説明

抗アレルゲン性と防塵性を有する複合部材

【課題】抗アレルゲン性に優れ、且つ耐久性の高い防塵性部材を提供する。
【解決手段】基体と、不飽和結合部を有するシランモノマーで被覆された無機微粒子と抗アレルゲン剤とを含み基体の表面部に備わる無機微粒子層とを有する抗アレルゲン性と防塵性とを有する複合部材であって、前記無機微粒子層内の無機微粒子同士が、互いのシランモノマーの不飽和結合部が化学結合することにより、無機微粒子層を形成するとともに、無機微粒層内の無機微粒子のシランモノマーの不飽和結合部と基体の表面部とが化学結合することにより、基体と無機微粒子層とが固定されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、花粉やダニ死骸などの微粒子状からなる粒子状アレルゲン物質が付着し難く、付着してもこれらの物質に含まれるアレルゲンを不活化可能な、抗アレルゲン性に優れ、且つ、防塵性を有する複合部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スギ花粉やダニの死骸、カビの胞子、或いはハウスダストなどの浮遊性物質による様々なアレルギー疾患が社会的な大きな問題になってきている。これらの粒子状浮遊性物質は衣服やエアコン用フィルターなどに付着しやすいため、衣服やフィルターに付着した粒子状浮遊性物質が脱離して室内の環境汚染を引き起こす新たな原因であり、また、掃除機や換気扇などのフィルターでは吸引力や換気能力を低下させる原因となっている。これらの粒子状浮遊性物質は表面が凹凸状で複雑、且つ、空隙を有した複雑な構造を有する繊維構造体に付着し易く、また、スギ花粉は突起状構造体をその表面に有しているので、特に繊維構造体には付着しやすいことも室内にスギ花粉を持ち込む大きな要因となっている。さらに、樹脂成型部材で構成されたエアコン用フィルターやその筐体、換気扇用ファン、或いは掃除機などは、摩擦により帯電するので、粒子状浮遊性物質が付着して汚れや製品機能の低下を引き起こす大きな原因であることは良く知られているところである。
【0003】
最近、スギ花粉対策として、スギ花粉が付着し難い繊維や処理方法が提案されている。例えば、非イオン性の帯電防止剤とアルミノシリケートで修飾されたコロイダルシリカを含むシリカゾルと、ポリエチレンの水性エマルジョンとが添加された処理剤で処理された布帛(例えば、特許文献1参照。)や、1.0μm以下のアルミナ微粒子を付着または含浸したセルロース系繊維(例えば、特許文献2参照。)や、コロイダルシリカ類とグリオキザール系樹脂や、シリコーン樹脂化合物を含む処理液で処理した繊維構造物(例えば、特許文献3参照。)などが挙げられる。
【0004】
また、アレルゲンを不活化する方法も従来より検討が行われており、熱や紫外線により破壊する方法や、抗アレルゲン剤を含んだ繊維や繊維処理剤によりアレルゲンを不活化する方法が提案されている。例えば、触媒作用によりアレルゲンの分解を行う金属フタロシアニンを担持した繊維製品(例えば、特許文献4参照。)や、たんぱく質分解酵素を担持させたフィルター(例えば、特許文献5参照。)や、フェノール性水酸基を有する非水溶性高分子抗アレルゲン剤を用いた繊維処理剤(例えば、特許文献6参照。)などが挙げられる。
【特許文献1】特開2004−270039号公報
【特許文献2】特開2005−163236号公報
【特許文献3】特開2004−003046号公報
【特許文献4】特開2007−031929号公報
【特許文献5】特開2005−206955号公報
【特許文献6】特開2006−321791号公報
【特許文献7】特開2004−290922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の防塵性や抗アレルゲン性を有する布帛や繊維構造体などには、以下のような様々な問題がある。
【0006】
例えば、特許文献1に記載の布帛では、非イオン性の帯電防止剤すなわち、界面活性剤により付着防止機能を付加したものであるので、洗濯や、雨がかかる屋外では界面活性剤が流失してしまうので、花粉の付着防止効果を長期間維持することは困難である。また、特許文献2に記載の繊維製品では、セルロース系繊維にアルミナ微粒子を付着固定化したものであり、繊維材料の種類が制限される問題がある。さらに、特許文献3に記載の繊維構造物は、コロイダルシリカ類をグリオキザール系樹脂からなるバインダーで繊維表面に固定化したものであり、樹脂成分によっては帯電しやすくなり、粒子状浮遊性物質が付着し易くなるとともに、付着した粒子状浮遊性物質が脱離しにくくなるなどの問題があった。
【0007】
アレルゲン不活化機能を付加した繊維に関しても、長期間の機能の維持や、抗アレルゲン剤の溶出等の問題があるため、特許文献5のように抗アレルゲン剤を繊維表面に留めるために多量のバインダーを必要とする。このため、抗アレルゲン剤がバインダー内に埋もれてしまい、バインダー表面で機能を発揮できる抗アレルゲン剤の量が限られていた。また、抗アレルゲン剤が効率的に機能を発現するためには親水性ポリマーを必要とすることが多く(例えば特許文献6及び7)、処理を行った繊維は粘着性を持つと予想され、使用用途が限られたり、付着した粒子状浮遊性物質が脱離しにくくなることによりアレルゲンを不活化できる量に限度が生じるなどの問題があった。
【0008】
本発明は、このような従来の問題を解決するためになされたもので、シランモノマーで被覆された無機微粒子を基体上に固定化、これに抗アレルゲン剤を複合化することで、粒子状浮遊性物質が付着し難くて、付着しても容易に除去でき、且つ、効率よくアレルゲンを不活化できる防塵性に優れた複合部材が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、第1の発明は、基体と、不飽和結合部を有するシランモノマーで被覆された無機微粒子と抗アレルゲン剤とを含み基体の表面部に備わる無機微粒子層とを有し、無機微粒子層内の無機微粒子同士が、互いのシランモノマーの不飽和結合部が化学結合することにより、無機微粒子層を形成するとともに、無機微粒層内の無機微粒子のシランモノマーの不飽和結合部と基体の表面部とが化学結合することにより、基体と無機微粒子層とが固定されてなる抗アレルゲン性と防塵性とを有する複合部材を提供するものである。
【0010】
さらにまた、本発明は、上記第1の発明において、化学結合はグラフト重合であることを特徴とする抗アレルゲン性と防塵性とを有する複合部材を提供するものである。
【0011】
さらにまた、本発明は、上記第2の発明において、グラフト重合は、放射線グラフト重合であることを特徴とする抗アレルゲン性と防塵性とを有する複合部材を提供するものである。
【0012】
さらにまた本発明は、上記第1乃至第3の発明のいずれかにおいて、上記の抗アレルゲン剤が、有機高分子化合物、及び、植物抽出物からなる群から選択された少なくとも1つの抗アレルゲン剤であることを特徴とする抗アレルゲン性と防塵性とを有する複合部材を提供するものである。
【0013】
さらにまた本発明は、上記第1乃至第4の発明のいずれかにおいて、無機微粒子層は、バインダー成分をさらに含み、無機微粒子層に含まれるバインダー成分と抗アレルゲン剤との合計の含有量が、シランモノマーで被覆された無機微粒子の含有量に対して40質量%以下であることを特徴とする抗アレルゲン性と防塵性を有する複合部材を提供するものである。
【0014】
さらにまた本発明は、上記第5の発明において、バインダー成分が少なくとも撥水性や撥油性を有する化合物であることを特徴とする抗アレルゲン性と防塵性を有する複合部材を提供するものである。
【0015】
さらにまた本発明は、上記第6の発明において、撥水性や撥油性を有するバインダー成分が少なくともフッ素系化合物を含むことを特徴とする抗アレルゲン性と防塵性を有する複合部材を提供するものである。
【0016】
さらにまた、本発明は、上記第1乃至第7の発明のいずれかにおいて、基体の少なくとも表面が樹脂であることを特徴とする抗アレルゲン性と防塵性とを有する複合部材を提供するものである。
【0017】
さらにまた、本発明は、上記第1乃至第8の発明のいずれかにおいて、基体が、樹脂であることを特徴とする抗アレルゲン性と防塵性とを有する複合部材を提供するものである。
【0018】
さらにまた、本発明は、上記第1乃至第9の発明のいずれかにおいて、基体が、繊維構造体であることを特徴とする抗アレルゲン性と防塵性とを有する複合部材を提供するものである。
【0019】
さらにまた、本発明は、上記第10の発明の抗アレルゲン性と防塵性とを有する複合部材を用いてなることを特徴とする衣類を提供するものである。
【0020】
さらにまた、本発明は、上記第10の発明の抗アレルゲン性と防塵性とを有する複合部材を用いてなることを特徴とするフィルターを提供するものである。
【0021】
さらにまた、本発明は、上記第10の発明の抗アレルゲン性と防塵性とを有する複合部材を用いてなることを特徴とする防虫網を提供するものである。
【0022】
さらにまた、本発明は、上記第8の発明の抗アレルゲン性と防塵性とを有する複合部材を用いてなることを特徴とする建装材を提供するものである。
【0023】
さらにまた、本発明は、上記第8の発明の抗アレルゲン性と防塵性とを有する複合部材を用いてなることを特徴とする内装材を提供するものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明の抗アレルゲン性と防塵性を有する複合部材によれば、基体と、不飽和結合部を有するシランモノマーで被覆された無機微粒子と抗アレルゲン剤とを含み、基体の表面部に備わる無機微粒子層とを有することで無機微粒子層表面は摩擦帯電し難く、且つ、土埃や砂埃、或いは花粉などの粒子状浮遊性物質が付着し難くて、付着しても容易に脱離する。
【0025】
ここで抗アレルゲン剤は、抗アレルゲン機能を持つ有機高分子化合物、植物抽出物からなる群のうちから選ばれた少なくとも一つの物質であることが好ましく、無機微粒子と複合化することで広い作用面積を得ることができ、効率よく機能を発現することができる。また、無機微粒子上のシランモノマーと抗アレルゲン剤の疎水部が疎水相互作用により結合し、無機微粒子と共に効率よく分散するため、低濃度でも強い抗アレルゲン性を発揮する。さらに、粒子と結合しているため多量のバインダー成分を必要とせずに抗アレルゲン剤を部材表面に安定して存在させることができる。さらにまた、抗アレルゲン剤が有機高分子化合物である場合には、シランモノマーで被覆した無機微粒子同士及び無機微粒子と基体とを、より強力に結合して無機微粒子層の耐久性を向上させることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、本発明の実施形態の抗アレルゲン性と防塵性を有する複合部材について図を用いて詳述する。
【0027】
図1は、本発明の実施形態の抗アレルゲン性と防塵性を有する複合部材100の断面の一部を拡大した模式図である。本実施形態の抗アレルゲン性と防塵性を有する複合部材100は、基体1上に無機微粒子2と抗アレルゲン剤5とを含む無機微粒子層10が固定されることにより構成されている。
【0028】
図2は、本発明の他の実施形態のバインダー成分6を含む抗アレルゲン性と防塵性を有する複合部材200の断面の一部を拡大した模式図である。本実施形態の抗アレルゲン性と防塵性を有する複合部材200は、基体1上に無機微粒子2と抗アレルゲン剤5およびバインダー成分6とを含む無機微粒子層20が固定されることにより構成されている。
【0029】
なお、図1および図2では本発明の実施形態を判りやすく模式的に示すため、無機微粒子層は微粒子が1種類で形成された図であらわしたが、無機微粒子が2種類以上で形成してあってもよく、また無機微粒子層10および20は単層または複数重なって微粒子の層を形成してあってもよい。
【0030】
本実施形態の無機微粒子2の最表面には、不飽和結合を有するシランモノマー3が、不飽和結合を無機微粒子2の外側に向けて配向して結合して被覆を形成している。シランモノマー3の片末端であるシラノール基は親水性であるため、親水性である無機微粒子2の表面に引きつけられる。一方、逆末端の不飽和結合は疎水性であるため、無機微粒子2の表面からは離れようとする。このため、シラノール基は無機微粒子2の表面に脱水縮合により結合し、不飽和結合を外側に向けて配向する。
【0031】
その方法としては、シランモノマー3を、無機微粒子2が有機溶剤に分散した溶液に、無機微粒子2の質量%に対して0.01質量%から40質量%加えて、粉砕により微粒子化した後、上記分散溶液を固液分離して、得られた無機微粒子2を100℃から180℃で加熱してシランモノマー3を無機微粒子2の表面に結合させる方法や、無機微粒子2を、有機溶剤に分散させた溶液に、シランモノマー3を無機微粒子2の質量%に対して0.01質量%から40質量%加えて、粉砕により微粒子化した後、上記分散溶液を、冷却管を備えたフラスコに移して、フラスコをオイルバスで加熱処理することにより、シランモノマー3を無機微粒子2の表面に結合させる方法などがある。
【0032】
なお、無機微粒子の径、及びその他上記各種材料の微粒子径については本実施形態の方法によって作成すれば特に限定されないが、後述するグラフト重合を好適に行うには、これらの無機微粒子径につき平均の粒子径が300nm以下とすることが好ましく、さらに平均の粒子径が100nm以下であれば、基体1へのより強固な結合が達成されるため、耐久性の点より一層好適である。
【0033】
本実施形態の抗アレルゲン性と防塵性を有する複合部材100および200に用いられる基体1を構成する材料としては、不飽和結合を有するシランモノマー3による化学結合4が可能なものであれば良い。このような材料としては、例えば、各種樹脂や、合成繊維や、天然繊維などが挙げられる。また、本実施形態の抗アレルゲン性と防塵性を有する複合部材100および200に用いられる基体1は、少なくともその表面が樹脂からなるものであれば良い。
【0034】
ここで、基体1の表面ないし全体を構成する樹脂としては、合成樹脂や天然樹脂が用いられる。その一例としては、ポリエチレン樹脂や、ポリプロピレン樹脂や、ポリスチレン樹脂や、ABS樹脂や、AS樹脂や、EVA樹脂や、ポリメチルペンテン樹脂や、ポリ塩化ビニル樹脂や、ポリ塩化ビニリデン樹脂や、ポリアクリル酸メチル樹脂や、ポリ酢酸ビニル樹脂や、ポリアミド樹脂や、ポリイミド樹脂や、ポリカーボネート樹脂や、ポリエチレンテレフタレート樹脂や、ポリブチレンテレフタレート樹脂や、ポリアセタール樹脂や、ポリアリレート樹脂や、ポリスルホン樹脂や、ポリフッ化ビニリデン樹脂や、ベクトラン(登録商標)や、PTFEなどの熱可塑性樹脂や、ポリ乳酸樹脂や、ポリヒドロキシブチレート樹脂や、修飾でんぷん樹脂や、ポリカプロラクト樹脂や、ポリブチレンサクシネート樹脂や、ポリブチレンアジペートテレフタレート樹脂や、ポリブチレンサクシネートテレフタレート樹脂や、ポリエチレンサクシネート樹脂などの生分解性樹脂や、フェノール樹脂や、ユリア樹脂や、メラミン樹脂や、不飽和ポリエステル樹脂や、ジアリルフタレート樹脂や、エポキシ樹脂や、エポキシアクリレート樹脂や、ケイ素樹脂や、アクリルウレタン樹脂や、ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂や、シリコーン樹脂や、ポリスチレンエラストマーや、ポリエチレンエラストマーや、ポリプロピレンエラストマーや、ポリウレタンエラストマーなどのエラストマーや、漆などの天然樹脂などが挙げられる。
【0035】
本実施形態では、これらの基体1を構成する樹脂の形態は、板状や、フィルム状や、繊維状材料から構成される織物・編物・不織布などを含む繊維構造体や、ロール状や、ウェブ状や、ハニカム状など、使用目的に合った種々の形状及びサイズ等のものが適用でき、特に制限されるものではない。
【0036】
また、これらの樹脂は、基体1の主要部がアルミニウムやマグネシウムや、鉄などの金属材料や、ガラスや、セラミックスなどの無機材料である場合には、これら各材料の表面に、フィルム状に積層されたり、吹き付け塗装や浸漬塗装、静電塗装などの塗装法や、スクリーン印刷やオフセット印刷などの印刷法により薄膜として形成されたものであっても良い。
【0037】
さらに、これらの樹脂は、顔料や染料などにより着色されてあっても良く、シリカや、アルミナや、珪藻土や、マイカなどの無機材料が充填されてあっても良い。
【0038】
また、基体1は、合成樹脂からなる繊維(合成繊維や化学繊維)であっても良く、基体1を構成する合成繊維の例としては、ポリエステル繊維や、ポリアミド繊維や、ポリビニルアルコール繊維や、アクリル繊維や、塩化ビニル繊維や、塩化ビニリデン繊維や、ポリオレフィン繊維や、ポリカーボネート繊維や、フッソ繊維や、ポリ尿素繊維や、エラストマー繊維や、ベックリー(登録商標)や、また、これら繊維を構成する材料と上記樹脂材料との複合繊維などが挙げられる。
【0039】
なお、本実施形態の基体1においては、上述のように基体表面が樹脂であれば良いので、基体材料に合成樹脂以外の繊維を用いる場合には、樹脂を上述した各種塗装法で繊維表面に塗装することで、樹脂を薄膜として形成しておけば良い。したがって、天然繊維の例として、綿や、麻や、絹や、天然繊維から得られた和紙なども、基体の材料として用いることが可能である。
【0040】
本実施形態の抗アレルゲン性と防塵性を有する複合部材100および200に用いられる無機微粒子2としては、非金属酸化物、金属酸化物、金属複合酸化物などが用いられ、また、その結晶性は、非晶性あるいは結晶性のどちらでも良い。非金属酸化物として酸化珪素や、金属酸化物として、例えば、酸化マグネシウムや、酸化バリウムや、過酸化バリウムや、酸化アルミニウムや、酸化スズや、酸化チタンや、過酸化チタンや、酸化ジルコニウムや、酸化鉄や、水酸化鉄や、酸化タングステンや、酸化ビスマスや、酸化インジウムや、金属複合酸化物として、酸化チタンバリウムや、酸化コバルトアルミニウムや、酸化ジルコニウム鉛や、酸化ニオブ鉛や、TiO2−WO3や、AlO−SiOや、WO−ZrOや、WO−SnOなどが挙げられる。
【0041】
これらの無機微粒子の1種類を用いて微粒子層を形成し、更にこの微粒子層の表面に他の無機微粒子を一種もしくは二種以上混合した微粒子層をさらに形成してあっても良い。また、これらの無機微粒子2と、たとえば光触媒機能を発現する材料や、抗菌性、抗ウィルス性、抗アレルゲン性を有する材料や、マイナスイオンを放出する材料や、遠赤外線を放出する材料や、反射防止特性を有する材料や、近赤外線を吸収する材料などとを混合したものでも良い。
【0042】
ここで無機微粒子2として光触媒微粒子を用いる場合、または光触媒微粒子を含む場合には、光触媒微粒子のもつ親水性機能により、付着した汚れが容易に洗い流されるなどの効果や、光触媒微粒子のもつ有機物を光分解する機能による付着汚れの分解除去の効果も加わることにより、粒子状浮遊物質だけでなく液状やタール状、噴霧状、煙霧状、ガス状の汚染物質、吸着物質に対しても優れた防塵・防汚効果が得られる。
【0043】
ここで光触媒粒子とは、そのバンドギャップ以上のエネルギーを持つ波長の光を照射することで、光触媒機能を発現する粒子のことであり、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化鉄、チタン酸ストロンチウム、硫化カドミウム、セレン化カドミウムなどの公知の金属化合物半導体を、単一または2種以上組み合わせて用いることができる。これらの光触媒粒子のうち、透明性、耐久性に優れ、無害である酸化チタンが好ましく用いられる。
【0044】
酸化チタンの結晶構造はルチル型、アナダーセ型、ブルーカイト型、その他、無定形であってもよい。また、酸化チタンの一部の酸素原子がアニオンである窒素原子で置換されたTiO2-XNXや酸素原子が欠落し化学量論比から著しく外れたTiO2-X(Xは1.0以下)などを用いてもよい。
【0045】
光触媒粒子の内部やその表面に、光触媒機能を増す目的で、バナジウム、銅、ニッケル、コバルト、クロム、パラジウム、銀、白金、金などの金属や金属化合物を含有させても良い。
【0046】
無機微粒子2として抗菌性を有する微粒子を用いる場合は、特に黴や細菌、微生物の繁殖による汚れを防止することができる。無機系の抗菌性を有する材料としては、銀、銅、亜鉛、錫、鉛およびこれらの化合物などが通常知られているが、特にその中でも、銀、銅、亜鉛およびそれらの化合物から選ばれる1種以上の抗菌性を有する材料は、抗菌特性や
人体への安全性などの観点から様々な分野で利用されている。
【0047】
これらの金属およびそれらの化合物は、単体としても用いられるが、材料によっては変色したり抗菌性を付与する材料の着色の原因となることから、無機材料の微粒子に担持して使用さる。無機材料としては、例えばイオン交換性を有する無機材料として、高シリカゼオライト、ソーダライト、モルデナイト、アナルサイト、エリナイトなどのゼオライト類、ハイドロキシアパタイトなどのアパタイト類などが挙げられ、他の一般的な無機材料としては、二酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化アルミナ、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、リン酸ジルコニウムなどが挙げられる。
【0048】
また、一般に市販されている抗菌性を有する材料の微粒子、例えば、東亞合成(株)製「ノバロン」、(株)シナネンゼオミック製「ゼオミック」、(株)サンギ製「アパタイザーA」、大日精化工業(株)製「ダイキラー」、松下電器産業(株)製「アメニトップ」、触媒化成工業(株)製「アトミーボール」、カネボウ化成(株)製「バクテキラー」なども、これらを単一または2種以上組み合わせて用いることもできる。
【0049】
本実施形態の複合部材は、無機微粒子2を含む無機微粒子層10および20を、不飽和結合を有するシランモノマー3により、上述した基体1上に化学結合4(図中の黒丸部)により固定するものである。
【0050】
具体的なシランモノマー3が有する不飽和結合としては、ビニル基や、エポキシ基や、スチリル基や、メタクリロ基や、アクリロキシ基や、イソシアネート基などが挙げられる。
【0051】
本実施形態の複合部材は、反応性に優れたシランモノマー3を用いることで、無機微粒子2を、シランモノマー3が有するシラノール基の脱水縮合反応による無機微粒子2の化学結合と上記官能基の基体1の樹脂表面への、後述するグラフト重合による化学結合4により、基体1の表面に結合せしめた抗アレルゲン性と防塵性を有する複合部材である。
【0052】
本実施形態の抗アレルゲン性と防塵性を有する複合部材100で用いられるシランモノマー3の一例としては、ビニルトリメトキシシランや、ビニルトリエトキシシランや、ビニルトリアセトキシシランや、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランや、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩や、2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランや、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランや、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランや、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランや、p−スチリルトリメトキシシランや、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランや、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランや、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランや、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランや、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランや、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0053】
これらのシランモノマー3は、一種もしくは二種以上混合して用いられる。その使用形態としては、必要量のシランモノマー3をメタノールやエタノールや、アセトンや、トルエンや、キシレンなどの有機溶剤に溶解して用いられる。また、分散性を改善するために塩酸や、硝酸などの鉱酸などが加えられる。
【0054】
用いられる溶剤としては、エタノールや、メタノールや、プロパノールやブタノールなどの低級アルコール類や、蟻酸やプロピオン酸などの低級アルキルカルボン酸類や、トルエンやキシレンなどの芳香族化合物、酢酸エチルや酢酸ブチルなどのエステル類や、メチルセルソルブやエチルセルソルブなどのセロソルブ類を単独または複数組み合わせて用いても良い。
【0055】
本実施形態の抗アレルゲン性と防塵性を有する複合部材100および200に用いられる無機微粒子2は、前述したシランモノマー3の溶液に分散した状態で製造に用いられる。無機微粒子2の分散は、ホモミキサーやマグネットスターラーなどを用いた撹拌分散や、ボールミルや、サンドミルや、高速回転ミルや、ジェットミルなどを用いた粉砕・分散、超音波を用いた分散などにより行われる。
【0056】
また、無機微粒子2は、分散したコロイド状分散液や、粉砕により微粒子化して得られた分散液の状態で、抗アレルゲン性と防塵性を有する複合部材100の製造に用いられる。無機微粒子2の分散液は、コロイド状分散液や粉砕して得られた分散液に、シランモノマー3を加え、その後、還流下で加熱させながら、無機微粒子2の表面にシランモノマー3を脱水縮合反応により結合させてシランモノマー3からなる被覆を形成する方法や、粉砕により微粒子化して得られた分散液にシランモノマー3を加えた後、或いは、シランモノマー3を加えて粉砕により微粒子化した後、固液分離して100℃から180℃で加熱してシランモノマーを無機微粒子2の表面に脱水縮合反応により結合させ、次いで、粉砕・解砕して再分散して用いられる。
【0057】
粉砕により微粒子化して得られた分散液にシランモノマー3を加えた後、或いは、シランモノマー3を加えて粉砕により微粒子化した後、固液分離して100℃から180℃で加熱してシランモノマー3を無機微粒子2の表面に反応結合させる場合、無機微粒子2の質量%に対して、0.01質量%から40質量%のシランモノマー3(すなわち、無機微粒子2とシランモノマー3との質量比が、100:0.01〜40)が、無機微粒子2の表面に結合されてあれば、無機微粒子2の少なくとも表面が樹脂からなる基体1の表面への結合強度は実用上問題ない。
【0058】
本実施形態の無機微粒子層10および20に複合化される抗アレルゲン剤5は、シランモノマー3で無機微粒子2を被覆した後に添加される。本実施形態の抗アレルゲン剤5は、有機高分子化合物と植物抽出物からなる群のうち少なくとも一つから選ばれた物質である。有機高分子化合物であれば、フェノール性水酸基を持つポリマー化合物、カテキンやタンニン酸などのポリフェノール類、フラボノイド類、カロテノイド類、両性界面活性剤、アミノ酸、ポリペプチド、酵素などがある。また、植物抽出物であれば、笹、竹、イチョウ葉、茶葉、ヒノキ、柿、ボダイジュ、ユッカ、月桃、ティーツリー、ユーカリ、レモングラス、タイム、オリーブ属、イボタノキ属などから得られる抽出物がある。抗アレルゲン剤5は、一種類で用いてもよく、二種類以上を混合して用いてもよい。
【0059】
本実施形態の無機微粒子層10および20に含まれる抗アレルゲン剤5の含有量は、シランモノマー3で被覆された無機微粒子2の含有量に対して1質量%以上で添加すればよく、その添加量が多いほど、抗アレルゲン性の向上も期待できる。しかしながら、抗アレルゲン剤5が多くなると、無機微粒子2の表面を被覆する割合が大きくなることにより表面が帯電しやすくなり、防塵性や付着した粒子状浮遊性物質の塵離れ性は低下する。
【0060】
特に、基体1上に形成された無機微粒子層10および20に含まれる抗アレルゲン剤5の含有量が、シランモノマー3で被覆された無機微粒子2の含有量に対して1質量%という低濃度でも抗アレルゲン性を発揮する。
【0061】
図3は、無機微粒子2上のシランモノマー3と抗アレルゲン剤5が配向して結合している状態を示す模式図である。図3の様に無機微粒子2上のシランモノマー3と抗アレルゲン剤5の疎水性部位5aが疎水相互作用を起こすことにより、抗アレルゲン機能を持つ抗アレルゲン剤の親水部位5bが効率よく外側を向くと共に、無機微粒子層10および20中に均一に分布することで、少量で抗アレルゲン性を発揮する。
【0062】
しかしながら、無機微粒子層10および20に含まれる抗アレルゲン剤5の含有量が、シランモノマー3で被覆された無機微粒子2の含有量に対して20質量%より多くなると、帯電しやすくなるため防塵性や塵離れ性の低下は顕著になる。防塵性、塵離れ性が低下すると、アレルゲンを含んだ粒子状浮遊物質が部材表面に蓄積しやすくなる。その結果、部材表面に新たに飛来した粒子状浮遊物質が抗アレルゲン剤に触れることがなくなり抗アレルゲン性が機能しなくなってしまう。
【0063】
したがって、防塵性、塵離れ性を保持しつつ抗アレルゲン性が発揮できる範囲としては、無機微粒子層10および20に含まれる抗アレルゲン剤5の含有量が、シランモノマー3で被覆された無機微粒子2の含有量に対して、1質量%以上20質量%以下、好ましくは3質量%以上15質量%以下、より好ましくは3質量%以上10質量%以下である。
【0064】
さらに、無機微粒子2と抗アレルゲン剤5からなる無機微粒子層10が厚くなると、無機微粒子層10の応力や使用環境によっては凝集破壊により無機微粒子層10が劣化することもあるので、シランモノマー3で無機微粒子2を被覆した後、抗アレルゲン剤5と共に、バインダー成分6を添加するのがよい。
【0065】
バインダー成分6としては、不飽和結合を有する単官能、2官能、多官能のビニル系モノマー、一例として、アクリル酸、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン、イタコン酸、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどや、不飽和結合を有するシランモノマーや、Si(OR14(式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基を示す)で示されるアルコキシラン化合物、一例として、テトラメトキシシランや、テトラエトキシシランなどや、R2nSi(OR34−n(式中、R2は炭素数1〜6の炭化水素基、R3は炭素数1〜4のアルキル基、nは1〜3の整数を示す)で示されるアルコキシシラン化合物、一例として、メチルトリルメトキシシランや、メチルトリエトキシシランや、ジメチルジエトキシシランや、フェニルトリエトキシシランや、ヘキサメチルジシラザンや、ヘキシルトリメトキシシランなど、他にアルコキシオリゴマーなどが用いられる。
【0066】
さらに、バインダー成分6としては、不飽和ポリエステルや、不飽和アクリルや、エポキシアクリレートや、ウレタンアクリレートや、ポリエステルアクリレートや、ポリエーテルアクリレートや、ポリブタジエンアクリレートや、シリコーンアクリレートや、マレイミドなどのオリゴマーやポリマーなどが用いられる。
【0067】
さらに、バインダー成分6としては、撥水性や撥油性を示す化合物として、ステアリン酸アクリレートや、反応性シリコーンオイルや、反応性シリコーンオリゴマー、例えば、松下電器産業株式会社製フレッセラDが用いられる。
【0068】
さらに、バインダー成分6としては、撥水性や撥油性を有する物質として、パーフルオロアルキル基を有するアクリル単量体、例えば、2−(パーフルオロプロピル)エチルアクリレートや、2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレートや、2−(パーフルオロペンチル)エチルアクリレートや、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレートや、2−(パーフルオロヘプチル)エチルアクリレートや、2−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレートや、2−(パーフルオロノリル)エチルアクリレートや、2−(パーフルオロデシル)エチルアクリレートや、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピルアクリレートや、パーフルオロオクチルエチルメタクリレートや、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレートや、3−パーフルオロデシル−2−ヒドロキシプロピルアクリレートなどのフッ素化合物が用いられる。
【0069】
さらに、バインダー成分6としては、撥水性や撥油性を有する物質として、例えば、2−パーフルオロオクチルエタノールや、2−パーフルオロデシルエタノールや、2−パフルオロアルキルエタノールや、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)や、パーフルオロアルキルアイオダイドや、パーフルオロオクチルエチレンや、2−パーフルオロオクチルエチルホスホニックアシッドなどのフッ素化合物が用いられる。
【0070】
さらに、バインダー成分6としては、撥水性や撥油性を有する物質として、パーフルオロアルキル基を有するシランカップリング剤、例えば、CF(CHSi(OCHや、CF(CF(CHSi(OCHや、CF(CF(CHSi(OCHや、CF(CF11(CHSi(OCHや、CF(CF15(CHSi(OCHや、CF(CF(CHSi(OCや、CF(CHSiCH(OCHや、CF(CF(CHSiCH(OCH、CF(CF(CHSiCH(OCHや、CF(CF(CHSiCH(OCHや、CF(CF(CHSiCH(OCや、CF(CF(CHSi(OCHや、CF(CF(CHSi(OCや、CH(CF(CHSi(OCや、CF(CFCONH(CHSi(OCHや、CF(CFCONH(CHSiCH(OCH や、パーフルオロアルキル基とシラノール基を有するオリゴマー、例えば、KP−801M(信越化学工業(株)製)や、X−24−7890(信越化学工業(株)製)などのフッ素化合物が用いられる。
【0071】
バインダー成分6は一種類で用いてもよく、二種類以上を混合して用いてもよい。
【0072】
ここでバインダー成分6は、シランモノマー3で被覆した無機微粒子2同士および無機微粒子2と基体1とを相互に結合し、無機微粒子層10および20が凝集破壊等により劣化し、剥離することを抑制するために添加するものである。バインダー成分6は、無機微粒子2を被覆しているシランモノマー3の反応性基と化学的に結合しうる反応サイトとして、ビニル基や、エポキシ基や、スチリル基や、メタクリロ基や、アクリロキシ基や、イソシアネート基等の不飽和基やアルコキシ基を分子の構成要素として保有することが望ましい。
【0073】
バインダー成分6は、シランモノマー3で被覆された無機微粒子2に対して0.1質量%以上添加すればよく、その添加量が多いほど、耐久性の向上も期待できる。しかしながら、バインダー成分6が多くなると、無機微粒子2の表面を被覆する割合が大きくなることにより表面が帯電しやすくなり、防塵性や付着した粒子状浮遊性物質の塵離れ性は低下する。
【0074】
特に、基体1上に形成された無機微粒子層10に含まれるバインダー成分6が、シランモノマー3で被覆された無機微粒子2に対して40質量%より多くなると帯電しやすくなり、防塵性や塵離れ性の低下が顕著になる。したがって、抗アレルゲン性、防塵性、塵離れ性を保持しつつ耐久性の向上が達成できる範囲としては、無機微粒子層10および20に含まれるシランモノマー3で被覆された無機微粒子2の含有量に対して抗アレルゲン剤5とバインダー成分6との合計の含有量が40質量%以下であり、且つ、無機微粒子層10および20に含まれるシランモノマー3で被覆された無機微粒子2の含有量に対してバインダー成分6の含有量が0.1質量%以上40質量%以下、好ましくは0.1質量%以上30質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上20質量%以下である。
【0075】
次に、基体1と、表面にシランモノマーが結合した無機微粒子2と抗アレルゲン剤5の混合した溶液とを化学結合する方法について説明する。本実施形態においては、化学結合させる方法として、グラフト重合による結合方法を用いている。
【0076】
本実施形態の抗アレルゲン性と防塵性を有する複合部材100および200におけるグラフト重合としては、例えばパーオキサイド触媒を用いるグラフト重合や、熱や光エネルギーを用いるグラフト重合や、放射線によるグラフト重合(放射線グラフト重合)などが挙げられる。
【0077】
このうち、重合プロセスの簡便性や、生産スピード等の観点より、放射線グラフト重合が特に適している。ここで、グラフト重合において用いられる放射線としては、α線や、β線や、γ線や、電子線や、紫外線などを挙げることができるが、本実施形態において用いるには、γ線や、電子線や、紫外線が特に適している。
【0078】
本実施形態でのグラフト重合を用いた抗アレルゲン性と防塵性を有する複合部材100の製造方法は、以下に記した方法により好適に製造される。
【0079】
本実施形態における第一の好適な方法としては、シランモノマー3が化学結合された無機微粒子2が分散した溶液に、抗アレルゲン剤5を添加し充分に混合した後に、結合しようとする基体1の表面(樹脂面)に塗布し、必要に応じて溶剤を加熱乾燥などの方法により除去した後、γ線や、電子線や、紫外線などの放射線を、シランモノマー3が化学結合した無機微粒子2が塗布された基体1の表面に照射することで、シランモノマー3を基体1の表面にグラフト重合させると同時に無機微粒子2を結合させる、所謂同時照射グラフト重合により製造される。
【0080】
また、本実施形態における第二の好適な方法としては、予め基体1の表面にγ線や、電子線や、紫外線などの放射線を照射した後に、シランモノマー3が化学結合された無機微粒子2が分散した溶液に、抗アレルゲン剤5を添加し充分に混合した溶液を塗布して、シランモノマー3と基体1とを反応させると同時に無機微粒子2を結合させる所謂前照射グラフト重合により製造される。
【0081】
本実施形態では、上述したように、固定化する無機微粒子2が分散した溶液に、抗アレルゲン剤5を添加し充分に混合した溶液を、固定化する基体1の表面に塗布して複合部材を製造する。
【0082】
具体的な無機微粒子2の分散液の塗布方法としては、一般に行われているスピンコート法や、ディップコート法や、スプレーコート法や、キャストコート法や、バーコート法や、マイクログラビアコート法や、グラビアコート法や、または部分的に塗布する方法として、スクリーン印刷法や、パッド印刷法や、オフセット印刷法や、ドライオフセット印刷法や、フレキソ印刷法や、インクジェット印刷法などの様々な方法が用いられ、目的に合った塗布ができれば特に限定されない。
【0083】
また、シランモノマー3のグラフト重合を効率良く、かつ、均一に行わせるためには、予め、基体1の表面が、コロナ放電処理やプラズマ放電処理や、火炎処理や、クロム酸や過塩素酸などの酸化性酸水溶液や水酸化ナトリウムなどを含むアルカリ性水溶液による化学的な処理などにより親水化処理されてあっても良い。
【0084】
以上説明したように、本発明の実施形態の抗アレルゲン性と防塵性を有する複合部材100によれば、少なくとも表面が樹脂からなる基体1と、基体1の表面に固定され、抗アレルゲン剤5と不飽和結合を有するシランモノマー3が被覆された無機微粒子2とを含む無機微粒子層10とを備え、無機微粒子層10および20におけるシランモノマー3で被覆された無機微粒子2の含有量に対して抗アレルゲン剤5の含有量が1質量%以上20質量%以下であるため、土埃や砂埃、或いは花粉などの粒子状浮遊性物質が付着し難く、また、これら粒子状浮遊性物質が付着しても容易に除去可能で、粒子状浮遊性物質中のアレルゲンを不活化できる。
【0085】
さらに、基体1の表面に対して、反応性に優れた不飽和結合を有するシランモノマー3を無機微粒子2の表面に脱水縮合反応で化学的に結合させて不飽和結合を導入し、無機微粒子2の表面に導入した不飽和結合同士または基体1の樹脂表面と反応させて無機微粒子2を固定化する。また、バインダー成分6を添加することで、シランモノマー3で被覆した無機微粒子2同士及び無機微粒子2と基体1とを強力に結合することに耐久性に優れた抗アレルゲン効果と防塵効果が長期間維持できるものである。
【0086】
また、本実施形態によれば、無機微粒子2を化学結合4により基体1上に強固に固定できることから、紡糸後に製品形状とした後で、または、製品化の過程で行うことが可能であり、このため、様々な機能を有する無機微粒子2の存在が紡糸性に影響しないというメリットがある。
【0087】
また、無機微粒子2は単粒子膜状や多層粒子膜状にもフィルムや樹脂プレート、繊維や布などからなる基体に形成できるので、これらの基材の風合いを損なわないことから、様々な分野で応用できる防塵性を有する複合部材を提供することが可能となる。
【0088】
なお、本発明の実施形態において、基体は、例えば、フィルム状、繊維状、布状、メッシュ状、ハニカム状など、使用目的に合った様々な形態(形状、大きさ等)とすることが可能である。したがって、これら様々な形態の各種基体に抗アレルゲン性と防塵性の機能を付加することが可能となり、ハウス用フィルム、トンネルハウス用フィルムなどの農業資材、外壁材、サッシ、ドア、ブラインドなどの建装材、壁紙、カーペット、樹脂タイルなどの内装材、衣類、インナーウェア、靴下、手袋、靴等の履物、パジャマ、マット、シーツ、枕、枕カバー、毛布、タオルケット、蒲団および蒲団カバーなどの寝装材、帽子、ハンカチ、タオル、絨毯、カーテン、空気清浄機やエアコン、換気扇、電気掃除機、扇風機などのフィルターまたは防虫網やスクリーン印刷用メッシュなどの繊維構造体の製品へ応用が可能となる。従って、本発明は、様々な分野に優れた各種製品を提供することができる有用な部材である。
【実施例】
【0089】
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0090】
本発明方法による下記実施例及び比較例において、微粒子固定化体の製造にあたっては、岩崎電気株式会社製、エレクトロカーテン型電子線照射装置、CB250/15/180L、を用い、電子線グラフト重合により実施した。
【0091】
(シランモノマー被覆微粒子液の作製)
市販の二酸化チタン微粒子(テイカ株式会社製、MT−100HD)をメタノールに対して10.0質量%、シランモノマーとして3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBM−503)を微粒子に対して3.0質量%加えてpHを3.0に塩酸で調製した後、ビーズミルにより平均粒子径18nmに粉砕分散した。その後、凍結乾燥機により固液分離して120℃で加熱してシランモノマーを二酸化チタン微粒子の表面に脱水縮合反応により化学結合させて被覆を形成した。
【0092】
(実施例1)
メタノールに上記方法で作製したシランモノマー被覆二酸化チタン微粒子を3質量%となるよう加え、シランモノマー被覆二酸化チタン微粒子に対して抗アレルゲン剤としてフェノール性水酸基を持つポリマー化合物(積水化学工業株式会社製、アレルバスター)を1質量%添加し、ビーズミルにより平均粒子径16nmに再度粉砕分散した。次に、二酸化チタン微粒子分散液を塗布したポリエステル製メッシュ(メッシュ数50本/インチ)に電子線を200kVの加速電圧で5Mrad照射することで、二酸化チタン微粒子をシランモノマーのグラフト重合によりポリエステルメッシュ表面に結合させた抗アレルゲン性と防塵特性を有する複合部材を得た。
【0093】
(実施例2)
実施例1において、粉砕分散溶液中に抗アレルゲン剤としてフェノール性水酸基を持つポリマー化合物(積水化学工業株式会社製、アレルバスター)を、シランモノマーで被覆された無機微粒子に対して3質量%とすること以外は実施例1と同様である。
【0094】
(実施例3)
実施例1において、粉砕分散溶液中に抗アレルゲン剤としてフェノール性水酸基を持つポリマー化合物(積水化学工業株式会社製、アレルバスター)を、シランモノマーで被覆された無機微粒子に対して5質量%とすること以外は実施例1と同様である。
【0095】
(実施例4)
実施例1において、粉砕分散溶液中に抗アレルゲン剤としてフェノール性水酸基を持つポリマー化合物(積水化学工業株式会社製、アレルバスター)を、シランモノマーで被覆された無機微粒子に対して10質量%とすること以外は実施例1と同様である。
【0096】
(実施例5)
実施例1において、粉砕分散溶液中に抗アレルゲン剤としてフェノール性水酸基を持つポリマー化合物(積水化学工業株式会社製、アレルバスター)を、シランモノマーで被覆された無機微粒子に対して15質量%とすること以外は実施例1と同様である。
【0097】
(実施例6)
実施例1において、粉砕分散溶液中に抗アレルゲン剤としてフェノール性水酸基を持つポリマー化合物(積水化学工業株式会社製、アレルバスター)を、シランモノマーで被覆された無機微粒子に対して20質量%とすること以外は実施例1と同様である。
【0098】
(実施例7)
実施例1において、粉砕分散溶液中に抗アレルゲン剤としてフェノール性水酸基を持つポリマー化合物(積水化学工業株式会社製、アレルバスター)を、シランモノマーで被覆された無機微粒子に対して10質量%とし、さらにバインダー成分としてハードコート剤(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ、UVHC3000)を10質量%添加すること以外は実施例1と同様である。
【0099】
(実施例8)
実施例7において、ハードコート剤(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製、UVHC3000)を20質量%添加すること以外は実施例7と同様である。
【0100】
(実施例9)
実施例7において、ハードコート剤(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製、UVHC3000)を30質量%添加すること以外は実施例7と同様である。
【0101】
(実施例10)
実施例7において、ハードコート剤(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製、UVHC3000)を40質量%添加すること以外は実施例7と同様である。
【0102】
(実施例11)
実施例7において、バインダー成分としてパーフルオロ基を有する撥水撥油剤(信越化学工業製、KP-801M)を10質量%添加すること以外は実施例7と同様である。
【0103】
(比較例1)
実施例1において、粉砕分散溶液中に抗アレルゲン剤としてフェノール性水酸基を持つポリマー化合物(積水化学工業株式会社製、アレルバスター)を添シランモノマーで被覆された無機微粒子に対して0.5質量%とすること以外は実施例1と同様である。
【0104】
(比較例2)
実施例1において、粉砕分散溶液中に抗アレルゲン剤としてフェノール性水酸基を持つポリマー化合物(積水化学工業株式会社製、アレルバスター)を、シランモノマーで被覆された無機微粒子に対して30質量%とすること以外は実施例1と同様である。
【0105】
(比較例3)
メタノールに抗アレルゲン剤としてフェノール性水酸基を持つポリマー化合物(積水化学工業株式会社製、アレルバスター)を実施例4と同等量(10質量%相当)となるよう加え、良く攪拌した。この希釈液をポリエステル製メッシュ(メッシュ数50本/インチ)に塗付し、電子線を200kVの加速電圧で5Mrad照射した。
【0106】
(比較例4)
メタノールに、抗アレルゲン剤としてフェノール性水酸基を持つポリマー化合物(積水化学工業株式会社製、アレルバスター)を比較例2と同等量(30質量%相当)とする以外は比較例4と同様である。
【0107】
(比較例5)
比較例5として、未処理メッシュを用いて評価を行った。
【0108】
【表1】

【0109】
(防塵性の評価)
防塵性は、それぞれのサンプルを10×10cmの大きさに切り取り、JIS Z 8901に準拠した、関東ローム、ケイ砂、コットンリンタ、カーボンブラックを混合した混合ダストを満遍なく振りかけた後、重量を測定してダスト付着前後のメッシュの重量を測定して評価した。
【0110】
さらに、塵離れ性はそれぞれのサンプルを10×10cmの大きさに切り取り、JIS Z 8901に準拠した混合ダストを満遍なく振りかけた後、衝撃を加えて、衝撃前後におけるサンプルの重量変化を測定して評価した。
【0111】
また、防塵性の耐久性は、市販スポンジを用いサンプル表面を100gの荷重をかけながら往復10回洗浄した後の防塵性の測定を行った。
【0112】
(抗アレルゲン性評価)
抗アレルゲン性の評価はそれぞれのサンプルを3×3cmの大きさに切り取り、さらに細断したのち、10μg/mlのダニアレルゲンタンパク質溶液3mlのなかに浸漬した。24時間後、上澄み液のダニアレルゲン量の判定を行った。ダニアレルゲン量の判定には、ダニアレルゲン簡易検査キットであるマイティチェッカー(シントーファイン株式会社製)を使用した。
【0113】
マイティチェッカーによるダニアレルゲン量の判定基準を表2に示す。試験紙のラインの発色状況にてダニアレルゲンの濃度レベルを判定するもので、「−」及び「+−」での判定を、抗アレルゲン剤によりアレルゲン濃度が低く抑えられ効果があると判断し、「+」及び「++」を、抗アレルゲン剤による効果がないと判断した。
【0114】
【表2】

【0115】
また、抗アレルゲン性の耐久性はそれぞれのサンプルを沸騰水中に30分置いた後、抗アレルゲン性の評価を行った。
【0116】
【表3】

【0117】
表3の結果より以下のことが明らかとなった。すなわち、抗アレルゲン剤がシランモノマー被覆無機微粒子に対して1質量%以上20質量%以下であれば抗アレルゲン性、防塵性、塵離れ性に優れた複合部材を形成することが可能である(実施例1〜6)。
【0118】
これに対し、抗アレルゲン剤が0.5質量%と少量の場合、無機微粒子層は防塵性、塵離れ性には優れるものの、抗アレルゲン性の効果は弱く(比較例1)、また抗アレルゲン剤の量が30質量%と多くなると、防塵性、抗アレルゲン性とも低下することが認められた(比較例2)。
【0119】
また、抗アレルゲン剤のみで処理したメッシュでは抗アレルゲン性は示されたが、防塵性は未処理のメッシュより劣る結果となった(比較例3、4)。これは抗アレルゲン剤が乾燥後も軽い粘着性を有するためだと考えられる。
【0120】
抗アレルゲン性は抗アレルゲン剤の量に比例せず、3〜15質量%(実施例2〜5、7〜11)、特に5〜10質量%(実施例3、4、7、8、11)で強い効果を示した。これは、無機微粒子上のシランモノマーと抗アレルゲン剤の疎水部が疎水相互作用により結合し、低濃度では無機微粒子と共に効率よく分散するが、高濃度では抗アレルゲン剤同士での疎水的結合が起こるため効率が低下していると推測される。または、無機微粒子膜であるために表面積が増大し低い濃度でも優れた効果を発現するが、抗アレルゲン剤を過剰に添加すると無機粒子間が埋まるため作用面積が減少するためとも考えられる。
【0121】
さらに、バインダー成分を添加することで、無機微粒子層の強度が増し、防塵性の耐久性が向上した(実施例7〜9、11)。
【0122】
しかしながら、バインダー成分の添加量を増やすと防塵性、塵離れ性が悪化し始め、抗アレルゲン剤とバインダー成分との合計が40質量%の場合、防塵性、抗アレルゲン性の低下も認められるようになった(実施例10)。
【0123】
また、バインダー成分として、撥水、撥油性を有する化合物を使用しても、従来のバインダー成分と同等の防塵性、耐久性と抗アレルゲン性を示した。これにより、液体汚れやそれに含まれるアレルゲンに対しても防汚性、抗アレルゲン性を発揮できる可能性が見出された(実施例11)。
【0124】
煮沸試験による抗アレルゲン性の耐久性の検討では、抗アレルゲン剤を直接メッシュに塗付したものでは、高濃度の塗布を行ったものでは耐久性は維持できるが(比較例4)、10質量%相当の塗布では、抗アレルゲン性の耐久性は低下する(比較例3)。比較例3と同等量の抗アレルゲン剤を、シランモノマーで被覆した無機微粒子と複合化させて使用すると、抗アレルゲン性が持続することが認められる(実施例4)。
【0125】
さらに、本発明による技術の実施形態は、基体を、例えば、フィルム状、繊維状、布状、メッシュ状、ハニカム状等、使用目的に合った様々な形態(形状、大きさ等)とすることが可能であり、様々な形態の各種基体に防塵性の機能を付加した製品に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明の実施形態の抗アレルゲン性と防塵性を有する複合部材を部分拡大した模式図である。
【図2】本発明の他の実施形態のバインダー成分を含む抗アレルゲン性と防塵性を有する複合部材を部分拡大した模式図である。
【図3】本発明の実施形態で、無機微粒子2上のシランモノマー3と抗アレルゲン剤5が配向して結合している状態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0127】
100:防塵性を有する複合部材
1 :基体
2 :無機微粒子
3 :シランモノマー
4 :化学結合
5 :抗アレルゲン剤
6 :バインダー成分
10 :無機微粒子層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、
不飽和結合部を有するシランモノマーで被覆された無機微粒子と抗アレルゲン剤とを含み前記基体の表面部に備わる無機微粒子層とを、有し、
前記無機微粒子層に含まれる前記抗アレルゲン剤の含有量が、前記シランモノマーで被覆された無機微粒子の含有量に対して、1質量%以上20質量%以下であり、
前記無機微粒子層内の前記無機微粒子同士が、互いのシランモノマーの不飽和結合部が化学結合することにより、前記無機微粒子層を形成するとともに、前記無機微粒層内の無機微粒子上のシランモノマーの不飽和結合部と前記基体の表面部とが化学結合することにより、前記基体と前記無機微粒子層とが固定されてなることを特徴とする抗アレルゲン性と防塵性を有する複合部材。
【請求項2】
前記化学結合は、グラフト重合であることを特徴とする請求項1に記載の抗アレルゲン性と防塵性を有する複合部材。
【請求項3】
前記グラフト重合は、放射線グラフト重合であることを特徴とする請求項2に記載の抗アレルゲン性と防塵性を有する複合部材。
【請求項4】
前記抗アレルゲン剤が、有機高分子化合物、及び、植物抽出物からなる群から選択された少なくとも1つの抗アレルゲン剤であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の抗アレルゲン性と防塵性を有する複合部材。
【請求項5】
前記無機微粒子層は、バインダー成分をさらに含み、
前記無機微粒子層に含まれる前記バインダー成分と前記抗アレルゲン剤との合計の含有量が、前記シランモノマーで被覆された無機微粒子の含有量に対して40質量%以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の抗アレルゲン性と防塵性を有する複合部材。
【請求項6】
前記バインダー成分は、少なくとも撥水性や撥油性を有する化合物を含むことを特徴とする請求項5に記載の抗アレルゲン性と防塵性を有する複合部材。
【請求項7】
前記バインダー成分は、少なくともフッ素系化合物を含むことを特徴とする請求項5に記載の抗アレルゲン性と防塵性を有する複合部材。
【請求項8】
前記基体の少なくとも表面が樹脂であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の抗アレルゲン性と防塵性を有する複合部材。
【請求項9】
前記基体は、樹脂であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の抗アレルゲン性と防塵性を有する複合部材。
【請求項10】
前記基体は、繊維構造体であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の抗アレルゲン性と防塵性を有する複合部材。
【請求項11】
請求項10に記載の抗アレルゲン性と防塵性を有する複合部材を用いてなることを特徴とする衣類。
【請求項12】
請求項10に記載の抗アレルゲン性と防塵性を有する複合部材を用いてなることを特徴とするフィルター。
【請求項13】
請求項10に記載の抗アレルゲン性と防塵性を有する複合部材を用いてなることを特徴とする防虫網。
【請求項14】
請求項8に記載の抗アレルゲン性と防塵性を有する複合部材を用いてなることを特徴とする建装材。
【請求項15】
請求項8に記載の抗アレルゲン性と防塵性を有する複合部材を用いてなることを特徴とする内装材。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−18503(P2009−18503A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−183020(P2007−183020)
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(391018341)NBC株式会社 (59)
【Fターム(参考)】