説明

抗ストレス・疲労防止、肌のキメ改善又はシワ改善・防止効果を有する組成物又は内服剤

【要 約】
【課 題】 抗ストレス・疲労防止作用を有し、顔面の肌のキメを改善し、さらに表皮への水分分泌が活性化されて肌に潤いを与え、シワを予防・改善することができる組成物又は内服剤の提供を課題とする。
【解決手段】 桂枝茯苓丸料加ヨクイニンに代表される桂皮(ケイヒ)、茯苓(ブクリョウ)、牡丹皮(ボタンピ)、桃仁(トウニン)、芍薬(シャクヤク)、ヨクイニンの混合物からなる内服剤を摂取することにより、抗ストレス・疲労防止効果を示し、顔面の肌のキメを改善し、さらに表皮への水分分泌が活性化されて肌に潤いを与え、シワを予防・改善することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗ストレス機能や疲労防止機能を有し、更に外的又は内的要因に起因する肌トラブルや肌老化を抑制して肌のキメ改善又はシワの予防・改善に効果がある、漢方処方に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ストレスがさまざまな不調や病気を引き起こす要因になっていることが分かってきたことから、最近の医学では、精神的な要素を重視して、心身両面から健康状態をとらえる医療が注目されている。特に、女性の身体は月経周期的でデリケートなホルモンバランスの上で成り立っており、ストレスの影響を受けやすい。
そのため、疲労感を感じたり、肌トラブルを生じたりして、QOLを妨げ快適な生活に対する影響が大きい。
【0003】
ストレスを受ければ自律神経系の交感神経の興奮により、血圧と心拍数を上昇させ、胃腸・腎臓・皮膚への血流量を減少させ、骨格筋への血液供給量を増やす。
それに対して副交感神経は、体を休ませ体力を回復し、新たなエネルギーを獲得するために、心拍と血圧を下げて、皮膚と胃腸への血液を増やし、瞳孔と細気管支を収縮させて、唾液腺分泌を刺激して、消化器官の蠕動を活発にする。全身のほとんどの器官は交感神経と副交感神経両方の支配を受け、二つの神経系がバランス良く働くことで適正に保たれているが、交感神経と副交感神経のバランスが崩れると疲労感や多汗などの全身症状が現れる。
【0004】
また、疲労とは、一般に「過度の肉体的または精神的活動により生じた特有の病的不快感と、休養を求める欲求を伴う身体または精神機能の減退状態」と定義され、肉体的疲労、精神的疲労、慢性疲労性症候群が挙げられる。その中、近年、精神的疲労を自覚する人が急増しているため、その原因解明とともに、予防方法及び治療方法の開発が求められている。また、慢性疲労性症候群は、健康に生活していた人が感冒などを引き金にして、それ以降激しい疲労感、微熱、頭痛、筋肉痛、脱力感、抑うつなどの症状を長期間にわたって訴え、健全な生活ができなくなるという疾患で、その原因は全く解明されていない。
【0005】
ストレスが及ぼす皮膚への影響に関しては、ストレスがざ瘡(ニキビ)発症悪化に関係することやアトピー性皮膚炎の要因の一つであることが経験的に指摘されており、また円形脱毛症や慢性蕁麻疹などの皮膚疾患とストレスとの関連が知られている。
【0006】
また、皮膚は体全体を被っているものであり、外界からさまざまな刺激を受けている。そのため、皮膚の最も重要な機能はバリアー機能であることは言うまでもない。しかし、紫外線や乾燥などの外的要因、加齢などの内的要因によって皮膚は痛めつけられており、そのダメージ蓄積によって確実に疲労し老化していくのである。肌の老化は、皮膚のキメが粗くなり、ハリがなくなってシワが増え、皮膚の黄色化や色素沈着などが進む。また、女性では月経に伴うホルモンバランスの乱れにより肌の状態が変化し、月経トラブルの有訴者ではニキビ、色素沈着のような肌トラブルを引き起こすことが多い。
【0007】
肌の表面には、皮溝といわれる網目状に走っている細い溝があり、その間に、これに囲まれた大小の四角形、菱形、多角形などの扁平に高まっている部分があり、これを皮丘とよぶ。皮溝が細かく浅い溝からできていて、皮丘も全体として滑らかな表面をつくっているとき、キメの細かい肌という。それに対して、皮溝が深く、広くなって目立ち、皮丘も
個々かたまりが目立っているものは、キメの粗い肌という。小児、若い女性の肌に前者が多く、中年以降の人に後者が多い。また、外界の刺激を多く受けている人ほど、キメの粗い肌が多い。
【0008】
加齢とともに、肌のキメの細かさがなくなり、シワが増えることは自然の摂理であるが、美容上の問題として、皮膚の老化を防ぎ、いつまでも若い肌でありたいという願望もまた自然である。しかし、このような外観上の問題だけでなく、肌のキメが粗い状態を放置すると、皮膚の機能低下を招き、本来のバリアー機能にまで影響を及ぼすことにもなり、生命維持上重要な機能までダメージを与えることになる。
【0009】
このような肌のキメやシワを改善して肌の衰えという問題を解決するため、化粧品や食品などの形態で多くの技術が開発されてきた。例えば、スキンケア化粧料を使用して、外的要因に起因する肌荒れを抑え肌のキメを整える場合、その化粧料には肌表皮の新陳代謝の促進に有効な成分、角質層の保護に有効な成分、ヒアルロン酸やコラーゲンの合成を促進する成分や抗酸化剤などが提案されている。このような観点からは、新陳代謝を促進するリノレン酸を安定的に配合した抗老化剤(特許文献1)、ソルビトール及び/又はマンニトールとグリセリン及び/又はジグリセリンを配合したキメ改善化粧料(特許文献2)、皮膚浸透指数が2以上であることを特徴とする油性成分を配合したキメ改善化粧料(特許文献3)、オレイン酸エチルを配合したキメを整える効果に優れた化粧料(特許文献4)、ノニル酸バニリルアミドを含有したキメ、シワやたるみを改善する皮膚外用剤(特許文献5)などが開示されている。
【0010】
食品としては、肌のキメを細かくする米抽出物よりなる美容飲料(特許文献6)、肌の老化によるシワ、たるみ、くすみ、キメの変化を防止するため2種類のムコ多糖とコラーゲンなどとコエンザイムQ10とを有効成分として配合した経口用皮膚老化予防・改善剤(特許文献7)、レチノイド関連オーファン受容体(ROR)活性化剤を含有する老化防止用組成物(特許文献8)などが開示されている。
【0011】
しかしながら、従来の方法では肌のキメ改善効果において十分に満足するものといえず、紫外線や乾燥などの外的要因、加齢などの内的要因に起因する肌トラブルや肌老化を抑制し、さらには粗くなった肌のキメ改善剤、又はシワ予防若しくはシワ改善剤が求められていた。
【0012】
また、シワの改善目的で、コラーゲン産生促進剤(特許文献9)やヒアルロン酸産生促進剤(特許文献10)などが開示されており、それぞれ桂皮エキスや芍薬エキスなどが有効とされているが、これらは対症療法的な手段であり、根本的な解決にならない。
【0013】
シワ防止のその他の提案として、血管内皮細胞の新生阻害による抗老化剤(特許文献11)としてヨクイニンエキスなどが開示されており、微小循環不全に起因する肌荒れの改善を目的としたヨクイニンのような生薬類を含有するストレス緩和用の経口投与組成物(特許文献12)が開示されているが、シワ防止効果との関連は明確でなく、十分な効果が得られるとは言い難い。
【0014】
一方、ストレスが原因の種々トラブルに関し、茯苓のような菌類のエッセンスを含有する生体環境快適化組成物(特許文献13)、免疫が低下するようなアポトーシスに対して、桂枝茯苓丸他いくつかの漢方薬を有効成分として含有するアポトーシス抑制剤(特許文献14)、冠元顆粒を有効成分として含有する老化抑制剤及び酸化ストレス抑制剤(特許文献15)が開示されているが、いずれもストレスが原因で生じた生体側の機能低下を改善するものであり、ストレスそのものを根本的に取り除くまでには至っていない。
【0015】
疲労倦怠感に対しては、八味地黄丸や人参栄養湯などの漢方薬がよく知られているが、漢方薬以外に、桂皮、芍薬、茯苓のような生薬類にビタミンやアミノ酸などを組み合わせた新規な疲労改善用の内服剤(特許文献16及び17)が提案されている。ここで生薬類を用いているのは、ビタミンとアミノ酸とによる疲労回復効果を促進するために過ぎないことが示唆され、生薬自体の疲労防止効果は示されていない。
【0016】
以上のように、従来の方法ではストレスや疲労を根治するものではなく、ストレスや疲労が原因として現われた症状を対症的に改善するものであり、ストレスや疲労の根本治療を期待するには十分に満足するものといえなかった。
【0017】
【特許文献1】特開2002−80370号公報
【特許文献2】特開2004−51545号公報
【特許文献3】特開2004−51539号公報
【特許文献4】特開2006−273807号公報
【特許文献5】特開2007−261964号公報
【特許文献6】特開2005−177号公報
【特許文献7】特開2006−143671号公報
【特許文献8】特開2007−238463号公報
【特許文献9】特開2008−105984号公報
【特許文献10】特開2008−105985号公報
【特許文献11】再公表WO2003/084302号公報
【特許文献12】特開2004−83449号公報
【特許文献13】特開2000−119126号公報
【特許文献14】特開平9−30983号公報
【特許文献15】特開2006−28155号公報
【特許文献16】特開2007−161675号公報
【特許文献17】特開2007−277207号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、「抗ストレス・疲労防止作用」を有し、また「肌のキメ改善」「シワの予防又は改善」の効果に優れた組成物又は内服剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行ったところ、桂枝茯苓丸料加ヨクイニンが、抗ストレス・疲労防止作用を有し、肌のキメを改善し、肌の外分泌を促進することにより潤いを与え、シワの予防・改善にも効果が期待できること見出し、本発明を完成させた。
【0020】
即ち、本発明は、ケイヒ(桂皮)、ブクリョウ(茯苓)、ボタンピ(牡丹皮)、トウニン(桃仁)、シャクヤク(芍薬)、ヨクイニンの混合物からなる肌のキメ改善用又はシワ予防・改善用の組成物或は内服剤である。より具体的には、桂皮2〜5重量部、茯苓2〜5重量部、牡丹皮2〜5重量部、桃仁2〜5重量部、芍薬2〜5重量部、ヨクイニン5〜20重量部である肌のキメ改善用又はシワ予防・改善用の組成物或は内服剤である。さらに具体的には、前記組成物或は内服剤が、桂枝茯苓丸料加ヨクイニンと称される漢方処方である。
【0021】
これまで、桂枝茯苓丸料加ヨクイニンが、抗ストレス、疲労防止、肌のキメやシワの改
善などの効果を有することは知られていなかった。また、背景技術にも記載したとおり、桂枝茯苓丸料加ヨクイニンを構成する桂皮、茯苓、芍薬及びヨクイニンなどの生薬には、ストレスや疲労により生じた症状を対症的に改善する効果は開示されているものの、抗ストレス作用や疲労自体を防止する作用は知られていなかった。
【発明の効果】
【0022】
本発明の、桂皮、茯苓、牡丹皮、桃仁、芍薬、ヨクイニンの混合物から抽出したエキスを含有する内服剤は、従来より知られていた「月経トラブルに起因するトラブル解消効果」に加え、「抗ストレス・疲労防止作用」「顔面の肌のキメの改善効果」、更には「表皮への水分分泌を活性化し、肌に潤いを与え、シワを予防・改善する効果」を新たに見出した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明において使用される生薬は以下のものである。
桂皮は、クスノキ科のケイCinnamomum cassia Blume の樹皮又は周皮の一部を除いたものである。
茯苓は、サルノコシカケ科のマツホドPoria cocos Wolf の菌核で、通例、外層をほとんど除いたものである。
牡丹皮は、ボタン科のボタンPaeonia suffruticosa andrews の根皮である。
桃仁は、バラ科のモモPrunus persica Batsch 又はPrunus persica Batsch var.davidiana Maximowicz の種子である。
芍薬は、ボタン科のシャクヤクPaeonia lactiflora Pallas
の根である。
ヨクイニンは、イネ科のハトムギCoix lacryma-jobi Linne var.mayuen Stapf の種皮を除いた種子である。
【0024】
これら6種類の生薬のうち、桂皮、茯苓、牡丹皮、桃仁及び芍薬の5種類の生薬からなる漢方処方が桂枝茯苓丸である。この桂枝茯苓丸は中国宋時代の医書「金匱要略」に記載されており、月経不順、月経困難症、更年期障害、血の道症、のぼせ症で充血しやすく、足冷え、頭痛、めまい、耳鳴り、肩こりやしみに対して処方される。この桂枝茯苓丸に、民間薬としていぼ取りや皮膚のあれによく使われるヨクイニンを加えた処方、すなわち前述の6種類の生薬からなる漢方処方が桂枝茯苓丸料加ヨクイニンで、お血が原因で起こる皮膚のあれやにきびに用いられる。
【0025】
本発明の、桂皮、茯苓、牡丹皮、桃仁、芍薬、ヨクイニンの混合物からなる抗ストレス・疲労防止作用、肌のキメ改善用又はシワ予防・改善用の内服剤は、桂皮2〜5重量部、茯苓2〜5重量部、牡丹皮2〜5重量部、桃仁2〜5重量部、芍薬2〜5重量部、ヨクイニン5〜20重量部からなる混合生薬、または、好ましくは桂皮4重量部、茯苓4重量部、牡丹皮4重量部、桃仁4重量部、芍薬4重量部、ヨクイニン10重量部からなる混合生薬から得られる濃縮エキスまたは乾燥エキス粉末が挙げられる。
【0026】
これら6種類の生薬の合計重量に対して5〜25倍量、好ましくは8〜20倍量の水を加えて、通常80〜100℃で30分間〜2時間加熱してエキスを煎出する。次に煎出液を熱時濾過して固形成分を除去し、この抽出液を濃縮し生薬抽出液が得られる。さらに、通常の乾燥方法、例えばスプレードライ、減圧濃縮乾燥、凍結乾燥等により乾燥することもできる。このようにして得られたエキス粉末はそのままの形で使用することもできるが
、通常、食品及び/又は医薬品に使用される通常の賦形剤(例えば、結晶セルロース、ショ糖脂肪酸エステル、白糖等)を加え、例えば、乾式造粒法或は湿式造粒法により造粒して製造し、このようにした造粒物をそのまま使用することもできるが、それらをさらに打錠機を用いた圧縮成形物として使用することもできる。
【0027】
また、漢方エキスが特有のえぐみを有することから、マスキングした製剤が服用上好ましく、被覆剤で被覆したフィルムコート剤とすることもできる。また、成分の安定性の点や簡単に摂取できる形態として、粉砕したものをそのまままた上記造粒物をハードカプセルやソフトカプセルに充填し摂取してもよい。
【0028】
或いは、各生薬をそれぞれ個別に抽出したエキスを混合して、前述した同様の方法により使用することもできる。
【0029】
また、抽出したエキスに、通常、液状の食品などに使用される甘味料、酸味料、乳化剤、フレーバー、分散助剤などの賦形剤を加えて溶解し、液体の形状として製造することもできる。
【0030】
以上のような、内服固形の顆粒、錠剤、散剤、液剤の形態だけではなく、半固形状の形態のもの及び、水や湯などに溶解し液状にして用いることができる粉末状の形態などに加工することもできる。
【0031】
以下に試験例を挙げて本発明を詳細に説明する。
(試験例1)
女性は月経に伴うホルモンの著しい変化によって、心身に周期性の変化があることが知られている。そこで、キメに対する内服剤効果の確認するため、月経周期変動の影響を考慮し、黄体期に試験方法記載の肌計測を行なった後、月経初日から実施例1の製剤を1回4錠、1日2回の服用を開始し、次の月経期まで各周期に同様の肌計測を行った。
(1)試験方法
22歳から40歳の健常成人女性12名を対象に、肌状態を全顔画像撮影・画像解析システム(ロボスキンアナライザー)(株式会社インフォワード社製)を用いた肌評価により、頬部のキメ、表皮水分の測定、分極電流計による頬部及び額部の真皮水分の測定を行なった。尚、キメの評価は、モノクロ画像における暗部を皮溝、明部を皮丘とし、明部暗部をそれぞれ強調処理して二値化した結果が、一辺0.4mmの正三角形のキメモデルに近ければ近いほど、100点満点中の高い点となるように計測し評価される。
【0032】
(2)試験結果
試験結果を表1及び2に示した。実施例1の内服剤の服用により、キメスコアは有意に改善した。また、黄体ホルモンの影響により身体に水分が貯留しやすい黄体期に、内服剤の服用により表皮水分が有意に増加した。加えて、貯留した水分の排泄が損なわれることでトラブルが生じやすい月経期に、真皮水分が有意に低下した。この結果より、真皮層に滞った水分の分泌が活性化され、表皮水分が増加して、肌に潤いが生じたことが示唆された。
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】

【0035】
【表3】

【0036】
(試験例2)
表皮水分とシワの関連性を確認するため、頬部及び額部の月経周期による変化について評価した。
【0037】
(1)試験方法
24歳から40歳の健常成人女性13名を対象に、月経周期(卵胞期、排卵期、黄体期、月経期)ごとに、肌状態を全顔画像撮影・画像解析システム(ロボスキンアナライザー)(株式会社インフォワード社製)を用いて、シワ及び表皮水分の測定を行なった。
【0038】
(2)試験結果
頬部及び額部の表皮水分は、月経周期変化に個体差があったが、平均すると周期による有意な変動は認められなかった。周期ごとに分けで表皮水分と目尻のシワ長の関係を評価した結果、図1〜3に示したように、表皮水分とシワには有意な負の相関が認められ、表皮水分値が高いほどシワが少ないことが確認された。従って、試験例1で示した表皮水分の増加は、シワの予防・改善効果を示唆するものである。
【0039】
(試験例3)
疲労及びストレスに対する内服剤効果確認するため、黄体期に試験方法記載の疲労評価と交感神経の活動レベルの測定を行なった後、月経初日から実施例1の製剤を1回4錠、1日2回の服用を開始し、次の月経期まで各周期に同様の測定を行った。
【0040】
・ 試験方法
22歳から40歳の健常成人女性12名を対象に、POMS(Profile of Mood Status)を用いた疲労の評価と、分極電流計による額部の皮膚コンダクタンス測定を行なった。
【0041】
(2)試験結果
試験結果を表4及び5に示した。服用前の疲労スコアにより高値群(n=6)と低値群(n=6)で分割し、内服剤の服用による変化を解析したところ、表4に示すように、疲労スコアの高値群では内服剤の服用により、疲労スコアが有意に低下した。また、皮膚コンダクタンスを測定することにより交感神経の活動レベルを示すAP値は、表5に示すように、内服剤の服用により、AP値が有意に低下した。以上のように、実施例1の製剤の服用することで交感神経系の興奮を抑制し、疲労感も軽減することが確認され、この結果は、疲労防止及び抗ストレス効果を示唆するものである。
【0042】
【表4】

【0043】
【表5】

【実施例】
【0044】
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
【0045】
(実施例1)
桂枝茯苓丸料加ヨクイニンフィルムコート錠

(素錠部)
桂枝茯苓丸料加ヨクイニンエキス粉末 1800g
結晶セルロース 380g
クロスカルメロースナトリウム 300g
含水二酸化ケイ素 130g
ステアリン酸マグネシウム 30g
小 計 2640g
(剤皮部)
ヒプロメロース 82g
酸化チタン 14g
カルナウバロウ 微量
小 計 96g
合 計 2736g

*桂枝茯苓丸料加ヨクイニンエキス粉末1800mgは、桂皮2g、茯苓2g、牡丹皮2g、桃仁2g、芍薬2g、ヨクイニン5gの混合物から熱水で抽出し乾燥して得られる。
【0046】
(製造方法)
「日局」製剤総則、錠剤の項に準じて錠剤を製する。すなわち上表に記載の、桂枝茯苓丸料加ヨクイニンエキス粉末からステアリン酸マグネシウムまでの成分をとり、一錠重量330mgの錠剤を製し、その錠剤に上表の剤皮部ヒプロメロースからカルナウバロウを用いて、コーティングを施し、実施例1のフイルムコーティング錠(一錠重量342mg
桂枝茯苓丸料加ヨクイニンエキス粉末225mg含有)を得た。
【0047】
(実施例2)
桂枝茯苓丸料加ヨクイニン錠

桂枝茯苓丸料加ヨクイニンエキス粉末 1800g
結晶セルロース 380g
クロスカルメロースナトリウム 300g
含水二酸化ケイ素 130g
ステアリン酸マグネシウム 30g
合 計 2640g
【0048】
(製造方法)
「日局」製剤総則、錠剤の項に準じて錠剤を製する。すなわち上表に記載の、桂枝茯苓丸料加ヨクイニンエキス粉末からステアリン酸マグネシウムまでの成分をとり錠剤(一錠重量330mg 桂枝茯苓丸料加ヨクイニンエキス粉末225mg含有)を製し、本発明の実施例2の錠剤を得た。
【0049】
(実施例3)
桂枝茯苓丸料加ヨクイニン錠

(素錠部)
桂枝茯苓丸料エキス粉末* 1150g
ヨクイニンエキス粉末** 390g
結晶セルロース 400g
クロスカルメロースナトリウム 300g
含水二酸化ケイ素 130g
ステアリン酸マグネシウム 30g
合 計 2400g

*桂枝茯苓丸料加ヨクイニンエキス粉末1800mgは、桂皮2g、茯苓2g、牡丹皮2g、桃仁2g、芍薬2gの混合物から熱水で抽出し乾燥して得られる。
**ヨクイニンエキス粉末は、ヨクイニン5gから熱水で抽出し乾燥して得られる。
【0050】
(製造方法)
「日局」製剤総則、錠剤の項に準じて錠剤を製する。すなわち上表に記載の、桂枝茯苓丸料エキス粉末からステアリン酸マグネシウムまでの成分をとり、(一錠重量300mg )を製し、本発明の実施例3の錠剤を得た。
【0051】
(実施例4)
桂枝茯苓丸料加ヨクイニン顆粒剤

桂枝茯苓丸料加ヨクイニンエキス粉末 1800g
乳糖 2550g
ヒドロキシプロピルセルロース 150g
合 計 4500g
【0052】
(製造方法)
「日局」製剤総則、錠剤の項に準じて顆粒剤を製する。すなわち上表に記載の、桂枝茯苓丸料加ヨクイニンエキス粉末からヒドロキシプロピルセルロースまでの成分をとり、実施例4の顆粒剤を得た。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】卵胞期の右頬表皮水分と目尻のシワスコア(長さ)との関係
【図2】排卵期の右頬表皮水分と目尻のシワスコア(長さ)との関係
【図3】黄体期の眉間表皮水分と目尻のシワスコア(長さ)との関係

【特許請求の範囲】
【請求項1】
桂皮(ケイヒ)、茯苓(ブクリョウ)、牡丹皮(ボタンピ)、桃仁(トウニン)、芍薬(シャクヤク)、ヨクイニンの混合物を含有する肌のキメ改善用組成物又はシワ予防・改善用組成物。
【請求項2】
請求項1記載の組成物が、桂皮2〜5重量部、茯苓2〜5重量部、牡丹皮2〜5重量部、桃仁2〜5重量部、芍薬2〜5重量部、ヨクイニン5〜20重量部である肌のキメ改善用組成物又はシワ予防・改善用組成物。
【請求項3】
請求項1又は2記載の組成物が、桂枝茯苓丸料加ヨクイニンである肌のキメ改善用組成物又はシワ予防・改善用組成物。
【請求項4】
請求項1〜3記載の組成物のいずれかを含有する肌のキメ改善用内服剤又はシワ予防・改善用内服剤。
【請求項5】
桂皮(ケイヒ)、茯苓(ブクリョウ)、牡丹皮(ボタンピ)、桃仁(トウニン)、芍薬(シャクヤク)、ヨクイニンの混合物を含有する抗ストレス作用を有する組成物又は疲労防止作用を有する組成物。
【請求項6】
請求項5記載の組成物が、桂皮2〜5重量部、茯苓2〜5重量部、牡丹皮2〜5重量部、桃仁2〜5重量部、芍薬2〜5重量部、ヨクイニン5〜20重量部である抗ストレス作用を有する組成物又は疲労防止作用を有する組成物。
【請求項7】
請求項5又は6記載の組成物が、桂枝茯苓丸料加ヨクイニンである抗ストレス作用を有する組成物又は疲労防止作用を有する組成物。
【請求項8】
請求項5〜7記載の組成物のいずれかを含有する抗ストレス内服剤又は疲労防止内服剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−179625(P2009−179625A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223166(P2008−223166)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(306018343)クラシエ製薬株式会社 (32)
【Fターム(参考)】