説明

抗ヒスタミン組成物

【課題】安全で有害な作用がなく、継続して摂取することができる抗ヒスタミン作用を有する組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、小麦蛋白質の加水分解物を含有する抗ヒスタミン組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小麦蛋白質の加水分解物を含有することを特徴とする抗ヒスタミン組成物、及びこれを含有するアレルギー性疾患を予防及び/又は改善するための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、先進国においてアレルギー性疾患は最も発症率の高い疾患の一つであり、特に代表的なものとして、花粉症、アレルギー性結膜炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎等が挙げられる。これらの中でも花粉症に罹患した患者は、日本だけで約2000万人に上るといわれており、さらに年々発症者が増加し、大きな社会問題にもなっている。
【0003】
花粉症には、B細胞から過剰産生されるアレルゲン特異的IgE抗体、マスト細胞や好塩基球から放出されるヒスタミンやロイコトリエン、又はTh1/Th2バランスのTh2側への偏向等が直接的に関与していることが知られている。すなわち、体内に進入したアレルゲンは抗原提示細胞に取り込まれて分解され、その一部の情報がT細胞へ提示される。抗原提示を受けたT細胞はTh2細胞へと分化・活性化され、IL−4等のサイトカインを産生してB細胞を活性化させる。活性化したB細胞からはアレルゲンに特異的なIgE抗体が産生され、このIgE抗体はマスト細胞や好塩基球表面に存在するFcεレセプターに結合する。再度アレルゲンが体内に侵入してマスト細胞や好塩基球表面のIgE抗体をブリッジングすると、細胞内からヒスタミン等のケミカルメディエーターが大量に遊離され、さらに細胞表面ではロイコトリエン等が合成される。これらの物質は、血管透過性を亢進させて浮腫や鼻汁の過剰分泌を引き起こし、また平滑筋を収縮させて気道収縮を引き起こす。一方、近年の生活様式や食生活の変化等によりTh1/Th2バランスが慢性的にTh2側へ偏向し、アレルギー性疾患の増加傾向の一因となっていることが明らかになりつつある。
【0004】
現在、花粉症の症状を改善する方法としては、マスク、ゴーグル、空気清浄機を使用して花粉との接触機会を少なくする方法、鼻等の粘膜に付着した花粉を洗浄する方法、遊離したヒスタミンが受容体に結合するのを阻害する抗ヒスタミン剤、細胞膜安定化作用を有する脱顆粒抑制剤、又はロイコトリエン合成阻害剤等によってアレルギー反応を抑制する方法、ならびにアレルゲンそのものを定期的に注射することにより免疫的寛容を誘導する減感作療法等がある。しかしながら、花粉の飛散は場所や日時によって異なり、発症にあわせてタイミングよく上記の方法を実施するのは非常に困難である。一方、抗ヒスタミン剤では、眠気や倦怠感等の副作用が問題視されており、日常的に持続的に投与するには限界がある。また、花粉症の効果を謳う食材や機能性食品が数多く市販されているが(例えば、特許文献1、2参照)、これらの食品には十分な効果があるとはいえず、いずれも決定的でない。したがって、日常的に服用が可能で、しかも効果的に花粉症等の症状を緩和できる機能性食品が望まれている。
【0005】
ところで、パンや麺等の主食の原料である小麦は、ほぼ毎日継続的に喫食することができる優れた食品であるが、この小麦から機能性成分を得ようとする試みが行われている。例えば、特許文献3には、小麦グルテン加水分解物よりなる抗疲労組成物が開示されている。また、特許文献4には、小麦グルテン加水分解物に含まれる特定のアミノ酸配列を有するペプチドが、免疫賦活作用を有することが開示されている。しかしながら、小麦蛋白質の加水分解物が、異常な免疫反応を抑制し、抗ヒスタミン作用によってアレルギー性疾患を緩和することは従来知られていなかった。
【0006】
【特許文献1】特開2006−335647号公報
【特許文献2】特開2007−182403号公報
【特許文献3】特開2005−97162号公報
【特許文献4】特開2005−97223号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
安全で簡便に日常的に継続して摂取することができ、かつ顕著な抗ヒスタミン作用を有し、種々のアレルギー性疾患、例えば、花粉症、アレルギー性結膜炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎等の予防及び/又は改善に有効な天然素材に対する要望は高い。したがって、本発明の課題は、安全で有害な作用がなく、継続して摂取することができる抗ヒスタミン作用を有する組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、小麦蛋白質の加水分解物、好ましくは小麦グルテンの加水分解物、さらに好ましくは小麦由来のL−グルタミン含有量が15〜60質量%で平均分子量が200〜100,000ダルトンのペプチドが、極めて強力な抗ヒスタミン作用を有し、様々なアレルギー性疾患の予防及び/又は改善に有用であることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は以下の事項に関する。
(1)小麦蛋白質の加水分解物を含有する抗ヒスタミン組成物。
(2)(1)に記載の抗ヒスタミン組成物を含有するアレルギー性疾患を予防及び/又は改善するための組成物。
(3)アレルギー性疾患が花粉症である(2)記載の組成物。
(4)小麦蛋白質の加水分解物として小麦グルテンの加水分解物を含む、(1)〜(3)のいずれかに記載の組成物。
(5)小麦蛋白質の加水分解物として、L−グルタミン含有量が15〜60質量%で平均分子量が200〜100,000ダルトンのペプチドを含む、(1)〜(4)のいずれかに記載の組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、安全で簡便に日常的に継続して摂取することができ、かつ顕著な抗ヒスタミン作用を有し、花粉症、アレルギー性結膜炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎等の種々のアレルギー性疾患の予防及び/又は改善に有効な組成物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態について具体的に説明する。
本発明において抗ヒスタミン作用とは、ヒスタミンがヒスタミン受容体に結合することによって引き起こされる、様々な有害作用、例えば、目の痒み、皮膚の掻痒、粘膜の掻痒、せき、くしゃみ、鼻汁、鼻閉、目やに過多等を予防、治療、減少又は緩和させる作用をいう。さらには、ヒスタミンによって引き起こされる、平滑筋の収縮、血管透過性の亢進、好中球の遊走、血小板の凝集等によって誘発される様々な症状を予防、治療、減少又は緩和させる作用も包含する。なお、抗ヒスタミン作用は、マスト細胞に代表されるヒスタミン遊離細胞からのヒスタミン放出量を測定する方法、ヒスタミン受容体結合試験、ヒスタミン受容体発現細胞の活性化試験等の公知の方法によって測定することができる。
【0012】
本発明の抗ヒスタミン組成物は、有効成分として、小麦蛋白質の加水分解物を含有することを特徴とする。小麦は主食として、パンや麺等の形態で毎日継続的に喫食することができる数少ない食品の一つであり、全世界で食されており、本発明の小麦蛋白質の加水分解物は安全で簡便に日常的に継続して摂取することができる。
【0013】
本発明はまた、上記抗ヒスタミン組成物を含有するアレルギー性疾患を予防及び/又は改善するための組成物に関する。当該組成物も同様に小麦蛋白質の加水分解物を有効成分とするものであり、安全で簡便に日常的に継続して摂取することができるうえ、花粉症、アレルギー性結膜炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎等の種々のアレルギー性疾患の予防及び/又は改善に有効である。
【0014】
本発明の小麦蛋白質の加水分解物は、高分子の小麦由来の蛋白質を、加水分解することによって比較的分子量の小さいペプチドとすることにより、本発明の作用を獲得させたものである。したがってどのような小麦蛋白質の加水分解物であっても、本発明の効果を発揮しうるが、好ましくは特定のアミノ酸含量、及び特定の分子量を有するペプチド(ペプチド混合物)を含む組成物とすることで、より高い効果を期待することができる。
【0015】
小麦としては、入手可能な小麦であればいずれのものも用いることができる。好適な例として、イネ科コムギ属のパンコムギ、デュラムコムギ、クラブコムギ、スペルトコムギ及びエンマコムギ等、イネ科エギロプス属のタルホコムギ及びクサビコムギ等が挙げられる。
【0016】
本発明で加水分解に用いられる小麦蛋白質は、主としてグルテンをさすが、その他にアルブミン、グロブリン、グルテニン、グリアジン等の小麦中に含まれていることが知られている他の蛋白質を含有していてもよく、さらに澱粉質や繊維質等の不純物を不可避的に含有していてもよい。また、本発明では、小麦蛋白質として、小麦由来のグルテンに予め化学的処理や酵素等による生物的処理を施して、分子量を低下させたものやプロテアーゼとの親和性等を高めたものも使用できる。さらに、未精製の小麦蛋白質、未精製の小麦グルテン等も使用することができる。小麦から澱粉を精製する際に副生物として小麦蛋白質が得られるが、これをそのまま利用してもよく、そうすることで従来使用されなかった副生物の小麦蛋白質を有効利用することができる。
【0017】
小麦蛋白質の加水分解物としては、上記の小麦蛋白質を加水分解したものであればどのようなものでもよく、加水分解は、適宜公知の方法、例えば、酸を用いて加水分解する方法や、蛋白質加水分解酵素(プロテアーゼ)を用いて加水分解する方法等を適用して実施することができる。
【0018】
酸を用いて小麦蛋白質を加水分解する方法としては、慣用の方法が採用できる。例えば、酸としては、鉱酸である硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、亜硫酸;有機酸であるシュウ酸、クエン酸、酢酸、ギ酸などが使用できる。このような酸を用いて小麦蛋白質を加水分解する手順としては、小麦蛋白質を含有する水性媒体に、酸規定度0.01〜2規定の範囲になるように酸を加え、水性媒体の温度を50〜100℃にして10分〜6時間加水分解させる手順が挙げられる。加水分解を停止させたい場合には、塩基を加えて中和することで停止させることができる。
【0019】
酸を用いて加水分解する場合、水性媒体中における小麦蛋白質の濃度は、酸の種類や規定度により適宜調節する必要があるが、通常、1.0〜80質量%にして処理するのがよい。
【0020】
蛋白質加水分解酵素を用いて小麦蛋白質を加水分解する方法としては、例えば、小麦グルテンを、プロテアーゼ、又はプロテアーゼとアミラーゼを用いて加水分解する方法が挙げられる(特許第2019439号公報及び特許第2985193号公報参照)。その際のプロテアーゼとしては、例えば、ペプシン、トリプシン、キモトリシプシン、ヒイロタケ起源の酸性プロテアーゼ、アスペルギルス起源の酸性プロテアーゼ、パパイン、ブロメライン、サーモリシン、トリプシン、キモトリプシン、プロナーゼ、サチライシン、エスペラーゼ等のような種々のプロテアーゼを用いることができる。プロテアーゼは、単一のものを用いてもよいし、複数種を組み合わせて、例えば、酸性プロテアーゼと中性プロテアーゼを組み合わせて用いてもよいし、複数回処理を行ってもよい。
【0021】
小麦グルテンをプロテアーゼで加水分解する際に、アミラーゼを併用すると、小麦グルテンに含まれている澱粉質や繊維質等の不純物が分解除去されて、ペプチド成分を高純度で含む加水分解物を高収率で得ることができる(特許第2985193号公報を参照)。小麦グルテンは水に不溶で且つ水に対する分散性に劣るが、小麦グルテンの加水分解物は、低分子化しているために水に対する分散性に優れている。
【0022】
こうして得られる小麦蛋白質の加水分解物をそのまま本発明における有効成分として用いてもよい。したがって、本発明の小麦蛋白質の加水分解物には、ペプチド成分に加えて、製造工程上不可避的に含まれる小麦蛋白質や小麦グルテン由来のその他の成分や酵素類が含まれていてもよい。
【0023】
しかしながら、取り扱いの容易性、保存性等を考慮すると、この加水分解物から不溶物を除去し、さらに水分を除去して固体状の形態とすることが好ましい。この不溶物の除去や水分除去は、得られた加水分解物が変性や熱分解を起こさない条件下であれば、どのような方法でもよく、例えば、ろ過、遠心分離、遠心ろ過、スプレードライ、スプレークール、ドラムドライ、真空乾燥、凍結乾燥等のいずれの方法も使用できる。又は、水溶性成分を適当な担体に結合又は担持させた後、上記のような方法により溶媒を除去することで、固形物として得ることもできる。
【0024】
本発明の小麦蛋白質の加水分解物は、市販されているもの(例えば、日清ファルマ株式会社製の「グルタミンペプチドGP−1」等)をそのまま用いてもよいし、また場合によりこれを原料としてさらに加水分解、分画等の処理を施して用いてもよい。
【0025】
本発明の小麦蛋白質の加水分解物の好ましい1態様として、L−グルタミン含有量が少なくとも15質量%で、平均分子量が200〜100,000ダルトンであるペプチド(ペプチド混合物)が挙げられる。
【0026】
小麦蛋白質の加水分解物におけるL−グルタミン含有量が15質量%以上であると、効果が高く、相対的に摂取量を抑えることができる。L−グルタミン含有量の上限は特に限定されないが、60質量%以下であれば天然蛋白質からの調製が容易であることから、入手や調製の容易性及び経済性の面から60質量%以下であるのが好ましい。従って、小麦蛋白質の加水分解物に含まれるペプチドのL−グルタミン含有量は、好ましくは15〜60質量%、より好ましくは20〜40質量%である。なお、小麦蛋白質の加水分解物中のL−グルタミン含有量は、アミド態窒素置換法により測定したアミド態窒素含有量から求めたアミド態窒素含有L−アミノ酸含有量に基づいて算出することができる。
【0027】
小麦蛋白質の加水分解物の平均分子量が200ダルトン以上であると、苦味を呈することなく味が良好であり、平均分子量が100,000ダルトン以下であれば、水に対する溶解性を失わず、水を加えた時に粘稠な塊を形成することもなく取り扱いが容易である。小麦蛋白質の加水分解物の平均分子量は200〜100,000ダルトンであれば特に制限されないが、500〜80,000ダルトンであることが好ましく、1,000〜60,000ダルトンであることがより好ましく、2,000〜50,000ダルトンであることがさらに好ましく、3,000〜40,000ダルトンであることが最も好ましい。
【0028】
本明細書でいう小麦蛋白質の加水分解物の平均分子量は、ゲル濾過法によって測定したときの平均分子量であり、その詳細については以下の実施例の項に記載するとおりである。本発明で用いる小麦蛋白質の加水分解物は、L−グルタミン含有量が少なくとも15質量%であれば、L−グルタミン以外のアミノ酸の種類及びその組成比等は特に制限されない。
【0029】
小麦蛋白質の加水分解物は、食経験のある小麦に由来し、天然の蛋白質を構成するL−アミノ酸からなるために、ヒトや動物に対する安全性の点で優れているうえ、入手及び調製の容易性、経済性等の点からも好ましい。
【0030】
小麦グルテンは通常25〜50質量%のL−グルタミンを含有しており、そのため平均分子量が200〜100,000ダルトンの範囲内になるような条件下で小麦グルテンを加水分解し、必要に応じて分画等を行うことにより、L−グルタミン含有量が15〜60質量%で平均分子量が200〜100,000ダルトンの範囲内のペプチドを比較的容易に得ることができる。
【0031】
本発明の抗ヒスタミン組成物、及びアレルギー性疾患を予防及び/又は改善するための組成物(以下、両者を併せて本発明の組成物と称する場合がある)は、小麦蛋白質の加水分解物の乾燥質量を基準として、成人1日当たり1〜40gの範囲で投与される。一般的な1日当たりの投与量は、6〜10gである。しかし、本発明において用いる小麦蛋白質の加水分解物は、天然物に由来する安全性の高いものであり、その投与量をさらに増やすこともできる。投与量は効果等を見ながら適宜増減するのが望ましい。1日当たりの投与量を1回に投与又は摂取することもできるが、数回に分けて投与するのが望ましい。
【0032】
本発明の組成物は、上記の工程によって得られた小麦蛋白質の加水分解物を含有することを特徴とするが、これをそのまま単独で、あるいは医薬組成物、食品組成物等の様々な形態にして継続的に摂取する、あるいは化粧料組成物の形態にして継続的に適用すると、全身性、又は局所的に抗ヒスタミン作用が発揮され、種々のアレルギー性疾患、例えば、花粉症、アレルギー性結膜炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎等の予防及び/又は改善に有用である。
【0033】
また本発明の組成物は、安全な小麦を原料としているため、安全性が高く、また風味もよいことから、そのままでも充分に経口摂取し、化粧料組成物として適用することが可能であり、長期間の継続的投与が可能である。さらに様々な医薬組成物、食品組成物の形態として長期間の継続的摂取も容易である。
【0034】
その際、上記の工程によって得られた小麦蛋白質の加水分解物をそのまま単独で用いることもできるが、本発明の効果を阻害しない限り、後述する添加剤、他の公知の抗ヒスタミン物質、抗アレルギー物質、免疫調節物質等を単独又は複数組み合わせて配合してもよい。
【0035】
本発明の組成物を医薬組成物として用いる場合の剤型としては、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、ドライシロップ剤、液剤、懸濁剤等の経口剤、吸入剤、坐剤等の経腸製剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤等の皮膚外用剤、点滴剤、注射剤等が挙げられる。これらのうちでは、経口剤が好ましい。
【0036】
このような剤型の組成物は、有効成分である小麦蛋白質の加水分解物に、慣用される添加剤、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、アルコール、水、水溶性高分子、甘味料、矯味剤、酸味料等を剤型に応じて配合し、常法に従って製剤化することができる。なお、液剤、懸濁剤等の液体製剤は、服用直前に水又は他の適当な媒体に溶解又は懸濁する形であってもよく、また錠剤、顆粒剤の場合には周知の方法でその表面をコーティングしてもよい。
【0037】
本発明に係る医薬組成物における小麦蛋白質の加水分解物の含有量は、その剤型により異なるが、乾燥質量を基準として、通常は、0.001〜99質量%、好ましくは0.01〜80質量%の範囲であり、上述した成人1日当たりの摂取量を摂取できるよう、1日当たりの投与量が管理できる形にすることが望ましい。
【0038】
本発明の組成物を食品組成物として調製する場合、その形態は特に制限されず、健康食品、機能性食品、特定保健用食品等の他、本発明の小麦蛋白質の加水分解物を配合できる全ての食品が含まれる。また、本発明において食品には飲料も包含される。具体的には、錠剤、チュアブル錠、粉剤、カプセル剤、顆粒剤、ドリンク剤、経管経腸栄養剤等の流動食等の各種製剤形態とすることができる。製剤形態の食品組成物は、医薬組成物と同様に製造することができる。さらに食品組成物は、緑茶、ウーロン茶や紅茶等の茶飲料、清涼飲料、ゼリー飲料、スポーツ飲料、乳飲料、炭酸飲料、果汁飲料、乳酸菌飲料、発酵乳飲料、粉末飲料、ココア飲料、精製水等の飲料、バター、ジャム、ふりかけ、マーガリン等のスプレッド類、マヨネーズ、ショートニング、カスタードクリーム、ドレッシング類、パン類、米飯類、麺類、パスタ、味噌汁、豆腐、牛乳、ヨーグルト、スープ又はソース類、菓子(例えば、ビスケットやクッキー類、チョコレート、キャンディ、ケーキ、アイスクリーム、チューインガム、タブレット)等として調製してもよい。
【0039】
食品組成物にはさらに、食品や飼料の製造に用いられる他の食品素材、各種栄養素、各種ビタミン、ミネラル、アミノ酸、各種油脂、種々の添加剤(例えば、呈味成分、甘味料、有機酸等の酸味料、界面活性剤、pH調整剤、安定剤、酸化防止剤、色素、フレーバー)等を配合して、常法に従って製造することができる。また、通常食されている食品に本発明の小麦蛋白質の加水分解物を配合することにより、本発明に係る食品組成物を製造することもできる。
【0040】
本発明に係る食品組成物において、小麦蛋白質の加水分解物の含有量は、食品の形態により異なるが、乾燥質量を基準として、通常は、0.001〜80質量%、好ましくは0.01〜50質量%、より好ましくは1〜50質量%の範囲である。1日当たりの摂取量は、1回で摂取してもよいが、数回に分けて摂取してもよい。上述した、成人1日当たりの摂取量が飲食できるよう、1日当たりの摂取量が管理できる形にするのが好ましい。
【0041】
食品組成物には、人用の食品のみならず、家畜、競走馬等の飼料、ペットフード等も包含する。飼料は、対象が動物である以外は食品とほぼ等しいことから、本明細書における食品に関する記載は、飼料についても同様に当てはめることができる。
【0042】
本発明の組成物は、安全性が高いため、化粧料組成物として調製することもできる。本発明に係る化粧料組成物は、継続的に適用することができるため、特にアトピー性皮膚炎を予防及び/又は改善するために有効である。
【0043】
化粧料組成物を調製する場合、小麦蛋白質の加水分解物をそのまま化粧料組成物としてもよく、又は化粧料原料と小麦蛋白質の加水分解物とを汎用の方法で配合し、乳液、化粧液、クリーム、ローション、エッセンス、パック及びシート、ファンデーション、おしろい、頬紅、口紅、アイシャドー、アイライナー、マスカラ、洗顔料、皮膚洗浄料、ゲル剤、ジェル剤、美肌剤、ボディシャンプー等の洗浄料、シャンプー、リンス等の毛髪化粧料、ヘアートリートメント、養毛剤、浴用剤、軟膏、医薬部外品、あぶら取り紙等の形態の化粧料組成物を調製してもよい。
【0044】
本発明に係る化粧料組成物は、小麦蛋白質の加水分解物のほかに、所望の剤型に応じて従来公知の賦形剤や香料を初め、油脂類、界面活性剤、防腐剤、金属イオン封鎖剤、水溶性高分子、増粘剤、顔料等の粉末成分、紫外線防御剤、保湿剤、酸化防止剤、pH調節剤、洗浄剤、乾燥剤、乳化剤等を適宜配合して、常法に従って製造することができる。
【0045】
本発明に係る化粧料組成物における小麦蛋白質の加水分解物の含有量は、特に限定されないが、乾燥質量を基準として、通常、0.001〜80質量%、好ましくは0.01〜50質量%の範囲内である。
【0046】
本発明の組成物には、公知の抗ヒスタミン物質、抗アレルギー物質、免疫調節物質を組み合わせることができる。抗ヒスタミン物質としては、茶、シソ、フキ、ポリフェノール類、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェニルピラリン、テオクル酸ジフェニルピラリン、フマル酸クレマスチン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸トリプロリジン、塩酸シプロヘプタジン、塩酸プロメタジン、酒石酸アリメマジン、ジメンヒドナート等が挙げられる。抗アレルギー物質としては、茶、甜茶、シソ、オリゴ糖、乳酸菌、アンレキサノクス、イブジラスト、クロモグリク酸ナトリウム、タザノラスト、トラニラスト、ペミロラストカリウム、レピリナスト、エバスチン、塩酸アゼラスチン、塩酸エピナスチン、塩酸オロパタジン、塩酸セチリジン、塩酸フェキソフェナジン、塩酸レボカバスチン、オキサトミド、フマル酸ケトチフェン、フマル酸エメダスチン、ペシル酸ベポタスチン、メキタジン、ロラタジン、塩酸オザグレル、セラトロダスト、ラマトロバン、ザフィルルカスト、プランルカスト水和物、モンテルカストナトリウム、トシル酸スプラタスト等が挙げられる。免疫調節物質としては、アラビノキシラン、乳酸菌、β−グルカン、ショウガ、IL−1α、IL−1β、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−15、IL−21、TGF−β、GM−CSF、M−CSF、G−CSF、TNF−α、TNF−β、LAF、TCGF、BCGF、TRF、BAF、BDG、MP、LIF、OSM、TMF、PDGF、IFN−α、IFN−β、IFN−γ等が挙げられる。
【0047】
さらに本発明の組成物には、上記以外に例えば、共役リノール酸、タウリン、グルタチオン、カルニチン、クレアチン、コエンザイムQ、グルクロン酸、グルクロノラクトン、トウガラシエキス、ショウガエキス、カカオエキス、ガラナエキス、ガルシニアエキス、テアニン、γ−アミノ酪酸、カプサイシン、カプシエイト、各種有機酸、フラボノイド類、ポリフェノール類、カテキン類、キサンチン誘導体、フラクトオリゴ糖等の難消化性オリゴ糖、ポリビニルピロリドン等を配合してもよい。
【0048】
それら添加剤の配合量は、組成物の形態、添加剤の種類及び所望すべき摂取量に応じて適宜決められるが、本発明の組成物中、0.01〜70質量%の範囲内であり、好ましくは0.1〜50質量%の範囲内である。
【0049】
本発明によれば、抗ヒスタミン作用により、種々のアレルギー性疾患、例えば、花粉症、アレルギー性結膜炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎等を予防及び/又は改善することができる。さらに本発明の組成物は、副作用がなく、風味がよく簡便に摂取可能で長期間の継続的摂取が容易である。
【0050】
また、本発明の組成物を、食品、飼料、化粧料もしくは医薬品として、上述したような有効量で投与することにより、種々のアレルギー性疾患、例えば、花粉症、アレルギー性結膜炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎等の予防及び/又は改善方法を提供することができる。
【0051】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
【実施例】
【0052】
下記の実施例において、小麦蛋白質の加水分解物の平均分子量、グルタミン含有量は次の方法で測定した。
【0053】
小麦蛋白質の加水分解物の平均分子量:
小麦蛋白質の加水分解物の水溶液を孔径0.45μmのメンブランフイルターで濾過し、ゲル濾過にて分子量を測定した。カラムとして、日本バイオラッドラボラトリーズ社製「バイオシルSEC125−5」を使用した。測定条件は、測定波長280nm、溶出液0.2mMリン酸緩衝液(pH6.0,0.1%SDS)、流速0.2ml/分であった。また、分子量の標準として、オボアルブミン(分子量44kDa)、ミオグロブリン(分子量17kDa)及びビタミンB12(分子量1.35kDa)を使用した。
【0054】
小麦蛋白質の加水分解物中のグルタミン含有量:
アミド態窒素を含有するアミノ酸は、グルタミンとアスパラギンの2つであるが、小麦蛋白質では、そこに含まれるアミド態窒素含有アミノ酸のうちの95質量%以上がグルタミンである。すなわち、小麦蛋白質の加水分解物中のアミド態窒素含有アミノ酸量を、そのままグルタミン含有量としても、大きな誤差にならない。したがって、小麦蛋白質の加水分解物中のアミド態窒素含有アミノ酸量を、そのままグルタミン含有量とした。
【0055】
小麦蛋白質の加水分解物に含まれるアミド態窒素の含有量を、Wilcoxによる化学物質中のアミドの定量法[Meth.Enzymol.,11,36−65(1967)]に従って求めた。具体的には、コンウェイのフラスコ中に小麦蛋白質の加水分解物を入れ、そこに1Nの塩酸を加えて、小麦蛋白質の加水分解物中のアミド態窒素をアンモニアとして遊離させ、発生したアンモニアを衛生検査指針[日本薬学会編「衛生試験法・注解」,p274−276,金原出版(1990)]に従って定量し、定量したアンモニア量から小麦蛋白質の加水分解物に含まれるアミド態窒素量を求め、これに基づきグルタミン含有量としてアミド態窒素含有アミノ酸の含有量を算出した。
【0056】
製造例1.小麦蛋白質の加水分解物の製造
(1)反応釜に、イオン交換水9,700L、無水クエン酸38kg及び小麦グルテン(活性グルテン,Weston Foods Limited製)1,500kgを仕込み、45℃に加温した後、プロテアーゼ(天野製薬株式会社製「プロテアーゼMアマノ」)2.2kg及びアミラーゼ(阪急バイオインダストリー株式会社製「液化酵素T」)1.1kgを加えて、45℃で5時間加水分解反応を行い、次いで25%水酸化ナトリウム水溶液を用いて液のpHを4.4〜4.5に調整して5時間保って酵素処理を行った。
【0057】
(2)次いで、液を80℃に20分間保ってプロテアーゼを失活させた後、65℃に冷却し、そこにアミラーゼ(阪急バイオインダストリー株式会社製「液化酵素T」)0.5kgを加えて小麦グルテン中に含まれていた澱粉質及び繊維質を加水分解させた後、液を90℃に20分間保ってアミラーゼを失活させた。
(3)次に、液を10℃以下に冷却した後、再度55℃に加熱し、そこに活性炭(武田薬品工業株式会社製「タケコール」)100kgを加えて55℃で30分間攪拌した。
(4)液温を45℃にし、濃過助剤(昭和化学工業株式会社製「ラヂオライト」)を加えて、加圧濾過装置を使用して濾過を行い、濾液7,000Lを回収した。
【0058】
(5)上記(4)で回収した濾液をBrix値が20〜40になるまで減圧下で濃縮した後、プレートヒーターを使用して110℃で20秒間加熱して殺菌し、次いで55℃まで冷却した。
(6)上記(5)で得られた液を、噴霧乾燥装置を使用して送風温度160℃、排風温度80℃の条件下に噴霧乾燥して、小麦蛋白質の加水分解物を、粉末の形態で約1,000kg得た。
【0059】
(7)上記(6)で得られた小麦蛋白質の加水分解物粉未を、60メッシュ篩(目開き0.246mm)を用いて分級し、60メッシュ篩を通過した微粉を回収した。
(8)上記(7)で回収した小麦蛋白質の加水分解物の平均分子量及びグルタミン含有量を測定したところ、平均分子量は約8,000ダルトンであり、グルタミン含有量は32質量%であった。
【0060】
製造例2〜5.小麦蛋白質の加水分解物の製造
製造例1と同様な方法で、加水分解の条件を適宜変更し、下記の表1に示す性状の小麦蛋白質の加水分解物を得た。
【0061】
【表1】

【0062】
実施例1.錠剤の製造
製造例1で得られた小麦蛋白質の加水分解物83.8g、結晶セルロース(旭化成株式会社製)10g及びポリビニルピロリドン(BASF社製)5gを混合し、これにエタノール30mlを添加して、湿式法により常法に従って類粒を製造した。それにより得られた類粒を乾燥した後、ステアリン酸マグネシウム1.2gを加えて打錠用顆粒末とし、打錠機を用いて打錠し、1錠が1gの錠剤100個を製造した(錠剤1錠当たりの小麦蛋白質の加水分解物含有量0.838g)。
【0063】
実施例2.シロップ剤の製造
精製水400gを煮沸し、これにかき混ぜながら白糖750g及び製造例1で得られた小麦蛋白質の加水分解物100gを加えて溶解し、熱時に布ごしし、これに精製水を加えて全量を1000mlとしてシロップ剤を製造した(シロップ剤100ml当たりの小麦蛋白質の加水分解物含有量10g)。
【0064】
実施例3.顆粒剤の製造
グルタミンペプチドGP−1(平均分子量7,000ダルトン、L−グルタミン含有量32質量%;日清ファルマ株式会社製)600g、ブドウ糖200g及び酸味料90gを混合し、これに糊料14g及び甘味料と香料の混合物1gを溶解した水溶液を添加して、湿式法により常法に従って顆粒を製造し、乾燥後、整粒して顆粒剤を得た(1包顆粒剤4.5g当たりの小麦蛋白質の加水分解物含有量3g)。
【0065】
試験例1.マスト細胞からのヒスタミン遊離試験
Nc/Ngaマウスの骨髄から分離した細胞を、IL−3を含む培地で培養することによりマスト細胞を調製し、これを抗TNP−IgE抗体で感作したものを用いた。感作細胞をTyrode液(0.1%Glucose,0.1%gelatin,TA,1mM MgCl含有10mM HEPES(pH=7.4))に懸濁した。懸濁液を分注して37℃恒温漕中で保温しながら、製造例1で得られた小麦蛋白質の加水分解物を、2.5、5、10、15mg/mLの濃度で添加し、10分後に300μM CaCl含有TNP−BSA 300ng/mLを添加して20分間アレルゲンによる刺激を行った。EDTAを添加して反応を止め、上清中の遊離ヒスタミン量を液体クロマトグラフ法により以下の条件で測定した。
測定機器:LC−10A(島津製作所)
カラム:ODP 50−4E(内径4.6×250mm;昭和電工)
カラム温度:37℃
測定波長:ex.330nm,em.430nm
移動相:50mM 硼酸ナトリウム(pH9.5):2mM OPA、2mM N−アセチルシステイン含有アセトニトリル=84:16
流速:0.5mL/min
【0066】
製造例1で得られた小麦蛋白質の加水分解物の代わりに、PBSを添加したものをヒスタミン遊離抑制率0%、ヒスタミン量0を100%として、各濃度の小麦蛋白質の加水分解物におけるヒスタミン遊離抑制率を計算した。その結果を表2に示す。本発明の抗ヒスタミン組成物は、濃度依存的にマスト細胞からのヒスタミン遊離を抑制した。15mg/mLの濃度では約88%の抑制率であり、非常に強力にヒスタミン遊離を抑制した。
【0067】
【表2】

【0068】
試験例2.花粉症患者に対する試験
花粉症の自覚症状を有する健常人27人を2群に分け、1群に実施例3の顆粒剤を毎日、一日2回、朝及び夜に摂取させた。残り1群は非摂取(対照群)とした。別に並行して大気中の花粉飛散量を測定して毎日の花粉飛散量をモニターした。花粉濃度が十分高くなった(50個以上/cm)と判断後5週間にわたり、両群共に毎日自覚症状を記録した。記録は、くしゃみ回数、鼻かみの回数、鼻づまり、目の痒み、涙の出具合及び咽頭痛について行い、表3の基準にしたがってスコア化した。
【0069】
【表3】

【0070】
各被検患者のスコアについて、実施例3の顆粒剤摂取群と対照群で、自覚症状ごとに、各週の平均値を記録し比較した結果を図1〜6に示す。本発明の組成物を摂取した群では非摂取群に比べて、各自覚症状のスコアが全体的に低く、本発明の組成物は花粉症に起因する各症状を顕著に改善することがわかった。
【0071】
実施例4.流動食の製造
約65℃の純水750gに、カゼインナトリウム(DMV社製)40g、マルトデキストリン(三和デンプン社製)160g及びグルタミンペプチドGP−1(日清ファルマ株式会社製)25gを添加して溶解させ、次いでビタミンミックス5g及びミネラル(微量)の混合液を添加した。混合液をホモミキサー(特殊機化工業製)に投入し、約8000rpmにて15分間粗乳化した。得られた乳化液を約20℃に冷却し、香料を添加後、最終メスアップを行った。この液をパウチへ本液230g充填後、窒素置換を行いながらパウチを密封し、121℃で15分間殺菌を行って濃厚流動食を得た。流動食230g当たりの小麦蛋白質の加水分解物含有量は約5gであった。
【0072】
実施例5.パンの製造
小麦粉(強力粉)150gとドライイースト2gを混ぜた。他に、製造例2で得られた小麦蛋白質の加水分解物20g、砂糖20g、食塩3g、脱脂粉乳6gを温湯70gに溶かし、鶏卵1個を添加してよく混ぜた。これを小麦粉に加え、良く手でよくこねた後、バター約40gを加えてよくこね、20個のロールパン生地を作った。次いで、発酵させた後、表面に溶き卵を塗り、オーブンにて180℃で約15分焼き、ロールパンを製造した。このロールパンは、1個当たり小麦蛋白質の加水分解物を約1g含有していた。
【0073】
実施例6.パスタ用ミートソースの製造
パスタ用のミートソース一人前(150g)を鍋に入れ、同時にグルタミンペプチドGP−1(日清ファルマ株式会社製)5gを加えて加温し、パスタ用ミートソースを作成した。このソースをパウチへ充填した後、窒素置換を行いながらパウチを密封し、121℃で15分間殺菌を行って小麦蛋白質の加水分解物を含有するパスタ用ミートソースを得た。
【0074】
実施例7.うどんの製造
小麦粉(中力粉)300gに対して、水150gにグルタミンペプチドGP−1(日清ファルマ株式会社製)15g、食塩15gを分散させ、良く混ぜこねて寝かした。この後、生地を延伸し、幅約5mmで切断してうどんを製造した。これを沸騰したお湯で約10分茹でたところ、外観、味、食感ともに良好であった。このうどんは、1食分当たり小麦蛋白質の加水分解物を約5g含有していた。
【0075】
実施例8.野菜ジュースの製造
市販の野菜ジュースに実施例1で得られた小麦蛋白質の加水分解物を5質量%になるよう添加・混合し、野菜ジュースを調製した。
【0076】
実施例9.コンソメスープの製造
タマネギ100g、ニンジン100g、長ネギ100g、セロリ50g、及びトマト100gの各スライスを鍋に入れ、ここに牛の挽き肉500g、卵白2個分、ビーフブイヨン1kgを加え、火にかけて沸騰したら火を弱め、表面に浮いてきたアクや脂肪分を除去しながら弱火で1時間煮て、実施例1で得られた小麦蛋白質の加水分解物50gを加えてさらに30分間煮て、布でこし、コンソメスープを得た。
【0077】
実施例10.軟膏剤の製造
【表4】

【0078】
Bを70℃で加熱溶解しながら混合し油相とした。Aを70℃で加熱溶解しながら混合し、これにBの油相を加えて混合乳化し、その後Cを加えながら冷却処理をしてよく混合し、軟膏を得た。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の組成物を投与した群(摂取群)と非摂取群(対照群)について、花粉症の自覚症状(くしゃみ回数)をスコア化して記録した結果を、大気中の花粉飛散量の測定結果と合わせて示す。*Mann−Whitney U検定で対照群との間に有意差あり(p<0.05)
【図2】本発明の組成物を投与した群(摂取群)と非摂取群(対照群)について、花粉症の自覚症状(鼻かみの回数)をスコア化して記録した結果を、大気中の花粉飛散量の測定結果と合わせて示す。*Mann−Whitney U検定で対照群との間に有意差あり(p<0.05)
【図3】本発明の組成物を投与した群(摂取群)と非摂取群(対照群)について、花粉症の自覚症状(鼻づまり)をスコア化して記録した結果を、大気中の花粉飛散量の測定結果と合わせて示す。*Mann−Whitney U検定で対照群との間に有意差あり(p<0.05)
【図4】本発明の組成物を投与した群(摂取群)と非摂取群(対照群)について、花粉症の自覚症状(目の痒み)をスコア化して記録した結果を、大気中の花粉飛散量の測定結果と合わせて示す。*Mann−Whitney U検定で対照群との間に有意差あり(p<0.05)
【図5】本発明の組成物を投与した群(摂取群)と非摂取群(対照群)について、花粉症の自覚症状(涙の出具合)をスコア化して記録した結果を、大気中の花粉飛散量の測定結果と合わせて示す。*Mann−Whitney U検定で対照群との間に有意差あり(p<0.05)
【図6】本発明の組成物を投与した群(摂取群)と非摂取群(対照群)について、花粉症の自覚症状(咽頭痛)をスコア化して記録した結果を、大気中の花粉飛散量の測定結果と合わせて示す。*Mann−Whitney U検定で対照群との間に有意差あり(p<0.05)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小麦蛋白質の加水分解物を含有する抗ヒスタミン組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の抗ヒスタミン組成物を含有するアレルギー性疾患を予防及び/又は改善するための組成物。
【請求項3】
アレルギー性疾患が花粉症である請求項2記載の組成物。
【請求項4】
小麦蛋白質の加水分解物として小麦グルテンの加水分解物を含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の組成物。
【請求項5】
小麦蛋白質の加水分解物として、L−グルタミン含有量が15〜60質量%で平均分子量が200〜100,000ダルトンのペプチドを含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−249323(P2009−249323A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−97960(P2008−97960)
【出願日】平成20年4月4日(2008.4.4)
【出願人】(301049744)日清ファルマ株式会社 (61)
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 (827)
【Fターム(参考)】