説明

抗アレルゲンカーテンとその製造方法。

【課題】本発明は、カーテンのもつ特異な性質を利用して、室内におけるアレルゲン量を軽減するものであって、自然な空気の流れの中でアレルゲンを吸着し、アレルギー疾患患者の方にも安心して使用頂ける抗アレルゲンカーテンを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意検討の結果、粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤をカーテンの風合や色に影響しないで固着する技術を提案し、優れたアレルゲン低減化性能が発現できるカーテンを見出し本発明に到達した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アレルゲン低減化剤を塗布したカーテンに関するものであり、室内に浮遊する花粉やダニの死骸や糞等のアレルゲンを不活性化し、アレルギー疾患の症状を軽減化するカーテンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年建設される住宅は、断熱性、気密性が著しく向上しており、自然対流によって室内空気の入れ替わる時間が、従来住宅の数倍もかかるような高性能の省エネ住宅も誕生している。しかし、気密性が高いが故に、室内に臭いやハウスダストといわれる塵がこもりやすく、これらがアレルギーを引き起こす原因であるアレルゲンとなり、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患の症状を多く発症しているといわれている。
【0003】
屋外から入り込むアレルゲンの代表的なものに、花粉がある。特にスギ花粉による花粉症を発症する人は、年々増加をしており、衣類などに付着して花粉が持ち込まれたり、屋外に干された布団や洗濯物に付着して持ち込まれたりしている。
【0004】
また、屋内にあるアレルゲンとしては、ダニ(死骸、抜け殻、糞)、カビ、ペット物(毛、フケ)などがあげられる。ハウスダストといわれるこれらのアレルゲンは、室内の空調施設(例えばエアコン、ファンヒーター、ホットカーペット、床暖房等)によって起こる空気の流れに乗って、室内を循環したり、人の動きによって舞い上がったりしており、それらのハウスダストを取り除かない限り、アレルギー疾患の原因物質の完全な除去、解決には至らなかった。
【0005】
これらに対応するため、エアコンや空気清浄機等を使った集塵が行なわれるようになり、フィルター等によって空気中のアレルゲンを捕集する方法が提案されている。しかし、これらの方法は、室内の空気中に浮遊しているアレルギー疾患の原因物質には有効ではあるが、カーペットやカーテン、ソファー等に付着した原因物質にまで効果が発揮されるわけではない。
【0006】
特許文献1においては、ポリビニルアルコールや、水膨潤性粘土鉱物、あるいは柿渋のような植物抽出物を含有する水溶液もしくは分散液からなる処理液を、カーペットやカーテン、ソファー等に付着したアレルゲンに直接噴霧して、アレルゲンを不活性化させる方法を開示している。しかしながら、この方法では、耐久性のある不活性化方法とはいえず、改善が求められていた。
【0007】
また、特許文献2においては、優れた花粉付着防止と花粉アレルゲン吸着効果を有するものとして、アルミナ微粒子及び膨潤性粘土鉱物を付着又は含浸してなるセルロース系繊維又は繊維製品を開示している。しかしながら、これらの中で開示された方法では、耐久性のある不活性化方法ではなかった。
【特許文献1】特開2002−128680
【特許文献2】特開2005−163236
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、カーテンのもつ特異な性質を利用して、室内におけるアレルゲン量を軽減するものであって、自然な空気の流れの中でアレルゲンを吸着し、アレルギー疾患患者の方にも安心して使用頂ける抗アレルゲンカーテンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意検討の結果、粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤をカーテンの風合や色に影響しないで固着する技術を提案し、優れたアレルゲン低減化性能が発現できるカーテンを見出し本発明に到達した。前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0010】
[1]少なくとも粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤が、バインダー樹脂により固着していることに特徴のある抗アレルゲンカーテン。
【0011】
[2]少なくとも粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤が、バインダー樹脂と無機架橋剤により固着していることに特徴のある抗アレルゲンカーテン。
【0012】
[3]前記無機架橋剤は、ジルコニウム化合物、チタン化合物、ホウ酸類等の多価金属イオンを含む金属化合物と、シリカ化合物とから選ばれる1種または複数の無機架橋剤である請求項2に記載の抗アレルゲンカーテン。
【0013】
[4]前記粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤が0.05〜3.0g/m固着していることに特徴のある前項1に記載の抗アレルゲンカーテン。
【0014】
[5]前記粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤の平均粒径が0.01〜5.0μmであることに特徴のある前項1又は2に記載の抗アレルゲンカーテン。
【0015】
[6]バインダー樹脂と、粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤とを含む溶液に浸漬し、加熱乾燥して粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤を固着することに特徴のある抗アレルゲンカーテンの製造方法。
【0016】
[7]バインダー樹脂と、無機架橋剤と、粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤とを含む溶液に浸漬し、加熱乾燥して粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤を固着することに特徴のある抗アレルゲンカーテンの製造方法。
【発明の効果】
【0017】
[1]の発明は、少なくとも粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤が固着されているカーテンであって、室内の自然対流によって窓面に沿って下降する空気の流れに沿う形でカーテンが配置されることから、室内の自然対流によって浮遊するハウスダストといわれるアレルゲン物質は、窓面に沿って下降する空気の流れに乗って移動し、カーテンに固着されたアレルゲン吸着剤と接触して吸着される。吸着されたアレルゲン物質は、さらに粘土鉱物内の細孔内に取り込まれ不活性化される。また、本発明では、粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤を使用するので、カーテンの加工工程中に高温な加工工程を通過させたとしても変色したり変性することがなく、安定した抗アレルゲン性能を発揮するカーテンとすることができる。また、粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤がバインダー樹脂によって強固にカーテンに固着されるので、洗濯などを行なったとしても持続的にその効果を継続することができる。
【0018】
[2]の発明は、[1]の発明の効果に加えて、粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤がバインダー樹脂と無機架橋剤によりさらに強固にカーテンに固着されるので、バインダー樹脂が少量であっても確実に固着することができ、洗濯などを行なったとしても持続的にその効果を継続することができる。
【0019】
[3]の発明は、前記無機架橋剤はジルコニウム化合物、チタン化合物、ホウ酸類等の多価金属イオンを含む金属化合物と、シリカ化合物とから選ばれる1種または複数の無機架橋剤からなるので、バインダー樹脂の加熱乾燥後の皮膜の耐水性を向上させることができ、洗濯などを行なったとしても持続的にその効果を一層継続することができる。
【0020】
[4]の発明では、カーテンに粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤が少なくとも0.05〜3.0g/m固着しているので、自然対流の中で浮遊するアレルゲン物質に対し十分なアレルゲン低減化効果を得ることが出来る。
【0021】
[5]の発明では、前記粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤の平均粒径が0.01〜5.0μmであるので、カーテンの風合や色相に影響を与えることなく十分なアレルゲン低減化効果を得ることが出来る。
【0022】
[6]の発明では、バインダー樹脂と、粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤とを含む溶液に浸漬するので、塗布ムラのない均一な塗布をカーテンに行うことができ、加熱乾燥するので、アレルゲン吸着剤の固着性がより高まり、アレルゲン低減化性能の持続的耐久性が一段と向上した抗アレルゲンカーテンの製造方法とすることができる。
【0023】
[7]の発明は、バインダー樹脂と、無機架橋剤と、粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤とを含む溶液に浸漬するので、塗布ムラのない均一な塗布をカーテンに行うことができ、加熱乾燥するので、アレルゲン吸着剤の固着性がより高まり、無機架橋剤によってバインダー樹脂の加熱乾燥後の皮膜の耐水性を向上させることができるので、洗濯などを行なったとしても持続的にその効果を一層継続することができる。アレルゲン低減化性能の持続的耐久性が格段と向上した抗アレルゲンカーテンの製造方法とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、この発明に係る抗アレルゲンカーテンの実施の形態について詳しく説明する。この実施形態の抗アレルゲンカーテンは、少なくとも粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤がバインダー樹脂により固着されている。
【0025】
室内の空気の流れとしては、一般的に、壁面や窓面によって冷やされた空気は、壁面や窓面に沿って下降し、床面や暖房具、照明装置等によって暖められた空気は上昇し、天井に達してから壁面や窓面に沿って下降し、自然に対流している。特に窓面においては、その傾向が顕著であって、窓面に沿って下降する空気の流れに丁度沿う形でカーテンが配置されることから、空気中を浮遊するアレルゲン物質を自然に取り除く方法として、本発明のようにカーテンにアレルゲン吸着剤を固着する方法は、特にエネルギーを必要とすることもなく効率的なアレルゲン低減化方法といえる。
【0026】
本発明に使用するカーテンはとしては、織物、編物等特にその形態は限定しないが、一般に繊維製品からなるカーテンは、壁紙や壁板等と比較しても、凹凸が多く表面積は比較にならないほど大きく、それだけでも吸着能力と通気性を有していることから、抗アレルゲンカーテンとして好ましい。繊維製品からなるカーテンの繊維については、素材および形態は特に限定されない。例えば、木綿、麻、絹等の天然繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維等のような合成繊維、レ−ヨン繊維等の再生繊維からなるもの等を好適に使用できる。あるいは、このような繊維を用いた複合化繊維、混綿等の繊維を使用したカーテンが挙げられる。
【0027】
バインダー樹脂としては、粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤をカーテンに固着することが出来れば特に限定されないが、例えばウレタン樹脂、自己架橋型アクリル樹脂、メタアクリル樹脂、シリコン樹脂、グリオキザール樹脂、ポリエステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ブタジエン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル−シリコン共重合体樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂(SBR)、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、イソブチレン無水マレイン酸共重合体樹脂、エチレン−スチレン−アクリレート−メタアクリレート共重合体樹脂等を挙げることができる。本発明においては、防炎性能や風合に影響しないで固着することのできるポリエステル樹脂やウレタン樹脂が望ましい。
【0028】
カーテン用生地に粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤を付与する方法は、バインダー樹脂溶液に粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤を均一に分散させた溶液を作成し、浸漬法でカーテン用生地に塗布し、マングル等で絞ってから、加熱乾燥して固着する。この時の加熱処理温度は、カーテン用生地の素材にもよるが、100〜180℃とするのが好ましい。この温度での加熱処理によりカーテン用生地への固着性がより高まり、粘土鉱物からなるアレルゲン低減化性能の持続的耐久性能が一段と向上する。
【0029】
さらに、バインダー樹脂と浸透剤と粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤と無機架橋剤とを均一に分散させた溶液を浸漬法でカーテン用生地に塗布するのが好ましい。無機架橋剤によってバインダー樹脂の加熱乾燥後の皮膜の耐水性を向上させることができるので、洗濯などを行なったとしても持続的にその効果を一層継続することができる。
【0030】
無機架橋剤としては、ジルコニウム化合物、チタン化合物、ホウ酸類等の多価金属イオンを含む金属化合物と、シリカ化合物とから選ばれる1種または複数の無機架橋剤が必要である。ジルコニウム化合物としては、例えば酸化ジルコニウム、酸塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム、炭酸ジルコニルアンモニウム等を挙げることができる。チタン化合物としては、例えば酸化チタン、4四塩化チタン等を挙げることができる。ホウ酸類としては、例えば四ホウ酸、オルトホウ酸及びそれらの塩等を挙げることができる。シリカ化合物としては、例えば二酸化珪素等を挙げることができる。無機架橋剤を混入する量は、バインダー樹脂100重量部に対して0.3〜5重量部が好ましい。0.3重量部を下回る量ではバインダー樹脂の架橋が十分に行われず、加熱乾燥後の皮膜の耐水性が不十分となる。5重量部を超えると風合いが硬くなる虞があるので好ましくない。
【0031】
また、前記粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤とバインダー樹脂、前記粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤とバインダー樹脂と無機架橋剤とを用いる場合のいずれの場合も水に分散した水分散液として使用することができる。バインダー樹脂については水との間でエマルジョン状態を形成させるのがより好ましい。水に分散させる順序としては、粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤を水に分散させておいてから、バインダー樹脂、無機架橋剤を混入する場合は無機架橋剤を分散せしめるのが、粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤とバインダー樹脂をより均一に分散させる観点から好ましい。また、この水分散液に、分散剤、増粘剤などの各種添加剤を配合してもよい。
【0032】
本発明における粘土鉱物からなるアレルゲン低減化成分は、アレルゲンを吸着させるなどして不活性化し、抗原抗体反応を抑制する成分であれば特に限定されるものではなく、例えば、ベントナイト、モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、ノントロナイト、スチーブンサイト、から選ばれる少なくとも1種を含むアレルゲン吸着剤が好ましい。これらの粘土鉱物は、吸湿性能に優れ、空気中の水分を吸収するのと同様に花粉、ハウスダスト等のアレルゲンを吸着し粘土鉱物内の細孔にとりこむ。アレルゲン性を有する蛋白質は水に溶ける性質があり、粘土鉱物内の細孔に吸着して不活化される。
【0033】
本発明において、カーテンに固着される粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤は、少なくとも0.05〜3.0g/m固着されるのが好ましい。粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤が0.05g/mを下回る場合はアレルゲン低減化効果が発揮されないので好ましくなく、3.0g/mを越えると風合も硬くなり、アレルゲン低減化効果が経済的に得られない。より好ましくは0.2〜1.5g/mがよい。
【0034】
また、本発明において、カーテンに固着される粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤の平均粒径は、0.01〜5.0μmであるのが好ましい。0.01μmよりも細かな平均粒径の粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤では、均一な水分散液が得にくく、5.0μmを超える平均粒径の粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤では、風合が固くザラツキ感が発現しやすくなる。より好ましくは0.1〜3.0μmがカーテンの風合や色相に影響を与えることなく十分なアレルゲン低減化効果を得ることが出来る。
【実施例】
【0035】
次に、この発明の実施例として使用したカーテンの材質、構造、粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤の種類、加工方法、アレルゲン性能測定試験および判定方法は次の通りである。
【0036】
<使用材料>
カーテン・・・ポリエステル繊維からなるカーテン生地を用意した。
アレルゲン低減化剤・・・ベントナイト(京都和光純薬株式会社製)平均粒径1.0μm
バインダー樹脂・・・ウレタン樹脂
無機架橋剤・・・ジルコゾールAC−7(第一稀元素化学工業社製)
【0037】
<アレルゲン低減性能試験>
ELISA法のサンドイッチ法にて測定し、生成した発色物質の吸光度を吸光度計で読み取り、濃度既知の標準品を用いて作成した標準曲線から、サンプル中のアレルゲン量を定量して、アレルゲン低減化率を算出し、下記の4段階で評価し、評価「1」「2」を合格とした。
(判定基準)
「1」・・アレルゲンの汚染はない。(アレルゲン低減化率80%以上)
「2」・・ややアレルゲンに汚染されている程度である。(アレルゲン低減化率60%以上80%未満)
「3」・・アレルゲンに汚染されている。(アレルゲン低減化率40%以上60%未満)
「4」・・非常にアレルゲンに汚染されている。(アレルゲン低減化率40%未満)
【0038】
<洗濯耐久性試験>
JIS 0217 103法に準じる方法を10回、20回、30回行なった。
【0039】
<実施例1>
水100重量部に粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤を0.5重量部分散させておいてから、バインダー樹脂を1重量部分散した水溶液にカーテン生地を浸漬し、マングルで絞り(絞り率70%)、160℃、3分間乾燥処理して、粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤を0.4g/m固着したカーテン生地を得た。
【0040】
次にスギ花粉アレルゲンの入った溶液に前記カーテン生地(5cm×5cm)を浸し、3時間後のアレルゲン残存量を測定し、アレルゲン低減性能を算出し、低減化率85%で「1」の判定結果を得た。次に、洗濯を10回、20回、30回行なった該カーテンに、同様にしてアレルゲン低減性能を測定し、洗濯回数10回、20回、30回の順に「1」、「4」、「4」の判定結果を得た。
【0041】
<実施例2>
水100重量部に粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤を3.5重量部分散させておいてから、バインダー樹脂を7重量部分散した水溶液にカーテン生地を浸漬し、粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤を2.5g/m固着したカーテン生地を得た以外は、実施例1と同様にして抗アレルゲンカーテンを得た。アレルゲン低減性能の測定では低減化率95%で「1」の結果を得た。次に、洗濯を10回、20回、30回行なった該カーテン生地に、同様にしてアレルゲン性を測定し、洗濯回数10回、20回、30回の順に「1」、「3」、「4」の判定結果を得た。
【0042】
<実施例3>
粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤を0.1g/m固着したカーテン生地を得た以外は、実施例1と同様にして抗アレルゲンカーテンを得た。低減化率73%でアレルゲン低減性能の測定での判定は「2」の結果を得た。次に、洗濯を10回、20回、30回行なった該カーテン生地に、同様にしてアレルゲン性を測定し、洗濯回数10回、20回、30回の順に「2」、「4」、「4」の判定結果を得た。
【0043】
<実施例4>
粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤を平均粒径0.1μmのベントナイト(京都和光純薬株式会社製)とした以外は、実施例1と同様にして抗アレルゲンカーテンを得た。低減化率90%で「1」の判定結果を得た。次に、洗濯を10回、20回、30回行なった該カーテンに、同様にしてアレルゲン低減性能を測定し、洗濯回数10回、20回、30回の順に「1」、「4」、「4」の判定結果を得た。
【0044】
<実施例5>
水100重量部に粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤を0.5重量部分散させておいてから、バインダー樹脂を1重量部、無機架橋剤0.025重量部分散した水溶液にカーテン生地を浸漬し、粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤を0.4g/m固着したカーテン生地を得た以外は、実施例1と同様にして抗アレルゲンカーテンを得た。アレルゲン低減性能の測定では低減化率87%で「1」の結果を得た。次に、洗濯を10回、20回、30回行なった該カーテン生地に、同様にしてアレルゲン性を測定し、洗濯回数10回、20回、30回の順に「1」、「1」、「2」の判定結果を得た。
【0045】
<実施例6>
水100重量部に粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤を3.5重量部分散させておいてから、バインダー樹脂を7重量部、無機架橋剤0.175重量部分散した水溶液にカーテン生地を浸漬し、粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤を2.5g/m固着したカーテン生地を得た以外は、実施例1と同様にして抗アレルゲンカーテンを得た。アレルゲン低減性能の測定では低減化率97%で「1」の結果を得た。次に、洗濯を10回、20回、30回行なった該カーテン生地に、同様にしてアレルゲン性を測定し、洗濯回数10回、20回、30回の順に「1」、「1」、「1」の判定結果を得た。
【0046】
<比較例1>
粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤を固着していないカーテン生地を使用した以外は、実施例1と同様にしてアレルゲン低減性能の測定をしたところ「4」という結果を得た。
【0047】
<比較例2>
有機系のアレルゲン低減化剤(京都和光純薬株式会社製)を0.4g/m固着したカーテンを用いた以外は、実施例1と同様にして抗アレルゲンカーテンを得た。アレルゲン低減性能の判定は「2」の結果を得た。次に、洗濯を10回、20回、30回行なった該カーテン生地に、同様にしてアレルゲン性を測定し、洗濯回数10回、20回、30回の順に「3」、「4」、「4」の判定結果を得た。
【0048】
<比較例3>
実施例1において、アレルゲン低減化剤を平均粒径6.0μmのベントナイト(京都和光純薬株式会社製)とした以外は、実施例1と同様にして抗アレルゲンカーテンを得た。アレルゲン低減性能の判定では「1」の結果を得たが、ザラツキ感があり風合が不合格と判定された。10回、20回、30回の洗濯を行なった該カーテン生地に、同様にしてアレルゲン性を測定した判定では、洗濯回数10回、20回、30回の順に「1」、「4」、「4」の判定結果を得た。
【0049】
<比較例4>
実施例1においてバインダー樹脂を入れない水溶液にした以外は、実施例1と同様にして抗アレルゲンカーテン生地を得た。アレルゲン低減性能では、低減化率85%で「1」の判定結果を得たが、洗濯を10回、20回、30回行なった該カーテンに、同様にしてアレルゲン低減性能を測定したところ、洗濯回数10回、20回、30回の順に「4」、「4」、「4」の判定結果を得た。
【0050】
上述のように、粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤が0.1〜2.5g/m固着しているものについては、未加工のものや水溶液にバインダー樹脂を入れないものよりも、アレルゲン低減性能は良好な結果を得ることが出来た。また、有機系のアレルゲン低減化剤を使用した比較例2では、アレルゲン低減化性能の劣るものとなっていた。さらに、無機架橋剤によってバインダー樹脂の加熱乾燥後の皮膜の耐水性を向上させることができるので、洗濯などを行なったとしても持続的にその効果を一層継続することが出来た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤が、バインダー樹脂により固着していることに特徴のある抗アレルゲンカーテン。
【請求項2】
少なくとも粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤が、バインダー樹脂と無機架橋剤により固着していることに特徴のある抗アレルゲンカーテン。
【請求項3】
前記無機架橋剤は、ジルコニウム化合物、チタン化合物、ホウ酸類等の多価金属イオンを含む金属化合物と、シリカ化合物とから選ばれる1種または複数の無機架橋剤である請求項2に記載の抗アレルゲンカーテン。
【請求項4】
前記粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤が0.05〜3.0g/m固着していることに特徴のある請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗アレルゲンカーテン。
【請求項5】
前記粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤の平均粒径が0.01〜5.0μmであることに特徴のある請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗アレルゲンカーテン。
【請求項6】
バインダー樹脂と、粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤とを含む溶液に浸漬し、加熱乾燥して粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤を固着することに特徴のある抗アレルゲンカーテンの製造方法。
【請求項7】
バインダー樹脂と、無機架橋剤と、粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤とを含む溶液に浸漬し、加熱乾燥して粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤を固着することに特徴のある抗アレルゲンカーテンの製造方法。