説明

抗ウイルス親水性高分子材料

本発明は、親水性高分子スラリーを調製すること、酸化銅(I)及び酸化銅(II)を含むイオン性銅粉末混合物を該スラリー中へ分散すること、次いで、該スラリーを押し出すか又は成型して親水性高分子材料を形成することを含む、親水性高分子材料に抗ウイルス特性を付与する方法であって、Cu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子が該親水性高分子材料内に直接かつ完全に封入されている、方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親水性高分子材料に抗ウイルス特性を付与する方法、ウイルスを不活化するための親水性高分子材料、及びこれを含むデバイスに関する。
【0002】
より詳しくは、本発明は、Cu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子の混合物を含む親水性高分子材料であって、該粒子が該親水性高分子材料内に直接かつ完全に封入されている、親水性高分子材料に関する。
【0003】
特に好ましい実施態様において、本発明は、Cu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子の混合物を含む多層親水性高分子材料に関する。
【背景技術】
【0004】
WO01/74166においては、イオン化銅がその中に封入された微細粒子を有しかつその表面から突き出ている、抗微生物及び抗ウイルス高分子材料が記載され、特許請求されており、上記刊行物の関連する教示は参照により本明細書に援用される。
【0005】
上記刊行物においては、高分子材料は任意の合成高分子でありえ、記載されている例は、ポリアミド(ナイロン)、ポリエステル、アクリル、ポリプロピレン、シラスチックゴム及びラテックスであることが示されている。
【0006】
しかし気付かれるように、上記特許の実施例1はその中に銅粉末が加えられたポリアミド二成分化合物の調製に関するものであり、抗ウイルス、抗真菌、抗細菌活性の試験が、当該繊維を用いて実施されていた。
【0007】
上記特許の実施例4においては、ラテックスグローブが作製されているが、これらはその表面から突き出たイオン性の銅の微細粒子を有するラテックスから作られていた。
【0008】
上記明細書の記載の時点では、上記刊行物の、例えば図1に見られるように、そこに挙げられている高分子材料は全て、イオン性の銅の微細粒子が高分子材料の表面から突き出ているときのみ、抗微生物剤及び抗ウイルス剤として効果があると考えられていた。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明により、親水性高分子材料と共に機能するとき、たとえCu++とCuの両方を放出する粒子が該親水性高分子材料内に直接かつ完全に封入されていても、抗ウイルス特性を有する材料及びそれらに基づいたデバイスを製造することが可能であることが驚くべきにもここに発見された。
【0010】
上記先の明細書においては教示も示唆もされていないこの驚くべき発見を踏まえて、本発明により、親水性高分子スラリーを調製すること、酸化銅(I)及び酸化銅(II)を含むイオン性銅粉末混合物を該スラリーに分散すること、次いで、該スラリーを押し出すか又は成型して親水性高分子材料を形成することを含む、親水性高分子材料に抗ウイルス特性を付与する方法であって、Cu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子が該親水性高分子材料内に直接かつ完全に封入されている、方法がここに提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の好ましい実施態様においては、上記イオン性銅粉末混合物は、酸化還元により調製され、好ましくは、上記イオン性銅粉末の調製において、上記還元は、還元剤としてホルムアルデヒドを用いて実施される。
【0012】
本発明はまた、Cu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子の混合物を含む、ウイルスの不活化のための親水性高分子材料であって、該粒子が該親水性高分子材料内に直接かつ完全に封入されかつその中で主要な活性成分である、親水性高分子材料を提供する。
【0013】
本発明の好ましい実施態様においては、上記粒子は約1〜10ミクロンの大きさであり、好ましくは、上記粒子は、上記親水性材料内に約1〜3w/w%の濃度で存在する。
【0014】
示したように、本発明は、具体的には親水性高分子材料に抗ウイルス特性を付与することに関し、本発明の好ましい実施態様においては、該親水性高分子材料は、ラテックス、ニトリル、アクリル、ポリビニルアルコール及びシラスチックゴムからなる群から選択される。
【0015】
本発明により、Cu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子の上記混合物を含む、薄い親水性高分子コーティングであって、該粒子が上記親水性高分子コーティング材料内に直接かつ完全に封入されかつその中で主要な活性成分である、コーティングも提供される。
【0016】
そのような薄層コーティングは、高分子及び他の基板に適用することができ、その重合が銅のカチオン種の存在によって中断されうる高分子への適用、及び又は、ラテックスグローブ及びコンドームにおけるような、ラテックスへの感受性が問題となるラテックス高分子物品のコーティングに特に有用である。
【0017】
本発明の知見に基づいてそれはここで可能であり、本発明はまた、それと接触したウイルスを不活化するためのデバイスを提供し、該デバイスは、Cu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子の混合物を含む親水性高分子材料から形成されたニップル又はニップルシールドの形状をしており、該粒子は該親水性高分子材料内に直接かつ完全に封入されている。
【0018】
本発明はまた、それと接触したウイルスを不活化するためのデバイスを提供し、該デバイスは、Cu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子の混合物を含む親水性高分子材料から形成されたバッグの形状をしており、該粒子は該親水性高分子材料内に直接かつ完全に封入され、そして好ましくは、該バッグは血液保存バッグである。
【0019】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、それと接触したウイルスを不活化するためのデバイスを提供し、該デバイスは、Cu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子の混合物を含む親水性高分子材料から形成されたチューブの形状をしており、該粒子は該親水性高分子材料内に直接かつ完全に封入されている。
【0020】
好ましくは、上記チューブは、血液又は乳汁のような体液の輸送用のチューブである。
【0021】
本発明の上記デバイスの特に好ましい実施態様においては、チューブを通って流れる流体の全てと上記高分子材料の表面との接触を確実にするためにチューブを通って流れる流体の混合を引き起こすため、該チューブは、その内腔内に伸びた突起を備えている。
【0022】
本発明のさらなる局面においては、それと接触したウイルスを不活化するためのデバイスが提供され、該デバイスは、Cu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子の混合物を含む親水性高分子材料から形成されたコンドームの形状をしており、該粒子は該親水性高分子材料内に直接かつ完全に封入され、かつその中で主要な活性成分である。
【0023】
本発明のさらに別の局面においては、それと接触したウイルスを不活化するためのデバイスが提供され、該デバイスは、Cu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子の混合物を含む親水性高分子材料から形成されたダイヤフラムの形状をしており、該粒子は該親水性高分子材料内に直接かつ完全に封入されている。
【0024】
本発明はまた、それと接触したウイルスを不活化するためのデバイスを提供し、該デバイスはCu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子の混合物を含む親水性高分子材料から形成されたグローブの形状をしており、該粒子は、該親水性高分子材料内に直接かつ完全に封入されている。
【0025】
本発明はまた、それと接触したウイルスを不活化するためのデバイスを提供し、該デバイスは親水性高分子材料から形成されかつさらなる親水性高分子材料の薄層でコーティングされたグローブの形状をしており、該さらなる親水性高分子材料は、Cu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子の混合物を含み、該粒子は、該親水性高分子材料内に直接かつ完全に封入されている。
【0026】
本発明の、特に好ましい実施態様においては、Cu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子の混合物を含む、ウイルスを不活化するための親水性高分子材料が提供され、該粒子は該親水性高分子材料内に直接かつ完全に封入され、かつその中で唯一の抗ウイルス成分である。
【0027】
PCT/IL03/00230に対応する米国特許出願10/339886(これの関連する教示も参照により本明細書に援用される)においては、フィルター材料を含むウイルスを不活化するためのデバイスを記載し、特許請求しており、該デバイスは、それの中に含まれる、Cu及びCu++イオンならびにそれらの組み合わせからなる群から選択されるイオン性の銅を有する。
【0028】
上記明細書においては、繊維の表面に酸化銅の形成をもたらす銅溶液を用いたセルロース繊維のめっきが記載されており、ここで、用いられるプロセスにより、酸化銅分子の一部としてCu(I)とCu(II)の種の両方が得られる。次いで、上記繊維を、HIV−1の不活化で効果的であることが分かっているフィルター中に含める。上記フィルターを用いたさらなる試験で、この組み合わせは西ナイル熱ウイルスの不活化及びアデノウイルスの中和でも効果的であることが明らかにされており、それゆえ、本発明の抗ウイルス親水性高分子材料もまた、同様のメカニズムで機能するためそのようなウイルスに対して効果的であると考えられる。
【0029】
本発明による親水性高分子材料のメカニズムは完全には理解されていないが、得られた結果を踏まえ、高分子材料を流体の水性媒体と接触させたとき、該媒体は該高分子内から銅のカチオン種を浸出させ、そしてPCT/IL03/00230に記載されているように、この抗ウイルス活性は、カチオン種と水との酸化還元反応を利用し、水と接触したときにCu(II)とCu(I)との間の転換を可能にすると考えられる。Cu(II)はCu(I)よりも安定である一方で、Cu(I)はHIVに対してCu(II)よりも効果的である。Cu(II)化合物はCu(I)化合物よりも非常にゆっくりと酸化し、生産物の保存期間を増加する。
【0030】
理解されるように、PCT/IL03/00230により完全に記載されているとおり、HIVの不活化における銅(II)イオンのここに証明された効果を踏まえ、本発明の親水性高分子材料はまた、世の中を苦しめている少なくとも2つの主要なHIV問題の解決のために使用することができる。
【0031】
これらの問題のうち1つ目は、第三世界諸国、特にアフリカの国々において、感染した母親からその新生児に授乳を通じてHIVが感染することにより、全ての人々がHIVにより死亡するという点である。
【0032】
これらの国々に蔓延する貧困により、乳汁代用品を新生児及び乳幼児に用いることができず、そして感染した母親の乳汁は子供へのHIV感染の主な原因であることが分かっている。
【0033】
西洋においても存在するさらに急を要する問題は、HIVで汚染された血液の輸血の懸念である。
【0034】
血液バンクは現在はHIV抗体により献血を選別しているが、抗体試験は、60〜90日の潜伏期間後でのみ効果的であることが知られており、それゆえ、この選別プロセスは、献血の2又は3ヶ月以内にHIVに感染しただけの個体の血液を検出しないという危険が常に存在する。
【0035】
それゆえ、本明細書で上記したように、本発明は血液輸送用のチューブ及び血液保存用のバッグを提供し、これらの表面はHIVウイルスのようなウイルスの不活化に効果的である。さらに本発明は、それを通過する乳汁がそこに含まれるいずれのHIVウイルスをも不活化される、授乳する母親の胸部保護に使用することのできるニップルを提供する。
【0036】
本発明のデバイス及び方法は上記好ましい用途に限定されるものではないこと、及び、本発明の好ましいチューブは、そこを通って流れる流体の全てと高分子材料の表面との接触を確実にするためにそこを通って流れる流体の混合を引き起こすために、その内腔内に伸びた突起を備えており、これにより、血液に含まれるいずれのウイルスをも不活化する該チューブを通って血液を輸送することができる点で、血液バンクからの血液を利用することができず直接的な輸血が強要される病院又は野戦病院環境においてもそのデバイスを使用できることが理解される。
【0037】
本発明のさらなる実施態様において、本発明のデバイスは、その者はその兆候を示さないが、その者の血液は該ウイルスのそこへの輸送により血液バンクを汚染しうる、当該疾患の保菌者の血液に存在することが現在明らかとなっている西ナイル熱の不活化を含む、体液中に見出される他のウイルスを不活化するために使用することもできる。
【0038】
理解されるように、一旦、水不溶性イオン性銅化合物が親水性高分子スラリー中に混合されたならば、該スラリーを成型又は押し出して、繊維、糸、フィルム、チューブ、シース、バッグ等を形成することができ、ここで、Cu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子は該親水性高分子材料内に直接かつ完全に封入されている。
【0039】
繊維がその外側にコーティングがされている、例えばWO98/06508及びWO98/06509において記載された繊維とは異なり、本生産物においては、ポリマーは、その中に直接かつ完全に封入されたイオン性の銅の微細水不溶性粒子を有している。本明細書で後述する試験により実証されるように、これらの完全に封入された粒子は、活性を有することが示されている。
【0040】
WO94/15463では、抗微生物特性を提供する第1のコーティングと、防護機能を提供する第2のコーティングとを有する無機粒子を含む抗微生物性組成物を記載しており、ここで、該第1のコーティングは銀もしくは銅、又は銀、銅及び亜鉛の化合物でありえ、銀及び酸化銅(II)を含む化合物が好ましい。該特許は、しかしながら、シリカ、ケイ酸塩、ホウケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミナ、リン酸アルミニウム、又はそれらの混合物から選択される二次的な保護コーティングを用いて、金属性の組成物をコーティングすることを含む、複雑で高価なプロセスに基づいており、実際、全ての請求項は、シリカ、アルミナ水和物及びアゼライン酸ジオクチルを含む連続的コーティングを有する組成物に関する。
【0041】
対照的に、本発明は親水性高分子材料の用途及び調製に関し、ここで、Cu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子は、上記刊行物によっては教示も示唆もされておらず、Cu++とCuを放出する水不溶性粒子がHIV−1活性の阻害にさえ効果的であることが証明されているという長所を有している親水性高分子材料内に直接かつ完全に封入されている。
【0042】
EP427858には、無機微細粒子が抗菌性金属及び/又は抗菌性金属の化合物によりコーティングされていることを特徴とする抗菌性組成物が記載されており、上記特許は、Cu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子が親水性高分子材料内に直接かつ完全に封入された親水性高分子材料を教示も示唆もしていない。
【0043】
DE4403016には、イオン性Cu++とCuとは対照的に銅を用いた殺菌性(bacteriacidal)及び殺真菌性の組成物が記載されており、上記特許も、Cu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子が親水性高分子材料内に直接かつ完全に封入された親水性高分子材料を教示も示唆もしていない。
【0044】
JP−01 046465には、銅、銀、水銀及びそれらの合金から選択される金属(これらの金属は、殺菌性及び殺精子効果を有する)を使用する殺菌性イオンを放出するコンドームが記載され、好ましくは、その金属は微細粉末化した銅である。塩化銅、硫酸銅及び硝酸銅などの銅塩も公知であるとして言及されているが、これらは水溶性塩であり、それらは、導入された高分子を分解し破壊する。同じように、酸化銅(II)が具体的に言及されているが、これはCuイオンの形態であり、それゆえ上記特許は、Cu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子が親水性高分子材料内に直接かつ完全に封入され、HIV−1活性の阻害でさえ効果的であることが証明されている親水性高分子材料の使用を教示も示唆もしていない。
【0045】
JP−01 246204には、粉末状の銅化合物及び有機ポリシロキサンの混合物が布、靴下等の作製のための熱可塑性成型物品中に分散された殺微生物性成型物品が記載されている。上記特許は、金属イオンはそれだけでは高分子に導入することはできず、銅イオンを繊維表面に放出するための接続経路を提供することも意図した有機ポリシロキサンの含有が必要であることを具体的に述べ、教示している。それゆえ、理解されるように、上記銅化合物は封入され、上記特許は、Cu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子が親水性高分子材料内に直接かつ完全に封入された親水性高分子材料の使用を教示も示唆もしていない。
【0046】
JP−03 113011には、好ましくは下着製造用の、良好な殺真菌及び衛生作用を有する繊維が記載され、ここで、当該合成繊維は、ゲルマニウム又はその化合物とともに、銅又は銅化合物を含むが、上記特許は、大部分を占めるゲルマニウムの存在を教示し必要としており、そこで開示する銅化合物は、好ましくは金属の銅、一価のCuであるヨウ化銅(I)及び水溶性銅塩である。従って、上記特許は、Cu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子が親水性高分子材料内に直接かつ完全に封入された、親水性高分子材料の使用を教示も示唆もしていない。
【0047】
EP 116865には、少なくともその一部が、細菌特性を有する少なくとも1つの金属イオンを保有するゼオライト粒子を含む、高分子物品が記載され、特許請求されており、従って、上記特許は、それ自身だけでゼオライトの非存在下で、HIV−1活性の阻害にさえ効果的であることが証明されている、Cu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子の使用を教示も示唆もしていない。
【0048】
EP 253653には、有機高分子及びアモルファスアルミノケイ酸塩固体粒子又はコーティング剤で処理されたアモルファスアルミノケイ酸塩固体粒子を含む、アモルファスアルミノケイ酸塩粒子を含有する高分子が記載され、特許請求されており、該アモルファスアルミノケイ酸塩固体粒子の少なくともいくらかは、殺菌作用を有する金属イオンを保有している。従って、上記特許は、それ自身だけでアモルファスアルミノケイ酸塩粒子の非存在下で、HIV−1活性の阻害にさえ効果的であることが証明されているCu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子の使用を教示も示唆もしていない。
【0049】
本明細書で上記したように、その中に直接かつ完全に封入されたイオン性の銅の微細粒子を有する本発明の親水性高分子材料はまた、成型/形成構成を用いて、使い捨てグローブ及びコンドームを製造するためにも使用することができる。
【0050】
一般的に、主原料は、濃縮及び保存された天然ゴムラテックスである。さらに、当該分野で公知の、酸、塩素ガス、アルカリ、及びコーン(corn/maize)スターチのような化学物質を加えることができるが、本発明によれば、粉末状のCu++及びCuも加えられる。
【0051】
鋳型(又は押し込み型)は、液状ラテックスがそれにくっつかないようにする調製物を通じて作られる。これは、当該分野で自体公知の、型への一連の浸漬及び処理を通じて行われる。次いで、鋳型を洗浄及び乾燥し、凝固化学物質の溶液中に浸漬する。この凝固剤は、鋳型上に層を形成し、この層は、鋳型をラテックスタンクに浸漬した際にラテックスを固めるのを助ける。
【0052】
その鋳型を、ラテックス混合物中に浸漬し、そこから引き出し、硬化オーブンを通す。グローブ及び/又はコンドームは、約120〜140℃の範囲の温度にこれらを曝露するオーブンの異なる領域を通過するにつれ硬化される。このプロセスは、ラテックスゴムを架橋して、必要とされる物理的品質を付与する。
【0053】
使い捨てのグローブ/コンドームを製造する通常のプロセスと本発明のプロセスとの違いは、原料中にCu++とCuを放出する水不溶性粒子を添加することである。
【0054】
本発明の特に好ましい実施態様において、その製造プロセスは、層のうちの少なくとも1つが、親水性高分子材料内に直接かつ完全に封入されたCu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子を備え、第2の層がそのような水不溶性粒子を実質的に含まない、多層親水性高分子材料を製造するように改変される。
【0055】
公知であるように、天然ラテックス又はニトリルから生産物を製造するためのプロセスは、天然抽出されるか又は合成された塩基化合物から開始する。その化合物から作られたフィルムの特性(例えば、硬度、柔軟性、靭性、付着性、色彩保持性、化学物質への耐性)は、異なる架橋高分子を作る可塑剤(plastic)及び添加剤の組成によって決定される。現在、これらの添加剤の大部分は、亜鉛架橋メカニズムを用いる。
【0056】
さらに公知であるように、銅は常に亜鉛と置き換わる。しかしながら、銅の化学的品質は、亜鉛と同様の架橋を可能とせず、通常はずっと脆弱である。ラテックス中の銅結合は非常に脆弱であり、即生分解性のフィルムを常に作り、これにより、減弱された構造的完全性を有するラテックスフィルムが得られる。
【0057】
本明細書で先に記載され、そして公知であるように、ラテックスと適切な添加物との混合の後、例えばグローブの形状のフィルムを作るときに用いられる一般的手法は、手の形のフィギュア上へのラテックスの成型である。手型からのラテックスの浸漬を調節するために、その型を、原料の硝酸カルシウム/炭酸カルシウム凝固により処理し、次いで、これを、加熱及び水分除去を通じて硬化及び架橋する。その凝固は、たった数秒の浸漬の後でさえ液状ラテックスから型を取り出しても液垂れが全く起こらないほど速くそして完全である。このラテックス中への浸漬は、実際のグローブの作製である。その時点で、そのグローブは、グローブを硬化する一連のオーブンを通る。
【0058】
通常、カルシウム化合物及びラテックス溶液の粘度の制限された効果に基づくグローブの厚さに対する有限の制限がある。ここで驚くべきことに、本発明により、層が比較的薄ければ、1よりも多い層中へのカルシウム化合物の透過性を拡張させることが可能なことが発見された。
【0059】
銅粉末がそこに加えられる高希釈ラテックス溶液(約70%水分)を調製した。型を、カルシウム化合物に通し、その後希釈ラテックスに通した。均一な薄い層が型上に作られるのが観察された。その型を、その後、通常のラテックス浴中に、通常設定される時間置いた。型と同じ量のラテックスを取り出し、保持することにその型は全く問題がないことが驚くべきことに発見され、これはラテックス/銅溶液を見なかった。
【0060】
得られたのは、従来製造されたラテックスグローブの物理的特性を有しているグローブであった。そのグローブは、硬化した後裏返して、外側に薄い生物学的に活性な層を、内側に従来のラテックスグローブを得た。グローブの2つの層を見分けることができなかった。層の区別を確実にするために、一方の層に染料を加え、2つの層間での色の区別は明白であった。
【0061】
カルシウム化合物及びそれらのラテックスへの効果の制限をさらに試験するため、3つの浸漬を使用する以外は、この同様の試験を行った。1番目と3番目の浸漬は銅/ラテックスであり、中間の浸漬は従来のラテックス浸漬であった。通常のグローブよりもわずかに厚い3層グローブが作られたが、また通常のグローブと見分けることはできなかった。
【0062】
物理試験において、最終生産物は、効果的な殺菌及び抗ウイルス品質を示した以外は、従来のグローブの全ての物理的特性を示した。
【0063】
従って、この新規の製造プロセスを用いて、グローブ、コンドーム、チューブ、シース、バッグ等の多層親水性高分子材料(ここで、構造的完全性は、その中に銅を含ませるようには処理していない層により提供され、一方、抗ウイルス特性は、薄い外層、薄い内層、もしくは両者により提供され、これらの薄層は、上記薄い親水性高分子材料内に直接かつ完全に封入されたCu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子を有する)を製造することが可能であることが理解される。
【0064】
それゆえ、本発明の特に好ましい実施態様において、ここに、それと接触したウイルスを不活化するためのデバイスが提供され、ここで、上記デバイスは親水性高分子材料から形成されたニップルもしくはニップルシールドの形状、又は親水性高分子材料から形成されたバッグの形状、又は親水性高分子材料から形成されたチューブの形状、又は親水性高分子材料から形成されたコンドームの形状、又は親水性高分子材料から形成されたダイヤフラムの形状、又は親水性高分子材料から形成されたグローブの形状をしており、上記デバイスのそれぞれにおいて、親水性高分子材料は、親水性高分子層内に直接かつ完全に封入されたCu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子を備えた少なくとも1つの層と、そのような水不溶性粒子を実質的に含まない第2の親水性高分子層とを含む多層高分子材料である。
【0065】
その側面がより完全に理解及び認識されうるように、以下の実施例の特定の好ましい実施態様とともに、そして添付の図面を参照して、本発明をここに説明するが、本発明をこれら特定の実施態様に限定することは意図しない。対照的に、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲内に含まれうる全ての改変物、修飾物及び均等物を包含することを意図する。それゆえ、好ましい実施例を含む以下の実施例は、この発明の実施を説明するのに役立ち、示される詳細は、例示のみであり、本発明の好ましい実施態様の説明的記載のためだけであり、設計手順ならびに本発明の原理及び概念的側面の最も有用かつ容易に理解される説明であると考えられるものを提供しつつ提示されることが理解される。
【実施例】
【0066】
実施例1
a)ある量の酸化銅粉末を、自体公知であり前述の先行技術に記載されている酸化還元プロセスを通じて製造した。この製造において、ホルムアルデヒドを還元剤として用いた。得られた粉末は、酸化銅(I)と酸化銅(II)の混合物を示す濃い茶色であった。
b)この粉末を乾燥させ、約4ミクロンの粒子径まで製粉した。
c)ある量の二成分ラテックスを混合し、成型可能な液体状態にするために約150℃の温度で加熱した。
d)ラテックス内にこの粉末を1重量%、2重量%、及び3重量%含む3つのサンプルを作った。より詳細には、サンプル1では、1グラムの粉末を100グラムの加熱ラテックススラリーに加え、サンプル2では、2グラムの粉末を100グラムの加熱ラテックススラリーに加え、サンプル3では、3グラムの粉末を100グラムの加熱ラテックススラリーに加えた。
e)次いで、得られたスラリーを成型して、複数のラテックスバッグを形成した。
【0067】
実施例1に記載された手順に関して、理解されるように、水不溶性銅含有化合物をスラリー段階で加えるため、同様のシステムが任意の成型又は押出しプロセスに適用することができる。それゆえ、銅化合物を製造のこの段階で加えるため、グローブ、チューブ、シース、バッグ、ニップルシールド、コンドーム、ダイヤフラム又は任意の所望の生産物を含むがこれに限定されない任意の生産物を、成型又は押出しを通じて作ることができる。
【0068】
唯一の制限は、銅化合物の粒径が、押出し機械を通じたスラリーの流れを妨げないように十分に小さくなくてはならないことに留意すべきであり、これは上記プロセスにおいて、約4ミクロンの粒径を用いている理由である。さらに、3重量%の銅化合物をラテックススラリーに加えたときでさえ、スラリーの粘度に識別可能な相違はないことに留意すべきであり、本発明の汎用性をさらに裏付けている。
【0069】
最終生産物を、観察のため電子顕微鏡下に置いた。目視又は分光学的測定によって、酸化銅粒子は成型生産物の表面に認識できなかった。これはポリエステルポリマーを用いて同様のプロセスを実施したときになされた観察とは異なっていた。
【0070】
ポリエステル繊維の場合、酸化銅化合物の粒子が、2ミクロンの大きさまで製粉したときでさえ、依然として高分子表面から突き出ていることに気付いた。
【0071】
実施例2
Cu++とCuの両方を放出する実施例1に従って作られた複数のバッグを、試験のために、臨床免疫学のルースベン−アリ協会(Ruth Ben−Ari Institute of Clinical Immunology)とイスラエルのカプランメディカルセンター(Kaplan Medical Center)のエイズセンターに送った。
【0072】
方法:HIVを含んだ培地のアリコートを、UV滅菌Cupron銅含有ラテックスバッグ又は銅を含有していないUV滅菌ラテックスバッグ中に置いた。いかなる材料にも曝露していないウイルスストックを、感染性のポジティブコントロールとして使った。ウイルス活性のネガティブコントロールとしては、いかなるウイルスも含まない培地をCupron銅含有バッグ中に置いた。室温における20分間のインキュベーション後、それぞれのバッグからの50μlの滴を、10%のウシ胎仔血清(FCS)を含んだ40μlの新鮮培地と混合し、それぞれの混合物を10%FCSを含んだ1mlの培地中の標的細胞に加えた。次いで、このウイルス−細胞混合物を、37℃のCO加湿インキュベーター中の24ウェルプレートで、インキュベートした。4日間のインキュベート後、1ウェルあたりに存在するウイルスの量を定量した。
【0073】
結果:ウイルスを含有し、銅を含まないラテックスバッグに曝露した培地のウイルス感染性は、用いたストックウイルスのものと同様であったが、ウイルスをスパイクし、Cupron銅カチオン放出バッグに曝露した培地中又はスパイクしていない培地中では、ウイルス感染性は測定されなかった。
【0074】
それゆえ、Cupron銅カチオン放出ラテックスバッグは、ウイルスを不活化した。
【0075】
実施例2の結果は、本発明によるデバイスは、それと接触した流体中のウイルスを不活化するのに効果的であり、それゆえ、例えば、本発明による血液保存バッグは、その中に保存された血液が当該血液の受容者にウイルスを感染させないことを確実にしうることを最終的に証明している。
【0076】
実施例3
実施例1の工程a、b及びcを繰り返すが、従来のラテックス溶液中では通常の水分含有量は約30〜35%であるが、その溶液中の水分量は倍であり、そのため、それは70%水及び30%ラテックスであった。
【0077】
70%水/30%ラテックス溶液に、粉末が直径2ミクロンまでの粒子から形成された、酸化銅(I)と酸化銅(II)の粉末の混合物を含む3%(ラテックスの重量に基づいて計算)の酸化銅(II)化合物を加えた。その粉末をラテックス溶液中に攪拌し、均質性の維持を保証するために攪拌を継続した。このプロセスは室温において行った。
【0078】
手のセラミック型を、その型を湿潤するのに十分な硝酸カルシウム/炭酸カルシウム溶液中に浸漬した。次いで、その型を、希釈した銅/ラテックス溶液中に5秒まで浸漬した。その型を遠心力によって余分な化学物質を除去するために、その中心軸上で回転した。次いで、その型を、それを従来のラテックス中に浸漬する通常の製造ラインに戻し通常の製造を通過させた。
【0079】
次いで、硬化後のグローブを裏返し、外側に80〜100ミクロンの厚さを有する薄い生物学的に活性な層と、約1000〜1200ミクロンの厚さを有する内層を有していることが分かった。
【0080】
実施例4
Cu++とCuの両方を放出する実施例3に従って作られたグローブを、その抗ウイルス特性について試験し、ここでは、二重層天然ラテックスグローブ及び二重層ニトリルグローブを作り、試験した。
【0081】
実施例4A − HIV−1クレードAの阻害
HIV−1クレードAストックウイルスの150μlアリコートを、室温に20分間、一連の二層Cupronラテックスグローブの表面、及び一連の二層Cupronニトリルグローブの表面に置いた。コントロールとして、グローブに曝露していない150μlのウイルスを室温で20分間インキュベートした。次いで、各種ウイルスアリコートを培地中に連続希釈し(1:3希釈)、その希釈物をMT−2細胞(HIV−1感染に感染性のT細胞)に加えた(4連で行った)。MT−2細胞中の合胞体形成の存在(ウイルス感染の指標)を、加湿インキュベーター中37℃7日間の培養後、倒立顕微鏡によって判断した。これは、図1中の表に記載されている、50%組織培養感染量(TCID50)の計算の元となった。
【0082】
実施例4B − HSV−1の阻害
単純ヘルペスウイルス1型(HSV−1)アリコートの150μlアリコートを一連の二層Cupronニトリルグローブの表面に室温で20分間置いた。コントロールとして、グローブに曝露していない150μlのウイルスを室温で20分間インキュベートした。その後、5、10、20又は40μlのこれらのウイルスアリコートを1ml培地中で増殖させた293細胞(HSV−1感染性の細胞)に加えた(4連で行った)。加湿インキュベーター中37℃2日間の培養後、ウイルスの細胞変性効果(プラークの形成)を倒立顕微鏡により調べた)。本明細書に添付された図2に見られうるように、本発明によるグローブは、全てのウイルス濃度において効果的であり、これを阻害した。
【0083】
上記実施例から、それを含む本発明による親水性高分子材料及びデバイスは抗ウイルス特性を有し、血液の保存及び輸送ならびに保護グローブ、コンドーム等へのそれらの使用は、現在市場で入手可能な生産物を超える重要な利点を提供し、ウイルス感染の予防に重要な利益でありうることは明らかである。
【0084】
実施例5
カルシウム化合物及びそれらのラテックスに対する効果の制限をさらに試験するために、実施例3の手順を繰り返したが、3つの浸漬を使用した。1つ目と3つ目の浸漬は、銅/ラテックスであり、中間の浸漬は従来のラテックス浸漬であった。通常のグローブよりもわずかに厚い三層グローブが作製されたが、また、通常のグローブと見分けることはできなかった。物理試験において最終生産物は、効果的な殺菌及び抗ウイルス品質を示した以外は、従来のグローブの全ての物理的特性を示した。
【0085】
以下の表は、単層生産物中に水不溶性粒子を単に導入することとは違い、二又は三層グローブを製造した際には、本発明による生産物の構造的完全性は維持されることを示している。
【0086】
表1では、通常のラテックスグローブの試験を示しており、ここで、ロードピークは約8の範囲である。
【0087】
表2では、そこに含まれる1%の酸化銅を有する単層ラテックスグローブの試験を示しており、ここで、ロードピークは6.5〜7.7の値まで減少している。
【0088】
表3では、本発明による三層ラテックスグローブの試験を示しており、ここで、1つのグローブは7.4のロードピークを示したが、他の3つの試験されたグローブは8.6〜10.1のロードピークを示した。
【0089】
【表1】

【0090】
【表2】

【0091】
【表3】

【0092】
本発明が、前述の例示的実施例の詳細に限定されるものではないこと、本発明がその必須の特性から逸脱することなく他の具体的形状で具体化されうることは当業者に明白であり、従って、前述の説明よりもむしろ添付の特許請求の範囲を参照して、本実施態様及び実施例は、例示であり制限的でないものとして全ての面で考えられることが望ましく、それゆえ、特許請求の範囲の均等の意味及び範囲内に当たる全ての変更は本明細書に包含されることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0093】
図面中、
【図1】図1は、HIV−1阻害の比較試験の結果の図示であり、そして
【図2】図2は、単純ヘルペスウイルス1型阻害の比較試験の結果の図示である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親水性高分子スラリーを調製すること、酸化銅(I)及び酸化銅(II)を含むイオン性銅粉末混合物を該スラリー中へ分散すること、次いで、該スラリーを押し出すか又は成型して親水性高分子材料を形成することを含む、親水性高分子材料に抗ウイルス特性を付与する方法であって、Cu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子が該親水性高分子材料内に直接かつ完全に封入されている、方法。
【請求項2】
前記イオン性銅粉末混合物が酸化還元により作られる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記還元が還元剤としてホルムアルデヒドを用いて行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
Cu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子の混合物を含むウイルスの不活化のための親水性高分子材料であって、該粒子が該親水性高分子材料内に直接かつ完全に封入され該親水性高分子材料中で主要な活性成分である、親水性高分子材料。
【請求項5】
前記粒子が約1〜10ミクロンの大きさを持つものである、請求項4に記載のウイルスの不活化のための親水性高分子材料。
【請求項6】
前記粒子が前記親水性材料内に約1〜3w/w%の濃度で存在する、請求項4に記載のウイルスの不活化のための親水性高分子材料。
【請求項7】
前記親水性高分子材料が、ラテックス、ニトリル、アクリル、ポリビニルアルコール及びシラスチックゴムからなる群から選択される、請求項4に記載のウイルスの不活化のための親水性高分子材料。
【請求項8】
前記高分子材料が、親水性高分子層内に直接かつ完全に封入されたCu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子を備えた少なくとも1つの層と、そのような水不溶性粒子を実質的に含まない第2の親水性高分子層とを含む、多層高分子材料である、請求項4に記載のウイルスの不活化のための親水性高分子材料。
【請求項9】
前記少なくとも1つの層及び前記第2の層が、同じ高分子材料から形成される、請求項8に記載のウイルスの不活化のための親水性高分子材料。
【請求項10】
Cu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子の混合物を含む親水性高分子材料から形成されたニップル又はニップルシールドの形状をしている、デバイスと接触したウイルスを不活化するためのデバイスであって、該粒子が該親水性高分子材料内に直接かつ完全に封入されている、デバイス。
【請求項11】
前記親水性高分子材料が、親水性高分子層内に直接かつ完全に封入されたCu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子を備えた少なくとも1つの層と、そのような水不溶性粒子を実質的に含まない第2の親水性高分子層とを含む、多層高分子材料である、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
Cu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子の混合物を含む親水性高分子材料から形成されたバッグの形状をしている、デバイスと接触したウイルスを不活化するためのデバイスであって、該粒子が該親水性高分子材料内に直接かつ完全に封入されている、デバイス。
【請求項13】
前記親水性高分子材料が、親水性高分子層内に直接かつ完全に封入されたCu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子を備えた少なくとも1つの層と、そのような水不溶性粒子を実質的に含まない第2の親水性高分子層とを含む多層高分子材料である、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記バッグが血液保存バッグである、請求項12に記載のデバイスと接触したウイルスを不活化するためのデバイス。
【請求項15】
Cu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子の混合物を含む親水性高分子材料から形成されたチューブの形状をしている、デバイスと接触したウイルスを不活化するためのデバイスであって、該粒子が該親水性高分子材料内に直接かつ完全に封入されている、デバイス。
【請求項16】
前記親水性高分子材料が、親水性高分子層内に直接かつ完全に封入されたCu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子を備えた少なくとも1つの層と、そのような水不溶性粒子を実質的に含まない第2の親水性高分子層とを含む多層高分子材料である、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記チューブが体液輸送用のチューブである、請求項15に記載のデバイスと接触したウイルスを不活化するためのデバイス。
【請求項18】
前記チューブが、デバイスを通って流れる流体の全てと前記高分子材料の表面との接触を確実にするためにデバイスを通って流れる流体の混合を引き起こすための、デバイスの内腔内に伸びた突起を備えている、デバイスを通って流れる流体に含まれるウイルスを不活化するための請求項15に記載のデバイス。
【請求項19】
Cu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子の混合物を含む親水性高分子材料から形成されたコンドームの形状をしている、デバイスと接触したウイルスを不活化するためのデバイスであって、該粒子が該親水性高分子材料内に直接かつ完全に封入されかつ該親水性高分子材料中で主要な活性成分である、デバイス。
【請求項20】
前記親水性高分子材料が、親水性高分子層内に直接かつ完全に封入されたCu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子を備えた少なくとも1つの層と、そのような水不溶性粒子を実質的に含まない第2の親水性高分子層とを含む多層高分子材料である、請求項19に記載のデバイス。
【請求項21】
Cu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子の混合物を含む親水性高分子材料から形成されたダイヤフラムの形状をしている、デバイスと接触したウイルスを不活化するためのデバイスであって、該粒子が該親水性高分子材料内に直接かつ完全に封入されている、デバイス。
【請求項22】
前記親水性高分子材料が、親水性高分子層内に直接かつ完全に封入されたCu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子を備えた少なくとも1つの層と、そのような水不溶性粒子を実質的に含まない第2の親水性高分子層とを含む多層高分子材料である、請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
Cu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子の混合物を含む親水性高分子材料から形成されたグローブの形状をしている、デバイスと接触したウイルスを不活化するためのデバイスであって、該粒子が該親水性高分子材料内に直接かつ完全に封入されている、デバイス。
【請求項24】
前記親水性高分子材料が、親水性高分子層内に直接かつ完全に封入されたCu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子を備えた少なくとも1つの層と、そのような水不溶性粒子を実質的に含まない第2の親水性高分子層とを含む多層高分子材料である、請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
親水性高分子材料から形成されたグローブの形状をしておりかつさらなる親水性高分子材料の薄層でコーティングされた、デバイスと接触したウイルスを不活化するためのデバイスであって、該さらなる親水性高分子材料がCu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子の混合物を含み、該粒子が該親水性高分子材料内に直接かつ完全に封入されている、デバイス。
【請求項26】
前記親水性高分子材料が、親水性高分子層内に直接かつ完全に封入されたCu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子を備えた少なくとも1つの層と、そのような水不溶性粒子を実質的に含まない第2の親水性高分子層とを含む多層高分子材料である、請求項25に記載のデバイス。
【請求項27】
Cu++とCuの両方を放出する水不溶性粒子の混合物を含む、ウイルスの不活化のための親水性高分子材料であって、該粒子が、該親水性高分子材料内に直接かつ完全に封入されかつ該親水性高分子材料中で唯一の抗ウイルス成分である、親水性高分子材料。
【請求項28】
フィルムの形状をしている、請求項27に記載のウイルスの不活化のための親水性高分子材料。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−504291(P2007−504291A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524524(P2006−524524)
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【国際出願番号】PCT/IL2004/000636
【国際公開番号】WO2005/020689
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(505300106)ザ カプロン コーポレイション (4)
【Fターム(参考)】