説明

抗ウイルス化合物

本発明は、ウイルス感染を処置するために有用な化合物、薬学的組成物および方法に関する。本発明の組成物および方法は、HIV、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、1型単純ヘルペスウイルス、2型単純ヘルペスウイルス、4型単純ヘルペスウイルス(エプスタイン−バーウイルス)、インフルエンザウイルス、スモールポックスウイルス、コロナウイルス(すなわち、SARS−関連)、および西ナイルウイルスのようなウイルスによって引き起こされるウイルス感染の処置に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連米国出願への相互参照)
本出願は、2005年6月22日に出願された米国仮出願番号第60/692,826号および2006年2月7日に出願された米国仮出願番号第60/765,790号の利益を主張し、これら各々は、その全体が参考して本明細書中に援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、ウイルス感染を処置(その発症を遅延)するための方法、化合物、および薬学的組成物に関する。これら組成物および方法は、HIV、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、1型単純ヘルペスウイルス、2型単純ヘルペスウイルス、4型単純ヘルペスウイルス(エプスタイン−バーウイルス)、インフルエンザウイルス、スモールポックスウイルス、コロナウイルス(すなわち、SARS−関連)、および西ナイルウイルスのようなウイルスによって引き起こされるウイルス感染の処置で有用である。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
ヒトにおけるウイルス感染は主要な健康問題であり、そして家畜動物のウイルス感染は、主要な経済関心事である。ウイルス感染に立ち向かうことは、疾患が、スモールポックスワクチン接種の出現で本質的に根絶されたスモールポックスのようないくつかの事例では、高度に有効であることが証明された。スモールポックスは、1980年頃に本質的に根絶されたけれども、スモールポックスの新たな流行の出現のかなりの正当化された恐怖が存在する。なぜなら、ウイルスの現存する備蓄があり、そしてバイオテロリズムが、現実の可能性の領域を超えて進展しているからである。その他のウイルス感染は、戦うのがかなりより困難である。B型およびC型肝炎、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、単純ヘルペスウイルス、およびインフルエンザは、まさに、全世界に顕著な健康脅威を引き起こすウイルスのリストの2〜3の目立つメンバーである。さらに、出現するウイルス感染は、今やコロナウイルスと関連している重篤な急性呼吸症候群(SARS)の最近の発生によって例示されるように、ヒトの流行とともに世界を脅迫し続ける。多くのウイルス感染に対し現在利用可能な処置は、しばしば、有害な副作用をともなう。さらに、特定のウイルス遺伝子産物に対する抗ウイルス治療は、しばしば、このような治療に対する耐性のウイルスの選択を駆動する効果を有し得、そして処置の現在の方法に耐性のウイルス株が問題で増大している。従って、新規な抗ウイルス処置に対する明確かつ常に存在する必要性がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の簡単な要旨)
本発明は、一般に、ウイルス感染を処置するための化合物および方法に関する。さらに、本発明はまた、ウイルス感染によって引き起こされる症状の発症を処置および/または遅延することに関する。本発明は、式I〜IVの化合物を含む式I’の化合物、および式I〜IVの1つ以上の化合物および1つ以上の薬学的に受容可能な賦形剤を有する薬学的組成物を提供する。式I’および式I〜IVの化合物は:
【0005】
【化12】

【0006】
【化13】

【0007】
【化14】

ならびにその薬学的に受容可能な塩および立体異性体を含み、
ここで、Qは、(CH1−2であり;
Lは、飽和または部分的に飽和され得る0〜10の炭素を有するアルキル基であり;このLのアルキル基の1つ以上の炭素は、−O−、−S−、−N−、−C(=O)−、−NC(=O)−、−C(=O)N−、−SO、−NSO、−SON−、シクロアルキル、および−NC(=O)N−で置換され得;Lは、ヒドロキシル、ハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−N(C1−3アルキル)、−NH(C1−3アルキル)、−C(=O)OH、−C(=O)O(C1−3アルキル)、−C(=O)NH、−C(=O)NH(C1−3アルキル)−C(=O)N(C1−3アルキル)、−S(=O)(C1−3アルキル)、−S(=O)NH、−S(=O)N(C1−3アルキル)、−S(=O)NH(C1−3アルキル)、−CHF、−OCF3、−OCHF、−SCF、−CF、−CN、−NH、および−NOから選択される1つ以上の置換基で置換され得;
R1は、水素、−C(=O)−(CH−CH、−C(=O)−(CH−C(CH−COOHから選択され;
R2は、必要に応じて、水素、ヒドロキシ、ハロ、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボニル、O−カルボキシ、C−カルボキシ、O−カルバミル、O−チオカルバミル、N−カルバミル、N−チオカルバミル、エステル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、−C(=O)OH、−CH(CH)C(=O)OH;−CHC(=O)OH、−C(CHC(=O)OH、−C(CH)(CHCH)C(=O)OH、−CH(CHCH)C(=O)OH、−CH=C(CH)C(=O)OH、−C(CHCHC(=O)OH、−N(C1−3アルキル)、−NH(C1−3アルキル)、−C(=O)NH、−C(=O)NH(C1−3アルキル)、−C(=O)N(C1−3アルキル)、−S(=O)(C1−3アルキル)、−S(=O)NH、−S(=O)N(C1−3アルキル)、−S(=O)NH(C1−3アルキル)、−CHF、−OCF、−OCHF、−SCF、−CF、−CN、−NH、および−NOから選択される1つ以上の置換基で置換される、シクロアルキル、アリール、複素環、およびヘテロアリールから選択され;mは、0〜10から選択される整数であり;そして
R3およびR4は、−H、−CH、−(CH、−CH(CH、および−C(=CH)CHから独立に選択される。
【0008】
従って、関連する局面では、本発明は、ウイルス感染を処置する方法を提供し、このような処置の必要な患者に、式I〜IVの化合物の治療的(または予防的)に有効な量を有する薬学的組成物または医薬を投与することによる。
【0009】
本発明の別の局面では、ウイルス成熟を阻害するための方法がまた提供され、このような処置を必要とする患者に、ヒトまたは動物細胞由来のウイルスの成熟を阻害するに十分な式I〜IVの化合物の量を有する薬学的組成物または医薬を投与することによる。本発明のこの実施形態の1つの特定の局面では、このウイルス成熟を阻害する方法は、ウイルスに感染したヒトを式I〜IVの化合物で処置することを含む。
【0010】
さらに、本発明は、ウイルス感染症状の発症を遅延するための方法をさらに提供し、この方法は、式I〜IVの化合物の予防的に有効な量を有する薬学的組成物または医薬をウイルス感染を有するか、またはウイルスによる感染のリスクにあるか、またはウイルス感染の症状を発症するリスクにあるヒトに投与する工程を包含する。本発明のこの実施形態の1つの特定の局面では、ウイルス感染の症状の発症を阻害または遅延する方法は、ウイルスに感染したヒトを式I〜IVの化合物で処置することを含む。
【0011】
本発明の1つの局面では、レトロウイルスの任意のHIVファミリーのキャリアである、すなわち、HIVに感染しているが、AIDSを発症(より重篤なAIDSを規定する病気および/または有効な免疫機能と適合しているレベル未満の循環性CD4細胞数の減退によって規定される)していないヒトを処置するための方法が提供される。この方法は、処置の必要なこのようなヒトを識別する工程、およびこのヒトに式I〜IVの化合物の治療的に有効な量を有する薬学的組成物または医薬を投与する工程を含む。それ故、この方法は、急性の一次HIV感染症候群(これは、無症候性であり得るか、または熱、倦怠感、下痢および頭痛のような神経学的症状をともなうインフルエンザ様の病気をともなう)、または無症候性感染(これは、循環性CD4T細胞の数におかける段階的減退をともなう長い潜伏期間である)を処置することに用いられ得る。
【0012】
別の局面では、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)のいずれかに活性に感染しているヒト、またはこれらウイルス感染の症状を発症していないか(これは、肝臓損傷によって規定される)もしくはこのような症状の減少を経験したかのいずれかであるこれらウイルスのキャリアであるヒト、またはこのようなウイルスに最近曝されたヒトを処置するための方法が提供される。この方法は、処置の必要なこのようなヒトを識別する工程、このヒトに、式I〜IVの化合物の治療的に有効な、または予防的に有効な量の薬学的組成物または医薬を投与する工程を含む。
【0013】
別の局面では、1型、2型、または4型単純ヘルペスウイルス(エプスタイン−バーウイルスとしてもまた知られる)に活性に感染したヒト、またはこれらウイルス感染の症状を発症していないか、もしくはこのような症状の減少を経験したかのいずれかであるこれらウイルスのキャリアであるヒト、またはこのようなウイルスに最近曝されたヒトを処置するための方法が提供される。この方法は、処置の必要なこのようなヒトを識別する工程、このヒトに、式I〜IVの化合物の治療的に有効な、または予防的に有効な量の薬学的組成物または医薬を投与する工程を含む。
【0014】
別の局面では、A型、B型、C型インフルエンザウイルスに活性に感染したヒト、またはこれらウイルス感染の症状を発症していないか、もしくはこのような症状の減少を経験したかのいずれかであるこれらウイルスのキャリアであるヒト、またはこのようなウイルスに最近曝されたヒトを処置するための方法が提供される。この方法は、処置の必要なこのようなヒトを識別する工程、このヒトに、式I〜IVの化合物の治療的に有効な、または予防的に有効な量の薬学的組成物または医薬を投与する工程を含む。
【0015】
なお別の局面では、任意のポックスウイルスファミリーのウイルス、すなわち、スモールポックスウイルスに活性に感染したヒト、またはこれらウイルス感染の症状(これは、より重篤なスモールポックスを規定する病気によって規定される)を発症していないか、もしくはこのような症状の減少を経験したかのいずれかであるこれらウイルスのキャリアであるヒト、またはこのようなウイルスに最近曝されたヒトを処置するための方法が提供される。この方法は、処置の必要なこのようなヒトを識別する工程、このヒトに、式I〜IVの化合物の治療的に有効な、または予防的に有効な量の薬学的組成物または医薬を投与する工程を含む。
【0016】
別の局面では、任意のコロナウイルスファミリーのウイルス、すなわち、SARS関連コロナウイルスに活性に感染したヒト、またはこれらウイルス感染の症状(これは、より重篤なSARSを規定する病気によって規定される)を発症していないか、もしくはこのような症状の減少を経験したかのいずれかであるこれらウイルスのキャリアであるヒト、またはこのようなウイルスに最近曝されたヒトを処置するための方法が提供される。この方法は、処置の必要なこのようなヒトを識別する工程、このヒトに、式I〜IVの化合物の治療的に有効な、または予防的に有効な量の薬学的組成物または医薬を投与する工程を含む。
【0017】
なお別の局面では、西ナイルウイルスファミリに活性に感染したか、西ナイルウイルスのキャリアであり、そしてこのウイルス感染の症状を発症していないか、もしくはこのような症状の減少を経験したか、または西ナイルウイルスに最近曝されたヒトまたは動物を処置する方法が提供される。この方法は、処置の必要なこのようなヒトを識別する工程、このヒトに、式I〜IVの化合物の治療的に有効な、または予防的に有効な量の薬学的組成物または医薬を投与する工程を含む。
【0018】
本発明における使用のための式I〜IVの化合物は、1つ以上の塩、担体、または賦形剤との薬学的組成物として提供され得る。本発明における使用のための化合物のいくつかは、キラル中心を有し、そして本発明は、それ故、すべての立体異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、およびそれらの混合物の使用を含む。
【0019】
本発明はまた、ウイルス感染の組み合わせ治療のための薬学的組成物または医薬を提供する。これら組成物は、式I〜IVの化合物による第1の化合物の治療的に有効な量、および上記第1の化合物とは異なる第2の抗ウイルス化合物の治療的に有効な量を含む。抗ウイルス化合物の例は、制限されないで、プロテアーゼ阻害剤、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、インテグラーゼ阻害剤、融合阻害剤、成熟阻害剤、免疫調整剤、およびワクチンを含む。
【0020】
本発明の化合物は、高血圧、癌(転移を含む)、免疫系関連疾患、自己免疫疾患、(例えば、消化管の細菌感染のような)細菌感染、網膜症、および神経学的障害のようなさらなる種々の疾患または状態を処置するために用いられ得る。
【0021】
本発明の上記の利点および特徴、そしてその他の利点および特徴、およびそれらが達成される様式は、好ましい、かつ例示の実施形態を示す添付の実施例と組み合わせて本発明の以下の詳細な説明を考慮する際により容易に明らかになる。
【0022】
その他であることが規定されていなければ、本明細書で用いられるすべての技術的および科学的用語は、本発明が関係する分野の当業者によって共通して理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中に記載されるのと類似または等価な方法および材料が、本発明の実施または試験で用いられ得るけれども、適切な方法および材料は以下に記載される。矛盾する事例では、定義を含んで本明細書が支配する。さらに、材料、方法、および実施例は、例示のみであって、そして制限するものであることは意図されない。
【0023】
本発明のその他の特徴および利点は、以下の詳細な説明から、そして特許請求の範囲から明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(発明の詳細な説明)
本発明は、式I〜IVの化合物を含む式I’の化合物を提供し、これは、ウイルス感染およびその症状を処置するために有用である。式I’および式I〜IVの化合物は:
【0025】
【化15】

【0026】
【化16】

ならびにその薬学的に受容可能な塩および立体異性体を含み、
ここで、
Qは、(CH1−2であり;
Lは、飽和または部分的に飽和され得る0〜10の炭素を有するアルキル基であり;このLのアルキル基の1つ以上の炭素は、−O−、−S−、−N−、−C(=O)−、−NC(=O)−、−C(=O)N−、−SO、−NSO、−SON−、シクロアルキル、および−NC(=O)N−で置換され得;Lは、ヒドロキシル、ハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−N(C1−3アルキル)、−NH(C1−3アルキル)、−C(=O)OH、−C(=O)O(C1−3アルキル)、−C(=O)NH、−C(=O)NH(C1−3アルキル)−C(=O)N(C1−3アルキル)、−S(=O)(C1−3アルキル)、−S(=O)NH、−S(=O)N(C1−3アルキル)、−S(=O)NH(C1−3アルキル)、−CHF、−OCF3、−OCHF、−SCF、−CF、−CN、−NH、および−NOから選択される1つ以上の置換基で置換され得;
R1は、水素、−C(=O)−(CH−CH、−C(=O)−(CH−C(CH−COOHから選択され;
R2は、水素、ヒドロキシ、ハロ、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボニル、O−カルボキシ、C−カルボキシ、O−カルバミル、O−チオカルバミル、N−カルバミル、N−チオカルバミル、エステル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、−C(=O)OH、−CH(CH)C(=O)OH;−CHC(=O)OH、−C(CHC(=O)OH、−C(CH)(CHCH)C(=O)OH、−CH(CHCH)C(=O)OH、−CH=C(CH)C(=O)OH、−C(CHCHC(=O)OH、−N(C1−3アルキル)、−NH(C1−3アルキル)、−C(=O)NH、−C(=O)NH(C1−3アルキル)、−C(=O)N(C1−3アルキル)、−S(=O)(C1−3アルキル)、−S(=O)NH、−S(=O)N(C1−3アルキル)、−S(=O)NH(C1−3アルキル)、−CHF、−OCF、−OCHF、−SCF、−CF、−CN、−NH、および−NOから選択される1つ以上の置換基で置換される、シクロアルキル、アリール、複素環、およびヘテロアリールから選択され;
mは、0〜10から選択される整数であり;そして
R3およびR4は、−H、−CH、−(CH、−CH(CH、および−C(=CH)CHから独立に選択される。
【0027】
式I〜IVのいくつかの実施形態では、R1は、−C(=O)−(CH−CHであり、そしてmは、0〜10から選択される整数である。式I〜IVのいくつかの実施形態では、R1は、−C(=O)−(CH−C(CH−COOHであり、そしてmは、0〜10から選択される整数である。式I〜IVの化合物の特定の実施形態では、Lは、飽和または部分的に飽和され得る0、1、2、3、4または5の炭素原子を有するアルキル基であり;そして上記Lについて規定されるような置換基で置換され得るか、そして/またはを有し得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、Lは、ハロ、アルキル、ハロアルキル、−C(=O)OH、−C(=O)O(C1−3アルキル)、−C(=O)NH、−C(=O)NH(C1−3アルキル)、−C(=O)N(C1−3アルキル)、−CHF、−CF、および−CNから選択される1つ以上の置換基を有し得る。いくつかの実施形態では、Lは、ヒドロキシル、アルコキシ、ハロアルコキシ、−S(=O)(C1−3アルキル)、−S(=O)NH、−S(=O)N(C1−3アルキル)、−S(=O)NH(C1−3アルキル)、−OCF、−OCHF、および−SCFから選択される1つ以上の置換基を有し得る。特定の実施形態では、Lは、−N(C1−3アルキル)、−NH(C1−3アルキル)、−NH、および−NOから選択される1つ以上の置換基を有し得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、R2は、ハロ、アルキル、C−カルボキシ、ハロアルキル、−C(=O)OH、−CH(CH)C(=O)OH;−CHC(=O)OH、−C(CHC(=O)OH、−C(CH)(CHCH)C(=O)OH、−CH(CHCH)C(=O)OH、−CH=C(CH)C(=O)OH、−C(CHCHC(=O)OH、−C(=O)NH、−C(=O)NH(C1−3アルキル)、−C(=O)N(C1−3アルキル)、−CHF、−CF、および−CNから選択される1つ以上の置換基で置換されたフェニル基である。
【0030】
いくつかの実施形態では、R2が、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボニル、O−カルボキシ、O−カルバミル、O−チオカルバミル、エステル、ハロアルコキシ、−S(=O)(C1−3アルキル)、−S(=O)NH、−S(=O)N(C1−3アルキル)、−S(=O)NH(C1−3アルキル)、−OCF、−OCHF、および−SCFから選択される1つ以上の置換基で置換されたフェニル基である。
【0031】
いくつかの実施形態では、R2は、N−カルバミル、N−チオカルバミル、−N(C1−3アルキル)、−NH(C1−3アルキル)、−NH、および−NOから選択される1つ以上の置換基で置換されたフェニル基である。特定の実施形態において、R2が、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、および複素環から選択される1つ以上の置換基で置換されたフェニル基である。
【0032】
1つの実施形態では、本発明は、式I(a)〜IV(a)の化合物:
【0033】
【化17】

【0034】
【化18】

およびそれらの薬学的に受容可能なその塩を提供し、
ここで、R1は、−C(=O)−CH−C(CH−COOHであり;
R2は、必要に応じて、水素、ヒドロキシ、ハロ、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボニル、O−カルボキシ、C−カルボキシ、O−カルバミル、O−チオカルバミル、N−カルバミル、N−チオカルバミル、エステル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、−C(=O)OH、−CH(CH)C(=O)OH;−CHC(=O)OH、−C(CHC(=O)OH、−C(CH)(CHCH)C(=O)OH、−CH(CHCH)C(=O)OH、−CH=C(CH)C(=O)OH、−C(CHCHC(=O)OH、−N(C1−3アルキル)、−NH(C1−3アルキル)、−C(=O)NH、−C(=O)NH(C1−3アルキル)、−C(=O)N(C1−3アルキル)、−C(=O)NH(C1−3アルキル)NHC(=O)(C1−3アルキル)、−S(=O)(C1−3アルキル)、−S(=O)NH、−S(=O)N(C1−3アルキル)、−S(=O)NH(C1−3アルキル)、−CHF、−OCF、−OCHF、−SCF、−CF、−CN、−NH、および−NOから選択される1つ以上の置換基で置換される、シクロアルキル、アリール、複素環、およびヘテロアリール環から選択され;nは、0、1、2、および3から選択される整数である。
【0035】
1つの実施形態では、本発明は、式I(a)〜IV(a)の化合物、ならびにこれら化合物および1つ以上の薬学的に受容可能な賦形剤を含む薬学的組成物を提供し、ここで、R1は、−C(=O)−CH−C(CH−COOHであり;R2は、必要に応じて、ヒドロキシ、ハロ、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボニル、O−カルボキシ、C−カルボキシ、O−カルバミル、O−チオカルバミル、N−カルバミル、N−チオカルバミル、エステル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、−C(=O)OH、−CH(CH)C(=O)OH;−CHC(=O)OH、−C(CHC(=O)OH、−C(CH)(CHCH)C(=O)OH、−CH(CHCH)C(=O)OH、−CH=C(CH)C(=O)OH、−C(CHCHC(=O)OH、−N(C1−3アルキル)、−NH(C1−3アルキル)、−C(=O)NH、−C(=O)NH(C1−3アルキル)、−C(=O)N(C1−3アルキル)、−S(=O)(C1−3アルキル)、−S(=O)NH、−S(=O)N(C1−3アルキル)、−S(=O)NH(C1−3アルキル)、−CHF、−OCF、−OCHF、−SCF、−CF、−CN、−NH、および−NOから選択される1つ以上の置換基で置換されたフェニル基であり;nは、0、1、2、および3から選択される整数である。
【0036】
1つの実施形態では、コアのベツリン部分の立体化学は保存される。例えば、本発明の化合物は、式I(b)による立体化学を有し得る:
【0037】
【化19】

ここで、L、R1、およびR2は、上記式Iで規定されるようである。
【0038】
本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸などのような無機酸との塩、および酢酸、プロピオン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、クエン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などのような有機酸との塩によって例示される。それらの水和物(1水和物、2水和物、3水和物、1/2水和物、3/2水和物、1/4水和物、4/5水和物、1/5水和物、3/4水和物、1/3水和物、5/3水和物、5/4水和物など)、溶媒化合物などもまた、本発明の化合物中に包含される。さらに、N−酸化物化合物もまた、本発明の化合物中に包含される。
【0039】
さらに、薬学的に受容可能な塩は、アルカリカチオン(例えば、Li+、Na+またはK+)、アルカリ土類カチオン(例えば、Mg++、Ca++またはBa++)、アンモニウムカチオンを含む塩のような無機塩基の酸の塩、ならびに脂肪族および芳香族置換アンモニウム、およびトリエチルアミン、N,N−ジエチルアミン、N,N−ジシクロヘキシルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1,4−ジアザビクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBN)および1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)の過アルキル化(peralkylation)のプロトン化から生じるような四級アンモニウムカチオンを含む有機塩基の酸の塩を含む。
【0040】
さらに、式I〜IVの化合物は、非対称炭素原子を含み得、そしてそれ故、ラセミ形態および光学的に活性な形態で存在し得る。従って、光学異性体またはエナンチオマー、ラセミ体、およびジアステレオマーもまた、式I〜IVの化合物に包含される。本発明の方法は、すべてのこのような異性体およびこれらの混合物の使用を含む。エナンチオマーおよびジアステレオマー混合物の分離の方法は、当業者に周知である。本発明は、抗ウイルス活性を所有する、式I〜IVの化合物で記載される化合物の任意の単離されたラセミ体または光学的に活性な形態、またはそれらの任意の混合物を包含する。
【0041】
本発明の1つの実施形態では、式I〜IVの化合物の立体化学は、これら化合物が派生する天然産物(例えば、ベツリン酸)のそれに等価である。
【0042】
そうでないことが特定して陳述されていないか、または結合記号(点線または二重点線)によって示されていなければ、列挙された基への連結点は、最も右側に陳述された基上にある。従って、例えば、アルキルおよびヒドロキシルを通じて主要構造に連結されるヒドロキシアルキル基は、アルキル上の置換基である。
【0043】
本明細書で用いられるとき、用語「アルキル」は、直鎖基および分岐鎖基を含む飽和脂肪族炭化水素をいう。好ましくは、このアルキル基は、1〜20の炭素原子を有する(本明細書で現れるとき、「1〜20」のような数字の範囲は、所定の範囲中の各々の整数をいい;例えば、「1〜20の炭素原子」は、このアルキル基が、1炭素原子、2炭素原子、3炭素原子など、20まで、および20を含む炭素原子からなり得ることを意味する)。より好ましくは、それは、1〜10の炭素原子を有する中間サイズのアルキルである。なおより好ましくは、1〜6の炭素原子、そしてなおより好ましくは1〜4の炭素原子を有する低級アルキルである。このアルキル基は、置換され得るか、または置換されなくても良い。置換されるとき、置換基(単数または複数)は、好ましくは、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ハロ、カルボニル、チオカルボニル、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、C−カルボキシ、O−カルボキシ、シアナト、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、ニトロ、シリル、およびアミノから個々に選択される1つ以上である。
【0044】
本明細書で用いられるとき、用語「ハロ」は、クロロ、フルオロ、ブロモ、およびヨードをいう。
【0045】
本明細書で用いられるとき、用語「水素」は、水素原子をいう(−H基)。
【0046】
本明細書で用いられるとき、用語「ヒドロキシ」は、−OH基をいう。
【0047】
本明細書で用いられるとき、用語「アルコキシ」は、本明細書で規定されるような、−O−アルキルおよび−O−シクロアルキル基の両方をいう。低級アルコキシは、−O−低級アルキル基をいう。
【0048】
本明細書で用いられるとき、用語「アリールオキシ」は、本明細書で規定されるような、−O−アリールおよび−O−ヘテロアリール基の両方をいう。
【0049】
本明細書で用いられるとき、用語「メルカプト」基は、−SH基をいう。
【0050】
本明細書で用いられるとき、用語「アルキルチオ」基は、S−アルキルおよび−S−シクロアルキル基の両方をいう。
【0051】
本明細書で用いられるとき、用語「アリールチオ」基は、本明細書に規定されるような、−S−アリールおよび−S−ヘテロアリール基の両方をいう。
【0052】
本明細書で用いられるとき、用語「カルボニル」基は、本明細書に規定されるような、−C(=O)R’’基をいい、ここで、R’’は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を通じて結合される)および複素環(環炭素を通じて結合される)からなる群から選択される。
【0053】
本明細書で用いられるとき、用語「アルデヒド」基は、カルボニル基をいい、ここで、R’’は水素である。
【0054】
本明細書で用いられるとき、用語「シクロケトン」は、シクロアルキル基をいい、ここで、環を形成する炭素原子の1つは、それに結合された「=O」を有する;すなわち、環の炭素原子の1つは、−C(=O)−基である。
【0055】
本明細書で用いられるとき、用語「チオカルボニル」基は、−C(=S)R’’基をいい、R’’は本明細書で規定されるようである。
【0056】
本明細書で用いられるとき、用語「O−カルボキシ」基は、R’’C(=O)O−基をいい、R’’は本明細書で規定されるようである。
【0057】
本明細書で用いられるとき、用語「C−カルボキシ」基は、−C(=O)OR’’基をいい、R’’は本明細書で規定されるようである。
【0058】
本明細書で用いられるとき、用語「エステル」は、本明細書で規定されるような、C−カルボキシ基であり、ここで、R’’は、水素以外の任意の列挙された基(例えば、メチル、エチル、低級アルキル)である。
【0059】
本明細書で用いられるとき、用語「C−カルボキシ塩」は、−C(=O)O基であり、ここで、Mは、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、バリウム、鉄、亜鉛および四級アンモニウムからなる群から選択される。
【0060】
本明細書で用いられるとき、用語「アセチル」基は、−C(=O)CH基をいう。
【0061】
本明細書で用いられるとき、用語「カルボキシアルキル」は、−(CHC(=O)OR’’をいい、ここで、rは1〜6であり、そしてR’’は本明細書で規定されるようである。
【0062】
本明細書で用いられるとき、用語「カルボキシアルキル塩」は、−(CHC(=O)Oをいい、ここで、Mは、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、鉄、亜鉛および四級アンモニウムからなる群から選択される。
【0063】
本明細書で用いられるとき、用語「カルボン酸」は、C−カルボキシル基をいい、こごて、R’’は水素である。
【0064】
本明細書で用いられるとき、用語「ハロアルキル」は、1〜6のハロ基で置換されたアルキル基をいい、好ましくは、ハロアルキルは−CX基であり、ここで、Xはハロ基である。これらハロ基は、独立に選択され得る。
【0065】
本明細書で用いられるとき、用語「トリハロメタンスルホニル」は、XCS(=O)−基をいい、Xは上記で規定されたようである。
【0066】
本明細書で用いられるとき、用語「シアノ」は、−C≡N基をいう。
【0067】
本明細書で用いられるとき、用語「シアナト」は、−CNO基をいう。
【0068】
本明細書で用いられるとき、用語「イソシアナト」は、−NCO基をいう。
【0069】
本明細書で用いられるとき、用語「チオシアナト」は、−CNS基をいう。
【0070】
本明細書で用いられるとき、用語「イソチオシアナト」は、−NCS基をいう。
【0071】
本明細書で用いられるとき、用語「スルフィニル」は、−S(=O)R’’をいい、R’’は本明細書で規定されるようである。
【0072】
本明細書で用いられるとき、用語「スルフォニル」は、−S(=O)R’’をいい、R’’は本明細書で規定されるようである。
【0073】
本明細書で用いられるとき、用語「スルホンアミド」は、−S(=O)NR1718をいい、R17およびR18は、本明細書で規定されるようである。
【0074】
本明細書で用いられるとき、用語「トリハロメタンスルフォンアミド」は、XCS(=O)NR17−基をいい、XおよびR17は、本明細書で規定されるようである。
【0075】
本明細書で用いられるとき、用語「O−カルバミル」は、−OC(=O)NR1718基をいい、R17およびR18は、本明細書で規定されるようである。
【0076】
本明細書で用いられるとき、用語「N−カルバミル」は、R18OC(=O)NR17基をいい、R17およびR18は、本明細書で規定されるようである。
【0077】
本明細書で用いられるとき、用語「O−チオカルバミル」は、−OC(=S)NR1718基をいい、R17およびR18は、本明細書で規定されるようである。
【0078】
本明細書で用いられるとき、用語「N−チオカルバミル」は、R17OC(=S)NR18−基をいい、R17およびR18は、本明細書で規定されるようである。
【0079】
本明細書で用いられるとき、用語「アミノ」は、−NR1718基をいい、R17およびR18は両方が水素である。
【0080】
本明細書で用いられるとき、用語「C−アミド」は、−C(=O)NR1718−基をいい、R17およびR18は本明細書で規定されるようである。用語「N−アミド」は、R17C(=O)NR18−基をいい、R17およびR18は本明細書で規定されるようである。
【0081】
本明細書で用いられるとき、用語「ニトロ」は、−NO基をいう。
【0082】
本明細書で用いられるとき、用語「四級アミン」は、−NR171819基をいい、ここで、R17、R18、およびR19は、水素および非置換低級アルキルからなる群から独立に選択される。
【0083】
本明細書で用いられるとき、用語「メチレンジオキシ」は、−OCHO−基をいい、ここで、酸素原子は、隣接する環炭素原子に結合される。
【0084】
本明細書で用いられるとき、用語「エチレンジオキシ」は、−OCHCHO−基をいい、ここで、酸素原子は、隣接する環炭素原子に結合される。
【0085】
本明細書で用いられるとき、用語「複素環」は、4〜12原子を含む単環または二環の環をいい、それらの少なくとも1つは、窒素、硫黄または酸素から選択され、ここで、−CH−基は必要に応じて−C(=O)−によって置換され得、そして環の硫黄原子は、必要に応じて酸化され、S−酸化物(単数または複数)を形成し得る。「単数の複素環」または「複数の複素環」の例は、制限されないで、モルホリノ、ピペリジル、ピペラジニル、ピロリジニル、チオモルホリノ、ホモピペラジニル、イミダゾリル、イミダゾリジニル、ピペラゾリジニル、ジオキサニルおよびジオキソラニルを含む。「複素環」は、複素環のπ電子系が完全に共役されるとき、ヘテロアリールを含み得る。
【0086】
本明細書で用いられるとき、「ヘテロアリール」は、環(単数または複数)中に、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される1つ以上の原子を有し、そしてさらに、完全に共役されたπ電子系を有する、単環または縮合環(すなわち、隣接する対の原子を共有する)をいう。ヘテロアリール基の制限されない例は、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、プリンおよびカルバゾールである。
【0087】
本明細書で用いられるとき、「アリール」は、完全に共役されたπ電子系を有する、すべて炭素の単環または縮合環多環(すなわち、隣接する対の炭素原子を共有する環)の基をいう。制限されずに、アリール基の例は、フェニル、ナフタレニルおよびアントラセニルである。
【0088】
本明細書で用いられるとき、用語「シクロアルキル」は、1つ以上の環が完全に共役されたπ電子系を有さない、すべて炭素の単環または縮合環(すなわち、隣接する対の炭素原子を共有する環)の基をいう。制限されずに、シクロアルキル基の例は、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、アダマンタン、シクロエキサジエン、シクロヘプタン、およびシクロヘプタトリエンである。
【0089】
(ウイルス感染を処置する方法)
本発明は、ウイルス感染を処置するための方法を提供し、ウイルスのキャリアである患者(ヒトまたはその他の動物)に、式I〜IVの化合物の治療的に有効な量を有する薬学的組成物または医薬を投与することによる。例えば、ウイルスのキャリアは、上記のような当該技術分野で公知の従来の診断技法によって同定され得る。この識別されたキャリアは、式I〜IVの化合物を、好ましくは薬学的に受容可能な担体を有する薬学的組成物中で投与され得る。
【0090】
別の局面では、本発明は、活性なウイルス感染を処置するための方法を提供し、ウイルス感染の特徴的な症状を示す患者(ヒトまたはその他の動物)に、式I〜IVの化合物の治療的に有効な量を有する薬学的組成物または医薬を投与することによる。あるいは、ウイルス感染の存在は、当該技術分野で任意の適切な方法によって直接検出または決定され得る。このように識別された感染ヒトは、式I〜IVの化合物を、好ましくは薬学的に受容可能な担体を有する薬学的組成物中で投与され得る。
【0091】
結果として、本発明の方法は、動物、特にヒトにおけるウイルス感染にともなう疾患または障害を処置または予防することで一般に有用であり得る。このようなウイルス感染は、制限されないで、ヒト免疫不全ウイルス1型および2型(HIV)、ヒトT細胞リンパ球向性ウイルス1型および2型(HTLV−IおよびHTLV−II)、SIV、EIAV(ウマ感染性無月経ウイルス)、BIV、FIF、CAEV、VMV、およびMMLV(Moloneyマウス白血病ウイルス)のようなレンチウイルスを含むウイルスによって引き起こされ得る。このようなウイルス感染はまた、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、G型肝炎ウイルス、ヒト泡沫ウイルス、またはヒトヘルペスウイルス(例えば、1型単純ヘルペスウイルス、2型単純ヘルペスウイルス、3型単純ヘルペスウイルス(水痘−帯状ヘルペスウイルスとしてもまた知られる)、4型単純ヘルペスウイルス(エプスタイン−バーウイルスまたはEBVとしてもまた知られる)、5型単純ヘルペスウイルス、7型単純ヘルペスウイルス)によつても引き起こされ得る。このようなウイルス感染は、インフルエンザウイルス(A、BまたはC型)、ヒトパラインフルエンザウイルス、呼吸合胞体ウイルス、スモールポックスウイルス(天然痘ウイルス)、サルポックスウイルス、ワクチニアウイルス、ヒトパピローマウイルス、ヒトパレコウイルス2、流行性耳下腺炎ウイルス、嚢虫ウイルス(Measles virus)、麻疹ウイルス、Semliki森林ウイルス、西ナイルウイルス、コロラドマダニ熱ウイルス、口蹄疫ウイルス、エボラウイルス、マールブルクウイルス、ポリオーマウイルス、TTウイルス、ラッサウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、小胞口内炎ウイルス、ロタウイルス、水痘‐帯状疱疹ウイルス、パルボウイルス、サイトメガロウイルス、脳炎ウイルス、アデノウイルス、ECHOウイルス、ライノウイルス、フィロウイルス、コキサキーウイルス、(SARS関連コロナウイルスのような)コロナウイルス、デングウイルス、黄熱病ウイルス、ハンタウイルス、局所出血熱ウイルス、軟属腫ウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルスなどによって引き起こされ得る。いくつかの実施形態では、上記方法はまた、エンベロープ化されたウイルスによる感染を処置または防ぐことで用いられる。特定の実施形態では、以下に説明されるように、ヒトに感染し、そして疾患を引き起こすことが知られる特定のウイルスが、本発明の方法によって処置される。
【0092】
HIV:
本明細書で用いられるとき、用語「HIV」感染は、一般に、制限されないで、HIV I(HTLV−IIIとしてもまた知られる)、HIV II(LAV−1としてもまた知られる)、HIV III(LAV−2としてもまた知られる)などを含むレトロウイルスのヒト免疫不全ウイルス(HIV)ファミリーによって、宿主動物、特にヒト宿主の感染を包含する。「HIV」は、このHIVファミリーの任意の株、形態、サブタイプ、クレード(clade)および変種をいうために本明細書中で用いられ得る。それ故、HIV感染を処置することは、レトロウイルスの任意のHIVファミリーのキャリアであるヒトの処置、または活性AIDSと診断されるヒト、ならびにこのようなヒトにおけるAIDS関連症状の処置または予防を包含する。HIVのキャリアは、当該分野で公知の任意の方法によって識別され得る。例えば、ヒトは、このヒトが抗HIV抗体陽性であるか、またはHIV陽性であるか、またはAIDSの症状を有することを基礎にHIVキャリアとして識別され得る。すなわち、「HIV感染を処置すること」は、HIV感染進行のいくつかのステージのいずれか1つにある患者を処置することとして理解されるべきであり、このHIV感染進行のいくつかのステージは、例えば、急性一次感染症候群(これは、無症状であり得るか、または熱、倦怠感、下痢および頭痛のような神経学的症状をともなうインフルエンザ様の病気をともない得る)、無症状感染(これは、循環性CD4 T細胞の数における段階的減少をともなう長い潜伏期間である)、およびAIDS(これは、より重篤なAIDSを規定する病気および/または有効免疫機能に適合しているレベル未満への循環性CD4 T細胞カウントにおける減少によって規定される)を含む。
【0093】
本明細書で用いられるとき、用語「HIV感染の発症を遅延する」は、(1)HIVによる感染のリスクにあるか、または(2)HIVによる感染またはHIVへの曝露の疑われるか、または(3)過去にHIVに曝されたと疑われる個体を、少なくとも3ヶ月だけ急性の一次感染の発症を遅延するために処置することを意味する。当該技術分野で公知であるように、急性の一次感染症候群に代表的にともなう臨床知見は、熱、倦怠感、吐き気/嘔吐/下痢、咽頭炎、リンパ節症、筋痛症、および頭痛、脳炎のような神経学的症状などをともなうインフルエンザ様の病気を含み得る。リスクにあるヒトは、以下の行為のいずれかを実施する人々である:HIV汚染血液との接触、輸血、体液の交換、感染した人々との「安全でない」セックス、偶発的なニードル穿刺、汚染ニードルまたはシリンジでの薬物の注入、汚染された器具で刺青または鍼療法を受けること、または妊娠、出産の間またはそのすぐ後の母から赤ん坊へのウイルスの伝播。用語「HIV感染の発症を遅延する」はまた、HIVを有すると診断されてはいないが、HIVによる感染のリスクにあると考えられるか、または汚染された血液などによりHIVに曝されたヒトを処置することを包含し得る。
【0094】
さらに、用語「AIDS感染の発症を遅延する」は、(1)HIVによる感染のリスクにあるか、またはHIVに感染していると疑われるか、または(2)HIVを有するがAIDSを有さないヒトを処置することにより、ヒトをAIDSの発症(これは、より重篤なAIDSを規定する病気および/または有効免疫機能に適合しているレベル未満、すなわち、約200/μl未満への循環性CD4細胞カウントにおける減少によって特徴付けられる)および/またはAIDS関連症状を、少なくとも6月まで遅延することを意味する。HIV感染のリスクにあるヒトは、例えば、HIV汚染血液との接触、血液輸血、移植、体液の交換、感染した人々との「安全でない」セックス、偶然のニードル穿刺、汚染された器具で刺青または鍼療法を受けること、または妊娠、出産の間またはそのすぐ後の母から赤ん坊へのウイルスの伝播により、HIVへの過去の曝露が疑われるか、または現在または将来の曝露のリスクにあると考えられるようなヒトである。
【0095】
用語「AIDSを処置すること」は、より重篤なAIDSを規定する病気および/または有効免疫機能に適合しているレベル未満(代表的は、約200/μl未満)への循環性CD4細胞カウントにおける減少を示す患者を処置することを意味する。この用語「AIDSを処置すること」はまた、AIDS関連症状を処置することを包含し、これは、AIDS関連合併症(ARC)、進行性一般リンパ節症(PGL)、抗HIV抗体陽性症状、およびはHIV陽性症状、AIDS関連神経学的症状(認知症または熱帯性不全対麻痺など)、カポジ肉腫、血小板減少症紫斑症、および、ニューモシスティスカリニ肺炎、Mycobacterial tuberclulosis、食道カンジダ症、脳のトキソプラズマ症、CMV網膜炎、HIV関連脳障害、HIV関連るいそう症候群のような関連する日和見性感染などのようなAIDSまたはHIV感染に付随するか、またはともなう障害および疾患を意味する。
【0096】
HBV:
本明細書で用いられるとき、用語「HBV」感染は、一般に、急性B型感染および慢性B型感染を含むB型肝炎ウイルスの任意の株または血清型によるヒトの感染を包含する。それ故、HBV感染を処置することは、ヒトにおけるHBV負荷を低減するか、あるいはHBV感染および/またはB型肝炎にともなう、例えば、吐き気および嘔吐、食欲の損失、疲労、筋肉および関節痛、高まったトランスアミナーゼ血液レベル、増加したプロトロンビン時間、黄疸(眼および身体の黄色変色)および黒色尿を含む、1つ以上の症状を軽減するために、B型肝炎ウイルスの任意の株または血清型のキャリアであるヒト、または活性B型肝炎と診断されるヒトを処置することを意味する。HBVのキャリアは、当該技術分野で公知の任意の方法によって識別され得る。例えば、ヒトは、このヒトが抗HBV抗体陽性であるか(例えば、B型肝炎コア抗体またはB型肝炎表面抗体に基づく)、またはHBV陽性であるか(例えば、B型肝炎表面抗原(HBeAgもしくはHbsAg)またはHBV RNAまたはDNAに基づく)、またはB型肝炎感染もしくはB型肝炎の症状を有することを基礎にHBVキャリアとして識別され得る。これ故、「HBV感染を処置すること」は、HBV感染進行のいくつかのステージのいずれか1つにある患者を処置することとして理解されるべきである。さらに、この用語「HBV感染を処置すること」はまた、例えば、HBV汚染血液との接触、血液輸血、体液の交換、感染した人々との「安全でない」セックス、偶然のニードル穿刺、汚染された器具で刺青または鍼療法を受けること、または妊娠、出産の間またはそのすぐ後の母から赤ん坊へのウイルスの伝播により、HBVへの疑われた曝露後のHBV感染が疑われるヒトを処置することを包含する。この用語「HBV感染を処置すること」はまた、HBVには感染していないが、HBVによる感染のリスクにあると考えられるヒトを処置することを包含する。
【0097】
なお別の実施形態では、HBVおよびHIVで同時感染された患者においてHBV感染を処置する方法が提供され、このような患者に式I〜IVに従う化合物の治療的に有効な量を投与することによる。詳細には、HIV感染は、持続するB型肝炎の発症で約3倍の増加をともなう。式I〜IVに従う化合物は、HIVおよびHBVで同時感染された患者に特に適切である。現在市販されている薬物インターフェロンαは、HBVおよびHIV同時感染を処置することで有効ではない。ラミブジン(lamivudine)およびいくつかのその他の逆転写酵素阻害剤は、このような同時感染を処置することで有効であるが、ラミブジンは特に毒性であり、そしてB型肝炎を悪化させる肝臓損傷を引き起こし得る。さらに、このような逆転写酵素阻害剤は、しばしば、カクテルで用いられなければならない。対照的に、本発明による化合物は、顕著に毒性が少なく、そして進化したウイルス耐性を生じる可能性がより少ない。それ故、本発明によれば、式I〜IVによる化合物は、治療的に有効な量で、哺乳動物、特に、HBVおよびHIVの両方で同時感染されたヒトに、単独で投与され得るか、または別の抗HIVもしくは抗HBV薬物と組み合わせて投与される。この方法は、当該技術分野で一般的に知られる技法により、HBVおよびHIVで同時感染された患者を識別する工程を含み得る。例えば、PCR試験が、試験被験体から得た血液サンプル中のHBV DNAもしくはRNAおよびHIV RNAを検出するために用いられ得る。あるいは、ウイルス特異的抗体または抗原がまた、HBVおよびHIV感染の検出のために採用され得る。
【0098】
本明細書で用いられるとき、用語「B型肝炎を防ぐ」は、HBV感染を有するか、HBV感染を有すると疑われるか、またはHBV感染にかかるリスクにある患者において、B型肝炎(これは、より重篤な肝炎を規定する症状によって特徴付けられる)を発症すること、肝硬変、または肝細胞癌腫を発症することを防ぐことを意味する。
【0099】
HCV:
本明細書で用いられるとき、用語「HCV」感染は、一般に、急性C型感染および慢性C型感染を含むC型肝炎ウイルスの任意のタイプまたはサブタイプによるヒトの感染を包含する。それ故、HCV感染を処置することは、C型肝炎ウイルスの任意のタイプまたはサブタイプのキャリアであるヒト、または活性C型肝炎と診断されるヒトの処置を意味し、そのヒトにおけるHCVのウイルス負荷を低減することか、またはHCV感染および/またはC型肝炎にともなう1つ以上の症状を軽減する。HCVのキャリアは、当該技術分野で公知の任意の方法によって識別され得る。例えば、ヒトは、このヒトが抗HCV抗体陽性であるか、またはHCV陽性であるか(例えば、HCV RNAまたはDNAに基づく)、またはC型肝炎感染もしくはC型肝炎の症状(例えば、上昇した血清トランスアミナーゼ)を有することを基礎にHCVキャリアとして識別され得る。これ故、「HCV感染を処置すること」は、HCV感染進行のいくつかのステージのいずれか1つにある患者を処置することとして理解されるべきである。さらに、この用語「HCV感染を処置すること」はまた、例えば、HCV汚染血液との接触、血液輸血、体液の交換、感染した人々との「安全でない」セックス、偶然のニードル穿刺、汚染された器具で刺青または鍼療法を受けること、または妊娠、出産の間またはそのすぐ後の母から赤ん坊へのウイルスの伝播により、HCVへの過去の疑われた曝露後のHCV感染が疑われるヒトを処置することを包含する。この用語「HCV感染を処置すること」はまた、HCVには感染していないが、HCVによる感染のリスクにあると考えられるヒトを処置することを包含する。本明細書で用いられるとき、「HCVを防ぐこと」の用語は、HCV感染を有するか、またはHCV感染を有すると疑われるか、またはHCV感染のリスクにある患者において、C型肝炎(より重篤な肝炎を規定する症状によって特徴付けられる)、肝硬変、または肝細胞癌腫を発症することを防ぐことを意味する。
【0100】
重要なことは、合衆国におけるすべてのHIV感染者の約1/4、または推定200,000の人々が、HCVおよびHIVの両方に感染していることである(HIV、STDおよびTB予防レポートについてNational Center、http://www.cdc.gov/hiv/pubs/facts/HIV−HCV_Coinfection.htmおよびThomas、D.L.Hepatology 36:S201−S209(2002)を参照のこと)。HIV感染者の生存は、高度に活性な抗レトロウイルス治療の使用によって延長されるので、肝臓疾患は、重要であるとして表れ、そしていくつかの状況では、罹患率および死亡率の主要な原因である。HIV感染は、HCV感染のすべてのステージに悪く影響するように見える。特に、HIV感染は、HCVのより高い力価、HCV関連肝臓疾患へのより急速な進行、および肝臓のHCV関連肝硬変(瘢痕)とともに、持続するC型肝炎の発症の有意な増加をともなう。次いで、HCVは、HIV感染の管理に影響し得、抗レトロウイルス薬物によって引き起こされる肝臓毒性の発生を増加する(Thomas、D.L.Hepatology 36:S201〜S209、(2002)およびHIV、STDおよびTBレポートについてNational Center、http://www.cdc.gov/hiv/pubs/facts/HIV−HCV_Coinfection.htm)。
【0101】
合衆国では、以下の2つの異なる処置養生法が、慢性C型肝炎に対する治療として認可されている:αインターフェロンでの単独治療およびαインターフェロンおよびリバビリンとの組み合わせ治療。慢性C型肝炎をもつHIV陰性者の中で、組み合わせ治療は、単独治療(10%〜20%)より高い率(30%〜40%)の持続する応答を一貫して生じる。組み合わせ治療はウイルス遺伝子型2および3に対してより有効であり、そしてより短い処置の経過を必要とするに過ぎないが;合衆国患者の中ではウイルス遺伝子型1が最も一般的である。組み合わせ治療は、単独治療より多い副作用をともなうが、大部分の状況では、それは好ましい。現在のところ、インターフェロン単独治療は、リバビリンの使用に禁忌を有する患者に指定される(http://www.cdc.gov/hiv/pubs/facts/HIV−HCV_Coinfection.htmを参照のこと)。
【0102】
これ故、なお別の局面では、HCVおよびHIVで同時感染された患者におけるHCV感染を処置する方法が提供され、このような患者に式I〜IVによる化合物の治療的に有効な量を投与することによる。式I〜IVによる化合物は、HCVおよびHIVで同時感染された患者に特に適切である。特に、これら化合物は、HCV感染を阻害すること、および/または宿主細胞から出て来ることで特に有効である。さらに、これら化合物はまた、宿主細胞中へのHIV進入を阻害すること、および/または宿主細胞から出て来ることで有効であり得る。上記に記載された組み合わせ治療とは対照的に、本発明による化合物は、毒性が有意により少なく、そして進化したウイルス耐性を生じる可能性がより少ない。それ故、本発明によれば、式I〜IVによる化合物は、治療的に有効な量で、哺乳動物、特に、HCVおよびHIVの両方で同時感染されたヒトに、単独で投与され得るか、または別の抗HIVもしくは抗HCV薬物と組み合わせて投与される。この方法は、当該技術分野で一般的に知られる技法により、HCVおよびHIVで同時感染された患者を識別する工程を含み得る。例えば、PCR試験が、試験被験体から得た血液サンプル中のHCV DNAもしくはRNAおよびHIV RNAを検出するために用いられ得る。あるいは、ウイルス特異的抗体または抗原がまた、HCVおよびHIV感染の検出のために採用され得る。
【0103】
ヘルペスウイルス:
ヘルペスウイルスは、最も一般的なヒト病原体の一つである。ヘルペスウイルスファミリーのメンバーは、1型単純ヘルペスウイルス(HSV−1)、2型単純ヘルペスウイルス(HSV−2)、水痘(Varicella−zoster)ウイルス(3型単純ヘルペスウイルスまたはHSV−3;チキンポックスとしてもまた知られる)、およびエプスタイン−バーウイルス(4型単純ヘルペスウイルスまたはHSV−4)を含む。HSV−1は、共通して口唇ヘルペス(labialis)(口ヘルペス、コールドソア、熱水泡ともまた呼ばれる)を引きおこし、これは、治癒する前にかたぶたになる高度に感染性の開いたただれである。HSV−1はまた、眼および脳感染を引き起こし得る。HSV−2は、共通して生殖器ヘルペスを引き起こす。HSV−1もまた、生殖器ヘルペスを引き起こし得るが、HSV−2よりはるかに少ない頻度である。初期感染サイクルの後、HSV−1およびHSV−2は、一般に、感染の部位の近傍で知覚神経で寿命の長い潜伏感染を確立する。これらの潜伏感染は、一部の事象がこのウイルスを再活性化するまで、感染または疾患の任意の兆候も症状も示すことなく存在する。再活性化は、一般に、初期感染の部位に近接するか、またはそれと同じ位置に再発病変を引き起こす。再活性化は、感情ストレスの期間、または低下した免疫系機能の期間の間で生じるようである。
【0104】
口および生殖器ヘルペスに加えて、HSV−1およびHSV−2はその他の疾患を引き起こし得る。このような疾患の例は、単純ヘルペス脳炎−稀ではあるが、脳の可能な致命的ヘルペス感染;新生児ヘルペス−稀ではあるが、新生児における潜在的に重篤なHSV感染(出産の間に母から赤ん坊へのウイルスの伝播から生じる);疱疹性ひょう疽−指のHSV感染(身体の別の部分からの感染の移行、またはHSV感染を有する別の部分との直接接触からいずれかで獲得される);およびヘルペス角膜炎−眼のHSV感染(盲目の最も一般的な原因の一つ)を含む。それ故、ヒトの単純ヘルペスウイルス感染は重要な健康問題である。
【0105】
生殖器ヘルペスは、抑制的および一時的(episodic)な治療で主に処置される。抑制治療は、それらが生じる前に発症を処置するために用いられ、その一方、一時的治療は、それらが生じたとき発症を処置する。バラシクロビルHCl、アシクロビル、およびファムシクロビルでの処置は、抑制的および一時的治療の両方で用いられ得る
【0106】
現在、HSV−1感染のための既知の療法はない。利用可能な抗ウイルス治療は完全には有効ではなく、そしてこのウイルスが処置に耐性になる機会がある。それ故、HSV−1を処置するための改良された方法および組成物に対するはっきりとした必要性がある。
【0107】
本明細書では以後「EBV」と称されるエプスタイン−バーウイルス(単純ヘルペスウイルス−4)は、全世界で生じている。実際、大部分の人々は、それらの生存の間にEBVに感染されるようになる。合衆国における成人の高い割合が感染している。幼児は、出生時に存在する母性抗体保護が消失するやいなや、EBVに感受性になる。多くの子供は、EBVで感染されるようになり、そしてこれらの感染は、通常、症状を引き起こさない。子供におけるEBV感染の症状は、その他の代表的な小児期の病気の症状とは区別不能であり得る。子供で感染していない固体は、成人期または青年期の間に感染されるリスクを有し、これは、しばしば、感染性単核球症(単一)を引き起こす。感染性単核球症の症状は、熱、ただれた喉、および腫れたリンパ腺を含み、より少ないが、しばしば、腫れた脾臓または肝臓を含むことを発症し得る。希に、心臓の問題または中枢神経系の関与が生じる。感染性単核球症は、大部分は決して致死的ではない。感染性単核球症の症状は、通常、1または2ヶ月で解消するが、EBVは、感染したヒトの生涯の残りの間、喉および血液中の少数の細胞中で休止または潜伏して残る。周期的にこのウイルスは再活性化され、そして感染したヒトの唾液中に一般に見出される。再活性化は、通常、病気の症状なくして生じる。
【0108】
EBVは、バーキットリンパ腫、鼻咽頭癌腫、およびホジキン病を含む多くのその他の疾患にともなうと考えられる。EBVによって引き起こされる疾患は、低下した免疫の人々の間で特に共通している。EBVは、移植後リンパ増殖疾患と称される臓器移植患者でしばしば見出される腫瘍にともなう。このような患者の免疫系は、通常、身体が新たな器官を拒絶することを防ぐことを支援するための薬物治療によって人工的に抑制されている。HIVで感染され、そしてAIDSを有する個体はまた、低下した免疫を有し、そして共通して、舌の縁に沿った細胞中のEBVのかなりの複製を含む症状である口毛髪状白斑を患う。バッキットリンパ腫が流行する国々におけるマラリアの高い罹患率がまた、身体の免疫系を抑制することによってこの疾患において役割を果たし得ることが示唆されている。
【0109】
科学者達は、なぜこのウイルスが、特定の人々で腺熱のような比較的穏和な疾患を引き起こし、そしてその他の人々で悪性腫瘍を引き起こすのか説明することは困難であることを見出している。遺伝的因子が役割を演じ得る。それにもかかわらず、EBVと戦闘するために処置が必要である。
【0110】
本明細書で用いられるとき、用語「単純ヘルペスウイルス」またはHSVは、制限されないで、HSV−1、HSV−2、HSV−3(水痘(Varicella−zoster)ウイルスまたはチキンポックス)、およびHSV−4(またはEBV)を含む単純ヘルペスウイルスの任意の株をいう。それ故、「HSV感染を処置する」は、ヘルペスウイルスのいずれかのHSVファミリーで活性に感染されるか、その潜伏感染のキャリアであるヒトの処置を包含する。
【0111】
本明細書で用いられるとき、用語「HSV感染」は、一般に、単純ヘルペスウイルスの任意の株によるヒトの感染を包含し、そして活性感染および潜伏感染の両方を含む。それ故、「HSV感染を処置すること」は、HSVの任意の株のキャリアであるヒトの処置を意味する。例えば、ヒトは、このヒトが抗HSV抗体陽性であるか、またはHSV感染の症状を有することを基礎にHSVキャリアとして識別され得る。これ故、「HSV感染を処置すること」は、HSV感染進行のいくつかのステージのいずれか1つにある患者を処置することとして理解されるべきである。さらに、この用語「HSV感染を処置すること」はまた、例えば、HSV汚染血液との接触、血液輸血、体液の交換、感染した人々との「安全でない」セックス、偶然のニードル穿刺、汚染された器具で刺青または鍼療法を受けること、または妊娠、出産の間またはそのすぐ後の母から赤ん坊へのウイルスの伝播により、HSVへの疑われた曝露後のHSV感染が疑われるヒトを処置することを包含する。この用語「HSV感染を処置すること」はまた、HSVには感染していないが、HSVによる感染のリスクにあると考えられるヒトを処置することを包含する。
【0112】
なお別の局面では、HSVおよびHIVで同時感染された患者におけるHSV感染を処置する方法が提供され、このような患者に式I〜IVによる化合物の治療的に有効な量を投与することによる。特に、HIV感染は、活性HSV感染における増加と関連し、おそらく、HIV感染によって生成された免疫無防備状態に起因する。式I〜IVによる化合物は、HIVおよびHSVで同時感染された患者に特に適切である。現在市販されている薬物インターフェロンαは、HBVおよびHIV同時感染を処置することで有効ではない。ラミブジンおよびいくつかのその他の逆転写酵素阻害剤は、このような同時感染を処置することで有効であるが、ラミブジンは特に毒性であり、そしてB型肝炎を悪化させる肝臓損傷を引き起こし得る。さらに、このような逆転写酵素阻害剤は、しばしば、カクテルで用いられなければならない。対照的に、本発明による化合物は、顕著に毒性が少なく、そして進化したウイルス耐性を生じる可能性がより少ない。それ故、本発明によれば、式I〜IVによる化合物は、治療的に有効な量で、哺乳動物、特に、HSVおよびHIVの両方で同時感染されたヒトに、単独で投与されるか、または別の抗HIV薬物もしくは抗HSV薬物と組み合わせて投与される。この方法は、当該技術分野で一般的に知られる技法により、HSVおよびHIVで同時感染された患者を識別する工程を含み得る。例えば、PCR試験が、試験被験体から得た血液サンプル中のHSV DNAもしくはRNAおよびHIV RNAを検出するために用いられ得る。あるいは、ウイルス特異的抗体または抗原がまた、HSVおよびHIV感染の検出のために採用され得る。
【0113】
本明細書で用いられるとき、用語「HSV関連症状の発症を遅延する」は、HSV感染を有するか、HSV感染を有すると疑われるか、またはHSV感染にかかるリスクにある患者において、口ヘルペス、生殖器ヘルペス、チキンポックスもしくは帯状ヘルペス、または慢性EBV感染を発症することを防ぐことを意味する。
【0114】
インフルエンザ:
インフルエンザ感染は、合衆国単独で年あたり平均36,000人の死亡、および114,000人の入院をともなう。3つの認められたタイプA、B、およびCのインフルエンザウイルスが存在するけれども、A型およびB型は、毎年の冬の流感流行の原因である。インフルエンザAは、ヒトの他に多くの異なる動物種(アヒル、ニワトリ、ブタ、クジラ、ウマ、およびアシカを含む)に感染する。インフルエンザBウイルスは、一般に、ヒトに感染するのみである。
【0115】
インフルエンザウイルスの3つのタイプのすべては、8つの異なるRNAらせんを含むゲノムを有し、これらは、単一遺伝子をコードし、そしてウイルス型:A、B、またはCを決定する核タンパク質によって結合されている。事実上、このインフルエンザゲノムは、細胞が2つ以上のウイルス型によって同時感染されるようになるとき、ウイルス遺伝子の新たな組み合わせを含むウイルスを形成するように一緒になり得る核酸の8つの別個の片から構成される。これらRNAらせんの2つは、重要なウイルス表面タンパク質である、成熟ウイルス粒子の脂質二重層中に埋包される血球凝集素およびノイラミダーゼをコードする。
【0116】
ウイルス血球凝集素およびノイラミダーゼにおける変種は、ウイルスサブタイプを決定する。血球凝集素は、ウイルスの宿主細胞中への侵入の原因となり、その一方、ノイラミダーゼは、新たに形成されたウイルスの感染された細胞からの放出に重要である。血球凝集素に対する抗体は、このウイルスを中和し得、そして免疫のための主要な決定因子である。ノイラミダーゼに対する抗体は、このウイルスを中和しないが、ウイルス複製および感染の経過を制限し得る。血球凝集素およびノイラミダーゼの特定タイプに対する宿主抗体は、同じウイルス株による将来の感染を防ぎ、そしてほぼ改善する。しかし、ウイルス株の遺伝子構成は動的であり、そして常に変化するので、1年の感染の間に得た1つの株に対する首尾よい耐性を通じて得た免疫は、次の年の新たな組み換えられた変種株に対応するには有用でないかも知れない。
【0117】
インフルエンザの流行は、ウイルス株が、抗原連続変異のプロセスにより経時的に変化するとき生じると考えられる。(主要なウイルス抗原遺伝子、特に、血球凝集素遺伝子またはノイラミダーゼ遺伝子における変異によって引き起こされる)抗原連続変異は、表面抗原における小変化を生じ、そして本質的に連続して経時的に起こる。これらの変化が上記遺伝子中の適切な場所で生じるとき、それらは、この新たな抗原を、先の感染の間にその他のインフルエンザウイルス株に対して惹起された抗体によって認識不能にする。
【0118】
インフルエンザの汎流行(または世界的流行)は、「抗原性シフト」の結果として起こる。抗原性シフトは、インフルエンザAウイルスにおける突然の主要な変化であり、これは、インフルエンザA株で出現する新たな血球凝集素および/または新たな血球凝集素およびノイラミダーゼタンパク質から生じる。このようなシフトは、一般に、おそらくは、非ヒト種で、新たなウイルスゲノムRNAの組み合わせが生成されるとき生じると考えられ、この新たな組み合わせは、ヒトに伝播する。このような抗原性シフトが起こるとき、大部分のヒトは、このウイルスに対してほとんど保護をもたないか、または保護をもたず、そして感染は致死的であることが示され得る。
【0119】
インフルエンザ汎流行は、ヒトの歴史の間に生命の大量の損失を生じた。1918〜1919年のインフルエンザ汎流行は、約2〜4千万人の人々の死を引き起こした。上記で提示された抗原性シフト仮説を支持して、分子分析は、最近、1918〜19年の汎流行の原因のインフルエンザウイルスは、今日ヒトにおいてなお流感を引き起こすインフルエンザウイルスと同じファミリーに属するブタインフルエンザウイルスに関連していることを証明した。
【0120】
インフルエンザ感染に対して利用可能である2つのカテゴリーの処置/予防戦略は:「流感ショット(flu shot)」でのワクチン接種、および抗ウイルス薬物の投与である。この流感ショットは、殺傷または不活性化インフルエンザウイルスでのワクチン接種を含む。インフルエンザ感染を処置するために利用可能な抗ウイルス薬物は、アマンタジン、リマンタジン、ザナミビル、およびオステルタミビルを含む。アマンタジンおよびリマンタジンはインフルエンザA感染を処置および予防するために用いられ、ザナミビルはインフルエンザAおよびB感染を処置するために用いられ、そしてオステルタミビルはインフルエンザAおよびB感染を処置および予防するために用いられる。
【0121】
多くの利用可能な薬物およびワクチン接種にかかわらず、インフルエンザ感染の処置および予防の両方のために改良された方法および組成物に対する必要性がある。
【0122】
本明細書で用いられるとき、用語「インフルエンザ」および「インフルエンザウイルス」は、タイプA、BおよびC、ならびにそれらのすべてのサブタイプを含む任意のインフルエンザのタイプまたはサブタイプをいう。結果として、この用語「インフルエンザ感染」は、インフルエンザの任意のタイプによる感染を包含し、そして用語「インフルエンザ感染を処置する」は、インフルエンザの任意の株によって感染された動物、特にヒトの処置を意味することが理解される。さらに、用語「インフルエンザ感染を処置する」はまた、インフルエンザへの疑われた曝露後のインフルエンザ感染が疑われるヒトを処置することを包含する。用語「インフルエンザ感染を処置する」はまた、インフルエンザ感染が見かけ上ないが、インフルエンザによる感染のリスクにあると考えられるヒトを処置することを包含する。
【0123】
ポックスウイルス:
本明細書で用いられるとき、用語「スモールポックス」または「痘瘡ウイルス」は、大痘瘡および小痘瘡(アラストリムともまた呼ばれる)を含むスモールポックスウイルスの任意の株をいう。このようなヒト痘瘡ウイルス単離株の例は周知であり、そして完全ゲノムヌクレオチド配列の1つの株が決定されている(例えば、Harrisonの第15版 Principles of Internal Medicine、Braunwaldら、EDS.McGraw−Hill、合衆国、およびGenbank受託番号第NC_001611号を参照のこと)。当業者は、スモールポックスで感染されたか、または感染していると疑われるヒトを診断し得る。用語「スモールポックスを処置すること」または「痘瘡ウイルスを処置すること」は、この疾患の症状を処置すること、およびウイルス負荷、ウイルスの感染性および/または複製を減少することの両方をいう。本明細書で用いられるとき、「スモールポックス感染に関連する症状の発症を遅延すること」の用語は、スモールポックス感染に関連する1つ以上の症状の発症を少なくとも3ヶ月遅延するために、スモールポックスに感染していないか、またはスモールポックスによる感染のリスクにあると考えられるか、またはスモールポックスで感染される患者を処置することを意味する。この用語「スモールポックスを処置すること」はまた、スモールポックス感染を有するか、スモールポックス感染を有すると疑われるか、またはスモールポックスを発症するリスクにあるいずれかのヒトを、スモールポックスウイルス感染(これは、黄斑発疹、熱、小水疱病変および膿疱病変)から処置することを包含する。
【0124】
サルポックスの発症は、2003年6月に合衆国で最初に生じた。原因となる因子は、サルポックスウイルスであり、これは、スモールポックスウイルス(痘瘡ウイルス)、スモールポックスワクチン(ワクシニア)で用いられるウイルス、およびウシポックスウイルスを含むウイルスの群に属する。ヒトでは、サルポックスの兆候および症状は、スモールポックスのそれのようであり、サルポックスはスモールポックスとは異なりリンパ節の腫れを引き起こすが、通常、かなり温和である。サルポックスの大部分の事例が起こることが知られるアフリカでは、感染は、1%と10%との間の感染ヒトの死を生じる。本明細書で用いられるとき、用語「サルポックスを処置すること」または「サルポックスウイルスを処置すること」は、この疾患の症状を処置すること、およびこのウイルス負荷、このウイルスの感染性および/または複製を低減することの両方をいう。本明細書で用いられるとき、用語「サルポックス感染を予防すること」は、サルポックスには感染していないが、サルポックスによる感染のリスクにあると考えられる患者における感染を予防することを意味する。本明細書で用いられるとき、用語「サルポックス感染と関連する症状の発症を遅延すること」は、サルポックス感染に関連する1つ以上の症状の発症を少なくとも3ヶ月遅延するために、サルポックスに感染していないか、またはサルポックスの感染のリスクにあると考えられるか、またはサルポックスで感染している患者を処置することを意味する。
【0125】
コロナウイルス:
本明細書で用いられるとき、用語「SARS−CoV」、「SARS」または「SARS関連コロナウイルス」は、重篤な急性呼吸症候群と関連するコロナウイルスの任意の株をいう。このようなヒトコロナウイルス単離株の例は、HCoV−OC43およびHCoV−229Eとして知られる(例えば、Marraら、Science 300:1399(2003)およびRotaら、Scienece 300:1394(2003)(Genbank受諾番号第AY278741号)を参照のこと)。当業者は、SARS関連コロナウイルスで感染されているか、感染されていると疑われるヒトを診断し得る。用語「SARSを処置すること」または「SARS関連コロナウイルスを処置すること」は、この疾患の症状を処置すること、およびSARS関連コロナウイルスの感染性および/または複製を減少することの両方をいう。この用語「SARSを処置すること」はまた、SARS−CoVには感染していないが、SARS−CoVによる感染のリスクにあると考えられるヒトを処置することを包含する。本明細書で用いられるとき、用語「SARSを予防すること」は、SARS−CoV感染を有するか、またはSARS−CoV感染を有すると疑われるか、またはSARS−CoV感染のリスクにある患者において、SARS(これは、重篤な呼吸の病気、熱、乾燥した痰のない咳(dry nonproductive cough)、短息(shortness of breath)、および非定型の肺炎のような、より重篤なSARS−CoVを規定する症状によって特徴付けられる)を発症することを防ぐことを意味する。
【0126】
西ナイルウイルス:
西ナイル(WN)ウイルスは、ヨーロッパおよび北アメリカのテンプレート領域で最近出現し、公衆、ウマ、および動物の健康に脅威を提示している。WNウイルス感染の最も重篤な症状は、ヒトおよびウマにおける致死的な脳炎(脳の炎症)、および特定の家禽および野生鳥における致死性である。WNウイルス感染は、北アメリカでは大きくなる問題である。2002年の間、合衆国単独で、ヒトのWNウイルス感染の4,156件の記録された事例があり、そして284件の死があった。本明細書で用いられるとき、用語「西ナイルウイルスを処置すること」、「西ナイル疾患を処置すること」は、WNウイルス感染の既知の事例と疑われる事例との両方におけるこの疾患の症状を処置することをいう。
【0127】
1つの実施形態では、処置の方法は、一般に、前述のウイルスのいずれかによる急性または慢性にかかわらず、活性ウイルス感染を経験するヒトを処置するために用いられる。別の実施形態では、これらの方法は、一般に、活性なウイルス発症を経験していない前述のウイルスのいずれかのキャリアを処置するために用いられる。なお別の実施形態では、これらの方法は、一般に、前述のウイルスのいずれかに曝されたことが既知であるか、またはそのように疑われるヒトを処置するために用いられる。なお別の実施形態では、これらの方法は、一般に、前述のウイルスのいずれかに、曝されている可能性があるか、または曝されるリスクにあるヒトを予防的に処置するために用いられ、そしてそれによって、感染を防ぐか、またはその症状を低減する。
【0128】
1つの特定の実施形態では、これらの方法は、発症したAIDS(これはより重篤なAIDSを規定する病気および/または有効な免疫機能と適合しているレベル未満、すなわち約200/μl未満まで、循環性CD4細胞カウントにおける低下によって特徴付けられる)を有すると診断されなかったHIVキャリアを処置するために用いられる。例えば、これらの方法は、急性HIV症候群(または急性一次HIV感染症候群)および無症状感染(これは、循環性CD4 T細胞の数における段階的な減少をともなう長い潜伏期間である)を含む、AIDSの診断の前のHIV感染の任意のステージにある患者を処置することで用いられ得る。
【0129】
1つの局面では、本発明は、1つ以上の確立された抗ウイルス薬物で処置されたか、または処置されている患者のウイルス感染(任意のステージにあり、そして前述のウイルスのいずれか、そして特にHIVによって引き起こされる)を処置するための方法を提供する。このようなその他の抗ウイルス化合物の例は、制限されないで、プロテアーゼ阻害剤、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、インテグラーゼ阻害剤、融合阻害剤、およびそれらの組み合わせを含む。式I〜IVの化合物は、その他の抗ウイルス薬物に良好に反応しない(例えば、非応答性またはウイルス耐性を生じる)患者、または1つ以上のその他の抗ウイルス薬物または養生法での処置後の再発を経験する患者に投与され得る。本明細書で用いられるとき、「非応答性患者」または「その他の抗ウイルス薬物に良好に応答しない」患者は、抗ウイルス感染治療の分野における関連する医療標準または慣用的な実践の下で医師による専門的な観察または判断を内包する。例えば、HIVの事例では、患者は、患者の血漿HIV RNAレベル(またはその等価物)が1つ以上のその他の抗HIV薬物での十分な時間の間の処置の後に実質的に減少しない場合、または血漿HIV RNAレベル(またはその等価物)の減少が、治療の開始後4週までに1/10の低下より少ない場合に、非応答性または良好に応答しないとして特徴付けられ得る。非応答性患者のその他の指標は、例えば、CD4 T細胞数の持続する減少、有害な薬物応答または毒性、および臨床的悪化を含み得る。それ故、本発明の方法は、このような患者を識別する工程、および次に、このような患者に式I〜IVの化合物の治療的に有効な量を有する薬学的組成物または医薬を投与する工程を含む。
【0130】
別の実施形態では、式I〜IVの化合物は、ウイルスプロテアーゼ、逆転写酵素、インテグラーゼ、エンベロープタンパク質(例えば、抗融合またはそのホモログのためのgp120およびgp41)のようなウイルスタンパク質を標的にする1つ以上の薬物での処置を受け、そしてこの処置に良好に応答しなかった患者に投与される。本発明の化合物は、特定の宿主細胞タンパク質(単数または複数)を標的にすると考えられる抗ウイルス薬物の新たなクラスに属する。これらの作用の様式は、その他の抗ウイルス薬物とは別個である。それ故、それらは、異なるクラスの1つ以上のその他の抗ウイルス薬物に応答しないか、または異なるクラスの1つ以上の抗ウイルス薬物での処理後、再発を経験するウイルス感染患者を処置することに特に有効であり得る。
【0131】
さらに、本発明は、急性感染の発症を遅延するための方法をさらに提供し、式I〜IVの化合物の予防的に有効な量を有する薬学的組成物または医薬を、急性ウイルス感染を有するか、またはウイルス感染のリスクにあるか、または症候に関する感染を発症するリクスにあるヒトに投与する工程を包含する。例えば、症候に関する感染の発症を遅延することで、ウイルスに感染したか、またはウイルス感染のリスクにあるヒトが識別され得、そして式I〜IVによる化合物の予防的に有効な量、すなわち、急性ウイルス感染の発症を少なくとも6ヶ月だけ遅延するに十分な量が投与される。好ましくは、少なくとも12ヶ月、18ヶ月または24ヶ月だけ急性ウイルス感染の発症を遅延するに十分な量が用いられる。
【0132】
さらに、本発明はまた、症候に関するウイルス感染の発症を遅延するための方法を提供し、(1)ウイルスによる感染のリスクにあるか、または(2)ウイルスによる感染が疑われるか、またはウイルスへの曝露の疑われるか、あるいは(3)疑われるウイルスへの過去の曝露を有するヒトを識別する工程、および式I〜IVの化合物の予防的に有効な量を有する薬学的組成物または医薬をこのヒトに投与する工程を包含する。
【0133】
ウイルス感染を防ぐこと、無症状ウイルス感染を処置すること、症状に関するウイルス感染の発症を遅延すること、または症状に関するウイルス感染を処置することの目的には、本発明の化合物は、1つ以上のその他の抗ウイルス化合物、好ましくは、異なる作用の機構を通じて作用するその他の抗ウイルス化合物と組み合わせて用いられ得る。このようなその他の抗ウイルス化合物の例は、制限されないで、プロテアーゼ阻害剤、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、インテグラーゼ阻害剤、融合阻害剤、およびそれらの組み合わせを含む。「同時投与または同時投与すること」は、上記活性な薬学的薬剤が、同じ治療または処置養生法の一部として一緒に投与されることを意味する。上記活性な薬学的薬剤は、特定日の異なる時間に別個に、または同時に投与され得る。さらに、本発明はまた、式Iによる化合物、およびプロテアーゼ阻害剤、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、インテグラーゼ阻害剤、融合阻害剤、成熟阻害剤、免疫調整剤、ワクチン、およびそれらの組み合わせから選択される化合物を有する薬学的組成物を提供する。しかし、このようなその他の抗ウイルス化合物は、本発明の活性化合物の意図される効果を妨害しないか、または有害に影響すべきでないことが理解されるべきである。処置の必要なヒトに式I〜IVの化合物の治療的に有効な量、および1つ以上のその他の抗ウイルス化合物の治療的に有効な量を同時投与することは、本発明のこの局面による方法を提供する。
【0134】
従って、本発明はまた、上記の処置および予防目的のために有用な薬学的組成物または医薬を提供し、そして式Iによる化合物の治療的に有効な量、および1つ以上のその他の抗ウイルス化合物の治療的に有効な量を有する。好ましくは、このようなその他の抗ウイルス化合物は、式I〜IVによる化合物の作用の様式とは異なる作用の様式を有している。より好ましくは、このようなその他の抗ウイルス化合物は、ウイルスタンパク質を標的にする。このような化合物の例は、制限されないで、プロテアーゼ阻害剤、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、インテグラーゼ阻害剤、融合阻害剤、およびそれらの組み合わせを含む。
【0135】
本発明は、式I〜IVによる化合物の治療的または予防的に有効な量を有する薬学的組成物または医薬を含む製造品を提供する。この薬学的組成物または医薬は、ボトル、ゲルカプセル、バイアルまたはシリンジのような容器中にあり得る。この製造品はまた、上記で提供された種々の抗ウイルス適用における上記薬学的組成物または医薬の使用のための指示書を含む。これら指示書は、紙に印刷され得るか、またはパンフレットまたは本の形態であり得る。好ましくは、本発明によるこの製造品は、上記のような1つ以上のその他の抗ウイルス化合物の治療的または予防的に有効な量をさらに含む。
【0136】
代表的には、式I〜IVによる化合物は、総体重を基に、1日あたり約0.01μg/kg〜約100mg/kgの量で有効であり得る。この活性成分は、一度に投与され得るか、または所定の時間間隔で投与されるべきより多数の小さな用量に分割され得る。各投与のための適切な投薬量単位は、例えば、約1μg〜約2000mg、好ましくは約5μg〜約1000mgであり得る。組み合わせ治療の事例では、1つ以上のその他の抗ウイルス化合物の治療的に有効な量は、別個の薬学的組成物で投与され得るか、またはそれに代わって、式I〜IVによる化合物を含む本発明による薬学的組成物中に含められ得る。多くのこのようなその他の抗ウイルス化合物の薬理学および毒物学は、当該技術分野で公知である。例えば、Physicians Desk Reference、Medical Economics、Montvale、NJ;およびThe Merck Index、Merck&Co.、Rahway、NJを参照のこと。当該技術分野で用いられるこのような化合物の治療的な有効な量および適切な単位投薬量範囲は、本発明で等しく適用可能である。
【0137】
上記で提示された投薬量範囲は、例示のみであって、そして本発明の範囲を制限することは意図されないことが理解されるべきである。各活性化合物についての治療的に有効な量は、当業者に明らかであるように、制限されないで、用いられる化合物の活性、患者身体における活性化合物の安定性、軽減されるべき症状の重篤度、処置される患者の総体重、投与の経路、吸収の容易さ、分布、および身体によるこの活性化合物の排出、処置される患者の年齢および感受性などの要因とともに変動し得る。投与の量は、種々の要因が経時的に変化するとき調節され得る。
【0138】
薬学的組成物において、上記活性薬剤は、任意の薬学的に受容可能な塩形態であり得る。本明細書で用いられるとき、用語「薬学的に受容可能な塩」は、比較的非毒性な、活性化合物の有機または無機の塩をいい、上記化合物の無機酸付加塩または有機酸付加塩を含む。塩基性活性成分化合物の塩の例は、制限されないで、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、リン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、ラウリン酸塩、ステアリン酸塩、パルミチン酸塩、乳酸塩、トルエンスルホン酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフタレン酸塩、フマル酸塩、メシル酸塩、ラウリルスルホン酸塩、グルコヘプトネート塩などを含む。例えば、Bergeら、J.Pharm.Sci.、66:1〜19(1977)を参照のこと。酸性活性成分化合物の塩の例は、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、およびアンモニウム塩を含む。それ故、適切な塩は、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛の塩であり得る。さらに、有機塩もまた用いられ得、例えば、リジン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)、プロカインおよびトリスの塩を含む。
【0139】
経口送達のために、上記活性化合物は、結合剤(例えば、ゼラチン、セルロース、トラガカントゴム)、賦形剤(例えば、スターチ、ラクトース)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、二酸化ケイ素)、崩壊剤(例えば、アルギネート、Primogel、およびコーンスターチ)、および甘味剤または矯味矯臭剤(例えば、グルコース、シュークロース、サッカリン、サリチル酸メチル、およびペパーミント)のような薬学的に受容可能な担体を含む処方物に取り込まれ得る。上記処方物は、囲われたゼラチンカプセルまたは圧縮錠剤の形態で経口的に送達され得る。カプセルおよび錠剤は、任意の従来技術によって調製され得る。カプセルおよび錠剤はまた、これらカプセルおよび錠剤の香り、味、色、および形状を改変するために当該技術分野で公知の種々の被覆で被覆され得る。さらに、脂肪油のような液体担体がまたカプセル中に含められ得る。
【0140】
適切な経口処方物はまた、懸濁物、シロップ、チューインガム、ウエハース、エリキシルなどの形態であり得る。所望であれば、香り、味、色および特有の形態の形状を改変するための従来の薬剤がまた、含められ得る。さらに、嚥下不能の患者における経腸的な供給チューブによる便利な投与のためには、上記活性化合物は、オリーブ油、コーン油およびひまわり油のような、受容可能脂肪親和性植物油ビヒクル中に溶解され得る。
【0141】
上記活性化合物はまた、溶液もしくは懸濁物の形態で、または使用前に溶液もしくは懸濁物形態に変換し得る凍結乾燥形態で非経口的に投与され得る。このような処方物では、滅菌水および生理食塩水緩衝液のような希釈剤もしくは薬学的に受容可能な担体が用いられ得る。その他の従来の溶媒、pH緩衝剤、安定剤、抗細菌剤、界面活性剤、および抗酸化剤がすべて含まれ得る。例えば、有用な成分は、塩化ナトリウム、酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩の緩衝剤、グリセリン、デキストロース、不揮発性油、メチルパラベン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、重硫酸ナトリウム、ベンジルアルコール、アスコルビン酸などを含む。非経口処方物は、バイアルおよびアンプルのような任意の従来の容器中に貯蔵され得る。
【0142】
局所投与の経路は、鼻、頬、粘膜、直腸、または膣適用を含む。局所投与のために、上記活性成分は、ローション、クリーム、軟膏、ゲル、粉末、ペースト、スプレー、懸濁物、ドロップまたはエアロゾルに処方され得る。それ故、1つ以上の濃化剤、湿潤剤、および安定剤が上記処方物中に含められ得る。このような物質の例は、制限されないで、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キサンタンガム、ワセリン、蜜蝋、または鉱油、ラノリン、スクアレンなどを含む。局所適用のための特殊な形態は、経皮パッチによって送達される。経皮パッチを調製するための方法は、例えば、Brownら、Annual Review of Medicine、39:221〜229(1988)に開示され、これは、参考として本明細書中に援用される。
【0143】
上記活性化合物の持続放出のための皮下移植もまた、投与の適切な経路であり得る。これは、任意の適切な処方物中の活性化合物を皮下スペース、例えば、前部腹部壁の下に移植するための外科的手順を必要とする。例えば、Wilsonら、J.Clin.Psych.45:242〜247(1984)を参照のこと。ヒドロゲルは、上記活性化合物の持続放出のための担体として用いられ得る。ヒドロゲルは、一般に、当該技術分野で公知である。それらは、代表的には、高分子量生体適合性ポリマーをネットワークに架橋することにより作製され、これは、水中で膨潤し、ゲル様材料を形成する。好ましくは、ビドロゲルは、生分解性または生体吸収性である。本発明の目的には、ポリエチレングリコール、コラーゲン、またはポリ(グルコール−コ−L−乳酸)から作製されたヒドロゲルが有用である得る。例えば、Phllipsら、J.Pharmaceut.Sci.、73:1718〜1720(1984)を参照のこと。
【0144】
上記活性化合物はまた、水溶性の非免疫原性非ペプチドの高分子量ポリマーに複合体化され得、ポリマー複合体を形成する。例えば、活性化合物は、ポリエチレングリコールに共有結合され、複合体を形成する。代表的に、このような複合体は、改善された溶解性、安定性および低減された毒性および免疫原性を示す。それ故、患者に投与されるとき、この複合体中の活性化合物は、身体中でより長い半減期を有し得、そしてより良好な効き目を示す。一般に、Burnham、Am.J.Hosp.Pharm.、15:210〜218(1994)を参照のこと。PEG化タンパク質は、タンパク質置換治療において、そしてその他の治療使用のために現在用いられている。例えば、PEG化インターフェロン(PEG−INTRON A(登録商標))は、B型肝炎を処置するために臨床で用いられている。PEG化アデノシンデアミナーゼ(ADAGEN(登録商標))は、重篤な合併免疫不全疾患(SCIDS)を処置するために用いられている。PEG化L−アスパラギナーゼ(ONCAPSPAR(登録商標))は、急性リンパ芽細胞白血病(ALL)を処置するために用いられている。ポリマーと活性化合物との間の共有結合、および/またはポリマー自体が、生理学的条件下で加水分解により分解可能であることが好ましい。このような複合体は、「プロドラッグ」として知られ、身体の内部に上記活性化合物を容易に放出し得る。活性化合物の制御された放出もまた、この活性成分を、当該技術分野で一般に知られるマイクロカプセル、ナノカプセル、またはヒドロゲル中に取り込むことにより達成され得る。
【0145】
リポソームもまた、本発明の活性化合物の担体として用いられ得る。リポソームは、コレステロール、ホスホリピド、脂肪酸、およびそれらの誘導体のような種々の脂質から作製されるミセルである。種々の改変された脂質がまた、用いられ得る。リポソームは、活性化合物の毒性を低減し得、そしてそれらの安定性を増加する。その中に活性成分を含むリポソーム懸濁物を調製するための方法は、当該技術分野で一般に公知である。例えば、米国特許第4,522,811号;Prescott編、Methods in Cell Biology、第XIV巻、Academic Press、New York、N.Y.(1976)を参照のこと。
【0146】
上記活性化合物はまた、同じ症状を相乗的に処置または防止するか、または処置される患者における別の疾患または症状のために有効である別の活性薬剤と組み合わせて、この他方の活性薬剤が本発明の活性化合物の効果を妨害しないか、または有害に影響しない限り投与され得る。このようなその他の活性薬剤は、制限されないで、抗炎症剤、抗ウイルス剤、抗生物質、抗真菌剤、抗血栓剤、心臓血管薬物、コレステロール低下剤、抗癌薬物、高血圧薬物などを含む。この組み合わせ治療アプローチでは、上記2つの異なる薬学的に活性な化合物は、別個に投与され得るか、または同じ薬学的組成物中で投与され得る。
【0147】
本発明の化合物との組み合わせ治療での使用のために適切な抗ウイルス化合物の例は、制限されないで、HIVプロテアーゼ阻害剤、ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、HIV成熟阻害剤、免疫調節剤、およびワクチンを含む。
【0148】
ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤の例は、3’−アジド−3’−デオキシチミジン(Zidovudine、AZTおよびRETROVIR(登録商標)としても知られている)、2’、3’−ジデヒドロ−3’−デオキシチミジン(Stavudine、2’,3’−ジヒドロ−3’−デオキシチミジン、d4T、およびZERIT(登録商標)としても知られている)、(2R−シス)−4−アミノ−1−[2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]−2(1H)−ピリミジノン(Lamivudine、3TC、およびEPIVIR(登録商標)としてもまた知られる)、2’,3’−ジデオキシイソシン(ddI)、および9−[(R)−2−[[ビス[[イソプロポキシカルボニル)オキシ]メトキシ]プロピル]アデニンフマレート(Tenofovirジソプロキシルフマレート、VireadTMとしても知られる)を含む。
【0149】
非ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤の例は、(−)−6−クロロ−4−シクロプロピルエチニル−4−トリフルオロメチル−1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンゾキサジン−2−オン(efavirenz、DMP−266またはSUSTIVA(登録商標)としてもまた知られる)(米国特許第5,519、021号を参照のこと)、1−[3−[(1−メチルエチル)アミノール]−2−ピリジニル]−4−[[5−[(メチルスルホニル)アミノ]−1H−インドール−2−イル]カルボニル]ピペラジン(Delavirdine、PCT国際特許出願第WO91/09849号を参照のこと)、および(1S、4R)−シス−4−[2−アミノ−6−(シクロプロピルアミノ)−9H−プリン−9−イル]−2−シクロペンテン−1−メタノール(Abacavir)を含む。
【0150】
プロテアーゼ阻害剤の例は、[5S−(5R*、8R*、10R*、11R*)]−10−ヒドロキシ−2−メチル−5−(1−メチルエチル)−1−[2−(1−メチルエチル)−4−チアゾリル]−3,6−ジオキソ−8,11−ビス(フェニルメチル)−2,4,7,12−テトラアザトリデカン−13−oic酸5−チアゾリルメチルエステル(Ritonavir、AbbottによりNORVIR(登録商標)として市販)、[3S−[2(2S*、3S*)、3a、4ab、8ab]]−N−(1,1−ジメチルエチル)デカヒドロ−2−[2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−(フェニルチオ)ブチル]−3−イソキノリンカルボキサミドモノメタンスルホネート(Nelfinavir、AgouronによりVIRACEPT(登録商標)として市販)、N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−2(R)−フェニルメチル−4−(S)−ヒドロキシ−5−(1−(4−(2−ベンゾ[b]フラニルメチル)−2(S)−N’(t−ブチルカルボキサミド)−ピペラジニル))−ペンタンアミン(米国特許第5,646,148号を参照のこと)、N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)2(R)−フェニルメチル−4−(S)−ヒドロキシ−5−(1−(4−(3−ピリジルメチル)−2(S)−N’−(t−ブチルカルホキシアミド)ピペラジニル)−ペンタンアミド(Indinavir、MerckによりCRIXIVAN(登録商標)として市販)、4−アミノ−N−((2シン、3S)−2−ヒドロキシ−4−フェニル−3−((S)−テトラヒドロフラン−3−イルオキシカルボニルアミノ)−ブチル)−N−イソブチル−ベンゼンスルホンアミド(amprenavir、米国特許第5,585,397号を参照のこと)、およびN−tert−ブチル−デカヒドロ−2−[2(R)−ヒドロキシ−4−フェニル−3(S)−[[N−(2−キノリルカルボニル)−L−アスパラギニル]アミノ]ブチル]−(4aS、8aS)−イソキノリン−3(S)−カルボキサミド(Saquinavir、Roche LaboratoriesによりINVIRASE(登録商標)として市販)を含む。
【0151】
適切なHIVインテグラーゼ阻害剤の例は、米国特許第6,110,716号:同第6,124,327号;および同第6,245,806号に開示され、これらは、参考として本明細書中に援用される。
【0152】
種々のその他の抗ウイルス剤がまた、本発明の化合物との組み合わせ治療で用いられ得、制限されないで、9−(2−ヒドロキシエトキシメチル)グアニン(アシクロビル)、2−アミノ−9−(2−ヒドロキシエトキシメチル)プリン、スラミン、リバビリン、アンチモニオタングステート(HPA−23)、インターフェロン、インターロイキンII、およびホスホノフォルメート(Foscarnet)を含む。さらに、リンパ球成長および/または機能を刺激し得るレバミソールまたはチモシンのようなその他の医薬もまた採用され得る。
【0153】
HIV融合阻害剤の例は、HIVエンベロープタンパク質(例えば、gp120、gp41)およびHIVエンベロープタンパク質由来のペプチドに対する抗体を含む。例えば、T−20(Trimeris Inc.、Durham、NC)と呼ばれるgp41由来のペプチドは、フェーズIIIの臨床試験でHIV感染を処置することで有効であることが示されている。
【0154】
上記化合物の任意の適切な薬学的に受容可能な誘導体がまた、用いられ得、薬学的に受容可能な塩、およびそのエステルを含む。
【実施例】
【0155】
式I〜IVの化合物の合成は、以下の一般経路に従って達成され得る。代表的な構造および関連する特徴付けデータについては、表1〜3を参照のこと。
【0156】
【化20】

上記のスキームは、表1〜3中の化合物の合成経路を要約し、ここで、試薬/条件は:i.AcO、DMAP、Py、Δ、ii.オキサリルクロライド(2M)、CHCl.iii.NHR、TEA、CHCl.iv.NaOH(4M)、THF/MeOH.v.2,2−ジメチルコハク酸無水物、DMAP、Py、Δ.vi.PtO、H(15psi)、AcOHである。
【0157】
一般に、本発明の化合物は:
(i)出発材料の選択された位置(すなわち、ベツリン酸のC3位置)に保護基を付加する工程;
(ii)工程(i)で形成された化合物の任意の所望の位置(すなわち、C28位置)でアシルクロライドを形成する工程;
(iii)工程(ii)で形成されたアシルクロライドを、(上記スキーム中のNH−R基のような)適切な所望の部分と反応させる工程;
(iv)工程(i)で付加された保護基を除去する工程;そして必要に応じて
(v)工程(iv)で形成された化合物の脱保護位置に任意の部分を付加する工程(すなわち、上記スキームに示されるように、C3位置にジメチルスクシニル基を付加する工程)によって合成され得る。
【0158】
必要に応じて、不飽和結合は、本発明の化合物を形成するために還元され得る。本発明の化合物はまた、
(i)出発材料の選択された位置(すなわち、ベツリン酸のC28位置)を活性化する工程;
(ii)工程(i)で形成された化合物を、(上記スキーム中のNH−R基のような)適切な所望の部分と反応させる工程;および
(iii)工程(ii)で形成された材料のその他の所望の位置に任意の部分を付加する工程(すなわち、上記のスキームで示されるようにC3位置にジメチルスクシニル基を付加する工程)によって合成され得る。
【0159】
保護基は、所望されない反応から化学基を保護する部分をいう。例えば、保護基は、Organic Synthesis、Greene、T.John Wiley&Sons、New York、N.Y.、(第1版、1981)中の保護基に提示されるような当業者に公知のものを含み、これは、その中に提示される手順を用いて付加または除去され得る。保護されたヒドロキシル基の例は、制限されないで、ヒドロキシル基の、制限されずに、t−ブチルジメチル−クロロシラン、トリメチルクロロシラン、トリイソプロピルクロロシラン、トリエチルクロロシランのような試薬との反応によって得られたようなシリルエーテル;制限されずに、メトキシメチルエーテル、メチルチオメチルエーテル、ベンジルオキシメチルエーテル、t−ブトキシメチルエーテル、2−メトキシエトキシメチルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、1−エトキシエチルエーテル、アリルエーテル、ベンジルエーテルのような置換メチルおよびエチルエーテル;制限されないで、ベンゾイルホルメート、ホルメート、アセテート、トリクロロアセテート、およびトリフルオロアセテートのようなエステルを含む。保護されたアミン基の例は、制限されないで、ホルムアミド、アセトアミド、トリフルオロアセトアミド、およびベンズアミドのようなアミド;フタルイミド、およびジチオスクシンイミドのようなイミド;およびその他を含む。保護されたスルフヒドリル基の例は、制限されないで、S−ベンジルチオエーテル、およびS−4−ピコリルチオエーテルのようなチオエーテル;ヘミチオ、ジチオおよびアミノチオアセタールのような置換S−メチル誘導体;およびその他を含む。タンパク質合成のための保護基の例は、制限されないで、BOC、FMOCおよびCBZ(すなわち、それぞれ、tert−ブチルオキシカルボニル、9−フルオレニルメトキシカルボニルおよびベンジルオキシカルボニル)を含む。
【0160】
基は、当該技術分野で公知の手順を実施することによって合成プロセスの間に付加および除去され得る。例えば、保護基は、(無水酢酸のような)活性化酸および(トリエチルアミンまたはピリジンのような)有機塩基を添加すること、および得られる混合物を加熱することによって付加され得る。化合物の位置は、ジシクロヘキシルカルボジイミド、EDCI、HATU、またはPyBOPのような当該技術分野で公知の活性化剤との反応によって活性化され得る。アシルクロライドは、カルボン酸を、チオニルクロライド、オキサリルクロライド、リンオキシクロライド、およびシアヌル酸クロライドのような塩素化剤と反応させることによって形成され得る。アシルクロライドは、一級アミンおよび二級アミンのような適切な部分と反応し得、アミド基のような所望の基を形成する。
【0161】
保護基は、当業者に公知の方法によって除去され得る。例えば、アセテート保護基を除去することは、材料を、水酸化ナトリウム水溶液のような塩基と接触することにより達成され得る。付加部分は、材料を、ピリジンのような塩基の存在下でジメチルコハク酸無水物と反応することにより、C3位置にジメチルコハク酸基を付加するように、材料の所望の位置で付加され得る。
【0162】
式IIおよびIIIの化合物はまた、ベツリン酸を適切な出発材料で置換することにより上記一般合成経路に従って合成され得る。例えば、化合物IIは、ベツリン酸をオリアノール酸で置換することにより上記一般合成経路に従って合成され得;そして式IIIの化合物は、ベツリン酸をウルソール酸で置換することにより上記一般合成経路に従って合成され得る。
【0163】
HPLC精製のための一般的手順:サンプルをDMSO中に溶解し(約50mg/mL)、そしてPhenomenex Synergi Hydro−RP(00G−4376−P0)HPLCカラム(250×21.2mm、10μ球サイズ、80Åポアサイズ)上で精製し、溶媒系は水中50〜90%のアセトニトリル(0.01%トリフルオロ酢酸)であり、25分までの間平等に流した。フラクション収集は、203λにおける吸収に基づく。
【0164】
(3β)−3−(アセチルオキシ)lup−20(29)−en−28−oic酸(1)
窒素雰囲気下の無水ピリジン(10mL)中のベツリン酸の溶液(0.50g、1.1mmol)を、AcO(0.26ml、2.8mmol)およびDMAP(0.14g、1.1mmol)で処理し、そしてこの混合物を、1時間還流した。反応混合物をCHClで希釈し、そして水で洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥し、そして減圧下で濃縮し、1(0.42g、76%)を得た。
【0165】
【化21】

3(3β)−3−(アセチルオキシ)lup−20(29)−en−28−oic酸の酸クロライド(2)の調製
オキサリルクロライド溶液(CHCl中2M、4mL)を、3−O−アセチルベツリン酸(0.1g、0.2mmol)に添加し、そして2時間攪拌した。この混合物を減圧下で乾燥するまで濃縮した。残渣を乾燥CHClで希釈し(3×1mL)、減圧下で乾燥するまで濃縮し、そしてさらなる精製なくして用いた。
【0166】
化合物(3−34)を合成するための一般的手順
窒素雰囲気下の乾燥CHCl(5mL)中の酸クロライド2(0.2mmol)の溶液に、適切なアミン(0.26mmol)およびTFA(0.44mmol、0.061mL)を添加した。この反応混合物を室温で一晩攪拌し、CHClで希釈し、そして次にこのCHCl層をHOで洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥し、そして減圧下で濃縮し、アミド化合物を得た。いくつかの事例では、産物は、それらを次のステップのために直接用いるに十分純粋であり、そして一部の産物は、HPLCによって精製した。
【0167】
【表1−1】

【0168】
【表1−2】

【0169】
【表1−3】

【0170】
【表1−4】

【0171】
【表1−5】

【0172】
【表1−6】

【0173】
【表1−7】

【0174】
【表1−8】

【0175】
【表1−9】

化合物(35−68)を合成するための一般的手順
THF(1.6mL)およびメタノール(1mL)中の適切なアミン(0.21mmole)の溶液を、NaOH(4M、0.27mL)で処理した。この混合物を室温で一晩攪拌し、そして次に溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をCHClで希釈し、そしてHCl溶液(0.5N)で洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥し、そして減圧下で濃縮し、アミド化合物35−68を得た。
【0176】
【表2−1】

【0177】
【表2−2】

【0178】
【表2−3】

【0179】
【表2−4】

【0180】
【表2−5】

【0181】
【表2−6】

【0182】
【表2−7】

【0183】
【表2−8】

【0184】
【表2−9】

【0185】
【表2−10】

化合物(69−121)を合成するための一般的手順
窒素雰囲気下で、乾燥ピリジン(4mL)中の適切なアミド35−68(0.17mmol)の溶液を、2,2−ジメチルコハク酸無水物(0.109g、0.85mmol)およびDMAP(0.021g、0.17mmol)で処理し、そしてこの混合物を一晩還流した。反応混合物をCHClで希釈し、そしてHOで洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥し、そして減圧下で濃縮し、カルボン酸産物を得た。粗製材料を、HPLCで精製した。
【0186】
【表3−1】

【0187】
【表3−2】

【0188】
【表3−3】

【0189】
【表3−4】

【0190】
【表3−5】

【0191】
【表3−6】

【0192】
【表3−7】

【0193】
【表3−8】

【0194】
【表3−9】

【0195】
【表3−10】

【0196】
【表3−11】

【0197】
【表3−12】

化合物(122)を合成するための一般的手順
【0198】
【化22】

化合物73(0.112g、0.15mmol)を氷酢酸(10mL)中に懸濁し、そして窒素でフラッシュした。触媒量の酸化白金(IV)(0.012g)を添加した。反応を15psiの水素ガス下に一晩配置した。この混合物をセライトのパッドを通じて濾過し、そして溶媒を減圧下で蒸発させた。得られた粗製化合物122をHPLCによって精製した。
【0199】
化合物123および124は、化合物122と同様に合成した。
【0200】
【表4−1】

【0201】
【表4−2】

化合物(125)を合成するための一般的手順
化合物125は、表1〜3中の化合物に対する上記の合成スキームと同様に合成された。ただし、出発物質であるベツリン酸がウルソール酸で置換された。
【0202】
【化23】

(実施例2:抗ウイルス活性の決定)
本発明の化合物は、抗ウイルス活性および一般的毒性を検出するために以下のアッセイで試験され得る。
【0203】
(MT−4細胞保護アッセイ)
HTLV−1で形質転換されたT細胞株MT−4は、HIV−1感染を高度に受け易い。抗HIV−1薬剤は、この標的細胞株において、HIVで誘導される細胞変性効果からの保護によって評価された。このアッセイでは、HIV−1感染細胞および偽感染細胞の両方の生存率は、テトラゾリウム塩WST−1を還元する代謝的に活性な細胞の能力をモニターする比色定量アッセイで評価された。抗ウイルス化合物による細胞保護は、増加したWST−1切断の陽性読み取り値によって示される。
【0204】
簡単に述べれば、指数関数的に増殖するMT−4細胞を偽感染するか、またはHIV−1実験室株NL4−3で0.0005の感染多重度でバッチ感染した。2時間感染の後、これら細胞を洗浄して非結合ウイルスを除去し、そして増加する濃度の化合物の存在下でプレートにまいた。4日のインキュベーションの後、感染細胞における細胞保護、および偽感染細胞における化合物の毒性をWST−1アッセイを用いて分析した。
【0205】
(PBMC薬物感受性アッセイ)
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、臨床効能のための指標として化合物の抗ウイルス活性を試験するために用いた。PBMCを、Ficoll−Hypaque密度勾配を用いて2人のドナーから単離し、プールし、そしてPHA−Lで3日間刺激した。刺激後、細胞を洗浄し、そしてIL−2を含む培養培地中に維持した。次いで、刺激された細胞を、偽感染したか、またはMOI0.01で1時間、株HIV−1IIIBでバッチ感染した。細胞(未洗浄)を、次いで、増加する濃度の化合物の存在下でプレートにまき、そして7日間インキュベートした。これらの培養物におけるウイルス複製の読み取り値は、上清液中のHIV−1 p24の濃度である。なぜなら、PBMCは、一般に、HIVで誘導される細胞変性効果に屈服しないからである。偽感染細胞における化合物毒性は、WST−1アッセイを用いて分析された。
【0206】
本発明の化合物は、これらのアッセイに従って、抗ウイルス活性を有することが見出された。化合物71は、約126ナノモル濃度のEC50(ウイルスで誘導された細胞変性効果を50%(MT−4)(抗ウイルス活性尺度)減少する化合物の濃度)を有し、そして約7.7マイクロモル濃度のTC50(TC50は、宿主細胞(毒性尺度)の50%の死滅を生じる化合物の濃度である)を有する。化合物73は、約8.1ナノモル濃度のEC50および約6.3マイクロモル濃度のTC50を有する。化合物70は、約2.9ナノモル濃度のEC50および10マイクロモル濃度を超えるTC50を有する。化合物76は、約11ナノモル濃度のEC50および10マイクロモル濃度を超えるTC50を有する。化合物46は、約8.6マイクロモル濃度のEC50および10マイクロモル濃度を超えるTC50を有する。本発明の代表的な化合物は、化合物69、70、73〜84、87、88、91〜95、97、99−106、108〜117、119〜124のような、約100nmより小さいEC50をもつ化合物を含む。
【0207】
本明細書に陳述されるすべての刊行物および特許出願は、本発明が関係する分野の当業者のレベルを示す。すべての刊行物および特許出願は、あたかも、個々の刊行物または特許出願が詳細にかつ個々に参考として援用されることが示されるように、同程度まで本明細書中に参考として援用される。これら刊行物および特許出願の単なる陳述は、それらが、本出願に対する先行技術であることの容認を必ずしも構成しない。
【0208】
前述の発明は、理解の明瞭さの目的のために例証および実施例によりある程度詳細に説明されたが、特定の変更および改変が添付の請求項の範囲内で実施され得ることは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造
【化1】

を有する化合物ならびにその薬学的に受容可能な塩および立体異性体であって、
ここで、
Qは、(CH1−2であり;
Lは、飽和または部分的に飽和され得る0〜10の炭素を有するアルキル基であり;そして
該Lのアルキル基の1つ以上の炭素は、−O−、−S−、−N−、−C(=O)−、−NC(=O)−、−C(=O)N−、−SO、−NSO、−SON−、シクロアルキル、および−NC(=O)N−で置換され得;Lは、ヒドロキシル、ハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−N(C1−3アルキル)、−NH(C1−3アルキル)、−C(=O)OH、−C(=O)O(C1−3アルキル)、−C(=O)NH、−C(=O)NH(C1−3アルキル)−C(=O)N(C1−3アルキル)、−S(=O)(C1−3アルキル)、−S(=O)NH、−S(=O)N(C1−3アルキル)、−S(=O)NH(C1−3アルキル)、−CHF、−OCF3、−OCHF、−SCF、−CF、−CN、−NH、および−NOから選択される1つ以上の置換基で置換され得;
R1は、−C(=O)−(CH−C(CH−COOHであり;
R2は、必要に応じて、水素、ヒドロキシ、ハロ、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボニル、O−カルボキシ、C−カルボキシ、O−カルバミル、O−チオカルバミル、N−カルバミル、N−チオカルバミル、エステル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、−C(=O)OH、−CH(CH)C(=O)OH;−CHC(=O)OH、−C(CHC(=O)OH、−C(CH)(CHCH)C(=O)OH、−CH(CHCH)C(=O)OH、−CH=C(CH)C(=O)OH、−C(CHCHC(=O)OH、−N(C1−3アルキル)、−NH(C1−3アルキル)、−C(=O)NH、−C(=O)NH(C1−3アルキル)、−C(=O)N(C1−3アルキル)、−S(=O)(C1−3アルキル)、−S(=O)NH、−S(=O)N(C1−3アルキル)、−S(=O)NH(C1−3アルキル)、−CHF、−OCF、−OCHF、−SCF、−CF、−CN、−NH、および−NOから選択される1つ以上の置換基で置換される、シクロアルキル、アリール、複素環、およびヘテロアリールから選択され;
R3およびR4は、−H、−CH、−(CH、−CH(CH、および−C(=CH)CHから独立に選択され;そして
mは、0〜10から選択される整数である、
化合物ならびにその薬学的に受容可能な塩および立体異性体。
【請求項2】
以下の構造:
【化2】

を有する請求項1に記載の化合物ならびにその薬学的に受容可能な塩および立体異性体であって、
ここで、
Lは、飽和または部分的に飽和され得る0〜10の炭素を有するアルキル基であり;そして
該Lのアルキル基の1つ以上の炭素は、−O−、−S−、−N−、−C(=O)−、−NC(=O)−、−C(=O)N−、−SO、−NSO、−SON−、シクロアルキル、および−NC(=O)N−で置換され得;Lは、ヒドロキシル、ハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−N(C1−3アルキル)、−NH(C1−3アルキル)、−C(=O)OH、−C(=O)O(C1−3アルキル)、−C(=O)NH、−C(=O)NH(C1−3アルキル)、−C(=O)N(C1−3アルキル)、−S(=O)(C1−3アルキル)、−S(=O)NH、−S(=O)N(C1−3アルキル)、−S(=O)NH(C1−3アルキル)、−CHF、−OCF3、−OCHF、−SCF、−CF、−CN、−NH、および−NOから選択される1つ以上の置換基で置換され得;
R1は、−C(=O)−(CH−C(CH−COOHであり;
R2は、必要に応じて、水素、ヒドロキシ、ハロ、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボニル、O−カルボキシ、C−カルボキシ、O−カルバミル、O−チオカルバミル、N−カルバミル、N−チオカルバミル、エステル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、−C(=O)OH、−CH(CH)C(=O)OH;−CHC(=O)OH、−C(CHC(=O)OH、−C(CH)(CHCH)C(=O)OH、−CH(CHCH)C(=O)OH、−CH=C(CH)C(=O)OH、−C(CHCHC(=O)OH、−N(C1−3アルキル)、−NH(C1−3アルキル)、−C(=O)NH、−C(=O)NH(C1−3アルキル)、−C(=O)N(C1−3アルキル)、−S(=O)(C1−3アルキル)、−S(=O)NH、−S(=O)N(C1−3アルキル)、−S(=O)NH(C1−3アルキル)、−CHF、−OCF、−OCHF、−SCF、−CF、−CN、−NH、および−NOから選択される1つ以上の置換基で置換される、シクロアルキル、アリール、複素環、およびヘテロアリールから選択され;そして
mは、0〜10から選択される整数である、
化合物ならびにその薬学的に受容可能な塩および立体異性体。
【請求項3】
Lが、飽和または部分的に飽和され得る0、1、2、3、4、または5の炭素を有するアルキル基であり;そして
該Lのアルキル基の1つ以上の炭素が、−O−、−S−、−N−、−C(=O)−、−NC(=O)−、−C(=O)N−、−SO、−NSO、−SON−、シクロアルキル、および−NC(=O)N−で置換され得;そして
Lが、ヒドロキシル、ハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−N(C1−3アルキル)、−NH(C1−3アルキル)、−C(=O)OH、−C(=O)O(C1−3アルキル)、−C(=O)NH、−C(=O)NH(C1−3アルキル)、−C(=O)N(C1−3アルキル)、−S(=O)(C1−3アルキル)、−S(=O)NH、−S(=O)N(C1−3アルキル)、−S(=O)NH(C1−3アルキル)、−CHF、−OCF3、−OCHF、−SCF、−CF、−CN、−NH、および−NOから選択される1つ以上の置換基で置換され得る、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
以下の構造
【化3】

を有する請求項1に記載の化合物ならびにその薬学的に受容可能な塩および立体異性体であって、
ここで、
R1は、−C(=O)−CH−C(CH−COOHであり;
R2は、必要に応じて、水素、ヒドロキシ、ハロ、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボニル、O−カルボキシ、C−カルボキシ、O−カルバミル、O−チオカルバミル、N−カルバミル、N−チオカルバミル、エステル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、−C(=O)OH、−CH(CH)C(=O)OH;−CHC(=O)OH、−C(CHC(=O)OH、−C(CH)(CHCH)C(=O)OH、−CH(CHCH)C(=O)OH、−CH=C(CH)C(=O)OH、−C(CHCHC(=O)OH、−N(C1−3アルキル)、−NH(C1−3アルキル)、−C(=O)NH、−C(=O)NH(C1−3アルキル)、−C(=O)N(C1−3アルキル)、−S(=O)(C1−3アルキル)、−S(=O)NH、−S(=O)N(C1−3アルキル)、−S(=O)NH(C1−3アルキル)、−CHF、−OCF、−OCHF、−SCF、−CF、−CN、−NH、および−NOから選択される1つ以上の置換基で置換される、シクロアルキル、アリール、複素環、およびヘテロアリール環から選択され;そして
nは、0、1、2、および3から選択される整数である、
化合物ならびにその薬学的に受容可能な塩および立体異性体。
【請求項5】
R2が、必要に応じて、ヒドロキシ、ハロ、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボニル、O−カルボキシ、C−カルボキシ、O−カルバミル、O−チオカルバミル、N−カルバミル、N−チオカルバミル、エステル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、−C(=O)OH、−CH(CH)C(=O)OH;−CHC(=O)OH、−C(CHC(=O)OH、−C(CH)(CHCH)C(=O)OH、−CH(CHCH)C(=O)OH、−CH=C(CH)C(=O)OH、−C(CHCHC(=O)OH、−N(C1−3アルキル)、−NH(C1−3アルキル)、−C(=O)NH、−C(=O)NH(C1−3アルキル)、−C(=O)N(C1−3アルキル)、−S(=O)(C1−3アルキル)、−S(=O)NH、−S(=O)N(C1−3アルキル)、−S(=O)NH(C1−3アルキル)、−CHF、−OCF、−OCHF、−SCF、−CF、−CN、−NH、および−NOから選択される1つ以上の置換基で置換されたフェニル基であり;そして
nが、0、1、2、および3から選択される整数である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
nが、0または1である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
nが、2または3である、請求項5に記載の化合物。
【請求項8】
R2が、ハロ、アルキル、C−カルボキシ、ハロアルキル、−C(=O)OH、−CH(CH)C(=O)OH;−CHC(=O)OH、−C(CHC(=O)OH、−C(CH)(CHCH)C(=O)OH、−CH(CHCH)C(=O)OH、−CH=C(CH)C(=O)OH、−C(CHCHC(=O)OH、−C(=O)NH、−C(=O)NH(C1−3アルキル)、−C(=O)N(C1−3アルキル)、−CHF、−CF、および−CNから選択される1つ以上の置換基で置換されたフェニル基である、請求項5に記載の化合物。
【請求項9】
R2が、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボニル、O−カルボキシ、O−カルバミル、O−チオカルバミル、エステル、ハロアルキル、−S(=O)(C1−3アルキル)、−S(=O)NH、−S(=O)N(C1−3アルキル)、−S(=O)NH(C1−3アルキル)、−OCF、−OCHF、および−SCFから選択される1つ以上の置換基で置換されたフェニル基である、請求項5に記載の化合物。
【請求項10】
R2が、N−カルバミル、N−チオカルバミル、−N(C1−3アルキル)、−NH(C1−3アルキル)、−NH、および−NOから選択される1つ以上の置換基で置換されたフェニル基である、請求項5に記載の化合物。
【請求項11】
R2が、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、および複素環から選択される1つ以上の置換基で置換されたフェニル基である、請求項5に記載の化合物。
【請求項12】
以下の構造
【化4】

を有する、請求項5に記載の化合物。
【請求項13】
以下の構造
【化5】

を有する、請求項5に記載の化合物。
【請求項14】
以下の構造
【化6】

を有する、請求項5に記載の化合物。
【請求項15】
以下の構造
【化7】

を有する、請求項5に記載の化合物。
【請求項16】
以下の構造
【化8】

を有する、請求項5に記載の化合物。
【請求項17】
以下の構造
【化9】

の一つを有する、請求項5に記載の化合物。
【請求項18】
以下の構造
【化10】

の一つを有する、請求項5に記載の化合物。
【請求項19】
以下の立体化学
【化11】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の化合物、および1つ以上の薬学的に受容可能な賦形剤を含む、薬学的組成物。
【請求項21】
疾患および障害を処置するために有用な医薬の製造のための請求項1〜19のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項22】
前記疾患および障害がウイルス感染である、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の化合物を作製する方法であって:
(i)開始物質の選択された位置に保護基を付加する工程;
(ii)工程(i)で形成された化合物の所望の位置にアシルクロライドを形成する工程;
(iii)工程(ii)で形成されたアシルクロライドを適切な所望の部分と反応させる工程;
(iv)工程(i)で付加された保護基を除去する工程;および、必要に応じて
(v)工程(iv)で形成された化合物の脱保護位置に部分を付加する工程、を包含する方法。

【公表番号】特表2008−543945(P2008−543945A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518437(P2008−518437)
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/024493
【国際公開番号】WO2007/002411
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(304057634)ミリアド ジェネティクス, インコーポレイテッド (13)
【Fターム(参考)】