説明

抗デング熱ウイルス抗体、組成物、方法および使用

本発明は少なくとも1種の新規の抗デング熱ウイルス抗体;少なくとも1種のその抗デング熱ウイルス抗体をコードする単離された核酸;ベクター;宿主細胞;トランスジェニック動物または植物;その製法および使用法;および治療用組成物、方法およびデバイス;に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願
本出願は、参照によりその全体を本願に組み込まれる2003年1月31日に出願した仮出願第60/443,924号の優先権を、米国特許法119(e)条の下に主張する。
【0002】
発明の背景
本発明は、少なくとも1種のデング熱ウイルスNSタンパク質またはその断片に特異的な抗体、その特定部分、または変異体、ならびにかかる抗デング熱ウイルス抗体をコードする核酸、相補性核酸、ベクター、宿主細胞、およびその製法ならびに、治療用製剤、投与およびデバイスを含む使用法に関する。
【0003】
デング熱ショック症候群(DSS)およびデング出血熱(DHF)は、フラビウイルス属の近縁であるが抗原性の異なるウイルス血清型(DEN−1、DEN−2、DEN−3、DEN−4)4種のうちの1種によって引き起こされる。各血清型による感染には交差防御免疫性がないので、デング熱風土病地域に居住する人々は生涯の間に少なくとも4回デング熱に感染する可能性がある。デング熱は元来熱帯の病気であり、この病気を起すウイルスは、ヒトとネッタイシマ蚊(Aedes aegypti)に関わる循環周期内に維持されている。この蚊は屋内に住み、昼間に好んでヒトを刺す。デング熱ウイルスによる感染は、非特異的ウイルス症状から重症で致命的な出血性疾患に至る範囲の様々な臨床的疾患を引き起こす。DHFの重要な危険因子には、感染したウイルスの株および血清型、ならびに患者の年令、免疫状況および遺伝的素質が含まれる。
【0004】
デング熱は、蚊が媒介するヒトのウイルス病の中で最も重要なものであろう;その世界的分布はマラリアの分布に匹敵し、流行性伝染の危険がある地域には約25億人が居住していると推測される。毎年数千万例のデング熱が発生し、年によってはDHFの症例は数十万に達する。殆どの国ではDHFの致死率は約5%であり;致死症例は殆ど子供および若者である。
【0005】
従って、デング熱ウイルスに対する新しい治療用、予防用および診断用薬剤を提供する必要がある。本発明の抗デング熱ウイルス抗体または断片は、デング熱ウイルス感染症および関連する病気を処置および/または予防するための新しい治療剤および/または予防剤を提供する。本発明の抗デング熱ウイルス抗体および断片はまた、集団内での感染の検出に用いる診断薬、または疫学的研究に用いる診断薬を提供する。
【0006】
発明の概要
本発明は、単離されたヒト、霊長類、げっ歯類、哺乳類、キメラ化、ヒト化および/またはCDR移植された抗デング熱ウイルス抗体、免疫グロブリン、切断産物、およびその他の特定部分およびその変異体、ならびに抗デング熱ウイルス抗体組成物、コード化核酸または相補性核酸、ベクター、宿主細胞、組成物、製剤、デバイス、トランスジェニック動物、トランスジェニック植物、およびその製法および使用法を、本明細書の記載、教示および当技術分野の公知技術と組合せて提供する。
【0007】
本発明はまた、本明細書に記載される少なくとも1種の単離された抗デング熱ウイルス抗体を提供する。本発明による抗体には、これに限定されるわけではないが、本発明の抗体に挿入され得る少なくとも1個の重鎖または軽鎖の相補性決定領域(CDR)またはそのリガンド結合部分、重鎖または軽鎖の可変領域、重鎖または軽鎖の定常領域、フレームワーク領域、またはそれらの一部のような免疫グロブリン分子の少なくとも一部を包含する分子を含むタンパク質またはペプチドが含まれる。本発明の抗体には、哺乳類、例えばこれに限定されるわけではないが、ヒト、マウス、ウサギ、ラット、げっ歯類、霊長類、またはその組合せなどが含まれ得るか、またはそれから誘導され得る。
【0008】
1つの局面では本発明は、特異的な抗デング熱ウイルス抗体をコードするポリヌクレオチドに相補性であるか、またはそれとハイブリッドを形成する単離された核酸分子、少なくとも1個のその特定配列、ドメイン、部分または変異体を包含する核酸分子を提供する。本発明はさらに、該抗デング熱ウイルス抗体核酸分子を包含する組換えベクター、かかる核酸を含む宿主細胞および/または組換えベクター、ならびにかかる抗体核酸、ベクターおよび/または宿主細胞の製造法および/または使用法を提供する。
【0009】
本発明の抗体少なくとも1種は、これに限定されるわけではないが、デング熱ウイルスタンパク質C、プレM、E、NS1、NS2A、NS2B、NS3、NS4A、NS4BおよびNS5を含む、少なくとも1種のデング熱ウイルスタンパク質、そのサブユニット、断片、部分または組合せに特異的な少なくとも1個の特定のエピトープに結合する。少なくとも1個のエピトープは、該タンパク質の少なくとも一部を包含する少なくとも1個の抗体結合領域を包含し得、そのエピトープは好ましくは、例えばこれに限定されるものではないが、該タンパク質の機能的、細胞外、可溶性、親水性、外部ドメインまたは細胞質ドメイン、またはその部分の少なくとも1個の、その少なくとも一部の少なくとも1〜5個のアミノ酸を包含する。本発明の抗体の少なくとも1個は、デング熱ウイルスNS−1タンパク質に結合する。
【0010】
少なくとも1種の抗体は、要すれば少なくとも1個の相補性決定領域(CDR)(例えば、重鎖または軽鎖可変領域のCDR1、CDR2またはCDR3)の少なくとも1個の特定部分、および/または少なくとも1種の定常または可変フレームワーク領域またはその部分、を包含していて良い。少なくとも1種の抗体アミノ酸配列は、さらに要すれば本明細書に記載されるか、当技術分野で知られている特定の置換、挿入または欠失のうち少なくとも1個を包含していて良い。
【0011】
本発明はまた、本明細書に記載する少なくとも1種の単離された抗デング熱ウイルス抗体も提供し、ここに前記抗体は、例えばこれに限定されるものではないが、宿主免疫系の活性に起因するデング熱ウイルス誘発性細胞死または細胞損傷の阻害または強化、デング熱ウイルスNSタンパク質の生物活性の中和、デング熱ウイルス複製の阻害、患者におけるデング熱ウイルス関連疾患の予防、患者におけるデング熱ウイルス感染症状の緩和、サンプル中のデング熱ウイルス存在の診断、および疫学的分析のような少なくとも1個の活性を有する。故に、抗デング熱ウイルス抗体は、例えばこれに限定されるものではないが、デング熱ウイルスタンパク質に対する少なくとも1種の生物活性のような対応する活性について、公知方法に従ってスクリーニングすることを可能とする。
【0012】
本発明はまた、抗デング熱ウイルス抗体が検出可能な量および/または回収可能な量で発現される条件下に本明細書に記載する宿主細胞を培養することを包含する、少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体を宿主細胞中で発現させる少なくとも1個の方法も提供する。
【0013】
本発明はまた、(a)本明細書に記載する単離された抗デング熱ウイルス抗体をコードする核酸および/または抗体;および(b)適当な担体または希釈剤、を包含する少なくとも1個の組成物も提供する。この担体または希釈剤は、要すれば医薬的に許容される公知の担体または希釈剤であってもよい。この組成物は、要すれば少なくとも1個の別な化合物、タンパク質または組成物をさらに包含してもよい。
【0014】
本発明はさらに、当技術分野で公知のおよび/または本明細書に記載のような、細胞、組織、器官、動物または患者における少なくとも1種のデング熱ウイルス関連病状を、関連病状の前、後または最中に調整または処置するための治療的有効量の投与を目的とした、少なくとも1個の抗デング熱ウイルス抗体、方法または組成物を提供する。
【0015】
本発明はまた、本発明による少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体の治療的または予防的有効量の、少なくとも1個の組成物、デバイス、および/または送達方法を提供する。
【0016】
本発明はさらに、当技術分野で公知のおよび/または本明細書に記載するような、細胞、組織、器官、動物、患者または対象集団における少なくとも1種のデング熱ウイルス関連病状を、関連病状の前、後または最中に診断するための少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体、方法または組成物を提供する。
【0017】
本発明はまた、本発明に従ってサンプル内の少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体の存在または非存在を診断するための少なくとも1個の組成物、デバイスおよび/または送達方法を提供する。
【0018】
図面の簡単な説明
図1のパネルA、B、Cは、抗デング熱ウイルス抗体がデング熱ウイルスの感染性を阻害する能力の検定結果のグラフを示す。図1のパネルAは、デング熱抗原のIgG DEN3 mAbおよびFab Sid33に対する力価測定を示す。図1のパネルBは、20μg/mLのFab Sid33に対するデング熱抗原の力価測定を示す。図1のパネルCは、Fab Sid33抗体およびIgG DEN3抗体のデング熱抗原に対する(1:500)における力価を示す。抗原力価測定からのデータに基づけば、結合のピークは、デング熱抗原の約(1:500)希釈で生じた。そこで、抗原(1:500)に対して抗体25μg/mLから始めて力価測定し、結合曲線を作製した。
【0019】
図2は、抗デング熱ウイルスmAb重鎖可変領域のDNA配列(配列番号1)を示す。
【0020】
図3は、抗デング熱ウイルスmAb軽鎖可変領域のDNA配列(配列番号2)を示す。
【0021】
図4は、抗デング熱ウイルスmAb重鎖可変領域の推定アミノ酸配列を示す。記載のアミノ酸配列(1文字表記)はDNA配列から推定した。アミノ配列は、フレームワーク(FR)ドメインおよび相補性決定領域(CDR)ドメインに分けて示す(配列番号3)。
【0022】
図5は、抗デング熱ウイルスmAb軽鎖可変領域の推定アミノ酸配列を示す。記載のアミノ酸配列(1文字表記)は、DNA配列から推定した。アミノ配列は、フレームワーク(FR)ドメインと相補性決定領域(CDR)ドメインとに分けて示す(配列番号4)。
【0023】
図6は、抗デング熱ウイルス抗体発現細胞を作製するために使用される重鎖および軽鎖の発現プラスミドpDR1 11070(bp)の図式的表示を示す。
【0024】
発明の説明
本発明は、単離された抗デング熱ウイルス抗体、ならびに組成物、および少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体をコードする少なくとも1個のポリヌクレオチドを包含するコード核酸分子を提供する。本発明はさらに、これに限定されるものではないが、診断用および治療用の組成物、方法およびデバイスを含む、かかる核酸および抗体の製法および使用法を提供する。
【0025】
デング熱ウイルスは、20面体カプシド対称を有する50nmの球状の包まれた粒子である。ウイルス粒子は、約11,000塩基の1本鎖ポジティブセンスRNAを含む。前記RNAは、カプシド(C)タンパク質内に封入されている。周縁のシェルは、90コピーの二量体エンベロープ(E)タンパク質および点在するマトリックス(M)タンパク質からなる。ウイルス粒子重量の15〜20%は、宿主の細胞膜から取込んだ脂質からなり;ウイルス粒子重量の9〜10%が、グリコリピドまたは糖タンパク質からなる。
【0026】
デング熱ウイルスはフラビウイルス属に属し、抗原的に関連のあるウイルス68種ほどは、その遺伝子が5’末端から組織化され、10種のタンパク質(C、プレM、E、NS−1(非構造的)、NS2A、NS2B、NS3、NS4A、NS4BおよびNS5)をコードする。殆どのフラビウイルスは、吸血節足動物により脊椎動物宿主間で伝染される。
【0027】
デング熱ウイルスには、デング(DEN)−1、−2、−3および−4の4型がある。これらは共通の祖先から類人霊長類中で進化し、ほぼ一千年の間にネッタイシマ蚊(Aedes aegypti)−ヒト−ネッタイシマ蚊の都市型伝染に移行した。
【0028】
デング熱ウイルスは、各デング熱サブグループ間で60%以上のゲノムを共有している。故に、共有抗原は、ウイルス粒子表面または感染した細胞の表面に発現する。一次感染で共通のデング熱抗体が産生され、ELISAおよび血球凝集阻害試験により容易に検出されるが、プラーク減少中和試験(PRNT)では検出され難い。PRNTは、広範な連続継代細胞系で行われる。3, 4,
【0029】
Sabin(1952)が報告したように、DEN−1またはDEN−2ウイルスに感染した成人ボランティアは、最初の感染の2ヶ月以内に異種ウイルスに感染した時には臨床的疾患から保護された。しかし、最初の感染後2〜3ヶ月間に異種ウイルスに感染した単一免疫ボランティアにはウイルス血症感染が起きた。この感染は、「倦怠感と軽度の発熱を起した」。最初の感染後9ヶ月までの交差感染では軽度の疾患が起き、その後は疾患に変化がなかった。 Sabinの研究以外には、様々なデング熱ウイルスおよび株間の交差保護は、体系的に研究されていない。三回目および四回目のデング熱感染が前向き血清免疫学的研究で報告されているが、臨床的疾患をもたらすことは稀である。
【0030】
デング熱抗体が、デング熱ウイルス感染症から保護し、かつデング熱ウイルス感染症を増強するという最も有力な証拠は、乳児にて通常、最初のデング熱感染の間に重度のDHFが起きるということである。8, 9, 10 この群はDHF症例全体の5%〜10%に達し、最も危険な時期(8ヶ月)の乳児では、最初のデング熱感染でDHFを起す恐れが、二回目のデング熱感染中のより年長の小児よりも4倍もある。最初は、乳児はデング熱疾患に対して完全に保護されている。11 母体からの抗体が衰退して保護閾値以下になると(通常のPRNTでは約1:10であると思われる)、乳児は増強された感染と発病の危険にさらされる。9, 12 これら乳児は、どの型のデング熱ウイルスにも感染する可能性がある。
【0031】
この現象は、インビボモデルで実験的に再現された。少量のヒト臍帯血由来デング熱抗体を静脈内接種した直後に感染させたアカゲザル5匹では、対照動物と比較して増強されたDEN−2ウイルス血症が常に観察された。13
【0032】
二回目のデング熱感染の間にDHF/DSSが高頻度で起きるという事実は、多数の施設にて40年間以上の観察で得られたものである。入院前デング熱抗体を持つ小児のみのデング熱入院患者について、4件の前向き試験が報告されている。14, 15, 16, 17
【0033】
二回目のDEN−2感染期間中の増強されたウイルス血症が、DEN−1に続いてDEN−2、DEN−3に続いてDEN−2、およびDEN−4に続いてDEN−2の順序で感染させたアカゲザルでインビボにて観察された。18 増強されたウイルス血症は、他の順序で感染させたサルでは観察されなかった(9種の他の順序全てを実験した)。但し、他の順序では感染したサルの数が少なかった。
【0034】
二回目の感染中の増強されたウイルス血症または抗体依存性増強(ADE)は、小児の二回目のデング熱感染中の疾患の重症度を予測する(および、それと相関する)。19
【0035】
ADEを、広範な一次白血球およびFcRを有する細胞の培養物を宿主細胞として使用してインビトロで証明し、測定することができる。20
【0036】
厳密な部位特異的モノクローナル抗体は、低希釈率では中和するが、高希釈率では増強する。群応答性モノクローナル抗体のいくつかは、低希釈率では中和するが、高希釈率では増強する。20, 21, 22, 23
【0037】
単一のデング熱ウイルス感染後に時々、かつデング熱感染日本脳炎免疫後には非常に多く、交差反応性中和抗体が観察される。4,17,24 異種抗体(インビトロで測定)であるかにかかわらず、二回目のデング熱ウイルス感染は常に起きるが、症候性に起きるのは稀である。1980年のコホート研究では、二回目のDEN−2感染を体験したバンコク児童40人の85%に不顕性感染が観察された。これらの児童から得た非希釈感染前血清は、ヒト単球の培養でDEN−2感染を予防した。しかし、重症の疾患を経験した同世代の児童7人中6人から得た非希釈血清は、DEN−2を中和せず;ADEが観察された。24 最近、疾患前血清が異種DEN−3中和抗体を含む場合に、小児は臨床的に顕性な二回目のDEN−3感染を獲得した。自己由来DEN−3株(患者から単離されたウイルス)の使用は、実験室で継代培養した「標準」株の使用と比較して中和抗体力価を明らかに低下させた。二回目のDEN−3感染の重症度は、自己由来DEN−3株に対する中和抗体力価と逆相関であった。
【0038】
異型抗体による感染力下方制御の最も劇的な例は、アメリカの遺伝子型DEN−2の非「毒性」である。このウイルスがペルーでDEN−1に部分的に免疫を持つ集団で流行していた時には、DHFは観察されなかった。25 しかし、異なるDEN−2ウイルスを中和するヒト抗DEN−1血清の能力は同一ではなかった:アメリカの遺伝子型DEN−2ウイルスは全て、抗DEN−1で高度に中和されたが、一方、抗DEN−1は、(DHF産生)SEアジアDEN−2株を中和するのに不十分であった。26 他種DENウイルスと共に慢性的に循環するアジアDEN−2株は、異型抗体による中和を「逃れ」るように選択されているのかも知れない。
【0039】
より迅速な「逃れ」現象が観察されている。単一タイプのDEN−2がDEN−1に免疫を持つヒトに伝染した2回の伝染期間に急速な(月単位)重症度の増加が観察された。27
【0040】
フラビウイルス感染後に抗体応答の親和性成熟が起きる。これは、不顕性に日本脳炎ウイルスに感染していた米軍人の4年にわたる追跡調査で中和指数の対数が上昇したことで証明された。彼らから、感染後1年および5年に採血した。28 親和性成熟は、最初のDEN−1後20年間隔での二回目のDEN−2感染が、4年間隔で同じ遺伝子型ウイルスが起した二回目の感染の場合よりもはるかに重症であったという観察の説明を与える。これは、抗体がタイプ特異的な中和部位に強く指向するようになり、対応して反応性が狭くなり、ADEを起すようになった結果であろう。29
【0041】
本明細書で使用する「抗デング熱ウイルス抗体」、「抗デング熱ウイルス抗体の部分」または「抗デング熱ウイルス抗体断片」および/または「抗デング熱ウイルス抗体の変異体」などには、例えばこれに限定されるものではないが、重鎖または軽鎖の少なくとも1個の相補性決定領域(CDR)またはそのリガンド結合部分、重鎖または軽鎖の可変領域、重鎖または軽鎖の定常領域、フレームワーク領域またはそのいずれかの部分、またはデング熱ウイルスタンパク質の少なくとも一部などの、本発明の抗体に挿入することのできる、免疫グロブリン分子の少なくとも一部を包含するタンパク質またはペプチド含有分子を含む。かかる抗体は、要すればさらに、例えばこれに限定されるものではないが、かかる抗体がインビトロ、インサイチュおよび/またはインビボで少なくとも1種のデング熱ウイルスの感染活性または複製、またはデング熱ウイルス細胞受容体活性または結合を調整し、減少し、増大し、拮抗し、作動し、緩和し、軽減し、遮断し、阻害し、阻止しおよび/または妨害するような、特異的リガンドに影響を及ぼすものであってもよい。非限定的例示として、本発明の適当な抗デング熱ウイルス抗体、特定部分または変異体は、少なくとも1種のデング熱ウイルスまたはその特定部分、変異体またはドメインに結合できる。適当な抗デング熱ウイルス抗体、特定部分または変異体はまた、要すれば、例えばこれに限定されるものではないが、RNA、DNAまたはタンパク質合成、デング熱ウイルス感染性、デング熱ウイルス放出、デング熱ウイルス受容体シグナリング、デング熱ウイルス複製、デング熱ウイルス製造および/または合成、および宿主免疫系によるデング熱ウイルス感染細胞の破壊または認識の促進のような、デング熱ウイルス活性または機能の少なくとも1個に影響を与えるものであってもよい。用語「抗体」にはさらに、抗体、その消化断片、特定部分および変異体が含まれ、これには抗体の模倣物が含まれるか、または抗体またはその特定断片または部分の構造および/または機能を模倣する抗体の部分が含まれ、これには一本鎖抗体およびその断片が含まれるように意図されている。機能的断片には、哺乳類デング熱ウイルスに結合する抗原結合断片が含まれる。例えばデング熱ウイルスまたはその部分に結合できる抗体断片には、これに限定されるものではないが、Fab(例えば、パパイン消化による)、Fab’(例えば、ペプシン消化と部分還元による)およびF(ab’)(例えば、ペプシン消化による)、facb(例えば、プラスミン消化による)、pFc’(例えば、ペプシン消化またはプラスミン消化による)、Fd(例えば、ペプシン消化、部分還元および再凝集による)、FvまたはscFv(例えば、分子生物学技術による)の各断片が含まれ、それらは本発明に包含される(例えば、Colligan, Immunology, 前掲を参照)。
【0042】
かかる断片は、当技術分野で公知であるか、および/または本明細書に記載する酵素的切断、合成または組換え技術により製造可能である。天然の終止部位の上流に1個またはそれ以上の終止コドンを導入した抗体遺伝子を使用して、様々な切断形態として抗体を製造することもできる。例えば、F(ab’)重鎖部分をコードする結合遺伝子を、重鎖のCHドメインおよび/またはヒンジ領域をコードするDNA配列を含むように設計できる。抗体の様々な部分を、常套技術によって相互に化学的に結合させるか、または遺伝子工学技術を使用して連続タンパク質として製造することもできる。
【0043】
本明細書で使用する用語「ヒトの抗体」とは、タンパク質の実質的に全部分(例えば、CDR、フレームワーク、CL、Cドメイン(例えば、C1、C2、C3)、ヒンジ(VL、VH))がヒトでは実質的に非免疫原性であり、僅かな配列変化または変異しか持たない抗体を示す。同様に、霊長類(サル、ヒヒ、チンパンジーなど)、げっ歯類(マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ハムスターなど)、その他の哺乳類に指定される抗体は、かかる種、亜属、属、亜科、科に特異的な抗体を示す。さらに、キメラ抗体は、前記のいかなる組合せも含む。かかる変化または変異は、要すればかつ好ましくは、非修飾抗体と比較してヒトまたは他の種での免疫原性を保持するか、または減少している。故に、ヒト抗体は、キメラ抗体またはヒト化抗体とは異なる。ヒト抗体は、機能的に改変されたヒト免疫グロブリン(例えば、重鎖および/または軽鎖)遺伝子を発現できる非ヒト動物または原核生物または真核生物細胞によって製造可能であることが、指摘される。さらに、ヒト抗体が一本鎖抗体である場合には、その抗体は天然のヒト抗体には存在しないリンカーペプチドを包含し得る。例えば、Fvは、例えば重鎖の可変領域と軽鎖の可変領域を結合する2個〜約8個のグリシンまたはその他のアミノ酸残基のようなリンカーペプチドを包含し得る。かかるリンカーペプチドはヒト起源であると考えられている。
【0044】
モノクローナルであり、好ましくはヒトまたはヒト化された抗体であり、少なくとも2個の異なる抗原に結合特異性を有する二重特異性でヘテロ特異性のヘテロ結合体または同様な抗体も、使用できる。本件の場合、結合特異性の一方は、少なくとも1種のデング熱ウイルスタンパク質に対するもので、他方は他の抗原のいずれかに対するものである。二重特異性抗体の製法は、当技術分野で公知である。伝統的に、二重特異性抗体の組換え製造法は、2個の免疫グロブリン重鎖−軽鎖ペアの共発現に基づき、ここにおいて2個の重鎖は異なる特異性を有する(Milstein, Cuello, 305 Nature, 537 (1983))。免疫グロブリン重鎖および軽鎖の無作為的組合せのため、これらハイブリドーマ(クアドローマ)は、10種の異なる抗体分子の混合物を製造する可能性があり、その中で1種のみが正しい二重特異性構造を有する。通常、親和性クロマトグラフィー工程で行われる正しい分子の精製は、かなり面倒であり、産物の収量は低い。同様な操作は、例えば、WO 93/08829、米国特許番号第6,210,668号、第6,193,967号、第6,132,992号、第6,106,833号、第6,060,285号、第6,037,453号、第6,010,902号、第5,989,530号、第5,959,084号、第5,959,083号、第5,932,448号、第5,833,985号、第5,821,333号、第5,807,706号、第5,643,759号、第5,601,819号、第5,582,996号、第5,496,549号、第4,676,980号、WO 91/00360、WO 92/00373、EP 03089、Traunecker et al., 10 EMBO J., 3655 (1991), Suresh et al., 121 Methods in Enzymology, 210 (1986) にも開示されており、各記載の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0045】
本発明の方法および組成物に有用な抗デング熱ウイルス抗体(デング熱ウイルス抗体とも称する)は、要すればデング熱ウイルスに対する高親和性結合により特徴付けることができ、および要すればかつ好ましくは、毒性が低い。特に、例えば可変領域、定常領域およびフレームワークのような個々の成分が個々におよび/または集合的に、要すればかつ好ましくは免疫原性が低い、本発明の抗体、特定断片または変異体は、本発明に有用である。本発明で使用できる抗体は、要すれば、兆候の測定可能な軽減を伴って患者を長期間にわたって処置する能力、および低毒性および/または認容可能な毒性によって特徴付けられていてもよい。低いまたは認容可能な免疫原性、および/または高い親和性、ならびにその他の適当な性質は、達成される治療的結果に寄与し得る。(Elliott et al., 344 Lancet, 1125−1127 (1994)の記載の全体は、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0046】
有用性
本発明の単離された核酸を、少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体またはその特定変異体の製造に使用でき、これを細胞、組織、器官または動物(哺乳類およびヒトを含む)内で測定または効果を発揮するために使用して、これに限定されるものではないが、免疫障害または疾患、循環器障害または疾患、感染症、悪性腫瘍および/または神経学的障害または疾患の少なくとも1種から選択される少なくとも1種のデング熱ウイルスの病状を診断し、モニターし、調整し、処置し、緩和し、発病予防に役立て、または兆候を減退させることができる。
【0047】
かかる方法は、兆候、効果または機序におけるかかる調整、処置、軽減、予防または減退の必要な細胞、組織、器官、動物または患者に少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体を包含する組成物または医薬組成物の有効量を投与することを包含し得る。有効量とは、本明細書に記載されるかまたは関連技術で公知の方法を用いて実施および決定される1回(例えば、ボーラス)、複数回または連続的投与当り約0.001〜50mg/kgの量、または1回、複数回または連続的投与当り血中濃度0.01〜500μg/mL血漿を達成する量、またはその有効な範囲または値のいずれかを包含し得る。
【0048】
引用文献
本明細書に引用される刊行物または特許は全て、本発明の時点での当技術分野の状況を示すためおよび/または本発明の記載および本発明を実施可能にするために、各記載の全体を参照により本明細書に組み込まれる。刊行物とは、科学刊行物または特許刊行物のいずれか、または記録用形式、電子形式にまたは印刷形式全てを含むいずれかの形式で入手可能な媒体の情報を示す。次の参考文献全体は、参照により本明細書に組み込まれる:Ausubel et al. (Ed.), Current Protocols in Molecular Biology, (John Wiley & Sons, Inc., New York, New York (1987−1991)); Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Edition, (Cold Spring Harbor, NY (1989)); Harlow, Lane, Antibodies, A Laboratory Manual, (Cold Spring Harbor, NY (1989)); Colligan et al. (Eds.), Current Protocols in Immunology, (John Wiley & Sons, Inc., NY (1994−2001)); Colligan et al., Current Protocols in Protein Science, (John Wiley & Sons, NY, NY, (1997−2001))。
【0049】
本発明の抗体
本発明の少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体は、要すれば当技術でよく知られているような細胞系、混合細胞系、不死化細胞または不死化細胞のクローン化集団によって製造可能である。例えば、各全体を参照により本明細書に組み込まれる、Ausubel et al. (Ed.), Current Protocols in Molecular Biology, (John Wiley & Sons, Inc., New York, New York (1987−2001)); Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Edition, (Cold Spring Harbor, NY (1989)); Harlow, Lane, Antibodies, A Laboratory Manual, (Cold Spring Harbor, NY (1989)); Colligan, et al. (Eds.), Current Protocols in Immunology, (John Wiley & Sons, Inc., NY (1994−2001)); Colligan et al., Current Protocols in Protein Science, (John Wiley & Sons, NY, NY, (1997-2001)) を参照。
【0050】
デング熱ウイルスタンパク質またはその断片に対して特異的なヒト抗体を、例えば単離されたデング熱ウイルスタンパク質またはその部分(例えば、合成ペプチドのような合成分子も含む)のような適当な免疫原性抗原に対して製造可能である。他の特異的または一般的な哺乳類抗体も同様にして製造可能である。免疫原性抗原の製造、およびモノクローナル抗体の製造は、適当な技術のいずれかを使用して行うことができる。
【0051】
1つの手法では、ハイブリドーマは、例えばこれに限定されるものではないが、Sp2/0、Sp2/0−AG14、P3/NS1/Ag4−1、P3X63Ag8.653、MCP−11、S−194など、またはヘテロミエローマ、その融合産物、またはそれから誘導される細胞または融合細胞、または当技術分野で知られている他の適当な細胞系のいずれかのような適当な不死化細胞系(例えば、骨髄腫細胞系)を融合することによって産生される。抗体産生細胞については、例えばwww.atcc.orgwww.lifetech.comなどを参照のこと。それには、例えばこれに限定されるものではないが、単離またはクローン化された脾臓、末梢血、リンパ、扁桃腺または他の免疫細胞またはB細胞含有細胞、または重鎖または軽鎖の定常または可変またはフレームワークまたはCDR配列を、内因性または異種核酸として、組換えまたは内因性のいずれかとして発現する他の細胞、ウイルス、細菌、藻類、原核生物、両生類、昆虫、爬虫類、魚類、哺乳類、げっ歯類、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、霊長類、真核生物、ゲノムDNA、cDNA、rDNA、ミトコンドリアDNAまたはRNA、葉緑体DNAまたはRNA、hnRNA、mRNA、tRNA、一本鎖、二本鎖または三本鎖、ハイブリッド化など、またはそれらの組合せのいずれかを発現する細胞がある。例えば、全体を参照により本明細書に組み込まれるAusubel, 前掲; Colligan, Immunology, 前掲, Chapter 2を参照のこと。
【0052】
抗体産生細胞を、目的とする抗原で免疫したヒトまたはその他適当な動物の末梢血、または好ましくは脾臓、またはリンパ節からも得ることができる。他の適当な宿主細胞のいずれかを用いて、本発明の抗体、その特定断片または変異体をコードする異種または内因性の核酸を発現させることができる。融合細胞(ハイブリドーマ)または組換え細胞を、選択的培養条件またはその他の適当な公知方法を用いて単離し、制限希釈または細胞ソーティング、またはその他の既知方法によりクローニングすることができる。所望の特異性を有する抗体を製造する細胞を、適当な検定法(例えばELISA)によって選択することができる。
【0053】
必須な特異性を持つ単離された抗体を製造するための他の適当な方法もまた、使用可能である:これには、限定されるものではないが、ペプチドまたはタンパク質ライブラリー(例えば、これに限定されるものではないがバクテリオファージ、リボソーム、オリゴヌクレオチド、RNA、cDNA、その他の提示的ライブラリー;例えば、Cambridge antibody Technologies, Cambridgeshire, UK; MorphoSys, Martinsreid/Planegg, DE; Biovation, Aberdeen, Scotland, UK; BioInvent, Lund, Sweden; Dyax Corp., Enzon, Affymax/Biosite; Xoma, Berkeley, CA; Ixsysなどから入手できる。例えば、EP368,684;PCT/GB91/01134;PCT/GB92/01755;PCT/GB92/002240;PCT/GB92/00883;PCT/GB93/00605 ; US08/350,260(5/12/94);PCT/GB94/01422;PCT/GB94/02662;PCT/GB97/01835;(CAT/MRC);WO90/14443;WO90/14424;WO90/14430;PCT/US94/1234;WO92/18619;WO96/07754(Scripps);EP614989(MorphoSys);WO95/16027(BioInvent);WO88/06630;WO90/3809(Dyax);US4,704,692(Enzon);PCT/US91/02989(Affymax);WO89/06283;EP371998;EP550400;(Xoma);EP 229046;PCT/US91/07149(Ixsys)を参照のこと;または、各記載全体を参照により本明細書に組み込まれるUS 5,723,323、5,763,192、5,814,476、5,817,483、5,824,514、5,976,862、WO 86/05803、EP 590689(Ixsys、現在名Applied Molecular Evolution(AME))に記載の確率論的に作製されたペプチドまたはタンパク質;または当技術分野で公知の、および/または本明細書に記載のヒト抗体のレパートリーを産生できるトランスジェニック動物の免疫に依存するもの(例えば、各記載および関連する特許および特許出願の全体を参照により本明細書に引用するNguyen et al., 41 Microbiol. Immunol., 901−907 (1997); Sandhu et al., 16 Crit. Rev. Biotechnol., 95−118 (1996); Eren et al., 93 Immunol., 154−161 (1998) に記載のSCID マウス)を参照。かかる技術には、これに限定されるものではないが、リボソーム提示(Hanes et al., 94 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 4937−4942 (May, 1997); Hanes et al., 95 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 14130−14135 (Nov., 1998) );単一細胞抗体産生技術(例えば、選択リンパ球抗体法(「SLAM」)、US 5,627,052; Wen et al., 17 J. Immunol., 887−892 (1987); Babcook et al., 93 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 7843−7848 (1996) );ゲルマイクロドロップレットおよびフローサイトメトリー(Powell et al., 8 Biotechnol., 333−337 (1990); One Cell Systems, Cambridge, MA; Gray et al., 182 J. Imm. Meth., 155−163 (1995); Kenny et al., 13 Bio/Technol., 787−790 (1995));B細胞選択(Steenbakkers et al., 19 Molec. Biol. Reports, 125−134 (1994); Jonak et al., Progress Biotech, Vol. 5, In Vitro Immunization in Hybridoma Technology, (Borrebaeck (Ed.), Elsevier Science Publishers B.V., Amsterdam, Netherlands (1988)が含まれる)から組換え抗体を選択する方法が含まれる。
【0054】
非ヒト抗体またはヒト抗体を加工またはヒト化する方法も使用でき、当技術分野でよく知られている。一般にヒト化または加工抗体は、例えばこれに限定されるものではないが、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、その他の哺乳類など非ヒト起源の1個またはそれ以上のアミノ酸残基を有する。これらのヒトアミノ酸残基はしばしば、「インポート」残基と呼ばれ、これは典型的には公知のヒト配列の「インポート」可変、定常、その他のドメインが元となっている。公知ヒトIg配列は、例えばwww.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi;www.atcc.org/phage/hdb.htmlwww.sciquest.com/;www.abcam.com/;www.antibodyresource.com/onlinecomp.html;www.public.iastate.edu/~pedro/research_tools.html;www.mgen.uniheidelberg.de/SD/IT/IT.html;www.whfreeman.com/immunology/CH05/kuby05.html;www.library.thinkquest.org/12429/Immune/Antibody.html;www.hhmi.org/grants/lectures/1996/vlab/;www.path.cam.ac.uk/mrc7/mikeimages.html;www.antibodyresource.com/;mcb.harvard.edu/BioLinks/Immunology.html;www.immunologylink.com/;pathbox.wustl.edu/~hcenter/index.html;www.biotech.ufl.edu/~hcl/;www.pebio.com/pa/340913/340913.html;www.nal.usda.gov/awic/pubs/antibody/;www.m.ehime-u.ac.jp/~yasuhito/Elisa.html;www.biodesign.com/table.asp;www.icnet.uk/axp/facs/davies/links.html;www.biotech.ufl.edu/~fccl/protocol.html;www.isacnet.org/sites_geo.html;aximt1.imt.uni-marburg.de/~rek/AEPStart.html;baserv.uci.kun.nl/~jraats/links1.html;www.recab.uni-hd.de/immuno.bme.nwu.edu/;www.mrccpe.cam.ac.uk/imtdoc/public/INTRO.html;www.ibt.unam.mx/vir/V_mice.html;imgt.cnusc.fr:8104/;www.biochem.ucl.ac.uk/~martin/abs/index.html;antibody.bath.ac.uk/;abgen.cvm.tamu.edu/lab/wwwabgen.html;www.unizh.ch/~honegger/AHOseminar/Slide01.html;www.cryst.bbk.ac.uk/~ubcg07s/;www.nimr.mrc.ac.uk/CC/ccaewg/ccaewg.htm;www.path.cam.ac.uk/~mrc7/humanisation/TAHHP.html;www.ibt.unam.mx/vir/structure/stat_aim.html;www.biosci.missouri.edu/smithgp/index.html;wwwcryt.bioc.cam.ac.uk/~fmolina/Webpages/Pept/spottech.html;www.jerini.de/fr_products.htm;www.patents.ibm.com/ibm.html;Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest, U.S. Dept. Health (1983)に開示されており、記載全体を参照により本明細書に引用する。
【0055】
かかるインポート配列を使用して、免疫原性を低下させるか、または結合、親和性、オンレート(on−rate)、オフレート(off−rate)、結合活性、特異性、半減期、または当技術分野で知られているその他の適当な性質を低減、増強または修正できる。一般に、非ヒトまたはヒトCDR配列の部分または全部は保持されるが、可変領域および定常領域の非ヒト配列は、ヒトのまたは他のアミノ酸で置換される。抗体を、また要すれば、抗原に対する高い親和性および他の望ましい生物学的性質を維持しながらヒト化できる。この目標を達するため、ヒト化抗体を、要すれば親配列およびヒト化配列の三次元モデルを用いる親配列および様々な概念的ヒト化産物の分析の過程により製造することができる。三次元免疫グロブリンモデルは市販されており、当業者に熟知されている。選択された候補免疫グロブリン配列の推測上の三次元配座構造を図示し、表示するコンピュータプログラムが入手可能である。これらの表示を検討すると、その候補免疫グロブリン配列の機能における残基の推測的役割(すなわち抗原への結合における候補免疫グロブリンの能力に影響を与える各残基の分析)の解析を可能にする。このようにして、共通配列およびインポート配列から、例えば、標的抗原に対する増強された親和性など所望の抗体特性が達成されるようにFR残基を選択し、結合することができる。一般にCDR残基は、直接的におよび最も実質的に抗原結合への影響に関与する。本発明の抗体のヒト化または加工は、例えばこれに限定されるものではないが、それらに引用されている参考文献と共に全体を参照により本明細書に引用する;Winter (Jones et al., 321 Nature, 522 (1986); Riechmann et al., 332 Nature, 323 (1988); Verhoeyen et al., 239 Science, 1534 (1988); Sims et al., 151 J. Immunol., 2296 (1993); Chothia, Lesk, 196 J. Mol. Biol., 901 (1987); Carter et al., 89 Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 4285 (1992); Presta et al., 151 J. Immunol., 2623 (1993); 米国特許番号第5,723,323号;第5,976,862号;第5,824,514号;第5,817,483号;第5,814,476号;第5,763,192号;第5,723,323号;第5,766,886号;第5,714,352号;第6,204,023号;第6,180,370号;第5,693,762号;第5,530,101号;第5,585,089号;第5,225,539号;第4,816,567号;PCT/US98/16280; PCT/US96/18978; PCT/US 91/09630; PCT/US91/05939; PCT/US94/01234; PCT/GB89/01334; PCT/GB91/01134; PCT/GB92/ 01755; WO 90/14443; WO 90/14424; WO 90/14430; EP 229246 に記載されているような、公知方法のいずれかを使用して行うことができる。
【0056】
抗デング熱ウイルス抗体は、また要すれば、本明細書に記載するおよび/または当技術分野で公知のヒト抗体レパートリーを産生できるトランスジェニック動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、非ヒト霊長類、その他)の免疫によって作製してもよい。ヒト抗デング熱ウイルス抗体を産生する細胞をかかる動物から単離し、例えば本明細書に記載するような適当な方法を用いて不死化できる。
【0057】
ヒト抗原およびその他の外来性抗原に結合するヒト抗体レパートリーを産生できるトランスジェニックマウスを、公知方法(例えばこれに限定されるものではないが、各記載全体を参照により本明細書に引用する、米国特許番号第5,770,428号;第5,569,825号; 第5,545,806号; 第5,625,126号; 第5,625,825号; 第5,633,425号; 第5,661,016号; 第5,789,650号(Lonberg et al.); Jakobovits et al., WO 98/50433; Jakobovits et al., WO 98/24893; Lonberg et al., WO 98/24884; Lonberg et al., WO 97/13852; Lonberg et al., WO 94/25585; Kucherlapate et al., WO 96/34096; Kucherlapate et al., EP 0463151 B1; Kucherlapate et al., EP 0710719 A1; Surani et al., US 5,545,807; Bruggemann et al., WO 90/04036; Bruggemann et al., EP 0438474 B1; Lonberg et al., EP 0814259 A2; Lonberg et al., GB 2272440 A; Lonberg et al., 368 Nature, 856−859 (1994); Taylor et al., 6(4) Int. Immunol., 579−591 (1994); Green et al, 7 Nature Genetics, 13−21 (1994); Mendez et al., 15 Nature Genetics, 146−156 (1997); Taylor et al., 20(23) Nucleic Acids Research, 6287−6295 (1992); Tuaillon et al., 90(8) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 3720−3724 (1993); Lonberg et al., 13(1) Int. Rev. Immunol., 65−93 (1995); Fishwald et al., 14(7) Nat Biotechnol, 845−851 (1996))によって製造できる。一般に、これらのマウスは機能的に配置されているか、または機能的転位を行うことができる少なくとも1個のヒト免疫グロブリン部位由来のDNAを含む少なくとも1個のトランスジーンを包含する。かかるマウスの内因性免疫グロブリン部位を破壊または除去して、内因性遺伝子がコードする抗体を産生するその動物の能力をなくすことができる。
【0058】
例えば、本明細書に記載する方法で製造される抗体の抗原特異性は、これに限定されるものではないが、無作為ペプチドディスプレーライブラリーを含む当技術分野で公知の技術を使用して容易に決定され得る。この方法は、抗体により認識される個々の成分についてペプチドの大きな集団をスクリーニングすることを含む。ペプチドディスプレーライブラリーの抗体スクリーニングは、当技術分野でよく知られている。ディスプレーされる無作為ペプチド配列は、3〜5000またはそれ以上のアミノ酸長、しばしば5〜100アミノ酸長、多くは約8〜25アミノ酸長であり得る。ペプチドライブラリーを作製する直接的化学合成法に加えて、数種の組換えDNA法も報告されている。一つの形式は、バクテリオファージまたは細胞の表面に存在する無作為ペプチド配列のディスプレーを含む。各バクテリオファージまたは細胞は、特定のディスプレーされたペプチド配列をコードするヌクレオチド配列を含む。抗体を基質上に固定化し、表面に無作為ペプチドライブラリーを持つバクテリオファージまたは細胞と共にインキュベーションする。例えば本明細書に参照により引用するLu et al., 13 Bio/Technology, 366−372 (1995)に記載のパニング(panning)により数回選択後、バクテリオファージコロニーを配列決定して、抗体が認識する共通ペプチド配列を決定する。この方法で各抗体の抗原認識配列の確認が可能になる。かかる方法はWO 91/18980; WO 91/19818; WO 93/08278 に記載されている。
【0059】
特定の抗原に特異的な抗体を確認する当技術分野でよく知られている別の方法は、抗体分子をその表面に発現するウイルス、バクテリオファージまたは宿主細胞を利用するものである。この方法では、抗体または抗体断片をコードするDNAを、ウイルス、バクテリオファージ、宿主細胞、またはその他の複製能のある系の中に含める。抗体分子の部分を、ウイルス、バクテリオファージ、宿主細胞、またはその他の複製能のある系の表面に発現させ、固定化抗原との結合によって選択する。数回の選択後、抗体または抗体断片をコードするDNAを単離する。PCT特許公報番号WO 91/17271を参照。無作為かつ特異的ペプチドのライブラリーを作製する別な系は、インビトロ化学合成および組換え法の両局面を持つ。PCT特許公報番号WO 92/05258; WO 92/14843; WO 96/19256を参照。米国特許番号第5,658,754号;第5,643,768号も参照。これらの方法を実施するための無作為ペプチドディスプレーライブラリー、抗体断片ディスプレーライブラリー、ベクター、およびスクリーニングキットは、例えばInvitrogen (Carlsbad, California) および Cambridge Antibody Technologies (Cambridgeshire, UK)のような供給元から市販されている。例えば、米国特許番号第4,704,692号;第4,874,702号;第4,939,666号;第4,946,778号;第5,260,203号;第5,455,030号;第5,518,889号;第5,534,621号;第5,656,730号;第5,763,733号;第5,767,260号;第5,856,456号(Enzon);第5,223,409号;第5,403,484号;第5,571,698号;第5,837,500号(Dyax);第5,427,908号;第5,580,717号(Affymax);第5,885,793号(Cambridge Antibody Technologies);第5,750,373号(Genentech;第5,618,920号;第5,595,898号;第5,576,195号;第5,698,435号;第5,693,493号;第5,698,417号(Xoma);Colligan, 前掲; Ausubel, 前掲; Sambrook, 前掲を参照。特許および刊行物の記載全体は参照により本明細書に引用される。
【0060】
本発明の抗体はまた、少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体をコードする核酸を用いて製造され得、乳汁内にかかる抗体を産生するトランスジェニック動物、または例えばヤギ、ウシ、ウマ、ヒツジ、その他のような哺乳類を提供できる。かかる動物を、公知方法を用いて供給可能である。例えばこれに限定されるものではないが、記載全体を参照により本明細書に引用する米国特許番号第5,827,690号;第5,849,992号;第4,873,316号;第5,849,992号;第5,994,616号;第5,565,362号;第5,304,489号などを参照のこと。
【0061】
これに加えて本発明の抗体は、少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体をコードする核酸を使用して製造され得、植物の部分または培養細胞内にかかる抗体、特定部分または変異体を産生するトランスジェニック植物および培養植物細胞(例えば、これに限定されるものではないが、タバコおよびトウモロコシ)を提供する。非限定的な例としては、組換えタンパク質を発現するトランスジェニックタバコの葉を用いて、例えば誘導性プロモーターによって大量な組換えタンパク質を提供することに成功している。例えばCramer et al., 240 Curr. Top. Microbol. Immunol., 95−118 (1999)およびその参考文献を参照のこと。また、トランスジェニックトウモロコシは、他の組換え系で作製したもの、または天然起源から精製したものと等価な生物学的活性を有する哺乳類タンパク質を、商業的生産水準で発現するために使用されている。例えばHood et al., 464 Adv. Exp. Med. Biol., 127−147 (1999) およびその参考文献を参照のこと。抗体が、例えば一本鎖抗体(scFv)のような抗体断片を含む、タバコの種子およびジャガイモの塊茎を含むトランスジェニック植物の種子から大量に製造されている。例えばConrad et al., 38 Plant Mol. Biol., 101−109 (1998) およびその参考文献を参照のこと。そこで、本発明の抗体はまた、公知方法に従ってトランスジェニック植物を用いても製造することができる。例えば、各文献全体を参照により本明細書に引用するFischer et al., 30 Biotechnol. Appl. Biochem., 99−108 (Oct., 1999), Ma et al., 13 Trends Biotechnol., 522−527 (1995); Ma et al., 109 Plant Physiol., 341−346 (1995); Whitelam et al., 22 Biochem. Soc. Trans., 940−944 (1994) およびその参考文献を参照のこと。
【0062】
本発明の抗体は、広範囲の親和性(KD)でデング熱ウイルスタンパク質に結合できる。好適な態様では、少なくとも1種の本発明のヒトmAbは、要すれば高い親和性でデング熱ウイルスNS1タンパク質に結合できる。例えば、ヒトmAbはデング熱ウイルスNS1タンパク質に約10-7Mに等しいかまたはそれ以下、例えばこれに限定されるものではないが0.1〜9.9(またはその中の任意の範囲または値)×10-7、10-8、10-9、10-10、10-11、10-12またはその中の任意の範囲または値のようなKDで結合できる。
【0063】
抗体の抗原に対する親和性または結合強度は、適当な方法のいずれかを用いて実験的に測定できる。(例えばBerzofsky et al., 「Antibody-Antigen Interactions,」In Fundamental Immunology, (W.E. Paul (Ed.), Raven Press: New York, New York, 1984); Janis Kuby, Immunology, (W. H. Freeman, Company: New York, New York, 1992) ; および本明細書に記載する方法を参照)。特定の抗体−抗原相互作用の親和性測定値は、異なる条件(例えば、塩濃度、pH)で測定すれば変化し得る。そこで親和性および他の抗原結合パラメータ(例えば、KD、Ka、Kd)の測定を、好ましくは抗体と抗原の標準化された溶液、および例えば本明細書に記載する緩衝液のような標準化された緩衝液を用いて行う。
【0064】
本明細書に記載する抗デング熱ウイルス抗体の能力は、当業者によく知られているウイルス中和方法を用いてデング熱ウイルスを中和する能力について試験してもよい。かかるウイルス中和方法には、これに限定されるものではないが、参照により本明細書に引用するR. Rico−Hesse,「Molecular Evolution and Distribution of Dengue Viruses Type l and 2 in Nature」, 174 Virology, 479−493 (1990); B. L. Innis,「Antibody Responses to Dengue Virus Infection」, Dengue and Dengue Hemorrhagic Fever, (D. J. Gubler, G. Kuno (Eds.), CAB International, Cambridge (1997)) 221−243; Innis et al.,「An Enzyme−Linked Immunosorbent Assay to Characterize Dengue Infections Where Dengue and Japanese Encephalitis Co−Circulate」, 40 Am. J. Trop. Med. Hyg., 418−427 (1989); Kochel et al.,「Neutralization of American Genotype Dengue 2 Viral Infection by Dengue 1 Antibodies May Have Prevented Dengue Hemorrhagic Fever in Iquitos, Peru」, Lancet (2002) に記載のものが含まれる。
【0065】
核酸分子
本明細書に提供する情報、例えば、配列番号3および4の少なくとも1個の連続アミノ酸の少なくとも70%〜100%をコードするヌクレオチド配列、その特定断片、変異体または共通配列;またはこれらの配列の少なくとも1種を含む適当なベクターを用いて、少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体をコードする本発明の核酸分子を、本明細書に記載する方法または当技術分野で公知の方法を用いて入手できる。
【0066】
本発明の核酸分子は、クローニングで得られるかまたは合成的に製造したか、またはその組合せで得られる、RNAの形態、例えばmRNA、hnRNA、tRNAまたはその他の形態、またはこれに限定されるものではないがcDNAおよびゲノムDNAを含むDNAの形態であり得る。このDNAは、二本鎖または一本鎖であるか、またはそれらの組合せのいずれかであり得る。DNAまたはRNAの少なくとも1個の鎖の部分は、いずれもセンス鎖とも呼ばれるコード鎖であるか、またはアンチセンス鎖とも呼ばれる非コード鎖であり得る。
【0067】
単離された本発明の核酸分子は、要すれば、例えばこれに限定されるものではないが、少なくとも1種の重鎖(例えば、配列番号1)または軽鎖(例えば、配列番号2)のCDR1、CDR2および/またはCDR3のような少なくとも1種のCDRの少なくとも1個の特定部分の1個またはそれ以上のイントロンを有していてもよいオープンリーディングフレーム(ORF)を含む核酸分子;抗デング熱ウイルス抗体または可変領域(例えば、配列番号3および4)のコード配列を含む核酸分子;および前記のものとは実質的に異なるが遺伝子コードの縮退性のためになお本明細書に記載するおよび/または当技術分野で知られている少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体をコードしているヌクレオチド配列を包含する核酸分子;を含むことができる。勿論、遺伝子コードは当技術分野でよく知られている。そこで、本発明の特異的抗デング熱ウイルス抗体をコードするかかる縮退核酸変異体を作製することは、当業者には常套手段のはずである。例えばAusubel et al., 前掲を参照。かかる核酸変異体は本発明に含まれる。単離された本発明の核酸分子の非限定的例には、配列番号1および2の配列が含まれる。
【0068】
本明細書に示すように、抗デング熱ウイルス抗体をコードする核酸を包含する本発明の核酸分子には、これに限定されるものではないが、それ自体抗体断片のアミノ酸配列をコードする核酸分子;抗体全体またはその一部のコード配列;抗体、断片または部分のコード配列;ならびに例えば少なくとも1個のイントロンなどの前記付加的コード配列を有するか、または有さない、例えば少なくとも1種のシグナルリーダまたは融合ペプチドのコード配列などの付加的配列;それと共に、これに限定されるものではないが、例えば転写、スプライシングおよびポリアデニル化シグナル(例えば、リボソーム結合およびmRNAの安定性)を含むmRNAプロセッシングにて役割を果たす転写された非翻訳配列のような非コード5’配列および3’配列を含む付加的な非コード配列;例えば、付加的機能を提供するような付加的アミノ酸をコードする付加的コード配列;が含まれ得る。そこで、抗体をコードする配列を、例えば抗体断片または部分を包含する融合抗体の精製を促進するペプチドをコードする配列のようなマーカー配列と融合することが可能である。
【0069】
核酸の構築
本発明の単離された核酸は、当技術分野でよく知られている(a)組換え法、(b)合成技術、(c)精製技術、またはそれらの組合せを用いて製造できる。
【0070】
核酸には、本発明のポリヌクレオチドに加えて好都合に各配列が包含され得る。例えば、1個またはそれ以上のエンドヌクレアーゼ制限部位を含む多重クローニング部位を、核酸にポリヌクレオチドの単離を補助するように挿入することができる。また、翻訳可能な配列を、翻訳された本発明のポリヌクレオチドの単離を補助するように挿入することができる。例えば、ヘキサヒスチジンマーカー配列は、本発明のタンパク質を精製する好都合な手段を提供する。本発明の核酸は、要すれば、コード配列を除いて、本発明ポリヌクレオチドのクローニングおよび/または発現のためのベクター、アダプターまたはリンカーであってもよい。
【0071】
付加的配列を、かかるクローニングおよび/または発現配列に加えて、クローニングおよび/または発現におけるその機能を最適化し、ポリヌクレオチドの単離を補助し、または細胞中へのポリヌクレオチドの導入を改善することができる。クローニングベクター、発現ベクター、アダプターおよびリンカーの使用は、当技術分野でよく知られている。(例えば、Ausubel, 前掲; or Sambrook, 前掲を参照)
【0072】
核酸構築のための組換え法
例えばRNA、cDNA、ゲノムDNAまたはそのいずれかの組合せのような本発明の単離された核酸組成物を、当業者に知られている多数のクローニング方法論のいずれかを用いて生物学的起源から得ることができる。ある態様では、ストリンジェントな条件下に本発明のポリヌクレオチドと選択的にハイブリッドを形成するオリゴヌクレオチドプローブを、cDNAまたはゲノムDNAライブラリーにおける所望の配列を確認するために使用する。RNAの単離、およびcDNAおよびゲノムライブラリーの構築は、当業者によく知られている。(例えばAusubel, 前掲; Sambrook, 前掲を参照)
【0073】
核酸構築のための合成法
本発明の単離された核酸はまた、直接的化学合成による公知方法(例えば、Ausubel et al., 前掲を参照)によっても製造できる。化学合成は一般に、一本鎖オリゴヌクレオチドを与え、これと相補性配列とのハイブリッド形成によって、または一本鎖を鋳型として用いて、DNAポリメラーゼで多重体化して二本鎖DNAに変換され得る。当業者は、DNAの化学合成が約100塩基またはそれ以上の配列に限定されるが、より長い配列がより短い配列の連結によって得られ得ることを認識することになろう。
【0074】
組換え発現カセット
本発明はさらに、本発明の核酸を含有する組換え発現カセットを提供する。本発明の核酸配列、例えば本発明の抗体をコードするcDNA、ゲノム配列などを用いて、組換え発現カセットを構築でき、少なくとも1個の所望の宿主細胞に導入することができる。組換え発現カセットは、典型的には、これを対象とする宿主細胞内にあるポリヌクレオチドの転写を指向する転写開始制御配列に作動可能に連結している本発明のポリヌクレオチドを包含する。異種および非異種(すなわち内因性)プロモーターは双方とも、本発明の核酸の発現を指向するために採用できる。
【0075】
ある態様では、プロモーター、エンハンサー、その他のエレメントとして役立つ単離された核酸は本発明ポリヌクレオチドの発現を上方制御または下方制御するように本発明ポリヌクレオチドの非異種型の適当な位置(上流、下流またはイントロン中)に導入できる。例えば、内因性プロモーターは、インビボまたはインビトロで突然変異、欠失および/または置換によって変更され得る。
【0076】
ベクターと宿主細胞
本発明はまた、本発明の単離された核酸分子を含むベクター;組換えベクターを用いて遺伝子的に作製された宿主細胞;および当技術分野でよく知られた組換え技術による少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体生産;にも関する。例えば全体を参照により本明細書に引用するSambrook et al., 前掲; Ausubel et al., 前掲を参照。
【0077】
ポリヌクレオチドは要すれば、宿主での増幅のため選択可能マーカーを含むベクターに結合させてもよい。一般にプラスミドベクターは、例えば燐酸カルシウム沈殿のような沈殿にてか、または荷電脂質との複合体にて導入される。ベクターがウイルスであれば、それを適当なパッケージング細胞系にインビトロで導入し、次に宿主細胞に形質導入することができる。
【0078】
DNA挿入体を、適当なプロモーターと作動可能に連結させる必要がある。発現構築物にはさらに、転写開始部位、末端部位、および転写領域には翻訳のためのリボソーム結合部位を含める。構築物が発現する成熟転写物のコード部分には、好ましくは始めに翻訳開始コドン、および翻訳されるmRNAの末端に適当に位置する終止コドン(例えば、UAA、UGAまたはUAG)が含まれ、哺乳類または真核生物の細胞での発現ではUAAとUAGとが好適である。
【0079】
発現ベクターは、好ましくはしかし要すれば、少なくとも1個の選択可能マーカーを含めてもよい。かかるマーカーは、例えばこれに限定されるものではないが、真核生物での培養にはメトトレキセート(MTX)、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR、米国特許番号第4,399,216号;第4,634,665号;第4,656,134号;第4,956,288号;第5,149,636号;第5,179,017号)、アンピシリン、ネオマイシン(G418)、ミコフェノール酸、またはグルタミン合成酵素(GS)、米国特許番号第5,122,464号;第5,770,359号;第5,827,739号)耐性を、および大腸菌その他の細菌または原核生物での培養にはテトラサイクリンまたはアンピシリン耐性遺伝子を含む(前記各特許全体を参照により本明細書に引用する)。適当な培養培地および前記宿主細胞のための条件は、当技術分野で知られている。適当なベクターは、当業者にとっては容易かつ明白である。ベクター構築物の宿主細胞への導入は、燐酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストランを介したトランスフェクション、カチオン性脂質を介したトランスフェクション、電気穿孔、形質導入、感染、またはその他の公知方法によって行うことができる。かかる方法は、例えばSambrook, 前掲, Chapters 1−4, 16−18; Ausubel, 前掲, Chapters 1, 9, 13, 15, 16のような文献に記載されている。
【0080】
本発明の少なくとも1種の抗体は、例えば融合タンパク質のような修飾された形態で発現され得、分泌シグナルのみでなく、追加的異種機能領域を含めることもできる。例えば、追加的アミノ酸、特に荷電アミノ酸の領域を、宿主細胞中にて、精製中または後続する操作および貯蔵の間の安定性および持続性を改善するために抗体のN末端に付加することができる。また、ペプチド部分を本発明の抗体に付加して精製を促進することができる。かかる領域は、抗体または少なくとも1種のその断片の最終製造段階前に除去され得る。かかる方法は、例えば、Sambrook, 前掲, Chapters 17.29−17.42/18.1−18.74; Ausubel, 前掲, Chapters 16, 17, 18のような多数の標準的実験室指針に記載されている。
【0081】
当業者は、本発明のタンパク質をコードする核酸の発現に使用できる多数の発現システムを知ることが可能となる。
【0082】
あるいは、本発明の核酸は、本発明の抗体をコードする内生DNAを含む宿主細胞内での発現を開始する(操作により)ことで宿主細胞内に発現され得る。かかる方法は、当技術分野でよく知られており、例えば全体を参照により本明細書に引用する米国特許番号第5,580,734号;第5,641,670号;第5,733,746号;第5,733,761号に記載されている。
【0083】
抗体、その特定部分または変異体の生産に有用な細胞培養の例は、哺乳類細胞である。哺乳類細胞系としては、哺乳類細胞の懸濁液またはバイオリアクターも使用できるが、単層の細胞の形態であることが多い。無傷のグリコシル化タンパク質を発現できる多数の適当な宿主細胞系が、当技術分野で開発されており:COS−1(例えばATCC CRL 1650)、COS−7(例えばATCC CRL-1651)、HEK293、BHK21(例えばATCC CRL−10)、CHO(例えばATCC CRL 1610)およびBSC−1(例えばATCC CRL−26)細胞系列、Cos−7細胞、CHO細胞、hepG2細胞、P3X63Ag8.653、SP2/0−Ag14、293細胞、HeLa細胞などが含まれ、これらは例えばAmerican Type Culture Collection, Manassas, Va (www.atcc.org)などから容易に入手できる。1つの態様では、宿主細胞は、例えば骨髄腫およびリンパ腫細胞のようなリンパ様細胞起源の細胞を含む。
【0084】
これらの細胞の発現ベクターは、次の発現制御配列の1個またはそれ以上、例えばこれに限定されるものではないが、複製開始点;プロモーター(例えば、後期または初期SV40プロモーター、CMVプロモーター(米国特許番号第5,168,062号;第5,385,839号)、HSVtkプロモーター、pgk(ホスホグリセレートキナーゼ)プロモーター、EF−1 α−プロモーター (米国特許番号第5,266,491号)、少なくとも1種のヒト免疫グロブリンプロモーターなど);エンハンサー、および/または例えばリボソーム結合部位、RNAスプライシング部位、ポリアデニル化部位(例えば、SV40ラージT AgポリA付加部位)および転写終結配列のようなプロセッシング情報部位を含む。例えばAusubel et al., 前掲; Sambrook et al., 前掲を参照。本発明の核酸またはタンパク質の製造に有用な他の細胞は公知であり、および/または例えばthe American Type Culture Collection Catalogue of Cell Lines and Hybridomas (www.atcc.org)またはその他の公知の、または商業的な供給元から入手可能である。
【0085】
真核生物の宿主細胞を用いる場合は、典型的にはポリアデニル化または転写終結配列をベクターに導入する。終結配列の例は、ウシ成長ホルモン遺伝子からのポリアデニル化配列である。転写物の正確なスプライシングのための配列も、含めることができる。スプライシング配列の一例は、SV40由来のVP1イントロンである(Sprague et al., 45 J. Virol., 773−781 (1983))。これに加えて、当技術分野で知られているように、ベクターに宿主細胞内の複製を制御する遺伝子配列を導入することができる。
【0086】
抗体の精製
抗デング熱ウイルス抗体を、これに限定されるものではないが、プロテインA精製、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、アニオンまたはカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィーを含むよく知られた方法によって組換え細胞培養物から回収し、精製することができる。高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)も、精製に採用できる。例えば、全体を参照により本明細書に引用するColligan, Current Protocols in Immunology or Current Protocols in Protein Science, (John Wiley & Sons, New York, New York, 1997−2001)、例えばChapters 1, 4, 6, 8, 9, 10を参照。
【0087】
本発明の抗体には、天然精製産物、化学合成法の産物、および例えば細菌、カビ、酵母、植物、昆虫、非哺乳類および哺乳類細胞を含む原核生物または真核生物宿主から組換え技術によって作製した産物が含まれる。組換え生産法に用いる宿主に依存して、本発明の抗体はグリコシル化されることもされないこともあり、グリコシル化には複数の態様がある。かかる方法は、例えば全体を参照により本明細書に引用するSambrook, 前掲, Sections 17.37−17.42; Ausubel, 前掲, Chapters 10, 12, 13, 16, 18, 20; Colligan, Protein Science, 前掲, Chapters 12−14のような多数の標準的実験室指針に記載されている。
【0088】
抗デング熱ウイルス抗体
本発明の単離された抗体は、適当なポリヌクレオチドのいずれかがコードする本明細書に記載する抗体アミノ酸配列、または単離されたまたは製造された抗体を包含する。ヒト抗体または抗原−結合性断片は、デング熱ウイルスNSタンパク質に結合し、それによってNSタンパク質の少なくとも1個の生物活性を部分的または実質的に中和するか、またはウイルスの複製サイクルを妨害するか、またはウイルス感染細胞を殺してウイルス感染の排除を推進し得る宿主免疫系によるウイルス感染細胞の認識を増強することもある。本発明の抗体は、デング熱ウイルスに特異的な抗体に見られるデング熱ウイルス感染の増強を起こすことは期待されない。20, 21, 22, 23 抗体またはその特定部分または変異体は、部分的または実質的に少なくとも1種のデング熱ウイルスNSタンパク質または断片の少なくとも1個の生物活性を中和することもある。抗体はまた、ウイルスNSタンパク質または断片にも結合し、それによってデング熱ウイルスNSタンパク質依存性のまたはNSタンパク質を介したメカニズムによって仲介される活性を阻害することもある。デング熱ウイルスに感染した細胞は、その表面にデング熱ウイルスNSタンパク質を提示する。これに加えて、デング熱ウイルスが被覆ウイルスであり、エンベロープは宿主細胞由来なので、このタンパク質は感染デング熱ウイルス粒子のエンベロープにも発見される。本発明の抗体は、デング熱ウイルス感染細胞の表面に結合することによってデング熱ウイルス感染細胞の認識を実質的に増大させることもできる。感染細胞の表面に結合した抗体は、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)または細胞依存性細胞傷害性(CDC)を促進し得、それによって殺ウイルス感染細胞作用を増強してウイルス複製サイクルを遮断することもできる。このウイルス複製サイクルの遮断は、感染の重症度を低下させ得、疾患からの回復を加速できる。抗デング熱ウイルス抗体がデング熱ウイルスNSタンパク質依存性の活性を阻害する能力は、本明細書に記載するおよび/または当技術分野で公知の適当なデング熱ウイルスNSタンパク質検定、感染性検定または複製サイクル検定の少なくとも1種によって評価できる。本発明の抗デング熱ウイルス抗体は、いずれのクラス(IgG、IgA、IgM、IgE、IgDなど)またはイソ型のものであっても良く、およびκまたはλ軽鎖のものを包含できる。1つの態様ではこの抗体は、例えばイソ型IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4の少なくとも1種のIgG重鎖または特定の断片を包含する。この型の抗体は、本明細書に記載するおよび/または当技術分野で公知の少なくとも1種のヒト軽鎖(例えば、IgG、IgAおよびIgM(例えば、γ1、γ2、γ3、γ4)トランスジーンを包含するトランスジェニックマウスまたはその他のトランスジェニック非ヒト哺乳類を用いることによって製造できる。別な態様では抗デング熱ウイルス抗体は、IgG1重鎖およびIgG1軽鎖を包含する。
【0089】
少なくとも1種の本発明の抗体は、少なくとも1種のデング熱ウイルスタンパク質、そのサブユニット、断片、部分またはその組合せに特異的な少なくとも1個の特定エピトープに結合する。少なくとも1個のエピトープは、少なくとも1個の該タンパク質の部分を含む少なくとも1個の抗体結合領域を包含でき、そのエピトープは好ましくは、該タンパク質の細胞外、構造、非構造、可溶性、親水性、外部または細胞質の各部分少なくとも1種を包含する。少なくとも1個の特定エピトープは、少なくとも1〜3個のアミノ酸からデング熱ウイルスタンパク質の連続アミノ酸の特定部分全体までの少なくとも1種のアミノ酸配列のいかなる組合せも包含できる。
【0090】
一般に、本発明のヒト抗体または抗原−結合断片には、抗原−結合領域が包含され、これは少なくとも1種のヒト相補性決定領域(CDR1、CDR2およびCDR3)または少なくとも1種の重鎖可変領域の変異体、および少なくとも1種のヒト相補性決定領域(CDR1、CDR2およびCDR3)、または少なくとも1種の軽鎖可変領域の変異体を包含する。非限定的な例として、前記抗体または抗原結合部分または変異体は、配列番号3のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、および/または少なくとも1個の配列番号4のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を包含することができる。特定の態様では、抗体または抗原結合性断片は、対応するCDR1、2および/または3(例えば、配列番号3)のアミノ酸配列を有する少なくとも1種の重鎖CDR(すなわちCDR1、CDR2および/またはCDR3)の少なくとも一部を包含する抗原結合領域を有し得る。別な特定の態様では、抗体または抗原結合部分または変異体は、対応するCDR1、2および/または3(例えば、配列番号4)のアミノ酸配列を有する少なくとも1種の軽鎖CDR(すなわちCDR1、CDR2および/またはCDR3)の少なくとも一部を包含する抗原結合領域を有し得る。好適な態様の一つでは、抗体または抗原結合断片の3種の重鎖CDRおよび3種の軽鎖CDRは、mAb(例えば、本明細書でDEN3と記載する抗デング熱ウイルス抗体のようなもの:これとDEN−3として公知のデング熱ウイルス血清型3とを混同しないこと)の少なくとも1種の対応するCDRの本明細書に記載するアミノ酸配列を有する。かかる抗体は、抗体の様々な部分(例えば、CDR、フレームワーク)を常套技術を用いて相互に化学的に結合することによって、組換えDNA技術の常套技術またはその他適当な方法を用いて抗体をコードする核酸分子(すなわち1個またはそれ以上)を製造し、発現することにより製造できる。
【0091】
抗デング熱ウイルス抗体は、特定のアミノ酸配列を有する少なくとも1種の重鎖または軽鎖の可変領域を包含することができる。例えば好適な態様では、抗デング熱ウイルス抗体は、要すれば配列番号3のアミノ酸配列を有していてもよい少なくとも1種の重鎖可変領域;および/または要すれば配列番号4のアミノ酸配列を有していてもよい少なくとも1種の軽鎖可変領域;からの少なくとも1種を包含する。デング熱ウイルスに結合する抗体および所定の重鎖または軽鎖可変領域を包含する抗体を、例えばファージディスプレー法(Katsube et al., 1(5) Int. J. Mol. Med., 863−868 (1998))またはトランスジェニック動物を用いる方法のような当技術分野で公知の方法および/または本明細書に記載する方法など適当な方法を用いて製造することができる。例えば、機能的に転位したヒト免疫グロブリン重鎖トランスジーンおよび機能的転位を行うことができるヒト免疫グロブリン軽鎖部位由来のDNAを包含するトランスジーンを包含するトランスジェニックマウスを、デング熱ウイルスまたはその断片で免疫して抗体の産生を誘導することができる。所望であれば、抗体産生細胞を単離し、ハイブリドーマまたはその他の不死化抗体産生細胞を公知の方法および/または本明細書に記載する方法で製造することができる。あるいは、抗体、特定部分または変異体を、コード核酸またはその部分を適当な宿主細胞に用いて発現させることができる。
【0092】
本発明はまた、本明細書に記載するアミノ酸配列と実質的に同じ配列内のアミノ酸を包含する抗体、抗原結合断片、免疫グロブリン鎖およびCDRに関する。好ましくは、かかる抗体または抗原結合断片、およびかかる鎖またはCDRを包含する抗体は、高い親和性(例えば、約10-9Mと等しいかまたはそれ以下のKD)でデング熱ウイルスに結合できる。本明細書に記載する配列と実質的に同じアミノ酸配列は、同類アミノ酸置換、ならびにアミノ酸欠失および/または挿入を包含する配列を含む。同類アミノ酸置換とは、第一のアミノ酸の化学的および/または物理的性質(例えば荷電、構造、極性、親水性/疎水性)と類似のそれを有する第二のアミノ酸による置換を示す。同類置換は、次の群内の1個のアミノ酸を同群内のアミノ酸で置換することを含む:リジン(K)、アルギニン(R)およびヒスチジン(H);アスパラギン酸(D)およびグルタミン酸(E);アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、トレオニン(T)、チロシン(Y)、K、R、H、DおよびE;アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、メチオニン(M)、システイン(C)およびグリシン(G); F、WおよびY;C、SおよびT。
【0093】
アミノ酸コード
本発明の抗デング熱ウイルス抗体を構成するアミノ酸は、略号で記載されることが多い。アミノ酸の略号は、アミノ酸を当技術分野でよく理解されている1文字表記、3文字表記、名称または3ヌクレオチドコドン(Alberts et al., Molecular Biology of The Cell, 3rd Edition, (Garland Publishing, Inc., New York, (1994))によって指定することができる。
【表1】

【0094】
本発明の抗デング熱ウイルス抗体は、本明細書に特定する天然突然変異または人工的操作のいずれかからによる1個またはそれ以上のアミノ酸の置換、欠失または付加を含み得る。
【0095】
勿論、当業者が行うアミノ酸置換の数は、前記を含む多くの因子に依存する。一般的に言えば、所定の抗デング熱ウイルス抗体、断片または変異体へのアミノ酸の置換、挿入または欠失の数は、本明細書に特定するように、例えば1〜30またはその中の任意の範囲または値のように40、30、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1よりも多くはないと思われる。
【0096】
本発明の抗デング熱ウイルス抗体中の機能に必須なアミノ酸は、例えば部位特異的突然変異またはアラニンスキャニング突然変異のような当技術分野で公知の方法によって確認できる(例えば、Ausubel, 前掲, Chapters 8, 15; Cunningham, Wells, 244 Science, 1081−1085 (1989))。後者の操作では、分子内の各残基に単一アラニン突然変異を導入する。次に、得られる突然変異分子を、例えばこれに限定されるものではないが、少なくとも1種のデング熱ウイルスNSタンパク質結合活性のような生物活性について試験する。抗体結合に必須な部位はまた、例えば結晶化、核磁気共鳴または光親和性標識のような構造分析によっても確認することができる(Smith et al., 224 J. Mol. Biol., 899−904 (1992); de Vos et al., 255 Science, 306−312 (1992) )。
【0097】
本発明の抗デング熱ウイルス抗体は、これに限定されるものではないが、配列番号3および4の少なくとも1個の連続するアミノ酸の5個〜全部から選択される少なくとも1個の部分、配列または組合せを含むことができる。
【0098】
抗デング熱ウイルス抗体はさらに、要すれば、配列番号3および4の少なくとも1個の連続アミノ酸の70%〜100%を有するポリペプチドの少なくとも1種を包含してもよい。
【0099】
一つの態様では、免疫グロブリン鎖のアミノ酸配列またはその部分(例えば、可変領域、CDR)は、配列番号4の対応する鎖のアミノ酸配列に対して約70%〜100%の同一性(例えば、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%またはその中の任意の範囲または値)を有する。例えば、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号4の配列と比較でき、また重鎖CDR3のアミノ酸配列は配列番号3の配列と比較できる。好ましくは、70%〜100%のアミノ酸同一性(すなわち90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%またはその中の任意の範囲または値)を、当技術分野で公知の適当なコンピュータ・アルゴリズムを用いて決定する。
【0100】
代表的な重鎖および軽鎖の可変領域の配列を、配列番号3および4に示す。本発明の抗体またはその特定の変異体は、本発明の抗体由来のいかなる数の連続アミノ酸残基をも包含できるが、その数は抗デング熱ウイルス抗体内の連続残基数の10%〜100%からなる整数の群から選択される。要すれば、連続アミノ酸のサブ配列は、少なくともアミノ酸長約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250またはそれ以上、もしくはその中の任意の範囲または値であってもよい。さらに、そのようなサブ配列の数は、例えば少なくとも2、3、4または5のような1〜20からなる群から選択されるいかなる整数であることも可能である。
【0101】
別な1つの局面では、本発明は、有機基の共有結合的付加により修飾された本明細書に記載するヒト抗体および抗原結合性断片に関する。かかる修飾は、薬物動力学的性質が改善された(例えば、インビボ血清半減期増大した)抗体または抗原結合断片を供し得る。有機基は直鎖状または分枝状の親水性高分子基、脂肪酸基または脂肪酸エステル基であり得る。特定の態様では、親水性高分子基は、分子量約800〜約120,000ダルトンを有し得、ポリアルカングルコール(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG))、炭水化物ポリマー、アミノ酸ポリマーまたはポリビニルピロリドンであり得、脂肪酸または脂肪酸エステル基は、炭素原子8個から約40個を包含し得る。
【0102】
本発明の修飾された抗体および抗原結合性断片は、抗体に直接的または間接的に共有結合する1個またはそれ以上の有機基を包含することができる。本発明の抗体または抗原結合性断片断片に結合する各有機基は、各々独立に親水性ポリマー基、脂肪酸基または脂肪酸エステル基である。本明細書で使用する用語「脂肪酸」は、モノカルボン酸およびジカルボン酸を包含する。本明細書で使用する用語「親水性ポリマー基」は、オクタンよりも水に溶けやすい有機ポリマーを示す。例えば、ポリリジンはオクタンよりも水に溶けやすい。そこで、ポリリジンの共有結合による付着で修飾された抗体も、本発明に含めることとする。本発明の抗体を修飾するために適当な親水性ポリマーは、直鎖状または分枝状であって、例えば、ポリアルカングリコール(例えば、PEG、モノメトキシポリエチレングリコール(mPEG)、PPGなど)、炭水化物(例えば、デキストラン、セルロース、オリゴサッカライド、ポリサッカライドなど)、親水性アミノ酸のポリマー(例えば、ポリリジン、ポリアルギニン、ポリアスパルテートなど)、ポリアルカンオキシド(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなど)およびポリビニルピロリドンであることができる。好ましくは、本発明の抗体を修飾する親水性ポリマーは、個別の化合物として約800〜約150,000ダルトンの分子量を有する。例えばPEG5000およびPEG20,000などでは、その下付文字が平均分子量をダルトンで示しており、これらを使用できる。親水性ポリマー基は、1〜約6個のアルキル基、脂肪酸基または脂肪酸エステル基で置換され得る。脂肪酸または脂肪酸エステル基で置換された親水性ポリマーは、適当な方法を用いて製造できる。例えば、アミン基を含むポリマーは、脂肪酸または脂肪酸エステルのカルボキシレートに結合でき、および脂肪酸または脂肪酸エステルの活性化されたカルボキシレート(例えば、N,N−カルボニルジイミダゾールで活性化)は、ポリマーのヒドロキシ基に結合できる。
【0103】
本発明抗体の修飾に適する脂肪酸および脂肪酸エステルは、飽和であるかまたは1つまたはそれ以上の不飽和を含むことができる。本発明の抗体の修飾に適する脂肪酸としては、例えば、n−ドデカノエート(C12、ラウレート)、n−テトラデカノエート(C14、ミリステート)、n−オクタデカノエート(C18、ステアレート)、n−エイコサノエート(C20、アラキデート)、n−ドコサノエート(C22、ベヘネート)、n−トリアコンタノエート(C30)、n−テトラコンタノエート(C40)、シス−Δ−オクタデカノエート(C18、オレエート)、全シス−Δ5,8,11,14−エイコサテトラエノエート(C20、アラキドネート)、オクタン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、ドコサン二酸などが含まれる。適当な脂肪酸エステルは、ジカルボン酸のモノエステルを含み、これは直鎖状または分枝状の低級アルキル基を包含する。この低級アルキル基は、炭素原子1〜約12個、好ましくは炭素原子1個〜約6個を包含し得る。
【0104】
修飾された抗体および抗原結合断片は、例えば1種またはそれ以上の変性剤との反応のような適当な方法を用いて調製可能である。本明細書で使用する用語「変性剤」とは、活性化基を包含する適当な有機基(例えば、親水性ポリマー、脂肪酸、脂肪酸エステル)を示す。「活性化基」とは、適当な条件下に第二の化学基と反応し、それによって変性剤と第二の化学基との間に共有結合を形成することができる化学基または官能基である。例えば、アミン反応性の活性化基には、例えばトシレート、メシレート、ハロ(クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード)、N−ヒドロキスサクシンイミドイルエステル(NHS)、などのような求電子基を含む。チオールと反応できる活性化基には、例えば、マレインイミド、ヨードアセチル、アクリロイル、ピリジルジスルフィド、5−チオール−2−ニトロ安息香酸チオール(TNB−チオール)などが含まれる。アルデヒド官能基は、アミン含有分子またはヒトラジド含有分子と結合でき、アジド基は三価の燐基と反応してホスホルアミデートまたはホスホルイミデート結合を形成できる。分子中に活性化基を導入する適当な方法は、当技術分野で公知である(例えばG.T. Hermanson, Bioconjugate Techniques, (Academic Press, San Diego, CA (1996)) などを参照)。活性化基は、有機基(例えば、親水ポリマー、脂肪酸、脂肪酸エステル)に直接結合させるか、または例えば二価のC〜C12基などであって、その1個またはそれ以上の炭素原子が、例えば酸素、窒素または硫黄のようなヘテロ原子で置換できるリンカー部分を経て結合させることができる。適当なリンカー部分には、例えばテトラエチレングリコール、−(CH−、−NH−(CH−NH−、−(CH−NH−および−CH−O−CH−CH−O−CH−CH−O−CH−NH−などが含まれる。リンカー部分を包含する変性剤は、例えばモノ−Boc−アルキルジアミン(例えば、モノ−Boc−エチレンジアミン、モノ−Boc−ジアミノヘキサン)と脂肪酸を1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)の存在下に反応させて、遊離アミンと脂肪酸のカルボキシレートとの間にアミド結合を形成させて製造することができる。Boc保護基を、トリフルオロ酢酸(TFA)で処理して生成物から除去して1級アミンを露出させ、これを前記の別なカルボキシレートと結合させるか、またはマレイン酸無水物と反応させ、得られる産物を環化して、活性化された脂肪酸のマレイミド誘導体を製造する(例えば、教示全体を参照により本明細書に引用するThompson, et al., WO 92/16221などを参照)。
【0105】
本発明の修飾された抗体は、抗体または抗原結合性断片と変性剤を反応させることによって製造できる。例えば有機基を、例えばPEGのNHSエステルなどのアミン反応性変性剤を用いて反応させ、抗体に非部位特異的に結合させ得る。また抗体または抗原結合性断片のジスルフィド結合(例えば、鎖内ジスルフィド結合)を還元することによっても、修飾された抗体または抗原結合性断片を製造できる。次に、還元された抗体または抗原結合性断片をチオール反応性変性剤と反応させて、本発明の修飾された抗体を製造することができる。本発明の抗体の特異的部位に結合する有機基を包含する修飾された抗体および抗原結合性断片は、例えば逆プロテオリシスのような適当な方法を使用して調製できる (Fisch et al., 3 Bioconjugate Chem., 147−153 (1992); Werlen et al., 5 Bioconjugate Chem., 411−417 (1994); Kumaran et al., 6(10) Protein Sci., 2233−2241 (1997); Itoh et al., 24(1) Bioorg. Chem., 59−68 (1996); Capellas et al., 56(4) Biotechnol. Bioeng., 456−463 (1997)) およびG.T. Hermanson, Bioconjugate Techniques, (Academic Press, San Diego, CA (1996)) に記載の方法を参照。
【0106】
抗デング熱ウイルス抗体組成物
本発明はまた、本明細書に記載するおよび/または当技術分野で公知の少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種またはそれ以上の抗デング熱ウイルス抗体を包含し、非天然起源の組成物、混合物などの形態で提供される少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体組成物を提供する。かかる組成物は、配列番号3および4またはその特定断片、ドメインまたは変異体の連続アミノ酸の70%〜100%から構成される群から選択された抗デング熱ウイルス抗体アミノ酸配列の少なくとも1種または2種の全長、C末端欠失変異体および/またはN末端欠失変異体、ドメイン、断片または特定変異体を包含する非天然起源の組成物を包含する。好適な抗デング熱ウイルス抗体組成物には、配列番号3または4の70%〜100%に当る抗デング熱ウイルス抗体配列の少なくとも1種のCDRまたはLBR含有部分またはその特定の断片、ドメインまたは変異体として少なくとも1種または2種の全長、断片、ドメインまたは変異体が含まれる。さらに好適な組成物は、配列番号3または4の70%〜100%、または特定断片、ドメインまたは変異体の少なくとも1つを40%〜99%包含する。かかる組成物で示す百分率は、当技術分野で公知のまたは本明細書に記載する重量、容量、濃度、モルの百分率であるか、液剤または乾燥液剤、混合剤、懸濁剤、乳剤またはコロイド剤としてのモル濃度である。
【0107】
本発明の抗デング熱ウイルス抗体組成物はさらに、少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体を包含し、かかる調整、処置または療法が必要な細胞、組織、器官、動物または患者への組成物または医薬組成物の少なくとも1種を適当かつ有効な量で包含でき、要すればさらに、デング熱ウイルス抗ウイルス剤(例えば、これに限定されるものではないが、抗デング熱ウイルス抗体または断片、可溶性デング熱ウイルス受容体またはその断片、融合タンパク質、または低分子デング熱ウイルス感染性または複製拮抗剤)、抗リューマチ剤(例えば、メトトレキセート、アウラノフィン、アウロチオグルコース、アザチオプリン、エタネルセプト、金チオマレイン酸ナトリウム、硫酸ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、サルファサルジン)、筋弛緩剤、麻酔剤、非ステロイド抗炎症剤(NSAID)、鎮痛剤、麻酔剤、鎮静剤、局所麻酔剤、神経筋遮断剤、抗微生物剤(例えば、アミノグリコシド、抗カビ剤、駆虫剤、抗ウイルス剤、カルバペネム、セファロスポリン、フルオロキノロン、マクロライド、ペニシリン、スルホンアミド、テトラサイクリン、その他の抗微生物剤)、抗乾癬剤、コルチコステロイド、蛋白同化ステロイド、糖尿病関連薬、鉱質、栄養剤、甲状腺剤、ビタミン、カルシウム関連ホルモン、下痢止め、鎮咳剤、制吐剤、抗潰瘍剤、緩下剤、抗凝血剤、エリトロポイエチン(例えば、エポエチンα)、フィルグラスチム(例えば、G−CSF、ノイポゲン)、サルグラモスチム(GM−CSF、ロイキン)、免疫剤、免疫グロブリン、免疫抑制剤(例えば、バシリキシマブ、サイクロスポリン、ダクリズマブ)、成長ホルモン、ホルモン補充薬剤、エストロゲン受容体調整剤、散瞳剤、毛様体筋麻痺薬、アルキル化剤、抗代謝剤、有糸分裂阻害剤、放射性医薬品、抗うつ病剤、抗躁うつ病薬、抗精神病薬、抗不安剤、催眠剤、交感神経作用薬、刺激剤、ドネペジル、タクリン、喘息薬、β−アゴニスト、吸入ステロイド、ロイコトリエン阻害剤、メチルキサンチン、クロモリン、エピネフィリンまたは類似体、ドルナーゼα(プルモチム(pulmozyme))、成長因子サイトカインまたは成長因子サイトカイン拮抗剤の少なくとも1種から選択された少なくとも1個を包含してもよい。かかる成長因子またはサイトカインの非限定的な例としては、これに限定されるものではないが、エリスロポイエチン、インターフェロン、GCSF、GMCSFおよびIL−1〜IL−23が含まれる。適当な用量は、当技術分野でよく知られている。例えば各文献の記載全体を参照により本明細書に引用するWells et al. (Eds.), Pharmacotherapy Handbook, 2nd Edition, (Appleton and Lange, Stamford, CT (2000)); PDR Pharmacopoeia, Tarascon Pocket Pharmacopoeia 2000, Deluxe Edition, (Tarascon Publishing, Loma Linda, CA (2000)) を参照。
【0108】
かかる抗癌剤、抗ウイルス剤または抗感染症剤はまた、トキシン分子を含むことができ、それは少なくとも1種の本発明の抗体と付随、結合、共製剤化または同時投与される。このトキシンは、要すれば病原性細胞または組織を選択的に殺すように作用するものでもよい。この病原性細胞は、癌またはその他の細胞であり得る。かかるトキシンは、これに限定されるものではないが、例えばリシン、ジフテリアトキシン、蛇毒または細菌性トキシンの少なくとも1種から選択される少なくとも1個のトキシンの機能的細胞毒性ドメインを包含する、精製または組換えトキシンもしくはトキシン断片であり得る。用語「トキシン」にはまた、ヒトまたはその他の哺乳類で致死的なトキシンショックを含む何かの病理的病状を起こす、天然起源、突然変異または組換え細菌またはウイルスのいずれかで製造されるエンドトキシンとエキソトキシンの双方が含まれる。かかるトキシンは、これに限定されるものではないが、毒素原性大腸菌易熱性エンテロトキシン(LT)、耐熱性エンテロトキシン(ST)、赤痢菌細胞毒、エロモナスエンテロトキシン、毒素ショック症候群トキシン−1(TSST−1)、ブドウ球菌エンテロトキシンA(SEA)、B(SEB)またはC(SEC)、ブドウ球菌エンテロトキシンなどを含むであろう。かかる細菌には、これに限定されるものではないが、毒素原性大腸菌(ETEC)、腸内出血性大腸菌(例えば、血清型0157:H7の株)、ブドウ球菌種(例えば、黄色ブドウ球菌、化膿レンサ球菌)、赤痢菌種(例えば、シゲラ・ディゼンテリエ、シゲラ・フレクスナー、シゲラ・ボイド、シゲラ・ソンネ)、サルモネラ種(例えば、サルモネラ・チフス、サルモネラ・コレラスイス、サルモネラ・エンテリティディス)、クロストリジウム種(例えば、クロストリジウム・パーフリンゲンス、クロストリジウム・ディフィシル、クロストリジウム・ボツリヌス)、カンフロバクター種(例えば、カンフロバクター・ジェジュニ、カンフロバクター・フィータス)、ヘリオバクター種(例えば、ヘリコバクターピロリ)、エロモナス種(例えば、エロモナス・ソブリア、エロモナス・ハイドロフィラ、エロモナス・キャビエ)、プレシオモナス・シゲロイデス、エルシニア・エンテロコリティカ、ビブリオ種(例えば、ビブリオ・コレラ、ビブリオ・パラヘモリティカス)、クレブシエラ種、緑膿菌および連鎖球菌種などの種の株が含まれる。例えば各文献の内容全てを参照により本明細書に引用するStein, ed., Internal Medicine, 3rd Edition, pp 1−13, (Little, Brown& Co., Boston, MA (1990)); Evans et al. (Eds.), Bacterial Infections of Humans: Epidemiology and Control, 2nd Edition, pp 239−254, (Plenum Medical Book Co., New York, New York (1991)); Mandell et al, Principles and Practice of Infectious Diseases, 3rd Edition, (Churchill Livingstone, New York, New York (1990)); Berkow et al. (Eds.), The Merck Manual, 16th Edition, (Merck &Co., Rahway, N.J., (1992)); Wood et al, 76 FEMS Microbiology Immunology, 121−134 (1991); Marrack et al, 248 Science, 705−711 (1990)を参照。
【0109】
本発明の抗デング熱ウイルス抗体化合物、組成物またはその組合せはさらに、例えばこれに限定されるものではないが、希釈剤、結合剤、安定化剤、緩衝剤、塩類、脂溶性溶媒、保存剤、アジュバントなどのような適当な補助剤のいずれか少なくとも1個を包含できる。医薬的に許容される補助剤が好適である。無菌溶液およびそれを製造する方法の非限定的な例としては、例えばこれに限定されるものではないが、Gennaro (Ed.), Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, (Mack Publishing Co., Easton, PA (1990))など、当技術分野でよく知られている。医薬的に許容される担体は、当技術分野でよく知られているか、または本明細書に記載する、抗デング熱ウイルス抗体、断片または変異体組成物の投与形態、溶解度および/または安定性に適するものを慣例的に選択できる。
【0110】
本組成物に有用な医薬的賦形剤または添加剤は、これに限定されるものではないが、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質および炭水化物(例えば、単糖類、二糖類、三糖類、四糖類およびオリゴ糖類を含む糖類;例えば、アルジトール、アルドン酸、エステル化糖類などのような糖誘導体;および多糖類または糖ポリマー)を含み、これは単独でか、または1重量%〜99.99重量%または容量%の組合せで存在できる。タンパク質賦形剤の例としては、例えばヒト血清アルブミン(HSAのような血清アルブミン)、組換えヒトアルブミン(rHA)、ゼラチン、カゼインなどが含まれる。緩衝作用においても機能できる代表的なアミノ酸/抗体成分には、アラニン、グリシン、アルギニン、ベタイン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リジン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパラギン酸などが含まれる。
【0111】
本発明での使用に有用な炭水化物賦形剤は、例えば果糖、麦芽糖、ガラクトース、グルコース、D−マンノース、ソルボースなどのような単糖類;例えば乳糖、ショ糖、トレハロース、セロビオースなどのような二糖類;例えばラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デキストラン、澱粉などのような多糖類;および、例えばマンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、ソルビトール(グルシトール)、ミオイノシトールなどのようなアルジトール;などを含む。本発明での使用に好適な炭水化物賦形剤は、マンニトール、トレハロース、およびラフィノースである。
【0112】
抗デング熱ウイルス抗体組成物は、緩衝剤またはpH調整剤も含むことができ;典型的には、この緩衝液剤は、有機酸または有機塩基から製造される塩である。代表的緩衝剤は、例えばクエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、炭酸、酒石酸、コハク酸、酢酸またはフタル酸の塩のような有機酸塩;トリス、トロメタミン塩酸塩または燐酸緩衝液を含む。本組成物での使用に好適な緩衝剤は、例えばクエン酸塩のような有機酸塩である。
【0113】
これに加えて、本発明の抗デング熱ウイルス抗体組成物は、例えばポリビニルピロリドン、フィコール(高分子糖類)のような高分子賦形剤/添加剤;デキストレート(例えば、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンのようなシクロデキストリン);ポリエチレングリコール;芳香剤;抗微生物剤;甘味剤;抗酸化剤;帯電防止剤;界面活性剤(例えば、「TWEEN20」、「TWEEN80」のようなポリソルベート);脂質(例えば、燐脂質、脂肪酸);ステロイド(例えば、コレステロール);およびキレート化剤(例えば、EDTA);を含むことができる。
【0114】
本発明による抗デング熱ウイルス抗体、その部分または変異体組成物での使用に適するこれらのおよび他の公知な医薬的賦形剤および/または添加物は、当技術分野で公知であり、例えばRemington: The Science & Practice of Pharmacy, 19th Edition, (Williams&Williams, (1995)); the Physician’s Desk Reference, 52nd Edition, (Medical Economics, Montvale, NJ (1998))に記載されている。各開示全体を参照により本明細書に引用する。好適な担体または賦形剤材料は、炭水化物(例えば、糖類およびアルジトール)、緩衝剤(例えば、クエン酸塩)またはポリマー剤である。
【0115】
製剤
前記の通り、本発明は、医薬的に許容される製剤中に少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体を含み、好ましくは食塩水または選択した塩、ならびに保存溶液と、保存剤を含む製剤;ならびに医薬用または獣医用に適する複用保存製剤を含む燐酸緩衝液である安定な製剤を提供する。保存製剤は、少なくとも1個の公知保存剤、または要すれば少なくとも1種のフェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、フェニル水銀亜硝酸塩、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド、クロロブタノール、塩化マグネシウム(例えば、6水和物)、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンズアルコニウム、塩化ベンズエトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウムおよびチメロサール、またはその混合物から構成される群から選択したものを、水性希釈剤中に含むものでもよい。適当な濃度または混合物は、当技術分野で知られているように、例えば0.001%〜5%またはこの中の任意の範囲または値で使用でき、例えばこれに限定されるものではないが、0.001、0.003、0.005、0.009、0.01、0.02、0.03、0.05、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.3、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9またはこの中の任意の範囲または値である。非限定的な例としては、保存剤なし;0.1%〜2%m−クレゾール(例えば、0.2、0.3、0.4、0.5、0.9、1.0%);0.1%〜3%ベンジルアルコール(例えば、0.5、0.9、1.1、1.5、1.9、2.0、2.5%);0.001%〜0.5%チメロサール(例えば、0.005、0.01);0.001〜2.0%フェノール(例えば、0.05、0.25、0.28、0.5、0.9、1.0%);0.0005%〜1.0%アルキルパラベン(例えば、0.00075、0.0009、0.001、0.002、0.005、0.0075、0.009、0.01、0.02、0.05、0.075、0.09、0.1、0.2、0.3、0.5、0.75、0.9、1.0%)などが含まれる。
【0116】
前記の通り、本発明は、包装材、および処方された緩衝剤および/または保存剤と共に少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体の溶液、要すれば水性希釈剤中にあってもよい溶液を含む少なくとも1個のバイアルを含む製造物であって、該包装材にはその溶液が1、2、3、4、5、6、9、12、18、20、24、30、36、40、48、54、60、66、72時間またはそれ以上の期間保存できることを示すラベルが含まれるものを提供する。本発明はさらに、包装材;凍結乾燥した少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体を含む第一のバイアル;および処方された緩衝剤または保存剤の水性希釈剤を含む第二のバイアルを包含し、その包装材には、少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体を水性希釈剤中に再構成して、24時間またはそれ以上保存できる溶液とすることを患者に指示するラベルが含まれる製造物を包含する。
【0117】
本発明に従って使用される少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体は、哺乳類細胞またはトランスジェニック製品から組換え法によって調製することができるか、または本明細書に記載の、または当技術分野で公知のようにして他の生物学的起源から精製することができる。
【0118】
本発明の製造物中の少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体の範囲は、再構成で得られる量であって、湿/乾システムの場合、濃度約1.0μg/mL〜約1000mg/mLであるが、さらに低濃度および高濃度も可能であり、意図する送達媒体に依存する。例えば、液剤のものは経皮パッチ、経肺、経粘膜または浸透またはマイクロポンプの各方法のものとは異なる。
【0119】
好ましくは、水性希釈剤は、要すればさらに医薬的に許容される保存剤を包含してもよい。好適な保存剤には、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンズアルコニウム、塩化ベンズエトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウムおよびチメロサールまたはその混合物から構成される群から選択されるものが含まれる。この製剤に使用する保存剤の濃度は、抗微生物効果が得られるに十分な濃度である。かかる濃度は選択した保存剤に依存し、熟練した専門家は容易に決定できる。
【0120】
他の賦形剤、例えば等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、保存エンハンサーを、要すればおよび好ましくは、希釈剤に加えてもよい。例えばグリセリンのような等張剤は、公知濃度で常法によって使用される。好ましくは、生理学的に認容される緩衝液を加えて、pH制御を改善する。この製剤は、例えば約pH4〜約pH10、好適には約pH5〜約pH9の範囲、最も好適には約pH6.0〜約pH8.0の範囲のように広範囲にわたる。好ましくは本発明の製剤は、pH約6.8〜約7.8である。好適な緩衝剤には、燐酸緩衝液、最も好ましくは燐酸ナトリウム、殊に燐酸緩衝食塩水(PBS)が含まれる。
【0121】
他の添加剤、例えばTween20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)、Tween40(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート)、Tween80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)、プルロニックF68(ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロック共重合体)、およびPEG(ポリオキシエチレングリコール)、または例えばポリソルベート20または80またはポロキサマー184または188のような非イオン性界面活性剤、プルロニック(登録商標)ポリル、その他のブロック共重合体、および例えばEDTAおよびEGTAのようなキレート形成剤のような医薬的に許容される溶解剤を、凝集を低減させるために、要すれば製剤または組成物に加えてもよい。製剤を投与する時にポンプまたはプラスチック容器を使用する時は、これらの添加剤は殊に有用である。医薬的に許容される界面活性剤の存在は、タンパク質が凝集する傾向を軽減する。
【0122】
本発明の製剤は、少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体と、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンズアルコニウム、塩化ベンズエトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、およびチメロサールまたはその混合物から構成される群から選択される保存剤を、水性希釈剤で混合することを包含する方法によって製造できる。少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体と保存剤との水性希釈剤中での混合は、通常の溶解および混合操作を用いて実施する。適当な製剤を製造するために、例えば、緩衝液中少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体の所定量を、所望の保存剤の緩衝液溶液と、所望の濃度でタンパク質と保存剤の緩衝液を提供するのに十分な量で混合する。この手法の変法は、当業者が認識し得るものである。例えば、各成分を加える順序、他の添加剤を使用するかどうか、製剤を製造する温度およびpHは、全て使用する濃度および投与法に対して最適化できる因子である。
【0123】
本発明の製剤は透明な液剤としてか、または凍結乾燥した少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体のバイアルと、これを再構築するための水、保存剤および/または賦形剤、好ましくは燐酸緩衝液および/または食塩水および水性希釈剤中の選択した塩の入った第二のバイアルを含む二重バイアルとして、患者に提供され得る。単一バイアル液剤または再構築が必要な二重バイアル剤はいずれも、複数回再使用でき、1回または複数回の患者処置サイクルに十分であり、現用のものよりも便利な処置レジメンを提供できる。
【0124】
本発明の製造物は、即時〜24時間またはそれ以上の期間にわたる投与に有用である。従って、本発明の製造物は患者に顕著な利点を与える。本発明の製剤は、要すれば約2℃〜約40℃の温度で安全に貯蔵でき、タンパク質の生物活性を長期間にわたって保持するので、包装ラベルにこの溶液が6、12、18、24、36、48、72または96時間またはそれ以上の期間にわたって維持でき、および/または使用できることを示すことができる。保存した希釈剤を使用する場合、そのラベルには1〜12ヶ月、1/2年、1.5年および/または2年までの使用を含めることができる。
【0125】
本発明の少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体の液剤は、少なくとも1種の抗体を水性希釈剤に混合することを包含する工程によって製造することができる。混合を、通常の溶解および混合操作を使用して実施する。適当な希釈剤を製造するには、例えば水または緩衝液中の秤量した量の少なくとも1種の抗体を、タンパク質と、要すれば保存剤または緩衝液と、所望濃度で提供するに十分な量で混合する。この工程の変法は、当業者が認識するものである。例えば各成分を加える順序、付加的添加物を使用するかどうか、製剤を製造する温度とpHなどは、全て使用する濃度および投与手段に応じて最適化できる因子である。
【0126】
本発明の産物は、透明な溶液としてか、または凍結乾燥した少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体のバイアルと、これを再構築する水性希釈剤入りの第二バイアルからなる二重バイアルとして、患者に投薬できる。単一溶液バイアル剤または再構成が必要な二重バイアル剤は、いずれも複数回再使用でき、1回または複数回の患者処置サイクルに十分であり、現用のものよりも便利な処置レジメンを提供できる。
【0127】
本発明の製造物は、透明な液剤または凍結乾燥した少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体入りのバイアルとこれを再構築する水性希釈剤入りの第二のバイアルからなる二重バイアルを、薬局、医院、その他の施設および機関に提供することによって間接的に患者に提供することができる。この場合透明な液剤のサイズは、1Lまでまたはそれ以上であり得、大きな貯蔵器に入れ、それから少なくとも1種の抗体の液剤少量を1回〜複数回取出して小さなバイアルに移し、薬局、医院からその客および/または患者に提供することができる。
【0128】
この単一バイアルシステムを構成する承認されているデバイスには、液剤送達のためのペン型の注射器、例えば Becton Dickensen (Franklin Lakes, NJ, www.bectondickenson com), Disetronic (Burgdorf, Switzerland, www.disetronic.com; Bioject (Portland, Oregon, www.bioject.com); National Medical Products, Weston Medical (Peterborough, United Kingdom, www.weston−medical.com); Medi−Ject Corporation (Minneapolis, MN, www. mediject.com)が製造または開発したBD Pens、BD Autojector(登録商標)、Humaject(登録商標)、 NovoPen(登録商標)、B−D(登録商標)Pen、AutoPen(登録商標)、OptiPen(登録商標)、GenotropinPen(登録商標)、GenotronormPen(登録商標)、HumatroPen(登録商標)、Reco−Pen(登録商標)、Roferon Pen(登録商標)、Biojector(登録商標)、iject(登録商標)、J−tip Needle−Free Injector(登録商標)、Intraject(登録商標)、Medi−Ject(登録商標)が含まれる。二重バイアルシステムを構成する承認されているデバイスには、カートリッジ内の凍結乾燥した薬剤に再構成溶液を送出して再構成する、例えばHumatroPen(登録商標)のようなペン型注射器システムが含まれる。
【0129】
本発明の製造物は包装材も含む。包装材は当局が指示する情報に加えて、その産物を使用できる条件を提供する。本発明の包装材は、少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体を水性希釈剤中に再構成して溶液を形成し、そして二重バイアルの湿/乾製品では溶液を2〜24時間またはそれ以上の間に使用させるための患者に対する指示書を提供する。単一バイアル溶液製品では、ラベルは、かかる液剤が2〜24時間またはそれ以上にわたって使用できることを指示する。本発明の製品は、ヒト用医薬品として有用である。
【0130】
本発明の製剤は、少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体と選択した緩衝液、好ましくは食塩水または選択した塩を含有する燐酸緩衝液を混合することを含む工程によって製造できる。少なくとも1種の抗体と水性希釈剤中の緩衝液との混合は、通常の溶解および混合操作を使用して実施する。適当な製剤を製造するには、例えば水または緩衝液中の秤量した量の少なくとも1種の抗体を、水中の所望の緩衝剤と、タンパク質と緩衝剤との所望濃度を提供するに十分な量で混合する。この工程の変法は、当業者が認識するものである。例えば各成分を加える順序、付加的添加物を使用するかどうか、製剤を製造する温度とpHなどは、全て使用する濃度および投与手段に応じて最適化できる因子である。
【0131】
本発明の安定なまたは保存される製剤は、透明な溶液としてか、または凍結乾燥した少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体のバイアルとこれを再構築する水性希釈剤中に保存剤または緩衝剤および賦形剤を入れた第二バイアルからなる二重バイアルとして、患者に提供できる。単一溶液バイアル剤または再構成が必要な二重バイアル剤は、いずれも複数回再使用でき、1回または複数回の患者処置サイクルに十分であり、現用のものよりも便利な処置法を提供できる。
【0132】
本明細書に記載する安定なまたは保存される製剤または溶液中のいずれかの抗デング熱ウイルス抗体の少なくとも1種は、皮下または筋肉内注射;経皮、経肺、経粘膜、インプラント、浸透圧ポンプ、カートリッジ、マイクロポンプ、その他の当技術分野でよく知られ、当業者が認識する方法を含む様々な送達方法を経て、本発明に従って患者に投与することができる。
【0133】
治療的利用
本発明はまた、本発明の少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体を用いて、当技術分野で公知のまたは本明細書に記載する細胞、組織、器官、動物または患者における少なくとも1種のデング熱ウイルスに関連する疾患または病状を調整または処置する方法を提供する。本発明はまた、対象におけるデング熱ウイルス感染を調整し、処置しまたは予防する方法を提供する。本発明はまた、細胞、組織、器官、動物または患者におけるデング熱ウイルスの感染性または複製を調整し、処置し、阻害しまたは遮断する方法を提供する。
【0134】
本発明の方法はいずれも、かかる調整、処置、予防または治療を要する細胞、組織、器官、動物または患者に少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体を包含する組成物または医薬組成物の有効量を投与することを包含し得る。かかる方法はさらに、要すればその調整、処置、予防または治療のための共投与または併用療法を包含でき、ここに少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体、その特定部分または変異体の投与がさらに少なくとも1種のデング熱ウイルス拮抗剤(例えば、これに限定されるものではないが、デング熱ウイルス抗体または断片、可溶性デング熱ウイルス受容体またはその断片、融合タンパク質、または低分子デング熱ウイルス拮抗剤)、抗リューマチ剤(例えば、メトトレキセート、アウラノフィン、アウロチオグルコース、アザチオプリン、エタネルセプト、金チオマレイン酸ナトリウム、硫酸ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、スルファサルジン)、筋弛緩剤、麻酔剤、非ステロイド抗炎症剤(NSAID)、鎮痛剤、麻酔剤、鎮静剤、局所麻酔剤、神経筋遮断剤、抗感染剤、抗腫瘍剤、抗増殖剤、抗微生物剤(例えば、アミノグリコシド、抗カビ剤、駆虫剤、抗ウイルス剤、カルバペネム、セファロスポリン、フルオロキノロン、マクロライド、ペニシリン、スルホンアミド、テトラサイクリン、その他の抗微生物剤)、抗乾癬剤、コルチコステロイド、蛋白同化ステロイド、糖尿病関連薬、鉱質、栄養剤、甲状腺薬、ビタミン、カルシウム関連ホルモン、下痢止め、鎮咳剤、制吐剤、抗潰瘍剤、緩下剤、抗凝固剤、エリトロポイエチン(例えば、エポエチンα)、フィルグラスチム(例えば、G−CSF、ノイポゲン)、サルグラモスチム(GM−CSF、ロイキン)、免疫、免疫グロブリン、免疫抑制剤(例えば、バシリキシマブ、サイクロスポリン、ダクリズマブ)、成長ホルモン、ホルモン補充薬剤、エストロゲン受容体調整剤、散瞳薬、毛様体筋麻痺剤、アルキル化剤、抗代謝剤、有糸分裂阻害剤、放射性医薬品、抗うつ病剤、抗躁鬱病剤、抗精神病薬、抗不安剤、催眠剤、交感神経様作用薬、興奮剤、ドネペジル、タクリン、喘息治療剤、ベータアゴニスト、吸入ステロイド、ロイコトリエン阻害剤、メチルキサンチン、クロモリン、エピネフリンまたは類似体、ドルナーゼα(プルモチーム)、サイトカインまたはサイトカイン拮抗剤から選択した薬剤の少なくとも1種の投与に先行して、同時におよび/または後続して、投与することを包含する。適当な用量は当技術分野でよく知られている。例えば、各引用文献全体を参照により本明細書に引用するWells et al. (Eds.), Pharmacotherapy Handbook, 2nd Edition, (Appleton and Lange, Stamford, CT (2000)); PDR Pharmacopoeia, Tarascon Pocket Pharmacopoeia 2000, Deluxe Edition, (Tarascon Publishing, Loma Linda, CA (2000)) を参照。
【0135】
本明細書で使用する「抗デング熱ウイルス抗体」または断片などは、デング熱ウイルスの作用、感染性または複製をインビトロ、インサイチュおよび/または好ましくはインビボで減少させ、遮断し、阻害し、阻止しまたは妨害する。例えば、適当な本発明のデング熱ウイルス抗体には、デング熱ウイルスまたはデング熱ウイルス感染細胞に結合でき、デング熱ウイルスまたはデング熱ウイルス感染細胞に特異的に結合する、全ての抗デング熱ウイルス抗体、その抗原結合性断片およびその特定の突然変異体またはドメインが含まれ得る。適当なデング熱ウイルス抗体または断片はまた、デング熱ウイルスのRNA、DNAまたはタンパク質の合成、デング熱ウイルスの放出、デング熱ウイルス細胞受容体の相互作用、膜デング熱ウイルスの切断、デング熱ウイルスの作用、デング熱ウイルスの複製、産生および/または合成を減少させ、遮断し、阻止し、妨害し、予防しおよび/または阻害できる。
【0136】
モノクローナル抗体の特異性および親和性を競合的阻害によって決定するために好適な方法は、各文献全体を参照により本明細書に引用するHarlow et al., Antibodies: A Laboratory Manual, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, (1988)); Colligan et al. (Eds.), Current Protocols in Immunology, (Greene Publishing Assoc. and Wiley Interscience, New York, (1992−2000)); Kozbor et al., 4 Immunol. Today, 72−79 (1983); Ausubel et al. (Eds.), Current Protocols in Molecular Biology, (Wiley Interscience, New York (1987−2000)); Muller, 92 Meth. Enzymol., 589−601 (1983))にも記載されている。
【0137】
サイトカインにはいかなる公知のサイトカインも含まれる。例えば、www.CopewithCytokines.com.を参照。サイトカイン拮抗剤には、これに限定されるものではないが、抗体、断片または模擬物、可溶性受容体、断片または模擬物、低分子拮抗剤のいずれか、またはその組合せが含まれる。
【0138】
典型的には病理学的状態の処置は、少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体組成物の有効量または用量を投与することによって達成され、その量は、組成物に含まれる比活性に依存して、少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体の全量、平均、または範囲が投与当り少なくとも約0.01〜500mg/患者体重kg、好ましくは1回または複数回投与当り少なくとも抗体約0.1〜100mg/患者体重kgである。あるいは、有効な血清濃度は、1回または複数回投与当り0.1〜5000μg/mL血清濃度を包含できる。適当な用量は、臨床医に知られており、勿論特定の病状、投与する組成物の比活性、および処置する特定の患者に依存する。場合によっては、所望の治療用用量に達するために反復投与、すなわち特定の監視されたまたは計量した用量の反復した投与を個々に行うことが必要なことがある。なおこの個々の投与は、所望の日用量または効果が達成されるまで反復する。
【0139】
好適な用量は要すれば: 0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99および/または100〜500mg/kg/投与、またはその中の任意の範囲、数値または端数の用量を含むことができるか、または1回または複数回で、0.1、0.5、0.9、1.0、1.1、1.2、1.5、1.9、2.0、2.5、2.9、3.0、3.5、3.9、4.0、4.5、4.9、5.0、5.5、5.9、6.0、6.5、6.9、7.0、7.5、7.9、8.0、8.5、8.9、9.0、9.5、9.9、10、10.5、10.9、11、11.5、11.9、20、12.5、12.9、13.0、13.5、13.9、14.0、14.5、4.9、5.0、5.5.、5.9、6.0、6.5、6.9、7.0、7.5、7.9、8.0、8.5、8.9、9.0、9.5、9.9、10、10.5、10.9、11、11.5、11.9、12、12.5、12.9、13.0、13.5、13.9、14、14.5、15、15.5、15.9、16、16.5、16.9、17、17.5、17.9、18、18.5、18.9、19、19.5、19.9、20、20.5、20.9、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、96、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500および/または5000μg/mL血清濃度、またはその中の任意の範囲、数値または端数の血中濃度を達成する用量を含んでいて良い。
【0140】
あるいは、投与量は、例えば特定薬剤の薬動力学的性質;その投与方式および経路;受容者の年齢、健康状態および体重;症状の性質および程度;併行処置の種類、処置の頻度;および所望する効果のような公知因子に依存して変更することができる。通常活性成分の用量は、約0.1〜100mg/kg体重であり得る。通常、投与または持続放出形態当り0.1〜50、好ましくは0.1〜10mg/kgが所望の結果を得るために有効である。
【0141】
非限定的例示として、ヒトまたは動物の処置は、少なくとも1種の本発明の抗体の1回または定期的用量0.1〜100mg/kg、例えば0.5、0.9、1.0、1.1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、45、50、60、70、80、90または100mg/kg/日のような用量で提供でき;1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40日のうち少なくとも1日に;またはこれに代えてか、または加えて1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51または52週のうち少なくとも1週に;またはこれに代えてか、または加えて1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20年のうち少なくとも1年にか、またはその組合せにて、一回用量、点滴または反復用量で投与する。
【0142】
内服投与に適する用量形態(組成物)は一般に、単位または容器当り活性成分約0.1mg〜約500mgを含む。これらの医薬組成物では、活性成分は、通常は組成物全重量に対して約0.5〜99.999重量%の量で存在する。
【0143】
非経口投与に関して、抗体を、液剤、懸濁剤、乳剤または凍結乾燥粉末剤として、医薬的に許容される非経口ビヒクルと共にか、または個別に製剤化することができる。かかるビヒクルの例は、水、食塩水、リンゲル液、デキストリン液および1%〜10%ヒト血清アルブミンである。リポソームおよび例えば固定油のような非水性ビヒクルも使用できる。ビヒクルまたは凍結乾燥粉末剤は、等張性(例えば、塩化ナトリウム、マンニトール)および化学的安定性(例えば、緩衝液および保存剤)を維持する添加物を含有できる。この製剤は、公知のまたは適当な技術によって無菌化される。
【0144】
適当な医薬用担体は、当分野の標準的教科書である、Remington's Pharmaceutical Sciences, A. Osolの最新版に記載されている。
【0145】
非経口製剤および投与
非経口投与用製剤は、普通の賦形剤として無菌水または食塩水、例えばポリエチレングリコールのようなポリアルキレングリコール、植物起源の油、水素化ナフタレンなどを含むことができる。注射用の水性または油性懸濁剤を、公知方法に従って適当な乳化機または加湿器および懸濁剤を用いて製造することができる。注射剤は、例えば水溶液、または溶媒中の無菌の注射用溶液もしくは懸濁液のような非毒性で非経口的に投与可能な希釈剤であり得る。使用可能なビヒクルまたは溶媒として、水、リンゲル液、等張食塩水などが使用できる;通常の溶媒または懸濁用溶媒として無菌の不揮発性油を使用できる。この目的のためには、天然または合成または半合成の脂肪油または脂肪酸;天然または合成または半合成のモノグリセリドまたはジグリセリドまたはトリ−グリセリドを含む、いかなる不揮発性油および脂肪酸も使用できる。非経口投与は、当技術分野で公知であり、これに限定されるものではないが、通常の注射法、米国特許番号第5,851,198号に記載のガス圧無針注射デバイス、および米国特許番号第5,839,446号に記載のレーザー穿孔デバイスを含む。両特許の記載全体を参照により本明細書に引用する。
【0146】
送達
本発明はさらに、少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体の、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹腔内、嚢内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頚部内、胃内、肝臓内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹膜内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎内、網膜内、脊髄内、関節滑液嚢内、胸腔内、子宮内、膀胱内、ボーラス、膣内、直腸内、バッカル、舌下、鼻腔内または経皮の各経路による投与に関する。少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体組成物を、非経口(皮下、筋肉内または静脈内)またはその他の投与に使用するため、特に液剤または懸濁剤の形態で;膣内または直腸内投与に使用するため、特に、例えば、これに限定されるものではないが、クリーム剤および坐剤のような半固体剤の形態で;またはバッカルまたは舌下投与のために、例えば、これに限定されるものではないが、錠剤またはカプセル剤のような形態で;または鼻腔内的に使用するために、例えば、これに限定されるものではないが、粉剤、鼻内ドロップ剤またはエアロゾル剤またはある種の剤形で;または経皮的に使用するために、例えば、これに限定されるものではないが、ゲル剤、軟膏剤、ローション剤、懸濁剤またはパッチ放出系のような剤形で、これに皮膚構造を修飾するかまたは経皮パッチ内薬剤濃度を増大するために、例えばジメチルスルホキシド(Junginger et al., Drug Permeation Enhancement, pp. 59−90 (D. S. Hsieh (Ed.), Marcel Dekker, Inc., New York (1994));この記載全体を参照により本明細書に引用する)のような化学エンハンサーを加えるか、またはタンパク質およびペプチドを含む製剤の皮膚への適用を可能にする酸化剤(WO 98/53847)を加るか、または例えば電気穿孔のような一過性輸送経路を作製するため、または例えば電離療法のように荷電薬剤の経皮的移動性を増大するために、電界を適用し;または例えばソノフォレーシス(sonophoresis)(米国特許番号第4,309,989号;第4,767,402号)(前記各刊行物および各特許の記載全体を参照により本明細書に引用する)のような超音波を適用して、調製することができる。
【0147】
肺内/鼻内投与
肺内投与のためには、好ましくは少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体組成物を肺の下気道または洞腔に到達させるために有効な粒径にして送達する。本発明によれば、本発明による少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体を、吸入による治療剤の投与のために当技術分野で知られている各種の吸入または鼻内デバイスのいずれかによって送達することができる。患者の洞腔または肺胞にエアロゾル化製剤を沈着できるデバイスとしては、計量吸入器、噴霧吸入器、乾燥粉末発生器、スプレーなどが含まれる。抗体の肺内または鼻内投与に適する他のデバイスも当技術分野で知られている。かかるデバイスは全て、抗体をエアロゾル内に調製するための投与に適する製剤の使用を可能にする。かかるエアロゾルは、溶液(水性と非水性の両方)または固体粒子のいずれかを包含できる。Ventolin(登録商標)定量吸入器のような計量式吸入器は、典型的には圧縮ガスを使用し、吸入時の作動を必要とする(例えば、WO 94/16970; WO 98/35888を参照)。Turbuhaler(商標)(Astra)、Rotahaler(登録商標)(Glaxo)、Diskus(登録商標)(Glaxo), Spiros(商標)inhaler (Dura)のような乾燥粉末吸入器、Inhale Therapeutics販売のデバイス;Spinhaler(登録商標)powder inhaler (Fisons)は、混合粉末の呼吸作動を使用する(US 4,668,218、Astra; EP 237507、Astra; WO 97/25086、Glaxo; WO 94/08552、Dura; US 5,458,135、Inhale; WO 94/06498、Fisons)。各文献の記載全体を参照により本明細書に引用する。AERx(商標)Aradigm、the Ultravent(登録商標)nebulizer (Mallinckrodt)およびAcorn II(登録商標)nebulizer (Marquest Medical Products) (全体を参照により本明細書に引用するUS 5,404,871、Aradigm; WO 97/22376)のような噴霧吸入器は、溶液からエアロゾルを作るが、計量吸入器、乾燥粉末吸入器などは微粒エアロゾルを発生する。これらの購入可能な吸入デバイスの特定的な例は、本発明の実行に適する特定デバイスの代表例を意図するものであって、本発明の範囲を限定するものではない。好ましくは少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体を包含する組成物は、乾燥粉末吸入器またはスプレーによって送達される。本発明の少なくとも1種の抗体を投与するための吸入デバイスに望まれる特徴には数種ある。例えば、吸入デバイスによる送達には、信頼性、再現性、正確性が都合よい。吸入デバイスは、良好な吸入性のため、要すれば、例えば約10μm以下、好ましくは約1〜5μmのような小さい乾燥粒子を送達することができる。
【0148】
抗デング熱ウイルス抗体組成物のスプレーによる投与
デング熱ウイルス抗体組成物タンパク質を含むスプレーは、少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体の懸濁液または溶液をノズルを通して圧入することによって生産できる。ノズルサイズと構造、適用する圧、および給液速度を、所望の噴出量と粒子径を達成するように選択することができる。電気スプレーは、例えば、毛細管またはノズルフィードについての電界などによって作製できる。スプレーから送達される少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体組成物タンパク質の粒子は、粒子径約10μmまたはそれ以下、好ましくは約1μm〜約5μm、最も好ましくは約2μm〜約3μmであるのが都合良い。
【0149】
スプレーで使用するために適当な少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体組成物タンパク質の製剤は、典型的には、水溶液中抗体組成物タンパク質は濃度で少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体組成物タンパク質を約0.1mg〜約100mg/mL溶液またはmg/g溶液、例えばこれに限定されるものではないが、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、45、50、60、70、80、90または100mg/mLまたはmg/g、またはその中の任意の範囲または値含む。この製剤は、例えば賦形剤、緩衝液、等張剤、保存剤、界面活性剤、および好ましくは亜鉛などを含むことができる。この製剤はまた、賦形剤、または例えば緩衝液、還元剤、バルクタンパク質または炭水化物などの抗体組成物タンパク質の安定化剤を含むことができる。抗体組成物タンパク質を製剤化するために有用なバルクタンパク質には、アルブミン、プロタミンなどが含まれる。抗体組成物タンパク質を製剤化するために有用な典型的な炭水化物には、ショ糖、マンニトール、乳糖、トレハロース、グルコースなどが含まれる。この抗体組成物タンパク質製剤はまた、エアロゾル形成時の溶液の霧化が起す抗体組成物タンパク質の表面誘導凝集を減少または予防できる界面活性剤を含み得る。様々な慣習的な界面活性剤、例えばポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびアルコール、およびポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルなどを採用できる。量は一般に、製剤の重量の0.001%〜14%の範囲となる。この発明の目的に特に好適な界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリソルベート80、ポリソルベート20などである。例えば抗デング熱ウイルス抗体またはその特定部分または変異体のようなタンパク質の製剤化について当技術分野で公知の製剤用追加的試薬を加えることもできる。
【0150】
デング熱ウイルス抗体組成物の噴霧吸入器による投与
抗体組成物タンパク質を、例えばジェット噴霧吸入器または超音波噴霧吸入器のような噴霧吸入器によって投与することができる。典型的にはジェット噴霧吸入器中で圧搾空気源を用いて、通気孔から高速空気ジェットを作製する。ノズルを超えてガスが膨張すると低圧領域が生じ、これが液体貯蔵容器に結合した毛細管を経て抗体組成物タンパク質溶液を引出す。毛細管からの液流は、管に存在する間に不安定なフィラメント状および微滴状にせん断され、エアロゾルを形成する。一連の形状、流速およびバッフル型を採用すれば、所与のジェット噴霧吸入器から所望の性能特性を達成できる。超音波噴霧吸入器では、高周波数の電気エネルギーを用いて典型的にはピエゾ電気変換を採用して振動、機械的エネルギーを作製する。このエネルギーを、抗体組成物タンパク質の製剤に直接的にまたは結合液を経て伝達し、抗体組成物タンパク質を含むエアロゾルを作製する。噴霧吸入器が送達する抗体組成物タンパク質の粒子は、約10μmまたはそれ以下、好ましくは約1μm〜約5μmの範囲内、最も好ましくは約2μm〜約3μmの粒径を有するのが有利である。
【0151】
ジェットまたは超音波のいずれかの噴霧吸入器の使用に適する少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体の製剤は、典型的には約0.1mg〜約100mg/溶液mL濃度の少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体タンパク質を含む。この製剤は、例えば賦形剤、緩衝剤、等張剤、保存剤、界面活性剤および好ましくは亜鉛のような薬剤を含むことができる。この製剤はまた、例えば緩衝剤、還元剤、バルクタンパク質または炭水化物のような少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体組成物タンパク質の賦形剤または安定化剤も含むことができる。少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体組成物タンパク質の製剤化に有用なバルクタンパク質には、アルブミン、プロタミンなどが含まれる。少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体を製剤化するために有用な典型的な炭水化物には、ショ糖、マンニトール、乳糖、トレハロース、グルコースなどが含まれる。少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体製剤はまた、エアロゾル形成時に溶液の霧化が起す少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体の表面誘導凝集を減少または防止できる、界面活性剤を包含できる。様々な通常の界面活性剤、例えばポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびアルコール、およびポリオキシエチレンソルビタール脂肪酸エステルなどを採用できる。量は一般に、製剤の重量の0.001%〜4%の範囲になろう。本発明の目的に特に好適な界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリソルベート80、ポリソルベート20などである。例えば、抗体タンパク質のようなタンパク質製剤化の技術分野で公知の付加的薬剤も、この製剤に含めることができる。
【0152】
デング熱ウイルス抗体組成物の計量噴霧式吸入器による投与
計量噴霧式吸入器(MDI)では、圧縮ガス、少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体、およびいずれかの賦形剤またはその他の添加物を、液化圧縮ガスを含む混合物としてキャニスターに加える。計量バルブを作動させると、好ましくは約10μmまたはそれ以下のサイズ範囲、好ましくは約1μm〜約5μm、最も好ましくは約2μm〜約3μmの粒子を含む混合物がエアロゾル混合物として放出される。所望のエアロゾル粒子径は、抗体組成物タンパク質の製剤を採用し、ジェット粉砕、スプレー乾燥、臨界点凝縮などを含む当業者に知られた様々な方法によって得ることができる。好適な計量噴霧式吸入器には、3MまたはGlaxoが製造する、フルオロ炭化水素圧縮ガスを採用するものも含まれる。
【0153】
計量噴霧式吸入デバイスで使用するための少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体の製剤は一般に、少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体を含む微粉末を、例えば界面活性剤の力で圧縮ガスに懸濁した非水性媒体内の懸濁液などとして含む。圧縮ガスは、この目的のために採用されている常套的な材料、例えばクロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、または炭化水素であり得、これにはトリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノールおよび1,1,1,2−テトラフルオロエタン、HFA−134a(ヒドロフルオロアルカン−134a)、HFA−227(ヒドロフルオロアルカン−227)などが含まれる。好ましくは、圧縮ガスはヒドロフルオロカーボンである。界面活性剤は、活性薬剤を化学分解から保護するなどのために、圧縮ガス中懸濁液としての少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体を安定化するように選ぶことができる。適当な界面活性剤には、ソルビタントリオレエート、大豆レシチン、オレイン酸などが含まれる。場合によっては、溶液エアロゾルは、例えばエタノールのような溶媒を用いるのが好ましい。例えばタンパク質のようなタンパク質製剤のための当技術分野で公知の付加的薬剤を、本製剤に含めることもできる。
【0154】
当業者は、本発明の方法が本明細書には記載しないデバイスによって少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体組成物の肺内投与により達成できることを認識するであろう。
【0155】
経口投与製剤および投与
経口投与用製剤は、小腸壁の浸透性を人工的に増強するためのアジュバント(例えば、レゾルシン、および例えばポリオキシエチレンオレイルエーテルおよびn−ヘキサデシルポリエチレンエーテルのような非イオン性界面活性剤)の共投与、ならびに酵素分解を阻害するための酵素阻害剤(例えば、膵トリプシン阻害剤、ジイソプロピルフルオロホスフェート(DFF)およびトラシロール)の共投与に依存する。経口投与用固体型剤型の活性成分化合物を、ショ糖、乳糖、セルロース、マンニトール、トレハロース、ラフィノース、マルチトール、デキストラン、澱粉、寒天、アルギネート、キチン、キトサン、ペクチン、トラガカントゴム、アラビアゴム、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、合成または半合成ポリマーおよびグリセリドを含む、少なくとも1個の添加物と混合することができる。これらの剤型はまた、例えば不活性希釈剤、例えばステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤;パラベン、例えばスコルビン酸、アスコルビン酸、α―トコフェロールのような保存剤;例えばシステインのような抗酸化剤、崩壊剤、結合剤、増粘剤、緩衝剤、甘味剤、調味剤、芳香剤などの添加物を含むことができる。
【0156】
錠剤およびピル剤はさらに、加工して腸溶性コーティング製剤とすることができる。経口投与用液体製剤には、医療用に使用できる乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、懸濁剤および液剤が含まれる。これら製剤は、この分野で通常使用される不活性希釈剤、例えば水などを含むことができる。リポソームもまた、インスリンおよびヘパリンのための薬剤送達システムとして記載されている(米国特許番号第4,239,754号)。最近、混合アミノ酸の人工重合体(プロテイノイド)のマイクロスフェアが、医薬品の送達に使用されている(米国特許番号第4,925,673号)。さらに米国特許番号第5,879,681号;第5,871,753号に記載の担体化合物を、生物学的活性薬剤を経口的に送達するために使用できることが当技術分野で公知となった。
【0157】
粘膜製剤および投与
粘膜表面を経る吸収のために、少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体を投与する組成物および方法は、サブミクロン粒子、粘膜接着マクロ分子、生物活性ペプチドおよび水性連続相のうち複数を包含する乳剤を含み、これが乳剤粒子の粘膜接着を達成することによって粘膜表面を経る吸収を促進する。(米国特許番号第5,514,670号)。本発明の乳剤の投与に適する粘膜表面は、角膜、結膜、頬側、舌下、鼻、膣、肺、胃、腸および直腸の各投与経路を含み得る。例えば坐剤などの膣内または直腸内投与用の製剤は、例えばポリアルキレングリコール、ワセリン、ココア脂などを賦形剤として含み得る。鼻腔内投与用製剤は固体であって、賦形剤として例えば乳糖などを含み得るか、または水性もしくは油性の鼻用ドロップ剤であり得る。バッカル投与用賦形剤としては、糖類、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、プレゲリナチン(pregelinatined)澱粉などが含まれる(米国特許番号第5,849,695号)。
【0158】
経皮製剤および投与
経皮投与には、少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体を、例えばリポソームまたは高分子ナノ粒子、ミクロ粒子、ミクロカプセルまたはミクロスフェア(別段の指摘がなければミクロ粒子と総称する)のような送達用デバイスに封入する。適当なデバイスには、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸およびその共重合体のようなポリヒドロキシ酸、ポリオルトエステル、ポリ無水物およびポリホスファゼンのような合成ポリマー製ミクロ粒子、および例えばコラーゲン、ポリアミノ酸、アルブミン、その他のタンパク質、アルギネート、その他のポリサッカライドおよびその組合せのような天然高分子を含む多数が知られている(米国特許番号第5,814,599号)。
【0159】
持続的投与および製剤
本発明化合物を例えば1回の投与で1週間〜1年間など長期間にわたって対象に送達することが望ましい場合もある。様々な遅延放出剤、デポ剤またはインプラントを使用することができる。例えば用量剤形は、体液に溶解度の低い化合物の医薬的に許容される無毒性塩、例えば(a)例えば燐酸、硫酸、クエン酸、酒石酸、タンニン酸、パモン酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレン−モノまたはジ−スルホン酸、ポリガラクチュロン酸などのような多塩基性酸との酸付加塩;(b)例えば亜鉛、カルシウム、ビスマス、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケル、カドミウムなどのような多価金属カチオンとの塩、または例えば、N,N’−ジベンジルエチレンジアミンまたはエチレンジアミンから形成される有機カチオンとの塩;または(c)例えばタンニン酸亜鉛との塩のような(a)と(b)の組合せ;などを含むことができる。これに加えて本発明の化合物、または好ましくは例えば前記のような比較的不溶性の塩は、例えばモノステアリン酸アルミニウムゲルなどと、例えば注射に適するゴマ油などでゲル剤として製剤化できる。特に好適な塩は、亜鉛塩、タンニン酸亜鉛塩、パモン酸塩などである。他の注射用遅延放出デポ製剤は、例えば米国特許番号第3,773,919号などに記載の、例えばポリ乳酸/ポリグリコール酸ポリマーのような遅延崩壊性、非毒性、非抗原性のポリマーに分散封入した化合物またはその塩を含むことになろう。この化合物、または好ましくは例えば前記のような比較的不溶性の塩はまた、特に動物用にはコレステロールマトリックスシリコン製ペレット内に製剤化できる。他の遅延放出剤、デポ剤またはインプラント、例えばガスまたは液体リポソームは文献公知である(米国特許番号第5,770,222号; Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems, (J. R. Robinson (Ed.), Marcel Dekker, Inc., New York (1978)))。
【0160】
以上に本発明を一般的に記載したが、限定の意図なしに例示のために提供する以下の実施例を参照すればさらに容易に理解されるであろう。
【0161】
実施例1
哺乳類細胞におけるデング熱ウイルス抗体のクローニングおよび発現
典型的な哺乳類発現ベクターは、mRNAの転写開始を仲介する少なくとも1個のプロモーターエレメント、抗体をコードする配列、および転写の終了および転写物のポリアデニル化に必要なシグナルを含む。それ以外のエレメントとしては、エンハンサー、Kozak配列およびRNAスプライシングのドナーおよびアクセプター部位に隣接する介在配列を含む。高度に効率的な転写は、SV40からの早期および後期プロモーター、例えばRSV、HTLVI、HIVIなどレトロウイルスからの長末端反復(LTRS)、およびサイトメガロウイルス(CMV)の早期プロモーターで達成される。しかし細胞エレメント(例えば、ヒトのアクチンプロモーター)も使用できる。本発明の実施に使用する適当な発現ベクターとしては、例えばpIRES1neo、pRetro−Off、pRetro−On、PLXSNまたはpLNCX(Clonetech Labs, Palo Alto, California)、pcDNA3.1(+/−)、pcDNA/Zeo(+/−)またはpcDNA3.1/Hygro(+/−)(Invitrogen)、PSVLおよびPMSG(Pharmacia, Uppsala, Sweden)、pRSVcat(ATCC 37152)、pSV2dhfr(ATCC 37146)、pBC12MI(ATCC 67109)などのベクターが含まれる。使用できる哺乳類宿主細胞には、ヒトHela293細胞、H9細胞およびジャーカット細胞、マウスNIH3T3細胞およびC127細胞、Cos1細胞、Cos7細胞およびCV1細胞、ウズラQC1−3細胞、マウスL細胞、およびチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞が含まれる。
【0162】
あるいは、前記遺伝子は染色体に遺伝子が組み込まれた安定な細胞系列中でも発現できる。例えばdhfr、gpt、ネオマイシンまたはヒグロマイシンのような選択可能マーカーとの共トランスフェクションは、トランスフェクションされた細胞の同定と分離を可能にする。
【0163】
コードされた抗体を多量に発現するために、トランスフェクションされた遺伝子を増幅できる。DHFR(ジヒドロ葉酸還元酵素)マーカーは、目的遺伝子の数百または数千コピーを持つ細胞系列を開発するために有用である。他の有用な選択マーカーは、グルタミン合成酵素(GS)である。(Murphy et al., 227 Biochem. J., 277-279 (1991); Bebbington et al., 10 Bio/Technology, 169−175 (1992))。これらのマーカーを使用して、哺乳類細胞を選択培地で培養し、最高の耐性を持つ細胞を選択する。この細胞系列は、増幅され染色体に導入された遺伝子を包含する。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞およびNSO細胞は、抗体産生のためにしばしば使用される。
【0164】
発現ベクターpC1およびpC4は、ラウス肉腫ウイルスの強力なプロモーター(LTR)(Cullen et al., 5 Molec. Cell. Biol., 438−447 (1985))とCMV−エンハンサーの断片(Boshart et al., 41 Cell, 521−530 (1985))を含む。例えば、制限酵素切断部位、BamHI、XbaIおよびAsp718などのクローニング部位を多数有するものは、目的遺伝子のクローニングを促進する。これに加えてこのベクターは、ラットのプレプロインスリン遺伝子の3’イントロン、ポリアデニル化および終止シグナルを含む。
【0165】
CHO細胞でのクローニングと発現
ベクターpC4を、デング熱ウイルス抗体の発現に使用することができる。プラスミドpC4は、プラスミドpSV2−dhfr(ATCC 受託番号 37146)に由来する。このプラスミドは、SV40早期プロモーター支配下のマウスDHFR遺伝子を含有する。これらのプラスミドをトランスフェクションされた、ジヒドロ葉酸活性を欠いたチャイニーズハムスター卵巣細胞または他の細胞を、化学療法剤メトトレキセートを添加した選択培地(例えば、alpha minus MEM, Life Technologies, Gaithersburg, Maryland)中で細胞を培養することによって選択できる。メトトレキセート(MTX)耐性細胞内でのDHFR遺伝子の増幅は、文献によく報告されている(例えば、Alt et al., 253 J. Biol. Chem., 1357−1370 (1978); J. L. Hamlin, C. Ma, 1097 Biochem. et Biophys. Acta, 107−143 (1990); M. J. Page, M. A. Sydenham, 9 Biotechnology, 64−68 (1991) などを参照)。増大するMTX濃度で培養した細胞は、DHFR遺伝子増幅の結果、DHFR標的酵素の過剰産生によってこの薬剤に対する耐性を発揮する。第二遺伝子がDHFR遺伝子に結合していれば、通常共増幅され、過剰発現される。当技術分野では、増幅すべき遺伝子の1,000コピーまたはそれ以上を担持する細胞系列を作製するためにこの手法を使用できることが知られている。続いてメトトレキセートを除いた時には、宿主細胞の染色体1本またはそれ以上に組込まれた増幅された遺伝子を含む細胞系列が得られる。
【0166】
プラスミドpC4は、目的遺伝子の発現のためにラウス肉腫ウイルスの長末端反復(LTR)の強力なプロモーター(Cullen et al., 5 Molec. Cell. Biol., 438−447 (1985))とヒトサイトメガロウイルス(CMV)の即時型初期遺伝子のエンハンサーから単離された断片(Boshart et al., 41 Cell, 521−530 (1985))を含む。プロモーターの下流には、BamHI、XbaIおよびAsp718制限酵素切断部位があり、これが遺伝子の組込みを可能にする。これらクローニング部位の他にこのプラスミドは、ラットプレプロインスリン遺伝子の3’イントロン部位およびポリアデニル化部位を含む。他の高効率性プロモーター、例えばヒトb−アクチンプロモーター、SV40早期または後期プロモーター、または例えばHIVおよびHTLVIなど他のレトロウイルスからの長末端反復も発現のために使用できる。ClontechのTet−OffおよびTet−On遺伝子発現系および同様なシステムを、デング熱ウイルスを制御された様式で哺乳類細胞の中で発現するために使用できる(M. Gossen, H. Bujard, 89 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 5547−5551 (1992))。mRNAのポリアデニル化のために、例えばヒト成長ホルモン遺伝子またはグロビン遺伝子など他のシグナルも同様に使用できる。染色体に組込まれた目的遺伝子を担持する安定な細胞系列も、例えばgpt、G418またはヒグロマイシンのような選択可能マーカーとの共トランスフェクションで選択できる。最初に2個以上の選択可能マーカー、例えばG418とメトトレキセートなどを使用することが有利である。
【0167】
プラスミドpC4を制限酵素で消化し、次に当技術分野で公知の操作法によってウシ小腸ホスファターゼを用いて脱燐酸化する。次にこのベクターを1%アガロースゲルで単離する。
【0168】
次に、単離された可変および定常領域をコードするDNAおよび脱燐酸化ベクターを、T4DNAリガーゼで連結する。次に、大腸菌HB101細胞またはXL−1ブルー細胞を形質変換し、プラスミドpC4に断片が挿入された細菌を、例えば制限酵素分析を使用して確認する。
【0169】
活性DHFR遺伝子を欠失するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を用いてトランスフェクションする。5μgの発現プラスミドpC4と0.5μgのプラスミドpSV2−neoを、リポフェクチンを用いて共トランスフェクションする。プラスミドpSV2neoは、G418を含む抗生物質群に対する耐性を与える酵素をコードするTn5から得た優位な選択可能マーカーであるneo遺伝子を含有する。細胞を、1μg/mLのG418添加α−マイナスMEMに植菌する。2日後、細胞をトリプシン消化し、ハイブリドーマクローニングプレート(Greiner, Germany)中10、25または50ng/mLメトトレキセート+1μg/mLのG418添加α−マイナスMEMに播種する。約10〜14日後、単一クローンをトリプシン消化し、次に様々なメトトレキセート濃度(50nM、100nM、200nM、400nM、800nM)を用いて6ウェルペトリ皿に播種するか、または10mLフラスコに植菌する。次にメトトレキセートの最高濃度で生育したクローンを、メトトレキセート濃度がさらに高い(1mM、2mM、5mM、10mM、20mM)新しい6ウェルプレートに移す。同じ操作を100〜200mM濃度で生育するクローンが得られるまで反復する。所望の遺伝子産物の発現を、例えばSDS−PAGEとウェスタンブロッティングで、または逆相HPLC分析などで分析する。
【0170】
実施例2
トランスジェニックマウスを用いたヒトデング熱ウイルスに反応性のある高親和性ヒトIgGモノクローナル抗体の作製
ヒト重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子を有するトランスジェニックマウスを使用して、1種またはそれ以上のデング熱ウイルス介在疾患を処置するためにデング熱ウイルスの作用を阻害して治療的に使用できる、高親和性の完全なヒトモノクローナル抗体を作製できる。ヒト重鎖および軽鎖両方の可変および定常領域抗体トランスジーンを含有する(CBA/J×C57/BL6/J)Fハイブリッドマウスを、ヒト組換えデング熱ウイルス(Taylor et al., 6 Intl. Immunol., 579−591 (1993); Lonberg et al., 368 Nature, 856−859 (1994); M. Neuberger, 14 Nature Biotech., 826 (1996); Fishwild et al., 14 Nature Biotechnology, 845−851 (1996))で免疫する。数回の融合で完全なヒトデング熱ウイルス反応性IgGモノクローナル抗体の1集団またはそれ以上を得る。完全なヒト抗デング熱ウイルス抗体をさらに特性付ける。かかる抗体は、1×10〜9×1012の範囲内の親和性定数を有する。これらの完全なヒトモノクローナル抗体の予期を超える高親和性のため、これらの抗体はデング熱ウイルス関連疾病、病理学または疾患における治療的応用に適する候補である。
【表2】

【0171】
材料および方法
動物
ヒト抗体を発現できるトランスジェニックマウスは、当技術分野で公知である(ヒト免疫グロブリンを発現するが、マウスIgMまたはIgκは発現しないものが、(例えばMedarex San Jose, California; Abgenix, Freemont, Californiaその他)から購入できる)。例えば、かかるトランスジェニックマウスはヒト配列トランスジーンを含み、それがV(D)J結合、重鎖クラススイッチおよび体細胞突然変異を起して、ヒト配列免疫グロブリンのレパートリーを作製する(Lonberg et al., 368 Nature, 856−859 (1994))。軽鎖のトランスジーンは、例えば一部を生殖系列ヒトVκ領域のほぼ半分を含む酵母人工染色体クローンから誘導できる。これに加えて重鎖のトランスジーンは、ヒトμおよびヒトγ1(Fishwild et al., 14 Nature Biotechnology, 845−851 (1996))および/またはγ3定常領域の双方をコードできる。適当な遺伝子型系列に由来するマウスを、免疫および融合プロセスに使用すればデング熱ウイルスに対する完全なヒトモノクローナル抗体を作製できる。
【0172】
免疫
1種またはそれ以上の免疫計画を使用して抗デング熱ウイルスヒトハイブリドーマを作製できる。最初の数回の融合は、下記の例示的免疫プロトコルで行うことができるが、他の類似の公知プロトコルも使用できる。14〜20週令の雌性マウスおよび/または外科的去勢トランスジェニック雄性マウス数匹を、IPおよび/またはIDにて最終容積100〜400(例えば200)μLのTITERMAXまたは完全フロイントアジュバント等容量で乳化した1〜1000μgの組換えヒトデング熱ウイルスで免疫する。各マウスにはまた、要すれば、2箇所のSQ部位各々に1〜10μgの生理的食塩水100μL溶液を与えてもよい。次に、マウスを、1〜7、5〜12、10〜18、17〜25および/または21〜34日後に、IP(1〜400μg)およびSQ(1〜400μg×2)にて等容量のTITERMAXまたは不完全フロインドアジュバントに乳化したデング熱ウイルスで免疫する。マウスから12〜25日および25〜40日後に、抗凝固剤無添加眼窩後穿刺で採血する。血液を室温で1時間凝固させ、血清を収集し、公知方法に従ってデング熱ウイルスEIA検定を用いて力価を測定する。反復注射で力価上昇が起きなければ融合を行う。この時点で、生理食塩水100μLで希釈したデング熱ウイルス1〜400μgの最終IVブースター注射をマウスに行うことができる。3日後に、マウスを頚部脱臼により安楽死させ、脾臓を無菌的に摘出し、ペニシリン100U/mL、ストレプトマイシン100μg/mLおよびアンホテリシンB0.25μg/mL(PSA)添加冷燐酸緩衝食塩水(PBS)10mLに浸す。脾臓にPSA−PBSを無菌的に潅流して、脾臓細胞を収集する。細胞を冷PSA−PBSで1回洗い、トリパンブルー色素排除法を用いて計数し、25mM HEPES添加RPMI1640培地に再懸濁する。
【0173】
細胞融合
融合は、例えば当技術分野で知られている公知方法に従って、マウス骨髄腫細胞と生育可能な脾臓細胞を1:1〜1:10比で行うことができる。非限定的な例として、脾臓細胞と骨髄腫細胞を一緒にペレット化できる。次にペレットを30秒にわたって徐々に50%(w/v)PEG/PBS溶液(PEG分子量1,450、Sigma)1mLに37℃で再懸濁する。次に、25mM−HEPES(37℃)添加RPMI1640培地10.5mLを1分間にわたって徐々に加えて融合を停止する。融合細胞を、500〜1500rpmで5分間遠心分離する。次に細胞を、HAT培地(25mM HEPES、10%胎仔クローンI血清(Hyclone)、1mM ピルビン酸ナトリウム、4mM L−グルタミン、ゲンタマイシン10μg/mL、2.5%Origen培養サプリメント(Fisher)、10%の653−調整RPMI1640/HEPES培地、50μM 2−メルカプトエタノール、100μM ヒポキサンチン、0.4μM アミノプテリンおよび16μM チミジン含有RPMI1640培地)に再懸濁し、次に96ウェル平底組織培養プレート15枚に200μL/ウェルで塗布する。プレートを5%COおよび95%空気を含む37℃の加湿インキュベータに入れて7日〜10日間置く。
【0174】
マウス血清中ヒトIgG抗デング熱ウイルス抗体の検出
固相EIAを用いて、マウス血清をヒトデング熱ウイルスに特異的なヒトIgG抗体についてスクリーニングできる。要約すれば、プレートをデング熱ウイルス2μg/PBSmLで一夜コーティングする。0.02%(v/v)Tween20添加0.15M 食塩水で洗浄後、ウェルを、200μL/ウェルの1%(w/v)BSA/PBSを用いて室温で1時間ブロックする。プレートを直ちに使用するか、後で使うため−20℃で凍結する。マウス血清希釈物を、50μL/ウェルをデング熱ウイルス被覆プレート上、1時間室温でインキュベーションする。プレートを洗浄し、次にFc特異的な1%BSA−PBS中1:30,000希釈HRP標識したヤギ抗ヒトIgG50μL/ウェルで、室温で1時間プローブする。プレートを再び洗浄し、さらにクエン酸−燐酸基質溶液(0.1M クエン酸および0.2M 燐酸ナトリウム、0.01%Hおよび1mg/mL OPD)100μL/ウェルを、室温で15分間加える。停止溶液(4N 硫酸)を、25μL/ウェルで加え、自動プレート分光光度計で490nmのODを読み取る。
【0175】
ハイブリドーマ上清液中の完全ヒト免疫グロブリンの検出
完全ヒト免疫グロブリンを分泌する増殖ポジティブ(growth positive)ハイブリドーマを、適当なEIAを用いて検出できる。要約すれば、96ウェルのポップアウトプレート(VWR, 610744)を、炭酸ナトリウム緩衝液中10μg/mLのヤギ抗ヒトIgG−Fcを用いて4℃で一夜コーティングする。プレートを洗浄し、1%BSA−PBSを用いて37℃で1時間ブロックし、直ちに使用するか、または−20℃で凍結する。非希釈ハイブリドーマ上清液を、プレート上37℃で1時間インキュベーションする。プレートを洗浄し、1%BSA−PBS中1:10,000に希釈したHRP標識ヤギ抗ヒトκを用いて37℃で1時間プローブする。次にプレートを前記基質溶液とインキュベーションする。
【0176】
完全ヒト抗デング熱ウイルス反応性の測定
前記ハイブリドーマは、適当なRIAまたは他の検定を用いてデング熱ウイルスに対する反応性を同時に検定できる。例えば、上清液を前記ヤギ抗ヒトIgGFcプレート上でインキュベーションし、洗浄し、次に適当なカウント/ウェルの放射能標識デング熱ウイルスで、室温で1時間プローブする。ウェルをPBSで2回洗浄し、結合した放射能標識デング熱ウイルスを適当なカウンターを用いて定量する。
【0177】
ヒト抗デング熱ウイルス分泌ハイブリドーマを細胞培養で増殖させ、制限希釈で順次サブクローニングする。得られるクローン集団を増殖させ、凍結培地(95%FBS、5%DMSO)中で凍結し、液体窒素中で貯蔵する。
【0178】
アイソタイプ決定
抗体のアイソタイプ決定は、マウス免疫血清を比力価についてスクリーニングするために使用したものと同様な様式でEIAを用いて達成できる。デング熱ウイルスを前記のように96ウェルプレート上にコーティングし、2μg/mLの精製抗体をプレート上室温で1時間インキュベーションする。プレートを洗い、1%BSA−PBS中1:4000に希釈したHRP標識ヤギ抗ヒトIgGまたはHRP標識ヤギ抗ヒトIgGと室温で1時間プローブする。再びプレートを洗浄し、前記基質溶液とインキュベーションする。
【0179】
ヒト抗デング熱ウイルス抗体とデング熱ウイルスとの結合反応速度論
抗体の結合特性は、例えばデング熱ウイルス捕捉EIAおよびBIAコア技術を用いて適当に評価できる。精製ヒトデング熱ウイルス抗体の段階的濃度は、2μg/mLのデング熱ウイルスでコーティングしたEIAプレートへの結合についての前記のような検定で評価できる。ODを半対数プロットすれば相対結合効率が示される。
【0180】
定量的結合定数を、例えば下記のようにして、または他の適当な公知方法で得ることができる。BIAコアCM−5(カルボキシメチル)チップをBIAコア2000ユニットに入れる。HBS緩衝液(0.01M HEPES、0.15M NaCl、3mM EDTA、0.005v/v%P20界面活性剤、pH7.4)をチップのフローセル上を5μL/分で安定なベースラインが得られるまで流す。EDC(N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)15mgの水200μL溶液(100μL)を、NHS(N−ヒドロキシスクシンイミド)2.3mgの水200μL溶液100μLに加える。得られる溶液40μLをチップ上に注入する。ヒトデング熱ウイルス(15μg/mL、10mM 酢酸ナトリウム、pH4.8中)の溶液6μLをチップ上に注入すると約500RUの増大が生じる。緩衝液を、TBS/Ca/Mg/BSAランニング緩衝液(20mM Tris、0.15M 塩化ナトリウム、2mM 塩化カルシウム、2mM 酢酸マグネシウム、0.5%トリトンX−100、25μg/mLBSA、pH7.4)に変更し、一夜チップ上を流して平衡化させて加水分解するか、または未反応スクシンイミドエステルをキャップする。
【0181】
抗体を、33.33、16.67、8.33および4.17nMでランニング緩衝液に溶解する。流速を30μL/分、装置温度を25℃に調整する。2個のフローセルを反応速度研究に使用し、一方にはデング熱ウイルス(サンプル)を固定し、他方は未処置フローセル(対照)とする。各抗体濃度の120μLを、フローセル上に30μL/分で注入(会合相)し、続いて緩衝液を連続して360秒間流す(解離相)。チップ表面(組織壊死因子α/解離抗体複合体)を、2M グアニジンチオシアネート各30μLを順次2回注入して再生する。
【0182】
データの分析を、当技術分野で公知のBIA評価3.0またはCLAMP2.0を用いて行う。各抗体濃度について、対照センソグラム(sensogram)をサンプルのセンソグラムから差引く。解離(kd、秒−1)および会合(ka、モル−1−1)との双方についてグローバル適合を行い、解離定数(KD、モル)を算出する(kd/ka)。抗体の親和性が、捕捉された抗体のRUを>100とするに十分な高さである時は抗体をさらに希釈する。
【0183】
結果および考察
抗ヒトデング熱ウイルスモノクローナル抗体の作製
数種の融合を行い、各融合体を15枚のプレートに播種(1440ウェル/融合)して、デング熱ウイルスまたはデング熱ウイルス感染細胞に特異的な数ダースの抗体を得る。この中のいくつかはヒトおよびマウスIg鎖の組合せからなる。残りのハイブリドーマは、ヒトの重鎖および軽鎖のみからなる抗デング熱ウイルス抗体を分泌する。
【0184】
ヒト抗デング熱ウイルス抗体の結合機序
ELISA分析でこれらハイブリドーマの殆どまたは全部から得た精製抗体が、濃度依存性様式でデング熱ウイルスに結合することを確認する。この場合に、抗体と同系抗原(エピトープ)との結合強度を測定する。EIAプレートに直接結合するデング熱ウイルスタンパク質は、タンパク質の変性を引き起し、見掛けの結合親和性は未変性タンパク質への結合を反映できないことに注目すべきである。広範な濃度にわたって50%の結合が観察される。
【0185】
ヒト抗体のBIAコア分析を用いて定量的結合定数が得られ、ヒトモノクローナル抗体数種ではKD が1×10〜7×1012の範囲の非常に高い親和性を有することを示す。図1A、図1Bおよび図1Cを参照。
【0186】
結論
ヒトデング熱ウイルスで免疫したヒトの可変領域および定常領域抗体トランスジーンを含むハイブリッドマウスからの脾臓細胞を利用して、数回の融合を行う。完全ヒトデング熱ウイルス数種の一群に反応性のあるIgG1アイソタイプに属するIgGモノクローナル抗体を作製する。完全ヒト抗デング熱ウイルス抗体をさらに特徴付ける。作製された抗体数種は、1×10〜9×1012の親和性定数を有する。これら完全ヒトモノクローナル抗体は相対的に高親和性なため、デング熱ウイルス依存性疾病、病理学または関連病状における治療的利用に適する。
【0187】
実施例3
デング熱ウイルスに反応性のあるヒト免疫レパートリーのファージディスプレーによる抗体の単離
本発明で行うような免疫個体から得られる抗体の作製は、本質的に次の4段階を含む:(1)抗体産生細胞源からのRNA調製;(2)重鎖(Fd部分)および軽鎖の逆転写ならびにPCR増幅;(3)ファージミドベクター(pComb3)へのPCR挿入体のクローニング、およびファージ表面でのFabライブラリーの発現;および(4)特異的Fabを選択する抗原に対するライブラリーのパンニング。選択される抗体は、主にRNA源、PCR増幅およびパンニングに使用する抗原に依存する。
【0188】
デング熱Fab抗体の単離
ファージライブラリーと抗体
抗体ファージディスプレーライブラリーを、デング熱ウイルス感染から回復したドナーから得たヒトPBMCから単離されたRNAから製造した。ドナーから得た血清がデング熱ウイルスをインビトロで中和する能力を表1に示す。
【表3】

【0189】
得られるライブラリーを、洗浄ストリンジェンシーを増大させながら連続4回の選択のためにパンニングした。最後のパンニング後、コロニーを採取し、増殖させ、ファージを単離した。特異的結合をファージELISAで確認した。単離されたファージミドDNAの消化により可溶性Fab抗体を製造し、cpIII遺伝子を除去するためにこれを消化し、再連結し、大腸菌の形質転換に使用した。
【0190】
具体的には、デング熱感染が治癒したヒト患者の血液から末梢血単核細胞(PBMC)を単離した。血清を変性溶液と激しく混合して溶解し、2M 酢酸ナトリウム(pH4.0)溶解物を加えてRNAを調製した。このサンプルを酸性フェノール(0.1M クエン酸緩衝液[pH4.3]、Sigmaで飽和)およびクロロホルム−イソアミルアルコール混合物(24:1)で抽出した。氷上で15分間インキュベーション後、サンプルを10,000×gにて4℃で20分間遠心分離した。上清液にグリコーゲン(Boehringer Mannheim, Indianapolis, Ind.)40μgおよび2−プロパノール(Sigma)15mLを加えて、−20℃で一夜インキュベーションし、10,000×gにて4℃で20分間遠心分離して、RNAを沈殿させた。RNAペレットを変性溶液3mLに再溶解し、等容量の2−プロパノールを添加後、−20℃で3時間再沈殿させた。RNAをマイクロ遠心分離でペレット化し、70%エタノールで2回洗い、ジエチルピロカーボネート処理水に再懸濁した。
【0191】
ライブラリー構築
第一鎖cDNAを、製造元の推奨に従ってcDNAキット(Boehringer Mannheim)でオリゴd(T)をプライミングすることによって調製した。IgGlのFd領域と全κおよびλ軽鎖をPCRで増幅した。ファージディスプレーライブラリーを、ファージディスプレーベクターpComb3Hに構築した。要約すれば、軽鎖および重鎖のPCR断片を、ファージミドのSacI−XbaIおよびXhoI−SpeI制限部位に各々クローニングした。連結産物をエタノール沈殿し、大腸菌XLlブルー細胞(Stratagene, La Jolla, California)に電気穿孔で導入した。形質転換した大腸菌培養物を、SOC培地中で増殖させ、次にテトラサイクリン10μg/mLおよびカルベニシリン20μg/mL添加SB培地中で、各々37℃で1時間培養した。カルベニシリン濃度を50μg/mLまで高め、細胞を1時間培養後、VCS−M13ヘルパーファージ(5×1011PFU)の添加によってファージ粒子の集合を開始させた。さらに2時間培養後、カナマイシンを50μg/mL濃度まで加えて、培養物を30℃で一夜増殖させた。4,000×gの遠心分離で細菌を除き、4%ポリエチレングリコールと0.5M NaClを加えてファージを上清液から沈殿させ、混合物を氷上で30分間インキュベーションしてファージを培養物から回収した。遠心分離後、ファージペレットを燐酸緩衝食塩水500μL(PBS−4%脱脂粉乳(Bio-Rad, Hercules, California))に再懸濁し、5分間マイクロ遠心機で遠心分離して細菌の破砕片をペレット化した。
【0192】
デング熱抗原によるAbライブラリーの親和性選択
選択(パンニング)に使用したデング熱抗原は、ウイルス感染細胞溶解産物から得たNS1タンパク質である。
【0193】
マイクロタイタープレート(Costar, Cambridge, Massachusetts)を、デング熱ウイルス抗原を用いて4℃で一夜コーティングした。プレートを洗浄し、4%脱脂粉乳(Bio−Rad)を用いて37℃で1時間ブロックした。乳液を振とうし、ファージ溶液を各ウェルに加え、混合物をロッカープラットホーム上37℃で2時間インキュベーションした。ファージ溶液を除き、ウェルを洗浄した。結合したファージをグリシン緩衝液(pH2.2)で溶離し、2M Tris塩基で中和した。溶離したファージを次のパンニングのために再増幅した。ライブラリーを、洗浄ストリンジェンシーを増加させつつ連続4〜5回パンニングした(2、5および10回洗浄段階、各5分間のインキュベーションと激しいピペッティングを含む)。最後のパンニング後に、単離されたファージミドDNAをNhelおよびSpeI制限エンドヌクレアーゼで消化し、再連結してcpIII遺伝子を切出し、プラスミド産生可溶性Fabを得た。
【0194】
可溶性Fab断片のスクリーニング
マイクロタイターウェルを、パンニングに使用した2種のデング熱抗原および対照抗原である卵白アルブミン(4μg/mL)(Pierce, Rockford, Illinois)を用いて4℃で一夜コーティングした。可溶性Fabを酵素免疫測定検定法(ELISA)で試験した。このFabの一つをSid33と称し、デング熱ウイルスNS1タンパク質に結合することが証明された。
【0195】
DNA配列決定
FabをDNA配列について373Aまたは377A自動化DNA配列決定器(ABI, Foster City, California)でTaq蛍光ジデオキシターミネータサイクル配列決定キット(ABI)を用いて分析した。
【0196】
実施例4
デング熱ウイルスに反応性のヒトIgGモノクローナル抗体の作製
抗体の発現と精製
IgG分子の一つである組換え抗体DEN3をベクターpDR12にて発現させた。このベクターは軽鎖および重鎖の発現カセットを含み、そこでは転写がヒトサイトメガロウイルスプロモーターで駆動される。重鎖の発現カセットはヒトゲノムIgG1遺伝子を含む。このプラスミドの選択および増幅を、グルタミンシンターゼ遺伝子の発現に基づいて行った。(Bebbington et al., “High−level Expression of a Recombinant Antibody from Myeloma Cells Using a Glutamine Synthetase Gene as an Amplifiable Selectable Marker”, 10 Bio/Technology, 169−275 (1992) を参照)。
【0197】
Fab Sid33をコードするDNAをpDR12発現ベクターにクローニングして、Fabをコードする配列をIgG1抗体分子のフレームワーク中に入れるpDRSid33を作製した。デング熱ウイルスNS1タンパク質に結合する完全IgG抗体分子を本明細書ではDEN3と命名する。pDRSid33のDNAをSal1で切断し、リポフェクチン試薬を、製造元(Life Technologies, Grand Island, New York)の推奨に従って用いてチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO−K1細胞; American Type Culture Collection, Manassas, Virginia)にトランスフェクションした。細胞を6ウェル組織培養処理プレートに分配し、トランスフェクションされたクローンを濃度範囲40〜140μMのL−メチオニンスルホキシミン(Sigma, St. Louis, Missouri)を用いて選択した。トランスフェクション後、コロニーを個々に酵素結合免疫測定検定法(ELISA)によって抗体産生について検定した。最高産生体を制限希釈でクローニングし、増殖させ、3Lのスピナーフラスコ中で培養した。
【0198】
組換えDEN3のIgG1モノクローナル抗体を、3Lのスピンナフラスコ中、10%透析したウシ胎仔血清(FCS、Tissue Culture Biologicals, Tulare, California)、MEM 非必須アミノ酸 (Gibco−BRL, Grand Island, New York)、1mM MEMピルビン酸ナトリウム(Gibco−BRL)、500μM L−グルタミン酸、500μM L−アスパラギン、30μM アデノシン、30μM アデノシン、30μM グアノシン、30μM シチジン、30μM ウリジン、10μM チミジン(Sigma)、100Uのペニシリン/mL、ストレプトマイシン100μg/mLおよび50メチオニンスルホキシイミン(Sigma)添加グルタミン不含有Glasgow 最小必須培地(GMEM, Sigma, St. Louis, Missouri)中のCHO−K1細胞中で発現させた。上清液を無菌濾過し、タンパク質A−Sepharose Fast Flow(Pharmacia, Arlington Heights, Illinois)で精製した。抗体を、0.1M クエン酸、pH3.0で溶離した。抗体溶液に1M Tris(pH9.0)を加えてpHを直ちに中性とし、抗体を燐酸緩衝食塩水(PBS)で透析した。抗体濃度を280nmにおける吸光度によって決定し、硫酸ドデシルナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)で確認した。この方法を用いた抗体の収率は、3〜18mg/Lの範囲であった。
【0199】
これは動物実験に使用するので、製造元の推奨に従う定量的Chromagenic Limulus Amoebecyte lysate assay(BioWhittaker, Walkersville, Maryland)を用いてエンドトキシンをモニターし、その細菌混入が最小化されるように配慮した。検出された場合には、エンドトキシンをポリミキシン親和性カラムクロマトグラフィー(Bio−Rad, Hercules, California)を用いて除去した。
【0200】
実施例5
抗デング熱ウイルス抗体と対照を用いたデング熱ウイルス感染を予防または処置する研究
臨床試験
本発明の抗体またはその断片を、インビトロ検定および動物モデルで試験してもよく、さらに安全性、認容性および薬動力学について正常な健康成人ボランティア群で評価してもよい。ボランティアには、デング熱ウイルスNSタンパク質に免疫特異的に結合する抗体またはその断片の一回用量0.5mg/kg、3mg/kg、5mg/kg、10mg/kgまたは15mg/kgを筋肉内、静脈内または別な送達系によって投与する。各ボランティアを抗体またはその断片の1回用量投与の少なくとも24時間前に観察し、各ボランティアを用量投与後少なくとも48時間臨床施設で観察する。その後、各ボランティアを投与後3、7、14、21、28、35、42、49および56日に外来患者として観察する。
【0201】
血液サンプルを、留置カテーテルを経てか、または10mLのVacutainerチューブを用いる直接的静脈穿刺により次の間隔で採取する:(1)抗体または抗体断片の投与前;(2)抗体または抗体断片の投与中;(3)抗体または抗体断片の投与後5分、10分、15分、20分、30分、1時間、2時間、4時間、8時間、12時間、24時間および48時間;および(4)抗体または抗体断片の投与後3日、7日、14日、21日、28日、35日、42日、49日および56日。サンプルを室温で凝血させ、遠心分離後、血清を採取する。
【0202】
抗体または抗体断片を血清サンプルから部分的に精製し、サンプル内の抗体または抗体断片の量をELISAで定量する。要約すれば、ELISAでは、ボランティアに投与した抗体または抗体断片を認識する抗体を用いてマイクロタイタープレートを4℃で一夜コーティングする。次に、プレートを、PBS−Tween−0.5%BSAを用いて室温で約30分間ブロックする。ボランティアに投与しなかった精製抗体または抗体断片を用いて標準曲線を構築する。サンプルをPBS−Tween−BSAで希釈する。サンプルと標品を室温で約1時間インキュベーションする。次に結合した抗体を標識抗体(例えば、セイヨウワサビペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ヒトIgG)を用いて室温で約1時間処理する。標識抗体の結合を、例えば光度計によって検出する。
【0203】
ボランティア血清内の抗体または抗体断片濃度を、投与前血中濃度(バックグラウンドレベル)を用量投与後の各採血間隔での血中濃度から差引いて補正する。各ボランティアについて、薬物動態学的パラメータを補正済血中抗体または抗体断片濃度からモデル非依存性手法(Gibaldi et al. (Eds.), Pharmacokinetics, 2nd Supplementary Edition, (Marcel Dekker, New York (1982))に従って算出する。
【0204】
抗デング熱ウイルスNSタンパク質抗体を使用するヒトでのデング熱ウイルス感染症の処置
抗デング熱ウイルスNSタンパク質抗体DEN3を使用すれば、デング熱ウイルスに感染した患者を処置できる。デング熱ウイルス感染の症状を有する患者に、体重kg当りDEN3の1回用量0.1、1.0、5.0または10mgを投与する。他群の患者には、デング熱ウイルス感染症の標準的処置を施す。DEN3を、1回の60分間静脈内点滴で投与する。臨床的評価、徴候および臨床検査パラメータを、点滴前、点滴中および点滴後28日まで定期的に測定する。従って、DEN3を用いるヒト患者におけるデング熱ウイルス感染症の処置は、症状の重症度低下および病気の期間短縮を含む本明細書に記載する適当な処置を提供するものと期待される。
【0205】
等価物
当業者は常用程度の実験なしに本明細書に記載する本発明の特異的態様の多数の等価物を認識または確認できるであろう。そのような等価物は特許請求の範囲に含まれることを意図している。
【0206】
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【図面の簡単な説明】
【0207】
【図1】図1のA、B、Cは、抗デング熱ウイルス抗体がデング熱ウイルスの感染性を阻害する性能の検定結果のグラフを示す。図1パネルAはデング熱抗原のIgG・DEN3 mAbおよび Fab Sid33に対する力価測定を示す。図1パネルBは20μg/mLのFab Sid33に対するデング熱抗原の力価測定を示す。図1パネルCはFab・Sid33抗体およびIgG・DEN3抗体のデング熱抗原に対する(1:500)における力価を示す。抗原力価測定からのデータに基づけば、結合のピークはデング熱抗原約(1:500)希釈で起きた。そこで抗原(1:500)に対して抗体25μg/mLから始めて力価測定して、結合曲線を作製する。
【図2】図2は、抗デング熱ウイルスmAb重鎖可変領域のDNA配列(配列番号1)を示す。
【図3】図3は、抗デング熱ウイルスmAb軽鎖可変領域のDNA配列(配列番号2)を示す。
【図4】図4は、抗デング熱ウイルスmAb重鎖可変領域の演繹されたアミノ酸配列を示す。記載のアミノ酸配列(1文字表記)はDNA配列から推測した。アミノ配列はフレームワーク(FR)ドメインおよび相補性決定領域(CDR)ドメインに分けて示す(配列番号3)。
【図5】図5は、抗デング熱ウイルスmAb軽鎖可変領域の推定アミノ酸配列を示す。記載のアミノ酸配列(1文字表記)はDNA配列から推測した。アミノ配列はフレームワーク(FR)ドメインと相補性決定領域(CDR)ドメインに分けて示す(配列番号4)。
【図6】図6は、抗デング熱ウイルス抗体発現細胞を作製するために使用する重鎖および軽鎖の発現プラスミドpDR1・11070(bp)の図式的表示を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号3または4に示すアミノ酸配列を包含する少なくとも1個の可変領域を包含する、単離された哺乳類抗デング熱ウイルス抗体。
【請求項2】
該抗体が、デング熱ウイルスNS−1タンパク質に結合する、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
該抗体が、少なくとも1種のデング熱ウイルスNSタンパク質に結合する、請求項1に記載の抗デング熱ウイルス抗体。
【請求項4】
配列番号3または4に示すアミノ酸配列を包含する少なくとも1個の可変領域を有する少なくとも1種の哺乳類抗デング熱ウイルス抗体をコードする、単離された核酸。
【請求項5】
請求項4に記載の単離された核酸を包含する、単離された核酸ベクター。
【請求項6】
請求項5に記載の単離された核酸を包含する、原核生物宿主細胞または真核生物宿主細胞。
【請求項7】
該宿主細胞が、COS−1細胞、COS−7細胞、HEK293細胞、BHK21細胞、CHO細胞、BSC−1細胞、Hep G2細胞、653細胞、SP2/0細胞、293細胞、HeLa細胞、骨髄腫細胞もしくはリンパ腫細胞、またはその誘導細胞、不死化細胞もしくは形質転換細胞のいずれかから選択される少なくとも1種である、請求項6に記載の宿主細胞。
【請求項8】
抗デング熱ウイルス抗体が検出可能な量または回収可能な量で発現されるように、インビトロ、インビボまたはインサイチュ条件下に請求項4に記載の核酸を翻訳することを包含する、少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体を製造する方法。
【請求項9】
配列番号3または4に示すアミノ酸配列を含む少なくとも1個の可変領域を有する少なくとも1種の単離された哺乳類抗デング熱ウイルス抗体と、少なくとも1種の医薬的に許容される担体または希釈剤を包含する、組成物。
【請求項10】
検出可能な標識またはレポーター、デング熱ウイルス複製拮抗剤、非ステロイド抗炎症剤(NSAID)、鎮痛剤、麻酔剤、鎮静剤、局所麻酔剤、抗微生物剤、コルチコステロイド、エリスロポイエチン、免疫用抗原、免疫グロブリン、成長ホルモン、ホルモン補充薬剤、放射性医薬品、喘息薬、吸入ステロイド、エピネフリンまたは類似体、サイトカイン、またはサイトカイン拮抗剤の少なくとも1種から選択される少なくとも1個の化合物またはタンパク質の有効量を包含する少なくとも1個の組成物をさらに包含する、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
細胞、組織、器官、患者または動物におけるデング熱ウイルスに関連する状態を診断または処置する方法であって、(a)配列番号3または4を包含する少なくとも1個の可変領域を有する少なくとも1種の単離された哺乳類抗デング熱ウイルス抗体の有効量を包含する組成物を、該細胞、組織、器官、患者または動物と接触させること、または該細胞、組織、器官、患者または動物に投与すること、を包含する方法。
【請求項12】
有効量が、該細胞、組織、器官、患者または動物のkg当り0.001〜50mgである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
該接触または該投与が、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹腔内、嚢内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頚部内、胃内、肝臓内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹膜内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎内、網膜内、脊髄内、関節滑液嚢内、胸腔内、子宮内、膀胱内、ボーラス、膣内、直腸内、バッカル、舌下、鼻腔内または経皮の各手段から選択される少なくとも1種による、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
該(a)の接触または投与前に、同時にまたは後に、検出可能な標識またはレポーター、デング熱ウイルス複製拮抗剤、非ステロイド抗炎症剤(NSAID)、鎮痛剤、麻酔剤、鎮静剤、局所麻酔剤、抗微生物剤、コルチコステロイド、エリスロポイエチン、免疫用抗原、免疫グロブリン、成長ホルモン、ホルモン補充薬剤、放射性医薬品、喘息薬、吸入ステロイド、エピネフリンまたは類似体、サイトカイン、またはサイトカイン拮抗剤の少なくとも1種から選択される少なくとも1個の化合物またはタンパク質の有効量を包含する少なくとも1個の組成物を投与することをさらに包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
配列番号3または4を包含する少なくとも1個の可変領域を有する少なくとも1種の単離された哺乳類抗デング熱ウイルス抗体を含有する医療用デバイスであって、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹腔内、嚢内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頚部内、胃内、肝臓内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹膜内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎内、網膜内、脊髄内、関節滑液嚢内、胸腔内、子宮内、膀胱内、ボーラス、膣内、直腸内、バッカル、舌下、鼻腔内または経皮の各手段から選択される少なくとも1種により、該少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体を接触させることまたは投与することに適する、医療用デバイス。
【請求項16】
配列番号3または4を包含する少なくとも1個の可変領域を有する少なくとも1種の単離された哺乳類抗デング熱ウイルス抗体の溶液または凍結乾燥形を包含する容器、および包装材を含む、ヒトにおける医薬的または診断的使用のための製造物。
【請求項17】
該容器が、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹腔内、嚢内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頚部内、胃内、肝臓内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹膜内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎内、網膜内、脊髄内、関節滑液嚢内、胸腔内、子宮内、膀胱内、ボーラス、膣内、直腸内、バッカル、舌下、鼻腔内または経皮による送達用デバイスまたはシステムの構成要素である、請求項16に記載の製造物。
【請求項18】
該抗体を回収可能な量で発現可能な宿主細胞またはトランスジェニック動物またはトランスジェニック植物または植物細胞を提供することを包含する、配列番号3または4を包含する少なくとも1個の可変領域を有する少なくとも1種の単離された哺乳類抗デング熱ウイルス抗体を製造する方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法で製造した少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体。
【請求項20】
(i)配列番号3の重鎖相補性決定領域(CDR)アミノ酸配列全部、または(ii)配列番号4の軽鎖CDRアミノ酸配列全部のいずれかを包含する、少なくとも1種の単離された哺乳類抗デング熱ウイルス抗体。
【請求項21】
該抗体が、デング熱ウイルスNSタンパク質に結合する、請求項20に記載のデング熱ウイルス抗体。
【請求項22】
該抗体が、少なくとも1種のデング熱ウイルスNS1タンパク質に結合する、請求項20に記載のデング熱ウイルス抗体。
【請求項23】
(i)配列番号3の重鎖CDRアミノ酸配列全部、または(ii)配列番号4の軽鎖CDRアミノ酸配列全部のいずれかの少なくとも1種の単離された哺乳類抗デング熱ウイルス抗体をコードする、単離された核酸。
【請求項24】
配列番号1または2に示すヌクレオチド配列を有する請求項4に記載の単離された核酸を包含する、単離された核酸ベクター。
【請求項25】
請求項24に記載の単離された核酸を包含する、原核生物または真核生物の宿主細胞。
【請求項26】
該宿主細胞が、COS−1細胞、COS−7細胞、HEK293細胞、BHK21細胞、CHO細胞、BSC−1細胞、HepG2細胞、653細胞、SP2/0細胞、293細胞、HeLa細胞、骨髄腫細胞またはリンパ腫細胞、もしくはその誘導細胞、不死化細胞または形質転換細胞のいずれかから選択される少なくとも1種である、請求項25に記載の宿主細胞。
【請求項27】
該デング熱ウイルス抗体が検出可能な量または回収可能な量で発現されるように、インビトロ、インビボまたはインサイチュ条件下で請求項23に記載の核酸を翻訳することを包含する、少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体を製造する方法。
【請求項28】
(i)配列番号3の重鎖CDRアミノ酸配列全部、または(ii)配列番号4の軽鎖CDRアミノ酸配列全部のいずれかを有する少なくとも1種の単離された哺乳類抗デング熱ウイルス抗体と、少なくとも1種の医薬的に許容される担体または希釈剤を包含する、組成物。
【請求項29】
検出可能な標識またはレポーター、デング熱ウイルス複製拮抗剤、非ステロイド抗炎症剤(NSAID)、鎮痛剤、麻酔剤、鎮静剤、局所麻酔剤、抗微生物剤、コルチコステロイド、エリスロポイエチン、免疫用抗原、免疫グロブリン、成長ホルモン、ホルモン補充薬剤、放射性医薬品、喘息薬、吸入ステロイド、エピネフリンまたは類似体、サイトカインまたはサイトカイン拮抗剤の少なくとも1種から選択される少なくとも1個の化合物またはタンパク質の有効量を包含する少なくとも1個の組成物をさらに包含する、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
細胞、組織、器官、患者、動物または対象集団におけるデング熱ウイルス関連状態を診断または処置する方法であって、(a)(i)配列番号3の重鎖CDRアミノ酸配列全部、または(ii)配列番号4の軽鎖CDRアミノ酸配列全部のいずれかを有する少なくとも1種の単離された哺乳類抗デング熱ウイルス抗体の有効量を包含する組成物を、該細胞、組織、器官、患者または動物と接触させること、または該細胞、組織、器官、患者または動物に投与すること、を包含する方法。
【請求項31】
該有効量が、該細胞、組織、器官、患者または動物のkg当り0.001〜50mgである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
該接触または該投与が、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹腔内、嚢内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頚部内、胃内、肝臓内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹膜内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎内、網膜内、脊髄内、関節滑液嚢内、胸腔内、子宮内、膀胱内、ボーラス、膣内、直腸内、バッカル、舌下、鼻腔内または経皮の各手段から選択される少なくとも1種による、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
該(a)の接触または投与前に、同時にまたは後に、検出可能な標識またはレポーター、デング熱ウイルス複製拮抗剤、非ステロイド抗炎症剤(NSAID)、鎮痛剤、麻酔剤、鎮静剤、局所麻酔剤、抗微生物剤、コルチコステロイド、エリスロポイエチン、免疫用抗原、免疫グロブリン、成長ホルモン、ホルモン補充薬剤、放射性医薬品、喘息薬、吸入ステロイド、エピネフリンまたは類似体、サイトカイン、またはサイトカイン拮抗剤の少なくとも1種から選択される少なくとも1個の化合物またはタンパク質の有効量を包含する少なくとも1個の組成物を投与することをさらに包含する、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
(i)配列番号3の重鎖CDRアミノ酸配列全部、または(ii)配列番号4の軽鎖CDRアミノ酸配列全部のいずれかを有する少なくとも1種の単離された哺乳類抗デング熱ウイルス抗体を包含する医療用デバイスであって、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹腔内、嚢内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頚部内、胃内、肝臓内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹膜内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎内、網膜内、脊髄内、関節滑液嚢内、胸腔内、子宮内、膀胱内、ボーラス、膣内、直腸内、バッカル、舌下、鼻腔内または経皮の各手段から選択される少なくとも1種により、該少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体を接触させることまたは投与することに適する、医療用デバイス。
【請求項35】
(i)配列番号3の重鎖CDRアミノ酸配列全部、または(ii)配列番号4の軽鎖CDRアミノ酸配列全部、のいずれかを有する少なくとも1種の単離された哺乳類抗デング熱ウイルス抗体の溶液または凍結乾燥形を包含する容器、および包装材を含む、ヒトにおける医薬的または診断的使用のための、製造物。
【請求項36】
該容器が、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹腔内、嚢内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頚部内、胃内、肝内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹膜内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎内、網膜内、脊髄内、関節滑液嚢内、胸腔内、子宮内、膀胱内、ボーラス、膣内、直腸内、バッカル、舌下、鼻腔内または経皮のによる送達用デバイスまたはシステムの構成要素である、請求項35の製造物。
【請求項37】
該抗体をコードする核酸分子を回収可能な量で発現可能な宿主細胞またはトランスジェニック動物またはトランスジェニック植物または植物細胞を提供することを包含する、(i)配列番号3の重鎖CDRアミノ酸配列全部、または(ii)配列番号4の軽鎖CDRアミノ酸配列全部、のいずれかを有する少なくとも1種の単離された哺乳類抗デング熱ウイルス抗体を製造する方法。
【請求項38】
請求項37に記載の方法によって製造した少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体。
【請求項39】
配列番号3または4の少なくとも1個のアミノ酸配列を有する少なくとも1個の重鎖または軽鎖CDRを包含する、少なくとも1種の単離された哺乳類抗デング熱ウイルス抗体。
【請求項40】
該抗体が、デング熱ウイルスNSタンパク質に結合する、請求項39に記載のデング熱ウイルス抗体。
【請求項41】
該抗体が、少なくとも1種のデング熱ウイルスNS1タンパク質に結合する、請求項39に記載のデング熱ウイルス抗体。
【請求項42】
配列番号3または4の少なくとも1種のアミノ酸配列を有する少なくとも1個の重鎖または軽鎖CDRを有する、少なくとも1種の単離された哺乳類抗デング熱ウイルス抗体をコードする単離された核酸。
【請求項43】
請求項42に記載の単離された核酸を包含する、単離された核酸ベクター。
【請求項44】
請求項43に記載の単離された核酸を包含する、原核生物または真核生物の宿主細胞。
【請求項45】
該宿主細胞が、COS−1細胞、COS−7細胞、HEK293細胞、BHK21細胞、CHO細胞、BSC−1細胞、HepG2細胞、653細胞、SP2/0細胞、293細胞、HeLa細胞、骨髄腫細胞またはリンパ腫細胞またはその誘導細胞、不死化細胞または形質転換細胞のいずれかから選択される少なくとも1種である、請求項44に記載の宿主細胞。
【請求項46】
該デング熱ウイルス抗体が検出可能な量または回収可能な量で発現されるように、インビトロ、インビボまたはインサイチュ条件下に請求項42に記載の核酸を翻訳することを包含する、少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体を製造する方法。
【請求項47】
配列番号3または4の少なくとも1個のアミノ酸配列を有する少なくとも1個の重鎖または軽鎖CDRを有する少なくとも1種の単離された哺乳類抗デング熱ウイルス抗体と、少なくとも1種の医薬的に許容される担体または希釈剤を包含する、組成物。
【請求項48】
検出可能な標識またはレポーター、デング熱ウイルス複製拮抗剤、非ステロイド抗炎症剤(NSAID)、鎮痛剤、麻酔剤、鎮静剤、局所麻酔剤、抗微生物剤、コルチコステロイド、エリスロポイエチン、免疫用抗原、免疫グロブリン、成長ホルモン、ホルモン補充薬剤、放射性医薬品、喘息薬、吸入ステロイド、エピネフリンまたは類似体、サイトカイン、またはサイトカイン拮抗剤の少なくとも1種から選択される少なくとも1個の化合物またはタンパク質の有効量を包含する少なくとも1個の組成物をさらに包含する、請求項47に記載の組成物。
【請求項49】
細胞、組織、器官、患者または動物におけるデング熱ウイルス関連状態を診断または処置するための方法であって、(a)配列番号3または4の少なくとも1種のアミノ酸配列を有する少なくとも1種の重鎖または軽鎖CDRを有する少なくとも1種の単離された哺乳類抗デング熱ウイルス抗体の有効量を包含する組成物を、該細胞、組織、器官、患者または動物と接触させること、または該細胞、組織、器官、患者または動物に投与すること、を包含する方法。
【請求項50】
該有効量が、該細胞、組織、器官、患者または動物のkg当り0.001〜50mgである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
該接触または該投与が、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹腔内、嚢内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頚部内、胃内、肝臓内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹膜内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎内、網膜内、脊髄内、関節滑液嚢内、胸腔内、子宮内、膀胱内、ボーラス、膣内、直腸内、バッカル、舌下、鼻腔内または経皮の各手段から選択される少なくとも1種による、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
該(a)の接触または投与前に、同時にまたは後に、検出可能な標識またはレポーター、デング熱ウイルス複製拮抗剤、非ステロイド抗炎症剤(NSAID)、鎮痛剤、麻酔剤、鎮静剤、局所麻酔剤、抗微生物剤、コルチコステロイド、エリスロポイエチン、免疫用抗原、免疫グロブリン、成長ホルモン、ホルモン補充薬剤、放射性医薬品、喘息薬、吸入ステロイド、エピネフリンまたは類似体、サイトカイン、またはサイトカイン拮抗剤の少なくとも1種から選択される少なくとも1種の化合物またはタンパク質の有効量を包含する少なくとも1個の組成物を投与することを包含する、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
配列番号3または4の少なくとも1個のアミノ酸配列を有する少なくとも1個の重鎖または軽鎖CDRを有する少なくとも1種の単離された哺乳類抗デング熱ウイルス抗体を包含する医療用デバイスであって、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹腔内、嚢内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頚部内、胃内、肝臓内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹膜内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎内、網膜内、脊髄内、関節滑液嚢内、胸腔内、子宮内、膀胱内、ボーラス、膣内、直腸内、バッカル、舌下、鼻腔内または経皮の各手段から選択される少なくとも1種によって該少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体を接触させることまたは投与することに適する、医療用デバイス。
【請求項54】
配列番号3または4の少なくとも1個のアミノ酸配列を有する少なくとも1個の重鎖または軽鎖CDRを有する、少なくとも1種の単離された哺乳類抗デング熱ウイルス抗体または該抗体をコードする核酸分子を含有する容器、および包装材を包含する、ヒトにおける医薬的または診断的な使用のための製造物。
【請求項55】
該容器が、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹腔内、嚢内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頚部内、胃内、肝臓内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹膜内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎内、網膜内、脊髄内、関節滑液嚢内、胸腔内、子宮内、膀胱内、ボーラス、膣内、直腸内、バッカル、舌下、鼻腔内または経皮の各経路による送達用デバイスまたはシステムの構成要素である、請求項54に記載の製造物。
【請求項56】
該抗体をコードする核酸分子を回収可能な量で発現できる宿主細胞またはトランスジェニック動物またはトランスジェニック植物または植物細胞を提供することを包含する、配列番号3または4の配列の少なくとも1個のアミノ酸配列を有する少なくとも1個の重鎖または軽鎖CDRを有する、少なくとも1種の単離された哺乳類抗デング熱ウイルス抗体の製造方法。
【請求項57】
該核酸分子が、配列番号1または2を包含する、請求項56に記載の方法で製造される少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体。
【請求項58】
配列番号3または4の少なくとも1個のアミノ酸配列を有する少なくとも1個の重鎖または軽鎖CDRを包含する抗体としてデング熱ウイルスタンパク質の同じ領域に結合する、少なくとも1種の単離された哺乳類抗デング熱ウイルス抗体。
【請求項59】
該抗体が、デング熱ウイルスNSタンパク質に結合する、請求項58に記載のデング熱ウイルス抗体。
【請求項60】
該抗体が、少なくとも1種のデング熱ウイルスタンパク質の少なくとも1種の作用を実質的に中和する、請求項58に記載のデング熱ウイルス抗体。
【請求項61】
配列番号3または4の配列の少なくとも1個のアミノ酸配列を有する少なくとも1個の重鎖または軽鎖CDRを包含する抗体とデング熱ウイルスタンパク質の同じ領域に結合する、少なくとも1種の単離された哺乳類抗デング熱ウイルス抗体をコードする単離された核酸。
【請求項62】
請求項61に記載の単離された核酸を包含する、単離された核酸ベクター。
【請求項63】
請求項62に記載の単離された核酸を包含する、原核生物または真核生物の宿主細胞。
【請求項64】
該宿主細胞がCOS−1細胞、COS−7細胞、HEK293細胞、BHK21細胞、CHO細胞、BSC−1細胞、Hep G2細胞、653細胞、SP2/0細胞、293細胞、HeLa細胞、骨髄腫細胞またはリンパ腫細胞またはその誘導細胞、不死化細胞または形質転換細胞のいずれかから選択される少なくとも1種である、請求項63に記載の宿主細胞。
【請求項65】
抗デング熱ウイルス抗体が検出可能な量または回収可能な量で発現されるように、インビトロ、インビボまたはインサイチュ条件下で請求項61に記載の核酸を翻訳することを包含する、少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体を製造する方法。
【請求項66】
配列番号3または4の少なくとも1個のアミノ酸配列を有する少なくとも1個の重鎖または軽鎖CDRを包含する抗体としてデング熱ウイルスタンパク質の同じ領域に結合する、少なくとも1種の単離された哺乳類抗デング熱ウイルス抗体と、少なくとも1種の医薬的に許容される担体または希釈剤を包含する、組成物。
【請求項67】
検出可能な標識またはレポーター、デング熱ウイルス複製拮抗剤、非ステロイド抗炎症剤(NSAID)、鎮痛剤、麻酔剤、鎮静剤、局所麻酔剤、抗微生物剤、コルチコステロイド、エリスロポイエチン、免疫用抗原、免疫グロブリン、成長ホルモン、ホルモン補充薬剤、放射性医薬品、喘息薬、吸入ステロイド、エピネフリンまたは類似体、サイトカインまたはサイトカイン拮抗剤の少なくとも1種から選択される、少なくとも1個の化合物またはタンパク質の有効量を包含する少なくとも1個の組成物をさらに包含する、請求項66に記載の組成物。
【請求項68】
細胞、組織、器官、患者または動物のデング熱ウイルス関連状態を診断または処置する方法であって、(a)配列番号3または4の少なくとも1個のアミノ酸配列を有する少なくとも1個の重鎖または軽鎖CDRを包含する抗体としてデング熱ウイルスタンパク質の同じ領域に結合する、少なくとも1種の単離された哺乳類抗デング熱ウイルス抗体の有効量を包含する組成物を、該細胞、組織、器官、患者または動物に接触させること、または該細胞、組織、器官、患者または動物に投与すること、を包含する方法。
【請求項69】
該有効量が、該細胞、組織、器官、患者または動物のkg当り0.001〜50mgである、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
該接触または該投与が、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹腔内、嚢内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頚部内、胃内、肝臓内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹膜内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎内、網膜内、脊髄内、関節滑液嚢内、胸腔内、子宮内、膀胱内、ボーラス、膣内、直腸内、バッカル、舌下、鼻腔内または経皮の各手段から選択される少なくとも1種による、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
該(a)の接触または投与前に、同時にまたは後に、検出可能な標識またはレポーター、デング熱ウイルス複製拮抗剤、非ステロイド抗炎症剤(NSAID)、鎮痛剤、麻酔剤、鎮静剤、局所麻酔剤、抗微生物剤、コルチコステロイド、エリスロポイエチン、免疫用抗原、免疫グロブリン、成長ホルモン、ホルモン補充薬剤、放射性医薬品、喘息薬、吸入ステロイド、エピネフリンまたは類似体、サイトカイン、またはサイトカイン拮抗剤の少なくとも1種から選択される少なくとも1個の化合物またはタンパク質の有効量を包含する少なくとも1個の組成物を投与することをさらに包含する、請求項68に記載の方法。
【請求項72】
配列番号3または4の少なくとも1個のアミノ酸配列を有する少なくとも1個の重鎖または軽鎖CDRを包含する抗体として、デング熱ウイルスタンパク質の同じ領域に結合する少なくとも1種の単離された哺乳類抗デング熱ウイルス抗体または該抗体をコードする核酸分子を包含する医療用デバイスであって、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹腔内、嚢内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頚部内、胃内、肝臓内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹膜内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎内、網膜内、脊髄内、関節滑液嚢内、胸腔内、子宮内、膀胱内、ボーラス、膣内、直腸内、バッカル、舌下、鼻腔内または経皮の各手段から選択される少なくとも1種による、該少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体の接触または投与に適する、医療用デバイス。
【請求項73】
配列番号3または4の少なくとも1個のアミノ酸配列を有する少なくとも1個の重鎖または軽鎖CDRを包含する抗体としてデング熱ウイルスタンパク質の同じ領域に結合する少なくとも1種の単離された哺乳類抗デング熱ウイルスまたは該抗体をコードする核酸分子を包含する容器、および包装材を包含する、ヒトにおける医薬的または診断的な使用のための製造物。
【請求項74】
該容器が、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹腔内、嚢内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頚部内、胃内、肝臓内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹膜内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎内、網膜内、脊髄内、関節滑液嚢内、胸腔内、子宮内、膀胱内、ボーラス、膣内、直腸内、バッカル、舌下、鼻腔内または経皮による送達用デバイスまたはシステムの構成要素である、請求項73に記載の製造物。
【請求項75】
該抗体を回収可能な量で発現できる宿主細胞またはトランスジェニック動物またはトランスジェニック植物または植物細胞を提供することを包含する、配列番号3または4の少なくとも1個のアミノ酸配列を有する少なくとも1個の重鎖または軽鎖CDRを包含する抗体としてデング熱ウイルスタンパク質の同じ領域に結合する、少なくとも1種の単離された哺乳類抗デング熱ウイルス抗体を製造する方法。
【請求項76】
請求項75に記載の方法によって製造した少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体。
【請求項77】
該抗体が、デング熱ウイルスNSタンパク質の少なくとも1〜3個から全部までのアミノ酸配列を包含する、少なくとも1個のエピトープに特異的に結合する、少なくとも1個のヒトCDRを包含する少なくとも1種の単離された哺乳類抗デング熱ウイルス抗体。
【請求項78】
該抗体が、デング熱ウイルスNS1タンパク質に結合する、請求項77に記載のデング熱ウイルス抗体。
【請求項79】
該抗体が、少なくとも1種のデング熱ウイルスNSタンパク質の少なくとも1種の活性を実質的に中和する、請求項77に記載のデング熱ウイルス抗体。
【請求項80】
該抗体が、デング熱ウイルスNS1タンパク質の2個またはそれ以上のアミノ酸を包含する少なくとも1個のエピトープに特異的に結合する、少なくとも1個のヒトCDRを有する少なくとも1種の単離された哺乳類抗デング熱ウイルス抗体をコードする単離された核酸。
【請求項81】
請求項80に記載の単離された核酸を包含する、単離された核酸ベクター。
【請求項82】
請求項81に記載の単離された核酸を包含する、原核生物または真核生物の宿主細胞。
【請求項83】
該宿主細胞が、COS−1細胞、COS−7細胞、HEK293細胞、BHK21細胞、CHO細胞、BSC−1細胞、Hep G2細胞、653細胞、SP2/0細胞、293細胞、HeLa細胞、骨髄腫細胞またはリンパ腫細胞またはその誘導細胞、不死化細胞または形質転換細胞から選択される少なくとも1種である、請求項82に記載の宿主細胞。
【請求項84】
該核酸分子が配列番号1または2を包含する、デング熱ウイルス抗体が検出可能な量または回収可能な量で発現されるように、インビトロ、インビボまたはインサイチュ条件下に請求項80に記載の核酸を翻訳することを包含する、少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体を製造する方法。
【請求項85】
該抗体が、デング熱ウイルスNS1タンパク質の2個またはそれ以上のアミノ酸を包含する少なくとも1個のエピトープに特異的に結合する、少なくとも1個のヒトCDRを有する少なくとも1種の単離された哺乳類抗デング熱ウイルス抗体と、少なくとも1種の医薬的に許容される担体または希釈剤を包含する、組成物。
【請求項86】
検出可能な標識またはレポーター、デング熱ウイルス複製拮抗剤、非ステロイド抗炎症剤(NSAID)、鎮痛剤、麻酔剤、鎮静剤、局所麻酔剤、抗微生物剤、コルチコステロイド、エリスロポイエチン、免疫用抗原、免疫グロブリン、成長ホルモン、ホルモン補充薬剤、放射性医薬品、喘息薬、吸入ステロイド、エピネフリンまたは類似体、サイトカインまたはサイトカイン拮抗剤の少なくとも1種から選択される少なくとも1個の化合物またはタンパク質の有効量を包含する少なくとも1個の組成物をさらに包含する、請求項85に記載の組成物。
【請求項87】
細胞、組織、器官、患者または動物におけるデング熱ウイルス関連状態を診断または処置する方法であって、(a)該抗体が、デング熱ウイルスNS1タンパク質の2個またはそれ以上のアミノ酸を包含する少なくとも1個のエピトープに特異的に結合する、少なくとも1個のヒトCDRを有する少なくとも1種の単離された哺乳類抗デング熱ウイルス抗体の有効量を包含する組成物を、該細胞、組織、器官、患者または動物に接触させること、または該細胞、組織、器官、患者または動物に投与すること、を包含する方法。
【請求項88】
該有効量が、該細胞、組織、器官、患者または動物のkg当り0.001〜50mgである、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
該接触または投与が、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹腔内、嚢内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頚部内、胃内、肝臓内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹膜内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎内、網膜内、脊髄内、関節滑液嚢内、胸腔内、子宮内、膀胱内、ボーラス、膣内、直腸内、バッカル、舌下、鼻腔内または経皮の各手段から選択される少なくとも1種による、請求項87に記載の方法。
【請求項90】
該(a)の接触または投与前に、同時にまたは後に、検出可能な標識またはレポーター、デング熱ウイルス複製拮抗剤、非ステロイド抗炎症剤(NSAID)、鎮痛剤、麻酔剤、鎮静剤、局所麻酔剤、抗微生物剤、コルチコステロイド、エリスロポイエチン、免疫用抗原、免疫グロブリン、成長ホルモン、ホルモン補充薬剤、放射性医薬品、喘息薬、吸入ステロイド、エピネフリンまたは類似体、サイトカイン、またはサイトカイン拮抗剤の少なくとも1種から選択される少なくとも1個の化合物またはタンパク質の有効量を包含する少なくとも1個の組成物を投与することをさらに包含する、請求項87に記載の方法。
【請求項91】
該抗体が、配列番号3および4のアミノ酸配列の少なくとも1〜3個から全部までを包含する少なくとも1個のエピトープに特異的に結合する、少なくとも1個のヒトCDRを有する、少なくとも1種の単離された哺乳類抗デング熱ウイルス抗体または該抗体をコードする核酸分子を包含する医療用デバイスであって、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹腔内、嚢内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頚部内、胃内、肝臓内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹膜内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎内、網膜内、脊髄内、関節滑液嚢内、胸腔内、子宮内、膀胱内、ボーラス、膣内、直腸内、バッカル、舌下、鼻腔内または経皮の各手段から選択される少なくとも1種による該少なくとも1個の抗デング熱ウイルス抗体の接触または投与に適する、医療用デバイス。
【請求項92】
該抗体が、デング熱ウイルスNS1タンパク質の2個またはそれ以上のアミノ酸を包含する少なくとも1種のエピトープに特異的に結合する、少なくとも1種のヒトCDRを有する少なくとも1種の単離された哺乳類抗デング熱ウイルス抗体または該抗体をコードする核酸分子を包含する容器、および包装材を包含する、ヒトにおける医薬的または診断的使用のための製造物。
【請求項93】
該容器が、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹腔内、嚢内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頚部内、胃内、肝臓内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹膜内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎内、網膜内、脊髄内、関節滑液嚢内、胸腔内、子宮内、膀胱内、ボーラス、膣内、直腸内、バッカル、舌下、鼻腔内または経皮による送達用デバイスまたはシステムの構成要素である、請求項92の製造物。
【請求項94】
該抗体を回収可能な量で発現可能な宿主細胞またはトランスジェニック動物またはトランスジェニック植物または植物細胞を提供することを包含する、該抗体がデング熱ウイルスNS1タンパク質の2個またはそれ以上のアミノ酸を包含する少なくとも1種のエピトープに特異的に結合する、少なくとも1個のヒトCDRを有する少なくとも1種の単離された哺乳類抗デング熱ウイルス抗体を製造する方法。
【請求項95】
請求項94に記載の方法によって製造された少なくとも1種の抗デング熱ウイルス抗体。

【図1】
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【図1】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−524350(P2007−524350A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501690(P2006−501690)
【出願日】平成16年1月30日(2004.1.30)
【国際出願番号】PCT/EP2004/000896
【国際公開番号】WO2004/067567
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【出願人】(593052785)ザ スクリップス リサーチ インスティテュート (91)
【Fターム(参考)】