできる新しい、革新的治療の開発を熱望することによりなされた。実施例における外用剤組成は、6ヶ月以上使用され、その他の乾癬患者に試験され、有望な結果を得た。
【0028】
これらの組成は他の製剤と比べて、使用、費用面で都合がよく、これらのほとんどは副作用が無く長期間使用可能である。
【0029】
治療効果が現れるまでの時間は各患者それぞれで異なり、障害の深刻さに依存するであろう。一般に、いくらかの改善がみられるのは、治療開始後3〜4日である。
【0030】
塩化アンモニウム、およびバニラなどの第4級アンモニウム化合物の正確な反応メカニズムは十分に理解されていないが、乾癬患者に実際に試験したところ、ステロイドや現在利用可能なその他の外用塗布剤の副作用はなく、有望な結果が示された。
【0031】
上記活性成分、または二又はそれ以上の上記活性成分は、上述したタイプとは異なる他の方法においても有益な適用が発見されると考えられる。
【0032】
一方、本発明の新規な特徴は、請求項に記載されており、上記詳細が限定を意図するものではなく、例示した手段およびその作用の形式および詳細において、様々な省略、修飾、代用、および変化は、本発明の精神からそれることなく当業者によってなされると確信している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
“乾癬、湿疹、及び皮膚疾患等の外用剤”の強化された薬効組成および化粧組成において、特別に選択された添加物と増量剤で特定のpH値に処方されたバニラ抽出液、塩化アンモニウム、塩化カリウムおよび第4級アンモニウム化合物などの活性因子および成分を含むことを特徴とする組成。
【請求項2】
請求項1に記載の強化された薬効組成及び化粧組成において、前記組成が、乾癬や湿疹などの皮膚疾患治療に治療効果のある量で活性因子および成分としてバニラ抽出液、塩化アンモニウム、塩化カリウムを、一又はそれ以上を共に含むことを特徴とする組成。
【請求項3】
請求項1に記載の強化された薬効組成及び化粧組成において、前記組成が、バニラ抽出液又はオイル、又は、天然若しくは合成およびこれらの誘導体を意味するバニラ抽出液を含むことを特徴とする組成。
【請求項4】
請求項1に記載の強化された薬効組成及び化粧組成において、前記組成が、表皮剥離性組成、抗アレルギ組成、抗炎症組成として使用されることを特徴とする組成。
【請求項5】
請求項1に記載の強化された薬効組成及び化粧組成において、外用塗布剤が、ローション、クリーム、軟膏、エマルジョン、溶液、パッチ、パッド、クレンザ、コンディショナ、ゲル、石鹸、スプレ、泡およびテープの形状であることを特徴とする組成。
【請求項6】
請求項1に記載の強化された薬効組成及び化粧組成において、前記組成が皮膚疾患に苦しむ男性、女性および子供用であることを特徴とする組成。
【請求項7】
請求項1に記載の強化された薬効組成及び化粧組成において、前記組成がバニラプラニフォリア(vanilla planifolia)、バニラタヒチアン(vanilla tahitensis)などのラン科(Orchid family)、ラン科(Orchidacae)における、花、果実、莢、豆、種子、つるから抽出した天然バニラ抽出液およびオイルを含むことを特徴とする組成。
【請求項8】
請求項1に記載の強化された薬効組成及び化粧組成において、前記組成が乾癬、薔薇色枇糠疹(pityriasis rosea)、 扁平苔蘚(lichen planus)、毛孔性紅色秕糠疹(pityriasis rubra pilaris)、皮膚炎(湿疹)、アクネ(acne)、ふけ症(dandruff)などの皮膚疾患の治療に用いられることを特徴とする組成。
【請求項9】
請求項1に記載の強化された薬効組成及び化粧組成において、前記組成が塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セタルコニウム、セトリミド、臭化セトリモニウム、塩化セチルピリジニウム、グリシジルトリメチル、塩化ステアラルコニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸アンモニウムなどの第4級アンモニア化合物が、さらに強化するために、添加されていることを特徴とする組成。
【請求項10】
請求項1に記載の強化された薬効組成及び化粧組成において、前記組成が塩化アンモニウム、塩化カリウムなどの陽イオン塩化物の塩が、さらに強化するために、添加されていることを特徴とする組成。
【請求項11】
請求項1に記載の強化された薬効組成及び化粧組成において、前記組成が塩化ベンザルコニウム、塩化ステアラルコニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸アンモニウムなどの第4級アンモニウムが、前記組成の重量の約0.001%乃至約40%存在し、より好適には前記組成重量の約10%乃至約30%存在することを特徴とする組成。
【請求項12】
請求項1に記載の強化された薬効組成及び化粧組成において、前記組成が塩化アンモニウム、塩化カリウム等の陽イオンと塩化物の塩が、前記組成の重量の約0.001%乃至約10%存在し、より好適には前記組成重量の約0.5%乃至約4%存在することを特徴とする組成。
【請求項13】
請求項1に記載の強化された薬効組成及び化粧組成において、前記組成が、最終組成においてpHが約3.0乃至7.0に調整されており、より好適には最終組成においてpHが約4.0乃至6.0に調整されていることを特徴とする組成。
【請求項14】
請求項1に記載の強化された薬効組成及び化粧組成において、前記組成が皮膚疾患の治療方法が、皮膚疾患領域に薬学的有効量のバニラ抽出液またはオイルを含む適宜のキャリア投与するステップを具えることを特徴とする組成。
【請求項15】
請求項1に記載の強化された薬効組成及び化粧組成において、前記組成がアーユルヴェーダ(Ayurveda)、シッダルダ(Siddha)、ユナニー(unani)、ホメオパシー(Homeopathie)などのあらゆる医学システムに従って塩を表す塩化アンモニウム、塩化カリウム等などの陽イオン塩化物の塩を含むことを特徴とする組成。

【公表番号】特表2008−500261(P2008−500261A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507627(P2006−507627)
【出願日】平成16年3月26日(2004.3.26)
【国際出願番号】PCT/IN2004/000069
【国際公開番号】WO2004/084855
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(505360188)
【Fターム(参考)】