説明

抗ウイルス効果を有した持続性繊維製品用抗菌剤

【課題】繊維製品に対して抗菌性の付与をすることが可能な金属系抗菌成分を容易に添着でき且つ繊維製品を変化させることなく防汚性及び抗菌性が得られる持続性繊維製品用抗菌剤その使用方法を提供する。
【解決手段】
クエン酸に分子量20000以下のポリアクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩、チタネートカップリング剤及び水を混合して得られる。繊維製品用抗菌剤であり、更に亜鉛イオン及び/又は銀イオンを混合でき、更に固形光触媒(酸化チタン及び/又はアパタイト被覆酸化チタンなど)を混合できる持続性繊維製品用抗菌剤であり更に、ポリビニルアルコール並びにカルボキシメチルセルロースを混合できる請求項1に記載の防汚性に優れ繊維製品に添着させた後抗菌性を持続的かつ継続する抗ウイルス、微生物の抑制が効果を有した持続性繊維製品用抗菌剤であり、繊維製品を加熱し更に防汚効果を発揮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗ウイルス効果を有した持続性繊維製品用抗菌剤及びその使用方法に関する。さらに詳しくは、抗菌性金属を用いり、アルカリ金属塩とチタネートカップリング剤とを混合して得られたる抗ウイルス性を有した持続性繊維製品用抗菌剤でありその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属成分及び金属酸化物等の一部には優れた触媒効果を有するものや防汚、臭気の分解及び抗菌作用などが発揮できる光触媒能や、排気ガスの分解等に用いられる触媒機能を有するものが存在する。特に光触媒機能であるチタンやタングステンまた、抗菌能など有する金属成分として銀(Ag)があることが知られているがこれらは、一般に固形物であり、粉末化した上でバインダーを用いて塗着又は、繊維に練り込み対象物に含有させることにより利用されている。チタン系の光触媒塗料として下記特許文献1では、シリカ系の無機バインダーにより建築物等の内部又は、外装用塗料として開示されておりまた、下記特許文献2では、繊維表面に触媒粉末をコーティングして利用することが開示されている。
【0003】
従来の繊維用組成分として柔軟剤組成分や仕上げ剤組成分であり、繊維製品の防臭、消臭成分に用いられるシクロデキストリン、4級アンモニウムトリクロサン、トリクロロカルバニリド、テトラクロロイソフタロニトリル、特定の有機亜鉛化合物(ビス−(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛)等を用いた金属を配合したものが存在する。また、この亜鉛化合物の抗菌性又は、抗ウイルス消毒薬として下記特許文献3が公開されている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−275601号公報
【特許文献2】特開2002−001121号公報
【特許文献3】特開2008−255101号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光触媒能を有するものや抗菌性金属等は、一般的に固形物であり、繊維製品に適用するには微粉末化して表面に添着する等の方法が必要となり、その粉末粒径は0.03μm〜30μmであり、さらには、100μm以上の粉体は実用化されており触媒能または、抗菌性を得るためには、比表面積を大きくするために、使用量も多くなり、繊維製品の肌触り感を損ねたりするという問題がある。 また、上記光触媒能を有する酸化チタンと、抗菌作用を有する金属とを併用した場合には、前述の有機材料を分解、浸食し、結合又は、白濁するという作用を助長する場合がある。 本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、繊維製品に対してチタン系光触媒成分と抗菌性金属成分とを容易に添着でき且つ繊維製品を変化させることなく防汚性及び抗菌性が得られる持続性を有した繊維製品用防汚抗菌剤(以後、本液剤と記載する)及びその使用方法を提供することを目的とする。
【0006】
上記、[特許文献2008−255101]に記載されている実施方法にあっては、繊維製品に被服し加工を施す場合に特に問題は、発生しないが低温保存なした場合に再結晶化し、機能を低下する問題が生じる。また製造後、時間経過と共に黄変が著しく安定性に問題があった。また、既存開発品を繊維製品に点着をなした場合に抗菌性が継続的かつ持続的な抗菌性を繊維製品にその効果を付与することができなかったが本発名品では、それを実施した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下に示すとおりである。
(1) 分子量20000以下のポリアクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩と水を混合して得られたことを特徴とする持続性繊維製品用抗菌剤。
(2) 更に、(1)に記載の持続性繊維製品用抗菌剤にポリビニルアルコールが混合されている。
(3) 更に、(1)又は(2)に記載の持続性繊維製品用抗菌剤に亜鉛イオン及び銀イオンのうちの少なくとも1種が混合されている。
(4) 更に、(1)〜(3)の持続性繊維製品用抗菌剤カルボキシメチルセルロースが混合されている。
(5) 更に、(1)〜(4)のうちのいずれかに記載の持続性繊維製品用抗菌剤にクエン酸及びリンゴ酸のうちの少なくとも1種が混合されている。
(6) 更に、(1)〜(5)のうちのいずれかに記載の持続性繊維製品用抗菌剤にエタノール及び/イソピルアルコールのうちの少なくとも1種が混合されている。
(7) 更に、(1)〜(6)のうちのいずれかに記載の持続性繊維製品用抗菌剤に固形成分である酸化チタン、二酸化チタン、及びリン酸アパタイト、フッ化アパタイト又は、窒化アパタイト並びにアパタイト被覆酸化チタン又は、化合物を並びに混合物を含む光触媒機能を有する金属化合物のうちの少なくとも1種が混合されている。
(8) (1)〜(8)のうちのいずれかに記載の本液剤の使用方法であって、繊維製品に浸透若しくは、被服させ添着領域を確保することを特徴とする持続性繊維製品用抗菌剤の使用方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の持続性繊維製品用抗菌剤は、優れた汚れ付着抑制、洗浄時の汚れ離れ性向上、臭い付き抑制、臭い成分の分解、抗菌作用を付与することができ、更に形態安定性を得ることができまた、光触媒能の付与による繊維製品の変色、更に繊維の劣化の抑制効果が生じる。 更に、ポリビニルアルコールが混合されている場合は、より確実に光触媒能を付与でき、優れた形態安定性を付与ができ繊維製品の変色を更に効果的に抑制できる。 更に、亜鉛イオン及び銀イオンのうちの少なくとも1種が混合されている場合、ポリアクリル酸及び/又はその塩とチタネートカップリング剤との架橋、並びにポリビニルアルコールが含まれる場合にはポリビニルアルコールとチタネートカップリング剤との架橋を促進し、優れた光触媒能を得ることができと共に継続的に臭い付き抑制、臭い成分の分解、抗菌作用の付与が可能となり、繊維製品に対する着色をより効果的に抑制すると共に微生物の抑制できる。更に、カルボキシメチルセルロースが混合されている場合には、添着面に光沢感が生じることを抑制し、繊維製品の風合いを維持できる。また、繊維製品の防汚効果を付与することができる。更に、クエン酸及びリンゴ酸のうちの少なくとも1種が混合されている場合は、繊維製品の防汚性の付与又着色の抑制効果、臭い付き抑制、臭い成分分解、抗菌作用の付与が可能となり、繊維製品に対するに微生物抑制ができる。 更には、エタノール及び/イソピルアルコールが配合されている場合は、繊維製品に対し消臭性の付与、抗菌性の付与をなしまた、溶液の酸化用抑制効果が得られる。また、固形光触媒として酸化チタン、二酸化チタン、及びリン酸アパタイト、フッ化アパタイト又は、窒化アパタイト並びにアパタイト被覆酸化チタン又は、化合物を並びに混合物を含む光触媒機能を有する金属化合物を含むことにより光触媒効果を更に得ることができまた、加熱加工を行った場合に繊維との接着又は、離脱性を抑制する。 本発明の使用方法によれば、優れた光触媒能(例えば、汚れ付着抑制、洗浄時の汚れ離れ性向上、臭い付き抑制、臭い成分の分解、抗菌作用など)又、抗菌性金属成分により繊維製品に対する持続性を有した抗菌性が長期付与され、光触媒能の付与による繊維製品の変色を効果的に抑制でき、更には、繊維製品の形態安定性が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の持続性繊維製品用抗菌剤は、分子量20000以下のポリアクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩、クエン酸及び水を混合して得られたことを特徴とする。
【0010】
上記「ポリアクリル酸」は、基本骨格にカルボキシル基を有するために親水性が高く、分子量が20000以下であるために、特に水系で扱い易いために好ましい。上記「そのアルカリ金属塩」は、分子量20000以下のポリアクリル酸のアルカリ金属塩である。このアルカリ金属塩は、特に限定されないが、ナトリウム及びカリウムが好ましく、特にナトリウムが好ましい。ポリアクリル酸部の分子量が20000以下であるポリアクリル酸ナトリウム塩は、特に水系で扱い易いからである。
このポリアクリル酸及びそのアルカリ金属塩を構成する分子量は、重量平均分子量であり、GPC法による。ポリアクリル酸部の分子量は、通常、その下限は1000以上である。更に、この分子量は1000〜20000がより好ましく、3000〜6000が更に好ましく、1000〜2000が特に好ましい。
【0011】
このポリアクリル酸類は、本発明の本液剤内において、固形成分である酸化チタン、二酸化チタン、及びリン酸アパタイト、フッ化アパタイト又は、窒化アパタイト並びにアパタイト被覆酸化チタン又は、化合物からなる金属化合物やチタネートカップリング剤と架橋され、Ti化合物によって光触媒機能が発揮されるようになる。これは、−OTiの部分とポリアクリル酸類とが結合してチタンイオン形成される。また、後述するように、亜鉛イオン及び/又は銀イオンを用いる場合には、これらのイオンによって上記架橋されるものと考えられる。
【0012】
即ち、本発明の本液剤においてポリアクリル酸類は水溶性であり、光触媒成分並びに抗菌性成分を安定して分散させて液内に存在させることができまた、ポリアクリル酸類を用いることで、繊維製品に対して簡便な添着方法(即ち、スプレー及び浸漬など)で分散性よく添着することができるものと考えられる。即ち、ポリアクリル酸類は架橋分散剤として機能すると共に、それ自体にTiや金属イオンを取り込んで、光触媒能や抗菌性金属の固定化や機能性をも発揮しているものと考えられる。
【0013】
上記チタンイオンの添加の使用方法として「チタネートカップリング剤」は、有機チタンアルコキシド、有機チタンキレート、有機チタンポリマー、有機チタンオリゴマー及び有機チタンアシレートなどを含むものである。これらのうちでも、有機チタンアルコキシド及び有機チタンキレートが好ましく、特に有機チタンアルコキシドが特に好ましい。加水分解性に優れ、水及び水系有機溶剤(特にアルコール)に可溶であるため、ポリアクリル酸類との優れた架橋性及び水分散性が得られる。
【0014】
即ち、チタネートカップリング剤としては、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート(味の素ファインテクノ株式会社製、品名「KR44」)、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート(味の素ファインテクノ株式会社製、品名「KR38S」)、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート(味の素ファインテクノ株式会社製、品名「KR238S」)、イソプロピルトリ(ジオクチルピロホスフェート)チタネート(味の素ファインテクノ株式会社製、品名「338X」)、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート(味の素ファインテクノ株式会社製、品名「KR138S」)等があげられる。更に、品名「KR TTS」、「KR 46B」、「KR 55」、「KR41B」及び「KR9SA」等の味の素ファインテクノ株式会社製のチタネートカップリング剤、並びに、品名「A−1」、「B−1」、「TOT」、「TST」、「TAA」、「TAT」、「TLA」、「TOG」、「TBSTA」、「A−10」、「TBT」、「B−2」、「B−4」、「B−7」、「B−10」、「TBSTA−400」、「TTS」、「TOA−30」、「TSDMA」、「TTAB」及び「TTOP」等の日本曹達株式会社製のチタネートカップリング剤が挙げられる。これらは単独で、もしくは2種以上併せて用いることができる。
【0015】
チタネートカップリング剤の含有量は特に限定されないが、チタネートカップリング剤(Ti)と、ポリアクリル酸類(PAA)と、の質量比(Ti/PAA)は0.01〜7.0とすることが好ましい。この質量比(Ti/PAA)は、更に0.05〜3.0とすることがより好ましく、0.01〜2とすることが特に好ましい。 また、チタネートカップリング剤は、本発明の本液剤全体を100質量%とした場合に、0.001〜21質量%とすることが好ましく、0.001〜5質量%とすることがより好ましく、0.00.005〜2質量%とすることが特に好ましい。
【0016】
更に、ポリアクリル酸類は、本液剤全体を100質量%とした場合に、0.001〜3質量%とすることが好ましく、0.001〜0.5質量%とすることがより好ましく、0.001〜0.3質量%とすることが特に好ましい。更に、チタネートカップリング剤を加水分解し、ポリアクリル酸類との架橋を促進する作用を有すると共に、ポリアクリル酸類に対しては溶剤又は分散剤(通常、溶剤)として機能するものと考えられる。水の配合量は特に限定されず、本液剤全体を100質量%とした場合に、通常、90.000質量%以上(99.999質量%以下)であり、95.000〜99.999質量%が好ましく、98.000〜99.999質量%がより好ましい。また、ポリアクリル酸類とチタネートカップリング剤と水とを混合する順序は特に限定されず、結果的にこれらが混合されればよい。
【0017】
本発明の本液剤は、上記各成分に加えて、ポリビニルアルコールを更に混合したものとすることができる。上記「ポリビニルアルコール」は、水溶性高分子である。本発明で用いるポリビニルアルコールのケン化度は特に限定されないが80モル%以上であることが好ましく親水性が大きく、更に、チタンイオン又は、チタネートカップリング剤と架橋され易い。このケン化度は85〜99モル%がより好ましく、90〜99モル%が特に好ましい。 また、ポリビニルアルコールの本液剤全体を100質量%とした場合、0.001〜5質量%が好ましく、0.05〜1.5質量%がより好ましい。また、後述するように、亜鉛イオン及び/又は銀イオンを用いる場合には、これらのイオンによって上記架橋されるものと考えられる。
【0018】
更に、ポリビニルアルコールを用いることで、繊維製品に対して簡便な添着方法(即ち、スプレー及び浸漬など)で分散性よく添着することができるものと考えられる。
即ち、ポリビニルアルコールは架橋分散剤として機能すると共に、それ自体にチタンイオン、銀イオン、亜鉛イオン、を取り込んで、光触媒能と共に抗菌性をも発揮しているものと考えられる。更に、ポリビニルアルコールは、従来、代表的な糊剤(アイロン用糊剤及び洗濯用糊剤など)であり、既に繊維製品にも多用されており、取扱い性に優れ、安全であり、流通量も多く好ましい。このポリビニルアルコールは、本剤では架橋分散剤として機能している。
【0019】
チタンイオン以外の金属イオンを配合する方法として金属イオンを配合できる化合物(以下、単に「架橋助剤」ともいう)の種類は特に限定はないが、通常、水溶性のこれら金属化合物である。なかでも、特に、アセチルアセトン錯体及び/又はアミノ酸錯体が好ましい。即ち、アセチルアセトン亜鉛錯体、アセチルアセトン銀錯体、アミノ酸亜鉛錯体及びアミノ酸銀錯体のうちの少なくとも1種を用いることが好ましい。
これらの架橋助剤は、上記架橋を促進しながらも繊維製品の変質(黄変、白濁及び/又は浸食)は極めて効果的に抑制できる。従って、特に薄色の繊維製品、更には、白色系繊維製品に対して用いた場合に特に変質抑制能が効果的に発揮される。
【0020】
亜鉛イオンに有っては、塩化亜鉛、硫酸亜鉛及び硝酸亜、塩化亜鉛、硫酸亜鉛及び硝酸亜鉛からなる群から選択される1種又は2種以上の水溶性無機亜鉛化合物などを用いることができる。
【0021】
この架橋助剤の配合量は特に限定されないが、本液剤剤全体を100質量%とした場合に0.0005〜25.000質量%とすることが好ましい。更に、この配合量は、0.001〜10.000質量%とすることがより好ましく、0.001〜0.005質量%とすることが更に好ましいまた、架橋剤により亜鉛イオン、銀イオンを加え繊維に抗菌剤として付与されこれらは、持続性を有し繊維製品に抗菌性を持続させる。更にこれらの抗菌性効果は微生物が原因と臭気の抑制効果、臭気の付与を抑制する効果を発揮する。
【0022】
上記各成分に加えて、カルボキシメチルセルロース(その塩を含む)を混合することができる。カルボキシメチルセルロースは、セルロースのカルボキシメチル誘導体及び/又はその塩(特にアルカリ金属塩、更にはNa塩)である。この配合により、本剤を添着した面(添着面)に光沢感を生じることを抑制し、繊維製品の風合いを維持できる。カルボキシメチルセルロースの性状等については特に限定されないが、カルボキシメチルセルロースの配合量は特に限定されないが、本剤全体を100質量%とした場合、0.010〜4.000質量%とすることができ、0.001〜2.000質量%が好ましく、0.001〜0.003質量%がより好ましい。
【0023】
更に、加える成分とし持続性繊維製品用抗菌剤全体に含まれた金属イオンを溶液中に分散化し更にキレート錯体を形成させる必要があるこの効果により消臭効果、成分の安定をなされ長期保存を可能とする。キレート形成剤としてクエン酸、リンゴ酸が挙げられこれらを1ないし2の単属または、2種類を混合しても良い。また、キレート錯体化された金属イオンは、繊維製品に抗菌性、消臭効果の付与をなす本剤全体を100質量%とした場合、0.010〜6.5質量%とすることができ、0.01〜4.5質量%が好ましく、0.001〜2.2質量%がより好ましい。
【0024】
上記各成分に加えて、固形光触媒を含むことができる。固形光触媒を混合することによって、更に光触媒効果を向上させることができる。固形光触媒を単独で用いる場合に比べて少量の固形光触媒で高い光触媒能を発揮させることができる。また、ポリアクリル酸類及び/又はポリビニルアルコールが固形光触媒を取り込んで繊維への添着を補助できる。固形光触媒としては、リン酸アパタイト被覆酸化チタン、フッ化アパタイト被覆チタン、アパタイト混合二酸化チタン、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、硫化カドミニウム(CdS)、チタン酸バリウム(BaTiO)、ニオブ酸カリウム(KNbO)、酸化鉄(Fe)、酸化タンタル(Ta)、酸化スズ(SnO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化ニッケル(NiO)、酸化銅(CuO)、酸化ケイ素(SiO)、硫化モリブデン(MoS)、インジウム鉛(InPb)、酸化ルテニウム(RuO)、酸化セリウム(CeO)などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでは酸化チタン、及び酸化チタンとアパタイトの配合されているリン酸アパタイト被覆酸化チタン、フッ化アパタイト被覆チタン、アパタイト混合二酸化チタンのアパタイト被覆酸化チタンとの併用、が特に好ましいまた、「アパタイト被覆酸化チタン」は、酸化チタン粒子が、多孔質リン酸カルシウム被膜で被覆されたものであり、フッ化酸カルシウム膜が光触媒として不活性で雑菌等を吸着する性質をもち且つ多孔質であることからこのアパタイト膜を酸化チタン粒子に被覆することにより酸化チタンが有する光触媒機能を損なうことなく被添着体への触媒作用による変質を抑制でき、担体の耐久性を高めることができる。
【0025】
上記固形光触媒の含有量は特に限定されないが、含有される場合、本液剤全体を100質量%とした場合に合計で0.0001〜30.000質量%とすることができ、0.0001〜15.000質量%とすることが好ましく、0.0001〜10.000質量%とすることがより好ましい。この範囲では、含有されても有機材料の変質が十分に抑制されて、変色を防止できる。
【0026】
上記各成分に加えて、更に酸化防止剤を配合できる。酸化防止剤は、一般的に防腐剤の種類を用いることが多く、特に限定されないがパラベンゼン系化合物が好ましい。
パラベンゼン系化合物としては、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル及びパラオキシ安息香酸エチル等が挙げられる。
これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、その配合量は特に限定されないが、本剤全体を100質量%とした場合に0.001〜0.200質量%とすることが好ましく、0.001〜0.100質量%とすることがより好ましい。
【0027】
更に、酸化防止剤又は、変色抑制剤としてアルコール類を用いることができる。このアルコール類は、メチルアルコール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソピルアルコール、アセトンなどが挙げられとエタノールとイソプロピルアルコールとの混合物である。中でも、エタノール単独又はエタノールとイソプロピルアルコールとの組み合わせが好ましく、これらの混合物の含有比率は、5〜95%(w/w)であるが、50〜50%(w/w)程度が好ましく、20〜80(w/w)程度がより好ましい。また、混合することで即効性及び持続性が向上し、本液剤の使用用途の沿い気化の調整に適している。また、溶液全体に対する混合物の含有比率は、5〜95%(w/w)であるが、5〜50%(w/w)程度が好ましく、1〜30(w/w)程度がより好ましい。但し全体溶剤の含有量に応じ変化をする。
【0028】
本液剤の上記記載溶剤の割合を固定化し濃度調整に用いる有機酸としてエタノール、イソピルアルコールの単独又は、混合物に含有する有機酸として乳酸が挙げられる。
その含有率は、本液剤に配合する濃度調整用アルコールに対して0.1〜2%(w/w)であり、0.1〜1.5%(w/w)程度とすることが好ましく、0.1〜1%(w/w)程度とすることがより好ましい。
【0029】
前記本発明の持続性繊維製品用抗菌剤は、繊維製品に添着させた後、加熱することなく自然乾燥させるのみで用いても十分な光触媒作用及び消臭及び抗菌作用を得ることができる。また、持続性繊維製品用抗菌剤を添着させた添着領域を加熱して用いることで繊維性製品に抗菌作用が付与されることが可能となりより好ましい。即ち、本発明の使用方法は、上記の持続性繊維製品用抗菌剤を繊維製品に添着させた後、添着領域を加熱することを特徴とする。
【0030】
本液剤が添着される製品であるとは、上記「繊維製品」の繊維が用いられた製品であり、この繊維製品の種類は特に限定されないが、上記本液剤は、布製品(布を用いた製品)に対して用いることでより優れた効果が得られる。布製品としては、厨房用コート(コックコート)及び厨房用帽子(コック帽)等の厨房衣料品、白衣及び手術着等の医療用医療品、各種工場内で使用される工業着等の一般作業衣料品、実験着及び防塵マスク等の防護用衣料品、カッター、ブラウス、スーツ、エプロン及びジャンパー等の日常衣料品、カーペット及びカーペット基布等の家具インテリア用布製品、収納袋、風呂敷、スーツカバー及び水切りシート等のその他の布製品などが挙げられる。その他、布製品には含まれないが、紙おむつ及び生理用ナプキン、お産用パット及びガーゼ等の衛生用製品などにも適用できる。
【0031】
持続性繊維製品用抗菌剤の添着方法は特に限定されず、例えば、スプレー、刷毛による塗布、ウエスによる塗布、浸漬、含浸等の各種方法を用いることができる。これらの方法は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。又、加熱による加工方法も存在するこの「加熱」は、どのように行ってもよく、直接的に加熱、間接的に加熱があり、布製品においては直接的に加熱することが好ましく、特にアイロン及びそれに類する平板加圧加熱を行うことが好ましい。これにより、熱反応により寿属性のある抗菌性の付与と共に、加えて、光触媒特性、抗菌性が向上されるからである。加熱温度は特に限定されず、繊維製品を構成する繊維の特性によって適宜の温度とすることが好ましいが、通常80℃以上の温度で加熱することが好ましく、80〜210℃がより好ましく、130〜210℃が更に好ましい。
【0032】
クエン酸並びにポリアクリル酸ナトリウム(東亞合成株式会社製、品名「アロンT−50」)と水とを混合してクエン酸並びにポリアクリル酸の混合水溶液を調製した。 次いで、架橋助剤であるアセチルアセトン亜鉛錯体(日本化学産業株式会社製、品名「ナーセム亜鉛」)とアセチルアセトン銀錯体(日本化学産業株式会社製、品名「ナーセム銀」)と水系有機溶媒(エタノール及びイソプロピルアルコールの混合溶媒)とを混合して架橋助剤溶液を調製し、これを上記混合液に添加した混合水溶液を得た。更に、本液剤に混合する薬剤の内、特に光りによる変色が強いチタネートカップリング剤であるイソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート(味の素ファインテクノ株式会社製、品名「プレンアクト KR44」)と水とを遮光下で混合してチタネートカップリング剤水溶液を調製し着色性試験を実施した。
また、本液剤に対するチタネートカップリング剤によるチタネート系カップリング剤の着色性の評価は、次の通りであった。
▲1▼KR44が1.5mg/1000ml含まれ、ポリアクリル酸Naが0.5mg/1000ml含まれる。
▲2▼KR38Sが0.5mg/1000ml含まれ、ポリアクリル酸Naが0.5mg/1000ml含まれる。
▲3▼KR138Sが0.5mg/1000ml含まれ、ポリアクリル酸Naが0.5mg/1000ml含まれる。
▲4▼KR238SKR238Sが0.5mg/1000ml含まれ、ポリアクリル酸Naが0.5mg/1000ml含まれる。
▲5▼KR338Xが0.5mg/1000ml含まれポリアクリル酸Naが0.5mg/1000ml含まれる。を比較したその結果、光による変色は少なくまた本液剤との混合に於いて凝集や沈殿、白濁は、生じず好ましいチタネートカップリング剤は、▲1▼及び▲3▼でありより好ましいものは、▲1▼記載のカップリング剤である。
【0033】
上記に記載した▲1▼及び▲3▼の混合液に混合する添加剤としてポリビニルアルコールを副添加剤として抗菌性金属である銀系化合物を混合し、次いでチタネートカップリング剤であるイソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート(味の素ファインテクノ株式会社製、品名「プレンアクト KR44」)と、固形光触媒であるアパタイト被覆酸化チタン(昭和電工株式会社製、品名「F6−APS」)と、を遮光下で加えて混合して光触媒性混合物を得た。更に、架橋助剤であるアセチルアセトン亜鉛錯体(日本化学産業株式会社製、品名「ナーセム亜鉛」)と水系有機溶媒(エタノール及びイソプロピルアルコールの混合溶媒)とを混合して架橋助剤溶液を調製し、これを上記クエン酸並びにポリアクリル酸水溶液に添加した後、混合し、架橋助剤とが含まれた混合水溶液を得た。
【0034】
次いで、防腐剤である(上野製薬株式会社製、品名「メッキンス−M」)は作用的に酸化抑制又変色防止作用を有しており、水系有機溶媒(エタノール及びイソプロピルアルコールの混合溶媒)と、を混合して架橋助酸化抑制剤混合液を調製し、これを上記実用例1の水溶液に添加した後、ポリアクリル酸と架橋助剤と架橋助酸化抑制剤混合液とが含まれたクエン酸並びにポリアクリル酸水溶液に混合水溶液を得た。
【実施例1】
【0035】
本液剤に於ける抗菌力試験を実施する。
「抗菌力試験1」試験菌株 大腸菌Escherihia coli NBRC3301
試験方法 JISL1902:2008定量試験(菌液吸収法)準用
生菌数の測定方法:混釈平板培養法
検体を0.4ml採取し、菌液を0.2ml接種した。
試験結果
【表1】

以上の結果を得た。
【実用例2】
【0036】
「抗菌力試験2」
試験菌株 黄色ブドウ球菌 Stsphylococus aureus
試験方法 JISL1902:2008定量試験(菌液吸収法)準用
生菌数の測定方法:混釈平板培養法
検体を0.4ml採取し、菌液を0.2ml接種した。
試験結果
【表2】

【実用例3】
【0037】
「ウイルス不活化試験」
本液剤のインフルエンザウイルスに対する不活化試験の結果
検査ウイルス インフルエンザA型(HIN1)
使用細胞 MDCK(NBL−2)細胞 ATCC CCL−34株
(大日本製薬株式会社)
使用培地 イーグルMEM培地牛胎仔血清10%を加えたもの
【表3】

TCID50 :median tissue culture infectious dose,50%組織培養感染量
作用液 1ml当たりnoTCID50の対数値
開始時:作用開始直後の対照のTCID50を測定し、開始時とした。
【実用例4】
【0038】
「洗濯試験」
繊維の洗濯試験を実施する検査方法としてアイロンによる加熱方法で本液剤を繊維状に固定化し抗菌力テストを実施する。本液剤を水で1000倍(質量比)に希釈した溶液を塗布し、160℃で加熱して被膜を形成し、得られた被膜の抗菌力試験を実施した。洗濯試験方法 JIS L1902「繊維製品の抗菌力試験方法」に準じた試験方法にて実施する。
試験結果
試験試料をJIS L0217:1995「繊維製品の取り扱いに関する表示記号及びその表示方法」の内103の方法に準拠し、洗剤は、JAFET洗剤を用いて2回洗濯処理を行いました。 また、Controlの試料は、染色堅牢度試験用レーヨン白布(JIS L0803)を使用しました。
【表4】

【実用例5】
【0039】
試験試料をJIS L0217:1995「繊維製品の取り扱いに関する表示記号及びその表示方法」の内103の方法に準拠し、洗剤は、JAFET洗剤を用いて10回洗濯処理を行いました。 また、Controlの試料は、染色堅牢度試験用レーヨン白布(JIS L0803)を使用しました。
【表5】

【実用例6】
【0040】
クエン酸並びにポリアクリル酸ナトリウム(東亞合成株式会社製、品名「アロンT−50」)と水とを混合してクエン酸並びにポリアクリル酸の混合水溶液を調製した。 次いで、架橋助剤であるアセチルアセトン亜鉛錯体(日本化学産業株式会社製、品名「ナーセム亜鉛」)と防腐剤である(上野製薬株式会社製、品名「メッキンス−M」)は作用的に酸化抑制又変色防止作用を有しており、水系有機溶媒(エタノール及びイソプロピルアルコールの混合溶媒)とを混合して架橋助剤溶液を調製し、これを上記混合液に添加した混合水溶液を得た。更に、本液剤に混合するチタネートカップリング剤(味の素ファインテクノ株式会社製、品名「プレンアクト KR44」)を加え、抗菌性金属である銀系化合物を混合し、固形光触媒であるアパタイト被覆酸化チタン(昭和電工株式会社製、品名「F6−APS」)と混合し、架橋助剤とが含まれた持続性繊維製品用抗菌剤を得た。
【実用例7】
【0041】
クエン酸並びにポリアクリル酸ナトリウム(東亞合成株式会社製、品名「アロンT−50」)と水とを混合してクエン酸並びにポリアクリル酸の混合水溶液を調製した。
次いで、架橋助剤であるアセチルアセトン亜鉛錯体(日本化学産業株式会社製、品名「ナーセム亜鉛」)と防腐剤である(上野製薬株式会社製、品名「メッキンス−M」)は作用的に酸化抑制又変色防止作用を有しており、水系有機溶媒(エタノール及びイソプロピルアルコールの混合溶媒)とを混合して架橋助剤溶液を調製し、これを上記混合液に添加した混合水溶液を得た。更に、本液剤に混合するチタネートカップリング剤(味の素ファインテクノ株式会社製、品名「プレンアクト KR44」)を加え、抗菌性金属である銀系化合物を混合し、固形光触媒であるアパタイト被覆酸化チタン(昭和電工株式会社製、品名「F6−APS」)と混合し、架橋助剤とが含まれた持続性繊維製品用抗菌剤を得た。更に上記成分に加えて、ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製、品名「ゴーセノール N−300」)を更に混合したものとすることができる。次いで、カルボキシメチルセルロース(日本製紙ケミカル株式会社製、品名「サンローズF120HC」)を水に溶解してカルボキシメチルセルロース水溶液を加え持続性繊維製品用抗菌剤を得ることができる。
【0061】
尚、本発明においては、上記の具体的実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。また、本発明には含まれないものの、上記ポリアクリル酸類に変えてポリアクリルアミド及び/又はポリアクリルアミンを用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
実施例6の持続性繊維製品用抗菌剤による各種気体に対する消臭力試験の結果を示すグラフである。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子量20000以下のポリアクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩、チタネートカップリング剤及び水を混合して得られたことを特徴とする持続性繊維製品用抗菌剤。
【請求項2】
更に、ポリビニルアルコールが混合されている請求項1に記載の持続性繊維製品用抗菌剤。
【請求項3】
更に、亜鉛イオン及び銀イオンのうちの少なくとも1種が混合されている請求項1又は2に記載の持続性繊維製品用抗菌剤。
【請求項4】
更に、カルボキシメチルセルロースが混合されている請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の持続性繊維製品用抗菌剤。
【請求項5】
更に、クエン酸が混合されている請求項1乃至4のうちのいずれかに記載の持続性繊維製品用抗菌剤。
【請求項6】
更に、酸化チタン及び/又はアパタイト被覆酸化チタンを含む請求項1乃至5のうちのいずれかに記載の持続性繊維製品用抗菌剤。
【請求項7】
更に、イソピルプルアルコール、エタノール及び/又は、乳酸を含むアルコール類が混合されている請求項1乃至6に記載の持続性繊維製品用抗菌剤。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちのいずれかに記載の持続性繊維製品用抗菌剤であり、使用方法繊維製品に添着させた後、加熱の添着領域を加熱することを特徴とする防汚処理が行える持続性繊維製品用抗菌剤。

【公開番号】特開2011−42642(P2011−42642A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212408(P2009−212408)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(309013510)株式会社CSL (2)
【Fターム(参考)】