説明

抗ウイルス剤

【課題】インフルエンザ等に有効な抗ウイルス剤を提供する。
【解決手段】式(I)で表されるピロール誘導体を含有する抗ウイルス剤。


(式中、R、R、RおよびRは、同一または異なって、水素原子、アルキル基、アリール基等を表し、Xは、水素原子、置換アルキル基等を表すか、または、XとR、RとRまたはRとRは、それぞれ、一緒になって環を形成してもよい)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピロール誘導体を含有してなる抗ウイルス剤に関する。
【背景技術】
【0002】
インフルエンザウイルスはウイルス粒子内の核蛋白複合体の抗原性の違いから、A・B・Cの3型に分けられ、このうち流行的な広がりを見せるのはA型とB型である。A型ウイルス粒子表面には赤血球凝集素(HA)とノイラミニダーゼ(NA)という糖蛋白があり、HA、NAにそれぞれ数種類の亜型がある。これらは様々な組み合わせをもって、ヒト以外にもブタやトリなどその他の宿主動物に広く分布していることからA型インフルエンザウイルスは人畜共通感染症として捉えられる。
【0003】
ウイルスの表面にあるHAとNAはわずかな抗原性を毎年のように変化させる連続抗原変異から、突然別の亜型に変化してしまう不連続抗原変異(いわゆる「新型」インフルエンザの登場)まで、様々な変異を容易に繰り返すことでウイルスは生き延びていく。特に人々は「新型」に対する抗体はないため、大流行(パンデミック)になる。近年では、香港でトリ型のインフルエンザA/H5N1が初めて人から分離され、「新型」インフルエンザウイルスの出現の可能性として世界中の注目を浴びた。さらにこのトリ型のインフルエンザA/H5N1がヒトへの感染・死亡例が確認され、世界各国で新型インフルエンザによるヒトからヒトへの感染、死亡という大流行を警戒している。
【0004】
インフルエンザウイルスに対する特異的療法として、抗ウイルス剤投与が挙げられる。抗A型インフルエンザ薬であるアマンタジン(Amantadine)(1−アミノアダマンタン)は、A型ウイルスの表面にあるM2蛋白に作用してインフルエンザウイルスの細胞への侵入を阻止し、抗ウイルス作用を発揮する。インフルエンザBに対しては無効である。また、インフルエンザウイルスのNAの作用を阻害することによって、細胞内で感染増殖したウイルスが細胞外に放出されることを抑制し、抗ウイルス作用を発揮するシアル酸誘導体のザナミビル(Zanamivir)が知られている(例えば、非特許文献1参照)。ザナミビルは粉剤で吸入によって投与されるが、同様にNA阻害作用を持つプロドラッグであるオセルタミビル(Oseltamivir:別名タミフル)は経口薬として知られている。剤型としてシロップ剤なども考慮されている。ザナミビル、オセルタミビルともにA、B両型に対して作用するが、耐性ウイルスの存在も報告されている。
【0005】
また、インフルエンザに対しての予防方法として、現行のインフルエンザHAワクチンも有用手段の一つである。インフルエンザワクチンには高熱などの症状を軽くし、合併症による入院や死亡を減らすことができる。特に65歳以上の高齢者や基礎疾患(気管支喘息等の呼吸器疾患、心不全などの循環器疾患、糖尿病、腎不全など)を有する人はインフルエンザが重症化しやすいので、ワクチン接種による予防が勧められる。より良いワクチンへの改良開発として、投与回数・投与法(経鼻投与など)・アジュバントの工夫・生ワクチン・人工膜ワクチンなど、新ワクチンの研究が進められている。しかしながら、新型インフルエンザの大流行が予想される中で、新型インフルエンザが発見されていない段階でのワクチン生産は出来ないため、大流行に対応しきれないことが懸念されている。
【0006】
従来、N−メチルピロール骨格を有し、抗腫瘍性抗生物質としてディスタマイシン(Distamycin)が知られている。
【0007】
【化1】

【0008】
下記式で示されるディスタマイシンの基本骨格であるN−メチルピロール環を有する誘導体が、抗ウイルス活性を有していることが知られている(例えば、特許文献1、2および3参照)。
【0009】
【化2】

【0010】
本発明に関連したピロール誘導体としては、例えば、下記式で示される化合物が、ハロゲン化銀カラー感光材料として知られているが、抗ウイルス剤としては知られていない(例えば、特許文献4および5参照)。
【0011】
【化3】

【0012】
(式中、EWGは電子吸引性基を、RおよびRは、水素原子、置換基を、Xは水素原子、脱離基を、Yは水素原子、水酸基、スルホンアミド基を表す)
【0013】
また、下記式で示されるピロール環に含窒素5〜6員複素環が縮合した化合物が、ハロゲン化銀カラー感光材料として知られているが、抗ウイルス剤としては知られていない(例えば、特許文献6、7および8参照)。
【0014】
【化4】

【0015】
(式中、RおよびRは、水素原子、置換基を、Xは水素原子、脱離基を、Zは含窒素5〜6員複素環を表わす)
【0016】
【特許文献1】特開平6−92933号公報
【特許文献2】特開平6−184098号公報
【特許文献3】特開2001−181279号公報
【特許文献4】特開平4−188137号公報
【特許文献5】特開平4−190347号公報
【特許文献6】特開平6−118587号公報
【特許文献7】特開平5−232648号公報
【特許文献8】特開2000−310842号公報
【非特許文献1】J.Virol., 74, 11108-11114 (2000)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
シアル酸誘導体であるザナミビル、オセルタミビルともに、耐性ウイルスの存在が知られており、NA阻害剤の基本骨格であるシアル酸誘導体以外の基本骨格を有する、安全性のより高い抗インフルエンザ薬が求められている。
本発明の課題は、ピロール誘導体を含有してなる優れた抗ウイルス剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは、N−メチルピロール環を有しないピロール誘導体が抗ウイルス活性を有していることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0019】
すなわち本発明は、
(1) 式(I)
【0020】
【化5】

【0021】
{式中、
、R、RおよびRは、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換アルキル基、置換もしくは非置換シクロアルキル基、置換もしくは非置換アルケニル基、置換もしくは非置換アルキニル基、置換もしくは非置換脂環式複素環基、置換もしくは非置換アリール基、置換もしくは非置換アラルキル基、置換もしくは非置換芳香族複素環基、置換もしくは非置換芳香族複素環アルキル基、OR(式中、Rは、水素原子、置換もしくは非置換アルキル基、置換もしくは非置換シクロアルキル基、置換もしくは非置換アルケニル基、置換もしくは非置換アルキニル基、置換もしくは非置換脂環式複素環基、置換もしくは非置換アリール基、置換もしくは非置換アラルキル基、置換もしくは非置換芳香族複素環基または置換もしくは非置換芳香族複素環アルキル基を表す)、NR(式中、RおよびRは、同一または異なって、前記Rと同義であるか、またはRとRが一緒になって、置換もしくは非置換含窒素複素環基を表す)、S(O)mR(式中、mは、0、1または2を表し、Rは、前記Rと同義である)、COR(式中、Rは、前記Rと同義である)、COOR(式中、Rは、前記Rと同義である)、OCOR(式中、Rは、前記Rと同義である)、CONR(式中、RおよびRは、同一または異なって、それぞれ前記RおよびRと同義である)、NR10COR11(式中、R10およびR11は、同一または異なって、前記Rと同義である)、NR12COOR13(式中、R12およびR13は、同一または異なって、前記Rと同義である)、NR14SO15(式中、R14およびR15は、同一または異なって、前記Rと同義である)、NR16C(=Q)NR1718[式中、Qは、酸素原子、硫黄原子、NR19(式中、R19は、前記Rと同義である)、NCN、CHNOまたはC(CN)を表し、R16は、前記Rと同義であり、R17およびR18は、同一または異なって、それぞれ前記RおよびRと同義である]、NR20C(=Q)NR21COR22(式中、Qは、前記Qと同義であり、R20、R21およびR22は、同一または異なって、前記Rと同義である)、NR23C(=Q)NR24COOR25(式中、Qは、前記Qと同義であり、R23、R24およびR25は、同一または異なって、前記Rと同義である)、NR26SONR2728(式中、R26は、前記Rと同義であり、R27およびR28は、同一または異なって、それぞれ前記RおよびRと同義である)、SONR2930(式中、R29およびR30は、同一または異なって、それぞれ前記RおよびRと同義である)、ニトロ基、シアノ基またはハロゲン原子を表し、ここで、R〜Rの少なくとも一つは、水素原子以外の基を表し、
Xは、水素原子、置換アルキル基、置換もしくは非置換シクロアルキル基、置換もしくは非置換アルケニル基、置換もしくは非置換アルキニル基、置換もしくは非置換脂環式複素環基、置換もしくは非置換アリール基、置換もしくは非置換アラルキル基、置換もしくは非置換芳香族複素環基または置換もしくは非置換芳香族複素環アルキル基、OR31(式中、R31は、前記Rと同義である)、NR3233(式中、R32およびR33は、同一または異なって、それぞれ前記RおよびRと同義である)、SO34(式中、R34は、前記Rと同義である)、COR35(式中、R35は、前記Rと同義である)、COOR36(式中、R36は、前記Rと同義である)、OCOR37(式中、R37は、前記Rと同義である)、CONR3839(式中、R38およびR39は、同一または異なって、それぞれ前記RおよびRと同義である)、NR40COR41(式中、R40およびR41は、同一または異なって、前記Rと同義である)、NR42COOR43(式中、R42およびR43は、同一または異なって、前記Rと同義である)、NR44SO45(式中、R44およびR45は、同一または異なって、前記Rと同義である)を表し、
または、
XとR、RとRまたはRとRは、それぞれ、一緒になって環を形成してもよい(以下、XとRとが一緒になって形成する環をZと、RとRとが一緒になって形成する環をZと、また、RとRとが一緒になって形成する環をZと、それぞれいう)}
で表されるピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤に関する。
【0022】
また、本発明は、
(2) Xが水素原子であり、下記式(Ia)
【0023】
【化6】

【0024】
(式中、R、R、RおよびRは、前記と同義である)
で表されることを特徴とする上記(1)記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤や、
(3) Rが、置換もしくは非置換フェニル基、アミノ基、CONHR9a(式中、R9aは、置換もしくは非置換アルキル基を表す)またはNHC(=S)NHCOOR25a(式中、R25aは、置換もしくは非置換アルキル基を表す)を表し、Rが水素原子であることを特徴とする上記(2)記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤や、
(4) RおよびRが、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換フェニル基、SO4b(式中、R4bは、置換もしくは非置換フェニル基を表す)、COOR6a(式中、R6aは、置換もしくは非置換アルキル基を表す)、CONR8b9b(式中、R8bおよびR9bは、同一または異なって、水素原子または置換もしくは非置換アルキル基を表す)またはシアノ基であることを特徴とする上記(2)または(3)のいずれか記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤や、
(5) Rがm−ニトロフェニル基を、Rが2−エチルヘキシルオキシカルボニル基を、Rがカルバモイル基を、Rが水素原子であることを特徴とする上記(2)記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤や、
(6) RおよびRCが置換もしくは非置換フェニル基を、RBがシアノ基を、Rがヒドロキシ基であることを特徴とする上記(2)記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤や、
(7) Zが、置換もしくは非置換含窒素複素環であることを特徴とする上記(1)記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤や、
(8) 置換もしくは非置換含窒素複素環が、下記式(II)
【0025】
【化7】

【0026】
[式中、Z、ZおよびZは、同一または異なって、−CR=(式中、Rは、前記Rと同義であり、式中に複数のRが同時に存在する場合、Rは、同一または異なっていてもよい)、−CR−(式中、RおよびRは、同一または異なって、前記Rと同義であり、式中に複数のRおよび/またはRが同時に存在する場合、RおよびRは、それぞれ同一または異なっていてもよい)、−C(=Q)−(式中、Qは、前記Qと同義であり、式中に複数のQが同時に存在する場合、Qは、同一または異なっていてもよい)、−N=、−NR31−(式中、R31は、前記Rと同義であり、式中に複数のR31が同時に存在する場合、R31は、同一または異なっていてもよい)、−O−または−S−を表す]
で表される5員環であることを特徴とする上記(7)記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤や、
(9) 式(II)で表される置換もしくは非置換含窒素5員複素環が、下記式(IIa)
【0027】
【化8】

【0028】
(式中、RおよびR31は、前記と同義である)
であることを特徴とする上記(8)記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤や、
(10) R31が水素原子であることを特徴とする上記(9)記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤や、
(11) RがCOR5b(式中、R5bは置換もしくは非置換アルキル基を表す)またはCOOR6b(式中、R6bは、置換もしくは非置換シクロアルキル基を表す)を、Rがシアノ基を、Rが水素原子を、Rが置換もしくは非置換フェニル基であることを特徴とする上記(9)または(10)のいずれか記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤や、
(12) 置換もしくは非置換含窒素複素環が、下記式(III)
【0029】
【化9】

【0030】
[式中、Z、Z、ZおよびZは、同一または異なって、−CR=(式中、Rは、前記Rと同義であり、式中に複数のRが同時に存在する場合、Rは、同一または異なっていてもよい)、−CR−(式中、RおよびRは、同一または異なって、前記Rと同義であり、式中に複数のRおよび/またはRが同時に存在する場合、RおよびRは、それぞれ同一または異なっていてもよい)、−C(=Q)−(式中、Qは、前記Qと同義であり、式中に複数のQが同時に存在する場合、Qは、同一または異なっていてもよい)、−N=、−NR32−(式中、R32は、前記Rと同義であり、式中に複数のR32が同時に存在する場合、R32は、同一または異なっていてもよい)、−O−または−S−を表す]
で表される6員環であることを特徴とする上記(7)記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤や、
(13) 式(III)で表される置換もしくは非置換含窒素6員複素環が、式(IIIa)
【0031】
【化10】

【0032】
(式中、Z5aは、−CH=または−N=を表し、RおよびR32は、前記と同義である)
であることを特徴とする上記(12)記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤や、
(14) R32が水素原子であることを特徴とする上記(13)記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤や、
(15) Z5aが−CH=を、Rが置換もしくは非置換フェニル基、SO4b(式中、R4bは、前記と同義である)、CONR8b9b(式中、R8bおよびR9bは、前記と同義である)またはシアノ基を、Rが置換もしくは非置換フェニル基またはシアノ基を、Rが水素原子を、Rがアミノ基またはNHCOOR13a(式中、R13aは、置換もしくは非置換アルキル基を表す)であることを特徴とする上記(13)または(14)のいずれか記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤や、
(16) Rがp−トルエンスルフォニル基を、Rがフェニル基を、Rがエトキシカルボニルアミノ基であることを特徴とする上記(15)記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤や、
(17) Z5aが−N=を、RがCOOR6b(式中、R6bは、前記と同義である)を、RおよびRが、同一または異なって、置換もしくは非置換フェニル基を、Rが水素原子であることを特徴とする上記(13)または(14)のいずれか記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤や、
(18) Zが、置換もしくは非置換芳香族炭化水素環、置換もしくは非置換脂環式炭化水素環、置換もしくは非置換芳香族複素環または置換もしくは非置換脂環式複素環であることを特徴とする上記(1)記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤や、
(19) 置換もしくは非置換芳香族炭化水素環が、置換もしくは非置換ベンゼン環であることを特徴とする上記(18)記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤や、
(20) Xが、水素原子、置換アルキル、置換もしくは非置換フェニル基またはNHR33a(式中、R33aは、置換もしくは非置換フェニル基を表す)であることを特徴とする上記(19)記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤や、
(21) 置換アルキルの置換基が、SO4b(式中、R4bは、前記と同義である)またはシアノ基であることを特徴とする上記(20)記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤や、
(22) 置換ベンゼン環の置換基が、OR1a(式中、R1aは、水素原子または置換もしくは非置換アルキル基を表す)またはニトロ基であることを特徴とする上記(19)〜(21)のいずれか記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤や、
(23) Zが、置換もしくは非置換芳香族炭化水素環、置換もしくは非置換脂環式炭化水素環、置換もしくは非置換芳香族複素環または置換もしくは非置換脂環式複素環であることを特徴とする上記(1)または(18)〜(22)のいずれか記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤や、
(24) 置換もしくは非置換脂環式炭化水素環が、シクロヘキサン環であることを特徴とする上記(23)記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤や、
(25) 置換シクロヘキサン環の置換基が、OCOR37a(式中、R37aは、置換もしくは非置換フェニル基を表す)であることを特徴とする上記(24)記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤に関する。
【発明の効果】
【0033】
本発明のピロール誘導体は、優れた抗ウイルス活性を有し、各種のウイルスに対して抗ウイルス剤として使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明における各基の定義は、以下の通りである。
【0035】
アルキル基は、例えば、直鎖または分岐状の炭素数1〜20のアルキル、具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル等が挙げられる。
【0036】
シクロアルキル基は、例えば、炭素数3〜8のシクロアルキル、具体的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、1−シクロヘキセニル等が挙げられる。
【0037】
アルケニル基は、例えば、直鎖または分岐状の炭素数2〜10のアルケニル、具体的には、ビニル、1−プロペニル、アリル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル、2−ペンテニル、2−ヘキセニル等が挙げられる。
【0038】
アルキニル基は、例えば、直鎖または分岐状の炭素数2〜10のアルキニル、具体的には、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、イソプロピニル、2−ブチニル、2−ペンチニル、2−ペンテン−4−イニル、2−ヘキシニル等が挙げられる。
【0039】
アリール基は、例えば、炭素数6〜14のアリール、具体的には、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル等を挙げることができる。
【0040】
アラルキル基は、そのアリール部分は前記アリール基と同義であり、アルキル部分は前記アルキル基と同義であり、例えば、炭素数7〜15のアラルキル、具体的にはベンジル、フェネチル、フェニルプロピル、ベンズヒドリル、トリチル、ナフチルメチル等を挙げることができる。
【0041】
芳香族複素環基は、同一または異なって、少なくとも1以上の異項原子、例えば、窒素、酸素、硫黄等を含む5員または6員の芳香族複素環基からなり、該複素環基は、単環性または該単環性複素環基が複数またはアリール基と縮合した多環性の縮合芳香族複素環基、例えば、二環性もしくは三環性複素環基であってもよい。単環性の芳香族複素環基の具体例としては、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル等が挙げられ、多環性の縮合芳香族複素環基としては、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インドリル、カルバゾリル、キノリル、イソキノリル、アクリジニル、ナフチリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、インダゾリル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、プリニル、プテリジニル、チアントレニル、フェノキサチニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル等を挙げることができる。
【0042】
芳香族複素環アルキル基は、その芳香族複素環部分は前記芳香族複素環基と同義であり、アルキル部分は前記アルキル基と同義であり、例えば、少なくとも1以上の異項原子を含む芳香族複素環アルキル、具体的にはピリジルメチル、ピリジルエチル、フラニルメチル、チエニルメチル等を挙げることができる。
【0043】
脂環式複素環基は、同一または異なって、少なくとも1以上の異項原子、例えば、窒素、酸素、硫黄等を含み、飽和または一部不飽和結合が存在してもよい3〜8員の脂環式複素環基であり、単環性あるいは該単環性の複素環基が複数またはアリール基もしくは芳香族複素環基と縮合した多環性の縮合脂環式複素環基であってもよい。単環性の脂環式複素環基として、具体的には、アジリジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ジヒドロチアゾリル、テトラヒドロフラニル、1,3−ジオキソラニル、チオラニル、ピペリジノ、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリノ、モルホリニル、チオモルホリニル、ピラニル、オキサチアニル、オキサジアジニル、チアジアジニル、ジチアジニル、アゼピニル、ジヒドロアゾシニル等が例示され、多環性の縮合脂環式複素環基として、具体的には、インドリニル、イソインドリニル、クロマニル、イソクロマニル、キヌクリジニル等を挙げることができる。
【0044】
含窒素複素環基としては、前記脂環式複素環基または芳香族複素環基のうち、異項原子として少なくとも一つの窒素原子を含む複素環基であり、具体的には、アジリジニル、ピロリジニル、ピペリジノ、ホモピペリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、モルホリノ、チオモルホリニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル等を挙げることができる。
【0045】
ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子を意味する。
【0046】
は、置換基もしくは非置換含窒素複素環であり、5〜6員の含窒素複素環であることが好ましく、含窒素5員複素環としては、下記式(II)で表されるものがより好ましい。
【0047】
【化11】

【0048】
[式中、Z、ZおよびZは、同一または異なって、−CR=(式中、Rは、前記Rと同義であり、式中に複数のRが同時に存在する場合、Rは、同一または異なっていてもよい)、−CR−(式中、RおよびRは、同一または異なって、前記Rと同義であり、式中に複数のRおよび/またはRが同時に存在する場合、RおよびRは、それぞれ同一または異なっていてもよい)、−C(=Q)−(式中、Qは、前記Qと同義であり、式中に複数のQが同時に存在する場合、Qは、同一または異なっていてもよい)、−N=、−NR31−(式中、R31は、前記Rと同義であり、式中に複数のR31が同時に存在する場合、R31は、同一または異なっていてもよい)、−O−または−S−を表す]
【0049】
また、含窒素6員複素環としては、下記式(III)で表されるものがより好ましい。
【0050】
【化12】

【0051】
[式中、Z、Z、ZおよびZは、同一または異なって、−CR=(式中、Rは、前記Rと同義であり、式中に複数のRが同時に存在する場合、Rは、同一または異なっていてもよい)、−CR−(式中、RおよびRは、同一または異なって、前記Rと同義であり、式中に複数のRおよび/またはRが同時に存在する場合、RおよびRは、それぞれ同一または異なっていてもよい)、−C(=Q)−(式中、Qは、前記Qと同義であり、式中に複数のQが同時に存在する場合、Qは、同一または異なっていてもよい)、−N=、−NR32−(式中、R32は、前記Rと同義であり、式中に複数のR32が同時に存在する場合、R32は、同一または異なっていてもよい)、−O−または−S−を表す]
【0052】
およびZは、同一または異なって、置換もしくは非置換芳香族炭化水素環、置換もしくは非置換脂環式炭化水素環、置換もしくは非置換芳香族複素環または置換もしくは非置換脂環式複素環等を表す。ここで、芳香族炭化水素環は、例えば、炭素数6〜14の前記アリール基に対応する芳香族炭化水素環が、具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン等を挙げることができる。脂環式炭化水素環は、例えば、炭素数5〜8の前記シクロアルキル基に対応する脂環式炭化水素環が、具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン等が挙げられる。芳香族複素環は、例えば、前記芳香族複素環基に対応する5〜6員芳香族複素環が、具体的には、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン等を挙げることができる。脂環式複素環は、例えば、前記脂環式複素環基に対応する5〜8員脂環式複素環が、具体的には、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、ジヒドロチアゾール、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、チオラン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、ピラン、オキサチアン、オキサジアジン、チアジアジン、ジチアジン、アゼピン等を挙げることができる。
【0053】
アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、芳香族複素環基、芳香族複素環アルキル基、脂環式複素環基、含窒素複素環基、芳香族炭化水素環、脂環式炭化水素環、芳香族複素環および脂環式複素環における置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、芳香族複素環基、芳香族複素環アルキル基、脂環式複素環基、O(CHCHO)nR(式中、nは、0、1または2を表す)、NR、S(O)pR(式中、pは、0、1または2を表す)、COR、COOR、OCOR、CONR、NRCOR、NRCOOR、NRSO、NRC(=Q)NR(式中、Qは、酸素原子、硫黄原子、NR、NCN、CHNOまたはC(CN)を表す)、NRC(=Q)NRCOR(式中、Qは、前記Qと同義である)、NRC(=Q)NRCOOR(式中、Qは、前記Qと同義である)、NRSONRaa、SONRabac、ニトロ基、シアノ基およびハロゲン原子等から適宜選択される。ここで、R〜Racは、同一または異なって、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、芳香族複素環基、芳香族複素環アルキル基または脂環式複素環基等を表し、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびRaa並びにRabおよびRacは、一緒になって含窒素複素環基を形成してもよい。
【0054】
アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、芳香族複素環基、芳香族複素環アルキル基および脂環式複素環基は、前記と同義である。
【0055】
また、置換基としてのアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、芳香族複素環基、芳香族複素環アルキル基および脂環式複素環基等は、さらに置換基を有していてもよく、該置換基としては、前記した置換基と同様のものが挙げられる。
【0056】
これら置換基の置換数としては、同一または異なって、最大各基に存在する水素原子の数まで可能であるが、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5である。
【0057】
本発明の抗ウイルス剤としては、式(I)で表される化合物[以下、化合物(I)という。他の式番号の化合物についても同様である]であれば特に制限されないが、化合物(I)において、Xが水素原子であり、下記式(Ia)で表される化合物が好ましい。
【0058】
【化13】

【0059】
(式中、R、R、RおよびRは、前記と同義である)
さらに、化合物(Ia)において、Rが、置換もしくは非置換フェニル基、アミノ基、CONHR9a(式中、R9aは、置換もしくは非置換アルキル基を表す)またはNHC(=S)NHCOOR25a(式中、R25aは、置換もしくは非置換アルキル基を表す)であり、RおよびRが、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換フェニル基、SO4b(式中、R4bは、置換もしくは非置換フェニル基を表す)、COOR6a(式中、R6aは、置換もしくは非置換アルキル基を表す)、CONR8b9b(式中、R8bおよびR9bは、同一または異なって、水素原子または置換もしくは非置換アルキル基を表す)またはシアノ基であり、Rが水素原子である化合物が、また、RおよびRが置換もしくは非置換フェニル基を、Rがシアノ基を、Rがヒドロキシ基である化合物が、より好ましい。化合物(Ia)の具体例を、表1に示す。
【0060】
【表1】

【0061】
また、化合物(I)において、Zが、置換もしくは非置換の含窒素5員複素環であり、下記式(Ib)で表される化合物が好ましい。
【0062】
【化14】

【0063】
(式中、R、R、R、Z、Z、ZおよびZは、前記と同義である)
【0064】
さらに、式(Ib)で表される化合物において、下記式(Iba)で表される化合物がより好ましい。
【0065】
【化15】

【0066】
(式中、R、R、R、RおよびR31は、前記と同義である)
とりわけ、化合物(Iba)において、RおよびR31が水素原子である化合物が好ましく、さらには、RおよびR31が水素原子であり、RがCOR(式中、Rは前記と同義である)またはCOOR(式中、Rは前記と同義である)であり、Rがシアノ基であり、Rが置換フェニル基である化合物が好ましい。
化合物(Iba)の具体例を、表2に示す。
【0067】
【表2】

【0068】
また、化合物(I)において、Zが、置換もしくは非置換の含窒素6員複素環であり、下記式(Ic)で表される化合物が好ましい。
【0069】
【化16】


(式中、R、R、R、Z、Z、Z、ZおよびZは、前記と同義である)
さらに、式(Ic)で表される化合物において、下記式(Ica)で表される化合物がより好ましい。
【0070】
【化17】

【0071】
(式中、R、R、R、R、R32およびZ5aは、前記と同義である)
とりわけ、化合物(Ica)において、Z5aが−CH=または−N=を表し、R32が水素原子である化合物が好ましく、さらには、Z5aが−CH=で、R32が水素原子である場合、Rが置換もしくは非置換フェニル基、SO4b(式中、R4bは、前記と同義である)、CONR8b9b(式中、R8bおよびR9bは、前記と同義である)またはシアノ基を、Rが置換もしくは非置換フェニル基またはシアノ基を、Rが水素原子を、Rがアミノ基またはNHCOOR13a(式中、R13aは、置換基もしくは非置換アルキル基を表す)である化合物がより好ましく、特に、Rがp−トルエンスルフォニル基を、Rがフェニル基を、Rがエトキシカルボニルアミノ基である化合物が好ましい。また、Z5aが−N=で、R32が水素原子である場合、RがCOOR6b(式中、R6bは、前記と同義である)を、RおよびRが、同一または異なって、置換もしくは非置換フェニル基を、Rが水素原子である化合物がより好ましい。
【0072】
化合物(Ica)の具体例を、表3に示す。
【0073】
【表3】

【0074】
また、化合物(I)において、Zが、置換もしくは非置換のベンゼン環であり、下記式(Id)で表される化合物が好ましい。
【0075】
【化18】

【0076】
(式中、Rは、前記Rと同義であり、pは、0または1〜4の整数を表し、X、RおよびRは、前記と同義である)
【0077】
とりわけ、化合物(Id)において、Xが、水素原子、置換アルキル、置換もしくは非置換フェニル基またはNHR33a(式中、R33aは、置換もしくは非置換フェニル基を表す)である化合物がより好ましく、特に、置換アルキルの置換基が、SO4b(式中、R4bは、前記と同義である)またはシアノ基である化合物が好ましい。また、ベンゼン環の置換基は、OR1a(式中、R1aは、水素原子または置換もしくは非置換アルキル基を表す)またはニトロ基である化合物がより好ましい。
化合物(Id)の具体例を、表4に示す。
【0078】
【表4】

【0079】
また、化合物(I)において、Zは、置換もしくは非置換のシクロヘキサン環である化合物が好ましく、さらに、Zが置換もしくは非置換のベンゼン環で、Zが置換もしくは非置換のシクロヘキサン環である下記式(Ie)で表される化合物がより好ましい。
【0080】
【化19】

【0081】
(式中、Rは、前記Rと同義であり、qは、0または1〜4の整数を表し、X、Rおよびpは、前記と同義である)
【0082】
とりわけ、化合物(Ie)において、Xが水素原子で、ベンゼン環の置換基がOR1a(式中、R1aは、前記と同義である)またはニトロ基で、シクロヘキサン環の置換基がOCOR37a(式中、R37aは、置換もしくは非置換フェニル基を表す)である化合物が好ましい。
化合物(Ie)の具体例を、表5に示す。
【0083】
【表5】

【0084】
化合物(I)の薬理学的に許容される塩としては、酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩等が挙げられ、酸付加塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等の各無機酸塩、および、有機酸としてのギ酸、酢酸、プロピオン酸、フマル酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、酒石酸、安息香酸等のカルボン酸類、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸類、グルタミン酸、アスパラギン酸等のアミノ酸類が挙げられる。金属塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等の各アルカリ金属塩、マグネシウム、カルシウム等の各アルカリ土類金属塩、アルミニウム、亜鉛等の各金属塩が、アンモニウム塩としては、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム等の各塩が、有機アミン塩としては、トリエチルアミン、ピペリジン、モルホリン、トルイジン等の各塩が挙げられる。
【0085】
本発明の抗ウイルス剤として使用される化合物(I)は、前記した特許文献等に記載の方法に準じて製造可能であり、また、市販品として入手することもできる。
【0086】
例えば、化合物(Ia)は、先の特許文献4および5に記載の方法、あるいは特開2000−63353号公報、特開2000−327681号公報、特開2000−330245号公報、特開2000−122250号公報、特開2000−122251号公報、特開平10−316654号公報、WO2003020684号公報などに記載されている方法あるいはそれらに準じて得ることができる。
【0087】
また、化合物(Ib)および(Ic)は、特許文献6〜8に記載の方法、あるいは特開平7−330771号公報、特開2000−44564号公報、特開2000−327681号公報、特開2000−330245号公報、特開2001−181526号公報、特開2001−213882号公報などに記載されている方法あるいはそれらに準じて得ることができる。
【0088】
また、化合物(Id)および(Ie)は、特開昭55−40401号公報、特開平5−230020号公報、Tetrahedron, 1999, 55, 6243-6260またはChem. Rev., 1969, 69, 227-250などに記載されている方法あるいはそれらに準じて得ることができる。
【0089】
化合物(I)の中には、各種異性体が存在し得るものがあるが、本発明は、これらを含め、全ての可能な異性体およびそれらの混合物を抗ウイルス剤として使用することができる。
【0090】
化合物(I)の塩を取得したいとき、化合物(I)が塩の形で得られる場合には、そのまま精製すればよく、また、遊離の形で得られる場合には、適当な有機溶媒に溶解もしくは懸濁させ、酸または塩基を加えて通常の方法により塩を形成させればよい。
【0091】
また、化合物(I)およびその薬理学的に許容される塩は、水あるいは各種溶媒との付加物の形で存在することもあるが、これら付加物も本発明の抗ウイルス剤として使用することができる。
【0092】
化合物(I)またはそれらの薬理学的に許容される塩は、そのまま単独で投与することも可能であるが、通常各種の医薬製剤とすることが望ましく、該医薬製剤は、活性成分を薬理学的に許容される一種もしくは二種以上の担体と混合し、製剤学の常法により製造することができる。
【0093】
投与経路としては、経口投与または吸入投与、静脈内投与などの非経口投与が挙げられる。
【0094】
投与形態としては、錠剤、吸入剤、注射剤などが挙げられ、錠剤は、例えば乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、界面活性剤、グリセリン等の、各種添加剤を混合し、常法に従い製造すればよく、吸入剤は、例えば乳糖等を添加し、常法に従い製造すればよい。注射剤は、水、生理食塩水、植物油、可溶化剤、保存剤等を添加し、常法に従い製造すればよい。
【0095】
化合物(I)またはそれらの薬理学的に許容される塩の有効量および投与回数は、投与形態、患者の年齢、体重、症状等により異なるが、通常成人一人当たり、0.001mg〜5g、好ましくは0.1mg〜1g、より好ましくは1〜500mgを、一日一回ないし数回に分けて投与する。
【0096】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
【実施例1】
【0097】
抗ウイルス活性測定試験
【0098】
(材料・装置)
イヌ腎臓上皮細胞腫MDCKは理研バイオリソースセンター(RCB)より購入した。培地MEM粉末はSigma社より購入し、これを溶解することで調製した。DMSO、グリセロール、SDS、パラホルムアルデヒド(PFA)はナカライ社製を使用した。ペニシリンーストレプトマイシン(PS)、L−グルタミン溶液、Phosphate buffer saline(PBS)、0.25% Trypsin溶液はInvitrogen社より購入した。ウシ胎児血清(FBS)は ハイウローン社より購入した。MTS粉末はPromega社より購入し、最終濃度が5mg/mlになるよう溶解して使用した。96−wellマイクロプレート、培養ディッシュ、1.5mlチューブは全てGreiner社製のものを使用した。吸光度を測定するプレートリーダーはPerkinElmer社製のEnvisionを使用して測定した。インフルエンザ実験における対照薬物(コントロール薬物)のうち、アマンタジンはSigma社より購入した。ザナミビルはRoche社より購入し、これを精製して使用した。
【0099】
(細胞培養)
以下の内容において、特別な表記の無い限り、培養細胞に添加する溶液は37℃に予め保温したものを用いた。通常の継代培養では、各液体培地に対して1/100量のPS、L−グルタミン及び5% FBSを添加した溶液を使用した。MDCK細胞はMEM培地で培養した。各実験使用の一代前からはPSを除いた培地で培養することで、実験結果における抗生物質の影響を排除した。37℃/5% CO条件下で培養した。
【0100】
(ウイルス調製)
A型インフルエンザウイルス:A/PR/8/34(H1N1型)の種ウイルスを、0.1 HAU/mlになるようPBSで希釈し、これを11日齢発育鶏卵に200μlずつ植種し、34℃で48時間培養した。しょう尿液を回収し、4℃、3000rpmで10分間遠心した。上清をさらに4℃、8000rpmで3時間遠心し、その沈殿物をPBSで溶解した。最終濃度25%になるようグリセロールを加え、さらに4℃、38000rpmで2時間遠心した。沈殿物をPBSで溶解した後、4℃、15000rpmで1時間遠心し、その沈殿物をPBSで1mlに溶解したものを「ウイルス原液」として使用した。HAU活性は224であったため、MTS実験では約5000 HAU/ml(原液の15万倍)にまで希釈したものを使用した。
【0101】
(MTSアッセイ)
細胞は5.0×10cells/wellになるよう96−well マイクロプレートに捲き込んだ。MDCK細胞はMEM + 5% FBSで細胞培養を行った。また、これ以降に使用する培地はさらに0.1% Trypsin + 5μM EDTAを加えた「希釈用培地液」を使用した。
コントロール薬物も含めて全ての薬物は10μM(DMSO含量0.1%)になるよう希釈用培地液で希釈して使用した。5.0×10cells/wellの細胞捲き込みから24時間後に、細胞が接着したことを確認した後、培地を除去した。直ちに希釈用培地で希釈した各種薬物100μl/wellを加えた。各種薬物添加から2時間後に、ウイルス液を100μl/well(最終薬物濃度5μM)を添加した。これを37℃/5% CO条件下で48時間培養した。ウイルス・薬物混合液を除去した後、細胞をPBS溶液で2回洗浄した。こうすることでウイルス侵入によって死滅した細胞が除去出来る。通常組成の培地100μl/wellを加えて、さらにMTS溶液を20μl/wellずつ添加し、37℃で1時間反応させた。MTSは生細胞の数に比例して淡黄色から赤色への呈色度合いが強くなる。従ってこの赤色の吸光度を測定することでウイルス侵入を免れた生細胞の割合が算出できる。プレートリーダーEnvisionにおいて、490nmの吸光度を測定した。各薬物5μMにおける生細胞数の割合は以下の式に当てはめ、抗ウイルス活性として評価した。
【0102】
cell survival(%) = [(AbVT−AbVC) / (AbCC−AbVC)] ×100
AbVT : ウイルス・薬物混合液で培養した細胞における吸光度
AbVC : ウイルス液のみで培養した細胞における吸光度
AbCC : ウイルス・薬物共に入っていない通常条件で培養した細胞における吸光度
試験結果を表6に示す。
【0103】
【表6】

【実施例2】
【0104】
化合物(1)10mg、乳糖70mg、デンプン15mg、ポリビニルアルコール4mgおよびステアリン酸マグネシウム1mg(計200mg)からなる組成を用い、常法により、錠剤を調製する。
【実施例3】
【0105】
常法により、化合物(8)70mg、精製大豆油50mg、卵黄レシチン10mgおよびグリセリン25mgからなる組成に、全容量100mLとなるよう注射用蒸留水を添加し、バイアルに充填後、加熱滅菌して注射剤を調製する。
【0106】
[製造例1]
4−(アミノカルボニル)−2−(3−ニトロフェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸2−エチルヘキシル[化合物(1)]の合成
以下の反応スキーム(A)に従って合成した。
【0107】
【化20】

【0108】
(1)化合物(A−2)の合成
化合物(A−1)6.9g(0.030mol)のベンゼン溶液(250ml)に室温で塩化チオニル2.6ml(0.036mol)を加え、60℃に加熱後2時間撹拌した。ベンゼンと塩化チオニルを留去後、クロロホルム(180ml)で溶解し、氷冷下、28%アンモニア水溶液(100ml)を加えて1時間撹拌した。その後飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を止め、酢酸エチルで抽出して飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。抽出液をろ過し、溶媒留去後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物(A−2)1.8g(収率26%)を得た。
【0109】
(2)化合物(A−5)の合成
化合物(A−3)10g(0.056mol)、ホルムアルデヒド液(35%)5.4g(0.062mol)、化合物(A−4)11g(0.060mol)、ギ酸(15ml)、そしてHO(60ml)を混ぜ、80〜90℃で6時間撹拌した。クロロホルムで薄めた後水中に注ぎ、有機層を集めて溶媒留去して化合物(A−5)17g(収率91%)を得た。
【0110】
(3)化合物(1)の合成
化合物(A−2)1.4g(0.060mol)をアセトニトリル(50ml)と四塩化炭素(6ml)の混合液に溶かし、トリフェニルホスフィン20g(0.078mol)を加えて室温で一晩撹拌した。その後、化合物(A−5)6.7g(0.020mol)、塩化リチウム4.2g(0.10mol)およびトリエチルアミン14ml(0.1mol)を加え、一晩撹拌後、飽和重曹水を加えて反応を止めた。酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。抽出液をろ過し、溶媒留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的化合物(1)3.8g(収率16%)を得た。化合物(1)は、LC−MSおよびNMR により純度および構造を確認した。
1H NMR (CDCl3) d: 0.65 (3H, t, J= 7.6 Hz), 0.79-1.19 (12H, m), 3.97-4.02 (2H, m), 5.64 (1H, br s), 7.62 (1H, t, J = 8.0 Hz), 7.71-7.77 (2H, m), 8.28 (1H, d, J = 8.4 Hz), 8.32 (1H, s), 9.67 (1H, br s), 9.88 (1H, br s); LS-MS (ESI, +) m/z388 [M + H]+, tR = 12.93 min
【0111】
[製造例2]
エチル{8−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−4−オキソ−7−フェニル−1,4−ジヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−2−イル}カーバメイト[化合物(8)]の合成
以下の反応スキーム(B)に従って合成した。
【0112】
【化21】

【0113】
(1)化合物(B−3)の合成
氷冷下、化合物(B−1)の塩酸塩3.1g(0.018mol)をエタノール(50ml)に溶かし、トリエチルアミン4.8ml(0.035mol)および化合物(B−2)4.3g(0.018mol)をゆっくり加えた。その後、室温に戻し、析出した個体をエタノール(400ml)を追加して溶解し、トリエチルアミン2.4ml(0.018mol)を加えて50℃で一晩撹拌した。その後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を止め、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。抽出液をろ過し、溶媒留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物(B−3)2.6g(収率47%)を得た。
【0114】
(2)化合物(B−5)の合成
化合物(B−3)28g(0.091mol) のアセトニトリル溶液(180ml)に化合物(B−4)26g(0.11mmol) 、トリエチルアミン19ml(0.14mol)および酢酸15ml(0.27mol)を加え、60℃に加熱後、9時間撹拌した。その後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を止め、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。抽出液をろ過し、溶媒留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物(B−5)14g(収率40%)を得た。
【0115】
(3)化合物(8)の合成
水素化ナトリウム0.13g(3.3mmol)にテトラヒドロフラン(10ml)を加えて懸濁液とし、氷冷下、化合物(B−5)1.2g(3.3mmol)を加えて室温で2時間撹拌後、クロロギ酸エチル340ml(3.9mmol)を加え室温で一晩撹拌した。その後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を止め、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。抽出液をろ過し、溶媒留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的化合物(8)0.086g(収率59%)を得た。化合物(8)は、LC-MSおよびNMR により純度および構造を確認した。
1H NMR (CDCl3) d: 1.34 (3H, t, J = 7.2 Hz), 2.31 (3H, s), 4.38 (2H, q, J = 7.2 Hz), 5.33 (1H, s), 7.03 (2H, d, J = 7.6 Hz), 7.30-7.41 (8H, m), 7.78 (1H, br s); LS-MS (ESI, +) m/z 452 [M + H]+ , tR = 12.69 min

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】


{式中、
、R、RおよびRは、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換アルキル基、置換もしくは非置換シクロアルキル基、置換もしくは非置換アルケニル基、置換もしくは非置換アルキニル基、置換もしくは非置換脂環式複素環基、置換もしくは非置換アリール基、置換もしくは非置換アラルキル基、置換もしくは非置換芳香族複素環基、置換もしくは非置換芳香族複素環アルキル基、OR(式中、Rは、水素原子、置換もしくは非置換アルキル基、置換もしくは非置換シクロアルキル基、置換もしくは非置換アルケニル基、置換もしくは非置換アルキニル基、置換もしくは非置換脂環式複素環基、置換もしくは非置換アリール基、置換もしくは非置換アラルキル基、置換もしくは非置換芳香族複素環基または置換もしくは非置換芳香族複素環アルキル基を表す)、NR(式中、RおよびRは、同一または異なって、前記Rと同義であるか、またはRとRが一緒になって、置換もしくは非置換含窒素複素環基を表す)、S(O)mR(式中、mは、0、1または2を表し、Rは、前記Rと同義である)、COR(式中、Rは、前記Rと同義である)、COOR(式中、Rは、前記Rと同義である)、OCOR(式中、Rは、前記Rと同義である)、CONR(式中、RおよびRは、同一または異なって、それぞれ前記RおよびRと同義である)、NR10COR11(式中、R10およびR11は、同一または異なって、前記Rと同義である)、NR12COOR13(式中、R12およびR13は、同一または異なって、前記Rと同義である)、NR14SO15(式中、R14およびR15は、同一または異なって、前記Rと同義である)、NR16C(=Q)NR1718[式中、Qは、酸素原子、硫黄原子、NR19(式中、R19は、前記Rと同義である)、NCN、CHNOまたはC(CN)を表し、R16は、前記Rと同義であり、R17およびR18は、同一または異なって、それぞれ前記RおよびRと同義である]、NR20C(=Q)NR21COR22(式中、Qは、前記Qと同義であり、R20、R21およびR22は、同一または異なって、前記Rと同義である)、NR23C(=Q)NR24COOR25(式中、Qは、前記Qと同義であり、R23、R24およびR25は、同一または異なって、前記Rと同義である)、NR26SONR2728(式中、R26は、前記Rと同義であり、R27およびR28は、同一または異なって、それぞれ前記RおよびRと同義である)、SONR2930(式中、R29およびR30は、同一または異なって、それぞれ前記R2およびRと同義である)、ニトロ基、シアノ基またはハロゲン原子を表し、ここで、R〜Rの少なくとも一つは、水素原子以外の基を表し、
Xは、水素原子、置換アルキル基、置換もしくは非置換シクロアルキル基、置換もしくは非置換アルケニル基、置換もしくは非置換アルキニル基、置換もしくは非置換脂環式複素環基、置換もしくは非置換アリール基、置換もしくは非置換アラルキル基、置換もしくは非置換芳香族複素環基または置換もしくは非置換芳香族複素環アルキル基、OR31(式中、R31は、前記Rと同義である)、NR3233(式中、R32およびR33は、同一または異なって、それぞれ前記RおよびRと同義である)、SO34(式中、R34は、前記Rと同義である)、COR35(式中、R35は、前記Rと同義である)、COOR36(式中、R36は、前記Rと同義である)、OCOR37(式中、R37は、前記Rと同義である)、CONR3839(式中、R38およびR39は、同一または異なって、それぞれ前記RおよびRと同義である)、NR40COR41(式中、R40およびR41は、同一または異なって、前記Rと同義である)、NR42COOR43(式中、R42およびR43は、同一または異なって、前記Rと同義である)、NR44SO45(式中、R44およびR45は、同一または異なって、前記Rと同義である)を表し、
または、
XとR、RとRまたはRとRは、それぞれ、一緒になって環を形成してもよい(以下、XとRとが一緒になって形成する環をZと、RとRとが一緒になって形成する環をZと、また、RとRとが一緒になって形成する環をZと、それぞれいう)}
で表されるピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤。
【請求項2】
Xが水素原子であり、下記式(Ia)
【化2】


(式中、R、R、RおよびRは、前記と同義である)
で表されることを特徴とする請求項1記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤。
【請求項3】
が、置換もしくは非置換フェニル基、アミノ基、CONHR9a(式中、R9aは、置換もしくは非置換アルキル基を表す)またはNHC(=S)NHCOOR25a(式中、R25aは、置換もしくは非置換アルキル基を表す)を表し、Rが水素原子であることを特徴とする請求項2記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤。
【請求項4】
およびRが、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換フェニル基、SO4b(式中、R4bは、置換もしくは非置換フェニル基を表す)、COOR6a(式中、R6aは、置換もしくは非置換アルキル基を表す)、CONR8b9b(式中、R8bおよびR9bは、同一または異なって、水素原子または置換もしくは非置換アルキル基を表す)またはシアノ基であることを特徴とする請求項2または3のいずれか記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤。
【請求項5】
がm−ニトロフェニル基を、Rが2−エチルヘキシルオキシカルボニル基を、Rがカルバモイル基を、Rが水素原子であることを特徴とする請求項2記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤。
【請求項6】
およびRが置換もしくは非置換フェニル基を、Rがシアノ基を、Rがヒドロキシ基であることを特徴とする請求項2記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤。
【請求項7】
が、置換もしくは非置換含窒素複素環であることを特徴とする請求項1記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤。
【請求項8】
置換もしくは非置換含窒素複素環が、下記式(II)
【化3】


[式中、Z、ZおよびZは、同一または異なって、−CR=(式中、Rは、前記Rと同義であり、式中に複数のRが同時に存在する場合、Rは、同一または異なっていてもよい)、−CR−(式中、RおよびRは、同一または異なって、前記Rと同義であり、式中に複数のRおよび/またはRが同時に存在する場合、RおよびRは、それぞれ同一または異なっていてもよい)、−C(=Q)−(式中、Qは、前記Qと同義であり、式中に複数のQが同時に存在する場合、Qは、同一または異なっていてもよい)、−N=、−NR31−(式中、R31は、前記Rと同義であり、式中に複数のR31が同時に存在する場合、R31は、同一または異なっていてもよい)、−O−または−S−を表す]
で表される5員環であることを特徴とする請求項7記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤。
【請求項9】
式(II)で表される置換もしくは非置換含窒素5員複素環が、下記式(IIa)
【化4】


(式中、RおよびR31は、前記と同義である)
であることを特徴とする請求項8記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤。
【請求項10】
31が水素原子であることを特徴とする請求項9記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤。
【請求項11】
がCOR5b(式中、R5bは置換もしくは非置換アルキル基を表す)またはCOOR6b(式中、R6bは、置換もしくは非置換シクロアルキル基を表す)を、Rがシアノ基を、Rが水素原子を、Rが置換もしくは非置換フェニル基であることを特徴とする請求項9または10のいずれか記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤。
【請求項12】
置換もしくは非置換含窒素複素環が、下記式(III)
【化5】


[式中、Z、Z、ZおよびZは、同一または異なって、−CR=(式中、Rは、前記Rと同義であり、式中に複数のRが同時に存在する場合、Rは、同一または異なっていてもよい)、−CR−(式中、RおよびRは、同一または異なって、前記Rと同義であり、式中に複数のRおよび/またはRが同時に存在する場合、RおよびRは、それぞれ同一または異なっていてもよい)、−C(=Q)−(式中、Qは、前記Qと同義であり、式中に複数のQが同時に存在する場合、Qは、同一または異なっていてもよい)、−N=、−NR32−(式中、R32は、前記Rと同義であり、式中に複数のR32が同時に存在する場合、R32は、同一または異なっていてもよい)、−O−または−S−を表す]
で表される6員環であることを特徴とする請求項7記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤。
【請求項13】
式(III)で表される置換もしくは非置換含窒素6員複素環が、式(IIIa)
【化6】


(式中、Z5aは、−CH=または−N=を表し、RおよびR32は、前記と同義である)
であることを特徴とする請求項12記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤。
【請求項14】
32が水素原子であることを特徴とする請求項13記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤。
【請求項15】
5aが−CH=を、Rが置換もしくは非置換フェニル基、SO4b(式中、R4bは、前記と同義である)、CONR8b9b(式中、R8bおよびR9bは、前記と同義である)またはシアノ基を、Rが置換もしくは非置換フェニル基またはシアノ基を、Rが水素原子を、Rがアミノ基またはNHCOOR13a(式中、R13aは、置換もしくは非置換アルキル基を表す)であることを特徴とする請求項13または14のいずれか記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤。
【請求項16】
がp−トルエンスルフォニル基を、Rがフェニル基を、Rがエトキシカルボニルアミノ基であることを特徴とする請求項15記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤。
【請求項17】
5aが−N=を、RがCOOR6b(式中、R6bは、前記と同義である)を、RおよびRが、同一または異なって、置換もしくは非置換フェニル基を、Rが水素原子であることを特徴とする請求項13または14のいずれか記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤。
【請求項18】
が、置換もしくは非置換芳香族炭化水素環、置換もしくは非置換脂環式炭化水素環、置換もしくは非置換芳香族複素環または置換もしくは非置換脂環式複素環であることを特徴とする請求項1記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤。
【請求項19】
置換もしくは非置換芳香族炭化水素環が、置換もしくは非置換ベンゼン環であることを特徴とする請求項18記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤。
【請求項20】
Xが、水素原子、置換アルキル、置換もしくは非置換フェニル基またはNHR33a(式中、R33aは、置換もしくは非置換フェニル基を表す)であることを特徴とする請求項19記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤。
【請求項21】
置換アルキルの置換基が、SO4b(式中、R4bは、前記と同義である)またはシアノ基であることを特徴とする請求項20記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤。
【請求項22】
置換ベンゼン環の置換基が、OR1a(式中、R1aは、水素原子または置換もしくは非置換アルキル基を表す)またはニトロ基であることを特徴とする請求項19〜21のいずれか記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤。
【請求項23】
が、置換もしくは非置換芳香族炭化水素環、置換もしくは非置換脂環式炭化水素環、置換もしくは非置換芳香族複素環または置換もしくは非置換脂環式複素環であることを特徴とする請求項1または18〜22のいずれか記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤。
【請求項24】
置換もしくは非置換脂環式炭化水素環が、シクロヘキサン環であることを特徴とする請求項23記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤。
【請求項25】
置換シクロヘキサン環の置換基が、OCOR37a(式中、R37aは、置換もしくは非置換フェニル基を表す)であることを特徴とする請求項24記載のピロール誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有してなる抗ウイルス剤。

【公開番号】特開2009−179589(P2009−179589A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−19558(P2008−19558)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(506374708)一般社団法人ファルマIP (9)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】