説明

抗アレルゲン機能及びダニ忌避機能を有する化粧シート

【課題】高い抗アレルゲン機能とダニ忌避機能とを有し、かつ優れた耐汚染性、耐溶剤性、及び耐候性といった表面物性を有する化粧シートを提供すること。
【解決手段】基材シート、25℃における蒸気圧が0.1×10-6kPa以上のダニ忌避剤を含むダニ忌避機能層、及び抗アレルゲン剤を含む抗アレルゲン機能層を順に有することを特徴とする化粧シートである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗アレルゲン機能及びダニ忌避機能を有する化粧シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建築物の床材、壁材などの内外装用建材には、アレルギー疾患の原因となる、ダニや花粉などのアレルゲンを除去ないし不活性化するような抗アレルゲン機能のような機能性を有することが求められている。例えば、特許文献1のように、抗アレルゲン機能をトップコート(最表面の層)に付与した床材が提案されている。
【0003】
ところで、建築物の床材、壁材などの内外装用建材には、抗アレルゲン機能に加えて、ダニ忌避機能のような機能性を有することも求められている。ダニ忌避機能を発現する材料としては、一般的に防虫剤、防ダニ剤などが挙げられ、特許文献2には、基板と化粧シートを積層する際に使用する接着剤に防虫剤を用いた化粧板が提案されている。
しかしながら、抗アレルゲン機能とダニ忌避機能の両機能を付与した化粧シートについては、十分に検討されていないのが現状である。また、化粧シートのトップコートに上記のような抗アレルゲン剤を添加するだけでも、耐汚染性、耐溶剤性、耐候性といった表面物性を化粧シートに付与するために用いられる樹脂本来の特性が低下してしまう。つまり、トップコートに抗アレルゲン剤とダニ忌避剤の両方を添加すると、化粧シートの物性がさらに低下することは十分に予想され、優れた抗アレルゲン機能を維持したまま、ダニ忌避機能をも有する化粧シートの開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−212806号公報
【特許文献2】特許第4597831号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、高い抗アレルゲン機能とダニ忌避機能とを有し、かつ優れた耐汚染性、耐溶剤性、及び耐候性といった表面物性を有する化粧シートを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねたところ、下記の構成を有する化粧シートにより当該課題を解決できることを見出した。本発明の要旨は、以下のとおりである。
【0007】
1.基材シート、25℃における蒸気圧が0.1×10-6kPa以上のダニ忌避剤を含むダニ忌避機能層、及び抗アレルゲン剤を含む抗アレルゲン機能層を順に有することを特徴とする化粧シート。
2.上記1に記載の化粧シートと基板とを順に有することを特徴とする化粧板。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高い抗アレルゲン機能とダニ忌避機能とを有し、かつ優れた耐汚染性、耐溶剤性、及び耐候性といった表面物性を有する化粧シートを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の化粧シートの一例の断面を示す模式図である。
【図2】本発明の化粧シートの一例の断面を示す模式図である。
【図3】本発明の化粧シートの一例の断面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔化粧シート〕
本発明の化粧シートは基材シート、25℃における蒸気圧が0.1×10-6kPa以上のダニ忌避剤を含むダニ忌避機能層、及び抗アレルゲン剤を含む抗アレルゲン機能層を順に有することを特徴とするものである。
【0011】
図1は、本発明の化粧シートの態様を示す模式図である。図1に示される化粧シート10は、基材シート1の上に、ダニ忌避機能層5、及び抗アレルゲン機能層6を順に有している。以下、化粧シート10を形成する各層について説明する。
【0012】
基材シート1
基材シートとしては、熱可塑性樹脂からなる樹脂シートが好ましく挙げられ、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂のようなポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂のほか、(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂などが好ましく挙げられる。
【0013】
また、基材シートとしては、二つ以上の樹脂シートを積層して得られる複層構成のシートを用いることもできる。この場合、二つ以上の樹脂シートに用いられる樹脂は同じでも異なっていてもよい。
基材シートの厚さは20〜300μmが加工性、柔軟性、強度の点で通常適用され、40〜200μm程度がより好ましい。基材シートが複層構成のシートの場合、各層を構成する基材シートの厚さの合計が上記範囲内であることが好ましい。この場合、各層を構成する基材シートの厚さは同じでも異なっていてもよい。
【0014】
基材シートが複層構成となる場合、図2の態様を例に説明すると、基材シート1aは、その表面にコロナ放電処理を施した後、印刷層2と接着剤層3とを設け、基材シート1bを押出ラミネーション、ドライラミネーション、ウエットラミネーション、サーマルラミネーションなどの方法により接着・圧着させて得られる。これらの基材シートは、着色されたものでも、無着色のものでもよい。
【0015】
各基材シートは、その表面にコロナ放電処理やプラズマ処理などのいわゆる易接着性処理がなされていてもよく、基材シートにアンカー層などの易接着層が設けられていてもよい。また、本発明の化粧シートを木質基板に貼り付けて化粧板とする場合には、基材シートの裏面(木質基板側)に厚さ1〜5μm程度のアクリル樹脂などを用いたプライマー層(裏面プライマー層)を設けてもよい。
【0016】
印刷層2
印刷層は、絵柄層の下にベタ層を設けてもよい。絵柄層の模様としては、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)などの岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様などがあり、これらを複合した寄木、パッチワークなどの模様もある。ベタ層は、全面にわたって均一な着色を施すことで、意匠性を向上させる効果がある。
印刷方法としては、通常の、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷などの輪転印刷、枚葉印刷のいずれをも適用できる。
【0017】
また、絵柄層の印刷に用いるインキとしては、特に制限はなく、バインダーに、黄鉛、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、酸化チタン、紺青、カーボンブラック、紅柄などの無機顔料やジスアゾ系顔料、イソインドリノン、ポリアゾ系顔料、キナクリドン、フタロシアニンブルーなどの有機顔料、アルミニウム粉、銅粉、金属蒸着合成樹脂フィルムの微細断裁片、二酸化チタン被覆雲母、魚鱗箔などのパール状光沢をもつ顔料などを混合したものが用いられる。
図1に示されるように、基材シートが単層構成である場合は、ダニ忌避機能層と基材シートとの間に印刷層を設ければよい。また図2に示されるように、基材シートが複層構成である場合は、基材シート1a及び1bの間に印刷層2を設ければよい。
【0018】
接着剤層3を形成する接着剤としては、ウレタン系、アクリル系、アクリル/ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリスチレン系、セルロース系などの接着剤が好ましく挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で、あるいは2種以上の混合物として使用することができる。
【0019】
ダニ忌避機能層5
ダニ忌避機能層は、25℃における蒸気圧が0.1×10-6kPa以上のダニ忌避剤を含有し、本発明の化粧シートにダニ忌避機能を付与する層である。本発明において用いるダニ忌避剤は、比較的高めの蒸気圧を有する剤、すなわち比較的揮発しやすい剤であるため、抗アレルゲン機能層を表層に設けても十分にダニ忌避機能を発揮することができる。
本発明で用いられるダニ忌避剤は、25℃における蒸気圧が0.1×10-6kPa以上、より好ましくは0.1×10-6〜0.1×10-4kPaであり、ダニ忌避機能を有する剤であれば特に制限はない。ここで、25℃における蒸気圧は、通常の方法、例えば気体流通法などの方法に基づき測定された値である。
【0020】
このようなダニ忌避剤としては、シクロプロパンカルボン酸骨格を有するピレスロイド化合物が好ましく挙げられる。ピレスロイド化合物としては、ピレトリン(0.4×10-6kPa)、シネリン、ジャスモリンといった天然ピレスロイド化合物;トランスフルスリン(0.4×10-6kPa)、テラレトリン(0.5×10-6kPa)、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシベンジル3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート(0.6×10-6kPa)、プラレトリン(0.6×10-6kPa)、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート(0.7×10-6kPa)、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル3−メトキシイミノメチル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート(0.8×10-6kPa)、アレスリン(0.8×10-6kPa)、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート(0.9×10-6kPa)、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート(0.2×10-5kPa)、フラメトリン(0.3×10-5kPa)、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート(0.4×10-5kPa)、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート(1.0×10-5kPa)、エンペントリン(0.2×10-4kPa)、5−プロパルギル−2−フルフリル2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシラート(0.2×10-4kPa)などの合成ピレスロイド化合物が好ましく挙げられる。ここで、化合物名の後の括弧内の値はその化合物の25℃における蒸気圧のことである。
また、上記した中でも、ピレスロイド化合物としては、高いダニ忌避機能と、優れた表面物性を得る観点から、エンペントリン(0.2×10-4kPa)が好ましい。
【0021】
本発明においては、ダニ忌避剤が、無機固体酸に担持されたものであることが好ましく、より具体的には上記のピレスロイド化合物が無機固体酸に担持されたものであることが好ましい。ダニ忌避剤が無機固体酸に担持したものであると、ダニ忌避剤が揮発しにくく、ダニ忌避機能の持続性が向上する。
無機固体酸は、無機物質であって、その表面に水素イオンを放出し、酸性を発現する酸点あるいは活性点を有するものである。例えば、H置換Y型ゼオライト、H置換ZSM−5型ゼオライトなどのゼオライト類、リン酸ジルコニウム、リン酸アルミニウム、リン酸スズ、リン酸セリウム、リン酸チタニウムなどのリン酸化合物類、アンチモン酸のほか、シリカアルミナ、シリカチタニア、シリカジルコニア、チタニアアルミナ、チタニアジルコニアなどの複合酸化物などが好ましく挙げられる。これらの中でも、耐熱性に優れ、高い固体酸性を有する観点から、ゼオライト類、複合酸化物が好ましく、特に酸強度が強いリン酸ジルコニウムが好ましく、結晶系が層状構造を有する層状リン酸ジルコニウムが好ましい。
【0022】
無機固体酸の形状は、取り扱いの点から粉末状であることが好ましい。粉末状の場合、その平均粒径は0.01〜50μmであることが好ましく、0.02〜20μmであることがより好ましい。平均粒径が上記範囲内であると、取り扱いが容易であり、優れたダニ忌避機能を得る観点からも好ましい。
【0023】
ダニ忌避剤を無機固体酸に担持する方法としては、特に制限なく従来より知られる方法を採用することができる。例えば、所定の形状に成型した無機固体酸に、所望のダニ忌避剤水溶液を含浸させ、余分な水分を濾過または蒸発により除去し、乾燥した後、必要に応じて焼成する方法や、無機固体酸のヒドロゾルまたはスラリーに所望のダニ忌避剤の水溶液を加え、混練した後乾燥し、必要に応じて焼成する方法などが好ましく挙げられる。
【0024】
本発明において、ピレスロイド化合物が無機固体酸に担持されたものをダニ忌避剤として用いる場合、ピレスロイド化合物と無機固体酸との重量比率は、50:50〜0.1:99.9が好ましく、より好ましくは30:70〜0.5:99.5である。重量比率が上記範囲内であると、とりわけ優れたダニ忌避機能が得られる。このようなダニ忌避剤は、市販品として入手も可能であり、例えば、有機/無機ハイブリッド型の「ナインセクト(商品名)」(東亞合成株式会社製)などが市販品として挙げられる。
【0025】
ダニ忌避機能層は、ダニ忌避剤と硬化性樹脂とを含む樹脂組成物により形成されることが好ましい。硬化性樹脂としては、化粧シートの形成に通常用いられる硬化性を有する樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレタン−アクリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、2液硬化型樹脂、電離放射線硬化性樹脂などの公知の材料が使用可能であり、特に制限はないが、主剤とイソシアネート化合物などの硬化剤とを含む2液硬化型樹脂組成物や電離放射線硬化性樹脂が好ましく挙げられる。
【0026】
2液硬化型樹脂組成物に含まれる主剤としては、イソシアネート化合物などの硬化剤の存在により硬化するものであれば特に制限はない。主剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸エステルと、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどの水酸基を有するモノマーとの付加重合によって得られるアクリルポリオールや、公知のジオール類、例えばエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類とアジピン酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸などの二塩基酸、これらの酸エステルなどから選ばれる少なくとも一種との重縮合反応によって得られるポリエステルポリオール、あるいは、前記のジオール類とエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフランなどとの付加重合によって得られるポリエーテルポリオールなど、官能基として水酸基を有するポリオールが好ましく挙げられる。これらは単独又は複数種を混合して使用できる。上記の中でも、アクリルポリオールが、ダニ忌避機能層と抗アレルゲン機能層との層間密着性の観点から、特に好適である。
【0027】
硬化剤としては、例えば、メチレンビス(4,1−フェニレン)=ジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂肪族(ないしは脂環式)ポリイソシアネートなどのイソシアネート化合物が好ましく挙げられる。
【0028】
また、上記のイソシアネート化合物のアダクト変性体、ビュレット変性体、イソシアヌレート変性体、ウレトンイミン変性体、ウレトジオン変性体、カルボジイミド変性体、弾性変性ポリイソシアネートなどのいわゆる変性ポリイソシアネートも、硬化剤として使用できる。
本発明においては、硬化剤を1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
本発明においては、主剤と硬化剤との使用割合は、通常質量比で100:1〜100:15の範囲で選定され、好ましくは100:2〜100:10の範囲であり、より好ましくは100:2〜100:8の範囲である。主剤と硬化剤との質量比が上記範囲内であると、優れた層間密着性が得られる。また、後述する抗アレルゲン機能層にフェノール性水酸基を有する抗アレルゲン剤を添加した場合、隣接するダニ忌避機能層中に過剰の硬化剤を含むと抗アレルゲン機能を低下させる可能性があるため、後述するブロック層を設けることにより、高い抗アレルゲン機能を維持することができる。
【0030】
硬化性樹脂として好ましく用いられる電離放射線硬化性樹脂は、電離放射線の照射により硬化する樹脂である。ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も含むものである。
【0031】
電離放射線硬化性樹脂は、慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートモノマーであればよく、特に制限はない。これらの(メタ)アクリレートモノマーは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
次に、重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えばウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、アクリル(メタ)アクリレートオリゴマーなどの(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましく挙げられ、これらのオリゴマーを1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0033】
ここで、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの反応によって得られるポリウレタンプレポリマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを用いることもできる。
ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
また、アクリル(メタ)アクリレートオリゴマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、これと共重合可能な、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルなどの官能基含有(メタ)アクリル系化合物、あるいは(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのカルボン酸とを共重合してなるオリゴマーである。
【0034】
上記の重合性オリゴマーは、水酸基、アミノ基、あるいはチオール基などの反応性官能基を有する(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましく、特にエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、水酸基を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、水酸基を有するポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。
【0035】
電離放射線硬化性樹脂として好ましく用いられるこれらの重合性オリゴマーは、ラジカル重合性不飽和基の数が2〜10であることが好ましい。官能基数が上記範囲内であると、優れた柔軟性を有するのでVカットをはじめとする各種加工に対応できる優れた加工性が得られる。
【0036】
また、これらの重合性オリゴマーの重量平均分子量(GPC法で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量)は、600〜5000程度のものが好ましい。重量平均分子量が上記範囲内であると、優れた抗アレルゲン機能とともに耐候性、耐汚染性も得られる。また、電離放射線硬化性樹脂が適度なチクソ性を有するので、ダニ忌避機能層の形成が容易となる。
【0037】
また、上記した重合性オリゴマーを用いる場合、その粘度を低下させるなどの目的で、単官能性もしくは多官能性ウレタン(メタ)アクリレートモノマーを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。これらの(メタ)アクリレートモノマーは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
樹脂組成物中のダニ忌避剤の含有量は、硬化性樹脂(2液硬化型樹脂組成物においては主剤)100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは0.05〜15質量部である。ダニ忌避剤の含有量が上記範囲内であると、樹脂組成物の塗布性に優れ、かつ高いダニ忌避機能、基材シートと抗アレルゲン層との間の密着性を向上する機能や、優れた加工性が得られる。
【0039】
ダニ忌避機能層の厚さは、0.5〜50μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜25μmである。厚さが上記範囲内であると、高いダニ忌避機能や、優れた加工性が得られる。
【0040】
抗アレルゲン機能層6
抗アレルゲン機能層は、本発明の化粧シートに抗アレルゲン機能を付与する層である。抗アレルゲン機能層は、好ましくは硬化性樹脂と抗アレルゲン剤とを含む抗アレルゲン機能層用樹脂組成物により形成される。
【0041】
抗アレルゲン機能層の形成に用いられる硬化性樹脂は、熱あるいは電離放射線の照射により硬化する樹脂であれば特に制限はない。本発明においては、電離放射線の照射により硬化する樹脂、すなわち電離放射線硬化性樹脂であることが好ましい。電離放射線硬化性樹脂を用いることによって、高い表面物性が得られる。
【0042】
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、フェノール/ホルマリン樹脂、尿素樹脂、尿素/ホルマリン樹脂、メラミン樹脂、メラミン/ホルマリン樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などが好ましく挙げられる。
また、電離放射線硬化性樹脂としては、ダニ忌避機能層の形成に好ましく電離放射線硬化性樹脂として記載したものが好ましく挙げられる。
【0043】
抗アレルゲン剤は、抗アレルゲン機能を発揮する剤であれば特に制限されない。好ましい抗アレルゲン剤としては、フェノール性水酸基を有するもの、すなわちフェノール化合物であり、該フェノール性水酸基が、アレルゲン性の物質を吸着するとともに不活性化させるように機能するものが挙げられる。このような抗アレルゲン剤としては、分子内に複数のフェノール性水酸基、すなわちベンゼン環やナフタレン環などの芳香環に結合した水酸基を有する有機化合物であるポリフェノール化合物で構成されるもの、例えば、ポリ(4−ビニルフェノール)やポリ(3,4,5−ヒドロキシ安息香酸ビニル)などのポリフェノール系の高分子が好ましく挙げられる。市販の抗アレルゲン剤としては、「マルカリンカー M(商品名)」(丸善石油化学株式会社)などを使用することができ、この抗アレルゲン剤は、ダニや花粉など種々のアレルゲンに対して有効に作用するものである。
【0044】
また、ポリフェノール化合物が無機固体酸に担持されたものも好ましく挙げられる。このような態様において用いられるポリフェノール化合物としては、例えば、エピカテキン、ガロタンニン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートなどのカテキンと称される低分子量ポリフェノールや高分子量のタンニン酸などが、優れた抗アレルゲン機能を有するとともに、工業的に容易にかつ安価に入手できる観点から好ましく挙げられる。ポリフェノール化合物は、上記したものを単独で、あるいは複数を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、タンニン酸が抗アレルゲン機能の観点から好ましい。
無機固体酸としては、上記したダニ忌避剤の担体として記載した無機固体酸が好ましく挙げられる。また、抗アレルゲン剤の無機固体酸への担持は、ダニ忌避剤の無機固体酸への担持と同様の方法で行うことができる。
【0045】
本発明において、ポリフェノール化合物が無機固体酸に担持されたものを抗アレルゲン剤として用いる場合、ポリフェノール化合物と無機固体酸との重量比率は、10:90〜95:5が好ましく、より好ましくは20:80〜80:20であり、さらに好ましくは20:80〜40:60である。重量比率が上記範囲内であると、ポリフェノール化合物と無機固体酸との相乗効果により、とりわけ優れた抗アレルゲン機能が得られる。このような抗アレルゲン剤は、市販品として入手も可能であり、例えば、ポリフェノール化合物とジルコニウム化合物とを組み合わせた「アレリムーブ(商品名)」(東亞合成株式会社製)などが市販品として挙げられる。
【0046】
抗アレルゲン剤の配合量は、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、1〜30質量部であり、好ましくは3〜25質量部であり、より好ましくは8〜15質量部である。本発明では、このような少ない配合量であっても、上記の2〜10官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと組み合わせることにより、優れた抗アレルゲン機能が得られるとともに、優れた耐候性や耐汚染性も得られる。
【0047】
また、抗アレルゲン機能層用樹脂組成物には、本発明の化粧シートを適用するものに対して要求される特性を満たすために、さらに、紫外線吸収剤、光安定剤、抗菌剤、耐摩耗剤、及び艶消し剤、あるいは沈降防止剤などの添加剤を含有させることができる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、ダニ忌避剤を添加することもできる。
【0048】
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系などの有機系紫外線吸収剤が好ましく挙げられ、紫外線吸収能が高く、また紫外線などの高エネルギーに対しても劣化しにくいトリアジン系がより好ましい。また、硬化性樹脂として電離放射線硬化性樹脂を用いる場合は、ブリードアウトを抑制するために、必要に応じて(メタ)アクリロイル基、ビニル基などのエチレン性二重結合含有官能基を有する電離放射線反応型紫外線吸収剤を用いてもよい。
紫外線吸収剤の含有量は、硬化性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部である。
【0049】
光安定剤としては、ヒンダードアミン系の光安定剤が好ましく、硬化性樹脂として電離放射線硬化性樹脂を用いる場合は、(メタ)アクリロイル基、ビニル基などのエチレン性二重結合含有官能基を有する電離放射線反応型ヒンダードアミン系光安定剤が好ましい。このような光安定剤としては、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレートなどが挙げられる。
光安定剤の含有量は、硬化性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部である。
【0050】
抗菌剤としては、担体が活性炭、活性アルミナ、シリカゲルなどの無機系吸着剤や、ゼオライト、リン酸ジルコニウムなどの無機化合物であり、当該担体に銀イオン又は銀イオンの他に銅イオン、亜鉛イオンを併用した少なくとも銀イオンを担持させたものが好ましく挙げられる。
【0051】
耐摩耗剤としては、無機系充填剤としては、α−アルミナ、シリカなどの球状粒子が好ましく挙げられ、有機物系充填剤としては、架橋アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの合成樹脂ビーズが好ましく挙げられる。粒径は、通常膜厚の30〜100%程度であり、その配合量は、硬化性樹脂100質量部に対して1〜20重量部程度である。
【0052】
艶消し剤としては、シリカ、ケイ酸カルシウムなどの無機質微粉末や、アクリル樹脂、ウレタン樹脂からなる有機フィラーなどが好ましく挙げられる。
艶消し剤の配合量としては、硬化性樹脂100質量部に対して、4〜30質量部であり、10〜20質量部であることがより好ましい。
【0053】
また、硬化性樹脂として紫外線硬化型樹脂を用いる場合には、光重合用開始剤を硬化型樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加することが望ましい。
【0054】
プライマー層4
本発明の化粧シートは、基材シートとダニ忌避機能層との密着性を向上させる観点から、図2や図3に示されるようなプライマー層を設けることができる。プライマー層は硬化性樹脂を含む樹脂組成物により形成され、硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレタン−アクリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂などの公知の材料が使用可能であり、特に制限はないが、密着性の向上の観点から、ダニ忌避機能層を形成する硬化性樹脂として記載したような、主剤とイソシアネート化合物などの硬化剤とを含む2液硬化型樹脂組成物が好ましく挙げられる。プライマー層の形成に2液硬化型樹脂組成物を用いる場合は、ダニ忌避機能層を形成する硬化性樹脂として電離放射線硬化性樹脂を採用することが好ましい。このような組み合わせとすることで、基材シートとダニ忌避機能層との優れた密着性が得られ、かつプライマー層中に含まれる硬化剤に起因した抗アレルゲン機能の低下を抑制することができる。
【0055】
プライマー層の厚さは、0.5〜10μm程度であり、好ましくは0.5〜5μmである。プライマー層の厚さが上記範囲内であると、基材シートとダニ忌避機能層との優れた密着性が得られる。
また、プライマー層には、プライマー層の機能を阻害しない範囲であれば、ダニ忌避剤を添加してもよい。
【0056】
ブロック層
本発明の化粧シートは、ダニ忌避機能層の形成に硬化性樹脂として2液硬化型樹脂組成物を用いる場合などに高い抗アレルゲン機能を維持する観点から、ダニ忌避機能層と抗アレルゲン機能層との間にブロック層を設けることが好ましい(図示せず)。プライマー層に含まれる硬化剤、とりわけイソシアネート化合物に起因する抗アレルゲン剤の失活の優れた抑制効果が得られ、優れた抗アレルゲン機能が得られるからである。ブロック層は硬化性樹脂を含む樹脂組成物により形成され、硬化性樹脂としては、上記のダニ忌避層を形成する硬化性樹脂として記載した電離放射線硬化性樹脂が好ましく挙げられる。また、電離放射線硬化性樹脂の中でも、高い抗アレルゲン機能を維持する観点から、水酸基、あるいはアミノ基やチオール基などの反応性官能基を有する(メタ)アクリレートオリゴマー、例えばエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、水酸基を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、水酸基を有するポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。ダニ忌避機能層やプライマー層の形成に硬化性樹脂として2液硬化型樹脂組成物を用いた場合、該樹脂組成物に含まれる硬化剤、とりわけイソシアネート化合物に起因する抗アレルゲン剤の失活の優れた抑制効果が得られ、優れた抗アレルゲン機能が得られるからである。
【0057】
ブロック層の厚さは、硬化性樹脂として水酸基を有する電離放射線硬化性樹脂を用いる場合は、通常1〜45μm程度であり、3〜35μmが好ましく、より好ましくは5〜25μmである。また、硬化性樹脂として用いる電離放射線硬化性樹脂が水酸基を有しない場合は、通常1〜30μm程度であり、5〜27μmが好ましく、より好ましくは10〜25μmである。ブロック層が上記範囲内であると、樹脂組成物の塗布性に優れ、かつ高い抗アレルゲン機能を維持することができる。
また、ブロック層には、ブロック層の機能を阻害しない範囲であれば、ダニ忌避剤を添加してもよい。
【0058】
本発明の化粧シートは、その表面にエンボス加工によるエンボス模様(図示せず)を施すこともできる。エンボス加工は、抗アレルゲン機能層面から、エンボス板で加熱加圧することのほか、種々の方法により形成することができる。エンボス模様の形状としては、制限はないが、本発明の化粧シートが適用される建材の特性に応じて形成される。
【0059】
〔化粧シートの製造方法〕
本発明の化粧シートは、例えば、基材シート上に、ダニ忌避剤と硬化性樹脂とを含む樹脂組成物を塗布し硬化させた後、硬化性樹脂と抗アレルゲン剤とを含む抗アレルゲン機能層用樹脂組成物を塗布し、硬化させることで製造することができる。
【0060】
各樹脂組成物の塗布は、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート、フローコーター、吹きつけ法、エアレススプレー法、エアスプレー法、刷毛塗り、コテ塗り、浸漬法、引き上げ法、ノズル法、巻取り法、流し法、盛り付け法、パッチング法などの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより行うことができる。
【0061】
また、硬化性樹脂として電離放射線硬化性樹脂を用いる場合は、当該樹脂の硬化は電離放射線などを照射して行うことが好ましい。電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度、照射線量は5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは5〜100kGy(0.5〜10Mrad)の範囲で選定される。
【0062】
電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
【0063】
また、電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯などが用いられる。
【0064】
本発明においては、上記したように基材シートとダニ忌避機能層との密着性を向上する観点から、プライマー層を形成することが好ましい。プライマー層の形成は、硬化性樹脂として2液硬化型樹脂組成物を用いることが好ましく、該樹脂組成物の塗布は、上記したダニ忌避機能層を形成する硬化性樹脂を含む樹脂組成物の塗布方法と同様の方法により行うことができる。また、上記ブロック層の形成についても同様である。
【0065】
〔化粧板〕
本発明の化粧板は、上記の本発明の化粧シートを基板に積層して得られるものである。基板は限定的でなく、公知の化粧板と同様のものを用いることができ、例えば、木質材料、金属、セラミックス、プラスチックス、ガラスなどが挙げられる。
木質材料としては、杉、檜、欅、松、ラワン、チーク、メラピーなどの各種素材の突板、木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)などの木質材などが挙げられる。これらは単独で、または積層して用いることもできる。なお、木質基板には、木質板に限らず、紙粉入りのプラスチック板や、強化紙も包含される。
【0066】
また、化粧シートと基板とを貼り付けるために用いる接着剤としては、尿素系、酢酸ビニル樹脂系、ユリア樹脂系、メラミン樹脂系、フェノール樹脂系、イソシアネート系などの接着剤を用いることができ、単独であるいは任意混合した混合型接着剤として用いられる。接着剤には、必要に応じてタルク、炭酸カルシウム、クレー、チタン白などの無機質粉末、小麦粉、木粉、プラスチック粉、着色剤、防虫剤、防カビ剤などを添加混合して用いることができる。
接着剤は、スプレー、スプレッダー、バーコーターなどの塗布装置を用いて塗布すればよい。この接着剤は、一般に、接着剤は固形分を35〜80質量%とし、塗布量50〜300g/m2の範囲で基板表面に塗布される。
【0067】
化粧シートの基板上への貼着は、通常、化粧シートの裏面に接着剤層を形成し、基板を貼着するか、基板の上に接着剤を塗布し、鏡面化粧シートを貼着するなどの方法による。貼着には、コールドプレス、ホットプレス、ロールプレス、ラミネーター、ラッピング、縁貼り機、真空プレスなどの貼着装置を用いることができる。
【0068】
このようにして得られた本発明の化粧板は、任意切断して、表面や木口部にルーター、カッターなどの切削加工機を用いて溝加工、面取加工などの任意加飾を施すことができる。そして種々の用途、例えば、床材、壁材などの内装材や外装材として好適に用いられる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の化粧シートは、抗アレルゲン剤とダニ忌避剤とを積極的に同じ層に用いないため、優れた耐汚染性、耐溶剤性、及び耐候性といった表面物性を保持しつつ、優れた抗アレルゲン機能及びダニ忌避機能を発揮することができる。すなわち、ダニ忌避機能層によりアレルゲンの原因となるダニを寄せ付けず、また、ダニ以外の要因で持ち込まれたアレルゲン物質を抗アレルゲン機能層で不活性化することができる。よって、本発明の化粧シートは、例えば基板に貼り付けて化粧板とし、例えば、床材、壁材などの内装材や外装材として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0070】
1.基材シート
1a.基材シート
1b.基材シート
2.印刷層
3.接着剤層
4.プライマー層
5.ダニ忌避機能層
6.抗アレルゲン機能層
10.化粧シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シート、25℃における蒸気圧が0.1×10-6kPa以上のダニ忌避剤を含むダニ忌避機能層、及び抗アレルゲン剤を含む抗アレルゲン機能層を順に有することを特徴とする化粧シート。
【請求項2】
前記抗アレルゲン機能層が、硬化性樹脂と抗アレルゲン剤とを含む抗アレルゲン機能層用樹脂組成物の硬化物であることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
【請求項3】
前記硬化性樹脂が、電離放射線硬化性樹脂であることを特徴とする請求項2に記載の化粧シート。
【請求項4】
前記ダニ忌避機能層が、前記ダニ忌避剤と硬化性樹脂とを含む樹脂組成物の硬化物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
【請求項5】
前記抗アレルゲン剤が、フェノール性水酸基を有するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
【請求項6】
前記抗アレルゲン剤が、無機固体酸に担持されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の化粧シート。
【請求項7】
前記ダニ忌避剤が、ピレスロイド化合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の化粧シート。
【請求項8】
前記ダニ忌避剤が、無機固体酸に担持されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の化粧シート。
【請求項9】
前記抗アレルゲン剤の配合量が、前記硬化性樹脂100質量部に対して1〜30質量部である請求項2〜8のいずれかに記載の化粧シート。
【請求項10】
前記ダニ忌避剤の配合量が、前記硬化性樹脂100質量部に対して0.01〜20質量部である請求項4〜9のいずれかに記載の化粧シート。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の化粧シートと基板とを順に有することを特徴とする化粧板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−56431(P2013−56431A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195022(P2011−195022)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】