説明

抗アレルゲン剤

【課題】本発明は耐熱性に優れ着色性が少なく加工性に優れ、耐水性にも優れた抗アレルゲン剤および抗アレルゲン製品とその加工方法を提供するものである。
【解決手段】酸強度がpKaで4.0以下の無機固体酸である、リン酸ジルコニウム、リン酸チタニウムおよびケイ酸マグネシウムよりなる群から選択された少なくとも1つを含有する抗アレルゲン剤 および上記の抗アレルゲン剤を含む抗アレルゲン組成物によって、耐熱性に優れ着色性が少なく加工性に優れ、耐水性にも優れた抗アレルゲン製品を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗アレルゲン剤および抗アレルゲン製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、スギ花粉等による花粉症や、ダニ等が原因のハウスダストによる気管支喘息、花粉症、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患に悩む人が増加し深刻な問題となっている。これらアレルギー性疾患の治療法としては、抗アレルギー剤とよばれる一連の薬剤や吸入用あるいは外用ステロイド剤が開発され大きく前進したが、対症療法的な域を出ず根治的な治療法ではない。
【0003】
また、ハウスダスト中のダニ駆除には一般的に殺ダニ剤等が用いられるが、ハウスダスト中のコナヒョウダニやヤケヒョウダニなどは虫体のみならずその糞や死骸までもアレルゲン反応を引き起こすという特徴を持っており、死んだ後も虫体が分解するに従い徐々に微粒子のアレルゲンを放出するため、ダニを殺しただけではアレルゲンを不活化したことにならない。また、マスクはスギ等の花粉を吸入するのを防ぐために用いられているが、マスクに付着した花粉はアレルゲン活性が消失するわけではないので、再び飛散することによって吸入してしまう危険性がある。
【0004】
このような問題から、アレルギー疾患の症状軽減あるいは新たな感作を防ぐためには、アレルギー症状を引き起こす原因物質であるアレルゲンを人体中に吸引される前に生活空間から取り除くか、変性させるなどして無害化させることが必要となる。
【0005】
薬剤を使わないアレルゲン除去の方法としては、電気掃除機による吸引や空気清浄機により床面堆積塵や空中浮遊塵を物理的に除去しアレルゲンを減少させる方法がある。しかしながら、電気掃除機により吸引した多量のアレルゲンは集塵袋に貯蔵されるだけであり、集塵袋の廃棄時にアレルゲンが再飛散する危険性が考えられる。また、空気清浄機による除去では微細化された粒子状物質を完全に除去することは困難であり再飛散の危険性がある。
【0006】
そこで近年、有害なアレルゲンの抗体との反応部位を吸着や被覆などの効果で不活化し無害化する抗アレルゲン剤が提案されている。例えば、タンニン酸を用いた方法(たとえば特許文献1〜2および非特許文献1参照)や、その類似化合物である茶抽出物、没食子酸等のポリフェノール類が知られている(特許文献3参照)。しかしながらタンニン酸などの有機のアレルゲン低減化剤は化学的に不安定であり、繊維や繊維製品に付着させた場合、着色あるいは経時的に変色を起こしたり、あるいは水分、油分、溶剤や洗濯によって環境に流れ出し、衣服を汚したり皮膚に炎症を起こしたりするという問題がある。特許文献1の実験2には、蒸留水によってタンニン酸が除去できることが開示されているから、タンニン酸で処理された繊維を繰り返し洗濯すればタンニン酸が失われてしまうことは明らかである。したがって、濡れたり洗濯したり直接肌に触れる可能性のある繊維や繊維製品に抗アレルゲン剤として使用するのは問題があり、色調や耐熱性、耐久性といった問題からも人目にさらされる繊維製品では使用できる対象が限定されるという欠点があった。そこで、これまでの欠点を解消した抗アレルゲン剤の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭61−44821号公報
【特許文献2】特公平2−16731号公報
【特許文献3】特開平6−279273号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「総説タンニンに関する最近の研究」薬学雑誌、103(2)、125−142(1983)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記事情に鑑み、耐熱性に優れ着色性が少なく加工性に優れ、耐水性にも優れた抗アレルゲン剤および抗アレルゲン製品とその加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の<1>、<5>〜<7>に記載の手段により、上記課題を解決することを見いだした。好ましい実施態様である<2>〜<4>とともに以下に記載する。
<1> 有効成分として酸強度がpKaで4.0以下の無機固体酸である、リン酸ジルコニウム、リン酸チタニウムおよびケイ酸マグネシウムよりなる群から選択された少なくとも1つを含有することを特徴とする抗アレルゲン剤、
<2> 無機固体酸が、リン酸ジルコニウムおよびリン酸チタニウムから選択された少なくとも1つである、上記<1>に記載の抗アレルゲン剤、
<3> 前記無機固体酸がリン酸ジルコニウムである、上記<2>に記載の抗アレルゲン剤、
<4> 前記無機固体酸が層状リン酸ジルコニウムである、上記<3>に記載の抗アレルゲン剤、
<5>上記<1>〜上記<4>のいずれかに記載の抗アレルゲン剤を含むことを特徴とする抗アレルゲン組成物、
<6> 上記<5>に記載の抗アレルゲン組成物を用いた抗アレルゲン製品の加工方法、
<7> 上記<6>に記載の抗アレルゲン製品の加工方法によって加工された抗アレルゲン製品。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、耐熱性に優れ着色性が少なく加工性に優れ、耐水性にも優れた抗アレルゲン剤および抗アレルゲン製品とその加工方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明について説明する。
本発明において、アレルゲンとしては、人および動物がアレルゲンと皮膚接触あるいは粘膜接触することでアレルギー性が惹起されるものであればなんら限定されないが、具体的には、イヌやネコや鳥などの体毛や上皮由来のアレルゲン、スギ、ヒノキ、ヨモギ、ケヤキ、オオアワガエリ、ハルガヤ、ブタクサ等の花粉、天然ゴムラテックス等の植物由来のアレルゲン、カビ由来のアレルゲン、ダニ、ゴキブリ本体もしくは排泄物などの動植物蛋白質を例示することができる。好ましくは、一般に家屋内でハウスダストとして接触する事が多い屋内塵性ダニ類由来のアレルゲンや花粉症の原因物質となる花粉アレルゲンである。
【0013】
本発明における無機固体酸とは、無機物質であってその表面にH+を放出し酸性を示す部分(酸点もしくは活性点)を持つ固体である。無機固体酸の具体例には、リン酸ジルコニウム、リン酸チタニウムおよびケイ酸マグネシウムが挙げられる。このうちさらに好ましいものは酸強度が大きいリン酸ジルコニウムであり、その中でも結晶系が層状構造を持つ層状リン酸ジルコニウムは特に酸強度が大きいので最も好ましいものである。
【0014】
本発明における無機固体酸の形状には、粉末状、塊状、板状および繊維状などが挙げられるが、様々な材質や形態への加工に適用させるために粉末状が好ましい。粉末状である場合の好ましい平均粒径は0.01〜50μmであり、より好ましくは0.02〜20μmである。平均粒径が0.01μm以上の粉体は再凝集し難いため取り扱い易いという長所があり、また、バインダー等の表面処理剤に分散させて繊維等に後加工する場合、平均粒径が50μm以下の粒子は、分散性がよくて繊維の風合いを損ねないことや、繊維に練りこんだ場合に糸切れを起こし難いことなどの長所があり好ましい。
【0015】
本発明における無機固体酸の色調に限定はないが、様々な材質や形態への加工に適用させるために白色または明度の高い淡色が好ましい。好ましい明度は黒色を0%、白色を100%とした時に60%以上のものである。
【0016】
本発明における無機固体酸の酸強度とは、無機固体酸表面の酸点が塩基にプロトンを与える能力あるいは塩基から電子対を受け取る能力である。酸強度の測定は酸塩基指示薬を用いる方法で実施できる。塩基として適当な酸塩基指示薬を選べば、その指示薬の塩基型をその共役酸型に変える能力として酸強度を測定することが可能となる。
【0017】
酸強度の測定に用いることができる酸塩基指示薬および変色pKa値の例としては、ニュートラルレッド(+6.8)、メチルレッド(+4.8)、4−フェニルアゾ−1−ナフチルアミン(+4.0)、ジメチルイエロー(+3.3)、2−アミノ−5−アゾトルエン(+2.0)、4−フェニルアゾ−ジフェニルアミン(+1.5)、4−ジメチルアミノアゾ−1−ナフタレン(+1.2)、クリスタルバイオレット(+0.8)、p−ニトロベンゼンアゾ−p’−ニトロ−ジフェニルアミン(+0.43)、ジシンナミルアセトン(−3.0)、ベンザルアセトフェノン(−5.6)、アントラキノン(−8.2)等がある。これら酸強度(pKa)の知られた種々の酸塩基指示薬を使うことにより酸強度を測定することができる。pKa値の小さい指示薬を変色するものほどその酸強度は大きい。
【0018】
上記酸塩基指示薬を用いた無機固体酸の酸強度の測定方法は以下のとおりである。
試験管に固体酸を0.1g採取し、ベンゼン2mLを加え軽く振り混ぜる。そこへ、指示薬の0.1%ベンゼン溶液(クリスタルバイオレットは0.1%エタノール溶液)を2滴添加し軽く振り混ぜ、色の変化を観察する。
酸塩基指示薬を含有する上記ベンゼン溶液は、酸塩基指示薬の前記変色pKa値より酸性側では酸性色に呈色し、酸塩基指示薬の前記変色pKa値より塩基性側では塩基性色に呈色し、酸塩基指示薬の前記変色pKa値およびその近傍(「変色域」ともいう。)では酸性色および塩基性色の混ざり合った色に呈色する。
変色域の確認された酸塩基指示薬があった場合は、当該酸塩基指示薬の変色pKa値を無機固体酸の酸強度として表記する。また、変色域の確認された酸塩基指示薬がなかった場合は、無機固体酸の酸強度(pKa値)は、酸性色が確認された最も小さい酸強度の酸塩基指示薬の酸強度(酸性色の確認された最も小さい変色pKa値を有する酸塩基指示薬の変色pKa値)より小さく、また、塩基性色が確認された最も大きい酸強度の酸塩基指示薬の酸強度(塩基性色の確認された最も大きい変色pKa値を有する酸塩基指示薬の変色pKa値)より大きいとして表記する。
また、下限を示す適当な酸塩基指示薬がない場合、無機固体酸のpKa値は(酸性色の確認された最も小さい変色pKa値を有する酸塩基指示薬のpKa値)より小さい、および上限を示す適当な指示薬がない場合、無機固体酸のpKa値は(塩基性色の確認された最も大きい変色pKa値を有する酸塩基指示薬のpKa値)より大きいとして表記されるのが一般的である。
【0019】
本発明における無機固体酸の酸強度は、pKa値が低いほど抗アレルゲン効果が高いため好ましい。具体的には、pKaが4.0以下であることが好ましく、より好ましくはpKaが3.3以下、さらに好ましくはpKaが1.5以下である。このなかでもpKaが1.5以下の固体酸の抗アレルゲン効果は特に優れており、様々なアレルゲン物質に対して高い効果を示す。すなわち、本発明の抗アレルゲン剤はpKaが低い値をもつ無機固体酸であることが好ましい。
【0020】
本発明の無機固体酸は一定の水分量を持つことで抗アレルゲン効果が発現しやすくなる。吸湿性を有する無機固体酸は他の材料と混合したり、大気の湿度が変化しても水分を固体酸中に保つことができ、アレルゲン不活化に必要な水分を無機固体酸自体が有している点で優れている。
【0021】
本発明の抗アレルゲン剤は無機固体酸を含むものであり、無機固体酸単独では耐熱性と耐変色性が著しく高いことに特徴がある。従って本発明の抗アレルゲン剤は、繊維加工での乾燥工程や樹脂への練りこみ工程など、加熱工程を経る加工方法を用いる場合には特に好ましいものである。
【0022】
本発明における抗アレルゲン剤の形状には、粉末状、塊状、板状および繊維状などが挙げられるが、様々な材質や形態への加工に適用させるために粉末状が好ましい。粉末状である場合の好ましい平均粒径は0.01〜50μmであり、より好ましくは0.02〜20μmである。平均粒径が0.01μm以上の粉体は再凝集し難いため取り扱い易いという長所があり、また、バインダー等の表面処理剤に分散させてコーティング組成物として用いる場合、平均粒径が50μm以下の粒子は、分散性がよくてコーティングされた製品の風合いを損ねないことや、繊維に練りこんだ場合には糸切れを起こし難いことなどの長所があり好ましい。
【0023】
本発明における抗アレルゲン剤の色調に限定はないが、様々な材質や形態への加工に適用させるために白色または黄色度の低い淡色が好ましい。好ましい黄色度はJIS−K7103−1977規格で示されるYI値が50以下であり、より好ましくは20以下、さらに好ましくは15以下である。
【0024】
本発明における抗アレルゲン剤は経時的な変色がほとんどないため、人目にさらされる製品等へも問題なく使用することができる。
【0025】
本発明の抗アレルゲン剤は耐水性があり、それを用いた抗アレルゲン製品にも雨水や水洗、洗濯等による水での流出に対し耐水性を示し、抗アレルゲン効果を持続して発揮する
ことができる。
【0026】
本発明における抗アレルゲン効果は抗原の検出・定量法として広く用いられているELISA法のサンドイッチ法により評価し、式1に示すアレルゲン不活化率として表示した。初期アレルゲン量とはELISA評価に用いたアレルゲン量を示し、残存アレルゲン量とは試料との接触後のアレルゲン量を示す。また、本発明におけるアレルゲン不活化とは、アレルゲンの特異抗体との反応を抑えることであり、アレルゲン不活化率が高いほど好ましい。具体的には、アレルゲン不活化率50%以上が好ましく、より好ましくはアレルゲン不活化率90%以上、さらに好ましくはアレルゲン不活化率99%以上である。
アレルゲン不活化率
=(1−残存アレルゲン量/初期アレルゲン量)×100(%) <式1>
試験の対象が抗アレルゲン剤を含むコーティング剤や抗アレルゲン剤を練りこんだ樹脂や抗アレルゲン剤を付着させた繊維等の抗アレルゲン剤以外のものを含む物品である場合、これらの物品の構成から抗アレルゲン剤を除いたもので空試験を行い、空試験のアレルゲン不活化率を0とするように、他の測定結果を規格化することがある。この場合も測定結果を規格化したことを断れば、規格化後の数値をアレルゲン不活化率として使用してよい。
【0027】
本発明の抗アレルゲン剤の使用形態は特に制限がなく、用途に応じて適宜他の成分と混合したり、他の材料と複合したりして組成物とすることができる。例えば、粉末、粉末含有分散液、粉末含有粒子、粉末含有塗料、粉末含有繊維、粉末含有紙、粉末含有プラスチック、粉末含有フィルム、粉末含有エアーゾル等の種々の形態で用いることができ、さらに必要に応じて、消臭剤、抗菌剤、抗カビ剤、防炎剤、防食、肥料および建材等の各種の添加剤あるいは材料と併用することもできる。また、人が接触する可能性のある材料、たとえば樹脂、紙、プラスチック、ゴム、ガラス、金属、コンクリート、木材、塗料、繊維
、革、石などに添加することによって生活空間におけるアレルゲンを不活化させることが可能である。
【0028】
これらの使用方法の中でも好ましいのは、抗アレルゲンコーティング組成物または抗アレルゲン樹脂組成物によるものであり、これらの2つの組成物を総称して抗アレルゲン組成物と呼ぶ。2つの組成物のうち、より好ましいのは比較的少量のアレルゲン剤を物品の表面に集中させて効果を発揮させ易いコーティング組成物である。
上記の抗アレルゲン組成物の一つである抗アレルゲンコーティング剤とは、本発明の抗アレルゲン剤を一般的にバインダーと呼ばれる固着剤とを含むコーティング組成物として用いることである。このコーティング組成物にはバインダーの他に添加剤を加えてもよく、また、組成物を物品に加工する前に溶剤や水で希釈することもできる。組成物中に含まれる前記抗アレルゲン剤の濃度は分散が容易で保存性がよいことから0.5〜50重量%が好ましく、さらに好ましくは1〜30重量%である。通常、抗アレルゲン効果は、物品の表面で抗アレルゲン剤とアレルゲンとが接触することによって発現するので、前記のコーティング組成物で物品の表面に抗アレルゲン剤を固定することは、より少ない量の抗アレルゲン剤で大きな効果を得ることができるので好ましい。
【0029】
本発明において、コーティング組成物に用いるバインダーとしては、特に限定されないが、以下のものが例示できる、すなわち、天然樹脂、天然樹脂誘導体、フェノール樹脂、キシレン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ケトン樹脂、クマロン・インデン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブラチラール、塩素化ポリプロピレン、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタンおよびセルロース誘導体等である。このうち、好ましいものはアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂であり、中でもエマルション型の樹脂は低公害で取り扱い易いので好ましい。
また、添加剤として用いることができるものは酸化亜鉛や酸化チタンなどの顔料、染料、酸化防止剤、耐光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、発泡剤、耐衝撃強化剤、ガラス繊維、金属石鹸などの滑剤、防湿剤および増量剤、カップリング剤、核剤、流動性改良剤、消臭剤、木粉、防黴剤、防汚剤、防錆剤、金属粉、紫外線吸収剤、紫外線遮蔽剤などがあり、いずれも好ましく用いることができる。
【0030】
本発明の抗アレルゲン剤とコーティング組成物で物品や繊維を加工する方法としては、組成物をそのままあるいは希釈した液体を物品や繊維製品およびこれらの原材料となる材料や繊維に塗布、浸漬または吹き付ける方法がある。繊維に加工する場合には、加工できる繊維には種々のものがあるが、たとえば綿、絹、羊毛等の天然繊維、ポリエステル、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ナイロン、アクリロニトリル等の合成繊維、トリアセテート、ジアセテートなどの半合成繊維、ビスコースレーヨン等の再生繊維等が挙げられ、これらの繊維を2種類以上使用した複合繊維でもよい。また、ポリエチレンやポリプロピレンなどを用いた不織布にも使用することが可能である。本発明の抗アレルゲン剤の繊維または繊維製品への加工方法は特に限定されるものではないが、浸漬処理、プリント処理、吹き付け処理等があり、組成物を含んだ繊維を乾燥することによって加工を完了する。乾燥方法は自然乾燥、熱風乾燥、真空乾燥などいずれも用いることができるが、好ましくは自然乾燥または熱による方法で、好ましくは50℃〜120℃の間で、好ましくは5分〜2時間乾燥することによって抗アレルゲン剤を繊維に定着させることができる。
【0031】
本発明の抗アレルゲン剤の物品または繊維製品およびそれらの原材料に対する添着量は、組成物全体の0.1重量%以上が好ましく、0.5重量%以上がより好ましく、コーティング組成物として使用するときはこれらのものの表面積1m2に対して0.1g以上あると明らかな効果を発現し易いので好ましい。コーティング組成物の添着量は、経済的理由や添加する物品や繊維製品等の物性や風合いや色合いなどを損なわない点で表面積1m2に対して20g以下が好ましい。したがって、コーティング組成物として使用するときの添着量はものの表面積1m2あたり0.1g〜20gが好ましく、より好ましくは0.5g〜10g、さらに好ましくは1g〜5gである。
【0032】
本発明の抗アレルゲン組成物の1つである抗アレルゲン樹脂組成物は、本発明の抗アレルゲン剤を樹脂と配合することにより容易に得ることができる。抗アレルゲン樹脂組成物
に用いることができる樹脂の種類に特に制限はなく、天然樹脂、合成樹脂、半合成樹脂のいずれであってもよく、また熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれであってもよい。
具体的な樹脂としては成形用樹脂、繊維用樹脂、ゴム状樹脂のいずれであってもよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ABS樹脂、AS樹脂、MBS樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリカーボネート、PBT、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、メラミン樹脂、ユリア樹脂、四フッ化エチレン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、レーヨン、アセテート、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、キュプラ、トリアセテート樹脂、ビニリデン樹脂などの成形用または繊維用樹脂、天然ゴム、シリコーンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、クロルスルホン化ポリエチレンゴム、ブタジエンゴム、合成天然ゴム、ブチルゴム、ウレタンゴムおよびアクリルゴムなどのゴム状樹脂がある。また、樹脂成分に加えて、各種添加剤を含有させることもできる。添加剤として用いることができるものは酸化亜鉛や酸化チタンなどの顔料、染料、酸化防止剤、耐光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、発泡剤、耐衝撃強化剤、ガラス繊維、金属石鹸などの滑剤、防湿剤および増量剤、カップリング剤、核剤、流動性改良剤、消臭剤、木粉、防黴剤、防汚剤、防錆剤、金属粉、紫外線吸収剤、紫外線遮蔽剤などがあり、いずれも好ましく用いることができる。
【0033】
本発明の抗アレルゲン剤を樹脂へ配合し樹脂組成物を製造する方法は、公知の方法がいずれも採用できる。例えば、(1)抗アレルゲン剤粉末と樹脂とが付着しやすくするための添着剤や抗アレルゲン剤粉末の分散性を向上させるための分散剤を使用し、ペレット状樹脂またはパウダー状樹脂をミキサーで直接混合する方法、(2)前記のようにして混合して、押し出し成形機にてペレット状に成形した後、その成形物をペレット状樹脂に配合する方法、(3)抗アレルゲン剤をワックスを用いて高濃度のペレット状に成形後、そのペレット状成形物をペレット状樹脂に配合する方法、(4)抗アレルゲン剤をポリオールなどの高粘度の液状物に分散混合したペースト状組成物を調製後、このペーストをペレット状樹脂に配合する方法などがある。
【0034】
上記の樹脂組成物の成形加工には、各種樹脂の特性に合わせてあらゆる公知の成形加工技術と機械装置が使用可能であり、適当な温度または圧力で加熱および加圧または減圧しながら混合、混入または混練りの方法によって容易に調製することができ、それらの具体的操作は常法により行えばよく、塊状、スポンジ状、フィルム状、シート状、糸状またはパイプ状或いはこれらの複合体など、種々の形態に成形加工できる。
【0035】
本発明の抗アレルゲン剤の使用形態は上記のような組成物や樹脂組成物、樹脂成形品の他に、アレルゲン低減化が必要とされる用途に応じてそのまま、あるいは適宜他の成分と混合したり、他の材料と複合させて用いることができる。例えば、粉末状、粉末分散液状、粒状、エアゾール状、または液状などのあらゆる形態で用いることができる。
【0036】
本発明の抗アレルゲン剤は、アレルゲン低減を必要とされる種々の分野、すなわち室内用品、寝具類、フィルター類、家具類、車内用品、繊維製品、住宅建材製品、紙製品、玩具、皮革製品、トイレタリー製品、およびその他の製品などとして利用することができる。例えばカーペット、カーテン、壁紙、畳、障子紙、床用ワックス、カレンダーなどの室内用品、ふとん、ベッド、シーツ、枕、枕カバーなどの寝具類、空気清浄機、エアコンなどのフィルター類、ソファー、椅子などの家具類、チャイルドシート、座席シートなどの車内用品、電気掃除機の集塵袋、衣料品、マスク、ぬいぐるみ、キッチン用品などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【実施例】
【0037】
以下に説明する実施例によって、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明をかかる実施例に限定することを意図したものではない。
実施例に記載した平均粒径とは、レーザー回折式粒度分布測定器(MALVERN MASTERSIZER 2000型)で測定して得られたメジアン径を示す。また、%は重量%を示す。
【0038】
酸強度の測定は、試験管に試料を0.1g採取し、ベンゼン2mLおよび指示薬の0.1%ベンゼン溶液(ただし、クリスタルバイオレットは0.1%エタノール溶液)を2滴添加し、軽く振り混ぜ、色の変化を観察した。固体酸の酸強度は指示薬の変色が確認された最も強い酸強度(最も低いpKa値)以下であり、指示薬が変色しなかった最も弱い酸強度(最も高いpKa)より高いと考えられるのでその範囲をpKa値として記録した。
なお、使用した指示薬はメチルレッド(pKa=4.8)、4−フェニルアゾー1−ナフチルアミン(pKa=4)、ジメチルイエロー(pKa=3.3)、4−フェニルアゾージフェニルアミン(pKa=1.5)、クリスタルバイオレット(pKa=0.8)、ジシンナミルアセトン(pKa=−3)、ベンザルアセトフェノン(pKa=−5.6)、アントラキノン(pKa=−8.2)である。
【0039】
抗アレルゲン剤の含水率は、試料を温度25℃相対湿度60%の恒温恒湿槽に3日間置いたもので測定した。乾燥機中250℃で1時間恒量したアルミカップに試料約5gを秤量し(0.1mg単位まで秤量)、乾燥機中で250℃で2時間乾燥後、再度秤量し(0.1mg単位まで秤量)、乾燥減分を乾燥前の重量で除したものを%表示として抗アレルゲン剤の含水率とした。
【0040】
抗アレルゲン効果は、コナヒョウダニアレルゲン(一般的にDerfIIと呼ばれるアレルゲン)およびスギ花粉アレルゲン(一般的にCryj1と呼ばれるアレルゲン)を用いるELISA法のサンドイッチ法により評価した。コナヒョウダニアレルゲンを用いた場合の試験操作は次のようである。コナヒョウダニアレルゲン(DerfII)特異的抗体(15E11抗体、アサヒビール株式会社製)を用いて常法により抗体コートウェルを作製した。
試料を1mgまたは10mg秤量し、抗原希釈液で40ng/mLに調製したコナヒョウダニアレルゲン(DerfII)を500μL添加した。混合物をよく撹拌して、試料とアレルゲンを接触させた後、遠心沈降させ、上澄み液を回収し、ブロッキング剤で処理してある15E11抗体コートウェルに添加して室温で静置した。1時間後試料を捨て、各ウェルを洗浄バッファーで洗浄し、洗浄バッファーで200ng/mLに希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗DerfIIモノクローナル抗体13A4PO(アサヒビール株式会社)を各ウェルへ添加し室温で静置した。1時間後抗体液を捨て、各ウェルを洗浄バッファーで洗浄し、基質液を各ウェルへ添加して室温で静置した。30分後に2N硫酸を加え反応を停止させ、490nmの吸光度を測定した。結果は、試料を用いずに評価を行うことで吸光度に対するアレルゲン量の関係を求め、各種試料を評価した場合の吸光度から残存アレルゲン量を求め、式1から算出することにより各種試料のアレルゲン不活化率%を表示した。
アレルゲン不活化率 =(1−残存アレルゲン量/初期アレルゲン量)×100(%) <式1>
【0041】
スギ花粉アレルゲンを用いた場合のELISA法のサンドイッチ法による試験操作は次のようである。スギ花粉アレルゲン(Cryj1)特異的抗体(生化学工業株式会社製Anti-Cryj1mAb013)を用いて常法により抗体コートウェルを作製した。
試料を1mgまたは10mg秤量し、抗原希釈液で10ng/mLに調製したスギ花粉アレルゲン(Cryj1)を500μL添加した。混合物をよく撹拌して、サンプルとアレルゲンを接触させた後、遠心沈降させ、上澄み液を回収し、ブロッキング剤で処理してあるAnti-Cryj1mAb013抗体コートウェルに添加して室温で静置した。1時間後サンプルを捨て、各ウェルを洗浄バッファーで洗浄し、洗浄バッファーで250ng/mLに希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗Cryj1モノクローナル抗体053(生化学工業株式会社製)を各ウェルへ添加し室温で静置した。2時間後抗体液を捨て、各ウェルを洗浄バッファーで洗浄し、基質液を各ウェルに添加して室温で静置した。10分後に2N硫酸を加え反応を停止させ、490nmの吸光度を測定した。結果は、コナヒョウダニアレルゲンと同様の方法で式1から算出することにより各種試料のアレルゲン不活化率%を表示した。
【0042】
繊維加工製品の抗アレルゲン効果は、アレルゲンにはコナヒョウヒダニアレルゲン(DerfII)を用い、繊維9cm3を8等分して、固体酸粉末と同様のELISA法評価により吸光度を測定し、固体酸を添加していない繊維製品を用いた場合の吸光度と比較して上記式1により抗アレルゲン不活化率%を評価した。
【0043】
樹脂フィルムの抗アレルゲン効果は、アレルゲンにはコナヒョウヒダニアレルゲン(DerfII)を用い、フィルム9cm2を8等分して、上記記載と同様のELISA法評価により吸光度を測定し、抗アレルゲン剤を添加していないフィルムを用いた場合の吸光度と比較して上記式1により抗アレルゲン不活化率%を評価した。
【0044】
(実施例1)
実施例1では、抗アレルゲン不活化率は、試料10mgにて評価を行った。[実施例1−1]層状リン酸ジルコニウム 75%リン酸水溶液に15%オキシ塩化ジルコニウム水溶液を添加し、24時間加熱還流後、沈殿物をろ過、水洗、乾燥、解砕することで層状リン酸ジルコニウムを得た。得られた層状リン酸ジルコニウムの色調、平均粒径、含水率、酸強度およびELISA法にてダニアレルゲン不活化効果およびスギアレルゲン不活化効果を測定した結果を表1に示した。
【0045】
[実施例1−2]
網目状リン酸ジルコニウム
イオン交換水300mlにシュウ酸2水和物0.1モル、オキシ塩化ジルコニウム8水和物0.2モルおよび塩化アンモニウム0.1モルを溶解後、撹拌しながらリン酸0.3モルを加えた。この溶液を28%アンモニア水を用いてpHを2.7に調整後、98℃で14時間撹拌した。その後、得られた沈殿物をよく洗浄し、700℃で焼成することにより網目状リン酸ジルコニウム得た。得られた網目状リン酸ジルコニウム色調、平均粒径、含水率、酸強度およびELISA法にてダニアレルゲン不活化効果およびスギアレルゲン不活化効果を測定した結果を表1に示した。
【0046】
[参考例1−3]
H置換ZSM−5型ゼオライト
市販のゼオライトZSM−5(水沢化学工業製EX122)を塩酸水溶液中に浸漬後、ろ過、水洗、乾燥、解砕し、固体酸であるH置換ZSM−5型ゼオライトを調製した。得られたH置換ZSM−5型ゼオライトの色調、平均粒径、含水率、酸強度およびELISA法にてダニアレルゲン不活化効果およびスギアレルゲン不活化効果を測定した結果を表1に示した。
【0047】
[参考例1−4]
アンチモン酸
五塩化アンチモンに水を加えた後、70℃で熟成しアンチモン酸を得た。得られたアンチモン酸の色調、平均粒径、含水率、酸強度およびELISA法にてダニアレルゲン不活化効果およびスギアレルゲン不活化効果を測定した結果を表1に示した。
【0048】
[参考例1−5]
シリカ−アルミナ
原料に水ガラスと硝酸アルミニウムを用いて得られた沈殿物を500℃で焼成処理後、粉砕することでシリカ−アルミナを調製した。得られたシリカ−アルミナの色調、平均粒径、含水率、酸強度およびELISA法にてダニアレルゲン不活化効果およびスギアレルゲン不活化効果を測定した結果を表1に示した。
【0049】
[参考1−6]
H置換型Y型ゼオライト
市販のゼオライトY(水澤化学工業株式会社製ミズカシーブスY400)を塩酸水溶液中に浸漬後、ろ過、水洗、乾燥、解砕し、固体酸であるH置換Y型ゼオライトを調製した。
得られたH置換Y型ゼオライトの色調、平均粒径、含水率、酸強度およびELISA法にてダニアレルゲン不活化効果を測定した結果を表1に示した。
【0050】
[比較例1−1]
二酸化珪素、酸化亜鉛、酸化アルミニウムからなる複合鉱物
市販の二酸化珪素、酸化亜鉛、酸化アルミニウムからなる複合鉱物(水澤化学工業株式会社製ミズカナイトHP)の色調、平均粒径、酸強度およびELISA法にてダニアレルゲン不活化効果を測定した結果を表1に示した。
【0051】
[比較例1−2]
A型ゼオライト
市販のゼオライトA(水澤化学工業株式会社製SilitonB)の色調、平均粒径、酸強度およびELISA法にてダニアレルゲン不活化効果およびスギアレルゲン不活化効果を測定した結果を表1に示した。
【0052】
[比較例1−3]
X型ゼオライト
市販のゼオライトX(水澤化学工業株式会社製CPT−30)の色調、平均粒径、酸強度およびELISA法にてダニアレルゲン不活化効果およびスギアレルゲン不活化効果を測定した結果を表1に示した。
【0053】
[比較例1−4]
ZSM−5型ゼオライト
市販のゼオライトZSM−5(水澤化学工業株式会社製EX122)の色調、平均粒径、酸強度およびELISA法にてダニアレルゲン不活化効果を測定した結果を表1に示した。
【0054】
[比較例1−5]
ハイドロタルサイト
市販のハイドロタルサイト(堺化学工業株式会社製HT−P)の色調、平均粒径、酸強度およびELISA法にてダニアレルゲン不活化効果を測定した結果を表1に示した。
【0055】
[比較例1−6]
酸化アルミニウム
試薬の酸化アルミニウムの色調、平均粒径、酸強度およびELISA法にてダニアレルゲン不活化効果を測定した結果を表1に示した。
【0056】
[比較例1−7]
酸化亜鉛
市販の酸化亜鉛(堺化学工業製 酸化亜鉛2種)の色調、平均粒径、酸強度およびELISA法にてダニアレルゲン不活化効果を測定した結果を表1に示した。
【0057】
【表1】

【0058】
表1の結果から、本発明の固体酸は全てダニアレルゲン不活化率50%以上を示した。
特に層状リン酸ジルコニウム、網状リン酸ジルコニウム、アンチモン酸はアレルゲン不活化率が99.9%より大きい効果を示しており、抗アレルゲン剤として非常に優れている。
また、スギ花粉アレルゲンの場合もダニの場合と同様に、本発明の固体酸は高いアレルゲン不活化率を示し抗アレルゲン剤として非常に優れている。これに対してpKaが4.0より大きい比較例ではほとんど抗アレルゲン活性を示さなかった。
【0059】
[参考例1−8]
繊維に固定した固体酸の抗アレルゲン活性評価
参考例1−3の固体酸であるH置換ZSM−5型ゼオライトとアクリルエマルションバインダー(東亞合成株式会社製ケスモンバインダーKB1300、固形分45%)とを固形分重量比で10:3になるように混ぜ合わせ、布(成分:綿/アクリル繊維=1/1)に浸漬乾燥の加工を行い、固定量10g/m2、の抗アレルゲン布を作製した。抗アレルゲン布のアレルゲン不活化効果を測定した結果を表2に示した。
【0060】
[参考例1−9]
繊維に固定した固体酸の抗アレルゲン活性評価
参考例1−3の固体酸であるH置換ZSM−5型ゼオライトをケスモンバインダーKB1300(東亞合成株式会社製、固形分45%)と固形分の重量比で10:3となるように混ぜ合わせ、布(成分:綿/アクリル繊維=1/1)に5分浸漬後、120℃で30分乾燥の加工を行い、固定量15g/m3の抗アレルゲン布を作製した。抗アレルゲン布のアレルゲン不活化効果を測定した結果を表2に示した。
【0061】
[比較例1−8]
繊維の抗アレルゲン活性評価
固体酸であるH置換ZSM−5型ゼオライトを用いずに参考例1−8と同様の加工方法により比較布を作製した。比較布のアレルゲン不活化効果を測定した結果を表2に示した。
【0062】
【表2】

【0063】
表2の結果から固体酸を付着加工した抗アレルゲン加工布はアレルゲン不活化率99%以上を示した。よって固体酸を繊維に後加工した抗アレルゲン製品の性能は優れている。
【0064】
[参考例1−10]
繊維に固定した固体酸の耐熱性評価
参考例1−9と同様の方法で抗アレルゲン布を作製し、200℃で2時間熱を加えた後、抗アレルゲン布のアレルゲン不活化効果および変色性を測定した結果を表3に示した。
【0065】
【表3】

【0066】
表3の結果から固体酸を付着加工した抗アレルゲン加工布は熱を加えても十分に高いアレルゲン不活化率を示し、また、変色もおこらないことから、固体酸を繊維に後加工した抗アレルゲン製品は耐熱性も優れている。
【0067】
(実施例2)
実施例2では、特に断りのない限り、抗アレルゲン不活化率は、試料1mgにて評価を行った。
[参考例2−1]
抗アレルゲン剤(1)
75%リン酸水溶液に15%オキシ塩化ジルコニウム水溶液を添加し、24時間加熱還流後、沈殿物をろ過、水洗、乾燥、解砕することで層状リン酸ジルコニウムを得た。得られた層状リン酸ジルコニウムとタンニン酸を重量混合比7/3で混合し、ボールミルにより3時間複合化し、ロータースピードミルにより粉砕して抗アレルゲン剤(1)を得た。得られた抗アレルゲン剤の平均粒径、黄色度、含水率、およびELISA法にてダニアレルゲン不活化効果およびスギアレルゲン不活化効果を測定した結果を表4に示した。
【0068】
[参考例2−2]
抗アレルゲン剤(2)
参考例2−1と同様に調製した層状リン酸ジルコニウムとタンニン酸を重量混合比6/4で混合し、ボールミルにより3時間複合化し、ロータースピードミルにより粉砕して抗アレルゲン剤(2)を得た。得られた抗アレルゲン剤の黄色度、含水率、およびELISA法にてダニアレルゲン不活化効果およびスギアレルゲン不活化効果を測定した結果を表4に示した。
【0069】
[参考例2−3]
抗アレルゲン剤(3)
原料に水ガラスと硝酸アルミニウムを用いて得られた沈殿物を500℃で焼成処理後、粉砕することでシリカ−アルミナを調製した。得られたシリカ−アルミナとタンニン酸を重量混合比8/2で混合し、ボールミルにより3時間複合化し、ロータースピードミルにより粉砕して抗アレルゲン剤(3)を得た。得られた抗アレルゲン剤の黄色度、含水率、およびELISA法にてダニアレルゲン不活化効果を測定した結果を表4に示した。
【0070】
[参考例2−4]
抗アレルゲン剤(4)
参考例2−3と同様に調製したシリカ−アルミナとタンニン酸を重量混合比7/3で混合し、ボールミルにより3時間複合化し、ロータースピードミルにより粉砕して抗アレルゲン剤(4)を得た。得られた抗アレルゲン剤の平均粒径、黄色度、含水率、およびELISA法にてダニアレルゲン不活化効果を測定した結果を表4に示した。
【0071】
[参考例2−5]
抗アレルゲン剤(5)
参考例2−3と同様に調製したシリカ−アルミナとタンニン酸を重量混合比6/4で混合し、ボールミルにより3時間複合化し、ロータースピードミルにより粉砕して抗アレルゲン剤(5)を得た。得られた抗アレルゲン剤の黄色度、含水率、およびELISA法にてダニアレルゲン不活化効果を測定した結果を表4に示した。
【0072】
[参考例2−6]
抗アレルゲン剤(6)
参考例2−1と同様に調製した層状リン酸ジルコニウムとタンニン酸を重量混合比3/97で混合し、ボールミルにより3時間複合化し、ロータースピードミルにより粉砕して抗アレルゲン剤(6)を得た。得られた抗アレルゲン剤の黄色度、およびELISA法にてダニアレルゲン不活化効果を測定した結果を表4に示した。
【0073】
[実施例2−7]
抗アレルゲン剤(7)
75%リン酸水溶液に15%オキシ塩化ジルコニウム水溶液を添加し、24時間加熱還流後、沈殿物をろ過、水洗、乾燥、解砕することで層状リン酸ジルコニウムを得た。得られた層状リン酸ジルコニウムの黄色度、平均粒径、含水率、酸強度およびELISA法にてダニアレルゲン不活化効果およびスギアレルゲン不活化効果を測定した結果を表4に示した。なお、抗アレルゲン剤量は10mgとした。
【0074】
[参考例2−8]
抗アレルゲン剤(8)
原料に水ガラスと硝酸アルミニウムを用いて得られた沈殿物を500℃で焼成処理後、粉砕することでシリカ−アルミナを調製した。得られたシリカ−アルミナの黄色度、平均粒径、含水率、酸強度およびELISA法にてダニアレルゲン不活化効果およびスギアレルゲン不活化効果を測定した結果を表4に示した。なお、抗アレルゲン剤量は10mgとした。
【0075】
[比較例2−1]
タンニン酸 ELISA法にてタンニン酸のダニアレルゲン不活化効果とスギアレルゲン不活化効果、平均粒径および黄色度を測定した結果を表4に示した。
【0076】
【表4】


表4中「−」の記載の欄は測定を行わなかったことを示す。
【0077】
表4において、無機固体酸及びタンニン酸を含む抗アレルゲン剤のアレルゲン不活化性能を無機固体酸単独またはタンニン酸単独と比較した場合、無機固体酸及びタンニン酸を含む抗アレルゲン剤はタンニン酸単独よりも高いアレルゲン不活化率を示した。また、複合体である参考例2−1の抗アレルゲン剤は使用量が1mgで、無機固体酸単独の実施例2−7の使用量10mgの1/10の量であるにもかかわらず、実施例2−7と同等で比較例2−1よりも高いアレルゲン不活化率を示したことから、複合物は、抗アレルゲン効果における相乗効果を奏するものであることが示された。
特に層状リン酸ジルコニウムとタンニン酸からなる抗アレルゲン剤(1)および(2)(参考例2−1および2−2)はダニアレルゲンおよびスギアレルゲンに対しアレルゲン不活化率99%以上と高い効果を示していた。また、実施例2−7および参考例2−8と比較して10分の1の使用量で高い抗アレルゲン不活化率を示し、抗アレルゲン剤(1)および(2)の抗アレルゲン性能は非常に優れている。また、タンニン酸単独の黄色度は71.8と著しく高いものであるが、本発明の抗アレルゲン剤の黄色度は低く、抗アレルゲン製品への着色性の面で好ましいものである。
【0078】
[参考例2−9]
繊維に固定した抗アレルゲン剤の抗アレルゲン活性評価
参考例2−1の抗アレルゲン剤とアクリルエマルションバインダー(東亞合成株式会社製ケスモンバインダーKB1300、固形分45%)とを固形分重量比で10/3になるように混ぜ合わせ、布(成分:綿/アクリル繊維=1/1)に浸漬後、120℃で15分乾燥の加工を行い、固定量4.3g/m2、の抗アレルゲン布を作製した。抗アレルゲン布のアレルゲン不活化効果を測定した。この試験では抗アレルゲン剤を用いない場合でも布への吸着等により試験前後でアレルゲンが減少するため、比較例2−4で抗アレルゲン剤を用いない空試験を行ってそのときのアレルゲン不活化率が0になるように測定結果を規格化して表5に示した。
【0079】
[参考例2−10]
繊維に固定した抗アレルゲン剤の耐水性評価
参考例2−9と同様の方法で参考例2−1の抗アレルゲン剤を固定した抗アレルゲン布を作製し、500mLのイオン交換水を入れた1Lのポリ容器中に入れて浸し、1分間の振とう洗濯後、自然乾燥させた。その後、参考例2−9と同様の方法で抗アレルゲン布のアレルゲン不活化効果を測定した結果を規格化して表5に示した。
【0080】
[参考例2−11]
繊維に固定した抗アレルゲン剤の抗アレルゲン活性評価
参考例2−9において、参考例2−1の抗アレルゲン剤を参考例2−6に記載の抗アレルゲン剤に変更し、固定量を4g/m2とした以外は参考例2−9と同様の方法で抗アレルゲン布のアレルゲン不活化効果を測定した結果を規格化して表5に示した。
【0081】
[参考例2−12]
参考例2−11と同様の方法で参考例2−6の抗アレルゲン剤を固定した抗アレルゲン布を作製し、500mLのイオン交換水を入れた1Lのポリ容器中に入れて浸し、1分間の振とう洗濯後、自然乾燥させた。その後、参考例2−9と同様の方法で抗アレルゲン布のアレルゲン不活化効果を測定した結果を規格化して表5に示した。
【0082】
[実施例2−13]
繊維に固定した固体酸の抗アレルゲン活性評価
実施例2−7の固体酸である層状リン酸ジルコニウムをアクリルエマルションバインダー(東亞合成株式会社製ケスモンバインダーKB1300、固形分45%)と固形分の重量比で10/3 とになるように混ぜ合わせ、布(成分:綿/アクリル繊維=1/1)に浸漬後、120℃で15分乾燥の加工を行い、固定量4.6g/m2、の抗アレルゲン布を作製した。その後、参考例2−9と同様の方法でのアレルゲン不活化効果を測定した結果を規格化して表5に示した。
【0083】
[実施例2−14]
繊維に固定した固体酸の耐水性評価
実施例2−13と同様の方法で実施例2−7の固体酸を固定した抗アレルゲン布を作製し、500mLのイオン交換水を入れた1Lのポリ容器中に入れて浸し、1分間の振とう洗濯後、自然乾燥させた。その後、実施例2−13と同様の方法で抗アレルゲン布のアレルゲン不活化効果を測定した結果を規格化して表5に示した。
【0084】
[比較例2−2]
繊維に固定したタンニン酸の抗アレルゲン活性評価
タンニン酸をアクリルエマルションバインダー(東亞合成株式会社製ケスモンバインダーKB1300、固形分45%)と固形分の重量比で10/3とになるように混ぜ合わせ、布(成分:綿/アクリル繊維=1/1)に浸漬後、120℃で15分乾燥の加工を行い、固定量4.6g/m2、の比較布を作製した。比較布のアレルゲン不活化効果を測定した結果を規格化して表5に示した。
【0085】
[比較例2−3]
繊維に固定したタンニン酸の耐水性評価
比較例2−2と同様の方法でタンニン酸を固定した比較布を作製し、500mLのイオン交換水を入れた1Lのポリ容器中に入れて浸し、1分間の振とう洗濯後、自然乾燥させた。その後、比較例2−2と同様の方法で比較布のアレルゲン不活化効果を測定した結果を規格化して表5に示した。
【0086】
[比較例2−4]
空試験の抗アレルゲン活性評価
抗アレルゲン剤を用いずに参考例2−9と同様の加工方法により比較布を作製した。比較布のアレルゲン不活化効果を測定し、その不活化率の数字を0にするように参考例2−9〜2−12、実施例2−13〜2−14、比較例2−2〜2−5の不活化率測定結果を規格化して表5に示した。従って比較例2−4のアレルゲン不活化率は0である。
【0087】
[比較例2−5]
繊維のみの耐水性評価
本発明の抗アレルゲン剤を用いずに参考例2−9と同様の加工方法により比較布を作製し、洗濯処理を行った。比較布のアレルゲン不活化効果を測定した結果を規格化して表5に示した。
【0088】
【表5】

【0089】
なお、表5は比較例2−4の布のみのアレルゲン不活化率を0%とし、それを基に表5の他の実施例、比較例の結果を規格化して求めた。
【0090】
参考例2−9の本発明の抗アレルゲン剤(1)を付着加工した抗アレルゲン加工布はアレルゲン不活化が99.9%より大きかった。また、洗濯後ではタンニン酸の場合活性が無くなるのに対し、本発明の抗アレルゲン剤(1)を付着加工した加工布では抗アレルゲン効果が低下することなく、耐水性を示し、洗濯試験後の参考例2−10でもアレルゲン不活化率が99.9%より大きかった。よって本発明の抗アレルゲン剤を繊維に後加工した抗アレルゲン製品の性能はアレルゲン不活化性能に優れ、耐水性にも優れている。
【0091】
[参考例2−15]
繊維に固定した固体酸の耐熱性評価
参考例2−9と同様の方法で抗アレルゲン布を作製し、200℃で2時間熱を加えた後、抗アレルゲン布のアレルゲン不活化効果および変色性を測定した結果を表6に示した。
【0092】
[比較例2−6]
比較例2−2と同様の方法で抗アレルゲン布を作製し、200℃で2時間熱を加えた後、抗アレルゲン布のアレルゲン不活化効果および変色性を測定した結果を表6に示した。
【0093】
【表6】

【0094】
表6の結果から本発明の抗アレルゲン剤を付着加工した抗アレルゲン加工布は熱を加えても十分に高いアレルゲン不活化率を示し、また、変色も殆どおこらないことから、本発明の抗アレルゲン剤を繊維に後加工した抗アレルゲン製品は耐熱性にも優れている。一方タンニン酸を加工したものは変色がひどく、実用的ではない。
【0095】
[参考例2−16]
変色性試験および抗アレルゲン活性
参考例2−1の抗アレルゲン剤(1)1mgを0.5mLのPBS(pH7.29、0.1%tween20および0.001%BSA含有)に入れ、室温で3日間静置した後の色の変化およびアレルゲン不活化効果を測定した結果を表7に示した。
【0096】
[参考例2−17]
変色性試験
参考例2−1の抗アレルゲン剤(1)1mgを0.5mLのイオン交換水(pH6.37)に入れ、室温で7日間静置した後の色の変化を観察した結果を表7に示した。
【0097】
[比較例2−7]
変色性試験および抗アレルゲン活性
タンニン酸1mgを0.5mLのPBS(pH7.29、0.1%tween20および0.001%BSA含有)に入れ、室温で3日間静置した後の色の変化およびアレルゲン不活化効果を測定した結果を表7に示した。
【0098】
[比較例2−8]
変色性試験
タンニン酸1mgを0.5mLのイオン交換水(pH6.37)に入れ、室温で7日間静置した後の色の変化を観察した結果を表7に示した。
【0099】
【表7】


表7中「−」の記載の欄は測定を行わなかったことを示す。
【0100】
表7の結果から、タンニン酸は水溶液状態では変色がおこり、アレルゲン不活化性能の低下がみられたが、参考例2−16および2−17の本発明の抗アレルゲン剤は水溶液状態においても変色がおこらず高いアレルゲン不活化率を示した。よってこれらの抗アレルゲン剤は水溶液中においても変色がおこらず、アレルゲン不活化性能に影響の少ない耐久性に優れたものである。
【0101】
樹脂に練りこんだ抗アレルゲン剤の抗アレルゲン活性評価
[実施例2−18]
実施例2−18では上記の層状リン酸ジルコニウム固体酸をポリエチレン樹脂粉末(プライムポリマー社製ハイゼックス1300JPU)に重量で全体の30%となるように混合し、180℃で5分加熱、4分空冷した後、ポリテトラフルオロエチレン板の間に挟んで卓上プレス機により150kg/cm2の圧力をかけて押し伸ばし、0.2〜0.3mm厚のフィルムを作製した。作製したフィルムは白色であった。
【0102】
[参考例2−19]
参考例2−19では抗アレルゲン剤(1)すなわち層状リン酸ジルコニウム/タンニン酸=7/3の複合体を実施例2−18のように樹脂組成物全体の30%になるように混合し、フィルムを作製した。作製したフィルムは実施例2−18と同じ白色であったが、実施例2−18のシートと並べて比較すると、黄色味を帯びているのがわかった。
【0103】
[参考例2−20]
参考例2−20では、抗アレルゲン剤(1)すなわち層状リン酸ジルコニウム/タンニン酸=7/3の複合体を実施例2−18のように樹脂組成物全体の10%になるように混合し、フィルムを作製した。作製したフィルムは実施例2−18と同じ白色であったが、実施例2−18のシートと並べて比較すると、わずかに黄色味を帯びているが、参考例2−19よりは白色に近かった。
【0104】
[比較例2−9]
比較例2−9では、タンニン酸を樹脂組成物全体の30%になるように混合した他は実施例2−18と同じようにしてフィルムを作製した。作製したフィルムは濃い褐色であった。
【0105】
[比較例2−10]
比較例2−10では、タンニン酸を樹脂組成物全体の10%になるように混合した他は実施例2−18と同じようにしてフィルムを作製した。作製したフィルムは濃い褐色であった。
【0106】
[比較例2−11]
比較例2−11ではポリエチレン樹脂のみでフィルムを作製した。
【0107】
フィルムのアレルゲン不活化性能評価は、コナヒョウヒダニアレルゲン(DerfII)を用いて、上記の方法でELISA法評価を行った。このとき、タンニン酸30%の比較例2−9では、フィルムをアレルゲン液に接触させるとすぐに、褐色のタンニン酸がアレルゲン液に溶出して液全体が茶色に変色してしまった。これではフィルムの評価とは言えないため比較例2−9の結果は記録しなかった。なお、比較例2−11の結果が0を示したので規格化は行なわず、評価結果をそのまま表8に示した。
【0108】
【表8】

【0109】
表8の結果は、ポリフェノール単独のタンニン酸を用いた場合、樹脂の溶融の際の加熱によって激しい変色を引き起こすだけでなく、アレルゲン不活化性能が失われてしまうことを示している。一方、本発明の抗アレルゲン剤である層状リン酸ジルコニウムを混合した樹脂フィルムは加熱によって変色し難く、アレルゲン不活化性能に影響の少ない耐久性に優れたものある。また、本発明の無機固体酸にさらにタンニン酸を複合化した抗アレルゲン剤は、熱によってわずかに変色を起こす可能性はあるが、タンニン酸を単独で用いた比較例に比べると耐変色性は著しく優れており、アレルゲン不活化性能の耐熱性にも優れたものである。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明の抗アレルゲン剤を用いることにより、繊維製品やフィルターなどの人間の生活空間に係る材料に、花粉やダニなどのアレルゲンを不活化する機能を付与することができ、抗アレルゲン製品を安価簡便に製造することできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分として、酸強度がpKaで4.0以下の無機固体酸である、リン酸ジルコニウム、リン酸チタニウムおよびケイ酸マグネシウムよりなる群から選択された少なくとも1つを含有することを特徴とする抗アレルゲン剤。
【請求項2】
無機固体酸が、リン酸ジルコニウムおよびリン酸チタニウムから選択された少なくとも1つである、請求項1に記載の抗アレルゲン剤
【請求項3】
無機固体酸がリン酸ジルコニウムである、請求項2に記載の抗アレルゲン剤
【請求項4】
無機固体酸が層状リン酸ジルコニウムである、請求項3に記載の抗アレルゲン剤
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の抗アレルゲン剤を含むことを特徴とする抗アレルゲン組成物。
【請求項6】
請求項5に記載の抗アレルゲン組成物を用いた抗アレルゲン製品の加工方法。
【請求項7】
請求項6に記載の抗アレルゲン製品の加工方法によって加工された抗アレルゲン製品。

【公開番号】特開2012−233203(P2012−233203A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−177099(P2012−177099)
【出願日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【分割の表示】特願2009−536019(P2009−536019)の分割
【原出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000003034)東亞合成株式会社 (548)
【Fターム(参考)】